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特許7518838レバウジオシドの高効率な生成のためのABCトランスポーター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】レバウジオシドの高効率な生成のためのABCトランスポーター
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/19 20060101AFI20240710BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240710BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240710BHJP
   C12P 19/56 20060101ALI20240710BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20240710BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20240710BHJP
   C12P 7/04 20060101ALI20240710BHJP
   C12P 7/26 20060101ALI20240710BHJP
   C12P 7/40 20060101ALI20240710BHJP
   C07K 14/395 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C12N1/19 ZNA
C12N1/15
C12N1/21
C12P19/56
C12N9/02
C12N9/10
C12P7/04
C12P7/26
C12P7/40
C07K14/395
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021542445
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020014859
(87)【国際公開番号】W WO2020154549
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】62/796,228
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511289736
【氏名又は名称】アミリス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヒマン,ゲイル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ルンド,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハンシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ション,イ
【審査官】坂井田 京
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-522569(JP,A)
【文献】特表2017-528125(JP,A)
【文献】特表2016-506743(JP,A)
【文献】国際公開第2017/025648(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/025649(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 1/38
C12N 5/00- 5/28
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のステビオール配糖体を生成する能力がある遺伝子組換え宿主細胞であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号28、配列番号29及び配列番号30からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むABCトランスポーターをコードする異種核酸を含む遺伝子組換え宿主細胞。
【請求項2】
ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)、ent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CPS)、ent-カウレンシンターゼ(KS)、ent-カウレン19-オキシダーゼ(KO)、ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)、チトクロムp450レダクターゼ(CPR)及び1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)をコードする核酸をさらに含む、請求項1に記載の遺伝子組換え宿主細胞。
【請求項3】
前記ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)は、配列番号9に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CPS)は、配列番号10に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ent-カウレンシンターゼ(KS)は、配列番号11に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ent-カウレン19-オキシダーゼ(KO)は、配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)は、配列番号13に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記チトクロムp450レダクターゼ(CPR)は、配列番号14に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の遺伝子組換え宿主細胞。
【請求項4】
前記1以上のステビオール配糖体は、Reb A、Reb B、Reb D、Reb E及びReb Mからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子組換え宿主細胞。
【請求項5】
ステビオール又は1以上のステビオール配糖体を生成するための方法であって、
(a)請求項1~4のいずれか一項に記載の宿主細胞の集団を、炭素源を有する培地中において、ステビオール又は1以上のステビオール配糖体を作るのに適した条件下で培養するステップであって、培養液を得る、ステップと、
(b)前記培養液から前記ステビオール又は1以上のステビオール配糖体を回収するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の交互参照
本願は、2019年1月24日に出願された「ABC TRANSPORTERS FOR THE HIGH EFFICIENCY PRODUCTION OF REBAUDIOSIDES」という名称の米国仮特許出願第62/796,228号の利益を主張し、その開示の内容は、参照により本願に完全に援用される。
【0002】
2.発明の分野
本開示は、特定のABCトランスポーターと、それを含む宿主細胞と、ステビオール及び/又はレバウジオシドD及びレバウジオシドMを含むレバウジオシドの生成のためのそれらの使用方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
[0001] 天然供給源由来の低カロリー甘味料は、高糖消費の健康効果を制限するために所望される。ステビア植物(ステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia rebaudiana Bertoni))は、ステビオール配糖体と称される種々の甘味のグリコシル化ジテルペンを生成する。全ての公知のステビオール配糖体の中で、Reb Mは、最高の効力を有し(スクロースよりも約200~300倍甘い)、最も魅力的な香味特性を有する。しかし、Reb Mは、専らステビア植物により微量しか生成されず、全ステビオール配糖体含量の小画分であり(<1.0%)、ステビア葉からのReb Mの単離を非実用的なものとする。Reb Mを得る代替的方法が求められている。1つのかかる手法は、持続可能な原料供給源からReb Mを大量に生成する微生物(例えば、酵母)を設計するための合成生物学の適用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0002] 合成生物学を用いて生成物を経済的に生成するため、原料から生成物への生物変換における各ステップは、高い変換効率(理想的には>90%)を有することが求められる。Reb Mを生成するための本発明者らの酵母の設計において、Reb Mの細胞質蓄積が、酵母中に設計されたステビオール配糖体代謝経路を抑制し、それにより発酵実施における総収量が制限されることを本発明者らは認めた。この抑制は、ステビオール配糖体生合成に関与する1以上の酵素の生成物阻害又は最終産物阻害に起因する可能性が高い。したがって、生合成によるReb M生成の変換効率を高めるため、生成物阻害を軽減する新規な機構が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
4.発明の概要
[0003] Reb Mの改善された生成のための遺伝子組換え宿主細胞、組成物及び方法が本明細書に提供される。これらの組成物及び方法は、一部には、Reb Mなどのステビオール配糖体を生成するように遺伝子組換えされている宿主細胞内での特定の異種ABCトランスポーターの発現に基づく。これらのABCトランスポーターは、特定のステビオール配糖体、好ましくはReb M及び/又はそれに関連した高分子量のステビオール配糖体レバウジオシドD(Reb D)をサイトゾルから細胞外空間又は細胞内小器官、例えば酵母液胞の内腔のいずれかに輸送する能力がある。Reb D及びReb Mのような特定のステビオール配糖体の隔離は、ステビオール配糖体の蓄積に起因する生成物阻害を軽減することにより、ステビオール配糖体代謝経路の効率を増強する。
【0006】
[0004] 本発明の一態様では、産業的に有用な化合物の生成のための遺伝子組換え宿主細胞及びそれらの使用方法が本明細書に提供される。一態様では、1以上のステビオール配糖体を生成する能力がある遺伝子組換え宿主細胞が本明細書に提供され、ここで、宿主細胞は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号28、配列番号29及び配列番号30の配列から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するABCトランスポーターをコードする異種核酸を含有する。
【0007】
[0005] 本発明の一実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号28、配列番号29及び配列番号30からなる群から選択される配列を有するアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、本発明の遺伝子組換え宿主細胞は、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)、ent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CPS)、ent-カウレンシンターゼ(KS)、ent-カウレン19-オキシダーゼ(KO)、ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)、チトクロムp450レダクターゼ(CPR)及び1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)をコードする核酸を含有する。さらなる実施形態では、1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、EUGT11、UGT85C2、UGT74G1、UGT91D_like3、UGT76G1及びUGT40087から選択される。本発明のさらなる実施形態では、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)は、配列番号9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CPS)は、配列番号10に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ent-カウレンシンターゼ(KS)は、配列番号11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ent-カウレン19-オキシダーゼ(KO)は、配列番号12に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)は、配列番号13に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、チトクロムp450レダクターゼ(CPR)は、配列番号14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、及び1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0008】
[0006] 本発明の特定の実施形態では、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)は、配列番号9のアミノ酸配列を有し、ent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CPS)は、配列番号10のアミノ酸配列を有し、ent-カウレンシンターゼ(KS)は、配列番号11のアミノ酸配列を有し、ent-カウレン19-オキシダーゼ(KO)は、配列番号12のアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)は、配列番号13のアミノ酸配列を含み、チトクロムp450レダクターゼ(CPR)は、配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び1以上のUDPグルコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
[0007] ある実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞及び植物細胞から選択される。別の実施形態では、宿主細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。
【0010】
[0008] 本発明のある実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号1の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0011】
[0009] 別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号2の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0012】
[0010] さらなる実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号3の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0013】
[0011] さらに別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号4の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0014】
[0012] さらなる実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号5の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0015】
[0013] ある実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号6の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0016】
[0014] 別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号7の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0017】
[0015] さらに別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号8の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0018】
[0016] さらに別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号28の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0019】
[0017] さらに別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号29の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0020】
[0018] さらに別の実施形態では、ABCトランスポーターは、配列番号30の配列を有するアミノ酸配列を有する。
【0021】
[0019] 本発明のある実施形態では、1以上のステビオール配糖体は、レバウジオシドA(Reb A)、レバウジオシドB(Reb B)、Reb D、レバウジオシドE(Reb E)又はReb Mから選択される。別の実施形態では、1以上のステビオール配糖体は、Reb Mを含む。
【0022】
[0020] 一実施形態では、1以上のステビオール配糖体の大部分は、細胞小器官の内腔内部に蓄積する。別の実施形態では、1以上のステビオール配糖体の大部分は、細胞外に蓄積する。
【0023】
[0021] 別の態様では、本発明は、ABCトランスポーターを発現する異種核酸発現カセットの核酸配列を提供する。ある実施形態では、異種核酸発現カセットのヌクレオチド配列は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26又は配列番号27のコード配列を有し、コード配列は、異種プロモーターに作動可能に連結される。
【0024】
[0022] 別の態様では、本発明は、ステビオール又は1以上のステビオール配糖体を生成するための方法であって、本発明の宿主細胞の集団を、炭素源を有する培地中において、ステビオール又は1以上のステビオール配糖体を作るのに適した条件下で培養して、培養液を得ることと、培養液からステビオール又は1以上のステビオール配糖体を回収することとを含む方法を提供する。
【0025】
[0023] 別の態様では、本発明は、Reb Dを生成するための方法であって、本発明の宿主細胞の集団を、炭素源を有する培地中において、Reb Dを作るのに適した条件下で培養して、培養液を得ることと、培養液から前記Reb D化合物を回収することとを含む方法を提供する。
【0026】
[0024] 別の態様では、本発明は、Reb Mを生成するための方法であって、本発明の宿主細胞の集団を、炭素源を有する培地中において、Reb Mを作るのに適した条件下で培養して、培養液を得ることと、培養液から前記Reb M化合物を回収することとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
5.図面の簡単な説明
図1】[0025]天然酵母代謝産物のファルネシルピロリン酸(FPP)からステビオールへの酵素経路を示す概略図である。
図2】[0026]ステビオールからレバウジオシドMへの酵素経路を示す概略図である。
図3】[0027]トランスポーターをReb M株に挿入するために使用されるランディングパッドDNA構築物の概略図である。構築物の各末端は、酵母SFM1遺伝子の下流から500bpのDNA配列を、この遺伝子座での相同組換えを促進するために含有する。この遺伝子座におけるランディングパッドの挿入により、遺伝子が欠失することは全くない。ランディングパッドは、完全長GAL1プロモーターとその後のF-CphIエンドヌクレアーゼに対する認識部位及び天然酵母遺伝子HEM13からのターミネーターを含有する。
図4】[0028]上清中に見出されたReb D+Reb Mのパーセントのグラフである。異なる過剰発現されたトランスポーターを有する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、細胞が除去されてから上清中で検出される(μモル単位で測定された)Reb D+Reb Mのパーセントを報告する。親株は、過剰発現されたトランスポーターを含有しない。上清中のReb D+Reb Mのパーセントを得るため、上清中で測定されたReb D+Reb Mの量が、全細胞培養液中で測定されたReb D+Reb Mの量で除される。
図5】[0029]全細胞培養液中の親に対する全ステビオール配糖体のグラフである。異なる過剰発現されたトランスポーターを有する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、親株に対する全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)全てのステビオール配糖体の合計を報告する。親株は、過剰発現されたトランスポーターを含有しない。
図6】[0030]全細胞培養液中の親に対するReb D+Reb Mの量のグラフである。異なる過剰発現されたトランスポーターを有する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、親株に対する全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)Reb D+Reb Mの合計を報告する。親株は、過剰発現されたトランスポーターを含有しない。
図7】[0031]上清中の親に対する全ステビオール配糖体のグラフである。異なる過剰発現されたトランスポーターを有する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、親株に対する、細胞が除去されてから上清中で検出される(μモル単位で測定された)全てのステビオール配糖体の合計を報告する。親株は、過剰発現されたトランスポーターを含有しない。
図8】[0032]上清中に位置する生成された全てのステビオール配糖体のパーセントを示す。異なる過剰発現されたトランスポーターを有する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、上清中で検出される(μモル単位で測定された)細胞によって生成された全てのステビオール配糖体のパーセントを報告する。上清中の全ステビオール配糖体のパーセントを得るため、上清中で測定された全ステビオール配糖体の量が、全細胞培養液中で測定された全ステビオール配糖体の量で除される。
図9】[0033]全細胞培養液中の親に対するReb D+Reb Mの量のグラフである。BPT1及びT4_真菌_5トランスポーターのGFPタグ付きバージョン及びタグなしバージョンを発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。トランスポーターのGFPタグ付きバージョン及びタグなしバージョンの相対的活性が比較された。データは、GFPタグ付きバージョンがトランスポーターのタグなしバージョンと同様の振舞いをしたことを示す。
図10】[0034]GFPタグ付きBPT1を発現する酵母の明視野(A)及び蛍光(B)画像の顕微鏡写真セットである。
図11】[0035]GFPタグ付きT4_真菌_5トランスポーターを発現する酵母の明視野(A)及び蛍光(B)画像の顕微鏡写真セットである。
図12】[0036]全細胞培養液中の野生型T4_真菌_5を有する親に対するReb Mの量のグラフである。トランスポーターT4_真菌_5及びエラープローンPCR及び選択を介して誘導されたその変異体(単離物_1~8)を発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、非突然変異誘発T4_真菌_5に対する、突然変異誘発T4_真菌_5トランスポーター変異体(単離物_1~8)を発現する酵母株の全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)Reb M力価を報告する。データは、単離物_1~8の発現により、T4_真菌_5と比較して改善された酵母株によるReb Mの生成がもたらされたことを示す。
図13】[0037]全細胞培養液中の野生型T4_真菌_5を有する親に対する全ステビオール配糖体のReb M画分のグラフである。トランスポーターT4_真菌_5及びエラープローンPCR及び選択を介して誘導されたその変異体(単離物_1~8)を発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、非突然変異誘発T4_真菌_5に対する突然変異誘発T4_真菌_5トランスポーター変異体(単離物_1~8)を発現する酵母株の全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)Reb M対全てのステビオール配糖体の合計の比を報告する。データは、単離物_1~8の発現により、T4_真菌_5トランスポーターと比較して、増加した全てのステビオール配糖体中のReb Mの画分がもたらされたことを示す。換言すれば、単離物_1~8は、Reb Mに対する基質の好ましさが増加したことを示す。
図14】[0038]T4_真菌_5又は真菌_5_muAトランスポーターのいずれかを発現する株によって生成された全細胞培養液中及び上清画分中のReb Mの量のグラフである。(PGAL1よりも強度が低い)PGAL3の制御下でT4_真菌_5又は真菌_5_muAを発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、酵母株の全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中及び上清画分中で検出される(μモル単位で測定された)Reb M力価を報告する。データによると、真菌_5_muAは、酵母株中で発現されるとき、確かに改善された性能を与える。真菌_5_muAを有する株により、野生型T4_真菌_5を有する株によるよりも30%多い全細胞培養液中のReb M及び40%多い細胞外Reb Mが、両方のトランスポーターがより低いプロモーター強度下で発現されたときに生成されたことが確認される。
