(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電極装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/254 20210101AFI20240710BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240710BHJP
【FI】
A61B5/254
A61B5/256 130
(21)【出願番号】P 2020180256
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加治屋 篤
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰介
(72)【発明者】
【氏名】迫 富男
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-243131(JP,A)
【文献】特開2006-034429(JP,A)
【文献】特開2011-104337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0132717(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0125386(US,A1)
【文献】特開2017-108795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/245-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁性部、第1電極及び第1接続部を含む第1部分と、
第2磁性部及び第2接続部を含む第2部分と、
前記第1接続部を支点に可動自在に前記第1接続部に接続される第1連結部と、
前記第2接続部を支点に可動自在に前記第2接続部に接続される第2連結部と、
前記第1連結部と前記第2連結部とを可動自在に接続する第3接続部と、
を備え、
前記第1部分及び前記第2部分は、身体の所定部位を挟み、
前記第1電極は、前記第1部分と前記第2部分とにより前記所定部位が挟まれた場合に前記第1電極の少なくとも一部が前記所定部位に接触するように、配置され、
前記第1磁性部及び前記第2磁性部の少なくとも一方は、磁石であり、
前記第1磁性部及び前記第2磁性部は、磁力により、互いに引き合う、
ことを特徴とする電極装置。
【請求項2】
前記第1電極は、
導電性を有する弾性体である第1弾性電極と、
前記第1弾性電極に接触する金属である第1金属電極と、
を含み、
前記第1弾性電極の少なくとも一部は、前記第1部分と前記第2部分とにより前記所定部位が挟まれた場合、前記所定部位に接触する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極装置。
【請求項3】
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2部分とにより前記所定部位が挟まれた場合に前記所定部位に少なくとも一部が接触する第2電極を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極装置。
【請求項4】
前記第2電極は、
導電性を有する弾性体である第2弾性電極と、
前記第2弾性電極に接触する金属である第2金属電極と、
を含み、
前記第2弾性電極の少なくとも一部は、前記第1部分と前記第2部分とにより前記所定部位が挟まれた場合、前記所定部位に接触する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電極装置。
【請求項5】
前記第1部分及び前記第2部分の一方又は両方は、
前記所定部位に接触する部分として、円錐体の凸部を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電極装置。
【請求項6】
前記第1部分及び前記第2部分の一方又は両方は、
前記所定部位に接触する部分を含む面の一部又は全体に、複数の凸部による凹凸を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電極装置。
【請求項7】
前記複数の凸部の各々の形状は、立方体、直方体、円錐体、円錐台、角錐体、及び、角錐台のいずれかである、
ことを特徴とする請求項6に記載の電極装置。
【請求項8】
前記複数の凸部の配列は、正方配列又は千鳥配列である、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電極装置。
【請求項9】
前記所定部位は、耳朶である、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳波の測定では、例えば、耳朶に不関電極を装着する方法が知られている。例えば、特許文献1には、クリップを用いて被検者の耳朶に不関電極が取り付けられる居眠り防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クリップを用いて不関電極を耳朶に取り付ける方法では、例えば、耳朶が厚い場合、耳朶が薄い場合に比べて、耳朶を挟み込む力が強くなるため、被験者が痛みを感じる場合がある。逆に、耳朶が薄い場合、耳朶が厚い場合に比べて、耳朶を挟み込む力が弱くなるため、耳朶に取り付けられた不関電極が落ちやすくなる。このため、電極を耳朶等の所定部位に取り付ける場合に、所定部位の厚みの被験者毎のばらつきの影響を受けにくい電極装置が望まれる。
【0005】
