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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240710BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240710BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240710BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240710BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240710BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240710BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20240710BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240710BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240710BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240710BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/32
H02J7/00 302A
H02J13/00 311R
H01M10/48 P
H01M10/44 P
B60L53/65
B60L53/66
G16Y10/40
G16Y40/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199112
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086855
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺田 信行
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-168258(JP,A)
【文献】特開2013-090361(JP,A)
【文献】国際公開第2020/035990(WO,A1)
【文献】特開2013-099078(JP,A)
【文献】特開2011-166972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 3/32
H02J 7/00
H02J 13/00
H01M 10/48
H01M 10/44
B60L 53/65
B60L 53/66
G16Y 10/40
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、車両と、給電装置とが、ネットワークを介して通信可能に構成された給電システムであって、
前記管理サーバは、
所定のエリア内に設置された給電対象に対して主電源から供給される電力の供給状態を検知する電力検知部と、
前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が停電状態であることを検知した場合に、当該給電対象に電力を供給可能な車両を特定する特定部と、
前記特定部で特定された前記車両を識別可能な識別情報を前記給電装置に対して送信する送信部と、を備え、
前記給電装置は、
前記車両から供給される電力を受電可能に構成され、給電用コードを介して前記車両が接続されると、防犯カメラ、街灯及び信号機の少なくとも一つを含む給電対象に前記車両から供給される電力を供給可能とするインレットと、
前記管理サーバから送信された情報を受信する受信部と、
前記インレットに前記車両が接続されたことを検知する接続検知部と、
前記接続検知部で前記インレットに前記車両が接続されたことが検知された場合に、前記車両の識別情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記識別情報と、前記受信部で受信された前記識別情報とを照合することにより、前記インレットに接続された前記車両からの給電を許可するか否かを判定する判定部と、
前記判定部で前記車両からの給電を許可する旨の判定がされた場合に、前記車両から前記給電対象への給電を許可する給電許可部と、を更に備える、
給電システム。
【請求項2】
前記インレットは、所定のエリア内に設置された少なくとも一つの前記給電対象とスイッチング回路を介して接続され、主電源からの送電が停止される停電時に、前記スイッチング回路がON状態となることにより、前記車両から供給される電力を、前記所定のエリア内に設置された少なくとも一つの前記給電対象に供給可能に構成されている、請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電装置は、屋外に設置され、前記インレットと前記給電対象とを備える、請求項1又は請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記送信部は、前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が送電状態であることを検知した場合に、停電状態が解除されたことを示す停電解除情報を前記給電装置に対して送信し、
前記判定部は、前記受信部で前記停電解除情報を受信した場合に、前記車両からの給電を許可しない旨の判定を行う、請求項1又は請求項2に記載の給電システム。
【請求項5】
前記送信部は、前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が停電状態であることを検知した場合に、前記停電状態であることが検知された前記給電対象への給電を要請する給電要請情報を候補車両に対して送信し、
前記特定部は、前記候補車両のうち、前記給電要請情報に対する応答情報を送信した車両を特定する、請求項1又は請求項2に記載の給電システム。
【請求項6】
