(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】プラスチックの粉砕方法
(51)【国際特許分類】
B02C 7/08 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
B02C7/08
(21)【出願番号】P 2021006753
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000174965
【氏名又は名称】日本コークス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 靖由
(72)【発明者】
【氏名】岩本 玄徳
(72)【発明者】
【氏名】奥山 杏子
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-080092(JP,A)
【文献】特開平10-028894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 7/00―7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃面を向かい合わせた状態で容器内に設置された回転刃及び固定刃を備えた粉砕機によるプラスチックの粉砕方法において、
前記粉砕機は、回転軸に取り付けられた前記回転刃が、前記回転軸の軸方向から見たときに前記回転軸の軸心を中心とする周方向に並び、直線状に延びる複数の刃先を備えた回転側刃部材を有し、前記容器に固定された前記固定刃が、前記回転軸の軸方向から見たときに前記軸心を中心とする周方向に並び、直線状に延びる複数の刃先を備えた固定側刃部材を有し、前記回転側刃部材と前記固定側刃部材との間に、前記軸心側から径方向外側に向かうにつれて次第に刃面間隔が狭まる漸次縮小面間部を有するものであって、
前記粉砕機による粉砕処理前に、粉砕するプラスチックの引張破壊呼びひずみを測定する測定ステップと、
前記引張破壊呼びひずみの測定値に基づいて前記回転側刃部材及び前記固定側刃部材を選択し、粉砕処理中に前記回転軸の軸方向から見たときの前記漸次縮小面間部での刃先の向きを設定する選択ステップと、を備える
ことを特徴とするプラスチックの粉砕方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたプラスチックの粉砕方法において、
前記選択ステップでは、前記引張破壊呼びひずみの測定値が予め決めた閾値未満のとき、前記粉砕処理中に前記回転軸の軸方向から見て、前記漸次縮小面間部で互いの刃先が交差しない前記回転側刃部材及び前記固定側刃部材を選択し、前記引張破壊呼びひずみの測定値が前記閾値以上のとき、前記粉砕処理中に前記回転軸の軸方向から見て、前記漸次縮小面間部で互いの刃先が交差する前記回転側刃部材及び前記固定側刃部材を選択する
ことを特徴とするプラスチックの粉砕方法。
【請求項3】
請求項2に記載されたプラスチックの粉砕方法において、
前記閾値は、20%より大きく、400%以下の値に設定されている
ことを特徴とするプラスチックの粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に設置された回転刃及び固定刃を備える粉砕機によるプラスチックの粉砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器内で刃面を向かい合わせた回転刃と固定刃とを備え、対向する両刃の刃面間で処理物を粉砕する乾式の粉砕機が知られている。例えば特許文献1には、回転刃及び固定刃が、中央部を凹ませた切頭円錐形状の刃面に周方向に並んだ複数の刃を備え、粉砕処理中に軸方向から見たとき、各刃の刃先が交差しない粉砕機が記載されている。このため、特許文献1に記載の粉砕機では、回転刃が回転することで、固定刃の刃先に対して回転刃の刃先が略平行な状態で接近し、通過する。
【0003】
また、例えば特許文献2には、回転刃及び固定刃が有する複数の刃の刃先が、いずれも軸心を通る直線に対して傾斜した方向に延び、粉砕処理中に軸方向から見たとき、回転刃の刃先と固定刃の刃先が交差する粉砕機が記載されている。この場合、回転刃が回転すると、固定刃の刃先に対して回転刃の刃先が一定の角度を持って接近し、通過する。すなわち、両刃先は、鋏の刃のように作用する。
【0004】
また、例えば特許文献3には、回転刃及び固定刃を冷却媒体によって冷却する粉砕機が記載されている。なお、特許文献3には、粉砕処理における温度の上昇により、処理物がプラスチックのときには、処理物が溶融して粉砕が不可能となることや、処理物が食品のときには、酸化して処理物の香りや味が失われることが記載されている。
【0005】
そして、例えば特許文献4には、より細かい微粉砕を可能にするため、回転刃及び固定刃が、それぞれ半径方向内側に配置された内刃と、半径方向外側に配置されて内刃を取り囲む外刃で構成された粉砕機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-28894号公報
