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特許7518907電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及び設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及び設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240710BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240710BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240710BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/103
H01M50/15
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022545098
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2021084978
(87)【国際公開番号】W WO2022205325
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】522021826
【氏名又は名称】江▲蘇▼▲時▼代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1000 Chengbei Road, Kunlun Street, Liyang City, Changzhou, Jiangsu 213300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲劍▼雄
(72)【発明者】
【氏名】黄思▲應▼
(72)【発明者】
【氏名】郭志君
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0093253(KR,A)
【文献】中国実用新案第209592092(CN,U)
【文献】特開平04-349342(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112467300(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104009196(CN,A)
【文献】中国実用新案第203218359(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
壁部を有するハウジングと、
前記壁部に設けられる圧力解放機構と、
前記圧力解放機構に設けられる保護部材と、
を含み、
前記圧力解放機構は弱い部、前記弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分を含み、前記弱い部は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、前記圧力解放機構は前記ハウジングの内部圧力が閾値に達した時に前記弱い部が破壊されて前記圧力を解放するように配置され、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続強度を増加するために、前記保護部材は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、
前記弱い部は前記圧力解放機構の外面に凹溝を設置することによって形成され、前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さはそれぞれ前記弱い部の厚さより大きく、
前記保護部材は、積層するように設置された基体層と接着層を含み、前記接着層は前記基体層と前記圧力解放機構を接続し、前記接着層は、前記ハウジングの内部圧力が前記閾値に達した時に粘性状態から非粘性状態に切り換えるように配置される、
ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記保護部材はさらに、前記保護部材と前記第1の部分又は前記第2の部分との接続力を減少し又は除去するために、前記ハウジングの内部圧力が前記閾値に達した時に物理的な性能の変化を発生させるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記保護部材の少なくとも一部は前記凹溝に収容され、前記保護部材は前記凹溝の溝壁を接続し、前記保護部材は前記ハウジングの内部圧力が前記閾値に達した時に硬化状態から軟化状態に切り換え、又は硬化状態から溶融状態に切り換えるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記保護部材は、本体部と、前記本体部の前記凹溝の幅方向に沿って両側に位置する第1の接続部と第2の接続部と、を含み、前記本体部は前記凹溝に収容されて前記凹溝の溝壁を接続し、前記第1の接続部は前記第1の部分を接続し、前記第2の接続部は前記第2の部分を接続する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記保護部材の融点は前記圧力解放機構の融点より低い、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記保護部材は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記保護部材は前記凹溝の幅方向に沿って前記凹溝を覆い、前記保護部材は前記凹溝の幅方向の両端でそれぞれ前記第1の部分と前記第2の部分に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
前記弱い部は環状構造であり、前記第1の部分は前記弱い部が囲まれた領域内に位置し、前記弱い部が破壊された後に反転し、前記第2の部分は前記弱い部と前記壁部との間に位置し、前記壁部を接続し、
又は、前記弱い部は長尺状構造であり、前記第1の部分と前記第2の部分はいずれも前記壁部を接続する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記保護部材は2つ以上の保護ユニットを有し、2つ以上の前記保護ユニットは前記弱い部の延在軌跡に間隔を空けて配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記保護部材は前記弱い部の延在軌跡に沿って前記弱い部を完全に覆う、
ことを特徴とする請求項8に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ハウジングはケースと端部カバーを有し、前記ケースは開口を有し、前記端部カバーは前記開口を閉じるように設置され、前記ケースと前記端部カバーの一方は前記壁部を有する、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記壁部は貫通孔を有し、前記圧力解放機構は前記貫通孔を覆い、前記第2の部分は前記壁部の内壁面に接続される、
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
電池であって、
請求項1~12のいずれか1項に記載の電池セルを含む、
ことを特徴とする電池。
【請求項14】
電力消費装置であって、
請求項13に記載の電気エネルギーを提供する電池を含む、
ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項15】
電池セルを製造する方法であって、
開口を有する端部カバーと前記開口を閉じるように設置されるケースを提供することと、
圧力解放機構に設けられる保護部材を提供することと、
前記ケース内に取り付ける電極組立体を提供することと、
前記ケースに接続されて前記開口を覆う端部カバーとケースを組立てることと、
を含み、
