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特許7518869二重管構造体、その形成方法及び管支持部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】二重管構造体、その形成方法及び管支持部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 9/18 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
F16L9/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022066376
(22)【出願日】2022-04-13
(65)【公開番号】P2023156798
(43)【公開日】2023-10-25
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】519147522
【氏名又は名称】中西商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸作
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第1538510(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第113757459(CN,A)
【文献】特開2004-278556(JP,A)
【文献】特開2021-124097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L9/00-11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有するとともに、
(c)該保持体は、外管に取り付けられるポスト、及び該ポストの一端から分岐させて形成された二つのサポート保持部を備え、前記サポートリングを、前記二つのサポート保持部と係合させることによって保持することを特徴とする二重管構造体。
【請求項2】
(a)前記サポートリングは溝を備え、
(b)前記サポート保持部は前記溝内に進入させられてサポートリングを保持する請求項に記載の二重管構造体。
【請求項3】
(a)前記外管は、前記所定の箇所において外管の内外を貫通させて形成された穴を備え、
(b)前記保持体は、前記ポストの外周面と前記穴の内周面とを溶接することによって外管に取り付けられる請求項1又は2に記載の二重管構造体。
【請求項4】
(a)外管内に、ポスト及びサポート保持部を備えた保持体を挿入し、
(b)外管の所定の箇所に形成された穴にポストを貫通させ、前記保持体を径方向外方に移動させ、サポートリングが外嵌された内管を外管内に挿入し、
(c)前記保持体を径方向内方に移動させて、前記サポート保持部とサポートリングとを係合させることを特徴とする二重管構造体の形成方法。
【請求項5】
内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成された二重管構造体に配設された管支持部材において、
(a)樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、
(b)ポスト、及び該ポストの一端から分岐させて形成された二つのサポート保持部を備え、前記サポートリングを、前記二つのサポート保持部と係合させることによって保持する保持体とを有することを特徴とする管支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管構造体、その形成方法及び管支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス(LNG)を燃料ガスとし、ガスエンジンを駆動して航行する船舶については、IGCコード、IGFコード等において、ガスエンジンが収容されるエンジンルームをガスセーフマシナリースペース(Gas safe machinery space)とすることが規定されている。該規定に従って設計されたエンジンルームにおいては、燃料ガスが漏れたときを考慮して、燃料ガスが流れる配管である燃料ライン、燃料ガスに接する機器等が、別の構造体によって包囲されることによって二重管構造体にされ、しかも、二重管構造体の内部が常時換気されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記二重管構造体においては、内管内に燃料ガス流路が形成され、内管と外管との間に環状の換気用の空気流路が形成され、該空気流路の断面積を一定に保つための管支持部材としてのサポートが長手方向における所定の箇所に配設される。
【0004】
図2は従来の二重管構造体に配設されるサポートの斜視図、図3は従来の二重管構造体の縦組立手順を説明するための図である。
【0005】
図において、Puは二重管構造体、43は内管、44は外管、45は、内管43を包囲して配設され、内管43を支持する管支持部材としてのサポート、46、47は、二重管構造体Puの一端側及び他端側の端部において内管43に外嵌され、かつ、サポート45に当接させて配設され、内管43に対してサポート45を位置決めする位置決め部材としてのリングである。
【0006】
前記サポート45は、射出成形等の成形方法でフッ素樹脂によって形成された筒状の部材を所定の長さに切断し、機械加工を施すことによって一体に形成され、環状の形状を有する。
【0007】
前記リング46、47は、ステンレス鋼によって形成され、内管43に摺動させて外嵌することができるように、内径が内管43の外径よりわずかに大きくされる。
【0008】
リング46は、エッジeg1に塗布された樹脂製の接着剤48によって内管43に接着されて固定され、リング47は、エッジeg2に塗布された接着剤48によって内管43に接着されて固定される。
【0009】
また、前記サポート45は、環状体から成り、環状部51、及びサポート45の円周方向における複数箇所、本実施の形態においては、4箇所において径方向外方に突出させて形成された凸部52を備える。なお、内管43にサポート45を摺動させて外嵌することができるように、環状部51の内径は内管43の外径よりわずかに大きくされる。
【0010】
