(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/116 20130101AFI20240710BHJP
H04B 10/073 20130101ALI20240710BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240710BHJP
B64D 47/02 20060101ALI20240710BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H04B10/116
H04B10/073
H05B33/14 A
H10K59/00
B64D47/02
B60R11/02 W
(21)【出願番号】P 2020565181
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2020000325
(87)【国際公開番号】W WO2020145311
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019003379
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 厚
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151015(JP,A)
【文献】特表2018-509943(JP,A)
【文献】特開2017-062474(JP,A)
【文献】特開2008-252570(JP,A)
【文献】特開2017-091140(JP,A)
【文献】特開2018-032885(JP,A)
【文献】特開2015-216667(JP,A)
【文献】特開2013-211169(JP,A)
【文献】特開2012-142203(JP,A)
【文献】特開2007-157487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H05B 33/00-33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00-99/00
B64B 1/00-1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/60
B64G 1/00-99/00
B60R 9/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発することができる曲面形状の表示パネルと、情報信号を表す光を前記表示パネルにおいて発光させる送信制御部と、を有する送信部と、
前記表示パネルから発せられた光を受光するイメージセンサーと、前記イメージセンサーで受光された光から前記情報信号を抽出する受信制御部と、を有する受信部と、
を備え、
前記送信制御部は、所定の形状の画像を前記表示パネルにおいて表示させ、
前記受信制御部は、前記イメージセンサーで撮像された前記画像の形状と前記所定の形状との差異に基づいて、
前記イメージセンサーが、前記表示パネルの前記画像が表示されている領域
の法線方向に位置するか否かを判定する、
光通信システム。
【請求項2】
前記受信制御部は、前記表示パネルの
前記画像が表示されている領域のうち、前記イメージセンサー
が法線方向に位置すると判定された領域に表示される画像のみから前記情報信号を抽出する、
請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記表示パネルは、有機EL(ElectroLuminescence)表示パネルである、
請求項1又は2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記送信部は移動体に設置され、
前記有機EL表示パネルは、前記移動体の外表面を構成する部材に固定され、
前記有機EL表示パネルの全面および前記部材の少なくとも一部は、透明樹脂で覆われている、
請求項3に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記部材は前記有機EL表示パネルの裏面に対応する位置に貫通孔を有し、
前記有機EL表示パネルと前記送信制御部とが、前記貫通孔に通されたケーブルで接続されている、
請求項4に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記送信制御部は、前記表示パネルが発する光の強度を、前記情報信号に応じて時間的に変化させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記表示パネルは、複数色の可視光を発することができるカラー表示パネルであり、
前記送信制御部は、前記表示パネルが発する可視光の色を、前記情報信号に応じて時間的に変化させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項8】
前記送信制御部は、発光している複数の画素と消光している複数の画素との二次元配列により前記情報信号を表す二次元コードを、前記表示パネルにおいて表示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項9】
前記送信制御部は、前記表示パネルにおいて、前記二次元コードを構成する前記複数の画素の各々の発光と消光とを周期的に反転させる、
請求項8に記載の光通信システム。
【請求項10】
前記表示パネルの光の出射方向に設けられた清掃機を、さらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項11】
前記清掃機は、前記表示パネルの光の出射面に設けられたワイパーである、
請求項10に記載の光通信システム。
【請求項12】
前記送信部は第1の自動車に設置され、前記受信部は第2の自動車に設置されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項13】
前記送信部は第1のドローンに設置され、前記受信部は第2のドローンに設置されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項14】
前記送信部および前記受信部のうち、一方はドローンに設置され他方は飛行船に設置されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光通信システム。
【請求項15】
前記送信部は、電波を用いて信号を送信する無線通信部をさらに備える、
請求項1に記載の光通信システム。
【請求項16】
画像を撮影する撮像用イメージセンサーと、前記撮像用イメージセンサーを制御する撮像制御部と、を有する撮像部をさらに備える、
請求項1に記載の光通信システム。
【請求項17】
前記撮像部は、前記撮像部の動作を開始および停止するためのスイッチをさらに備える、
請求項16に記載の光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明機器やディスプレイなどの発光体から情報信号で変調した光を出射させ、その光を受光素子やカメラなどで受信することによって通信する光通信システムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車などの移動体に光通信システムを設置する場合、移動体の外表面の形状が複雑であり、また大きな面積を占めるウィンドウが透明材料で構成されているため、発光体の設置場所に制約を生じ、発光部の大面積化が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、発光体の設置場所の制約を緩和することができる光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る光通信システムは、光を発することができる曲面形状の表示パネルと、情報信号を表す光を前記表示パネルにおいて発光させる送信制御部と、を有する送信部と、前記表示パネルから発せられた光を受光するイメージセンサーと、前記イメージセンサーで受光された光から前記情報信号を抽出する受信制御部と、を有する受信部と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、発光体を曲面形状の表示パネルで構成するので、移動体の外表面の複雑な形状を有する部分にも発光体を設置することが容易になる。これにより、発光体の設置場所の制約が緩和された光通信システムが得られる。
【0008】