図15】[0039]全細胞培養液中の真菌_5_muAを有する親に対するReb Mの量のグラフである。トランスポーター真菌_5_muA及びその変異体の8つ(1つ、2つ、又は3つの突然変異が野生型T4_真菌_5配列に復帰突然変異された場合)を発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、真菌_5_muAに対する、8つの真菌_5_muA変異体を発現する酵母株の全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)Reb M力価を報告する。データは、Reb M生成に対する異なる突然変異の効果を示し、特にE1320Vの復帰突然変異の有益な効果が興味深い。
図16】[0040]全細胞培養液中の真菌_5_muAを有する親に対する全ステビオール配糖体のグラフである。トランスポーター真菌_5_muA及びその変異体の8つ(1つ、2つ、又は3つの突然変異が野生型T4_真菌_5配列に復帰突然変異された場合)を発現する酵母株をマイクロタイタープレートで成長させた。この図は、真菌_5_muAに対する、8つの真菌_5_muA変異体を発現する酵母株の全細胞培養液(細胞及び上清の両方)中で検出される(μモル単位で測定された)全てのステビオール配糖体の合計を報告する。データは、TSG生成に対する異なる突然変異の効果を示す。図15と一緒に、それは、活性における差だけでなく、基質の好ましさを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
6.実施形態の詳細な説明
6.1 用語法
[0041] 本明細書で用いられるとき、用語「異種」は、通常は天然に見出されないものを指す。用語「異種ヌクレオチド配列」は、通常は天然における所与の細胞内で見出されないヌクレオチド配列を指す。そのようなことから、異種ヌクレオチド配列は、(a)その宿主細胞に対して外来性である(即ち細胞に対して「外因性」である);(b)宿主細胞内で天然に見出される(即ち「内因性」)が、細胞内で非天然量(即ち宿主細胞内に天然に見出される量よりも多い量又は少ない量)で存在する;又は(c)宿主細胞内で天然に見出されるが、その天然遺伝子座の外部に位置づけられることがある。
【0029】
[0042] 他方、用語「天然」又は「内因性」は、分子に関連して本明細書で用いられるとき、特定の酵素及び核酸では、それらの由来元であるか又は天然に見出される生物内で発現される分子を示す。天然酵素又はポリヌクレオチドの発現が組換え微生物において修飾されてもよいことは理解される。
【0030】
[0043] 本明細書で用いられるとき、用語「異種核酸発現カセット」は、宿主細胞内でコード配列を発現するのに十分である1以上の調節エレメントに作動可能に連結されたコード配列を含む核酸配列を指す。ある実施形態では、「ABCトランスポーター発現カセット」は、異種核酸がABCトランスポーターポリペプチドに対するコード配列を含む場合の異種核酸発現カセットを指す。調節エレメントの非限定例として、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、ターミネーター、及びポリAシグナルが挙げられる。
【0031】
[0044] 本明細書で使用されるとき、「ABCトランスポーター」及び「ATP結合カセットトランスポーター」という用語は、アデノシン三リン酸(ATP)の加水分解を様々な基質の生物学的膜にわたる転位と共役させる、膜会合ポリペプチドのスーパーファミリーを指す。
【0032】
[0045] 本明細書で用いられるとき、用語「CEN.PK.BPT1」は、以下のアミノ酸配列(配列番号1):
【化1】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号20):
【化2】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0033】
[0046] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_1」は、以下のアミノ酸配列(配列番号2):
【化3】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号21):
【化4】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0034】
[0047] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_10」は、以下のアミノ酸配列(配列番号3):
【化5】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号22):
【化6】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0035】
[0048] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_2」は、以下のアミノ酸配列(配列番号4):
【化7】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号23):
【化8】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0036】
[0049] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_3」は、以下のアミノ酸配列(配列番号5):
【化9】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号24):
【化10】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0037】
[0050] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_4」は、以下のアミノ酸配列(配列番号6):
【化11】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号25):
【化12】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0038】
[0051] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_5」は、以下のアミノ酸配列(配列番号7):
【化13】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号26):
【化14】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0039】
[0052] 本明細書で用いられるとき、用語「T4_真菌_8」は、以下のアミノ酸配列(配列番号8):
【化15】

を有し、且つ以下の核酸配列(配列番号27):
【化16】

によってコードされるABCトランスポーターを指す。
【0040】
[0053] 本明細書で用いられるとき、用語「親細胞」は、修飾宿主細胞に改変される1又は複数の特定の遺伝子修飾、例えば、ステビオール経路の酵素の異種発現、ステビオールグリコシド経路の酵素の異種発現、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼの異種発現、コパリル二リン酸シンターゼの異種発現、カウレンシンターゼの異種発現、カウレンオキシダーゼ(例えば、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ)の異種発現、ステビオールシンターゼ(カウレン酸ヒドロキシラーゼ)の異種発現、チトクロムP450レダクターゼの異種発現、EUGT11の異種発現、UGT74G1の異種発現、UGT76G1の異種発現、UGT85C2の異種発現、UGT91Dの異種発現、及びUGT40087若しくは変異体の異種発現からなる群から選択される1又は複数の修飾を含まないことを除いて、本明細書に開示される遺伝子組換え宿主細胞と同一の遺伝的バックグラウンドを有する細胞を指す。
【0041】
[0054] 本明細書で用いられるとき、用語「天然に存在する」は、天然に見出されるものを指す。例えば、天然の供給源から単離されうる生物中に存在し、且つ研究室においてヒトにより意図的に修飾されていないABCトランスポーターは、天然に存在するABCトランスポーターである。逆に、本明細書で用いられるとき、用語「天然に存在しない」は、天然に見出されないものを指すが、ヒト介入によって作出されない。
【0042】
[0055] 用語「媒体」は、培地及び/又は発酵培地を指す。
【0043】
[0056] 用語「発酵組成物」は、遺伝子組換え宿主細胞及び遺伝子組換え宿主細胞によって生成される生成物又は代謝産物を含む組成物を指す。発酵組成物の例は、細胞、水相、及び遺伝子組換え宿主細胞から生成される化合物を含む、容器(例えば、フラスコ、プレート、又は発酵槽)の全内容物でありうる全細胞ブロスである。
【0044】
[0057] 本明細書で用いられるとき、用語「生成」は、一般に、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞によって生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの量を指す。いくつかの実施形態では、生成は、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの収量として表される。他の実施形態では、生成は、ステビオール又はステビオールグリコシドを生成する場合の宿主細胞の生産性として表される。
【0045】
[0058] 本明細書で用いられるとき、用語「生産性」は、宿主細胞が培養される発酵ブロスの(体積基準の)量あたり、経時的に(時間あたり)生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの(重量基準の)量として表される、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの生成を指す。
【0046】
[0059] 本明細書で用いられるとき、用語「収量」は、重量基準の、宿主細胞によって消費される炭素源の量あたり生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの量として表される、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの生成を指す。
【0047】
[0060] 本明細書で用いられるとき、化合物(例えば、Reb M、ステビオールグリコシド、又は他の化合物)の用語「検出不能なレベル」は、化合物を測定するための標準的技術によって測定及び/又は分析されるには低過ぎる化合物のレベルを意味する。例えば、用語は、当該技術分野で公知の分析法により検出可能でない化合物のレベルを含む。
【0048】
[0061] 用語「カウレン」は、カウレンの任意の立体異性体を含む化合物カウレンを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレンのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化17】

に記載の化合物を指す。
【0049】
[0062] 用語「カウレノール」は、カウレノールの任意の立体異性体を含む化合物カウレノールを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレノールのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化18】

に記載の化合物を指す。
【0050】
[0063] 用語「カウレナール」は、カウレナールの任意の立体異性体を含む化合物カウレナールを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレナールのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化19】

に記載の化合物を指す。
【0051】
[0064] 用語「カウレン酸」は、カウレン酸の任意の立体異性体を含む化合物カウレン酸を指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレン酸のような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化20】

に記載の化合物を指す。
【0052】
[0065] 用語「ステビオール」は、ステビオールの任意の立体異性体を含む化合物ステビオールを指す。特定の実施形態では、この用語は、以下の構造
【化21】

に従う化合物を指す。
【0053】
[0066] 本明細書で用いられるとき、用語「ステビオールグリコシド」は、ステビオールのグリコシド、例えば限定はされないが、天然に存在するステビオールグリコシド、例えば、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシドB、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、合成ステビオールグリコシド、例えば、酵素的にグルコシル化されたステビオールグリコシド及びそれらの組み合わせを指す。
【0054】
[0067] 本明細書で用いられるとき、用語「レバウジオシドM」は、以下の構造
【化22】

の化合物を指す。
【0055】
[0068] 本明細書で用いられるとき、用語「変異体」は、具体的に列挙される「参照」ポリペプチド(例えば、野生型配列)と、アミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換の分だけ異なるが、参照ポリペプチドに対して実質的に類似する活性を保持するポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、変異体は、組換えDNA技術又は突然変異誘発により作出される。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、その参照ポリペプチドと、一方の塩基残基ともう一方との(即ちArgとLysとの)置換、一方の疎水性残基ともう一方との(即ちLeuとIleとの)置換、又は一方の芳香族残基ともう一方との(即ちPheとTyrとの)置換などの分だけ異なる。いくつかの実施形態では、変異体は、参照配列との実質的な構造的類似性をもたらす保存的置換が得られる場合の類似体を含む。かかる保存的置換の例として、限定はされないが、グルタミン酸のアスパラギン酸に対するものとその逆;グルタミンのアスパラギンに対するものとその逆;セリンのトレオニンに対するものとその逆;リジンのアルギニンに対するものとその逆;又はイソロイシン、バリン若しくはロイシンのいずれかの互いに対するものが挙げられる。
【0056】
[0069] 本明細書で用いられるとき、用語「配列同一性」又は「パーセント同一性」は、2つ以上の核酸又はタンパク質配列との関連では、同じである、又は特定の百分率で同じであるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列若しくは部分配列を指す。例えば、配列は、比較ウインドウにわたる最大対応について比較及び整列されるときの参照配列に対する特定領域、又は配列比較アルゴリズムを用いて若しくはマニュアルアライメント及び目視検査により測定されるときの指定領域にわたり、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくはより高い同一性のパーセント同一性を有しうる。例えば、同一性のパーセントは、配列内での同一ヌクレオチド(又はアミノ酸残基)の数を、全ヌクレオチド(又はアミノ酸残基)の長さから任意のギャップの長さを引いたもので除した比を計算することにより決定される。
【0057】
[0070] 便宜上、2つの配列間の同一性の程度は、当該技術分野で公知のコンピュータプログラム及び数学的アルゴリズムを用いて確認されうる。パーセント配列同一性を計算するかかるアルゴリズムは、一般に比較領域にわたる配列ギャップ及びミスマッチを説明する。Clustal W(Thompson et al., (1994) Nucleic Acids Res., 22: 4673-4680)、ALIGN(Myers et al., (1988) CABIOS, 4: 11-17)、FASTA(Pearson et al., (1988) PNAS, 85: 2444-2448;Pearson (1990), Methods Enzymol., 183: 63-98)及びギャップBLAST(Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402)のように配列を比較し、整列するプログラムは、この目的にとって有用である。BLAST又はBLAST2.0(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-10, 1990)は、配列分析プログラムBLASTP、BLASTN、BLASTX、TBLASTN、及びTBLASTXに関連して用いるため、国立生体情報センター(National Center for Biological Information)(NCBI)を含むいくつかのソースから、またインターネット上で入手可能である。追加的情報は、NCBIウェブサイトで見出すことができる。
【0058】
[0071] 特定の実施形態では、配列アライメント及びパーセント同一性の計算は、BLASTプログラムを用い、その標準のデフォルトパラメータを用いて決定することができる。ヌクレオチド配列アライメント及び配列同一性の計算においては、BLASTNプログラムが、そのデフォルトパラメータ(ギャップオープニングペナルティ=5、ギャップエクステンションペナルティ=2、核酸マッチ=2、核酸ミスマッチ=-3、期待値=10.0、ワードサイズ=11、クエリ範囲における最大マッチ=0)とともに用いられる。ポリペプチド配列アライメント及び配列同一性の計算においては、BLASTPプログラムが、そのデフォルトパラメータ(アライメントマトリックス=BLOSUM62;ギャップコスト:イグジステンス=11、エクステンション=1;コンポジショナルアジャストメント=コンディショナルコンポジショナルスコア、マトリックスアジャストメント;期待値=10.0;ワードサイズ=6;クエリ範囲における最大マッチ=0)とともに用いられる。或いは、以下のプログラム及びパラメータ:Clone Manager Suite、バージョン5のAlign Plusソフトウェア(Sci-Ed Software);DNA比較:グローバル比較、標準線形スコアリングマトリックス、ミスマッチペナルティ=2、オープンギャップペナルティ=4、エクステンドギャップペナルティ=1.アミノ酸比較:グローバル比較、BLOSUM62スコアリングマトリックスが用いられうる。本明細書に記載の実施形態では、配列同一性は、BLASTN又はBLASTPプログラムを用い、それらのデフォルトパラメータを用いて計算される。本明細書に記載の実施形態では、2つ以上の配列の配列アライメントが、Clustal Wを用いて、提案されたデフォルトパラメータ(デアライン(Dealign)インプット配列:なし;Mbed-likeクラスタリングガイドツリー:あり;Mbed-likeクラスタリングイタレーション:あり;組み合わされたイタレーションの数:デフォルト(0);最大ガイドツリーイタレーション:デフォルト;最大HMMイタレーション:デフォルト;オーダー:インプット)を用いて実施される。
【0059】
6.2 ABCトランスポーター、核酸、発現カセット、及び宿主細胞
[0072] 一態様では、ABCトランスポーターを発現する組換え核酸が本明細書に提供される。本発明のABCトランスポーターは、公知のABCトランスポーターの配列に対する配列に基づく検索により同定されうる。公知のABCトランスポーターの例示的な配列データベースは、(Kovalchuk and Driessen, Phylogenetic Analysis of Fungal ABC Transporters, BMC Genomics, 2010, 11: 177)によって提供される。ABCトランスポーターBLASTデータベースは、追加の生物からも作成されうる。好ましい実施形態では、(1)ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)DL-1(NRRL-Y-7560)、(2)ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC18945、(3)アルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)ATCC76597、(4)S.セレビシエ(S. cerevisiae)CAT-1、(5)油脂酵母(Lipomyces starkeyi)ATCC58690、(6)クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、(7)クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)DMKU3-1042、(8)コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)NRRL Y-11430、(9)S.セレビシエ(S. cerevisiae)MBG3370、(10)S.セレビシエ(S. cerevisiae)MBG3373、(11)K.ラクティス(K. lactis)ATCC8585、(12)トルラ酵母(Candida utilis)ATCC22023、(13)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)ATCC28485、及び(14)ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)NRRL5590からの真菌配列データベースは、本発明のABCトランスポーターの供給源として役立つ。
【0060】
[0073] 様々な生物の新規のゲノム配列決定、アセンブリ、及びアノテーションから作成されたヌクレオチドORF配列は、tblastnアルゴリズムにより、Biopython又は任意の他の好適な配列分析ソフトウェアを用いて分析される。tblastnアルゴリズムは、公知のABCトランスポーターのタンパク質配列と、全部で6つの可能なリーディングフレーム内の各生物におけるヌクレオチドORF配列の翻訳されたDNAとのアライメントを、BLASTを用いて可能にする。例示的なBLASTパラメータは、e値=1e-25での基準である(表4及び5)。その後、少なくとも2000ヌクレオチドのグローバルアライメントを保証するため、ヒットは、フィルタリングされうる。
【0061】
[0074] 本発明の他の実施形態では、BLAST検索のためのデータベースを作成するため、生物の全プロテオームは、UniprotからUniprot APIを使用して得ることができる。blastpアルゴリズムは、Uniprot由来データベースに適用することができる。一実施形態では、BLASTパラメータは、e値=0.001を伴い、基準でありうる。特定の実施形態では、フィルタリングは、≧40%のパーセント同一性カットオフ、及び≧60%のパーセントアライメント長カットオフに基づいて実施することができる。好ましい実施形態では、ヒットは、参照からの610のシード配列の少なくとも1つに一致する必要がある。
【0062】
[0075] ヌクレオチド配列が同定されると、各々の完全ORFをPCRによる増幅で増幅するように、プライマーが設計されうる。各PCRプライマーは、理想的には、特定のABCトランスポーター発現カセットを生成するため、ランディングパッド標的部位への増幅された遺伝子の相同組換えを容易にするため、末端に付加された異種ヌクレオチド発現カセット内で使用されるプロモーター及びターミネーターのプロモーター及びターミネーターDNA配列に対する隣接相同性を有する必要がある。各ABCトランスポーター遺伝子は、本明細書に記載の親Reb M酵母株に単一コピーとして個別に形質転換され、インビボで過剰発現されるときの生成物力価を増加させる能力についてスクリーニングされうる。
【0063】
[0076] 特定の実施形態では、組換え核酸は、配列番号1~8のいずれかで提供されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、組換え核酸は、配列番号20~27のいずれかで提供されるヌクレオチド配列を含有する。
【0064】
[0077] さらに、ステビオール配糖体を生成する能力がある、本明細書に提供されるABCトランスポーターのポリペプチド又は核酸の1以上を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、宿主細胞は、培地中の炭素源からステビオール配糖体を生成することができる。特定の実施形態では、宿主細胞は、培地中の炭素源からステビオールを生成することができ、さらにステビオールからReb A又はReb Dを生成することができる。特定の実施形態では、宿主細胞は、Reb DからReb Mをさらに生成することができる。特定の実施形態では、Reb D及び/又はReb Mは、1以上の細胞小器官の内腔に輸送される。特定の実施形態では、Reb D及び/又はReb Mは、細胞外空間(即ち上清)に輸送される。
【0065】
[0078] 特定の実施形態では、上記の実施形態に従うABCトランスポーターを発現する宿主細胞は、ABCトランスポーター発現カセットが欠如している親宿主細胞と比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%多い全ステビオール配糖体(TSG)を生成する。
【0066】
[0079] 特定の実施形態では、上記の実施形態に従うABCトランスポーターを発現する宿主細胞は、ABCトランスポーター発現カセットが欠如している親宿主細胞と比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも75%多いTSGを上清中に生成する。特定の実施形態では、上記の実施形態に従うABCトランスポーターを発現する宿主細胞は、ABCトランスポーター発現カセットが欠如している親宿主細胞と比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、又は少なくとも5倍多いTSGを上清中に生成する。