以上の事情を考慮して、本発明は、電極を所定部位に取り付ける場合に、所定部位の厚みの被験者毎のばらつきの影響を受けにくい電極装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電極装置は、身体の所定部位を挟む第1部分及び第2部分を備え、前記第1部分は、第1磁性部及び第1電極を含み、前記第2部分は、第2磁性部を含み、前記第1電極は、前記第1部分と前記第2部分とにより前記所定部位が挟まれた場合に前記第1電極の少なくとも一部が前記所定部位に接触するように、配置され、前記第1磁性部及び前記第2磁性部の少なくとも一方は、磁石であり、前記第1磁性部及び前記第2磁性部は、磁力により、互いに引き合う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る電極装置を説明するための説明図である。
【
図2】
図1に示した電極装置の模式的断面図である。
【
図3】第1変形例に係る電極装置を説明するための説明図である。
【
図4】第2変形例に係る本体部の一例を示す平面図である。
【
図6】第2変形例に係る本体部の別の例を示す平面図である。
【
図8】第3変形例に係る電極装置を説明するための説明図である。
【
図9】第4変形例に係る電極装置を説明するための説明図である。
【
図10】第4変形例に係る電極装置の別の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、
図1及び
図2を参照しながら、実施形態に係る電極装置10の概要の一例について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電極装置10を説明するための説明図である。なお、
図1は、人物Uの耳朶ELに装着された電極装置10の例を示している。また、
図1では、図を見やすくするために、後述する
図2に示す配線170(170f及び170s)等の記載を省略している。
【0011】
電極装置10は、例えば、脳波等の生体信号を測定する測定装置に用いられる電極であり、身体の所定部位に装着される。本実施形態では、電極装置10が装着される所定部位が人物U(電極装置10の装着者)の耳朶ELである場合を想定する。例えば、頭蓋から離れた位置にある耳朶ELは、電気的にほぼ不活性、すなわち、電位がほぼ0とみられることから、単極誘導タイプの脳波測定において参照電極を接触させる不関部位として知られている。例えば、参照電極又はグランド電極が、不関電極として耳朶ELに固定される。なお、グランド電極は、参照電極と併用されてもよい。
【0012】
図2は、
図1に示した電極装置10の模式的断面図である。なお、
図2は、
図1に示したA1-A2線に沿う電極装置10の断面を模式的に示している。
【0013】
電極装置10は、耳朶ELを挟む一対の本体部100(100f及び100s)を有する。なお、
図2では、一対の本体部100のうちの一方の本体部100及び他方の本体部100を互いに区別するために、本体部100の符号の末尾には、小文字のアルファベット(f又はs)が付されている。また、各本体部100に含まれる要素及び各本体部100に接続される配線170の符号の末尾にも、対応する本体部100と同じ小文字のアルファベット(f又はs)が付されている。本体部100f及び100sの一方は「第1部分」の一例であり、他方は「第2部分」の一例である。
【0014】
各本体部100は、磁性部110と、電極120と、電極120及び磁性部110を収納する収納部130とを有する。例えば、本体部100fは、磁性部110f、電極120f及び収納部130fを有し、本体部100sは、磁性部110s、電極120s及び収納部130sを有する。磁性部110f及び110sの一方は「第1磁性部」の一例であり、他方は「第2磁性部」の一例である。また、電極120f及び120sの一方は「第1電極」の一例であり、他方は「第2電極」の一例である。例えば、本体部100fが「第1部分」であり、本体部100sが「第2部分」である場合、磁性部110fが「第1磁性部」に該当し、磁性部110sが「第2磁性部」に該当し、電極120fが「第1電極」に該当し、電極120sが「第2電極」に該当する。
【0015】
本実施形態では、本体部100を平面視した場合(例えば、面102に垂直な方向から本体部100を見た場合)の本体部100、磁性部110及び電極120等の形状が円形である場合を想定する。但し、本体部100を平面視した場合の本体部100、磁性部110及び電極120等の形状は、円形に限定されない。例えば、本体部100を平面視した場合の本体部100、磁性部110及び電極120等の形状は、四角形でもよい。あるいは、本体部100、磁性部110及び電極120のうちの2つ又は全ては、互いに異なる形状であってもよい。
【0016】
磁性部110f及び110sは、磁力により、互いに引き合う。例えば、磁性部110f及び110sの一方は、磁石(例えば、永久磁石)であり、他方は、磁石又は強磁性体(例えば、金属)である。また、磁性部110f及び110sは、一対の本体部100f及び100sが耳朶ELを挟んだ状態において、耳朶ELを挟んで互いに対向するように配置される。磁性部110f及び110sが磁力により互いに引き合うため、例えば、一対の本体部100f及び100sは、耳朶ELを挟んだ状態で耳朶ELに固定される。なお、本願の発明者は、磁性部110(磁石)によって生じる磁場(磁束)が脳波測定に影響しないことを、確認している。
【0017】
電極120は、例えば、不関電極として用いられる。例えば、電極120f及び120sの一方が参照電極として用いられ、他方がグランド電極として用いられてもよい。各電極120は、導電性を有する弾性体である弾性電極122と、弾性電極122に接触する金属である金属電極121とを有する。例えば、電極120fは、弾性電極122f及び金属電極121fを有し、電極120sは、弾性電極122s及び金属電極121sを有する。
【0018】
例えば、金属電極121fは、磁性部110fと弾性電極122fとの間に配置され、弾性電極122fに電気的に接続される。また、金属電極121sは、磁性部110sと弾性電極122sとの間に配置され、弾性電極122sに電気的に接続される。