サポート45に外管44が外嵌されると、サポート45の円周方向における各凸部52間に、扇状の形状を有し、内管43と外管44との間の空気流路を連通させ、空気を通すための連通孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2017-82728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の二重管構造体Puにおいては、内管43の複数箇所に配設されたサポート45に外管44を外嵌する際に、サポート45と外管44との間の嵌合いを調整する必要があり、二重管構造体を形成するための作業が煩わしい。
【0013】
また、前記従来の二重管構造体Puにおいては、内管43に対してサポート45を位置決めするためにリング46、47が必要であり、リング46、47を接着剤48によって内管43に接着する必要があり、二重管構造体を形成するための作業が一層煩わしい。
【0014】
本発明は、前記従来の二重管構造体Puの問題点を解決して、二重管構造体を形成するための作業を簡素化することができる二重管構造体、その形成方法及び管支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明の二重管構造体は、内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成されるようになっている。
【0016】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二重管構造体は、内管及び外管を備え、内管内に、第1の流体を通すための第1の流路が形成され、内管と外管との間に、第2の流体を通すための第2の流路が形成されるようになっている。
【0018】
そして、樹脂によって一体に形成された環状体から成り、内管を包囲して配設されたサポートリングと、前記外管の所定の箇所に取り付けられ、前記サポートリングを保持する保持体とを有する。
【0019】
この場合、外管の所定の箇所に保持体が取り付けられ、該保持体によってサポートリングが保持されるので、サポートリングに外管を外嵌する必要がなく、サポートリングと外管との間の嵌合いを調整する必要がない。
【0020】
また、外管に保持体を取り付けるだけで、内管に対してサポートリングを位置決めすることができる。
【0021】
したがって、二重管構造体を形成するための作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における二重管構造体の斜視図である。
図2】従来の二重管構造体に配設されるサポートの斜視図である。
図3】従来の二重管構造体の縦組立手順を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態における二重管構造体を備えた船舶の要部概念図である。
図5】本発明の実施の形態における二重管構造体の縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態における二重管構造体の横断面図である。
図7】本発明の実施の形態におけるサポートリングの斜視図である。
図8】本発明の実施の形態における保持体の斜視図である。
図9】本発明の実施の形態におけるサポートリングに保持体を取り付ける状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態におけるサポートユニットを示す斜視図である。
図11】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の斜視図である。
図12】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の縦断面図である。
図13】本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の横断面図である。
図14】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第1の図である。
図15】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第2の図である。
図16】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第3の図である。
図17】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第4の図である。
図18】本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、ガスエンジンが収容されるエンジンルームにおける二重管構造体、その形成方法、及び管支持部材としてのサポートユニットについて説明する。
【0024】
図4は本発明の実施の形態における二重管構造体を備えた船舶の要部概念図である。
【0025】
図において、Aruは、船舶の所定の箇所にIGFコードの規定に従って形成された機関区域であり、該機関区域Aruは、第1の区域としてのガス安全機関区域Ar1、及び第2の区域としてのESD(緊急遮断装置)保護機関区域Ar2から成る。そして、前記ガス安全機関区域Ar1は、ガスエンジン22が配設されてエンジンルームとして使用される。前記ESD保護機関区域Ar2には、液化天然ガスを船舶に供給するためのバンカユニット25、液化天然ガスを収容するタンク26、熱交換器28、換気装置としてのブロア31等が配設される。
【0026】
また、機関区域Aru外に、空気取込口33、空気排出口34及び開閉弁35が配設され、機関区域Aru内に、タンク26とガスエンジン22とを連結する燃料ラインL1、及び空気取込口33と空気排出口34とを連結する換気ラインL2、L3が配設され、前記ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2にかけて、燃料ラインL1及び換気ラインL3によって二重管構造体Puが形成される。
【0027】
機関区域Aru外からバンカユニット25を介して船舶に供給された液化天然ガスは、タンク26に収容された後、ガスエンジン22を駆動するのに必要な量だけ熱交換器28に送られ、該熱交換器28において温水によって加熱されて気化させられ、所定の温度、例えば、40〔℃〕程度の燃料ガスにされる。
