(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】運転支援装置および車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240710BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240710BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20240710BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/06
B60W50/10
(21)【出願番号】P 2021159890
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友澤 元克
(72)【発明者】
【氏名】持田 勤
(72)【発明者】
【氏名】大谷 真也
(72)【発明者】
【氏名】山王堂 真也
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137360(JP,A)
【文献】特開2020-050263(JP,A)
【文献】特表2021-502918(JP,A)
【文献】特開2004-203359(JP,A)
【文献】特開2018-135070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60R 25/00 - 99/00
B60R 21/00 - 21/13
B60R 21/34 - 21/38
B62D 6/00 - 6/10
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08B 19/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺情報を収集するセンサを有する車両に対し、前記車両のユーザが所持する端末からの指示にしたがって
駐車または出庫の運転支援を行う運転支援装置であって、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて、目標位置までの前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて、前記移動経路を移動中の前記車両の周辺の障害物を検出する検出部と、
前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、
前記移動制御部は、
前記車両の前記移動経路上の移動を妨げる位置に前記障害物が検出された場合であって、前記障害物により前記移動経路が短縮された分の長さが
、障害物を回避しつつ前記運転支援を継続することが困難な距離としてあらかじめ設定された所定距離以上となった場合
、前記障害物が前記移動の妨げとなる位置から移動するまで
、前記運転支援を一旦中断する、
運転支援装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、
前記
運転支援の中断から所定時間内に前記障害物が移動した後に、前記端末からの指示があった場合には、前記運転支援を再開する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記障害物が検出された場合に、前記障害物の移動を依頼する通知を前記端末に送信する送受信部を更に備える、
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
周辺情報を収集するセンサと、
ユーザが所持する端末からの指示にしたがって
駐車または出庫の運転支援を行う運転支援装置と、が搭載された車両であって、
前記運転支援装置は、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて、目標位置までの前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、
前記センサからの前記周辺情報に基づいて、前記移動経路を移動中の前記車両の周辺の障害物を検出する検出部と、
前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、
前記移動制御部は、
前記車両の前記移動経路上の移動を妨げる位置に前記障害物が検出された場合であって、前記障害物により前記移動経路が短縮された分の長さが
、障害物を回避しつつ前記運転支援を継続することが困難な距離としてあらかじめ設定された所定距離以上となった場合
、前記障害物が前記移動の妨げとなる位置から移動するまで
、前記運転支援を一旦中断する、
車両。
【請求項5】
前記移動制御部は、
前記
運転支援の中断から所定時間内に前記障害物が移動した後に、前記端末からの指示があった場合には、前記運転支援を再開する、
請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記障害物が検出された場合に、前記障害物の移動を依頼する通知を前記端末に送信する送受信部を更に備える、
請求項4または請求項5に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の入庫時および出庫時に運転支援を行う運転支援装置がある。運転支援装置においては、入庫または出庫までの車両の移動経路を算出し、それに基づき車両を移動させる。車両の移動中は、車両に取り付けられたセンサによって取得した車両の周辺情報に基づいて車両の移動の妨げになる障害物を検出し、障害物との接触を回避するように移動経路の再計算をし、または運転支援の中止を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、運転者が車両から降車した状態で、入庫および出庫の運転支援をリモートで行う運転支援装置が開発されている。このような運転支援装置では、運転者等のユーザが車両の移動状況等を把握しようとして、車両の移動経路上に進入してしまうケースが散見される。