(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】バスデータ符号化を有するセンサを備えたコンベア装置
(51)【国際特許分類】
B65G 23/08 20060101AFI20240710BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20240710BHJP
B65G 43/10 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B65G23/08
B65G43/08 F
B65G43/10
(21)【出願番号】P 2021536336
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086247
(87)【国際公開番号】W WO2020127691
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】102018133482.6
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521268576
【氏名又は名称】インターロール ホールディング アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Interroll Holding AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハイネン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツェ,ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】ブレドーン,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】プンティガム,ウォルフガング
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-046849(JP,A)
【文献】登録実用新案第3123044(JP,U)
【文献】特開2013-142699(JP,A)
【文献】特開2002-012315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 23/08
B65G 43/08
B65G 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア装置において、
a)モータ駆動式搬送ローラであって、
-ローラ軸を中心に回転可能に取り付けられたローラ本体(R)と、
-前記ローラ本体の内部に配置された駆動ユニット(D)であって、前記ローラ本体(R)と軸要素(AX)との間に機械的に結合され、前記軸要素(AX)と前記ローラ本体との間にトルクを発生させるように設計された駆動ユニット(D)と、
-信号を伝送するために前記駆動ユニット(D)に接続された制御データインターフェースと、を有するモータ駆動式搬送ローラと、
b)データバスラインに接続された制御データバスインターフェースを含む制御ユニット(C)であって、前記駆動ユニットに信号接続され、前記制御データバスインターフェースを介してバス符号化データ信号を受信し、受信したデータ信号に基づいて制御信号を生成し、前記制御信号が前記駆動ユニットに送信されることにより、前記制御信号によって予め定められる特性で前記駆動ユニットを作動させる制御ユニット(C)と、
c)搬送状態を検出するセンサ(S)であって、前記ローラ本体(R)の外側に配置され、前記モータ駆動式搬送ローラによって搬送される被搬送物を検出し、前記センサによって監視されるセンサ領域における被搬送物の有無を知らせるセンサ信号を生成する、センサ(S)と、
d)信号を伝送するために前記センサに前記データバスラインとともに接続される電子アドレッシングモジュール(A)であって、
-前記センサにより生成されて前記電子アドレッシングモジュールで受信されるセンサ信号を符号化して、前記センサ信号を特徴付けるデジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックを含むバス符号化センサデータブロックを形成し、
-前記バス符号化センサデータブロックを前記データバスラインに送信する電子アドレッシングモジュール(A)とを備え、
前記制御ユニット(C)は、前記制御データバスインターフェースから前記データバスラインを介して受信した信号を受信および処理することにより、前記電子アドレッシングモジュールによって生成されたバス符号化された前記センサ信号を受信および処理し、前記制御ユニットから前記駆動ユニットの制御信号を生成して送信することを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベア装置において、
前記電子アドレッシングモジュールが、前記ローラ本体の外側に配置され、前記センサに接続するためのアドレッシングモジュール・センサデータインターフェースと、前記データバスラインに接続するためのアドレッシングモジュール・バスデータインターフェースとを有するアドレッシングモジュール・データインターフェースを備え、
前記電子アドレッシングモジュールが、
-前記センサデータインターフェースを介して、前記センサにより生成されたセンサ信号を受信し、
-前記アドレッシングモジュール・バスデータインターフェースを介して、前記バス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンベア装置において、
前記ローラ本体の外側に配置された制御モジュールを備え、この制御モジュールが、
-制御ユニットと、
-制御モジュール・データインターフェースとを備え、この制御モジュール・データインターフェースが、
・バスラインに接続するため
前記制御
データバスインターフェースと、
・信号伝送のために前記駆動ユニットと結合するための制御モジュール・駆動データインターフェースとを含み、
前記制御ユニットは、前記制御モジュール内に配置され、信号伝送のために前記制御
データバスインターフェースおよび前記制御モジュール・駆動データインターフェースに接続され、か
つ、
-
制御モジュール・バスデータインターフェースを制御データバスインターフェースとして使用し、前記制御モジュール・駆動データインターフェースを介して制御信号を前記駆動ユニットに送信するように設計されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコンベア装置において、
-前記制御モジュール・データインターフェースが、センサデータインターフェースを有し、
-前記電子アドレッシングモジュールが、前記制御モジュールの内部に配置され、かつ、
・前記センサデータインターフェースを介して、前記センサにより生成されたセンサ信号を受信し、
・前記制御モジュール・バスデータインターフェースを介して、前記デジタルセンサ信号データブロックをバスラインに送信するように設計されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項5】
コンベア装置において、
a)モータ駆動式搬送ローラであって、
-ローラ軸を中心に回転可能に取り付けられたローラ本体(R)と、
-前記ローラ本体の内部に配置された駆動ユニット(D)であって、前記ローラ本体(R)と軸要素(AX)との間に機械的に結合され、前記軸要素(AX)と前記ローラ本体との間にトルクを発生させるように設計された駆動ユニット(D)と、