【0028】
燃料ガスは、第1の流体として、燃料ガス用の配管である前記燃料ラインL1を流れてガスエンジン22に送られ、ガスエンジン22が駆動された後、図示されない排気ガスラインを介して船舶外に排出される。
【0029】
ところで、船舶においては、燃料ガスが燃料ラインL1外に漏れたときを考慮して、燃料ラインL1によって形成される第1の要素部材としての内管43を、別の構造体である、換気ラインL3によって形成される第2の要素部材としての外管44によって包囲することにより前記二重管構造体Puが形成され、機関区域Aru外から取り込まれた第2の流体としての空気が、内管43と外管44との間に供給され、機関区域Aru外に排出されるようになっている。
【0030】
そのために、前記空気取込口33と前記ガスエンジン22との間に、吸気用の前記換気ラインL2が配設され、ガスエンジン22と前記空気排出口34との間に、排気用の前記換気ラインL3が配設され、空気取込口33によって機関区域Aru外から取り込まれた空気が、換気ラインL2を流れてガスエンジン22に送られ、ガスエンジン22内で加熱された後、前記外管44と前記内管43との間を流れ、ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2に送られた後、燃料ラインL1から分離させられ、換気ラインL3を流れ、ブロア31に送られ、空気排出口34から機関区域Aru外に放出される。
【0031】
したがって、前記換気ラインL2、L3内にブロア31によって負圧が形成されるので、仮に、燃料ガスが内管43から漏れても、燃料ガスは外管44外に出ることなく、ブロア31によって吸引されて機関区域Aru外に排出される。
【0032】
なお、図においては、便宜上、内管43と外管44とを隣接させて示している。
【0033】
次に、前記二重管構造体Puについて説明する。
【0034】
図1は本発明の実施の形態における二重管構造体の斜視図、図5は本発明の実施の形態における二重管構造体の縦断面図、図6は本発明の実施の形態における二重管構造体の横断面図、図7は本発明の実施の形態におけるサポートリングの斜視図、図8は本発明の実施の形態における保持体の斜視図、図9は本発明の実施の形態におけるサポートリングに保持体を取り付ける状態を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるサポートユニットを示す斜視図、図11は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の斜視図、図12は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の縦断面図、図13は本発明の実施の形態におけるサポートユニットが組み込まれた状態の二重管構造体の横断面図である。
【0035】
図において、Puは二重管構造体であり、該二重管構造体Puは、二重管構造体Puを配管するために機関区域Aru内の必要な箇所に配設された複数の図示されないフランジ間を連結して配設され、内管43、及び該内管43を包囲して配設された外管44から成る。
【0036】
前記内管43及び外管44は、いずれも、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成る管部材を所定の長さに切断し、二重管構造体Puを配管するに当たり必要に応じて曲げ加工を施すことによって形成される。
【0037】
また、前記各フランジは、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成り、所定の形状、本実施の形態においては、円板状の形状を有するプレート部材から成り、両面に内管43及び外管44を連結するための内管連結部及び外管連結部が形成される。
【0038】
前記内管43の両端が、各フランジに形成された内管連結部に、溶接によって内管43の内外が密封されるように固定され、前記外管44の両端が、各フランジに形成された外管連結部に、溶接によって外管44の内外が密封されるように固定され、内管43内に円形の断面形状を有する第1の流路としてのガス流路Rt1が、内管43と外管44との間に、円環状の断面形状を有する第2の流路としての空気流路Rt2が形成される。なお、前記フランジには、内管連結部と外管連結部との間に、上流側及び下流側のガス流路Rt1を連通させ、燃料ガスを通すための複数の図示されない燃料ガス穴が形成され、外管連結部より径方向外方に、上流側及び下流側の空気流路Rt2を連通させ、空気を通すための複数の図示されない空気穴が貫通させて形成される。
【0039】
前記二重管構造体Puの長手方向における所定の複数箇所にサポート配設位置St1が設定され、該各サポート配設位置St1に管支持部材としてのサポートユニット61が配設され、該サポートユニット61によって内管43が支持される。
【0040】
前記サポートユニット61は、内管43を包囲して配設され、樹脂材料、本実施の形態においてはフッ素樹脂から成る管支持環状体としてのサポートリング63、及び外管44の周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、外管44の上端部及び下端部に溶接によって取り付けられ、二重管構造体Puの長手方向においてサポートリング63を保持し、内管43に対して位置決めする一対の位置決め部材としての保持体65、66から成る。
【0041】
サポートリング63は、射出成形等の成形方法で樹脂材料、本実施の形態においてはフッ素樹脂によって形成された環状体から成り、内管43に外嵌することができるように、内管43の外径よりわずかに大きい内径を有する。また、サポートリング63を保持体65、66によって位置決めすることができるように、図7に示されるように、サポートリング63の外周面S1の幅方向(内管43の長手方向)における中央部に、所定の幅及び所定の深さを有し、環状の形状を有する溝m1が周方向の全体にわたって形成される。
【0042】
本実施の形態においては、サポートリング63が、耐摩耗性、耐熱性及び耐候性の高いフッ素樹脂によって形成されるので、長期間にわたり二重管構造体Puを使用しても、サポートリング63が変形することがなく、サポートユニット61の耐久性を向上させることができる。
【0043】