これにより、運転支援が中止されてしまう場合もある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動経路へのユーザの進入による運転支援の中止を抑制することができる運転支援装置および車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の運転支援装置は、周辺情報を収集するセンサを有する車両に対し、前記車両のユーザが所持する端末からの指示にしたがって駐車または出庫の運転支援を行う運転支援装置であって、前記センサからの前記周辺情報に基づいて、目標位置までの前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、前記センサからの前記周辺情報に基づいて、前記移動経路を移動中の前記車両の周辺の障害物を検出する検出部と、前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、前記移動制御部は、前記車両の前記移動経路上の移動を妨げる位置に前記障害物が検出された場合であって、前記障害物により前記移動経路が短縮された分の長さが、障害物を回避しつつ前記運転支援を継続することが困難な距離としてあらかじめ設定された所定距離以上となった場合、前記障害物が前記移動の妨げとなる位置から移動するまで、前記運転支援を一旦中断する。
【0007】
この構成によれば、移動経路へのユーザの進入による運転支援の中止を抑制することができる。
【0008】
また、上述の運転支援装置において、前記移動制御部は、前記運転支援の中断から所定時間内に前記障害物が移動した後に、前記端末からの指示があった場合には、前記運転支援を再開する。この構成によれば、障害物が移動した後、改めてユーザの意向を確認したうえで運転支援を再開するので、ユーザの意図しない動作が行われるのを抑制することができる。
【0009】
また、上述の運転支援装置において、前記障害物が検出された場合に、前記障害物の移動を依頼する通知を前記端末に送信する送受信部を更に備える。この構成によれば、障害物がユーザ等であった場合に、移動経路上への立ち入りをユーザに気付かせることができる。
【0010】
実施形態の車両は、周辺情報を収集するセンサと、ユーザが所持する端末からの指示にしたがって駐車または出庫の運転支援を行う運転支援装置と、が搭載された車両であって、前記運転支援装置は、前記センサからの前記周辺情報に基づいて、目標位置までの前記車両の移動経路を算出する経路算出部と、前記センサからの前記周辺情報に基づいて、前記移動経路を移動中の前記車両の周辺の障害物を検出する検出部と、前記移動経路に沿って前記車両を移動させる移動制御部と、を備え、前記移動制御部は、前記車両の前記移動経路上の移動を妨げる位置に前記障害物が検出された場合であって、前記障害物により前記移動経路が短縮された分の長さが、障害物を回避しつつ前記運転支援を継続することが困難な距離としてあらかじめ設定された所定距離以上となった場合、前記障害物が前記移動の妨げとなる位置から移動するまで、前記運転支援を一旦中断する。
【0011】
この構成によれば、移動経路へのユーザの進入による運転支援の中止を抑制することができる。
【0012】
また、上述の車両において、前記移動制御部は、前記運転支援の中断から所定時間内に前記障害物が移動した後に、前記端末からの指示があった場合には、前記運転支援を再開する。この構成によれば、障害物が移動した後、改めてユーザの意向を確認したうえで運転支援を再開するので、ユーザの意図しない動作が行われるのを抑制することができる。
【0013】
また、上述の車両において、前記障害物が検出された場合に、前記障害物の移動を依頼する通知を前記端末に送信する送受信部を更に備える。この構成によれば、障害物がユーザ等であった場合に、移動経路上への立ち入りをユーザに気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる運転支援装置が搭載された車両の上面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる運転支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる運転支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる運転支援装置による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる運転支援装置が運転支援を中止する場合の動作の一例について説明する模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる運転支援装置による運転支援処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の例示的な実施形態等の同様の構成要素には共通の符号を付与して、重複する説明を適宜省略する。
【0016】
(車両の構成例)
図1は、実施形態にかかる運転支援装置20が搭載された車両10の上面図である。
図1における車両10の前後左右は、車両10の運転席から見た場合の方向を示す。
【0017】
実施形態の車両10は、例えば内燃機関を駆動源とする内燃機関自動車であってもよいし、電動機を駆動源とする電気自動車または燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよい。
【0018】
また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができ、内燃機関または電動機を駆動するために必要な種々のシステム、部品等の装置を搭載することができる。また、車両10における車輪13の駆動に関わる装置の方式、個数、及びレイアウト等は、種々に設定することができる。
【0019】
図1に示すように、車両10は、車体12、複数の車輪13、複数の測距部14a~14l、及び複数の撮像部16a~16dを備える。なお、測距部14a~14lを区別する必要がない場合には単に測距部14と記載する。また、撮像部16a~16dを区別する必要がない場合には単に撮像部16と記載する。
【0020】
車体12は、乗員が乗車する車室を構成する。車体12には、複数の車輪13、複数の測距部14、及び複数の撮像部16が取り付けられている。
図1の例では、車体12は、4個の車輪13と、12個の測距部14と、4個の撮像部16とを備えている。ただし、車体12に取り付けられる測距部14及び撮像部16の個数は任意である。
