(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】隙間調整用スペーサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240710BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240710BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
E04F13/08 101T
E04G21/18 C
F16B43/00 Z
(21)【出願番号】P 2020210388
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 智弘
(72)【発明者】
【氏名】森嶋 健太
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0224428(US,A1)
【文献】米国特許第04809421(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0054810(US,A1)
【文献】特開2017-075639(JP,A)
【文献】特開2009-253190(JP,A)
【文献】特開2003-336449(JP,A)
【文献】実開平05-071352(JP,U)
【文献】実開平03-089827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08-13/18
E04G 21/18
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間を調整するためのスペーサであって、
薄板状の本体部と、
前記本体部の周縁の一部が切り取られた開口部を備え、前記開口部から前記本体部の略中央を通って前記周縁に対向する他の周縁に向かう方向へ、前記他の周縁に到達することなく設けられたスリット部と、
前記開口部以外において、前記本体部の周縁から外方に突出されるように設けられた突出部と、
を備え
、
前記本体部の形状は、略矩形形状であって、
前記スリット部は、前記本体部の一辺に、前記一辺の一部が切り取られた開口部を備え、
前記突出部は、前記一辺とは異なる二つの他辺の交点に設けられていることを特徴とする、隙間調整用スペーサ。
【請求項2】
隙間を調整するためのスペーサであって、
薄板状の本体部と、
前記本体部の周縁の一部が切り取られた開口部を備え、前記開口部から前記本体部の略中央を通って前記周縁に対向する他の周縁に向かう方向へ、前記他の周縁に到達することなく設けられたスリット部と、
前記開口部以外において、前記本体部の周縁から外方に突出されるように設けられた突出部と、
を備え、
前記本体部に1以上の切取り部が設けられ、前記切取り部の総面積が前記突出部の面積と略同等であ
り、
前記本体部の形状は、略矩形形状であって、
前記スリット部は、前記本体部の一辺に、前記一辺の一部が切り取られた開口部を備え、
前記突出部は、前記一辺とは異なる二つの他辺の交点に設けられていることを特徴とす
る、隙間調整用スペーサ。
【請求項3】
前記二つの他辺の交点を除く他の三つの交点に三角形状の切取り部が形成されているとともに、三つの前記切取り部の総面積と前記突出部の面積とが略同等であることを特徴とする、請求項
1または請求項2に記載の隙間調整用スペーサ。
【請求項4】
一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサを打ち抜く製造方法であって、前記隙間調整用スペーサは、薄板状の本体部と、前記本体部の周縁の一部を開口部としたスリット部と、前記開口部以外において前記本体部の周縁から外方に突出されるように設けられた突出部とを備えるとともに、前記本体部に1以上の切取り部が設けられる場合があり、
前記製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサを同じ方向に隣接させて打ち抜き、
一の隙間調整用スペーサにおける前記突出部は、前記一の隙間調整用スペーサに隣接する他の隙間調整用スペーサの切取り部またはスリット部により形成さ
れ、
前記本体部の形状は略矩形形状であって、前記スリット部は前記本体部の一辺に前記一辺の一部が切り取られた開口部を備え、前記突出部は前記一辺とは異なる二つの他辺の交点に設けられ、前記二つの他辺の交点を除く他の三つの交点に三角形状の切取り部が形成されているとともに三つの前記切取り部の総面積と前記突出部の面積とが略同等であって、
一の隙間調整用スペーサの突出部は、前記一の隙間調整用スペーサの前記突出部に隣接する他の三つの隙間調整用スペーサのそれぞれの三角形状の前記切取り部により形成されることを特徴とする、隙間調整用スペーサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物の外壁を構成する軽量気泡(発砲)コンクリート(ALC:Autoclaved Lightweight aerated Concrete)、コンクリート(RC:Reinforced Concrete)等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサに関し、特に、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さが向上するとともに、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済む隙間調整用スペーサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁下地の屋外側面に複数枚の外装材を縦横に並べて取り付けることによって、外壁を形成することが行われており、外装材を壁下地に取り付けるにあたっては、壁下地の屋外側面に複数個の壁材留具を設け、この壁材留具に外装材を保持するようにしている。しかし、モルタル壁などの不陸の大きい壁下地では、壁下地の屋外面からの各壁材留具の突出位置がバラついてしまうため、外装材を壁材留具に保持することができなかったり、保持できたとしても外装材の間に段差が生じて外壁の屋外側面の平滑性が損なわれたりするという問題があった。そこで、不陸の大きさに応じて壁下地と壁材留具との間に合板等を細かく切断したものを挿入することが行われているが、合板をその都度切断するのは手間であり、また、そのまま合板を挿入する場合はその都度合板を手で押さえながら作業をしないと合板が落下してしまうため、作業が行いにくいという問題があった。
【0003】
そこで、不陸調整用のスペーサを壁下地と壁材留具との間に差し込むことが考えられる。本願出願人により出願された特開2009-161953号公報(特許文献1)は、製造や施工を簡単に行うことができる不陸調整用スペーサを開示する。この不陸調整用スペーサは、外装材を保持するための壁材留具を壁下地にビス等の止着具で固定するにあたって、壁下地の表面の不陸を調整するためのスペーサであって、基板の下辺中央部から基板の重心よりも上方位置にまで達するスリットを形成し、壁材留具を壁下地に固定している止着具をスリットに挿通しながら基板を壁下地と壁材留具との間に上から差し込み自在に形成して成ることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された不陸調整用スペーサは、好評を得ているのであるが、以下の点が問題となる場合があり得る。この不陸調整用スペーサにおいては、壁材留具を壁下地に固定している止着具をスリットに挿通しながら基板を壁下地と壁材留具との間に上から差し込むようにして施工されるのであるが、基板の形状が矩形状であるために、上から差し込むことが難しい場合があったり、奥の方まで差し込むことが難しい場合があったりする。この場合において、基板の形状を矩形状のままで大きくしたり、指先で挟んで挟持する取っ手となる突出部を設けるようにしたりすることも考えられるが、大きくなくても突出部がなくても施工が容易な現場もあり得るし、大きくしたり突出部を設けたりすることにより製造時に材料が無駄になる場合もあり得る。
