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特許7518829ファストリカバリーダイオード及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ファストリカバリーダイオード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20240710BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20240710BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240710BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20240710BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H01L29/91 D
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/91 K
H01L29/86 301F
H01L29/86 301E
H01L29/86 301D
H01L29/91 F
H01L29/91 B
H01L29/86 301P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021529135
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2019118786
(87)【国際公開番号】W WO2020103770
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】201811388533.6
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521222316
【氏名又は名称】比亜迪半導体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BYD SEMICONDUCTOR COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1 Yan’an Road,Kuichong Street,Dapeng New District,Shenzhen,Guangdong 518119,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】肖秀光
(72)【発明者】
【氏名】張偉
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/104900(WO,A1)
【文献】特開2016-162783(JP,A)
【文献】特開2014-038937(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033463(WO,A1)
【文献】特開2001-077347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0161633(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/868
H01L 29/861
H01L 29/06
H01L 29/872
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル領域、前記セル領域を囲んで設けられた主接合領域、および、前記主接合領域を囲んで設けられた終端領域を含むファストリカバリーダイオードであって、
前記主接合領域における主接合ドープ領域のドーピング濃度が、前記セル領域におけるアクティブ領域のドーピング濃度よりも小さく、且つ、内から外への方向において、前記主接合ドープ領域におけるドーピング濃度が徐々に低下し、
前記主接合ドープ領域は、内から外へ、順次に設けられた少なくとも2つの徐変ドープ領域を含み、且つ、内から外への方向において、前記少なくとも2つの徐変ドープ領域における最高ドーピング濃度が徐々に低下し、且つ、各前記徐変ドープ領域におけるドーピング濃度は線形的に低下し、
前記少なくとも2つの徐変ドープ領域の幅が同じであり、
前記主接合ドープ領域における前記少なくとも2つの徐変ドープ領域は連続しており、
内から外への方向において、隣接する2つの徐変ドープ領域ごとに、そのうちの内寄りの徐変ドープ領域における最低ドーピング濃度が、当該隣接する2つの徐変ドープ領域のうちの外寄りの徐変ドープ領域における最高ドーピング濃度よりも高いことを特徴とするファストリカバリーダイオード。
【請求項2】
各前記徐変ドープ領域の幅が10μm~200μmである、ことを特徴とする請求項に記載のファストリカバリーダイオード。
【請求項3】
前記徐変ドープ領域の数が2~25個である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のファストリカバリーダイオード。
【請求項4】
前記主接合領域の幅が20μm~1000μmである、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のファストリカバリーダイオード。
【請求項5】
基板と、
前記基板の上面に設けられたエピ層と、
前記エピ層の上面に設けられるとともに、終端領域に位置するフィールド酸化層と、
前記エピ層の上面から前記エピ層内へ延伸している前記主接合ドープ領域と、
前記フィールド酸化層、前記主接合ドープ領域の上面に設けられた絶縁誘電体層と、
前記絶縁誘電体層とセル領域におけるアクティブ領域の上面に設けられた陽極金属と、
