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特許7518762プリンタ間の色合わせ方法およびプリンタ間の色合わせシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】プリンタ間の色合わせ方法およびプリンタ間の色合わせシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240710BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240710BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
B41J2/525
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020216619
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102089
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 世新
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144497(JP,A)
【文献】特開2013-200877(JP,A)
【文献】特開2020-145659(JP,A)
【文献】特開2007-106047(JP,A)
【文献】特開2020-093484(JP,A)
【文献】特開2011-023991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/00 - 2/005
B41J 2/22 - 2/23
B41J 2/255
B41J 2/30
B41J 2/31
B41J 2/485- 2/495
B41J 2/505- 2/515
B41J 3/00
B41J 3/60
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 13/01
G03G 15/01
G06F 3/09 - 3/12
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/94
H04N 1/40 - 1/409
H04N 1/46 - 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像のデータに基づいて第1プリンタによって印刷される画像と前記入力画像のデータに基づいて第2プリンタによって印刷される画像との色合わせをする方法であって、
前記第1プリンタによってテストチャートを印刷するステップと、
前記第1プリンタによって印刷された前記テストチャートを測色するステップと、
前記テストチャートの測色結果に基づき、前記第2プリンタにおいて使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成するステップと、
前記エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定するステップと、
前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報を前記プライベートタグに書き込むステップと、
前記第2プリンタに前記エミュレーションプロファイルを入力するステップと、
前記第2プリンタに入力された前記エミュレーションプロファイルの前記プライベートタグに書き込まれた情報を読み出すステップと、
前記第2プリンタに前記入力画像のデータを入力するステップと、
前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認するステップと、
前記プライベートタグから読み出した情報のうち前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無に関する確認結果と、を照合するステップと、
を含む、プリンタ間の色合わせ方法。
【請求項2】
前記テストチャートを印刷するステップの前に、前記第1プリンタに入力される前記入力画像のデータに関して埋め込みICCプロファイルの有無を確認するステップと、
前記第1プリンタに入力される前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合、前記テストチャートを印刷するステップの前に、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルと同じ入力ICCプロファイルを前記テストチャートのデータ内に埋め込むステップと、をさらに含む、
請求項1に記載のプリンタ間の色合わせ方法。
【請求項3】
前記プライベートタグに情報を書き込むステップは、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合に前記テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を前記プライベートタグに書き込むことを含んでおり、
前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータに埋め込みICCプロファイルが存在する場合に、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を取得するステップと、
前記プライベートタグから読み出した埋め込みICCプロファイルの識別情報と、前記取得された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報と、を照合するステップと、をさらに含む、
請求項1または2に記載のプリンタ間の色合わせ方法。
【請求項4】
前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが確認された場合に、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除するステップをさらに含む、
請求項1~3のいずれか一つに記載のプリンタ間の色合わせ方法。
【請求項5】
色合わせ元である第1プリンタと、
色合わせ先である第2プリンタと、
前記第1プリンタおよび前記第2プリンタに接続された処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記第1プリンタによって印刷されたテストチャートを測色した測色結果に基づき、前記第2プリンタにおいて使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成する第1処理部と、
前記エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定するとともに、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報を前記プライベートタグに書き込む第2処理部と、