【0006】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることであり、更に、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済む隙間調整用スペーサおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のある局面に係る隙間調整用スペーサは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のある局面に係る隙間調整用スペーサは、隙間を調整するためのスペーサであって、薄板状の本体部と、前記本体部の周縁の一部が切り取られた開口部を備え、前記開口部から前記本体部の略中央を通って前記周縁に対向する他の周縁に向かう方向へ、前記他の周縁に到達することなく設けられたスリット部と、前記開口部以外において、前記本体部の周縁から外方に突出されるように設けられた突出部と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記本体部に1以上の切取り部が設けられ、前記切取り部の総面積が前記突出部の面積と略同等であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記突出部は、前記スリット部の延長線上であって前記スリット部が到達しない前記他の周縁から外方に突出されるように設けられ、前記突出部が前記スリット部に内包される形状を有し、前記スリット部の面積が前記突出部の面積よりも大きいように構成することができる。
【0009】
さらに好ましくは、前記本体部の形状は、略矩形形状であって、前記スリット部は、前記本体部の一辺に、前記一辺の一部が切り取られた開口部を備え、前記突出部は、前記一辺とは異なる二つの他辺の交点に設けられているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記二つの他辺の交点を除く他の三つの交点に三角形状の切取り部が形成されているとともに、三つの前記切取り部の総面積と前記突出部の面積とが略同等であるように構成することができる。
【0010】
また、本発明の別の局面に係る製造方法は、上述したいずれかの隙間調整用スペーサの製造方法であって、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサを打ち抜く製造方法であって、前記隙間調整用スペーサは、薄板状の本体部と、前記本体部の周縁の一部を開口部としたスリット部と、前記開口部以外において前記本体部の周縁から外方に突出されるように設けられた突出部とを備えるとともに、前記本体部に1以上の切取り部が設けられる場合があり、前記製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサを同じ方向に隣接させて打ち抜き、一の隙間調整用スペーサにおける前記突出部は、前記一の隙間調整用スペーサに隣接する他の隙間調整用スペーサの切取り部またはスリット部により形成される、ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記本体部の形状は略矩形形状であって、前記スリット部は前記本体部の一辺に前記一辺の一部が切り取られた開口部を備え、前記突出部は前記一辺とは異なる二つの他辺の交点に設けられ、前記二つの他辺の交点を除く他の三つの交点に三角形状の切取り部が形成されているとともに三つの前記切取り部の総面積と前記突出部の面積とが略同等であって、一の隙間調整用スペーサの突出部は、前記一の隙間調整用スペーサの前記突出部に隣接する他の三つの隙間調整用スペーサのそれぞれの三角形状の前記切取り部により形成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、例えば、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることであり、更に、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済む隙間調整用スペーサおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る隙間調整用スペーサが好適に使用されて、壁材留具である取付具1000(胴縁1100および補助部材1200)を用いて建築物の外壁100に建築板200を取り付けた改築構造の部分的な立面図である。
【
図2】外壁100の壁面に不陸(凹凸、段差など))がない場合の取付具1000を構成する胴縁1100を止着具であるアンカーボルト130で固定する場合の(A)正面図、(B)立面図、(C)側面図(施工途中)、(D)側面図(施工完了)である。
【
図3】外壁100の壁面に不陸(凹凸、段差など)がある場合の取付具1000を構成する胴縁1100を止着具であるアンカーボルト130で固定する場合の(A)正面図、(B)立面図、(C)側面図(施工途中)、(D)側面図(施工完了その1)、(E)側面図(施工完了その2)である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ10およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ15についての正面図である。
【
図5】隙間調整用スペーサ15を用いて外壁100の壁面にある不陸(凸凹)を調整する施工手順を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ20およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ25についての正面図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ30およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ35についての正面図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ40およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ45についての正面図である。
【
図9】本発明の第5の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ50およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ55についての正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る隙間調整用スペーサおよびその製造方法を、図面に基づき詳しく説明する。
なお、以下の説明においては、建築物の外壁等に用いられる外装材(建築板200)として金属サイディングを採用して、この金属サイディングを保持するための壁材留具に胴縁を採用して、この胴縁を外壁に固定する止着具としてアンカーボルトを採用するものとして説明するが、本発明に係る隙間調整用スペーサはこのような金属サイディング、胴縁、アンカーボルトに限定して用いられるものではない。また、以下の説明においては、建築物の外壁を構成するALC、RC等の既存の壁面を改築するにあたり建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を既存の壁面に取り付ける場合に本発明に係る隙間調整用スペーサが用いられるものとして説明するが、このように壁面を改築するのではなく、建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を新築の壁面に取り付ける場合に本発明に係る隙間調整用スペーサを用いるものであっても構わない。すなわち、本発明に係る隙間調整用スペーサは、金属サイディングにも、胴縁にも、アンカーボルトにも、改築時(リフォーム時)にも新築時にも限定して用いられるものではなく、少なくとも止着具(アンカーボルト、釘、ビス、ネジ等)により止め着けるものであれば本発明に含まれる。
【0015】
図1(A)に取付具1000を用いて建築物の外壁100の壁面に建築板200を取り付けた改築構造の部分的な立面図を、
図1(B)に建築板200の側面図を、
図1(C)に
図1(B)の拡大図を、それぞれ示す。この