陽極金属の上面に設けられたパッシベーション層と、
前記基板の下面に設けられた裏面金属と、を含む、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のファストリカバリーダイオード。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のファストリカバリーダイオードを製造する方法であって、
基板の上面にエピ層を形成すること、
前記エピ層の上面において、終端領域に位置するフィールド酸化層を形成すること、および、
前記エピ層の前記フィールド酸化層によって覆われていない領域に対してドーピング処理を行うことで、セル領域に位置するアクティブ領域と、主接合領域に位置する主接合ドープ領域とを形成する、ことを含み、
前記ドーピング処理は、1つのフォトマスクによって行われ、
前記フォトマスクにおける前記アクティブ領域に対応する位置には、アクティブ領域開口が設けられており、
前記フォトマスクにおける前記主接合領域に対応する位置には、内から外へ間隔を置いて設けられた環状開口が複数含まれ、且つ、内から外への方向において、単位面積当たりの前記フォトマスクでは、前記環状開口の面積が占める割合は徐々に低下し、
内から外への方向において、複数の前記環状開口の幅が同一であり、且つ、隣接する2つの前記環状開口の間の間隔が徐々に大きくなる、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
内から外への方向において、複数の前記環状開口の幅が徐々に小さくなり、且つ、隣接する2つの前記環状開口の間の間隔が等しいか又は徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィールド酸化層と前記主接合ドープ領域の上面に絶縁誘電体層を形成すること、
前記絶縁誘電体層と前記アクティブ領域の上面に陽極金属を形成すること、
前記陽極金属の上面にパッシベーション層を形成すること、および、
前記基板の下面に裏面金属を形成すること、をさらに含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体技術分野に関し、具体的に、ファストリカバリーダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファストリカバリーダイオードは、スイッチング特性がよく、逆回復時間が短い等の利点を有するため、スイッチング電源、インバータ等の電力電子回路に幅広く応用されており、高圧、大電流、高周波等の応用要求を満たすことができる。ただし、応用電流の増加に伴い、ファストリカバリーダイオードによる電流集中効果に起因して、応用端が故障してしまう問題がますます深刻になっている。現在、一般的なやり方として、ファストリカバリーダイオードのセルエッジに幅が大きい主接合領域を追加することが挙げられる。しかし、そのような設計による故障率は依然として高い。
【0003】
従って、現在のファストリカバリーダイオードに関連する技術は未だ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術における技術的課題の一つを、少なくともある程度解決できることを目的にしている。そのため、本開示は、電流集中効果が弱く、又は、故障率が低いという利点を有するファストリカバリーダイオードを提案することを一つの目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、本開示は、ファストリカバリーダイオードを提供する。本開示の実施例によれば、当該ファストリカバリーダイオードは、セル領域、前記セル領域を囲んで設けられた主接合領域、および、前記主接合領域を囲んで設けられた終端領域を含み、前記主接合領域における主接合ドープ領域のドーピング濃度が、前記セル領域におけるアクティブ領域のドーピング濃度よりも小さく、且つ、内から外への方向において、前記主接合ドープ領域におけるドーピング濃度が徐々に低くなる。主接合ドープ領域のドーピング濃度がセル領域におけるアクティブ領域のドーピング濃度よりも小さいようにするとともに、主接合ドープ領域の濃度が内から外へ徐々に低くなるように設置することで、導通時に主接合領域に注入された過剰キャリアがセル領域よりも低くなり、逆回復時の主接合領域における電流密度がセル領域よりも低くなり、それにより、ファストリカバリーダイオードによる電流集中効果が改善され、ファストリカバリーダイオードのロバスト性が向上したことを発明者が発見した。
【0006】
本開示の他の態様では、本開示は、上述したファストリカバリーダイオードを製造する方法を提供する。本開示の実施例によれば、当該方法では、基板の上面にエピ層を形成すること、前記エピ層の上面において、終端領域に位置するフィールド酸化層を形成すること、および、前記フィールド酸化層によって覆われていない前記エピ層に対してドーピング処理を行うことで、セル領域に位置するアクティブ領域と、主接合領域に位置する主接合ドープ領域とを形成することを含む。それにより、製造工程が簡素化され、操作が容易となり、且つ、徐変ドープ領域の形成には新規のフォトマスクを追加する必要がなく、プロセスコストが何も増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードの平面構造概略図である。
図2図2は、本開示の他の実施例における図1中のF-F’線に沿った断面のドーピング濃度概略図である。
図3図3は、本開示の他の実施例における図1中のF-F’線に沿った断面のドーピング濃度概略図である。
図4図4は、本開示の他の実施例におけるファストリカバリーダイオードの平面構造概略図である。
