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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/03 20060101AFI20240710BHJP
   F03D 80/70 20160101ALI20240710BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
F16C17/03
F03D80/70
F16C23/04 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021552877
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 AT2020060064
(87)【国際公開番号】W WO2020176919
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】A50183/2019
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】315015564
【氏名又は名称】ミバ・グライトラーガー・オーストリア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ホルツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト バルドル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ヘルツル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ベルクマン
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第678930(DE,C)
【文献】米国特許出願公開第2014/0133985(US,A1)
【文献】特表2013-511638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0071246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/03
F16C 23/04
F03D 80/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機(1)用のナセル(2)であって、
ナセルハウジング(4)と、
ロータハブ(6)と、
該ロータハブ(6)を前記ナセルハウジング(4)に支持するためのロータ軸受(8)と、を含むナセルにおいて、
前記ロータ軸受(8)は滑り軸受(9)を有し、
該滑り軸受(9)は、
内輪要素(13)と、
外輪要素(14)と、
内輪要素(13)と外輪要素(14)の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素(15)と、を含み、
前記滑り軸受要素(15)は、複数の滑り軸受パッド(20)を有するナセル(2)において、
個々の滑り軸受パッド(20)は、それぞれ球冠の形で形成された軸受面(26)を有することを特徴とするナセル(2)。
【請求項2】
個々の滑り軸受パッド(20)は、それぞれ軸受面(26)の反対側の固定プロファイル(22)を有し、前記内輪要素(13)はその半径方向外側(29)に少なくとも1つの受容プロファイル(24)を有し、該受容プロファイル(24)は前記滑り軸受パッド(20)と前記内輪要素(13)との嵌合接続に用いられることを特徴とする、請求項1に記載のナセル(2)。
【請求項3】
前記滑り軸受パッド(20)と前記内輪要素(13)との間に配置された固定装置(21)が形成され、該固定装置(21)は前記固定プロファイル(22)及び前記受容プロファイル(24)に連結されていることを特徴とする、請求項2に記載のナセル(2)。
【請求項4】
前記固定装置(21)は、前記固定プロファイル(22)と連結された第1のプロファイル要素(23)と、その反対側に前記受容プロファイル(24)と連結された第2のプロファイル要素(25)とを有することを特徴とする、請求項3に記載のナセル(2)。
【請求項5】
前記固定プロファイル(22)と第1のプロファイル要素(23)は蟻継ぎ接続として形成され、及び/又は前記受容プロファイル(24)と第2のプロファイル要素(25)は蟻継ぎ接続として形成されていることを特徴とする。請求項3又は4に記載のナセル(2)。
【請求項6】
前記固定装置(21)は、本体(35)と、楔面(37)を有する少なくとも1つの第1の楔(36)とを含み、前記楔面(37)は前記本体(35)内に形成され、軸方向(31)に先細りになっている第1の対向楔面(38)と協働し、前記第1の楔(36)は、第1の位置決め手段(39)より前記本体(35)に対して相対的に軸方向(31)に移動可能であることを特徴とする、請求項3~5の何れか一項に記載のナセル(2)。
【請求項7】
前記固定装置(21)は、楔面(41)を有する第2の楔(40)を含み、該楔面(41)は前記本体(35)内に形成され軸方向(31)に先細りになっている第2の対向楔面(42)と協働し、前記第1の対向楔面(38)と前記第2の対向楔面(42)は互いに反対方向に先細りに形成されており、前記第2の楔(40)は第2の位置決め手段(43)より軸方向(31)に移動可能であることを特徴とする、請求項6に記載のナセル(2)。
