(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240710BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20240710BHJP
【FI】
G06T7/00 510B
G06T7/11
G06T7/00 660Z
(21)【出願番号】P 2020205744
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】新田 修也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 昭
(72)【発明者】
【氏名】中原 正隆
(72)【発明者】
【氏名】三宅 優
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-196659(JP,A)
【文献】特開2017-174228(JP,A)
【文献】特開2009-211171(JP,A)
【文献】特表2007-524143(JP,A)
【文献】岡野 健久、外2名,深度画像を用いた手の姿勢推定と個人認証への応用,2018年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2018)予稿集 [USB] 2018年 暗
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得部と、
前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定部と、
前記入力画像のうち前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力部と、
を備え
、
前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、
前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、
第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、
画像処理装置。
【請求項2】
前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した座標であって手首の付け根の関節の座標と親指の付け根の関節の座標とのうち少なくとも一方を含む3点以上の特定関節の座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記掌紋領域特定部は、さらに、掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度とを算出する、
請求項
2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、掌紋領域の中心座標を回転軸にして掌紋領域の回転角度だけ回転された入力画像から掌紋画像を出力する、
請求項
1又は
3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域に対して歪みを補正する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域に対して所定のサイズにリサイズする、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得ステップと、
前記骨格情報取得ステップで取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定ステップと、
前記入力画像のうち前記掌紋領域特定
ステップが特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力ステップと、
を含む画像処理方法
であり、
前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、
前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、
第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、
画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得ステップと、
前記骨格情報取得ステップで取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定ステップと、
前記入力画像のうち前記掌紋領域特定
ステップが特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム
であり、
前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、
前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、
第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の手のひらが撮影された画像から掌紋が写っている領域(掌紋領域)を特定する技術が例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術では、指と指の間が閉じている画像に対して指と指の間の線を基準にして掌紋領域を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載された技術では、指と指の間が開いていると十分な精度が得られなかった。したがって、ユーザを掌紋により認証する掌紋認証システムにおいて、ユーザの掌紋が写っている画像を取得する際、ユーザが例えばスマートフォンで自分の手のひらを撮影する場合に、指と指の間を閉じて撮影してもらう必要があった。このため、手のひらを撮影する際の指と指の間を閉じるという制約を不要にしてユーザに対する便宜を図ることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、掌紋が写っている画像を取得する元の手のひらの画像が撮影される際に、指と指の間を閉じるという制約を不要にすることを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得部と、前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定部と、前記入力画像のうち前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力部と、を備え、前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、画像処理装置である。
(2)本発明の一態様は、前記掌紋領域特定部は、前記骨格情報取得部が取得した座標であって手首の付け根の関節の座標と親指の付け根の関節の座標とのうち少なくとも一方を含む3点以上の特定関節の座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する、上記(1)の画像処理装置である。
(3)本発明の一態様は、前記掌紋領域特定部は、さらに、掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度とを算出する、上記(2)の画像処理装置である。
(4)本発明の一態様は、前記出力部は、掌紋領域の中心座標を回転軸にして掌紋領域の回転角度だけ回転された入力画像から掌紋画像を出力する、上記(1)又は(3)のいずれかの画像処理装置である。
(5)本発明の一態様は、前記出力部は、前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域に対して歪みを補正する、上記(1)から(4)のいずれかの画像処理装置である。
(6)本発明の一態様は、前記出力部は、前記掌紋領域特定部が特定した掌紋領域に対して所定のサイズにリサイズする、上記(1)から(5)のいずれかの画像処理装置である。
【0007】