また、前記送信制御部は、所定の形状の画像を前記表示パネルにおいて表示させ、前記受信制御部は、前記イメージセンサーで撮像された前記画像の形状と前記所定の形状との差異に基づいて、前記表示パネルの前記画像が表示されている領域と前記イメージセンサーとが正対しているか否かを判定してもよい。
【0009】
また、前記受信制御部は、前記表示パネルの前記イメージセンサーと正対していると判定された領域に表示される画像のみから前記情報信号を抽出してもよい。
【0010】
このような構成によれば、曲面形状の表示パネルの領域ごとに、当該領域と当該領域に正対するイメージセンサーとの間で指向性のある通信ができるので、1つの送信部と複数の受信部との間で、指向性に基づく空間分割による多重通信が可能になる。
【0011】
本発明の一態様に係る光通信システムは、光を発しかつ背景光を透過することができる表示パネルと、情報信号を表す光を前記表示パネルにおいて発光させる送信制御部と、を有する送信部と、前記表示パネルから発せられた光を受光するイメージセンサーと、前記イメージセンサーで受光された光から前記情報信号を抽出する受信制御部と、を有する受信部と、を備える。
【0012】
このような構成によれば、発光体を透明で目立ちにくい表示パネルで構成するので、移動体の外表面の意匠が重視される部分にも発光体を設置することが容易になる。これにより、発光体の設置場所の制約が緩和された光通信システムが得られる。
【0013】
また、前記送信部は移動体に設置され、前記表示パネルは前記移動体の外表面を構成する透明部材上に設置されていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、透明部材を透過する本来の光を表示パネルでも透過させることができるので、例えば、自動車のウィンドウガラスやウィンカーレンズといった、遮光性のある発光体を設置できない場所に表示パネルを設置することが可能になる。
【0015】
また、前記表示パネルは、各々が背景光を透過することができる第1の表示パネルと第2の表示パネルとを光の出射方向に重ねて構成されていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、実質的な設置面積を増やすことなく発光体を二重化して信頼性を高めることができる。
【0017】
また、前記送信制御部は、前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルとを交互に発光させてもよい。
【0018】
このような構成によれば、第1の表示パネルおよび第2の表示パネルの全体としての発光体の寿命を延長することができる。
【0019】
また、前記表示パネルは、有機EL(ElectroLuminescence)表示パネルであってもよい。
【0020】
このような構成によれば、薄型、軽量に構成でき、かつ高速な応答性を利用した低電力駆動が可能な有機EL表示パネルを利用することにより、例えば、移動体への搭載に有利な光通信システムが得られる。
【0021】
また、前記送信部は移動体に設置され、前記有機EL表示パネルは、前記移動体の外表面を構成する部材に固定され、前記有機EL表示パネルの全面および前記部材の少なくとも一部は、透明樹脂で覆われていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、有機EL表示パネルの薄さを活かして、移動体の外表面を構成する部材と有機EL表示パネルとを一体化して構成できるので、移動体の外観の意匠性を損ないにくい光通信システムが得られる。
【0023】
また、前記部材は前記有機EL表示パネルの裏面に対応する位置に貫通孔を有し、前記有機EL表示パネルと前記送信制御部とが、前記貫通孔に通されたケーブルで接続されていてもよい。
【0024】
このような構成によれば、有機EL表示パネルと送信制御部とを接続するケーブルの引き回しが容易になるので、実装性に優れた光通信システムが得られる。
【0025】
また、前記送信制御部は、前記表示パネルが発する光の強度を、前記情報信号に応じて時間的に変化させてもよい。
【0026】
このような構成によれば、光の強度を情報信号で変調することにより通信を行うことができる。
【0027】
また、前記表示パネルは、複数色の可視光を発することができるカラー表示パネルであり、前記送信制御部は、前記表示パネルが発する可視光の色を、前記情報信号に応じて時間的に変化させてもよい。
【0028】
このような構成によれば、可視光の色を情報信号で変調することにより通信を行うことができる。
【0029】
また、前記送信制御部は、発光している複数の画素と消光している複数の画素との二次元配列により前記情報信号を表す二次元コードを、前記表示パネルにおいて表示させてもよい。
【0030】
このような構成によれば、情報信号を表す二次元コードを光で表示することにより通信を行うことができる。
【0031】
また、前記送信制御部は、前記表示パネルにおいて、前記二次元コードを構成する前記複数の画素の各々の発光と消光とを周期的に反転させてもよい。
【0032】
このような構成によれば、発光時間に応じて進行する劣化の度合いを画素間で平準化できるので、表示パネルの実効的な寿命を延長することができる。
【0033】
また、前記表示パネルの光の出射方向に設けられた清掃機を、さらに備えてもよい。
【0034】
また、前記清掃機は、前記表示パネルの光の出射面に設けられたワイパーであってもよい。
【0035】
このような構成によれば、表示パネルから出射される光の視認を妨げる汚れを除去できるので、通信の信頼性を確保しやすくなる。
【0036】
また、前記送信部は第1の自動車に設置され、前記受信部は第2の自動車に設置されていてもよい。
【0037】
このような構成によれば、自動車間での通信を行う光通信システムが得られる。
【0038】
また、前記送信部は第1のドローンに設置され、前記受信部は第2のドローンに設置されていてもよい。
【0039】
このような構成によれば、ドローン間での通信を行う光通信システムが得られる。
【0040】
また、前記送信部および前記受信部のうち、一方はドローンに設置され他方は飛行船に設置されていてもよい。
【0041】
このような構成によれば、ドローンと飛行船との間での通信を行う光通信システムが得られる。
【0042】
また、前記送信部は、電波を用いて信号を送信する無線通信部をさらに備えてもよい。
【0043】
また、本発明の一態様に係る光通信システムは、画像を撮影する撮像用イメージセンサーと、前記撮像用イメージセンサーを制御する撮像制御部と、を有する撮像部をさらに備えてもよい。
【0044】
また、前記撮像部は、前記撮像部の動作を開始および停止するためのスイッチをさらに備えてもよい。
【0045】
このような構成によれば、不要な画像が取得されることでプライバシーが侵害されるおそれを低減できる。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る光通信システムによれば、発光体に曲面形状の表示パネルもしくは背景光を透過できる表示パネルを用いるので、発光体の設置場所の制約を緩和することができる光通信システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る光通信システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る光通信システムの適用例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る変調の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る変調の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る変調の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る表示動作の一例を示す模式図である。