【請求項8】
前記第1の位置決め手段(39)と前記第2の位置決め手段(43)は共通の位置決めロッドに形成されており、前記第1の位置決め手段(39)は右ねじを有し、前記第2の位置決め手段(43)は左ねじを有することを特徴とする、請求項7に記載のナセル(2)。
【請求項9】
前記第1の楔(36)及び/又は前記第2の楔(40)は、前記固定プロファイル(22)内と前記受容プロファイル(24)内に延びるように形成されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のナセル(2)。
【請求項10】
受容プロファイル(24)の領域で前記内輪要素(13)に前記滑り軸受パッド(20)に対する軸方向ストッパ(30)が形成されていることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載のナセル(2)。
【請求項11】
固定要素(33)が設けられており、該固定要素(33)によって滑り軸受パッド(20)が軸方向で前記軸方向ストッパ(30)に押し付けられていることを特徴とする、請求項10に記載のナセル(2)。
【請求項12】
ナセル(2)を有する風力発電機(1)であって、
ナセルハウジング(4)と、
ロータブレードが配置されているロータハブ(6)と、
ロータハブ(6)をナセルハウジング(4)に支持するためのロータ軸受(8)と、を含む風力発電機(1)において、
前記ロータ軸受(8)は請求項1~11の何れか一項に記載のナセル(2)の滑り軸受(9)を含むことを特徴とする風力発電機(1)
【請求項13】
請求項1~11の何れか一項に記載のナセル(2)の滑り軸受パッド(20)を交換するための方法であって、
下記の方法ステップ、すなわち
プロファイル要素(23、25)を軸方向に移動することによって固定装置(21)の一つを緩めるステップと、
内輪要素(13)と滑り軸受パッド(20)との間の隙間から該滑り軸受パッド(20)の固定装置(21)を軸方向に引き抜くステップと、
前記滑り軸受パッド(20)を半径方向内側に移動することによって該滑り軸受パッド(20)を外し、次いで前記滑り軸受パッド(20)を前記内輪要素(13)から軸方向に引き抜くステップと、
前記滑り軸受パッド(20)を軸方向に押し入れることによって、新しい滑り軸受パッド(20)を挿入し、次いで滑り軸受パッド(20)を半径方向外側に移動するステップと、
前記内輪要素(13)と前記滑り軸受パッド(20)との間の隙間に該滑り軸受パッド(20)の前記固定装置(21)を軸方向に押し入れ、このとき該固定装置(21)によって前記滑り軸受パッド(20)が前記内輪要素(13)と連結されるステップと、
プロファイル要素(23、25)を軸方向に移動することによって前記滑り軸受パッド(20)を固定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受、及び風力発電機用の滑り軸受を備えたナセル、風力発電機、並びに滑り軸受内の滑り軸受パッドを交換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により風力発電機のロータハブを支持するための軸受要素が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/127510(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、改良された滑り軸受を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、各請求項に記載された装置及び方法によって解決される。
【0006】
本発明によれば、滑り軸受が提供されている。この滑り軸受は、
内輪要素と、
外輪要素と、
内輪要素と外輪要素の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素とを含む。
【0007】
滑り軸受要素は、複数の滑り軸受パッドを有しており、個々の滑り軸受パッドは、それぞれ球冠の形で形成された軸受面を有する。
【0008】
本発明による滑り軸受は、個々の滑り軸受パッドを容易に内輪要素と接続することができ、したがって個々の滑り軸受パッドの簡単な組み立て若しくは簡単な交換を達成できるという利点を有する。さらに、本発明による滑り軸受は、本発明に従って球冠を形成することにより、軸受面の面荷重を増すことなく滑り軸受内のロータシャフトの撓みを補償できるという驚くべき利点を有する。
【0009】
さらに、個々の滑り軸受パッドは、それぞれ軸受面の反対側の固定プロファイルを有し、また、内輪要素はその半径方向外側に少なくとも1つの受容プロファイルを有し、この受容プロファイルは、滑り軸受パッドと内輪要素との嵌合接続に用いられると好都合であり得る。この方策により、滑り軸受パッドを簡単に交換できることを達成できると同時に、動作可能な状態で滑り軸受パッドがしっかり座着することを達成できる。
【0010】
