(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240710BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20240710BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240710BHJP
B64D 37/30 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04 N
H01M8/04007
H01M8/00 Z
B64D37/30
(21)【出願番号】P 2021522149
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 FR2019050863
(87)【国際公開番号】W WO2020008120
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521007056
【氏名又は名称】サフラン・アエロテクニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォンサン,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】フィランギ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ダルビニー,ジュリアン
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519983(JP,A)
【文献】特開2007-157468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0140463(US,A1)
【文献】特表2007-506245(JP,A)
【文献】特表2007-506244(JP,A)
【文献】特表2007-506243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0058859(US,A1)
【文献】特開昭63-190257(JP,A)
【文献】特開2005-203263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
H01M 8/00
B64D 37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の燃料電池システム(2、43)であって、
第1の酸化剤を受けることに適した第1の入口(19)、少なくとも水素を受ける能力がある第2の入口(23)、ならびに、第2の酸化剤および熱を送出することに適した出口(25)を含む水素バーナ(10)と、
入口(40)および出口(41)を有する酸化剤調整システム(18)であって、前記入口(40)は、第2の酸化剤および熱を受けることに適しており、前記出口(41)は、調整された第2の酸化剤を送出する能力がある、酸化剤調整システム(18)と、
アノード(9)およびカソード(11)を有する少なくとも1つの燃料電池(8)であって、カソード(11)は、酸化剤調整システム(18)の出口(41)に接続されるカソード入口(13)を含み、カソード入口(13)は、調整された第2の酸化剤を受ける、少なくとも1つの燃料電池(8)と
を
燃料電池システムは含み、
水素バーナ(10)に近接して配置され、水素バーナ(10)と熱的に接触している熱交換器(12)、
熱交換器(12)に接続され、燃料電池(8)と熱的に接触している伝熱管(17)、
熱交換器(12)内に、および、伝熱管(17)内に収容される熱伝導流体であって、燃料電池(8)の始動段階の間に、水素バーナ(10)により生成される熱の一部分を収集し、前記熱を燃料電池(8)に運ぶために、熱交換器(12)から、および、伝熱管(17)の方に移動することができる、熱伝導流体
を含む熱交換デバイス(16)を
燃料電池システム(2、43)はさらに含み、
水素バーナ(10)から酸化剤調整システム(18)に、前記調整された第2の酸化剤および熱を運ぶ能力があるパイプ(26)を燃料電池システムはさらに含み、前記パイプ(26)が、水素バーナの出口(25)に、および、酸化剤調整システムの入口(40)に接続され、パイプ(26)内に水素濃度センサ(22)が配置される、
燃料電池システム(2、43)。
【請求項2】
第2の酸化剤が、蒸気形態での水を含む、請求項
1に記載の燃料電池システム(2、43)。
【請求項3】
酸化剤を提供することに適している酸化剤の源(6)を含み、パイプ(21)が、酸化剤の源(6)を水素バーナ(10)の第1の入口(19)に接続する、請求項1
または2に記載の燃料電池システム(2、43)。
【請求項4】
アノード(9)が、アノード入口(15)およびアノード出口(16)を含み、燃料電池システム(2)が、
水素を送出する能力があるタンク(4)、
水素調整システム(20)であって、
タンク(4)から水素を受ける能力がある第1の入口(31)、
燃料電池(8)のアノード入口(15)に、調整された水素を送出することに適した第1の出口(35)、
燃料電池(8)のアノード出口(16)から、水素および窒素を含む残留ガスを受けることに適した第2の入口(33)、
前記残留ガスの少なくとも一部分を水素バーナ(10)に運ぶために、水素バーナ(10)の第2の入口(23)に接続される第2の出口(37)