【文献】特開2003-80092号公報
【文献】特開2018-153757号公報
【文献】特開2019-162615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1~特許文献4に記載の粉砕機は、何れもプラスチックの粉砕に好適であることが記載されている。しかしながら、プラスチックの種類によっては、粉砕処理中に処理物が溶融し、適切な粒径のプラスチックを得られないという問題が生じることがあった。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、粒状のプラスチックを粉砕する際、処理物の溶融を抑制することができるプラスチックの粉砕方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、刃面を向かい合わせた状態で容器内に設置された回転刃及び固定刃を備えた粉砕機によるプラスチックの粉砕方法において、前記粉砕機は、回転軸に取り付けられた前記回転刃が、前記回転軸の軸方向から見たときに前記回転軸の軸心を中心とする周方向に並び、直線状に延びる複数の刃先を備えた回転側刃部材を有し、前記容器に固定された前記固定刃が、前記回転軸の軸方向から見たときに前記軸心を中心とする周方向に並び、直線状に延びる複数の刃先を備えた固定側刃部材を有し、前記回転側刃部材と前記固定側刃部材との間に、前記軸心側から径方向外側に向かうにつれて次第に刃面間隔が狭まる漸次縮小面間部を有するものであって、前記粉砕機による粉砕処理前に、粉砕するプラスチックの引張破壊呼びひずみを測定する測定ステップと、前記引張破壊呼びひずみの測定値に基づいて前記回転側刃部材及び前記固定側刃部材を選択し、粉砕処理中に前記回転軸の軸方向から見たときの前記漸次縮小面間部での刃先の向きを設定する選択ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
これにより、本発明のプラスチックの粉砕方法では、粒状のプラスチックを粉砕する際、処理物の溶融を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1のプラスチックの粉砕方法が適用された粉砕システムを示す全体システム図である。
【
図4】(a)は実施例1の粉砕機に用いる第1の内刃部材を示す平面図であり、(b)は
図4(a)のA-A断面図である。
【
図5】(a)は実施例1の粉砕機に用いる第2の内刃部材を示す平面図であり、(b)は
図5(a)のB-B断面図である。
【
図6】(a)第2の内刃部材を構成する分割刃を示す平面図であり、(b)は
図6(a)に示す分割刃を中心側から見たときの側面図である。
【
図7】(a)は実施例1の粉砕機に用いる第1の外刃部材を示す平面図であり、(b)は
図7(a)のC-C断面図である。
【
図8】(a)は実施例1の粉砕機に用いる第2の外刃部材を示す平面図であり、(b)は
図8(a)のD-D断面図である。
【
図9】実施例1の粉砕機にて実行されるプラスチック粉砕処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】物質の応力/ひずみ曲線を示す説明図である。
【
図11】回転軸の軸方向から見たときに、回転刃と固定刃の刃先が交差しないことを示す説明図であり、(a)は軸方向から見て刃先が重なった状態を示し、(b)は軸方向から見て刃先が周方向にずれた状態を示す。
【
図12】回転軸の軸方向から見たときに、回転刃と固定刃の刃先が交差することを示す説明図である。
【
図13】実施例1のプラスチックの粉砕方法による粉砕処理の結果と、比較例のプラスチックの粉砕方法による粉砕処理の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のプラスチックの粉砕方法を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0013】
実施例1のプラスチックの粉砕方法を適用する粉砕機10を用いた粉砕システム100を
図1に基づいて説明する。実施例1の粉砕システム100は、粉砕機10と、粉砕機10の上流に設置された供給機20と、粉砕機10の下流に設けられた粉体分離器30と、を備えている。
【0014】
供給機20は、処理物である粒状のプラスチック(粉砕処理前のプラスチック、以下、「粒状プラスチック」という)を粉砕機10に規定量供給する装置である。供給機20には予め粒状プラスチックが収容されており、図示しない制御装置からの命令に従って、粒状プラスチックの供給量を調整する。供給機20と粉砕機10とは、ペレットライン21を介して接続されている。粒状プラスチックは、ペレットライン21を通って所定の流量で粉砕機10の供給口12に連続的に供給される。
【0015】
粉砕機10は、供給機20から供給された粒状プラスチックを微粉状に粉砕する装置である。粉砕機10は、
図1に示すように、容器11と、容器11に形成された供給口12及び排出口13と、を有している。供給口12には、ペレットライン21と空気ライン22とが接続されている。排出口13には、輸送ライン31が接続されている。なお、粉砕機10の詳細な構成については後述する。