【0067】
[0080] 有利な実施形態では、宿主細胞は、カウレン酸を生成する能力がある1以上の酵素経路を含むことができ、前記経路は、個別に又は一緒に採用される。本明細書に記載の通り、宿主細胞は、カウレン酸をステビオールに変換する能力がある、本明細書に提供されるステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)カウレン酸ヒドロキシラーゼを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、ファルネシル二リン酸をゲラニルゲラニル二リン酸に変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸をコパリル二リン酸に変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、コパリル二リン酸をカウレンに変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、ステビオールを1以上のステビオール配糖体に変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、ステビオールをReb Aに変換する能力がある1、2、3、4又はそれを超える酵素を一緒にさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、Reb AをReb Dに変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、Reb DをReb Mに変換する能力がある1以上の酵素をさらに含む。有用な酵素及び酵素をコードする核酸は、当業者に公知である。特に有用な酵素及び核酸は、下記セクション中に記載され、例えば、米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号、国際公開第2016/038095A2号及び米国特許出願公開第2016/0198748A1号にさらに記載される。
【0068】
[0081] さらなる実施形態では、宿主細胞は、炭素源からゲラニルゲラニル二リン酸を作る能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。これらは、DXP経路の酵素及びMEV経路の酵素を含む。有用な酵素及び酵素をコードする核酸は、当業者に公知である。各経路の例示的酵素は、下記の通りであり、例えば米国特許出願公開第2016/0177341A1号(その全体が参照により本明細書中に援用される)にさらに記載されている。
【0069】
[0082] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、(a)アセチルコエンザイムAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoAを形成する酵素(例えば、アセチルCoAチオラーゼ);(b)アセトアセチルCoAをアセチルCoAの別の分子と縮合し、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)を形成する酵素(例えば、HMG-CoAシンターゼ);(c)HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素(例えば、HMG-CoAレダクターゼ);(d)メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換する酵素(例えば、メバロン酸キナーゼ);(e)メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する酵素(例えば、ホスホメバロン酸キナーゼ);(f)メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換する酵素(例えば、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ);(g)IPPをジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換する酵素(例えば、IPPイソメラーゼ);(h)IPP及び/又はDMAPP分子を縮合し、6つ以上の炭素を含有するポリプレニル化合物を形成しうるポリプレニルシンターゼ;(i)IPPをDMAPPと縮合し、ゲラニルピロリン酸(GPP)を形成する酵素(例えば、GPPシンターゼ);(j)IPPの2分子をDMAPPの1分子と縮合する酵素(例えば、FPPシンターゼ);(k)IPPをGPPと縮合し、ファルネシルピロリン酸(FPP)を形成する酵素(例えば、FPPシンターゼ);(1)IPP及びDMAPPを縮合し、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)を形成する酵素;並びに(m)IPP及びFPPを縮合し、GGPPを形成する酵素からなる群から選択されるイソプレノイド経路酵素の1以上又は全てを含む。
【0070】
[0083] 特定の実施形態では、追加の酵素は、天然である。有利な実施形態では、追加の酵素は、異種である。特定の実施形態では、2つ以上の酵素は、1つのポリペプチドにおいて組み合わせることができる。
【0071】
6.3 細胞株
[0084] 本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な宿主細胞は、古細菌、原核細胞、又は真核細胞を含む。
【0072】
[0085] 好適な原核宿主は、限定はされないが、種々のグラム陽性、グラム陰性、又はグラム不定細菌のいずれかを含む。例として、限定はされないが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、アナベナ(Anabaena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アゾバクター(Azobacter)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クロマチウム(Chromatium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エシェリキア(Escherichia)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、メソリゾビウム(Mesorhizobium)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリラム(Rhodospirillum)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、サルモネラ(Salmonella)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、セラチア(Serratia)属、シゲラ(Shigella)属、スタフィロコッカス(Staphlococcus)属、ストレプロマイセス(Strepromyces)属、シネココッカス(Synnecoccus)属、及びザイモモナス(Zymomonas)属に属する細胞が挙げられる。原核生物株の例として、限定はされないが、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefacines)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・インマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)、クロストリジウム・ベイエリンキイ(Clostridium beigerinckii)、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、メソリゾビウムロティ(Mesorhizobium loti)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、シュードモナス・プディカ(Pseudomonas pudica)、ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、サルモネラ菌(Salmonella enterica)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が挙げられる。特定の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞である。
【0073】
[0086] 好適な古細菌宿主は、限定はされないが、アエロピルム(Aeropyrum)属、アーケオグロブス(Archaeoglobus)属、ハロバクテリウム(Halobacterium)属、メタノコッカス(Methanococcus)属、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、パイロコッカス(Pyrococcus)属、スルホロブス(Sulfolobus)属、及びサーモプラズマ(Thermoplasma)属に属する細胞を含む。古細菌株の例として、限定はされないが、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、ハロバクテリウム種(Halobacterium sp.)、メタノコックス・ヤンナスキイ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、サーモプラズマ・アシドフィラム(Thermoplasma acidophilum)、サーモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)、パイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)、及びアエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)が挙げられる。
【0074】
[0087] 好適な真核生物宿主は、限定はされないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞及び植物細胞を含む。いくつかの実施形態では、本方法において有用な酵母は、微生物保管所(例えば、IFO、ATCCなど)に寄託されている酵母を含み、特に、アシクロコニジウム(Aciculoconidium)属、アムブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、アルスロアスカス(Arthroascus)属、アルキシオジマ(Arxiozyma)属、アシュビア(Ashbya)属、バブジェビア(Babjevia)属、ベンシングトニア(Bensingtonia)属、ボトリオアスカス(Botryoascus)属、ボツリオザイマ(Botryozyma)属、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属、ブレラ(Bullera)属、ブレロマイセス(Bulleromyces)属、カンジダ(Candida)属、シテロマイセス(Citeromyces)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、シストフィロバシディウム(Cystofilobasidium)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、デッカラ(Dekkara)属、ディポダスコプシス(Dipodascopsis)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、エニエラ(Eeniella)属、エンドマイコプセラ(Endomycopsella)属、エレマスカス(Eremascus)属、エレモテシウム(Eremothecium)属、エリスロバシディウム(Erythrobasidium)属、フェロマイセス(Fellomyces)属、フィロバシディウム(Filobasidium)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ガイラーモンデラ(Guilliermondella)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ハセガワエア(Hasegawaea)属、ホルターマニア(Holtermannia)属、ホルモアスカス(Hormoascus)属、ハイフォピキア(Hyphopichia)属、イッサトチェンキア(Issatchenkia)属、クロエケラ(Kloeckera)属、クロエケラスポラ(Kloeckeraspora)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、コンドア(Kondoa)属、クライシア(Kuraishia)属、クルツマノマイセス(Kurtzmanomyces)属、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)属、リポマイセス(Lipomyces)属、ロッデロマイセス(Lodderomyces)属、マラセジア(Malassezia)属、メチニコビア(Metschnikowia)属、ムラキア(Mrakia)属、ミキソザイマ(Myxozyma)属、ナドソニア(Nadsonia)属、ナカザワエワ(Nakazawaea)属、ネマトスポラ(Nematospora)属、オガタエア(Ogataea)属、オースポリディウム(Oosporidium)属、パキソレン(Pachysolen)属、ファチコスポラ(Phachytichospora)属、ファフィア(Phaffia)属、ピキア(Pichia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、サッカロマイコーデス(Saccharomycodes)属、サッカロマイコプシス(Saccharomycopsis)属、サイトエラ(Saitoella)属、サカグチア(Sakaguchia)属、サターノスポラ(Saturnospora)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、スポロパキデルミア(Sporopachydermia)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、ステリグマトマイセス(Sterigmatomyces)属、ステリグマトスポリジウム(Sterigmatosporidium)属、シンビオタフリナ(Symbiotaphrina)属、シンポディオマイセス(Sympodiomyces)属、シンポディオマイコプシス(Sympodiomycopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トリコスポリエラ(Trichosporiella)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ツチヤエア(Tsuchiyaea)属、ウデニオマイセス(Udeniomyces)属、ワルトマイセス(Waltomyces)属、ヴィッカーハミア(Wickerhamia)属、ヴィッケルハミエラ(Wickerhamiella)属、ウィリオプシス(Williopsis)属、ヤマダザイマ(Yamadazyma)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ジゴアスカス(Zygoascus)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、ザイゴウィリオプシス(Zygowilliopsis)属、及びザイゴザイマ(Zygozyma)属に属する。
【0075】
[0088] いくつかの実施形態では、宿主微生物は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、デッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)(以前は、サッカロマイセス・ラクティス(Saccharomyces lactis)と称された)、クルベロマイセス・マルキシアヌス(Kluveromyces marxianus)、アルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)、又はハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(現在、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)として公知)である。いくつかの実施形態では、宿主微生物は、カンジダ(Candida)属、例えば、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、又はトルラ酵母(Candida utilis)の株である。
【0076】
[0089] 特定の実施形態では、宿主微生物は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。いくつかの実施形態では、宿主は、パン酵母、CBS7959、CBS7960、CBS7961、CBS7962、CBS7963、CBS7964、IZ-1904、TA、BG-1、CR-1、SA-1、M-26、Y-904、PE-2、PE-5、VR-1、BR-1、BR-2、ME-2、VR-2、MA-3、MA-4、CAT-1、CB-1、NR-1、BT-1、及びAL-1からなる群から選択されるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株である。いくつかの実施形態では、宿主微生物は、PE-2、CAT-1、VR-1、BG-1、CR-1、及びSA-1からなる群から選択されるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株である。特定の実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株は、PE-2である。別の特定の実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株は、CAT-1である。別の特定の実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株は、BG-1である。
【0077】
[0090] いくつかの実施形態では、宿主微生物は、工業的発酵に適した微生物である。特定の実施形態では、微生物は、工業的発酵環境の認められたストレス条件である、高い溶媒濃度、高温、拡大された基質利用、栄養制限、糖及び塩に起因する浸透圧ストレス、酸性度、亜硫酸及び細菌汚染、又はそれらの組み合わせの下で生存するように条件づけられる。
【0078】
6.4 ステビオール及びステビオールグリコシドの生合成経路
[0091] いくつかの実施形態では、ステビオール生合成経路及び/又はステビオールグリコシド生合成経路は、経路の1又は複数の酵素をコードするポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドを発現するように細胞を改変することにより、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞内で活性化される。図1は、例示的なステビオール生合成経路を図示する。
【0079】
[0092] したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、コパリル二リン酸シンターゼ又はent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CDPS;ent-コパリルピロリン酸シンターゼ又はCPSとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、カウレンシンターゼ(KS;ent-カウレンシンターゼとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、本明細書に記載のようなカウレンオキシダーゼ活性(KO;ent-カウレン19-オキシダーゼとも称される)を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、本明細書に提供される実施形態に従うカウレン酸ヒドロキシラーゼのポリペプチド活性を有するポリペプチド(KAH;ステビオールシンターゼとも称される)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、チトクロムP450レダクターゼ(CPR)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0080】
[0093] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT74G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT76G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT85C2活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT91D活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGTAD活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。下記のように、UGTADは、グルコース部分をReb Aの19-O-グルコースのC-2’位に移し、Reb Dを生成する能力があるウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼを指す。
【0081】
[0094] 特定の実施形態では、宿主細胞は、変異体酵素を含む。特定の実施形態では、変異体は、関連ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のアミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、変異体は、参照ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の保存的アミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、本明細書に記載の核酸のいずれかは、宿主細胞について、例えばコドン最適化により最適化されうる。
【0082】
[0095] ステビオール生合成経路及び/又はステビオールグリコシド生合成経路の例示的な核酸及び酵素は、以下に記載される。
【0083】
6.4.1 ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)
[0096] ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(EC2.5.1.29)は、ファルネシルピロリン酸のゲラニルゲラニル二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ABD92926)、ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号CAA75568)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)(受入番号AAH69913)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(受入番号XP_002288339)、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(受入番号ZP_05004570)、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfulobus acidocaldarius)(受入番号BAA43200)、シネココッカス種(Synechococcus sp.)(受入番号ABC98596)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_195399)のもの及びブラケスレア・トリスポーラ(Blakeslea trispora)(受入番号AFC92798.1)並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号に記載されるものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのGGPPS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのGGPPS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0084】
6.4.2 コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)
[0097] コパリル二リン酸シンターゼ(EC5.5.1.13)は、ゲラニルゲラニル二リン酸のコパリル二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号AAB87091)、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(受入番号EDY51667)、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)(受入番号AAC28895.1)、トウモロコシ(Zea mays)(受入番号AY562490)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NM_116512)及びアジアイネ(Oryza sativa)(受入番号Q5MQ85.1)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCDPS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCDPS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、95%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0085】
6.4.3 カウレンシンターゼ(KS)
