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  • 特許-光学フィルムの縁部切断分離装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】光学フィルムの縁部切断分離装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240710BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20240710BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G02B5/30
B26D3/00 601B
B26D7/18 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020563025
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2019048066
(87)【国際公開番号】W WO2020137486
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】201811620228.5
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 龍一
(72)【発明者】
【氏名】植敷 大地
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康允
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅也
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-77697(JP,A)
【文献】実開昭48-72587(JP,U)
【文献】特開平7-149466(JP,A)
【文献】実開昭48-65860(JP,U)
【文献】特開2014-161987(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第981177(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B26D 3/00
B26D 7/14- 7/18
B26D 1/02
B65H35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断して光学フィルム本体と不要な縁部とする切断部と、
前記切断部の下流側に配置され、前記光学フィルム本体及び前記不要な縁部の双方を挟む一対のニップローラと、を有し、
前記光学フィルム本体及び前記不要な縁部が前記ニップローラを通過した後、前記光学フィルム本体と不要な縁部とを分離
前記一対のニップローラが駆動側ニップローラと従動側ニップローラとから構成され、
前記光学フィルム本体が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラのうちの一方に掛けられ、前記不要な縁部が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラの他方に掛けられる、
光学フィルムの縁部切断分離装置。
【請求項2】
前記光学フィルム本体が前記駆動側ニップローラに掛けられ、前記不要な縁部が前記従動側ニップローラに掛けられる、
請求項に記載の光学フィルムの縁部切断分離装置。
【請求項3】
前記不要な縁部が下方に案内される、
請求項に記載の光学フィルムの縁部切断分離装置。
【請求項4】
前記不要な縁部を前記光学フィルムの幅方向外側に案内する案内部材を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の光学フィルムの縁部切断分離装置。
【請求項5】
前記光学フィルムは偏光子である、
請求項1からのいずれか1項に記載の光学フィルムの縁部切断分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの縁部切断分離装置に関する。具体的には、光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断部で切断した後、切断された不要な縁部と次の工程に使われる光学フィルム本体とを分離して、不要な縁部を回収可能にする装置である。
【背景技術】
【0002】