(7)本発明の一態様は、手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得ステップと、前記骨格情報取得ステップで取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定ステップと、前記入力画像のうち前記掌紋領域特定ステップが特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力ステップと、を含む画像処理方法であり、前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、画像処理方法である。
【0008】
(8)本発明の一態様は、コンピュータに、手のひらが写っている画像である入力画像から、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する骨格情報取得ステップと、前記骨格情報取得ステップで取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて前記入力画像内の掌紋領域を特定する掌紋領域特定ステップと、前記入力画像のうち前記掌紋領域特定ステップが特定した掌紋領域を含む掌紋画像を出力する出力ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであり、前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて掌紋領域の中心座標と前記入力画像に対する掌紋領域の回転角度と掌紋領域の1辺の長さとを算出し、算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定し、前記掌紋領域特定ステップは、前記骨格情報取得ステップが取得した2点以上の特定関節の座標のうち第1座標と第1座標以外の他の第2座標を用い、第1座標に対して、第1座標から第1座標以外の他の第2座標への第1ベクトルを第1係数で重み付けした重み付け第1ベクトルと、第1ベクトルの垂直ベクトルを第2係数で重み付けした重み付け垂直ベクトルをベクトル加算することにより掌紋領域の中心座標を算出し、第1係数及び第2係数は、2点以上の特定関節の組合せ毎に個別の値として予め設定される、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、掌紋が写っている画像を取得する元の手のひらの画像が撮影される際に、指と指の間を閉じるという制約を不要にすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る画像処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係る各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標の例を示す説明図である。
【
図4】一実施形態に係る掌紋領域中心座標算出方法の説明図である。
【
図5】一実施形態に係る掌紋領域中心座標算出方法の説明図である。
【
図6】一実施形態に係る掌紋領域回転角度算出方法の説明図である。
【
図7】一実施形態に係る掌紋領域辺長算出方法の説明図である。
【
図8】一実施形態に係る掌紋領域頂点座標算出方法の説明図である。
【
図9】一実施形態に係る回転補正方法の説明図である。
【
図10】一実施形態に係る回転補正方法の説明図である。
【
図11】一実施形態に係る歪み補正方法の説明図である。
【
図12】一実施形態に係る歪み補正方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示す画像処理装置1は、人の手のひらが写っている画像である入力画像100から掌紋が写っている画像である掌紋画像130を取得する。
【0012】
画像処理装置1は、例えば、ユーザを掌紋により認証する掌紋認証システムに設けられる。画像処理装置1は、掌紋認証システムのユーザ側に設けられてもよく、又はサーバ側に設けられてもよい。画像処理装置1が例えばユーザのスマートフォンやタブレット型のコンピュータ装置(タブレットPC)等の端末に備わる場合、画像処理装置1は、ユーザが当該端末で自分の手のひらを撮影して保存した画像を入力画像100として取得する。そして、画像処理装置1は、入力画像100から取得した掌紋画像130を通信により掌紋認証サーバへ送信する。一方、画像処理装置1が例えば掌紋認証サーバ等のサーバ側装置に備わる場合、画像処理装置1は、ユーザの手のひらが写っている画像を入力画像100として通信により取得する。
【0013】
本実施形態では、入力画像100に写っている手のひらは、指と指の間が閉じていてもよく又は開いていてもよい。したがって、入力画像100が撮影される際には、ユーザが指と指の間を閉じるという制約が不要である。
【0014】
図1において、画像処理装置1は、骨格情報取得部11と、掌紋領域特定部12と、出力部13とを備える。
【0015】
画像処理装置1の各機能は、画像処理装置1がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、画像処理装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、画像処理装置1は、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末装置を使用して構成されてもよい。また、画像処理装置1は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、画像処理装置1の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、画像処理装置1は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は画像処理装置1の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
【0016】
画像処理装置1には、人の手のひらが写っている入力画像100が入力される。一般に人の手のひらには、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根の関節と、手首の付け根の関節とが含まれる。
【0017】
骨格情報取得部11は、入力画像100から、入力画像100内の位置を示す座標であって、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を取得する。骨格情報取得部11は、取得した2点以上の特定関節の座標を含む骨格情報110を掌紋領域特定部12へ渡す。
【0018】
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11から渡された骨格情報110に含まれる2点以上の特定関節の座標に基づいて、入力画像100内の画像領域であって掌紋が写っている領域(掌紋領域)を特定する。掌紋領域特定部12は、特定した掌紋領域を示す情報を含む掌紋領域情報120を出力部13へ渡す。
【0019】
出力部13は、掌紋領域特定部12から渡された掌紋領域情報120に基づいて、入力画像100のうち掌紋領域特定部12が特定した掌紋領域を含む掌紋画像130を出力する。このとき、出力部13は、掌紋領域の中心座標を回転軸にして掌紋領域の回転角度だけ回転された入力画像100から掌紋画像130を出力する。また、出力部13は、入力画像100の掌紋領域に対して歪みを補正し、補正された掌紋画像130を出力する。また、出力部13は、掌紋領域に対して所定のサイズにリサイズし、リサイズされた掌紋画像130を出力する。
【0020】
図2を参照して本実施形態に係る画像処理方法を説明する。
図2は、本実施形態に係る画像処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0021】
(ステップS1) 画像処理装置1が入力画像100を取得する。
【0022】
(ステップS2) 画像処理装置1が入力画像100から骨格情報110を取得する。
【0023】
(ステップS3) 画像処理装置1が骨格情報110に基づいて、入力画像100内の掌紋領域を特定する。
