(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】車両用ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240710BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20240710BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240710BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/667 20140101ALI20240710BHJP
H01M 10/615 20140101ALN20240710BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 611D
B60K11/02
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/663
H01M10/6568
H01M10/651
H01M10/633
H01M10/667
H01M10/615
(21)【出願番号】P 2020190245
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0069717
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 淵 浩
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-085102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117991(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109532563(CN,A)
【文献】特開2015-093561(JP,A)
【文献】特開2021-037931(JP,A)
【文献】特開2019-104485(JP,A)
【文献】特開2016-144963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0176572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60K 11/02
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/663
H01M 10/6568
H01M 10/651
H01M 10/633
H01M 10/667
H01M 10/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、第2バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置、
前記冷却水ラインと前記第1バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプと、バッテリモジュールとを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置、
冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第2バルブを通じて選択的に連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプと、ヒーターと、を含む暖房装置、および
前記第1バルブと前記バッテリモジュールの間で前記バッテリー冷却水ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記バッテリー冷却水ラインを循環する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー、を含み、
前記チラーは、前記ラジエータと前記第2バルブの間で前記冷却水ラインに備えられる第3バルブを通じてチラー連結ラインと連結され、
前記リザーバタンクは、前記ラジエータと前記第2バルブの間で前記冷却水ラインに備えられ、前記第1バルブと前記第1ウォータポンプを連結する前記冷却水ラインと供給ラインを通じて連結されることを特徴とする車両用ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記ヒーターは、
前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記バッテリー冷却装置は、
前記バッテリモジュールと前記チラーの間で前記バッテリー冷却水ラインに備えられる冷却水加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記バッテリモジュールを昇温する場合、
前記バッテリー冷却水ラインは、前記第1バルブの作動により前記冷却水ラインと連結が閉鎖され、
前記チラー連結ラインは、前記第3バルブの作動により閉鎖され、
前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに沿って冷却水が循環し、
前記冷却水加熱器は、前記バッテリー冷却水ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給される冷却水を加熱するように作動することを特徴とする請求項3に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記エアコン装置は、
前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられるHVACモジュール、
前記第2バルブと前記ヒーターの間で前記暖房ラインに備えられ内部に冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ、
前記蒸発器と前記コンデンサの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機、
前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ、および
前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記エアコン装置は、
前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられるサブコンデンサをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記冷媒連結ラインの一端は、前記サブコンデンサと前記第1膨張バルブの間で前記冷媒ラインに連結され、
前記冷媒連結ラインの他端は、前記蒸発器と前記圧縮機の間で前記冷媒ラインに連結されることを特徴とする請求項6に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記チラーと前記コンデンサは水冷式熱交換器であり、前記サブコンデンサは空冷式熱交換器であることを特徴とする請求項6に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記HVACモジュールは、
前記ヒーターに流入する外気を選択的に加熱するように前記ヒーターと前記蒸発器の間に備えられる空気加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記空気加熱器は、
前記ヒーターに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターに流入する外気の温度を上昇させるために作動することを特徴とする請求項9に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項11】
冷媒を利用して前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記供給ラインが開放され、
前記チラー連結ラインが前記第3バルブの作動により閉鎖され、
前記暖房装置の作動が停止し、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに冷却水が循環し、
前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は、前記第1バルブの作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが閉鎖された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項12】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記供給ラインが開放され、
前記チラー連結ラインが前記第3バルブの作動により閉鎖され、
前記暖房装置では、前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結された状態で、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに冷却水が循環し、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに冷却水が循環し、
前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は、前記第1バルブの作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが開放された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項13】
車両の暖房および除湿モードを行う場合、
前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は作動が停止し、
前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により閉鎖され、