図1に示すように、建築板200の一例である金属サイディングは、建築物に用いる外壁を構成する建築材であって、その全体形状は、正面視で略長方形形状(略矩形形状)であって、その長手方向の寸法Lを4000(相対値であって絶対値ではない)とすると、短手方向(働き幅)Hが360~580で厚みtが14~23の形状を備え、たとえばその絶対値としては長手方向L4000mmまたはL3030mmで、短手方向H430mm(上側嵌合部220および下側嵌合部210を除く働き幅400mm)で、厚みt16mmである。このような形状を備えるとともに、長手方向を水平方向に一致させた場合に上下端部にオスメス連結構造(オス側の上側嵌合部220およびメス側の下側嵌合部210)を有して連結構造が安定する等の特徴を備えた外壁材である。
【0016】
この取付具1000は、建築物における外壁の一例であるALC製の外壁100の壁面に建築板200を取り付けるための取付具1000であって、この取付具1000は、胴縁1100と補助部材1200とを含み、胴縁1100は、長尺(たとえば3600mm
程度)に形成されている。そして、この胴縁1100が止着具(アンカーボルト130)により一定間隔で外壁100の壁面に固定されている。このように胴縁1100を外壁100の壁面に止着具で固定する場合において、外壁100の壁面に不陸(凸凹)がある場合に、本発明に係る隙間調整用スペーサが好適に用いられて、外壁100の壁面に不陸(凸凹)があったとしても壁材留具(ここでは胴縁1100)の突出位置がバラつくことがないために、建築板200(金属サイディング)を壁材留具(胴縁1100)に確実に保持することができたり、建築板200(金属サイディング)の間に段差が生じることがなく外壁の屋外側面の平滑性が損なわれたりすることもなくなる。
【0017】
なお、本実施の形態においては、外装材(建築板200(金属サイディング))を保持するための壁材留具としての胴縁1100を外壁100の壁下地(壁面)に止着具(アンカーボルト130)で固定する場合において壁下地の表面の隙間を調整するために(不陸(凹凸、段差など)をなくするために)、本発明に係る隙間調整用のスペーサを用いることを説明するが、本発明に係る隙間調整用スペーサは(上述したように)このような胴縁およびアンカーボルトに限定されて使用されるものではない。
【0018】
また、
図1においては、取付具1000の長尺方向を鉛直(垂直と記載する場合がある)方向に一致させて、建築板200の一例である金属サイディングの長手方向が水平方向に一致する「横張り」で施工された改築構造を示している。しかしながら、本発明に係る隙間調整用スペーサは、取付具1000の長尺方向を水平方向に一致させて、建築板200の一例である金属サイディングの長手方向が垂直方向に一致する「縦張り」で施工された改築構造に適用されるものであっても構わず、その場合には
図1を90度回転させた図となる。すなわち、本発明に係る隙間調整用スペーサは、建築板200(金属サイディング)の長手方向が水平方向に一致する「横張り」であって縦張りされる胴縁1100をアンカーボルト130で外壁100に固定する場合の外壁100の壁面における不陸(凹凸、段差など)を調整するために使用されるものであっても構わないし、建築板200(金属サイディング)の長手方向が垂直方向に一致する「縦張り」であって横張りされる胴縁1100をアンカーボルト130で外壁100に固定する場合の外壁100の壁面における不陸(凹凸、段差など)を調整するものであっても構わないし、これら以外に用いられるものであっても構わず、本発明に係る隙間調整用スペーサは、外装材(ここでは建築板200(金属サイディング))を保持するための壁材留具(ここでは胴縁1100)を外壁100の壁下地(壁面)に止着具(ここではアンカーボルト130)で固定する場合において壁下地の表面の隙間を調整するために(不陸(凹凸、段差など)をなくするために)用いられる。
【0019】
図1に示す、建築板200(金属サイディング)の長手方向が水平方向に一致する「横張り」であって縦張りされる胴縁1100をアンカーボルト130で外壁100に固定する場合における、外壁100の壁下地(壁面)における不陸(凹凸、段差など)およびその不陸(凹凸、段差など)が及ぼす影響について、外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)がない場合を示す
図2および外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)がある場合を示す
図3を参照して、説明する。ここで、
図2および
図3は、胴縁1100を止着具であるアンカーボルト130で固定する場合の図であって、
図2(A)および
図3(A)がその正面図であって、
図2(B)および
図3(B)がその立面図であって、
図2(C)および
図3(C)がその側面図(施工途中)であって、
図2(D)ならびに
図3(D)および
図3(E)がその側面図(施工完了)である。
【0020】
図2に示すように、外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)がない場合(上方の壁下地(壁面)の表面位置と中程の壁下地(壁面)の表面位置と下方の壁下地(壁面)の表面位置とが同じ表面位置を示す白抜き三角印で示されている)には、胴縁1100を外壁100にアンカーボルト130で固定して(本発明に係る隙間調整用スペーサを用いることなく)外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)がないのであるから、壁材留具(ここでは胴縁1100)の突出位置がバラつくことがないために、建築板200(金属サイディング)を壁材留具(胴縁1100)に確実に保持することができたり、建築板200(金属サイディング)の間に段差が生じることがなく外壁の屋外側面の平滑性が損なわれたりすることもなくなる。
【0021】
一方、
図3に示すように、外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)がある場合(上方と下方の壁下地(壁面)の表面位置を示す白抜き三角印とその間の中程の壁下地(壁面)の表面位置を示す黒塗り三角印とで表面位置が異なるように示されている)には、胴縁1100を外壁100にアンカーボルト130で固定して(本発明に係る隙間調整用スペーサを用いなければ)外壁100の壁下地(壁面)に不陸(凹凸、段差など)があるのであるから、壁材留具(ここでは胴縁1100)の突出位置がバラつくことになるために、建築板200(金属サイディング)を壁材留具(胴縁1100)に確実に保持することができなくなったり、建築板200(金属サイディング)の間に段差が生じて外壁の屋外側面の平滑性が損なわれたりすることになる。また、無理に胴縁1100の直線性を保とうとすると、胴縁1100と外壁100の壁下地との間に隙間が生じ、胴縁1100を確実に固定することができなくなる(
図3(E))。
【0022】
なお、本発明に係る隙間調整用スペーサは、外壁100の壁下地(壁面)に生じている不陸(凸凹、段差など)の発生理由については限定されるものではないので(たとえば外壁に設けられる複数のパネルの継ぎ目が発生理由の1つとして挙げられるが本発明においては発生理由は不問であるので)、
図3においては容易に理解できるように不陸DSが外壁100の壁下地の中程に生じていることのみで(かつ不陸DSが理想的に視認できる状態で)示している。
【0023】
ここで、
図3に示す外壁100の壁下地(壁面)に不陸DSがある場合に本発明に係る隙間調整用スペーサを用いた基本的な施工方法について先に説明する。すなわち、外壁100の壁下地(壁面)の凹んだ箇所(不陸DS)に取り付けられる壁材留具(胴縁1100)に対して本発明に係る隙間調整用スペーサを使用するものである。なお、本発明に係る隙間調整用スペーサは、基本的な構成として、以下を備える。本発明に係る隙間調整用スペーサは、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁の一部が切り取られた開口部KKを備え、開口部KKから本体部Hの略中央CCを通って周縁に対向する他の周縁に向かう方向へ、他の周縁に到達することなく設けられたスリット部Sと、開口部KK以外において、本体部Hの周縁から外方に突出されるように設けられた突出部Tとを備えてなる。
【0024】