前記保持体65、66は、金属材料、本実施の形態においては、ステンレス鋼から成る鋼材にプレス加工等を施すことによって形成され、図8に示されるように、「さすまた」状の形状を有する。また、保持体65、66は、円柱状の形状を有し、保持体65、66を外管44に取り付けるためのポスト68、及び該ポスト68と一体に、かつ、ポスト68の一端から左右に分岐させ、「U」字状(半円形状)に湾曲させて形成されたサポート保持部69を備える。
【0044】
該サポート保持部69を前記溝m1に進入させることができるように、サポート保持部69の内周面の曲率半径は、溝m1の外周面の曲率半径よりわずかに大きくされる。
【0045】
そして、例えば、図9に示されるように、サポート保持部69をサポートリング63の溝m1に進入させ、サポートリング63に保持体65、66を取り付けると、図10に示されるように、サポートユニット61が形成される。
【0046】
前記サポート配設位置St1において、サポートユニット61を前記外管44の上端部及び下端部に取り付けるために、外管44の上端部及び下端部に、180〔°〕のピッチ角をおいて穴h1が形成される。該各穴h1にポスト68を内嵌することができるように、穴h1の内径はポスト68の外径よりわずかに大きくされる。
【0047】
各ポスト68を各穴h1に内嵌させた状態で、前記保持体65、66を外管44内における径方向外方に移動させ、続いて、前記内管43に外嵌されたサポートリング63を保持体65、66間に挿入し、保持体65、66を径方向内方に移動させてサポート保持部69をサポートリング63の溝m1に進入させ、サポートリング63とサポート保持部69とを係合させると、図11に示されるように、二重管構造体Puにおいてサポートユニット61が組み込まれる。
【0048】
続いて、ポスト68の外周面と穴h1の内周面とを溶接することによって外管44の内外を密封すると、サポートユニット61が二重管構造体Puに取り付けられる。
【0049】
なお、サポートユニット61が二重管構造体Puに取り付けられると、図11~13に示されるように、保持体65、66のポスト68が外管44の上端部及び下端部から径方向外方に向けて突出させられる。
【0050】
そこで、サポートユニット61が二重管構造体Puに組み付けられた後、ポスト68の他端である外管44の上端部及び下端部から突出した部分が図示されないカッタ等によってカットされ、除去される。これにより、図1、5及び6に示されるような二重管構造体Puが形成される。
【0051】
また、図において、Sbはポスト68をカットしたときのカット面、Pt1は、ポスト68の外周面と穴h1の内周面との間に形成された溶接金属部である。
【0052】
次に、二重管構造体Puの形成方法について説明する。
【0053】
図14は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第1の図、図15は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第2の図、図16は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第3の図、図17は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第4の図、図18は本発明の実施の形態における二重管構造体の形成方法を説明するための第5の図である。
【0054】
まず、図14に示されるように、管部材を所定の長さに切断することによって内管43、外管44が、射出成形等によってサポートリング63が、プレス加工等によって保持体65、66が形成される。前述されたように、サポート配設位置St1における外管44の上端部及び下端部に、保持体65、66のポスト68を貫通させるための穴h1が形成される。
【0055】
次に、図15に示されるように、外管44の所定の端部eg1から、保持体65、66が外管44内に挿入され、外管44内において各ポスト68が穴h1に貫通させられる。
【0056】
続いて、図16に示されるように、保持体65、66が、外管44内において径方向外方に移動させられ、ポスト68が穴h1から十分な量突出させられ、サポート保持部69が外管44の内周面に近接させられ、サポートリング63が外嵌された内管43が、外管44内に進入させられる。
【0057】
次に、保持体65、66が径方向内方に移動させられ、サポート保持部69がサポートリング63の前述された溝m1(図7)に進入させられて、サポートリング63とサポート保持部69とが係合させられると、図17に示されるように、二重管構造体Puのサポート配設位置St1にサポートユニット61が形成される。そして、溶接装置71によって、ポスト68の外周面と穴h1の内周面とが溶接される。
【0058】
続いて、ポスト68の他端である外管44の上端部及び下端部から突出した部分がカッタ等によってカットされ、除去される。これにより、図18に示されるような二重管構造体Puが形成される。
【0059】
このように、本実施の形態においては、外管44の所定の箇所に保持体65、66が取り付けられ、該保持体65、66によってサポートリング63が保持されるので、サポートリング63に外管44を外嵌する必要がなく、サポートリング63と外管44との間の嵌合いを調整する必要がない。
【0060】
また、外管44に保持体65、66を取り付けるだけで、内管43に対してサポートリング63を位置決めすることができる。
【0061】
したがって、二重管構造体Puを形成するための作業を簡素化することができる。
【0062】
さらに、保持体65、66のサポート保持部69は、内管43の外周面の近傍でサポートリング63を保持するので、サポート保持部69と外管44の内周面との間に、空気流路Rt2の上流側と下流側とを連通する十分な広さのスペースが形成される。したがって、サポートユニット61によって空気の流れが阻害されることがない。
【0063】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0064】
43 内管
44 外管
63 サポートリング
65、66 保持体
Pu 二重管構造体
Rt1 ガス流路
Rt2 空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18