IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図1
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図2
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図3
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図4
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図5
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図6
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図7
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図8
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図9
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図10
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図11
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図12
  • 特許-水中観測システムおよび水中観測方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】水中観測システムおよび水中観測方法
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20240710BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240710BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240710BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240710BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20240710BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240710BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20240710BHJP
   G01W 1/02 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
B63C11/00 B
H04W4/38
H04W64/00 120
H04W64/00 140
H04W84/18
H04W88/04
H04M11/00 301
B63C11/48 D
G01W1/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021139812
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023033881
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007764(JP,A)
【文献】国際公開第2020/106954(WO,A1)
【文献】特開2011-230627(JP,A)
【文献】特開平03-266794(JP,A)
【文献】特開2015-009642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00 ― 11/48
H04W 4/38
H04W 64/00
H04W 84/18
H04W 88/04
H04M 11/00
G01W 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面及び水中を自律的に移動可能な複数のセンサ装置を備える水中観測システムであって、
前記センサ装置は、
制御部と、
特定の計測項目の計測を行うセンサ部と、
現在時刻を示す時刻情報を取得する時刻情報取得部と、
自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
基地局との間で無線通信を行う水面通信部と、
水中に配置されたセンサ装置との間で通信を行う水中通信部と、を備え、
少なくとも3台の前記センサ装置が水面に配置され、
複数の前記センサ装置が水中に配置され、
水面に配置された前記センサ装置である水面センサ装置において、
前記制御部は、
自己のセンサ識別情報、前記時刻情報及び前記位置情報を含む水面配置情報を前記水中通信部により水中に配置されたセンサ装置へ送信し、
水中に配置されたセンサ装置から送信されたセンサ計測データを前記水中通信部により受信し、
前記水中通信部によって受信されたセンサ計測データを前記水面通信部により所定のデータ収集装置へ送信し、
水中に配置された前記センサ装置である水中センサ装置において、
前記制御部は、
少なくとも3台の前記水面センサ装置から送信された水面配置情報を前記水中通信部により受信し、
前記センサ部によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを前記水中通信部により前記水面センサ装置へ送信し、
