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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】自動車用ウエザーストリップの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/30 20160101AFI20240710BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20240710BHJP
   B60R 13/06 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B60J10/30
B60J10/84
B60R13/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021125334
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020137
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】植田 純平
(72)【発明者】
【氏名】大堺 茂樹
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-139218(JP,A)
【文献】特開2003-81023(JP,A)
【文献】特開2008-30503(JP,A)
【文献】特開2012-46118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0201622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体側開口部の内側に、車体前後方向に延設された取付プレートを介して取り付けられ、前記車体側開口部と当該車体側開口部を開閉する開閉体との間をシールする自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記取付プレートは、
車体上下方向に延設され、車体に支持固定される取付基部と、
車体幅方向の一端部が前記取付基部の上端部に接続され、前記取付基部を介して前記車体に取り付けられると共に、上面にウエザーストリップが取り付けられるシール取付部と、
前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部に設けられ、前記車体側開口部の内側に突設された段部の上面に当接可能に設けられた車体当接部と、
を有することを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記車体当接部は、前記車体前後方向に連続して設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部から下方へ延設されたフランジ部を含むことを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記車体当接部は、前記車体前後方向に間欠的に設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端側下部に前記車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブを含むことを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記車体当接部は、
前記車体前後方向に連続して設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部から下方へ延設されたフランジ部と、
前記車体前後方向に間欠的に設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端側下部に前記車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブと、
を含むことを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記取付プレートは、前記取付基部の側部に前記車体幅方向へ延在して前記車体に当接可能に設けられた第2車体当接部を有することを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、
前記段部の上面は、前記車体側開口部の内側に向けて下り傾斜状に形成されていて、
前記車体当接部の前記段部との当接面は、前記段部の上面に対して概ね平行な面を有し、前記段部の上面に対して面接触可能に形成されていることを特徴とする自動車用ウエザーストリップの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体側開口部に取付プレートを介して取り付け固定され、車体側開口部と当該車体側開口部を開閉する開閉体との間をシールする自動車用ウエザーストリップの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
概略を説明すれば、例えば図7に示すように、開閉体に相当するフード1により開閉される自動車の車体側開口部、すなわちエンジンルームの開口部には、フロントフェンダー2の上端部内側に前後方向に沿って樹脂製の取付プレート3が配置され、この取付プレート3の上端部に、シール部材として長尺な中空状のウエザーストリップ4を配置することが一部で行われている。なお、この構造は、取付プレート3によって、フード1を開いた際のエンジンルーム内におけるフードリッジパネル(図示外)やフロントフェンダー2等のパネルの色を覆い隠して見栄えの向上を図ると共に、フードインナパネル1aをウエザーストリップ4に弾接させることによって、走行時の風切り音を抑制することを主眼としている。