このような構成を備えた隙間調整用スペーサを用いた基本的な施工方法は、止着具(アンカーボルト130)を完全に打ち込まず締め付けない仮留め状態にして壁材留具(胴縁1100)も仮留めする。この後、本発明に係る隙間調整用スペーサのスリット部Sに、スリット部Sの下端の開口部KKから仮留め状態の止着具(アンカーボルト130)を挿通しながら、仮留めされている胴縁1100と外壁100の壁下地(壁面)との間の隙間(不陸DS)に本体部Hを差し込んでいく。さらに、止着具(アンカーボルト130)がスリット部Sの上端に達したら、止着具(アンカーボルト130)を締め付けて完全に外壁100の壁下地(壁面)に打ち込むようにする。
【0025】
これにより、止着具(アンカーボルト130)で壁材留具(胴縁1100)と隙間調整用スペーサとを外壁100の壁下地(壁面)に固定することができるとともに隙間調整用スペーサの厚みで外壁100の壁下地(壁面)の表面の不陸を吸収することができる。このようにして、本発明に係る隙間調整用スペーサを用いることにより、外壁100の壁下地(壁面)に不陸DSがあってもその不陸DSが本発明に係る隙間調整用スペーサにより吸収されて、壁材留具(ここでは胴縁1100)の突出位置がバラつくことがないために、建築板200(金属サイディング)を壁材留具(胴縁1100)に確実に保持することができたり、建築板200(金属サイディング)の間に段差が生じることがなく外壁の屋外側面の平滑性が損なわれたりすることもなくなる。
【0026】
このように、建築板200(金属サイディング)を(直接的でも間接的でも構わない)保持するための壁材留具(胴縁1100)を外壁100の壁下地(壁面)に止着具(アンカーボルト130)で固定するにあたり、外壁100の壁下地(壁面)に不陸DSが生じている場合に好適に用いられる本発明の実施の形態に係る隙間調整用スペーサおよびその製造方法について、以下に、詳しく説明する。より具体的には、
図4および
図5を参照して第1の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ10およびその変形例に係る隙間調整用ス
ペーサ15ならびに隙間調整用スペーサ15の製造方法を、
図6を参照して第2の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ20およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ25ならびに隙間調整用スペーサ25の製造方法を、
図7を参照して第3の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ30およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ35ならびに隙間調整用スペーサ35の製造方法を、
図8を参照して第4の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ40およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ45ならびに隙間調整用スペーサ45の製造方法を、
図9を参照して第5の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ50およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ55ならびに隙間調整用スペーサ55の製造方法を、それぞれ詳しく説明する。ここで、第1の実施の形態~第5の実施の形態において、同じ構造については同じ符号を付している。それらについての説明は、先に説明した実施の形態における説明と重複するために、後で説明する実施の形態においては繰り返して説明していない。
【0027】
<第1の実施の形態>
図4および
図5を参照して、第1の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ10およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ15ならびに隙間調整用スペーサ15の製造方法について説明する。
・隙間調整用スペーサ
これらの隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15は、外装材である建築板200(金属サイディング)を保持するための壁材留具(胴縁1100)を外壁100の壁下地(壁面)に止着具(アンカーボルト130)で固定するにあたって、外壁100の壁下地(壁面)の表面の隙間(不陸(凸凹、段差など))を調整するためのスペーサである。
図4(A)および
図4(B)に示すように、これらの隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁11の一部が切り取られた開口部KKを備え、開口部KKから本体部Hの略中央CCを通って周縁11に対向する他の周縁12に向かう方向へ、他の周縁12に到達することなく設けられたスリット部Sと、開口部KK以外において、本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように設けられた突出部Tと、を備えてなる。この突出部Tの形状は、斜めに傾斜した略矩形形状である。
【0028】
ここで、
図4(B)に示す隙間調整用スペーサ15は、本体部Hに1以上の切取り部Kが設けられ、切取り部Kの総面積(ここでは3つの切取り部Kの合計面積)が突出部Tの面積と略同等である。
また、
図4(A)に示す隙間調整用スペーサ10および
図4(B)に示す隙間調整用スペーサ15においては、本体部Hの形状は、略矩形形状であって、スリット部Sは、本体部Hの一辺である周縁11に、その一辺である周縁11の一部が切り取られた開口部KKを備え、突出部Tは、その一辺である周縁11とは異なる二つの他辺(他辺である周縁12とさらに別の他辺である周縁14)の交点KTに設けられている。
【0029】
ここで、
図4(B)に示す隙間調整用スペーサ15は、
図4(C)に示すように、突出部Tが設けられる二つの他辺の交点KT(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)を除く他の三つの交点(すなわち交点KTを除く略矩形の3つの角である略矩形を構成する一辺である周縁12と周縁13との交点である角、一辺である周縁13と周縁11との交点である角、一辺である周縁11と周縁14との交点である角)に三角形状の切取り部Kが形成されているとともに、三つの切取り部Kの総面積と突出部Tの面積とが略同等である。すなわち、
図4(C)に示すように、隙間調整用スペーサ15Aの突出部Tの面積TSは、この隙間調整用スペーサ15Aにその上側で隣接する隙間調整用スペーサ15R1の切欠き部15R1Kの三角形面積KS1と、この隙間調整用スペーサ15Aにその斜め上側で隣接する隙間調整用スペーサ15R2の切欠き部15R2Kの三角形面積KS2と、この隙間調整用スペーサ15Aにその右側で隣接する隙間調整用スペーサ15R3の切欠き部15R3Kの三角形面積KS3との合計と略同等(TS≒KS1+KS2+KS3)である。
【0030】
ここで、スリット部Sの幅については、W(1)<W(2)であって、アンカーボルト
130がスリット部Sの上端まで差し込まれた後にはアンカーボルト130から隙間調整用スペーサが抜けにくくすることができ、隙間調整用スペーサの脱落を防止することができるものである。なお、スリット部Sの幅の絶対値はアンカーボルト130の規格に対応させている。
【0031】
また、これらの隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15における本体部Hは、例えば、発泡系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂材料、ステンレススチール、アルミニウム、鉄などの金属材料を用いた薄板状の形状を備える。好ましくは、正方形や長方形などの略矩形状に形成することも好ましい。本体部Hの大きさは特に限定されるものではないが、壁材留具である胴縁1100の大きさを考慮して形成することが好ましい。限定されるものではないが、たとえば、本体部Hの大きさが縦60mm×横48mm程度の場合において、厚み約2mm程度である。また、ALCに対応するアンカーボルト130の規格の中の最大太さである12mmに対して、スリット部Sの幅についてはW(1)=12mm、幅W(2)=14mmと設定することが好ましい。また、本体部Hの厚みは、たとえば、2mm、5mm、10mmなどの様々な厚みのものを形成し、不陸(凸凹、段差DS)の度合いに応じて使用する隙間調整用スペーサの種類の組み合わせや枚数を変えることができる。なお、本体部Hを含めてこの隙間調整スペーサの厚みは均一で、略中央CCが(スリット部S、突出部Tおよび切欠き部Kを考慮しても)重心点となる。
