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特許7518877端末装置、ネットワーク測位システム、サーバ、および、ネットワーク測位方法
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  • 特許-端末装置、ネットワーク測位システム、サーバ、および、ネットワーク測位方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】端末装置、ネットワーク測位システム、サーバ、および、ネットワーク測位方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72 20210101AFI20240710BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20240710BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H04M1/72
G01S5/02 Z
H04M11/00 302
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022117457
(22)【出願日】2022-07-22
(65)【公開番号】P2024014550
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】土屋 仁
(72)【発明者】
【氏名】小村 浩之
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特許第7098012(JP,B1)
【文献】特許第7100725(JP,B1)
【文献】特表2015-531858(JP,A)
【文献】特開2012-249084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G01S5/00-5/14
19/00-19/55
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク測位を行う端末装置であって、
ネットワーク測位に使用される測位用情報であって、前記端末装置と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源の識別情報を含む測位用情報を取得する測位用情報取得部と、
前記測位用情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
正常時モードおよび非常時モードのいずれかで動作し、前記正常時モードでは、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報を外部に送信し、前記非常時モードでは、前記測位用情報を含む追跡用情報を外部に送信する送信部と、を備えている、
端末装置。
【請求項2】
前記端末装置と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源の識別情報の履歴を蓄積する履歴蓄積部をさらに備え、
前記追跡用情報は、前記識別情報の履歴をさらに含む、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記端末装置の移動速度、前記端末装置周囲の地磁気、前記端末装置周囲の音声、前記端末装置周囲の撮像画像、前記端末装置に搭載された非接触型ICカード機能の利用履歴、および、前記端末装置に搭載された物理スイッチの操作履歴のうちの1以上を追加情報として取得する追加情報取得部をさらに備え、
前記追跡用情報は、前記追加情報をさらに含む、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
外部からの指示を取得する指示取得部をさらに備え、
前記送信部は、前記指示に応じて、前記追跡用情報に含める前記追加情報を選択する、
請求項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記位置情報取得部が前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得できなかったことに応じて、前記非常時モードで動作する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
外部からの指示を取得する指示取得部をさらに備え、
前記送信部は、前記指示取得部が前記非常時モードを示す指示を取得したことに応じて、前記非常時モードで動作する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
外部からの指示を取得する指示取得部をさらに備え、
前記送信部は、前記指示取得部が前記非常時モードを示す指示を取得し、かつ、前記位置情報取得部が前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得できなかったことに応じて、前記非常時モードで動作する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の端末装置と、