【0016】
粉体分離器30は、粉砕機10によって粉砕された微粉状のプラスチック(粉砕処理後のプラスチック、以下、「微粉状プラスチック」という)を捕集する装置である。粉砕機10と粉体分離器30とは、輸送ライン31を介して接続されている。ここで、粉砕処理に伴う微粉状プラスチックの溶融を防ぐためには、粉砕機10から微粉状プラスチックを速やかに排出することが好ましく、特に、多量の空気によって吹き払うように排出することが好ましい。このため、実施例1の粉砕システム100では、粉砕機10から微粉状プラスチックを空気輸送によって排出する。
【0017】
すなわち、粉体分離器30に排気ライン32を介して吸気ファン33を接続する。吸気ファン33によって吸引することで、空気ライン22から粉砕機10の供給口12に空気が吸い込まれ、排出口13から空気が流れ出る。これにより、粉砕機10内の微粉状プラスチックは、輸送ライン31を介して空気輸送される。
【0018】
輸送ライン31を介して空気輸送された微粉状プラスチックは、漏斗状の粉体分離器30の内部で空気から遠心分離され、ロータリーフィーダ34を経て製品タンク35に溜められる。一方、粉体分離器30から排気ライン32を介して吸気ファン33に吸い込まれた空気は、バグフィルタ36を経て大気へ放出される。
【0019】
さらに、粉砕機10では、プラスチックの溶融を防ぐため、回転刃40及び固定刃50(
図2参照)を冷却媒体で冷却し、低温に維持することが望ましい。粉砕機10の近傍にチラーユニット14を設置し、冷媒ライン15、16を介して冷却媒体を循環させることで、回転刃40等を冷却することができる。また、回転刃40や固定刃50を低温にすることで容器11内の温度が低下し、空気輸送に使用される空気も冷却される。このため、粉砕機10の容器11や輸送ライン31の内部で結露する可能性があるので、空気輸送には乾燥した空気を使用することが望ましい。
【0020】
実施例1の粉砕機10は、
図2及び
図3に示すように、扁平な円筒形状の容器11に、刃面を向かい合わせた状態で回転刃40及び固定刃50を配置し、向かい合った刃面間で処理物(粒状プラスチック)を粉砕する乾式粉砕機である。
【0021】
容器11は、一方の端壁に蓋部材11aが装着されている。蓋部材11aの中央部には、円筒状の供給口12が形成されている。また、容器11の他方の端壁11bには、供給口12に対向する位置に貫通孔11cが形成されている。さらに、容器11の周壁11dには、
図3に示すように、排出口13が形成されている。
【0022】
貫通孔11cには、回転軸17が挿通されており、容器11に差し込まれた回転軸17の先端に回転刃40が固定されている。回転軸17は、図示しない軸受部を介して容器11に対して回転可能に支持される。また、貫通孔11cと回転軸17との隙間は、図示しない軸封部によって封鎖されている。そして、回転軸17の駆動側の端部(基端部)には図示しない駆動機構が接続されており、図示しない制御装置からの命令に従って、回転軸17を回転させる。ここで、回転軸17の軸方向の中心線が軸心O1であり、回転刃40は軸心O1を中心に回転する。軸心O1は、供給口12の中心O2に一致している。
【0023】
さらに、回転軸17には、冷媒ライン15、16に接続され、冷却媒体が流れる冷却通路17aが形成されている。冷却通路17aは、
図2では一つの通路として簡略化して示しているが、実際には冷却媒体が流入する通路と、冷却媒体が流出する通路の2つの通路により構成されている。回転軸17の駆動側の端部には、図示しないロータリージョイントが設けられ、冷却通路17aを介して冷却媒体の供給と排出を行うことが可能である。
【0024】
回転刃40は、
図2に示すように、回転側保持部材41と、回転側刃部材42と、を有している。回転側保持部材41は、中央部に回転軸17が固定され、内部に回転側冷却空間43が形成された円板部材である。回転側冷却空間43は、回転軸17に形成された冷却通路17aに連通し、冷却媒体が流通する。
【0025】
回転側刃部材42は、回転側保持部材41の表面に形成された凹部に嵌合し、回転側保持部材41に固定されている。実施例1の回転側刃部材42は、回転軸17の軸心O1を中心とするリング状の回転側内刃44と、回転側内刃44を取り囲むリング状の回転側外刃45と、を有している。
【0026】
回転側内刃44は、固定刃50に対向すると共に、径方向内側が径方向外側よりもへこんだ傾斜面の刃面(以下、「内側回転刃面44a」という)を有している。回転側外刃45は、固定刃50に対向すると共に、高さが一定の刃面(以下、「外側回転刃面45a」という)を有している。
【0027】