前記ケース又は前記端部カバーには前記圧力解放機構が設けられ、前記圧力解放機構は弱い部と、弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分とを含み、前記弱い部は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、前記圧力解放機構は前記ケースと前記端部カバーが形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に前記弱い部が破壊されて前記圧力を解放するように配置され、前記弱い部は前記圧力解放機構の外面に凹溝を設置することによって形成され、前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さはそれぞれ前記弱い部の厚さより大きく、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続強度を増加するために、前記保護部材は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、前記保護部材は、積層するように設置された基体層と接着層を含み、前記接着層は前記基体層と前記圧力解放機構を接続し、前記接着層は、ハウジングの内部圧力が前記閾値に達した時に粘性状態から非粘性状態に切り換えるように配置される、
ことを特徴とする電池セルを製造する方法。
【請求項16】
前記保護部材を提供し、前記保護部材は前記圧力解放機構に設けられ、前記第1の部分と前記第2の部分との接続強度を増加するために、前記保護部材は前記第1の部分と前記第2の部分を接続することには、
前記端部カバー又は前記ケースの前記弱い部を有する領域には、ポリプロピレンフィルム層とポリエチレンフィルム層のうちの少なくとも1つを含む前記保護部材が貼り付けられることと、
又は、前記端部カバー又は前記ケースの前記弱い部を有する領域に、ポリプロピレン粉とポリエチレン粉のうちの少なくとも1つを含む保護粉をスプレーし、前記保護部材を硬化させて形成することと、
又は、前記端部カバー又は前記ケースの前記弱い部を有する領域にパラフィン溶液を浸潤し、前記弱い部の領域が浸潤する前記パラフィン溶液を硬化させて前記保護部材を形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電池セルを製造する方法。
【請求項17】
電池セルを製造する設備であって、
開口を閉じるように設置される端部カバーと前記開口を有するケースを提供する第1の提供モジュールと、
圧力解放機構に設けられる保護部材を提供する第2の提供モジュールと、
前記ケース内に取り付けられる電極組立体を提供する第3の提供モジュールと、
前記ケースに接続され前記開口を覆う前記端部カバーと前記ケースを組立てる組立モジュールと、
を含み、
前記ケース又は前記端部カバーには前記圧力解放機構が設けられ、前記圧力解放機構は弱い部と、前記弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分とを含み、前記弱い部は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、前記圧力解放機構は前記ケースと前記端部カバーが形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に前記弱い部が破壊されて前記圧力を解放するように配置され、前記弱い部は前記圧力解放機構の外面に凹溝を設置することによって形成され、前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さはそれぞれ前記弱い部の厚さより大きく、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続強度を増加するために、前記保護部材は前記第1の部分と前記第2の部分を接続し、前記保護部材は、積層するように設置された基体層と接着層を含み、前記接着層は前記基体層と前記圧力解放機構を接続し、前記接着層は、ハウジングの内部圧力が前記閾値に達した時に粘性状態から非粘性状態に切り換えるように配置される、
ことを特徴とする電池セルを製造する設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特に電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池はエネルギー密度が高く、電力密度が高く、サイクル使用回数が多く、及び記憶時間が長い等の利点があるため、電気自動車、モバイル機器又は電動工具に広く応用されている。電池は、複数の直列接続、並列接続又は直並列接続の電池セルを含む。電池使用中、電池セルに熱暴走が発生していない場合は爆破が発生して圧力解放する場合があるため、電池の正常な使用に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願は、電池セルに熱暴走が発生していない場合に爆破が発生して圧力解放する問題を解決することを目的とし、電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及び設備を提供する。
【0004】
一方では、本願の実施例によれば、壁部を有するハウジングと、壁部に設けられる圧力解放機構と、圧力解放機構に設けられる保護部材と、を含み、圧力解放機構は弱い部、弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分を含み、弱い部は第1の部分と第2の部分を接続するのに用いられ、圧力解放機構はハウジングの内部圧力が閾値に達した時に弱い部が破壊されて圧力を解放するように配置され、保護部材は、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加するために、第1の部分と第2の部分を接続する、電池セルを提供する。
【0005】
本願の実施例により提供された電池セルでは、圧力解放機構の弱い部の設置により、ハウジング内の圧力が閾値に達した時に圧力を解放し、電池セルの熱暴走が発生した時の安全を保証することができる。保護部材の設置は、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加することができ、電池セルの内部圧力が高低交互に変化する場合、保護部材は圧力解放機構が隆起又は凹みの際に弱い部に加わる作用力を分担することができ、さらに弱い部に担持する交番応力を減少させることに有利であり、電池セルが正常に使用する場合、弱い部に交番疲労老化又は破断が発生することにより、圧力解放機構に爆破が繰り上げて圧力を解放する可能性を低減させ、電池セルの使用安全性と安定性を向上させることに有利である。
【0006】
本願の一つの態様によれば、保護部材はさらに、ハウジングの内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化を発生させ、保護部材と第1の部分又は第2の部分との接続力を減少し又は除去するように配置されている。
【0007】
上記考案において、保護部材はハウジングの内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化を発生させ、第1の部分と第2の部分との間の接続力を減少させ又は除去させるように配置されることにより、圧力を解放するために、電池セルが熱暴走した時に圧力解放機構の弱い部を即時に破壊させることができる。
【0008】
本願の一つの態様によれば、弱い部は圧力解放機構の外面に凹溝を設置することによって形成され、弱い部の厚さは第1の部分と第2の部分の厚さよりも小さい。
【0009】
上記考案において、圧力解放機構の外面に凹溝を設置して弱い部を形成することにより、弱い部の形成に有利であり、且つ弱い部の強度を第1の部分と第2の部分よりも低くすることができ、電池セルが熱暴走する時に弱い部が即時に破壊されることを効果的に保証することができる。
【0010】
本願の一つの態様によれば、保護部材の少なくとも一部は凹溝に収容され、保護部材は凹溝の溝壁を接続することに用いられ、保護部材はハウジングの内部圧力が閾値に達した時に硬化状態から軟化状態に切り換え、又は硬化状態から溶融状態に切り換えるように配置されている。
【0011】
上記考案において、保護部材を凹溝に収容することは、保護部材の成形に有利であり、且つ第1の部分と第2の部分との接続需要を保証することができる。同時に、保護部材は、ハウジングの内部圧力が閾値に達した時に硬化状態から軟化状態に切り換え、又は硬化状態から溶融状態に切り換えることにより、第1の部分と第2の部分との間の接続強度を減少することができ、第1の部分と第2の部分は電池セルが熱暴走した時に大きく変形させ、弱い部が破壊されて圧力を解放することに有利である。
【0012】
本願の一つの態様によれば、保護部材は、本体部と、本体部の凹溝の幅方向に沿って両側に位置する第1の接続部と第2の接続部と、を含み、本体部は凹溝に収容されて凹溝の溝壁の接続に用いられ、第1の接続部は第1の部分の接続に用いられ、第2の接続部は第2の部分の接続に用いられる。