【0024】
(ステップS4) 画像処理装置1が入力画像100のうちステップSで特定した掌紋領域を含む掌紋画像130を出力する。
【0025】
[骨格情報]
本実施形態では、骨格情報110は、入力画像100内の位置を示す座標であって、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標のうち2点以上の特定関節の座標を含む情報である。
図3は、各指の付け根の関節の座標及び手首の付け根の関節の座標の例を示す説明図である。
図3には、入力画像100において、5本の指及び手首のそれぞれの付け根の関節の座標(付け根関節座標)が示される。具体的には、親指の付け根関節座標201、人差し指の付け根関節座標202、中指の付け根関節座標203、薬指の付け根関節座標204、小指の付け根関節座標205及び手首の付け根関節座標206が示されている。骨格情報110は、それら6点の付け根関節座標201-206のうち、2点以上の特定関節の付け根関節座標を含む情報である。2点以上の特定関節は、予め設定される。したがって、骨格情報取得部11は、予め設定された2点以上の特定関節についての付け根関節座標を骨格情報110に含める。
【0026】
[掌紋領域特定方法]
本実施形態に係る掌紋領域特定部12が掌紋領域を特定する掌紋領域特定方法として例1及び例2の2種類の方法を以下に説明する。本実施形態では掌紋領域は四角形である。
【0027】
<掌紋領域特定方法の例1>
掌紋領域特定方法の例1では、掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した2点以上の特定関節の座標に基づいて、掌紋領域の中心座標と、入力画像100に対する掌紋領域の回転角度と、掌紋領域の1辺の長さとを算出する。次いで、掌紋領域特定部12は、当該算出された掌紋領域の中心座標、回転角度及び1辺の長さに基づいて掌紋領域を特定する。
【0028】
掌紋領域特定方法の例1では、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根の関節と手首の付け根の関節とのうち、いずれの2点以上の関節を特定関節の組合せにしてもよい。したがって、掌紋領域特定方法の例1では、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根関節座標と手首の付け根関節座標とのうち、いずれの2点以上の付け根関節座標を使用しても掌紋領域を特定することができる。2点から6点までのうち何点の付け根関節座標を使用するのかと、特定関節の組合せとは予め設定される。例えば、3点の付け根関節座標を使用する場合、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根の関節と手首の付け根の関節とのうち、いずれか3点の関節(例えば、手首と親指と人差し指の各付け根の関節)が特定関節の組合せに予め設定される。
【0029】
(掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定方法の例1に係る掌紋領域中心座標算出方法について、以下に、使用する付け根関節座標の数が2点から6点までをそれぞれ場合分けして説明する。
【0030】
(2点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した2点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の中心座標を算出する。2点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の中心座標Xは、次の(1)式により算出される。
【0031】
【0032】
上記(1)式において、2点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、Aがもう1つの付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。係数xi(i=1,2)は予め設定される。係数xi(i=1,2)は、2点の特定関節の組合せ毎に個別の値である。
【0033】
例えば、2点の特定関節が手首の付け根関節(付け根関節座標O)と親指の付け根関節(付け根関節座標A)である場合、
図4に示されるように掌紋領域の中心座標Xが算出される。
図4の例では、係数xi(i=1,2)は「x1=0.6、x2=1.6」である。
【0034】
(3点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した3点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の中心座標を算出する。3点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の中心座標Xは、次の(2)式により算出される。
【0035】
【0036】
上記(2)式において、3点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,Bがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。係数xi(i=1,2,3,4)は、3点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0037】
例えば、3点の特定関節が手首の付け根関節(付け根関節座標O)と親指の付け根関節(付け根関節座標A)と人差し指の付け根関節(付け根関節座標B)である場合、
図5に示されるように掌紋領域の中心座標Xが算出される。
図5の例では、係数xi(i=1,2,3,4)は「x1=1.2、x2=0.6、x3=0.2、x4=0.4」である。
【0038】
(4点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した4点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の中心座標を算出する。4点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の中心座標Xは、次の(3)式により算出される。
【0039】
【0040】
上記(3)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,Cがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。係数xi(i=1,2,3,4,5,6)は、4点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0041】
(5点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した5点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の中心座標を算出する。5点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の中心座標Xは、次の(4)式により算出される。
【0042】
【0043】
上記(4)式において、5点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,Dがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。「d-→」は、ベクトル「d→」の垂直ベクトルである。係数xi(i=1,2,3,4,5,6,7,8)は、5点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0044】
(6点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域中心座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した6点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の中心座標を算出する。6点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の中心座標Xは、次の(5)式により算出される。