[0098] カウレンシンターゼ(EC4.2.3.19)は、コパリル二リン酸のカウレン及び二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)(受入番号AAC28895.1)、ファエオスファエリア種(Phaeosphaeria sp.)(受入番号O13284)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号Q9SAK2)及びピセア・グラウカ(Picea glauca)(受入番号ADB55711.1)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのKS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのKS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0086】
6.4.4 二官能性コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)及びカウレンシンターゼ(KS)
[0099] CDPS-KS二官能性酵素(EC5.5.1.13及びEC4.2.3.19)も使用可能である。酵素の実例として、モモ枝折病菌(Phomopsis amygdali)(受入番号BAG30962)、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)(受入番号BAF61135)及びギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号Q9UVY5.1)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号及び国際公開第2016/038095A2号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCDPS-KS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCDPS-KS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0087】
6.4.5 Ent-カウレンオキシダーゼ(KO)
[00100] Ent-カウレンオキシダーゼ(EC1.14.13.78;本明細書中でカウレンオキシダーゼとも称される)は、カウレンのカウレン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、イネ(Oryza sativa)(受入番号Q5Z5R4)、イネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)(受入番号O94142)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号Q93ZB2)、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号AAQ63464.1)及びエンドウ(Pisum sativum)(Uniprot番号Q6XAF4)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号及び国際公開第2016/038095A2号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのKO核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのKO酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0088】
6.4.6 ステビオールシンターゼ(KAH)
[00101] ステビオールシンターゼ、又はカウレン酸ヒドロキシラーゼ(KAH)、(EC1.14.13)は、カウレン酸のステビオールへの変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ACD93722)、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(配列番号10)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_197872)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)(受入番号XP_002282091)及びタルウマゴヤシ(Medicago trunculata)(受入番号ABC59076)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号及び国際公開第2016/038095A2号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのKAH核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのKAH酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0089】
6.4.7 チトクロムP450レダクターゼ(CPR)
[00102] チトクロムP450レダクターゼ(EC1.6.2.4)は、上記KO及び/又はKAHの活性のために必要である。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ABB88839)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_194183)、ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号CAE09055)及びクソニンジン(Artemisia annua)(受入番号ABC47946.1)のもの並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号及び国際公開第2016/038095A2号に記載のものが挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCPR核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCPR酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0090】
6.4.8 UDP糖転移酵素74G1(UGT74G1)
[00103] UGT74G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール19-COOHトランスフェラーゼとして、またウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシド19-COOHトランスフェラーゼとして機能する能力がある。図1に示される通り、UGT74G1は、ステビオールを19-グリコシドに変換する能力がある。UGT74G1はまた、ステビオールモノシドをルブソシドに変換する能力がある。UGT74G1はまた、ステビオールビオシドをステビオシドに変換する能力があってもよい。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06920.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT74G1核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT74G1酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0091】
6.4.9 UDP糖転移酵素76G1(UGT76G1)
[00104] UGT76G1は、グルコース部分をアクセプター分子ステビオール1,2グリコシドのC-13-O-グルコースのC-3’に移す能力がある。したがって、UGT76G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-O-1,2グルコシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼ及びウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコース、13-O-1,2ビオシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼとして機能する能力がある。UGT76G1は、ステビオールビオシドをReb Bに変換する能力がある。UGT76G1はまた、ステビオシドをReb Aに変換する能力がある。UGT76G1はまた、Reb DをReb Mに変換する能力がある。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06912.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT76G1核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT76G1酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0092】
6.4.10 UDP糖転移酵素85C2(UGT85C2)
[00105] UGT85C2は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-OHトランスフェラーゼ、及びウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコシド13-OHトランスフェラーゼとして機能する能力がある。UGT85C2は、ステビオールをステビオールモノシドに変換する能力があり、19-グリコシドをルブソシドに変換する能力もある。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06916.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT85C2核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT85C2酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0093】
6.4.11 UDP糖転移酵素91D(UGT91D)
[00106] UGT91Dは、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシドトランスフェラーゼとして機能し、グルコース部分をアクセプター分子ステビオール-13-O-グルコシド(ステビオールモノシド)の13-O-グルコースのC-2’に移し、ステビオシドを生成する能力がある。UGT91Dはまた、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとして機能し、グルコース部分をアクセプター分子ルブソシドの13-O-グルコースのC-2’に移し、ステビオールビオシドをもたらす能力がある。UGT91Dは、UGT91D2、UGT91D2e、又はUGT91D-like3とも称される。UGT91D酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、受入番号ACE87855.1、米国特許出願公開第2014/0329281A1号、国際公開第2016/038095A2号及び配列番号7を有するUGT配列の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT91D核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT91D酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0094】
6.4.12 Reb AをReb D(UGTAD)に変換する能力があるウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ
[00107] ウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGTAD)は、グルコース部分をReb Aの19-O-グルコースのC-2’位に移し、Reb Dを生成する能力がある。UGTADはまた、グルコース部分をステビオシドの19-O-グルコースのC-2’位に移し、Reb Eを生成する能力がある。UGTの有用例として、アジアイネ(Oryza sativa)由来のOs_UGT_91C1(Houghton-Larsen et al.、国際公開第2013/022989A2号においてEUGT11とも称される;XP_015629141.1)及びトマト(Solanum lycopersicum)由来のSl_UGT_101249881(Markosyan et al.、国際公開第2014/193888A1号においてUGTSL2とも称される;XP_004250485.1)が挙げられる。さらに有用なUGTとして、UGT40087(XP_004982059.1、国際公開第2018/031955号に記載される通り)、sr.UGT_9252778、Bd_UGT10840(XP_003560669.1)、Hv_UGT_V1(BAJ94055.1)、Bd_UGT10850(XP_010230871.1)、及びOb_UGT91B1_like(XP_006650455.1)が挙げられる。任意のUGT又はUGT変異体は、本明細書に記載の組成物及び方法において使用可能である。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、UGTの少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGTの少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のUGT変異体をコードする核酸が本明細書に提供される。
【0095】
6.5 MEV経路FPP及び/又はGGPPの生成
[00108] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、FPP及び/又はGGPPの形成にとって有用なMEV経路の1又は複数の異種酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、アセトアセチルCoAを形成するため、アセチルCoAをマロニルCoAと縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、アセトアセチルCoAを形成するため、アセチルCoAの2分子を縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、HMG-CoAを形成するため、アセトアセチルCoAをアセチルCoAと縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1以上の酵素は、イソペンテニルピロリン酸をジメチルアリル二リン酸に変換する酵素を含む。
【0096】
[00109] いくつかの実施形態では、MEV経路の1以上の酵素は、アセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAシンテターゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、及びイソペンチル二リン酸:ジメチルアリル二リン酸イソメラーゼ(IDI又はIPPイソメラーゼ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アセトアセチルCoAの形成を触媒する能力があるMEV経路の酵素に関しては、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチルCoAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセチルCoAチオラーゼを形成する酵素;又はアセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセトアセチルCoAシンターゼを形成する酵素のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチルCoAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセチルCoAチオラーゼを形成する酵素;及びアセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセトアセチルCoAシンターゼを形成する酵素の両方を含む。
【0097】
[00110] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の2以上の酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の2つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換しうる酵素及びメバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換しうる酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の3つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の4つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の5つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の6つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の7つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の酵素の全てをコードする複数の異種核酸を含む。
【0098】
[00111] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、IPP及び/又はDMAPP分子を縮合し、ポリプレニル化合物を形成しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、IPP又はポリプレニルを修飾し、FPPなどのイソプレノイド化合物を形成しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。
【0099】
6.5.1 アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換
[00112] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチル-コエンザイムAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoAを形成しうる酵素、例えばアセチルCoAチオラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913領域:2324131.2325315;大腸菌(Escherichia coli))、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、及び(L20428;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0100】
[00113] アセチルCoAチオラーゼは、アセチルCoAの2分子の可逆的縮合を触媒し、アセトアセチルCoAを生成するが、この反応は熱力学的に好ましくなく、アセトアセチルCoA合成にわたり、アセトアセチルCoAチオリシスが好ましい。アセトアセチルCoAシンターゼ(AACS)(或いはアセチルCoA:マロニルCoAアシルトランスフェラーゼと称される;EC2.3.1.194)は、アセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoAを形成する。アセチルCoAチオラーゼと対照的に、AACSによって触媒されるアセトアセチルCoA合成は、それに伴うマロニルCoAの脱炭酸に起因し、本質的にエネルギー的に好ましい反応(energy-favored reaction)である。さらに、AACSは、アセトアセチルCoAに対してチオリシス活性を示さず、そのため、反応は、不可逆的である。
【0101】
[00114] アセチルCoAチオラーゼ及び異種ADA及び/又はホスホトランスアセチラーゼ(PTA)を含む宿主細胞では、アセトアセチルCoAチオリシスを支持する、アセチルCoAチオラーゼによって触媒される可逆反応は、大規模なアセチルCoAプールを生じることがある。ADAの可逆的活性を考慮すると、このアセチルCoAプールは、次第にアセチルCoAをアセトアルデヒドに変換する可逆反応の方にADAを駆動し、それにより、アセチルCoAの生成に向けて、ADAによってもたらされる利点が減少することがある。同様に、PTAの活性は、可逆的であり、そのため、大規模なアセチルCoAプールが、アセチルCoAをアセチルリン酸に変換する可逆反応の方にPTAを駆動することがある。したがって、いくつかの実施形態では、アセチルCoAに対する強力な引力をもたらし、ADA及びPTAの正反応を駆動するため、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞のMEV経路は、アセトアセチルCoAシンターゼを利用し、アセトアセチルCoAをアセチルCoA及びマロニルCoAから形成する。
【0102】
[00115] いくつかの実施形態では、AACSは、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190に由来する(Okamura et al., Proc Natl Acad Sci USA 107 (25): 11265-70 (2010))。ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190の代表的なAACSヌクレオチド配列は、受入番号AB540131.1を含む。ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190の代表的なAACSタンパク質配列は、受入番号D7URV0、BAJ10048を含む。本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な他のアセトアセチルCoAシンターゼとして、限定はされないが、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)(AB183750;KO-3988BAD86806);S.アヌラツス(S. anulatus)株9663(FN178498;CAX48662);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)KO-3988(AB212624;BAE78983);アクチノプラネス種(Actinoplanes sp.)A40644(AB113568;BAD07381);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)C(NZ_ACEW010000640;ZP_05511702);ノカルジオプシス・ダッソンビエイ(Nocardiopsis dassonvillei)DSM43111(NZ_ABUI01000023;ZP_04335288);マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)Agy99(NC_008611;YP_907152);マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)M(NC_010612;YP_001851502);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)Mg1(NZ_DS570501;ZP_05002626);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)AA4(NZ_ACEV01000037;ZP_05478992);S.ロゼオスポラス(S. roseosporus)NRRL15998(NZ_ABYB01000295;ZP_04696763);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)ACTE(NZ_ADFD01000030;ZP_06275834);S.ビリドクロモゲネス(S. viridochromogenes)DSM40736(NZ_ACEZ01000031;ZP_05529691);フランキア種(Frankia sp.)CcI3(NC_007777;YP_480101);ノカルジア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)(NC_018681;YP_006812440.1);及びオーストウィッキア・ケロネ(Austwickia chelonae)(NZ_BAGZ01000005;ZP_10950493.1)が挙げられる。さらなる好適なアセトアセチルCoAシンターゼとして、米国特許出願公開第2010/0285549号及び米国特許出願公開第2011/0281315号(それらの内容は、それら全体が参照により援用される)に記載のものが挙げられる。
【0103】
[00116] 本明細書に提供される組成物及び方法においても有用なアセトアセチルCoAシンターゼは、本明細書に記載のアセトアセチルCoAシンターゼのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。かかる「誘導体」は、(1)本明細書に記載のアセトアセチルCoAシンターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;及び(2)アセチルCoAとマロニルCoAとの不可逆的縮合を触媒し、アセトアセチルCoAを形成する能力がある、という特徴を有する。アセトアセチルCoAシンターゼの誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、アセトアセチルCoAシンターゼの場合と同様、少なくとも80%、またより好ましくは少なくとも90%、また最も好ましくは少なくとも95%である場合、アセトアセチルCoAシンターゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。