前記特定部は、前記停電状態であることが検知された前記給電装置から所定の距離内のエリアに住所又は居所を有するユーザの車両を特定する、請求項1又は請求項2に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害などにより大規模停電が発生した際に、屋外に設置された街灯や防犯カメラ、信号機等の設備が停止すると、地域の安全性が低下するという問題がある。
【0003】
ここで、特許文献1には、主電源のバックアップ用の補助電源を備える防犯カメラ付きの街灯が開示されている。この街灯は、停電等により主電源が遮断された場合に、電源を非常用の蓄電池などで構成された補助電源に切り替えるように構成されている。これにより、停電時は、補助電源の電力で街灯を作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3205135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、街灯に搭載された補助電源の電力を使い切ると、街灯や防犯カメラ等を作動させることができない。従って、大規模停電で停電した状態が長時間続くような場合に、街灯や防犯カメラ等の設備を継続して作動させることが困難であるという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、大規模停電時においても、街灯や防犯カメラ、信号機等の給電対象に電力を供給し、地域の安全性を確保することができる給電装置を備える給電システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る給電装置は、車両から供給される電力を受電可能なインレットを備え、給電用コードを介して前記車両と前記インレットとを接続すると、前記車両が防犯カメラ、街灯及び信号機の少なくとも一つを含む給電対象と電気的に接続され、前記車両から供給される電力を前記給電対象に供給可能とする。
【0008】
第1の態様によれば、給電用コードを介してインレットと車両とを接続すると、給電装置によって、車両と給電対象とが電気的に接続されるように構成されている。これにより、インレットを介して、車両から供給される電力を給電対象に供給することができる。
【0009】
ここで、上記給電対象には、防犯カメラ、又は街灯又は信号機が含まれている。これにより、例えば、大規模停電が発生し、商用電源などの主電源からの送電が停止している状況でも、車両の電力を利用して防犯カメラや街灯、信号機などの屋外設備を作動させることができる。また、移動体である車両の電力を利用しているため、車両を交換することにより、停電が長時間続く場合でも、給電対象に継続して電力を供給することができる。従って、本態様に係る給電設備によれば、大規模停電時においても、街灯や防犯カメラ、信号機等の給電対象に電力を供給し、地域の安全性を確保することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る給電装置は、第1の態様に記載の構成において、前記インレットに前記車両が接続されたことを検知する接続検知部と、前記接続検知部で前記インレットに前記車両が接続されたことが検知された場合に、前記車両の識別情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記車両の識別情報に基づいて、前記車両からの給電を許可するか否かを判定する判定部と、前記判定部で前記車両からの給電を許可する旨の判定がされた場合に、前記車両からの給電を許可する給電許可部と、を備える。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、給電装置は、インレットに車両が接続されたことを検知すると、接続された車両の識別情報を取得する。そして、取得した識別情報に基づいて、給電を許可する旨の判定をした場合に、車両からの給電を許可する。これにより、例えば、装置の規格やセキュリティーの面で安全性が確保された車両からの給電を許可することができ、給電装置の故障や悪用を回避することができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る給電装置は、第1の態様又は第2の態様に記載の構成において、前記インレットは、所定のエリア内の前記給電対象が接続された特定回路に接続されており、前記車両から供給される電力を、前記所定のエリア内の前記給電対象に供給可能に構成されている。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、車両から供給される電力は、インレットと特定回路を介して接続された所定のエリア内の給電対象に供給される。これにより、特定回路に複数の給電対象を接続した場合、一つの給電装置から、複数の給電対象への給電が可能となるため、所定のエリア内への給電を効率的に行うことができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る給電装置は、屋外に設置され、前記インレットと前記給電対象とを備える、第1の態様又は第2の態様に記載の給電装置とされている。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、屋外に設置された給電装置にインレットと給電対象が設けられている。従って、給電装置から給電対象への送電用の回路を給電装置の内部構成とすることができ、屋外への設置を容易にすることができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る給電システムは、管理サーバと、車両と、第2の態様~第4の態様の何れか1態様に記載の給電装置とが、ネットワークを介して通信可能に構成された給電システムであって、前記管理サーバは、所定のエリア内に設置された前記給電対象に対して、主電源から供給される電力の供給状態を検知する電力検知部と、前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が停電状態であることを検知した場合に、当該給電対象に電力を供給可能な前記車両を特定する特定部と、前記特定部で特定された前記車両を識別可能な前記識別情報を前記給電装置に対して送信する送信部と、を備え、前記給電装置は、前記管理サーバから送信された情報を受信する受信部を備え、前記判定部は、前記取得部で取得された前記識別情報と、前記受信部で受信された前記識別情報とを照合することにより、前記インレットに接続された前記車両からの給電を許可するか否かを判定するように構成されている。