前記第2プリンタに入力された前記エミュレーションプロファイルの前記プライベートタグに書き込まれた情報を読み出す第3処理部と、
前記第2プリンタに入力された入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認する第4処理部と、
前記第3処理部によって読み出された情報のうち前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、前記第4処理部によって確認された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、を照合する第5処理部と、
を備えている、プリンタ間の色合わせシステム。
【請求項6】
前記処理装置は、
前記第1プリンタに入力された前記入力画像のデータに関して埋め込みICCプロファイルの有無を確認する第6処理部と、
前記第1プリンタに入力された前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが前記第6処理部によって確認された場合に、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルと同じ入力ICCプロファイルを前記テストチャートのデータ内に埋め込む第7処理部と、を備えている、
請求項5に記載の複数のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項7】
前記処理装置は、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在しないことが前記第3処理部によって確認され、かつ、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが前記第4処理部によって確認された場合に、第1の警告を発する第1警告部を備えている、
請求項5または6に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項8】
前記処理装置は、
前記第1警告部によって前記第1の警告が発せられた場合に、前記第2プリンタによって前記入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第1入力画面を表示する第1入力部と、
前記第2プリンタによって前記入力画像の印刷を行うことが前記第1入力部に入力された場合に、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する第8処理部と、をさらに備えている、
請求項7に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが前記第3処理部によって確認され、かつ、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在しないことが前記第4処理部によって確認された場合に、第2の警告を発する第2警告部を備えている、
請求項5~8のいずれか一つに記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項10】
前記処理装置は、前記第2警告部によって前記第2の警告が発せられた場合に、前記第2プリンタによって前記入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第2入力画面を表示する第2入力部をさらに備えている、
請求項9に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項11】
前記第2処理部は、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、前記テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を前記プライベートタグに書き込むように構成され、
前記第3処理部は、前記第2処理部によって前記プライベートタグに書き込まれた埋め込みICCプロファイルの識別情報を読み出し、
前記第4処理部は、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータに埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を取得し、
前記第5処理部は、前記第3処理部によって読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と、前記第4処理部によって取得された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報と、を照合するように構成されている、
請求項5~10のいずれか一つに記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項12】
前記処理装置は、前記第3処理部によって読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と前記第4処理部によって取得された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報とが前記第5処理部によって不一致と判定された場合に第3の警告を発する第3警告部を備えている、
請求項11に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項13】
前記処理装置は、
前記第3警告部によって前記第3の警告が発せられた場合に、前記第2プリンタによって前記入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第3入力画面を表示する第3入力部と、
前記第2プリンタによって前記入力画像の印刷を行うことが前記第3入力部に入力された場合に、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する第9処理部と、をさらに備えている、
請求項12に記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【請求項14】
前記処理装置は、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが前記第4処理部によって確認された場合に、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する処理部をさらに含む、