-信号を伝送するために前記駆動ユニット(D)に接続された制御データインターフェースと、を有するモータ駆動式搬送ローラと、
b)データバスラインに接続された制御データバスインターフェースを含む制御ユニット(C)であって、前記ローラ本体(R)内に配置され、前記駆動ユニットに信号接続され、前記制御データバスインターフェースを介してバス符号化データ信号を受信し、受信したデータ信号に基づいて制御信号を生成し、前記制御信号が前記駆動ユニットに送信されることにより、前記制御信号によって予め定められる特性で前記駆動ユニットを作動させる制御ユニット(C)と、
c)搬送状態を検出するセンサ(S)であって、前記ローラ本体(R)の外側に配置され、前記モータ駆動式搬送ローラによって搬送される被搬送物を検出し、前記センサによって監視されるセンサ領域における被搬送物の有無を知らせるセンサ信号を生成する、センサ(S)と、
d)前記制御ユニット(C)に組み込まれ、前記制御ユニット(C)のセンサデータインターフェースを介してセンサ信号を受信する電子アドレッシングモジュール(A)であって、
-前記センサにより生成されて前記電子アドレッシングモジュールで受信されるセンサ信号を符号化して、前記センサ信号を特徴付けるデジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックを含むバス符号化センサデータブロックを形成し、
-前記バス符号化センサデータブロックを前記データバスラインに送信する電子アドレッシングモジュール(A)とを備え、
前記制御ユニット(C)は、前記センサデータインターフェースを介して前記センサ信号を受信および処理することにより、前記電子アドレッシングモジュールによって生成されたバス符号化された前記センサ信号を受信および処理し、前記制御ユニット(C)から前記駆動ユニットの制御信号を生成して送信することを特徴とするコンベア装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコンベア装置において、
前記電子アドレッシングモジュール
が、前記制御データバスインターフェースを介して、前記バス符号化センサデータブロックを送信するように設計されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項7】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載のコンベア装置において、
前記電子アドレッシングモジュールが、前記センサ上に設けられ、バスラインに接続するためのアドレッシングモジュール・バスデータインターフェースを有し、
前記電子アドレッシングモジュールが、前記アドレッシングモジュール・バスデータインターフェースを介して、前記デジタルセンサ信号データブロックをバスラインに送信するように設計されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のコンベア装置において、
前記センサが、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を検出するように設計され、前記制御ユニットが、制御信号を生成するための基礎として、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を含むセンサ信号を取得し、前記制御信号を迂回、交差または合流コンベア要素上のアクチュエータに送信するように設計され、前記制御信号により、前記アクチュエータを制御して、前記識別コードまたは前記搬送先から導き出される方向であって、そのために必要なまたは好ましい方向への搬送を実現することを特徴とするコンベア装置。
【請求項9】
請求項
5に記載のモータ駆動式搬送ローラにおいて、
前記電子アドレッシングモジュール(A)が、信号伝送のために前記センサデータインターフェースを介してセンサおよびバスラインに接続可能であり、
前記制御ユニット
が、前記バス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計されていることを特徴とするモータ駆動式搬送ローラ。
【請求項10】
請求項
9に記載のモータ駆動式搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、前記バス符号化センサデータブロックに基づいて、前記制御信号を生成するように設計されていることを特徴とするモータ駆動式搬送ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置、モータ駆動式搬送ローラ、および物品を搬送するためにそのようなモータ駆動式搬送ローラを操作する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベア装置は、被搬送物を搬送セクションに沿って搬送するために使用される。この場合、被搬送物の送り出し、送り込み、上昇または下降、一時的な保管のための装置を、コンベア装置に組み込むことができる。コンベア装置には、1または複数のモータ駆動式搬送ローラが使用される。コンベア設備には、しばしば複数のコンベア装置が設置される。コンベア設備は、搬送される物品、すなわち被搬送物を搬送セクションに沿って連続的に搬送する複数の搬送ゾーンから構成されることが多い。この例では、各搬送ゾーンが、少なくとも1のモータ駆動式搬送ローラと、原則として、別の搬送ローラとを備える。コンベア装置は、そのような搬送ゾーンを搬送セクションの一部として形成することができる。この設計により、複数の物品をコンベア設備内で同時に搬送し、個々の搬送ゾーンのモータ駆動式搬送ローラを適宜作動させることにより、個々の被搬送物間の接触を回避することができる。これにより、いわゆるゼロプレッシャー集積搬送が実現され、今日では、高い搬送密度と効率で被搬送物の損傷に対する高い安全性を確保するために、それが多くの用途で求められている。
【0003】
例えば、単一位置除去を使用してゼロプレッシャー集積でモータ駆動式搬送ローラを作動させることが知られている。この動作モードでは、搬送ローラは、搬送方向下流の隣接する搬送ゾーンが空いている場合にのみ、すなわち、別の被搬送物によって占有されていない場合に、その搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように作動する。別のゼロプレッシャー集積モードは、いわゆるブロック除去モードである。このブロック除去モードでは、隣接する搬送ゾーンに沿ってすべてのモータ駆動式搬送ローラが同時に作動し、隣接する搬送ゾーンが被搬送物を含む場合でも、被搬送物が送り込まれる搬送ゾーンが、それまで当該搬送ゾーンにあった被搬送物を同時に送り出すため、非接触での搬送が可能となる。
【0004】
ゼロプレッシャー集積搬送を使用することにより、物品が搬送セクションに沿って一列に密に並んで連続して搬送されても、物品の損傷を確実に防止することができる。この場合の問題点は、搬送装置による搬送に関連するパラメータが動作の過程で変化する可能性があることと、そのような影響力のあるパラメータが被搬送物について変化し得ることの両方である。例えば、搬送ローラと被搬送物との間の摩擦係数は、摩耗、汚れ、物品の下側の異なる材料特性の結果として変化する可能性があり、それにより多かれ少なかれ滑りが発生する。最前部の搬送物に蓄積された搬送力が作用することにより複数の搬送物が互いに詰まった場合に特に発生し得る物品の損傷を防ぐために、被搬送物の前端部および/または後端部の位置を監視することが知られている。