前記送信部が前記非常時モードにおいて送信した前記追跡用情報を受信するサーバと、を備えている、
ネットワーク測位システム。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載の端末装置の前記送信部が前記非常時モードにおいて送信した前記追跡用情報を受信する受信部と、
前記端末装置の識別情報に関連付けて前記追跡用情報を記憶する記憶部と、を備えている、
サーバ。
【請求項10】
前記受信部が前記追跡用情報を受信したことに応じて、前記端末装置に関連付けられた通知先に警告を通知する通知部をさらに備えている、
請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記端末装置に関連付けられた第2の端末装置に対し、前記記憶部に記憶されている前記追跡用情報を提供する提供部をさらに備えている、
請求項9に記載のサーバ。
【請求項12】
ネットワーク測位を行う端末装置が、ネットワーク測位に使用される測位用情報であって、前記端末装置と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源の識別情報を含む測位用情報を取得する測位用情報取得工程と、
前記端末装置が、前記測位用情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記端末装置によって正常時モードおよび非常時モードのいずれかで実行され、前記正常時モードでは、前記端末装置が、前記位置情報取得工程において取得した前記位置情報を外部に送信し、前記非常時モードでは、前記端末装置が、前記測位用情報を含む追跡用情報を外部に送信する送信工程と、を含む、
ネットワーク測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、ネットワーク測位システム、サーバ、および、ネットワーク測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク測位に関する技術が開発されている(特許文献1~3)。ネットワーク測位では、端末装置は、周囲に存在するセルラー基地局やWi-Fi(登録商標。無線LANとも称する)アクセスポイントなどを検出し、検出したセルラー基地局やWi-Fiアクセスポイントの情報を位置情報サービスプロバイダのサーバに送信する。位置情報サービスプロバイダのサーバは、固定されたセルラー基地局やWi-Fiアクセスポイントの位置座標を予め保存しており、端末装置から受信された情報と照合することにより、端末装置の位置座標を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2008-519495号公報
【文献】特表2011-509028号公報
【文献】特開2012-39628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位置情報サービスプロバイダのサーバ(位置情報提供装置)に障害が発生すると、これを利用する端末装置は一斉にネットワーク測位ができなくなるという問題がある。この場合、端末装置を所持するユーザの位置情報が確認できない。例えば、保護者は、監視対象である子供の位置情報を確認できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る端末装置は、ネットワーク測位を行う端末装置であって、ネットワーク測位に使用される測位用情報であって、前記端末装置と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源の識別情報を含む測位用情報を取得する測位用情報取得部と、前記測位用情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、正常時モードおよび非常時モードのいずれかで動作し、前記正常時モードでは、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報を外部に送信し、前記非常時モードでは、前記測位用情報を含む追跡用情報を外部に送信する送信部と、を備えている。
【0006】
本発明の一態様に係るネットワーク測位方法は、ネットワーク測位を行う端末装置が、ネットワーク測位に使用される測位用情報であって、前記端末装置と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源の識別情報を含む測位用情報を取得する測位用情報取得工程と、
前記端末装置が、前記測位用情報を位置情報提供装置に送信し、前記位置情報提供装置から前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記端末装置によって正常時モードおよび非常時モードのいずれかで実行され、前記正常時モードでは、前記端末装置が、前記位置情報取得工程において取得した前記位置情報を外部に送信し、前記非常時モードでは、前記端末装置が、前記測位用情報を含む追跡用情報を外部に送信する送信工程と、を含む。
