(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ステアリングシャフトカバー
(51)【国際特許分類】
B62D 1/20 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
B62D1/20
(21)【出願番号】P 2021092016
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 隼人
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0133758(US,A1)
【文献】米国特許第08651527(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0042150(KR,A)
【文献】特開2003-040113(JP,A)
【文献】特開2021-079862(JP,A)
【文献】特開2020-041704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトと上記ステアリングシャフトが貫通する車両のパネル部材との間を車室側に位置してシールするステアリングシャフトカバーにおいて、
上記ステアリングシャフトを覆うインナーカバーと、上記インナーカバーの外周側を覆うアウターカバーと、を備え、
上記インナーカバーは、上記ステアリングシャフトを覆う筒状の第1筒状部と、上記第1筒状部の一端から外周側に張り出した環状の第1フランジ部と、を有し、
上記第1筒状部の内周面には、突条の複数の突出部が互いに等間隔となるよう形成され、
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の軸方向に沿って斜めに延びるよう形成されていることを特徴とするステアリングシャフトカバー。
【請求項2】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の軸方向に沿って螺旋状に延びるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングシャフトカバー。
【請求項3】
上記インナーカバーは、上記第1筒状部の一端から内周側に張り出した環状の内側フランジ部を有し、
上記内側フランジ部は、ステアリングシャフトの外周面と離間するように形成されていることを特徴とする請求項
1に記載のステアリングシャフトカバー。
【請求項4】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の中心軸線と平行となり、上記第1筒状部の周方向で互い違いとなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングシャフトカバー。
【請求項5】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の一端側に位置する複数の第1突出部と、上記第1筒状部の他端側に位置する複数の第2突出部とからなり、
複数の上記第1突出部と複数の上記第2突出部とは、上記第1筒状部の周方向に沿った位置が互いに重ならないよう形成されていることを特徴とする請求項
4に記載のステアリングシャフトカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングシャフトカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のハイブリッド車両や電気自動車においては、車室の静粛性を確保するために、ステアリングシャフトカバーに要求される遮音性能の要求レベルが高くなっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステアリングシャフトとステアリングシャフトが貫通する車両のパネル部材との間をシールするステアリングシャフトカバーが開示されている。このステアリングシャフトカバーは、ステアリングシャフトが貫通する部分が筒状のインナーカバーとこのインナーカバーの外周側に位置する筒状のアウターカバーとによる2重構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1のステアリングシャフトカバーにおいては、ステアリングシャフトが貫通するパネル部材の貫通孔からインナーカバーの内側に入った車室外からの騒音がインナーカバー及びアウターカバーを透過して車室に漏れ出てしまう虞がある。
【0006】
つまり、従来のステアリングシャフトカバーにおいては、遮音性能を向上させる上で更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のステアリングシャフトカバーは、ステアリングシャフトと上記ステアリングシャフトが貫通する車両のパネル部材との間を車室側に位置してシールするものであって、上記ステアリングシャフトを覆うインナーカバーと、上記インナーカバーの外周側を覆うアウターカバーと、を備え、上記インナーカバーは、上記ステアリングシャフトを覆う筒状の第1筒状部と、上記第1筒状部の一端から外周側に張り出した環状の第1フランジ部と、を有し、上記第1筒状部の内周面には、突条の複数の突出部が互いに等間隔となるよう形成され、複数の上記突出部は、上記第1筒状部の軸方向に沿って斜めに延びるよう形成されていることを特徴としている。