図2に示す例では、金属電極121fの面のうち、弾性電極122fに対向する面の全体が弾性電極122fに接触し、金属電極121sの面のうち、弾性電極122sに対向する面の全体が弾性電極122sに接触している。また、金属電極121fは、接着剤等により磁性部110fに接着されてもよい。同様に、金属電極121sは、接着剤等により磁性部110sに接着されてもよい。
【0019】
また、例えば、金属電極121fは、導電性を有する配線170fと電気的に接続され、金属電極121sは、導電性を有する配線170sと電気的に接続される。配線170f及び170sは、例えば、ゴム製のチューブ180に挿入され、図示しない測定装置に接続される。なお、配線170は、金属電極121等と着脱可能であってもよい。
【0020】
弾性電極122は、例えば、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体と導電性フィラー(例えば、銀等の金属又は炭素)とを混ぜたものであってもよい。例えば、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体は、金属に比べて、摩擦係数が大きい。このため、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体は、滑り止め及び固定の機能を有する。従って、本実施形態では、本体部100f及び100sが耳朶ELを挟んだ状態において、弾性電極122が耳朶ELに接触することにより、耳朶ELに装着された電極装置10の位置がずれることを抑止することができる。
【0021】
例えば、弾性電極122fの少なくとも一部、及び、弾性電極122sの少なくとも一部は、本体部100f及び100sにより耳朶ELが挟まれた場合、耳朶ELに接触する。
図2に示す例では、弾性電極122fの面102fの一部、及び、弾性電極122sの面102sの一部が、耳朶ELに接触している。本実施形態では、面102f及び102sが平坦面である場合を想定する。以下では、面102は、弾性電極122を含む本体部100の面でもあるため、本体部100の面102とも称される。
【0022】
このように、電極120fは、本体部100f及び100sにより耳朶ELが挟まれた場合に電極120fの少なくとも一部が耳朶ELに接触するように、配置される。同様に、電極120sは、本体部100f及び100sにより耳朶ELが挟まれた場合に電極120sの少なくとも一部が耳朶ELに接触するように、配置される。
【0023】
また、本実施形態では、一対の電極120f及び120sは、耳朶ELを挟んだ状態において、互いに引き合う磁性部110fと磁性部110sとの間に位置する。これにより、例えば、電極120fには、磁性部110fから耳朶ELに向かう力が加わり、電極120sには、磁性部110sから耳朶ELに向かう力が加わる。この結果、本実施形態では、被験者となる人物U毎に耳朶ELの厚みにばらつきがある場合においても、各電極120と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態では、弾性電極122が接触する部分の耳朶ELの厚みが不均一である場合、又は、耳朶ELに産毛等がある場合においても、弾性電極122が柔軟に変形するため、弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制することができる。
【0025】
ここで、各電極120の厚さT0が厚い場合、各電極120の厚さT0が薄い場合に比べて、磁性部110f及び110s間の距離が大きくなる。このため、各電極120の厚さT0が厚い場合、各電極120の厚さT0が薄い場合に比べて、磁性部110f及び110sが互いに引き合う力(磁力による吸着力)、すなわち、本体部100f及び100sが耳朶ELを挟む力が弱くなる。各電極120の厚さT0は、例えば、本体部100f及び100sが耳朶ELを挟んだ場合に、磁性部110f及び110sの一方から他方に向かう方向における各電極120の厚みである。例えば、各電極120の厚さT0が厚すぎると、一対の本体部100が耳朶ELを挟む力が弱くなり、電極装置10が耳朶ELからずれ落ちる可能性がある。
【0026】
例えば、弾性電極122の厚さT1は、特に限定されないが、弾性電極122の適度な弾性を実現する観点、及び、一対の本体部100が耳朶ELを挟む力を適度な力とする観点から、好ましくは、0.8mm以上1.5mm以下の範囲であり、実用的には1mm程度である。また、金属電極121の厚さT2は、特に限定されないが、一対の本体部100が耳朶ELを挟む力を適度な力とする観点から、弾性電極122の厚さT1を考慮すると、好ましくは、0.2mm以上1mm以下の範囲であり、実用的には0.5mm程度である。
【0027】
なお、金属電極121f及び121sの一方は「第1金属電極」の一例であり、他方は「第2金属電極」の一例である。また、弾性電極122f及び122sの一方は「第1弾性電極」の一例であり、他方は「第2弾性電極」の一例である。例えば、電極120fが「第1電極」であり、電極120sが「第2電極」である場合、弾性電極122fが「第1弾性電極」に該当し、弾性電極122sが「第2弾性電極」に該当し、金属電極121fが「第1金属電極」に該当し、金属電極121sが「第2金属電極」に該当する。
【0028】
収納部130は、例えば、樹脂であってもよいし、磁性部110、金属電極121及び弾性電極122と絶縁された金属であってもよい。例えば、収納部130fは、磁性部110fを覆い、電極120fの一部(例えば、面102fを除く部分)を覆う樹脂であってもよい。同様に、収納部130sは、磁性部110sを覆い、電極120sの一部(例えば、面102sを除く部分)を覆う樹脂であってもよい。あるいは、磁性部110f、金属電極121f及び弾性電極122fは、磁性部110f、金属電極121f及び弾性電極122fと絶縁された金属により、一体に組み立てられてもよい。同様に、磁性部110s、金属電極121s及び弾性電極122sは、磁性部110s、金属電極121s及び弾性電極122sと絶縁された金属により、一体に組み立てられてもよい。