【0007】
本発明の各態様に係る端末装置およびサーバは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記端末装置および前記サーバが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記端末装置および前記サーバをコンピュータにて実現させる前記端末装置の制御プログラムおよび前記サーバの制御プログラム、ならびに、それらを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る端末装置およびサーバの機能ブロックの一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る正常時のシステムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
図4】本発明の実施形態1に係る障害発生時のシステムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
図5】本発明の実施形態2に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る端末装置およびサーバの機能ブロックの一例を示す図である。
図7】各実施形態に係る端末装置およびサーバとして利用可能なコンピュータの構成を例示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<構成例>
以下では、本実施形態の構成例について図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。システム1は、ネットワーク測位システムであり、一例として、端末装置100およびサーバ200によって構成されてよい。
【0010】
本実施形態において、無線信号源とは、識別情報を含む無線信号を送信する無線装置であり、少なくとも一部は特定の位置座標に固定されているものであってよい。また、一態様において、無線信号源は、セルラー基地局(以下、基地局という)およびWi-Fiアクセスポイントのような、端末装置100が無線接続可能な無線接続点であってよい。以下では、端末装置100の周囲に存在する無線信号源として、第1の種類の無線接続点(端末装置100が在圏しているセル(在圏セル)を提供する基地局2、端末装置100が在圏していない周囲のセル(隣接セル)を提供する基地局3)、ならびに、第2の種類の無線接続点(Wi-Fiアクセスポイント4および5)が存在する場合について説明するが、端末装置100の周囲に存在する無線信号源はこれらに限定されないことを当業者は容易に理解する。一態様において、無線信号源は、Bluetooth(登録商標)等の通信規格により無線信号を送信可能な無線装置によって実現されてもよく、例えば、BLEビーコン等であってもよい。また、一態様において、無線接続可能とは、端末装置100が無線信号源から到達した電波から識別情報を取得可能であることを含んでよい。すなわち、一態様において、端末装置100が無線信号源の識別情報を取得可能であれば、無線信号源と端末装置100とは、必ずしも通信コネクションを確立しなくともよい。
【0011】
端末装置100は、基地局2を介してサーバ200に接続していてもよく、Wi-Fiアクセスポイント4または5を介してサーバ200に接続していてもよく、その他の通信経路を介してサーバ200に接続していてもよい。
【0012】
サーバ200は、ネットワークを介して位置情報サービスプロバイダ(位置情報提供装置)10と接続してよい。位置情報サービスプロバイダ10は、端末装置100の周囲に存在する無線信号源の情報を受信すると、端末装置100の推定位置情報を含む情報を返信するサービスを提供するサーバであってよく、本実施形態においては、端末装置100と無線通信可能な範囲に存在する無線信号源であって、識別情報を送信する少なくとも1つの無線信号源の検出結果を示す検出結果情報に基づいて、端末装置100の位置を推定する位置情報提供装置といってもよい。位置情報サービスプロバイダ10は、例えば、グーグル社(米国マウンテンビュー)を初めとする各社によって提供されている。また、サーバ200は、さらに、他の位置情報サービスプロバイダと接続してもよい。
【0013】
続いて、参照する図面を替えて、本実施形態に係る端末装置100およびサーバ200の構成について説明する。図2は本実施形態に係る端末装置100およびサーバ200の機能ブロックの一例を示す図である。
【0014】
<端末装置>
端末装置100は、ネットワーク測位を行う端末装置であって、通信部110、メモリ120、記憶部130および主制御部140を備えてよい。
【0015】