内側回転刃面44a及び外側回転刃面45aには、いずれも先端が鋭く尖った多数の凹凸からなる刃が形成されている。各刃の刃先は、回転軸17の軸心O1を中心とする周方向に並んでおり、回転軸17の軸方向から見たときに直線状に延びている。なお、回転側内刃44は、処理物である粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみに基づいて、後述する第1の内刃部材110又は第2の内刃部材120のいずれかが用いられる。また、回転側外刃45は、後述する第1の外刃部材130又は第2の外刃部材140のいずれかが用いられる。
【0028】
固定刃50は、蓋部材11aの内側面に固定され、
図2に示すように、固定側保持部材51と、固定側刃部材52と、を有している。固定側保持部材51は、中央部に供給貫通孔53aが形成され、内部に固定側冷却空間53が形成されたリング状部材である。固定側保持部材51は、供給貫通孔53aが供給口12に対向した状態で蓋部材11aに取り付けられている。供給口12から供給された粒状プラスチックは、供給貫通孔53aを経て回転刃40と固定刃50との間に供給される。また、蓋部材11a及び固定側保持部材51には、冷媒ライン15、16に接続された図示しない冷却通路が形成されている。固定側冷却空間53は、図示しない冷却通路に連通し、冷却媒体が流通する。
【0029】
固定側刃部材52は、固定側保持部材51の表面に形成された凹部に嵌合し、固定側保持部材51に固定されている。実施例1の固定側刃部材52は、供給口12の中心O2を中心とするリング状の固定側内刃54と、固定側内刃54を取り囲むリング状の固定側外刃55と、を有している。
【0030】
固定側内刃54は、回転刃40に対向すると共に、径方向内側が径方向外側よりもへこんだ傾斜面の刃面(以下、「内側固定刃面54a」という)を有している。固定側外刃55は、回転刃40に対向すると共に、高さが一定の刃面(以下、「外側固定刃面55a」という)を有している。
【0031】
内側固定刃面54a及び外側固定刃面55aには、いずれも先端が鋭く尖った多数の凹凸からなる刃が形成されている。各刃の刃先は、供給口12の中心O2を中心とする周方向に並んでおり、回転軸17の軸方向から見たときに直線状に延びている。なお、固定側内刃54は、処理物である粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみに基づいて、後述する第1の内刃部材110又は第2の内刃部材120のいずれかが用いられる。また、固定側外刃55は、後述する第1の外刃部材130又は第2の外刃部材140のいずれかが用いられる。
【0032】
さらに、内側回転刃面44a及び内側固定刃面54aが、いずれも径方向内側が径方向外側よりもへこんだ傾斜面となっていることから、回転側内刃44と固定側内刃54との間には、回転軸17の軸心O1から径方向外側に向かうにつれて次第に刃面間隔Gが狭まる漸次縮小面間部61が形成されている。すなわち、回転側内刃44が、漸次縮小面間部61を形成する回転側刃部材42となり、固定側内刃54が、漸次縮小面間部61を形成する固定側刃部材52となる。
【0033】
また、外側回転刃面45a及び外側固定刃面55aが、いずれも高さが一定に設定されたことから、回転側外刃45と固定側外刃55との間には、刃面間隔Gが一定になった一定面間部62が形成されている。なお、一定面間部62の刃面間隔Gは、漸次縮小面間部61の最小刃面間隔と同じ大きさになっている。
【0034】
以下、回転側内刃44及び固定側内刃54に用いられる内刃部材について説明する。
【0035】
図4(a)、(b)に示す第1の内刃部材110は、刃面111に周方向に並ぶ複数の刃が形成され、各刃の刃先112は、中心Oを通る放射状に延びている。すなわち、第1の内刃部材110の各刃の刃先112は、中心Oを通る径方向に沿って延びる。なお、第1の内刃部材110の中心Oは、第1の内刃部材110が回転側内刃44又は固定側内刃54として用いられた際、回転軸の軸心O1又は供給口12の中心O2に一致する。また、刃面111は、径方向内側が径方向外側よりもへこんだ傾斜面になっている(
図4(b)参照)。
【0036】
図5(a)、(b)に示す第2の内刃部材120は、
図6(a)に示す分割刃125を、中心Oを取り囲むリング状に組み合わせて形成されている。なお、第2の内刃部材120の中心Oも、第2の内刃部材120が回転側内刃44又は固定側内刃54として用いられた際、回転軸の軸心O1又は供給口12の中心O2に一致する。
【0037】
各分割刃125の刃面121には複数の刃が形成され、各刃の刃先122は、第2の内刃部材120の中心Oを通る径方向に対して傾斜した方向に沿って直線状に延びている。つまり、第2の内刃部材120の各刃の刃先122は、延在方向が中心Oを通る径方向と交差する。また、分割刃125は、分割端面126に沿った分割溝127を有している。分割溝127は、
図6(b)に示すように、刃面121に形成されたへこみである。
図5(a)に示すように、分割刃125を組み合わせた際、隣接する分割溝127が突き当てられ、中心Oを通る放射状に延びるへこみが刃面121に形成される。分割溝127を形成したことで、粉砕処理中に処理物が分割端面126の突き合わせ部分に引っ掛かって流れにくくなることを抑制できる。また、刃面121は、径方向内側が径方向外側よりもへこんだ傾斜面になっている(