前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが閉鎖され、前記圧縮機の作動により前記冷媒ラインに沿って冷媒が循環することを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項14】
車両の暖房モードで前記電装品と前記コンデンサの廃熱を回収する場合、
前記冷却装置では、前記第3バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、
前記供給ラインが開放され、
前記第1バルブの作動により前記チラーと連結されたバッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記第3バルブの作動により前記チラー連結ラインが開放され、
前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータを通過せず、開放された前記冷却水ラインと開放された前記チラー連結ラインに沿って前記チラーに供給され、
前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、
前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて開放された前記冷却水ラインに沿って循環し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが閉鎖された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、
前記圧縮機の作動により前記冷媒ラインに沿って冷媒が循環し、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする請求項5に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項15】
前記ラジエータで冷却された冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により閉鎖され、
前記バッテリー冷却水ラインは前記第1バルブの作動により前記冷却水ラインと連結され、
前記ラジエータで冷却され前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1バルブと前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインを循環しながら前記バッテリモジュールに供給され、
前記バッテリー冷却装置を循環した冷却水は、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインを循環しながら前記電装品に供給され、
前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて前記冷却水ラインに沿って循環することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項16】
車両の暖房モードで前記電装品の廃熱を利用する場合、
前記冷却装置では、前記第3バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、
前記供給ラインが開放され、
前記第1バルブの作動により前記チラーと連結されたバッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により開放され、
前記暖房装置では、前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、
前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は前記ラジエータを通過せず、開放された前記冷却水ラインと連結される前記暖房ラインに流入し、
前記暖房ラインに流入した冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記ヒーターに供給され、
前記ヒーターから排出した冷却水は、開放された前記チラー連結ラインに沿って前記チラーを通過して再び前記電装品に流入し、
前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて開放された前記冷却水ラインに沿って循環することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項17】
前記第3バルブは、
前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記暖房装置を循環した冷却水中の一部の冷却水を前記チラー連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることを特徴とする請求項16に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項18】
前記第1、および第2バルブは4-ウェイバルブであり、前記第3バルブは流量分配が可能な3-ウェイバルブであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項19】
前記電装品は、モータ、電力制御装置、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項20】
前記供給ラインは、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインで前記冷却水が循環すれば、前記冷却水ラインと連結されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヒートポンプシステムに関し、より詳しくは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を利用して暖房効率を向上させる車両用ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用空気調和システムは、自動車の室内を暖房または冷房するために冷媒を循環させるエアコン装置を含む。このようなエアコン装置は、外部温度の変化に関係なく自動車の室内温度を適正な温度に維持して快適な室内環境を保つためのものであって、圧縮機の駆動によって吐出される冷媒が凝縮器、レシーバードライヤー、膨張バルブおよび蒸発器を経て再び圧縮機に循環する過程で蒸発器による熱交換によって自動車の室内を暖房または冷房するように構成される。つまり、エアコン装置は、夏季の冷房モード時には圧縮機から圧縮された高温、高圧の気相冷媒が凝縮器を通して凝縮した後、レシーバードライヤーおよび膨張バルブを経て蒸発器での蒸発により室内の温度および湿度を低くする。
【0003】
一方、最近、エネルギー効率と環境汚染問題などに対する関心が日増しに高まるにつれ、内燃機関自動車を実質的に代替可能な環境に優しい自動車の開発が求められており、このような環境に優しい自動車は、通常、燃料電池や電気を動力源として駆動される電気自動車と、エンジンとバッテリーを用いて駆動されるハイブリッド自動車とに区分される。このような環境に優しい車両のうち、電気自動車またはハイブリッド車両には、一般車両の空気調和装置とは異なり、別途のヒーターを使わず、通常、ヒートポンプシステムが使用される。
【0004】
また、電気自動車の場合、酸素と水素との化学的反応エネルギーを電気エネルギーに転換して駆動力を発生させるので、この過程で燃料電池内の化学的反応によって熱エネルギーが発生するため、発生した熱を効果的に除去することは燃料電池の性能の確保において必須である。そして、ハイブリッド自動車においても、一般的な燃料で作動するエンジンと共に、燃料電池や電気バッテリーから供給される電気を用いてモータを駆動させて駆動力を発生させるため、燃料電池やバッテリー、およびモータから発生する熱を効果的に除去しなければモータの性能を確保しにくくなる。
【0005】
これにより、従来技術によるハイブリッド車両や電気自動車は、モータ、電装品、および燃料電池を含むバッテリーの発熱を防止するため、冷却手段およびヒートポンプシステムと共に、バッテリー冷却システムをそれぞれ密閉回路で構成しなければならない。したがって、車両の前方に配置されるクーリングモジュールの大きさおよび重量が増加し、エンジンルームの内部でそれぞれのヒートポンプシステム、冷却手段およびバッテリー冷却システムに冷媒または冷却水を供給する連結配管のレイアウトが複雑になる短所がある。また、バッテリーが最適な性能を発揮できるよう、車両の状態によりバッテリーを昇温または冷却させるためのバッテリー冷却システムを別途に備えているため、各連結配管と連結するための複数のバルブが適用され、該バルブの頻繁な開閉作動による騒音および振動が車室内に伝達されて乗車感が低下する短所もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる車両用ヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両用ヒートポンプシステムは、 冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、第2バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置、前記冷却水ラインと前記第1バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプと、バッテリモジュールとを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置、冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第2バルブを通じて選択的に連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプと、ヒーターと、を含む暖房装置、および前記第1バルブと前記バッテリモジュールの間で前記バッテリー冷却水ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記バッテリー冷却水ラインを循環する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー、を含み、前記チラーは、前記ラジエータと前記第2バルブの間で前記冷却水ラインに備えられる第3バルブを通じてチラー連結ラインに連結され、前記リザーバタンクは、前記ラジエータと前記第2バルブの間で前記冷却水ラインに備えられ、前記第1バルブと前記第1ウォータポンプを連結する前記冷却水ラインと供給ラインを通じて連結されることを特徴とする。