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、給電システムは、管理サーバと、車両と、給電装置とがネットワークを介して通信可能に構成されている。この給電システムでは、管理サーバによって所定のエリア内に設置された給電対象に対する電力の供給状態を検知し、所定の給電対象が停電状態になった場合に、これを検知することができるようになっている。管理サーバは、停電状態の給電対象に電力を供給可能な車両を特定し、特定された車両の識別情報を給電装置に送信する。給電装置では、管理サーバから送信された識別情報を受信すると、受信した識別情報と、インレットに接続された車両の識別情報とを照合する。そして、給電装置は、識別情報の照合により、インレットに接続された車両が管理サーバで特定された車両と一致すれば、車両からの電力の供給を許可するように構成されている。これにより、例えば、装置の規格やセキュリティーの面で安全性が確保された車両や、給電可能な車両が存在する場合に給電を許可することができ、給電装置の故障や悪用を回避することができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る給電システムは、第5の態様に記載の構成において、前記送信部は、前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が送電状態であることを検知した場合に、停電状態が解除されたことを示す停電解除情報を前記給電装置に対して送信し、前記判定部は、前記受信部で前記停電解除情報を受信した場合に、前記車両からの給電を許可しない旨の判定を行う。
【0019】
本発明の第6の態様によれば、管理サーバにおいて、所定のエリア内に設置された給電対象に対する電力の供給状態が送電状態であることを検知すると、停電が解除されたことを示す停電解除情報を給電装置に送信する。給電装置では、停電解除情報を受信すると、インレットに接続された車両からの給電を許可しないように制御される。これにより、給電対象が停電状態から復旧した後に、これを検知して、車両からの給電を停止させることができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る給電システムは、第5の態様又は第6の態様に記載の構成において、前記送信部は、前記電力検知部で前記給電対象に対する電力の供給状態が停電状態であることを検知した場合に、前記停電状態であることが検知された前記給電対象への給電を要請する給電要請情報を候補車両に対して送信し、前記特定部は、前記候補車両のうち、前記給電要請情報に対する応答情報を送信した車両を特定する。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、管理サーバは、所定の給電対象の停電状態を検知すると、当該給電対象への給電を要請する給電要請情報を所定の候補車両に対して送信する。そして、給電要請情報に対する応答情報を送信した車両を、給電対象への給電が可能な車両として特定する。これにより、給電可能な車両が存在する場合に給電対象への給電を許可することができ、給電装置の故障や悪用を回避することができる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る給電システムは、第1の態様に記載の構成において、前記特定部は、前記停電状態であることが検知された前記給電装置から所定の距離内のエリアに住所又は居所を有するユーザの車両を特定する。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、管理サーバは、所定の給電対象で停電状態が検知された場合に、当該給電対象から所定の距離内のエリアに住所又は居所を有するユーザの車両を、給電対象への給電が可能な車両として特定する。これにより、例えば、給電対象の近くに住む住民等の車両に対して給電の要請を行うことができ、給電可能な車両の迅速な確保を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様に係る給電装置によれば、大規模停電時においても、街灯や防犯カメラ、信号機等の給電対象に電力を供給し、地域の安全性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0025】
本発明の第2の態様に係る給電装置によれば、給電装置の故障や悪用を回避することができるという優れた効果を有する。
【0026】
本発明の第3の態様に係る給電装置によれば、所定のエリア内への給電を効率的に行うことができるという優れた効果を有する。
【0027】
本発明の第4の態様に係る給電装置によれば、給電装置の屋外への設置を容易にすることができるという優れた効果を有する。
【0028】
本発明の第5の態様に係る給電システムによれば、給電装置の故障や悪用を回避することができるという優れた効果を有する。
【0029】
本発明の第6の態様に係る給電システムによれば、給電対象が停電状態から復旧した後に、これを検知して、車両からの給電を停止させることができるという優れた効果を有する。
【0030】
本発明の第7の態様に係る給電システムによれば、給電可能な車両が存在する場合に給電対象への給電を許可することができ、給電装置の故障や悪用を回避することができるという優れた効果を有する。
【0031】
本発明の第8の態様に係る給電システムによれば、給電可能な車両の迅速な確保を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る給電システムの全体概要を示す図である。
図2】(A)は、本実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、(B)は、管理サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】(A)は、本実施形態に係る給電装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、(B)は、給電装置が備える制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】(A)は、本実施形態に係る車両が備える制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、(B)は、車両が備える制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】本実施形態に係る給電支援処理のフローチャートの一例である。