【0013】
上記考案において、保護部材は、本体部と、本体部の凹溝の幅方向に沿って両側に位置する第1の接続部と第2の接続部と、を含み、本体部を介して第1の部分と第2の部分に接続することができ、第1の接続部を介して第1の部分に接続することができ、第2の接続部を介して第2の部分に接続することができ、第1の部分と第2の部分との間の接続の信頼性を向上させ、熱暴走が発生していない時の電池セルの第1の部分と第2の部分との間の接続強度を保証する。
【0014】
本願の一つの態様によれば、保護部材の融点は圧力解放機構の融点より低い。
【0015】
上記考案において、保護部材の融点が圧力解放機構の融点より低いため、電池セルに熱暴走が発生すると、保護部材は圧力解放機構より先に溶融され又は融解して柔らかくなり、保護部材と第1の部分又は第2の部分との接続力を減少し又は除去し、弱い部が破壊されて圧力を解放することに有利である。
【0016】
本願の一つの態様によれば、保護部材は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層、パラフィンフィルム層のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
上記考案において、保護部材は上記フィルム層の構造を採用し、電池セルが熱暴走した時の保護部材の物理的な性能の変化に有利であり、さらに弱い部が破壊されて圧力を解放することに有利である。
【0018】
本願の一つの態様によれば、保護部材は、積層するように設置された基体層と接着層を含み、接着層は基体層と圧力解放機構を接続するのに用いられ、接着層は、ハウジングの内部圧力が閾値に達した時に粘性状態から非粘性状態に切り換えるように配置されている。
【0019】
上記考案において、電池セルの熱暴走が発生した場合、接着層を粘性状態から非粘性状態に切り換えることができ、保護部材と第1の部分又は第2の部分との接続力を減少し又は除去することができ、電池セルが熱暴走した時に弱い部が破壊されて圧力を解放することに有利である。
【0020】
本願の一つの態様によれば、保護部材は凹溝の幅方向に沿って凹溝を覆い、保護部材は凹溝の幅方向の両端で第1の部分と第2の部分にそれぞれ接続されている。
【0021】
上記考案において、保護部材が第1の部分と第2の部分とを接続することに有利であり、例えば、貼り付け等の方式で第1の部分と第2の部分に直接接続することができる。
【0022】
本願の一つの態様によれば、弱い部は環状構造であり、第1の部分は弱い部が囲まれた領域内に位置し、弱い部が破壊された後に反転し、第2の部分は弱い部と壁部との間に位置し、壁部を接続するのに用いられる。
【0023】
又は、弱い部は長尺状構造であり、第1の部分と第2の部分はいずれも壁部を接続するのに用いられる。
【0024】
上記考案において、弱い部は上記構造の形態を採用し、弱い部、第1の部分及び第2の部分の成形に有利であり、同時に、電池セルが熱暴走する時に弱い部が破壊されることを保証し、電池セルの安全性能を保証することができる。
【0025】
本願の一つの態様によれば、保護部材は2つ以上の保護ユニットを有し、2つ以上の保護ユニットは弱い部の延在軌跡に間隔を空けて配置されている。
【0026】
上記考案において、保護部材は2つ以上の保護ユニットの形態を採用し、電池セルが正常運転時に第1の部分と第2の部分の接続強度の増加に対する需要を満たすことができると同時に、電池セルが熱暴走時に破壊され、電池セルの安全性能を保証することができる。
【0027】
本願の一つの態様によれば、保護部材は弱い部の延在軌跡に沿って弱い部を完全に覆う。
【0028】
本願の一つの態様によれば、ハウジングは、開口を有するケースと、開口を閉じるように設置される端部カバーとを有し、ケースと端部カバーの一方は壁部を有する。
【0029】
上記考案において、電池セルの内部デバイスの組立に有利であり、同時に電池セルの熱暴走が発生した時の安全を保証することができる。
【0030】
本願の一つの態様によれば、壁部は貫通孔を有し、圧力解放機構は貫通孔を覆い、第2の部分は壁部の内壁面に接続される。
【0031】
上記考案において、保護部材とハウジングとの間の組立と接続に有利であり、電池セルの熱暴走が発生した時の安全を保証することに有利である。
【0032】
別の一つの態様では、本願の実施例によれば、上記電池セルを含む電池を提供する。
【0033】
さらに一つの態様では、本願の実施例によれば、電気エネルギーを提供するための上記電池を含む電力消費装置を提供する。
【0034】
また一つの態様では、本願の実施例によれば、
ケースは開口を有し、端部カバーは開口を閉じるように設置され、ケース又は端部カバーには圧力解放機構が設けられ、圧力解放機構は弱い部、弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分を含み、弱い部は第1の部分と第2の部分を接続するのに用いられ、圧力解放機構はケースと端部カバーが形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に弱い部が破壊されて圧力を解放するように配置される端部カバーとケースを提供することと、
保護部材は圧力解放機構に設けられ、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加するために、保護部材は第1の部分と第2の部分を接続するのに用いられる保護部材を提供することと、
ケースに取り付ける電極組立体を提供することと、
ケースに接続させて開口を覆う端部カバーとケースを組立てることと、を含む電池セルを製造する方法を提供する。
【0035】
本願の実施例のまた一つの態様によれば、保護部材を提供し、保護部材は圧力解放機構に設けられ、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加するために、保護部材は第1の部分と第2の部分を接続することには、
端部カバー又はケースの弱い部を有する領域には、ポリプロピレンフィルム層とポリエチレンフィルム層のうちの少なくとも1つを含む保護部材が貼り付けられることと、
又は、端部カバー又はケースの弱い部を有する領域に、ポリプロピレン粉とポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む保護粉をスプレーし、硬化させて保護部材を形成することと、
又は、端部カバー又はケースの弱い部を有する領域にパラフィン溶液を浸潤し、弱い部の領域が浸潤するパラフィン溶液を硬化させて保護部材を形成することと、を含む。
【0036】
また一つの態様では、本願の実施例によれば、開口を有する端部カバーと開口を閉じるように設置されたケースを提供するための第1の提供モジュールと、圧力解放機構に設けられた保護部材を提供するための第2の提供モジュールと、ケース内に取り付けられた電極組立体を提供するための第3の提供モジュールと、ケースを接続して開口を覆う端部カバーとケースを組み立てるのに用いられる組立モジュールと、を含み、ケース又は端部カバーには圧力解放機構が設けられ、圧力解放機構は弱い部と、弱い部の両側に設けられた第1の部分と第2の部分とを含み、弱い部は第1の部分と第2の部分を接続するのに用いられ、圧力解放機構はケースと端部カバーが形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に弱い部が破壊されて圧力を解放するように配置され、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加するために、保護部材は第1の部分と第2の部分を接続するのに用いられる、電池セルを製造する設備を提供する。
【0037】
本願の実施例により提供された電池セルを製造する設備により製造された電池セルでは、圧力解放機構の弱い部の設置により、ハウジング内の圧力が閾値に達した時に圧力を解放し、電池セルの熱暴走が発生した時の安全を保証することができる。保護部材の設置は、第1の部分と第2の部分との接続強度を増加することができ、電池セルの内部圧力が高低交互に変化する場合、保護部材は圧力解放機構が隆起又は凹みの際に弱い部に加わる作用力を分担することができ、さらに弱い部に担持する交番応力を減少させることに有利であり、電池セルが正常に使用する場合、弱い部に交番疲労老化や破断が発生することにより、圧力解放機構に爆破が繰り上げて圧力を解放する可能性を低減させ、電池セルの使用安全性と安定性を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面に対して簡単に説明し、明らかに、以下の記述の図面はただ本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的労働を付しない前提でも、図面に基づいて他の図面を取得することもできる。図面において、図面は実際の比例に従って描くことではない。