【0009】
前記ヒーターは、前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられることを特徴とする。
【0010】
前記バッテリー冷却装置は、前記バッテリモジュールと前記チラーの間で前記バッテリー冷却水ラインに備えられる冷却水加熱器をさらに含むことことを特徴とする。
【0011】
前記バッテリモジュールを昇温する場合、前記バッテリー冷却水ラインは、前記第1バルブの作動により前記冷却水ラインと連結が閉鎖され、前記チラー連結ラインは、前記第3バルブの作動により閉鎖され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに沿って冷却水が循環し、前記冷却水加熱器は、前記バッテリー冷却水ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給される冷却水を加熱するように作動することことを特徴とする。
【0012】
前記エアコン装置は、前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられるHVACモジュール、前記第2バルブと前記ヒーターの間で前記暖房ラインに備えられ内部に冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ、前記蒸発器と前記コンデンサの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機、前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ、および前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記エアコン装置は、前記コンデンサと前記蒸発器の間で前記冷媒ラインに備えられるサブコンデンサをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記冷媒連結ラインの一端は、前記サブコンデンサと前記第1膨張バルブの間で前記冷媒ラインに連結され、前記冷媒連結ラインの他端は、前記蒸発器と前記圧縮機の間で前記冷媒ラインに連結されることを特徴とする。
【0015】
前記チラーと前記コンデンサは水冷式熱交換器であり、前記サブコンデンサは空冷式熱交換器であることを特徴とする。
【0016】
前記HVACモジュールは、前記ヒーターに流入する外気を選択的に加熱するように前記ヒーターと前記蒸発器の間に備えられる空気加熱器をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記空気加熱器は、前記ヒーターに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターに流入する外気の温度を上昇させるために作動することを特徴とする。
【0018】
冷媒を利用して前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記供給ラインが開放され、前記チラー連結ラインが前記第3バルブの作動により閉鎖され、前記暖房装置の作動が停止し、前記バッテリー冷却装置では、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに冷却水が循環し、前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は、前記第1バルブの作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成し、前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが閉鎖された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする。
【0019】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記供給ラインが開放され、前記チラー連結ラインが前記第3バルブの作動により閉鎖され、前記暖房装置では、前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結された状態で、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに冷却水が循環し、前記バッテリー冷却装置では、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインに冷却水が循環し、前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は、前記第1バルブの作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成し、前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが開放された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする。
【0020】
車両の暖房および除湿モードを行う場合、前記冷却装置と前記バッテリー冷却装置は作動が停止し、前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により閉鎖され、前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが閉鎖され、前記圧縮機の作動により前記冷媒ラインに沿って冷媒が循環することを特徴とする。
【0021】
車両の暖房モードで前記電装品と前記コンデンサの廃熱を回収する場合、前記冷却装置では、前記第3バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記供給ラインが開放され、前記第1バルブの作動により前記チラーと連結されたバッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記第3バルブの作動により前記チラー連結ラインが開放され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータを通過せず、開放された前記冷却水ラインと開放された前記チラー連結ラインに沿って前記チラーに供給され、前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて開放された前記冷却水ラインに沿って循環し、前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記蒸発器と連結される前記冷媒ラインが閉鎖された状態で、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、前記圧縮機の作動により前記冷媒ラインに沿って冷媒が循環し、前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする。
【0022】
前記ラジエータで冷却された冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により閉鎖され、前記バッテリー冷却水ラインは前記第1バルブの作動により前記冷却水ラインと連結され、前記ラジエータで冷却され前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1バルブと前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインを循環しながら前記バッテリモジュールに供給され、前記バッテリー冷却装置を循環した冷却水は、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインを循環しながら前記電装品に供給され、前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて前記冷却水ラインに沿って循環することを特徴とする。
【0023】
車両の暖房モードで前記電装品の廃熱を利用する場合、前記冷却装置では、前記第3バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記供給ラインが開放され、前記第1バルブの作動により前記チラーと連結されたバッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記チラー連結ラインは前記第3バルブの作動により開放され、前記暖房装置では、前記第2バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は前記ラジエータを通過せず、開放された前記冷却水ラインと連結される前記暖房ラインに流入し、前記暖房ラインに流入した冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記ヒーターに供給され、前記ヒーターから排出した冷却水は、開放された前記チラー連結ラインに沿って前記チラーを通過して再び前記電装品に流入し、前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水の一部は、開放された前記供給ラインを通じて開放された前記冷却水ラインに沿って循環することを特徴とする。
【0024】
前記第3バルブは前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記暖房装置を循環した冷却水中の一部の冷却水を前記チラー連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることを特徴とする。