【0005】
この監視の重要な点は、適切な位置に配置されたセンサであり、従来、そのようなコンベア装置のモータ駆動式搬送ローラを、搬送ローラの上方に配置されたセンサからのセンサ信号に基づいて制御することが知られている。これは通常、搬送セクションに沿って配置された光バリアによって実現されており、この光バリアは、搬送ローラが回転可能に取り付けられたフレーム上の搬送セクションの側部に取り付けられている。先行技術では、搬送ゾーン毎に1つのセンサが設けられている。そのようなセンサからのセンサ信号は、搬送ゾーンのモータ駆動式搬送ローラを作動させるための基準として取得される。センサ信号またはその値は、センサが被搬送物を検出または検知したか否かと、いつ検出または検知したかとに応じたものになる。
【0006】
このようなセンサからのセンサ信号をモータ駆動式搬送ローラの制御に使用するために、センサから中央制御ユニットへ、また中央制御ユニットからモータ駆動式搬送ローラへと、適切な有線データ伝送がセットアップされる。さらに、センサのセンサ信号を、搬送セクションに沿って配置された複数の制御ユニットのローカルインスタンスに送信し、さらに、この制御ユニットを駆動ユニットに接続して駆動ユニットを作動させることが知られている。搬送セクションに沿って配置されたそれらのローカル制御システムは、信号を伝送するために互いに結合されている。
【0007】
この先行技術の欠点は、第一に、それに付随して配線がかなり複雑になることである。さらに、搬送セクションに沿って配置されたセンサとそれに対応する配線は、環境の影響に曝されて、被搬送物の検出を完全に妨げたり、邪魔したり、少なくとも制限したりする。特に、センサや配線は、例えば組立、保守または点検作業中に破損する可能性がある。このような障害は、第一に、搬送設備を完全に停止させることにつながり、特に物流センタや配送センタでは、かなりのコストと一連のイベントの遅延につながる。第二に、そのような障害は、搬送セクションにおける背圧の蓄積を引き起こし、それにより被搬送物に損傷が生じる可能性がある。
【0008】
さらに、コンベア設備の問題点は、コンベア設備内の搬送状態を検出するために、様々なタイプのセンサが頻繁に使用されることである。これは特に、例えば、送り込み、送り出し、様々なレベルへの上昇または下降、一時保管など、様々な搬送機能を実行することができるコンベア設備の場合に生じる。中央制御装置に基づくコンベア設備でも、ローカル制御装置を使用して設計されたコンベア設備でも、そのようなセンサの接続と、そこからの信号の処理は、特に追加の課題となる。組立や修理などの際に誤った接続を行ったり、センサの信号処理が正しく行われなかったり、あるいはプログラムが間違っていたりすると、被搬送物が損傷するような搬送状況が発生する可能性もある。しかしながら、被搬送物の損傷以外にも、組立誤差やプログラミングエラーにより、例えば、被搬送物の間隔の設定が大きくなり過ぎたり、搬送速度の設定が低くなり過ぎたりして、コンベア設備が最適な搬送能力で運転されないという不都合も生じる。
【0009】
本発明は、第一に、被搬送物の安全で損傷のない搬送のためのセンサベースの前提条件を達成し、第二に、コンベア設備の搬送能力を高度に利用することができるコンベア装置を提供するという目的に基づくものである。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、この目的はコンベア装置により達成され、このコンベア装置が、モータ駆動式搬送ローラであって、ローラ軸を中心に回転可能に取り付けられたローラ本体と、ローラ本体の内部に配置された駆動ユニットであって、ローラ本体と軸要素との間に機械的に結合され、軸要素とローラ本体との間にトルクを発生させるように設計された駆動ユニットと、信号を伝送するために駆動ユニットに接続された制御データインターフェースと、を有するモータ駆動式搬送ローラと、データバスラインに接続されるように設計された制御データバスインターフェースを含む制御ユニットであって、駆動ユニットに信号接続され、制御データバスインターフェースを介してバス符号化データ信号を受信し、受信したデータ信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号が駆動ユニットに送信されることにより、制御信号によって予め定められる特性で駆動ユニットを作動させるように設計された制御ユニットと、搬送状態を検出するセンサであって、ローラ本体の外側に配置されたセンサとを備えたコンベア装置によって達成される。本発明によれば、コンベア装置は、信号を伝送するためにセンサおよびバスラインに接続可能な電子アドレッシングモジュールであって、センサにより生成されてアドレッシングモジュールで受信されるセンサ信号を符号化して、センサ信号を特徴付けるデジタルデジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックを含むバス符号化センサデータブロックを形成し、このバス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計された電子アドレッシングモジュールとを備える。
【0011】
搬送ローラの機械的設計により、ローラ本体がローラ軸を中心に回転可能に取り付けられている。このローラ軸は仮想軸の形態であってもよい。ローラ本体は、このローラ軸の周りにトルクを発生させる駆動ユニットによって駆動される。駆動ユニットは、ローラ本体の内部に配置され、ローラ軸周りのトルクに関して、例えば、搬送ローラをスタンドに取り付けるための取付シャフトなどの軸要素に支持されている。軸要素は、典型的には、ローラ本体から片側に突出する軸ジャーナルまたは取付フランジなどであるが、ローラ本体の両端部に配置された2つの軸ジャーナルまたは取付フランジによって形成することも可能である。
【0012】
本発明に係るコンベア装置は、同様に、コンベア装置内の状態を検出するセンサに依存している。このセンサは、様々なセンサタイプの中から選択したセンサとすることができ、例えば、センサは、光バリアセンサ、近接センサ、機械的触覚センサ、リミットスイッチ、位置センサまたは重量測定用の力センサとすることができる。また、本発明におけるセンサは、例えば、バーコードのスキャン、画像評価による画像キャプチャなどによって知覚情報を得る画像キャプチャ装置の分野を意味すると理解することもできる。
【0013】
本発明によれば、センサ用の電子アドレッシングモジュールが設けられている。この電子アドレッシングモジュールは、最初に、センサ信号を受信するように設計されている。最も単純なケースでは、アドレッシングモジュールが、光バリアからのオン/オフ信号を受信することができるが、前述したよりインテリジェントなセンサのケースでは、複雑な画像信号情報またはスキャンされたアナログまたはデジタル情報も受信することができる。一般に、センサからアドレッシングモジュールに送信される信号は、アナログ信号またはデジタル信号とすることができる。アドレッシングモジュールは、アナログ信号とデジタル信号の両方を処理するように設計することができる。しかしながら、本発明によれば、アドレッシングモジュールが、センサからのアナログ信号のみ、またはデジタル信号のみを対象として設計された実施形態も可能である。
【0014】