通信部110は、少なくとも無線信号源から識別番号を含む無線信号を受信するものであってよく、無線信号源との間で無線信号を送受信してもよい。また、通信部110は、ネットワークを介して、サーバ200と通信を行ってよい。
【0016】
メモリ120には、主制御部140が実行する各種のプログラムおよびそれらのプログラムによって参照される各種のデータが一時的に格納されてよい。
【0017】
記憶部130には、主制御部140によって、読み出し、書き込み、参照などされる各種の情報が格納されてよい。
【0018】
主制御部140は、測位用情報取得処理部(測位用情報取得部)142、位置情報取得処理部(位置情報取得部)143、送信処理部(送信部)144、履歴蓄積処理部(履歴蓄積部)145、追加情報取得処理部(追加情報取得部)146、セルラー通信処理部148およびWi-Fi通信処理部150を備えてよい。
【0019】
測位用情報取得処理部142は、セルラー通信処理部148、Wi-Fi通信処理部150を介して、ネットワーク測位に使用される測位用情報であって、端末装置100と無線通信可能な範囲に存在する基地局2、3およびWi-Fiアクセスポイント4、5(無線信号源)の識別情報を含む測位用情報を取得してよい。
【0020】
なお、測位用情報取得処理部142は、基地局2、3およびWi-Fiアクセスポイント4、5と通信した日時を含む測位用情報を取得してよいし、端末装置100の識別情報を、測位用情報に追加してよい。
【0021】
位置情報取得処理部143は、取得した測位用情報を位置情報サービスプロバイダ10に送信し、当該位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得してよい。
【0022】
送信処理部144は、正常時モードおよび非常時モードのいずれかで動作し、正常時モードでは、位置情報取得処理部143が取得した、端末装置100の位置情報をサーバ(外部)200に送信し、非常時モードでは、測位用情報を含む追跡用情報をサーバ(外部)200に送信してよい。
【0023】
履歴蓄積処理部145は、測位用情報取得処理部142が取得した端末装置100と無線通信可能な範囲に存在する基地局2、3およびWi-Fiアクセスポイント4、5の識別情報と、測位用情報取得処理部142が識別情報を取得した時刻とを関連付けた識別情報の履歴を記憶部130に蓄積してよい。上記の追跡用情報は、当該識別情報の履歴をさらに含んでよい。
【0024】
追加情報取得処理部146は、端末装置100の移動速度、端末装置100周囲の地磁気、端末装置100周囲の音声、端末装置100周囲の撮像画像などを追加情報として取得してよい。上記の追跡用情報は、これらの追加情報をさらに含んでよい。なお、追加情報は、端末装置100から取得可能な情報であればよく、上記の例に限定されるものではない。具体的には、例えば、追加情報取得処理部146は、端末装置100に搭載された非接触型ICカード機能(例えば、Felica(登録商標)、NFCなどの決済手段。不図示)の利用履歴又は、端末装置100に搭載された物理スイッチ(不図示)の操作履歴などを取得し、追加情報として用いてよい。
【0025】
セルラー通信処理部148は、規定のプロトコルに従って基地局2、3との通信を行ってよい。セルラー通信処理部148は、また、規定のプロトコルに従って在圏セルおよび隣接セルに関する情報を取得してよい。
【0026】
Wi-Fi通信処理部150は、規定のプロトコルに従ってWi-Fiアクセスポイント4、5との通信を行ってよい。Wi-Fi通信処理部150は、また、規定のプロトコルに従って周囲に存在するWi-Fiアクセスポイント4、5のスキャン(Wi-Fiスキャン)を行ってよい。
【0027】
なお、本実施形態では、送信処理部144は、位置情報取得処理部143が位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得できなかったことに応じて、非常時モードで動作してよい。
【0028】
送信処理部144は、例えば、位置情報取得処理部143が位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得する処理(以降、測位処理と表現する場合がある)の実行時間が所定の時間を超えた場合に、位置情報を取得できなかったと判定し、非常時モードで動作してよい。あるいは、送信処理部144は、例えば、位置情報取得処理部143が位置情報サービスプロバイダから、位置情報に替えて測位不可能であることを示すデータを取得した場合に、位置情報を取得できなかったと判定し、非常時モードで動作してよい。
【0029】
<サーバ>
サーバ200は、端末装置100の送信処理部144が非常時モードにおいて送信した追跡用情報を受信してよい。サーバ200は、通信部210、メモリ220、記憶部230および主制御部240を備えてよい。
【0030】
通信部210は、ネットワークを介して、端末装置100と通信を行ってよい。
【0031】