図5図5は、本開示の一実施例における図4中のE-E’線に沿った断面のドーピング濃度概略図である。
図6図6は、本開示の他の実施例における図4中のE-E’線に沿った断面のドーピング濃度概略図である。
図7図7は、本開示の他の実施例における図4中のE-E’線に沿った断面のドーピング濃度概略図である。
図8図8は、図4中のB-B’線に沿った断面構造概略図である。
図9図9は、図4中のC-C’線に沿った断面構造概略図である。
図10図10は、本開示のさらに他の実施例におけるファストリカバリーダイオードの平面構造概略図である。
図11図11は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図12図12は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図13図13は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図14図14は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図15図15は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図16図16は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図17図17は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図18図18は、本開示の一実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法の概略フローチャートである。
図19図19は、本開示の一実施例におけるフォトマスクの平面構造概略図である。
図20図20は、図19中のD-D’線に沿った断面構造概略図である。
図21図21は、本開示の一実施例における徐変ドープ領域におけるドーピング濃度概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、本開示の実施例を詳しく説明する。以下に記載の実施例は例示的なものであり、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を制限するものとして理解されてはならない。実施例には、具体的な技術又は条件が明記されていない場合、当分野における文献に記載の技術又は条件に従って、又は、製品取扱書に従って行われるものである。使用される試薬又は機器は、製造メーカーが明記されていない場合、いずれも市場から入手できる汎用的な製品である。
【0009】
本開示の一態様では、本開示は、ファストリカバリーダイオードを提供する。本開示の実施例によれば、図1を参照して、当該ファストリカバリーダイオードは、セル領域10、前記セル領域を囲んで設けられた主接合領域20、および、前記主接合領域を囲んで設けられた終端領域30を含み、前記主接合領域20における主接合ドープ領域のドーピング濃度が、前記セル領域10におけるアクティブ領域のドーピング濃度よりも小さく、且つ、内から外への方向において、前記主接合ドープ領域におけるドーピング濃度が徐々に低くなる。主接合ドープ領域のドーピング濃度がセル領域におけるアクティブ領域のドーピング濃度よりも小さいようにするとともに、主接合ドープ領域の濃度が内から外へ徐々に低くなるように設置することで、導通時に主接合領域に注入された過剰キャリアがセル領域よりも低くなり、逆回復時の主接合領域における電流密度がセル領域よりも低くなり、それにより、ファストリカバリーダイオードによる電流集中効果が改善され、ファストリカバリーダイオードのロバスト性が向上したことを発明者が発見した。
【0010】
なお、本明細書に用いられる用語「主接合ドープ領域」は、主接合領域に位置するエピ層に対してドーピング処理を行うことで得られたものであり、ファストリカバリーダイオードにおけるエピ層の上面からエピ層内へ延伸しているものである。
【0011】
本開示の実施例によれば、ファストリカバリーダイオードによる電流集中効果をさらに改善するために、内から外への方向において、前記主接合ドープ領域におけるドーピング濃度を線形的に低下させるか(図示として、図2を参照する)又は非線形的に低下させる(図示として、図3を参照する)。それにより、主接合ドープ領域において、ドーピング濃度はセル領域から離れる方向に沿って徐々に低くなり、主接合領域における電荷注入効率が低下することにより、電界強度が内から外へ徐々に低くなり、電流が徐々に減少し、さらに、電流集中効果が低下し、応用端のデバイスがオフになった場合のエッジ故障確率が低減されるとともに、ファストリカバリーダイオードの主接合領域のサイズが大幅に低減され、さらにチップのサイズやコストが低減され、パッケージモジュール及び応用システムのサイズが低減されることもでき、コストがさらに削減された。なお、内から外への方向は、セル領域から終端領域に向かう方向を指す。
【0012】
本開示の実施例によれば、電流集中効果を更に良く改善する効果を取得し、かつ製造を容易にしてコストを削減するために、図4を参照して、前記主接合ドープ領域210は、内から外へ、順次に設けられた少なくとも2つの徐変ドープ領域21を含み、且つ、内から外への方向において、複数の前記徐変ドープ領域21における最高ドーピング濃度を徐々に低下させる。本開示の幾つかの具体的な実施例によれば、各徐変ドープ領域におけるドーピング濃度が同じであり(図示として、図5を参照する)、線形的に低下するか(図示として、図6を参照する)又は非線形的に低下する(図示として、図7を参照する)。それにより、主接合ドープ領域において、最高ドーピング濃度が徐々に低下する複数の徐変ドープ領域が設けられることで、ドーピング濃度はセル領域から離れる方向に沿って徐々に低くなり、主接合領域における電荷注入効率が低下することにより、電界強度が内から外へ徐々に低くなり、電流が徐々に減少し、さらに、電流集中効果が低下し、応用端のデバイスがオフになった場合のエッジ故障確率が低減される。