センサ信号は、バス符号化データネットワーク内のセンサから提供されるセンサ情報を提供することを目的として、電子アドレッシングモジュールの内部で処理される。この目的のために、センサ信号は、先ず、デジタルセンサ信号データブロックに変換される。これは、アナログ信号の場合に必要であるが、デジタル信号を特定のデータフォーマットでフォーマットする目的でも実施できる。アナログセンサ信号の場合は、これによりアナログからデジタルへの変換が行われる。特に、センサ信号は、特定の規格や特定のデータ処理システムなどに従って読み取ることができるようにデジタル信号に変換され、それにより、バス符号化データ処理システム内の受信機が、デジタルセンサ信号データブロックからのセンサ信号を、それがアナログかデジタルであるかに関係なく確認し、センサ信号を評価し、制御プロセスに使用することができるようになる。
【0015】
さらに、電子アドレッシングモジュールは、センサ信号にセンサアドレスデータブロックを割り当てるように設計されている。このようなセンサ信号アドレスデータブロックは、同様に、データの出所に関する情報を含むデジタル符号化データブロックである。このため、センサアドレスデータブロックに基づいて、バス符号化データ処理システム内の任意の受信機が、デジタルセンサ信号データブロックに符号化されたセンサ信号の出所を特定することができる。それは先ず、センサの設置場所としての特定の位置の識別、特徴的な識別コードとしてのセンサの識別、センサのタイプの識別を含むことができる。センサアドレスデータブロックは、さらに、センサのタイプに関するデジタル情報、すなわち、例えば、センサの設計を識別可能にすることができる。また、センサアドレスデータブロックは、デジタルセンサ信号データブロックが意図されている受信機またはそのグループに関する情報も含むことができる。さらに、センサアドレスデータブロックは、デジタルセンサ信号データブロックに示されるセンサ信号がいつ確認されたか、または電子アドレッシングモジュールに送信されたかを示す時間情報も含むことができる。このようにして、センサアドレスデータブロックは、センサ信号をその発生源および発生時刻に応じて一意に識別可能にする。すなわち、センサ信号には、実際に位置およびタイムスタンプが付けられる。これにより、バスラインに接続された受信機は、センサデータブロックに基づいて、センサのセンサ信号をインテリジェントに処理することができる。
【0016】
デジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックは、バス符号化センサデータブロックを形成するために結合され、そのために電子アドレスモジュールも同様に設計されている。その後、電子アドレッシングモジュールは、バス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計されている。この送信プロセスは、バスプロトコルで一貫して行われ、このバスプロトコルに従って、電子アドレッシングモジュールが動作する必要があり、また、この送信プロセスは、バスプロトコルに合わせて適切に設計されている。このように、センサデータブロックは、センサ信号がセンサによって生成された時点、つまり該当する搬送状態がセンサによって検出され、それに応じてセンサ信号が電子アドレッシングモジュールに送信された時点で、必ずしもリアルタイムでバスラインに送信されるわけではない。代わりに、センサデータブロックを時間遅延を伴ってバスラインに送信することもでき、この時間遅延は、純粋なデータ処理の結果として電子アドレッシングモジュール内で発生する短い時間遅延よりも長くなる。この時間遅延は、特に、バスラインの特定のプログラム時間に常に送信することが可能であるという状況によって生じる可能性があり、それらのプログラム時間は、個々のセンサまたはアドレッシングモジュールに特別に割り当てられているか、または、アドレッシングモジュールのようなバスラインに送信する個々のサブスクライバが、他のサブスクライバがバスラインに送信していない場合にのみ、データブロックをバスラインに送信するように設計されている。したがって、アドレッシングモジュールは、それ自体が接続されて送信することになっているバスラインを含むバスラインシステム内の特定の通信規則に基づいて送受信し、それらの通信規則に従ってバスラインにそれ自体の送受信動作を実行するようにも設計されている。
【0017】
好ましくは、アドレッシングモジュールは、バスラインからセンサを作動させるために、バスラインからバス符号化データを受信して処理するようにも設計されている。この機能は、環境値の検出のタイプに応じてまたは時間の経過とともに規定されるセンサ信号を生成するために、様々な環境値を検出できるセンサ、または時間の経過とともに作動することが想定されているセンサに関連している。このため、アドレッシングモジュールは、必要に応じて、受信したバス符号化データに基づいて、アナログセンサまたはバス符号化方式では作動できないセンサを作動させるように設計することが好ましい。
【0018】
第1の好ましい実施形態によれば、電子アドレッシングモジュールが、ローラ本体の外側に配置され、センサを接続するためのアドレッシングモジュール・センサデータインタフェースと、バスラインを接続するためのアドレッシングモジュール・バスデータインタフェースとを有するアドレッシングモジュール・データインタフェースを備え、電子アドレッシングモジュールが、センサデータインタフェースを介して、センサによって生成されたセンサ信号を受信し、アドレッシングモジュール・バスデータインタフェースを介して、バス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計されている。この実施形態によれば、電子アドレッシングモジュールが、コンベア装置の搬送ローラのローラ本体の外側にある別個のユニットの形態をしている。電子アドレッシングモジュールは、例えば、別個の電子サブアセンブリとして実装することができる。この別個の電子サブアセンブリは、センサ信号を受信するために、かつセンサデータブロックを送信するために、適切なインターフェースを有する別個のアドレッシングモジュールハウジング内に配置することができる。この例のアドレッシングモジュール・センサデータインタフェースは、特定のセンサからセンサ信号を受信するように特別に設計されるものであってもよい。また、複数の異なるセンサデータインターフェースが含まれていることにより、あるいはユニバーサルセンサデータインターフェースが形成されていることにより、様々なタイプのセンサから特定の信号を受信するように設計されるものであってもよい。
【0019】
特定の構成は、特定のプラグまたはソケットなどの形態のように、特定のセンサデータライン接続を提供する形態であってもよい。アドレッシングモジュール・バスデータインタフェースは、バスラインを接続するために使用することができ、この場合、バスラインのタイプを様々に選択することができる。このため、例えば、アドレッシングモジュール・バスデータインターフェースの一実施形態は、ASIバスラインを接続するために、圧接技術を使用して実装することができる。他の構成では、例えば、Profibus用の接続方法を使用することができ、また、他の標準化されたバスラインタイプを接続可能にすることができる。このタイプおよびバス規格の選択は、本発明に関連するすべてのバスインターフェースおよびバスラインに適用できることを理解されたい。
【0020】