【0045】
【0046】
上記(5)式において、6点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,D,Eがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「e→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Eへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。「d-→」は、ベクトル「d→」の垂直ベクトルである。「e-→」は、ベクトル「e→」の垂直ベクトルである。係数xi(i=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)は、6点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0047】
(掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定方法の例1に係る掌紋領域回転角度算出方法について、以下に、使用する付け根関節座標の数が2点から6点までをそれぞれ場合分けして説明する。
【0048】
(2点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した2点の付け根関節座標に基づいて、入力画像100に対する掌紋領域の回転角度(以下、単に回転角度と称する場合がある)を算出する。2点の付け根関節座標を使用する場合、回転角度θの基になるベクトル「Y→」は、次の(6)式により算出される。
【0049】
【0050】
上記(6)式において、2点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、Aがもう1つの付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。係数yi(i=1,2)は予め設定される。係数yi(i=1,2)は、2点の特定関節の組合せ毎に個別の値である。
【0051】
回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺に対して成す角度である。
【0052】
例えば、2点の特定関節が手首の付け根関節(付け根関節座標O)と親指の付け根関節(付け根関節座標A)である場合、
図6に示されるように回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺310に対して成す角度θとして算出される。
図6の例では、係数yi(i=1,2)は「y1=1、y2=0」である。
【0053】
(3点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した3点の付け根関節座標に基づいて、回転角度を算出する。3点の付け根関節座標を使用する場合、回転角度θの基になるベクトル「Y→」は、次の(7)式により算出される。回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺に対して成す角度である。
【0054】
【0055】
上記(7)式において、3点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,Bがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。
係数yi(i=1,2,3,4)は、3点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0056】
(4点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した4点の付け根関節座標に基づいて、回転角度を算出する。4点の付け根関節座標を使用する場合、回転角度θの基になるベクトル「Y→」は、次の(8)式により算出される。回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺に対して成す角度である。
【0057】
【0058】
上記(8)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,Cがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。係数yi(i=1,2,3,4,5,6)は、4点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0059】
(5点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した5点の付け根関節座標に基づいて、回転角度を算出する。5点の付け根関節座標を使用する場合、回転角度θの基になるベクトル「Y→」は、次の(9)式により算出される。回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺に対して成す角度である。
【0060】
【0061】
上記(9)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,Dがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。「d-→」は、ベクトル「d→」の垂直ベクトルである。係数yi(i=1,2,3,4,5,6,7,8)は、5点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0062】
(6点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域回転角度算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した6点の付け根関節座標に基づいて、回転角度を算出する。6点の付け根関節座標を使用する場合、回転角度θの基になるベクトル「Y→」は、次の(10)式により算出される。回転角度θは、ベクトル「Y→」が入力画像100の上辺に対して成す角度である。
【0063】
【0064】
上記(10)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,D,Eがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「e→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Eへのベクトルである。「a-→」は、ベクトル「a→」の垂直ベクトルである。「b-→」は、ベクトル「b→」の垂直ベクトルである。「c-→」は、ベクトル「c→」の垂直ベクトルである。「d-→」は、ベクトル「d→」の垂直ベクトルである。「e-→」は、ベクトル「e→」の垂直ベクトルである。係数yi(i=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)は、6点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0065】
(掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定方法の例1に係る掌紋領域辺長算出方法について、以下に、使用する付け根関節座標の数が2点から6点までをそれぞれ場合分けして説明する。
【0066】
(2点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した2点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の1辺の長さを算出する。2点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の1辺の長さZは、次の(11)式により算出される。
【0067】
【0068】