【0003】
ここで、前記従来の自動車用ウエザーストリップの取付構造によれば、図7に示すように、取付プレート3がフロントフェンダー2に片持ち状に取り付けられている。より具体的には、ウエザーストリップ4が取り付けられるシール取付部32の一端部である固定端部としての内側端部321が、取付基部31を介してフロントフェンダー2に固定されると共に、シール取付部32の他端部である自由端部としての外側端部322が、フロントフェンダー2の上端部内側に突出する段部25に当接することにより、当該シール取付部32の過大な変形が抑制されている。
【0004】
なお、上記構成に類似した構成を有する自動車用ウエザーストリップの取付構造について記載されたものとしては、例えば以下の特許文献に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4857042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の自動車用ウエザーストリップの取付構造によれば、シール取付部32の自由端部である外側端部322側の弾性変形が許容されていて、当該外側端部322側の過大な変形をフロントフェンダー2の段部25によって規制している。このため、例えばフード1の閉時など、取付プレート3の上方から比較的大きな荷重Fが入力された場合には、シール取付部32の外側端部322が、図7中に破線で示すように、段部25に乗り上げるように弾性変形し、当該段部25の段部傾斜面250に引っ掛かってしまうおそれがある。これにより、シール取付部32の外側端部322が下方へと落ち込んだまま弾性復帰せず、ウエザーストリップ4を適正な状態に維持できないおそれがある点で、改善の余地を残していた。
【0007】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであって、取付プレートにおけるシール取付部の過大な変形を抑制してウエザーストリップの適正な取付状態を維持することができる自動車用ウエザーストリップの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その一態様として、自動車の車体側開口部の内側に、車体前後方向に延設された取付プレートを介して取り付けられ、前記車体側開口部と当該車体側開口部を開閉する開閉体との間をシールする自動車用ウエザーストリップの取付構造であって、前記取付プレートは、車体上下方向に延設され、車体に支持固定される取付基部と、車体幅方向の一端部が前記取付基部の上端部に接続され、前記取付基部を介して前記車体に取り付けられると共に、上面にウエザーストリップが取り付けられるシール取付部と、前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部に設けられ、前記車体側開口部の内側に突設された段部の上面に当接可能に設けられた車体当接部と、を有する。
【0009】
かかる構成によれば、車体に対して片持ち状に取り付けられる取付プレートにおいて、自由端部に相当するシール取付部の車体幅方向の他端部に、車体に当接可能な車体当接部が設けられている。これにより、シール取付部は、車体幅方向の一端部が取付基部を介して車体に支持されると共に、車体幅方向の他端部が車体当接部を介して車体に支持されることとなり、シール取付部の両端部が車体によって支持される、いわゆる両持ち支持となる。その結果、例えば開閉体の閉時など、ウエザーストリップからシール取付部に比較的大きな荷重が作用した場合であっても、シール取付部は、車体幅方向の両端部が取付基部及び車体当接部を介して車体に支持されるため、前記荷重に抗し、当該シール取付部を適正な状態で保持することが可能となる。
【0010】
また、シール取付部は、車体幅方向の両端部が車体に当接支持されることで、ウエザーストリップを支持する車体幅方向の中間部が弾性変形することになる。これにより、当該弾性変形によって前記荷重を吸収すると共に、前記荷重が作用する方向と反対側に作用する曲げ応力によってシール取付部が弾性復帰することとなり、当該シール取付部を適正な状態で保持することができる。
【0011】
ここで、本発明の好ましい第1の態様として、前記車体当接部は、前記車体前後方向に連続して設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部から下方へ延設されたフランジ部を含むことが望ましい。
【0012】
このように、車体当接部が車体前後方向に連続して設けられたフランジ部によって構成されていることで、当該車体当接部は、車体前後方向の広い範囲に亘って車体に当接することとなり、シール取付部を安定して支持することが可能となる。これにより、シール取付部の保持性の向上が図れ、当該シール取付部をより適正な状態にて保持することができる。
【0013】
また、本発明の好ましい第2の態様として、前記車体当接部は、前記車体前後方向に間欠的に設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端側下部に前記車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブを含むことが望ましい。