光学フィルム製造装置は、偏光フィルム等の光学フィルムを製造する装置である。光学フィルム製造装置は、ロール状の巻回体から長尺状の光学フィルムを引き出し、この光学フィルムに対して必要に応じた種々の処理を実施する。偏光フィルムの製造装置を例に挙げれば、一般的には、図1に示すように、繰り出しロールORから送り出された偏光子原反GFは、まず、幅方向両端部における利用不能な縁部(耳とも称する)が図示しない切断部(例えば、繰出カッター治具)により切り取られ、製品として使われる偏光子本体が残される。偏光子本体には、各槽A~Eにおいて所定の処理が施される。膨潤浴槽Aでは、例えば偏光子本体が純水浴に浸漬することにより洗浄されると共に膨潤し、染色浴槽Bでは、例えば偏光子本体がヨウ素等の二色性物質を含む浴中に浸漬することにより上記二色性物質を吸着する。次に、架橋浴槽Cでは、例えば偏光子本体が架橋剤を含む浴中に浸漬することにより架橋し、延伸浴槽Dにでは、例えばホウ酸を含む浴中に浸漬した状態で所望の総延伸倍率になるように延伸される。最後に、洗浄浴槽Eでは、例えば偏光子本体が水洗浴中に浸漬することにより、これより前の処理で付着したホウ酸等の不要残存物が洗い流される。その後、UV接着剤を介して偏光子本体に保護フィルムHFが貼り合わせられた後、UV照射によりUV接着剤を硬化させ、最後に、上面側の保護フィルムHF上に表面保護フィルムSFが貼り合わせられて偏光フィルムPOとなり、巻取ロールMRに巻き取られる。
【0003】
長尺の光学フィルム製品を製造する場合、光学フィルム原反(上記の例では偏光子)の幅方向両端部の縁部は形が整わなかったり、傷付いたりして、製品として使えないことが多い。このため、上記のように、光学フィルム原反の幅方向両端部における利用できない縁部を、切断部によって光学フィルム本体から切断する。切断された不要な縁部は回収されて廃棄される。
【0004】
従来、光学フィルムの縁部を切断して光学フィルム本体と分離する縁部切断分離装置として、例えば、特許文献1、2に記載された装置が知られている。
【0005】
特許文献1の図33に示すように、特許文献1に記載の装置(500)は、長尺状の光学フィルムを切断刃(503a)~(503d)で切断した後、切断したフィルムをそれぞれ異なるガイドローラを使って分離している。
しかしながら、特許文献1の装置では、切断した複数のフィルムをそれぞれ異なるガイドローラを使って分離しているので、各フィルムにかかる張力が異なり、切断した後のフィルムの搬送が安定しない虞がある。特に光学フィルムは、薄いフィルムであるので、少しの張力の違いで、フィルムがばたついて安定しない。その結果、幅方向に隣り合う一方のフィルムが他方のフィルムに乗り上げてフィルム同士がくっつく虞がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の装置(200)では、切断部であるカッター(250)、(260)の上流及び下流に設けられたテンションロール(230)、(240)により、光学フィルム(10)に十分な張力を与えて、光学フィルム(10)を切断部(250)、(260)で容易に切断できるようにしている。
【0007】
さらに、特許文献2に記載の装置では、フィルム本体及び不要な縁部の双方が切断部(250)、(260)の下流に設けられたテンションロール(240)に掛けられている。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の装置では、テンションロールの上流側と下流側とがテンションカットされていないので、やはり切断した後にフィルム本体が安定しない虞がある。また、テンションロール(つまり、1つのロール)でフィルム本体と不要な縁部とに張力を与える構成であるため、フィルム本体と不要な縁部とは、下方に案内されるしかない。したがって、例えばフィルム本体及び不要な縁部のうちの一方を上方に案内し、他方を下方に案内する等のパスラインの設計ができず、パスラインの設計自由度が低くなる課題がある。
なお、上記の説明で用いた特許文献1、2に記載の部材の符号は、後述する本発明の実施形態で用いる符号と区別するために括弧をつけて表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-073576号公報
【文献】特開2012-131208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の光学フィルムの縁部切断分離装置の実情に鑑みて案出されたものであり、長尺の光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断した後に、光学フィルム本体を安定して搬送させることができ、さらにパスラインの設計自由度を向上させることができる光学フィルムの縁部切断分離装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光学フィルムの縁部切断分離装置は、長尺状の光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断して光学フィルム本体と不要な縁部とする切断部と、前記切断部の下流側に配置され、前記光学フィルム本体及び前記不要な縁部の双方を挟む一対のニップローラと、を有し、前記光学フィルム本体及び前記不要な縁部が前記ニップローラを通過した後、前記光学フィルム本体と不要な縁部とを分離し、前記一対のニップローラが駆動側ニップローラと従動側ニップローラとから構成され、前記光学フィルム本体が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラのうちの一方に掛けられ、前記不要な縁部が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラの他方に掛けられる、光学フィルムの縁部切断分離装置である。