【0029】
すなわち、本体部100fは、磁性部110f、金属電極121f及び弾性電極122fが収納部130fにより一体に組み立てられたものであってもよい。同様に、本体部100sは、磁性部110s、金属電極121s及び弾性電極122sが収納部130sにより一体に組み立てられたものであってもよい。この場合、本体部100を耳朶ELの表裏の両側に装着することを容易に実現することができる。
【0030】
例えば、本実施形態では、導電性を有する粘着剤により電極が耳朶ELに固定される場合に比べて、貼り付けの手間及び剥がす手間がかからないため、耳朶ELに対して電極装置10を容易に着脱することができる。また、本実施形態では、粘着剤等が使い捨てられることがないため、粘着剤により電極が耳朶ELに固定される場合に比べて、経済性を向上することができる。
【0031】
また、例えば、本実施形態では、ばねの反発力を用いるクリップ等により電極が耳朶ELに固定される場合に比べて、耳朶ELの厚みの人物U(電極装置10の装着者)毎のばらつきの影響を受けにくい。例えば、クリップを用いて電極を耳朶ELに取り付ける方法では、耳朶ELが厚い場合、耳朶ELが薄い場合に比べて、耳朶ELを挟み込む力が強くなるため、電極の装着者が痛みを感じる場合がある。逆に、耳朶ELが薄い場合、耳朶ELが厚い場合に比べて、耳朶ELを挟み込む力が弱くなるため、耳朶ELに取り付けられた電極が落ちやすくなる。これに対し、本実施形態では、磁性部110f及び110sが耳朶EL越しに作用する磁石の磁力により互いに引き合うことにより、電極装置10が耳朶ELに固定されるため、耳朶ELの厚みの人物U毎のばらつきの影響を受けにくい。
【0032】
なお、電極装置10の構成は、
図1及び
図2に示す例に限定されない。例えば、本体部100f及び100sのうちの一方の本体部100のみが、電極120を有してもよい。この場合、電極120は、グランド電極と参照電極とを併用する不関電極として用いられてもよい。また、電極120を有さない本体部100においても、耳朶ELと接触する部分は、例えば、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体であることが好ましい。本体部100f及び100sのうちの一方の本体部100のみが電極120を有する場合、電極120を有する本体部100は、「第1部分」に該当する。
【0033】
以上、本実施形態では、電極装置10は、人物Uの耳朶ELを挟む本体部100f及び100sを有する。本体部100fは、磁性部110f及び電極120fを含む。また、本体部100sは、磁性部110sを含む。電極120fは、本体部100f及び100sにより耳朶ELが挟まれた場合に電極120fの少なくとも一部が耳朶ELに接触するように、配置される。また、磁性部110f及び110sの少なくとも一方は、磁石である。そして、磁性部110f及び110sは、磁力により、互いに引き合う。
【0034】
このように、本実施形態では、本体部100f及び100sにより耳朶ELを挟むことにより、磁性部110f及び110sが耳朶EL越しに作用する磁石の磁力により互いに引き合うため、電極装置10を耳朶ELに容易に固定することができる。これにより、本実施形態では、耳朶ELと電極120との間の電気導通の維持を容易に実現することができる。
【0035】
また、本実施形態では、磁石(磁性部110f及び110sの少なくとも一方)の磁力により電極装置10が耳朶ELに装着されるため、電極装置10を容易に脱着することができる。
また、本実施形態では、本体部100fに含まれる磁性部110f、及び、本体部100sに含まれる磁性部110sの少なくとも一方が、電極装置10を耳朶ELに装着する磁力を発生させる磁石である。このため、本実施形態では、クリップ等により電極が耳朶ELに固定される構成に比べて、本体部100f及び100sのデザインの自由度が向上する。例えば、本実施形態では、本体部100f及び100sのデザインを、既存のピアス又はイヤリング等に類似するデザインにすることができる。この結果、本実施形態では、電極装置10が耳朶ELに日常的に装着される場合においても、電極装置10を耳朶ELに装着した場合の違和感を無くすこと、又は、違和感を少なくすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、電極120は、導電性を有する弾性体である弾性電極122と、弾性電極122に接触する金属である金属電極121とを含む。弾性電極122の少なくとも一部は、本体部100f及び100sにより耳朶ELが挟まれた場合、耳朶ELに接触する。このため、本実施形態では、電極装置10が装着される耳朶ELの厚みが不均一である場合、又は、耳朶ELに産毛等がある場合においても、弾性電極122が柔軟に変形することにより、弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制することができる。この結果、本実施形態では、電極装置10の耳朶ELへの安定的な固定、及び、耳朶ELと電極120との間の電気導通の維持を容易に実現することができる。
【0037】
なお、電極120は、本体部100f及び100sの両方に含まれてもよいし、本体部100f及び100sの一方のみに含まれてもよい。本体部100f及び100sの両方に電極120が含まれる場合、参照電極及びグランド電極を、互いに異なる電極120f及び120sにそれぞれ割り当てることができる。また、本体部100f及び100sの一方のみに電極120が含まれる場合、電極120は、グランド電極と参照電極とを併用する不関電極として用いられてもよい。
