(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】エレベーターの呼び動作制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/50 20060101AFI20240710BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B66B1/50 A
B66B1/14 L
(21)【出願番号】P 2020190924
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 勇来
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 太地
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】大沢 卓也
(72)【発明者】
【氏名】涌田 理人
(72)【発明者】
【氏名】徳永 吉宏
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-247069(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110759188(CN,A)
【文献】特開2018-203445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場階に設置された呼び登録装置からの呼び信号を処理するエレベーターの呼び動作制御装置であって、
前記呼び登録装置は、
上方向または下方向の呼び信号を生成する押しボタンと、利用者の掌の動きに応動して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサにより上方向または下方向の呼び信号を生成し、
前記呼び動作制御装置は、第1方向の呼び信号を受信して前記第1方向の呼びを登録する第1の手段と、同一階における前記第1方向と逆方向の第2方向の呼び信号を受信したときに、前記第1方向の呼び信号の受信から一定時間内は前記第2方向の呼び信号の呼び登録を阻止し、一定時間経過後の前記第2方向の呼び信号の呼び登録を許可する第2の手段を備える
とともに、
前記一定時間は、利用者の掌の動きが上げ方向と下げ方向の間で反転するに要する時間により定められていることを特徴とするエレベーターの呼び動作制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの呼び動作制御装置であって、
前記第1の手段は、上方向の呼び信号を受信して上方向の呼びを登録する機能と、下方向の呼び信号を受信して下方向の呼びを登録する機能を含み、
前記第2の手段は、同一階において前記上方向の呼び登録状態において下方向の呼び信号を受信したときの処理を行う機能と、同一階において前記下方向の呼び登録状態において上方向の呼び信号を受信したときの処理を行う機能を含むことを特徴とするエレベーターの呼び動作制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベーターの呼び動作制御装置であって、
前記第1の手段は、前記第1方向の呼び信号を受信したときに前記第2方向の呼び登録を一定時間阻止するフラグを生成し、
前記第2の手段は、前記第2方向の呼び信号を受信したときに前記第2方向についての前記フラグの内容を参照して前記第2方向の呼び信号の呼び登録を決定することを特徴とするエレベーターの呼び動作制御装置。
【請求項4】
利用者の
掌の動きに応動して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサからの信号を処理するエレベーターの呼び動作制御方法であって、
最初に受信した第1方向の呼び信号に応じて前記第1方向の呼びを登録し、同一階における前記第1方向と逆方向の第2方向の呼び信号を連続して受信したときに、前記第1方向の呼び信号の受信から一定時間内は前記第2方向の呼び信号の呼び登録を阻止し、一定時間経過後の前記第2方向の呼び信号の呼び登録を許可する
とともに、
前記一定時間は、利用者の掌の動きが上げ方向と下げ方向の間で反転するに要する時間により定められていることを特徴とするエレベーターの呼び動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベーターの呼び動作制御装置及び方法に係り、特にモーションセンサを用いたエレベーターの呼び動作制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベーターの乗場管理のために各種の光学センサを用いることが提案されている。例えば特許文献1によれば、複数のピンカメラにより、乗場におけるエレベーター利用者の動作を検知し、例えば掌の動きに応じて呼び登録装置の複数ボタンのいずれのボタンを操作する意図であるかを検知し、当該ボタンを選択し活性化させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に例示されている複数のピンカメラなど、作動者の掌などの動作を検知する光学センサは一般的にモーションセンサと呼ばれている。なお、特許文献1の場合に、モーションセンサは天井に設置されており、操作を意図している呼び登録装置のボタンを選択表示させるものにすぎない。
【0005】
これに対し本発明では、呼び登録装置にモーションセンサを組み込み、一体化することを想定している。このようにしてモーションセンサを利用することにより、乗場に設けられた呼び登録装置の押しボタンをタッチしなくても、エレベーターの上下方向を指定することができる。