図1】本願の実施例による車両の局部構造図である。
図2】本願の実施例による電池の分解構造図である。
図3】本願の実施例による電池モジュールの局部構造図である。
図4】本願の実施例による電池セルの分解構造図である。
図5図4に示した実施例による電池セルの局部断面構造図である。
図6】本願の実施例による電池セルの局部分解構造図である。
図7】本願の実施例による圧力解放機構の構造図である。
図8図5におけるA箇所の局部拡大図である。
図9】本願の別の一つの実施例による電池セルの局部拡大図である。
図10】本願のさらに一つの実施例による電池セルの局部拡大図である。
図11】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図12】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図13】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図14】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図15】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図16】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ模式図である。
図17】本願のまた一つの実施例による電池セルの圧力解放機構と保護部材の合わせ示す図である。
図18】本願の一つの実施例による電池セルを製造する方法のフローチャートである。
図19】本願の一つの実施例による電池セルを製造する設備の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下は図面と実施例に合わせて本願の実施形態に対してさらに詳細に記述する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本願の原理を例示的に説明するのに用いられるが、本願の範囲を制限できず、即ち、本願は記述された実施例に限定されない。
【0040】
本願の説明において、説明すべきことは、他の説明がない限り、「複数」の意味は2つ以上を指し、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等が指示した方向又は位置関係は、指した装置又は要素が特定の方向を有し、特定の方向で構成され又は操作されなければならないことを指示し又は暗示するものではなく、ただ本願を記述しやすく、又は記述を簡略化するためであり、よって本願に対する限定と理解できない。また、「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、説明の目的だけであり、相対的な重要性を指示し又は暗示すると理解できない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容の範囲内であってもよい。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容の範囲内であってもよい。
【0041】
以下の説明に現れる方向用語は、いずれも図面に示した方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明すべきことは、明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきであり、例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0042】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等を呈することができ、本願の実施例もこれに限定されない。電池セルは一般的にパッケージ化された方式で、円筒形電池セル、角形電池セル、及びポーチ電池セルの3種類に分けられ、本出願の実施例もこれに限定されない。
【0043】
本願の実施例に記載された電池とは、より高い電圧と容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願に記載された電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般的に、1つ以上の電池セルをパッケージ化するための筐体を含む。筐体は液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを避けることができる。
【0044】
電池セルは電極組立体と電解液を含み、電極組立体は正極片、負極片及びセパレータにより構成される。電池セルは主に金属イオンが正極片と負極片の間に移動することによって動作する。正極片は正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体に突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は積層された後に正極タブとする。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極片は負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体に突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は積層された後に負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。セパレータの材質はPP又はPE等であってもよい。また、電極組立体は巻回式構造であってもよく、積層シート式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0045】
電池技術の発展は多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率等の性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性も考慮する必要がある。
【0046】
電池セルにおける圧力解放機構は電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電等の現象が発生する時、電池セルの内部が熱暴走して圧力又は温度が急に上昇する可能性がある。この場合、電池セルの爆発、発火を防止するために、圧力解放機構の作動によって内部の圧力と温度を外部に解放することができる。
【0047】
圧力解放機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を解放する素子又は部品を指す。当該閾値は設計の需要によって異なる。前記閾値は、電池セルにおける正極片、負極片、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数の材料により決められる可能性がある。圧力解放機構は、防爆弁、ガス弁、圧力解放弁又は安全弁等のような形態を採用することができ、具体的には、圧力敏感又は温度敏感の素子又は構造を採用することができ、即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する時、圧力解放機構が動作し、又は圧力解放機構に設けられた弱い構造が破壊され、これによって内部圧力又は温度が解放可能な開口又は通路を形成する。
【0048】
本願に記載の「作動」とは、圧力解放機構が動作したり、一定の状態に活性化されたりすることで、電池セルの内部圧力と温度が解放されることを指す。圧力解放機構によって生成される動作には、圧力解放機構のうちの少なくとも一部が破裂、破砕、引き裂かれ又は開けられる等が含まれるが、これらに限定されない。圧力解放機構作動時、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として作動する部位から外に排出される。このような方式で、圧力又は温度を制御可能な場合に電池セルに圧力解放と温度解放を発生させ、潜在的なより深刻な事故の発生を避けることができる。