さらに、滑り軸受パッドと内輪要素との間に配置された固定装置が形成されており、固定装置は固定プロファイル及び受容プロファイルと連結されているようにすることができる。
【0011】
固定装置を用いて個々の滑り軸受パッドを内輪要素に固定することができる。さらに、固定装置は個々の滑り軸受パッドを滑り軸受に簡単に取り付けたり、滑り軸受から再び取り外したりできるようにするのに役立つ。特に、固定装置によって、滑り軸受パッドを取り外したり取り付けたりするときに、滑り軸受パッドを内輪要素と外輪要素との間で軸方向に挿入できることが達成される。この場合、外輪要素を分割して形成する必要はない。
【0012】
さらに、固定装置は、固定プロファイルと連結された第1のプロファイル要素と、その反対側に受容プロファイルと連結された第2のプロファイル要素とを有するようにすることができる。この方策によって固定装置は、滑り軸受パッドと内輪要素の両方と連結することができ、それにより固定装置によって滑り軸受パッドを内輪要素に固定することができる。
【0013】
固定プロファイルと第1のプロファイル要素は蟻継ぎ接続として形成されており、及び/又は受容プロファイルと第2のプロファイル要素は蟻継ぎ接続として形成されているようにする構成形態も有利である。特に蟻継ぎ接続は、内輪要素と固定装置の間、又は滑り軸受パッドと固定装置の間に嵌合接続を作成するのによく適している。
【0014】
発展形態によれば、固定装置は、本体と、楔面を有する少なくとも1つの第1の楔とを含み、楔面は本体内に形成され軸方向に先細りになっている第1の対向楔面と協働し、第1の楔は、第1の位置決め手段、特にねじ要素により本体に対して相対的に軸方向に移動可能にすることができる。特に、このように形成された楔は、大きい力を伝達でき、簡単に再び取り外すことができる接続を形成するのに驚くほど適している。
【0015】
さらに、固定装置は、楔面を有する第2の楔を含み、楔面は本体内に形成され軸方向に先細りになっている第2の対向楔面と協働し、第1の対向楔面と第2の対向楔面は互いに反対方向に先細りに形成されており、第2の楔は第2の位置決め手段、特にねじ要素により軸方向に移動可能であると好都合である。第2の楔を挿入することにより、滑り軸受パッドの対称的なクランプを達成できる。
【0016】
さらに、第1の位置決め手段と第2の位置決め手段は共通の位置決めロッドに形成されており、第1の位置決め手段は右ねじを有し、第2の位置決め手段は左ねじを有する。このことは、共通の位置決めロッドを回動させることにより、両楔を開放若しくは閉鎖できるという利点を伴う。この機能のために本質的なのは、第1の位置決め手段と第2の位置決め手段に互いに反対方向のねじ山が形成されていることだけである。しかしながら日常的な使用には、第1の位置決め手段が右ねじで、時計回りに回すとクランプを閉じることができ、反時計回りに回すとクランプを開くことができる構成が有意味である。
【0017】
さらに、第1の楔及び/又は第2の楔は、固定プロファイル内と受容プロファイル内に延びるように形成されているようにすることができる。このことは、第1の楔若しくは第2の楔を移動することによって、固定装置を固定プロファイル内及び受容プロファイル内でクランプできるという利点を伴う。したがって1回の操作動作だけで滑り軸受パッドを内輪要素に固くクランプできる。
【0018】
特別の構成形態によれば、受容プロファイルの領域で内輪要素に滑り軸受パッドに対する軸方向ストッパが形成されていることが可能である。このことは、滑り軸受パッドを軸方向に正確に位置決めできるという利点を伴う。
【0019】
有利な発展形態によれば、固定要素が設けられており、この固定要素によって滑り軸受パッドが軸方向で軸方向ストッパに押し付けられているようにすることができる。このことは、滑り軸受の機能性を達成するために、滑り軸受パッドを軸方向に固定若しくは正しく位置決めできるという利点を伴う。
【0020】
球冠は球の表面の部分である。軸受面は好ましくは理想的な球冠の基本形状を有する。もちろんこれに対応して対向面も理想的な球冠の形で形成されている。これらの両球冠の半径は、軸受面が可能な限り全面的に対向面に載るように選択されている。特別な用途では、全軸受面は理想的な球冠の形状を有さず、例えば流体動圧軸受で必要となる可能性のある楔形給油口が形成されるようにすることもできる。したがって、軸受面は特に円周方向に見て理想的な球冠の形状から逸脱することも考えられる。このような構成も同様に独立した主請求項の保護範囲内にある。
【0021】
本発明によれば、風力発電機用のナセルが提供されている。ナセルは、
ハウジングと、
ロータハブと、
ロータハブをナセルハウジングに支持するためのロータ軸受とを含む。
【0022】
ロータ軸受は、前述の請求項のいずれか一項による滑り軸受を含む。
【0023】
特に本発明によるナセルにおいて、本発明による滑り軸受は滑り軸受のメンテナンスが容易になる。
【0024】
さらに、本発明によれば、上記のナセルを有する風力発電機も提供されている。
【0025】
本発明によれば、上記の滑り軸受内の滑り軸受パッドを交換する方法が提供されている。この方法は、
プロファイル要素を軸方向に移動することによって固定装置を緩めることと、
内輪要素と滑り軸受パッドとの間の隙間から当該滑り軸受パッドの固定装置を軸方向に引き抜く方法ステップと、