請求項5~13のいずれか一つに記載のプリンタ間の色合わせシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ間の色合わせ方法、および、プリンタ間の色合わせシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のプリンタ(例えばインクジェットプリンタ)の間で色合わせをする技術が知られている。同一機種のプリンタであっても、印刷された画像の発色は、使用するICC(International Color Consortium)プロファイルや、プリンタの個体差等によって異なる。プリンタ間の色合わせは、例えば、1つのプリンタ(色合わせ元プリンタ)によって印刷された画像の発色をそのまま他のプリンタ(色合わせ先プリンタ)において再現したい場合などに行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、色合わせ用サンプル画像のインク値を色合わせ元プリンタのA2Bテーブルによって色彩値に変換し、さらにその色彩値を色合わせ先プリンタのB2Aテーブル、A2Bテーブルによってインク値、色彩値へと順に変換する方法が開示されている。特許文献1によれば、色合わせ元プリンタによって得られた色彩値と色合わせ先プリンタによって得られた色彩値とは、理想的なプロファイルであれば一致するはずである、とされる。すなわち、特許文献1に開示された方法によれば、通常は、色合わせ元プリンタの色彩値は、色合わせ先プリンタによってほぼ再現できるはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-87589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷対象である入力画像のデータや色合わせ用サンプル画像(以下、テストチャートとも呼ぶ)には、埋め込みICCプロファイルと呼ばれるICCプロファイルが埋め込まれている場合がある。また、プリンタは、画像データ中に埋め込みICCプロファイルが埋め込まれている場合には、埋め込みICCプロファイルを優先的に使用して画像の印刷を行うように設定されていることがある。ここで、例えば、埋め込みICCプロファイルを優先的に使用して画像の印刷を行う設定が色合わせ元のプリンタにされており、入力画像のデータおよびテストチャートのデータのうちの一方だけに埋め込みICCプロファイルが存在したような場合には、色合わせ元のプリンタにおけるテストチャートの印刷条件と入力画像の印刷条件とが不一致(使用するICCプロファイルが異なる)となる可能性がある。そうすると、色合わせ先プリンタで使用する入力ICCプロファイル(以下、エミュレーションプロファイルとも呼ぶ)をテストチャートの色彩値に基づいて作成しても、色合わせ先のプリンタによって印刷される入力画像の色特性が、色合わせ元のプリンタによって印刷される入力画像の色特性と異なるものとなるおそれがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像データ中の埋め込みICCプロファイルに起因するプリンタ間の色合わせの不具合を低減できるプリンタ間の色合わせ方法および色合わせシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示するプリンタ間の色合わせ方法は、入力画像のデータに基づいて第1プリンタによって印刷される画像と前記入力画像のデータに基づいて第2プリンタによって印刷される画像との色合わせをする方法であって、前記第1プリンタによってテストチャートを印刷するステップと、前記第1プリンタによって印刷された前記テストチャートを測色するステップと、前記テストチャートの測色結果に基づき、前記第2プリンタにおいて使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成するステップと、前記エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定するステップと、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報を前記プライベートタグに書き込むステップと、前記第2プリンタに前記エミュレーションプロファイルを入力するステップと、前記第2プリンタに入力された前記エミュレーションプロファイルの前記プライベートタグに書き込まれた情報を読み出すステップと、前記第2プリンタに前記入力画像のデータを入力するステップと、前記第2プリンタに入力された前記入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認するステップと、前記プライベートタグから読み出した情報のうち前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無に関する確認結果と、を照合するステップと、を含んでいる。
【0008】
また、ここに開示するプリンタ間の色合わせシステムは、色合わせ元である第1プリンタと、色合わせ先である第2プリンタと、前記第1プリンタおよび前記第2プリンタに接続された処理装置と、を備えている。前記処理装置は、第1処理部と、第2処理部と、第3処理部と、第4処理部と、第5処理部と、を備えている。前記第1処理部は、前記第1プリンタによって印刷されたテストチャートを測色した測色結果に基づき、前記第2プリンタにおいて使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成する。前記第2処理部は、前記エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定するとともに、前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報を前記プライベートタグに書き込む。前記第3処理部は、前記第2プリンタに入力された前記エミュレーションプロファイルの前記プライベートタグに書き込まれた情報を読み出す。前記第4処理部は、前記第2プリンタに入力された入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。前記第5処理部は、前記第3処理部によって読み出された情報のうち前記テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、前記第4処理部によって確認された前記入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、を照合する。
【0009】
上記プリンタ間の色合わせ方法および色合わせシステムによれば、テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無をエミュレーションプロファイルのプライベートタグの情報から確認できる。そして、色合わせ先である第2プリンタに入力された入力画像データ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、プライベートタグの情報から確認されたテストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無とが照合される。そのため、テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と印刷画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無とが不一致である場合には、そのことが分かる。これにより、画像データ中の埋め込みICCプロファイルに起因するプリンタ間の色合わせの不具合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る色合わせシステムの構成例を示す模式図である。