【0025】
前記第1、および第2バルブは4-ウェイ(way)バルブであり、前記第3バルブは流量分配が可能な3-ウェイバルブであることを特徴とする。
【0026】
前記電装品は、モータ、電力制御装置、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことを特徴とする。
【0027】
前記供給ラインは、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインで前記冷却水が循環すれば、前記冷却水ラインと連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つのチラーを用いて車両のモードによりバッテリモジュールの温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。また、本発明は、電装品から発生した廃熱とコンデンサの廃熱とを回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。また、本発明は、バッテリモジュールの温度を効率的に調節することによって、バッテリモジュールの最適な性能を発揮することができ、効率的なバッテリモジュールの管理を通して車両の全体的な走行距離を増加させることができる。さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製作コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでラジエータを利用した電装品とバッテリモジュールの冷却時の作動状態図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷媒を利用してバッテリモジュールを冷却させるための作動状態図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モードに対する作動状態図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで電装品の廃熱を利用して暖房モードを行うための作動状態図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードによる電装品およびコンデンサの廃熱回収に対する作動状態図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房、および除湿モードに対する作動状態図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリモジュールの昇温に対する作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
本明細書に記載された実施形態の構成は、最も好ましい一実施形態である。しかし、これに限定されるものではなく、多様な変形が可能である。説明上、不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示した。また、様々な部分および領域を明確に表現するために拡大して示した。構成要素を「含む」は他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。「...ユニット」、「...手段」、「...部」、「...部材」などの用語は、1つの機能や動作をする包括的な構成の単位として使用した。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラー30を利用してバッテリモジュール24の温度を調節し、電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使用する。このようなヒートポンプシステムは電気自動車に適用される。
【0033】
図1を参照すると、ヒートポンプシステムは、冷却装置10、バッテリー冷却装置20、チラー30、および暖房装置40を含む。まず、冷却装置10は、冷却水ライン11に連結されるラジエータ12、第1ウォータポンプ14、第1バルブV1、第2バルブV2、およびリザーバタンク16を含む。ラジエータ12は車両の前方に配置され、後方にはクーリングファン13が備えられ、クーリングファン13の作動および外気との熱交換により冷却水を冷却する。また、電装品15は、電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、モータ、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことができる。
【0034】
このように構成される電装品15は冷却水ライン11に備えられ、水冷式で冷却される。これにより、車両の暖房モードで電装品15の廃熱を回収する場合は電力制御装置、モータ、インバータ、または充電器から発生した熱を回収することができる。また、ラジエータ12と第1ウォータポンプ14の間で冷却水ライン11にはリザーバタンク16が備えられる。リザーバタンク16にはラジエータ12で冷却された冷却水が貯蔵される。このような冷却装置10は、冷却水ライン11に備えられる電装品15に冷却水が供給されるように第1ウォータポンプ14の作動により冷却水ライン11に冷却水を循環させることができる。
【0035】
一方、リザーバタンク16は、第1バルブV1と第1ウォータポンプ14を連結する冷却水ライン11と供給ライン17を通じて連結される。供給ライン17は、第1ウォータポンプ14の作動により冷却水ライン11で冷却水が循環すれば、冷却水ライン11と連結される。つまり、第1ウォータポンプ14が作動すると、リザーバタンク16は、貯蔵された一部の冷却水を供給ライン17を通じて冷却水ライン11に常に流入させることができる。これにより、第1ウォータポンプ14の作動時には第1ウォータポンプ14で空洞現象(Cavitation)の発生を防止することができる。また、空洞現象(Cavitation)による第1ウォータポンプ14の破損を未然に防止することができる。
【0036】
本実施形態で、バッテリー冷却装置20は、冷却水ライン11と第1バルブV1を通じて連結されるバッテリー冷却水ライン21と、バッテリー冷却水ライン21に連結される第2ウォータポンプ22と、バッテリモジュール24とを含む。このようなバッテリー冷却装置20は、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリモジュール24に選択的に冷却水を循環させることができる。一方、バッテリー冷却装置20は、バッテリモジュール24と第1バルブV1の間でバッテリー冷却水ライン21に備えられる冷却水加熱器26をさらに含むことができる。冷却水加熱器26は、バッテリモジュール24の昇温が要求される場合、ON作動してバッテリー冷却水ライン21で循環する冷却水を加熱することによって、温度が上昇した冷却水をバッテリモジュール24に流入させることができる。このような冷却水加熱器26は、電源供給により作動する電気式ヒーターである。
【0037】
つまり、冷却水加熱器26は、バッテリモジュール24に供給される冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動してバッテリー冷却水ライン21で循環する冷却水を加熱することができる。これにより、冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇した冷却水は、バッテリモジュール24に供給され、バッテリモジュール24の温度を上昇させる。したがって、冷却水加熱器26は、バッテリモジュール24の温度を上昇させる場合に選択的に作動する。
【0038】
本実施形態で、チラー30は、第1バルブV1とバッテリモジュール24の間でバッテリー冷却水ライン21に備えられる。このようなチラー30は、エアコン装置50の冷媒ライン51と冷媒連結ライン61を通じて連結される。つまり、チラー30は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器である。ここで、チラー30は、ラジエータ12と第2バルブV2の間で冷却水ライン11に備えられる第3バルブV3を通じてチラー連結ライン31と連結される。これにより、チラー30は、バッテリー冷却水ライン21とチラー連結ライン31に選択的に供給された冷却水を、エアコン装置50から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節することができる。ここで、チラー連結ライン31の一端は、第3バルブV3を通じて冷却水ライン11に連結される。そして、チラー連結ライン31の他端はチラー30に連結される。チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により冷却水ライン11をチラー30に連結することができる。
【0039】
そして、暖房装置40は、冷却水を利用して車室内を暖房するように冷却水ライン11と第2バルブV2を通じて選択的に連結される暖房ライン41と、暖房ライン41に備えられる第3ウォータポンプ42と、ヒーター52aとを含むことができる。このように構成される暖房装置40は車室内を暖房する場合、電装品15を通過した高温の冷却水が暖房ライン41に供給されるように第2バルブV2の作動により電装品15と連結された冷却水ライン11と暖房ライン41を連結することができる。これにより、高温の冷却水は、暖房ライン41に沿ってヒーター52aに供給される。つまり、暖房装置40は、車両の暖房モードで冷却装置10から暖房ライン41に流入した高温の冷却水、または暖房ライン41を循環しながら温度が上昇した冷却水を第3ウォータポンプ42の作動によりヒーター52aに供給することによって、車室内を暖房することができる。
【0040】
ここで、第1、第2、および第3ウォータポンプ14、22、42は電動式ウォータポンプである。また、ヒーター52aは、エアコン装置50に含まれているHVACモジュール52の内部に備えられる。ここで、HVACモジュール52は、ヒーター52aに流入する外気を選択的に加熱するようにヒーター52aと蒸発器56の間に備えられる空気加熱器52cをさらに含むことができる。
