IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社第一興商の特許一覧

<>
  • 特許-カラオケ装置 図1
  • 特許-カラオケ装置 図2
  • 特許-カラオケ装置 図3
  • 特許-カラオケ装置 図4A
  • 特許-カラオケ装置 図4B
  • 特許-カラオケ装置 図4C
  • 特許-カラオケ装置 図5
  • 特許-カラオケ装置 図6
  • 特許-カラオケ装置 図7
  • 特許-カラオケ装置 図8A
  • 特許-カラオケ装置 図8B
  • 特許-カラオケ装置 図8C
  • 特許-カラオケ装置 図9
  • 特許-カラオケ装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021012940
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116652
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】執行 里恵
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-041068(JP,A)
【文献】特開2018-091982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が歌唱する楽曲のリファレンスデータ、及び当該利用者の歌唱音声に基づいて、当該楽曲のノート毎に歌唱評価を行う歌唱評価部と、
前記歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、前記楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートに対する前記歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する生成部と、
前記利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を、生成した複数の前記評価情報の中から抽出する抽出部と、
前記未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した前記評価情報に基づいて、前記未歌唱楽曲を前記利用者が歌唱した場合の予想評価を算出する算出部と、
算出された前記予想評価を提示する提示部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、前記楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートの音高と、当該ノートに対する前記歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成し、
前記抽出部は、前記利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、当該一の文字が対応付けられているノートの音高との組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の前記評価情報の中から抽出することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、複数のキー設定に応じた、当該一の文字が対応付けられているノートの音高それぞれとの組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の前記評価情報の中から抽出し、
前記算出部は、前記未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した前記評価情報に基づいて、前記未歌唱楽曲を前記利用者が歌唱した場合の予想評価を当該キー設定毎に算出し、
前記提示部は、算出された前記予想評価を前記キー設定と併せて提示することを特徴とする請求項2記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カラオケ装置の利用者の多くは、自らが好きな楽曲や得意な楽曲等、よく知っている楽曲を中心にカラオケ歌唱する傾向がある。一方、利用者の中には、新たな楽曲のカラオケ歌唱にチャレンジし、レパートリーを増やしたいと考える者もいる。
【0003】
ここで、ある利用者にとって、自らがカラオケ歌唱を行ったことがない楽曲(以下、「未歌唱楽曲」)をカラオケ歌唱した場合の評価を予想することができれば、当該評価の高い楽曲について積極的にカラオケ歌唱を試みるきっかけとなり得る。
【0004】
たとえば、特許文献1には、利用者がこれまでにカラオケ歌唱を行ったことがない楽曲が選曲された場合、利用者の歌唱履歴から、選曲した楽曲の難易度と同一または近似する難易度が設定されている楽曲の採点値を抽出し、抽出した採点値に基づいて、選曲した楽曲をカラオケ歌唱した際に得られる可能性のある予想採点値を算出し、算出された予想採点値に基づく予想情報を提示する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、利用者の歌唱した楽曲の歌唱採点履歴から音高毎の評価を集計して歌唱別音高評価情報を作成し、複数の歌唱別音高評価情報から音高毎の評価を適宜属性情報に基づき集計して利用者別音高評価情報を作成し、検索対象となる楽曲の歌唱すべき音高のそれぞれを利用者別音高評価情報等に基づいて採点して当該楽曲を利用者が歌唱したと仮想した場合の予想スコアを当該楽曲毎に算出し、検索対象となる楽曲から予想スコアを条件として選曲候補楽曲を抽出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-091982号公報
【文献】特開2016-029429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、カラオケ装置でカラオケ演奏される楽曲は、音高の異なる複数のノートの連続により旋律が決定される。また、各ノートは、楽曲の歌詞を構成する文字が対応付けられている。
【0008】
ここで、同じ音高で歌唱すべき文字であっても、利用者によって歌唱しやすい文字と歌唱し難い文字とがある。すなわち、カラオケ歌唱における音高の正確性は、歌詞を構成する文字の影響を受ける。
【0009】