図6】本実施形態に係る給電許可処理のフローチャートの一例である。
図7】本実施形態の変形例を示す図である。
図8】本実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<全体概要>
以下、図1図6を参照して本実施形態に係る給電システム1について説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0034】
図1に示されるように、本実施形態の給電システム1は、管理サーバ2と、給電装置3と、複数の車両4とがネットワークNを介して通信可能に構成されている。なお、図1では、図面を分かりやすくするために、一台の車両4がネットワークNに接続されている。
【0035】
この給電システム1では、管理サーバ2によって所定のエリア内に設置された給電対象5に対する電力の供給状態を検知し、所定の給電対象5が停電状態になった場合に、車両4からの給電を支援するサービスを提供している。具体的に、管理サーバ2は、所定の給電対象5の停電状態を検知すると、当該給電対象5に電力を供給可能な車両4を特定し、特定された車両4の識別情報を給電装置3に送信する。給電装置3では、管理サーバ2から送信された識別情報を受信すると、受信した識別情報と、後述するインレット6に接続された車両4の識別情報とを照合する。そして、給電装置3は、識別情報の照合により、インレット6に接続された車両4が管理サーバで特定された車両4と一致すれば、車両4からの電力の供給を許可するように構成されている。
【0036】
給電装置3は、車両4から供給される電力を受電可能なインレット6と、インレット6を介して給電対象5に供給される電力を制御する制御装置30と、を含んでいる。また、車両4は、制御装置40を含んでいる。
【0037】
本実施形態の給電装置3は、一例として、屋外に設置されたポールによって構成されている。このポールは、大規模停電時などの非常時に車両を停車させておくことが可能な場所に設置されており、例えば、道路脇や、屋外の駐車スペース等に設置されている。
【0038】
インレット6は、給電用コード7の一端に設けられた接続端子を接続可能に構成されている。給電用コード7は、一例として公知の電源コードや電源ケーブルで構成されている。この給電用コード7の他端に設けられた接続端子は、車両4のバッテリ電源のアウトレット(不図示)に接続されている。これにより、給電用コード7を介してインレット6と車両4が電気的に接続され、バッテリ電源から供給される電力をインレット6で受電可能に構成されている。なお、車両4のバッテリ電源のアウトレットとは、例えば、車両4に搭載されたバッテリ充電部にコネクタを接続してアウトレット化したものや、車室内や荷室内に設けられたアクセサリ用のアウトレット等である。
【0039】
また、インレット6は、所定のエリア内に設置された複数の給電対象5が接続された特定回路10に接続されている。この特定回路10には、給電装置3の制御装置30と、後述するスイッチング回路8が接続されている。
【0040】
図1に示されるように、特定回路10に接続された給電対象5には、屋外に設置された信号機5Aや防犯カメラ5B、街灯5C等を含んでいる。これらの給電対象5は、通常時は、商用電源等の主電源から電力の供給を受けて作動する。一方、主電源からの送電が停止される停電時には、特定回路10に接続されたスイッチング回路8がON状態となることにより、給電装置3に接続された車両4からの電力の供給を受けて作動する構成となっている。このスイッチング回路8のON/OFF状態の切り替えは、給電装置3の制御装置30で制御されている。このようにして、一台の給電装置3を介して、所定のエリア内の複数の給電対象5に電力を供給することができる構成となっている。
【0041】
なお、図1には、図面を分かりやすくするため、特定回路10に信号機5A、防犯カメラ5B、及び街灯5Cがそれぞれ一つずつ接続されているが、特定回路10に接続される給電対象5の種類や数量は、適宜変更可能である。特定回路10に少なくとも一つの信号機5A又は防犯カメラ5B又は街灯5Cが接続されればよい。
【0042】
次に、管理サーバ2、給電装置3の制御装置30、車両4の制御装置40の構成について詳細に説明する。
【0043】
<管理サーバ2のハードウェア構成>
図2(A)は、管理サーバ2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、通信インタフェース(I/F)25、入出力インタフェース26を有する。各構成は、バスB1を介して相互に通信可能に接続されている。
【0044】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22またはストレージ24には、車両4から給電対象5に対する給電を支援する給電支援処理を実行する実行プログラムが格納されている。
【0045】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。本実施形態では、ストレージ24に、車両データベース24Aが格納されている。車両データベース24Aは、後述する特定部220の機能により、給電対象への給電が可能な候補車両を特定するためのデータベースである。車両データベース24Aには、一例として、給電システム1を利用するユーザの名前、ユーザの住所又居所、ユーザの保有する車両、各ユーザの車両を識別可能な識別情報等の情報が、それぞれ対応付けられて記憶されている。ストレージ24には、その他にも、地図データベースや、各車両4のGPS装置の情報に基づく各車両4の位置情報を記憶した位置情報データベースを格納してもよい。
【0046】
通信部としての通信インタフェース25は、給電装置3や車両4、各給電対象5(5A~5C)等の外部装置と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0047】