本発明によれば、切断部で不要な縁部を切断した後に、光学フィルム本体及び不要な縁部の双方をニップローラで挟み、その後に不要な縁部を光学フィルム本体から分離する。したがって、不要な縁部の分離をニップローラを通過した後に行うことにより、切断部とニップローラとの間において、不要な縁部の張力と光学フィルム本体の張力とを同じにすることができ、フィルムの搬送を安定させることができる。つまり、ニップローラでテンションカットされるので、ニップローラを通過した後に光学フィルム本体と不要な縁部とが分離されても、切断部とニップローラとの間のフィルムの搬送を安定させることができる。
また、ニップローラを通過した後の光学フィルム本体と不要な縁部とは、それぞれ、所望の方向に案内することができるので、パスラインの設計自由度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る光学フィルムの縁部切断分離装置は、前記一対のニップローラが駆動側ニップローラと従動側ニップローラとから構成され、前記光学フィルム本体が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラのうちの一方に掛けられ、前記不要な縁部が前記駆動側ニップローラ及び前記従動側ニップローラの他方に掛けられる。
本発明によれば、光学フィルム本体が駆動側ニップローラ及び従動側ニップローラのうちの一方に掛けられ、不要な縁部が駆動側ニップローラ及び従動側ニップローラのうちの他方に掛けられるので、光学フィルム本体と不要な縁部とを別々の方向に搬送することができ、ニップローラを通過後のパスラインの設計自由度をより向上させやすい。
【0013】
より好ましくは、前記光学フィルム本体が前記駆動側ニップローラに掛けられ、前記不要な縁部が前記従動側ニップローラに掛けられる。
上記の好ましい構成によれば、光学フィルム本体が駆動側ニップローラに掛けられ、不要な縁部が従動側ニップローラに掛けられるので、光学フィルム本体と不要な縁部とをそれぞれ異なる方向に搬送することができ、ニップローラを通過後のパスラインの設計自由度をより向上させやすい。
【0014】
さらに好ましくは、前記不要な縁部が下方に案内される。
上記の好ましい構成によれば、不要な縁部が従動側ニップローラに掛けられ、下方に案内されるので、不要な縁部を自然落下させることができる。その結果、不要な縁部を回収するためのガイドローラ等が不要となり、低コストで不要な縁部を回収できる。
【0015】
好ましくは、前記不要な縁部を前記光学フィルムの幅方向外側に案内する案内部材を有する。
上記の好ましい構成によれば、不要な縁部を光学フィルムの幅方向外側に案内する案内部材を設置するので、不要な縁部を光学フィルムの幅方向外側に切り離して廃棄することができる。したがって、例えばニップローラの下方において光学フィルムが搬送されている場合等であっても、周囲の光学フィルムなどに切り離された不要な縁部が接触することなく、不要な縁部をゴミ箱等に案内することができる。
【0016】
好ましくは、光学フィルムは偏光子である。光学フィルムが偏光子のように薄く、ばたついて、搬送が安定し難いものであっても、不要な縁部を切断した後の光学フィルム本体の搬送を安定させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、切断部で不要な縁部を切断した後に、フィルムの搬送を安定させることができ、さらにパスラインの設計自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】偏光子原反から偏光フィルムを製造するフローの一例を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る光学フィルムの縁部切断分離装置を表す側面斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る光学フィルムの縁部切断分離装置を表す正面図である。
図4図3に示す実施形態に係る光学フィルムの縁部切断分離装置を模式的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る光学フィルムの縁部切断分離装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の具体的な構成は実施形態に示した構造に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
【0020】
図2図4を用いて、本発明の実施形態に係る光学フィルム本体とその幅方向両端部における不要な縁部とを切断及び分離する光学フィルムの縁部切断分離装置について説明する。
【0021】
図2図4は、本発明の実施形態に係る光学フィルム本体とその幅方向両端部における不要な縁部とを切断及び分離する光学フィルムの縁部切断分離装置を表す側面斜視図、正面図及び模式的に表す側面図である。
【0022】
