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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】タイヤ成型金型及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20240710BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20240710BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
B29L30:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020174937
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022066038
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 万里子
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-025367(JP,A)
【文献】特開2019-077127(JP,A)
【文献】特開2009-220418(JP,A)
【文献】特開2009-179046(JP,A)
【文献】特開平09-141667(JP,A)
【文献】特開平08-057857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/02
B29C 35/02
B29L 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド部を成型する成型面を有する成型部材と、前記トレッド部にサイプを形成するために前記成型面から突出して設けられたサイプブレードとが設けられ、
前記サイプブレードが、前記成型部材に嵌め込まれる嵌め込み部分と、前記成型面から突出する突出部分とを有し、
前記突出部分が、前記成型面からの突出方向に形状が変化する3次元形状部分である、タイヤ成型金型において、
前記突出部分の耐力が前記嵌め込み部分の耐力より小さく、
前記嵌め込み部分の耐力が800~1200N/mm で、前記突出部分の耐力が200~350N/mm であることを特徴とする、タイヤ成型金型。
【請求項2】
少なくとも前記突出部分が積層造形法により形成された、請求項に記載のタイヤ成型金型。
【請求項3】
タイヤのトレッド部を成型する成型面を有する成型部材に、前記トレッド部にサイプを形成するためのサイプブレードを前記成型面から突出させて設け、
前記成型部材にはめ込まれる嵌め込み部分と、前記成型面から突出する突出部分とを接合して前記サイプブレードとし、
前記突出部分を、前記成型面からの突出方向に形状が変化する3次元形状部分とする、タイヤ成型金型の製造方法において、
少なくとも前記突出部分を積層造形法により作成し、
前記嵌め込み部分の耐力を800~1200N/mm とし、前記突出部分の耐力を200~350N/mm とすることを特徴とする、タイヤ成型金型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ成型金型及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのトレッド部には細い溝であるサイプが設けられている。トレッド部のサイプは、サイプブレードと呼ばれる、タイヤ成型金型のセクター(トレッド部を成型するための成型部材)の成型面から突出して設けられた金属製の板状部材によって形成される。サイプブレードは、セクターに嵌め込まれる部分と、上記のようにセクターの成型面から突出する部分とからなる。
【0003】
トレッド部のサイプの1つとして、3D(3次元)サイプと呼ばれる、踏面(タイヤ表面)上だけでなく、深さ方向にも形状が変化するサイプが知られている。3Dサイプを形成するためのサイプブレードでは、セクターに嵌め込まれる部分は平面状だが、セクターの成型面から突出する部分は複雑な3次元形状部分となっている。このようなサイプブレードは、1枚の金属板をプレスすることにより成形されている。
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているように、タイヤ成型金型を構成する部品を3Dプリンタで製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-89247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複雑な3次元形状部分を有するサイプブレードでは、曲げ部に裂け等の不具合が発生しやすい。そのような不具合を防ぐためには、サイプブレードに機械的特性として伸びが要求される。
【0007】
ところが、伸びの優れる金属材料は耐力が低い。金型からのタイヤの取り出しが行われる時には、サイプブレードにおけるセクターへの嵌め込み部分に力がかかる。そのため、サイプブレードが耐力の低い金属材料からなる場合、金型からのタイヤの取り出しによって、セクターへの嵌め込み部分に塑性変形が発生しやすい。
【0008】