入出力インタフェース26は、入力装置や出力装置など、外部装置を接続するためのインタフェースである。
【0048】
<管理サーバ2の機能構成>
図2(B)は、管理サーバ2の機能構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、管理サーバ2は、電力検知部210と、特定部220及び送信部230を有している。各機能構成は、CPU21がROM22又はストレージ24に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0049】
電力検知部210は、所定のエリア内に設置された給電対象5に対して、主電源から供給される電力の供給状態を検知する。具体的に、電力検知部210は、通信インタフェース25を介して各給電対象5に内蔵されたノードから各給電対象の通電状態に関する情報を受信する。そして、所定のエリア内に設置された給電対象5について、主電源から給電対象に電力が供給されている送電状態と、主電源から給電対象への電力供給が停止している停電状態と、を検知可能に構成されている。
【0050】
特定部220は、電力検知部210において所定のエリアの給電対象5が停電状態であることを検知した場合に、当該給電対象5に電力を供給可能な候補車両を特定する。具体的に、特定部220は、停電状態が検知された給電対象5の位置情報と、車両データベース24Aを参照して、登録されたユーザの車両4の中から所定の条件を満たす候補車両を特定する。更に、本実施形態では、候補車両の中から、後述する給電支援情報に対する応答情報を送信した車両が存在する場合、当該応答情報を送信した車両を特定する。
【0051】
候補車両は、一例として、停電状態が検知された給電対象5から所定の距離内のエリアに住所又は居所を有するユーザの車両4である。
【0052】
なお、特定部220は、ストレージ24に格納された地図データベースと車両の位置情報データベースを参照して、停電状態が検知された給電対象5から所定の距離内のエリアを走行する車両4を候補車両として特定してもよい。
【0053】
送信部230は、通信インタフェース25を介して給電装置3及び車両4に各種情報を送信する機能を有する。具体的に、送信部230は、電力検知部210で停電状態の給電対象5を検知した場合に、当該給電対象5への給電を要請する給電要請情報を候補車両に送信する。給電要請情報には、停電状態の給電対象5に接続された給電装置3の位置情報や、給電を要請する文字情報や画像情報等が含まれている。
【0054】
また、送信部230は、車両データベース24Aを参照して、特定部220で給電対象に給電可能な車両として特定された車両(候補車両、又は候補車両の中から応答情報を送信した車両)の識別情報を取得し、取得した識別情報を給電対象5に送信する。
【0055】
更に、送信部230は、電力検知部210で給電対象5に対する電力の供給状態が送電状態であることを検知した場合に、停電状態が解除されたことを示す停電解除情報を給電装置3に対して送信する。
【0056】
<制御装置30のハードウェア構成>
次に、給電装置3が備える制御装置30について説明する。図3(A)は、制御装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、制御装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、ストレージ34、通信インタフェース35、入出力インタフェース36を有する。各構成は、バスB2を介して相互に通信可能に接続されている。
【0057】
CPU31は、中央演算処理ユニットである。すなわち、CPU31は、ROM32またはストレージ34からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32またはストレージ34に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM32またはストレージ34には、車両4からの給電を許可する給電許可処理を実行する実行プログラムが格納されている。
【0058】
ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ34は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0059】
通信インタフェース35は、外部サーバ等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。入出力インタフェース36は、制御装置30と外部装置とを接続するためのインタフェースである。本実施形態では、入出力インタフェース36にセンサ37、スイッチング回路8及び補助バッテリ38が接続されている。入出力インタフェース36には、その他に入力装置や出力装置を接続してもよい。
【0060】
センサ37は、インレット6に対する車両4の接続を検知するためのセンサであり、公知の光センサや感圧センサなど各種センサで構成することができる。スイッチング回路8は、特定回路10の通電状態をON状態とOFF状態とに切り替えるため回路であり、公知のスイッチング回路で構成されている。補助バッテリ38は、給電対象5が停電状態となった際に、給電用の車両4が到着するまでの間、制御装置30に電力を供給するバッテリである。
【0061】
<制御装置30の機能構成>
図3(B)は、制御装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、制御装置30は、受信部310、接続検知部320、取得部330、判定部340及び給電許可部350を有している。各機能構成は、CPU31がROM32又はストレージ34に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0062】
受信部310は、通信インタフェース35を介して管理サーバ2から送信された各種情報を受信する機能を有する。具体的に、受信部310は、管理サーバ2から送信された車両4の識別情報と停電解除情報を受信する。
【0063】
接続検知部320は、インレット6に車両4が接続されたことを検知する。具体的に、接続検知部320は、センサ37の検出結果に基づいて、給電用コード7を介してインレット6と車両4が電気的に接続されていることを検知する。
【0064】