滑り軸受パッドを半径方向内側に移動することによって滑り軸受パッドを外し、次いで滑り軸受パッドを内輪要素から軸方向に引き抜く方法ステップと、
新しい滑り軸受パッドを軸方向に押し入れることによって滑り軸受パッドを挿入し、次いで滑り軸受パッドを半径方向外側に移動する方法ステップと、
内輪要素と滑り軸受パッドとの間の隙間に当該滑り軸受パッドの固定装置を軸方向に押し入れ、このとき固定装置によって滑り軸受パッドが内輪要素と連結される方法ステップと、
プロファイル要素を軸方向に移動することによって滑り軸受パッドを固定する方法ステップとを有する。
【0026】
本発明をよりよく理解するために、以下の図に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図は、それぞれ著しく簡略化された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、風力発電機の概略的表現を示す。
図2図2は、滑り軸受の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図3図3は、滑り軸受の斜視断面図を示す。
図4図4は、滑り軸受パッドの例示的な実施形態の第1の斜視図を示す。
図5図5は、滑り軸受パッドの例示的な実施形態の第2の斜視図を示す。
図6図6は、内輪要素の実施形態の斜視図を示す。
図7図7は、滑り軸受パッドが配置された内輪要素の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最初に確認しておくと、記載された種々の実施形態において同じ要素には同じ参照符号若しくは同じ要素名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ要素名称を有する同じ要素に準用され得る。説明において選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明及び表示された図を基準としており、位置が変化した場合には新しい位置に準用されるものとする。
【0030】
図1は、風力エネルギーから電気エネルギーを生成するための風力発電機1の第1の実施形態の概略的表現を示す。風力発電機1は、塔体3に回転可能に受容されたナセル2を含んでいる。ナセル2は、ナセル2の主要構造をなすナセルハウジング4を含む。ナセル2のナセルハウジング4内には、風力発電機1の発電機などの電気技術部品が配置されている。
【0031】
さらに、ロータブレード7を取り付けたロータハブ6を有するロータ5が形成されている。ロータハブ6はナセル2の一部として見られる。ロータハブ6は、ロータ軸受8によってナセルハウジング4に回転可能に受容されている。特に以下に詳しく説明する本発明による滑り軸受はロータ軸受として使用される。
【0032】
ロータハブ6をナセル2のナセルハウジング4に支持するために用いるロータ軸受8は、半径方向力10と軸方向力11を吸収するように形成されている。軸方向力11は、風の力によって規定されている。半径方向力10はロータ5の重力によって規定され、ロータ5の重心に作用する。ロータ5の重心はロータ軸受8の外部にあるので、半径方向力10によってロータ軸受8内に傾斜モーメント12が引き起こされる。この傾斜モーメント12は、本発明による滑り軸受と離間して配置された第2の滑り軸受によって吸収されることができる。
【0033】
本発明によるロータ軸受8の直径は、例えば0.5m~5mであってよい。もちろんロータ軸受8がこれより小さいか大きいことも考えられる。
【0034】
図2は、ナセル2に取り付けた滑り軸受9の第1の例示的な実施形態を示す。図2では滑り軸受9は斜視図で示されている。もちろん図2に示された滑り軸受9は、風力発電機以外の他のすべての産業用途にも使用することができる。
【0035】
図2から分かるように、滑り軸受9は、内輪要素13と外輪要素14を有するようにすることができる。内輪要素13と外輪要素14との間に、内輪要素13を外輪要素14に対して相対的に回転摺動可能に支持する働きをする滑り軸受要素15が配置されている。
【0036】
図2に示す実施形態では、内輪要素13には、円筒形を有してロータシャフト17又はその他のシャフトを収容する働きをする内周面16が形成されている。ロータシャフト17は、図2では概略的に示されている。さらに、外輪要素14は軸受ホルダ18によってナセルハウジング4と連結されているようにすることができる。したがって図2に示す実施形態では、外輪要素14がナセルハウジング4と動かないように連結されており、内輪要素13は滑り軸受要素15によってロータ軸線19を中心に外輪要素14に対して相対的に回動可能にすることができる。ロータハブ6、ひいてはロータ5と連結しているロータシャフト17は内輪要素13内に受容されているので、ロータシャフト17は滑り軸受9によってナセルハウジング4内に回転可能に受容されている。
【0037】
図3には、滑り軸受9が斜視断面図で示されている。図3から分かるように、滑り軸受要素15は、内輪要素13と外輪要素14との間で円周上に分布して配置された複数の個々の滑り軸受パッド20を含んでいる。
【0038】