この好ましい実施形態によれば、電子アドレッシングモジュールが、センサとバスラインとの間に接続される変換ユニットとして機能し、コンベア装置の領域内の任意の位置に別々に配置することができる。この実施形態に係る電子アドレッシングモジュールは、例えば、外部付属品として搬送ローラ上に配置するようにしてもよく、すなわち、軸ジャーナルなどの領域においてコンベア装置のローラ本体の外側に配置するようにしてもよい。電子アドレッシングモジュールは、プラグ接続によって差し込むことができるサブアセンブリとして提供することもでき、このサブアセンブリは、例えば、制御ユニットや搬送ローラなどに差し込んで装着することができる。それを差し込むことにより、アドレッシングモジュール・バスデータインタフェースの一部、またはアドレッシングモジュール・センサデータインタフェースの一部、またはその両方の一部である電気的接続が可能となり、その結果、制御ユニットまたは搬送ローラに接続されたセンサデータラインまたはバスラインが、それによってアドレッシングモジュールに接続され、センサ信号またはバス符号化センサデータブロックの送信に使用することができる。
【0021】
さらに、コンベア装置が、好ましくは、ローラ本体の外側に配置された制御モジュールによって展開され、この制御モジュールが、制御ユニットと、制御モジュール・データインターフェースとを備え、この制御モジュール・データインターフェースが、バスラインに接続するための制御バスデータインターフェースと、信号伝送のために駆動ユニットと結合するための制御モジュール・駆動データインターフェースとを含み、制御ユニットが、制御モジュール内に配置され、信号伝送のために制御モジュール・バスデータインタフェースおよび制御モジュール・駆動データインタフェースに接続され、かつ、制御モジュール・バスデータインターフェースを制御データバスインターフェースとして使用し、制御モジュール・駆動データインターフェースを介して制御信号を駆動ユニットに送信するように設計されている。この実施形態によれば、駆動ユニットを作動させる制御ユニットが、制御モジュールにおいてローラ本体の外側に配置されている。この制御モジュールは、搬送ローラ本体とは別に、物理的にコンベア装置の内部に配置することができ、例えば、信号制御ラインを介して搬送ローラに接続することができる。また、制御モジュールは、代替的には、軸ジャーナルの領域で搬送ローラに取り付けることができ、この取付によって、制御信号を伝送するための適切な電気的接続を行うこともできる。制御モジュールは、最初にコンベヤ装置内のバスラインへの接続を可能にする制御モジュール・データインターフェースを備え、これにより、制御ユニットがバスラインを介して送信されるすべての情報を受信して処理することが可能になる。さらに、制御モジュールには、制御モジュール・駆動データインターフェースが設けられ、この制御モジュール・駆動データインターフェースにより、制御ユニットから駆動ユニットへの信号伝送のための接続が可能となる。制御モジュール・バスデータインターフェースと制御モジュール・駆動データインターフェースはともに、適切なソケットまたはプラグによって形成することができ、あるいは圧接技術を用いた接続または個々のより線接続などによる接続をインターフェース上で実施することができる。
【0022】
特に好ましくは、制御モジュール・データインタフェースが、センサデータインタフェースを有し、電子アドレッシングモジュールが、制御モジュールの内部に配置され、かつ、センサデータインターフェースを介して、センサにより生成されたセンサ信号を受信し、制御モジュール・バスデータインターフェースを介して、デジタルセンサ信号データブロックをバスラインに送信するように設計されている。この実施形態によれば、電子アドレッシングモジュールが、制御モジュールの内部に配置されている。特に、電子アドレッシングモジュールは、この制御モジュール内の制御ユニットと一体的に実装することができ、つまり、制御ユニットとともに電子回路として製造することができる。アドレッシングモジュールと制御ユニットを制御モジュールに統合することにより、本発明に係るコンベア装置内でのコンパクトな設計と容易な接続が可能になる。このため、制御モジュールには、センサ信号を制御モジュールに送信するためにセンサを接続することができるセンサデータインタフェースが追加されている。このため、制御モジュール内において、このセンサ信号を先ずアドレッシングモジュールにより処理して、バスラインに供給することができる。次に、センサ信号を、制御ユニットにより直接処理して、例えば、そこから制御信号を生成して、当該制御信号を駆動ユニットに送信することができる。代替的には、制御ユニットは、制御モジュール・バスデータインタフェースからバスラインを介して受信した信号を受信および処理することにより、アドレッシングモジュールによって生成されたバス符号化センサ信号を受信して処理することもでき、それにより、そこから駆動ユニット用の制御信号を生成して、当該制御信号を駆動ユニットに送信することができる。
【0023】
さらに好ましい実施形態によれば、制御ユニットが、ローラ本体に配置され、センサを接続するためのセンサデータインタフェースを有し、センサデータインタフェースを介してセンサ信号を受信するように設計されている。この実施形態によれば、制御ユニットは、ローラ本体に配置され、センサデータインタフェースによってセンサを接続する機会を有する。基本的には、このセンサデータインタフェースは、制御データバスインタフェースとすることができ、つまり、制御データバスインタフェースとセンサデータインタフェースが一体的に実装され、センサデータが、バス符号化センサデータ信号として制御データバスインタフェースを介して制御ユニットに受信されることになる。この構成は、例えば、アドレッシングモジュールが別個のサブアセンブリとしてローラ本体の外側に配置されて、バス符号化センサ信号データがバスラインに既に存在している場合に有利である。センサデータインタフェースは、制御ユニットの制御データバスインタフェースとは別の独立したインタフェースとして実装することもできるが、例えば、アナログまたはデジタルのセンサ信号を出力するセンサを直接接続するために、アドレッシングモジュール・センサデータインタフェースのような上述した方法で実装することができる。ローラ本体内の制御ユニットは、ローラ本体内で論理的な制御ステップと制御決定を実行する。この実施形態では、ローラ本体の外側にある中央制御ユニットおよびローカル制御ユニットはともにもはや必要ではなく、よって好ましくは省略することができる。ローラ本体内に配置された制御ユニットは、センサデータインタフェースおよび制御データバスインタフェースを使用して、搬送ローラの駆動ユニットの作動方法に関する論理的な制御関連決定を行うために必要なすべての信号データを受け取る。特に、この制御決定は、駆動ユニットを接続または切断するためのバイナリ制御コマンドを含むが、さらに、駆動ユニットの加速動作、制動動作、最大速度に関する更なる制御コマンドも含む。さらに、制御ユニットは、駆動ユニットの監視機能を担うことができ、この目的のために、例えば、モータ電流の測定、温度検出、駆動ユニットの動作期間および最大負荷パラメータの記録、これらの値の記憶、および制御ユニットからこれらの値を読み取ることができる機会などのために設計され、それらをローラ本体の外側の受信ユニットに送信することができる。制御ユニットは、ブラシレス電気モータを制御するための整流電子部品をさらに含むことができる。ローラ本体内に制御ユニットを配置することで、コンベア装置内の隣接する2つの搬送ローラ間で直接信号接続および通信を行うことができる。特に、例えば、バスラインを使用して、1つの搬送ローラの制御データバスインターフェースから、複数の他の搬送ローラの他の制御データバスインターフェースにデータを送信することができ、これには、2つの搬送ローラの搬送ローラ本体の外側にあるローカル制御ユニットまたは中央制御ユニットを介在または使用可能にする必要はない。