【0104】
6.5.2 アセトアセチルCoAのHMG-CoAへの変換
[00117] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、アセトアセチルCoAをアセチルCoAのもう一つの分子と縮合し、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)を形成しうる酵素、例えばHMG-CoAシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_001145.相補体19061.20536;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、(X96617;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(BT007302;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_002758、遺伝子座タグSAV2546、GeneID1122571;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))が挙げられる。
【0105】
6.5.3 HMG-CoAのメバロン酸への変換
[00118] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換しうる酵素、例えばHMG-CoAレダクターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、HMG-CoAレダクターゼは、NADHを用いるヒドロキシメチルグルタリル-CoAレダクターゼ-CoAレダクターゼである。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.34;EC1.1.1.88)は、(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸の還元的脱アシル化を触媒し、且つクラスI及びクラスII HMGrsの2つのクラスに分類されうる。クラスIは、真核生物及び大部分の古細菌からの酵素を含み、またクラスIIは、特定の原核生物及び古細菌のHMG-CoAレダクターゼを含む。配列における分岐に加えて、2クラスの酵素はまた、それらの補助因子特異性に関して異なる。NADPHを排他的に利用するクラスI酵素と異なり、クラスIIのHMG-CoAレダクターゼは、NADPHとNADHとの間を識別する能力が変化する。例えば、Hedl et al., Journal of Bacteriology 186 (7): 1927-1932 (2004)を参照されたい。クラスIIのHMG-CoAレダクターゼを選択するための補助因子特異性は、以下に提供される。
【0106】
【表1】
【0107】
[00119] 本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用なHMG-CoAレダクターゼは、NADHを補助因子として利用することができるHMG-CoAレダクターゼ、例えばP.メバロニイ(P. mevalonii)、A.フルギドゥス(A. fulgidus)又は黄色ブドウ球菌(S. aureus)に由来するHMG-CoAレダクターゼを含む。特定の実施形態では、HMG-CoAレダクターゼは、専らNADHを補助因子として用いる能力があり、例えば、P.メバロニイ(P. mevalonii)、S.ポメロイ(S. pomeroyi)又はD.アシドボランス(D. acidovorans)に由来するHMG-CoAレダクターゼが挙げられる。
【0108】
[00120] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)に由来する。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.88)をコードするシュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の野生型mvaA遺伝子の配列については前述されている。Beach and Rodwell, J. Bacteriol. 171: 2994-3001 (1989)を参照されたい。シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の代表的なmvaAヌクレオチド配列は、受入番号M24015を含む。シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号AAA25837、P13702、MVAA_PSEMVを含む。
【0109】
[00121] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)に由来する。シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)の代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列は、受入番号NC_006569.1を含む。シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号YP_164994を含む。
【0110】
[00122] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)に由来する。デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)の代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列は、NC_010002REGION:相補体(319980..321269)を含む。デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号YP_001561318を含む。
【0111】
[00123] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、ジャガイモ(Solanum tuberosum)に由来する(Crane et al., J. Plant Physiol. 159: 1301-1307 (2002))。
【0112】
[00124] 本明細書に提供される組成物及び方法においても有用なNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、本明細書に記載のNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼのいずれかの「誘導体」と言われる分子を含み、例えば、P.メバロニイ(P. mevalonii)、S.ポメロイ(S. pomeroyi)及びD.アシドボランス(D. acidovorans)に由来する。かかる「誘導体」は、(1)本明細書に記載のNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;及び(2)(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸への還元的脱アシル化を触媒する一方、優先的には補助因子としてNADHを用いる能力がある、という特徴を有する。NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼの誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼの場合と同様、少なくとも80%、またより好ましくは少なくとも90%、また最も好ましくは少なくとも95%である場合、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼと「実質的相同性」を共有すると言う。
【0113】
[00125] 本明細書で用いられるとき、語句「NADHを用いる」は、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼが、例えばNADHに対する比活性がNADPHに対する比活性よりも高いことを示すことにより、補助因子としてNADPHよりもNADHについて選択的であることを意味する。いくつかの実施形態では、補助因子としてのNADHについての選択性は、kcat (NADH)/kcat (NADPH)比として表される。いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、少なくとも5、10、15、20、25の、又は25よりも大きいkcat (NADH)/kcat (NADPH)比を有する。いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、NADHを排他的に用いる。例えば、NADHを排他的に用いる、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、インビトロで唯一の補助因子として供されるNADHによりいくつかの活性を呈し、またNADPHが唯一の補助因子として供されるとき、検出可能な活性を呈しない。当該技術分野で公知の、補助因子特異性を決定するためのいずれかの方法を用いて、補助因子としてNADHに対する優先度を有するHMG-CoAレダクターゼ、例えば、Kim et al., Protein Science 9: 1226-1234 (2000);及びWilding et al., J. Bacteriol. 182 (18): 5147-52 (2000)(それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される)によって記載のものを同定することができる。
【0114】
[00126] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、NAPDHよりもNADHについて選択的であるように、例えば補助因子結合ポケットの部位特異的変異誘発を通じて改変される。NADHの選択性を改変するための方法は、Watanabe et al., Microbiology 153: 3044-3054 (2007)に記載されており、またHMG-CoAレダクターゼの補助因子特異性を決定するための方法は、Kim et al., Protein Sci. 9: 1226-1234 (2000)に記載されており、それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される。
【0115】
[00127] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、天然にメバロン酸分解経路を含む宿主種、例えばメバロン酸をその唯一の炭素源として異化する宿主種に由来する。これらの実施形態の中で、通常は内在化された(R)-メバロン酸のその天然宿主細胞内の(S)-HMG-CoAへの酸化的アシル化を触媒する、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼが、メバロン酸生合成経路を含む遺伝子組換え宿主細胞内での、可逆反応、即ち(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸への還元的脱アシル化を触媒するため、利用される。唯一の炭素源としてのメバロン酸で増殖可能な原核生物については、Anderson et al., J. Bacteriol, 171 (12): 6468-6472 (1989);Beach et al., J. Bacteriol. 171: 2994-3001 (1989);Bensch et al., J. Biol. Chem. 245: 3755-3762;Fimongnari et al., Biochemistry 4: 2086-2090 (1965);Siddiqi et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 8: 110-113 (1962);Siddiqi et al., J. Bacteriol. 93: 207-214 (1967);及びTakatsuji et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 110: 187-193 (1983)(それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される)によって記載されている。
【0116】
[00128] 本明細書に提供される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、宿主細胞は、NADHを用いるHMGrとNADPHを用いるHMG-CoAレダクターゼの両方を含む。NADPHを用いるHMG-CoAレダクターゼをコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NM_206548;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、(NC_002758、遺伝子座タグSAV2545、GeneID1122570;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、(AB015627;ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)KO3988)、(AX128213、切断されたHMG-CoAレダクターゼをコードする配列を提供する;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、及び(NC_001145:相補体(115734.118898;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0117】
6.5.4 メバロン酸のメバロン酸-5-リン酸への変換
[00129] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換しうる酵素、例えばメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(L77688;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、及び(X55875;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0118】
6.5.5 メバロン酸-5-リン酸のメバロン酸-5-ピロリン酸への変換
[00130] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換しうる酵素、例えばホスホメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(NM_006556;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_001145.相補体712315.713670;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0119】
6.5.6 メバロン酸-5-ピロリン酸のIPPへの変換
[00131] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換しうる酵素、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(X97557;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、(AF290095;フェシウム菌(Enterococcus faecium))、及び(U49260;ヒト(Homo sapiens))が挙げられる。
【0120】
6.5.7 IPPのDMAPPへの変換
[00132] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路を介して生成されたIPPをジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換しうる酵素、例えばIPPイソメラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913、3031087.3031635;大腸菌(Escherichia coli))、及び(AF082326;ヘマトコッカス藻(Haematococcus pluvialis))が挙げられる。
【0121】
6.5.8 ポリプレニルシンターゼ
[00133] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPP及び/又はDMAPP分子を縮合し、6つ以上の炭素を含有するポリプレニル化合物を形成しうるポリプレニルシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0122】
[00134] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPの1分子をDMAPPの1分子と縮合し、ゲラニルピロリン酸(「GPP」)の1分子を形成しうる酵素、例えばGPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF513111;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513112;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513113;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AY534686;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY534687;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(Y17376;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AE016877、遺伝子座AP11092;セレウス菌(Bacillus cereus);ATCC14579)、(AJ243739;スイートオレンジ(Citrus sinensis))、(AY534745;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(AY953508;イプス・ピニ(Ips pini))、(DQ286930;トマト(Lycopersicon esculentum))、(AF182828;ペパーミント(Mentha x piperita))、(AF182827;ペパーミント(Mentha x piperita))、(MPI249453;ペパーミント(Mentha x piperita))、(PZE431697、遺伝子座CAD24425;パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens))、(AY866498;ピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa))、(AY351862;ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera))、及び(AF203881、遺伝子座AAF12843;ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis))が挙げられる。
【0123】
[00135] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPの2分子をDMAPPの1分子と縮合するか又はIPPの分子をGPPの分子に付加し、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)の分子を形成しうる酵素、例えばFPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATU80605;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ATHFPS2R;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AAU36376;クソニンジン(Artemisia annua))、(AF461050;ウシ(Bos taurus))、(D00694;大腸菌(Escherichia coli)K-12)、(AE009951、遺伝子座AAL95523;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum subsp. nucleatum)ATCC25586)、(GFFPPSGEN;ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(CP000009、遺伝子座AAW60034;グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)621H)、(AF019892;ヒマワリ(Helianthus annuus))、(HUMFAPS;ヒト(Homo sapiens))、(KLPFPSQCR;クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis))、(LAU15777;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(LAU20771;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(AF309508;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(NCFPPSGEN;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(PAFPS1;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(PAFPS2;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(RATFAPS;ラット(Rattus norvegicus))、(YSCFPP;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、(D89104;分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe))、(CP000003、遺伝子座AAT87386;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(CP000017、遺伝子座AAZ51849;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(NC_008022、遺伝子座YP_598856;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10270)、(NC_008023、遺伝子座YP_600845;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS2096)、(NC_008024、遺伝子座YP_602832;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10750)、(MZEFPS;トウモロコシ(Zea mays))、(AE000657、遺伝子座AAC06913;超好熱性真正細菌(Aquifex aeolicus)VF5)、(NM_202836;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(D84432、遺伝子座BAA12575;枯草菌(Bacillus subtilis))、(U12678、遺伝子座AAC28894;ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)USDA110)、(BACFDPS;ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus))、(NC_002940、遺伝子座NP_873754;軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)35000HP)、(L42023、遺伝子座AAC23087;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)RdKW20)、(J05262;ヒト(Homo sapiens))、(YP_395294;ラクトバチルス・サケイ亜種サケイ(Lactobacillus sakei subsp. sakei)23K)、(NC_005823、遺伝子座YP_000273;レプトスピラ・インテロガンス血清型コペンハーゲンstr.(Leptospira interrogans serovar Copenhageni str.)Fiocruz L1-130)、(AB003187;ルテウス菌(Micrococcus luteus))、(NC_002946、遺伝子座YP_208768;淋菌(Neisseria gonorrhoeae)FA1090)、(U00090、遺伝子座AAB91752;根粒菌(Rhizobium sp.)NGR234)、(J05091;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae))、(CP000031、遺伝子座AAV93568;シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)DSS-3)、(AE008481、遺伝子座AAK99890;肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)R6)、及び(NC_004556、遺伝子座NP779706;ピアス病菌(Xylella fastidiosa)Temecula1)が挙げられる。
【0124】