【0013】
本開示の実施例によれば、電流集中効果をより良く改善する効果を取得することができるだけではなく、ファストリカバリーダイオードのサイズがさらに大きくならないようにするために、幾つかの実施例では、図8を参照して、各前記徐変ドープ領域の幅Lが2μm~500μmであり、例えば、2μm、10μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、または、500μmである。別の幾つかの実施例では、各前記徐変ドープ領域の幅が2μm~300μmであってもよい。更に幾つかの実施例では、各前記徐変ドープ領域の幅が10μm~200μmであり、例えば、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、又は200μmであってもよい。なお、主接合領域における複数の徐変ドープ領域の幅が同じであってもよく、異なってもよい。例えば、各徐変ドープ領域の幅Lがいずれも同じである場合、内から外への方向において、複数の徐変ドープ領域の幅が徐々に小さくなる場合などが含まれてもよいが、それらに限らない。当業者は、実際の必要に応じて柔軟に選択することが可能である。本開示の実施例によれば、徐変ドープ領域の数は少なくとも2個であり、それにより、徐々に低下するドーピング濃度の傾向を効果的に形成することができ、エッジでの電流密度がさらに低減され、さらにファストリカバリーダイオードによる電流集中効果が効果的に改善された。
【0014】
本開示の幾つかの具体的な実施例によれば、徐変ドープ領域の数は2~25個であり、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、又は、25個である。それにより、主接合ドープ領域におけるドーピング濃度が内から外へ徐々に低下する傾向を形成することができ、それにより、主接合ドープ領域は、ドーピング濃度が徐々に変化する連続したドープ領域として形成される。それにより、主接合領域における電荷注入効率がさらに低下することができ、電流集中効果が改善された効果を高め、応用端のデバイスがオフになった場合の故障確率が低減される同時に、主接合領域の幅が過大なものとはならず、ファストリカバリーダイオードのサイズを縮小させ、コストを削減することに寄与する。
【0015】
本開示の実施例によれば、主接合領域の幅は20μm~1000μmである(例えば、20μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、又は、1000μmなど)。それにより、主接合領域の幅が狭くなり、チップのサイズを効果的に小さくすることができ、製品のコストが削減される。
【0016】
本開示の幾つかの実施例によれば、図8を参照して、当該ファストリカバリーダイオードにおける複数の徐変ドープ領域の接合深さH1は、セル領域におけるアクティブ領域の接合深さH2と等しいものであってもよい。それにより、ファストリカバリーダイオードの使用性能の向上に寄与するとともに、1回のドーピング処理によって、徐変ドープ領域とアクティブ領域を製造することができ、余計なフォトマスクを追加する必要がなく、製造コストが増加することもない。
【0017】
本開示の実施例によれば、前記セル領域は、PIN構成(平面構造概略図として、図1を参照する)又はMPS構成(平面構造概略図として、図10を参照する)を含む。それにより、異なる応用環境に対する使用要求を満足することができ、応用範囲が更に広くなる。
本開示の幾つかの実施例によれば、図8図9を参照して、ファストリカバリーダイオードは、基板100と、前記基板100の上面に設けられたエピ層200と、前記エピ層200の上面に設けられるとともに、終端領域30に位置するフィールド酸化層301と、前記エピ層200の上面から前記エピ層200内へ延伸している複数の前記徐変ドープ領域21と、前記フィールド酸化層301、前記複数の徐変ドープ領域21の上面に設けられた絶縁誘電体層304と、前記絶縁誘電体層304とセル領域10におけるアクティブ領域302の上面に設けられた陽極金属305と、陽極金属305の上面に設けられたパッシベーション層307と、前記基板100の下面に設けられた裏面金属308と、を含む。勿論、当業者であれば理解できるように、上記構造は、本開示のファストリカバリーダイオードの具体的な構造を例示的に説明するためのものに過ぎず、本開示の開示思想から逸脱しない限り、代替可能又は調整可能な構造を有する他のファストリカバリーダイオードも本開示の保護範囲内にある。
【0018】
さらになお、本開示の添付図面のうちの平面構造概略図は、いずれも、エピ層の上面の平面構造概略図である。つまり、平面構造概略図には、フィールド酸化層、絶縁誘電体層、裏面金属、および、パッシベーション層が示されていない。本開示の添付図面のうちの断面構造概略図には、セル領域について、主接合領域に隣接する一部のみが示され、全部が示されていない。しかも、当業者であれば理解できるように、徐変ドープ領域の形成工程では、ドーピングイオンは通常、一定の拡散が発生し、上記拡散作用により、その隣接する終端領域又はアクティブ領域にも拡散される可能性があるので、図中には、徐変ドープ領域のエッジが他の領域とある程度重なったように示される。例えば、図8には、徐変ドープ領域21とフィールド酸化層301はある程度重なった。なお、本開示のファストリカバリーダイオードにおける基板とエピ層の材質、導電種類(N型又はP型)、徐変ドープ領域とアクティブ領域におけるドーピングイオンの種類、ドーピングイオン濃度、及び、フィールド酸化層、絶縁誘電体、陽極金属、パッシベーション層、裏面金属の材質などはいずれも、当業界での一般的な選択によって選ばれることができ、ここでは制限されていない。