【0014】
このように、車体当接部が車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブによって構成されていることにより、当該車体当接部が設けられた部分では、車体幅方向に比較的幅広なリブ状の車体当接部をもって、シール取付部側から入力される比較的大きな荷重に対抗可能となり、シール取付部をより強固に支持することが可能となる。これにより、シール取付部の保持性の向上が図れ、当該シール取付部をより適正な状態にて保持することができる。
【0015】
また、本発明の好ましい第3の態様として、前記車体当接部は、前記車体前後方向に連続して設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端部から下方へ延設されたフランジ部と、前記車体前後方向に間欠的に設けられ、かつ前記シール取付部の前記車体幅方向の他端側下部に前記車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブと、を含むことが望ましい。
【0016】
このように、車体当接部が、車体前後方向に連続して延びるフランジ部と、車体幅方向に比較的幅広に設けられたリブによって構成されていることにより、車体に対してシール取付部を一層強固に支持することが可能となる。その結果、シール取付部の保持性がさらに向上し、当該シール取付部を一層適正な状態で保持することができる。
【0017】
また、本発明の好ましい第4の態様として、前記取付プレートは、前記取付基部の側部に前記車体幅方向へ延在して前記車体に当接可能に設けられた第2車体当接部を有することが望ましい。
【0018】
このように、取付基部の側部に車体幅方向へ延在する第2車体当接部が設けられていることにより、車体当接部に加えて、当該第2車体当接部を車体に当接させることで、シール取付部をより一層強固に支持することが可能となる。その結果、シール取付部の保持性のさらなる向上が図れ、当該シール取付部をより一層適正な状態で保持することができる。
【0019】
また、本発明の好ましい第5の態様として、前記段部の上面は、前記車体側開口部の内側に向けて下り傾斜状に形成されていて、前記車体当接部の前記段部との当接面は、前記段部の上面に対して概ね平行な面を有し、前記段部の上面に対して面接触可能に形成されていることが望ましい。
【0020】
このように、車体当接部の段部との当接面が、車体側開口部の内側に向けて下り傾斜状に傾斜する段部の上面に対して平行な面を有し、当該段部の上面に対して面接触可能に構成されている。これにより、段部の上面に車体当接部が安定して接触可能となり、シール取付部の車体幅方向の他端部を車体に対して安定的に支持させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自由端部であるシール取付部の車体幅方向の他端部が車体に当接することにより、当該シール取付部は、車体幅方向の一端部が取付基部を介して車体に支持されると共に、車体幅方向の他端部が車体当接部を介して車体に支持され、車体による両持ち支持となる。これにより、例えば開閉体の閉時など、ウエザーストリップからシール取付部に比較的大きな荷重が作用した場合であっても、シール取付部は、車体幅方向の両端部が取付基部及び車体当接部を介して車体に支持される。その結果、車体において、シール取付部を適正な状態で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る自動車用ウエザーストリップの配置を示す図であって、自動車の車体開口部を前方から見た斜視図である。
図2】本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の第1実施形態を示す図1のA-A線断面図である。
図3図2に示す取付プレートを内側から見た斜視図である。
図4図2に示す取付プレートに大きな荷重が作用した際のシール取付部の支持構造を示す、図2の要部拡大図である。
図5】本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の第2実施形態を示し、(a)は図1のA-A線断面図、(b)は同図(a)の部分平面図である。
図6】本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の第3実施形態を示し、(a)は図1のA-A線断面図、(b)は同図(a)の部分平面図である。
図7】従来の自動車用ウエザーストリップの取付構造を示す図であって、ウエザーストリップ及び取付プレートの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、以下では、説明の便宜上、車体の天地を基準として、鉛直方向上側に相当する図1図3図6の上側を「上」と定義すると共に、鉛直方向下側に相当する図1図3図6の下側を「下」と定義して説明する。また、図2図4図6では、車外側となる図中の右側を「外側」と定義し、車内側となる図中の左側を「内側」と定義して説明する。
【0024】
[第1実施形態]
(本実施形態の構成)
図1は、本発明に係る自動車用ウエザーストリップの配置を示す図であって、自動車の車体開口部であるエンジンルーム10を前方から見た斜視図を示している。
【0025】