[00136] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPとDMAPP又はIPPとFPPを組み合わせることで、ゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)を形成しうる酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATHGERPYRS;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(BT005328;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NM_119845;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NZ_AAJM01000380、遺伝子座ZP_00743052;バチルス・チューリンゲンシス・セロバー・イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis serovar israelensis)、ATCC35646 sq1563)、(CRGGPPS;ニチニチソウ(Catharanthus roseus))、(NZ_AABF02000074、遺伝子座ZP_00144509;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ビンセンティ(Fusobacterium nucleatum subsp. vincentii)、ATCC49256)、(GFGGPPSGN;ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(AY371321;イチョウ(Ginkgo biloba))、(AB055496;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(AB017971;ヒト(Homo sapiens))、(MCI276129;ムコール・シルシネロイデス・エフ・ルシタニコス(Mucor circinelloides f. lusitanicus))、(AB016044;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(AABX01000298、遺伝子座NCU01427;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(NCU20940;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(NZ_AAKL01000008、遺伝子座ZP_00943566;青枯病菌(Ralstonia solanacearum)UW551)、(AB118238;ラット(Rattus norvegicus))、(SCU31632;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、(AB016095;シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongates))、(SAGGPS;シナピス・アルバ(Sinapis alba))、(SSOGDS;スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius))、(NC_007759、遺伝子座YP_461832;シントロファス・アシディトロフィクス(Syntrophus aciditrophicus)SB)、(NC_006840、遺伝子座YP_204095;ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri)ES114)、(NM_112315;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ERWCRTE;パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans))、(D90087、遺伝子座BAA14124;パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis))、(X52291、遺伝子座CAA36538;ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus))、(AF195122、遺伝子座AAF24294;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides))、及び(NC_004350、遺伝子座NP_721015;ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)UA159)が挙げられる。
【0125】
[00137] メバロン酸経路の酵素の例が上に示される一方、特定の実施形態では、本明細書に記載の宿主細胞、組成物及び方法においてDMAPP及びIPPを生成するための代替的又は追加的経路として、DXP経路の酵素が使用可能である。DXP経路の酵素及び酵素をコードする核酸は、当該技術分野で周知であり、特徴づけられている(例えば、国際公開第2012/135591A2号)。
【0126】
6.6 ステビオールグリコシドを生成する方法
[00138] 別の態様では、ステビオールグリコシドを生成するための方法であって、
(a)炭素源を有する培地中でのステビオールグリコシドを生成する能力がある本明細書に記載の遺伝子組換え宿主細胞のいずれかの集団をステビオールグリコシド化合物の作製に適した条件下で培養するステップと;(b)前記ステビオールグリコシド化合物を培地から回収するステップとを含む方法が本明細書に提供される。
【0127】
[00139] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、遺伝子組換え宿主細胞の1又は複数の修飾を含まない親細胞、又は1又は複数の修飾のサブセットのみを含む親細胞と比べて増量のステビオールグリコシドを生成するが、それ以外では遺伝的に同一である。いくつかの実施形態では、増量は、例えば、収量、生成及び/又は生産性において、g/L細胞培養物、mg/g乾燥細胞重量で、細胞培養物の単位体積あたりを基準に、単位乾燥細胞重量あたりを基準に、単位時間あたりで細胞培養物の単位体積あたりを基準に、又は単位時間あたりで単位乾燥細胞重量あたりを基準に測定されるとき、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%であるか、又は100%を超える。
【0128】
[00140] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、発酵培地の約1グラム/リットルを超える増加レベルのステビオール配糖体を生成する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、発酵培地の約5グラム/リットルを超える増加レベルのステビオール配糖体を生成する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、発酵培地の約10グラム/リットルを超える増加レベルのステビオール配糖体を生成する。いくつかの実施形態では、ステビオール配糖体は、細胞培養物の1リットルあたり約10~約50グラム、約10~約15グラム、約15グラム超、約20グラム超、約25グラム超、又は約30グラム超の量で生成される。
【0129】
[00141] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、約50mg超/g乾燥細胞重量の上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。いくつかのかかる実施形態では、ステビオールグリコシドは、約50~約1500mg、約100mg超、約150mg超、約200mg超、約250mg超、約500mg超、約750mg超、又は約1000mg超/g乾燥細胞重量の量で生成される。
【0130】
[00142] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、細胞培養物の単位体積あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルよりも、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0131】
[00143] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位乾燥細胞重量あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0132】
[00144] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位時間あたりで細胞培養物の単位体積あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0133】
[00145] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位時間あたりで単位乾燥細胞重量あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0134】
[00146] ほとんどの実施形態では、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成は、誘導化合物の存在により誘導可能である。かかる宿主細胞は、誘導化合物の不在下で容易に操作可能である。次に、誘導化合物が添加され、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成が誘導される。他の実施形態では、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成は、培養条件、例えば増殖温度、培地成分などを変更することにより誘導可能である。
【0135】
6.7 培地及び条件
[00147] 微生物培養物の維持及び増殖のための材料及び方法は、微生物学又は発酵科学の当業者にとって周知である(例えば、Bailey et al., Biochemical Engineering Fundamentals, second edition, McGraw Hill, New York, 1986を参照されたい)。適切な培地、pH、温度、及び好気性、微好気性、又は嫌気性条件に対する要件に対して、宿主細胞、発酵、及びプロセスの具体的要件に応じて検討がなされる必要がある。
【0136】
[00148] 本明細書に提供されるステビオールグリコシドを生成する方法は、限定はされないが、細胞培養プレート、マイクロタイタープレート、フラスコ、又は発酵槽を含む好適な容器内の好適な培地(例えば、パントテン酸補充の存在下又は不在下)中で実施されてもよい。さらに、方法は、微生物産物の工業生産を支持するため、当該技術分野で公知の発酵のいずれかの規模で実施されうる。撹拌タンク発酵槽、エアリフト発酵槽、バブル発酵槽、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む任意の好適な発酵槽が用いられてもよい。宿主細胞としてサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を用いる特定の実施形態では、Kosaric, et al, in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Volume 12, pages 398-473, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KDaA, Weinheim, Germanyで詳述の通り、株は発酵槽内で増殖されうる。
【0137】
[00149] いくつかの実施形態では、培地は、ステビオールグリコシドを生成する能力がある遺伝子組換え微生物が存続しうる、即ち増殖及び生存度を維持しうるような任意の培地である。いくつかの実施形態では、培地は、同化可能な炭素源、窒素源及びリン酸源を含む水性培地である。かかる培地はまた、適切な塩、ミネラル、金属及び他の栄養素を含みうる。いくつかの実施形態では、炭素源及び必須細胞栄養素の各々は、発酵培地に増加的又は継続的に添加され、また必要とされる各栄養素は、例えば炭素源をバイオマスに変換する細胞の代謝又は呼吸機能に基づく所定の細胞増殖曲線に従い、増殖細胞による効率的同化にとって必要とされる本質的に最小レベルで維持される。
【0138】
[00150] 微生物を培養するための好適な条件及び好適な培地は、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、好適な培地は、例えば、インデューサー(例えば、遺伝子産物をコードする1又は複数のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にあるとき)、リプレッサー(例えば、遺伝子産物をコードする1又は複数のヌクレオチド配列が抑制可能なプロモーターの制御下にあるとき)、又は選択剤(例えば、遺伝子修飾を含む微生物について選択するための抗生物質)などの1又は複数の追加的な作用物質が添加される。
【0139】
[00151] いくつかの実施形態では、炭素源は、単糖(単糖類)、二糖、多糖、非発酵性炭素源、又はそれらの1又は複数の組み合わせである。好適な単糖の非限定例として、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、リボース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な二糖の非限定例として、スクロース、ラクトース、麦芽糖、トレハロース、セロビオース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な多糖の非限定例として、デンプン、グリコゲン、セルロース、キチン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な非発酵性炭素源の非限定例として、酢酸塩及びグリセロールが挙げられる。
【0140】
[00152] 培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、細胞増殖を促進するのに十分であるが、使用微生物の増殖を抑制するほどに高くない。典型的には、培養は、増殖及びバイオマスの所望されるレベルを達成するためのレベルで添加されている炭素源、例えばグルコースを用いて実施される。他の実施形態では、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、約1g/Lより大きく、好ましくは約2g/Lより大きく、またより好ましくは約5g/Lより大きい。さらに、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、典型的には約100g/Lより少なく、好ましくは約50g/Lより少なく、またより好ましくは約20g/Lより少ない。培養成分濃度に関しては、初期及び/又は進行中の両成分濃度を指すことは注目されるべきである。場合によっては、培養中、培地において炭素源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0141】
[00153] 好適な培地中で使用可能である同化可能な窒素の供給源として、限定はされないが、単純窒素源、有機窒素源及び複合窒素源が挙げられる。かかる窒素源は、無水アンモニア、アンモニウム塩、並びに動物、野菜及び/又は微生物起源の物質を含む。好適な窒素源として、限定はされないが、タンパク質加水分解物、微生物バイオマス加水分解物、ペプトン、酵母抽出物、硫酸アンモニウム、尿素、及びアミノ酸が挙げられる。典型的には、培地中の窒素源の濃度は、約0.1g/Lより大きく、好ましくは約0.25g/Lより大きく、またより好ましくは約1.0g/Lより大きい。しかし、窒素源の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。結果として、培地中の窒素源の濃度は、約20g/Lより小さい、好ましくは約10g/Lより小さい、またより好ましくは約5g/Lより小さい。さらに、場合によっては、培養中、培地において窒素源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0142】
[00154] 有効な培地は、無機塩類、ビタミン、微量金属又は増殖プロモーターなどの他の化合物を含有しうる。かかる他の化合物はまた、有効な培地中の炭素源、窒素源又はミネラル源の中に存在しうるか、又は特に培地に添加されうる。
【0143】
[00155] 培地はまた、好適なリン酸源を含有しうる。かかるリン酸源は、無機及び有機の両方のリン酸源を含む。好ましいリン酸源として、限定はされないが、一塩基性又は二塩基性のリン酸ナトリウム及びリン酸カリウム、リン酸アンモニウム並びにそれらの混合物などのリン酸塩が挙げられる。典型的には、培地中のリン酸塩の濃度は、約1.0g/Lより大きく、好ましくは約2.0g/Lより大きく、またより好ましくは約5.0g/Lより大きい。しかし、リン酸塩の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のリン酸塩の濃度は、典型的には約20g/Lより少なく、好ましくは約15g/Lより少なく、またより好ましくは約10g/Lより少ない。
【0144】
[00156] 好適な培地はまた、マグネシウムの供給源を、好ましくは生理学的に許容できる塩、例えば硫酸マグネシウム七水和物の形態で含みうるが、類似量のマグネシウムに寄与する濃度の他のマグネシウム源が使用可能である。典型的には、培地中のマグネシウムの濃度は、約0.5g/Lより大きく、好ましくは約1.0g/Lより大きく、またより好ましくは約2.0g/Lより大きい。しかし、マグネシウムの培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のマグネシウムの濃度は、典型的には約10g/Lより少なく、好ましくは約5g/Lより少なく、またより好ましくは約3g/Lより少ない。さらに、場合によっては、培養中、培地においてマグネシウム源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0145】
[00157] いくつかの実施形態では、培地はまた、生物学的に許容できるキレート剤、例えばクエン酸三ナトリウムの二水和物を含みうる。かかる例では、培地中のキレート剤の濃度は、約0.2g/Lより大きく、好ましくは約0.5g/Lより大きく、またより好ましくは約1g/Lより大きい。しかし、キレート剤の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のキレート剤の濃度は、典型的には約10g/Lより少なく、好ましくは約5g/Lより少なく、またより好ましくは約2g/Lより少ない。
【0146】
[00158] 培地はまた、最初に、培地の所望されるpHを維持するための生物学的に許容できる酸又は塩基を含みうる。生物学的に許容できる酸として、限定はされないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸及びそれらの混合物が挙げられる。生物学的に許容できる塩基として、限定はされないが、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、使用塩基は、水酸化アンモニウムである。
【0147】
[00159] 培地はまた、生物学的に許容できるカルシウム源、例えば限定はされないが、塩化カルシウムを含みうる。典型的には、培地中のカルシウム源、例えば塩化カルシウム二水和物の濃度は、約5mg/L~約2000mg/Lの範囲内、好ましくは約20mg/L~約1000mg/Lの範囲内、またより好ましくは約50mg/L~約500mg/Lの範囲内である。
【0148】
[00160] 培地はまた、塩化ナトリウムを含みうる。典型的には、培地中の塩化ナトリウムの濃度は、約0.1g/L~約5g/Lの範囲内、好ましくは約1g/L~約4g/Lの範囲内、またより好ましくは約2g/L~約4g/Lの範囲内である。
【0149】
[00161] いくつかの実施形態では、培地はまた、微量金属を含みうる。かかる微量金属は、便宜上、培地の残りとは別に調製可能である保存液としての培地に添加されうる。典型的には、培地に添加されるかかる微量金属溶液の量は、約1mL/Lより多い、好ましくは約5mL/Lより多い、またより好ましくは約10mL/Lより多い。しかし、微量金属の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地に添加されるかかる微量金属溶液の量は、典型的には約100mL/Lより少なく、好ましくは約50mL/Lより少なく、またより好ましくは約30mL/Lより少ない。微量金属を保存液に添加することに加えて、個別成分が別々に添加可能であり、各々が微量金属溶液の上記範囲によって指定される成分の量に依存せずに対応する範囲内にありうることは注目されるべきである。
【0150】
[00162] 培地は、他のビタミン、例えば、パントテン酸、ビオチン、カルシウム、パントテン酸、イノシトール、ピリドキシン-HCl、及びチアミン-HClを含みうる。かかるビタミンは、便宜上、培地の残りとは別に調製可能である保存液としての培地に添加されうる。しかし、ビタミンの培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。
【0151】
[00163] 本明細書に記載の発酵方法は、限定はされないが、バッチ、フェドバッチ、細胞リサイクル、連続式及び半連続式を含む、通常の培養方法で実施されうる。いくつかの実施形態では、発酵は、フェドバッチモードで実施される。かかる場合、培地の成分の一部が培養中に、例えばパントテン酸が発酵の生成段階中に枯渇される。いくつかの実施形態では、例えば生成段階の開始時に、培養物に比較的高濃度のかかる成分が添加されてもよく、それにより、添加が必要になるまでの期間、増殖及び/又はステビオールグリコシドの生成が支持される。培養全体を通じて、これら成分は、好ましい範囲で、培養によりレベルが激減すると添加を行うことにより、維持される。培地中の成分のレベルは、例えば、培地を定期的にサンプリングし、濃度についてアッセイすることにより、監視されうる。或いは、一旦標準的な培養手順が開発されると、培養全体を通じて、特定の時点での既知のレベルに対応する時間間隔で添加がなされうる。当業者によって理解されるであろうが、栄養素の消費の速度は、培養中、培地の細胞密度が増加するにつれて増加する。さらに、外来微生物の培地への導入を回避するため、当該技術分野で公知の通り、無菌添加方法を用いて添加が実施される。さらに、培養中、少量の抗発泡剤が添加されてもよい。
【0152】
[00164] 培地の温度は、遺伝子組換え細胞の増殖及び/又はステビオールグリコシドの生成に適した任意の温度でありうる。例えば、培地への接種材料の接種前、培地は、約20℃~約45℃の範囲内の温度、好ましくは約25℃~約40℃の範囲内の温度、またより好ましくは約28℃~約32℃の範囲内の温度に導かれ、且つそこで維持されうる。
【0153】
[00165] 培地のpHは、酸又は塩基の培地への添加により制御されうる。かかる場合、pHを制御するためにアンモニアが用いられるとき、それは便宜上、培地における窒素源としても役立つ。好ましくは、pHは、約3.0~約8.0、より好ましくは約3.5~約7.0、また最も好ましくは約4.0~約6.5で維持される。
【0154】
[00166] いくつかの実施形態では、培養中、培地の炭素源濃度、例えばグルコース濃度が監視される。培地のグルコース濃度は、上清、例えば培地の無細胞成分中のグルコース濃度を監視するために使用可能である、公知の技術を用いて、例えばグルコースオキシダーゼ酵素試験又は高圧液体クロマトグラフィーを用いて監視されうる。炭素源濃度は、典型的には、細胞増殖阻害が生じるレベル未満に維持される。炭素源としてのグルコースにおいて、かかる濃度は生物間で変動してもよいが、細胞増殖阻害は、約60g/Lより大きいグルコース濃度で生じ、試験により容易に測定可能である。したがって、グルコースが炭素源として用いられるとき、グルコースは、好ましくは発酵槽に供され、検出限界未満で維持される。或いは、培地中のグルコース濃度は、約1g/L~約100g/Lの範囲内、より好ましくは約2g/L~約50g/Lの範囲内、またさらにより好ましくは約5g/L~約20g/Lの範囲内で維持される。炭素源濃度は、例えば実質的に純粋なグルコース溶液の添加により、所望されるレベル内で維持されうるが、培地の炭素源濃度を一定分量の元の培地の添加により維持することが許容可能であり、且つ好ましいことがある。一定分量の元の培地の使用は、培地中の他の栄養素(例えば、窒素源及びリン酸源)の濃度が同時に維持可能であることから、望ましいことがある。同様に、微量金属濃度は、一定分量の微量金属溶液の添加により、培地中で維持されうる。
【0155】
[00167] 他の好適な発酵培地及び方法は、例えば国際公開第2016/196321号に記載されている。
【0156】
6.8 発酵組成物
[00168] 別の態様では、本明細書に記載の遺伝子組換え宿主細胞及び遺伝子組換え宿主細胞から生成されるステビオールグリコシドを含む発酵組成物が本明細書に提供される。発酵組成物は、培地をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、発酵組成物は、遺伝子組換え宿主細胞を含み、またReb A、Reb D、及びReb Mをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、遺伝子組換え宿主細胞から生成されるステビオールグリコシドの主成分としてReb Mを含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、Reb A、Re bD、及びReb Mを少なくとも1:7:50の比で含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、Reb A、Reb D、及びRe bMを少なくとも1:7:50~1:100:1000の比で含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、少なくとも1:7:50~1:200:2000の比で含む。特定の実施形態では、Reb A、Reb D、及びReb Mの比は、遺伝子組換え宿主細胞及び培地に関連したステビオールグリコシドの全含量に基づく。特定の実施形態では、Reb A、Reb D、及びReb Mの比は、培地中のステビオールグリコシドの全含量に基づく。特定の実施形態では、Reb A、Reb D、及びReb Mの比は、遺伝子組換え宿主細胞と会合したステビオールグリコシドの全含量に基づく。
【0157】
