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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】グラスラン
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20240710BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20240710BHJP
   B60J 10/30 20160101ALI20240710BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20240710BHJP
【FI】
B60J10/76
B60J10/27
B60J10/30
B60J10/86
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021107186
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005346
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 幸子
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-211974(JP,A)
【文献】特開2020-40609(JP,A)
【文献】特表2009-502634(JP,A)
【文献】実開昭58-4807(JP,U)
【文献】特開2015-81035(JP,A)
【文献】特開平8-72548(JP,A)
【文献】特開2013-6493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアのインナーパネルとアウターパネルによって形成されたウィンドフレームの内周部に取り付けられ、押出成形によって形成された直線部と、該直線部の端部のコーナ部が型成形によって形成された型成形部と、を有し、
前記型成形部は、前記アウターパネルの端末フランジ部を覆う外周部と、一端部が前記外周部の内面に結合され、他端部が前記インナーパネル方向へ延出した保持部と、を備え、
前記アウターパネルの端末フランジ部が、前記外周部と前記保持部との間に形成された開口部から内部に挿入されてウィンドフレームに取り付けられるグラスランであって、
前記外周部の内面のうち前記保持部の一端部が直接結合されていない部位と前記保持部との間に、前記端末フランジ部の先端縁に当接する支持部が結合されていることを特徴とするグラスラン。
【請求項2】
請求項1に記載のグラスランであって、
前記支持部は、前記型成形部の内部であって前記ウィンドフレームへの取り付け時に、前記外周部の外面に押し込み力が作用する範囲に連続して設けられていることを特徴とするグラスラン。
【請求項3】
請求項2に記載のグラスランであって、
前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間に跨った板状に形成され、前記保持部の端部に結合された一端縁から前記外周部方向に延びたほぼ中央部までの第1部位と、前記中央部から前記外周部の内面に結合された他端縁までの第2部位とを有し、前記第1部位の肉厚を第2部位の肉厚よりも大きく設定したことを特徴とするグラスラン。
【請求項4】
請求項3に記載のグラスランであって、
前記第1部位は、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられているのに対して、第2部位は、前記中央部から前記外周部の屈曲部に向かって傾斜状に形成されていることを特徴とするグラスラン。
【請求項5】
請求項3に記載のグラスランであって、
前記外周部と前記保持部との間でかつ前記支持部よりも車内側の位置に、前記保持部の端部と前記外周部の内面とを連結するリブを設けたことを特徴とするグラスラン。
【請求項6】
請求項2に記載のグラスランであって、
前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間で、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられていると共に、肉厚が全体にほぼ均一に設定されていることを特徴とするグラスラン。
【請求項7】
請求項2に記載のグラスランであって、
前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間で、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられていると共に、前記保持部の端部に結合される一端部側の肉厚よりも前記外周部の内面に結合される他端部側の肉厚が小さく形成されていることを特徴とするグラスラン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアのウィンドフレームに取り付けられるグラスランであって、押出成形で形成された複数の直線状の押出成形部を、型成形で形成されたコーナ部の型成形部に一体に接合してなるグラスランに関し、特に、ウエストサイドシールのコーナ部に配設された型成形部がドアのアウターパネルのフランジ部で支持されたグラスランに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用ドアのグラスランとしては、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。