【0021】
4個の車輪13は、車体12の前後左右に設けられている。前側の2個の車輪13は例えば転舵輪として機能し、後側の2個の車輪13は例えば駆動輪として機能する。
【0022】
センサとしての測距部14は、例えば車両10の外周部に設けられ、超音波等の音波を検出波として送信して、車両10の周辺に存在する障害物等の対象物が反射した検出波を捉えるソナーである。なお、測距部14は、レーザ光等の検出波を送信するレーダー、またはミリ波レーダー等であってもよい。
【0023】
測距部14は、車両10の周辺の情報である周辺情報を収集して運転支援装置20に出力する。測距部14は、例えば検出波を送信してから受信するまでの時間である応答時間を、対象物と車両10との距離を特定するための周辺情報として収集する。運転支援装置20は、測距部14が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の障害物等の有無、及びその障害物までの距離を検出することができる。
【0024】
なお、測距部14は、1回の検出波の送信に対して、対象物の複数の個所が反射した複数の検出波を受信した場合には、最も早く受信した検出波の応答時間のみを周辺情報に含めてもよい。
【0025】
測距部14a~14dは車体12の前部に設けられている。これらの測距部14a~14dのうち、測距部14b,14cはフロントソナーとも呼ばれ、車両10の前端部に設けられている。測距部14b,14cは、車両10の前方の対象物を検出して、車両10の前方の周辺情報を収集する。また、測距部14a,14dはコーナーソナーとも呼ばれ、車両10前部のコーナー部分に設けられている。測距部14a,14dは、車両10の前方外側の対象物を検出して、車両10の前方外側の周辺情報を収集する。
【0026】
測距部14e~14hは車体12の後部に設けられている。これらの測距部14e~14hのうち、測距部14f,14gはリアソナーとも呼ばれ、車両10の後端部に設けられている。測距部14f,14gは、車両10の後方の対象物を検出して、車両10の後方の周辺情報を収集する。また、測距部14e,14hはコーナーソナーとも呼ばれ、車両10後部のコーナー部分に設けられている。測距部14e,14hは、車両10の後方外側の対象物を検出して、車両10の後方外側の周辺情報を収集する。
【0027】
測距部14i~14lはサイドソナーとも呼ばれ、車体12の側部に設けられている。測距部14i~14lのうち、測距部14i,14jは車両10の前部側方に設けられている。測距部14k,14lは車両10の後部側方に設けられている。測距部14i~14lは、車両10の側方の対象物を検出して、車両10の側方の周辺情報を収集する。
【0028】
センサとしての撮像部16は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、またはCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部16は、所定のフレームレートで撮影される複数のフレーム画像を含む動画、または静止画の撮像画像を生成する。
【0029】
撮像部16は、車体12の外周部に設けられ、それぞれ広角レンズまたは魚眼レンズを有しており、例えば水平方向の140°~190°の範囲を撮影することができる。撮像部16の光軸は、斜め下方に向けて設定されている。
【0030】
これにより、撮像部16は、路面を含む車両10の周辺を撮像した周辺情報を収集して運転支援装置20に出力する。運転支援装置20は、撮像部16が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の障害物等の有無、及びその障害物の位置を検出することができる。また、運転支援装置20は、撮像部16が収集した周辺情報に基づいて、車両10の周辺の駐車区画、及びその駐車区画の位置を検出することができる。
【0031】
撮像部16aは、車体12の前端部の左右方向の中央部であって、例えばフロントバンパーに設けられている。撮像部16aは、車両10の前方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。撮像部16bは、車体12の後端部の左右方向の中央部であって、例えばリアバンパーに設けられている。撮像部16bは、車両10の後方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。
【0032】
撮像部16cは、車体12の左端部の前後方向の中央部であって、例えば左側のサイドミラーに設けられている。撮像部16cは、車両10の左方を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。撮像部16dは、車体12の右端部の前後方向の中央部であって、例えば右側のサイドミラーに設けられている。撮像部16dは、車両10の右方の周辺を撮像した撮像画像を周辺情報として収集する。
【0033】
(運転支援システムの構成例)
図2は、実施形態にかかる運転支援システム200の全体構成の一例を示すブロック図である。運転支援システム200は、例えば車両10に搭載されて、運転者が車両10からから降車した状態で、車両10の駐車区画への入庫または駐車区画からの出庫等の運転支援をリモートで行う。
【0034】
図2に示すように、運転支援システム200は、運転支援装置20、モニタ装置30、制動システム40、加速システム50、操舵システム60、変速システム70、車速センサ83、測距部14、及び撮像部16を備える。これらの構成は、車内ネットワークNTによって互いに情報の送受信が可能に接続されている。
【0035】
車内ネットワークNTは、例えばCAN(Controller Area Network)及びLIN(Local Interconnect Network)等を含んで構成される。車内ネットワークNTを運転支援システム200の一部に含めてもよい。
【0036】
また、運転支援システム200は、車両10の運転者等のユーザが所持する携帯端末100とインターネット等の無線回線を介して互いに情報の送受信が可能に接続されている。
【0037】