個々の滑り軸受パッド20は、それぞれ固定装置21によって内輪要素13と連結されている。特に、固定装置21は滑り軸受パッド20と内輪要素13との間に配置されているようになっている。固定装置21自体は内輪要素13に配置されて、個々の滑り軸受パッド20の支持体として機能する。
【0039】
滑り軸受パッド20は、固定装置21の第1のプロファイル要素23と連結された固定プロファイル22を有する。
【0040】
さらに、内輪要素13内には、固定装置21の第2のプロファイル要素25と連結された受容プロファイル24が形成されている。
【0041】
特に図3からよく分かるように、固定プロファイル22と固定装置21の第1のプロファイル要素23との間の接続は、蟻継ぎ接続として形成されている。したがって第1のプロファイル要素23は、固定プロファイル22内に軸方向に押し込むことができる。
【0042】
これと同様に、受容プロファイル24と固定装置21の第2のプロファイル要素25も蟻継ぎ接続として形成されている。したがって、第2のプロファイル要素25は受容プロファイル24内に軸方向に押し込むことができる。
【0043】
したがって、固定装置21によって滑り軸受パッド20は内輪要素13に取り外し可能に受容されている。
【0044】
個々の滑り軸受パッド20は、図4及び図5にそれぞれ斜視図で示されている。滑り軸受9、特に滑り軸受パッド20のその他の構造は、図3図4及び図5を併せて見ることによって明らかである。
【0045】
図3図4及び図5から分かるように、固定プロファイル22若しくは受容プロファイル24は蟻継ぎ接続の溝部として形成されているようにすることができる。したがって、固定装置21の第1のプロファイル要素23と第2のプロファイル要素25は、突起部として形成することができる。
【0046】
代替として、もちろん固定装置21の第1のプロファイル要素23と第2のプロファイル要素25が溝部として形成され、固定プロファイル22と受容プロファイル24が突起部として形成されることも考えられる。
【0047】
したがって、個々の固定装置21は、ロータ軸線19の軸方向で内輪要素13の受容プロファイル24内若しくは滑り軸受パッド20の固定プロファイル22内に押し込むことができ、若しくはこれから引き抜くことができる。このことは個々の滑り軸受パッド20を簡単に交換し若しくは簡単に組み付けるのに役立つ。さらに、蟻継ぎ接続により、個々の滑り軸受パッド20が嵌合的に作用する蟻継ぎ接続によって内輪要素13と適切に接続されていることを達成できる。
【0048】
したがって個々の滑り軸受パッド20は、上記の構造により滑り軸受9の動作状態で内輪要素13としっかりと接続されており、そのため内輪要素13と一緒に外輪要素14に対して相対的に回転する。内輪要素13と外輪要素14との間の回転運動を可能にするために、個々の滑り軸受パッド20には固定プロファイル22と反対側にそれぞれ1つの軸受面26が形成されており、この軸受面26は滑り軸受9の使用可能な状態で外輪要素14の対向面27に当接している。対向面27は、外輪要素14の内側28に配置されている。滑り軸受パッド20の軸受面26と外輪要素14の対向面27は、滑り軸受9の動作時に互いに沿って滑る滑り面として形成されている。特に、外輪要素14の対向面27は、例えば、硬化鋼によって作成された硬く耐摩耗性のある表面として形成されているようにすることができる。滑り軸受パッド20の軸受面26は、対向面27に比べて柔らかい滑り軸受材料から作成されてよい。もちろん軸受面26が滑りコーティングを有することも考えられる。
【0049】
特に図3によく見られるように、軸受面26は球冠の形で形成されている。軸受面26若しくは対向面27を球冠の形で形成することは、滑り軸受パッド20がロータ軸線19を中心に容易に回転できるという利点を伴う。同時に滑り軸受パッド20は、ロータ軸線19の長手方向延長に対して所定の角度だけ傾けることができる。上述した球冠の実施形態により、軸受面26の面荷重を増すことなく滑り軸受9内のロータシャフト17の撓みを補償することができる。
【0050】
さらに、軸受面26若しくは対向面27を球冠の形で作成することにより、半径方向力の伝達と並んで軸方向力も伝達することができる。
【0051】
図6は、内輪要素13の斜視図を示している。図3図6を併せて見ると分かるように、個々の受容プロファイル24は内輪要素13の外側29に配置されている。特に個々の受容プロファイル24は内輪要素13に円周全体に均一に分布して配置されている。したがって各受容プロファイル24は、滑り軸受パッド20を受容する働きをする。
【0052】
特に図6からよく分かるように、内輪要素13の外側29に、滑り軸受パッド20を軸方向31に位置決めするために用いる軸方向ストッパ30が形成されている。軸方向ストッパ30は図6から見て取れるように段部として形成することができる。
【0053】
さらに、滑り軸受パッド20の端面32は、滑り軸受パッド20を装着した状態で軸方向ストッパ30に当接する。そうすることによって滑り軸受パッド20を軸方向に位置決めすることができる。
【0054】
さらに、特に図3によく見て取れるように、滑り軸受パッド20は固定要素33、例えばねじ、特に伸縮ねじによって軸方向31に軸方向ストッパに押し付けられるようにすることができる。固定要素33は、軸方向ストッパ30内に形成されたねじ穴34にねじ込むことができる。
【0055】