図1に示すように、自動車には、開閉体としてのフード1により開閉される車体側開口部としてのエンジンルーム10の開口部の各側縁部に、車体に相当する左右のフロントフェンダー2の上端部内側を覆うような取付プレート3を介して、シール部材としてのウエザーストリップ4が配設されている。これにより、フード1の閉時に、ウエザーストリップ4がフードインナパネル1aの車体幅方向の各側端縁に弾接することにより、走行時の風切り音が抑制されている。なお、ウエザーストリップ4は、エンジンルーム10の開口部の両側に配置される一対のフロントフェンダー2に、それぞれ取付プレート3を介して取り付けられている。
【0026】
図2は、図1のA-A線に沿って切断して表示した、車体左側におけるウエザーストリップ4の取付構造の断面図を示している。図3は、車体右側に配置される取付プレート3を内側から見た、当該取付プレート3の斜視図を示している。
【0027】
図2に示すように、エンジンルーム10の開口部の側端部に、フロントフェンダー2が、車体前後方向に延びるように配置される。そして、フロントフェンダー2は、下端部において車内側(車体幅方向の内側)へ延びる底部21と、上端部の内側端縁から下方へ延びる内側壁22と、内側壁22の下端部から車内側へ延設され、中央部に貫通して設けられたプレート取付孔230を介して取付プレート3の取り付け固定に供するプレート取付部23と、を有する。また、内側壁22の下端側には、車内側へ膨出する膨出部24を有し、上端側の内側壁22と下端側の膨出部24との間に、段部25が形成されている。また、段部25は、車内側(膨出部24)側に向かって下り傾斜する傾斜状を呈し、当該下り傾斜状の段部傾斜面250を構成する。
【0028】
取付プレート3は、樹脂材料、例えば熱可塑性エラストマーによって一体に成型されたものである。具体的には、取付プレート3は、車体上下方向に延設され、車体に支持固定される取付基部31と、取付基部31の上端部に設けられ、ウエザーストリップ4の取り付けに供するシール取付部32と、を有する。
【0029】
取付基部31は、概ねクランク状に折り曲げ形成されてなり、脚部311と、第1縦壁部312と、横壁部313と、第2縦壁部314と、を有する。脚部311は、フロントフェンダー2の底部21と概ね平行に設けられ、スポンジ製の緩衝部材6を介してフロントフェンダー2の底部21に着座し、フロントフェンダー2上にて取付基部31を支持する。第1縦壁部312は、脚部311の車体幅方向の内側端部から上方(概ね鉛直方向)へと直線状に延び、概ね平坦状に形成される。ここで、第1縦壁部312は、車体上下方向において、フロントフェンダー2の内側に設けられた後述するプレート取付部23よりも高い位置まで延びている。横壁部313は、第1縦壁部312の上端位置から車体幅方向の外側へ、フロントフェンダー2の内側壁22に向かって延びる。第2縦壁部314は、第1縦壁部312と同様、横壁部313の車体幅方向の外側端部から上方(概ね鉛直方向)へ直線状に延び、概ね平坦状に形成される。
【0030】
また、取付基部31には、横壁部313の外側端部から延設され、かつ車体上下方向においてフロントフェンダー2のプレート取付部23と面接触が可能な複数の取付片315が設けられている。取付片315は、車体前後方向に所定の間隔をあけて3箇所に設けられていて(図3参照)、プレート取付部23との対向面に第1クリップ51が貫通可能な第1クリップ貫通孔316を有する。これにより、第1クリップ51の第1クリップ軸部510が第1クリップ貫通孔316及びプレート取付孔230を挿通することで、当該第1クリップ51をもって取付片315がプレート取付部23に固定される。
【0031】
また、取付基部31の横壁部313の下部には、車体幅方向の全域に亘って延びる板状の第2車体当接部34が形成されている。第2車体当接部34は、概ね矩形状を呈し、車体幅方向に亘って一定の高さを有し、かつ車体前後方向に所定の間隔で複数設けられたリブによって構成されていて(図3参照)、取付片315がプレート取付部23に当接した状態で、第2車体当接部34の下端部がプレート取付部23に当接可能となっている。換言すれば、取付片315がプレート取付部23に取り付けられた状態で第2車体当接部34の下端部がプレート取付部23に当接することで、上方からシール取付部32に作用した荷重の一部を、第2車体当接部34を介してプレート取付部23にて支持可能となっている。
【0032】
シール取付部32は、取付基部31の上端位置から車体幅方向の外側へフロントフェンダー2の内側壁22に向かって延びるように設けられていて、車体幅方向においてプレート取付部23と概ね平行に延在し、上面にウエザーストリップ4が装着される。このように、シール取付部32は、車体幅方向の一端部である固定端部としての内側端部321が取付基部31の上端部に接続されていて、取付基部31を介して車体(フロントフェンダー2)に片持ち状に支持されている。
【0033】
そして、シール取付部32には、車体幅方向の概ね中央位置において、車体前後方向に所定の間隔をもって、複数のシール取付孔323が並列に設けられている(図3参照)。各シール取付孔323には、後述するウエザーストリップ4のシール取付基部41から突出する複数の第2クリップ52の第2クリップ軸部520が挿通し、当該第2クリップ52をもってウエザーストリップ4がシール取付部32に固定される。
【0034】
また、シール取付部32の車体幅方向の外側端部322には、フロントフェンダー2の段部25の上面(段部傾斜面250)に当接可能な車体当接部33が、シール取付部32と一体に設けられている。車体当接部33は、シール取付部32の車体前後方向の全域に亘って連続して設けられ、かつシール取付部32の外側端部322からフロントフェンダー2の内側壁22に沿って下方へと延設された突条からなるフランジ部によって構成される。また、車体当接部33は、フロントフェンダー2の内側壁22に対して所定の隙間C1を隔てて離間して設けられている。さらに、車体当接部33は、先端部がフロントフェンダー2の段部25に対応する形状を有し、本実施形態では、段部傾斜面250に概ね平行なプレート傾斜面330を有する。