運転支援装置20は、ECU(Electronic Control Unit)等のマイクロコンピュータとして構成されており、車両10の運転支援を行なう。
【0038】
運転支援装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、通信制御回路22、表示制御回路23、SSD(Solid State Drive)24、ROM(Read Only Memory)25、及びRAM(Random Access Memory)26を備える。CPU21、ROM25、及びRAM26は同一パッケージ内に集積されていてもよい。
【0039】
CPU21は、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM25等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、このプログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。
【0040】
ROM25は、各種プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM26は、CPU21による演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD24は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、運転支援装置20の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0041】
通信制御回路22は、運転支援装置20で行われる演算処理のうち、主として携帯端末100との情報の送受信に関わる処理を実行する。表示制御回路23は、運転支援装置20で行われる演算処理のうち、主として撮像部16で得られた画像の画像処理、モニタ装置30が備える後述の表示部31に表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。
【0042】
制動システム40は、制動部41、制動制御部42、及び制動部センサ43を有し、車両10の減速を制御する。
【0043】
制動部41は、例えばブレーキ及びブレーキペダル等を含む装置であり、車両10を減速させる。制動制御部42は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。制動制御部42は、運転支援装置20からの指示に基づいて制動部41を制御して、車両10の減速を制御する。制動部センサ43は、例えば位置センサであって、制動部41に含まれるブレーキペダルの位置を検出する。制動部センサ43は、検出したブレーキペダル位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0044】
加速システム50は、加速部51、加速制御部52、及び加速部センサ53を有し、車両10の加速を制御する。
【0045】
加速部51は、例えばアクセルペダル等を含む装置であり、車両10を加速させる。加速制御部52は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。加速制御部52は、運転支援装置20からの指示に基づいて、加速部51を制御して、車両10の加速を制御する。加速部センサ53は、例え、位置センサであって、加速部51に含まれるアクセルペダルの位置を検出する。加速部センサ53は、検出したアクセルペダルの位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0046】
操舵システム60は、操舵部61、操舵制御部62、及び操舵部センサ63を有し、車両10の進行方向を制御する。
【0047】
操舵部61は、例えばハンドルまたはステアリングホイール等を含む装置であり、車両10の転舵輪を転舵させて、車両10の進行方向を操舵する。操舵制御部62は、例えばCPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。操舵制御部62は、運転支援装置20からの指示に基づいて、操舵部61を制御して、車両10の進行方向を制御する。操舵部センサ63は、例えばホール素子等を含む角度センサであって、操舵部61の回転角である操舵角を検出する。操舵部センサ63は、検出した操舵部61の操舵角を車内ネットワークNTに出力する。
【0048】
変速システム70は、変速部71、変速制御部72、及び変速部センサ73を有し、車両10の変速比を制御する。
【0049】
変速部71は、例えばシフトレバー等を含む装置であり、車両10の変速比を変更させる。変速制御部72は、例えばCPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータである。変速制御部72は、運転支援装置20からの指示に基づいて、変速部71を制御して、車両10の変速比を制御する。変速部センサ73は、例えば位置センサであって、変速部71に含まれるシフトレバーの位置を検出する。変速部センサ73は、検出したシフトレバーの位置を車内ネットワークNTに出力する。
【0050】
車速センサ83は、例えば車両10の車輪13の近傍に設けられたホール素子を有し、車輪13の回転量または単位時間当たりの回転数を検出する。車速センサ83は、検出した回転量または回転数を示す車輪速パルス数を、車両10の速度(車速)を算出するためのセンサ値として、車内ネットワークNTへ出力する。運転支援装置20は、車速センサ83から取得したセンサ値に基づいて車両10の速度および移動量等を算出することができる。
【0051】
モニタ装置30は、車両10の車室内のダッシュボード等に設けられ、表示部31及び入力部32を有する。
【0052】
表示部31は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または有機ELディプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等の表示装置である。表示部31は、例えば運転支援装置20が送信した画像データに基づく画像、及び自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示を受け付ける画像等を表示する。