本発明の目的は、歌詞を構成する文字に基づいて、未歌唱楽曲に対する正確な評価を予想することが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一の発明は、利用者が歌唱する楽曲のリファレンスデータ、及び当該利用者の歌唱音声に基づいて、当該楽曲のノート毎に歌唱評価を行う歌唱評価部と、前記歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、前記楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートに対する前記歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する生成部と、前記利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を、生成した複数の前記評価情報の中から抽出する抽出部と、前記未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した前記評価情報に基づいて、前記未歌唱楽曲を前記利用者が歌唱した場合の予想評価を算出する算出部と、算出された前記予想評価を提示する提示部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、歌詞を構成する文字に基づいて、未歌唱楽曲に対する正確な評価を予想することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
図3】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
図4A】第1実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図4B】第1実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図4C】第1実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図5】第1実施形態に係る複数の評価情報を示す図である。
図6】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
図8A】第2実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図8B】第2実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図8C】第2実施形態に係る生成部により生成された評価情報を示す図である。
図9】第2実施形態に係る複数の評価情報を示す図である。
図10】第2実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1図6を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0014】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0015】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0017】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0018】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の歌唱すべき主旋律を示すデータである。各楽曲(各楽曲のリファレンスデータ)は、複数のノートから構成されている。各ノートは、所定の音高や音長などが設定されている。
【0019】
また、記憶手段10aは、楽曲のカラオケ演奏に合わせて当該楽曲に対応する歌詞を表示装置30等に表示させるための歌詞データを記憶する。歌詞データは、楽曲の歌詞を構成する文字の情報を含む。文字は、「あ、い、う、え、お」等の清音、「が、ぎ、ぐ、げ、ご」等の濁音、及び「きゃ、きゅ、きょ」等の拗音を表すものである。一の文字は、楽曲の一のノートに対応付けられている。
【0020】
更に、記憶手段10aは、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、及び楽曲の属性情報を記憶する。属性情報は、たとえば、歌手名、楽曲の音楽ジャンル情報、楽曲のテンポ情報等を含む。
【0021】
[通信手段・入力手段・演奏手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。
【0022】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0023】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、歌唱評価部100、生成部200、抽出部300、算出部400、及び提示部500として機能する。
【0024】
(歌唱評価部)
歌唱評価部100は、利用者が歌唱する楽曲のリファレンスデータ、及び当該利用者の歌唱音声に基づいて、当該楽曲のノート毎に歌唱評価を行う。
【0025】
歌唱評価は、利用者がカラオケ歌唱を行った楽曲を構成するノート毎に行う。歌唱評価は、一のノートにおいて、歌唱音声に基づく歌唱音声データが示す音高と、当該楽曲のリファレンスデータが示す音高との一致度合いとして求めることができる。一のノートにおいて、歌唱音声データが示す音高とリファレンスデータが示す音高との差が小さいほど、音高の正確性が高いと判断できる。
【0026】
具体例として、歌唱評価部100は、一のノートにおいて、利用者の歌唱音声の音高に基づく周波数と、リファレンスデータの音高に基づく周波数とを比較し、その差分(セント値)を算出する。差分の算出は、サンプルタイミング毎(たとえば、20ms毎)に行われる。一のノートにおいて算出した複数の差分のうち、所定範囲内に含まれるものが所定数以上あった場合、歌唱評価部100は、一のノートについて「合格」と判定する。逆に、一のノートにおいて算出した複数の差分のうち、所定範囲内に含まれるものが所定数未満であった場合、歌唱評価部100は、一のノートについて「不合格」と判定する。このような一のノートについての「合格」または「不合格」の判定結果は、ノートの「歌唱評価」の一例である。なお、所定範囲は、たとえばリファレンスデータの音高に対して±30セント、±50セントのような、予め設定された範囲である。所定数は、たとえば、1回、3回のような、予め設定された数である。
【0027】