【0003】
図7は従来技術および本発明に係るグラスランが適用される自動車用フロントドアの側面図、図8図7のA部の拡大図、図9図8のD-D線に沿った断面図であって、(a)はグラスランの型成形部の外周部の外面を手指で押し込む前の状態を示し、(b)は押し込まれた外周部が撓み変形した状態を示す説明図である。
【0004】
自動車のフロントドア1は、周知のようにドアパネルである後述するアウターパネル8とインナーパネル9とをヘミング結合等により一体化したものであって、図7に示すように、ドアウエスト開口部から下側のドア本体2と、ドアウエスト開口部から上側のアーチ状のドアサッシュ部3と、で構成されている。このドア本体2とドアサッシュ部3とによってウィンドフレーム4が構成されている。
【0005】
このウィンドフレーム4の内周には、該ウィンドフレーム4とドアガラス5との間をシールするゴム等の材料からなるグラスラン6が設けられている。
【0006】
このグラスラン6は、上辺部6aと下辺部6b及び縦辺部6cなどによって構成され、各辺部6a~6cなどは、直線部が押出成形によって形成されていると共に、該各直線部の各端部である各コーナ部が型成形部7によってそれぞれ形成されている。各直線部は、各端部が各型成形部7によって一体に接合されて、グラスラン6全体がウィンドフレーム4の内周に沿った形に形成されている。
【0007】
また、ウエストサイドシールとも称される前記下辺部6bと縦辺部6cとを結合する型成形部7は、図9(a)に示すように、ウィンドフレーム4のアウターパネル8の端末に有する端末フランジ部8aと該端末フランジ部8aに対向するインナーパネル9の端末に有する端末フランジ部9aとの間に嵌着固定されるようになっている。
【0008】
前記下辺部6bと縦辺部6cとを結合する型成形部7は、図8及び図9(a)に示すように、平面視がほぼL字形状に屈曲形成されており、横断面ほぼ円弧状の外周部7aと、該外周部7aの内端部の内面からウィンドフレーム4方向へ延びてインナーパネル9の端末フランジ部9aに当接保持される保持部7bと、を有している。なお、前記下辺部6bには、ドアガラス5の外面に摺動可能な図外の複数のリップが設けられている。また、型成形部7は、外周部7aと保持部7bとの間に3つの傾斜状のリブ10が一体に設けられている。この各リブ10は、グラスラン6と同じ材質によって薄肉に形成されて、型成形部7の外周部7aの形状を保持する機能を有している。
【0009】
そして、グラスラン6を、ウィンドフレーム4の内周部に対して取り付けるには、ウィンドフレーム4の内周部に沿って配設すると共に、インナーパネルに例えば複数のクリップなどを用いて取り付け固定するようになっている。
【0010】
特に、前記型成形部7側では、図9(a)に示すように、外周部7aの外面を手指で下方向(矢印方向)へ押し込む。この押し込み力で、外周部7aと保持部7bとの間に有する開口部7cからアウターパネル8の端末フランジ部8aの先端縁8bに嵌入させて、該端末フランジ部8aの先端縁8bを、保持部7bと各リブ10の下部との間に挿入させる。一方、インナーパネル9の端末フランジ部9aの内面に保持部7bの外面を当接させると共に、保持部7bと端末フランジ部9aをクリップなどによって結合する。これによって、型成形部7をウィンドフレーム4に取り付ける(組み付ける)ようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2010-083160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来のグラスラン6の型成形部7をドアパネルに取り付ける際には、図9(a)に示したように、型成形部7の外周部7aを手指で下方向(矢印方向)へ押し込むと、図9(b)に示すように、各リブ10を含む外周部7a全体が潰れ変形してウィンドフレーム4に対して下方へ所定幅Sの位置ずれが発生するおそれがある。つまり、各リブ10は、薄肉に形成されていることから剛性が低く、前記手指による押し付け力に対抗することができないので、外周部7aが押し潰されて変形してしまうおそれがある。これによって、型成形部7が下方向に位置ずれして外観品質の低下を招くおそれがある。
【0013】