【0041】
空気加熱器52cは、ヒーター52aに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、ヒーター52aに流入する外気の温度を上昇させるために作動する。空気加熱器52cは、ヒーター52aに供給される外気を選択的に加熱するようにHVACモジュール52の内部で車両の室内に向かってヒーター52aの前方に配置する。
【0042】
本実施形態で、エアコン装置50は、冷媒ライン51を通じて連結されるHVACモジュール(Heating、Ventilation、and Air Conditioning)52、コンデンサ53、サブコンデンサ54、第1膨張バルブ55、蒸発器56、および圧縮機59を含む。まず、HVACモジュール52は、冷媒ライン51を通じて連結される蒸発器56と、車両の冷房、暖房、および暖房/除湿モードに応じて、蒸発器56を通過した外気がヒーター52aに選択的に流入するように調節する開閉ドア52bとを内部に備えている。つまり、開閉ドア52bは、車両の暖房モードで蒸発器56を通過した外気がヒーター52aに流入するように開放される。反対に、車両の冷房モードで開閉ドア52bは、蒸発器56を通過しながら冷却された外気が車両内部に直ちに流入するようにヒーター52a側を閉鎖することになる。
【0043】
ここで、HVACモジュール52は、ヒーター52aに供給される外気を選択的に加熱するようにヒーター52aと蒸発器56の間に備えられる空気加熱器52cをさらに含むことができる。空気加熱器52cは、ヒーター52aに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、ヒーター52aに流入する外気の温度を上昇させるために作動する。
【0044】
本実施形態で、コンデンサ53は、冷媒ライン51と連結されて冷媒が通過する。コンデンサ53は、暖房装置40を循環する冷却水が通過するように第2バルブV2とヒーター52aの間で暖房ライン41に備えられる。コンデンサ53は、暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換により冷媒を凝縮させることができる。つまり、コンデンサ53は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器である。
【0045】
本実施形態で、サブコンデンサ54は、コンデンサ53と蒸発器56の間で冷媒ライン51に備えられる。ここで、サブコンデンサ54は、コンデンサ53で凝縮した冷媒を外気および熱交換によりさらに凝縮させることができる。つまり、サブコンデンサ54は、ラジエータ12の前方に配置され、内部に流入した冷媒を外気と相互熱交換させる。つまり、サブコンデンサ54は、外気を利用して冷媒を凝縮する空冷式熱交換器である。
【0046】
このように、サブコンデンサ54は、コンデンサ53で凝縮した冷媒をさらに凝縮させることによって、冷媒のサブクールを増大させることができ、これによって、圧縮機の所要動力対比冷房能力の係数COP(Coefficient Of Performance)を向上させることができる。第1膨張バルブ55は、サブコンデンサ54と蒸発器56の間で冷媒ライン51に備えられる。第1膨張バルブ55は、サブコンデンサ54を通過した冷媒が供給されて膨張する。
【0047】
本実施形態で、冷媒連結ライン61の一端は、サブコンデンサ54と第1膨張バルブ55の間で冷媒ライン51に連結される。そして、冷媒連結ライン61の他端は、蒸発器56と圧縮機59の間で冷媒ライン51に連結される。ここで、冷媒連結ライン61には第2膨張バルブ63が備えられる。第2膨張バルブ63は、冷媒と熱交換された冷却水でバッテリモジュール24を冷却する場合、冷媒連結ライン61を通じて流入する冷媒を膨張させてチラー30に流入させることができる。つまり、第2膨張バルブ63は、冷媒と熱交換された冷却水を利用してバッテリモジュール24を冷却するときに冷媒を膨張させるように作動する。
【0048】
第2膨張バルブ63は、サブコンデンサ54から排出した冷媒を膨張させてその温度を低下させた状態でチラー30に流入させることによって、チラー30の内部を通過する冷却水の水温をさらに低下させることができる。これにより、バッテリモジュール24にはチラー30を通過しながら水温が低くなった冷却水が流入してより効率的に冷却される。そして、圧縮機59は、蒸発器56とコンデンサ53の間で冷媒ライン51を通じて連結される。圧縮機59は、気体状態の冷媒を圧縮させ、圧縮された冷媒をコンデンサ53に供給することができる。
【0049】
ここで、第1、および第2膨張バルブ55、61は、冷媒ライン51、または冷媒連結ライン61を通過する冷媒の流動流れを制御しながら、冷媒を選択的に膨張させる電子式膨張バルブでありる。また、第1、および第2バルブV1、V2は4-ウェイバルブであり、第3バルブV3は、流量分配が可能な3-ウェイバルブである。
【0050】
以下、上記のように構成される本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムの作動および作用について、
図2~
図8を参照して詳しく説明する。
【0051】
まず、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムにおいて、ラジエータ12を利用した電装品15とバッテリモジュール24の冷却時の作動について、
図2を参照して説明する。
【0052】
図2は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでラジエータを利用した電装品とバッテリモジュールの冷却時の作動状態図である。
図2を参照すると、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により閉鎖される。また、バッテリー冷却水ライン21は、第1バルブV1の作動により冷却水ライン11と連結される。このような状態で、冷却装置10では電装品15の冷却のために第1ウォータポンプ14が作動する。バッテリー冷却装置20ではバッテリモジュール24の冷却のために第2ウォータポンプ22が作動する。そうすると、ラジエータ12で冷却されてリザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、第1バルブV1と第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に循環しながら、バッテリモジュール24に供給される。バッテリー冷却装置20を循環した冷却水は、第1ウォータポンプ14の作動により冷却水ライン11を循環しながら電装品15に供給される。
【0053】
ここで、リザーバタンク16に貯蔵された冷却水の一部は、開放された供給ライン17を通じて冷却水ライン11に沿って循環する。つまり、ラジエータ12で冷却され、リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、第1、および第2ウォータポンプ14、22の作動により冷却水ライン11とバッテリー冷却水ライン21をそれぞれ循環しながら、電装品15とバッテリモジュール24をそれぞれ冷却させることによって、電装品15およびバッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0054】
エアコン装置50は、車両の冷房モードが作動しないため作動しない。一方、本実施形態では、冷却水で電装品15とバッテリモジュール24を全て冷却させることを説明しているが、これに限定されず、電装品15とバッテリモジュール24のうちのいずれか1つを別途に冷却する場合には第1、および第2ウォータポンプ14、22を選択的に作動させることができる。
【0055】
本実施形態で、冷媒を利用してバッテリモジュール24を冷却する場合に対する作動を、
図3を参照して説明する。
【0056】
図3は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷媒を利用してバッテリモジュールを冷却させるための作動状態図である。
図3を参照すると、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により閉鎖される。このような状態で、冷却装置10では、電装品15の冷却のために第1ウォータポンプ14が作動する。これにより、冷却装置10では、第1ウォータポンプ14の作動により冷却水ライン11に冷却水が循環する。これと同時に、供給ライン17は開放される。
【0057】
バッテリー冷却装置20では、バッテリモジュール24の冷却のために第2ウォータポンプ22が作動する。そうすると、バッテリー冷却装置20では、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に冷却水が循環する。ここで、冷却装置10およびバッテリー冷却装置20は、第1バルブV1の作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成することができる。つまり、バッテリー冷却装置20では、第1バルブV1の作動により冷却水ライン11と連結が閉鎖される。このような状態で、バッテリー冷却装置20は、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に独立して冷却水が循環する密閉回路を形成することができる。
【0058】
一方、暖房装置40は作動が停止する。エアコン装置50では、冷媒がチラー30に供給されるように蒸発器56を除いた各構成要素が作動する。つまり、エアコン装置50では、第1膨張バルブ55の作動により蒸発器56と連結される冷媒ライン51が閉鎖される。このような状態で、冷媒連結ライン61は、第2膨張バルブ63の作動により開放される。そうすると、サブコンデンサ54を通過した冷媒は、冷媒ライン51と冷媒連結ライン61に沿って循環できる。ここで、第2膨張バルブ63は、冷媒連結ライン61に供給される冷媒を膨張させてチラー30に供給することができる。これにより、チラー30を通過した冷却水は、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリモジュール24を冷却させるようにバッテリー冷却水ライン21を循環する。