【0032】
ここで、上述した素材の中で(発泡系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂材料であって特に3倍発泡ポリプロピレン)を採用することにより、本体部Hが様々な厚みの隙間調整用スペーサを準備して枚数および厚みを組み合わせて施工するとともに、実際に発生している不陸(凸凹、段差など)は隙間調整用スペーサの厚さと同じにできるとは限らないので(厚みの異なる隙間調整用スペーサをどのように組み合わせたとしても実際に発生している不陸(凸凹、段差など)と同じ厚みにできない可能性があるので)、柔軟性のある上記の素材を使うことで、アンカーボルト130を締め込むことにより、胴縁1100と外壁100との間で隙間調整用スペーサが圧縮されて微調整される点で好ましい。
【0033】
・隙間調整用スペーサ15の製造方法
図4(B)および
図4(C)を参照して、隙間調整用スペーサ15の製造方法について詳しく説明する。
この隙間調整用スペーサ15の製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ15を打ち抜く製造方法であって、隙間調整用スペーサ15は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁11の一部を開口部KKとしたスリット部Sと、開口部KK以外において本体部Hの周縁から外方に突出されるように設けられた突出部Tとを備えるとともに、本体部に1以上(ここでは3)の切取り部Kが設けられ、この隙間調整用スペーサ15の製造方法は、
図4(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ15を同じ方向に隣接させて打ち抜く。隣接させる場合であっても、打ち抜き刃物の刃幅が0ではないために、たとえば、本体部Hの大きさが縦60mm×横48mm程度の場合において約4mm程度(本体部Hの短手方向寸法の約8%程度)の間隔を空けて隣接されて打ち抜かれることになる。
【0034】
この場合において、
図4(C)の黒矢示および白矢示で示すように、一の隙間調整用スペーサ15Aにおける突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ15Aに隣接する他の(3つの)隙間調整用スペーサ15R1、隙間調整用スペーサ15R2および隙間調整用スペーサ15R3の切取り部Kにより形成される。
さらに、隙間調整用スペーサ15においては、本体部Hの形状は略矩形形状であって、スリット部Sは本体部Hの一辺である周縁11に一辺である周縁11の一部が切り取られた開口部KKを備え、突出部Tは、その一辺である周縁11とは異なる二つの他辺(他辺である周縁12とさらに別の他辺である周縁14)の交点KTに設けられ、突出部Tが設けられる二つの他辺の交点KT(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)を除く他の三つの交点(すなわち交点KTを除く略矩形の3つの角)に三角形状の切取り部Kが形成
されているとともに、三つの切取り部Kの総面積と突出部Tの面積とが略同等(上述したTS≒KS1+KS2+KS3)である場合において、この隙間調整用スペーサ15の製造方法は、
図4(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ15を同じ方向に隣接させて打ち抜く。この場合において、
図4(C)の黒矢示および白矢示で示すように、一の隙間調整用スペーサ15Aにおける突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ15Aに隣接する他の隙間調整用スペーサ15R1、隙間調整用スペーサ15R2および隙間調整用スペーサ15R3の切取り部Kにより形成される。
【0035】
・隙間調整用スペーサ15の施工方法
図5を参照して、隙間調整用スペーサ15の施工方法について詳しく説明する。上述したような特徴的な構成を備えた隙間調整用スペーサ15について、上述した基本的な施工方法に加えて説明するものである。なお、
図5(A)、
図5(B)および
図5(C)に示す状態は、上述した基本的な施工方法における、止着具(アンカーボルト130)を完全に打ち込まず締め付けない仮留め状態にして壁材留具(胴縁1100)も仮留めした状態である。この後、
図5(A)に示すように、本実施の形態の変形例に係る隙間調整用スペーサ15の突出部Tを手指で挟んで隙間調整用スペーサ15を挟持して、スリット部Sが略斜めになるように隙間調整用スペーサ15を斜め状態に傾けて、スリット部Sの下端の開口部KKから仮留め状態の止着具(アンカーボルト130)をスリット部Sに挿通しながら(アンカーボルト130に隙間調整用スペーサ15をそのスリット部Sに引っ掛けて)、仮留めされている胴縁1100と外壁100の壁下地(壁面)との間の隙間(不陸DS)に本体部Hを差し込んでいく。このとき、斜め状態の隙間調整用スペーサ15を
図5(C)に示すようにスリット部Sが最終的には鉛直方向(上下方向)に向くように隙間調整用スペーサ15を徐々に起き上がらせるようにして(斜め状態を鉛直状態へ変更させながら)、隙間調整用スペーサ15のスリット部Sの下側から上側へアンカーボルト130を差し込んでいく。そして、止着具(アンカーボルト130)がスリット部Sの上端に達したら、止着具(アンカーボルト130)を締め付けて完全に外壁100の壁下地(壁面)に打ち込むようにする。このとき、
図5(C)に示すように、隙間調整用スペーサ15のスリット部Sは鉛直方向(上下方向)に向いている。
【0036】
この場合において、止着具(アンカーボルト130)を締め付ける前において、(1)開口部KKから本体部Hの略中央CCを通って(略中央CCよりも上側に)スリット部Sの終端が設けられており、スリット部Sの終端に止着具(アンカーボルト130)が到達している状態では、この隙間調整スペーサの厚みは均一で略中央CCが重心点になるために自転することがないので止着具(アンカーボルト130)がスリット部Sから脱落(隙間調整スペーサが落下)することを回避することができて、(2)スリット部Sの幅をW(1)<W(2)としているので止着具(アンカーボルト130)がスリット部Sから脱落(隙間調整スペーサが落下)することを回避することができて、止着具(アンカーボルト130)を締め付けて完全に外壁100の壁下地(壁面)に打ち込むまでに、隙間調整スペーサが自転したり落下したりすることなく、不陸を好適に解消することができる。
【0037】
以上のようにして、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15によると、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることができる。本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ15および隙間調整用スペーサ15の製造方法によると、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済むことができる。
【0038】
<第2の実施の形態>
図6を参照して、第2の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ20およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ25ならびに隙間調整用スペーサ25の製造方法について説明する。上述した実施の形態と同じ構造については同じ符号を付してあり、それらについての説明は、上述した実施の形態における説明と重複するために、本実施の形態においては繰り返して説明していない。
図6(A)は
図4(A)に、