【0010】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の軸方向に沿って螺旋状に延びるよう形成してもよい。
【0011】
上記インナーカバーは、上記第1筒状部の一端から内周側に張り出した環状の内側フランジ部を有し、上記内側フランジ部は、ステアリングシャフトの外周面と離間するように形成してもよい。
【0012】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の中心軸線と平行となり、上記第1筒状部の周方向で互い違いとなるように形成してもよい。
【0013】
複数の上記突出部は、上記第1筒状部の一端側に位置する複数の第1突出部と、上記第1筒状部の他端側に位置する複数の第2突出部とからなり、複数の上記第1突出部と複数の上記第2突出部とは、上記第1筒状部の周方向に沿った位置が互いに重ならないよう形成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のステアリングシャフトカバーは、第1筒状部の内周面に複数の突出部を設けたことによって、インナーカバーの内周側に車室外側から入った騒音が低減され、車室外側からの騒音に対する遮音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図2】本発明の第1実施例のステアリングシャフトカバーの要部断面図。
【
図3】
図2のB-B線に沿った位置で半割りされた第1実施例のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図4】
図2のC-C線に沿った位置のステアリングシャフトカバーの断面図。
【
図5】本発明の第2実施例のステアリングシャフトカバーの要部断面図。
【
図6】
図5のD-D線に沿った位置で半割りされた第2実施例のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図7】
図5の矢示E方向からみたステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図8】本発明の第3実施例のステアリングシャフトカバーの要部断面図。
【
図9】
図8のF-F線に沿った位置で半割りされた第3実施例のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図10】本発明の第4実施例のステアリングシャフトカバーの要部断面図。
【
図11】
図10のG-G線に沿った位置で半割りされた第4実施例のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【
図12】本発明の第5実施例のステアリングシャフトカバーの要部断面図。
【
図13】
図12のH-H線に沿った位置で半割りされた第5実施例のステアリングシャフトカバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1~
図4は、本発明の第1実施例のステアリングシャフトカバー1を示している。
図1は、ステアリングシャフトカバー1の斜視図である。
図2は、本発明の第1実施例のステアリングシャフトカバー1の要部断面図であって、
図1のA-A線に沿った位置のステアリングシャフトカバー1の断面図である。
図3は、
図2のB-B線に沿った位置で半割りされたステアリングシャフトカバー1の斜視図である。
図4は、
図2のC-C線に沿った位置のステアリングシャフトカバー1の断面図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、車両用のステアリングシャフトカバー1は、ステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2が貫通するパネル部材としてのダッシュパネル3と、の間を車室側に位置してシールしている。ステアリングシャフトカバー1は、ステアリングシャフト2が貫通するものである。
【0019】
図2に示すように、ダッシュパネル3は、エンジンルーム4と車室5とを隔てるものである。ダッシュパネル3には、ステアリングシャフト2が貫通する貫通孔6が形成されている。ダッシュパネル3は、この貫通孔6の周囲が全周に亙って車室5側に折り返されており、これによりダッシュパネル3から車室5側に突出した環状の突起7を有している。
【0020】
図2~
図4に示すように、ステアリングシャフトカバー1は、ステアリングシャフト2を覆うインナーカバー8と、インナーカバー8の外周側を覆うアウターカバー9と、から大略構成されている。ステアリングシャフトカバー1は、インナーカバー8及びアウターカバー9からなる2重構造により車室外のエンジンルーム4から車室5へ騒音が透過(伝播)するのを抑制している。
【0021】
ステアリングシャフトカバー1は、例えば熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー等の材料からなっている。
【0022】
図2~
図4に示すように、インナーカバー8は、ステアリングシャフト2を覆う筒状の第1筒状部10と、第1筒状部10の一端から外周側に張り出した環状の第1フランジ部11と、第1筒状部10の他端に接続された筒状の第2筒状部12と、を有している。
【0023】