図2】一実施形態に係る色合わせシステムのブロック図である。
図3】エミュレーションプロファイルを作成するプロセスを示すフローチャートである。
図4】第2プリンタによって入力画像を印刷するプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る色合わせシステムについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る色合わせシステム100の構成例を示す模式図である。図1に示すように、色合わせシステム100は、第1プリンタ10と、第2プリンタ20と、コンピュータ30と、測色器50とを備えている。第1プリンタ10と第2プリンタ20とは、ここでは、同じ機種のプリンタである。ただし、第1プリンタ10と第2プリンタ20とは、異なる機種のプリンタであってもよい。第1プリンタ10および第2プリンタ20は、ここでは、いずれもインクジェットプリンタである。ただし、第1プリンタ10および第2プリンタ20は、例えば、オフセット印刷用プリンタなどであってもよい。第1プリンタ10および第2プリンタ20の種類、構成等は、それぞれ特に限定されない。
【0013】
コンピュータ30には、第1プリンタ10、第2プリンタ20、および測色器50が、それぞれ通信可能に接続されている。ここでは、第2プリンタ20が調整対象のプリンタ(すなわち、色合わせ先プリンタ)であり、第1プリンタ10を基準のプリンタ(すなわち、色合わせ元プリンタ)として発色が調整される。なお、以下では、複数のプリンタの間で発色を合わせて行われる印刷のことを適宜、色合わせ印刷と呼ぶ。
【0014】
コンピュータ30は、プリンタの発色を第1プリンタ10に近似させるように調整された入力ICCプロファイルを作成するように構成されている。コンピュータ30には、かかる入力ICCプロファイルを作成するソフトウェアがインストールされている。第2プリンタ20は、かかる調整された入力ICCプロファイルを使用することで、第1プリンタ10の発色を再現することができる。以下では、コンピュータ30によって作成され、第2プリンタ20によって使用される入力ICCプロファイルをエミュレーションプロファイルと言う。
【0015】
詳しくは後述するが、エミュレーションプロファイルを作成する際には、まず、第1プリンタ10によってテストチャートを印刷する。その後、第1プリンタ10によって印刷されたテストチャートを測色器50によって測色する。そして、テストチャートの測色結果に基づき、第2プリンタ20において使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成する。
【0016】
本実施形態では、エミュレーションプロファイルの作成、エミュレーションプロファイルの第2プリンタ20への送信などの機能は、コンピュータ30によって実現されている。しかし、エミュレーションプロファイルの作成その他の機能を担う装置の構成は特に限定されない。かかる装置の機能は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとを備えた専用装置によって実現されてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態の色合わせシステム100のブロック図である。第1プリンタ10、第2プリンタ20、およびコンピュータ30の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えば、CDやDVDなどの記録媒体から読み込まれてもよい。このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、上記各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、ここで説明される第1プリンタ10、第2プリンタ20、およびコンピュータ30の各部の機能分担は一例に過ぎず、第1プリンタ10、第2プリンタ20、およびコンピュータ30の各部の機能分担の態様は限定されない。これらの機能は、印刷を実行する装置としての第1プリンタ10および第2プリンタ20に接続された処理装置(システム100の処理装置)が果たしていると考えてもよく、処理装置の機能が複数のプリンタを含む、いかなるハードウェアによって実現されるかは限定されない。
【0018】
図2に示すように、第1プリンタ10は、画像データ受信部11と、印刷部12と、を備えている。画像データ受信部11は、印刷対象の画像(以下では適宜、入力画像と呼ぶ)のデータを受信する。印刷部12は、入力画像のデータに基づいて入力画像の印刷を行う。
【0019】
第2プリンタ20は、画像データ受信部21と、プロファイル受信部22と、印刷部23と、を備えている。画像データ受信部21は、入力画像のデータを受信する。色合わせ印刷は、色合わせ元プリンタで印刷した画像と色合わせ先プリンタで印刷した同じ画像とが同じ色合いになるように色合わせ先プリンタを調整することを目的とするので、第2プリンタ20に入力される入力画像のデータは、第1プリンタ10に入力された入力画像のデータと同じものである。プロファイル受信部22は、コンピュータ30によって作成され、送信されたエミュレーションプロファイルを受信する。印刷部23は、入力画像を印刷する。印刷部23は、このとき、受信したエミュレーションプロファイルと、予め設定されている出力ICCプロファイルとを使用して入力画像の印刷を行う。
【0020】
第1プリンタ10および第2プリンタ20は、それぞれ、各部の動作を制御する制御装置を備えている。制御装置の構成は特に限定されない。制御装置は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。第1プリンタ10および第2プリンタ20の制御装置は、それぞれ、第1プリンタ10および第2プリンタ20の本体部の内部に設けられている。ただし、第1プリンタ10および第2プリンタ20の制御装置は、第1プリンタ10および第2プリンタ20の本体部の内部に設けられていなくてもよい。また、その機能の一部は、例えば、コンピュータ30などによって実現されてもよい。
【0021】
図2に示すように、コンピュータ30は、テストチャート印刷部31と、第1プロファイル確認部32と、プロファイル埋め込み部33と、測色データ受信部34と、プロファイル作成部35と、タグ作成部36と、画像データ送信部37と、プロファイル送信部38と、プロファイル照合部39と、警告部40と、継続処理部41と、プロファイル削除部42と、を備えている。