【0049】
本願に記載の電池セルからの排出物には、電解液、溶解され又は分裂された正負極片、セパレータの破片、反応によって生成された高温高圧ガス、火炎等が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
出願人は、電池セルが循環中に、電池セルが熱暴走の所定の条件に達していない時に爆破して圧力を解放する問題が発生したことを発見した後、電池セルの構造と使用環境について分析と研究を行った。出願人は、電池セルの圧力解放機構が繰り上げて疲労老化する場合があり、これによって圧力解放機構の閾値が低下し、電池セルの内部圧力が元の設定圧力値に達していない場合、圧力解放機構が繰り上げて爆破することを発見した。さらに検討したところ、電池セルの輸送、温度変化又は充放電の過程中、電池セルの内部圧力が高低交互に変化する場合があり、これによって圧力解放機構が往復反転する場合があることが分かった。圧力解放機構が長期間に往復反転すると、局所領域に疲労老化が発生し、これによって圧力解放機構の開閾値が低下する。
【0051】
出願人が発見した上記問題に基づいて、出願人は電池セルの構造を改良し、本願の実施例に説明した技術案は電池セル、電池セルを含む電池及び電池を使用する電力消費装置に適用される。
【0052】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、汽船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等であってもよい。車両は燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車等であってもよく、宇宙機には飛行機、ロケット、宇宙船等が含まれ、電動玩具には、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具が含まれ、電動工具には、金属切削電動工具、研削電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具、例えば、電気ドリル、電動砥石機、電動スパナ、電動ドライバ、ハンマー、衝撃電気ドリル、コンクリート振動子及び電気カンナ等が含まれる。本願の実施例は上記電気使用設備に対して特に限定されない。
【0053】
以下の実施例は説明を便利に行うために、電力消費装置が車両であることを例として説明する。
【0054】
図1に示すように、車両1の内部には電池10が設置される。電池10は、車両1の底部、前部又は後部に設置することができる。電池10は、車両1の電力供給に使用することができ、例えば、電池10は、車両1の操作電源とすることができる。
【0055】
車両1はコントローラ1bとモータ1aをさらに含むことができる。コントローラ1bは電池10がモータ1aに電力供給することを制御し、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。
【0056】
本願のいくつかの実施例において、電池10は、車両1の操作電源とするだけでなく、車両1の駆動電源としてもよく、燃料又は天然ガスの代わりに又は一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することができる。
【0057】
図2図3に示すように、電池10は電池セル30を含む(図2未図示)。電池10は電池セル30を収容するための筐体をさらに含むことができる。
【0058】
筐体は電池セル30を収容するのに用いられ、筐体は複数の構造形態であってもよい。
【0059】
いくつかの実施例において、筐体は底部ケース11と頂部ケース12を含むことができる。底部ケース11と頂部ケース12は互いに覆う。底部ケース11と頂部ケース12は共に電池セル30を収容するための収容空間を画定する。底部ケース11と頂部ケース12はいずれも片側開口の中空構造であってもよい。底部ケース11の開口側は頂部ケース12の開口側を覆い、収容空間を有する筐体を形成する。底部ケース11と頂部ケース12とを密封するように接続することを実現するために、底部ケース11と頂部ケース12との間には密閉部品がさらに設置されることができる。
【0060】
実際使用中、底部ケース11は頂部ケース12の頂部を覆うことができる。底部ケース11は上部筐体と称してもよく、頂部ケース12は下部筐体と称してもよい。
【0061】
底部ケース11と頂部ケース12は、例えば、円筒体、直方体等の複数の形状であってもよい。図2において、例示的に、底部ケース11と頂部ケース12はいずれも直方体構造である。
【0062】
電池10において、電池セル30は1つであってもよく、複数であってもよい。電池セル30が複数である場合、複数の電池セル30の間は直列接続、並列接続又は直並列接続することができる。直並列接続とは複数の電池セル30に直列接続もあり、並列接続もあることを指す。複数の電池セル30の間は、直接直列接続、並列接続又は直並列接続し、複数の電池セル30により構成された全体を筐体内に収容してもよく、複数の電池セル30が先に直列接続、並列接続又は直並列接続して電池モジュール20を構成してもよい。複数の電池モジュール20はまた直列接続、並列接続又は直並列接続して1つの全体を形成し、筐体内に収容する。
【0063】
いくつかの実施例において、図3に示すように、電池10において、電池セル30は複数である。複数の電池セル30は先に直列接続、並列接続又は直並列接続して電池モジュール20を構成する。複数の電池モジュール20はまた直列接続、並列接続又は直並列接続して1つの全体を形成し、筐体内に収容する。
【0064】
いくつかの実施例において、電池モジュール20における複数の電池セル30の並列接続、直列接続又は直並列接続を実現するために、電池モジュール20における複数の電池セル30の間はバス部品を介して電気的に接続することを実現することができる。
【0065】
図4に示すように、電池セル30はハウジング40、電極組立体50、電極端子60、絶縁部品及び移転部品70を含む。ハウジング40はケース42と端部カバー41を有し、ケース42は開口421を有する。電極組立体50はケース42内に収容し、電極組立体50は電極タブ51を含む。端部カバー41は開口421を覆うのに用いられる。電極端子60は端部カバー41に取り付ける。絶縁部品は端部カバー41が電極組立体50に向ける一側に位置する。電極タブ51と電極端子60とが電気的に接続されるために、移転部品70は電極端子60と電極タブ51を接続するのに用いられる。
【0066】
ここで、ケース42は、例えば、円筒体、直方体等の複数の形状であってもよい。ケース42の形状は電極組立体50の具体的な形状によって決められる。例えば、電極組立体50が円筒体構造であれば、ケース42は円筒体構造を選定することができる。電極組立体50が直方体構造であれば、ケース42は直方体構造を選定することができる。図4において、例示的に、ケース42と電極組立体50はいずれも直方体構造である。
【0067】
ケース42の材質は例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、アルミニウム合金等のような複数であってもよく、本願の実施例はこれに特に限定されない。
【0068】
ケース42内に収容される電極組立体50は1つであってもよく、複数であってもよい。図4において、ケース42内に収容される電極組立体50は2つである。
【0069】
いくつかの実施例において、電極組立体50は正極片、負極片及びセパレータをさらに含む。電極組立体50は正極片、セパレータ及び負極片が巻回されて形成された巻回式構造であってもよい。電極組立体50は正極片、セパレータ及び負極片が積層するように配置されて形成された積層式構造であってもよい。
【0070】
正極片は正極集電体と正極活物質層を含むことができる。正極活物質層は正極集電体の表面に塗布される。負極片は負極集電体と負極活物質層を含むことができる。負極活物質層は負極集電体の表面に塗布される。セパレータは、正極片と負極片との間にあり、正極片と負極片との間に短絡が発生するリスクを低減するために、正極片と負極片とを隔離するのに用いられる。
【0071】
ここで、セパレータの材質はPP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)等であってもよい。
【0072】