【0024】
特に好ましくは、電子アドレッシングモジュールがローラ本体に配置され、センサデータインタフェースが電子アドレッシングモジュールに接続され、電子アドレッシングモジュールが、好ましくは制御データバスインタフェースを介してバス符号化センサデータブロックを伝送するように設計されている。この実施形態によれば、電子アドレッシングモジュールがローラ本体内に配置されていることにより、センサ信号のバス符号化も同様にローラ本体内で行われることになる。この例の電子アドレッシングモジュールは、特に制御ユニットと一体的に実装することができる。機能に関しては、電子アドレッシングモジュールは、センサデータインターフェースを介してセンサ信号を受信し、これらのセンサ信号を上述した方法でバス信号として符号化し、その後、バスラインへの適切な接続を介して、バス符号化センサデータブロックとしてバスラインに送信することができる。このバスラインへの接続は、好ましくは制御データバスインターフェースによって形成され、その結果、バスラインからの制御関連信号の受信と、バス符号化センサデータブロックの送信とが、1つの同じバスインターフェースを介して行われる。制御ユニットおよびアドレッシングモジュールの一体化した実施形態は、さらに、任意選択的に、センサローラからのバスデータを別々にまたは一緒に送信することができる。このため、駆動ユニットの動作状態を特徴付けるデータコンテンツ、すなわち、例えば、搬送ローラの速度、加速度、制動動作または不変パラメータを含むデータパケットを、制御ユニットによって搬送ローラから送信することができる。さらに、上述したセンサデータブロックに対応するデータパケットであって、アドレス指定や場合によってはタイムスタンプを含む、バス符号化センサ信号を含むデータパケットを送信することができる。しかしながら、代替的には、両方のデータパケットを結合データパケットとして送信することも可能である。その場合、例えば、センサと搬送ローラは、1つの同じ割り当てられたバスアドレスを持つことができ、それは、例えば搬送ゾーンに物理的に対応することができる。その場合、データパケットには、第一にセンサデータブロック、第二に駆動ユニットの動作状態を特徴付ける追加データコンテンツが含まれている。このため、ある搬送ゾーンから隣接する搬送ゾーンに関連するすべての情報を、単一のデータパケットにまとめてローラ本体からバスラインに送信することができる。
【0025】
さらに、センサが、好ましくは、搬送ローラによって搬送される被搬送物を検出し、センサによって監視されるセンサ領域における被搬送物の有無を知らせるセンサ信号を生成するように設計されている。この実施形態によれば、センサが、被搬送物を検出するように設計されている。この目的のために、センサは、特に光バリアセンサであってもよい。このタイプのセンサは、駆動ユニットの制御に直接関連する搬送ゾーン内の状態を検出する。この直接的な関連性は、センサ信号の直接処理およびそのバス符号化との組合せにより、高速かつ信頼性の高いデータ処理に特に有利である。センサは、この例ではローラ本体の内部に基本的に配置することもできる。このため、例えば搬送ローラ上の支持荷重は、例えばセンサにより検出される荷重支持コンポーネント上の張力または歪みの形態の機械的応力によって、センサによって検出されることができ、例えば、センサは、歪みゲージとしてローラに組み込むことができる。ローラ内部に配置される他のセンサの形態も同様に考えられ、例えば、適切な設計のセンサによってローラ本体の周囲の静電界を検出することもできる。また、センサは、駆動ユニットの動作パラメータを評価することで、一体的に形成することも可能である。このため、例えば、加速中、定速時、減速中の駆動ユニットの負荷を区別することで、搬送ローラが被搬送物を搬送しているのか、またはアイドリングしているのかを確認することができ、これにより、搬送ローラの上方に被搬送物が存在するか否かを判定することができる。
【0026】
さらに、電子アドレッシングモジュールが、好ましくは、センサ上に形成され、バスラインに接続するためのアドレッシングモジュール・バスデータインタフェースを有し、電子アドレッシングモジュールが、アドレッシングモジュール・バスデータインタフェースを介して、デジタルセンサ信号データブロックをバスラインに送信するように設計されている。この実施形態によれば、センサがアドレッシングモジュールと一体的に形成されている。センサは、バス符号化センサ信号をバスラインに伝送するように既に設計されており、センサがバスラインに直接接続される。この実施形態は、新規のセンサまたは既存のコンベア装置に新たに組み込まれたセンサであって、新規の機器規格に従ってバス符号化センサとして既に実装されているセンサに特に適している。本発明によれば、この例では、既存のコンベア装置において新規のセンサのそのような統合を実施することができ、コンベア装置に追加的に存在するセンサを、電子アドレッシングモジュールによる適切な符号化を通じて、コンベア装置内のバス符号化信号交換に完全に統合することができる点において特に有利である。
【0027】
さらに好ましい実施形態によれば、センサが、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を検出するように設計され、制御ユニットが、制御信号を生成するための基礎として、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を含むセンサ信号を取得し、制御信号を迂回、交差または合流コンベア要素上のアクチュエータに送信するように設計され、制御信号により、アクチュエータを制御して、識別コードまたは搬送先から導き出される方向であって、そのために必要なまたは好ましい方向への搬送を実現する。この実施形態によれば、センサによって検出される被搬送物の識別、またはセンサによって検出される被搬送物のコンベア装置内の搬送先の何れかを特徴付ける信号を生成するために、センサが使用される。これは、例えば、被搬送物に配置されたバーコードやRFIDタグなどを読み取ることで実現できる。このセンサ信号は、制御ユニットによって処理され、制御ユニットは、識別を特徴付けるセンサ信号の場合、例えば、識別された各被搬送物の搬送先を記録および格納する搬送指示テーブルでの比較を含むことができる。この処理の結果は、アクチュエータを制御するために使用される制御信号である。アクチュエータは、昇降デバイスを作動させることができ、送り出しコンベアユニットまたは送り込みコンベアユニットを作動させたり、別の方法で方向に影響を与えるコンベア要素を作動させたりすることができる。制御信号は、被搬送物を搬送先に導く様々な方向のなかから、被搬送物をある特定の方向に誘導する動作を引き起こす。
【0028】