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、ウィンドフレームに取り付け時における型成形部の外周部の撓み変形を抑制して位置ずれによる外観品質の低下を防止し得るグラスランを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、とりわけ、型成形部が、ドアのアウターパネルの端末フランジ部を覆う外周部と、一端部が前記外周部の内面に結合され、他端部が前記インナーパネル方向へ延出した保持部と、を備え、前記アウターパネルの端末フランジ部が、前記外周部と保持部との間に形成された開口部から内部に挿入されてウィンドフレームに取り付けられるグラスランであって、
前記外周部の内面のうち前記保持部の一端部が直接結合されていない部位と前記保持部との間に、前記端末フランジ部の先端縁に当接する支持部が結合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、グラスランの型成形部をウィンドフレームに取り付ける際に、前記外周部の外面を手指で押し込むと、前記開口部からアウターパネルの端末フランジ部が内部に挿入されて、該端末フランジの先端縁が前記支持部に当接する。
【0016】
このため、外周部は、前記押し込み力に抗して支持部を介して端末フランジ部に支持された形となり、つまり、支持部が端末フランジ部との関係でストッパとして機能することから外周部の過度な撓み変形が抑制される。これにより、グラスラン(型成形部)の上下方向の位置ずれが抑制されて外観品質の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るグラスランが自動車用フロントドアのウィンドフレームに取り付けられた状態を示す図7のA部拡大図である。
図2】本発明の第1実施形態を示し、図1のB-B線に沿った拡大断面図である。
図3図1のC-C線に沿った拡大断面図である。
図4】本発明の第2実施形態を示し、図1のB-B線に沿った拡大断面図である。
図5】本発明の第3実施形態を示し、図1のB-B線に沿った拡大断面図である。
図6】本発明の第4実施形態を示し、図1のB-B線に沿った拡大断面図である。
図7】従来技術および本発明に係るグラスランが適用される自動車用フロントドアの側面図である。
図8図7のA部の拡大図である。
図9図8のD-D線に沿った断面図であって、(a)はグラスランの型成形部の外周部を手指で押し込む前の状態を示し、(b)は押し込まれた外周部が撓み変形した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るグラスランを図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るグラスランが自動車用フロントドアのウィンドフレームに取り付けられた状態を示す図7のA部拡大図、図2は本発明の第1実施形態のグラスランを示し、図1のB-B線に沿った拡大断面図、図3図1のC-C線に沿った拡大断面図である。
【0020】
すなわち、従来技術と同じく、図7に示すように、ドア本体2およびドアサッシュ部3からなるウィンドフレーム4の内周部には、ドアガラス5を摺動可能に案内する閉ループ状のグラスラン6が装着されている。
【0021】
このグラスラン6は、弾性部材であるゴム材あるいは合成樹脂材によって一体に形成されており、本実施形態では、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)によって一体に形成されている。また、グラスラン6は、従来技術と同じく、上辺部6aと下辺部6b、縦辺部6cなどによって構成されて、各辺部6a~6cなどは、直線部が押出成形によって形成されている。また、該各直線部の各端部である各コーナ部が型成形部7によってそれぞれ形成されて、この型成形部7によって各直線部を一体に接合して、グラスラン6全体がウィンドフレーム4の内周に沿った形に形成されている。
【0022】
また、グラスラン6は、図2に示すように、ウィンドフレーム4のアウターパネル8の端部に有する端末フランジ部8aと該端末フランジ部8aに対向するインナーパネル9の端部に有する端末フランジ部9aとの間に嵌着固定されるようになっている。
【0023】
ウエストサイドシールである下辺部6bは、図2の一点鎖線で示すように、車内側の一側面にドアガラス5の外面に摺動可能な上下2段の複数のリップ14a、14bが設けられている。
【0024】
また、下辺部6bと縦辺部6cとを結合する型成形部7は、図1及び図2に示すように、平面視でほぼL字形状に屈曲形成されており、横断面形状がほぼ湾曲状に屈曲形成された車外側の外周部11と、該外周部11の内端部の内面11aからウィンドフレーム4方向へ延びてインナーパネル9の端末フランジ部9aに当接保持される車内側の保持部12と、外周部11と保持部12との間に形成されて、アウターパネル8の端末フランジ部8aを下側から内部への挿入を許容する開口部13と、を有している。
【0025】