取得部330は、車両4の識別情報を取得する機能を有する。具体的に、取得部330は、インレット6に車両4が接続された後、接続した車両4から送信される自車両の識別情報を取得する。
【0065】
判定部340は、取得部330で取得された車両4、すなわち、インレット6に接続された車両4の識別情報に基づいて、当該車両からの給電を許可するか否かを判定する機能を有する。具体的に、判定部340は、取得部330で取得された識別情報と、受信部310で受信された識別情報とを照合することにより、インレット6に接続された車両4からの給電を許可するか否かを判定する。判定部340は、取得部330で取得された識別情報と、受信部310で受信された識別情報とを照合し、識別情報が一致すれば、給電を許可する旨の判定を行う。一方、識別情報が一致しない場合、給電を許可しない判定を行う。
【0066】
更に、判定部340は、受信部310で停電解除情報を受信した場合は、給電を許可しない旨の判定を行う。
【0067】
給電許可部350は、判定部340で車両4からの給電を許可する旨の判定がされた場合に、車両4からの給電を許可する機能を有している。具体的に、給電許可部350は、スイッチング回路8をON状態に切り替えて、特定回路を通電状態にする。これにより、インレット6に接続された車両4の電力を、特定回路10に接続された給電対象5(5A~5C)に供給することができる。
【0068】
<制御装置40のハードウェア構成>
次に、車両4が備える制御装置40について説明する。図4(A)は、制御装置40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、制御装置40は、CPU41、ROM42、RAM43、ストレージ44、通信インタフェース45、入出力インタフェース46を有する。各構成は、バスB3を介して相互に通信可能に接続されている。
【0069】
CPU41は、中央演算処理ユニットである。すなわち、CPU41は、ROM42またはストレージ44からプログラムを読み出し、RAM43を作業領域としてプログラムを実行する。CPU41は、ROM42またはストレージ44に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM42またはストレージ44には、給電の要請に応答する処理を実行する実行プログラムが格納されている。
【0070】
ROM42は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM43は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ44は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0071】
通信インタフェース45は、外部サーバ等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。入出力インタフェース46は、制御装置40と外部装置とを接続するためのインタフェースである。
【0072】
<制御装置40の機能構成>
図4(B)は、制御装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。この図に示されるように、制御装置40は、受信部410、応答部420、送信部430及び給電制御部440を有している。各機能構成は、CPU41がROM42又はストレージ44に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0073】
受信部410は、通信インタフェース45を介して管理サーバ2及び給電装置3から送信された各種情報を受信する機能を有する。具体的に、受信部410は、管理サーバ2から送信された給電要請情報と給電装置3から送信される給電許可情報を受信可能に構成されている。
【0074】
応答部420は、受信部410で受信した給電要請情報に対する応答情報を生成し、生成した応答情報を通信インタフェース45を介して管理サーバ2に送信する機能を有する。
【0075】
送信部430は、インレット6に車両4を接続した後に、通信インタフェース45を介して、自車両の識別情報を給電装置3に送信する機能を有する。
【0076】
給電制御部440は、車両4から供給される電力を制御する機能を有する。具体的に、給電制御部440は、受信部410で給電許可情報を受信した場合に、給電装置3への給電を開始する。
【0077】
<動作>
次に、給電システム1の動作について説明する。図5は、管理サーバ2で行われる給電支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0078】
図5のステップS100において、CPU21は、所定のエリア内の給電対象5で停電状態が検知された否かについて判定する。具体的に、CPU21は、電力検知部210の機能に基づいて、各給電対象5への電力の供給状態を検知し、停電状態が検知された否かについて判定する。CPU21は、停電状態が検知されたと判定すると、ステップS101に進む。一方CPU21は、停電状態が検知されていないと判定すると、処理を終了する。
【0079】
ステップS101において、CPU21は、候補車両を特定する。具体的に、CPU21は、特定部220の機能に基づいて、停電状態の給電対象5に給電可能な候補車両を特定する。
【0080】
ステップS102において、CPU21は、送信部230の機能に基づいて、候補車両に給電要請情報を送信する。
【0081】
ステップS103において、CPU21は、送信した給電要請情報に対する応答情報を受信したか否かについて判定する。すなわち、候補車両の中に、給電要請情報に対する応答情報を送信した車両が存在するか否かを判定する。CPU21は、特定部220の機能に基づいて、応答情報を受信したと判定すると、ステップS104に進む。一方、CPU21は、応答情報を受信していないと判定すると、ステップS105に進む。
【0082】
ステップS104において、CPU21は、送信部230の機能に基づいて、給電要請に対して応答した車両の識別情報を、停電状態の給電対象5に接続された給電装置3に送信する。
【0083】