前記位置情報取得部は、前記水中通信部による前記水面センサ装置との間の通信遅延時間に基づいた前記水面センサ装置との間の距離と、前記水中通信部によって受信された水面配置情報と、前記センサ部によって計測された水深とに基づいて自己の位置を算出し、
前記制御部は、前記位置情報取得部によって算出された自己の位置と前記水面センサ装置の位置とに基づいて、自己と当該水面センサ装置とが所定の位置関係になるように自己の移動を制御する、
水中観測システム。
【請求項2】
所定の水深に配置された複数のセンサ装置から構成される第1グループ内のセンサ装置が通信不可になった場合に、前記第1グループに隣接する第2グループのセンサ装置が前記第2グループの位置から前記第1グループ側に移動し、当該移動に伴ってグループの再編成を行う
請求項1に記載の水中観測システム。
【請求項3】
前記センサ装置は、太陽光発電を行う太陽光発電部をさらに備え、
水中センサ装置において、
前記制御部は、水中に配置されてから一定の時間が経過すると、水面に浮上させるように自己の移動を制御する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項4】
所定の水深に配置された複数のセンサ装置から構成されるグループが水面に浮上するタイミングで、当該グループ以外の他のグループが当該グループの元の水深に移動する、
請求項3に記載の水中観測システム。
【請求項5】
自律型水中ロボットをさらに設け、
前記自律型水中ロボットよりも浅い水深に、複数のセンサ装置から構成されるセンサ群を配置し、
前記センサ群は、前記自律型水中ロボットの移動に合わせて移動しながら水中の計測を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項6】
水中センサ装置において、
前記制御部は、
水面センサ装置から受信した水面配置情報及び速度情報に基づいて水面センサ装置が移動する先の一定時間後の位置を推定し、
推定結果の水面センサ装置の一定時間後の位置に基づいて、自己の一定時間後の目標位置を算出し、
自己の速度に基づいて自己が移動する先の一定時間後の位置を推定し、
一定時間後の自己の位置が目標位置になるように、自己の移動方向および速度を調節する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項7】
所定の水深に配置された複数の水中センサ装置から構成されるグループのうち少なくとも1つの水中センサ装置は、水面センサ装置と電気ケーブルで接続され、当該水面センサ装置から給電を受ける、
請求項1から6のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項8】
所定の水深に配置された複数の水中センサ装置から構成されるグループが、異なる水深の複数の層にそれぞれ配置される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項9】
前記水面センサ装置は、前記水中センサ装置の位置を示す位置情報を前記水中センサ装置から収集し、
前記水面センサ装置は、自己の位置を示す位置情報と、前記水中センサ装置の位置を示す位置情報とを、前記水面通信部により運用者端末へ送信し、
前記水面センサ装置は、前記水面通信部により運用者端末から、水面センサ装置の目標位置と、水中センサ装置の上位層との間の目標距離とを受信し、
前記水面センサ装置は、前記目標位置へ自律移動し、
前記水面センサ装置は、前記目標距離を前記水中通信部により前記水中センサ装置へ通知し、
前記水中センサ装置は、自己の上位層との間の距離を前記目標距離にするように自律移動する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の水中観測システム。
【請求項10】
水面及び水中を自律的に移動可能な複数のセンサ装置を備える水中観測システムの水中観測方法であって、
前記センサ装置は、
制御部と、
特定の計測項目の計測を行うセンサ部と、
現在時刻を示す時刻情報を取得する時刻情報取得部と、
自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
基地局との間で無線通信を行う水面通信部と、
水中に配置されたセンサ装置との間で通信を行う水中通信部と、を備え、
少なくとも3台の前記センサ装置が水面に配置され、
複数の前記センサ装置が水中に配置され、
水面に配置された前記センサ装置である水面センサ装置の前記制御部が、自己のセンサ識別情報、前記時刻情報及び前記位置情報を含む水面配置情報を前記水中通信部により水中に配置されたセンサ装置へ送信するステップと、
水中に配置された前記センサ装置である水中センサ装置の前記制御部が、少なくとも3台の前記水面センサ装置から送信された水面配置情報を前記水中通信部により受信するステップと、
前記水中センサ装置の前記位置情報取得部が、前記水中通信部による前記水面センサ装置との間の通信遅延時間に基づいた前記水面センサ装置との間の距離と、前記水中通信部によって受信された水面配置情報と、前記センサ部によって計測された水深とに基づいて自己の位置を算出するステップと、
前記水中センサ装置の前記制御部が、前記位置情報取得部によって算出された自己の位置と前記水面センサ装置の位置とに基づいて、自己と当該水面センサ装置とが所定の位置関係になるように自己の移動を制御するステップと、