図5(b)参照)。
【0038】
以下、回転側外刃45又は固定側外刃55に用いられる外刃部材について説明する。
【0039】
図7(a)、(b)に示す第1の外刃部材130は、刃面131に周方向に並ぶ複数の刃が形成され、各刃の刃先132は、中心Oを通る放射状に延びている。すなわち、第1の外刃部材130の各刃の刃先132は、中心Oを通る径方向に沿って延びる。なお、第1の外刃部材130の中心Oも、第1の外刃部材130が回転側外刃45又は固定側外刃55として用いられた際、回転軸の軸心O1又は供給口12の中心O2に一致する。また、刃面131は、中心Oに直交する平面になっている(
図7(b)参照)。
【0040】
図8(a)、(b)に示す第2の外刃部材140は、刃面141に周方向に並ぶ複数の刃が形成され、各刃の刃先142は、中心Oを通る径方向に対して傾斜した方向に直線状に延びている。すなわち、第2の外刃部材140の各刃の刃先142は、延在方向が中心Oを通る径方向と交差する。なお、第2の外刃部材140の中心Oも、第2の外刃部材140が回転側外刃45又は固定側外刃55として用いられた際、回転軸の軸心O1又は供給口12の中心O2に一致する。また、刃面141は、中心Oに直交する平面になっている(
図8(b)参照)。
【0041】
以下、
図9に基づいて、粉砕機10を用いた実施例1のプラスチックの粉砕処理を説明する。
【0042】
ステップS1では、粉砕機10に供給する処理物である粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみを測定し、ステップS2へ進む。すなわち、ステップS1は、粉砕機10による粉砕処理前に、粉砕するプラスチック(粒状プラスチック)の引張破壊呼びひずみを測定する測定ステップである。
【0043】
なお、プラスチックの引張特性の求め方は、日本工業規格のK7161:2014によって規定されている。ここで、物質の引張特性は
図10に示す応力/ひずみ曲線によって示される。すなわち、
図10において引張特性が曲線aで示される物質は、降伏せず、低ひずみ域で破壊する脆性材料である。また、
図10において引張特性が曲線dで示される物質は、降伏せず、高ひずみ域で破壊する延性材料である。そして、多くのプラスチックは、曲線bや曲線cで示されるような引張特性を有し、降伏後に破壊する特徴を備えている。そして、「引張破壊呼びひずみ」とは、材料が降伏後に破壊する場合において,応力が引張強さの10%以下にまで減少する直前の呼びひずみである。「引張呼びひずみ」は、引張試験時のクロスヘッドの変位量(つかみ具間距離の増加量)を、初めのつかみ具間距離で除して求める。
【0044】
ステップS2では、ステップS1での粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定に続き、引張破壊呼びひずみの測定値が予め設定した閾値未満であるか否かを判断する。YES(引張破壊呼びひずみの測定値<閾値)の場合には、ステップS3へ進む。NO(引張破壊呼びひずみの測定値≧閾値)の場合には、ステップS4へ進む。
【0045】
ここで、「閾値」は、20%より大きく、400%以下の値に設定され、実施例1では100%に設定する。なお、一般的に、プラスチックは、引張破壊呼びひずみが小さいほど延性が小さく、引張破壊呼びひずみが大きいほど延性が大きくなる。引張破壊呼びひずみが100%未満となるプラスチックは、例えば、ポリプロピレン-ホモポリマー、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)等がある。また、引張破壊呼びひずみが100%以上となるプラスチックは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン-ランダムコポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene-vinyl acetate)、ポリエアミド12(PA12)、ゴム等がある。
【0046】
ステップS3では、ステップS2での引張破壊呼びひずみの測定値<閾値との判断に続き、粉砕処理中に回転軸17の軸方向から見たとき、漸次縮小面間部61において回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差しない内刃部材を選択し、ステップS5へ進む。
【0047】
ここで、「粉砕処理中に回転軸17の軸方向から見たとき、漸次縮小面間部61において回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差しない」とは、
図11(a)に示すように、回転側内刃44の内側回転刃面44aに形成された複数の刃の刃先αと、固定側内刃54の内側固定刃面54aに形成された複数の刃の刃先βを、回転軸17の軸方向から見たとき、刃先αの延び方向L1と刃先βの延び方向L2が軸心O1で交差しているため、粉砕処理に伴って刃先αと刃先βが相対的に周方向に移動しても、