外周部11は、図2及び図3に示すように、断面が細長い図中上端部11bから下端部11cにかけて肉厚が漸次厚く形成されていると共に、上下方向のほぼ中央に位置する屈曲部11eと下端部11cによってアウターパネル8の端末フランジ部8a側とインナーパネル9の端末フランジ部9aを覆うように配置されている。また、外周部11の下端部11cの下端縁には、アウターパネル8の端末フランジ部8aが開口部13を介して外周部11と保持部12との間の内部に挿入された際に、端末フランジ部8aの上面に弾接するリップ部11dが一体に設けられている。このリップ部11dは、端末フランジ部8aの上面への所定の弾接力を確保するために保持部12の方向へ傾斜状に折曲形成されている。
【0026】
保持部12は、図3に示すように、全体が上下方向にほぼ直線状に形成されているが、上下方向のほぼ中央位置で緩やかなクランク状に折曲形成されている。保持部12は、図1及び図3に示すように、型成形部7の平面視L字形状の折曲箇所付近の所定領域S1を除く位置では、一端部である図3中の上端部12aが外周部11の上端部11bの内面11aに一体に結合されている。一方、他端部である図3中の下端部12bは、グラスラン6がウィンドフレーム4に取り付けられた状態でインナーパネル9の端末フランジ部9aの内面9bに当接配置されている。
【0027】
そして、保持部12の上端部12aが外周部11の内面11aに直接結合されていない前記所定領域S1(図1を参照)では、保持部12の上端部12a側の端部12cと外周部11の屈曲部11eの内面11aとの間に、前記端末フランジ部8aの先端縁8bが下方向から当接する支持部15が結合されている。
【0028】
この支持部15は、前記保持部12の上端部12aが外周部11に直接結合されていない所定領域S1内、つまり図1の破線で示すように、型成形部7の内部であって、前記ウィンドフレーム4への取り付け時に外周部11の上端部11bの外面に手指による下方への押し込み力が作用する範囲に外周部11の長手方向に沿って連続して設けられている。
【0029】
また、支持部15は、図2に示すように、保持部12の端部12cと外周部11の内面11aとの間に跨った板状に形成され、保持部12の端部12cに結合された一端縁から外周部11方向に延びて中央部15cまでの第1部位15aと、前記中央部15cから前記外周部11の内面11aに結合された他端縁までの第2部位15bと、を有している。第1部位15aは、端末フランジ部8aの先端縁8bに対して垂直に当接するようにほぼ水平に設けられているのに対して、第2部位15bは、中央部15cから外周部11の屈曲部11eに向かって傾斜状に形成されている。また、第1部位15aの肉厚は、第2部位15bの肉厚よりも大きく設定されている。
【0030】
〔本実施形態に係るグラスランの作用効果〕
以下、本実施形態に係るグラスラン6の作用効果について説明する。
【0031】
まず、グラスラン6の縦辺部6bとウエストサイドシールである下辺部6bとを結合させる型成形部7を、ウィンドフレーム4に取り付ける際には、図9(a)に示す場合と同じく、外周部11の上端部11bの外面を手指で下方向(矢印方向)へ押し込む。そうすると、この押し込み力によって開口部13からアウターパネル8の端末フランジ部8aが保持部12との間の内部に挿入されて、該端末フランジ部8aの先端部が保持部12の外面に当接しつつ先端縁8bが支持部15の第1部位に15aの保持部12の端部12cとの結合付近の下面に下方から当接する。
【0032】
このため、外周部11は、前記押し込み力に抗して支持部15を介して端末フランジ部8aに支持された形となる。つまり、支持部15が端末フランジ部8aとの関係でストッパとして機能することから、外周部11の過度な撓み変形が抑制される。これにより、従来技術のような、型成形部7全体の下方への位置ずれの発生が抑えられて確実な位置決め効果が発揮されると共に、外観品質の低下を防止できる。
【0033】
また、製造誤差などに起因してアウターパネル8の端末フランジ部8aの先端縁8bの長さが僅かに短くなるとか、外周部11と保持部12との間の開口部13の間口が基準以上に大きくなった場合でも、支持部15によって端末フランジ部8aの先端縁8bとの当接が確保できれば、外周部11の過度な撓み変形を十分に抑制できるので、型成形部7全体の位置ずれなどを防止できる。
【0034】
さらには、支持部15が、外周部11と保持部12とを結合する形で設けられているので、前述した外周部11の外面に押し込み力が作用した場合に、外周部11と保持部12との間を支持部15が突っ張って支持することから、前記開口部13が無用に開くことなくなる。これにより、端末フランジ部8aの先端縁8bが支持部15との当接面から外れることなく、安定した支持が可能になる。
【0035】
しかも、支持部15は、外周部11の外面に掛かる押し込み力が作用する所定範囲(S1)内に型成形部7の内部に長手方向に沿って連続して設けられているので、端末フランジ部8aを介して前記押し込み力に十分に対応することが可能になる。これによって、外周部11の撓み変形をさらに抑制できると共に、型成形部7全体の位置ずれなど十分に抑制できる。
【0036】
さらに、支持部15は、第1部位15aの肉厚が第2部位15bの肉厚よりも大きくなっていることから、端末フランジ部8aの先端縁8bと当接した際の支持力が大きくなる。これによって、前記押し込み力による外周部11の撓み変形を安定かつ確実に抑制できる。