電極組立体50における電極タブ51は正極タブと負極タブに分ける。正極タブは正極集電体に正極活物質層が塗布されていない部分であってもよい。負極タブは負極集電体に負極活物質層が塗布されていない部分であってもよい。
【0073】
本願の実施例において、図4図5に示すように、電池セル30を収容するための密閉空間を形成するように、端部カバー41はケース42の開口421を覆うのに用いられ、密閉空間はさらに、例えば、電解液のような電解質を収容するのに用いられる。電極端子60は電池セル30の電気エネルギーを出力するための出力部品であり、電極端子60は1つであってもよく、2つであってもよい。
【0074】
ケース42の開口421は1つであってもよく、2つであってもよい。ケース42の開口421は1つであれば、端部カバー41は1つであってもよい。ケース42の開口421は2つであれば、端部カバー41は2つであってもよい。2つの端部カバー41は2つの開口421をそれぞれ覆い、各端部カバー41にはいずれも電極端子60が設置されることができる。
【0075】
いくつかの実施例において、図4に示すように、ケース42の開口421は1つであり、端部カバー41も1つである。端部カバー41には2つの電極端子60を設置することができる。1つの電極端子60は1つの移転部品70を介して電極組立体50の1つの電極タブ(正極タブ)に電気的に接続される。もう1つの電極端子60はもう1つの移転部品70を介して電極組立体50のもう1つの電極タブ(負極タブ)に電気的に接続される。
【0076】
他のいくつかの実施例において、ケース42の開口421は2つである。2つの開口421はケース42の対向する両側に設置され、端部カバー41は2つである。2つの端部カバー41はケース42の2つの開口421にそれぞれ覆われる。この場合、各端部カバー41の電極端子60は1つであってもよい。1つの端部カバーの電極端子60は1つの移転部品70を介して電極組立体50の1つの電極タブ(正極タブ)に電気的に接続され、もう1つの端部カバー41の電極端子60はもう1つの移転部品70を介して電極組立体50のもう1つの電極タブ(負極タブ)に電気的に接続される。
【0077】
いくつかの実施例において、電池セル30は圧力解放機構80をさらに含むことができる。圧力解放機構80はハウジング40に取り付けられる。圧力解放機構80は、電池セル30の内部圧力又は温度が閾値に達した時に電池セル30の内部圧力を解放する。
【0078】
例示的に、圧力解放機構80は防爆弁、防爆シート、ガス弁、圧力解放弁又は安全弁等であってもよい。
【0079】
図4図6に示すように、好ましい実施形態としては、本願の実施例のハウジング40は壁部を有し、壁部は貫通孔422を有し、圧力解放機構80は貫通孔422を覆う。
【0080】
好ましい実施形態としては、本願の実施例により提供された電池セル30について、そのケース42は側壁42aと底壁42bを含む。側壁42aは端部カバー41を接続するのに用いられる。底壁42bとケース42の開口421は厚さ方向Xに沿って対向的に設置される。側壁42aの厚さと底壁42bの厚さはいずれも端部カバー41の厚さより小さい。いくつかの好ましい実施例において、壁部は側壁42a又は底壁42bである。
【0081】
端部カバー41とケース42は別体構造である。両者は密閉するように接続された後にハウジング40を形成する。圧力解放機構80は側壁42a及び/又は底壁42bに設置することができる。
【0082】
ケース42の厚さは端部カバー41の厚さより小さく、これによって端部カバー41の剛性はケース42の剛性より大きくなる。同じ圧力の作用下、端部カバー41の変形程度はケース42の変形程度より小さい。電池セル30は、輸送、温度変化又は充放電の過程において、電池セル30の内部圧力が高低交互に変化する場合があるため、圧力解放機構80は、端部カバー41がキャビンに面している場合、圧力解放機構80の作動時に高温高圧排出物がキャビンに排出されにくくなり、人員の安全を直接脅かすことがないように、ケース42の側壁42a及び/又は底壁42bに設置される。
【0083】
また、ケース42の側壁42aと底壁42bの厚さは端部カバー41の厚さよりも小さいため、ケース42の側壁42a又は底壁42bは内部圧力の作用下で端部カバー41よりも変形程度が大きく、これにより圧力解放機構80に大きな影響を与える。
【0084】
いくつかの例において、ケース42の底壁42bには貫通孔422が設けられる。電極組立体50はケース42の底壁42bと端部カバー41との間に位置する。電池セル30が車両、船舶又は航空機等の電力消費装置に応用される場合、電池セル30の端部カバー41は垂直方向に上向きに設置され、ケース42の底壁42bは下向きに設置され、これによって電池セル30の端部カバー41はケース42の底壁42bに対して乗員により近い。そのため、圧力解放機構80がケース42の底壁42bに設置された場合、圧力解放機構80が爆破して圧力が解放した場合、電池セル30が排出した高温高圧排出物は直接人員の安全を脅かしにくく、電池セル30の使用安全性を向上させる。
【0085】
本願の実施例において、圧力解放機構80が繰り上げて爆破して圧力が解放することを防止するために、図4図7に示すように、本願の実施例のハウジング40は壁部を有する。本願の実施例の電池セル30は壁部に設けられた圧力解放機構80と保護部材90をさらに含む。圧力解放機構80は弱い部81と、弱い部81の両側に設けられた第1の部分82と第2の部分83とを含み、弱い部81は第1の部分82と第2の部分83を接続するのに用いられる。圧力解放機構80は、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した場合に弱い部81が破壊されて圧力を解放するように配置されている。保護部材90は圧力解放機構80に設けられ、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加するために、保護部材90は第1の部分82と第2の部分83とを接続するのに用いられる。
【0086】
電池セル30の輸送、温度変化又は充放電の過程中、電池セル30の内部圧力が高低交互に変化する場合があり、これによって圧力解放機構80には、電極組立体50から離れる方向に隆起したり、電極組立体50に近く方向に凹んだりする変形状況が存在する。圧力解放機構80は、隆起と凹みの変形が交互に現れると、第1の部分82と第2の部分83に接続される弱い部81は交番応力を担持して交番疲労が老化し又は破断し、これによって弱い部81の強度が低下し、さらに電池セル30の内部圧力が所定の圧力値に達していない時、弱い部81が破裂して電池セル30の内部圧力を解放しやすくなり、圧力解放機構80が繰り上げて爆破して圧力を解放することになる。
【0087】
本願の実施例により提供された電池セル30では、圧力解放機構80の弱い部81の設置により、ハウジング40内の圧力が閾値に達した時に圧力を解放し、電池セル30の熱暴走が発生した時の安全を保証することができる。保護部材90の設置により、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加することができ、電池セル30の内部圧力が高低交互に変化する場合、保護部材90は圧力解放機構80が隆起又は凹みの際に弱い部81に加わる作用力を分担することができ、さらに弱い部81に担持する交番応力を減少させることに有利である。電池セル30が正常に使用する場合、弱い部81に交番疲労老化や破断が発生することにより、圧力解放機構80に爆破が繰り上げて圧力を解放する可能性を低減させ、電池セル30の使用安全性と安定性を向上させることに有利である。
【0088】
説明すべきことは、ハウジング40はケース42と端部カバー41を含み、ケース42が壁部を含むものであってもよく、端部カバー41が壁部を含むものであってもよく、即ち、圧力解放機構80は、ケース42に設置されてもよく、端部カバー41に設置されてもよい。
【0089】
本願の実施例の圧力解放機構80は壁部に設けられ、ハウジング40と圧力解放機構80は別体構造であってもよく、即ち、両者がそれぞれ独立して加工製造され、機械的な接続方式によって組み立てられることが理解できる。ハウジング40と圧力解放機構80は一体に成形された構造であってもよい。ハウジング40の壁部の所定領域に対して、圧力解放機構80を形成するように、薄化処理を行う。
【0090】