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態1に係る指向性の形成の一例を示す模式図である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態1に係るテストパターンの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る光通信システムの機能的な構成の他の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る表示パネルの設置構造の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係る清掃機の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る光通信システムの他の適用例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1に係る光通信システムのさらに他の適用例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る光通信システムの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る光通信システムの適用例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る光通信システムの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る光通信システムの適用例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、実施の形態3に係る光通信システムにおける認証方法の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図18】
図18は、実施の形態4に係る光通信システムの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、実施の形態4に係る光通信システムの適用例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、実施の形態5に係る光通信システムの適用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の複数の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0049】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る光通信システムについて、発光体に透明かつ曲面形状の表示パネルを用いた可視光通信システムの例を挙げて説明する。なお、本明細書において、透明とは背景光を透過することを意味し、曲面形状とは非平面形状を意味することとする。
【0050】
図1は、本実施の形態に係る光通信システムの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図1に示されるように、表示パネル11と送信制御部14とを有する送信部10と、イメージセンサー21と受信制御部24とを有する受信部20とを備える。
【0051】
表示パネル11は、光を発することができる透明かつ曲面形状の表示パネルである。表示パネル11は、一例として、可視光画像を表示する有機EL表示パネルであってもよい。例えば、透明樹脂からなる可撓性の基板に、陰極、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、および陽極を含む積層体を透明材料にて形成することにより、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネルは構成される。
【0052】
送信制御部14は、図示していない応用装置から情報信号を取得し、情報信号を表す可視光を表示パネル11において発光させる。送信制御部14は、一例として、プロセッサ、メモリ、入出力ポートを含むワンチップマイコンで構成されてもよく、送信制御部14の機能は、メモリに記録されているプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよい。
【0053】
イメージセンサー21は、表示パネル11から発せられた光を受光する。イメージセンサー21は、一例として、光学系22および撮像素子23を有するカメラであってもよい。
【0054】
受信制御部24は、イメージセンサー21で受光された光から当該光によって表される情報信号を抽出し、抽出した情報信号を図示しない応用装置へ供給する。受信制御部24は、一例として、プロセッサ、メモリ、入出力ポートを含むワンチップマイコンで構成されてもよく、受信制御部24の機能は、メモリに記録されているプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよい。
【0055】
図2は、光通信システム1の適用例を示す模式図であり、自動車31、32間での通信への適用例が示されている。
図2に示されるように、自動車31には、表示パネル11aおよびイメージセンサー21aが設置され、自動車32には、表示パネル11bおよびイメージセンサー21bが設置されている。
【0056】
表示パネル11a、11bは、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネルであり、可視光L1、L2による画像をそれぞれ表示する。表示パネル11a、11bは、自動車31のフロントのウィンカーレンズ上および自動車32のリアウィンドウガラス上にそれぞれ設置されている。
【0057】
イメージセンサー21a、21bは、車載カメラであり、それぞれ自動車31の前方および自動車32の後方を撮像する。イメージセンサー21a、21bは、自動車32のリアパネルおよび自動車31の車内にそれぞれ設置されている。表示パネル11a、11bにおいて可視光L1、L2にて表示された画像は、車載カメラであるイメージセンサー21b、21aにてそれぞれ撮像される。
【0058】
このように、光通信システム1では、発光体として曲面形状の表示パネル11a、11bを用いるので、自動車の外表面の複雑な形状を有する部分にも発光体を設置することが容易になる。
【0059】
また、発光体として透明な表示パネル11a、11bを用いるので、自動車の外表面の意匠が重視される部分にも、透明で目立ちにくい発光体を設置することが容易になる。また、ウィンドウガラスやウィンカーレンズといった、遮光性のある表示パネルは設置できない場所にも発光体を設置することが可能になる。
【0060】
これにより、発光体の設置場所の制約が緩和された光通信システムが得られる。
【0061】
図2の例では、表示パネル11aとイメージセンサー21bとを含む光通信システムおよび表示パネル11bとイメージセンサー21aとを含む光通信システムの2組の光通信システムにより、自動車31、32間で双方向の通信機能が提供される。また、自動車31のリア部および自動車32のフロント部にも、表示パネルおよびイメージセンサーが配置される(図示せず)。これにより、例えば、縦列走行をしている車列間での通信など、さらに他の自動車との通信が可能となる。
【0062】
光通信システム1を用いて、速度、加速度、操舵などの運転操作、障害物などの道路状況など、車載の電子制御ユニットで処理される情報信号を自動車間で交換することにより、例えば、自動車の自動運転を支援することができる。この場合、車載の電子制御ユニットは、前述した応用装置の一例である。
【0063】
次に、光画像による情報信号の表現方法、つまり、光画像の情報信号による変調方法について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0064】
図3は、光の発光強度を情報信号で変調する一例を示す模式図である。
図3の例は、表示パネル11を、情報信号に応じて時間的に点滅させることを模式的に表している。このように、送信制御部14は、表示パネル11において発光する光の強度(点滅を含む)を、情報信号に応じて時間的に変化させてもよい。送信制御部14は、表示パネル11の全ての画素を同時に点滅させてもよい。
【0065】
これにより、光通信システム1は、光の強度を情報信号で変調することにより通信を行うことができる。
【0066】
図4は、光の発光色を情報信号で変調する一例を示す模式図である。
図4の例は、表示パネル11を、情報信号に応じて赤、緑および青の中から時間的に変化する色で発光させることを模式的に表している。このように、表示パネル11が、カラー表示パネルである場合、送信制御部14は、表示パネル11において発光する可視光の色を、情報信号に応じて時間的に変化させてもよい。送信制御部14は、表示パネル11の全ての画素の発光色を同時に変化させてもよい。
【0067】