【0053】
入力部32は、例えば表示部31の表示画面に設けられているタッチパネルである。入力部32は、表示部31が表示画面に表示する内容を透過可能に構成されている。これにより、入力部32は、表示部31の表示内容を乗員に視認させることができる。
【0054】
入力部32は、表示部31の表示内容に対応した位置を乗員が触れることによって入力した指示を受け付けて、車内ネットワークNTを介して運転支援装置20へ送信する。なお、入力部32は、タッチパネルに限らず、押しボタン式等のハードスイッチであってもよい。
【0055】
携帯端末100は、CPU111、通信制御回路112、入出力制御回路113、SSD114、ROM115、及びRAM116を備えるコンピュータである。また、携帯端末100は出力部117及び入力部118を備える。携帯端末100は、車両10の運転者等のユーザによって所持され、ユーザが携行することが可能に構成されている。一例として、携帯端末100は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等であってよい。
【0056】
CPU111は、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM115等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、このプログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。
【0057】
ROM115は、各種プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM116は、CPU11による演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD114は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、携帯端末100の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0058】
通信制御回路112は、携帯端末100で行われる演算処理のうち、主として運転支援装置20との情報の送受信に関わる処理を実行する。入出力制御回路113は、通信制御回路112が受信した運転支援装置20からの運転支援に関する情報および通知等を出力部117に出力させる。また、入出力制御回路113は、入力部118から入力された操作内容を受け付けて、通信制御回路112から運転支援装置20へと送信させる。
【0059】
出力部117は、例えば液晶ディスプレイ、または有機ELディプレイ等の表示装置である。出力部117は、例えば運転支援装置20が送信した画像データに基づく画像、及び運転支援に関する操作指示を受け付ける画像等を表示する。出力部117が、音声または警報等を出力可能なスピーカ等を含んでいてもよい。
【0060】
入力部118は、例えば表示装置等である出力部117に設けられたタッチパネル等である。入力部118は、表示装置の表示内容に対応した位置をユーザが触れることによって入力した指示を受け付ける。なお、入力部118がキーボード等の押しボタン式のハードスイッチ等を備えていてもよい。
【0061】
図3は、実施形態にかかる運転支援装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、運転支援装置20は、表示制御部201、通知生成部202、送受信部203、取得部204、検出部205、経路算出部206、及び移動制御部207を機能部として備える。
【0062】
これらの機能部は、例えば上述のCPU21がROM25等の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、それを実行することにより実現される。または、プログラムにしたがうCPU21の制御下で、通信制御回路22、表示制御回路23、SSD24等が動作することにより実現される。
【0063】
なお、これらの機能部の一部または全部は、ASIC(Applocation Specific Integrated Circuit)を含む回路等のハードウェアによって構成されてもよい。
【0064】
表示制御部201は、モニタ装置30の表示部31に表示する内容を生成し、表示部31に表示させる。つまり、表示制御部201は、例えば車両10を駐車可能な駐車領域が検出されたことの通知画面、運転支援の開始、中断、または中止等の選択画面、運転支援中の車両10の周辺画像等を表示部31に表示させる。
【0065】
通知生成部202は、携帯端末100に送信される運転支援に関する通知を生成する。つまり、通知生成部202は、運転支援の開始、中断、または中止等のユーザへの通知内容を生成する。
【0066】
送受信部203は、携帯端末100との情報の送受信を行う。つまり、送受信部203は、例えば携帯端末100の位置情報を携帯端末100から受信する。携帯端末100の位置情報は、例えば携帯端末100が発する電波、または、ユーザによる携帯端末100の操作信号等の携帯端末100の所在を表す情報である。また、送受信部203は、通知生成部202が生成した通知を携帯端末100に送信する。また、送受信部203は、送信した通知に対するユーザの操作指示等を携帯端末100から受信する。
【0067】
取得部204は、車両10の周辺情報として、測距部14から音波の送受波情報および撮像部16から車両10周辺の撮像画像をそれぞれ取得する。
【0068】
検出部205は、取得部204によって取得された周辺情報に基づいて、車両10周辺の障害物、駐車区画、及び駐車領域等を検出する。
【0069】
障害物は、例えば他の車両、壁、柱、柵、突起、段差、輪留め等の種々の物体である。また、障害物は、例えば駐車場内を歩く人、リモートでの運転支援中に車両10から降車した運転者等であり得る。
【0070】
駐車区画は、車両10を駐車するように設けられ、例えば区画線、枠線、直線、帯、段差等によって区画された領域である。駐車領域は、車両10が駐車可能な駐車区画、つまり、車両10の駐車に障害となる他の車両等の障害物が存在しない駐車区画である。
【0071】
