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特許7518897操作パネル、制御機器及び操作パネルの交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】操作パネル、制御機器及び操作パネルの交換方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H04Q9/00 361
H04Q9/00 331A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022512222
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2021013335
(87)【国際公開番号】W WO2021200838
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020064102
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】沖 智浩
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-213442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ制御用の制御機器を操作するための操作パネルであって、
操作者の操作を受け付ける操作部と、
前記制御機器に当該操作パネルを着脱自在に取り付ける取付部と、
前記モータの駆動パラメータ情報を記憶する記憶部と
前記駆動パラメータ情報を表示する表示部とを備え、
前記記憶部は、前記制御機器の制御部により制御され、前記制御機器に外付けで接続される上位装置からの指示に応じて、前記制御機器に記憶される前記駆動パラメータ情報が変更される度に、当該変更後の前記駆動パラメータ情報を記憶し、
前記表示部は、前記制御機器の前記制御部により制御され、前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータ情報を表示可能である操作パネル。
【請求項2】
前記制御機器は、インバータであり、
前記駆動パラメータ情報は、前記インバータが前記モータを駆動させるための駆動パラメータを含む、
請求項1に記載の操作パネル。
【請求項3】
モータ制御用の制御機器であって、
前記モータの駆動パラメータ情報を記憶する第1記憶部を備える制御機器本体と、
操作パネルであって、
操作者の操作を受け付ける操作部と、
前記制御機器本体に当該操作パネルを着脱自在に取り付ける取付部と、
前記駆動パラメータ情報を記憶する第2記憶部と、を備える操作パネルと、
を備え、
前記制御機器本体は、当該制御機器本体に外付けで接続される上位装置からの指示に応じて、前記第1記憶部に記憶される前記駆動パラメータ情報を変更する度に、当該変更後の前記駆動パラメータ情報を前記第2記憶部に記憶させる、制御機器。
【請求項4】
モータ制御用の制御機器を操作するための操作パネルの交換方法であって、
前記制御機器の本体に記憶された前記モータの駆動パラメータ情報を前記操作パネルの記憶部に記憶させるステップと、
交換された制御機器の本体に前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータ情報を提供するステップと、
を含
前記駆動パラメータ情報を前記操作パネルの記憶部に記憶させるステップは、前記制御機器の本体に外付けで接続される上位装置からの指示に応じて、前記制御機器の本体に記憶される前記駆動パラメータ情報が変更される度に行われる、操作パネルの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル、制御機器及び操作パネルの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを用いたモータの駆動制御は広く利用されている。インバータは、制御対象となるモータに供給する電流の周波数等を制御してモータを駆動させる。複数のモータを使用する装置では、モータ毎に役割が割り振られており、同一装置内の同一種類のモータであっても要求される出力トルク等は異なる。したがって、モータを駆動させるための駆動パラメータは、モータの役割やモータを利用する装置(以下「対象装置」という)内の適用位置に応じて決定され、一般に、モータ毎に設定される。
【0003】