本発明の更なる態様は、上述した実施形態の何れか一つに係るコンベア装置のためのモータ駆動式搬送ローラであって、ローラ軸を中心に回転可能に取り付けられたローラ本体と、ローラ本体の内部に配置された駆動ユニットであって、ローラ本体と軸要素とに機械的に結合され、軸要素とローラ本体との間にトルクを発生させるように設計された駆動ユニットと、信号を伝送するために駆動ユニットに接続された制御データインターフェースと、データバスラインに接続されるように設計された制御データバスインターフェースを含む制御ユニットとを備え、制御ユニットは、駆動ユニットに信号接続され、制御データバスインターフェースを介してバス符号化データ信号を受信し、受信したデータ信号に基づいて制御信号を生成し、制御信号が駆動ユニットに送信されることにより、制御信号によって予め定められる特性で駆動ユニットを作動させるように設計され、制御ユニットが、ローラ本体に配置され、制御データバスインターフェースを介して、バス符号化センサ信号を受信するように設計されている点において、モータ駆動式搬送ローラが展開されている。
【0029】
この態様によれば、本発明は、バス符号化センサ信号を処理するように設計されたモータ駆動式搬送ローラで実現される。このモータ駆動式搬送ローラは、特に、上述したようなコンベア装置に使用することができる。このタイプのコンベア装置では、センサ信号が、アドレッシングモジュールで行われる符号化により、バス符号化センサ信号の形態で利用可能であり、よって、対応するバス符号化センサ信号として搬送ローラにより受信することができる。
【0030】
本発明のこの態様に係るモータ駆動式搬送ローラは、特に、制御ユニットが、センサデータインタフェースと、信号伝送のためにセンサデータインタフェースを介してセンサおよびバスラインに接続可能な電子アドレッシングモジュールとを備え、かつ、センサデータインターフェースを介してアドレッシングモジュールで受信したセンサ信号を符号化して、センサ信号を特徴付けるデジタルデジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックを含むバス符号化センサデータブロックを形成し、バス符号化センサデータブロックをバスラインに送信するように設計されている点において展開されている。この展開によれば、センサ信号のバス符号化を実行するアドレッシングモジュールが、ローラ本体の内部に配置されており、よって本発明のこの態様に係る搬送ローラは、先ず、バス符号化されていないセンサ信号を受信して、それらセンサ信号をバス符号化することができ、センサ信号の処理は、バス符号化されていないセンサ信号が処理されることにより、またはバス符号化されたセンサ信号が処理されることにより、それらのセンサ信号に基づいて駆動ユニットのための制御信号を生成することを目的として、制御ユニットの内部で行われることになる。さらに、制御ユニットは、バスラインからバス符号化センサデータブロックを受け取り、それらを処理するように設計することができる。それには、搬送ローラ自体に含まれる電子アドレッシングモジュールによって符号化されて送信されたバス符号化センサデータブロックと、ローラの外部にある他のセンサによって作成され、ローラの外部に配置された電子アドレッシングモジュールによってバス符号化されたバス符号化センサデータブロックの両方が含まれる。
【0031】
また、モータ駆動式搬送ローラは、バス符号化センサデータブロックに基づいて制御ユニットが制御信号を生成するように設計されているという点において、さらに展開することができる。この展開によれば、制御ユニットは、バス符号化センサデータブロックを、制御信号を生成するための基礎として使用するように設計されている。このため、制御ユニットによる制御は、搬送ローラで受信されたバス符号化されていないセンサ信号が、先ず、搬送ローラ内のアドレッシングモジュールによって、つまり搬送ローラのローラ本体内で、バス符号化センサデータブロックに符号化され、バスラインを介して送信されるように行われる。このバス符号化センサデータブロックは、制御ユニットによって処理されるが、この処理は、バスラインから信号を受信した後、またはアドレッシングモジュールから直接送信することによって行うことができる。このバス符号化センサデータブロックのコンテンツに基づいて、駆動ユニットを作動させるための制御信号の生成がローラ本体内で行われる。
【0032】
最後に、本発明の更なる態様は、搬送セクションの複数の搬送ゾーンに沿って物品を搬送するためのモータ駆動式搬送ローラの操作方法であって、搬送ゾーンのうちの1つにおいて、センサで物品を検出するステップと、物品の検出を示すデジタルセンサ信号データブロックと、物品が検出された搬送ゾーンを示すセンサアドレスデータブロックとを生成するステップと、デジタルセンサ信号データブロックおよびセンサアドレスデータブロックをマージして、バス符号化デジタルセンサ信号データブロックを形成するステップと、バスラインを介してデジタルセンサ信号データブロックを送信するステップと、デジタルセンサ信号データブロックを制御ユニットで受信するステップと、デジタルセンサ信号データブロックに基づいて、制御信号を生成するステップと、制御信号を用いて、搬送ローラの駆動ユニットを作動させるステップとを備える。
【0033】
本発明に係る方法は、バス符号化されていないセンサ信号をバス符号化センサ信号に符号化する上述したステップを実施する。さらに、本発明に係る方法は、それらのバス符号化センサ信号を、上述した方法で送信することを含むことができる。最後に、上述した方法でセンサ信号またはバス符号化センサデータブロックを処理することも、この方法の展開の一部である。これらの方法ステップに関しては、コンベア装置内の適切に設計された実質的な形態、すなわち、アドレッシングモジュール、制御ユニット、モータ駆動式搬送ローラ、ローラ本体の外側に配置された任意のアドレッシングモジュール、ローラ本体の外側に配置され、場合によってはアドレッシングモジュールが含まれる任意の制御モジュールの構成、またはローラ本体内の制御ユニットおよび/またはアドレッシングモジュールの配置構成に関する先に述べた説明を参照されたい。
【0034】
特に、本方法においては、制御ユニットがセンサ信号を受信し、センサ信号をデジタルセンサ信号データブロックに符号化することが好ましい。
【0035】
さらに、制御ユニットが、ローラ本体に配置され、搬送ローラに配置された制御データバスインタフェースを介して、デジタルセンサ信号データブロックをバスラインに送信することが好ましい。この実施形態によれば、制御ユニットによってセンサ信号がバスラインに送信されるため、バスラインネットワーク内の他の受信機が利用できるようになる。これにより、バス符号化センサ信号が任意の受信機で処理できることにより、インテリジェントな制御プロセスをコンベア装置で実現することができ、よって、空間的および時間的に予測可能な制御決定がコンベア装置内で行われる。
【0036】
さらに、センサが、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を検出するために使用され、制御ユニットが、制御信号を生成するための基礎として、被搬送物に割り当てられた識別コードまたは被搬送物に割り当てられた搬送先を含むセンサ信号を取得し、制御信号を迂回、交差または合流コンベア要素上のアクチュエータに送信し、制御信号により、アクチュエータを制御して、識別コードまたは搬送先から導き出される方向であって、そのために必要なまたは好ましい方向への搬送をもたらすように制御が進められることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、本発明に係るコンベア装置の第1の実施形態を示している。