これにより、光通信システム1は、光の色を情報信号で変調することにより通信を行うことができる。
【0068】
図5は、光画像のパターンを情報信号で変調する一例を示す模式図である。
図5の例は、表示パネル11に、情報信号を表す二次元パターンを表示させることを模式的に表している。このように、送信制御部14は、表示パネル11において、発光している複数の画素と消光している複数の画素との二次元配列により情報信号を符号化した二次元コードを表示させてもよい。
【0069】
これにより、光通信システム1は、光画像のパターンを情報信号で変調することにより通信を行うことができる。
【0070】
図6は、二次元パターンの表示動作の一例を示す模式図である。
図6の例では、送信制御部14は、表示パネル11に、
図5の二次元パターンとその反転画像とを交互に表示させている。このように、送信制御部14は、表示パネル11において、二次元コードを構成する各画素の発光と消光とを周期的に反転して表示させてもよい。
【0071】
これにより、発光時間に応じて進行する画素の劣化の度合いを画素間で平準化できるので、表示パネルの実効的な寿命を延長することができる。
【0072】
次に、表示パネルの曲面形状を利用して通信の指向性を形成する光通信システムの応用例について説明する。
【0073】
図7Aは、通信における指向性の形成の一例を示す模式図である。
図7Aの例では、表示パネル11は、自動車31の側面から前面にかけて、自動車31のボディーに沿って曲面形状で設置されている。
【0074】
送信制御部14(
図1を参照)は、所定の形状のテストパターンP1、P2を、表示パネル11の互いに異なる複数の領域に表示する。
【0075】
図7Bは、テストパターンP1、P2の一例を示す平面図である。
図7Bに示されるように、テストパターンP1、P2は、正方領域の3隅に配置された読み取り領域の端部を表すコーナーマークCと、当該正方領域の中央に配置された歪検出パターンDとで構成されている。歪検出パターンDは、一例として、等方図形(例えば正円)を多角形(例えば正方形)で囲んで構成されている。
【0076】
図7Aの例では、テストパターンP1、P2は、表示パネル11のうち自動車31の前面に位置する領域および側面に位置する領域に、それぞれ表示されている。点線円内に示すフロントビューV1およびサイドビューV2は、自動車31の前方に位置する先行車のリア部に設置された車載カメラおよび自動車31の側方に位置する並走車の側方に設置された車載カメラにてそれぞれ撮像されるテストパターンP1、P2の一例を示している。
【0077】
先行車の車載カメラは、テストパターンP1とは正対する(言い換えれば、表示パネル11のうちテストパターンP1が表示された領域の法線方向に位置する)が、テストパターンP2とは正対しない。そのため、フロントビューV1では、テストパターンP1は正方形に見え、テストパターンP2は歪んで見える。
【0078】
また、並走車の車載カメラは、テストパターンP2とは正対する(言い換えれば、表示パネル11のうちテストパターンP2が表示された領域の法線方向に位置する)が、テストパターンP1とは正対しない。そのため、サイドビューV2では、テストパターンP2は正方形に見え、テストパターンP1は歪んで見える。
【0079】
このような見え方の特性を利用して、先行車および並走車の受信制御部24は、イメージセンサー21が、表示パネル11のうちテストパターンが表示されている領域と正対しているか否かを判定する。
【0080】
例えば、受信制御部24(
図1を参照)は、テストパターンの所定の形状(一例として、
図7B)を記憶しておき、撮像されたテストパターンの形状と記憶されている形状との差異に基づいて、当該判断を行ってもよい。具体的な一例として、撮像されたテストパターンにおける、パターンDの4辺の長さの偏差および隣接する2辺がなす角度の直角からのずれ量がいずれも所定のしきい値未満である場合に、テストパターンが表示されている領域がイメージセンサー21と正対していると判定してもよい。
【0081】
このようにして表示パネル11のイメージセンサー21と正対している領域を判定することによって、受信制御部24は、当該領域に表示される画像のみから情報信号を抽出する。
【0082】
これにより、表示パネル11の領域ごとに、当該領域と当該領域に正対するイメージセンサーとの間で指向性のある通信ができるので、1つの送信部と複数の受信部との間で、指向性に基づく空間分割による多重通信が可能になる。
【0083】
次に、光通信システムのその他の特徴について説明する。
【0084】
図8は、光通信システムの機能的な構成の他の一例を示すブロック図である。
図8に示されるように、光通信システム2は、
図1の光通信システム1と比べて、表示パネル11が二重化されている点で相違する。
【0085】
光通信システム2の送信部15において、表示パネル11は、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネル12、13を、光の出射方向に重ねて構成され、送信制御部16は、有機EL表示パネル12、13を交互に発光させる。
【0086】
これにより、表示パネル11を、実質的な設置面積を増やすことなく、有機EL表示パネル12、13により二重化して信頼性を高めることができる。また、有機EL表示パネル12、13を交互に駆動することで、有機EL表示パネル12、13の全体としての表示パネル11の寿命を延長することができる。
【0087】
また、表示パネル11は、自動車の外表面を構成する部材と一体化して構成されていてもよい。
【0088】
図9は、表示パネルの設置構造の一例を示す模式図である。
図9において、表示パネル11は、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネルであり、自動車の外表面を構成する部材33に固定されている。表示パネル11の表面(光の出射面)の全体および部材33の少なくとも一部は、透明樹脂36で覆われている。部材33は、前述したように、ウィンドウガラスまたはウィンカーレンズなどの透明部材であってもよく、また、自動車のボディーを構成する鋼板または樹脂板であってもよい。
【0089】
これにより、有機EL表示パネルの薄さを活かして、自動車の外表面を構成する部材33と表示パネル11とを一体化して構成できるので、自動車の外観の意匠性を損ないにくい光通信システムが得られる。
【0090】
部材33は表示パネル11の裏面に対応する位置に貫通孔34を有し、表示パネル11と送信制御部(
図1を参照)とが、貫通孔34に通されたケーブル35で接続されている。ケーブル35は、電源ケーブルおよび信号ケーブルを含んでいる。
【0091】
これにより、表示パネル11と送信制御部とを接続するケーブル35の引き回しが容易になるので、実装性に優れた光通信システムが得られる。
【0092】
また、光通信システムは、表示パネル11の光の出射方向に設けられた清掃機をさらに備えてもよい。
【0093】
図10は、光通信システムが備える清掃機の一例として自動車のワイパーを示す模式図である。
図10の例では、表示パネル11は、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネルであり、自動車のリアウィンドウガラス38のうち、ワイパー37によって清掃される領域39に設置されている。
【0094】
これにより、表示パネル11から出射される光の視認を妨げる汚れを除去できるので、通信の信頼性を確保しやすくなる。なお、清掃機は、ウィンドウガラス用のワイパーには限られず、表示パネル11の光の出射面に設けられた専用のワイパーであってもよい。
【0095】
次に、光通信システムのその他の適用例について説明する。
【0096】
図11は、光通信システムの他の適用例を示す模式図であり、光通信システムのドローン41、42間の通信への適用例が示されている。
図11に示されるように、ドローン41には、表示パネル11cおよびイメージセンサー21cが設置され、ドローン42には、表示パネル11dおよびイメージセンサー21dが設置されている。
【0097】
表示パネル11c、11dは、透明かつ曲面形状の有機EL表示パネルであり、光による画像を表示する。表示パネル11c、11dは、ドローン41、42のプロペラガードの外周に設置されている。
【0098】
イメージセンサー21c、21dは、全周カメラであり、ドローン41、42の外周を撮像する。イメージセンサー21c、21dは、ドローン41、42の頂部に設置されている。表示パネル11c、11dにおいて光にて表示された画像は、全周カメラであるイメージセンサー21d、21cにて撮像される。