【0038】
また、本体部100f及び100sの一方のみに電極120が含まれる場合、本体部100f及び100sの他方は、導電性を有する弾性体を含む必要がない。例えば、電極120を有さない本体部100において耳朶ELと接触する部分は、導電性を有さない弾性体(例えば、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体)であってもよい。一般的に、導電性を有する弾性体の製造コストは、導電性を有さない弾性体の製造コストに比べて、高い。このため、本体部100f及び100sの一方のみに電極120が含まれる場合、本体部100f及び100sの両方に電極120が含まれる場合に比べて、電極装置10の製造コストを低減することができる。
【0039】
[2.変形例]
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0040】
[第1変形例]
上述した実施形態では、弾性電極122の面102(耳朶ELと接触する部分を含む面)が平坦面である場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、弾性電極122は、
図3に示すように、耳朶ELに接触する部分として、円錐形の凸部124を有してもよい。
【0041】
図3は、第1変形例に係る電極装置10を説明するための説明図である。
図1及び
図2において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図3は、
図2と同様に、電極装置10の断面を模式的に示している。
【0042】
図3に示す電極装置10は、耳朶ELに接触する部分が円錐形の凸部124であることを除いて、
図2に示した電極装置10と同様である。例えば、弾性電極122は、ベース部123と、円錐形の凸部124とを有する。凸部124は、耳朶ELに接触する部分として、ベース部123に設けられる。この場合、耳朶ELに接触する面102、すなわち、凸部124の面102は、円錐面になる。
【0043】
例えば、耳朶ELは、力が加わることにより変形する。このため、例えば、凸部124f及び124sにより耳朶ELが挟まれる場合、平坦な面102f及び102sにより耳朶ELが挟まれる場合に比べて、耳朶ELに接触する部分の面積が大きくなる。このため、第1変形例では、弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制すること、及び、電極装置10を耳朶ELに安定的に固定することができる。
【0044】
なお、凸部124の底面の半径rは、特に限定されないが、好ましくは、1mm以上5mm以下の範囲である。また、凸部124の頂点TPの曲率半径は、特に限定されないが、好ましくは、0.5mm以上5mm未満の範囲である。
【0045】
このように、
図3に示す電極装置10では、一対の本体部100(100f及び100s)の各本体部100(100f又は100s)は、耳朶ELに接触する部分として、円錐体の凸部124(124f又は124s)を有する。
【0046】
なお、第1変形例に係る電極装置10の構成は、
図3に示す例に限定されない。例えば、凸部124の形状は、球体の一部分(例えば、半球体)と同様の形状であってもよい。また、例えば、本体部100f及び100sの一方のみが電極120を有する場合、電極120を有する本体部100が凸部124を有していれば、電極120を有さない本体部100において耳朶ELに接触する部分は、凸部124であってもよいし、平坦な面102であってもよい。あるいは、電極120を有さない本体部100は、耳朶ELに接触する部分に、複数の凸部による凹凸を有してもよい。すなわち、第1変形例では、本体部100f及び100sの一方又は両方が、耳朶ELに接触する部分として、凸部124を有していればよい。
【0047】
また、凸部124を有する弾性電極122の形成方法は、特に限定されないが、凸部124を有する弾性電極122は、金型を用いて形成されてもよい。例えば、凸部124に対応する凹部を有する金型を用い、当該金型にペースト状の導電性ゴムを流し込むことにより形成されてもよい。
【0048】
以上、第1変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1変形例では、上述したように、耳朶ELに接触する部分の面積を大きくすることができるため、弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制すること、及び、電極装置10を耳朶ELに安定的に固定することができる。
【0049】
[第2変形例]
上述した実施形態では、弾性電極122の面102が平坦面である場合を例示し、第1変形例では、弾性電極122の面102が円錐面である場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、弾性電極122は、耳朶ELに接触する部分を含む面102の一部又は全体に、複数の凸部による凹凸を有してもよい。
【0050】
図4及び
図5は、第2変形例に係る本体部100を説明するための説明図である。
図1から
図3において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図4及び
図5は、本体部100f及び100sのうち、本体部100fを示している。本体部100sの構成は、本体部100fの構成と同様であるため、説明を省略する。また、
図4及び
図5では、図を見やすくするために、本体部100fの金属電極121fに接続される配線170fの記載を省略している。
【0051】
なお、
図4は、第2変形例に係る本体部100の一例を示す平面図である。例えば、
図4は、本体部100fを平面視した場合(例えば、面102fに垂直な方向から本体部100fを見た場合)の本体部100fを示している。また、