検出部205は、例えば測距部14の検出結果に基づいて、障害物の有無、車両10から障害物までの距離等を検出する。また、検出部205は、例えば撮像部16が撮像した画像に基づく画像処理によって、障害物の有無、駐車区画、車両10に対するこれらの位置(方位)、並びにこれらの形状、大きさ、及び高さ等を検出する。
【0072】
検出部205は、これらの検出結果を組み合わせることで、車両10周辺に障害物があるか否か、その障害物が車両10の走行に支障を及ぼし得るか否か、車両10周辺に駐車区画があるか否か、その駐車区画に車両10を駐車することが可能か否か、つまり、駐車領域として使用しうるか否か等の情報を抽出する。
【0073】
経路算出部206は、検出部205による検出結果に基づいて、車両10を誘導する目標位置を算出し、目標位置まで車両10を移動させる移動経路を算出する。
【0074】
車両10を駐車(入庫)する場合であれば、検出部205によって検出された駐車領域が目標位置となる。駐車区画から車両10を出庫する場合であれば、複数の駐車区画間に設けられた通路上等、それ以降、車両10が安全に走行を開始できる所定の場所が目標位置となる。
【0075】
また、経路算出部206が、必要に応じて切り返し位置の算出を行う場合もある。切り返し位置は、1回の後退または前進等によって駐車または出庫が困難であるような場合に1つ以上設定される。
【0076】
経路算出部206は、上記のように算出した目標位置に車両10を誘導すべく、車両10の現在位置から目標位置へと至る車両10の移動経路を算出する。移動経路には、上記のように切り返し位置が含まれる場合もある。この場合、経路算出部206は、車両10の現在位置から切り返し位置を経て、目標位置へと至る移動経路を算出する。
【0077】
経路算出部206により、例えば後退駐車、前進駐車、後退による並列駐車、前進による並列駐車等の駐車のための移動経路が算出される。また、経路算出部206により、例えば前進出庫、後退出庫、前進による並列出庫、後退による並列出庫等の出庫のための移動経路が算出される。
【0078】
移動制御部207は、車両10の運転支援の際、車両10の各部を制御して車両10の移動を行う。具体的には、移動制御部207は、制動システム40、加速システム50、操舵システム60、及び変速システム70の全部または一部を制御することにより、移動経路にしたがって車両10を目標位置に移動させる。このとき、移動制御部207は、制動部センサ43、加速部センサ53、操舵部センサ63、変速部センサ73、及び車速センサ83等の各センサからのフィードバックを受けながら車両10の移動を行う。
【0079】
また、移動制御部207は、移動経路にしたがう車両10の移動中に、検出部205によって、車両10の移動経路上の移動を妨げる位置に障害物が検出された場合には、車両10を一旦停止させる。更に、障害物によって移動経路の長さが所定距離以上短縮されてしまった場合には、移動制御部207は、運転支援を一旦中止し、車両10を停止させたまま所定時間待機する。
【0080】
運転支援中、移動経路上またはその近傍に突然現れる障害物は、リモートによる運転支援中に車両10を降車していた運転者等である場合がある。運転者が車両10の移動の安全確認等を行うため、一時的に移動経路上に近付きすぎてしまうことがあるためである。運転者等の障害物が所定時間内に移動経路上から移動した場合、移動制御部207は、運転者等からの指示を得た後に運転支援を再開する。
【0081】
障害物が検出されたものの、移動経路の長さが充分に保たれている場合には、経路算出部206が移動経路の再計算を行い、移動制御部207は、再計算された移動経路にしたがって、障害物を回避しつつ車両10を目標位置まで移動させる。
【0082】
(運転支援装置の動作例)
次に、
図4~
図9を用いて、実施形態の運転支援装置20の動作例について説明する。
図4~
図8は、実施形態にかかる運転支援装置20による駐車支援の動作の一例について説明する模式図である。
図4~
図8では、車両10が後退駐車する場合の例について説明する。
【0083】
図4に示すように、複数の駐車区画が並ぶ駐車場内等で、他の車両91,92が駐車された駐車区画に挟まれて、1つの駐車区画が空車の状態であったとする。
【0084】
車両10に搭載された運転支援装置20の検出部205は、複数の駐車区画の中から、例えば空車となっているこの駐車区画を、車両10の駐車が可能な駐車領域PAとして検出する。運転支援装置20の表示制御部201は、運転支援を開始するか否かを運転者等に選択させる選択画面をモニタ装置30の表示部31に表示させる。
【0085】
図5に示すように、運転者がモニタ装置30上で運転支援の開始を選択した後、携帯端末100を携行して車両10から降車したとする。
【0086】
運転支援装置20の送受信部203は、携帯端末100から発信される電波または操作信号等の位置情報を受信して、携帯端末100が車両10外に移動したことを検知する。運転支援装置20は、運転者によって運転支援の開始が選択された後、携帯端末100が車両10外へと移動したことが検知されると運転支援を開始する。
【0087】
このとき、通知生成部202が「運転支援開始」等の通知を生成し、送受信部203がその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させてもよい。
【0088】
図6に示すように、運転支援装置20の経路算出部206は、車両10の現在位置PPから、車両10の前進方向にあたる切り返し位置SPを経て、切り返し位置SPからの車両10の後退方向にあたり、駐車領域PA内に位置する目標位置DPまでの移動経路TRを算出する。
【0089】
また、運転支援装置20の移動制御部207は、経路算出部206の算出結果にしたがって、移動経路TR上において車両10を移動させる。このとき、通知生成部202が、目下、車両10が運転支援を受けていることを示す「運転支援中」等の通知を生成し、送受信部203がその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させてもよい。
【0090】