【0059】
チラー30を通過する冷却水は、チラー30に供給される膨張した冷媒と熱交換により冷却される。チラー30で冷却された冷却水は、バッテリモジュール24に供給される。これにより、バッテリモジュール24は冷却された冷却水によって冷却される。つまり、第2膨張バルブ63は、膨張した冷媒をチラー30に供給するようにサブコンデンサ54を通過した冷媒を膨張させ、冷媒連結ライン61を開放する。したがって、サブコンデンサ54から排出した冷媒は、第2膨張バルブ63の作動により膨張して低温低圧の状態となり、冷媒連結ライン61と連結されるチラー30に流入する。
【0060】
その後、チラー30に流入した冷媒は冷却水と熱交換され、冷媒連結ライン61を通じて圧縮機59に流入する。圧縮機59は、冷媒を圧縮してコンデンサ53に供給する。そして、サブコンデンサ54は、コンデンサ53から流入した冷媒を外気との熱交換により凝縮させることができる。したがって、バッテリモジュール24を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、低温低圧の冷媒とチラー30の内部で熱交換により冷却される。冷却された冷却水は、バッテリー冷却水ライン21を通じて再びバッテリモジュール24に供給される。つまり、冷却水はこのような過程を繰り返し行いながら、バッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0061】
一方、冷媒を利用してバッテリモジュール24を冷却する状態で、車室内の冷房が必要な場合、第1膨張バルブ55の作動によりサブコンデンサ54と蒸発器56を連結する冷媒ライン51が開放される。つまり、第1膨張バルブ55は、車室内冷房の使用の有無により、サブコンデンサ54と蒸発器56を連結する冷媒ライン51を選択的に開放または閉鎖することができる。
【0062】
本実施形態で、車両の冷房モードでバッテリモジュール24を冷却する場合に対する作動を、
図4を参照して説明する。
【0063】
図4は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モードに対する作動状態図である。
図4を参照すると、冷却装置10では、第1ウォータポンプ14の作動により冷却水ライン11に冷却水が循環する。これと同時に、供給ライン17は開放される。ここで、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により閉鎖される。暖房装置40では、第2バルブV2の作動により冷却水ライン11と暖房ライン41が連結される。このような状態で、第3ウォータポンプ42の作動により暖房ライン41には冷却装置11から供給された冷却水が循環する。これにより、ラジエータ12で冷却された冷却水は電装品15を通過した後、第1、および第3ウォータポンプ14、42の作動によりコンデンサ53に供給される。
【0064】
一方、バッテリー冷却装置20では、バッテリモジュール24の冷却のために第2ウォータポンプ22が作動する。そうすると、バッテリー冷却装置20では第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に冷却水が循環する。ここで、冷却装置10およびバッテリー冷却装置20は、第1バルブV1の作動によりそれぞれ冷却水が循環する独立した密閉回路を形成することができる。つまり、バッテリー冷却装置20では、第1バルブV1の作動により冷却水ライン11と連結が閉鎖される。
【0065】
このような状態で、バッテリー冷却装置20は、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に独立して冷却水が循環する密閉回路を形成することができる。つまり、冷却水ライン11およびバッテリー冷却水ライン21は、第1バルブV1の作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成する。これにより、バッテリー冷却装置20では、第2ウォータポンプ22の作動によりチラー30を通過した冷却水がバッテリー冷却水ライン21に沿ってバッテリモジュール24に供給される。
【0066】
エアコン装置50では車室内を冷房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は冷媒ライン51に沿って循環する。ここで、サブコンデンサ54と蒸発器56を連結する冷媒ライン51は第1膨張バルブ55の作動により開放される。冷媒連結ライン61は、第2膨張バルブ63の作動により開放される。そうすると、サブコンデンサ54を通過した冷媒は、冷媒ライン51と冷媒連結ライン61に沿って循環できる。ここで、第1、および第2膨張バルブ55、63は膨張した冷媒が蒸発器56とチラー30にそれぞれ供給されるように冷媒を膨張させることができる。
【0067】
一方、暖房装置40は、第3ウォータポンプ42の作動により冷却装置10で供給された冷却水をコンデンサ53に供給する。これにより、コンデンサ53は、暖房ライン41に沿って流動する冷却水を利用して冷媒を凝縮させる。そして、サブコンデンサ54は、コンデンサ53から流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させることができる。一方、チラー30を通過した冷却水は、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリモジュール24を冷却させるようにバッテリー冷却水ライン21を循環する。チラー30を通過する冷却水は、チラー30に供給される膨張した冷媒と熱交換により冷却される。チラー30で冷却された冷却水は、バッテリモジュール24に供給される。これにより、バッテリモジュール24は冷却された冷却水によって冷却される。
つまり、第2膨張バルブ63は、膨張した冷媒をチラー30に供給するようにサブコンデンサ54を通過した冷媒中の一部の冷媒を膨張させ、冷媒連結ライン61を開放する。
【0068】
したがって、サブコンデンサ54から排出した一部の冷媒は、第2膨張バルブ63の作動により膨張して低温低圧の状態となり、冷媒連結ライン61と連結されるチラー30に流入する。その後、チラー30に流入した冷媒は冷却水と熱交換され、冷媒連結ライン61を通じて圧縮機59に流入する。これにより、バッテリモジュール24を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、低温低圧の冷媒とチラー30の内部で熱交換により冷却される。冷却された冷却水は、バッテリー冷却水ライン21に沿って再びバッテリモジュール24に供給される。つまり、バッテリー冷却装置20で循環した冷却水はこのような過程を繰り返し行いながら、バッテリモジュール24を効率的に冷却できる。
【0069】
一方、サブコンデンサ54から排出した残りの冷媒は、車両の室内を冷房するように冷媒ライン51を通じて流動され、第1膨張バルブ55、蒸発器56、圧縮機59、およびコンデンサ53を順次に通過する。ここで、HVACモジュール52に流入する外気は、蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって蒸発器56を通過しながら冷却される。この際、開閉ドア52bは、冷却された外気がヒーター52aを通過しないように、ヒーター52aを通過する部分は閉鎖する。したがって、冷却された外気は、車両の内部に直接流入することによって、車室内を冷房することができる。
【0070】
一方、蒸発器56にはコンデンサ53とサブコンデンサ54を順次に通過しながら凝縮量が増加された冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させることができる。つまり、本実施形態ではコンデンサ53が冷媒を凝縮し、サブコンデンサ54がさらに冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクール形成が有利になる。そして、サブクールが形成された冷媒が、蒸発器56でより低い温度で蒸発することによって、蒸発器56を通過する外気の温度をさらに下げることができ、冷房性能および効率を向上させることができる。このような過程を繰り返し行いながら、冷媒は車両の冷房モードで室内を冷房すると同時に、チラー30を通過しながら熱交換により冷却水を冷却させることができる。チラー30で冷却された低温の冷却水は、バッテリモジュール24に流入する。これにより、バッテリモジュール24は供給された低温の冷却水によって効率的に冷却されることができる。
【0071】
本実施形態で、車両の暖房モードでエアコン装置50の作動なしに電装品15の廃熱を利用する場合に対する作動を、
図5を参照して説明する。
【0072】
図5は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで電装品の廃熱を利用して暖房モードを行うための作動状態図である。
図5を参照すると、ヒートポンプシステムは、電装品15の廃熱を利用して車室内の暖房を行うことができる。まず、冷却装置10で第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。この時、エアコン装置50は作動が中断される。ここで、ラジエータ12と連結された冷却水ライン11と、ラジエータ12とリザーバタンク16と連結する冷却水ライン11は第3バルブV3の作動により閉鎖される。供給ライン17は開放される。
【0073】
つまり、リザーバタンク16に貯蔵された冷却水の一部は、開放された供給ライン17を通じて開放された冷却水ライン11に沿って循環できる。また、第1バルブV1の作動によりチラー30と連結されたバッテリー冷却水ライン21を除いた残りのバッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。つまり、第2ウォータポンプ22、およびバッテリモジュール24を連結するバッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、バッテリー冷却装置20の作動が中断される。そして、暖房装置40では、第2バルブV2の作動により冷却水ライン11と暖房ライン41が連結される。