【0022】
テストチャート印刷部31は、色合わせ元プリンタ(ここでは第1プリンタ10)に指令してテストチャートを印刷させる。テストチャートは、色合わせ元プリンタの発色特性を調べるために印刷されるテスト画像である。テストチャートは、例えば、インクの単色や所定の混色が濃度を変えて並べられたマトリクスとして構成されている。ただし、テストチャートの構成は特に限定されない。第1プリンタ10によって印刷されたテストチャートは、測色器50によって測色される。測色データ受信部34は、測色器50によって測色された測色結果のデータを測色器50から受信する。プロファイル作成部35は、第1プリンタ10によって印刷されたテストチャートを測色した測色結果に基づき、第2プリンタ20において使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルを作成する。
【0023】
第1プロファイル確認部32は、第1プリンタ10に入力された入力画像のデータに関して埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。画像のデータには、ICCプロファイルが含まれている場合がある。この画像データに含まれるICCプロファイルを、ここでは「埋め込みICCプロファイル」と呼ぶ。第1プロファイル確認部32は、第1プリンタ10に入力された入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが埋め込まれているかどうかを確認する。プロファイル埋め込み部33は、第1プリンタ10に入力された入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが第1プロファイル確認部32によって確認された場合に、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルと同じ入力ICCプロファイルをテストチャートのデータ内に埋め込む。この処理の意味については後述する。なお、第1プリンタ10および第2プリンタ20は(少なくとも第1プリンタ10は)、画像データ中に埋め込みICCプロファイルが埋め込まれている場合には、埋め込みICCプロファイルを優先的に使用して画像の印刷を行う設定とすることが可能である。
【0024】
タグ作成部36は、エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定するとともに、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を少なくとも含む情報(以下、作成条件情報とも言う)をプライベートタグに書き込むように構成されている。作成条件情報は、エミュレーションプロファイルの作成条件に関する情報である。作成条件情報としては、例えば、記録媒体の種類、測色器50の機種、印刷モード(例えば、高速モード、高品質モードなど)などが書き込まれる。
【0025】
タグ作成部36は、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報をプライベートタグに書き込むように構成されている。埋め込みICCプロファイルの識別情報とは、当該埋め込みICCプロファイルを他のICCプロファイルと区別する情報であり、例えば、埋め込みICCプロファイルの名前である。ただし、作成条件情報は、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報を含むことを除いて限定されない。
【0026】
画像データ送信部37は、接続されたプリンタに印刷画像のデータを送信するように構成されている。色合わせ印刷においては、画像データ送信部37は、第2プリンタ20に入力画像のデータを入力する。プロファイル送信部38は、第2プリンタ20にエミュレーションプロファイルを入力する。
【0027】
プロファイル照合部39は、エミュレーションプロファイルのプライベートタグに書き込まれたテストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無に関する情報と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、を照合する。図2に示すように、プロファイル照合部39は、タグ読出部39aと、第2プロファイル確認部39bと、照合部39cと、を備えている。タグ読出部39aは、第2プリンタ20に入力されたエミュレーションプロファイルのプライベートタグに書き込まれた作成条件情報を読み出すように構成されている。タグ読出部39aは、タグ作成部36によってプライベートタグに埋め込みICCプロファイルの識別情報が書き込まれた場合には、埋め込みICCプロファイルの識別情報も読み出す。タグ読出部39aは、第2プリンタ20に設けられていてもよい。その場合、第2プリンタ20は、読み出した作成条件情報をコンピュータ30に送信する処理部を備えていてもよい。
【0028】
第2プロファイル確認部39bは、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。第2プロファイル確認部39bは、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータに埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を取得する。第2プロファイル確認部39bは、第2プリンタ20に設けられていてもよい。その場合、第2プリンタ20は、入力画像の埋め込みICCプロファイルに関する情報をコンピュータ30に送信する処理部を備えていてもよい。
【0029】
照合部39cは、タグ読出部39aによって読み出された作成条件情報のうちのテストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、第2プロファイル確認部39bによって確認された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、を照合する。照合部39cは、作成条件情報に埋め込みICCプロファイルの識別情報が含まれている場合には、さらに、タグ読出部39aによって読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と、第2プロファイル確認部39bによって取得された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報と、を照合する。
【0030】
警告部40、継続処理部41、プロファイル削除部42の機能については、プロセスの説明の中で説明する。
【0031】
以下、第1プリンタ10によって印刷される画像と第2プリンタ20によって印刷される画像との色合わせをするプロセスについて説明する。
【0032】