光学フィルムの製造においては、光学フィルムの幅方向両端部における利用不能な縁部(耳とも称する)は製品に使えないので、光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断部で切断する。切断した後、不要な縁部を回収して廃棄する。本実施形態においては、この切断する過程は、図1に示す一連の工程において、例えば膨潤浴槽A前で行われる。
【0023】
(切断部)
図2図4に示すように、ロール状の光学フィルム原反10が原反ローラからフィルム搬送方向に繰り出される。光学フィルムの搬送経路には、切断部100が設けられ、製品に使えない光学フィルムの幅方向両端部における不要な縁部を切断する。
【0024】
具体的には、切断部100は、2個のカッター110、120を具備する。これらカッター110、120は、光学フィルム10の幅方向の外縁から内側に所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ設けられている。図2及び図4では、カッター110、120が光学フィルム10の下方に設けられているが、光学フィルム10の上方に設けてもよい。カッター110、120の刃が光学フィルム10に接触するため、光学フィルム10が搬送されると共に、幅方向の外縁から内側に所定の距離までの不要な部分はカッター110、120の刃により切断される。
【0025】
このカッター110、120は光学フィルムを切断できるものであればよく、市販のものを使ってもよい。
【0026】
上記の切断部100の構成により、光学フィルム10の幅方向の両端部における所定の幅の領域が不要な縁部30として切断される。
【0027】
(ガイドローラ)
切断部100のフィルム搬送方向下流側に、複数のガイドローラ210、220が設けられている。このガイドローラ210、220により、切断された光学フィルム本体20及び不要な縁部30の双方が、フィルム搬送方向に沿って一対のニップローラ310、320まで案内される。
【0028】
(ニップローラ)
一対のニップローラ310、320が、ガイドローラ210、220のフィルム搬送方向下流側に設けられている。また、一対のニップローラ310、320は、駆動側ニップローラ310と従動側ニップローラ320とから構成されている。駆動側ニップローラ310は、駆動モータ等で回転駆動されるローラであり、例えば従動側ニップローラ320よりもフィルム搬送方向上流側に配置される。従動側ニップローラ320は、駆動側ニップローラ310に従動して回動するフリーローラであり、駆動側ニップローラ310よりもフィルム搬送方向下流側に配置される。ただし、駆動側ニップローラ310及び従動側ニップローラ320の配置位置は逆でもよいし、駆動側ニップローラと従動側ニップローラとがフィルム搬送方向に直交するように(図4における上下に)配置されてもよい。
【0029】
ニップローラ310、320は、カッター110、120で不要な縁部30を切断した後に、ガイドローラ210、220によって搬送されてきた光学フィルム本体20及び不要な縁部30の双方を挟むように配置されている。そして、光学フィルム本体20及び不要な縁部30は、ニップローラ310、320を通過した後、それぞれ異なる方向に搬送される。これにより、不要な縁部30は、光学フィルム本体20から分離される。
【0030】
光学フィルム10から不要な縁部30が切り取られた後の残りの部分は、製品として使われる光学フィルム本体20になる。
【0031】
具体的には、光学フィルム本体20を駆動側ニップローラ310及び従動側ニップローラ320のうちの一方に掛け、不要な縁部30を駆動側ニップローラ310及び従動側ニップローラ320のうちの他方に掛けることが可能である。
【0032】
製品として使われる光学フィルム本体20を搬送し易くするために、光学フィルム本体20を駆動側ニップローラ310に掛け、不要な縁部30を従動側ニップローラ320に掛けることが好ましい。
【0033】
このようにして、カッター110、120で切断された後に、不要な縁部30と光学フィルム本体20とがすぐに分離せず、フィルム搬送方向の下流側におけるニップローラ310、320まで共に搬送される。したがって、光学フィルム本体20と不要な縁部30との分離をニップローラ310、320を通過した後に行うことによって、カッター110、120とニップローラ310、320との間において、不要な縁部30の張力と光学フィルム本体20の張力とを同じにすることができ、フィルムの搬送を安定させることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、図2図4に示すように、光学フィルム本体20を上方に案内し、不要な縁部30を下方に案内するようにして、両者を分離する。一対のニップローラ310、320のフィルム搬送方向下流側にガイドローラ240が配置され、そのガイドローラ240により光学フィルム本体20のみがフィルム搬送方向下流側に搬送される。ガイドローラ240は、一対のニップローラ310、320よりも上方に配置されている。ただし、配置される位置はこれに限られない。そして、不要な縁部30は従動側ニップローラ320に掛けられているので、自然落下し、ごみ箱等の縁部回収部500に集められる。
【0035】