【0019】
本開示の他の態様では、本開示は、上述したファストリカバリーダイオードを製造する方法を提供する。本開示の実施例によれば、図11を参照して、当該方法では、
S100:基板100の上面にエピ層200を形成する(断面構造概略図として、図12を参照する)。
【0020】
本開示の実施例によれば、基板とエピ層の具体的な材質は、特に制限されていない。例えば、基板の材質は、N型シリコン基板、ゲルマニウム基板、炭化ケイ素基板、窒化ガリウム基板などを含むが、それらに限らない。また、エピ層の材質は、シリコン、ゲルマニウム、炭化ケイ素、窒化ガリウムなどを含むが、それらに限らない。
【0021】
本開示の実施例によれば、エピ層を形成する具体的な方法として、熱成長法、物理気相堆積法又は化学気相堆積法などが挙げられ、具体的には、蒸着、スパッタリングなどが考えられる。それにより、プロセスが成熟となり、精度が高くなり、操作が容易となる。
S200:前記エピ層200の上面において、終端領域に位置するフィールド酸化層301を形成する(断面構造概略図として、図13を参照する)。
【0022】
本開示の実施例によれば、フィールド酸化層を形成する材料として、二酸化ケイ素が含まれるが、それに限らない。それにより、材料の供給源が広く、容易に入手できるものとなり、コストが低く、加工されやすく、得られたファストリカバリーダイオードの使用効果も好適である。
【0023】
本開示の実施例によれば、フィールド酸化層を形成する工程では、具体的に、熱成長法、物理気相堆積法又は化学気相堆積法により、エピ層の上面に亘って覆われる酸化層を形成し、そして、フォトマスクを用いて得られた上記酸化層をパターン化し、即ち、主接合領域とセル領域における酸化層を除去することで、終端領域に位置するフィールド酸化層を取得することを含んでもよい。具体的なパターン化のプロセスは、リソグラフィ方法などの方法によって行われてもよいが、ここでは説明を省略されたい。
【0024】
S300:前記フィールド酸化層301によって覆われていない前記エピ層200に対してドーピング処理を行うことで、セル領域10に位置するアクティブ領域302と、主接合領域20に位置する主接合ドープ領域201とを形成する(断面構造概略図として、図14を参照する)。
【0025】
本開示の実施例によれば、ドーピング処理は、イオン注入、接合推進を含んでもよい。具体的なイオン注入の種類及びイオン注入量は、当業者がファストリカバリーダイオードの使用要求及び性能に応じて選択できるものである。本開示の幾つかの実施例では、当該工程で注入されるイオンの種類はP型のものであってもよく、B又はBF2などを含んでもよいが、それらに限らない。また、注入量は、1E11/cm2~5E14/cm2の範囲内における任意の量であってもよい。
【0026】
本開示の実施例によれば、セル領域におけるアクティブ領域のドーピング濃度は、主接合領域における主接合ドープ領域のドーピング濃度とは異なるため、アクティブ領域と主接合ドープ領域に対してドーピング処理をそれぞれ行うことができる。同時に、主接合ドープ領域におけるドーピング濃度の異なる分布状況に応じて、主接合領域に対して低濃度注入ドーピングを1回又は複数回行うことも可能である。例えば、まず、セル領域におけるエピ層に対して、高い注入量でのドーピング処理を行い、その後、主接合領域におけるエピ層に対して、低いドーピング量でのドーピング処理を行うことができ、他の状況では、同様な方法でドーピング処理を行うことができる。勿論、当業者であれば理解できるように、ドーピング処理の手順は特に、制限されておらず、必要に応じて柔軟に調整できる。例えば、まず、主接合領域に対してドーピング処理を行い、その後、セル領域に対してドーピング処理を行うことも可能である。
【0027】
本開示の実施例によれば、主接合ドープ領域は複数の徐変ドープ領域を含む場合、当該工程では、適切なパターンを有するフォトマスクを選択することで、1回のドーピングによれば、アクティブ領域と徐変ドープ領域を同時に形成することも可能である。それにより、操作が容易かつ便利となり、フォトマスクの使用回数を増加する必要がなく、コストが大幅に削減される。
【0028】
本開示の実施例によれば、図19図20を参照して、同一のフォトマスク400(ここで、フォトマスク400において、セル領域に対応する位置が10’であり、主接合領域に対応する位置が20’であり、終端領域30に対応する位置が30’である)を用いてドーピング処理を行う場合、前記フォトマスク400におけるアクティブ領域に対応する位置には、アクティブ領域開口412が設けられており、前記フォトマスク400における前記主接合領域20に対応する位置20’には、内から外へ間隔を置いて設けられた環状開口411が複数含まれ、且つ、内から外への方向において、単位面積当たりの前記フォトマスクでは、前記環状開口の面積が占める割合(即ち、環状開口の面積/上記単位面積)は徐々に低下する。それにより、アクティブ領域が開口412に対応するが、主接合領域が複数の間隔を有する環状開口に対応し、また、環状開口間の位置がフォトマスクによって遮蔽されるので、主接合領域におけるドーピングイオンの量が少なく、接合推進が行われた後、ドーピングイオンが主接合領域において拡散されたことで、アクティブ領域よりもドーピング濃度が低く、且つ、ドーピング濃度が内から外へ徐々に低下する連続した複数の徐変ドープ領域が形成された。
【0029】