歌唱評価部100は、楽曲を構成する全てのノートについて、「合格」または「不合格」の判定を行う。そして、歌唱評価部100は、全てのノートの数と合格と判定されたノートの数の比率に基づいて採点結果を算出する。採点結果は、たとえば100点を満点とする数値として算出することができる。歌唱評価部100は、採点結果を楽曲の楽曲IDと紐付けて、利用者の歌唱履歴に登録する。利用者毎の歌唱履歴は、カラオケ装置Kの記憶手段10a、またはカラオケ装置Kと通信可能に接続されたサーバ装置の記憶手段(図示なし)に記憶される。利用者毎の歌唱履歴は、利用者識別情報を含む。利用者識別情報は、利用者を識別するための利用者ID等、各利用者に固有の情報である。カラオケ装置K及びサーバ装置は、利用者識別情報を用いることで、利用者毎の歌唱履歴を特定することができる。
【0028】
(生成部)
生成部200は、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する。ノートに対する歌唱評価の結果は、歌唱評価の判定結果、及び評価回数を含む。
【0029】
歌唱評価部100がある楽曲の一のノートについて歌唱評価を行った場合、生成部200は、ある楽曲の歌詞データを参照し、一のノートに対応付けられている一の文字を特定する。生成部200は、特定した一の文字と、一のノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する。生成部200は、歌唱評価部100があるノートについて歌唱評価を行う都度、同様の処理を繰り返し行う。すなわち、たとえば一の楽曲についてノートが100あるとした場合、100通りの評価情報が生成される。なお、一の楽曲について、同じ評価情報が複数存在する場合もありうる。
【0030】
生成部200は、生成した複数の評価情報を、利用者毎に記憶手段10aまたはサーバ装置の記憶手段(図示なし)に記憶させる。
【0031】
たとえば、生成部200は、一の楽曲について複数の評価情報を生成した後、利用者識別情報と紐付けてサーバ装置に送信する。サーバ装置の記憶手段は、評価情報を利用者毎に記憶する。カラオケ装置K及びサーバ装置は、利用者識別情報を用いることで、利用者毎の評価情報を特定することができる。なお、サーバ装置がある利用者の評価情報を受信した際、記憶手段に当該ある利用者の評価情報が既に記憶されていることがある。この場合、サーバ装置は、当該ある利用者の評価情報を更新する。
【0032】
(抽出部)
抽出部300は、利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する。
【0033】
たとえば、利用者Uがカラオケ装置Kを利用する際、未歌唱楽曲の予想評価を知りたいと考えたとする。この場合、利用者Uは、リモコン装置50を操作し、自己の利用者IDの入力を行う。カラオケ装置Kは、入力された利用者IDをサーバ装置に送信する。サーバ装置は、記憶手段から利用者IDに対応する歌唱履歴及び複数の評価情報を読み出し、カラオケ装置Kに送信する。
【0034】
その後、利用者Uは、リモコン装置50の表示画面に表示された「予想評価」のアイコンを選択する。リモコン装置50は、カラオケ装置Kが受信した歌唱履歴を参照し、歌唱履歴に含まれない楽曲を特定する。リモコン装置50は、特定した楽曲を「未歌唱楽曲」として表示画面に表示させる。利用者Uは、表示された未歌唱楽曲の中から、予想評価を知りたい楽曲を少なくとも1曲、選択する。なお、利用者に対して提示される未歌唱楽曲は、複数の未歌唱楽曲の中からランダムに抽出されてもよいし、予め利用者が入力した条件(歌手名、ジャンル等)に基づいて抽出されてもよい。
【0035】
抽出部300は、記憶手段10aから、選択された一の未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データを読み出す。
【0036】
抽出部300は、未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データに基づいて、未歌唱楽曲における一のノートに対応付けられている、未歌唱楽曲の歌詞を構成する文字を特定する。
【0037】
抽出部300は、特定した文字について、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ文字を含む評価情報があるかどうかを確認する。同じ文字を含む評価情報があった場合、抽出部300は、その評価情報を抽出する。抽出部300は、一の未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について、同様の処理を繰り返し行う。また、選択された未歌唱楽曲が複数ある場合、抽出部300は、未歌唱楽曲毎に同様の処理を行う。
【0038】
なお、特定した文字について、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ文字を含む評価情報がない場合もありうる。この場合、抽出部300は、特定した文字が母音であれば他の母音の文字や、子音+母音であれば同母音である他の子音の文字の評価情報を抽出することが可能である。
【0039】
(算出部)
算出部400は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲を利用者が歌唱した場合の予想評価を算出する。
【0040】
予想評価の算出は、たとえば、抽出した評価情報に含まれる歌唱評価及び評価回数を用いて行うことができる。予想評価は、たとえば100点を満点とする数値として求めることができる。
【0041】
具体的に、算出部400は、抽出した一の評価情報に含まれる合格数を評価回数で除した値を求め、求めた値が所定の条件を満たす場合には当該評価情報を「合格」と判定し、所定の条件を満たさない場合には当該評価情報を「不合格」と判定する。所定の条件は、当該評価情報の合格・不合格を判定するための条件であり、たとえば0.5以上、0.7以上等、予め設定されている。算出部400は、抽出した全ての評価情報について同様の処理を行い、合格となった評価情報の数を未歌唱楽曲の全ての文字の数で除した値を求め、予想評価とする。また、選択された未歌唱楽曲が複数ある場合、算出部400は、未歌唱楽曲毎に同様の処理を行い、予想評価を求める。
【0042】
(提示部)
提示部500は、算出された予想評価を提示する。
【0043】
たとえば、算出部400が未歌唱楽曲の予想評価として「80点」を算出した場合、提示部500は、「80点」を予想評価として利用者に提示する。予想評価の提示方法は様々な手法が可能である。