第1筒状部10は、その内径がステアリングシャフト2よりも大径に形成されており、組み付け状態において、ステアリングシャフト2の外周面と全周に亙って離間している。
【0024】
第1筒状部10の内周面13には、第1筒状部10の周方向で互いに等間隔となる複数の突出部14が形成されている。複数の突出部14は、第1筒状部10の内周面13から第1筒状部10の内側に向かって突出し、第1筒状部10の軸方向に沿って延びる突条である。複数の突出部14は、その中心が第1筒状部10の中心軸線Lと平行となるよう形成されている。
【0025】
複数の突出部14は、第1筒状部10の内周面13から所定の一定量だけ突出するものであり、互いの突出量は同じである。
【0026】
複数の突出部14は、組み付け状態において、ステアリングシャフト2の外周面と全長に亙って離間するように、第1筒状部10の内周面13からの突出量が設定される。
【0027】
第1フランジ部11は、第1筒状部10の一端に接続された内周側の内側部15と、内側部15の外周側に位置する外側部16と、を有し、全体が半径方向に沿って階段状の断面となるよう形成されている。内側部15は、貫通孔6の内側に位置している。外側部16は、下面側が貫通孔6周縁のダッシュパネル3に密接している。つまり、インナーカバー8は、第1フランジ部11の外周側がダッシュパネル3に密接している。また、第1フランジ部11は、組み付け状態において、内側部15と外側部16との境界部分に形成された内側(内周側)の段差17にダッシュパネル3の突起7が密接している。つまり、第1フランジ部11は、内側の段差17が貫通孔6の周囲に形成された環状の突起7と密接するように形成される。
【0028】
第2筒状部12は、第1筒状部10と同軸となるように第1筒状部10に接続されている。第2筒状部12は、第1筒状部10よりも薄肉となるよう形成されている。第2筒状部12は、第1筒状部10と同一の内径となるよう形成されている。第2筒状部12は、環状のシール部材18を介してステアリングシャフト2の外周面をシールしている。なお、
図2中の符号19は、第2筒状部12の外周に取り付けられたシール部材18をステアリングシャフト2に押し付けて安定したシール性を確保するための環状の固定部材である。つまり、ステアリングシャフトカバー1は、シール部材18が常にステアリングシャフト2の外周面に密着した状態を保つように構成されている。
【0029】
図2~
図4に示すように、アウターカバー9は、第1筒状部10よりも大径となる第3筒状部22と、第3筒状部22の一端から外周側に張り出した環状の第2フランジ部23と、第3筒状部22の他端から内周側に張り出した内側壁部24と、を有している。
【0030】
第3筒状部22は、第1筒状部10の外周面と全周に亙って離間している。第2フランジ部23は、第3筒状部22の一端に接続された内周側の内側部25と、内側部25の外周側に位置する外側部26と、を有し、全体が半径方向に沿って階段状の断面となるよう形成されている。第2フランジ部23は、内側部25と外側部26との境界部分に形成された内側(内周側)の段差27が第1フランジ部11の外側(外周側)の段差20と重なり合うよう形成されており、第1フランジ部11の上面に密接している。つまり、第2フランジ部23の内側部25は、第1フランジ部11の内側部15と密接している。第2フランジ部23の外側部26は、第1フランジ部11の外側部16と密接している。
【0031】
内側壁部24は、内周端24aが第2筒状部12の外周面に形成された環状の凹溝12aに取り付けられている。
【0032】
図2に示すように、ステアリングシャフトカバー1は、ブラケット28によってダッシュパネル3に固定されている。すなわち、ステアリングシャフトカバー1は、第1フランジ部11の外側部16に重ね合わされた第2フランジ部23の外側部26の全周がブラケット28によってダッシュパネル3に押し付けられている。ステアリングシャフトカバー1は、ダッシュパネル3とブラケット28とで第1フランジ部11及び第2フランジ部23の外周側を全周に亙って挟持することで、ダッシュパネル3に対して固定されている。このブラケット28は、図示せぬ固定ボルトによって、ダッシュパネル3に固定されている。なお、第1フランジ部11及び第2フランジ部23には、この固定ボルトに対応する孔部29が複数(本実施例においては4つ)形成されている。
【0033】
なお、第1実施例のステアリングシャフトカバー1において、インナーカバー8の第1筒状部10の内周側の形状を形成する際に用いる中子(図示せず)は、例えば第1筒状部10の一端側または他端側から引き抜くことが可能である。
【0034】
上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1は、第1筒状部10の内周面13に、複数の突出部14が形成されている。
【0035】
これによって、ステアリングシャフトカバー1は、インナーカバー8の内周側に車室外側から入った騒音を第1筒状部10の内周面13に設けた複数の突出部14で反射させることで、インナーカバー8の内周側に入った騒音の音圧レベルを低減させることができる。
【0036】
つまり、ステアリングシャフトカバー1は、第1筒状部10の内周面13に複数の突出部14を設けたことによって、インナーカバー8の内周側に車室外側から入った騒音が低減され、車室外側からの騒音に対する遮音効果を向上させることができる。なお、ステアリングシャフトカバー1は、複数の突出部14の内周面13からの突出量が大きいほど、インナーカバー8の内周側に車室外側から入った騒音を低減する上で有利な構成となる。