【0006】
然るに、例えば掌を振り上げることでモーションセンサに上方向を伝達し、検知せしめることが可能であるが、一般に作動者における自然な動作は、その後に掌というよりも腕全体をさげるのが通常である。この動作は、モーションセンサ側では、上方向の検知に引き続いて、下げ方向を指示したものと受け取られる。また最初に掌を振り下げることで下方向を伝達したあとに、掌を元に戻す動作が引き続いて行われれば、これは上げ方向を指示されたものと判断される可能性がある。
【0007】
以上の問題は、作動者の意図せぬ、自然な連続する動きがエレベーターの呼び登録における両方向の指定という誤動作を引き起こすことを意味している。
【0008】
このことから本発明においては、連続する動きの先行動作を優先し、後行動作による作動を阻止することで信頼性の高いエレベーターの呼び動作制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のことから本発明においては、乗場階に設置された呼び登録装置からの呼び信号を処理するエレベーターの呼び動作制御装置であって、呼び登録装置は、上方向または下方向の呼び信号を生成し、呼び動作制御装置は、第1方向の呼び信号を受信して第1方向の呼びを登録する第1の手段と、同一階における第1方向と逆方向の第2の方向の呼び信号を受信したときに、第1方向の呼び信号の受信から一定時間内は第2の方向の呼び信号の呼び登録を阻止し、一定時間経過後の第2の方向の呼び信号の呼び登録を許可する第2の手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明においては、乗場階に設置された呼び登録装置からの呼び信号を処理するエレベーターの呼び動作制御方法であって、呼び登録装置が生成した上方向または下方向の呼び信号を受信し、第1方向の呼び信号を受信して第1方向の呼びを登録する第1の処理と、同一階における第1方向と逆方向の第2の方向の呼び信号を受信したときに、第1方向の呼び信号の受信から一定時間内は第2の方向の呼び信号の呼び登録を阻止し、一定時間経過後の第2の方向の呼び信号の呼び登録を許可する第2の処理を行うことを特徴とする。
【0011】
また本発明においては、利用者の動きに応動して上方向または下方向の呼び信号を生成するモーションセンサからの信号を処理するエレベーターの呼び動作制御方法であって、最初に受信した第1方向の呼び信号に応じて第1方向の呼びを登録し、同一階における第1方向と逆方向の第2の方向の呼び信号を連続して受信したときに、第1方向の呼び信号の受信から一定時間内は第2の方向の呼び信号の呼び登録を阻止し、一定時間経過後の第2の方向の呼び信号の呼び登録を許可することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連続する動きの先行動作を優先し、後行動作による作動を阻止することで信頼性の高いエレベーターの呼び動作制御装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】エレベーター乗場の中間階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図2】エレベーターの乗場の最下階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図3】エレベーターの乗場の最上階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示す図。
【
図4】エレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の断面構成例を示す図。
【
図5】乗場端末制御装置9とエレベーター呼び動作制御装置10の構成例を示す図。
【
図6】エレベーター呼び動作制御装置10の動作内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1から
図3は、エレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の構成例を示している。
図1は中間階、
図2は最下階、
図3は最上階の呼び登録装置の構成例である。
【0016】
図1に示す中間階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11U、下方向呼びボタン11Dを配置し、
図2に示す最下階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11Uを配置し、
図3に示す最上階の呼び登録装置13は、上部から順にモーションセンサ12、下方向呼びボタン11Dを配置している。
【0017】
ここでモーションセンサ12とは、光学的に人間の動きを検知し、例えば掌などの体の一部が上方向に移動することを検知して上方向呼び信号を生成し、掌などの体の一部が下方向に移動することを検知して下方向呼び信号を生成する。なお、モーションセンサ12が人間の動作を特定する原理について本発明は特に制限するものではない。
【0018】
いずれの場合にも、モーションセンサ12は、呼び登録装置13の上部位置に設けられているのがよい。この理由は、モーションセンサ12が中間部、あるいは下部にあるときには、作動者がその上の押しボタンを押しに行った後で手を下げると、これをモーションセンサが下げ方向の指示と誤認してしまう可能性があるためである。
【0019】