前記水中センサ装置の前記制御部が、前記センサ部によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを前記水中通信部により前記水面センサ装置へ送信するステップと、
前記水面センサ装置の前記制御部が、前記水中センサ装置から送信されたセンサ計測データを前記水中通信部により受信するステップと、
前記水面センサ装置の前記制御部が、前記水中通信部によって受信されたセンサ計測データを前記水面通信部により所定のデータ収集装置へ送信するステップと、
を含む水中観測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中観測システムおよび水中観測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海の状態を観測する技術として、気象観測衛星が観測したデータに基づいて海面水温の分布を算出したり、アルゴ(Argo)計画においてアルゴフロートにより観測したデータを衛星経由で収集したりする技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、水中に存在するの複数のドローンを陸上から通信により遠隔で制御する際に、陸上から離れた場所にあるドローンに対して、他のドローン経由(ホッピング)により無線通信する技術が記載されている。
特許文献2には、水中における端末と基地局間の通信経路を複数用意し、端末は、ある通信経路で基地局からの通信の応答が返ってこない場合に、基地局間の通信経路を他の通信経路に切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-90017号公報
【文献】特開2009-260756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気象観測衛星が観測したデータでは海中の状態までは計測することができない。また、アルゴ計画においてアルゴフロートを配置する間隔は約300kmと広いために、海中の状態について精細な計測をすることは難しい。また特許文献1,2には、水中の状態を精細に計測することまでは開示されていない。
【0006】
図12に示されるように、複数のセンサを一定の間隔Dで海面や海中に配置し、水温や塩分濃度を同じタイミングで計測すれば、海中の状態を精細に計測することができる。ここで、海面に配置されたセンサはGPS(Global Positioning System)によって自己の位置を把握して所定の位置を維持することができる。一方、海中に配置されたセンサは、GPSを利用することができないために、自己の位置を把握することができない。このため、図13に示されるように、海中に配置されたセンサは海流で流されても所定の位置に復帰することができず、各センサの間隔が等間隔ではなくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、複数のセンサ装置によって水中の状態を精細に計測することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、水面及び水中を自律的に移動可能な複数のセンサ装置を備える水中観測システムであって、前記センサ装置は、制御部と、特定の計測項目の計測を行うセンサ部と、現在時刻を示す時刻情報を取得する時刻情報取得部と、自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、基地局との間で無線通信を行う水面通信部と、水中に配置されたセンサ装置との間で通信を行う水中通信部と、を備え、少なくとも3台の前記センサ装置が水面に配置され、複数の前記センサ装置が水中に配置され、水面に配置された前記センサ装置である水面センサ装置において、前記制御部は、自己のセンサ識別情報、前記時刻情報及び前記位置情報を含む水面配置情報を前記水中通信部により水中に配置されたセンサ装置へ送信し、水中に配置されたセンサ装置から送信されたセンサ計測データを前記水中通信部により受信し、前記水中通信部によって受信されたセンサ計測データを前記水面通信部により所定のデータ収集装置へ送信し、水中に配置された前記センサ装置である水中センサ装置において、前記制御部は、少なくとも3台の前記水面センサ装置から送信された水面配置情報を前記水中通信部により受信し、前記センサ部によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを前記水中通信部により前記水面センサ装置へ送信し、前記位置情報取得部は、前記水中通信部による前記水面センサ装置との間の通信遅延時間に基づいた前記水面センサ装置との間の距離と、前記水中通信部によって受信された水面配置情報と、前記センサ部によって計測された水深とに基づいて自己の位置を算出し、前記制御部は、前記位置情報取得部によって算出された自己の位置と前記水面センサ装置の位置とに基づいて、自己と当該水面センサ装置とが所定の位置関係になるように自己の移動を制御する、水中観測システムである。
(2)本発明の一態様は、所定の水深に配置された複数のセンサ装置から構成される第1グループ内のセンサ装置が通信不可になった場合に、前記第1グループに隣接する第2グループのセンサ装置が前記第2グループの位置から前記第1グループ側に移動し、当該移動に伴ってグループの再編成を行う、上記(1)の水中観測システムである。
(3)本発明の一態様は、前記センサ装置は、太陽光発電を行う太陽光発電部をさらに備え、水中センサ装置において、前記制御部は、水中に配置されてから一定の時間が経過すると、水面に浮上させるように自己の移動を制御する、上記(1)又は(2)のいずれかの水中観測システムである。