図7は、滑り軸受パッド20を取り付けた内輪要素13の斜視図を示している。個々の滑り軸受パッド20と内輪要素13との間の接続の機能を説明するために滑り軸受パッド20の1つが取り外されている。
【0056】
図7から分かるように、固定装置21は滑り軸受パッド20を内輪要素13に固定する働きをするようにできる。固定装置21は、特に滑り軸受パッド20の固定プロファイル22と内輪要素13の受容プロファイル24との間に作用するか、又はこれらの2つの要素の間に配置することができる。
【0057】
さらに図7から分かるように、固定装置21は、楔面37を有する少なくとも1つの第1の楔36を含むことができる。固定装置21の本体35には、軸方向31に先細りになっていて楔面37と協働する対向楔面38が形成されている。さらに、第1の楔36を軸方向31に移動させることができる第1の位置決め手段39が設けられている。第1の楔36は、第1のファイル要素23内と第2のプロファイル要素25内の両方に延びることができる。特に、第1のプロファイル要素23の蟻継ぎ突起部は、第1の楔36と共に本体35によって形成することができる。これと同様に第2のプロファイル要素25の蟻継ぎ突起部は、第1の楔36と共に本体35によって形成することができる。
【0058】
第1の楔36を本体35に対して相対的に軸方向31に移動させることにより、第1のプロファイル要素23の蟻継ぎ突起部若しくは第2のプロファイル要素25の蟻継ぎ突起部を拡大又は縮小することができる。そうすることによって第1のプロファイル要素23を固定プロファイル22内にクランプすることができ、若しくは第2のプロファイル要素25を受容プロファイル24内にクランプすることができる。
【0059】
これと同様に、固定装置21は、やはり楔面41を有する第2の楔40を含むことができる。楔面41は、本体35内に形成されて軸方向31に先細りになった第2の対向楔面42と協働することができる。第1の対向楔面38と第2の対向楔面42は、互いに反対方向に先細りになるように形成されている。第2の楔40は、第2の位置決め手段43によって軸方向31に移動可能である。特に、第1の位置決め手段39と第2の位置決め手段43とが共通の位置決めロッド形成されているようにすることができる。さらに、位置決めロッド、位置決めロッド受容部46に受容されている軸方向ガイド45を有するようにすることができる。位置決めロッド受容部46は、本体35内に形成することができる。軸方向ガイド45は、例えば樽形として形成されてよい。
【0060】
特に、第1の位置決め手段39は左ねじを有し、第2の位置決め手段43は右ねじを有しており、その結果として位置決めロッド第1の方向に回動させると両楔36、40は互いから離れ、位置決めロッド第2の回転方向に回転すると両楔36、40は互いに向かっって動かされる。したがって位置決めロッド回動させることによってクランプを開閉することができる。もちろん左ねじと右ねじを入れ替えることもできる。
【0061】
上記の説明から明らかなように、第2の楔40は第1の楔36と同様の機能を有しており、やはり本体35と共に第1のプロファイル要素23の蟻継ぎ突起部若しくは第2のプロファイル要素25の蟻継ぎ突起部を形成する。
【0062】
図3及び図7に基づいて滑り軸受9の組立について説明する。
【0063】
第1の方法ステップで外輪要素14をその設置位置、例えばナセルハウジング4内に固定する。次いでシャフト、例えばロータシャフト17とその上に配置された内輪要素13を、軸方向に外輪要素14内に押し込むが、この過程で個々の滑り軸受パッド20はまだ内輪要素13に配置されていない。
【0064】
次いで、内輪要素13は、軸方向位置と半径方向位置の両方で外輪要素14に対して相対的に同軸に位置合わせされる。
【0065】
続いて、滑り軸受パッド20を軸方向31に内輪要素13と外輪要素14との間に押し込むことができる。次に、滑り軸受パッド20を半径方向外側に移動して、滑り軸受パッド20の軸受面26を対向面27に当接させる。このとき滑り軸受パッド20は内輪要素13から離間しており、その結果として隙間が生じる。
【0066】
後続の方法ステップで、固定装置21を軸方向31に滑り軸受パッド20と外輪要素14との間の隙間に押し込む。その際に、固定装置21の第1のプロファイル要素23を滑り軸受パッド20の固定プロファイル22内に押し込み、同時に固定装置21の第2のプロファイル要素25を内輪要素13の受容プロファイル24内に押し込む。
【0067】
固定装置21を固定プロファイル22内及び受容プロファイル24内に位置決めする際に、固定装置21の第1の楔36と第2の楔40を互いに離間して配置して、固定装置21の第1のプロファイル要素23を滑り軸受パッド20の固定プロファイル22内にスムーズに押し込め、かつ、固定装置21の第2のプロファイル要素25を内輪要素13の受容プロファイル24内にスムーズに押し込めるようにする。
【0068】
滑り軸受パッド20と一緒に固定装置21も、これらが軸方向ストッパ30に当接して軸方向31で位置決めされるまで、軸方向31に内輪要素13に押し嵌める。そうすることによって軸受パッド20の軸方向位置が画定されている。
【0069】
続いて滑り軸受パッド20をその軸方向位置に固定するために、固定要素33をねじ穴34にねじ込むことができる。