一方、CPU21が、応答情報を受信していないと判定してステップS105に進んだ場合、CPU21は、給電情報を送信してから所定時間が経過したか否かについて判定する。具体的に、CPU21は、特定部220の機能に基づいて、候補車両に給電要請情報を送信した後にタイマーを作動させ、ステップS105において、タイマーの経過時間に基づいて、給電情報を送信してから所定時間が経過したか否かについて判定する。CPU21は、所定時間が経過したと判定する場合、ステップS106に進む。一方、CPU21は、所定時間が経過していないと判定する場合、ステップS105の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS106において、CPU21は、特定部220の機能に基づいて特定された全ての候補車両の識別情報を取得し、停電状態の給電対象に接続された給電装置3に送信する。つまり、所定の時間内に給電要請に対して応答する車両が存在しない場合、全ての候補車両の識別情報が給電装置3に送信されるように構成されている。CPU21は、候補車両の識別情報を送信すると、ステップS107に進む。
【0085】
ステップS107において、CPU21は、電力検知部210の機能に基づいて、給電対象5の停電状態が解除されたか否かを判定する。停電状態が検知された給電対象が、送電状態に復旧したか否かを判定する。CPU21は、停電状態が解除されたと判定すると、ステップS108に進む。一方、CPU21は、停電状態が解除されていないと判定すると、ステップS107の処理を繰り返す。
【0086】
ステップS108において、CPU21は、送信部230の機能に基づいて、停電解除情報を、給電装置3に送信して処理を終了する。
【0087】
次に、図6を参照して、管理サーバ2から車両4の識別情報が送信された際に、給電装置3で行われる給電許可処理の流れの一例を説明する。
【0088】
図6のステップS200において、CPU31は、給電装置3の受信部310で車両4の識別情報が受信されたか否かについて判定する。CPU31は、識別情報が受信されたと判定すると、ステップS201に進む。一方、CPU31は、識別情報が受信されなかったと判定すると、処理を終了する。
【0089】
ステップS201において、CPU31は、接続検知部320の機能に基づいて、インレット6に車両4が接続されているか否かについて判定する。CPU31は、インレット6に車両4が接続されていると判定すると、ステップS202に進む。一方、CPU31は、インレット6に車両4が接続されていないと判定すると、処理を終了する。
【0090】
ステップS202において、CPU31は、インレット6に接続された車両4の識別情報を取得する。具体的に、CPU31は、取得部330の機能に基づいて、インレット6に接続された車両4から送信された自車両の識別情報を取得する。CPU31は、車両4から送信された識別情報を取得すると、ステップS203に進む。
【0091】
ステップS203において、CPU31は、インレット6に接続された車両4が許可車両であるか否かについて判定する。具体的に、CPU31は、判定部340の機能に基づいて、インレット6に接続された車両4からの給電を許可するか否かについて判定する。CPU31は、許可車両であると判定すると、ステップS204に進む。一方、CPU31は、許可車両ではないと判定すると、処理を終了する。
【0092】
ステップS204において、CPU31は、給電許可部350の機能に基づいて、車両4に給電許可情報を送信し、給電を許可する。
【0093】
ステップS205において、CPU31は、受信部310の機能に基づいて、停電解除情報を受信したか否かについて判定する。CPU31は、停電解除情報を受信したと判定すると、ステップS206に進む。一方、CPU31は、停電解除情報を受信していないと判定すると、ステップS205の処理を繰り返す。
【0094】
ステップS206において、CPU31は、判定部340の機能に基づいて、車両4からの給電を許可しない。具体的に、CPU31は、給電許可部350の機能に基づいて、スイッチング回路8をOFF状態に切り替える制御を行い、処理を終了する。
【0095】
以上説明した通り、本実施形態に係る給電システム1では、給電用コード7を介してインレット6と車両4とを接続すると、給電装置3によって、車両4と給電対象5とが電気的に接続されるように構成されている。これにより、インレット6を介して、車両4から供給される電力を給電対象5に供給することができる。ここで、給電対象5には、信号機5A、防犯カメラ5B及び街灯5Cの少なくとも一つが含まれている。これにより、例えば、大規模停電が発生し、主電源からの送電が停止している状況でも、車両4の電力を利して信号機5Aや防犯カメラ5B、街灯5C等の屋外設備を作動させることができる。また、移動体である車両4の電力を利用しているため、車両4を交換することにより、停電が長時間続く場合でも継続して電力を供給することができる。
【0096】
また、給電装置3は、インレット6に車両4が接続されたことを検知すると、接続された車両4の識別情報を取得する。そして、取得した識別情報に基づいて、給電を許可する旨の判定をした場合に、車両4からの給電を許可する。
【0097】
具体的に、給電装置3は、管理サーバ2から送信された識別情報を受信すると、受信した識別情報と、インレット6に接続された車両4の識別情報とを照合する。そして、給電装置3は、識別情報の照合により、インレット6に接続された車両4が管理サーバで特定された車両4と一致すれば、車両からの電力の供給を許可するように構成されている。これにより、例えば、装置の規格やセキュリティーの面で安全性が確保された車両や、給電可能な車両が存在する場合に給電を許可することができ、給電装置の故障や悪用を回避することができる。
【0098】
また、車両4から供給される電力は、インレット6と特定回路10を介して接続された所定のエリア内の給電対象5に供給される。これにより、特定回路10に複数の給電対象5を接続した場合、一つの給電装置3から、複数の給電対象5への給電が可能となるため、所定のエリア内への給電を効率的に行うことができる。
【0099】
また、給電システム1を構成する管理サーバでは、管理サーバ2によって所定のエリア内に設置された給電対象5に対する電力の供給状態が検知され、所定の給電対象5が停電状態になった場合に、これを検知することができるようになっている。管理サーバ2は、停電状態の給電対象に電力を供給可能な車両4特定し、特定された車両4の識別情報を給電装置3に送信する。これにより、信号機5Aや防犯カメラ5B、街灯5Cといった屋外設備の停電や故障をシステムから迅速に把握することができ、大規模停電時などの非常時の給電支援を効率的に行うことができる。