図3は、エミュレーションプロファイルを作成するプロセスを示すフローチャートである。図3に示すように、エミュレーションプロファイルの作成では、まず、ステップS01において、第1プリンタ10にテストチャートの画像データが入力される。ステップS02では、第1プリンタ10に入力される入力画像のデータに関して、埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。第1プリンタ10に入力される入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合、ステップS03において、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルと同じ入力ICCプロファイルがテストチャートのデータ内に埋め込まれる。ステップS02およびS03により、埋め込みICCプロファイルの有無に関して、入力画像のデータとテストチャートのデータとは同じ状態となる。つまり、入力画像のデータおよびテストチャートのデータはともに、埋め込みICCプロファイルが存在する状態、または存在しない状態となる。ステップS02およびS03は、テストチャートを印刷するステップ(ステップS04~S06)の前に行われる。
【0033】
ステップS04では、第1プリンタ10の入力ICCプロファイルのA2Bテーブルにテストチャートのデータのインク値(例えばCMYK値)を入力し、入力されたインク値ごとに色彩値(例えばL値)を取得する。デバイス依存のテストチャートの画像データのインク値をデバイス非依存の色空間の色彩値に変換するにあたっては、第1プリンタ10の入力ICCプロファイルの中にあるA2Bテーブルと呼ばれる変換テーブル(Look Up table : LUP)が使用される。
【0034】
ステップS05では、ステップS04で得られた色彩値(例えばL値)を第1プリンタ10の出力ICCプロファイルのB2Aテーブルに入力し、入力された色彩値ごとにインク値(例えばCMYK値)を取得する。デバイス非依存の色空間の色彩値をデバイス依存の印刷データのインク値に変換する場合、第1プリンタ10の出力ICCプロファイルの中にあるB2Aテーブルと呼ばれる変換テーブルが使用される。ステップS05で得られるインク値は、第1プリンタ10がテストチャートを印刷する際のインク値である。
【0035】
ステップS06では、ステップS05で得られたインク値に基づき、第1プリンタ10によってテストチャートが印刷される。本実施形態では、第1プリンタ10に入力される入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、ステップS03において、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルと同じ入力ICCプロファイルがテストチャートのデータ内に埋め込まれた。これにより、第1プリンタ10が埋め込みICCプロファイルを優先的に使用して画像の印刷を行うように設定されていた場合には、テストチャートも埋め込みICCプロファイルを使用して印刷されることになる。第1プリンタ10の設定が変更されることは少ないため、これにより多くの場合には、テストチャートの印刷における埋め込みICCプロファイルの使用/不使用と、入力画像の印刷における埋め込みICCプロファイルの使用/不使用とが一致する。
【0036】
ステップS07では、第1プリンタ10によって印刷されたテストチャートを測色器50によって測色する。取得されたテストチャートの色彩値は、ここでは、コンピュータ30に送信される。ステップS08では、テストチャートの測色結果に基づき、第2プリンタ20において使用する入力ICCプロファイルとしてのエミュレーションプロファイルが作成される。
【0037】
図3に示すように、ステップS09では、エミュレーションプロファイルにプライベートタグを設定し、作成条件情報をプライベートタグに書き込む。作成条件情報については、前述した通りである。ステップS09では、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在する場合には、テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報をプライベートタグに書き込む。ステップS10では、第2プリンタ20にエミュレーションプロファイルを送信・入力する。
【0038】
以上が第2プリンタ20用のエミュレーションプロファイルを作成するプロセスの一例である。続いて、エミュレーションプロファイルを使って第2プリンタ20で入力画像を印刷するプロセスについて説明する。
【0039】
図4は、第2プリンタ20によって入力画像を印刷するプロセスを示すフローチャートである。図4に示すように、第2プリンタ20によって入力画像を印刷するプロセスのステップS11では、入力画像のデータが第2プリンタ20に入力される。続くステップS12では、第2プリンタ20において使用される入力ICCプロファイルおよび出力ICCプロファイルとして、それぞれ、エミュレーションプロファイル、および、予め定められた出力ICCプロファイルが設定される。
【0040】
続くステップS13では、第2プリンタ20に入力されたエミュレーションプロファイルのプライベートタグに書き込まれた作成条件情報を読み出す。ステップS14では、プライベートタグから読み出した作成条件情報に基づいて、埋め込みICCプロファイルを使用してエミュレーションプロファイルが作成されたかどうかが確認される。埋め込みICCプロファイルを使用せずにエミュレーションプロファイルが作成された場合(ステップS14の結果がNOの場合)、ステップS15において、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータにおける埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。ステップS14およびS15は、作成条件情報のうちのテストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無に関する確認結果と、を照合するステップの一部である。
【0041】
第2プリンタ20に入力された入力画像のデータに埋め込みICCプロファイルが存在しない場合(ステップS15の結果がNOの場合)、テストチャートのデータおよび入力画像のデータにはともに、埋め込みICCプロファイルが存在しない。これにより、テストチャートおよび入力画像のデータにはともに、第1プリンタ10により、埋め込みICCプロファイルを使用せずに印刷されたものであることが判明する。そこで、この場合には、ステップS31において、第2プリンタ20により、エミュレーションプロファイルを使用して入力画像が印刷される。
【0042】