本開示の幾つかの実施例では、図20を参照して、単位面積当たりのフォトマスクにおける環状開口の面積が占める割合が大きくなればなるほど、ドーピングイオンの量が多くなり、即ち、形成されたドープ領域におけるドーピング濃度が高くなるため、フォトマスクにおける環状開口411の幅及び隣接する2つの環状開口間の間隔を徐変ドープ領域におけるドーピング濃度に応じて、柔軟に調整することができる。具体的な調整方式は特に、制限されず、内から外への方向において、単位面積当たりの前記フォトマスクでは、前記環状開口の面積が占める割合は徐々に低下するようにすればよい。例えば、フォトマスクにおける複数の環状開口の幅が等しく、即ち、L1=L2=L3となるようにする同時に、隣接する2つの環状開口間の間隔が徐々に大きくなり、即ち、D2<D1となるようにしてもよい。フォトマスクにおける複数の環状開口の幅が内から外へ、徐々に低下し、即ち、L1<L2<L3となるようにすると同時に、隣接する2つの環状開口間の間隔が等しく、即ち、D2=D1となり、又は、徐々に大きくなり、即ち、D2<D1となるようにしてもよい。他の異なるドーピング濃度の分布状況について、当業者は、実際な必要に応じて、開口の形状やサイズの大きさ、および、隣接する2つの環状開口間の間隔を調整することができ、ここでは説明を省略する。
【0030】
本開示の実施例によれば、1つの環状開口に対応して1つの徐変ドープ領域が形成されてもよいし、複数の環状開口に対応して1つの徐変ドープ領域が形成されてもよい。具体的には、実際な必要に応じて柔軟に選択することができる。本開示の幾つかの具体的な実施例によれば、各前記環状開口の幅が1μm~500μmであり、例えば、1μm、5μm、10μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、または、500μmであってもよい。他の幾つかの具体的な実施例では、環状開口の幅は1μm~300μmであってもよい。更に別の幾つかの具体的な実施例では、環状開口の幅が3μm~20μmであり、例えば、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、または、20μmであってもよい。それにより、1回のドーピング処理によれば、アクティブ領域と主接合ドープ領域を同時に形成することが可能であり、工程が簡単で、操作が容易となり、且つ、コストも低くなり、ドーピング濃度が徐々に変化する複数の徐変ドープ領域を効果的に形成することができ、ファストリカバリーダイオードの使用性能が大幅に向上した。
【0031】
本開示の実施例によれば、隣接する2つの環状開口間の間隔は、0μmよりも大きく且つ6μm以下であり、例えば、0.1μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μmなどであってもよい。それにより、適切な幅を有する徐変ドープ領域を取得することに有利なものとなり、電流集中効果が改善された効果は良く、応用端のデバイスがオフになった場合の故障確率が低くなる。本開示の実施例によれば、環状開口の数は2~25個(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個など)であってもよい。それにより、当該フォトマスクを用いて得られた徐変ドープ領域の電荷注入効率が低く、ドーピング処理の効果が良く、電流集中効果の改善及び応用端のデバイスがオフになった場合の故障確率の低減にさらに寄与し、且つ、チップのサイズがさらに小さくなり、コストもさらに低くなる。
【0032】
ここで、なお、上記フォトマスクによって形成された徐変ドープ領域は、イオンの注入および接合推進によって形成されたものであり、注入されたイオンが環状開口からエピ層内へ注入されることしかできず、接合推進の過程中に拡散現象が発生するため、実際に得られたファストリカバリーダイオードでは、各開口に対応して形成されたドープ領域において、内と外の両側のドーピング濃度が中間部分よりも低くなり、図示として、図21を参照する。
本開示の実施例によれば、完全な構造を有するファストリカバリーダイオードを取得することは、下記工程をさらに含んでもよい。
【0033】
S400:前記フィールド酸化層301と前記主接合ドープ領域210の上面に絶縁誘電体層304を形成する(断面構造概略図として、図15を参照する)。
【0034】
本開示の実施例によれば、絶縁誘電体層を形成する材料として、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれるが、それらに限らない。それにより、良好な絶縁性能を有すると共に、保護作用をより良く発揮することができ、同時に材料の供給源が広く、コストも低くなる。
本開示の実施例によれば、当該工程では、熱成長法、物理気相堆積法又は化学気相堆積法などが用いられてもよく、具体的には、蒸着、スパッタリングなどが挙げられる。それにより、プロセスが成熟となり、精度が高くなり、操作が容易となる。
【0035】
本開示の実施例によれば、絶縁誘電体層を形成する工程では、具体的に、熱成長法、物理気相堆積法又は化学気相堆積法により、上記工程で得られた製品の上面に亘って覆われる絶縁層を形成し、そして、フォトマスクを用いて得られた上記絶縁層をパターン化し、即ち、セル領域における絶縁層を除去することで、絶縁誘電体層を取得することを含んでもよい。具体的なパターン化のプロセスは、リソグラフィ方法などの方法によって行われてもよいが、ここでは説明を省略する。
【0036】
S500:前記絶縁誘電体層304と前記アクティブ領域302の上面に陽極金属305を形成する(断面構造概略図として、図16を参照する)。
【0037】