メモリ220には、主制御部240が実行する各種のプログラムおよびそれらのプログラムによって参照される各種のデータが一時的に格納されてよい。
【0032】
記憶部230には、主制御部240によって、読み出し、書き込み、参照などされる各種の情報が格納されてよい。
【0033】
主制御部240は、受信処理部(受信部)242、記憶処理部243、通知処理部(通知部)244、送信処理部250、および、提供部252を備えてよい。
【0034】
受信処理部242は、端末装置100の送信処理部144が非常時モードにおいて送信した追跡用情報を受信してよい。
【0035】
記憶処理部243は、追跡用情報を記憶部230に記憶させる記憶処理を行ってよい。このとき、記憶部230は、追跡用情報の送信元である端末装置100の識別情報に関連付けて、当該追跡用情報を記憶してよい。
【0036】
通知処理部244は、受信処理部242が追跡用情報を受信したことに応じて、端末装置100に関連付けられた通知先に警告を通知してよい。例えば、通知処理部244は、位置情報サービスプロバイダ10との通信に障害が発生したときに、サーバ200から保護者の端末装置に対して、SMS、メールなどにより警告を送信してよい。
【0037】
送信処理部250は、各種情報を端末装置100に送信する送信処理を行ってよい。
【0038】
提供部252は、記憶部230に記憶された追跡用情報を外部に提供する提供処理を行ってよい。例えば、提供部252は、追跡用情報をWebページの体裁にして特定の提供先から閲覧可能にしてもよいし、追跡用情報を特定の提供先に送信してもよい。
【0039】
<追跡用情報の構成>
端末装置100が、位置情報サービスプロバイダ10から位置情報を受信できなかった場合に、サーバ200にアップロードする追跡用情報(測位用情報を含む)を、以下に例示する。
【0040】
(1)基地局2の情報
在圏セルおよび隣接セルの識別情報(例えば、セルID、拡張セルID、国コード、ネットワークコード、エリアコードなど)、各セルの電波強度(例えば、dbmなど)。
【0041】
(2)Wi-Fiアクセスポイント4、5の情報
Wi-Fiアクセスポイントの識別情報(例えば、MACアドレス、BSSIDなど)、当該Wi-Fiアクセスポイントからの無線信号の電波強度(例えば、RSSIなど)。
【0042】
(3)端末装置100が無線信号源と通信した日時の情報
パラメータを収集したタイミングのタイムスタンプ(例えば、Wi-Fiスキャンの開始または完了のタイミングを示すタイムスタンプなど)。
【0043】
(4)端末装置100の情報
端末装置100の識別情報(例えば、IMEI、端末装置のシリアルNO.、MACアドレス、電話番号、IMSI、MSN、uuidなど)。
【0044】
(5)通信した基地局2、3の履歴
通信した基地局2、3の履歴を追跡することにより、端末装置100の移動履歴が割り出せる。
【0045】
(6)端末装置100により取得可能な情報
端末装置100の移動速度の履歴、その場の地磁気、その場で録音した音声、その場で撮影した動画など。
【0046】
なお、基地局2、3およびWi-Fiアクセスポイント4、5の情報については、具体的にGoogle社のネットワーク測位のパラメータが記載されている。こちらに含まれているデータは必ず含むことを前提にする。
<https://developers.google.com/maps/documentation/geolocation/overview>
基地局に関するパラメータには、例えば、基地局の一意の識別子、ネットワークのロケーションエリアコード、基地局のモバイル国コード、基地局のモバイルネットワークコード、dBmで測定された無線信号強度などがある。Wi-Fiアクセスポイントに関するパラメータには、例えば、Wi-FiアクセスポイントのMACアドレス、BSSID、ESSID、dBmで測定された現在の信号強度、Wi-Fiアクセスポイントが検出されてからのミリ秒数、クライアントがWi-Fiアクセスポイントと通信しているチャネル、dBで測定された現在の信号対雑音比などがある。
【0047】
<動作>
図3は、本発明の実施形態1に係る正常時のシステムの動作の一例を説明するシーケンス図である。システム1の具体的動作の一例について、図3に示すシーケンス図を参照しつつ説明する。
【0048】
まず、ステップS1において、端末装置100において、測位用情報取得処理部142は測位用情報を取得し(測位用情報取得工程)、送信処理部144は当該測位用情報を位置情報サービスプロバイダ10に送信してよい。当該測位用情報には、基地局2およびWi-Fiアクセスポイント4、5の情報が含まれてよい。このとき、位置情報サービスプロバイダ10は、端末装置100から測位用情報を受信し、当該測位用情報から端末装置100の位置情報を生成してよい。当該位置情報には、端末装置100の座標(緯度、経度など)、測位精度が含まれてよい。
【0049】