ステップS15において、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータに埋め込みICCプロファイルが存在する場合(ステップS15の結果がYESの場合)、ステップS16において第1の警告が発せられる。図2に示すように、コンピュータ30の警告部40は、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在しないことがタグ読出部39aによって確認され、かつ、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが第2プロファイル確認部39bによって確認された場合に、第1の警告を発する第1警告部40aを備えている。
【0043】
第1の警告が発せられる場合には、埋め込みICCプロファイルを使用せずにエミュレーションプロファイルが作成された一方で、入力画像には埋め込みICCプロファイルが存在するという不一致が起こっている。この場合、エミュレーションプロファイルは埋め込みICCプロファイルを使用せずに作成され、第1プリンタ10は埋め込みICCプロファイルを使用して入力画像を印刷している可能性がある。テストチャートの印刷における埋め込みICCプロファイルの使用/不使用と、入力画像の印刷における埋め込みICCプロファイルの使用/不使用とが一致しない場合には、第1プリンタ10による入力画像の発色を第2プリンタ20で再現できないおそれがある。そのため、第1の警告が発せられる。
【0044】
ただし、第1の警告が発せられた場合であっても問題がない(例えば、第1プリンタ10は埋め込みICCプロファイルを使用せずに入力画像を印刷している)こともあり得、また、ユーザーが印刷続行を希望することもあり得る。そのため、本実施形態では、ステップS16において、第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第1入力画面が、例えばコンピュータ30に表示される。図2に示すように、継続処理部41は、第1警告部40aによって第1の警告が発せられた場合に第1入力画面を表示する第1入力部41aを備えている。第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うことが第1入力部41aに入力された場合には、継続処理部41の第1継続処理部41bは、第2プリンタ20による入力画像の印刷を継続する。
【0045】
印刷継続の場合には、ステップS30において入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルが削除される。図2に示すように、プロファイル削除部42は、第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うことが第1入力部に41a入力された場合に、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する第1削除部42aを備えている。第2プリンタ20では、入力ICCプロファイルとしてエミュレーションプロファイルが使用され、入力画像の埋め込みICCプロファイルは使用されないが、万一のために入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルが削除される。その後、ステップS31において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が実行される。
【0046】
ステップS16において印刷中止が選択された場合(ステップS16の結果がNOの場合)、ステップS32において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が中止される。
【0047】
ステップS14に戻って、埋め込みICCプロファイルを使用してエミュレーションプロファイルが作成された場合(ステップS14の結果がYESの場合)、ステップS17において、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータにおける埋め込みICCプロファイルの有無を確認する。ステップS14およびS17は、作成条件情報のうちのテストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在するかどうかの情報と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無に関する確認結果と、を照合するステップの他の一部である。入力画像データに埋め込みICCプロファイルが存在しない場合(ステップS17の結果がNOの場合)、ステップS18において、第2の警告が発せられる。図2に示すように、コンピュータ30の警告部40は、テストチャートのデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することがタグ読出部39aによって確認され、かつ、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在しないことが第2プロファイル確認部39bによって確認された場合に、第2の警告を発する第2警告部40bを備えている。
【0048】
第2の警告が発せられる場合には、埋め込みICCプロファイルを使用してエミュレーションプロファイルが作成された一方で、入力画像には埋め込みICCプロファイルが存在しないという不一致が起こっている。この場合、エミュレーションプロファイルは埋め込みICCプロファイルを使用して作成され、第1プリンタ10は埋め込みICCプロファイルを使用しないで入力画像を印刷している可能性が高い。そのため、第2の警告が発せられる。
【0049】
ただし、第2の警告が発せられた場合であっても、問題がない(例えば、第1プリンタ10は埋め込みICCプロファイルを使用して入力画像を印刷するが、第2プリンタ20に送信された入力画像のデータからは埋め込みICCプロファイルが削除されている)こともあり得、ユーザーが印刷続行を希望することもあり得る。そのため、本実施形態では、ステップS18において、第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第2入力画面が、例えばコンピュータ30に表示される。図2に示すように、継続処理部41は、第2警告部40bによって第2の警告が発せられた場合に第2入力画面を表示する第2入力部41cを備えている。第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うことが第2入力部41cに入力された場合には、継続処理部41の第2継続処理部41dは、第2プリンタ20による入力画像の印刷を継続する。この場合、ステップS31において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が実行される。ステップS18において印刷中止が選択された場合(ステップS18の結果がNOの場合)、ステップS32において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が中止される。