【0099】
このように、光通信システムでは、発光体として曲面形状の表示パネル11c、11dを用いるので、プロペラガードなどドローンの曲面形状を有する部分にも発光体を設置することが容易になる。また、前述したように、表示パネルの曲面形状を利用して通信の指向性を形成すれば、多数のドローン間で空間多重による通信を行うこともできる。
【0100】
光通信システムを用いて、速度、高度、加速度、進行方向などの飛行状況など、ドローンの電子制御ユニットで処理される情報信号をドローン間で交換することにより、例えば、ドローンの自動操縦を支援することができる。
【0101】
図12は、光通信システムの他の適用例を示す模式図であり、ドローン41と飛行船43との間の通信への適用例が示されている。
図12に示されるように、ドローン41には、表示パネル11cおよびイメージセンサー21cが設置され、飛行船43には、表示パネル11eおよびイメージセンサー21eが設置されている。
【0102】
ドローン41と飛行船43とは、例えば、物流システムを構成していてもよい。飛行船43は、中継点を結ぶ基幹経路で荷物を輸送し、ドローン41は、飛行船43と配送点および集荷点との間の末端経路で荷物を輸送してもよい。ドローン41は、ハッチ44から飛行船43に乗り込んで荷物の積み降ろしを行ってもよい。
【0103】
光通信システムを用いて、配送点、集荷点、荷物の寸法、重量、個数などの情報信号を、飛行船43とドローン41との間で交換することにより、ドローンを末端経路へ適時に割り当てるなど、物流システムの効率的な運用が可能となる。
【0104】
以上、実施の形態1において、光通信システムの送信部として、可視光を発する有機EL表示パネルを用い、受信部としてこの表示パネルから発せられた可視光を受光するイメージセンサーを用いる構成を例に説明したが、通信に供する光の波長は可視光に限らない。例えば、赤外光を発する表示パネルとこの赤外光を受信できるイメージセンサーを用いてもよいし、紫外光発する表示パネルとこの紫外光を受信できるイメージセンサーを用いてもよく、赤外光、可視光、および紫外光の光波長領域に限定されることなく、送信部として二次元に配列された発光体と、その発光を受光できる二次元に配列されたセンサーとの組み合わせであれば本発明の効果を奏することができる。
【0105】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る光通信システムについて説明する。本実施の形態に係る光通信システムは、従来の画像認証システムにおける誤認識を低減するために利用できるシステムである。従来の自動運転車、顔認証システムなどの画像認証システムにおいては、対象物の認識を、イメージセンサーによって取得された画像に映った当該対象物の外観のみに基づいて行うため、誤認識のリスクが比較的高い。本実施の形態に係る光通信システムは、対象物を認証するための情報を、対象物に付された表示パネルからイメージセンサーに光通信によって送信することで、上記誤認識のリスクを低減する。以下、本実施の形態に係る光通信システムについて、実施の形態1に係る光通信システムとの相違点を中心に
図13および
図14を用いて説明する。
【0106】
図13は、本実施の形態に係る光通信システム3の機能的な構成を示すブロック図である。
図13に示されるように、光通信システム3は、機能的には、表示パネル11と送信制御部14とを有する送信部10と、イメージセンサー21と受信制御部324とを有する受信部320とを備える。
【0107】
本実施の形態に係る受信制御部324は、表示パネル11から発せられた光を受光するイメージセンサー21で受光された光から情報信号を抽出し、かつ、表示パネル11が付された対象物の画像認証を行う。本実施の形態では、受信制御部324は、表示パネル11が付された対象物の画像をイメージセンサー21から取得し、当該画像に基づいて対象物の認証を行う。対象物は、特に限定されないが、例えば、人、動物、車などである。また、画像認証によって、例えば、人、動物などの種類を認証してもよいし、特定の人などを認証してもよい。また、受信制御部324は、画像データを用いて画像認証を行ってもよい。受信部320は、画像認証において用いるデータを記憶する記憶部を有してもよい。
【0108】
また、本実施の形態では、受信制御部324が光から抽出する情報信号は、対象物の属性情報を含む。属性情報は、例えば、人、動物などの種類に関する情報を示す信号であってもよいし、年齢、性別、名称などの情報であってもよいし、個人を特定する身分証明情報などの認証情報を示す信号であってもよい。
【0109】
本実施の形態に係る光通信システム3の適用例について
図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態に係る光通信システム3の適用例を示す模式図である。
図14に示されるように、本実施の形態に係る光通信システム3は、例えば、人390の顔認証に適用される。
図14に示される適用例では、認証を受ける対象物である人390には、表示パネル11が付されている。表示パネル11は、人390の腕に巻かれた腕章392に付されている。なお、
図14には示されないが、腕章392には、送信制御部14が含まれる。つまり、腕章392が送信部10を構成する。
【0110】
図14に示される受信部320は、人390の顔認証を行う。
図14に示される適用例では、受信部320は筐体状の外形を有し、外表面に配置されるイメージセンサー21を有する。
図14には示されないが、受信部320は、
図13に示される受信制御部32
4を有する。受信制御部324は、表示パネル11が付された対象物である人390の画像をイメージセンサー21から取得し、当該画像に基づいて人390の認証を行う。具体的には、受信制御部324は、当該画像に基づいて人390が誰であるかを特定する。
【0111】
また、本実施の形態に係る表示パネル11は、人390を特定するための個人認証情報を含む情報信号を表す光を発する。つまり、受信制御部324は、イメージセンサー21で受光された表示パネル11が発する光から、人390を特定する個人認証情報を抽出する。
【0112】
図14に示される適用例において、受信制御部324が取得する画像が、画像認証に適していない場合に、誤認識のリスクが高まる。画像が画像認証に適しない場合とは、例えば、画像の画質が低い場合、当該画像が人390の顔の一部だけを含む場合などである。しかしながら、本実施の形態では、人390に付された表示パネル11が個人認証情報を含む情報信号を表す光を発し、受信制御部324がイメージセンサー21が受光した当該光から個人認証情報を抽出することができるため、顔認証において誤認証のおそれがある場合においても、人390を精度良く認証することができる。
【0113】
以上のように、本実施の形態に係る光通信システム3によれば、従来の画像認証システムより画像認証の精度を高めることができる。また、本実施の形態に係る光通信システム3の表示パネル11が発する光は、イメージセンサー21が受光できればよく、必ずしも人が認識できなくてもよい。このため、表示パネル11は、人の目には単なる模様に見えるような可視光を発しつつ、人の目では認識できない程度に短い時間で情報信号を含む可視光を発してもよい。これにより、人の目には、例えば、衣服、装飾品などの一部のように見える表示パネル11において、情報信号を含む可視光を発することができる。
【0114】
なお、本実施の形態に係る光通信システム3は、一つのイメージセンサー21を備えたが、本実施の形態に係る光通信システム3は、表示パネル11からの光の受光する第一のイメージセンサーと、対象物の画像を取得する第二のイメージセンサーとを備えてもよい。
【0115】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る光通信システムについて説明する。本実施の形態に係る光通信システムは、なりすましが困難な個人認証システムとして利用される。以下、本実施の形態に係る光通信システムについて、実施の形態1に係る光通信システムとの相違点を中心に
図15および
図16を用いて説明する。
【0116】
図15は、本実施の形態に係る光通信システム4の機能的な構成を示すブロック図である。
図15に示されるように、光通信システム4は、機能的には、被認証部430aと、認証部430bとを備える。
【0117】