図7に示すように、運転支援中に、運転者が車両10の移動経路TR上に進入したとする。運転支援装置20の検出部205は、これを障害物として検出し、移動制御部207は、検出された障害物と車両10の移動経路TRとの位置関係から、このまま車両10を移動させ続けた場合、障害物との衝突の危険性等、障害物が移動経路TR上の車両10の移動を妨げる可能性があるか否かを判定する。障害物が車両10の移動の妨げとなり得ると判定した場合、移動制御部207は一旦、車両10を停止させる。
【0091】
また、移動制御部207は、障害物によって移動経路TRの長さが短縮され、短縮された分の長さが所定距離以上となったか否かを判定する。このとき、判定基準となる所定距離は、例えばこの距離を移動経路の長さとして、障害物を回避しつつ運転支援を継続することが困難な距離である。
【0092】
移動経路TRsの短縮分の長さが所定距離以上であった場合、移動制御部207は、運転支援を一旦中断し、車両10を停止させたまま所定時間待機する。
【0093】
移動制御部207の待機中、通知生成部202は、「障害物を移動してください。」等の携帯端末100のユーザに障害物の移動を促す通知を生成する。送受信部203は、その通知を携帯端末100に送信し、携帯端末100の表示装置に表示させる。
【0094】
図7の例のように、障害物が携帯端末100のユーザである運転者等であった場合、上記通知によって、自身が車両10の移動経路TR上に進入していることを気づかせ、移動経路TRから離れる行動を促すことができる。
【0095】
図8に示すように、例えば運転者が移動する等して、車両10の移動の妨げとなる位置から障害物が検出されなくなると、障害物によって短縮されていた移動経路TRrが回復する。
【0096】
通知生成部202は、「運転支援を再開できます。」等の携帯端末100のユーザに運転支援の再開指示を求める通知を生成する。送受信部203は、その通知を携帯端末100に送信し、携帯端末100の表示装置に表示させる。運転者等が、携帯端末100から運転支援の再開を指示すると、運転支援装置20による運転支援が再開される。
【0097】
このように、運転支援装置20では、運転者等が移動した後、改めてユーザの意向を確認したうえで運転支援を再開するので、ユーザの意図しない動作が行われることが抑制される。
【0098】
すなわち、経路算出部206は改めて、回復された移動経路TRrを含み、車両10の現在位置PPnから駐車領域PA内の目標位置DPへと至る移動経路TRnを算出する。移動制御部207は、現在位置PPnからの車両10の移動を開始する。
【0099】
このように、障害物の移動を待って移動経路TRnの再計算を行うことで、回復された移動経路TRrを含めた充分に長い移動経路TRnを取ることが可能となって、目標位置DPへの車両10の誘導が容易となる。また、現在の車両10の状況に基づいて移動経路TRnを再計算することで、高精度に車両10を制御して、所望の目標位置DPに誘導することができる。
【0100】
一方、運転支援中に、運転者等ではない他の障害物が移動経路TR上の車両10の移動の妨げとなる位置に進入してくる場合もありうる。このような場合について
図9に示す。
【0101】
図9は、実施形態にかかる運転支援装置20が運転支援を中止する場合の動作の一例について説明する模式図である。
【0102】
図9に示すように、車両10の駐車領域PAへの運転支援中に、他の車両93がその駐車領域PA内に進入してきたとする。また、これにより、移動経路TRsの短縮された分の長さが所定距離以上となったとする。移動制御部207は、運転支援を一旦中断し、車両10を停止させた状態で所定時間待機する。
【0103】
図9の例では、検出された障害物は運転者等ではなく他の車両93である。このため、所定時間が経過しても車両93が障害物として検出され続けたものとする。この場合、運転支援装置20は、目標位置DPへの車両10の誘導は困難であるとして運転支援を中止(キャンセル)する。
【0104】
通知生成部202は「運転支援を中止します。」等の携帯端末100のユーザに運転支援の中止を知らせる通知を生成する。送受信部203はその通知を携帯端末100に送信して、携帯端末100の表示装置に表示させる。
【0105】
なお、上述の
図4~
図9の例では、運転支援装置20が後退駐車による運転支援を行う場合について説明した。しかし、運転支援装置20は、前進駐車、前進もしくは後退出庫、後退もしくは前進による並列駐車、または前進もしくは後退による並列出庫の場合であっても、同様に車両10の運転支援を行う。
【0106】
(運転支援装置の処理例)
次に、
図10を用いて、実施形態の運転支援装置20による運転支援処理の例について説明する。
図10は、実施形態にかかる運転支援装置20による運転支援処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0107】
図10に示すように、モニタ装置30の入力部32から運転支援を行う選択がなされると(ステップS101)、送受信部203は、携帯端末100から位置情報を取得して(ステップS102)、携帯端末100が車両10の外に移動したか否かを判定する(ステップS103)。送受信部203は、携帯端末100が車両10の外に移動したことが検知されるまで(ステップS103:No)、位置情報の取得を継続する(ステップS102)。
【0108】
携帯端末100が車両10の外に移動したことが検知されると(ステップS103:Yes)、運転支援装置20の取得部204は、測距部14及び撮像部16から車両10の周辺情報を取得し、検出部205は運転支援に必要な各種の検出処理を行う(ステップS104)。
【0109】
具体的には、検出部205は、取得された車両10の周辺情報に基づいて、車両10周辺の障害物の有無等を検出するとともに、選択された運転支援の内容に応じて、駐車領域PAの検出または駐車領域PAから出庫した後の車両10が停車可能な位置等を検出する。
【0110】
なお、取得部204による周辺情報の取得および検出部205による各種検出は、このタイミングより前から開始されていてもよい。また、取得部204は、少なくとも運転支援処理が終了するまで周辺情報の取得を継続する。また、検出部205は、少なくとも運転支援処理が終了するまで車両10周辺の障害物の検出等、運転支援に必要な各種検出処理を継続する。
【0111】
経路算出部206は、検出部205による検出結果に基づいて、駐車領域PA内の所定位置または駐車領域PAから出庫した後の車両10の停止位置等の目標位置DPを算出する(ステップS105)。また、経路算出部206は、必要に応じて切り返し位置SPの算出を行う。