【0070】
次いで位置決めロッド44を閉回転方向に回転させて、両楔36、40が互いに閉じるようにする。両楔36、40、若しくは楔面37、41をこのように動かすことにより、両楔36、40によって第1のプロファイル要素23が滑り軸受パッド20の固定プロファイル22内にクランプされ、第2のプロファイル要素25が受容プロファイル24内でクランプされる。このようにして滑り軸受パッド20は固定装置21によって内輪要素13に固定される。
【0071】
任意選択として、固定要素33は後から締め付けることができる。
【0072】
代替として、最初に固定装置21を適用し、続いて固定要素33を適用することももちろんできる。
【0073】
次に、内輪要素13をシャフトと共に所定の角度だけ回動させると、次の滑り軸受パッド20を上述した方法で内輪要素13と連結できる。内輪要素13のすべての受容プロファイル24に滑り軸受パッド20が受容されるまで、上記のプロセスを繰り返す。
【0074】
組立が完了すると組立に必要なシャフトの保持具や軸受を取り外すことができ、その結果シャフトは滑り軸受9によって軸受ホルダ18内で支持されて動作可能な状態になる。
【0075】
個々の滑り軸受パッド20を交換するために、シャフトの荷重が外部の軸受によって吸収される必要はなく、常に単一の滑り軸受パッド20を新しい滑り軸受パッド20と交換し、このプロセスをすべての滑り軸受パッド20が交換されるまで繰り返すようにすることができる。その際に固定装置21を緩め、固定装置21を取り外した後で、拘束されていない滑り軸受パッド20を軸方向31に内輪要素13から引き抜くことができる。
【0076】
次に、上記の説明に従って、新しい滑り軸受パッド20を古い滑り軸受パッド20の位置に挿入できる。次いで新たに挿入された滑り軸受パッド20を固定でき、続いて内輪要素13を回動させて、次の滑り軸受パッドを上記の手順に従って交換することができる。このプロセスは、すべての滑り軸受パッド20が交換されるまで繰り返すことができる。
【0077】
以上の実施形態は可能な変形例を示すものであり、この箇所で注記すると、本発明は特別に図示された本発明の実施態様に制限されておらず、むしろ個々の実施態様を互いに種々組み合わせることが可能であり、この変形可能性は本発明による技術的行為に関する教示に基づき当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0078】
保護の範囲は請求項によって規定されている。しかしながら請求項を解釈するために詳細な説明と図面が援用される。図示及び説明された種々の実施例に基づく個別特徴又は特徴の組合せは、それ自体で独自の発明による解決をなすことができる。独自の発明による解決の根底にある課題は、詳細な説明から読み取ることができる。
【0079】
本発明の説明において値の範囲に関するすべての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1~10という指示には、下限1を起点として上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1~1.7又は3.2~8.1又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0080】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、要素は一部縮尺通りではなく及び/又は拡大及び/又は縮小して表現された。
なお、本発明の参考態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
内輪要素(13)と、
外輪要素(14)と、
内輪要素(13)と外輪要素(14)の間に配置された少なくとも1つの滑り軸受要素(15)と、を含む滑り軸受(9)において、
滑り軸受要素(15)は、複数の滑り軸受パッド(20)を有し、個々の滑り軸受パッド(20)は、それぞれ球冠の形で形成された軸受面(26)を有することを特徴とする滑り軸受(9)。
[態様2]
個々の滑り軸受パッド(20)は、それぞれ軸受面(26)の反対側の固定プロファイル(22)を有し、前記内輪要素(13)はその半径方向外側(29)に少なくとも1つの受容プロファイル(24)を有し、該受容プロファイル(24)は前記滑り軸受パッド(20)と前記内輪要素(13)との嵌合接続に用いられることを特徴とする、態様1に記載の滑り軸受(9)。
[態様3]
前記滑り軸受パッド(20)と前記内輪要素(13)との間に配置された固定装置(21)が形成され、該固定装置(21)は前記固定プロファイル(22)及び前記受容プロファイル(24)に連結されていることを特徴とする、態様2に記載の滑り軸受(9)。
[態様4]
前記固定装置(21)は、前記固定プロファイル(22)と連結された第1のプロファイル要素(23)と、その反対側に前記受容プロファイル(24)と連結された第2のプロファイル要素(25)とを有することを特徴とする、態様3に記載の滑り軸受(9)。
[態様5]
前記固定プロファイル(22)と第1のプロファイル要素(23)は蟻継ぎ接続として形成され、及び/又は前記受容プロファイル(24)と第2のプロファイル要素(25)は蟻継ぎ接続として形成されていることを特徴とする。態様3又は4に記載の滑り軸受(9)。