【0050】
図4に示すように、ステップS17の結果がYESの場合(入力画像データに埋め込みICCプロファイルが存在する場合)、ステップS19において、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報を取得する。さらに、ステップS19では、プライベートタグから読み出した埋め込みICCプロファイルの識別情報と、上記取得された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報と、を照合する。
【0051】
入力画像データから読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と、プライベートタグの作成条件情報から読み出された入力ICCプロファイルの識別情報とが一致しない場合(ステップS19の結果がNOの場合)、ステップS20において第3の警告が発せられる。図2に示すように、コンピュータ30の警告部40は、タグ読出部39aによって読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と第2プロファイル確認部39bによって取得された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの識別情報とが照合部39cによって不一致と判定された場合に第3の警告を発する第3警告部40cを備えている。第3の警告が発せられる場合には、エミュレーションプロファイルの作成において使用した埋め込みICCプロファイルと、第1プリンタ10による入力画像の印刷において使用した埋め込みICCプロファイルとが不一致である可能性が高い。そのため、第1プリンタ10による入力画像の発色を第2プリンタ20で再現できないおそれがある。
【0052】
ただし、本実施形態では、この場合も、ステップS20において、第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うかどうかを選択可能に構成された第3入力画面が、例えばコンピュータ30に表示される。図2に示すように、継続処理部41は、第3警告部40cによって第3の警告が発せられた場合に第3入力画面を表示する第3入力部41eを備えている。第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うことが第3入力部41eに入力された場合には、継続処理部41の第3継続処理部41fは、第2プリンタ20による入力画像の印刷を継続する。
【0053】
印刷継続の場合には、ステップS30において入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルが削除される。図2に示すように、プロファイル削除部42は、第2プリンタ20によって入力画像の印刷を行うことが第3入力部41eに入力された場合に、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する第2削除部42bを備えている。
【0054】
図4に示すように、本実施形態では、入力画像データから読み出された埋め込みICCプロファイルの識別情報と、プライベートタグの作成条件情報から読み出された入力ICCプロファイルの識別情報とが一致する場合(ステップS19の結果がYESの場合)にも、万一の場合のために、ステップS30において、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルが削除される。すなわち、本実施形態では、プロファイル削除部42は、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内に埋め込みICCプロファイルが存在することが第2プロファイル確認部39bによって確認された場合には、印刷を続行する限り、第2プリンタ20に入力された入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルを削除する。その後、ステップS31において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が実行される。ステップS20において印刷中止が選択された場合(ステップS20の結果がNOの場合)、ステップS32において、第2プリンタ20による入力画像の印刷が中止される。
【0055】
このように、本実施形態に係る色合わせシステム100によれば、テストチャートのデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無との不一致を発見することにより、画像データ中の埋め込みICCプロファイルに起因するプリンタ間の色合わせの不具合の可能性を発見することができる。それにより、画像データ中の埋め込みICCプロファイルに起因するプリンタ間の色合わせの不具合を低減することができる。また、かかる不具合の可能性が発見された場合であっても、ユーザーの選択により、色合わせ先プリンタによる入力画像の印刷を実行することもできる。
【0056】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。例えば、上記した実施形態では、第1~第3の警告が色合わせシステム100により発せられたが、色合わせシステムは、プライベートタグに書き込まれたテストチャートのデータ中の埋め込みプロファイルの有無と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無との照合を少なくとも行うように構成されていればよく、警告の内容は限定されない。
【0057】
その他、色合わせシステムの構成は、ここに開示する技術を実行可能である限りにおいて限定されない。例えば、上記した実施形態では、プライベートタグに書き込まれたテストチャートのデータ中の埋め込みプロファイルの有無と、入力画像のデータ内の埋め込みICCプロファイルの有無との照合はコンピュータ30によって行われていたが、ユーザーが行ってもよい。本発明に係る方法は、一部のステップをユーザーが行うことにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 第1プリンタ
20 第2プリンタ
30 コンピュータ
31 テストチャート印刷部
32 第1プロファイル確認部(第6処理部)
33 プロファイル埋め込み部(第7処理部)
35 プロファイル作成部(第1処理部)
36 タグ作成部(第2処理部)
39 プロファイル照合部
39a タグ読出部(第3処理部)
39b 第2プロファイル確認部(第4処理部)
39c 照合部(第5処理部)
40a 第1警告部
40b 第2警告部
40c 第3警告部
41a 第1入力部
41c 第2入力部
41e 第3入力部
42 プロファイル削除部
42a 第1削除部(第8処理部)
42b 第2削除部(第9処理部)
50 測色器
100 色合わせシステム
図1
図2
図3
図4