【0044】
具体的に、提示部500は、リモコン装置50の表示画面に、未歌唱楽曲の楽曲名や楽曲IDと併せて予想評価「80点」を表示させることができる。或いは、提示部500は、予想評価を表示装置30に表示させてもよい。また、提示部500は、スピーカ20を介し、予想評価を音声として利用者に提示することも可能である。
【0045】
また、選択された未歌唱楽曲が複数ある場合、提示部500は、未歌唱楽曲毎の予想評価を提示することができる。複数の予想評価の提示は様々な方法で行うことができる。たとえば、提示部500は、予想評価が高い順に、楽曲名及び予想評価の値を提示することができる。
【0046】
更に、提示部500は、予め設定された基準値を満たした予想評価のみを提示してもよい。基準値は、たとえば、70点以上、80点以上のように、予想評価を提示するかどうかを決定するための値である。このように基準値を満たした予想評価のみを提示することにより、利用者に対して、高い歌唱評価が得られる可能性がある楽曲を推奨することができる。
【0047】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、図3図6を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
【0048】
[歌唱評価部、及び生成部の動作例]
図3は、カラオケ装置Kにおける歌唱評価部100、及び生成部200の動作例を示すフローチャートである。ここでは、利用者Uが、カラオケ装置Kを利用して楽曲Xのカラオケ歌唱を行うとする。
【0049】
歌唱評価部100は、利用者Uが歌唱する楽曲Xのリファレンスデータを記憶手段10aから読み出す。歌唱評価部100は、利用者Uの歌唱音声に基づいて、楽曲Xのノート毎に歌唱評価を行う(楽曲のノート毎に歌唱評価。ステップ10)。
【0050】
生成部200は、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する(楽曲の歌詞を構成する文字と、歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成。ステップ11)。
【0051】
たとえば、歌唱評価部100が楽曲Xの最初のノートであるノートN1の歌唱評価を行い、「合格」と判定したとする。
【0052】
この場合、生成部200は、ノートN1に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「あ」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E1を生成する(図4A参照)。
【0053】
楽曲Xの歌詞を構成する全ての文字について評価情報を求めるまで(ステップ12でYの場合)、カラオケ装置Kは、ステップ10及びステップ11の処理を繰り返し行う。
【0054】
具体的に、歌唱評価部100はノートN1の歌唱評価を行った後、次のノートN2の歌唱評価を行う。ここでは、ノートN2について「合格」と判定したとする。
【0055】
この場合、生成部200は、ノートN2に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「た」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E2を生成する(図4B参照)。
【0056】
歌唱評価部100はノートN2の歌唱評価を行った後、次のノートN3の歌唱評価を行う。ここでは、ノートN3について「不合格」と判定したとする。
【0057】
この場合、生成部200は、ノートN3に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「ま」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「不合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E3を生成する(図4C参照)。
【0058】
生成部200は、楽曲Xを構成する全てのノートN1~Nnに対応付けられている文字について評価情報E1~Enを生成した後、利用者識別情報と紐付けて記憶手段に記憶させる(複数の評価情報を記憶。ステップ13)。上述の通り、評価情報は、記憶手段10aまたはサーバ装置の記憶手段に記憶させる。記憶手段10aまたはサーバ装置の記憶手段は、複数の評価情報を、利用者Uの利用者IDに紐付けて記憶する。カラオケ装置Kは、利用者Uが楽曲のカラオケ歌唱を行う都度、ステップ10からステップ13の処理を繰り返し行う。
【0059】
図5は、記憶手段10aまたはサーバ装置の記憶手段に記憶されている利用者Uについての複数の評価情報をまとめた例を示す。図5において、文字が共通する評価情報については、判定結果(合格数)及び評価回数を加算したものを示している。たとえば、文字「さ」の場合、利用者Uがこれまでに行った様々な楽曲のカラオケ歌唱において、109回の歌唱評価が行われ、60回が合格であったことがわかる。
【0060】
[抽出部、算出部、及び提示部の動作例]
図6は、カラオケ装置Kにおける抽出部300、算出部400、及び提示部500の動作例を示すフローチャートである。ここでは、利用者Uがカラオケ歌装置Kを利用する際、未歌唱楽曲UXの予想評価を知りたいと考えたとする。また、この例では、カラオケ装置Kは、サーバ装置から、利用者Uに対応する歌唱履歴、及び複数の評価情報(図5参照)を取得しているとする。
【0061】
抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する(未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を抽出。ステップ20)。
【0062】
具体的に、抽出部300は、記憶手段10aから未歌唱楽曲UXのリファレンスデータ及び歌詞データを読み出す。
【0063】
抽出部300は、未歌唱楽曲UXのリファレンスデータを参照し、最初のノートUN1を特定する。また、抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞データを参照し、最初のノートUN1に対応付けられている文字「さ」を特定する。
【0064】