(4)本発明の一態様は、所定の水深に配置された複数のセンサ装置から構成されるグループが水面に浮上するタイミングで、当該グループ以外の他のグループが当該グループの元の水深に移動する、上記(3)の水中観測システムである。
(5)本発明の一態様は、自律型水中ロボットをさらに設け、前記自律型水中ロボットよりも浅い水深に、複数のセンサ装置から構成されるセンサ群を配置し、前記センサ群は、前記自律型水中ロボットの移動に合わせて移動しながら水中の計測を行う、上記(1)から(4)のいずれかの水中観測システムである。
(6)本発明の一態様は、水中センサ装置において、前記制御部は、水面センサ装置から受信した水面配置情報及び速度情報に基づいて水面センサ装置が移動する先の一定時間後の位置を推定し、推定結果の水面センサ装置の一定時間後の位置に基づいて、自己の一定時間後の目標位置を算出し、自己の速度に基づいて自己が移動する先の一定時間後の位置を推定し、一定時間後の自己の位置が目標位置になるように、自己の移動方向および速度を調節する、上記(1)から(5)のいずれかの水中観測システムである。
(7)本発明の一態様は、所定の水深に配置された複数の水中センサ装置から構成されるグループのうち少なくとも1つの水中センサ装置は、水面センサ装置と電気ケーブルで接続され、当該水面センサ装置から給電を受ける、上記(1)から(6)のいずれかの水中観測システムである。
(8)本発明の一態様は、所定の水深に配置された複数の水中センサ装置から構成されるグループが、異なる水深の複数の層にそれぞれ配置される、上記(1)から(7)のいずれかの水中観測システムである。
(9)本発明の一態様は、前記水面センサ装置は、前記水中センサ装置の位置を示す位置情報を前記水中センサ装置から収集し、前記水面センサ装置は、自己の位置を示す位置情報と、前記水中センサ装置の位置を示す位置情報とを、前記水面通信部により運用者端末へ送信し、前記水面センサ装置は、前記水面通信部により運用者端末から、水面センサ装置の目標位置と、水中センサ装置の上位層との間の目標距離とを受信し、前記水面センサ装置は、前記目標位置へ自律移動し、前記水面センサ装置は、前記目標距離を前記水中通信部により前記水中センサ装置へ通知し、前記水中センサ装置は、自己の上位層との間の距離を前記目標距離にするように自律移動する、上記(1)から(8)のいずれかの水中観測システムである。
【0009】
(10)本発明の一態様は、水面及び水中を自律的に移動可能な複数のセンサ装置を備える水中観測システムの水中観測方法であって、前記センサ装置は、制御部と、特定の計測項目の計測を行うセンサ部と、現在時刻を示す時刻情報を取得する時刻情報取得部と、自己の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、基地局との間で無線通信を行う水面通信部と、水中に配置されたセンサ装置との間で通信を行う水中通信部と、を備え、少なくとも3台の前記センサ装置が水面に配置され、複数の前記センサ装置が水中に配置され、水面に配置された前記センサ装置である水面センサ装置の前記制御部が、自己のセンサ識別情報、前記時刻情報及び前記位置情報を含む水面配置情報を前記水中通信部により水中に配置されたセンサ装置へ送信するステップと、水中に配置された前記センサ装置である水中センサ装置の前記制御部が、少なくとも3台の前記水面センサ装置から送信された水面配置情報を前記水中通信部により受信するステップと、前記水中センサ装置の前記位置情報取得部が、前記水中通信部による前記水面センサ装置との間の通信遅延時間に基づいた前記水面センサ装置との間の距離と、前記水中通信部によって受信された水面配置情報と、前記センサ部によって計測された水深とに基づいて自己の位置を算出するステップと、前記水中センサ装置の前記制御部が、前記位置情報取得部によって算出された自己の位置と前記水面センサ装置の位置とに基づいて、自己と当該水面センサ装置とが所定の位置関係になるように自己の移動を制御するステップと、前記水中センサ装置の前記制御部が、前記センサ部によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを前記水中通信部により前記水面センサ装置へ送信するステップと、前記水面センサ装置の前記制御部が、前記水中センサ装置から送信されたセンサ計測データを前記水中通信部により受信するステップと、前記水面センサ装置の前記制御部が、前記水中通信部によって受信されたセンサ計測データを前記水面通信部により所定のデータ収集装置へ送信するステップと、を含む水中観測方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のセンサ装置によって水中の状態を精細に計測することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る水中観測システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るセンサ装置の構成例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る水中観測方法の手順の例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る水中位置把握方法の説明図である。
図5】一実施形態に係る水面配置情報の構成例を示す図である。