を含む、水素調整システム(20)
をさらに含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の燃料電池システム(2、43)。
【請求項5】
第1の酸化剤を水素バーナ(10)内へと注入することに適した圧縮機(44)を含み、前記圧縮機(44)が、前記水素バーナ(10)の第1の入口
(19)の上流に配置される、請求項1から
4のいずれか一項に記載の燃料電池システム(43)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの分野の中に存する。燃料電池システムは、水素および酸化剤から電気を作り出す電気化学発電装置である。
【背景技術】
【0002】
通常の、および、トラブルのない動作の間、燃料電池は、それらの環境内へと水素を放出する。これらの水素漏洩は、例えば、窒素パージ段階の間に、および/または、燃料電池の始動段階(オフのときに存在するガスを置換するために水素を注入することの段階)の間に起こる。これらの漏洩は、抑制されずに残されるならば、爆発性雰囲気を作ることがある。
【0003】
この様式で放出される水素は、システム環境内へと、環境が(例えば、車の外側に対して)「開放的」であるならば吐出される、あるいは、空気などの非反応性ガスによって希釈される、または、燃焼させられる。
【0004】
航空の用途において、燃料電池は、キャビン内に設置され得る。キャビンは、開放的な環境ではない。この環境は、水素が放出されるならば、爆発性雰囲気を形成することがある。加えて、水素の損失は、燃料電池システムの比エネルギーおよび出力を低減する。比出力は、電池により生成される出力と、燃料電池システムの総質量との間の比である。比エネルギーは、電池により生成されるエネルギーと、燃料電池システムの総質量との間の比である。これらの2つのパラメータは、低質量解決策が常に探求される空輸の用途において重要である。最後に、水素の希釈は、希釈ガスの使用を要し、そのことは、システムに複雑さを加えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目標は、航空機において安全な様式で使用され得る低質量燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は:
- 第1の酸化剤を受けることに適した第1の入口、少なくとも水素を受ける能力がある第2の入口、ならびに、第2の酸化剤および熱を送出することに適した出口を含む水素バーナと;
- 入口および出口を有する酸化剤調整システムであって、前記入口は、第2の酸化剤および熱を受けることに適しており、前記出口は、調整された第2の酸化剤を送出する能力がある、酸化剤調整システムと;
- アノードおよびカソードを有する少なくとも1つの燃料電池であって、カソードは、酸化剤調整システムの出口に接続されるカソード入口を含み、カソード入口は、調整された第2の酸化剤を受ける、少なくとも1つの燃料電池と
を含む、航空機用の燃料電池システムに関する。
【0007】
有利には、本発明による燃料電池システムは、外部環境に関して心配することなく、電池から水素を放出することを可能とする。
【0008】
有利には、本発明による燃料電池システムは、従来の動作の間に失われる水素を再使用することを可能とする。本発明による燃料電池システムは、それゆえに、より効率的である。
【0009】
有利には、本発明による燃料電池システムの水素バーナは、燃料電池を加熱し、その始動を加速するために使用される熱を生成する。
【0010】
有利には、本発明による燃料電池システムは、燃料電池のカソード入口においての空気の湿度レベルを増大することを可能とする。
【0011】
有利には、本発明による燃料電池システムは、その冷間始動を促進する。
【0012】
いくつかの個別の実施形態によれば、燃料電池システムは、単独で、または組み合わせて取られる、以下の特徴のうちの1つ以上を有する:
【0013】
- システムは、水素バーナから酸化剤調整システムに、前記少なくとも調整された第2の酸化剤および熱を運ぶ能力があるパイプを含み、前記パイプは、水素バーナの出口に、および、酸化剤調整システムの入口に接続される;
【0014】
- システムは:
- 水素バーナに近接して配置され、水素バーナと熱的に接触している熱交換器、
- 熱交換器に接続され、燃料電池と熱的に接触している伝熱管、
- 熱交換器内に、および、伝熱管内に配置され収容される熱伝導流体であって、燃料電池の始動段階の間に、水素バーナにより生成される熱の一部分を収集し、前記熱を燃料電池に運ぶために、熱交換器から、および、伝熱管の方に移動することができる、熱伝導流体
を含む熱交換デバイスを含む;
【0015】
- 第2の酸化剤は、蒸気形態での水を含む;
【0016】
- システムは、パイプ内に配置される水素濃度センサを含む;
【0017】
- システムは、酸化剤を提供することに適している酸化剤の源を含み、パイプが、酸化剤の源を水素バーナの第1の入口に接続する;
【0018】
- アノードは、アノード入口およびアノード出口を含み、燃料電池システムは、
- 水素を送出する能力があるタンク;
- 水素調整システムであって:
- タンクから水素を受ける能力がある第1の入口、
- 燃料電池のアノード入口に、調整された水素を送出することに適した第1の出口;