抽出部300は、特定した文字「さ」について、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ文字を含むものがあるかどうかを確認する。図5の例によれば、文字「さ」を含む評価情報が存在する。よって、抽出部300は、文字「さ」を含む評価情報を抽出する。この評価情報には、判定結果(合格数)として「60」、評価回数として「109」が含まれている。
【0065】
次に、抽出部300は、未歌唱楽曲UXのリファレンスデータを参照し、フレーズUN1の次のノートUN2を特定する。また、抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞データを参照し、ノートUN2に対応付けられている文字「く」を特定する。
【0066】
抽出部300は、特定した文字「く」について、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ文字を含むものがあるかどうかを確認する。図5の例によれば、文字「く」を含む評価情報が存在する。よって、抽出部300は、文字「く」を含む評価情報を抽出する。この評価情報には、判定結果(合格数)として「48」、評価回数として「146」が含まれている。
【0067】
未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字について評価情報を抽出するまで(ステップ21でYの場合)、カラオケ装置Kは、ステップ20の処理を繰り返し行う。
【0068】
算出部400は、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲UXを利用者Uが歌唱した場合の予想評価を算出する(予想評価を算出。ステップ22)。
【0069】
たとえば、算出部400は、文字「さ」について抽出した評価情報に含まれる合格数「60」を評価回数「109」で除した値「0.55」を求める。算出部400は、求めた値「0.55」が所定の条件を満たす場合を「合格」と判定し、所定の条件を満たさない場合を「不合格」と判定する。所定の条件は、抽出した評価情報が合格かどうかを判定するための条件である。
【0070】
同様に、算出部400は、文字「く」について抽出した評価情報に含まれる合格数「48」を評価回数「146」で除した値「0.33」を求め、所定の条件に基づいて「合格」または「不合格」の判定を行う。
【0071】
算出部400は、抽出した全ての評価情報について「合格」または「不合格」を判定した後、合格となった評価情報の数を未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字の数で除した値を求め、これに100を乗じた値を予想評価とする。たとえば、合格となった評価情報の数が「96」であり、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字の数が「128」であるとする。この場合、算出部400は、予想評価として「75点」を算出する。
【0072】
提示部500は、算出部400により算出された予想評価を提示する(予想評価を提示。ステップ23)。
【0073】
なお、上記例では、未歌唱楽曲UXの全ての文字について評価情報を抽出した後、各評価情報の評価を行う例を説明したがこれに限られない。すなわち、カラオケ装置Kは、評価情報を抽出する都度、当該評価情報の評価を行ってもよい。
【0074】
また、未歌唱楽曲が複数ある場合、抽出部300または算出部400は、各未歌唱楽曲について、ステップ20からステップ22の処理を行う。そして、提示部500は、算出された各未歌唱楽曲の予想評価を提示する。
【0075】
たとえば、未歌唱楽曲UX、UY、及びUZの3曲についてそれぞれ「75点」、「80点」、「90点」の予想評価が算出されたとする。この場合、提示部500は、予想評価が高い未歌唱楽曲UZ、UY、UXの順に、楽曲名及び予想評価を提示することができる。
【0076】
或いは、提示部500は、未歌唱楽曲UX、UY、及びUZの3曲のうち、予め設定された基準値である「80点」を満たした予想評価が得られた未歌唱楽曲UY及びUZのみの予想評価を提示してもよい。
【0077】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、利用者が歌唱する楽曲のリファレンスデータ、及び当該利用者の歌唱音声に基づいて、当該楽曲のノート毎に歌唱評価を行う歌唱評価部100と、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する生成部200と、利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と一致する文字を含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する抽出部300と、未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲を利用者が歌唱した場合の予想評価を算出する算出部400と、算出された予想評価を提示する提示部500と、を有する。
【0078】
このようなカラオケ装置Kによれば、利用者が過去にカラオケ歌唱を行った楽曲の一のノートに対応付けられている文字と、当該一のノートの歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を利用して、未歌唱楽曲の予想評価を算出することができる。このようにして算出された予想評価は、歌詞を構成する文字の影響を考慮した、利用者毎の音高の正確性に基づくものである。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、歌詞を構成する文字に基づいて、未歌唱楽曲に対する正確な評価を予想することができる。
【0079】
<第2実施形態>
次に、図7から図10を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置について説明する。本実施形態では、評価情報がノートの音高を含む例について述べる。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0080】
(生成部)
本実施形態に係る生成部200は、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートの音高と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する。
【0081】