被認証部430aは、認証部430bによって認証される対象物であり、送信部410aと、受信部420aとを備える。
【0118】
受信部420aは、認証部430bからの光を受光する機能部であり、イメージセンサー421aと、受信制御部424aとを有する。本実施の形態では、受信部420aは、さらにスイッチ480を有する。
【0119】
イメージセンサー421aは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様の構成を有する。本実施の形態では、イメージセンサー421aは、認証部430bから発せられた、チャレンジ信号に対応する光を受光する。ここで、チャレンジ信号とは、認証部430bにおいて被認証部430aの認証のために用いられる信号であり、認証部430bから被認証部430aへ送信される。チャレンジ信号の構成は特に限定されない。チャレンジ信号として、例えば、認証のたびに生成されるランダムな文字列などを用いることができる。
【0120】
なお、イメージセンサー421aは、認証部430bから発せられる信号を受信できるものであれば特に限定されない。例えば、認証部430bから赤外線信号が発せられる場合には、イメージセンサー421aは、赤外線センサーであってもよい。
【0121】
受信制御部424aは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様の機能を有する。本実施の形態では、受信制御部424aは、認証部430bから発せられた光からチャレンジ信号を抽出し、さらに、抽出したチャレンジ信号に対応するレスポンス信号を生成する。受信制御部424aは、生成したレスポンス信号を送信部410aに出力する。なお、レスポンス信号は、チャレンジ信号に基づいて生成される信号である。レスポンス信号は、例えば、チャレンジ信号に対して、公開されていない所定の処理を施すことで生成される。当該所定の処理を、被認証部430aと認証部430bとが共有することで、認証部430bが被認証部430aを認証するためのワンタイムパスワードとしてレスポンス信号を用いることができる。なお、所定の処理は特に限定されないが、例えば、文字列に対応する数値に演算を施すような処理であってもよい。
【0122】
スイッチ480は、受信部420aの動作を開始および停止する操作部である。これにより、ユーザは、認証時にだけ受信部420aを動作させることができる。例えば、被認証部430aを人が保持する場合に、認証時以外に不要な画像が取得されることでプライバシーが侵害されるおそれを低減できる。
【0123】
送信部410aは、表示パネル411aと、送信制御部414aとを有する。表示パネル411aおよび送信制御部414aは、それぞれ、実施の形態1に係る表示パネル11および送信制御部14と同様の構成を有する。本実施の形態に係る送信制御部414aは、受信部420aからのレスポンス信号を受けて、レスポンス信号に対応する光の画像を表示パネル411aに表示させる。なお、送信部410aは、認証部430bによる認証を開始するために、認証を要求する信号を認証部430bに送信してもよい。
【0124】
認証部430bは、被認証部430aを認証する処理部であり、送信部410bと、受信部420bとを有する。
【0125】
受信部420bは、被認証部430aからの光を受光する機能部であり、イメージセンサー421bと、受信制御部424bとを有する。本実施の形態では、受信部420bは、記憶部426をさらに有する。
【0126】
イメージセンサー421bは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様の構成を有する。本実施の形態では、イメージセンサー421bは、被認証部430aから発せられた、レスポンス信号に対応する光を受光する。
【0127】
受信制御部424bは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様の機能を有する。本実施の形態では、受信制御部424bは、さらに、被認証部430aから発せられた光からレスポンス信号を抽出し、抽出したレスポンス信号に基づいて、被認証部430aの認証を行う。具体的には、抽出したレスポンス信号が、認証部430bから送信したチャレンジ信号に対応するか否かを判定して、被認証部430aの公認の可否を決定する。例えば、受信制御部424bは、被認証部430aの受信制御部424aにおいて行う所定の処理と同等の処理をチャレンジ信号に対して施すことでレスポンス信号を生成し、生成したレスポンス信号が抽出したレスポンス信号と等しい場合にだけ、被認証部430aが認証部430bによって公認された被認証部430aであると判定してもよい。
【0128】
本実施の形態では、受信制御部424bは、被認証部430aが付された対象物の画像をイメージセンサー421bから取得し、当該画像に基づいて対象物の認証を行う。これにより、本実施の形態では、チャレンジアンドレスポンス方式のワンタイムパスワードによって被認証部430aの認証を行い、かつ、画像認証によって被認証部430aが付された対象物を認証する。このため、被認証部430aと対象物とがそれぞれ認証され、かつ、それらの組み合わせが適切かについても認証できる。例えば、被認証部430aが公認された対象物とは異なる対象物に付されている場合に、被認証部430aと対象物との組み合わせが公認されていないと判定できる。このように、本実施の形態に係る光通信システム4によれば従来の認証システムより、なりすましに対して誤って公認することを低減できる。
【0129】
受信制御部424bは、被認証部430aから送信された認証を要求する信号を受信して、当該信号に基づいて、認証を開始してもよい。また、受信制御部424bは、イメージセンサー421bが被認証部430aの画像に対応する光を受光した場合に、認証を開始してもよい。例えば、受信制御部424bは、イメージセンサー421bが、被認証部430aの表示パネル411aの画像に対応する光を受光した場合に、認証を開始してもよい。認証部430bが認証を開始すると、受信制御部424bは、送信部410bにチャレンジ信号を出力する。
【0130】
記憶部426は、認証に必要な情報を記憶する。記憶部426は、画像認証に必要な公認された対象物の画像を記憶する。また、記憶部426は、レスポンス信号の生成に必要な情報を記憶してもよい。
【0131】
送信部410bは、表示パネル411bと、送信制御部414bとを有する。
【0132】
表示パネル411bおよび送信制御部414bは、それぞれ、実施の形態1に係る表示パネル11および送信制御部14と同様の構成を有する。本実施の形態に係る送信制御部414bは、受信部420bからのチャレンジ信号を受けて、チャレンジ信号に対応する光の画像を表示パネル411bに表示させる。なお、表示パネル411bは、必ずしも実施の形態1に係る表示パネル11と同様の構成を有さなくてもよい。例えば、表示パネル411bは、平面形状の表示パネルであってもよい。また、表示パネル411bは、光以外を用いて信号を送信してもよい。例えば、赤外線などを用いて信号を送信してもよい。この場合、被認証部430aの受信部420aも、表示パネル411bに対応する構成を有してもよい。
【0133】
次に、本実施の形態に係る光通信システム4の適用例について
図16を用いて説明する。
図16は、本実施の形態に係る光通信システム4の適用例を示す模式図である。本実施の形態に係る光通信システム4は、入場が制限された施設などの入場ゲートに配置され、人490の認証を行う個人認証システムに適用できる。
図16に示される例では、光通信システム4の認証部430bは、筐体状の外形を有し、外表面に配置されるイメージセンサー421bと、表示パネル411bとを有する。
図16には示されないが、認証部430bは、
図15に示される受信制御部424bと、送信制御部414bとを有する。
【0134】
図16に示される適用例では、認証を受ける対象物である人490には、被認証部430aが付されている。被認証部430aは、人490の腕に巻かれた腕章492に付されている。
図16に示されるように、腕章492の表面には、表示パネル411aと、イメージセンサー421aと、スイッチ480とが配置されている。なお、
図16には示されないが、腕章492は、
図15に示される送信制御部414aと、受信制御部424aとを有する。
【0135】
次に、本実施の形態に係る光通信システム4における認証方法について、
図16および