本願の実施例の電池セル30では、その弱い部81とは、圧力解放機構80の第1の部分82と第2の部分83に対して強度が弱く、破裂、破砕、引き裂かれ又は開くやすい部分を指す。圧力解放機構80は弱い部81と、弱い部81の両側に設けられた第1の部分82と第2の部分83とを含み、圧力解放機構80の所定領域に対して薄化処理を行い、薄化処理された部分を弱い部81を形成し、弱い部81によって仕切られて弱い部81によって接続された2つの部分は第1の部分82と第2の部分83を形成することが理解できる。又は、圧力解放機構80の所定領域に対して材料処理を行い、当該領域の強度が他の領域の強度よりも弱く、強度の低い領域が弱い部81を形成し、強度が高く且つ弱い部81によって仕切られ、弱い部81を介して接続された2つの部分は第1の部分82と第2の部分83を形成させる。
【0091】
本願の実施例の電池セル30では、その弱い部81は環状構造、長尺状構造等の形状であってもよく、弱い部81が環状構造である場合、第1の部分82は弱い部81が囲まれた領域内に位置し、第2の部分83は弱い部81と壁部との間に位置し、第2の部分83はハウジング40の壁部を接続するのに用いられる。弱い部81が長尺状構造である場合、第1の部分82と第2の部分83はいずれもハウジング40の壁部を接続するのに用いられる。
【0092】
本願の実施例の電池セル30では、圧力解放機構80は自身の厚さ方向Xに沿って対向する外面80aと内面80bを有する。圧力解放機構80の外面80aは外部環境に面し、内面80bはハウジング40の内部空間に面し、内面80bは電極組立体50に面するとも言える。外面80aと内面80bのうちの少なくとも1つには保護部材90が設置されることができる。
【0093】
本願の実施例の電池セル30では、保護部材90は弱い部81の少なくとも一部を覆うように設置され、弱い部81を完全に覆うように設置されてもよい。保護部材90は一体的な構造であってもよく、当然ながら、複数の保護ユニットを含んでもよく、複数の保護ユニットは保護部材90の延在軌跡に沿って連続的に設置され又は間隔を空けて設置されてもよい。
【0094】
保護部材90は、弱い部81に接続されず、第1の部分82と第2の部分83に接続されることができ、当然ながら、保護部材90は、第1の部分82、第2の部分83及び弱い部81の3つと同時に接続されてもよい。
【0095】
保護部材90は、一定の厚さを有するフィルム層構造であってもよく、1層のフィルム層であってもよく、2層以上のフィルム層構造の組み合わせ形態であってもよい。
【0096】
保護部材90は、電池セル30の熱暴走が発生していない時に圧力解放機構の変形が弱い部81に与える影響を小さくするために、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加するのに用いられる。保護部材90が設置されない圧力解放機構80に対して、本願の実施例により提供された電池セル30は、圧力解放機構80が同じ大きさの厚さ方向に沿う作用力を担持する時、保護部材90は圧力解放機構80が隆起又は凹んだ時に弱い部81に加わる作用力を分担することができ、弱い部81の電池セル30が熱暴走していない時に破壊される確率を効果的に減らすことが理解できる。
【0097】
好ましい実施形態として、本願の実施例により提供された電池セル30では、圧力解放機構80は貫通孔422を覆い、第2の部分83は壁部の内壁面に接続されることができる。
【0098】
好ましい実施形態として、本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90はさらに、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化を発生させ、保護部材90と第1の部分82又は第2の部分83との接続力を減少し又は除去するように配置されている。
【0099】
本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90はさらに、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化を発生させ、第1の部分82と第2の部分83との間の接続力を減少させ又は除去させるように配置されることにより、圧力を解放するために、電池セル30が熱暴走した時に圧力解放機構80の弱い部81を直ちに破壊させることができる。
【0100】
本願の実施例により提供された電池セル30では、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化が発生した時、保護部材90は依然として第1の部分82と第2の部分83に接続されてもよいが、接続力が圧力の閾値に達していない時に対して減少する。当然ながら、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化が発生した時、保護部材90は、保護部材90と第1の部分82及び第2の部分83との間の接続力を除去するために、第1の部分82と第2の部分83と分離されてもよい。
【0101】
本願の実施例の物理的な性能の変化は、保護部材90の形態の変化、粘度の変化等を含む。例示的に、形態の変化は、例えば、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時、保護部材90を硬化状態から軟化状態に切り換えたり、硬化状態から溶融状態に切り換えたりすることができる。粘度の変化は、例えば、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時、保護部材90を粘性状態から非粘性状態に切り換えることができ、保護部材90と第1の部分82及び第2の部分83との接続力を減少し又は除去することができ、電池セル30が熱暴走した時に圧力解放機構80の弱い部81が即時に破壊されることができ、電池セル30の圧力を解放すればよい。
【0102】
本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90はさらに、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に物理的な性能の変化が発生した時、保護部材90の全ては物理的な性能の変化を発生することができ、例えば、全て軟化し又は溶融することができるように配置される。当然ながら、いくつかの例において、保護部材90は、一部に物理的な性能の変化を発生することができ、例えば、物理的な性能の変化が粘性から非粘性状態に変化した場合、第1の部分82と第2の部分83に接続された位置のみに物理的な変化が発生してもよく、同様に熱暴走時の電池セル30の安全性能を保証することができる。
【0103】
好ましい実施形態として、本願の実施例により提供される電池セル30では、弱い部81は圧力解放機構80の外面80aに凹溝を設置することによって形成され、弱い部81の厚さは第1の部分82、第2の部分83の厚さよりも小さい。
【0104】
本願の実施例により提供される電池セル30では、圧力解放機構80の外面80aに凹溝を設置して弱い部81を形成することにより、弱い部81の形成に有利であり、且つ弱い部81の強度を第1の部分82と第2の部分83よりも低くすることができ、電池セル30が熱暴走する時に弱い部81が即時に破壊されることを効果的に保証することができる。
【0105】
例示的に、圧力解放機構80で材料を除去して凹溝を形成する機械加工方式を採用することができ、加工コストと加工難易度の低減に有利である。
【0106】
図8に示すように、いくつかの実施例において、弱い部81は圧力解放機構80の外面80a凹溝を設置することによって形成される時、保護部材90は少なくとも一部を凹溝に収容することができ、保護部材90は凹溝の溝壁を接続するのに用いられ、保護部材90はハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に硬化状態から軟化状態に切り換え、又は硬化状態から溶融状態に切り換えるように配置されている。
【0107】
凹溝の溝壁は、第1の部分82と第2の部分83に対向して設置された表面から形成されているため、保護部材90の少なくとも一部を凹溝に収容し、凹溝の溝壁を接続するのに用いられることにより、保護部材90と第1の部分82及び第2の部分83との間の接続要求を満たすことができ、さらに両者の接続強度を向上させる。
【0108】
保護部材90はハウジング40の内部圧力が閾値に達した時、硬化状態から軟化状態に切り換えたり、硬化状態から溶融状態に切り換えたりするように配置される。上記設置により、保護部材90の凹溝内の形成に有利であり、ハウジング40の内部圧力が閾値に達した時、保護部材90の物理的な特性の変化に有利であり、第1の部分82と第2の部分83との間の接続力を減少し又は除去する。