図5は、
図4に示した本体部100の側面図である。例えば、
図5は、面102に平行な方向から本体部100fを見た場合の本体部100fを示している。
図5では、収納部130f内の磁性部110f等を破線により示している。
【0052】
図4及び
図5に示す本体部100fは、耳朶ELに接触する部分を含む面102fに、複数の凸部125fによる凹凸を有することを除いて、
図2に示した本体部100fと同様である。従って、
図4及び
図5に示す本体部100fを有する電極装置10は、耳朶ELに接触する部分を含む面102に、複数の凸部125による凹凸を有することを除いて、
図2に示した電極装置10と同様である。
【0053】
例えば、
図4及び
図5に示す弾性電極122fは、ベース部123と、複数の凸部125fとを有する。複数の凸部125fは、例えば、ベース部123fの面102fに、格子状に配列される。
図4及び
図5に示す例では、複数の凸部125fの配列は、単位格子が正方形である正方配列である。
【0054】
また、複数の凸部125fの各々の形状は、例えば、円錐台である。なお、複数の凸部125fの各々の形状は、円錐台に限定されない。例えば、複数の凸部125fの各々の形状は、立方体、直方体、円錐体、円錐台、角錐体、及び、角錐台のいずれかであってもよい。あるいは、複数の凸部125fの各々の形状は、不定形立体であってもよい。
【0055】
また、複数の凸部125fの間隔D1及びD2と、凸部125fの高さH1と、凸部125fの大きさは、特に限定されないが、耳朶ELに産毛が生えている場合においても弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることがないように決定されることが好ましい。
【0056】
例えば、耳は、特に産毛が多い部位として知られている。多毛な人では、耳の産毛は、例えば、1平方cm当たり360本程度の密度で、縦横0.52mm程度の間隔で生えている。また、産毛は、色素に乏しい直径0.01mm程度のごく細い毛であるが、年齢が進むに連れて黒くなり太さも0.1mm程度になる。なお、耳朶ELの産毛の長さは、長くても1mm程度である。
【0057】
従って、複数の凸部125fの間隔D1及びD2は、産毛が生える間隔より細かく、確実に皮膚に接触することが期待できる0.5mm以下であることが好ましい。なお、複数の凸部125fの間隔D1及びD2は、産毛の太さより小さくなることを避けるために、0.1mmを下限としてもよい。すなわち、複数の凸部125fの間隔D1及びD2は、0.1mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。なお、
図4及び
図5に示す例では、複数の凸部125fの配列が正方配列であるため、間隔D1及びD2は互いに同じであるが、間隔D1及びD2は互いに異なってもよい。
【0058】
また、複数の凸部125fの各々の高さH1は、1本の産毛の太さより高い0.05mm以上であることが好ましい。なお、複数の凸部125fの各々の高さH1は、複数本の産毛が重なった場合においても複数本の産毛が重なった部分より確実に高くなることが期待できる1mmを上限としてもよい。すなわち、複数の凸部125fの各々の高さH1は、0.05mm以上1mm以下の範囲であることが好ましい。
【0059】
第2変形例では、弾性電極122の面102(ベース部123の面102)に、複数の凸部125による凹凸が設けられるため、耳朶ELに産毛が生えている場合においても弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制することができる。また、複数の凸部125は、耳朶ELと弾性電極122との間の電気導通を確保することの他に、滑り止めとしても機能する。例えば、複数の凸部125による凹凸が設けられた面102(弾性電極122の面102)では、形状効果により、平坦面に比べて摩擦係数が大きくなる。すなわち、複数の凸部125による凹凸は、滑り止め及び固定の機能を有する。
【0060】
図6及び
図7は、第2変形例に係る本体部100の別の例を説明するための説明図である。例えば、
図6は、第2変形例に係る本体部100の別の例を示す平面図である。また、
図7は、
図6に示した本体部100の側面図である。
図1から
図5において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図6及び
図7は、
図4及び
図5と同様に、本体部100f及び100sのうち、本体部100fを示し、本体部100fの金属電極121fに接続される配線170fの記載を省略している。本体部100sの構成は、本体部100fの構成と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
図6及び
図7に示す本体部100fは、複数の凸部125fの配列及び複数の凸部125fの各々の形状を除いて、
図4及び
図5に示した本体部100fと同様である。従って、
図6及び
図7に示す本体部100fを有する電極装置10は、複数の凸部125fの配列及び複数の凸部125fの各々の形状を除いて、
図4及び
図5に示した本体部100fを有する電極装置10と同様である。
【0062】
例えば、複数の凸部125fの配列は、千鳥配列である。千鳥配列では、
図6に示すように、紙面の左側から偶数番目の凸部125fと奇数番目の凸部125fは、列方向(紙面の上下方向)に沿う位置が互いに異なるように配置される。また、
図6及び
図7に示す例では、複数の凸部125fの各々の形状は、角錐台である。なお、
図4及び
図5において説明したように、複数の凸部125fの各々の形状は、立方体、直方体、円錐体、円錐台、角錐体、及び、角錐台のいずれかであってもよい。あるいは、複数の凸部125fの各々の形状は、不定形立体であってもよい。
【0063】