歌唱評価部100がある楽曲の一のノートについて歌唱評価を行った場合、生成部200は、ある楽曲のリファレンスデータを参照し、一のノートの音高を特定する。また、生成部200は、ある楽曲の歌詞データを参照し、一のノートに対応付けられている一の文字を特定する。生成部200は、特定した一のノートの音高及び一の文字と、一のノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する。生成部200は、歌唱評価部100があるノートについて歌唱評価を行う都度、同様の処理を繰り返し行う。
【0082】
(抽出部)
本実施形態に係る抽出部300は、利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、当該一の文字が対応付けられているノートの音高との組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する。
【0083】
具体的に、抽出部300は、記憶手段10aから、未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データを読み出す。
【0084】
抽出部300は、未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データに基づいて、未歌唱楽曲における一のノートに対応付けられている、未歌唱楽曲の歌詞を構成する文字と、当該文字が対応付けられている一のノートの音高との組み合わせを特定する。
【0085】
抽出部300は、特定した組み合わせについて、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ組み合わせを含む評価情報があるかどうかを確認する。同じ組み合わせを含む評価情報があった場合、抽出部300は、その評価情報を抽出する。抽出部300は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について、同様の処理を繰り返し行う。また、選択された未歌唱楽曲が複数ある場合、抽出部300は、未歌唱楽曲毎に同様の処理を行う。
【0086】
なお、特定した組み合わせについて、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ組み合わせを含む評価情報がない場合もありうる。この場合、抽出部300は、特定した組み合わせのうち、文字が母音であれば他の母音の文字や子音+母音であれば同母音である他の子音の文字と、一の音高に近い音高の何れか一方、もしくは両方の組み合わせについての評価情報を抽出することが可能である。
【0087】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、図7図10を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
【0088】
[歌唱評価部、及び生成部の動作例]
図7は、カラオケ装置Kにおける歌唱評価部100、及び生成部200の動作例を示すフローチャートである。ここでは、利用者Uが、カラオケ装置Kを利用して楽曲Xのカラオケ歌唱を行うとする。楽曲Xを構成するノートN1~Nnそれぞれは、所定の音高が設定されている。
【0089】
歌唱評価部100は、利用者Uが歌唱する楽曲Xのリファレンスデータを記憶手段10aから読み出す。歌唱評価部100は、利用者Uの歌唱音声に基づいて、楽曲Xのノート毎に歌唱評価を行う(楽曲のノート毎に歌唱評価。ステップ30)。
【0090】
生成部200は、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字と、当該ノートの音高と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成する。(楽曲の歌詞を構成する文字と、ノートの音高と、歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成。ステップ31)。
【0091】
たとえば、歌唱評価部100が楽曲Xの最初のノートであるノートN1の歌唱評価を行い、「合格」と判定したとする。
【0092】
この場合、生成部200は、ノートN1に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「あ」と、ノートN1の音高「G4」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E´1を生成する(図8A参照)。
【0093】
楽曲Xの歌詞を構成する全ての文字について評価情報を求めるまで(ステップ32でYの場合)、カラオケ装置Kは、ステップ30及びステップ31の処理を繰り返し行う。
【0094】
具体的に、歌唱評価部100はノートN1の歌唱評価を行った後、次のノートN2の歌唱評価を行う。ここでは、ノートN2について「合格」と判定したとする。
【0095】
この場合、生成部200は、ノートN2に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「た」と、ノートN2の音高「G4」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E´2を生成する(図8B参照)。
【0096】
歌唱評価部100はノートN2の歌唱評価を行った後、次のノートN3の歌唱評価を行う。ここでは、ノートN3について「不合格」と判定したとする。
【0097】
この場合、生成部200は、ノートN3に対応付けられている、楽曲Xの歌詞を構成する文字「ま」と、ノートN3の音高「A4」と、歌唱評価の結果(歌唱評価「不合格」及び評価回数「1回」)とを紐付けた評価情報E´3を生成する(図8C参照)。
【0098】
生成部200は、楽曲Xを構成する全てのノートN1~Nnに対応付けられている文字、及びノートN1~Nnの音高について評価情報E´1~E´nを生成した後、利用者識別情報と紐付けて記憶手段に記憶させる(複数の評価情報を記憶。ステップ33)。カラオケ装置Kは、利用者Uが楽曲のカラオケ歌唱を行う都度、ステップ30からステップ33の処理を繰り返し行う。
【0099】
図9は、記憶手段10aまたはサーバ装置の記憶手段に記憶されている利用者Uについての複数の評価情報をまとめた例を示す。図9において、文字及び音高が共通する評価情報については、判定結果(合格数)及び評価回数を加算したものを示している。たとえば、文字「さ」及び音高「A4」の場合、利用者Uがこれまでに行った様々な楽曲のカラオケ歌唱において、115回の歌唱評価が行われ、82回が合格であったことがわかる。なお、同じ文字に対して異なる音高が紐付けられた評価情報もありうる。たとえば、図9において、文字「さ」に対しては、音高「A4」が紐付けられた評価情報のほかに、音高「E4」が紐付けられた評価情報を示している。