図11(b)に示すように、刃先αと刃先βが漸次縮小面間部61内で交差しないことである。ステップS3において、具体的には、回転側内刃44に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。
【0048】
ステップS4では、ステップS2での引張破壊呼びひずみの測定値≧閾値との判断に続き、粉砕処理中に回転軸17の軸方向から見たとき、漸次縮小面間部61において回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する内刃部材を選択し、ステップS5へ進む。
【0049】
ここで、「粉砕処理中に回転軸17の軸方向から見たとき、漸次縮小面間部61において回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する」とは、回転側内刃44の内側回転刃面44aに形成された複数の刃の刃先αと、固定側内刃54の内側固定刃面54aに形成された複数の刃の刃先βを、回転軸17の軸方向から見たとき、
図12に示すように、刃先αと刃先βが漸次縮小面間部61内で交差することである。つまり、回転側内刃44では刃先αの延び方向L1が軸心O1を中心とする径方向に対してずれており、固定側内刃54では刃先βの延び方向L2が軸心O1を中心とする径方向に沿っている。このため、粉砕処理に伴って刃先αと刃先βが相対的に周方向に移動すると、刃先αと刃先βは鋏のように角度を持って接近する。ステップS4において、具体的には、回転側内刃44に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。
【0050】
なお、回転側内刃44に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択してもよい。さらに、回転側内刃44に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択してもよい。
【0051】
また、ステップS2~ステップS4は、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値に基づいて、回転側刃部材42及び固定側刃部材52を選択し、漸次縮小面間部61での刃先α、βの向きを設定する選択ステップである。
【0052】
ステップS5では、ステップS3又はステップS4での内刃部材の選択に続き、回転側外刃45に用いる外刃部材と、固定側外刃55に用いる外刃部材を選択し、ステップS6へ進む。
【0053】
なお、回転側外刃45に用いる外刃部材は、原則として回転側内刃44に用いた内刃部材に合わせる。つまり、回転側内刃44に第1の内刃部材110を用いる場合は、第1の外刃部材130を用い、回転側内刃44に第2の内刃部材120を用いる場合は、第2の外刃部材140を用いる。また、固定側外刃55に用いる外刃部材は、原則として固定側内刃54に用いた内刃部材に合わせる。つまり、固定側内刃54に第1の内刃部材110を用いる場合は、第1の外刃部材130を用い、固定側内刃54に第2の内刃部材120を用いる場合は、第2の外刃部材140を用いる。しかしながら、回転側外刃45や固定側外刃55に用いる外刃部材は、目標とする処理物の流量及び微粉状プラスチックの平均粒子径に応じて、回転刃40の刃数、空気ライン22を流れる空気の風量、刃面間隔Gの寸法、刃先132、142の深さや間隔、一定面間部62の面積等と共に検討し、任意に選択することが可能である。
【0054】
ステップS6では、ステップS5での外刃部材の選択に続き、ステップS3又はステップS4にて選択した内刃部材を粉砕機10の回転刃40にセットし、ステップS5にて選択した外刃部材を粉砕機10の固定刃50にセットし、ステップS7へ進む。
【0055】
ステップS7では、ステップS6での回転刃40及び固定刃50のセットに続き、粉砕システム100において粉砕処理を実行し、エンドへ進む。ここで、粉砕システム100における粉砕処理は、まず、供給機20から粉砕機10へ粒状プラスチックを供給する。続いて、粉砕機10を駆動して粒状プラスチックを粉砕する。このとき、粒状プラスチックは、供給口12から供給貫通孔53aを通過し、回転刃40と固定刃50との間に供給される。そして、回転刃40が回転することで、粒状プラスチックは、回転側内刃44と固定側内刃54との間を径方向内側から径方向外側に向かって流れる。回転側内刃44と固定側内刃54との間に形成された漸次縮小面間部61では、刃面間隔Gが径方向外側に向かうにつれて次第に狭くなっている。このため、粒状プラスチックは、漸次縮小面間部61において順次粉砕されて粉末状となり、次第に微粉末状へと変化する。
【0056】
そして、漸次縮小面間部61で微粉末状に変化した処理物(微粉状プラスチック)は、回転側外刃45と固定側外刃55の間に流れ込む。回転側外刃45と固定側外刃55の間に形成された一定面間部62では、微粉末状に変化した処理物を、一定の刃面間隔Gで継続して粉砕処理する。これにより、処理物は、粒度の揃った微粉状プラスチックとなる。
【0057】
以下、