複数の凸部125fの間隔D3、D4、D5及びD6は、
図4に示した間隔D1及びD2と同様に、0.1mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。なお、間隔D3及びD5は互いに同じであってもよいし、間隔D3及びD5は互いに異なってもよい。また、複数の凸部125fの各々の高さH2は、
図5に示した高さH1と同様に、0.05mm以上1mm以下の範囲であることが好ましい。
【0064】
第2変形例に係る本体部100の構成は、
図4から
図7に示す例に限定されない。例えば、複数の凸部125による凹凸が設けれる面102は、平坦面に限定されず、第1変形例において説明したような円錐面等であってもよい。また、例えば、複数の凸部125の配列は、正方配列及び千鳥配列以外の配列であってもよい。また、例えば、凸部125の形状は、球体の一部分(例えば、半球体)と同様の形状であってもよい。
【0065】
また、例えば、本体部100f及び100sの一方のみが電極120を有する場合、電極120を有する本体部100が複数の凸部125を有していれば、電極120を有さない本体部100は、凸部125を有してもよいし、凸部125を有さなくてもよい。具体的には、電極120を有さない本体部100において耳朶ELに接触する部分は、例えば、平坦な面102であってもよいし、
図3に示した凸部124であってもよいし、複数の凸部125による凹凸が設けれた面102であってもよい。
【0066】
また、弾性電極122の面102に、複数の凸部125による凹凸を設ける方法は、特に限定されないが、面102の凹凸は、金型を用いて形成されてもよい。例えば、サンドブラストにより微細な凹凸が設けられた金型を用い、当該金型にペースト状の導電性ゴムを流し込むことにより形成されてもよい。
【0067】
以上、第2変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2変形例では、上述したように、弾性電極122の面102(ベース部123の面102)に、複数の凸部125による凹凸が設けられるため、耳朶ELに産毛が生えている場合においても弾性電極122と耳朶ELとの接触が不十分になることを抑制することができる。また、第2変形例では、複数の凸部125による凹凸が滑り止め及び固定の機能を有するため、電極装置10を耳朶ELに安定的に固定することができる。
【0068】
[第3変形例]
上述した実施形態、第1変形例及び第2変形例において、電極装置10は、
図8に示すように、イヤーカフのように耳朶ELに装着されてもよい。
【0069】
図8は、第3変形例に係る電極装置10を説明するための説明図である。
図1から
図7において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8は、
図2と同様に、電極装置10の断面を模式的に示している。
【0070】
図8に示す電極装置10は、接続部140(140f及び140s)と、連結部150(150f及び150s)と、接続部160とが
図2に示した電極装置10に追加されていることを除いて、
図2に示した電極装置10と同様である。例えば、電極装置10は、接続部140fが設けられた本体部100fと、接続部140sが設けられた本体部100fと、連結部150f及び150sと、接続部160とを有する。
【0071】
接続部140f及び140sの一方は「第1接続部」の一例であり、接続部140f及び140sの他方は「第2接続部」の一例であり、接続部160は「第3接続部」の一例である。連結部150f及び150sの一方は「第1連結部」の一例であり、連結部150f及び150sの他方は「第2連結部」の一例である。例えば、本体部100fが「第1部分」であり、本体部100sが「第2部分」である場合、接続部140fが「第1接続部」に該当し、接続部140sが「第2接続部」に該当し、連結部150fが「第1連結部」に該当し、連結部150sが「第2連結部」に該当する。
【0072】
図8に示す本体部100fは、接続部140fが
図2に示した本体部100fに追加されていることを除いて、
図2に示した本体部100fと同様である。また、
図8に示す本体部100sは、接続部140sが
図2に示した本体部100sに追加されていることを除いて、
図2に示した本体部100sと同様である。
【0073】
接続部140fは、例えば、本体部100fの面102fの反対側の面104fに、収納部130fと一体に形成される。同様に、接続部140sは、例えば、本体部100sの面102sの反対側の面104sに、収納部130sと一体に形成される。
【0074】
連結部150f及び150sは、例えば、円弧形状に形成される。なお、連結部150f及び150sの形状は、円弧形状に限定されない。連結部150fの一端は、連結部150fが接続部140fを支点に可動自在になるように、接続部140fに接続される。そして、連結部150fの他端は、連結部150fが接続部160を支点に可動自在になるように、接続部160に接続される。同様に、連結部150sの一端は、連結部150sが接続部140sを支点に可動自在になるように、接続部140sに接続される。そして、連結部150sの他端は、連結部150sが接続部160を支点に可動自在になるように、接続部160に接続される。
【0075】
すなわち、連結部150fは、接続部140fを支点に可動自在に接続部140fに接続され、連結部150sは、接続部140sを支点に可動自在に接続部140sに接続される。そして、接続部160は、連結部150fと連結部150sとを可動自在に接続する。これによいり、接続部160により接続された連結部150f及び150sは、蝶番のように開閉する。なお、接続部140の連結部150及び接続部160の材料は、樹脂であってもよいし、金属であってもよい。
【0076】