例えば特許文献1に記載されるインバータでは、パラメータはインバータに内蔵されたパラメータ保持部に保持される。インバータは、モータを駆動させるときにパラメータ保持部内の駆動パラメータ情報を読み出し、モータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-027741号公報
【0005】
例えばインバータを故障交換する場合、故障したインバータに記憶された駆動パラメータ情報を調べ、新しく準備したインバータにその駆動パラメータ情報を設定する必要がある。駆動パラメータ情報の移行作業を含めたインバータの交換作業中は、対象装置の処理を停止させる必要がある。したがって対象装置の稼働効率を考慮すると、インバータの交換作業を効率的に行うことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、インバータを一例とする制御機器の交換作業を効率化する制御機器用の操作パネル、制御機器、及び操作パネルの交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の操作パネルは、モータ制御用の制御機器を操作するものであり、操作者の操作を受け付ける操作部と、制御機器に当該操作パネルを着脱自在に取り付ける取付部と、モータの駆動パラメータ情報を記憶する記憶部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御機器の交換作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による操作パネルを含むインバータのブロック図である。
図2】操作パネルの概略図である。
図3】インバータの概略斜視図である。
図4】搬送システムの概略を示す構成図である。
図5】制御部の一連の処理を示すフロー図である。
図6】第2実施形態による操作パネルを含むインバータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態は制御機器の例として操作パネルを備えるインバータに関する。第1実施形態による操作パネルは、インバータの駆動パラメータ情報を記憶し、かつインバータ本体に対して着脱自在に構成される。インバータ本体が故障してインバータ本体を交換する場合、操作パネルを新しいインバータ本体に取り付けるだけで古いインバータ本体の駆動パラメータ情報を新しいインバータ本体に移せる。
【0011】
図1は、第1実施形態による操作パネルを含むインバータのブロック図である。インバータ100は、制御対象となるモータ102に供給する電流の周波数等を制御して予め指定された駆動パラメータを用いてモータ102を駆動させる。モータ102を駆動させるための駆動パラメータとしては、例えばモータ102に接続される減速機のギア比、モータ102の電流値、加減速時間、容量、最高速度、モータ電圧等がある。インバータ100は、駆動パラメータに従ってモータ102を制御する。これによりモータ102は、要求されるトルクを出力する。
【0012】
インバータ100はモータ102に電気的に接続され、図示せぬ商用電源から供給された電力をモータ102に供給する。インバータ100は、インバータ本体104と、操作パネル106とを備える。インバータ本体104は、第1記憶部108と、制御部110と、操作パネル106が取り付けられる被取付部111とを備える。
【0013】
第1記憶部108は、制御対象となるモータ102の駆動パラメータを含む駆動パラメータ情報を記憶する。第1記憶部108としては、例えば不揮発性メモリを用いることができる。
【0014】
制御部110は、CPU、メモリ等の演算部、及び主回路を含む。主回路は、電流の整流、平滑化、及びパルス幅変調を行う。制御部110は、CPU等を用いて第1記憶部108に記憶された駆動パラメータ情報を読み出し、既知の手法で主回路を制御して駆動パラメータ情報に従ってモータ102を制御する。
【0015】
操作パネル106は、操作部112と、取付部114と、表示部116と、第2記憶部118とを備える。
【0016】
操作パネル106は、インバータ本体104に取り付けられたとき制御部110と物理的および電気的に接続され、制御部110と通信可能にされる。例えば操作パネル106側とインバータ本体104はフラットケーブルにより接続される。操作パネル106は、操作パネル106の基板端面に設けられた端子部を制御部110の基板に実装されたカードエッジタイプのコネクタに差し込んで制御部110に接続されてもよい。その他、いわゆる雄雌のコネクタどうしによる接続等、接続の形態は問わない。さらに別の例では、電気的な接続は、例えばNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信でなされてもよい。その場合コネクタは不要で、インバータ本体104と操作パネル106が固着できる物理構造を設ければ足りる。