図13に基づいて、実施例1のプラスチックの粉砕処理の結果と、比較例のプラスチックの粉砕処理の結果を説明する。なお、以下に説明するプラスチックの粉砕処理では、
図1に示す粉砕機10を用いる。
【0058】
実施例1の粉砕処理では、まず、処理物である粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみを測定する(ステップS1)。
【0059】
続いて、測定した粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値に基づいて、回転側内刃44に用いる内刃部材と、固定側内刃54に用いる内刃部材をそれぞれ選択する。すなわち、引張破壊呼びひずみの測定値が予め設定した閾値(ここでは100%)未満であるか否かを判断する(ステップS2)。そして、引張破壊呼びひずみの測定値が閾値未満であれば、
図9に示すフローチャートでステップS3へと進み、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差しない内刃部材を選択する。一方、引張破壊呼びひずみの測定値が閾値以上であれば、
図9に示すフローチャートでステップS4へと進み、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する内刃部材を選択する。
【0060】
その後、回転側外刃45に用いる外刃部材と、固定側外刃55に用いる外刃部材を選択し(ステップS5)、選択した内刃部材及び外刃部材をそれぞれ回転刃40及び固定刃50にセットする(ステップS6)。そして、粉砕機10によって粉砕処理を実行する(ステップS7)。
【0061】
図13に示す第1の実施例1の粉砕処理では、引張破壊呼びひずみが20%であるポリプロピレン-ホモポリマーを粉砕する。このとき、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値未満となるため、
図9に示すフローチャートでステップS3へと進み、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差しない内刃部材を選択する。つまり、
図11に示すように、回転側内刃44に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。
【0062】
また、第1の実施例1の粉砕処理での粉砕条件は、最小刃面間隔を0.6mm、回転刃40の回転速度を10000~12000min-1、処理量を100kg/hrに設定する。この結果、第1の実施例1の粉砕処理では、平均粒径が1mm以下の微粉状プラスチックを得ることができた。
【0063】
これに対し、比較例1の粉砕処理では、第1の実施例1の粉砕処理と同様に引張破壊呼びひずみが20%のポリプロピレン-ホモポリマーを粉砕する。そして、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する内刃部材を選択する。つまり、比較例1の粉砕処理では、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値未満であるが、
図12に示すように、回転側内刃44に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。なお、粉砕条件は、第1の実施例1と同様に、最小刃面間隔を0.6mm、回転刃40の回転速度を10000~12000min
-1、処理量を100kg/hrに設定する。
【0064】
この結果、比較例1の粉砕処理では、処理物である粒状プラスチックが溶融し、微粉状プラスチックを得ることができなかった。
【0065】
さらに、比較例2の粉砕処理においても、第1の実施例1の粉砕処理及び比較例1の粉砕処理と同様に、引張破壊呼びひずみが20%のポリプロピレン-ホモポリマーである粒状プラスチックを粉砕する。また、比較例1の粉砕処理と同様に、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する内刃部材を選択する。そして、粉砕条件において、最小刃面間隔を0.6mm、回転刃40の回転速度を10000~12000min-1に設定すると共に、処理量を第1の実施例1の粉砕処理及び比較例1の粉砕処理よりも減らして25kg/hrに設定する。
【0066】
つまり、比較例2の粉砕処理では、比較例1の粉砕処理と比べて、処理量を低減して粉砕処理を行う。しかし、処理量を減らしても、処理物である粒状プラスチックが溶融し、微粉状プラスチックを得ることができなかった。
【0067】
一方、第2の実施例1の粉砕処理では、引張破壊呼びひずみが400%であるポリエチレンを粉砕する。このとき、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値以上となるため、
図9に示すフローチャートでステップS4へと進み、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差する内刃部材を選択する。つまり、