このように、サイプブレードをどのような金属材料で作成しても、3次元形状部分を有するサイプブレードを含む金型は、寿命が短くなりやすかった。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、3次元形状部分を有するサイプブレードを含み、かつ寿命の長いタイヤ成型金型及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態のタイヤ成型金型は、タイヤのトレッド部を成型する成型面を有する成型部材と、前記トレッド部にサイプを形成するために前記成型面から突出して設けられたサイプブレードとが設けられ、前記サイプブレードが、前記成型部材に嵌め込まれる嵌め込み部分と、前記成型面から突出する突出部分とを有し、前記突出部分が、前記成型面からの突出方向に形状が変化する3次元形状部分である、タイヤ成型金型において、前記突出部分の耐力が前記嵌め込み部分の耐力より小さく、前記嵌め込み部分の耐力が800~1200N/mm で、前記突出部分の耐力が200~350N/mm であることを特徴とする。
【0011】
また、実施形態のタイヤ成型金型の製造方法は、タイヤのトレッド部を成型する成型面を有する成型部材に、前記トレッド部にサイプを形成するためのサイプブレードを前記成型面から突出させて設け、前記成型部材にはめ込まれる嵌め込み部分と、前記成型面から突出する突出部分とを接合して前記サイプブレードとし、前記突出部分を、前記成型面からの突出方向に形状が変化する3次元形状部分とする、タイヤ成型金型の製造方法において、少なくとも前記突出部分を積層造形法により作成し、前記嵌め込み部分の耐力を800~1200N/mm とし、前記突出部分の耐力を200~350N/mm とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
実施形態のタイヤ成型金型は、サイプブレードにおいて突出部分の耐力が小さく嵌め込み部分の耐力が大きいため、寿命が長い。また、実施形態のタイヤ成型金型の製造方法によれば、寿命の長いタイヤ成型金型を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】タイヤ成型金型の断面図。
図2】サイプブレードを成型面に垂直な方向から見た図。
図3】サイプブレードを図2の矢印Aの方向から見た図。
図4図2のB-B断面図。
図5】積層造形装置の正面図。
図6】処理制御装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本実施形態のタイヤ成型金型10を示す。タイヤ成型金型10は、円周状に並べられた複数のセクター12と、複数のセクター12が形成する円周の軸方向両側に設けられた一対のサイドプレート14と、同じく一対のビードリング16とを備えている。サイドプレート14及びビードリング16は前記軸方向から見て円形である。
【0015】
セクター12、サイドプレート14及びビードリング16は、空気入りタイヤ(以下「タイヤ」)を成型するための成型面12a、14a、16aを有する成型部材である。複数のセクター12の成型面12aは主にタイヤのトレッド部を、一対のサイドプレート14の成型面14aは主にタイヤのサイド部を、一対のビードリング16の成型面16aは主にタイヤのビード部を、それぞれ成型する。
【0016】
セクター12の材質は、限定されないが、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金(例えばAl-Cu系、Al-Mg系、Al-Mn系、Al-Si系の合金)である。またサイドプレート14及びビードリング16の材質は、限定されないが、例えば、一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)等の鋼材である。セクター12、サイドプレート14、ビードリング16は、加硫成型時には、図示しない電気ヒータや高温蒸気により加硫成型温度(例えば130~200℃)に熱せられる。
【0017】
セクター12には、金型内部に向かって突出した凸条部20が形成されている。凸条部20はタイヤのトレッド部に溝を形成するためのものである。図1に示されている凸条部20はタイヤ周方向に延びる主溝を形成するためのものだが、他にタイヤ幅方向に延びる横溝を形成するための凸条部も金型内部に向かって突出して形成されている。そして、複数の凸条部によって囲まれた凹部が形成されている。この凹部は、タイヤのトレッド部にブロックを形成するためのブロック形成部22である。
【0018】
ブロック形成部22の成型面12aから金型内部に向かって、サイプブレード30が突出している。サイプブレード30はタイヤのブロックにサイプを形成するためのものである。ここでサイプとは、タイヤのトレッド部が接地したときに閉じる程度に細い溝のことである。そのようなサイプを形成するためのサイプブレード30の厚みは、例えば0.2~1.2mmである。サイプブレード30は、その一部がセクター12に形成された溝(不図示)に嵌め込まれることによって、セクター12に取り付けられている。
【0019】
図2図4に、セクター12に嵌め込まれる前のサイプブレード30を示す。サイプブレード30は、セクター12に嵌め込まれる嵌め込み部分32と、セクター12に嵌め込まれたときに成型面12aから突出する突出部分34とからなる。なお、図2の二点鎖線は、サイプブレード30がセクター12に嵌め込まれたときの成型面12aの位置を示している。成型面12aより上の部分が嵌め込み部分32であり、セクター12に嵌め込まれて隠れる部分である。
【0020】
嵌め込み部分32は表裏両面が平面である板状の部分である。一方、突出部分34は、セクター12に嵌め込まれたときの成型面12aからの突出方向に形状が変化する3次元形状部分である。従って、このサイプブレード30は、タイヤのトレッド部にいわゆる3Dサイプを形成するためのものである。
【0021】