【0037】
また、第1実施例のステアリングシャフトカバー1は、第1筒状部10の内周面13に複数の突出部14が互いに等間隔となるよう形成されている。そのため、第1実施例のステアリングシャフトカバー1は、第1筒状部10の内周面13に複数の突出部14を等間隔に設けない場合に比べて、同一面積内に多くの突出部14を形成することが可能となる。
【0038】
つまり、第1実施例のステアリングシャフトカバー1は、複数の突出部14を互いに等間隔となるよう設けたことによって、複数の突出部14の総表面積を大きくすることが可能となり、遮音効果を向上させる上で有利となる。ステアリングシャフトカバー1は、複数の突出部14の総表面積が大きくなるほど、インナーカバー8の内周側に入った騒音の複数の突出部14での反射回数が増加しやすくなり、インナーカバー8の内周側に入った騒音の音圧レベルの低減に有利な構成となる。
【0039】
以下、本発明の他の実施例について説明するが、上述した第1実施例と同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
図5~
図7を用いて、本発明の第2実施例のステアリングシャフトカバー31について説明する。
図5は、本発明の第2実施例のステアリングシャフトカバー31の要部断面図であって、
図1のA-A線に沿った位置に相当するステアリングシャフトカバー31の断面図である。
図6は、
図5のD-D線に沿った位置で半割りされたステアリングシャフトカバー31の斜視図である。
図7は
図5の矢示E方向からみたステアリングシャフトカバー31の斜視図であり、第2実施例のステアリングシャフトカバー31のインナーカバー8の第1フランジ部11の斜視図である。
【0041】
第2実施例のステアリングシャフトカバー31は、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一構成となっているが、第1筒状部10の一端から内周側に張り出した環状の内側フランジ部32を有している。なお、
図7においては、便宜上、内側フランジ部32にハッチングを入れて示している。
【0042】
内側フランジ部32は、先端となる内周側の端部が組み付け状態において、ステアリングシャフト2の外周面と離間するように形成されている。
【0043】
なお、第2実施例のステアリングシャフトカバー31において、インナーカバー8の第1筒状部10の内周側の形状を形成する際に用いる中子(図示せず)は、例えば内側フランジ部32と干渉しないように第1筒状部10の一端側から引き抜かれる。
【0044】
このような第2実施例のステアリングシャフトカバー31においては、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一の作用効果を奏することができる。また、第2実施例のステアリングシャフトカバー31は、内側フランジ部32によって、インナーカバー8の内周側に車室外側から入る騒音を低減することができ、車室外側からの騒音に対する更なる遮音効果を得ることができる。
【0045】
図8及び
図9を用いて、本発明の第3実施例のステアリングシャフトカバー35について説明する。
図8は、本発明の第3実施例のステアリングシャフトカバー35の要部断面図であって、
図1のA-A線に沿った位置に相当するステアリングシャフトカバー35の断面図である。
図9は、
図8のF-F線に沿った位置で半割りされたステアリングシャフトカバー35の斜視図である。
【0046】
第3実施例のステアリングシャフトカバー35は、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一構成となっているが、複数の突出部14は、第1筒状部10の中心軸線Lと平行となり、かつ第1筒状部10の周方向で互い違い(千鳥状)となるように形成されている。詳述すると、複数の突出部14は、第1筒状部10の一端側に位置する複数の第1突出部14aと、第1筒状部10の他端側に位置する複数の第2突出部14bとからなっている。そして、複数の第1突出部14aと複数の第2突出部14bとは、第1筒状部10の周方向に沿った位置が互いに重ならないよう形成されている。
【0047】
複数の第1突出部14aは、第1筒状部10の周方向で互いに等間隔となるよう形成されている。第1突出部14aは、第1筒状部10の内周面13から第1筒状部10の内側に向かって突出し、第1筒状部10の軸方向に沿って延びる突条である。複数の第1突出部14aは、その中心が第1筒状部10の中心軸線Lと平行となるよう形成されている。複数の第1突出部14aは、第1筒状部10の内周面13から所定の一定量だけ突出するものであり、互いの突出量は同じである。複数の第1突出部14aは、組み付け状態において、ステアリングシャフト2の外周面と全長に亙って離間するように、第1筒状部10の内周面13からの突出量が設定される。
【0048】