図4はエレベーターの乗場階に設置されたモーションセンサ付呼び登録装置の断面構成例を示している。エレベーター乗場階の壁20の表面側に呼び登録装置13が配置され、その上部から順にモーションセンサ12、上方向呼びボタン11U下方向呼びボタン11Dを配置している。またエレベーター乗場階の壁20の裏面側に乗場端末制御装置9が配置され、後述するエレベーター呼び動作制御装置10と連携している。
【0020】
図5は、乗場端末制御装置9とエレベーター呼び動作制御装置10の構成例を示す図である。この図において乗場端末制御装置9は、呼び登録装置13のモーションセンサ12からの呼び信号Sg1a、あるいは乗場ボタン11(呼びボタン11U、11D)からの呼び信号Sg1bを受信し、エレベーター呼び動作制御装置10内の受信部1に呼び信号Sg1を伝達する。また乗場端末制御装置9は、エレベーター呼び動作制御装置10内のボタン制御部6からのボタン制御信号Sg2を受信し、乗場ボタン11(呼びボタン11U、11D)の点灯、点滅、消灯を制御する。
【0021】
エレベーター呼び動作制御装置10内のボタン操作検出部2は、受信部1から受信した呼び信号Sg1により、いずれかの階で呼びが発生したことを検出する。許可判定部3では、検知された階の呼びの許可、不許可を判定し、不許可である場合には呼びが発生した階に表示指令部7を介して表示出力し、また呼びが発生した階に音案内処理部8を介して音声出力する。
【0022】
また許可である場合には、登録判定部4において呼び登録を判定し、乗場階登録部5において呼びがあった階の上方向、下方向の登録処理を行う。ボタン制御部6では、登録判定部4および乗場階登録部5における判定結果を受けて乗場ボタン11(呼びボタン11U、11D)の点灯、点滅、消灯を制御する。
【0023】
図6は、エレベーター呼び動作制御装置10の動作内容を示すフロー図である。
図6のフローにおいて、最初の処理ステップS10はボタン操作検出部2の機能に対応しており、任意の階からの呼びについての入力検知の有無を判定し、入力検知が無く、呼びが発生していない場合(No側)には、呼びが検知されるまで同様判断を繰り返し、入力検知有となった場合には処理ステップS11の処理に移る。
【0024】
処理ステップS11は、許可判定部3の機能に対応しており、呼びを検知した階(当該階)のサービスが可能か否かを予め設定された判断情報に従って決定する。サービス不可である場合には、以降の処理を行わず、初期の待機状態に戻る。なお、このときには
図5の表示指令部7による表示出力、音案内処理部8による音声出力によるガイダンスを行うものとすることができる。サービス可である場合(Yes側)には、処理ステップS12の処理に移る。なお以降の説明において、呼び信号は同一階において発生したものを対象としており、異なる階で発生した呼びについてはその階ごとに個別に判断されるものとする。
【0025】
処理ステップS12は、呼び信号について上方向の呼びと下方向の呼びを判別し、上方向の呼びである場合(Yes側)には処理ステップS13の処理に移り、下方向の呼びである場合(No側)には処理ステップS19の処理に移る。
【0026】
ここで、処理ステップS13からS16、並びに処理ステップS19からS22までの処理は、登録判定部4の機能に対応している。また処理ステップS17とS23の処理は、乗場階登録部5の機能に対応し、処理ステップS18とS24の処理は、ボタン制御部6の機能に対応している。なお、処理ステップS13からS18までの処理は上方向の呼びに対する判断処理であり、処理ステップS19からS24までの処理は下方向の呼びに対する判断処理である。
【0027】
以下、本発明の主要部である登録判定部4の機能について詳細に説明するが、この説明は、上げまたは下げ方向の呼びが単独で発生した単独発生ケースと、上げの後に連続して下げの呼びが発生した或は下げの後に連続して上げの呼びが発生した連続発生ケースについて行う。なお単独発生ケースは、乗場ボタン11(呼びボタン11U、11D)が、いずれかのみ押された場合、あるいはモーションセンサ12が上げまたは下げについての初期動作にのみ応動して、連続する二次的な動作を検知しなかった場合であり、連続発生ケースは、モーションセンサ12が上げまたは下げについての初期動作に応動し、かつ連続する二次的な動作も検知した場合である。なお同一階で、複数人がそれぞれ上方向と下方向の呼び操作を短時間内で行った場合も、連続発生ケースとみることができる。
【0028】
単独ケースの場合、上げまたは下げの方向に応じて処理ステップS13とS19のいずれかが処理されることになる。ここでは、上げ方向の説明を行うが、下げ方向も基本的には同じなので相違点のみを説明し、重複する説明を省略することがある。
【0029】
この場合、上げ方向の呼びであるので、処理ステップS13における「上下方向のいずれかの呼びが登録済みか」という確認に対して、登録済みではない(連続する二次的な呼びではないという意味)ので、No側の処理ステップS15に移行する。なお下げの場合の対応する処理ステップS19は、処理ステップS13と全く同じものである。
【0030】
処理ステップS15では、上方向の一連の確認処理の中で、下げ方向のフラグに関与するものである。同様に処理ステップS16に対応する下方向の処理ステップS22では下方向の一連の確認処理の中で、上げ方向のフラグに関与する。これは、上げ方向の呼び登録をするときには、下げ方向について一定時間だけ「下方向呼び登録不可」状態とすることである。
【0031】