本開示の実施例によれば、当該工程では、電解めっき、無電解めっき、物理気相堆積法又は化学気相堆積法などにより、陽極金属を形成してもよく、具体的には、蒸着、スパッタリングなどが挙げられる。それにより、プロセスが成熟となり、精度が高くなり、操作が容易となる。本開示の幾つかの実施例では、陽極金属は一定のパターン形状を呈している。ここでは、まず、一層に亘った金属層を形成し、その後、対応するパターンを有するフォトマスクを用いて金属層をパターン化して、陽極金属を取得してもよい。
【0038】
本開示の実施例によれば、陽極金属を形成する材料として、金、銀、銅などが含まれるが、それらに限らない。それにより、良好な導電性を有し、且つ、材料の供給源が広く、コストも低くなる。
【0039】
S600:前記陽極金属305の上面にパッシベーション層307を形成する(断面構造概略図として、図17を参照する)。
【0040】
本開示の実施例によれば、当該工程では、熱成長法、物理気相堆積法又は化学気相堆積法などにより、パッシベーション層を形成してもよく、具体的には、蒸着、スパッタリングなどが挙げられる。それにより、プロセスが成熟となり、精度が高くなり、操作が容易となる。本開示の実施例によれば、パッシベーション層を形成する材料として、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれるが、それらに限らない。それにより、良好なパッシベーション性能を有すると共に、保護作用をより良く発揮することができ、且つ、材料の供給源が広く、コストも低くなる。
【0041】
S700:前記基板100の下面に裏面金属308を形成する(断面構造概略図として、図18を参照する)。
【0042】
本開示の実施例によれば、当該工程では、裏面金属を形成する前に、必要に応じて、裏面薄型化の工程をさらに含んでもよい。薄型化の工程は、具体的に、研削、研磨、腐食(電気化学的腐食、湿式腐食やプラズマ腐食及びそれらの組み合わせ)及びそれらの組み合わせ等であってもよい。裏面薄型化の工程によれば、裏面における余計な材料を除去し、体積を小さくし、熱抵抗を低減させ、放熱性能を向上させ、割れのリスクを低減させ、確実性を向上させるとともに、ファストリカバリーダイオードの機械性能及び電気性能の向上に寄与する。
【0043】
本開示の実施例によれば、当該工程では、電解めっき、無電解めっき、物理気相堆積法又は化学気相堆積法などにより、裏面金属を形成してもよく、具体的には、蒸着、スパッタリングなどが挙げられる。それにより、プロセスが成熟となり、精度が高くなり、操作が容易となる。本開示の幾つかの実施例では、裏面金属は一定のパターン形状を呈している。ここでは、まず、一層に亘った金属層を形成し、その後、対応するパターンを有するフォトマスクを用いて金属層をパターン化して、裏面金属を取得してもよい。
【0044】
本開示の実施例によれば、裏面金属を形成する材料として、金、銀、銅などが含まれるが、それらに限らない。それにより、良好な導電性を有し、且つ、材料の供給源が広く、コストも低くなる。
【0045】
本開示の実施例におけるファストリカバリーダイオードを製造する方法によれば、製造工程が簡素化され、操作が容易となり、且つ、周辺に拡散される第1のドープ領域の形成には新規のフォトマスクを追加する必要がなく、プロセスコストが何も増加することがない。
【実施例
【0046】
実施例1
n型シリコン基板の上面にエピ層を成長させ、エピ層の外面において酸化層を堆積して形成し、その後、フォトマスクを用いて酸化層をパターン化処理することでフィールド酸化層を形成し、続いて、エピ層に対してドーピング処理を複数回行うことで、主接合ドープ領域とアクティブ領域を順次に形成し、得られた上記製品の上面に絶縁層を堆積するとともに、フォトマスクを用いて絶縁層をパターン化処理することで絶縁誘電体層を形成し、得られた上記製品の上面に陽極金属を堆積して形成するとともに、陽極金属の上面にパッシベーション層を堆積して形成した後、基板の下面に裏面金属を形成することにより、ファストリカバリーダイオードが得られる。得られた上記ファストリカバリーダイオードの断面構造概略図として、図18を参照する。ここで、アクティブ領域におけるドーピング濃度が5e18/cm3であり、主接合ドープ領域におけるドーピング濃度が1e17/cm3である。
【0047】
得られたファストリカバリーダイオードの性能を検出する。検出の工程では、具体的に、ファストリカバリーダイオードをパッケージして電極を引き出し、サンプルを動的試験回路に接続した後、制御信号を発信して逆方向回復試験を行う。
【0048】
検出の結果として、60個のサンプルは、3000A/uSほどの厳しい条件では、いずれも、エッジでの主接合領域が故障してしまう現象が発生しないこととなる。それにより、当該サンプルが良好な耐電流集中効果を有することは明らかである。
【0049】
実施例2
n型シリコン基板の上面にエピ層を成長させ、エピ層の外面において酸化層を堆積して形成し、その後、フォトマスクを用いて酸化層をパターン化処理することでフィールド酸化層を形成し、続いて、1つのフォトマスクを用いてエピ層に対してドーピング処理を行うことで、主接合ドープ領域とアクティブ領域を一括で形成し、得られた上記製品の上面に絶縁層を堆積するとともに、フォトマスクを用いて絶縁層をパターン化処理することで絶縁誘電体層を形成し、得られた上記製品の上面に陽極金属を堆積して形成するとともに、陽極金属の上面にパッシベーション層を堆積して形成した後、基板の下面に裏面金属を形成することにより、ファストリカバリーダイオードが得られる。得られた上記ファストリカバリーダイオードの断面構造概略図として、図8を参照する。ここで、アクティブ領域におけるドーピング濃度が5e18/cm3である。ドーピング処理で用いられたフォトマスクにおいて、主接合領域に対応する位置には30個の環状開口があり、環状開口の幅が5μmであり、3つの徐変領域に分けられ、徐変領域ごとに10個の環状開口が対応して形成され、3つの徐変領域のうち、隣接する2つの環状開口間の間隔が内から外へ、それぞれ、4μm、6μm、8μmであり、それにより、内から外への方向において、各徐変ドープ領域の濃度が順次に、3e18/cm3、2e18/cm3、1.5e18/cm3となる、ことが得られる。