【0037】
さらに、第1部位15aは、ほぼ水平に設けられていることから、前記押し込み力が作用すると端末フランジ部8aの先端縁8bに対して直交する方向から当接するため、外周部11の安定した支持力が得られる。
【0038】
また、第2部位15bは、その存在と共に第1部位15aよりも肉厚を小さく設定されていることによって、ゴム材や樹脂材の型成形時における外周部11のいわゆるひけを抑制することが可能になる。
【0039】
さらに、第2部位15bは、中央部15cから外周部11の屈曲部11eに向かって傾斜状に形成されて、前記屈曲部11eに対しては直交した状態になることから、成形時にひけが発生し易い屈曲部11eのひけを効果的に抑制できる。
【0040】
〔第2実施形態〕
図4は本発明の第2実施形態を示し、支持部15などの構成は第1実施形態と同じであるが、異なるところは、保持部12の端部12cの先端と外周部11の上端部11bの内面11aとの間を連結する補強リブ16が一体に結合されている。この補強リブ16は、支持部15よりも車内側の位置で、かつ支持部15とほぼ平行に外周部11の長手方向に沿って形成されている。
【0041】
したがって、この第2実施形態によれば、補強リブ16が、支持部15のアシスト的な機能を発揮して一緒になって外周部11の押し込み力に対してさらに対抗することが可能になる。この結果、手指による押し込み時に、外周部11の撓み変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0042】
また、外周部11と保持部12は、支持部15と補強リブ16とによって二重に結合されていることから、外周部11の下端部11cの車外方向への変形による開口部13の間口の広がりを抑制できる、つまり、開口部13の無用な口開きの発生を抑制することが可能になる。これによって、外周部11のリップ部11dを端末フランジ部8aの上面に常時強く当接させることができる。
【0043】
〔第3実施形態〕
図5は本発明の第3実施形態を示し、支持部15の構造を変更したものである。
【0044】
すなわち、支持部15は、保持部12の端部12cと外周部11の屈曲部11eの下部付近の内面11aとの間でほぼ水平に形成されて、端末フランジ部8aの先端縁8bに対して垂直に当接するようになっている。また、この支持部15は、肉厚が第1実施形態の第1部位15aと同じく比較的大きく形成されていると共に、全体にほぼ均一に設定されている。
【0045】
この第2実施形態によれば、支持部15は、全体に肉厚の大きく剛性が高くなることから、端末フランジ部8aの先端縁8bに対する支持力が大きくなるので、外周部11の撓み変形をさらに抑制できる。
【0046】
また、支持部15は、全体の肉厚化により剛性が高くなることによって、第2実施形態と同じく開口部13の口開きの発生も効果的に抑制することが可能になる。
【0047】
〔第4実施形態〕
図6は本発明の第4実施形態を示し、支持部15などの基本構成は第3実施形態と同じであるが、この支持部15の外周部11側の端部15dが薄肉に形成されている。
【0048】
この第4実施形態も第1実施形態と同じく押し込み時における外周部11の撓み変形を抑制することができると共に、開口部13の口開きの発生を抑制できる。
【0049】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、支持部15の適用対象の型成形部7としてはグラスラン6のウエストサイドシールである下辺部6bと縦辺部6cとの間のものばかりか、他の箇所の型成形部7にも適用することが可能である。また、支持部15の構造をさらに変更することも可能である。
【0050】
以上説明した実施形態に基づくグラスランとしては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0051】
すなわち、本発明に係るグラスランの好ましい態様としては、ドアのインナーパネルとアウターパネルによって形成されたウィンドフレームの内周部に取り付けられ、押出成形によって形成された直線部と、該直線部の端部のコーナ部が型成形によって形成された型成形部と、を有し、前記型成形部は、前記アウターパネルの端末フランジ部を覆う外周部と、一端部が前記外周部の内面に結合され、他端部が前記インナーパネル方向へ延出した保持部と、を備え、前記アウターパネルの端末フランジ部が、前記外周部と保持部との間に形成された開口部から内部に挿入されてウィンドフレームに取り付けられるグラスランであって、
前記外周部の内面のうち前記保持部の一端部が直接結合されていない部位と前記保持部との間に、前記端末フランジ部の先端縁に当接する支持部が結合されている。
【0052】