ここで、突出部分34における嵌め込み部分32と反対側の端部を、サイプブレード30の頂部36とする。頂部36はタイヤのサイプの底部を形成する部分である。また、図2及び図4の上下方向を、以下の説明における上下方向とする。
【0022】
図3はサイプブレード30を頂部36側から見た図である。この図から分かるように、頂部36はサイプブレード30の延長方向に延びる波形となっている。また、図4図2のB-B断面図である。この図から分かるように、突出部分34には、サイプブレード30を片面から見たときに山となる山部38と、サイプブレード30を片面から見たときに谷となる谷部40とが交互に形成されている。サイプブレード30を片面から見たときの山部38は、その裏面から見ると谷部40である。図2には、谷部40を斜線を引いて示してある。
【0023】
図2に示すように、山部38は、第1屈曲部42及び第2屈曲部44において屈曲しながら上下方向へ延びている。山部38は、嵌め込み部分32と突出部分34との境界から第1屈曲部42までの範囲において上下方向に対して傾斜する方向に延び、第1屈曲部42から第2屈曲部44までの範囲において上下方向に対して傾斜する別の方向に延び、第2屈曲部44から頂部36までの範囲においてさらに別の方向に延びている。また、谷部40も山部38と同様に屈曲しながら上下方向へ延びている。
【0024】
山部38及び谷部40がこのように屈曲しながら延びているため、図4に示すように、突出部分34は上下方向(セクター12に嵌め込まれたときの成型面12aからの突出方向)に形状が変化する3次元形状部分となっている。
【0025】
このようなサイプブレード30において、3次元形状部分である突出部分34の耐力が、嵌め込み部分32の耐力よりも小さくなっている。具体的数値としては、突出部分34の耐力は200~350N/mmであることが好ましい。また、嵌め込み部分32の耐力は800~1200N/mmであることが好ましい。ここで、耐力とは、JIS Z 2241:2011(金属材料引張試験方法)の「3.10.3 耐力(オフセット法)(proof strength, plastic extension),Rp」に規定されている、「塑性伸びが,伸び計標点距離Le(3.5)に対する規定の百分率に等しくなったときの応力」のことである。
【0026】
このような耐力の違いは、例えば、突出部分34と嵌め込み部分32とを異なる材質とすることによって実現できる。より具体的な例としては、突出部分34の材質も嵌め込み部分32の材質も鉄ベースでクロムを15質量%以上含む合金としつつ、突出部分34の材質と嵌め込み部分32の材質とでクロムの割合や他の添加元素(例えばニッケル)の割合を異なるものとする。例えば、突出部分34の材質をSUS304又はそれと同程度の組成の合金とし、嵌め込み部分32の材質をSUS631又はそれと同程度の組成の合金とする。
【0027】
このようなサイプブレード30を製造するための積層造形装置50を図5に示す。積層造形装置50は、積層造形法により金属部品を製造することのできるいわゆる3Dプリンタである。
【0028】
積層造形装置50は、離して配置された2つのステージ51、52と、2つのステージ51、52の間に配置されたテーブル53とを有している。テーブル53は不図示のシリンダによって昇降可能となっている。2つのステージ51、52にはそれぞれ粉末貯留部54、55として上下方向に延びる穴が形成され、その穴の内側にピストン56、57が設けられている。ピストン56、57は不図示のシリンダによって昇降可能となっている。粉末貯留部54、55のピストン56、57の上の場所には、サイプブレード30の材料である金属粉末60が、ステージ51、52の上面にまで充填される。
【0029】
また、ステージ51、52の上には、これらのステージ51、52の間を往来するローラ58が設けられている。このローラ58は、ステージ51、52の間を往来することによって、ステージ51、52の粉末貯留部54、55に貯留されている金属粉末60をテーブル53の上に供給する。
【0030】
粉末貯留部54、55の金属粉末60が減少すると、ピストン56、57が上昇し、再び金属粉末60がステージ51、52の上面にまで現れる。そのため、金属粉末60が再びローラ58によってテーブル53の上に供給できるようになる。
【0031】
テーブル53及びステージ51、52の上方には、レーザを照射するレーザガン61と、レーザガン61から発せられたレーザをテーブル53に向かって反射させるミラー62とが設けられている。ミラー62の向きが変化することにより、テーブル53上でのレーザの照射位置が移動する。レーザがテーブル53上の金属粉末60に照射されることにより、金属粉末60が焼結されて焼結層が形成される。
【0032】
積層造形装置50には、積層造形装置50の制御等を行う処理制御装置70が接続されている。処理制御装置70は、図示省略するが、演算処理を行う演算処理部、データやプログラム等が記憶される記憶部、入力装置及び表示装置と接続される入出力インターフェイス、積層造形装置50との通信を行う通信部等を備えるコンピュータである。
【0033】
演算処理部は、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、図6に示すように設計手段71、造形データ変換処理手段72及び積層造形装置制御手段73として機能する。
【0034】
設計手段71は3DCADからなり、入力装置からの入力に従ってサイプブレード30の3Dモデルを生成する。造形データ変換処理手段72は3Dモデルを造形データに変換する。ここで造形データとは、3Dモデルが複数のスライスデータに変換されたものである。