[00169] 特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、Reb M2を検出不能なレベルで含有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、天然に存在しないステビオールグリコシドを検出不能なレベルで含有する。
【0158】
6.9 ステビオール配糖体の回収
[00170] ステビオール配糖体が宿主細胞により生成されると、後の使用のため、それは、当該技術分野で公知の任意の好適な分離及び精製方法を用いて回収又は単離されうる。いくつかの実施形態では、ステビオール配糖体を含む清澄化された水相は、遠心分離により発酵から分離される。他の実施形態では、ステビオール配糖体を含む清澄化された水相は、抗乳化剤を発酵反応に加えることにより発酵から分離される。抗乳化剤の実例として、凝集剤及び凝固剤が挙げられる。
【0159】
[00171] これらの細胞内で生成されるステビオール配糖体は、培養上清中に存在することができ、及び/又は宿主細胞に結合することができる。ステビオール配糖体の一部が宿主細胞に結合した場合の実施形態では、ステビオール配糖体の回収は、ステビオール配糖体の細胞からの放出を改善する方法を含みうる。いくつかの実施形態では、これは、細胞を熱水又は緩衝液処理により、界面活性剤の存在下又は不在下において、及び添加された緩衝液又は塩の存在下又は不在下で洗浄するという形態を取ることができた。いくつかの実施形態では、温度は、ステビオール配糖体の放出に適するとみなされる任意の温度である。いくつかの実施形態では、温度は、40~95℃;又は60~90℃;又は75~85℃の範囲である。いくつかの実施形態では、温度は、40℃、45℃、50℃、55℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、又は95℃である。いくつかの実施形態では、宿主細胞からのステビオール配糖体の放出を増強するため、物理的又は化学的細胞破壊が用いられる。代替的に及び/又は後続して、培地中のステビオール配糖体は、限定はされないが、溶媒抽出、膜清澄化、膜濃縮、吸着、クロマトグラフィー、蒸発、化学的誘導体化、結晶化、及び乾燥を含む単離単位操作を用いて回収されうる。
【0160】
6.10 遺伝子組換え細胞を作製する方法
[00172] 上記の修飾の1以上、例えばステビオール配糖体化合物に対する、例えばステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)カウレン酸ヒドロキシラーゼ及び/又は生合成経路酵素をコードする1以上の異種核酸を含むように遺伝子改変された宿主細胞を生成するための方法も本明細書に提供される。宿主細胞内での異種酵素の発現は、宿主細胞内での発現を可能にする調節エレメントの制御下で酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を宿主細胞内に導入することにより達成されうる。いくつかの実施形態では、核酸は、染色体外プラスミドである。他の実施形態では、核酸は、ヌクレオチド配列を宿主細胞の染色体に組み込むことが可能な染色体組み込みベクターである。他の実施形態では、核酸は、相同性を介してヌクレオチド配列を宿主細胞の染色体に組み込むことが可能な直線状の二本鎖DNA片である。
【0161】
[00173] これらタンパク質をコードする核酸は、限定されない当業者に公知の任意の方法により宿主細胞に導入されうる(例えば、Hinnen et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 1292-3;Cregg et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5: 3376-3385;Goeddel et al. eds, 1990, Methods in Enzymology, vol. 185, Academic Press, Inc., CA;Krieger, 1990, Gene Transfer and Expression -- A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;及びAusubel et al., eds., Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照されたい)。例示的技術として、限定はされないが、スフェロプラスティング、エレクトロポレーション、PEG1000媒介形質転換、及び酢酸リチウム若しくは塩化リチウム媒介形質転換が挙げられる。
【0162】
[00174] 宿主細胞内での酵素の量は、酵素をコードする遺伝子の転写を修飾することにより変更されることがある。これは、例えば酵素をコードするヌクレオチド配列のコピー数を変更することにより(例えば、ヌクレオチド配列を含むより高い若しくはより低いコピー数の発現ベクターを用いることにより、又はヌクレオチド配列の追加的コピーを宿主細胞のゲノムに導入することにより、又は宿主細胞のゲノム中のヌクレオチド配列を欠失させる若しくは破壊することにより)、オペロンのポリシストロニックmRNA上のコード配列の順序を変化させる、又はオペロンを崩壊させて、各々がそれ自身の調節エレメントを有する個別遺伝子にすることより、又はヌクレオチド配列が作動可能に連結される対象のプロモーター若しくはオペレーターの長さを増加させることにより、達成されうる。代替的に又追加的に、宿主細胞内の酵素のコピー数は、酵素をコードするmRNAの翻訳のレベルを変更することにより変更されてもよい。これは、例えば、mRNAの安定性を修飾する、リボソーム結合部位の配列を修飾する、リボソーム結合部位と酵素コード配列の開始コドンとの間の距離若しくは配列を変更する、酵素コード領域の開始コドンの5’側「の上流に」位置する若しくはそれに隣接する全シストロン間領域を修飾する、ヘアピン及び特定化された配列を用いてmRNA転写物の3’末端を安定化する、酵素のコドン使用を変更する、酵素の生合成に用いられる希少コドンtRNAの発現を変更する、及び/又は例えば酵素の安定性をそのコード配列の突然変異によって増強することにより、達成可能である。
【0163】
[00175] 宿主細胞内の酵素の活性は、例えば限定はされないが、宿主細胞内での溶解度の増加若しくは減少を呈する酵素の修飾形態を発現させる、酵素の活性の阻害をもたらすドメインが欠如した酵素の改変形態を発現させる、基質に対してより高い若しくはより低いKcat又はより低い若しくはより高いKmを有する酵素の改変形態を発現させる、又は経路内の別の分子によるフィードバック若しくはフィードフォワード調節により多かれ少なかれ影響を受ける酵素の改変形態を発現させるようないくつかの方法において改変されうる。
【0164】
[00176] いくつかの実施形態では、宿主細胞を遺伝的に修飾するために用いられる核酸は、形質転換宿主細胞の選択において、また外来DNAを維持するため、宿主細胞に対して選択圧をかけることにおいて有用な1又は複数の選択可能マーカーを含む。
【0165】
[00177] いくつかの実施形態では、選択可能マーカーは、抗生物質耐性マーカーである。抗生物質耐性マーカーの実例として、限定はされないが、BLA、NAT1、PAT、AUR1-C、PDR4、SMR1、CAT、マウスdhfr、HPH、DSDA、KAN、及びSH BLE遺伝子産物が挙げられる。大腸菌(E. coli)由来のBLA遺伝子産物は、βラクタム抗生物質(例えば、狭スペクトルセファロスポリン、セファマイシン、及びカルバペネム(エルタペネム)、セファマンドール、及びセフォペラゾン)とテモシリンを除く全ての抗グラム陰性細菌ペニシリンに耐性を付与し;S.ノウルセイ(S. noursei)由来のNAT1遺伝子産物は、ノウルセオトリシンに耐性を付与し;S.ビリドクロモゲネス(S. viridochromogenes)Tu94由来のPAT遺伝子産物は、バイアロフォス(bialophos)に耐性を付与し;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のAUR1-C遺伝子産物は、オーレオバシジン(Auerobasidin)A(AbA)に耐性を付与し;PDR4遺伝子産物は、セルレニンに耐性を付与し;SMR1遺伝子産物は、スルホメツロンメチルに耐性を付与し;Tn9トランスポゾン由来のCAT遺伝子産物は、クロラムフェニコールに耐性を付与し;マウスdhfr遺伝子産物は、メトトレキサートに耐性を付与し;クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)のHPH遺伝子産物は、ハイグロマイシンBに耐性を付与し;大腸菌(E. coli)のDSDA遺伝子産物は、唯一の窒素源としてD-セリンを有するプレート上で細胞が増殖することを可能にし;Tn903トランスポゾンのKAN遺伝子は、G418に耐性を付与し;またストレプトアロテイクス・ヒンダスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)由来のSH BLE遺伝子産物は、ゼオシン(ブレオマイシン)に耐性を付与する。いくつかの実施形態では、抗生物質耐性マーカーは、本明細書に開示される遺伝子組換え宿主細胞が単離された後、欠失される。
【0166】
[00178] いくつかの実施形態では、選択可能マーカーは、遺伝子組換え微生物において要求性(例えば、栄養要求性)を救出する。かかる実施形態では、親微生物は、アミノ酸又はヌクレオチド生合成経路内で機能する1又は複数の遺伝子産物中に機能的破壊を含み、しかも非機能的な場合、親細胞を1又は複数の栄養素の添加を伴わない培地中で増殖できなくする。かかる遺伝子産物として、限定はされないが、酵母中のHIS3、LEU2、LYS1、LYS2、MET15、TRP1、ADE2、及びURA3遺伝子産物が挙げられる。次に、栄養要求性表現型は、親細胞を、破壊された遺伝子産物の機能的コピーをコードする発現ベクター又は染色体組み込み構築物で形質変換することにより救出可能であり、作製された遺伝子組換え宿主細胞は、親細胞の栄養要求性表現型の欠損に基づいて選択可能である。選択可能マーカーとしてのURA3、TRP1、及びLYS2遺伝子の利用は、ポジティブ及びネガティブ選択の両方が可能であることから、著明な利点を有する。ポジティブ選択は、URA3、TRP1、及びLYS2突然変異の栄養要求性相補性により実施される一方、ネガティブ選択は、原栄養菌株の増殖を阻止するが、URA3、TRP1、及びLYS2突然変異体各々の増殖を可能にする特異的阻害剤、即ち5-フルオロ-オロト酸(FOA)、5-フルオロアントラニル酸、及びアミノアジピン酸(aAA)の各々に基づく。他の実施形態では、選択可能マーカーは、公知の選択方法により同定可能な他の非致死的欠損又は表現型を救出する。
【0167】
[00179] 本開示の方法、組成物及び生物において有用な特異的な遺伝子及びタンパク質が本明細書に記載されるが、かかる遺伝子に対する絶対的同一性が必要でないことは理解されるであろう。例えば、ポリペプチド又は酵素をコードする配列を含む特定の遺伝子又はポリヌクレオチドにおける改変が実施され、活性についてスクリーニングされうる。典型的には、かかる改変は、保存的突然変異及びサイレント突然変異を含む。かかる修飾又は突然変異されたポリヌクレオチド及びポリペプチドは、当該技術分野で公知の方法を用いて、機能的酵素の発現についてスクリーニングされうる。
【0168】
[00180] 遺伝暗号の固有の縮重に起因し、かかる酵素をコードするポリヌクレオチドをクローン化及び発現するため、実質的に同じか又は機能的に等価なポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドもまた使用可能である。
【0169】
[00181] 当業者によって理解されるであろうが、特定の宿主内で、コード配列を修飾し、その発現を増強することは有利でありうる。遺伝暗号は、64の可能なコドンにより冗長であるが、大部分の生物は、典型的にはこれらコドンのサブセットを用いる。ある種において最も多く利用されるコドンは、最適コドンと称され、大して頻繁には利用されないコドンは、希少又は低使用コドンとして分類される。宿主の好ましいコドン使用を反映させるため、時として「コドン最適化」又は「種コドンバイアスの制御」と称されるプロセスにおいて、コドンは置換可能である。他の宿主細胞におけるコドン最適化は、コドン使用表を用いて容易に判定されうる、又は市販のソフトウェア、例えばIntegrated DNA Technologies製のCodonOp(www.idtdna.com/CodonOptfrom)を用いて実施されうる。
【0170】
[00182] 特定の原核生物又は真核生物宿主によって好まれるコドンを有する最適化されたコード配列(Murray et al., 1989, Nucl Acids Res. 17: 477-508)が調製されることで、例えば、翻訳の速度を増加させることができる、又は望ましい特性、例えば非最適化配列から生成された転写物と比べると延長された半減期を有する組換えRNA転写物を作製することができる。宿主の好ましさを反映させるため、翻訳停止コドンについても修飾されうる。例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)及び哺乳類における典型的な停止コドンは各々、UAA及びUGAである。単子葉植物における典型的な停止コドンはUGAである一方、昆虫及び大腸菌(E. coli)は、一般に停止コドンとしてUAAを用いる(Dalphin et al., 1996, Nucl Acids Res. 24: 216-8)。
【0171】
[00183] 当業者は、遺伝暗号の縮重性に起因し、ヌクレオチド配列が異なる種々のDNA分子が、本開示の所与の酵素をコードするように使用可能であることを理解するであろう。上記の生合成酵素をコードする天然DNA配列は、あくまで本開示の実施形態を例示するために本明細書で参照され、本開示は、本開示の方法において利用される酵素のポリペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の配列のDNA分子を含む。同様の様式で、ポリペプチドは、典型的には、所望される活性の欠損又は有意な欠損を伴わずに、そのアミノ酸配列内に1又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び挿入を許容しうる。本開示は、修飾又は変異ポリペプチドが参照ポリペプチドの酵素的同化又は異化活性を有する限り、本明細書に記載の特定のタンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するようなポリペプチドを含む。さらに、本明細書に示されるDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、あくまで本開示の実施形態を例示する。
【0172】
[00184] さらに、本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な酵素の相同体は、本開示によって包含される。いくつかの実施形態では、2つのタンパク質(又はタンパク質の領域)は、アミノ酸配列が、少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を有するとき、実質的に相同である。2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列のパーセント同一性を判定するため、配列は、最適な比較を目的として整列される(例えば、最適な整列化のため、第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップが導入可能であり、非相同性配列は比較を目的として無視されうる)。一実施形態では、比較を目的として整列された参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、典型的には少なくとも40%、より典型的には少なくとも50%、さらにより典型的には少なくとも60%、またさらにより典型的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、アミノ酸残基又はヌクレオチドは、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチドで比較される。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められるとき、分子はその位置で同一である(本明細書で用いられるとき、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」に等しい)。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適な整列化を意図して導入される必要がある、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れて、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0173】
[00185] 「相同性」がタンパク質又はペプチドに関連して用いられるとき、同一でない残基位置が保存的アミノ酸置換により異なることが多いことが理解される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似的化学特性(例えば、電荷又は疎水性)を伴う側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換されたものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に改変することがない。2以上のアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、パーセント配列同一性又は相同性の程度は、置換の保存的性質について訂正するように上方に調節されてもよい。この調節を設けるための手段は、当業者に周知である(例えば、Pearson W. R., 1994, Methods in Mol Biol 25: 365-89を参照されたい)。
【0174】
[00186] 以下の6群:1)セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アラニン(A)、バリン(V)、及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)は各々、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を有する。
【0175】
[00187] パーセント配列同一性とも称される、ポリペプチドにおける配列相同性は、典型的には配列分析ソフトウェアを用いて計測される。分子配列を異なる生物からの多数の配列を有するデータベースと比較する典型的な使用アルゴリズムは、コンピュータプログラムBLASTである。多数の異なる生物からの配列を有するデータベースを探索するとき、アミノ酸配列を比較することは典型的である。
【0176】
[00188] さらに、前述の酵素をコードする遺伝子のいずれか(又は本明細書に記載の任意のその他(又はその発現を制御若しくは調節する調節エレメントのいずれか))は、当業者にとって公知である遺伝子/タンパク質工学技術、例えば定向進化又は合理的突然変異誘発により最適化されてもよい。かかる作用により、当業者は、酵素を酵母における発現及び活性について最適化することが可能になる。
【0177】
[00189] さらに、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌及び細菌種から同定可能であり、この経路の調節を意図して発現されうる。限定はされないが、サッカロマイセス属菌(Saccharomyces spp.)、例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)及びS.ウバルム(S. uvarum)、クルイベロマイセス属菌(Kluyveromyces spp.)、例えば、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、K.ラクティス(K. lactis)、及びK.マルシアヌス(K. marxianus)、ピチア属菌(Pichia spp.)、ハンゼヌラ属菌(Hansenula spp.)、例えば、H.ポリモルファ(H. polymorpha)、カンジダ属菌(Candida spp.)、トリコスポロン属菌(Trichosporon spp.)、ヤマダジマ属菌(Yamadazyma spp.)、例えば、Y.属菌スティピティス(Y. spp. stipitis)、トルラスポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、シゾサッカロミセス属菌(Schizosaccharomyces spp.)、例えば、分裂酵母(S. pombe)、クリプトコッカス属菌(Cryptococcus spp.)、アスペルギルス属菌(Aspergillus spp.)、ニューロスポラ属菌(Neurospora spp.)、又はウスチラゴ属菌(Ustilago spp.)を含む種々の生物は、これらの酵素の供給源として役立ちうる。嫌気性真菌からの遺伝子の供給源として、限定はされないが、ピロミセス属菌(Piromyces spp.)、オルピノミセス属菌(Orpinomyces spp.)、又はネオカリマスティクス属菌(Neocallimastix spp.)が挙げられる。有用な原核生物酵素の供給源として、限定はされないが、大腸菌(Escherichia coli)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バチルス属菌(Bacillus spp.)、クロストリジウム属菌(Clostridium spp.)、コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium spp.)、シュードモナス属菌(Pseudomonas spp.)、ラクトコッカス属菌(Lactococcus spp.)、エンテロバクター属菌(Enterobacter spp.)、及びサルモネラ属菌(Salmonella spp.)が挙げられる。
【0178】
[00190] 追加的な相同性遺伝子及び相同性酵素を同定するため、当業者に公知の技術が好適であることがある。一般に、類似遺伝子及び/又は類似酵素は、機能分析により同定可能であり、機能的類似性を有することになる。類似遺伝子及び類似酵素を同定するため、当業者に公知の技術が好適であることがある。例えば、相同的又は類似的なUDP糖転移酵素、KAH、又は任意の生合成経路の遺伝子、タンパク質、若しくは酵素を同定するため、技術として、限定はされないが、目的の遺伝子/酵素の公表された配列に基づくプライマーを用いるPCRにより、又は目的の遺伝子の中の保存された領域を増幅するように設計された縮重プライマーを用いる縮重PCRにより遺伝子をクローン化することを含んでもよい。さらに、当業者は、機能的相同性又は類似性を有する相同的若しくは類似的な遺伝子、タンパク質、又は酵素を同定するための技術を用いることができる。技術としては、酵素の触媒活性について、(例えば、本明細書又はKiritani, K., Branched-Chain Amino Acids Methods Enzymology, 1970に記載のような)前記活性に対するインビトロ酵素アッセイを通じて、細胞又は細胞培養物を試験し、次いで前記活性を有する酵素を精製により単離し、エドマン分解、類似の核酸配列に対するPCRプライマーの設計、前記DNA配列のPCRによる増幅、及び前記核酸配列のクローニングなどの技術を通じて酵素のタンパク質配列を決定することを含む。相同若しくは類似遺伝子及び/又は相同若しくは類似酵素、類似遺伝子及び/又は類似酵素若しくはタンパク質を同定するため、技術としては、候補遺伝子若しくは酵素に関するデータと、BRENDA、KEGG、若しくはMetaCYCなどのデータベースとの比較も含む。候補遺伝子若しくは酵素は、本明細書中の教示内容に従い、上記データベース内で同定されてもよい。
【実施例
【0179】
7.実施例
実施例1.酵母形質転換法
[00191] 最適化された酢酸リチウム形質転換のため、標準の分子生物学技術を用いて、各DNA構築物をサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(CEN.PK2)に組み込んだ。即ち、細胞を30℃、酵母抽出物ペプトンデキストロース(YPD)培地中で振盪させながら(200rpm)一晩成長させ、100mLのYPDで0.1のOD600まで希釈し、0.6~0.8のOD600まで成長させた。各形質転換において、5mLの培養物を遠心分離により収集し、5mLの滅菌水で洗浄し、再び遠心沈殿させ、1mLの100mM酢酸リチウムに再懸濁し、マイクロ遠心チューブに移した。細胞を30秒間遠心沈殿させ(13,000×g)、上清を除去し、240μLの50%PEG、36μLの1M酢酸リチウム、10μLの煮沸サケ精子DNA、及び74μLのドナーDNAからなる形質転換混合物に細胞を再懸濁した。ドナーDNAは、発現のための酵母TDH3プロモーター下で発現されるF-CphIエンドヌクレアーゼ遺伝子を保有するプラスミドを含んだ(実施例4を参照されたい)。42℃で40分間の熱ショック後、F-CphIプラスミドを取り込んでいる細胞について選択するため、適切な抗生物質を含有するYPD培地で細胞を一晩かけて回収した。一晩かけた回収後、細胞を遠心分離により短時間遠心沈殿させ、F-CphIプラスミドを取り込んでいる細胞について選択するため、適切な抗生物質を含有するYPD培地に蒔いた。組み込みに特異的なプライマーを用いるコロニーPCRにより、DNAの組み込みを確認した。
【0180】
実施例2:ファルネシルピロリン酸(FPP)及びイソプレノイドファルネセンに対する高フラックスが可能な基本酵母株の作製