この発明の態様によれば、グラスランの型成形部をウィンドフレームに取り付ける際に、前記外周部の外面を手指で押し込むと、前記開口部からアウターパネルの端末フランジ部が内部に入り込んで、該端末フランジの先端縁が前記支持部の下面に当接した状態となる。このため、外周部は、前記押し込み力に抗して支持部を介して端末フランジ部に支持された形となり、つまり、支持部が端末フランジ部との関係でストッパとして機能する。このため、外周部は、過度な撓み変形が抑制される。これにより、型成形部全体の位置ずれの発生が抑えられて確実な位置決め効果が発揮される。
【0053】
また、製造誤差などに起因して前記アウターパネルの端末フランジ部の先端縁の長さが僅かに短くなるとか、外周部と保持部との間の開口部の間口が基準以上に大きくなった場合でも、支持部によって端末フランジ部の先端縁との当接が確保できれば、外周部の過度な撓み変形を十分に抑制できるので、型成形部全体の位置ずれなどを防止できる。
【0054】
さらには、支持部が外周部と保持部とを連結する形で設けられているので、前述した外周部の外面に押し込み力が作用した場合に、外周部と保持部との間を支持部が突っ張り支持するので前記開口部が不用意に開くことなくなる。これにより、端末フランジ部の先端縁が支持部の当接面から外れることなく、安定した支持が可能になる。
【0055】
さらに好ましくは、前記支持部は、前記型成形部の内部であって前記ウィンドフレームへの取り付け時に、前記外周部の外面に押し込み力が作用する範囲に連続して設けられている。
【0056】
この発明の態様によれば、支持部が外周部の外面に押し込み力が作用する範囲、つまり、型成形部の内部に長手方向に沿って連続して設けられていることから、端末フランジ部を介して前記押し込み力に十分に対応することが可能になる。これによって、外周部の撓み変形をさらに抑制できると共に、型成形部全体の位置ずれなどを防止できる。
【0057】
さらに好ましくは、前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間に跨った板状に形成され、前記保持部の端部に結合された一端縁から前記外周部方向に延びたほぼ中央部までの第1部位と、前記中央部から前記外周部の内面に結合された他端縁までの第2部位とを有し、前記第1部位の肉厚を第2部位の肉厚よりも大きく設定した。
【0058】
この発明の態様によれば、第1部位の肉厚を大きくすることによって、端末フランジ部の先端縁と当接した際の支持力が大きくなることから、前記押し込み力による外周部の撓み変形を安定かつ確実に抑制できる。
【0059】
一方、第2部位を設けると共に、該第2部位を第1部位よりも肉厚が小さく設定したことによって、ゴム材や樹脂材によって型成形時における外周部のいわゆるひけを抑制することが可能になる。
【0060】
さらに好ましくは、前記第1部位は、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられているのに対して、第2部位は、前記中央部から前記外周部の屈曲部に向かって傾斜状に形成されている。
【0061】
この発明の態様によれば、第1部位がほぼ水平に設けられていることから、前記押し込み力が作用するとフランジ部の先端縁に対して直交する方向から当接するため、外周部の安定した支持力が得られる。
【0062】
また、第2部位は、中央部から外周部の屈曲部に向かって傾斜状に形成されて、前記屈曲部に対しては直交した状態になることから、型成形時におけるひけが発生し易い屈曲部のひけを効果的に抑制できる。
【0063】
さらに好ましくは、前記外周部と前記保持部との間でかつ前記支持部よりも車内側の位置に、前記保持部の端部と前記外周部の内面とを連結するリブを設けた。
【0064】
この発明の態様によれば、リブが、支持部のアシスト的な機能を発揮して一緒になって外周部の押し込み力に対してさらに対抗することが可能になるので、外周部の撓み変形を抑制できる。
【0065】
さらに好ましくは、前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間で、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられていると共に、肉厚が全体にほぼ均一に設定されている。
【0066】
さらに好ましくは、前記支持部は、前記保持部の端部と前記外周部の内面との間で、前記端末フランジ部の先端縁に対して垂直に当接するほぼ水平に設けられていると共に、前記保持部の端部に結合される一端部側の肉厚よりも前記外周部の内面に結合される他端部側の肉厚が小さく形成されている。
【符号の説明】
【0067】
1…フロントドア
2…ドア本体
3…ドアサッシュ部
4…ウィンドフレーム
5…ドアガラス
6…グラスラン
6a…上辺部
6b…下辺部
6c…縦辺部
7…型成形部
8…アウターパネル
8a…端末フランジ部
8b…先端縁
9…インナーパネル
9a…端末フランジ部
11…外周部
11a…内面
11b…上端部
11c…下端部
11e…屈曲部
12…保持部
12a…上端部(一端部)
12b…下端部(他端部)
12c…端部
13…開口部
15…支持部
15a…第1部位
15b…第2部位
15c…中央部
16…補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9