図6(B)は
図4(B)に、
図6(C)は
図4(C)に、それぞれ対応し、隙間調整用スペーサ20は隙間調整用スペーサ10に、隙間調整用スペーサ25は隙間調整用スペーサ15に、それぞれ対応する。
【0039】
隙間調整用スペーサ20および隙間調整用スペーサ25は、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15と同じく、略矩形状の本体部Hおよび本体部Hの同じ位置に同じ形状のスリット部Sを備える。
隙間調整用スペーサ10に対応する隙間調整用スペーサ20は、突出部Tの位置および形状が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ10においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ20においては開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁14)から外方に突出されるように突出部Tが設けられている。また、この突出部Tの形状は、底辺を周縁14とした略二等辺三角形形状である。
【0040】
隙間調整用スペーサ15に対応する隙間調整用スペーサ25は、突出部Tの位置および形状が異なることに加えて、切欠き部Kの位置、個数、形状が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ15においては、突出部Tが設けられる二つの他辺の交点KT(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)を除く他の三つの交点(すなわち交点KTを除く略矩形の3つの角である略矩形を構成する一辺である周縁12と周縁13との交点である角、一辺である周縁13と周縁11との交点である角、一辺である周縁11と周縁14との交点である角)に三角形状の切取り部Kが形成されていたが(さらに、三つの切取り部Kの総面積と突出部Tの面積とが略同等)、隙間調整用スペーサ25においては開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁13)から内方に引っ込むように切欠き部Kが1つだけ設けられている。また、この切欠き部Kの形状は、突出部Tと同じ(底辺を周縁13とした)略二等辺三角形形状である。
【0041】
図6(B)および
図6(C)を参照して、隙間調整用スペーサ25の製造方法について(隙間調整用スペーサ15との違いのみを)説明する。
この隙間調整用スペーサ25の製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ25を打ち抜く製造方法であって、隙間調整用スペーサ25は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁11の一部を開口部KKとしたスリット部Sと、開口部KK以外において本体部Hの周縁から外方に突出されるように設けられた突出部Tとを備えるとともに、本体部に1以上(ここでは1)の切取り部Kが設けられ、この隙間調整用スペーサ25の製造方法は、
図6(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ25を同じ方向に隣接させて打ち抜く。
【0042】
この場合において、
図6(C)に示すように、一の隙間調整用スペーサ25における突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ25に隣接する1つの隙間調整用スペーサ25の切取り部Kにより形成される。
以上のようにして、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ20および隙間調整用スペーサ25によると、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることができる。本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ25および隙間調整用スペーサ25の製造方法によると、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済むことができる。
【0043】
<第3の実施の形態>
図7を参照して、第3の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ30およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ35ならびに隙間調整用スペーサ35の製造方法について説明する。上述した実施の形態と同じ構造については同じ符号を付してあり、それらについての説明は、上述した実施の形態における説明と重複するために、本実施の形態においては繰り返して説明していない。
図7(A)は
図4(A)に、
図7(B)は
図4(B)に、
図7(C)は
図4(C)に、
それぞれ対応し、隙間調整用スペーサ30は隙間調整用スペーサ10に、隙間調整用スペーサ35は隙間調整用スペーサ15に、それぞれ対応する。
【0044】
隙間調整用スペーサ30および隙間調整用スペーサ35は、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15とは異なり略矩形状ではなく上部が円弧状に刳り抜かれた本体部Hを備え、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15と同じく本体部Hの同じ位置に同じ形状のスリット部Sを備える。このため、隙間調整用スペーサ30および隙間調整用スペーサ35のスリット部Sを含む本体部Hは、逆U字形状を備えるものとなる。なお、隙間調整用スペーサ30および隙間調整用スペーサ35の本体部Hは、開口部KKが設けられる周縁31、周縁31に連結される左右の周縁33および周縁34、ならびに、左右の周縁33および周縁34に連結された半円の円弧状の(突出部Tが設けられる)周縁32により形成される。なお、本実施の形態においては、半円の円弧状の周縁32としたが、これに限定されるものではなく、例えば、左右の周縁33および周縁34に連結された箇所がR状に形成されるものなども含まれる。
【0045】
隙間調整用スペーサ10に対応する隙間調整用スペーサ30は、突出部Tの位置および形状が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ10においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ30においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円弧状の略斜め部分の周縁(ここでは周縁32)から外方に突出されるように突出部Tが設けられている。
【0046】
隙間調整用スペーサ15に対応する隙間調整用スペーサ35は、突出部Tの位置および形状が異なることに加えて、切欠き部Kを備えない点が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ15においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ35においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円弧状の最上部分の周縁(ここでは周縁32)から外方に(真上に)突出されるように突出部Tが設けられている。また、この突出部Tの形状は、スリット部Sよりも小さい相似形形状である。なお、相似形に限定されるものではなく、隙間調整用スペーサ35においては、突出部Tがスリット部Sに内包される形状(スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きい形状)を備えさえすれば、相似形に限定されるものではない。
【0047】
そして、隙間調整用スペーサ35は、隙間調整用スペーサ15が備えた3つの切欠き部Kを全く備えず、隙間調整用スペーサ35の突出部Tは、スリット部Sの延長線上であってスリット部Sが到達しない他の周縁(ここでは周縁32の最上部)から外方に(真上に)突出されるように設けられ、スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きく、突出部Tがスリット部Sに内包される。