次に、ステップS2において、位置情報サービスプロバイダ10は、生成した位置情報を端末装置100に返信してよい。このとき、端末装置100の位置情報取得処理部143は、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得してよい(位置情報取得工程)。
【0050】
そして、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を受信した場合、ステップS3において、端末装置100の送信処理部144は、端末装置100の位置情報をサーバ200に送信してよい(送信工程)。当該位置情報には、端末装置100の位置情報および識別情報が含まれてよい。このとき、サーバ200の受信処理部242は、端末装置100から端末装置100の位置情報を受信してよい。
【0051】
さらに、ステップS4において、サーバ200の記憶処理部243は、受信した、端末装置100の位置情報を記憶部230に保存させてよい。このとき、記憶部230は、端末装置100の識別情報に関連付けて、端末装置100の位置情報と位置情報を取得した時刻の情報とを保存してよい。これにより、サーバ200の記憶処理部243は、端末装置100の識別情報を用いて、当該端末装置100の位置情報と時刻の情報とを記憶部230から抽出することができる。
【0052】
ステップS5において、サーバ200の送信処理部250は、端末装置100の位置情報を保存させる処理の成否を端末装置100に返信してよい。
【0053】
図4は、本発明の実施形態1に係る障害発生時のシステムの動作の一例を説明するシーケンス図である。システム1の具体的動作の一例について、図4に示すシーケンス図を参照しつつ説明する。
【0054】
まず、ステップS11において、端末装置100の送信処理部144は、測位用情報を位置情報サービスプロバイダ10に送信してよい。
【0055】
次に、ステップS12において、端末装置100の位置情報取得処理部143は、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得できなかったとする。この要因には、端末装置100と、位置情報サービスプロバイダ10との間のネットワークの障害、位置情報サービスプロバイダ10のサーバの障害などがあり得る。
【0056】
そして、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を取得しなかった場合、ステップS13において、端末装置100の送信処理部144は、測位用情報を含む追跡用情報をサーバ200に送信してよい(送信工程)。このとき、サーバ200の受信処理部242は、端末装置100から追跡用情報を受信してよい。
【0057】
さらに、ステップS14において、サーバ200の記憶処理部243は、受信した追跡用情報を記憶部230に保存させてよい。このとき、記憶部230は、端末装置100の識別情報に関連付けて、端末装置100の追跡用情報と追跡用情報を受信した時刻の情報とを保存してよい。
【0058】
ステップS15において、サーバ200の送信処理部250は、追跡用情報を保存させる処理の成否を端末装置100に返信してよい。
【0059】
<実施形態1の効果>
上記によれば、サーバ200の記憶処理部243は、端末装置100の識別情報を用いて、当該端末装置100の追跡用情報を記憶部230から抽出することができる。これにより、端末装置100のユーザの所在を確認する必要があっても、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100の位置情報を受信できないときなどの非常時において、サーバ200の記憶部230に保存された、当該端末装置100の追跡用情報を、人手で測位するために用いることや、端末装置100が対応していない他の位置情報サービスプロバイダを用いて測位を行うことができる。従って、位置情報サービスプロバイダ10との通信に障害が発生しても、端末装置100の測位を可能にすることができる。
【0060】
<変形例>
(1)端末装置100が、位置情報サービスプロバイダ10から当該端末装置100の位置情報を受信した場合に当該位置情報を送信する先のサーバと、位置情報サービスプロバイダ10から当該位置情報を受信しなかった場合に追跡用情報を送信する先のサーバとは、異なっていてもよい。
【0061】
(2)端末装置100は、位置情報サービスプロバイダ10から当該端末装置100の位置情報を受信しなかった場合に、正常時に位置情報サービスプロバイダ10に送信していないデータ(例えば、基地局2、3およびWi-Fiアクセスポイント4、5の識別情報の受信履歴など)も追跡用情報に加えてサーバ200に送信してもよい。
【0062】
(3)サーバ200に送信するデータには、端末装置100の位置情報(すなわち、ユーザの位置情報)が含まれる。そのため、当該データは、暗号化、ハッシュ化等した上で、サーバ200に送信してもよい。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
<構成例>