複数の第2突出部14bは、第1筒状部10の周方向で互いに等間隔となるよう形成されている。第2突出部14bは、第1筒状部10の内周面13から第1筒状部10の内側に向かって突出し、第1筒状部10の軸方向に沿って延びる突条である。複数の第2突出部14bは、その中心が第1筒状部10の中心軸線Lと平行となるよう形成されている。複数の第2突出部14bは、第1筒状部10の内周面13から所定の一定量だけ突出するものであり、互いの突出量は同じである。複数の第2突出部14bは、組み付け状態において、ステアリングシャフト2の外周面と全長に亙って離間するように、第1筒状部10の内周面13からの突出量が設定される。
【0049】
なお、第3実施例のステアリングシャフトカバー35において、インナーカバー8の第1筒状部10及び第2筒状部12の内周側の形状を形成する際に用いる中子(図示せず)は、第1突出部14aを形成する第1中子と、第2突出部14bを形成する第2中子と、を有する。そして、第1中子は、第2突出部14bと干渉しないように第1筒状部10の一端側から引き抜かれる。第2中子は、第1突出部14aと干渉しないように第1筒状部10の他端側から引き抜かれる。
【0050】
このような第3実施例のステアリングシャフトカバー35においては、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一の作用効果を奏することができる。
【0051】
なお、第3実施例のステアリングシャフトカバー35において、複数の第1突出部14aと複数の第2突出部14bとは、第1筒状部10の周方向に沿って一部が重なり合うよう形成するようにしてもよい。
【0052】
図10及び
図11を用いて、本発明の第4実施例のステアリングシャフトカバー40について説明する。
図10は、本発明の第4実施例のステアリングシャフトカバー40の要部断面図であって、
図1のA-A線に沿った位置に相当するステアリングシャフトカバー40の断面図である。
図11は、
図10のG-G線に沿った位置で半割りされたステアリングシャフトカバー40の斜視図である。
【0053】
第4実施例のステアリングシャフトカバー40は、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一構成となっているが、複数の突出部14が第1筒状部10の軸方向に沿って斜めに延びるよう形成されている。また、複数の突出部14は、第1筒状部10の周方向で互いに等間隔となるよう形成されている。
【0054】
なお、第4実施例のステアリングシャフトカバー40において、インナーカバー8の第1筒状部10の内周側の形状を形成する際に用いる中子(図示せず)は、回転させながら引き抜くことで、例えば第1筒状部10の一端側または他端側から引き抜くことが可能である。
【0055】
このような第4実施例のステアリングシャフトカバー40においては、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一の作用効果を奏することができる。
【0056】
図12及び
図13を用いて、本発明の第5実施例のステアリングシャフトカバー45について説明する。
図12は、本発明の第5実施例のステアリングシャフトカバー45の要部断面図であって、
図1のA-A線に沿った位置に相当するステアリングシャフトカバー45の断面図である。
図13は、
図12のH-H線に沿った位置で半割りされたステアリングシャフトカバー45の斜視図である。
【0057】
第5実施例のステアリングシャフトカバー45は、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一構成となっているが、複数の突出部14が第1筒状部10の軸方向に沿って螺旋状に延びるよう形成されている。また、複数の突出部14は、第1筒状部10の周方向で互いに等間隔となるよう形成されている。
【0058】
なお、第5実施例のステアリングシャフトカバー45において、インナーカバー8の第1筒状部10の内周側の形状を形成する際に用いる中子(図示せず)は、回転させながら引き抜くことで、例えば第1筒状部10の一端側または他端側から引き抜くことが可能である。
【0059】
このような第5実施例のステアリングシャフトカバー45においては、上述した第1実施例のステアリングシャフトカバー1と略同一の作用効果を奏することができる。
【0060】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、上述した第2実施例のステアリングシャフトカバー31において、複数の第1突出部14aと複数の第2突出部14bとを第1筒状部10の軸方向に沿って斜めに延びるよう形成してもよい。
【0062】
また、上述した第2実施例のステアリングシャフトカバー31において、複数の第1突出部14aと複数の第2突出部14bとを第1筒状部10の軸方向に沿って螺旋状に延びるよう形成してもよい。
【0063】
また、上述した各実施例において、複数の突出部14は、第1筒状部10の周方向で互いの間隔が等間隔ではないように設定することも可能である。
【0064】
また、上述した各実施例において、複数の突出部14の第1筒状部10の内周面13からの突出量は、突出部14毎に異なる突出量としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…ステアリングシャフトカバー
3…ダッシュパネル
8…インナーカバー
9…アウターカバー
10…第1筒状部
11…第1フランジ部
12…第2筒状部
13…内周面
14…突出部
22…第3筒状部
23…第2フランジ部
24…内側壁部