図17を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る光通信システム4における認証方法の流れを示すシーケンスチャートである。
【0136】
図16に示される光通信システム4において、まず、被認証部430aは、認証要求を行う(S10)。具体的には、人490が施設の入場ゲートの認証部430bに近づき、被認証部430aの表示パネル411aを認証部430bから見える位置に配置する。このように表示パネル411aを認証部430bから見える位置に配置することが認証要求の一例である。認証部430bは、人490の腕章492の表示パネル411aの画像を取得する。これにより、認証部430bの受信制御部424bは、認証要求を受けたと判断する。
【0137】
続いて、要求を受けた認証部430bは、被認証部430aにチャレンジ信号を送信する(S12)。具体的には、受信制御部424bが生成したチャレンジ信号が、送信部410bの送信制御部414bに送信され、送信制御部414bが、表示パネル411bにチャレンジ信号に対応する光の画像を表示させる。
【0138】
続いて、被認証部430aのイメージセンサー421aは、表示パネル411bから発せられる光を受光する。受信制御部424aは、イメージセンサー421aが受光した光からチャレンジ信号を抽出し、チャレンジ信号に対応するレスポンス信号を生成する(S14)。受信制御部424aは、生成したレスポンス信号を送信制御部414aに出力する。
【0139】
続いて、被認証部430aは、レスポンス信号を認証部430bに送信する(S16)。具体的には、被認証部430aの送信制御部414aは、表示パネル411aにレスポンス信号に対応する光の画像を表示させる。
【0140】
認証部430bは、レスポンス信号を受信して、被認証部430aの認証を行う(S18)。具体的には、認証部430bのイメージセンサー421bは、表示パネル411aからの光を受光する。認証部430bの受信制御部424bは、表示パネル411aが受光した光からレスポンス信号を抽出し、抽出したレスポンス信号、および、認証部430bが送信したチャレンジ信号に対応するレスポンス信号の、二つのレスポンス信号が一致するか否かを判定する。認証部430bは、二つのレスポンス信号が一致した場合には、被認証部430aが認証部430bによって公認されていると判定し、二つレスポンス信号が一致しない場合には、被認証部430aが認証部430bによって公認されていないと判定する。
【0141】
また、本実施の形態に係
る認証部430
bは、以上の処理に加えて、被認証部430aが付された人490の画像認証を行う。例えば、人490の顔認証を行う。具体的には、認証部430bの受信制御部424bは、イメージセンサー421bによって取得された人490の顔の画像と、記憶部426に記憶された被認証部430aに対応する人490の顔の画像とが、一致するか否かを判定する。受信制御部424bが一致すると判断すれば、人490は、認証部430bによって公認されていると判定され、一致しないと判断すれば、人490は、認証部430bによって公認されていないと判定される。なお、認証部430bにおいて、画像認証処理と、
図17に示される処理とを、同時に行ってもよいし、順次行ってもよい。
【0142】
このように、本実施の形態に係る光通信システムによれば、なりすましに対して誤って公認することを低減できる。
【0143】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る光通信システムについて説明する。本実施の形態に係る光通信システムは、主に、システムの周辺の画像を撮影する撮像部を備える点において、実施の形態1に係る光通信システムと相違する。以下、本実施の形態に係る光通信システムについて、実施の形態1に係る光通信システムとの相違点を中心に
図18および
図19を用いて説明する。
【0144】
図18は、本実施の形態に係る光通信システム5の機能的な構成を示すブロック図である。
図18に示されるように、光通信システム5は、機能的には、送信部510と、受信部520bと、撮像部520aとを備える。
【0145】
受信部520bは、イメージセンサー521bと、受信制御部524bとを有する。イメージセンサー521bおよび受信制御部524bは、それぞれ、実施の形態1に係るイメージセンサー21および受信制御部24と同様の構成を有する。
【0146】
撮像部520aは、撮像用イメージセンサー521aと、撮像制御部524aとを有する。本実施の形態では、撮像部520aは、記憶部526と、スイッチ580と、非常ボタン570とをさらに備える。
【0147】
撮像用イメージセンサー521aは、画像を撮影するセンサーである。本実施の形態では、撮像用イメージセンサー521aは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様に光を受光し、光学系22と、撮像素子23とを備える。なお、本実施の形態では、撮像用イメージセンサー521aは、光を受光するが、画像を撮影する撮像用イメージセンサー521aの構成はこれに限定されない。画像を撮影する撮像用イメージセンサー521aは、画像を撮影するセンサーであればよく、赤外線を受けるセンサーなどであってもよい。
【0148】
撮像制御部524aは、撮像用イメージセンサー521aを制御する処理部である。本実施の形態では、撮像制御部524aは、非常ボタン570が押されたことを示す信号を非常ボタン570から受けて、撮像用イメージセンサー521aで撮影された画像を示すデータを記憶部526に記憶させる。また、撮像制御部524aは、撮影された画像を示す信号を送信部510に出力し、送信部510に外部へ送信させる。これにより、非常時に撮影された画像を記憶し、かつ、外部に送ることができる。
【0149】
また、撮像制御部524aは、スイッチ580からの信号に応じて、動作を開始または停止する。つまり、スイッチ580から動作開始を示す信号が撮像制御部524aに入力されると、撮像制御部524aは動作を開始し、スイッチ580から動作停止を示す信号が撮像制御部524aに入力されると、撮像制御部524aは動作を停止する。
【0150】
記憶部526は、撮像用イメージセンサー521aによって撮影された画像に対応する信号を記憶する。
【0151】
スイッチ580は、撮像部520aの動作を開始および停止するための操作部である。これにより、ユーザは、必要な時にだけ撮像部520aを動作させることができる。例えば、撮像部520aを人が保持する場合に、不要な画像が撮影されることでプライバシーが侵害されるおそれを低減できる。
【0152】
非常ボタン570は、非常時に操作されることが想定される操作部である。非常ボタン570が押されたことを示す信号は撮像制御部524aに出力される。
【0153】
送信部510は、表示パネル11と、送信制御部514とを有する。本実施の形態では、送信部510は、無線通信部518と、アンテナ550とをさらに有する。
【0154】
送信制御部514は、実施の形態1に係る送信制御部14と同様の機能を有する。本実施の形態に係る送信制御部514は、さらに、撮像部520aから入力された信号を無線通信部518に出力する。また、送信制御部514は、無線通信部518から入力された信号に対応する画像を表示パネル11に表示させてもよい。
【0155】
無線通信部518は、電波を用いて信号を送信する通信部である。本実施の形態では、無線通信部518は、撮像用イメージセンサー521aで撮像された画像に対応する信号を送信する。無線通信部518は、送信部510の外部と通信を行う。無線通信部518は、例えば、受信部520bとの通信を行ってもよい。この場合、受信部520bは、無線通信部518と同様の無線通信部を有してもよい。また、無線通信部518は、光通信システム5の外部と通信を行ってもよい。例えば、無線通信部518は、光通信システム5の外部に配置されたサーバーなどと無線通信を行ってもよい。また、無線通信部518は、GPS(Global Positioning System)信号を受信してもよい。これにより、無線通信部518は、現在地を示す信号を取得できる。
【0156】
アンテナ550は、電波を送受する機器である。本実施の形態では、アンテナ550は、無線通信部518からの信号を含む電波を生成し、外部からの電波を受ける。
【0157】
次に、本実施の形態に係る光通信システム5の適用例について、
図19を用いて説明する。
図19は、本実施の形態に係る光通信システム5の適用例を示す模式図である。本実施の形態に係る光通信システム5は、人590の行動を見守る見守りシステムに適用できる。