【0048】
図7(B)および
図7(C)を参照して、隙間調整用スペーサ35の製造方法について(隙間調整用スペーサ15との違いのみを)説明する。
この隙間調整用スペーサ35の製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ35を打ち抜く製造方法であって、隙間調整用スペーサ35は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁31の一部を開口部KKとしたスリット部Sと、開口部KK以外において本体部Hの周縁32の最上部から外方に(真上に)突出されるように設けられた突出部Tとを備えるとともに、本体部に切取り部Kが設けられず、この隙間調整用スペーサ35の製造方法は、
図7(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ35を同じ方向に隣接させて打ち抜く。
この場合において、
図7(C)に示すように、一の隙間調整用スペーサ35における突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ35に隣接する1つの隙間調整用スペーサ35のスリット部Sにより形成される。
【0049】
以上のようにして、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ30および隙間調整用スペーサ35によると、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることができる。本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ35および隙間調整用スペーサ35の製造方法によると、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済むことができる。
【0050】
<第4の実施の形態>
図8を参照して、第4の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ40およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ45ならびに隙間調整用スペーサ45の製造方法について説明する。上述した実施の形態と同じ構造については同じ符号を付してあり、それらについての説明は、上述した実施の形態における説明と重複するために、本実施の形態においては繰り返して説明していない。
図8(A)は
図4(A)に、
図8(B)は
図4(B)に、
図8(C)は
図4(C)に、それぞれ対応し、隙間調整用スペーサ40は隙間調整用スペーサ10に、隙間調整用スペーサ45は隙間調整用スペーサ15に、それぞれ対応する。
【0051】
隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45は、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15とは異なり略矩形状ではなく全円状の本体部Hを備え、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15と同じく本体部Hの同じ位置に同じ形状のスリット部Sを備える。このため、隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45のスリット部Sを含む本体部Hは、全円形状を備えるものとなる。なお、隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45の本体部Hは、開口部KKが設けられる周縁41、周縁41に連続する左右の周縁43および周縁44、ならびに、左右の周縁43および周縁44に連続する円弧状の(突出部Tが設けられる)周縁42により形成されていることになり、周縁41、周縁42、周縁43および周縁44により全円における全円周により全周縁を形成する。
【0052】
隙間調整用スペーサ10に対応する隙間調整用スペーサ40は、突出部Tの位置および形状が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ10においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ40においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円周の略斜め部分の周縁(ここでは周縁42)から外方に突出されるように突出部Tが設けられている。
【0053】
隙間調整用スペーサ15に対応する隙間調整用スペーサ45は、突出部Tの位置および形状が異なることに加えて、切欠き部Kを備えない点が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ15においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ45においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円周の最上部分の周縁(ここでは周縁42)から外方に(真上に)突出されるように突出部Tが設けられている。また、この突出部Tの形状は、スリット部Sよりも小さい相似形形状である。なお、相似形に限定されるものではなく、隙間調整用スペーサ45においては、突出部Tがスリット部Sに内包される形状(スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きい形状)を備えさえすれば、相似形に限定されるものではない。
【0054】
そして、隙間調整用スペーサ45は、隙間調整用スペーサ15が備えた3つの切欠き部Kを全く備えず、隙間調整用スペーサ45の突出部Tは、スリット部Sの延長線上であってスリット部Sが到達しない他の周縁(ここでは周縁42の最上部)から外方に(真上に)突出されるように設けられ、スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きく、突出部Tがスリット部Sに内包される。
【0055】
図8(B)および
図8(C)を参照して、隙間調整用スペーサ45の製造方法について(隙間調整用スペーサ15との違いのみを)説明する。
この隙間調整用スペーサ45の製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ45を打ち抜く製造方法であって、隙間調整用スペーサ45は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁41の一部を開口部KKとしたスリット部Sと、開口部KK以外
において本体部Hの周縁42の最上部から外方に(真上に)突出されるように設けられた突出部Tとを備えるとともに、本体部に切取り部Kが設けられず、この隙間調整用スペーサ45の製造方法は、
図7(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ45を同じ方向に隣接させて打ち抜く。
この場合において、
図8(C)に示すように、一の隙間調整用スペーサ45における突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ45に隣接する1つの隙間調整用スペーサ45のスリット部Sにより形成される。
【0056】
以上のようにして、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45によると、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることができる。本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ45および隙間調整用スペーサ45の製造方法によると、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済むことができる。
【0057】
また、本体部Hを全円形状とすることで、隙間調整用スペーサ45を複数枚重ねて使用する場合に、突出部Tの位置がずれていても本体部Hはきれいに重なるため、より安定して隙間を調整することができるとともに、全ての隙間調整用スペーサ45がしっかりと奥まで挿入されているか確認しやすくなる。