図6】一実施形態に係る海面センサ装置と海中センサ装置との間の距離を計測する方法の一例の説明図である。
図7】一実施形態に係る海面センサ装置と海中センサ装置との間の距離を計測する方法の一例の説明図である。
図8】一実施形態に係る動的計測の構成例を示す構成図である。
図9】一実施形態に係る間隔矯正方法の例の説明図である。
図10】一実施形態に係るセンサ装置の配置例を示す図である。
図11】一実施形態に係るセンサ装置の配置例を示す図である。
図12】一実施形態に係るセンサ装置の配置例を示す図である。
図13】センサ装置の配置の異常状態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では水面や水中の例として海面や海中を挙げて説明するが、湖や人工的なダムやプール等の水面や水中であってもよい。
【0013】
図1は、一実施形態に係る水中観測システムの構成例を示すブロック図である。図1に示される水中観測システム1において、複数のセンサ装置3(3-1,3-2,3-3,3-4,3-5,3-6,3-7,3-8)が海面や海中に配置される。各センサ装置3(3-1,3-2,3-3,3-4,3-5,3-6,3-7,3-8)を特に区別しないときはセンサ装置3と称する。また、センサ装置3をセンサ3と称する場合がある。
【0014】
センサ装置3は、海面及び海中を自律的に移動可能である。少なくとも3台のセンサ装置3(3-1,3-2,3-3)が海面に配置される。また、複数のセンサ装置3(3-4,3-5,3-6,3-7,3-8)が海中(海面下)に配置される。
【0015】
海面に配置されたセンサ装置(海面センサ装置)3-1,3-2,3-3は、グループXを構成する。海中に配置されたセンサ装置(海中センサ装置)3-4,3-5,3-6,3-7,3-8のうち、海面から一定の第1水深に配置された海中センサ装置3-4,3-5は、グループYを構成する。また海面から一定の第2水深に配置された海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、グループZを構成する。第2水深は、第1水深よりも深い。各センサ装置3には、自己が所属するグループ及び配置が予め設定される。例えば図12に示されるように、各センサ装置3が一定の間隔Dで等間隔になるように、各センサ装置3に対して配置が予め設定される。
【0016】
基地局BSは、セルラーネットワークNWの基地局(セルラー基地局)である。海面センサ装置3-1,3-2,3-3は、基地局BSの通信圏内に存在する場合に、無線回線101により基地局BSに接続し、セルラーネットワークNWを介してデータ収集装置5と通信する。データ収集装置5は、海面センサ装置3-1,3-2,3-3を介して、各センサ装置3で計測されたセンサ計測データを収集する。
なお、本実施形態では、無線通信ネットワークの一例としてセルラーネットワークNWを利用するが、これに限定されない。無線通信ネットワークとして、無線LAN(Local Area Network)やLPWA(Low Power Wide Area-network)等を利用してもよい。
【0017】
海面センサ装置3-1,3-2,3-3は、GPS衛星7から発信されるGPS信号を受信し、GPSにより、現在位置を示す位置情報(緯度、経度)を取得する。
【0018】
海面センサ装置3-1,3-2,3-3は、グループYに所属する海中センサ装置3-4,3-5やグループZに所属する海中センサ装置3-6,3-7,3-8との間で、海中における通信を行う。グループYに所属する海中センサ装置3-4,3-5は、グループZに所属する海中センサ装置3-6,3-7,3-8との間で、海中における通信を行う。海中における通信は、音波を利用して行われる。
【0019】
図2は、本実施形態に係るセンサ装置の構成例を示すブロック図である。図2において、センサ装置3は、制御部10と、センサ部11と、時計部12と、GPS部13と、水面通信部14と、水中通信部15と、電源部16と、太陽光発電部17と、推進部18と、を備える。
【0020】
制御部10は、センサ装置3の各部を制御する。制御部10の機能は、制御部10がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0021】
センサ部11は、特定の計測項目の計測を行う。センサ部11は、例えば水深や水温や塩分濃度等の計測を行う。
【0022】
時計部12(時刻情報取得部)は、現在時刻を示す時刻情報を取得する。GPS部13(位置情報取得部)は、GPSにより、自己の現在位置を示す位置情報を取得する。また、GPS部13がGPSにより取得した時刻情報は、時計部12の時刻の同期に使用される。
【0023】
水面通信部14は、基地局BSの通信圏内に存在する場合に、無線回線101により基地局BSに接続し、セルラーネットワークNWを介してデータ収集装置5と通信する。
【0024】
水中通信部15は、海中に配置された海中センサ装置3との間で、海中における通信を行う。
【0025】
電源部16は、各部に電力を供給する。太陽光発電部17は、太陽光発電を行う。太陽光発電部17が発電した電力によって、電源部16のバッテリーが充電される。
【0026】
推進部18は、制御部10からの移動指示に従って、自己のセンサ装置3を移動させる。
【0027】
次に図3を参照して本実施形態に係る水中観測方法を説明する。図3は、本実施形態に係る水中観測方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0028】