[態様6]
前記固定装置(21)は、本体(35)と、楔面(37)を有する少なくとも1つの第1の楔(36)とを含み、前記楔面(37)は前記本体(35)内に形成され、軸方向(31)に先細りになっている第1の対向楔面(38)と協働し、前記第1の楔(36)は、第1の位置決め手段(39)、特にねじ要素により前記本体(35)に対して相対的に軸方向(31)に移動可能であることを特徴とする、態様3~5の何れか一つに記載の滑り軸受(9)。
[態様7]
前記固定装置(21)は、楔面(41)を有する第2の楔(40)を含み、該楔面(41)は前記本体(35)内に形成され軸方向(31)に先細りになっている第2の対向楔面(42)と協働し、前記第1の対向楔面(38)と前記第2の対向楔面(42)は互いに反対方向に先細りに形成されており、前記第2の楔(40)は第2の位置決め手段(43)、特にねじ要素により軸方向(31)に移動可能であることを特徴とする、態様6に記載の滑り軸受(9)。
[態様8]
前記第1の位置決め手段(39)と前記第2の位置決め手段(43)は共通の位置決めロッド(44)に形成されており、前記第1の位置決め手段(39)は右ねじを有し、前記第2の位置決め手段(43)は左ねじを有することを特徴とする、態様7に記載の滑り軸受(9)。
[態様9]
前記第1の楔(36)及び/又は前記第2の楔(40)は、前記固定プロファイル(22)内と前記受容プロファイル(24)内に延びるように形成されていることを特徴とする、態様6~9の何れか一つに記載の滑り軸受(9)。
[態様10]
受容プロファイル(24)の領域で前記内輪要素(13)に前記滑り軸受パッド(20)に対する軸方向ストッパ(30)が形成されていることを特徴とする、態様1~9の何れか一つに記載の滑り軸受(9)。
[態様11]
固定要素(33)が設けられており、該固定要素(33)によって滑り軸受パッド(20)が軸方向で前記軸方向ストッパ(30)に押し付けられていることを特徴とする、態様10に記載の滑り軸受(9)。
[態様12]
風力発電機(1)用のナセル(2)であって、
ナセルハウジング(4)と、
ロータハブ(6)と、
該ロータハブ(6)を前記ナセルハウジング(4)に支持するためのロータ軸受(8)と、を含むナセルにおいて、
前記ロータ軸受(8)は態様1~11の何れか一つに記載の滑り軸受(9)を含むことを特徴とするナセル(2)。
[態様13]
ナセル(2)を有する風力発電機(1)であって、
ナセルハウジング(4)と、
ロータブレードが配置されているロータハブ(6)と、
ロータハブ(6)をナセルハウジング(4)に支持するためのロータ軸受(8)と、を含む風力発電機(1)において、
前記ロータ軸受(8)は態様1~11の何れか一つに記載の滑り軸受(9)を含むことを特徴とするナセル(2)。
[態様14]
態様1~11の何れか一つに記載の滑り軸受(9)の滑り軸受パッド(20)を交換するための方法であって、
下記の方法ステップ、すなわち
プロファイル要素(23、25)を軸方向に移動することによって固定装置(21)の一つを緩めるステップと、
内輪要素(13)と滑り軸受パッド(20)との間の隙間から該滑り軸受パッド(20)の固定装置(21)を軸方向に引き抜くステップと、
前記滑り軸受パッド(20)を半径方向内側に移動することによって該滑り軸受パッド(20)を外し、次いで前記滑り軸受パッド(20)を前記内輪要素(13)から軸方向に引き抜くステップと、
前記滑り軸受パッド(20)を軸方向に押し入れることによって、新しい滑り軸受パッド(20)を挿入し、次いで滑り軸受パッド(20)を半径方向外側に移動するステップと、
前記内輪要素(13)と前記滑り軸受パッド(20)との間の隙間に該滑り軸受パッド(20)の前記固定装置(21)を軸方向に押し入れ、このとき該固定装置(21)によって前記滑り軸受パッド(20)が前記内輪要素(13)と連結されるステップと、
プロファイル要素(23、25)を軸方向に移動することによって前記滑り軸受パッド(20)を固定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0081】
1 風力発電機
2 ナセル
3 塔体
4 ナセルハウジング
5 ロータ
6 ロータハブ
7 ロータブレード
8 ロータ軸受
9 滑り軸受
10 半径方向力
11 軸方向力
12 傾斜モーメント
13 内輪要素
14 外輪要素
15 滑り軸受要素
16 内輪要素の内周面
17 ロータシャフト
18 軸受ホルダ
19 ロータ軸線
20 滑り軸受パッド
21 固定装置
22 固定プロファイル
23 第1のプロファイル要素
24 受容プロファイル
25 第2のプロファイル要素
26 軸受面
27 対向面
28 内側
29 外側
30 軸方向ストッパ
31 軸方向
32 滑り軸受パッドの端面
33 固定要素
34 ねじ穴
35 本体
36 第1の楔
37 第1の楔の楔面
38 第1の対向楔面
39 第1の位置決め手段
40 第2の楔
41 第2の楔の楔面
42 第2の対向楔面
43 第2の位置決め手段
44 位置決めロッド
45 軸方向ガイド
46 位置決めロッド受容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7