【0050】
得られたファストリカバリーダイオードの性能を検出する。検出の工程では、具体的に、ファストリカバリーダイオードをパッケージして電極を引き出し、サンプルを動的試験回路に接続した後、制御信号を発信して逆方向回復試験を行う。
【0051】
検出の結果として、40個のサンプルは、3000A/uSほどの厳しい条件では、いずれも、エッジでの主接合領域が故障してしまう現象が発生しないこととなる。それにより、当該サンプルが良好な耐電流集中効果を有することは明らかである。
【0052】
比較例1
実施例1と同様であるが、相違点は主接合領域全体におけるドーピング濃度がアクティブ領域と同じであることである。平面構造概略図として、図1を参照できる。
【0053】
当該比較例による検出の結果として、20個のサンプルは、3000A/uSの試験条件では、4個のサンプルが、エッジでの主接合領域が故障してしまうこととなる。それにより、当該設計では、主接合領域のエッジに深刻な電流集中現象が発生し、故障率が高いことは明らかである。
【0054】
本開示の説明では、理解すべきなのは、用語としての「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが示す方位または位置関係は、添付図面に基づいて示される方位または位置関係であり、本開示を説明しやすく、説明を簡素化するためのものに過ぎず、指す装置または素子が特定の方位を具備しなければならず、特定の方位で構成されたり、操作されたりしなければならないということを指示し、または、暗示するものではない。そのため、それらが本開示を制限するものとして理解されてはならない。
【0055】
また、用語としての「第1の」、「第2の」は、記述する目的を有するものに過ぎず、相対的な重要度を指示し、または、暗示するものとして、あるいは、指し示す構成要件の個数を非明示的に示すものとして、理解されてはならない。それにより、「第1の」、「第2の」が限定された構成要件には、1つまたは複数の当該構成要件が明示または非明示に含まれることが可能である。本開示の説明では、特に具体的かつ明確的に限定された場合を除き、「複数」は、2つまたは2つ以上であることを意味している。
【0056】
本開示では、特に明確な規定や限定がある場合を除き、用語である「取付」、「連接」、「接続」、「固定」などの用語は、広義で理解されるべきである。例えば、固定して接続されてもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、一体化されてもよい。また、機械的に接続されてもよいし、電気的に接続されてもよい。そして、直接に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接に接続されてもよい。なお、2つの素子の内部の連通または2つの素子の相互作用の関係でもよい。当業者にとって、本開示における上記用語の具体的な意味を具体的な状況に応じて理解することができる。
【0057】
本開示では、特に明確な規定や限定がある場合を除き、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴が直接に接触していることを指してもよく、又は、第1の特徴と第2の特徴が中間媒体を介して間接に接触していることを指してもよい。しかも、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」、「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあることを示してもよく、第1の特徴の水平高度が第2の特徴よりも高いことのみを示してもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」、「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあることを示してもよく、第1の特徴の水平高度が第2の特徴よりも低いことのみを示してもよい。
【0058】
本明細書の説明では、参照用語である「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体的な例示」、又は、「幾つかの例示」などの表現は、当該実施例または例示と合わせて説明される具体的な構成要件、構造、材料または特徴が本開示の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを指す。本明細書において、上記用語に対する概略的な表現は、必ずしも同一の実施例または例示を指すものであるとは限らない。しかも、説明される具体的な構成要件、構造、材料または特徴は、任意の1つまたは複数の実施例または例示で、適切な方式により組み合わせられてもよい。また、相互に矛盾しない限り、当業者は、本明細書に説明される異なる実施例又は例示及び異なる実施例又は例示の特徴を結び付け、組み合わせてもよい。
【0059】
以上は、本開示の実施例が既に示され、説明されているが、理解すべきなのは、上記実施例は例示的なものに過ぎず、本開示を規制するものとして理解されてはならない。当業者は、本開示の範囲内に上記実施例を変更、修正、置換、変形することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図19
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