この処理は連続発生ケースにおける一次動作(ここでは上げ)に対する二次動作(ここでは下げ)の時に二次動作に応動しないようにロックする目的のものであり、二次動作発生期間に相当する0.5秒程度が経過後は、解除されるものである。いずれにせよ、単独ケースを説明するこの場面では、こういう処理がされているというのみであって、直接の影響を受けるものではない。
【0032】
処理ステップS16の処理は、初期状態において「上方向呼び登録不可」とされているフラグ情報を、「上方向呼び登録不可解除」に設定する。これにより、条件が整い次第、上方向呼び登録ができる状態にされたことを意味している。なお下げの場合の対応する処理ステップS20は、処理ステップS14と同じものであるが、下方向についてのものである点で相違する。なお、この階への配車がされ、指定方向への運行が開始された場合には、このフラグは初期状態の「上方向呼び登録不可」に戻されるなどの対応がされることは言うまでもない。
【0033】
処理ステップS16は、あくまでも条件が整い次第、上方向呼び登録ができる状態にされたに過ぎない。上方向呼び登録としたものではない、上方向呼び登録の処理は後続する処理ステップS17で初めて可能としており、その前に本発明では処理ステップS15、S16の処理を行っておく。
【0034】
処理ステップS17の処理では、「上方向呼び登録」を行い、これを受けて処理ステップS18の処理では、上方向の呼びボタン11Uを点灯する。
【0035】
以上のことから明らかなように、単独発生ケースでは、上げ方向の一連の処理ステップS13からS18まで、または下げ方向の一連の処理ステップS19からS24までが順次処理されて終了となる。ただし、単独発生ケースの処理では、処理ステップS14とS20の処理が行われることはない。この処理は、連続発生ケースにおいて実行される。
【0036】
連続発生ケースの場合、説明の前提として一次動作(ここでは上げ)に対する一連の処理ステップS13からS18までによる処理が行われ、処理ステップS16により設定される「下方向呼び登録不可」状態の一定期間内に、二次動作(ここでは下げ)を検知したものとする。
【0037】
上記の説明により、一次動作(ここでは上げ)に対する一連の処理ステップS13からS18までによる処理が理解されているので、以下においては後発する処理ステップS15により設定される「下方向呼び登録不可」状態の一定期間内における、二次動作(ここでは下げ)での対応について説明する。
【0038】
下げ方向の二次動作による呼び信号の処理は、処理ステップS10からS12を介して、処理ステップS19で処理されることになる。処理ステップS13における「上下方向のいずれかの呼びが登録済みか」という確認に対して、この状態ではすでに一次動作(ここでは上げ)に対する一連の処理ステップS13からS18までにより処理されているので、Yes側となり、処理ステップS20に移る。
【0039】
処理ステップS20の処理では、呼びが登録可能か否かを確認する。具体的には、フラグが「下方向呼び登録不可」であるか否か、「下方向呼び登録不可」である場合、当該不可状態が一定時間経過しているか否かを確認する。「下方向呼び登録不可」となっていない場合、或いは「下方向呼び登録不可」となっており、ステップS15にてカウントされた時限が一定時間満了している場合は、呼びが登録可能と判断し、ステップS22へ移行する。上方向の場合のステップS14では、フラグが「上方向呼び登録不可」であるか否か、「上方向呼び登録不可」である場合、当該不可状態が一定時間経過しているか否かを確認する。「上方向呼び登録不可」となっていない場合、或いは「上方向呼び登録不可」となっており、ステップS21にてカウントされた時限が一定時間満了している場合は、呼びが登録可能と判断し、ステップS16へ移行する。
この状態では一次動作(ここでは上げ)における処理ステップS16の処理により「下方向呼び登録不可」となっている。かつ処理ステップS15で設定した一定時間を経過していない。この状態の処理ステップS20の処理ではNo側が選択され、下げ方向の以降の処理は実行されない。従って、下方向呼び登録を実行する処理ステップS23の処理が行われないので、結果として二次動作での呼び登録が阻止されたことになる。
【0040】
これに対し、一定時間後に、下方向の呼び登録が発生したものとする。この呼びは、二次動作での阻止すべきものではなく、例えば同一階での他の利用者による下方向への呼びである。この時は、処理ステップS19での「上下方向のいずれかの呼びが登録済みか」という確認に対して、Yes側が選択され処理ステップS20に移るが、一定時間を超過しており、呼びが登録可能な状態となっているためにここではYes側の処理ステップS21に映る。
【0041】
処理ステップS21以降の処理内容は、上方向についての処理ステップS16からS18の処理と同じであり、説明を省略するが、要するに下方向の呼び登録を実行し、結果として上下方向の登録ボタンが共に呼び状態を表示することになる。
【0042】
以上詳細に説明したように、本発明はモーションセンサで上下方向の呼びを生成する場合に、人間の連続的な二次動作に応動しないものとすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1:受信部
2:ボタン操作検出部
3:許可判定部
4:登録判定部
5:乗場階登録部
6:ボタン制御部
7:表示指令部
8:音案内処理部
9:乗場端末制御装置
10:エレベーター呼び動作制御装置
11U:上方向呼びボタン
11D:下方向呼びボタン
12:モーションセンサ
13:呼び登録装置
20:エレベーター乗場階の壁