[00192] ファルネセン生成株を、野生型サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株(CEN.PK2)から、GAL1又はGAL10プロモーターの制御下でメバロン酸経路の遺伝子を発現することにより作出した。この株は、S.セレビシエ(S. cerevisiae)からの、アセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、及びIPP:DMAPPイソメラーゼの染色体組み込みメバロン酸経路遺伝子を含んだ。さらに、株は、やはりGAL1又はGAL10プロモーターのいずれかの制御下で、アルテミシア・アニュア(Artemisia annua)由来のファルネセンシンターゼの複数のコピーを含有した。公的に利用可能である又は他の好適なアルゴリズムを使用し、本明細書に記載の全ての異種遺伝子をコドン最適化した。株は、GAL80遺伝子の欠失も含有し、スクアレンシンターゼをコードするERG9遺伝子を、天然プロモーターを酵母遺伝子MET3のプロモーターと置換することにより下方制御した(Westfall et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA109 (3), 2012, pp. E111-E118)。高流量のイソプレノイドを有するS.セレビシエ(S. cerevisiae)株を作出する方法の例は、米国特許第8,415,136号及び米国特許第8,236,512号(それら全体が本明細書中に援用される)に記載されている。
【0181】
実施例3.高流量のReb Mを有する基礎酵母株の作製
[00193] 図1は、FPPからステビオールへの例示的な生合成経路を示す。図2は、ステビオールから配糖体Reb Mへの例示的な生合成経路を示す。C20イソプレノイドカウレンに対して高流量を有するように上記のファルネセンベース株を変換するため、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)の4コピー、続いてコパリル二リン酸シンターゼの2コピー及びカウレンシンターゼの単一コピーをゲノムに組み込んだ。この時点でファルネセンシンターゼの全てのコピーを株から除去した。その新しい株がent-カウレンを生成することが確認されると、ent-カウレンをReb Mに変換するための残りの遺伝子をゲノムに挿入した。表1は、FPPをReb Mに変換するために使用される全ての遺伝子及びプロモーターを列挙する。カウレンシンターゼ後の各遺伝子は、2つの遺伝子コピーを組み込んだSr.KAH酵素の場合を除き、単一コピーとして組み込んだ。表1に記載の全ての遺伝子を含有する株は、主にReb Mを生成した。
【0182】
【表2】
【0183】
実施例4.ステビオール配糖体トランスポーターについてスクリーニングするための株の作製
[00194] Reb Mを生成する株においてインビボでステビオール配糖体トランスポーターについて迅速にスクリーニングするため、ランディングパッドを上記の株に挿入した。ランディングパッドは、SFM1オープンリーディングフレーム下流のゲノム領域に対する構築物のいずれかの末端において、500bpの遺伝子座を標的にするDNA配列からなった(図3を参照されたい)。内部的に、ランディングパッドは、エンドヌクレアーゼ認識部位(F-CphI)に隣接するGAL1プロモーター及び酵母ターミネーターを含有した。
【0184】
実施例5:酵母培養条件
[00195] 過剰発現されたトランスポータータンパク質を有する酵母コロニーを、20g/Lのスクロース、3.75g/Lの硫酸アンモニウム、及び1g/Lのリジンを有するバードシード培地(BSM, van Hoek et al., Biotechnology and Bioengineering 68 (5), 2000, pp. 517-523によって最初に記された)を含有する96ウェルマイクロタイタープレートに採取した。細胞を、高性能マイクロタイタープレートインキュベーター内において、1000rpm及び80%湿度で3日間振盪させながら、培養物が炭素消耗に達するまで28℃で培養した。増殖飽和した培養物を、40g/Lのスクロース及び3.75g/Lの硫酸アンモニウムを有するBSMを含有する新しいプレートに、飽和培養物から14.4μLを採取し、360μLの新しい培地に希釈することにより継代した。生成培地中の細胞を、抽出及び分析に先立ち、高性能マイクロタイタープレートシェーカー内、1000rpm及び80%湿度でさらに3日間、30℃で培養した。
【0185】
実施例6:ステビオール配糖体の分析のための全細胞培養液サンプルの調製条件
[00196] 培養で生成された全てのステビオール配糖体の量を分析するため、培養完了時、全細胞培養液を628μLの100%エタノールで希釈し、ホイルシールで密封し、1250rpmで30秒間振盪し、ステビオール配糖体を抽出した。314μLの水を各ウェルに直接添加し、抽出物を希釈した。プレートを短時間遠心分離し、固体をペレット化した。内部標準として、0.48mg/LのレバウジオシドNを含有する208μLの50:50のエタノール:水混合物を新しい250μLのアッセイプレートに移し、2μLの培養物/エタノール混合物をアッセイプレートに添加した。分析に先立ち、ホイルシールをプレートに適用した。
【0186】
実施例7:ステビオール配糖体の分析のための培養上清サンプルの調製条件
[00197] 生成され、培地に排泄された全てのステビオール配糖体の量を分析するため、培養完了時、全細胞培養液を2000×gで5分間遠心分離し、細胞をペレット化した。得られた上清の一定分量240μLを空の96ウェルマイクロタイタープレートに移した。上清サンプルを480μLの100%エタノールで希釈し、ホイルシールで密封し、1250rpmで30秒間振盪し、ステビオール配糖体を抽出した。抽出物を希釈するため、240μLの水を各ウェルに添加した。プレートを短時間遠心分離し、任意の固体をペレット化した。内部標準として、0.48mg/LのレバウジオシドNを含有する208μLの50:50のエタノール:水混合物を新しい250μLのアッセイプレートに移し、2μLの培養物/エタノール混合物をアッセイプレートに添加した。分析に先立ち、ホイルシールをプレートに適用した。
【0187】
実施例8:分析方法
[00198] ステビオール配糖体用サンプルの測定値を、表2及び3に示す立体配置を用いるC8カートリッジを有するRapidFire 365システムオートサンプラーを伴う質量分析計(Agilent 6470-QQQ)により分析した。
【0188】
【表3】
【0189】
【表4】
【0190】
[00199] 質量分析計から得たクロマトグラムからのピーク面積を使用し、較正曲線を作成した。関連化合物のモル比を、信頼性標準を用いる外部較正を通して各化合物のモル単位の量を定量化し、次いで適切な比を取得することにより判定した。
【0191】
実施例9.インビボでステビオール配糖体の力価を増加させる能力があるトランスポーターについてのスクリーニング
[00200] トランスポーターがさらに発現されない場合のReb M生成株では、より高分子量のステビオール配糖体Reb D及びReb Mの約80%がバイオマスに結合することが見出された(図4を参照されたい)。このバイオマスとの結合は、Reb D及びReb Mが細胞外部に効率的に輸送されず、細胞質内で保持されていることに起因する可能性が高い。Reb D及びReb Mの蓄積があれば、生成物阻害をもたらすことができ、ステビオール配糖体代謝経路を通した炭素フラックスを低減することになる。したがって、ステビオール配糖体(特にReb D及びReb M)を細胞質外部に、及び培地(上清)中に輸送することになる1以上のトランスポーターの発現は、生成物阻害を軽減し、それにより経路を通して炭素フラックスを増加させ、より高いステビオール配糖体の力価をもたらすことが期待される。より高分子量のステビオール配糖体を細胞外部に輸送し、それにより生成物阻害を軽減する能力があるトランスポーターを同定するため、種々の真菌から同定されたいくつかのトランスポーターを、全ステビオール配糖体の力価、特により高分子量の配糖体(即ちReb D及びReb M)の力価を増加させる能力についてスクリーニングした。
【0192】
[00201] S.セレビシエ(S. cerevisiae)ゲノム由来のトランスポーターであることが注釈付けられた全てのタンパク質を、ゲノムDNA源としてCEN.PK2を使用し、PCRにより増幅した。各PCRプライマーは、ランディングパッドへの増幅された遺伝子の相同組換えを容易にするため、末端に付加されたランディングパッド(図3を参照されたい)内のPGAL1及び酵母ターミネーターDNA配列に対して40bpの隣接相同性を有した。CEN.PK2中に見出された全ての内因性S.セレビシエ(S. cerevisiae)輸送タンパク質のスクリーニングに加えて、少数の真菌及びさらなるS.セレビシエ(S. cerevisiae)株に由来するABCトランスポータータンパク質について、拡張されたバイオインフォマティクス検索を実施した。
【0193】
[00202] 真菌ABCトランスポーターのライブラリーを作成するため、最初に、ABCトランスポーターの系統発生分析が27の真菌種に対して実施された、Kovalchuk and Driessen (Kovalchuk and Driessen, BMC Genomics, 11, 2010, pp. 177-197)による公表された“Phylogenetic Analysis of Fungal ABC Transporters”からのアミノ酸配列を取得した。この文献ソースから、ABC-C、ABC-D、及びABC-Gサブファミリーに属することが示された全てのトランスポーターを含む、全部で610のアミノ酸配列を選択した。次いで、以下の真菌:(1)ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)DL-1(NRRL-Y-7560)、(2)ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC18945、(3)アルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)ATCC76597、(4)S.セレビシエ(S. cerevisiae)CAT-1、(5)油脂酵母(Lipomyces starkeyi)ATCC58690、(6)クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、(7)クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)DMKU3-1042、(8)コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)NRRL Y-11430、(9)S.セレビシエ(S. cerevisiae)MBG3370、(10)S.セレビシエ(S. cerevisiae)MBG3373、(11)クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)ATCC8585、(12)トルラ酵母(Candida utilis)ATCC22023、(13)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)ATCC28485、及び(14)ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)NRRL5590についての社内BLASTデータベースを開発した。
【0194】
[00203] 社内ヌクレオチドORF配列を新規のゲノム配列決定、アセンブリング、及びアノテーションの努力から既に取得した生物の場合、Biopythonを用いてtBLASTnを適用した。tBLASTnアルゴリズムは、BLASTを使用し、全部で6つの可能なリーディングフレームにおける各生物に対するヌクレオチドORF配列の翻訳されたDNAにより、タンパク質配列(この場合、Kovalchuk and Driessen (BMC Genomics, 11, 2010, pp. 177-197)からの610のシード配列)の迅速なアライメントを可能にした。tBLASTnパラメータは、e値=1e-25である標準であった(表4を参照されたい)。全ての計算は、Python 2.7.12及びUbuntu 16.04.5 LTSを使用するbiopython API(PyPIからダウンロードしたv1.70)を介して実行した(GNU/Linux 4.4.0-138-generic x86_64)。その後、ヒットをフィルタリングし、少なくとも2000ヌクレオチドのグローバルアライメントを保証した。これらの基準を満たしている全てのマッチをワークフローの次のステップに用いた。
【0195】
【表5】
【0196】
[00204] 社内ゲノム配列が存在しない場合の生物の残りにおいて、BLASTp検索用データベースを作成するため、生物の全プロテオームをUniprot APIを用いてUniprotから取得した。ほとんどの場合、Uniprotは、社内ゲノムDNAを有する場合の種に対して正確なエントリーを有したが、それ以外の場合、社内で真菌株に対して類似していても正確でないマッチが存在した。後者の場合、本発明者らは、遺伝子配列が十分に類似し、それにより、Uniprot参照に対して設計されたプライマーが依然として社内ゲノムDNAを増幅することになる確率が高いことに依存した。次いで、本発明者らは、Biopythonを用いてBLASTpをUniprot由来データベースに適用した。BLASTパラメータは、e値=0.001である標準であった(表5を参照されたい)。その後、≧40%のパーセント同一性カットオフ、及び≧60%のパーセントアライメント長カットオフに基づき、フィルタリングを実施した。全ての計算は、Python 2.7.12及びUbuntu 16.04.5 LTSを使用するbiopython API(PyPIからダウンロードしたv1.70)を介して実行した(GNU/Linux 4.4.0-138-generic x86_64)。ヒットは、参照からの610のシード配列の少なくとも1つに一致する必要があった。次に、EMBL識別子に対するUniprot IDマッピングサービスを用いて、ヒットをヌクレオチド配列に変換した。欧州分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory)は、Uniprotエントリーからのヌクレオチド配列の抽出を可能にする。本発明者らは、これらの基準をワークフローの次のステップにフィットさせる任意のヒットを得た。
【0197】
【表6】
【0198】
[00205] 全てのヌクレオチド配列が同定されると、プライマーは、PCRにより各々の完全ORFを増幅するように設計した。各PCRプライマーは、ランディングパッドへの増幅された遺伝子の相同組換えを容易にするため、末端に付加されたランディングパッド(図3)内のPGAL1及び酵母ターミネーターDNA配列に対して40bpの隣接相同性を有した。各トランスポーター遺伝子を、上記のReb Mを生成する酵母株に単一コピーとして個別に形質転換し、インビボで過剰発現されるときの生成物力価を増加させる能力についてスクリーニングした。
【0199】
実施例11:インビボでステビオール配糖体生成における増加をもたらすトランスポーターの過剰発現
[00206] インビボでのS.セレビシエ(S. cerevisiae)トランスポーターのスクリーニングにより、過剰発現されるとき、全ステビオール配糖体(TSG)生成を、過剰発現されないトランスポーターを含有する親Reb M株と比較して統計学的に増加させる8つのトランスポーターを見出した(図5を参照されたい)。TSGは、(全細胞培養液抽出による測定として)細胞によって生成された全てのステビオール配糖体のマイクロモル単位での合計として計算した。同定されたトランスポーターの全てが、ABCトランスポーターとして公知であるトランスポーターのクラスに分類される。これらのトランスポーターの過剰発現により、TSGが親に対して20%から2倍に増加した。トランスポーターの過剰発現によるTSGの増加は、全てのステビオール配糖体、又はステビオール配糖体の単なるサブセットの輸送増強に起因し得た。したがって、データをさらに分析し、トランスポーターの過剰発現が単により高分子量のステビオール配糖体Reb D及びReb Mに対して効果を有すると判定した。図6に示す通り、TSGを増加させた8つのトランスポーターのうちの7つがさらにReb D及びReb Mの生成全体を増強した。トランスポーターの過剰発現によるReb D及びReb Mの増加は、30%増加~2倍増加の範囲であった。
【0200】
実施例12:ステビオール配糖体の細胞外及び細胞内輸送
[00207] 全細胞培養液中により多くの全ステビオール配糖体をもたらす、過剰発現されたトランスポーターを有する8つのReb M株のうちの7つが、さらに上清中の全ステビオール配糖体含量を増加させた(図7)。トランスポーターの4つが、全細胞培養液中の全ステビオール配糖体を約2倍増加させた一方(図5)、上清中のTSGの典型的な増加は、より少なく、35%~70%の範囲であった(図7)。しかし、トランスポーターT4_真菌_5は、上清中のTSGを約5倍増加させた(図7)。図5及び図7に示すデータは、特定の過剰発現されたトランスポーターを有する株がより多くのTSGを生成しているが、TSGにおける増加が必ずしも上清中のTSGにおける線形増加の反映でないことを示す。
【0201】
[00208] 上清中に位置する生成された全ステビオール配糖体の画分を明示的に観察することにより(図8)、トランスポーターの大半(8つのうちの6つ)が上清中で親と比較してより少ない割合のTSGを示したことが示される。これは、トランスポーターがサイトゾルからステビオール配糖体を除去しており、それにより生成物阻害を軽減し、より多くの生成物形成を可能にしていたが、ステビオール配糖体を培地に輸送していなかったことを示唆する。代わりに、これらのトランスポーターは、ステビオール配糖体を液胞又は一部の他の細胞区画に輸送している可能性が最も高い。それに対し、トランスポーターT4_真菌_5は、結果として生成されたTSGのほぼ100%が上清中に位置していた(図8)。これは、T4_真菌_5が、ステビオール配糖体を細胞の細胞質から除去し、それを細胞外及び培地中に輸送する能力がある原形質膜トランスポーターである可能性が高いことを示す。さらに、図4中のデータは、トランスポーターT4_真菌_5が、より高分子量のステビオール配糖体Reb D及びReb Mを細胞外及び培地中に輸送することを示し;実際にReb D及びReb Mの両方のほぼ100%が上清画分中に位置した。
【0202】
[00209] トランスポータースクリーンからのヒットの1は、内因性S.セレビシエ(S. cerevisiae)ABCトランスポーターBPT1であった。このタンパク質は、サッカロマイセス(Saccharomyces)のゲノムデータベース内において、液胞に局在化されるものと注釈付けられている。トランスポーターT4_真菌_2及びT4_真菌_4は、CEN.PK2BPT1と99%同一であり、且つ各々がS.セレビシエ(S. cerevisiae)株CAT-1及びMBG3373に由来するタンパク質配列を有し;それらは、BPT1の対立遺伝子である。全ての他のトランスポーターは、タンパク質配列がBPT1と30~43%同一であり、ステビオール配糖体を膜通過により輸送することができる新規なABCトランスポーターを表す(表6を参照されたい)。ステビオール配糖体を輸出する残りの非BPT1トランスポーターの中で、任意の他のタンパク質に対して53%超同一であるタンパク質配列はなく、残りの5つのタンパク質が固有配列であることが示される。
【0203】
【表7】
【0204】
実施例13:BPT1及びT4_真菌_5の細胞局在化
[00210] Reb M生成株中で過剰発現されたBPT1及びT4_真菌_5タンパク質の細胞局在化を判定するため、本発明者らは、GFP-トランスポーター融合タンパク質を作出した。各トランスポーター(BPT1又はT4_真菌_5)タンパク質は、トランスポーターのC末端に融合されたGFPタンパク質を有し;GFP-トランスポーター融合タンパク質は、GAL1プロモーターを介して発現され、酵母ターミネーターを含有した。実施例4に概説したように株を構築し、唯一の違いは、トランスポーター単独のタンパク質の代わりにトランスポーター-GFP融合タンパク質を使用することであった。適切に組み込まれたトランスポーター-GFP構築物を有する細胞が、実施例5のように培養したコロニーPCRを介して確認され、C末端のGFPタグを伴わないトランスポーターを含有する株に相当する活性を有することが確認された(図9)。
【0205】
[00211] GFPを介してタンパク質局在化を可視化するため、実施例5のように細胞を増殖させたが、生成培地中で2日後に収集し、観察した。細胞を等量のPBSで2回洗浄し、次に1.0のOD600までPBSに再懸濁した。細胞を、スライドグラス上に乗せた1%アガロースパッドを用いて固定し、488nmの励起又は明視野下での標準蛍光顕微鏡を使用し、油浸漬による100倍の倍率で可視化した。GFPでC末端がタグ付けされたBPT1を発現する細胞は、液胞に局在化されている融合タンパク質に一致する蛍光パターンを示した(図10)。BPT1が通常的に酵母における液胞に局在化されることが報告されていることから、これは、予想された結果であった(Sharma et al., Eukaryot. Cell 1 (3), 2002, pp. 391-400)。C末端がタグ付けされたT4_真菌_5タンパク質は、原形質膜に局在化されているタンパク質に一致する異なるGFP局在化を示した(図11)。
【0206】
実施例14:エラープローンPCR及び成長選択を用いてのT4_真菌_5タンパク質の定向進化
[00212] トランスポーターT4_真菌_5は、Reb D及びReb Mの両方を細胞質から活発に除去する(図4を参照されたい)。Reb Dは、Reb Mに対する即時型基質(immediate substrate)であり(図2)、そのため、Reb Dをサイトゾルから除去することにより、酵母によって生成されるReb Mの総量が減少する。したがって、T4_真菌_5は、酵素進化に従うことで、その全活性及びReb Mに対するその特異性の両方が増強された。T4_真菌_5のDNAコード配列(CDS)は、GeneMorph IIランダム突然変異誘発キット(Agilent Technologies, Inc)を使用するエラープローンPCRを介して突然変異誘発を受け、得られたDNAライブラリーを、実施例11に記載のトランスポータースクリーンにおいて使用された場合に類似するが、UGT76G1の2つの追加的なコピー(いずれもGAL1プロモーター下で発現された)を有するReb M酵母株に形質転換した。野生型T4_真菌_5トランスポーターを用いる追加的な形質転換を対照として実施した。形質転換は、実施例1に記載のように実施した。一晩かけた回収後、培養物を、継続的成長のため、選択的抗生物質を添加した生成培地に移した。培養物のOD600を監視し、新しい抗生物質を含有する生成培地による培養物の段階希釈を実施し、炭素飢餓を回避した。培養物を、両方のグリセロールストックを保存するため、毎日採取し、個別のコロニー形成のため、抗生物質を含有するYPD寒天プレート上に蒔いた。毎日の各サンプルからの88のコロニーのTSG及びReb M力価を、実施例6、7、及び8に記載の方法を用いて評価及び比較した。このデータから、(野生型T4_真菌_5を発現する)対照株の場合以上のTSG力価をもたらすコロニーの最高パーセントを有する時点を同定した。この時点からのさらなるコロニーをグリセロールストックから蒔き、900のコロニーを採取し、スクリーニングした。スクリーニングにより、対照よりも、Reb M力価が26%~47%増加し、且つReb M/TSG比が10%増加する8つの単離物が同定された(図12及び13)。図12及び13中のデータは、T4_真菌_5トランスポーターにおいて同定された突然変異により、ステビオール配糖体に対する全活性及びReb Mに対する特異性の両方が増強されたことを示す。
【0207】
[00213] T4_真菌_5遺伝子のサンガー配列決定によると、8つ全ての単離物が同じ核酸置換を有し、4つのアミノ酸置換:V666A、Y942N、L956P、及びE1320Vをもたらすことが示された。この突然変異対立遺伝子を「真菌_5_muA」と称した。改善された力価及び特異性に対する真菌_5_muAの因果関係を検証するため、突然変異対立遺伝子を単離物の1つから増幅させ、親株に再導入した。得られた株は、表現型を再現し、ステビオール配糖体の生成及び特異性の改善における真菌_5_muAの適用性を示した。T4_真菌_5及び真菌_5_muAがより弱いGAL3プロモーター下で発現されたとき、真菌_5_muAを有する株により、野生型T4_真菌_5を有する株によるよりも30%多い全細胞培養液中Reb M及び40%多い細胞外Reb Mが生成され(図14)、それは、早期のデータに一致した。
【0208】
実施例15:真菌_5_muAのさらなる改善
[00214] 真菌_5_muAを、潜在的には有害な突然変異を除去することでさらに改善するため、本発明者らは、真菌_5_muAにおいて同定された、1つ、2つ、又は3つのいずれかのアミノ酸置換を有する追加的なT4_真菌_5突然変異体を作出し、実施例14におけるT4_真菌_5の突然変異誘発ライブラリーのスクリーニング用に使用される酵母株にそれらを導入した。真菌_5_muAにおけるV666Aの単一の復帰突然変異がTSG又はReb Mのいずれかの生成に対して無視できる影響を有したが、E1320Vの復帰突然変異は、有利であり、V666A Y942N L956Pの三重突然変異体は、真菌_5_muA株よりも14%多いTSG及び12%多いReb Mを生成した(図15及び16)。しかし、三重突然変異体(V666A Y942N)におけるL956Pのさらなる復帰突然変異は、V666A Y942N L956Pの三重突然変異体と比較して、生成されたReb Mにおける10%の減少及びTSGにおける19%の減少をもたらした。真菌_5_muA株と比較して、単一のY942N突然変異体株は、21%多いTSGを生成したが、10%少ない量のReb Mを生成した。これらのデータは、Y942N突然変異が、ステビオール配糖体の輸送においてT4_真菌_5の全活性で有利であったが、Reb Mに対するその特異性に対して負の効果を有したことを示す。
【0209】
[00215] 本明細書中に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかもそれぞれの個別の刊行物又は特許出願が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されたように、参照により本明細書中に援用される。前述の本発明は、理解を明確にする目的で図面及び実施例によりある程度詳述されているが、本発明の教示内容に照らして、それらに対する特定の変更形態及び修飾形態が添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなくなされうることは、当業者に容易に理解されるであろう。
図1
図2-1】
図2-2】
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【配列表】
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