(ステップS1) 各センサ装置3に対して配置設定が行われる。この配置設定では、各センサ装置3が所属するグループと、各センサ装置3の配置(水深、緯度、経度)が設定される。
【0029】
(ステップS2) センサ装置3が海に投入されると、センサ装置3の制御部10は、自己に設定された配置(水深、緯度、経度:所定の配置)に移動するように、推進部18を制御する。このとき、グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3は、GPS部13により自己の現在位置を把握して所定の配置に移動する。これにより、海面センサ装置3-1,3-2,3-3が所定の配置に移動する。
【0030】
一方、グループY,Zの海中センサ装置3-4,3-5,3-6,3-7,3-8は、GPS部13により自己の現在位置を把握することができない。このため、グループY,Zの海中センサ装置3-4,3-5,3-6,3-7,3-8は、グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3から送信される水面配置情報等に基づいて自己の現在位置を把握する。
【0031】
ここで、図4を参照して海中センサ装置3が自己の現在位置を把握する方法を説明する。図4は、本実施形態に係る水中位置把握方法の説明図である。海面センサ装置3は、自己のセンサ識別情報(センサID)、時刻情報及び位置情報を含む水面配置情報を水中通信部15により海中センサ装置3へ送信する。図5に水面配置情報の構成例が示される。海中センサ装置3の水中通信部15は、3台の海面センサ装置3-1,3-2,3-3から各水面配置情報を受信する。海中センサ装置3の制御部10(位置情報取得部)は、3台の海面センサ装置3-1,3-2,3-3のそれぞれについての「水中通信部15による海面センサ装置3との間の通信遅延時間に基づいた当該海面センサ装置3との間の距離Da」及び「水中通信部15によって受信された水面配置情報」と、センサ部11によって計測された自己の水深Hとに基づいて、自己の位置(水深、緯度、経度)を把握する。
【0032】
図6は、海面センサ装置3と海中センサ装置3との間の距離Daを計測する方法の一例を説明するための説明図である。図6では、パッシブ方式により距離Daを計測する。図6において、各海面センサ装置3は、同じ送信時刻「13時00分00秒」に、海中センサ装置3へ水面配置情報を送信する。そして、図6の例では、海中センサ装置3は、同じ受信時刻「13時00分01秒」に、各海面センサ装置3の水面配置情報を受信する。この通信遅延時間「1秒」から、海中センサ装置3と各海面センサ装置3との間の距離Daが「1.7km」であると算出される。海中での音波の伝搬は約1.7km/sである。なお、各海面センサ装置3において、時計部12はGPS部13により時刻の同期がとられている。
【0033】
図7は、海面センサ装置3と海中センサ装置3との間の距離Daを計測する方法の一例を説明するための説明図である。図7では、アクティブ方式により距離Daを計測する。図7において、海中センサ装置3は、各海面センサ装置3に対して、同時に所定の確認信号を送信する。各海面センサ装置3は、海中センサ装置3からの確認信号を受信すると、応答信号を当該海中センサ装置3へ返信する。海中センサ装置3は、確認信号を送信してから応答信号を受信するまでの往復遅延時間を計測する。図7の例では、海中センサ装置3と各海面センサ装置3との間の往復遅延時間が1.5sである。この往復遅延時間が1.5sから、海中センサ装置3と各海面センサ装置3との間の距離Daが算出される。
【0034】
以上が本実施形態に係る水中位置把握方法の説明である。
これにより、グループYの海中センサ装置3-4,3-5は、自己の現在位置を把握して所定の配置に移動する。これにより、グループYの海中センサ装置3-4,3-5が所定の配置に移動する。
【0035】
なお、グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3と海中における通信が可能な場合には、グループYの海中センサ装置3-4,3-5と同様にして自己の位置を把握して所定の配置に移動する。これにより、グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8が所定の配置に移動する。
【0036】
一方、グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3と海中における通信が不可能な場合には、グループXの代わりにグループYの海中センサ装置3を利用して、上記した図4図7の水中位置把握方法により、自己の現在位置を把握する。この場合、グループYの海中センサ装置3は少なくとも3台が配置される。これにより、グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、自己の位置を把握して所定の配置に移動する。
【0037】
(ステップS3) センサ装置3の制御部10は、自己の位置を把握する。これは、ステップS2で所定の配置に着いた後に、海流により流されて所定の配置からずれていないかを確認するためである。
【0038】
(ステップS4) センサ装置3の制御部10は、ステップS3により自己の位置を把握した結果、所定の配置からずれている(位置修正が必要である)か否かを判断する。この結果、位置修正が必要である場合はステップS5に進み、そうではない場合にはステップS6に進む。
【0039】