【0035】
積層造形装置制御手段73は、造形データ変換処理手段72が出力した造形データと、オペレータが入力装置から入力した製造条件とに基づき、積層造形装置50を制御する。ここで、オペレータが入力する製造条件としては、レーザの強度や捜査パターンといったレーザ照射条件や、金属粉末60のテーブル53への堆積の厚み等の積層条件が挙げられる。
【0036】
積層造形装置制御手段73は、ローラ58によってテーブル53に堆積された金属粉末60に対し、造形データ及び製造条件に基づきレーザガン61及びミラー62を制御してレーザを照射し、金属粉末60の焼結層を形成する。焼結層が1層形成される毎にテーブル53が所定距離だけ下降し、前の焼結層の上に次の焼結層が形成される。そのようにして焼結層が順次積層されることにより、立体的な金属部品が製造される。
【0037】
サイプブレード30の製造においては、まず、処理制御装置70により制御された積層造形装置50によって、嵌め込み部分32と突出部分34とがそれぞれ製造される。次に、嵌め込み部分32と突出部分34とが、レーザ溶接や突き合わせ抵抗溶接等の接合方法で接合され、サイプブレード30が完成する。
【0038】
また、サイプブレード30とは別に、セクター12、サイドプレート14、ビードリング16等のタイヤ成型金型10を構成する各部材が既知の方法で製造される。そして、セクター12のブロック形成部22に形成された溝にサイプブレード30の嵌め込み部分32が嵌め込まれる。その後、各部材が組み立てられてタイヤ成型金型10が完成する。
【0039】
以上のように、本実施形態のサイプブレード30では、突出部分34の耐力が嵌め込み部分32よりも耐力が小さい。そして、3次元形状部分である突出部分34の耐力が小さいため、3次元形状部分の屈曲部に裂け等の不具合が生じにくい。また、セクター12に嵌め込まれる嵌め込み部分32の耐力が大きいため、タイヤ成型金型10からのタイヤの取り出しが繰り返されても嵌め込み部分32に塑性変形が発生しにくい。これらのことから、本実施形態のサイプブレード30を含むタイヤ成型金型10は寿命が長い。
【0040】
また、嵌め込み部分32の耐力が800N/mm以上であることにより、タイヤ成型金型10からのタイヤの取り出しが繰り返されても、嵌め込み部分32が塑性変形しにくい。また、嵌め込み部分32の耐力が1200N/mm以下であることにより、嵌め込み部分32が脆くなりにくい。
【0041】
また、突出部分34の耐力が200N/mm以上であることにより、突出部分34に適度な耐久性が備わる。また、突出部分34の耐力が350N/mm以下であることにより、突出部分34の屈曲部に裂け等の不具合が生じにくい。
【0042】
また、突出部分34を3Dプリンタで作成することにより、屈曲部の多い複雑な形状の部分も容易に作成することができる。
【0043】
また、嵌め込み部分32と突出部分34を別々に作成した後、これらを接合してサイプブレード30とすることにより、嵌め込み部分32と突出部分34とを異なる材質とすることができる。
【0044】
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。
【0045】
サイプブレード30は、その少なくとも突出部分34が3Dプリンタを利用した積層造型法により作成されれば良い。例えば、嵌め込み部分32がプレス成形で作成され、突出部分34が3Dプリンタにより作成され、嵌め込み部分32と突出部分34とが接合されても良い。また、始めに嵌め込み部分32がプレス成形で作成され、その嵌め込み部分32の縁に3Dプリンタにより金属粉末60が積層されることにより、突出部分34が積層造形されても良い。
【0046】
また、始めに嵌め込み部分32が3Dプリンタにより作成され、嵌め込み部分32の縁から続けて突出部分34が3Dプリンタにより積層造形されても良い。この場合、嵌め込み部分32と突出部分34との接合部が、嵌め込み部分32の材質と突出部分34の材質とが混合した層となっていても良い。そのような混合層の厚みは0.8~1.2mmであることが好ましい。
【0047】
また、サイプブレード30の少なくとも突出部分34を作成する装置としては、3Dプリンタに分類される様々なタイプのものが利用でき、パウダーヘッド方式のものの他、指向性エネルギー堆積法のもの等も利用可能である。いずれの方式も金属材料を積層するので積層造形法に分類される。
【0048】
また、サイプブレード30の突出部分34の上記の3次元形状は一例に過ぎず、他にも様々な3次元形状があり得る。
【0049】
また、嵌め込み部分32と突出部分34との耐力の違いは、3Dプリンタによる積層造形時のレーザ照射条件を適宜設定することにより生じさせても良い。
【符号の説明】
【0050】
10…タイヤ成型金型、12…セクター、12a…成型面、14…サイドプレート、14a…成型面、16…ビードリング、16a…成型面、20…凸条部、22…ブロック形成部、30…サイプブレード、32…嵌め込み部分、34…突出部分、36…頂部、38…山部、40…谷部、42…第1屈曲部、44…第2屈曲部、50…積層造形装置、51…ステージ、52…ステージ、53…テーブル、54…粉末貯留部、55…粉末貯留部、56…ピストン、57…ピストン、58…ローラ、60…金属粉末、61…レーザガン、62…ミラー、70…処理制御装置、71…設計手段、72…造形データ変換処理手段、73…積層造形装置制御手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6