- 燃料電池のアノード出口から、水素および窒素を含む残留ガスを受けることに適した第2の入口;
- 前記残留ガスの少なくとも一部分を水素バーナに運ぶために、水素バーナの第2の入口に接続される第2の出口
を含む、水素調整システム
をさらに含む。
【0019】
- システムは、第1の酸化剤を水素バーナ内へと注入することに適した圧縮機を含み、前記圧縮機は、前記圧縮機の第1の入口の上流に配置される;
【0020】
本発明は、単に例として与えられる、および、図を参照する、以下の説明を読むことから、より良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態による燃料電池システムの概略図である。
【
図2】
図1において例示されるシステムの水素バーナの概略図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態による燃料電池システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による航空機用の燃料電池システム2は、水素を送出する能力があるタンク4と、酸化剤の源6と、少なくとも1つの燃料電池8と、触媒水素バーナ10とを含む。
【0023】
燃料電池システム2は、酸化剤調整システム18と、水素調整システム20とをさらに含む。
【0024】
タンク4は、燃料電池の反応に対して必要な水素を供給する。水素は、貯蔵されている、または、その場で生成される、水素であり得る。
【0025】
酸化剤の源6は、燃料電池の反応に対して必要な第1の酸化剤を提供する。この源は、タンクであり得る。第1の酸化剤は、純酸素または周囲空気である。
【0026】
燃料電池8は、水素および酸素から、電気、水、および熱を作り出す電気化学反応の場所である。電池は、アノード9と、カソード11とを含む。アノード9は、アノード入口15と、アノード出口16とを含む。カソード11は、カソード入口13と、カソード出口14とを含む。
【0027】
触媒水素バーナ10は、水素を燃焼させ、熱、および、ガス形態での水を生成する能力がある。触媒水素バーナ10の例が、
図2において概略的に表される。触媒水素バーナ10は、パイプ21により酸化剤の源6に接続される第1の入口19と、パイプ24により水素調整システム20に接続される第2の入口23と、パイプ26により酸化剤調整システム18に接続される出口25とを含む。触媒水素バーナ10は、混合室27と、触媒29を収容する触媒作用室28とを含む。
【0028】
第1の入口19および第2の入口23は、混合室27内へと開口する。水素調整システム20から来る水素は、かくして、混合室27内で、酸化剤の源6から来る第1の酸化剤と混合される。かくして形成された混合物は、それが第2の酸化剤に酸化させられる触媒作用室28内へと進む。この第2の酸化剤は、ガス形態での水を含む。この酸化反応は、熱を作り出す。この第2の酸化剤は、一般的には、40℃から100℃の間に含まれる温度を有する。
【0029】
水素バーナ10の故障を検出するために、および、水素/酸化剤の混合物は、濃度の特定の範囲の中では爆発性であり得るので、燃料電池システム2は、また、水素バーナ10と酸化剤調整システム18との間に配置される水素濃度センサ22を含み得る。センサ22は、
図1において概略的に表される。センサ22は、例えばパイプ26内に固定される。
【0030】
酸化剤調整システム18は、温度、圧力、湿度、および流量の見地において、燃料電池の適正な動作のために第2の酸化剤を準備する。酸化剤調整システム18は、水素バーナ10から来る第2の酸化剤および熱を受けることに適した入口40と、調整された第2の酸化剤を生成することに適した出口41とを含む。入口40は、パイプ26を介してバーナの出口25に接続される。出口41は、電池8のカソード入口13に接続される。
【0031】
有利には、酸化剤調整システム18による第2の酸化剤の準備は、バーナ10を抜け出る第2の酸化剤が高温および多湿であるという事実により促進される。
【0032】
水素調整システム20は、パイプ32によりタンク4に接続される第1の入口31と、パイプ34により電池のアノード出口16に接続される第2の入口33と、パイプ36により電池のアノード入口15に接続される第1の出口35と、パイプ24により水素バーナ10の第2の入口に接続される第2の出口37とを含む。
【0033】
水素調整システム20は、温度、圧力、湿度、および流量の見地において、燃料電池8の適正な動作のために水素を準備する。有利には、パイプ34および水素調整システム20は、電池のアノード出口においての使用されない水素の一部分を、それを燃料電池内での新しい使用のために準備することにより、再使用することを可能にする。
【0034】
燃料電池システム2は、
図1において部分的に表される熱交換デバイス16をさらに含む。この熱デバイスは、熱交換ループから構成され得る。熱交換デバイスは、水素バーナ10に近接して配置され、水素バーナ10と熱的に接触している熱交換器12と、熱交換器12に接続され、燃料電池8と熱的に接触している伝熱管17と、熱交換器12および伝熱管17内に収容される熱伝導流体とを含む。
【0035】
熱交換器12は、
図1において示されるように、水素バーナの構成要素となる筐体の一部分からなり得る。
【0036】
図1において示される例において、熱交換器12は、熱伝導流体を供給するための入口と、伝熱管17に接続される出口とを含む。