【0017】
操作パネル106及びインバータ本体104は、取付部114及び被取付部111を介して互いに着脱自在に構成される。着脱自在とは、好ましくは特殊な工具を用いることなく操作パネル106をインバータ本体104に対して取り付けでき、かつ操作パネル106をインバータ本体104から取り外せることをいう。したがって、工具を一切用いることなく操作パネル106をインバータ本体104に対して着脱できる場合、及び汎用の工具を用いて操作パネル106をインバータ本体104に対して着脱できる場合は、操作パネル106はインバータ本体104に対して着脱自在とされる。この場合、操作パネル106がインバータ本体104の筐体外に露出しているかは問わない。したがって、操作パネル106がインバータ本体104の筐体内に収容されていても、特殊な工具を使用せずに操作パネル106をインバータ本体104に対して着脱できるのであれば、操作パネル106はインバータ本体104に対して着脱自在とされる。もちろん、セキュリティ等の事情から特殊な工具を用いてもよく、「着脱可能」はその場合を排除する趣旨ではない。
【0018】
被取付部111は、操作パネル106をはめ込む凹部である。この場合、操作パネル106の筐体自体が取付部114として機能する。これにより操作パネル106をインバータ本体104に着脱自在に取り付けられる。
【0019】
また、取付部114としては、操作パネル106に複数の係合片を設けた構造でもよい。この場合、インバータ本体104の被取付部111としては、係合片を受け入れる複数の受入部を用いる。操作パネル106をインバータ本体104に取り付けるとき、取付部114の係合片を被取付部111の受入部に係合させる。取付部114と被取付部111の構成としては、係合片と受入部の組み合わせ以外にも様々な機械的構造や場合により電磁石等の電磁的構造を用いることができる。インバータ本体104に係合された操作パネル106の係合を解除するための解除機構がインバータ本体104又は操作パネル106に設けられてもよい。
【0020】
第2記憶部118は、駆動パラメータ情報を記憶する。第2記憶部118が記憶する駆動パラメータ情報は、制御部110により書き込まれる。
【0021】
制御部110は、第1記憶部108に記憶された駆動パラメータ情報と、第2記憶部118に記憶された駆動パラメータ情報とを同一にする。制御部110が第1記憶部108又は第2記憶部118に駆動パラメータ情報を記憶させる状況としては、第2記憶部118に駆動パラメータ情報が記憶されていないとき、外付けパラメータユニット(後述)等の上位装置から駆動パラメータ情報の変更を指示されたとき、及びインバータ本体104が交換されたときがある。操作パネル106が未使用の状態では、第2記憶部118には駆動パラメータ情報が記憶されていない。制御部110は、第2記憶部118に駆動パラメータ情報が記憶されていないとき、つまり操作パネル106が未使用状態であり初めて使用されるときに、第1記憶部108に記憶された駆動パラメータを第2記憶部118にコピーする。また制御部110は、モータ102の駆動パラメータを設定するための前記の上位装置から駆動パラメータ情報の変更を指示されたときに、変更後の駆動パラメータ情報を第1記憶部108及び第2記憶部118に記憶させる。また制御部110は、インバータ本体104が交換された後、第2記憶部118に記憶された駆動パラメータ情報を第1記憶部108に記憶させる。それぞれの状況及び制御部110の動作については、実施形態の作用とともに後述する。
【0022】
操作部112は、操作者による操作を受け付ける。操作はモータ102の駆動、停止等である。表示部116は制御部110により制御され、第1記憶部108又は第2記憶部118に記憶された駆動パラメータ情報、及び現在のモータ102の運転状況を操作者に表示する。
【0023】
操作パネル106には、インバータ本体104から電力が供給され、インバータ本体104の制御部110により制御される。
【0024】
図2は、操作パネルの概略図を示す。操作パネル106の表示部116は、数字表示部120と、操作パネル106のオンオフ状態、インバータ本体104(図1参照)への接続状態等を表示する状態表示部122とを含む。数字表示部120には、例えば駆動周波数、エラーコードの番号、警告コードの番号等の情報が表示される。状態表示部122には、インバータ本体104と操作パネル106の接続状態が表示される。操作部112は、モータ102(図1参照)の運転又は停止等の操作を行うための複数の操作ボタン124を含む。制御部110は、モータ102の運転状況をモニタリングし、数字表示部120及び状態表示部122に表示させる。制御部110には操作ボタン124の操作結果が供給され、操作ボタン124の操作に応じてモータ102を制御する。操作パネル106は、モータ102の駆動時にはインバータ本体104と接続される。図2では、明確化のために状態表示部122と、操作部112を破線により囲んで示している。