【0035】
また、プレート傾斜面330は、フロントフェンダー2の段部傾斜面250に対して所定の隙間C2を隔てて離間して設けられている。なお、隙間C2は、ウエザーストリップ4やシール取付部32が自由状態にあるときは、プレート傾斜面330が段部傾斜面250から離間した状態となる一方、例えばフード1の閉時など、シール取付部32に比較的大きな入力が作用したときに、プレート傾斜面330が段部傾斜面250に当接するように設定されている。このように、シール取付部32に比較的大きな入力が作用したときにプレート傾斜面330が段部傾斜面250に当接するように設定されていることによって、後述するシール取付部32の両端支持に基づくシール取付部32の破損が抑制されている。
【0036】
ウエザーストリップ4は、シール取付部32に対するウエザーストリップ4の取り付け固定に供するシール取付基部41と、シール取付基部41の上部に一体に成型され、車体前後方向に延びる中空シール部42と、中空シール部42の下端部外側に延設され、シール取付部32に弾接可能なシールリップ43と、を有する。シール取付基部41には、車体幅方向の概ね中央位置に車体前後方向へ所定の間隔をもって並列に設けられた複数の第2クリップ軸部520が挿通する、複数の第2クリップ挿通孔410が貫通形成されている。
【0037】
(本実施形態の作用効果)
図4は、図2に示す取付プレート3に大きな荷重Fが作用したときのシール取付部32の支持構造を現した、図2の要部拡大図を示している。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造によれば、車体(フロントフェンダー2)に対して取付基部31を介して片持ち状に取り付けられた取付プレート3において、自由端部に相当するシール取付部32の車体幅方向の外側端部322に、フロントフェンダー2の段部25に当接可能な車体当接部33が設けられている。これにより、図4に示すように、例えばフード1の閉時など、シール取付部32に対して比較的大きな荷重Fが作用した場合は、シール取付部32の車体幅方向の内側端部321が取付基部31を介してフロントフェンダー2のプレート取付部23に支持される。他方、シール取付部32の車体幅方向の外側端部322は、下方へ撓み変形して車体当接部33がフロントフェンダー2の段部25に当接することによって、車体当接部33を介してフロントフェンダー2の段部25に支持される。このようにして、シール取付部32の両側端部(内側端部321及び外側端部322)がフロントフェンダー2によって支持される、いわゆる両持ち支持となる。
【0039】
その結果、上記荷重Fの作用時には、シール取付部32は、内側端部321が取付基部31を介してフロントフェンダー2のプレート取付部23に支持されることにより生じる反力f1と、外側端部322が車体当接部33を介してフロントフェンダー2の段部25に当接支持されることにより生じる反力f2と、をもって、上記荷重Fに抗することが可能となる。これにより、フロントフェンダー2においてシール取付部32を適正な状態で保持することができ、ウエザーストリップ4が適正な状態で保持される。
【0040】
また、図4に示すように、シール取付部32が車体幅方向の両側端部(内側端部321及び外側端部322)がフロントフェンダー2に支持されることで、前記荷重Fに基づき、ウエザーストリップ4を支持する車体幅方向の中間部が下方へ弾性変形することになる。これにより、かかる弾性変形により前記荷重Fを吸収すると共に、前記荷重Fが作用する方向と反対側に作用する曲げ応力f3によってシール取付部32が弾性復帰することとなり、当該シール取付部32を適正な状態で保持することができる。
【0041】
また、本実施形態では、車体当接部33が、車体前後方向に連続して設けられたフランジ部により構成されている。これにより、車体当接部33を車体前後方向の広い範囲に亘って車体(フロントフェンダー2)に当接させ、シール取付部32を安定して支持することが可能となる。その結果、シール取付部32の保持性の向上が図れ、シール取付部32をより適正な状態で保持することができる。
【0042】
また、本実施形態では、取付基部31の側部に、車体幅方向へ延在する第2車体当接部34が設けられている。これにより、車体当接部33に加え、当該第2車体当接部34が車体(フロントフェンダー2のプレート取付部23)に当接支持されることとなり、シール取付部32をより一層強固に支持することが可能となる。その結果、シール取付部32の保持性のさらなる向上が図れ、シール取付部32をより一層適正な状態で保持することができる。
【0043】
また、本実施形態では、車体当接部33は、フロントフェンダー2の内側へ下り傾斜状に傾斜する段部傾斜面250に対して平行なプレート傾斜面330を有し、段部傾斜面250に対して面接触可能に構成されている。これにより、傾斜状の段部25に対して車体当接部33が安定して接触可能となり、シール取付部32の車体幅方向の外側端部322を車体(フロントフェンダー2)に対して安定的に支持させることができる。
【0044】
[第2実施形態]
(本実施形態の構成)