図12に示すように、回転側内刃44に用いる内刃部材として第2の内刃部材120を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。
【0068】
また、第2の実施例1の粉砕処理での粉砕条件は、最小刃面間隔を0.2mm、回転刃40の回転速度を8000min-1、処理量を70kg/hrに設定する。この結果、第2の実施例1の粉砕処理では、平均粒径が0.2mm以下の微粉状プラスチックを得ることができた。
【0069】
これに対し、比較例3の粉砕処理では、第2の実施例1の粉砕処理と同様に引張破壊呼びひずみが400%のポリエチレンを粉砕する。そして、粉砕処理中に、回転側内刃44及び固定側内刃54の刃先が交差しない内刃部材を選択する。つまり、比較例3の粉砕処理では、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値以上であるが、
図11に示すように、回転側内刃44に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択し、固定側内刃54に用いる内刃部材として第1の内刃部材110を選択する。なお、粉砕条件は、第2の実施例1と同様に、最小刃面間隔を0.2mm、回転刃40の回転速度を8000min
-1、処理量を70kg/hrに設定する。
【0070】
この結果、比較例3の粉砕処理では、処理物である粒状プラスチックが溶融し、微粉状プラスチックを得ることができなかった。
【0071】
このように、実施例1の粉砕処理では、粉砕する粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみを測定する。そして、測定した引張破壊呼びひずみの測定値に基づき、回転刃40及び固定刃50に形成された漸次縮小面間部61における回転側刃部材42及び固定側刃部材52に用いる内刃部材を選択する。
【0072】
つまり、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値未満であれば、粉砕処理中に、回転軸17の軸方向から見て刃先が交差しない回転側刃部材42及び固定側刃部材52とする。また、粒状プラスチックの引張破壊呼びひずみの測定値が閾値以上であれば、粉砕処理中に、回転軸17の軸方向から見て刃先が交差する回転側刃部材42及び固定側刃部材52とする。
【0073】
これにより、
図13に示すように、粉砕機10により粒状プラスチックを粉砕する際、処理物の溶融を抑制し、適切に粉砕することができる。また、粉砕機10の設定条件のうちの一つ(回転刃40及び固定刃50の刃先の向き)を、処理物である粒状プラスチックの物性のうちの引張破壊呼びひずみを測定することで簡単に決めることができる。そして、回転刃40の回転速度や最小刃面間隔の調整等を行うことで、粉砕後の微粉状プラスチックの平均粒径を適切な値に管理し、粉砕処理量の増大を図ることができる。
【0074】
また、実施例1では、回転側内刃44に用いる内刃部材と、固定側内刃54に用いる内刃部材をそれぞれ選択する際の基準となる引張破壊呼びひずみの閾値を、20%より大きく、400%以下の値(例えば100%)に設定している。そのため、内刃部材の設定を適切に行うことができ、粒状プラスチックの粉砕に伴う溶融を抑制することができる。
【0075】
以上、本発明のプラスチックの粉砕方法を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0076】
実施例1では、回転側刃部材42を回転側内刃44と回転側外刃45で構成し、固定側刃部材52を固定側内刃54と固定側外刃55で構成する例を示した。しかしながら、これに限らず、回転側内刃44と回転側外刃45を一体に形成してもよいし、固定側内刃54と固定側外刃55を一体に形成してもよい。
【0077】
また、例えば、回転側外刃45を周方向に分割される複数の分割刃によって構成してもよい。
【0078】
また、実施例1の粉砕機10では、回転刃40と固定刃50の間に漸次縮小面間部61と、一定面間部62とが形成された例を示した。しかしながら、漸次縮小面間部61を有していればよいので、一定面間部62は形成されていなくてもよい。
【0079】
また、実施例1では、回転側内刃44に用いる内刃部材と、固定側内刃54に用いる内刃部材をそれぞれ選択する際の基準となる引張破壊呼びひずみの閾値を、100%に設定している。しかしながら、粉砕時の温度や湿度等の条件等に応じて20%から400%の間で任意に設定することができる。さらに、閾値は、必要に応じて20%から400%の範囲を外れた値に設定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 粉砕機
11 容器
12 供給口
13 排出口
17 回転軸
20 供給機
30 粉体分離器
40 回転刃
41 回転側保持部材
42 回転側刃部材
44 回転側内刃
45 回転側外刃
50 固定刃
51 固定側保持部材
52 固定側刃部材
54 固定側内刃
55 固定側外刃
61 漸次縮小面間部
O1 軸心
O2 中心