【0074】
ここで、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により開放される。
このような状態で、第1ウォータポンプ14の作動により電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、開放された冷却水ライン11と連結される暖房ライン41に流入する。暖房ライン41に流入した冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりヒーター52aに供給される。ヒーター52aから排出した冷却水は、第2バルブV2を通じて開放された一部の冷却水ライン11に流入する。
【0075】
その後、第3バルブV3の作動により開放されたチラー連結ライン31に沿ってチラー30に流入する。チラー30から排出した冷却水は、開放された冷却水ライン11に沿って再び電装品15に流入する。つまり、電装品15を通過した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、開放された冷却水ライン11、チラー連結ライン31、および開放された一部のバッテリー冷却水ライン21に沿って循環し続け、電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。温度が上昇した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、冷却水ライン11と連結された暖房ライン41を通じてヒーター52aに供給される。ここで、暖房ライン41に流入した冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりヒーター52aを通過する。この時、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度により選択的に作動する。
【0076】
空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。つまり、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が設定温度、または暖房目標温度より低い場合に作動する。つまり、空気加熱器52cが作動すると、外気は空気加熱器52cを通過しながら加熱して温度が上昇した状態で車室内に流入する。
【0077】
一方、ヒーター52aに供給された高温の冷却水は外気と熱交換された後、暖房ライン41と第2バルブV2を通じて連結された一部の冷却水ライン11に流動される。その後、第3バルブV3の作動により開放されたチラー連結ライン31に沿って、ラジエータ12を通過せず、チラー30と一部のバッテリー冷却水ライン21を経て電装品15と連結された冷却水ライン11に流入する。ここで、開閉ドア52bは、HVACモジュール52に流入する外気がヒーター52aを通過するように開放される。これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない蒸発器56の通過の際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現される。つまり、本発明はこのような過程を繰り返し行いながら、電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0078】
一方、電装品15の廃熱を冷却水を利用して回収して車両の室内を暖房する過程で、電装品15が過熱されると、第3バルブV3の作動によりラジエータ12と連結された冷却水ライン11と、ラジエータ12とリザーバタンク16を連結する冷却水ライン11が開放される。これにより、チラー連結ライン31に流入しない残りの冷却水は、ラジエータ12を通過しながら冷却される。冷却が完了した冷却水は、チラー連結ライン31に沿ってチラー30を通過した冷却水と一緒に、電装品15を通過しながら廃熱を回収すると同時に、電装品15を効率的に冷却することができる。つまり、第3バルブV3は電装品15が過熱される場合、ラジエータ12と連結される冷却水ライン11を開放して暖房ライン41を通過した冷却水中の一部の冷却水をチラー連結ライン31に流入させ、残りの冷却水をラジエータ12に流入させることができる。これにより、ラジエータ12で冷却された一部の冷却水が電装品15に供給されることによって、電装品15が過熱されることを防止することができる。
【0079】
したがって、本発明は、電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。これと同時に、本発明は、流量分配が可能な第3バルブV3の作動制御により一部の冷却水をラジエータ12に流入させて冷却した後、電装品15に供給することによって、電装品15の効率的な冷却が可能になると同時に、電装品15の冷却性能を確保することができる。
【0080】
本実施形態で、車両の暖房モードで電装品15およびコンデンサ53の廃熱を回収する場合の作動を、
図6を参照して説明する。
【0081】
図6は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードに応じた電装品とコンデンサの廃熱回収に対する作動状態図である。
図6を参照すると、冷却装置10で第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。ここで、ラジエータ12と連結された冷却水ライン11と、ラジエータ12とリザーバタンク16を連結する冷却水ライン11は第3バルブV3の作動により閉鎖される。供給ライン17は開放される。つまり、リザーバタンク16に貯蔵された冷却水の一部は、開放された供給ライン17を通じて開放された冷却水ライン11に沿って循環できる。
【0082】
ここで、第1バルブV1の作動によりチラー30と連結されたバッテリー冷却水ライン21を除いた残りのバッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。つまり、第2ウォータポンプ22、およびバッテリモジュール24を連結するバッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、バッテリー冷却装置20の作動が中断される。そして、暖房装置40では、第2バルブV2の作動により冷却水ライン11と暖房ライン41が連結される。
【0083】
ここで、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により開放される。
このような状態で、第1ウォータポンプ14の作動により電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、開放された冷却水ライン11と連結される暖房ライン41に流入する。暖房ライン41に流入した冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりヒーター52aに供給される。ヒーター52aから排出した冷却水は、第2バルブV2を通じて開放された一部の冷却水ライン11に流入する。その後、第3バルブV3の作動により開放されたチラー連結ライン31に沿ってチラー30に流入する。チラー30から排出した冷却水は、開放された冷却水ライン11に沿って再び電装品15に流入する。つまり、電装品15を通過した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、開放された冷却水ライン11、チラー連結ライン31、および開放された一部のバッテリー冷却水ライン21に沿って循環し続け、電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。温度が上昇した冷却水は、ラジエータ12を通過せず、冷却水ライン11と連結された暖房ライン41を通じてヒーター52aに供給される。このような作動により、電装品15の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は暖房装置40を循環する。その後、冷却水は、第1ウォータポンプ14の作動によりチラー30を通過しながら、チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0084】
一方、暖房装置40では、第3ウォータポンプ42の作動により電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水が暖房ライン41に沿って循環する。これにより、暖房ライン41を循環する冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりコンデンサ53を通過した後、ヒーター52aに供給される。ヒーター52aから排出した冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりコンデンサ53に供給される。一方、エアコン装置50では、冷媒がチラー30に供給されるように蒸発器56を除いた各構成要素が作動する。
【0085】
ここで、第1膨張バルブ55の作動により蒸発器56と連結される冷媒ライン51が閉鎖される。このような状態で、冷媒連結ライン61は、第2膨張バルブ63の作動により開放される。そうすると、サブコンデンサ54を通過した冷媒は、冷媒ライン51と冷媒連結ライン61に沿って循環できる。ここで、第2膨張バルブ63は、冷媒連結ライン61に供給される冷媒を膨張させてチラー30に供給することができる。そして、電装品15の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は暖房装置40を循環した後、開放されたチラー連結ライン31に流入する。チラー連結ライン31に流入した冷却水は、第1ウォータポンプ14の作動によりチラー30を通過しながら、チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0086】