【0100】
[抽出部、算出部、及び提示部の動作例]
図10は、カラオケ装置Kにおける抽出部300、算出部400、及び提示部500の動作例を示すフローチャートである。ここでは、利用者Uがカラオケ歌装置Kを利用する際、未歌唱楽曲UXの予想評価を知りたいと考えたとする。また、この例では、カラオケ装置Kは、サーバ装置から、利用者Uに対応する歌唱履歴、及び複数の評価情報(図9参照)を取得しているとする。
【0101】
抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する一の文字と、当該一の文字が対応付けられているノートの音高との組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する(未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、ノートの音高との組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を抽出。ステップ40)。
【0102】
具体的に、抽出部300は、記憶手段10aから未歌唱楽曲UXのリファレンスデータ及び歌詞データを読み出す。
【0103】
抽出部300は、未歌唱楽曲UXのリファレンスデータを参照し、最初のノートUN1及び音高「A4」を特定する。また、抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞データを参照し、最初のノートUN1に対応付けられている文字「さ」を特定する。すなわち、抽出部300は、文字「さ」と、音高「A4」の組み合わせを特定する。
【0104】
抽出部300は、特定した組み合わせについて、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ組み合わせを含むものがあるかどうかを確認する。図9の例によれば、文字「さ」及び音高「A4」の組み合わせを含む評価情報が存在する。よって、抽出部300は、当該組み合わせを含む評価情報を抽出する。この評価情報には、判定結果(合格数)として「82」、評価回数として「115」が含まれている。
【0105】
次に、抽出部300は、未歌唱楽曲UXのリファレンスデータを参照し、フレーズUN1の次のノートUN2及び音高「A4」を特定する。また、抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞データを参照し、ノートUN2に対応付けられている文字「く」を特定する。すなわち、抽出部300は、文字「く」と、音高「A4」の組み合わせを特定する。
【0106】
抽出部300は、特定した組み合わせについて、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ組み合わせを含むものがあるかどうかを確認する。図9の例によれば、文字「く」及び音高「A4」の組み合わせを含む評価情報が存在する。よって、抽出部300は、当該組み合わせを含む評価情報を抽出する。この評価情報には、判定結果(合格数)として「90」、評価回数として「128」が含まれている。
【0107】
未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字及び音高の組み合わせについて評価情報を抽出するまで(ステップ41でYの場合)、カラオケ装置Kは、ステップ40の処理を繰り返し行う。
【0108】
算出部400は、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字及び音高について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲UXを利用者Uが歌唱した場合の予想評価を算出する(予想評価を算出。ステップ42)。
【0109】
たとえば、算出部400は、文字「さ」及び音高「A4」について抽出した評価情報に含まれる合格数「82」を評価回数「115」で除した値「0.71」を求める。算出部400は、求めた値「0.71」が所定の条件を満たす場合を「合格」と判定し、所定の条件を満たさない場合を「不合格」と判定する。
【0110】
同様に、算出部400は、文字「く」について抽出した評価情報に含まれる合格数「90」を評価回数「128」で除した値「0.70」を求め、所定の条件に基づいて「合格」または「不合格」の判定を行う。
【0111】
算出部400は、抽出した全ての評価情報について「合格」または「不合格」を判定した後、合格となった評価情報の数を未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字の数で除した値を求め、これに100を乗じた値を予想評価とする。たとえば、合格となった評価情報の数が「99」であり、未歌唱楽曲UXの歌詞を構成する全ての文字の数が「135」であるとする。この場合、算出部400は、予想評価として「73点」を算出する。
【0112】
提示部500は、算出部400により算出された予想評価を提示する(予想評価を提示。ステップ43)。
【0113】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける生成部200は、歌唱評価を行ったノートに対応付けられている、楽曲の歌詞を構成する文字と、当該ノートの音高と、当該ノートに対する歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を生成し、抽出部300は、利用者の未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、当該一の文字が対応付けられているノートの音高との組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出することができる。
【0114】