図5は、本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の第2実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第1実施形態における車体当接部33の構成を変更したものであり、他の構成については、前記第1実施形態と同様である。このため、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0045】
図5に示すように、本実施形態では、本発明に係る車体当接部が、前記第1実施形態で例示したような車体前後方向に連続するフランジ状の車体当接部33ではなく、車体前後方向に間欠的に設けられ、かつシール取付部32の車体幅方向の外側端部の下部に車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられた、概ね三角形状をなす板状のリブからなる車体当接部35によって構成されている。
【0046】
また、本実施形態においても、車体当接部35は、フロントフェンダー2の段部傾斜面250に概ね平行なプレート傾斜面350を有していて、段部25に対して面接触可能に構成されている。
【0047】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態では、車体当接部35が車体幅方向に亘って比較的幅広に設けられたリブにより構成されている。これにより、車体当接部35は、より強固に車体(フロントフェンダー2の段部25)に当接して、シール取付部32を支持することが可能となる。その結果、シール取付部32の保持性の向上が図れ、シール取付部32をより適正な状態で保持することができる。
【0048】
とりわけ、本実施形態に係る車体当接部35は、前記第1実施形態にて例示したフランジ状の車体当接部33と比べて、車体幅方向において比較的大きな断面積を有するリブによって構成されている。これにより、車体当接部35が設けられている部分において、フロントフェンダー2の段部25(段部傾斜面250)から受ける反力f2に対して、より一層大きな反力を受け止めることが可能となり、シール取付部32をより強固に支持することができる。
【0049】
[第3実施形態]
(本実施形態の構成)
図6は、本発明に係る自動車用ウエザーストリップの取付構造の第3実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第1実施形態における車体当接部33の構成を変更したものであり、他の構成については、前記第1実施形態と同様である。このため、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、本実施形態では、本発明に係る車体当接部が、前記第1実施形態にて例示した車体前後方向に連続するフランジ部からなる車体当接部33と、前記第2実施形態で例示した車体前後方向に間欠的に設けられた複数のリブからなる車体当接部35と、を組み合わせてなり、これらフランジ状の車体当接部33とリブ状の車体当接部35とが一体に形成されている。
【0051】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態では、本発明に係る車体当接部が、車体前後方向に連続して延びるフランジ状の車体当接部33と、車体前後方向に間欠的に、かつ車体幅方向に比較的幅広に設けられた複数のリブ状の車体当接部35と、で構成されている。これにより、車体前後方向に連続して延びるフランジ状の車体当接部33により、車体前後方向の広い範囲に亘ってシール取付部32を安定して支持することが可能になると共に、車体幅方向において比較的幅広に延びるリブ状の車体当接部35により、車体前後方向のうち当該車体当接部35が設けられた部分でシール取付部32を強固に支持することが可能となり、車体(フロントフェンダー2)にて、シール取付部32を一層強固に支持することが可能となる。換言すれば、本実施形態では、車体前後方向に延びるフランジ状の車体当接部33と、車体幅方向に幅広なリブ状の車体当接部35と、によって、車体幅方向における断面積が比較的小さいフランジ状の車体当接部33の強度不足を車体幅方向に幅広なリブ状の車体当接部35により補いつつ、車体前後方向に間欠的に設けられたリブ状の車体当接部35の安定不足を車体前後方向に連続して延びるフランジ状の車体当接部33により補うことが可能となる。その結果、シール取付部32の保持性のさらなる向上が図れ、シール取付部32を一層適正な状態で保持することができる。
【0052】
本発明は、前記各実施形態にて開示された構成に限定されるものではなく、ウエザーストリップ4の具体的な形態や、取付プレート3に対する取付態様、並びに取付プレート3の取付基部31の具体的な形態やフロントフェンダー2に対する取付態様など、本発明の技術的特徴とは直接関係しない細部の構成は勿論、車体当接部33,35など本発明の構成と直接関係する部分であっても、その形状や大きさなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適用対象である車体の仕様等に応じて自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…フード(開閉体)
10…エンジンルーム(車体開口部)
2…フロントフェンダー(車体)
25…段部
3…取付プレート
31…取付基部
32…シール取付部
33…車体当接部(フランジ部)
35…車体当接部(リブ)
4…ウエザーストリップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7