【0058】
<第5の実施の形態>
図9を参照して、第5の実施の形態に係る隙間調整用スペーサ50およびその変形例に係る隙間調整用スペーサ55ならびに隙間調整用スペーサ55の製造方法について説明する。上述した実施の形態と同じ構造については同じ符号を付してあり、それらについての説明は、上述した実施の形態における説明と重複するために、本実施の形態においては繰り返して説明していない。
図9(A)は
図4(A)に、
図9(B)は
図4(B)に、
図9(C)は
図4(C)に、それぞれ対応し、隙間調整用スペーサ50は隙間調整用スペーサ10に、隙間調整用スペーサ55は隙間調整用スペーサ15に、それぞれ対応する。
【0059】
隙間調整用スペーサ50および隙間調整用スペーサ55は、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15とは異なり略矩形状ではなくドーナツ状(全円周で隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45と同じく外形の周縁が形成されるとともに内円が打ち抜かれている形状)の本体部Hを備え、対応する隙間調整用スペーサ10および隙間調整用スペーサ15と同じく本体部Hの同じ位置に同じ形状のスリット部Sを備え、このスリット部Sが本体部Hの内円に連結されている。このため、隙間調整用スペーサ50および隙間調整用スペーサ55のスリット部Sを含む本体部Hは、ドーナツ形状にスリット部Sを備えるものとなる。なお、隙間調整用スペーサ50および隙間調整用スペーサ55の本体部Hにおける周縁については、隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45の本体部Hにおける周縁と同じであるために、同じ符号(周縁41、周縁42、周縁43および周縁44により全円における全円周により全周縁を形成)を付している。
【0060】
隙間調整用スペーサ10に対応する隙間調整用スペーサ50は、突出部Tの位置および形状が異なる。
より詳しくは、隙間調整用スペーサ10においては、開口部KK以外であって本体部Hの周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ50においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円周の略斜め部分の周縁(ここでは周縁42)から外方に突出されるように突出部Tが設けられている。
隙間調整用スペーサ15に対応する隙間調整用スペーサ55は、突出部Tの位置および形状が異なることに加えて、切欠き部Kを備えない点が異なる。
【0061】
より詳しくは、隙間調整用スペーサ15においては、開口部KK以外であって本体部H
の周縁(ここでは周縁12と周縁14との交点KT)から外方に突出されるように突出部Tが設けられていたが、隙間調整用スペーサ55においては開口部KK以外であって本体部Hの上部の円周の最上部分の周縁(ここでは周縁42)から外方に(真上に)突出されるように突出部Tが設けられている。また、この突出部Tの形状は、スリット部Sよりも小さい相似形形状である。なお、相似形に限定されるものではなく、隙間調整用スペーサ55においては、突出部Tがスリット部Sに内包される形状(スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きい形状)を備えさえすれば、相似形に限定されるものではない。
【0062】
そして、隙間調整用スペーサ55は、隙間調整用スペーサ15が備えた3つの切欠き部Kを全く備えず、隙間調整用スペーサ55の突出部Tは、スリット部Sの延長線上であってスリット部Sが到達しない他の周縁(ここでは周縁42の最上部)から外方に(真上に)突出されるように設けられ、スリット部Sの面積が突出部Tの面積よりも大きく、突出部Tがスリット部Sに内包される。
図9(B)および
図9(C)を参照して、隙間調整用スペーサ55の製造方法について(隙間調整用スペーサ15との違いのみを)説明する。
【0063】
この隙間調整用スペーサ55の製造方法は、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ55を打ち抜く製造方法であって、隙間調整用スペーサ55は、薄板状の本体部Hと、本体部Hの周縁41の一部を開口部KKとしたスリット部Sと、開口部KK以外において本体部Hの周縁42の最上部から外方に(真上に)突出されるように設けられた突出部Tとを備えるとともに、本体部に切取り部Kが設けられず、この隙間調整用スペーサ55の製造方法は、
図7(C)に示すように、一枚の板材から同一形状の複数の隙間調整用スペーサ55を同じ方向に隣接させて打ち抜く。
この場合において、
図9(C)に示すように、一の隙間調整用スペーサ55における突出部Tは、一の隙間調整用スペーサ55に隣接する1つの隙間調整用スペーサ55のスリット部Sにより形成される。
【0064】
なお、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ50および隙間調整用スペーサ55においては、ドーナツ状(全円周で隙間調整用スペーサ40および隙間調整用スペーサ45と同じく外形の周縁が形成されるとともに内円が打ち抜かれている形状)の本体部Hを備え、スリット部Sが本体部Hの内円に連結されているが、
図9(A)および
図9(B)に示すように、スリット部Sの幅については、W(1)<W(2)を満足しており、アンカーボルト130がスリット部Sの上端まで差し込まれた後にはアンカーボルト130から隙間調整用スペーサが抜けにくくすることができ、隙間調整用スペーサの脱落を防止することができるものである。
すなわち、本実施の形態においては、打ち抜かれている内円がスリット部Sの一部を構成するものである。
【0065】
以上のようにして、本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ50および隙間調整用スペーサ55によると、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸、段差など)がある場合に使用する隙間調整用スペーサを、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させることができる。本実施の形態に係る隙間調整用スペーサ55および隙間調整用スペーサ55の製造方法によると、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済むことができる。
【0066】
すなわち、建築物における実施の形態について説明してきたが、これに限定されるものではなく、少なくとも止着具(アンカーボルト、釘、ビス、ネジ等)により止め着けるものであれば本発明に含まれる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、建築物の外壁を構成するALC、RC等の壁面に建築材(板状の建築板、外
壁板、外壁材、外装材等)を取り付ける場合において壁面の不陸(凹凸)がある場合に使用する隙間調整用スペーサに好ましく、隙間を調整するための薄板状の本体部を大きくすることなく奥の方まで差し込むことができるために挿入作業のし易さを向上させるとともに、製造時にできるだけ材料を無駄にせずに済む隙間調整用スペーサに特に好ましい。
【符号の説明】
【0068】
10 (第1の実施の形態に係る)隙間調整用スペーサ
15 (第1の実施の形態の変形例に係る)隙間調整用スペーサ
20 (第2の実施の形態に係る)隙間調整用スペーサ
25 (第2の実施の形態の変形例に係る)隙間調整用スペーサ
30 (第3の実施の形態に係る)隙間調整用スペーサ
35 (第3の実施の形態の変形例に係る)隙間調整用スペーサ
40 (第4の実施の形態に係る)隙間調整用スペーサ
45 (第4の実施の形態の変形例に係る)隙間調整用スペーサ
50 (第5の実施の形態に係る)隙間調整用スペーサ
55 (第5の実施の形態の変形例に係る)隙間調整用スペーサ
100 外壁
130 アンカーボルト
200 建築板
1000 取付具
1100 胴縁
1200 補助部材
H 本体部
T 突出部
S スリット部
KK 開口部
CC 略中央