図5は、本実施形態に係るシステム1aの構成の一例を示す図である。システム1aは、一例として、端末装置100a、端末装置101(外部の端末装置)およびサーバ200によって構成されてよい。例えば、端末装置100aは子供に所持され、端末装置101は子供の保護者またはキャリアに所持されてよい。端末装置100aの送信処理部144は、端末装置101からの指示をトリガーにして、位置情報サービスプロバイダ10にではなく、サーバ200に追跡用情報を送信してよい。その詳細を以下に説明する。
【0065】
図6は、本実施形態に係る端末装置100aおよびサーバ200の機能ブロックの一例を示す図である。端末装置100aは、実施形態1に係る端末装置100と比較すると、端末装置(外部)101からの指示を取得する指示取得処理部(指示取得部)147をさらに備えてよい。
【0066】
この場合、送信処理部144は、指示取得処理部147が非常時モードを示す指示を取得したことに応じて、非常時モードで動作してよい。あるいは、送信処理部144は、指示取得処理部147が非常時モードを示す指示を取得し、かつ、位置情報取得処理部143が位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100aの位置情報を取得できなかったことに応じて、非常時モードで動作してよい。
【0067】
<動作>
端末装置101は、端末装置100aに設定されているモードを切り替える指示を発行する。指示を発行する方法は特に限定されず、例えば、端末装置101は、SMS(Short Message Service)などのセルラー通信によって端末装置100に指示を送ってもよいし、Bluetooth(登録商標)、BLEなどの近距離通信によって端末装置100に指示を送ってもよい(プッシュ型)。また、端末装置101は所定のサーバに指示を示す値を登録し、端末装置100aの指示取得処理部147が当該所定のサーバに登録された値を参照することにより、指示取得処理部147が端末装置101からの指示を取得してもよい(プル型)。指示取得処理部147は、周期的または非周期的に所定のサーバに登録された値を参照してもよいし、位置情報サービスプロバイダ10のサーバやネットワークに障害が生じたときに、所定のサーバに登録された値を参照してもよい。
【0068】
端末装置100aのモードには、正常時モードと、非常時モードとがある。正常時モードは、端末装置100aが、当該端末装置100aの位置情報をサーバ200に送信するモードである。非常時モードは、端末装置100aが、当該端末装置100の追跡用情報をサーバ200に送信するモードである。
【0069】
正常時モードが設定されている場合、かつ、位置情報サービスプロバイダ10から端末装置100aの位置情報を受信した場合には、端末装置100aは、当該位置情報をサーバ200に送信する。非常時モードが設定されている場合、または、位置情報サービスプロバイダ10から位置情報を受信していない場合には、端末装置100aは、当該端末装置100aの追跡用情報をサーバ200に送信する。
【0070】
<実施形態2の効果>
実際に位置情報サービスプロバイダ10との通信に障害が発生してからではなく、位置情報サービスプロバイダ10の障害が推定される場合などには、事前に端末装置100のモードを非常時モードに切り替えることにより、端末装置100aの測位を円滑に進めることができる。
【0071】
<変形例>
(1)端末装置101からの指示に応じて、端末装置100aは、非常時モードにおいてサーバ200に送信するデータを動的に変更してもよい。例えば、端末装置100aは、端末装置101からの指示に応じて、追加情報として用いる情報を、上述したような、端末装置100aの移動速度、端末装置100a周囲の地磁気、端末装置100a周囲の音声、端末装置100aに搭載された非接触型ICカード機能の利用履歴、および、端末装置100aに搭載された物理スイッチの操作履歴等から選択してもよい。この場合、端末装置101からの指示は、追加情報を指定する情報が含まれていてもよい。
【0072】
(2)端末装置101からモードの切替指示を受領する以外に、端末装置100がモードを切り替える条件を追加してもよい。例えば、端末装置100に搭載されたバッテリーの残量が所定の閾値を下回った場合、端末装置100に具備されたスイッチが操作された場合などを条件として、モードの切り替えが行われてよい。
【0073】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
(1)サーバ200の提供部252は、受信した追跡用情報を人が見やすい出力形式にしてもよい。例えば、提供部252は、通信した基地局2、3の識別情報の受信履歴から地図、表などを生成してもよい。また、提供部252は、基地局2、3の位置情報を地名に変更してもよい。
【0075】
また、提供部252は、記憶部230に記憶されている追跡用情報を、実施形態2における端末装置101(第2の端末装置)に提供してもよい。提供部252は、追跡用情報をWebページの体裁にして端末装置101から閲覧可能にしてもよいし、SMSやE-mailを介して端末装置101に追跡用情報を送信してもよい。