もちろん、不要な縁部30が自然落下し、縁部回収部500に集められることだけではなく、例えば、不要な縁部30をロールに巻き取ってから廃棄することも可能である。
【0036】
なお、光学フィルム本体20を上方に案内し、不要な縁部30を下方に案内することに限定されるものではなく、光学フィルムの本体20と不要な縁部30とをそれぞれ異なる方向に案内するのであれば、案内する方向は自由である。
【0037】
以上の構成によれば、いろいろなパスラインを選択可能であり、ニップローラ310、320を通過後のパスラインの設計自由度が高い。
【0038】
(案内部材)
一対の案内部材(例えばPPバンド(ポリプロピレンバンド))410、420が、図2に示すように、ニップローラ310、320の下方に位置において、ニップローラ310、320を支持する支持フレーム(図示せず)に設置されている。この一対の案内部材410、420の延びる方向がニップローラ310、320の長手方向(軸方向)と角度を成すように(平行にはならないように)、一対の案内部材410、420は設置されている。好ましくは、一対の案内部材410、420の延びる方向がニップローラ310、320の長手方向に直交するように設置される。案内部材410、420は、それぞれ、ニップローラ310、320の下方に配置され、且つニップローラ310、320の長手方向端部に配置されている。
【0039】
ニップローラ310、320を通過した光学フィルム本体20と不要な縁部30とは、それぞれ異なる方向に案内される。不要な縁部30はそれぞれ一対の案内部材410、420に掛けられ、光学フィルム本体20から離れるようになる。
【0040】
そして、この一対の案内部材410、420は、切断された不要な縁部30を光学フィルム本体20から分離するときに、不要な縁部30が周辺のロールやパスラインに干渉しないように、不要な縁部30を光学フィルム10の幅方向外側に誘導する。つまり、図3に示すように、この案内部材410、420により、光学フィルム本体20から分離された不要な縁部30は、フィルムの幅方向外側に案内される。この案内部材410、420が無い場合、分離された不要な縁部30が例えば、原反ローラ、ガイドローラ230、ガイドローラ230によって搬送される光学フィルム10等に接触するおそれがあるが、この案内部材410、420により、分離された不要な縁部30がこれらに接触することが防止される。
【0041】
案内部材410、420としてのPPバンドは、板状であったり、細い棒状であったりすることができる。案内部材410、420の材料として、金属や、樹脂などを用いてもよい。また、案内部材410、420は、例えば切断された不要な縁部30を搬送する搬送ローラであってもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、光学フィルム10は偏光子である。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルム等の原反フィルムである。偏光子の厚みは1~100μmであり、1~20μmが好ましい。
【0043】
以下に、本実施形態に係る光学フィルムの縁部切断分離装置の特徴的な作用について、説明する。
【0044】
図2図4に示すように、ロール状の光学フィルム10がフィルム支持部(図示せず)に支持され、フィルム搬送方向に繰り出される。切断部100が具備するカッター110、120により、光学フィルム10を後に製品に使用する光学フィルム本体20と不要な縁部30とに切断する。
【0045】
さらに、切断した光学フィルム本体20及び不要な縁部30の双方を、複数のガイドローラ210、220を経て、フィルム搬送方向の下流側に向かって、ニップローラ310、320まで搬送する。
【0046】
ニップローラ310、320は、搬送されてきた光学フィルム本体20及び不要な縁部30の双方を挟んで、光学フィルム本体20を駆動側ニップローラ310に掛け、不要な縁部30を従動側ニップローラ320に掛けるようにして、不要な縁部30を光学フィルム本体20から分離させ、光学フィルム本体20と不要な縁部30とをそれぞれ下流側に搬送する。
【0047】
本実施形態では、光学フィルム本体20を上方に案内し、不要な縁部30を下方に案内するように分離する。さらに、案内部材410、420であるPPバンドによって、不要な縁部30が光学フィルムの幅方向外側に案内される。これにより、不要な縁部30は、光学フィルムの幅方向外側に且つ自然落下の方向に向かって搬送され、ごみ箱等の縁部回収部500に集められる。
【0048】
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、長尺状の光学フィルムの製造に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0050】
10 光学フィルム
20 光学フィルム本体
30 不要な縁部
100 切断部
110 カッター(切断部)
120 カッター(切断部)
210、220、230、240 ガイドローラ
310 駆動側ニップローラ(ニップローラ)
320 従動側ニップローラ(ニップローラ)
410、420 案内部材
500 縁部回収部
図1
図2
図3
図4