【0037】
熱伝導流体は、水素バーナ10内で遂行される酸化反応により生成される熱の一部分を回収するために、および、この熱を燃料電池8に運ぶために、熱交換器12と伝熱管17との間を移動することができる。この熱は、燃料電池8の始動を促進する。この熱は、有利には、電池が始動させられた後、航空機の特定のデバイスにより使用され得る。この熱は、例えば、かくして、水を加熱するために使用され得る。
【0038】
この熱交換デバイス16は、有利には、燃料電池の冷却剤に対するループから構成され得る。設計、および、放出されるエネルギーの量に依存して、熱はまた、酸化剤の流れ(対流による熱放散)により除去され得る。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施形態による燃料電池システム43を例示する。第1の実施形態によるシステムの要素と同一または同様である、第2の実施形態による燃料電池システム43の要素は、第1の実施形態においてと同じ参照番号を有し、再びは説明されない。
【0040】
この燃料電池システム43は、第1の酸化剤が空気を含み、システム43が、酸化剤の源6と水素バーナ10との間に配置される圧縮機44をさらに含むということを除いて、第1の実施形態による燃料電池システム2と同様である。
【0041】
有利には、圧縮機44は、水素バーナ10内へと導入される空気の量を制御することを可能にする。加えて、有利には、水素バーナ10に進入する空気は高温である。このことは、水素バーナの触媒反応の効率および開始を改善する。
【0042】
電池が起動するとき、電池のアノード11は、水素により除去および置換されなければならないガスの混合物を収容する。ガスのこの混合物は、水素と、窒素と、おそらくは他のガスとを含有する。ガスのこの混合物は、本特許出願において残留ガスと呼ばれる。
【0043】
残留ガスを除去することの動作は、一般的には「パージ段階」と呼称される。このパージ段階の間、水素が、水素調整システム20によりアノード内へと注入される。
【0044】
水素のこの大量の注入は、残留ガスのほとんどすべてを除去することを可能にし、その残留ガスは、パイプ34、水素調整システム20、およびパイプ24を介して水素バーナ10に運ばれる。
【0045】
水素バーナ10は、残留ガス、および、酸化剤の源6を発生源とする第1の酸化剤を酸化させる。そのことは、熱および第2の酸化剤を作り出す。この第2の酸化剤は、ガス形態での水(水蒸気)により形成される。第2の酸化剤、および、熱のいくらかは、酸化剤調整システム18に移送される。
【0046】
調整システム18は、電池内での使用のために、温度、圧力、および湿度の見地において、第2の酸化剤を準備する。調整システム18の働きは、第2の酸化剤が、酸化剤の源6を発生源とする第1の酸化剤より高温および多湿であるという事実により促進される。調整システム18は、調整された第2の酸化剤を、燃料電池8のカソード入口13に運ぶ。
【0047】
並行して、酸化反応により放出される熱の一部分が、熱交換器12を介して冷却剤に運ばれる。この熱は、冷却剤パイプ17を介して燃料電池に伝達される。この熱は、燃料電池8を始動させることを促進する。
【0048】
燃料電池8を始動させた後、電池の通常の動作の間、この熱は、航空機のデバイスの方に、熱伝導流体により取り除かれる。
【0049】
電池の通常の動作の間、電池の構成物を発生源とする窒素が、徐々にアノード9に進入する。窒素の量が高すぎるとき、このことが、電池の動作を妨げる。その結果、燃料電池システム2、43は、継続的に、または、時々のいずれかで(または両方で)パージ段階を実行し、そのパージ段階の間、水素と窒素とからなり、アノード出口16を抜け出る残留ガスは、調整システム20により処理されアノード入口15を通して電池内へと再度注入されるのではなく、パイプ24を介して水素バーナ10に運ばれる。
【0050】
並行して、水素調整システム20は、また、第2の酸化剤の作成のために、水素を水素バーナ10に運ぶ。水素調整システム20は、タンク4から来る水素の量、および、水素バーナ10に運ばれることになる残留ガスの量を調節することができる。
【0051】
従来の燃料電池システムにおいて、残留ガスは、大気中へと放出される。大気中へのこの排気は、航空機において遂行されるときは危険である。本発明による燃料電池システムによって、水素および窒素は消費され、そのため、爆発性雰囲気を作ることのリスクは、低減され、消失させられさえする。反応は、発熱性であり、そのため、それゆえに、電池を、それを起動させるときに加熱する、または、例えば手洗い所内の温水を生成するために航空機のデバイスを加熱するのいずれかのために使用される。
【0052】
燃料電池に進入する前に水素を燃焼させることにより、本発明による燃料電池システムは、次のことを可能にする:
【0053】
- 燃料電池8を、その始動の間、ガスによって加熱し、加熱する助けとなる。
【0054】
- 真の課題である、燃料電池の冷間始動(凍結条件(freezing condition))を促進する。
【0055】
- (LT-PEM電池に対して必要な)燃料電池の酸化剤の、入口においての湿度を増大する。
【0056】
- 水素はもはや、システムの環境内へと放出されず、そのことは、爆発性雰囲気が達せられるという程度に水素の濃度を増大することのリスクを消失させる。