なお、第3変形例においても、第1変形例と同様に弾性電極122を円錐形状等にする構成、及び、第2変形例と同様に弾性電極122の面102に複数の凸部125を設ける構成等が採用されてもよい。
【0077】
以上、第3変形例においても、上述した実施形態、第1変形例及び第2変形例と同様の効果を得ることができる。また、第3変形例では、蝶番のように開閉する連結部150f及び150sに、本体部100f及び100sがそれぞれ接続されているため、耳朶ELに装着された本体部100f及び100sの位置関係が適切な位置関係からずれることを抑止することができる。
【0078】
[第4変形例]
上述した実施形態、第1変形例、第2変形例及び第3変形例では、一対の電極120f及び120sが、耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fと磁性部110sとの間に位置する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、
図9に示すように、一対の電極120f及び120sは、耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fと磁性部110sとの間に位置しなくてもよい。
【0079】
図9は、第4変形例に係る電極装置10を説明するための説明図である。
図1から
図8において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9は、
図2と同様に、電極装置10の断面を模式的に示している。
図9では、紙面の上側を、単に、上側と称し、紙面の下側を、単に、下側と称する場合がある。さらに、
図9では、紙面の手前側又は奥側を、横側と称する場合がある。
【0080】
図9に示す電極装置10は、磁性部110が配置される位置を除いて、
図2に示した電極装置10と同様である。
図9に示す例では、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fは、電極120fの上側に配置され、磁性部110sは、磁性部110fに耳朶ELを挟んで対向するように、電極120sの上側に配置される。
【0081】
磁性部110は、例えば、耳朶ELに直接接触する場合、生体適合性のあるシリコーンゴム等の弾性体と磁性フェライトの粉末とを混ぜたものであってもよい。第4変形例では、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において磁性部110fと磁性部110sとの間に電極120f及び120sが位置する構成に比べて、磁性部110fと磁性部110sとの距離を短くすることができる。これにより、第4変形例では、電極装置10の耳朶ELへの固定の安定性を向上させることができる。
【0082】
なお、第4変形例に係る電極装置10の構成は、
図9に示す例に限定されない。例えば、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fは、電極120fの下側に配置され、磁性部110sは、磁性部110fに耳朶ELを挟んで対向するように、電極120sの下側に配置されてもよい。あるいは、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fは、電極120fの上側及び下側に配置され、磁性部110sは、磁性部110fに耳朶ELを挟んで対向するように、電極120sの上側及び下側に配置されてもよい。あるいは、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において、磁性部110fは、電極120fの横側(紙面の手前側及び奥側の一方又は両方)に配置され、磁性部110sは、磁性部110fに耳朶ELを挟んで対向するように、電極120sの横側に配置されてもよい。また、
図10に示すように、磁性部110fは、電極120fを囲むように配置され、磁性部110sは、磁性部110fに耳朶ELを挟んで対向するように、電極120sを囲むように配置されてもよい。
【0083】
図10は、第4変形例に係る電極装置10の別の例を説明するための説明図である。
図1から
図9において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図10は、本体部100f及び100sのうち、本体部100fを示している。また、
図10は、本体部100fを平面視した場合(例えば、面102fに垂直な方向から本体部100fを見た場合)の本体部100fを示している。
【0084】
図10に示す本体部100fは、磁性部110fの配置を除いて、
図9に示した本体部100fと同様である。例えば、磁性部110fは、面102fに垂直な方向から本体部100fを見た場合に電極120fを囲むように、配置される。
【0085】
第4変形例では、例えば、磁性部110f及び110s間の距離が短くなるため、磁力による吸着力を向上させることができる。なお、上述した実施形態等の構成(例えば、
図2に示した構成)では、電極120の裏面側に磁性部110が設けられているため、電極120を耳朶ELに向けて押し付ける力を安定させることができる。
【0086】
以上、第4変形例においても、上述した実施形態、第1変形例、2変形例及び第3変形例と同様の効果を得ることができる。また、第4変形例では、電極120f及び120sが耳朶ELを挟んだ状態において磁性部110fと磁性部110sとの間に電極120f及び120sが位置しないため、上述した実施形態に比べて弱い磁力により、電極装置10を耳朶ELに安定的に固定することができる。
【符号の説明】
【0087】
10、10…電極装置、100…本体部、102…面、110…磁性部、120…電極、121…金属電極、122…弾性電極、123…ベース部、124、125…凸部、130…収納部、140…接続部、150…連結部、160…接続部、170…配線、180…チューブ。