【0025】
図3は、インバータの概略斜視図を示す。図3に示すように、操作パネル106は他の同型のインバータ本体104に取り付け可能である。図3中、インバータ本体104Oは故障したインバータ本体であり、インバータ本体104Nは未使用のインバータ本体である。例えばインバータ本体104Oを交換する場合、交換されるインバータ本体104Oの操作パネル106は、被取付部111から取り外され、操作パネル106は未使用のインバータ本体104Nに取り付けられる。通常、操作パネル106とインバータ本体104Oとでは製品寿命が異なり、操作パネル106の製品寿命の方が長いことも多い。したがって、操作パネル106を着脱自在にすることでインバータ本体104Oだけを未使用のインバータ本体104Nに交換し、操作パネル106はそのまま使用できることも多い。
【0026】
次に、実施形態の作用を説明する。
【0027】
以下、複数のモータ102により搬送ベルトを駆動させる搬送システムを例に挙げる。図4は、搬送システムの概略を示す構成図である。
【0028】
搬送システム200は、無端搬送ベルト202を駆動する複数のローラ204A,204Bを備える。複数のローラ204A,204Bはそれぞれモータ102A,102Bにより駆動される。各モータ102A,102Bには、それぞれインバータ100A,100Bが対応付けられている。各モータ102A,102Bは、配置される位置や役割によってそれぞれ駆動パラメータが異なる。
【0029】
図1及び図4を参照して、搬送システム200を初めて運用するとき、操作者は、複数のモータ102A,102Bのそれぞれの位置や役割に応じてモータ102A,102B毎に異なる駆動パラメータを設定する。この場合、パラメータユニット206が使用される。外付けパラメータユニット206は、モータ102の駆動パラメータを設定するために使用されるユニットであり、モータ102の駆動パラメータを設定するときだけインバータ100A,100Bに接続される。まず操作者は、外付けパラメータユニット206をインバータ100Aと接続し、接続されたインバータ100Aの制御対象となるモータ102Aの駆動パラメータを設定する。制御部110は、駆動パラメータを駆動パラメータ情報として第1記憶部108に書き込む。制御部110は、駆動パラメータ情報を第2記憶部118にも書き込む。制御部110が駆動パラメータ情報を第2記憶部118に記憶させるタイミングは特に限定されない。第1記憶部108に記憶させた駆動パラメータ情報と第2記憶部118に記憶させた駆動パラメータ情報を同一の情報とするために、制御部110は第1記憶部108に駆動パラメータ情報を記憶させる度に、第2記憶部118の駆動パラメータ情報をアップデートするのがよい。これにより、予期せぬタイミングでインバータ本体104A,104Bが故障しても、操作パネル106に記憶された駆動パラメータ情報を最新の状態に保てる。操作者は、外付けパラメータユニット206とインバータ100Aとの接続を解除し、同じ外付けパラメータユニット206を用いて他のインバータ100Bの第1記憶部108に駆動パラメータ情報を書き込む。外付けパラメータユニット206は、搬送システム200の起動前にインバータ100A,100Bとの接続を解除される。搬送システム200が起動されると、制御部110は第1記憶部108に記憶された駆動パラメータ情報に基づいてモータ102A,102Bを制御する。これにより無端搬送ベルト202が駆動する。
【0030】
搬送システム200を構成するモータ102を制御するインバータ本体104に何らかの故障が発生したとする。
【0031】
図1図3、及び図4を参照して、インバータ本体104Aが故障してインバータ本体104Aを交換する操作者の動作を説明する。符号の混在を避けるため、以下では図4のインバータ本体104Aが図3の故障したインバータ本体104Oに相当し、インバータ本体104Aを未使用のインバータ本体104Nと交換するものとして説明を行う。
【0032】