【0112】
経路算出部206は、車両10の現在位置PPから、場合によっては切り返し位置SPを経由して、目標位置DPへと至る移動経路TRを算出する(ステップS106)。
【0113】
移動制御部207は、経路算出部206が算出した移動経路TRにしたがって車両10の移動を制御する(ステップS107)。移動制御部207は、車両10が目標位置DPに到達したら(ステップS108:Yes)車両10を停止させ、運転支援処理を終了する。
【0114】
車両10が目標位置DPに到達するまでの間(ステップS108:No)、移動制御部207は、検出部205の検出結果に基づいて、移動経路TR上を移動する車両10の妨げとなる位置に障害物が検出されたか否かを監視する(ステップS109)。障害物が検出されていなければ(ステップS109:No)、移動制御部207は車両10の移動制御を継続する(ステップS107)。
【0115】
移動経路TR上を移動する車両10の妨げとなる位置に障害物が検出された場合には(ステップS109:Yes)、移動制御部207は、車両10を一旦停止させ、その障害物によって移動経路TRが短縮された分の長さが所定距離以上となったか否かを判定する(ステップS110)。
【0116】
移動経路TRsの短縮分の長さが所定距離未満であって、移動経路TRsの長さが充分に保たれていれば(ステップS110:No)、経路算出部206が目標位置および移動経路TRの再計算を行って(ステップS105,S106)、移動制御部207は再計算された移動経路TRにしたがって車両10の移動制御を継続する(ステップS107)。
【0117】
移動経路TRsの短縮分の長さが所定距離以上となっていた場合(ステップS110:Yes)、移動制御部207は運転支援を中断する(ステップS111)。運転支援が中断されると、通知生成部202は障害物の移動を促す通知を生成し、送受信部203はその通知を携帯端末100へと送信する(ステップS112)。
【0118】
移動制御部207は、検出部205の検出結果に基づいて、障害物が移動したか否かを判定する(ステップS113)。障害物が移動していなければ、移動制御部207は、運転支援の中断から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS114)。移動制御部207は、所定時間の間(ステップS114:No)、障害物の確認処理を繰り返す(ステップS113)。
【0119】
障害物が移動することなく(ステップS113:No)所定時間が経過した場合(ステップS114:Yes)、運転支援装置20は運転支援処理を中止する。
【0120】
所定時間内に障害物が移動した場合には(ステップS113:Yes)、通知生成部202は運転支援の再開許可を求める通知を生成し、送受信部203はその通知を携帯端末100へと送信する(ステップS115)。移動制御部207は、ユーザによって運転支援の再開が選択されたか否かを判定する(ステップS116)。
【0121】
ユーザが運転支援の再開を選択した場合(ステップS116:Yes)、運転支援装置20はステップS105からの処理を繰り返す。すなわち、経路算出部206が、車両10の現在位置PPnに基づく目標位置DPを算出し(ステップS105)、現在位置PPnから目標位置DPまでの車両10の移動経路TRnを再計算し(ステップS106)、移動制御部207が再計算された移動経路TRnにしたがって車両10の移動を制御する(ステップS107)。
【0122】
ユーザが運転支援の再開を選択しなかった場合(ステップS116:No)、運転支援装置20は運転支援を中止する。
【0123】
以上により、実施形態の運転支援装置20による運転支援処理が終了する。
【0124】
(概括)
運転支援装置は、測距部および撮像部等の各種センサからの車両の周辺情報に基づいて、車両の運転支援を行う。近年、運転者が降車した状態で、駐車領域に対して車両の入庫または出庫をリモートで支援する運転支援装置の開発が進んでいる。
【0125】
しかしながら、リモートでの運転支援においては、降車した運転者が、車両の周辺および進行方向の安全確認等を行おうとして車両の移動経路上に進入してしまう場合がある。この場合、運転支援装置は運転者を障害物と認識するため、障害物を避けようとして何度も切り返しを繰り返したり、車両を目標位置まで誘導することが不可能となって運転支援が中止されてしまったりすることがある。
【0126】
実施形態の運転支援装置20によれば、車両10の移動経路TR上の移動を妨げる位置に障害物が検出された場合であって、障害物により移動経路TRの長さが短縮されて、短縮された分の長さが所定距離以上となった場合、運転支援を一旦中断し、障害物が移動の妨げとなる位置から移動するまで所定時間待機する。
【0127】
これにより、障害物が移動経路TRに進入した運転者等であった場合、運転者が移動するのを待って運転支援を再開することができる。よって、短縮された移動経路TRsにしたがって無理に運転支援を継続しようとして切り返し回数が増えてしまったり、運転支援の継続が不可能となって中止されてしまったりすることが抑制される。
【0128】
実施形態の運転支援装置20によれば、障害物が検出された場合に、障害物の移動を依頼する通知を携帯端末100に送信する。これにより、障害物が携帯端末100のユーザである運転者等であった場合に、運転者に移動経路TR上への立ち入りを気づかせることができ、車両10の移動経路TR上からの退去を運転者等に促すことができる。
【0129】
なお、上述の実施形態においては、運転支援装置20が車両10に搭載されていることとしたが、運転支援装置20は必ずしも車両10に搭載されていなくともよい。例えば、運転支援装置が車両から離れた位置で、各種センサから車両の周辺情報を取得して、リモートで車両の運転支援を行ってもよい。
【符号の説明】
【0130】
10…車両
14…測距部
16…撮像部
20…運転支援装置
100…携帯端末
201…表示制御部
202…通知生成部
203…送受信部
204…取得部
205…検出部
206…経路算出部
207…移動制御部
DP…目標位置
PP,PPn…現在位置
SP…切り返し位置
TR,TRn,TRr,TRs…移動経路