(ステップS5) センサ装置3の制御部10は、自己の位置を所定の配置に戻すように、推進部18を制御する。これにより、センサ装置3は所定の配置に復帰する。
【0040】
(ステップS6) センサ装置3の制御部10は、センサ部11によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目(例えば、水深、水温、塩分濃度等)のセンサ計測データを取得する。所定の計測タイミングは、全てのセンサ装置3で同時である。
【0041】
(ステップS7) グループYの海中センサ装置3-4,3-5の制御部10は、センサ部11によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを、水中通信部15によりグループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3へ送信する。
【0042】
グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8の制御部10は、センサ部11によって所定の計測タイミングで計測された所定の計測項目のセンサ計測データを、水中通信部15によりグループYの海中センサ装置3-4,3-5へ送信する。グループYの海中センサ装置3-4,3-5は、グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8から受信したセンサ計測データを、水中通信部15によりグループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3へ転送する。
【0043】
グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3の制御部10は、自己のセンサ計測データと、各海中センサ装置3-4,3-5,3-6,3-7,3-8のセンサ計測データとを保持する。
【0044】
グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3の制御部10は、水面通信部14によって基地局BSとの間の無線回線101が確立された場合に、自己か保持するセンサ計測データを水面通信部14によりデータ収集装置5へ送信する。
【0045】
(ステップS8) 計測終了の場合は図3の処理を終了し、そうではない場合にはステップS3に戻る。
【0046】
次に本実施形態に係る変形例を説明する。
【0047】
(変形例1)
あるグループのセンサ装置3が故障等により通信不可になった場合には、当該グループ(障害発生グループ)に隣接するグループのセンサ装置3が障害発生グループに移る。これにより、各グループに所属するセンサ装置3の台数のバランスを保つようにする。
【0048】
(変形例2)
グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、所定の配置に着いてから一定の時間が経過すると、海面に浮上する。これは、太陽光発電によって電源部16のバッテリーを充電するためである。グループZの海中センサ装置3-6,3-7,3-8は、海面に浮上すると、GPS部13によりGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報によって時計部12の時刻合わせを行う。
【0049】
また、グループZが海面に浮上するタイミングで、グループXの海面センサ装置3-1,3-2,3-3はグループYの所定の第1水深に移動し、グループYの海中センサ装置3-4,3-5はグループZの所定の第2水深に移動する。このときの緯度及び経度は、所定の配置のまま同じである。この後、図3のステップS3以降の処理を継続してもよい。
【0050】
なお、悪天候により太陽光発電量が少なくなり電源部16のバッテリーの充電に想定以上の時間を要する場合には、太陽光発電のために海面に浮上する浮上タイミングを変更してもよい。この浮上タイミングの変更の指示は、海面センサ装置3が、自己の太陽光発電部17の発電量を監視した結果に基づいて海中センサ装置3へ行う。
【0051】
(変形例3)
センサ群は、定点計測および動的計測(センサ群が移動しながら計測)のどちらにも対応する。定点計測では、上述した所定の配置にとどまって計測する。動的計測では、図8に示されるように、自律型水中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)40をさらに設ける。そして、AUV40よりも浅い水深の位置に、複数のセンサ装置3から構成されるセンサ群を配置する。センサ群は、AUV40の移動に合わせて移動する。AUV40は、センサ群からの位置情報に基づいて自己の位置を把握する。動的計測においても、海面センサ装置3の制御部10が、水面通信部14によって基地局BSとの間の無線回線101が確立された場合に、自己か保持するセンサ計測データを水面通信部14によりデータ収集装置5へ送信する。
【0052】
(変形例4)
変形例は、海流の影響でセンサ装置3の間隔がずれることを矯正するための間隔矯正方法の例である。図9は、本実施形態に係る間隔矯正方法の例の説明図である。図9には、海面の真上から見た海面センサ装置3及び海中センサ装置3の配置が示される。海面センサ装置3は、情報50を海中センサ装置3へ送信する。情報50は、水面配置情報と、海面センサ装置3の速度を示す速度情報とを含む。海中センサ装置3は、海面センサ装置3から受信した水面配置情報及び速度情報に基づいて、海面センサ装置3が移動する先の一定時間後の位置aを推定する。次いで、海中センサ装置3は、推定結果の海面センサ装置3の一定時間後の位置aに基づいて、自己の一定時間後の目標位置bを算出する。また、海中センサ装置3は、自己の速度に基づいて、自己が移動する先の一定時間後の位置b’を推定する。次いで、海中センサ装置3は、一定時間後の自己の位置が目標位置bになるように、自己の移動方向および速度を調節する。これにより、海流の影響でセンサ装置3の間隔がずれることが矯正される。