インバータ本体104Oに何らかの故障が発生した場合、操作者は搬送システム200を停止させ、未使用のインバータ本体104Nを準備する。操作者は故障したインバータ本体104Oをモータ102の接続を解除する。操作者は、故障したインバータ本体104Oから操作パネル106を取り外す。その後、操作者は未使用のインバータ本体104Nを、故障したインバータ本体104Oが制御していたモータ102Aに接続する。操作者は、未使用のインバータ本体104Nに操作パネル106を取り付け、新たなインバータを構築する。その後、操作者は搬送システム200を再始動させる。
【0033】
図5は、搬送システムを起動してからインバータ本体が交換されるまでの間における、制御部の一連の処理を示すフロー図である。ステップS1において制御部110は、駆動パラメータ情報を第2記憶部118に記憶させる。ステップS1の処理を行うタイミングは特に限定されないが、上述したように操作パネル106が未使用状態であり初めて使用されるとき、又は上位装置から駆動パラメータ情報の変更を指示されたときに実行するのがよい。制御部110は、未使用の操作パネル106がインバータ本体104に取り付けられたときに、第1記憶部108に記憶された駆動パラメータ情報を読み出し、第2記憶部118に記憶させる。また、制御部110は上位装置から駆動パラメータ情報の変更を指示されたときに第1記憶部108及び第2記憶部118に新しい駆動パラメータ情報を記憶させる。この場合、古い駆動パラメータ情報を上書きして消去してもよいし、古い駆動パラメータ情報を保持したまま新しい駆動パラメータ情報を追加してもよい。
【0034】
次いでインバータ本体104Oが故障し、ステップS2において操作者がインバータ本体104Oをインバータ本体104Nに交換するものとする。その後、ステップS3において制御部110は、第2記憶部118に記憶された駆動パラメータ情報を読み出し第1記憶部108に記憶させる。これにより未使用のインバータ本体104Nの第1記憶部108に、故障したインバータ本体104Oに記憶させていた駆動パラメータ情報を移せる。
【0035】
第1実施形態によれば、駆動パラメータ情報は、インバータ本体104Oをインバータ本体104Nに交換する作業に連動して未使用のインバータ本体104Nに移行する。したがって、操作者はインバータ本体104Oをインバータ本体104Nに交換するに際して特別な作業を行う必要がない。
【0036】
また、操作パネル106は故障したインバータ本体104Oの駆動パラメータ情報を保持している。したがって、駆動パラメータ情報は失なわれず、駆動パラメータ情報がどのモータ102の駆動パラメータ情報であるのかも把握できる。インバータ本体104が故障して第1記憶部108から情報を読み出せなくなっても、第2記憶部118から同一の駆動パラメータ情報を取得できる。つまり第2記憶部118の駆動パラメータ情報はバックアップとして機能する。特に対象装置によってモータ102を駆動させるための駆動パラメータ情報はきわめて多数になり、すべての駆動パラメータを適切に再設定する煩瑣な作業をなくすことは作業効率を大きく改善する。
【0037】
また、インバータ本体104を交換する際にシステムの停止時間を短くできる。実施形態によるインバータ100の交換作業は実質的に、故障したインバータ本体104を未使用のものに交換するだけでよい。従来技術において仮に駆動パラメータ情報を紛失せずに管理できていたとしても、外付けパラメータユニット206を用いてインバータ100に駆動パラメータ情報を入力する作業があった。本実施形態では、外付けパラメータユニット206や外付け記憶媒体等を用いて駆動パラメータ情報を入力する作業を省略できる。これにより、搬送システム200の作業効率の低下を抑制できる。
【0038】
第2実施形態について説明する。第2実施形態による操作パネルは、第1実施形態による操作パネルと同一の構成を有する箇所がある。第1実施形態と重複する箇所には、上記と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
図6は、第2実施形態による操作パネルを含むインバータのブロック図である。インバータ300は、操作パネル306と、インバータ本体104とを備える。操作パネル306は、操作パネル106の構成に加えて操作者の入力を受け付ける、パラメータ情報受付部としての受付部302を備える。受付部302は、操作者が駆動パラメータ情報を入力するための例えばテンキーのような数値入力手段である。操作者が受付部302を操作して駆動パラメータ情報が入力されると制御部310はパラメータ情報書込部として機能し、受付部302に入力された値に基づいて新しい駆動パラメータ情報を第1記憶部108及び第2記憶部118に記憶させる。第2実施形態では、操作パネル306に上述した外付けパラメータユニット206の機能の一部を持たせているということもできる。制御部310は、外付けパラメータユニット206により駆動パラメータ情報が変更された場合と同様に、操作パネル306で変更された駆動パラメータ情報を第1記憶部108及び第2記憶部118に記憶させる。