【
図2】
図2は、本発明に係るコンベア装置の第2の実施形態を示している。
【
図3】
図3は、本発明に係るコンベア装置の第3の実施形態を示している。
【
図4】
図4は、本発明に係るコンベア装置の第4の実施形態を示している。
【
図5】
図5は、本発明に係るコンベア装置の第5の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
先ず、
図1を参照すると、搬送セクションを形成するように配置可能な複数の搬送ローラを有するコンベア装置の詳細が示されている。各搬送ローラは、ローラ本体Rを有し、対応する搬送ゾーンに配置されている。この図面は、2つの搬送ゾーンと、それに対応して2つの搬送ローラとを有する詳細を示している。
【0039】
ローラ本体の内部には、駆動ユニットDが配置され、この駆動ユニットが、軸ジャーナルAXとローラ本体Rとの間にトルクを発生させて、それにより、軸ジャーナルAXに対してローラ本体を回転させる。
【0040】
図1に示す実施形態では、駆動ユニットDが、制御ラインSCを介して作動される。この制御ラインは、駆動ユニットを、ローラ本体の外側に配置された制御ユニットCに接続している。このため、制御ラインSCは、中空軸の形態である軸ジャーナルAXを介して配線されている。駆動ユニットには、さらに電源を配線する必要があり、この電源も同様に、軸ジャーナルAXを介して配線された適切な電力ラインによって実現できることを理解されたい。この電力ラインは、図面には描かれていない。
【0041】
制御ユニットCは、バス接続BCによってバスラインBに接続されている。このバスラインBは、個々の搬送ゾーンの制御ユニットを相互に接続し、それらの制御ユニット間の通信を可能にする。
【0042】
また、搬送ローラの領域には、被搬送物の有無を検出できるセンサSが設けられている。このセンサは、アナログ信号を出力し、このアナログ信号は、センサ信号ラインSSを介してアドレッシングモジュールAに送信される。アドレッシングモジュールは、ローラ本体の外部に配置され、制御ユニットCとは別個に配置されている。アドレッシングモジュールでは、センサ信号がバス符号化されて、バスアクセスラインBAを介して、センサデータブロックとしてバスラインBに供給される。このため、バスラインBに接続された受信機は何れも、このセンサ信号を受信することができ、このセンサ信号を、特定の搬送ゾーンにある特定のセンサからのものであり、かつ特定の時間に検出されたものとして、識別することができる。また、バスアクセスラインBAは、アドレッシングモジュールAがバスラインからデータを受信するためにも使用される。
【0043】
図2は、第1の実施形態とは異なる第2の実施形態を示している。この場合の違いは、この実施形態のセンサSが、既にバス符号化センサとして実装されていることである。そのため、センサには、センサ信号をバス符号化センサ信号としてセンサから出力するアドレッシングモジュールが含まれる。センサとアドレッシングモジュールは、1つのセンサハウジングに一体的に実装されている。そのため、センサハウジングは、バスアクセスラインBAを介してバスラインに直接接続されている。このようにしてバス符号化センサデータパケットの形態で供給されたセンサ信号は、
図1に示すように、接続された受信機で受信して処理することができる。
【0044】
図3は、本発明の第3の実施形態を示している。この実施形態では、アドレッシングモジュールAが制御ユニットCに組み込まれている。このため、センサSは、アドレッシングモジュールAにセンサ信号を供給するために、センサラインSSによって制御ユニットCに接続されている。このようにして供給されたセンサ信号は、制御ユニットCの内部で直接処理することができる。センサ信号は、バスアクセスBCAを介してバスラインBに送られる。バスアクセスBCAは、制御ユニットまたはアドレッシングモジュールAがバスラインからデータを受信したり、例えば駆動ユニットDまたは搬送ローラの動作データなどのデータをバスラインに送信したりするためにも使用される。
【0045】
図4は、第4の実施形態を示している。この実施形態では、制御ユニットCがローラ本体R内に組み込まれている。このため、制御ユニットCとバスラインBとの間を接続するための接続ラインBCが、軸ジャーナルAXを貫通して延びており、ローラ本体内の制御ユニットをバスラインに直接接続している。したがって、バス符号化制御信号は、直接ローラ本体に送られ、ローラ本体内にある制御ユニットで受信することができる。
【0046】
この実施形態では、アドレッシングモジュールA、センサラインSSおよびアクセスラインBAを備えたセンサSが、
図1のように実装されている。基本的には、この実施形態は、アドレッシングモジュールがセンサに一体的に形成された
図2に示すような実施形態にも適用可能であることを理解されたい。
【0047】
図5は、第5の実施形態を示している。この実施形態でも、制御ユニットはローラ本体Rに組み込まれている。つまり、ローラ本体Rの内部に配置されている。
【0048】
アドレッシングモジュールAは、制御ユニットCに組み込まれており、同様にローラ本体の内部に配置されている。そのため、センサ信号ラインSSは、センサ信号をアドレッシングモジュールに送信するために、センサから軸ジャーナルAXを通ってローラ本体の内部に延びている。さらに、バスラインBCAが軸ジャーナルを通って延びており、このバスラインが、制御ユニットとアドレッシングモジュールをバスラインBに接続している。この実施形態では、アドレッシングモジュールを組み込んだ制御ユニットによる該当信号の処理を、第3の実施形態と同様に実施することができる。これにより、複雑な配線の少ない、特にコンパクトなコンベア装置の設計が可能となる。
【0049】
基本的に、図示の5つの実施形態は、それぞれの特定の場合において、全体として、実施形態の1つによる一貫した設計であるコンベア装置の基礎となり得ることを理解されたい。しかしながら、ここでの接続バスラインは、各特定の場合における各実施形態において一貫した信号伝送を保証するものであり、5つの実施形態の間の任意のハイブリッド形態も、コンベア装置において実現可能であることを意味している。すなわち、コンベア装置において、第1の実施形態による接続設計を有する搬送ローラおよびセンサの両方を、第2の実施形態による接続に基づく搬送ローラおよびセンサと、第3の実施形態および/または第4の実施形態および/または第5の実施形態による接続に基づく搬送ローラおよびセンサとが接続可能なバスラインに接続することができる。理論的には、図示の5つの実施形態はすべて、単一のコンベア装置において互いに組み合わせることができ、バスラインを介して互いに通信することができるため、任意の搬送フロー制御を実現することが可能である。この組み合わせ可能性により、本発明に係る構成は、既存のコンベア設備のアップグレード、様々なセンサの統合、および非常に複雑なコンベア装置における接続設計に関して、特に汎用性および可変性がある。特に、そのようなコンベア装置の拡張や故障した部品の交換も、本発明に係る実施形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
A アドレッシングモジュール
AX 軸ジャーナル、軸要素
B バスライン
BA バスアクセスライン
BC バス接続
BCA バスアクセス
C 制御ユニット
D 駆動ユニット
R ローラ本体
S センサ
SC 制御ライン
SS センサ信号ライン