【0100】
更に、本実施形態の給電システム1によれば、管理サーバ2は、所定のエリア内に設置された給電対象5に対する電力の供給状態が送電状態であることを検知すると、停電が解除されたことを示す停電解除情報を給電装置3に送信する。一方、給電装置3では、停電解除情報を受信すると、インレット6に接続された車両4からの給電を許可しないように制御される。これにより、給電対象5が停電状態から復旧した後に、これを検知して、車両4からの給電を停止させることができる。
【0101】
また、管理サーバ2は、所定の給電対象5の停電状態を検知すると、当該給電対象5への給電を要請する給電要請情報を所定の候補車両に対して送信する。そして、候補車両の中から、給電要請情報に対する応答情報を送信した車両4を、給電対象への給電が可能な車両として特定する。これにより、給電可能な車両4が存在する場合に給電対象への給電を許可することができ、給電装置3の故障や悪用を回避することができる。
【0102】
また、本実施形態では、管理サーバ2は、停電状態が検知された給電対象(又はこれに接続された給電装置3)から所定の距離内のエリアに住所又は居所を有するユーザの車両4を、給電対象5への給電が可能な車両として特定する。これにより、例えば、給電対象5の近くに住む住民等の車両4に対して給電の要請を行うことができ、給電可能な車両の迅速な確保を図ることができる。
【0103】
[補足事項]
上記実施形態では、給電装置3は、所定のエリア内の複数の給電対象5と特定回路10を介して接続された構成とされたが、本発明はこれに限らない。図7に変形例として示されるように、一つの給電対象に対して、一つの給電装置が接続される構成としてもよい。図に示す給電装置50は、上記実施形態と同様の図示しない制御装置30と、インレット6を備えている。そして、図7(A)に示されるように、一つの信号機5Aに対して、一つの給電装置50を接続してもよい。また、図7(B)に示されるように、一つの防犯カメラ5Bに対して、一つの給電装置50を接続してもよい。また、図7(C)に示されるように、一つの街灯5Cに対して、一つの給電装置50を接続してもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、給電装置3と給電対象5が、それぞれ別体で構成されているが、本発明はこれに限らない。図8に変形例として示されるように、屋外に設置された給電装置が、インレットと給電対象を備える構成としてもよい。
【0105】
すなわち、図4に示す給電装置60は、一例として、屋外に設置されるポールで構成されており、当該ポールにインレット6と給電対象62が設けられている。図8(A)には、給電装置60が、給電対象62としての信号機62Aを備える変形例が示されている。また、図8(B)には、給電装置60が、給電対象62としての防犯カメラ62Bを備える変形例が示されている。また、図8(C)には、給電装置60が、給電対象62としての街灯62Cを備える変形例が示されている。これらの変形例によれば、給電装置60から給電対象62への送電用の回路を給電装置60の内部構成とすることができ、屋外への設置を容易にすることができる。なお、図8に示される各変形例では、一つの給電装置60に対して、一種類の給電対象62が設けられる構成のみが示されているが、本発明はこれに限らず、一つの給電装置60に対して、複数種類の給電対象62が設けられる構成としてもよい。また、一つの種類の給電対象62を、複数個設ける構成としてもよい。
【0106】
上記実施形態及び各変形例では、一つの給電装置3,50,60に対して、インレット6が一つ設けられる構成としたが、本発明はこれに限らない。一つの給電装置に対して、複数個のインレットを設ける構成としてもよい。また、複数のインレットを設ける場合、すなわち、一つの給電対象に複数台の車両が接続される場合、複数の車両の電力が同一の給電対象に対して供給される構成としてもよいし、各々のインレットから別々の給電対象に対して電力が供給されるように構成してもよい。
【0107】
また、上記実施形態及び図8に示す各変形例では、給電装置3,60が屋外に設置されるポールで構成したが、本発明はこれに限らない。給電装置を、屋外に設置されるガードレールの支柱で構成してもよい。又は、給電装置を、屋外に設置される駐車スペースの車止めで構成してもよい。若しくは、給電装置を、屋内に設けられる装置として構成してもよい。
【0108】
上記実施形態及び各変形例では、給電を許可するか否かの判定を、管理サーバから送信される識別情報と、インレットに接続された車両から送信される識別情報とを参照して行う方法としたが、本発明はこれに限らない。例えば、給電装置に予め記憶されている車両の識別情報と、インレットに接続された車両から送信される識別情報とを参照して行う方法としてもよい。若しくは、給電装置は、接続された車両からの給電を許可するか否かを判定しない構成としてもよい。この場合、インレットに車両が接続されたことを検知すると同時にスイッチング回路をON状態にして給電を許可する構成としてもよい。
【0109】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した救援支援処理及び給電許可処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、救援支援処理及び給電許可処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、救援支援処理及び給電許可処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 給電システム
2 管理サーバ
3 給電装置
4 車両
5 給電対象(5A、5B、5C)
6 インレット
7 給電用コード
10 特定回路
210 電力検知部
220 特定部
230 送信部
310 受信部
320 接続検知部
330 取得部
340 判定部
350 給電許可部
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8