【0076】
(2)位置情報サービスプロバイダ10の障害を判定するには、1回の通信失敗に限らず、所定回数以上連続して通信が失敗したか、所定時間以上連続して通信が失敗したかなどに基づいてもよい。
【0077】
〔ハードウェア構成およびソフトウェアによる実現例〕
端末装置100およびサーバ200の制御ブロック(特に主制御部140、240に含まれる各部等)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、端末装置100およびサーバ200は、コンピュータ(電子計算機)を用いて構成されてよい。
【0078】
図7は、端末装置100およびサーバ200として利用可能なコンピュータ910の構成を例示したブロック図である。コンピュータ910は、バス911を介して互いに接続された演算装置912と、主記憶装置913と、補助記憶装置914と、入出力インターフェース915とを備えている。演算装置912、主記憶装置913、および補助記憶装置914は、それぞれ、例えばCPU、RAM(random access memory)、ソリッドステートドライブまたはハードディスクドライブであってもよい。入出力インターフェース915には、ユーザがコンピュータ910に各種情報を入力するための入力装置920、および、コンピュータ910がユーザに各種情報を出力するための出力装置930が接続される。入力装置920および出力装置930は、コンピュータ910に内蔵されたものであってもよいし、コンピュータ910に接続された(外付けされた)ものであってもよい。例えば、入力装置920は、ボタン、キーボード、マウス、タッチセンサなどであってもよく、出力装置930は、ランプ、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどであってもよい。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力装置920および出力装置930の双方の機能を有する装置を適用してもよい。そして、通信インターフェース916は、コンピュータ910が外部の装置と通信するためのインターフェースである。
【0079】
補助記憶装置914には、コンピュータ910を、サーバ200として動作させるための情報処理プログラムが格納されている。そして、演算装置912は、補助記憶装置914に格納された上記情報処理プログラムを主記憶装置913上に展開して該情報処理プログラムに含まれる命令を実行することによって、コンピュータ910を、サーバ200が備える各部として機能させる。なお、補助記憶装置914が情報処理プログラム等の情報の記録に用いる記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」であればよく、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などであってもよい。
【0080】
また、コンピュータ910の外部の記録媒体に記録されているプログラム、あるいは任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してコンピュータ910に供給されたプログラムを用いてコンピュータ910を機能させる構成を採用してもよい。そして、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0081】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<SDGsの記載>
本発明の一実施例として、児童の所在を確認したい保護者向けに提供される測位デバイスが提供されてよい。上記の例では、測位デバイスは防犯又は迷子の防止などの目的に用いられる。本発明を製品に適用することで、測位プロバイダとの通信が不可能になった場合にも測位サービスを継続的に提供することができるようになり、保護者の不安軽減につながると共に、犯罪又は事故の防止に貢献できる。そのため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1a システム
2、3 基地局(無線信号源)
4、5 Wi-Fiアクセスポイント(無線信号源)
10 位置情報サービスプロバイダ(位置情報提供装置)
100、100a 端末装置
101 端末装置(外部、第2の端末装置)
142 測位用情報取得処理部(測位用情報取得部)
143 位置情報取得処理部(位置情報取得部)
144 送信処理部(送信部)
145 履歴蓄積処理部(履歴蓄積部)
146 追加情報取得処理部(追加情報取得部)
147 指示取得処理部(指示取得部)
200 サーバ(外部)
230 記憶部
242 受信処理部(受信部)
244 通知処理部(通知部)
252 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7