上記(11)式において、2点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、Aがもう1つの付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。係数zi(i=1)は予め設定される。係数zi(i=1)は、2点の特定関節の組合せ毎に個別の値である。
【0069】
例えば、2点の特定関節が手首の付け根関節(付け根関節座標O)と親指の付け根関節(付け根関節座標A)である場合、
図7に示されるように掌紋領域の1辺の長さZが算出される。
図7の例では、係数zi(i=1)は「z1=1.5」である。
【0070】
(3点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した3点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の1辺の長さを算出する。3点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の1辺の長さZは、次の(12)式により算出される。
【0071】
【0072】
上記(12)式において、3点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,Bがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。係数zi(i=1,2)は、3点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0073】
(4点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した4点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の1辺の長さを算出する。4点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の1辺の長さZは、次の(13)式により算出される。
【0074】
【0075】
上記(13)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,Cがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。係数zi(i=1,2,3)は、4点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0076】
(5点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した5点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の1辺の長さを算出する。5点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の1辺の長さZは、次の(14)式により算出される。
【0077】
【0078】
上記(14)式において、5点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,Dがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。係数zi(i=1,2,3,4)は、5点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0079】
(6点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域辺長算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した6点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の1辺の長さを算出する。6点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の1辺の長さZは、次の(15)式により算出される。
【0080】
【0081】
上記(15)式において、6点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,D,Eがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「e→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Eへのベクトルである。係数zi(i=1,2,3,4,5)は、6点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0082】
<掌紋領域特定方法の例2>
掌紋領域特定方法の例2では、掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した付け根関節座標であって手首の付け根関節座標と親指の付け根関節座標とのうち少なくとも一方を含む3点以上の特定関節の座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する。当該算出された掌紋領域の各頂点の座標によって掌紋領域が特定される。
【0083】
掌紋領域特定方法の例2では、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根の関節と手首の付け根の関節とのうち、手首と親指とのうち少なくとも一方の関節と、これ以外の他のいずれかの関節とを含む3点以上の関節を特定関節の組合せにすればよい。したがって、掌紋領域特定方法の例2では、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根関節座標と手首の付け根関節座標とのうち、手首と親指とのうち少なくとも一方の付け根関節座標を含めれば、これ以外の他のいずれの付け根関節座標を含む3点以上の付け根関節座標を使用して掌紋領域を特定することができる。3点から6点までのうち何点の付け根関節座標を使用するのかと、特定関節の組合せとは予め設定される。例えば、3点の付け根関節座標を使用する場合、5本の指(親指、人差し指、中指、薬指及び小指)の付け根の関節と手首の付け根の関節とのうち、手首と親指とのうち少なくとも一方を含む3点の関節(例えば、手首と親指と人差し指の各付け根の関節)が特定関節の組合せに予め設定される。
【0084】
(掌紋領域頂点座標算出方法)
掌紋領域特定方法の例2に係る掌紋領域頂点座標算出方法について、以下に、使用する付け根関節座標の数が3点から6点までをそれぞれ場合分けして説明する。
【0085】
(3点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域頂点座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した付け根関節座標であって手首の付け根関節座標と親指の付け根関節座標とのうち少なくとも一方を含む3点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する。3点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の各頂点の座標W1,W2,W3,W4は、次の(16)式により算出される。
【0086】
【0087】
上記(16)式において、3点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,Bがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4)は予め設定される。係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4)は、3点の特定関節の組合せ毎に個別の値である。
【0088】
例えば、3点の特定関節が手首の付け根関節(付け根関節座標O)と親指の付け根関節(付け根関節座標A)と人差し指の付け根関節(付け根関節座標B)である場合、
図8に示されるように掌紋領域の各頂点の座標W1,W2,W3,W4が算出される。