【0040】
このように第2実施形態によれば、操作パネル306を用いて駆動パラメータ情報を変更できる。変更された駆動パラメータ情報は、第1記憶部108及び第2記憶部118に記憶される。これにより、第1実施形態と同様に駆動パラメータ情報の紛失を防止し、インバータ本体104の交換時の作業を容易にし、かつシステムの作業効率の低下を抑制できる。
【0041】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
上述の例では、駆動パラメータ情報の読み出し及び書き込みを行う制御部がインバータ本体に設けられていたが、操作パネルに制御部を設けてもよい。この場合、操作パネルの制御部は、インバータ本体の第1記憶部から駆動パラメータ情報を読み出し、第2記憶部に記憶させる等の処理を行う。
【0043】
また、操作パネルは、インバータ本体とは独立した電源を有していてもよい。これにより、操作パネルがインバータ本体に取り付けられていない状態でも第2記憶部に記憶された駆動パラメータ情報を表示部に表示できる。
【0044】
駆動パラメータ情報を第2記憶部に記憶させるタイミングの別の例は、対象装置の電源が入ったとき、または操作パネルの電源が入ったときでもよい。その場合、第1記憶部と第2記憶部の内容の一致、不一致を問わずバックアップをとるという動作になる。一方、第1記憶部と第2記憶部の内容が不一致のときにこれを検出し、第1記憶部の駆動パラメータ情報を第2記憶部にコピーしてもよい。この場合は、制御部は両記憶部の一致、不一致をソフトウェアのボーリング等により監視すればよい。
【0045】
駆動パラメータ情報は第2記憶部にバックアップされることに加え、操作パネルまたはインバータに設けた無線通信装置(図示せず)により、対象機器を運営する者のサーバ等、遠隔の記憶部へバックアップしてもよい。その場合、インバータだけでなく操作パネルの故障といった二重の災害にも対処できる。
【0046】
実施の形態ではモータの制御装置としてインバータを例示した。しかし、その他の制御装置、例えばシーケンサなどでもよく、その場合でも交換ないし設定作業は容易になる。
【0047】
上述の実施の形態では、交換された制御機器の本体(例えば、未使用のインバータ本体104)の第1記憶部108に、操作パネル106の第2記憶部118に記憶された前記駆動パラメータ情報を記憶させているが、本発明はこれに限られない。交換された制御機器の本体に操作パネルが接続され、例えばモータ102の駆動時に、操作パネルの記憶部(例えば第2記憶部118)から制御機器の本体に駆動パラメータ情報が提供されてもよい。この場合、インバータ100によりモータ102を駆動する度に、制御部110が第2記憶部118から駆動パラメータ情報を読み出す。これにより駆動パラメータ情報を操作パネル106に記憶させたまま、インバータ本体108に提供できる。インバータ本体104は、読み出した駆動パラメータ情報に基づいてモータ102を駆動できる。
【0048】
したがって、本発明のある態様においては、モータ制御用の制御機器を操作するための操作パネルの交換方法であって、前記制御機器の本体に記憶された前記モータの駆動パラメータ情報を前記操作パネルの記憶部に記憶させるステップと、交換された制御機器の本体に前記記憶部に記憶された前記駆動パラメータ情報を提供するステップと、を含む、操作パネルの交換方法が提供されてもよい。
【0049】
実施の形態では、インバータに操作パネルがはめ込まれる例を示した。しかし、これら両者は何らかの形で取付がされれば足り、例えば上下、左右、前後等、その位置関係や大小関係は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、操作パネル、制御機器及び操作パネルの交換方法の分野において産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0051】
100 :インバータ
102 :モータ
104 :インバータ本体
106 :操作パネル
108 :第1記憶部
110 :制御部
114 :取付部
116 :表示部
118 :第2記憶部
302 :受付部
306 :操作パネル
310 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6