【0053】
(変形例5)
各水深の配置を変える場合、変更対象の水深のグループ(層)に対して、直上の層のセンサ装置3から配置の変更を指示する。例えば、変更対象の層に対して、
、直上の層からの相対距離を通知する。図10図11には、センサ装置3の配置例が示される。図10図11では、GPSを利用可能な海面の第1層と、海中における通信を行う海中の第2層、第3層及び第4層とが設けられる。
【0054】
なお、第2階層よりも深い深度の第3階層及び第4階層のセンサ装置3が第2階層のセンサ装置3の位置情報に基づいて自己の位置を把握すると、位置精度が劣化する可能性がある。これは、第2階層のセンサ装置3自身がGPSを利用して正確な位置情報を取得することができないからである。このため、GPSを利用可能な海面の第1層のセンサ装置3の水中通信部15が送信する送信出力を強くし、第1層のセンサ装置3から第3階層及び第4階層のセンサ装置3へ直接に位置情報等を含む水面配置情報などを送信してもよい。これにより、第3階層及び第4階層のセンサ装置3は、第1層のセンサ装置3から送信された情報に基づいて、自己の位置を正確に把握することができる。
【0055】
また、第1層のセンサ装置3と電気ケーブルで接続した第2階層、第3階層及び第4階層のセンサ装置3を1セット設けてもよい。当該セットの第2階層、第3階層及び第4階層のセンサ装置3は、第1層のセンサ装置3から給電を受けることができるので、バッテリー切れの心配がなくなる。これにより、当該セットの第2階層、第3階層及び第4階層のセンサ装置3は、第1層のセンサ装置3と常時通信することによって、自己の位置を正確に把握することができる。
なお、同じグループ内の各センサ装置3には、海中の状態を計測する対象の水深の層に応じた水深がそれぞれに設定される。同じグループ内の各センサ装置3に設定される水深は、対象の水深の層の範囲内であればよい。あるグループの対象の水深の層の範囲が例えば水深10mから20mまでである場合、当該グループ内の各センサ装置3には、水深10mから20mまでの範囲内で任意の水深が設定される。例えば、同じグループ内の全てのセンサ装置3が、同一の水深であってもよく、又は同一の水深でなくてもよい。例えば、同じグループにおいて、同じ水深の複数のセンサ装置3が存在してもよい。例えば、同じグループにおいて、異なる水深のセンサ装置3が混在してもよい。
【0056】
上述した実施形態によれば、複数のセンサ装置3によって海中の状態を精細に計測することができるという効果が得られる。
【0057】
また本実施形態によれば、以下に示すような効果が得られる。
(1)海中を自律的に移動しながら海中の状態を計測することができるので、有人船が不要になり、また悪天候時にも計測が可能になる。
(2)従来のアルゴ計画等よりも高い空間分解能で広域を計測することができる。また、水深に応じて空間分解能を変えて計測することができる。これにより、海洋生態系の変化の実態解明により高い貢献を行うことができる。
(3)太陽光発電を考慮して浮上させることにより、センサ装置3の航続時間を延ばすことができる。
(4)衛星経由で大容量の観測データを送る場合には海面のセンサに大型のアンテナを搭載する必要があるが、本実施形態ではセルラーネットワークNW経由で観測データを送るのでその必要がない。
(5)複数のセンサ装置3から構成されるグループを、異なる水深の複数の層に配置することにより、立体的かつ多面的に海中の状態を計測することができる。
【0058】
なお、これにより、例えば海洋監視サービスにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0060】
例えば、運用者が遠隔でセンサ装置に指示を与えるようにしてもよい。海面センサ装置は、海中センサ装置の位置を示す位置情報を海中センサ装置から収集する。海面センサ装置は、自己の位置を示す位置情報と、海中センサ装置の位置を示す位置情報とを、無線回線により運用者の端末へ送信する。運用者は、海面センサ装置の位置情報と海中センサ装置の位置情報とに基づいて、海面センサ装置の位置と海中センサ装置の位置とを把握する。運用者は、端末を使用して、海面センサ装置の目標位置と、海中センサ装置の上位層との間の目標距離とを、無線回線により海面センサ装置へ送信する。海面センサ装置は、当該目標位置へ自律移動する。海面センサ装置は、当該目標距離を海中センサ装置へ通知する。海中センサ装置は、自己の上位層との間の距離を当該目標距離にするように自律移動する。これにより、運用者が意図した位置にセンサ装置を配置することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…水中観測システム、3…センサ装置、5…データ収集装置、7…GPS衛星、10…制御部、11…センサ部、12…時計部、13…GPS部、14…水面通信部、15…水中通信部、16…電源部、17…太陽光発電部、18…推進部、BS…基地局、NW…セルラーネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13