図19に示される例では、光通信システム5の受信部520bは、電信柱などの構造物に設置された監視カメラとして実現されている。
図19には示されないが、受信部520bは、
図18に示されるイメージセンサー521bと、受信制御部524bとを有する。
【0158】
図19に示される適用例では、見守られる対象である人590には、表示パネル11が付されている。表示パネル11は、人590の腕に巻かれた腕章592に付されている。腕章592には、スイッチ580と、非常ボタン570とが配置されている。なお、
図19には示されないが、腕章592には、送信制御部14が含まれる。つまり、腕章592が送信部510を構成する。
【0159】
図19に示される受信部520bは、人590の認証を行う。人590に付された表示パネル11は、人590を特定するための個人認証情報を含む情報信号を表す光を発する。受信部520bの受信制御部324は、表示パネル11の画像を受信部520bのイメージセンサー521bから取得し、当該画像に基づいて人590の認証を行う。具体的には、受信制御部524bは、当該画像に基づいて人590が誰であるかを特定する。受信部520bは、以上のようにして特定された人590を見守る。具体的には、受信部520bは、人590を認証することで人590の現在地が受信部520bの付近であることを把握する。光通信システム5は、複数の受信部520bを備えてもよい。複数の受信部520bを人590の行動範囲の異なる場所に配置することで、より詳細に人590の現在地を把握できる。
【0160】
また、送信部510の無線通信部518がGPS信号を受信する場合には、無線通信部518は、GPS信号に対応する信号を定期的に外部に送信してもよい。
【0161】
また、送信部510は、撮像部520aによって撮影された画像を示す信号を外部に定期的に送信してもよい。これにより、受信部520bによって、人590の現在地が確認できない場合にも、当該画像を人590の現在地を特定するために利用できる。なお、撮像部520aによる画像の撮影は、人590がスイッチ580を用いて適宜停止できる。このため、人590のプライバシーを守ることができる。
【0162】
また、本実施の形態に係る光通信システム5によれば、非常時に人590を救助するために利用できる。例えば、人590が暴漢に襲われた場合などに、人590は非常ボタン570を押してもよい。これにより、撮像部520aは、暴漢の画像の撮影を開始し、当該画像を示すデータを記憶部526に記憶し、当該画像を示す信号を送信部510から外部に送信できる。当該画像を示す信号は、例えば、警備会社、警察などに送信されてもよい。このとき、当該画像を示す信号の他に、人590の属性などの情報、GPS信号などに対応する信号も併せて送信されてもよい。なお、当該画像は、表示パネル11に表示されてもよい。これにより、受信部520bは、当該画像を取得することができる。また、暴漢が撮影されていることに気付くことで、襲撃を中止し得る。また、非常ボタン570が押された際に、撮像制御部524aは、非常事態であることを示す信号を送信部510から外部に送信してもよい。また、非常ボタン570が押された際に、警備会社などから送信部510に、警備員が現場に向かっていることを示す画像、警備員の画像など、暴漢を威嚇し得る画像を示す信号を送信してもよい。表示パネル11においてこれらの画像を表示することで、暴漢に襲撃の中止を促してもよい。なお、記憶部526に記憶された画像は、暴漢を特定する用途などに利用し得る。
【0163】
以上のように、本実施の形態に係る光通信システム5によれば、人590のプライバシーを守りつつ、人590を見守るシステムを実現できる。
【0164】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る光通信システムについて説明する。本実施の形態に係る光通信システムは、実施の形態1に係る光通信システムをロボットに適用したシステムである。以下、本実施の形態に係る光通信システムについて、
図20を用いて説明する。
【0165】
図20は、本実施の形態に係る光通信システム6の適用例を示す模式図である。本実施の形態に係る光通信システム6は、ロボット631および632に適用されている。ロボット631、632は、特に限定されないが、例えば、所定の作業を行うことができ、かつ、自在に移動できる。
図20に示されるように、ロボット631には、表示パネル611aおよびイメージセンサー621aが設置され、ロボット632には、表示パネル611bおよびイメージセンサー621bが設置されている。
【0166】
表示パネル611a、611bは、実施の形態1に係る表示パネル11と同様の構成を有する。表示パネル611a、611bの各々は、実施の形態1に係る送信制御部と同様の送信制御部によって制御される。送信制御部は、例えば、各ロボットの内部に設置される。
【0167】
イメージセンサー621aおよび621bは、実施の形態1に係るイメージセンサー21と同様の構成を有する。イメージセンサー621aおよび621bの各々は、実施の形態1に係る受信制御部と同様の受信制御部によって制御される。受信制御部は、例えば、各ロボットの内部に設置される。
【0168】
図20に示される光通信システム5は、表示パネル611aとイメージセンサー621bとを含む光通信システムおよび表示パネル611bとイメージセンサー621aとを含む光通信システムの2組の光通信システムを含む。これにより、ロボット631、632間で双方向の通信機能が提供される。
【0169】
また、表示パネル611aおよび表示パネル611bにおいて、それぞれ、ロボット631およびロボット632の状態を示す画像、文字などを表示してもよい。例えば、各ロボットが移動中である場合には、移動先を示す文字などが表示されてもよい。これにより、周囲に居る人は、各ロボットの状態を把握することができる。
【0170】
また、各表示パネルには、各ロボットの状態を示す画像として、人の顔の表情を模した画像が表示されてもよい。例えば、各ロボットが作業のスケジュールが隙間時間なく埋まっている場合には、険しい表情の顔を示す画像を表示してもよいし、各ロボットが時間に余裕をもって作業を行う場合には、笑顔を示す画像を表示してもよい。これにより、各ロボットの表示パネルを見るだけで、各ロボットの状態を把握することができる。例えば、各ロボットの周囲に居る人は、各ロボットが急いでいることを把握した場合には、そのロボットに近づかないように注意できる。なお、ロボット間においては、光通信によって、各ロボットの状態などを通信できる。このような光通信は、上述したとおり、人の目では認識できない程度に短い時間で行うことができるため、各表示パネルにおいて、人の目で認識できる画像を表示しながら光通信を行うことができる。
【0171】
以上のように、本実施の形態に係る光通信システム6によれば、各表示パネルにおいて、ロボットの状態などを示す画像を表示しながら、ロボット間において光通信を行うことができる。
【0172】
以上、本発明の実施の形態に係る光通信システムについて説明したが、本発明は、個々の実施の形態には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、光通信システムとして、例えば、移動体間での通信に利用できる。
【符号の説明】
【0174】
1、2、3、4、5、6 光通信システム
10、15、410a、410b、510 送信部
11、11a、11b、11c、11d、11e、411a、411b、611a、611b 表示パネル
12、13 有機EL表示パネル
14、16、414a、414b、514 送信制御部
20、320、420a、420b、520b 受信部
21、21a、21b、21c、21d、21e、421a、421b、521b、621a、621b イメージセンサー
22 光学系
23 撮像素子
24、324、424a、424b、524b 受信制御部
31、32 自動車
33 部材
34 貫通孔
35 ケーブル
37 ワイパー
38 リアウィンドウガラス
39 領域
41、42 ドローン
43 飛行船
44 ハッチ
390、490、590 人
392、492、592 腕章
426、526 記憶部
430a 被認証部
430b 認証部
480、580 スイッチ
518 無線通信部
520a 撮像部
521a 撮像用イメージセンサー
524a 撮像制御部
550 アンテナ
570 非常ボタン
631、632 ロボット