つまり、チラー30は、サブコンデンサ54から供給され、第2膨張バルブ63の作動により膨張した冷媒が冷媒連結ライン61を通じて供給される。そして、チラー30は供給された冷媒を電装品15と暖房装置40を通過しながら温度が上昇した冷却水との熱交換により蒸発させることによって、電装品15の廃熱を回収することができる。その後、チラー30を通過した冷媒は、冷媒連結ライン61に沿って圧縮機59に供給される。圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、コンデンサ53に流入する。
【0087】
ここで、コンデンサ53に供給された冷媒は、暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換されながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、ヒーター52aに供給される。つまり、暖房装置40は、第3ウォータポンプ42の作動により暖房ライン41を循環する冷却水をコンデンサ53に供給する。
【0088】
これにより、コンデンサ53は、暖房ライン41に沿って循環する冷却水を利用して圧縮機59から供給された冷媒を凝縮させる。この時、暖房ライン41を循環する冷却水は、コンデンサ53を通過しながら冷媒と熱交換により温度が上昇する。温度が上昇した冷却水は、暖房ライン41に沿ってヒーター52aに供給される。
【0089】
ここで、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度により選択的に作動する。空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。つまり、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が設定温度、または暖房目標温度より低い場合に作動する。空気加熱器52cが作動すると、外気は、空気加熱器52cを通過しながら加熱して温度が上昇した状態で車室内に流入する。ここで、開閉ドア52bは、HVACモジュール52に流入して蒸発器56を通過した外気がヒーター52aを通過するように開放される。これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない蒸発器56の通過の際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現される。
【0090】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステムは、車両の暖房モードで電装品15の廃熱とコンデンサ53の廃熱を利用して冷媒の温度を上昇させることによって、圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。本実施形態で、車両の暖房および除湿モードに対する作動を、
図7を参照して説明する。
【0091】
図7は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房、および除湿モードに対する作動状態図である。
図7を参照すると、冷却装置10とバッテリー冷却装置20は作動が停止する。ここで、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により閉鎖される。暖房装置40では、第3ウォータポンプ42の作動により暖房ライン41に沿って冷却水が循環する。
【0092】
そうすると、暖房ライン41を循環する冷却水は、第3ウォータポンプ42の作動によりコンデンサ53を通過した後、ヒーター52aに供給される。これにより、コンデンサ53は、暖房ライン41に沿って循環する冷却水を利用して圧縮機59から供給された冷媒を凝縮させる。この時、暖房ライン41を循環する冷却水は、コンデンサ53を通過しながら冷媒と熱交換により温度が上昇する。温度が上昇した冷却水は、暖房ライン41に沿ってヒーター52aに供給される。ここで、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度により選択的に作動する。
【0093】
したがって、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。つまり、空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して車両の室内に流入する外気を加熱することができる。空気加熱器52cは、ヒーター52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が設定温度、または暖房目標温度より低い場合に作動する。空気加熱器52cが作動すると、外気は、空気加熱器52cを通過しながら加熱して温度が上昇した状態で車室内に流入する。
【0094】
一方、エアコン装置50では車室内を除湿するために各構成要素が作動する。これにより、圧縮機59の作動により冷媒ライン51に沿って冷媒が循環する。ここで、サブコンデンサ54と蒸発器56を連結する冷媒ライン51は、第1膨張バルブ55の作動により開放される。冷媒連結ライン61は、第2膨張バルブ63の作動により閉鎖される。コンデンサ53に供給された冷媒は、暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換されながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、ヒーター52aに供給される。
【0095】
一方、第1膨張バルブ55の作動により蒸発器56に供給された膨張した冷媒は、蒸発器56を通過する外気と熱交換された後、圧縮機59に供給される。つまり、蒸発器56を通過した冷媒は圧縮機59に供給される。そして、圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、コンデンサ53に流入する。ここで、開閉ドア52bは、HVACモジュール52に流入して蒸発器56を通過した外気がヒーター52aを通過するように開放される。つまり、HVACモジュール52に流入する外気は、蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって蒸発器56を通過しながら除湿される。その後、ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内が暖房および除湿される。
【0096】
本実施形態によるヒートポンプシステムは、車両の暖房および除湿モードでコンデンサ53から発生した廃熱を冷媒の温度を上昇させるために利用することによって、圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。そして、バッテリモジュール24を昇温するための作動を、
図8を参照して説明する。
【0097】
図8は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリモジュールの昇温に対する作動状態図である。
図8を参照すると、冷却装置10、暖房装置40、およびエアコン装置50は作動が中断される。ここで、バッテリー冷却水ライン21は、第1バルブV1の作動により冷却水ライン11と連結が閉鎖される。つまり、バッテリー冷却装置20で第2ウォータポンプ22、バッテリモジュール24、および冷却水加熱器26を連結するバッテリー冷却水ライン21が開放される。
【0098】
また、チラー連結ライン31は、第3バルブV3の作動により閉鎖される。このような状態で、第2ウォータポンプ22の作動によりバッテリー冷却水ライン21に沿って冷却水が循環する。ここで、冷却水加熱器26は、開放されたバッテリー冷却水ライン21に沿ってバッテリモジュール24に供給される冷却水を加熱するように作動する。そうすると、バッテリー冷却水ライン21で循環する冷却水は、冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇する。冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇した冷却水は、バッテリモジュール24に供給されることによって、バッテリモジュール24の温度を上昇させることができる。
【0099】
つまり、本発明は、このような過程を繰り返し行いながら、バッテリモジュール24の温度を迅速に上昇させることができ、バッテリモジュール24の効率的な温度管理が可能になる。したがって、上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つのチラー30を利用して車両のモードに応じてバッテリモジュール24の温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0100】
また、本発明は、電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。また、本発明は、バッテリモジュール24の温度を効率的に調節することによって、バッテリモジュール24の最適な性能を発揮することができ、効率的なバッテリモジュール24の管理によって車両の全体的な走行距離を増加させることができる。さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製造コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 冷却装置
11 冷却水ライン
12 ラジエータ
13 クーリングファン
14、22、42 第1、第2、および第3ウォータポンプ
15 電装品
16 リザーバタンク
17 供給ライン
20 バッテリー冷却装置
21 バッテリー冷却水ライン
24 バッテリモジュール
26 冷却水加熱器
30 チラー
31 チラー連結ライン
40 暖房装置
41 暖房ライン
50 エアコン装置
51 冷媒ライン
52 HVACモジュール
52a ヒーター
52b 開閉ドア
52c 空気加熱器53:コンデンサ
54 サブコンデンサ
55、63 第1、および第2膨張バルブ
56 蒸発器
57 アキュムレータ
59 圧縮機
61 冷媒連結ライン
V1、V2、V3 第1、第2、および第3バルブ