このようなカラオケ装置Kによれば、利用者が過去にカラオケ歌唱を行った楽曲の一のノートに対応付けられている文字と、当該一のノートの音高と、当該一のノートの歌唱評価の結果とを紐付けた評価情報を利用して、未歌唱楽曲の予想評価を算出することができる。このようにして算出された予想評価は、歌詞を構成する文字及びノートの音高の影響を考慮した、利用者毎の音高の正確性に基づくものである。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、歌詞を構成する文字及びノートの音高に基づいて、未歌唱楽曲に対するより正確な評価を予想することができる。
【0115】
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態に係るカラオケ装置において、予想評価と併せてキー設定を提示することも可能である。
【0116】
(抽出部)
本変形例に係る抽出部300は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、複数のキー設定に応じた、当該一の文字が対応付けられているノートの音高それぞれとの組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出する。
【0117】
キーは、たとえば7段階(-3、-2、-1、0、+1、+2、+3)のように、カラオケ装置においてカラオケ演奏が可能な範囲で予め複数の値が設定されている。なお、たとえば7段階の例におけるキー設定「0」は、ある楽曲における原曲キーを示す。
【0118】
具体的に、抽出部300は、記憶手段10aから、未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データを読み出す。
【0119】
抽出部300は、未歌唱楽曲のリファレンスデータ及び歌詞データに基づいて、未歌唱楽曲における一のノートに対応付けられている、未歌唱楽曲の歌詞を構成する文字と、当該文字が対応付けられている一のノートの音高との組み合わせを特定する。また、抽出部300は、一のノートの音高を予め設定されているキーに応じて変更し、変更した音高と、文字との組み合わせを特定する。
【0120】
たとえば7段階(-3、-2、-1、0、+1、+2、+3)のキー設定がされているとする。
【0121】
第2実施形態の例において、抽出部300は、未歌唱楽曲UXのリファレンスデータを参照し、最初のノートUN1及び原曲キー(キー設定「0」)に基づく音高「A4」を特定する。また、抽出部300は、未歌唱楽曲UXの歌詞データを参照し、最初のノートUN1に対応付けられている文字「さ」を特定する。すなわち、抽出部300は、文字「さ」と、音高「A4」の組み合わせを特定する。
【0122】
また、抽出部300は、文字「さ」と、複数のキー設定に応じたノートの音高との組み合わせとして、たとえば、文字「さ」、及びキー設定「-3」に基づく音高「F♯4」の組み合わせや、文字「さ」、及びキー設定「-2」に基づく音高「G4」の組み合わせを特定する。
【0123】
抽出部300は、特定した組み合わせそれぞれについて、サーバ装置から受信した複数の評価情報の中に同じ組み合わせを含むものがあるかどうかを確認する。同じ組み合わせを含む評価情報が存在する場合、抽出部300は、当該組み合わせを含む評価情報を抽出する。
【0124】
(算出部)
本変形例に係る算出部400は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲を利用者が歌唱した場合の予想評価をキー設定毎に算出する。
【0125】
具体的に、算出部400は、抽出した一の評価情報に含まれる合格数を評価回数で除した値を求め、求めた値が所定の条件を満たす場合には当該評価情報を「合格」と判定し、所定の条件を満たさない場合には当該評価情報を「不合格」と判定する。算出部400は、あるキー設定について、抽出した全ての評価情報について同様の処理を行い、合格となった評価情報の数を未歌唱楽曲の全ての文字の数で除した値を求め、あるキー設定における予想評価とする。算出部400は、設定されているキーの数だけ、同様の処理を行い、キー設定毎の予想評価を求める。たとえば、7段階のキー設定がされている場合、算出部400は、7つの予想評価を算出する。
【0126】
(提示部)
本変形例に係る提示部500は、算出された予想評価をキー設定と併せて提示することができる。
【0127】
たとえば、算出部400が未歌唱楽曲について、キー設定「-3」の場合の予想評価として「78点」、キー設定「-2」の場合の予想評価として「79点」、キー設定「-1」の場合の予想評価として「80点」、キー設定「0」の場合の予想評価として「81点」、キー設定「+1」の場合の予想評価として「82点」、キー設定「+2」の場合の予想評価として「80点」、キー設定「+3」の場合の予想評価として「78点」を算出したとする。この場合、提示部500は、予想評価と併せてキー設定を併せて提示する。
【0128】
また、本変形例においては、一の未歌唱楽曲について、キー設定に応じた複数の予想評価が算出される。よって、提示部500は、複数の予想評価の中から所定条件を満たす予想評価のみを提示してもよい。
【0129】
たとえば、提示部500は、最も高い予想評価及びキー設定のみを提示することができる。或いは、提示部500は、予め設定された基準値を満たした予想評価及びキー設定のみを提示してもよい。基準値は、たとえば、70点以上、80点以上のように、予想評価及びキー設定を提示するかどうかを決定するための値である。
【0130】
このように、本変形例に係るカラオケ装置Kの抽出部300は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する一の文字と、複数のキー設定に応じた、当該一の文字が対応付けられているノートの音高それぞれとの組み合わせと一致する組み合わせを含む評価情報を、生成した複数の評価情報の中から抽出し、算出部400は、未歌唱楽曲の歌詞を構成する全ての文字について抽出した評価情報に基づいて、未歌唱楽曲を前記利用者が歌唱した場合の予想評価を当該キー設定毎に算出し、提示部500は、算出された予想評価をキー設定と併せて提示することができる。このようなカラオケ装置Kによれば、歌詞を構成する文字及びノートの音高に基づいて、未歌唱楽曲に対するより正確な評価、及び正確な評価を得るために適切なキー設定を予想することができる。
【0131】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
100 歌唱評価部
200 生成部
300 抽出部
400 算出部
500 提示部
K カラオケ装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10