図8の例では、係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4)は「wa1=-1.5、wa2=0、wa3=1、wa4=-0.5、wb1=1、wb2=1、wb3=0.3、wb4=0.3」である。
【0089】
(4点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域頂点座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した付け根関節座標であって手首の付け根関節座標と親指の付け根関節座標とのうち少なくとも一方を含む4点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する。4点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の各頂点の座標W1,W2,W3,W4は、次の(17)式により算出される。
【0090】
【0091】
上記(17)式において、4点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,Cがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4,c1,c2,c3,c4)は、4点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0092】
(5点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域頂点座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した付け根関節座標であって手首の付け根関節座標と親指の付け根関節座標とのうち少なくとも一方を含む5点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する。5点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の各頂点の座標W1,W2,W3,W4は、次の(18)式により算出される。
【0093】
【0094】
上記(18)式において、5点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,Dがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4,c1,c2,c3,c4,d1,d2,d3,d4)は、5点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0095】
(6点の付け根関節座標を使用する場合の掌紋領域頂点座標算出方法)
掌紋領域特定部12は、骨格情報取得部11が取得した付け根関節座標であって手首の付け根関節座標と親指の付け根関節座標とのうち少なくとも一方を含む6点の付け根関節座標に基づいて、掌紋領域の各頂点の座標を算出する。6点の付け根関節座標を使用する場合、掌紋領域の各頂点の座標W1,W2,W3,W4は、次の(19)式により算出される。
【0096】
【0097】
上記(19)式において、6点の付け根関節座標のうち、Oが1つの付け根関節座標であり、A,B,C,D,Eがそれぞれ他の付け根関節座標である。「a→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Aへのベクトルである。「b→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Bへのベクトルである。「c→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Cへのベクトルである。「d→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Dへのベクトルである。「e→」は、付け根関節座標Oから付け根関節座標Eへのベクトルである。係数wi(i=a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4,c1,c2,c3,c4,d1,d2,d3,d4,e1,e2,e3,e4)は、6点の特定関節の組合せ毎に個別の値であって予め設定される。
【0098】
なお、上述した掌紋領域頂点座標算出方法では、手首と親指とのうち少なくとも一方の付け根関節座標を含む3点以上の付け根関節座標を用いることによって、手のひらを撮影するカメラに対する奥行きの変化に対応することができる。例えば、手首側はカメラに近いが、指先側はカメラから遠く離れている場合であっても、撮影された画像から掌紋領域の各頂点の座標を算出することができる。
【0099】
掌紋領域特定部12は、上述した掌紋領域特定方法の例1又は例2を使用して掌紋領域を特定する。掌紋領域特定部12が掌紋領域特定方法の例2によって掌紋領域を特定する場合、特定された掌紋領域から掌紋領域の中心座標及び回転角度を算出する。掌紋領域特定部12は、特定した掌紋領域と、掌紋領域の中心座標及び回転角度とを示す掌紋領域情報120を出力部13へ渡す。
【0100】
[掌紋画像出力方法]
本実施形態に係る出力部13が掌紋画像130を出力する掌紋画像出力方法を説明する。出力部13は、掌紋領域特定部12から渡された掌紋領域情報120に基づいて、入力画像100のうち掌紋領域特定部12が特定した掌紋領域を含む掌紋画像130を出力する。このとき、出力部13は、回転補正、歪み補正及びリサイズを施した掌紋画像130を出力する。以下、回転補正方法、歪み補正方法及びリサイズ方法について説明する。
【0101】
(回転補正方法)
出力部13は、
図9や
図10に示されるように、掌紋領域特定部12が特定した掌紋領域の中心座標Xを回転軸にして掌紋領域の回転角度θだけ回転された入力画像100から掌紋画像130を出力する。この回転補正によって、撮影時にカメラに対して被写体の手のひらを任意に回転させたとしても、一定の回転状態である掌紋画像130を作成することができる。
【0102】
(歪み補正方法)
出力部13は、入力画像100の掌紋領域に対して歪みを補正し、補正された掌紋画像130を出力する。出力部13は、
図11や
図12に示されるように、掌紋領域特定部12が特定した掌紋領域を射影変換することにより歪みを補正する。この歪み補正によって、撮影時に被写体の手のひらがカメラの撮影面に対して水平ではない状態で撮影された入力画像100であっても、被写体の手のひらがカメラの撮影面に対して水平にした状態で撮影された入力画像100と同様の掌紋画像130を作成することができる。
【0103】
(リサイズ方法)
出力部13は、出力部13は、掌紋領域に対して所定のサイズにリサイズし、リサイズされた掌紋画像130を出力する。例えば掌紋認証では指定されたサイズの掌紋画像が必要になるので、出力部13は、その指定サイズにリサイズした掌紋画像130を出力する。掌紋認証の指定サイズとして例えば「160×160」の矩形が指定される。
【0104】
なお、回転補正、歪み補正及びリサイズを実行するか否かは、予め設定される。回転補正、歪み補正及びリサイズのうち、一つ若しくは複数を実行してもよく、又は全てを実行しなくてもよい。
【0105】
本実施形態によれば、掌紋が写っている画像を取得する元の手のひらの画像が撮影される際に、指と指の間を閉じるという制約を不要にすることができる。これにより、ユーザを掌紋により認証する掌紋認証システムにおいて、ユーザの掌紋が写っている画像を取得する際、ユーザが例えばスマートフォンで自分の手のひらを撮影する場合に、指と指の間を閉じて撮影してもらう必要がなく、ユーザの便宜を図る効果が得られる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0107】
また、上述した画像処理装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0108】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…画像処理装置、11…骨格情報取得部、12…掌紋領域特定部、13…出力部