【0109】
好ましい実施形態として、保護部材90は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0110】
例示的に、保護部材90はポリプロピレンフィルム層を含むことができ、ポリプロピレン粉を凹溝内にスプレーして硬化させる方式を採用し、保護部材90の少なくとも一部を凹溝内に収容させることができる。
【0111】
当然ながら、保護部材90はポリエチレンフィルム層を含むことができ、同様にポリプロピレン粉をスプレーして硬化させる方式を利用し、保護部材90の少なくとも一部を凹溝内に収容させることができる。
【0112】
いくつかの実施例において、保護部材90は、パラフィンフィルム層を含むこともでき、弱い部81をパラフィン溶液に浸潤することができ、弱い部81の領域が浸潤するパラフィン溶液を硬化させて保護部材90を形成し、保護部分の少なくとも一部を凹溝内に収容させることができる。
【0113】
好ましくは、保護部材90は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの1つのみを含むことができ、当然ながら、いくつかの実施例において、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層、パラフィンフィルム層の2種類以上の組合せを含むこともできる。
【0114】
ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの2種類を含むことを例として、いくつかの実施例において、弱い部81内に先に1層のポリプロピレンフィルム層を成形し、その後、ポリプロピレンフィルム層に1層のポリエチレンフィルム層を成形することができる。又は、弱い部81に先に1層のポリエチレンフィルム層を成形し、その後、ポリエチレンフィルム層に1層のポリプロピレンフィルム層を成形する。又は、弱い部81内に先に1層のポリプロピレンフィルム層を成形し、その後、ポリプロピレンフィルム層に1層のパラフィンフィルム層を成形する。保護部材90は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層の任意の2つの組み合わせを含むことができ、任意の2つの層構造が成形する時の順序に限定されず、第1の部分82と第2の部分83との間の接続需要を満たすことができれば、両者の間の接続強度を増加し、電池セル30の熱暴走が発生する時、第1の部分82及び/又は第2の部分83との間の接続力を減少し又は除去するために物理的な性能の変化を発生させることができればよい。
【0115】
好ましくは、保護部材90は、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層を同時に含むことができ、ポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層は成形時の順序に限定されない。
【0116】
本願の実施形態により提供される保護部材90では、保護部材90の全ては弱い部81を形成する凹溝内に位置してもよく、当然ながら、一部のみが弱い部81を形成する凹溝内に位置してもよく、且つ一部は凹溝に突出してもよく、凹溝に突出する部分は、凹溝の幅方向Yの一側で第1の部分82又は第2の部分83に接続してもよく、当然ながら、凹溝から突出した部分は、凹溝の幅方向Yの両側で第1の部分82と第2の部分83にそれぞれ接続されてもよい。
【0117】
好ましい実施形態として、保護部材90は凹溝の幅方向Yに沿って凹溝を覆い、保護部材90は凹溝の幅方向Yの両端に第1の部分82と第2の部分83にそれぞれ接続される。上記設置により、同様に、保護部材90と第1の部分82及び第2の部分83との接続に有利であり、第1の部分82と第2の部分83との間の接続強度を増加することを保証し、電池セル30の熱暴走が発生していない時の圧力解放機構の安全性を保証することができる。
【0118】
好ましくは、保護部材90が凹溝の幅方向Yに沿って凹溝を覆う時、同様に、保護部材90の少なくとも一部を凹溝に収容させることができる。いくつかの好ましい実施例において、本願の実施例により提供される電池セル30では、保護部材90は、本体部91と、本体部91の凹溝の幅方向Yに沿って両側に位置する第1の接続部92と第2の接続部93とを含むことができ、本体部91は凹溝に収容されて凹溝の溝壁の接続に用いられ、第1の接続部92は第1の部分82の接続に用いられ、第2の接続部93は第2の部分83の接続に用いられる。
【0119】
本願の実施例により提供される電池セル30では、本体部91を介して第1の部分82と第2の部分83に接続することができ、第1の接続部92を介して第1の部分82に接続することができ、第2の接続部93を介して第2の部分83に接続することができ、第1の部分82と第2の部分83との間の接続の信頼性を向上させ、熱暴走が発生していない時の電池セル30の第1の部分82と第2の部分83との間の接続強度を保証する。
【0120】
図9に示すように、いくつかの実施例において、保護部材90が凹溝の幅方向Yに沿って凹溝を覆う時、保護部材90が凹溝のみを覆わせ、凹溝と囲んでキャビティを形成することもできる。第1の部分82と第2の部分83との接続強度要求を満たした上で、貼り付ける等の方法で第1の部分82と第2の部分83に直接接続することができる。例えば、保護部材90が第1の部分82と第2の部分83に接続されるように、ポリエチレンフィルム層又はポリプロピレンフィルム層を直接貼り付ける形態を採用することができる。
【0121】
好ましい実施形態として、本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90の融点は圧力解放機構80の融点より低い。
【0122】
保護部材90の融点が圧力解放機構80の融点よりも低いため、電池セル30に熱暴走が発生する時、保護部材90は圧力解放機構80よりも先に物理的な性能の変化が発生し、例えば溶融又は融解して柔らかくなり、保護部材90と第1の部分82又は第2の部分83との接続力を減少し又は除去し、弱い部81が破壊されて圧力を解放することに有利である。
【0123】
好ましくは、圧力解放機構80は、ハウジング40のケース42又は端部カバー41と同じ材料の金属材料であってもよく、当然ながら、ケース42又は端部カバー41と異なる材料の金属材料であってもよく、ハウジング40の壁部との間の接続需要を満たすことができ、電池セル30が熱暴走した時に内部圧力又は温度を解放するように作動できればよい。
【0124】
好ましくは、保護部材90の材料は、上記言及されたポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの少なくとも一つを採用することができ、当然ながら、他の材質を採用してもよく、第1の部分82と第2の部分83との間の接続強度の増加を果たすことができるとともに、融点が圧力解放機構80の融点より低いことを保証し、電池セル30が熱暴走した時、保護部材90と第1の部分82又は第2の部分83との接続力を減少し又は除去する要求を満たせばよい。
【0125】
本願の上記各実施例により提供された電池セル30では、いずれも保護部材90がポリプロピレンフィルム層、ポリエチレンフィルム層及びパラフィンフィルム層のうちの少なくとも1つを含むことを例に挙げて説明し、これは好ましい実施形態であることが理解される。
【0126】
図10に示すように、いくつかの他の実施例において、保護部材90は積層するように設置された基体層90aと接着層90bを含み、接着層90bは基体層90aと圧力解放機構80とを接続するのに用いられ、接着層90bはハウジング40の内部圧力が閾値に達した時に粘性状態から非粘性状態に切り換えるように配置される。
【0127】
保護部材90が積層するように設置された基体層90aと接着層90bとを含む場合、保護部材90の接着層90bは少なくとも一部を凹溝内に収容することができ、当然ながら、凹溝を覆って凹溝との間にキャビティを形成することもでき、第1の部分82と第2の部分83との間の接続要求を満たすことができればよい。
【0128】
図11図13に示すように、好ましい実施形態として、本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90は弱い部81の延在軌跡に沿って弱い部81を完全に覆う。上記設置により、第1の部分82と第2の部分83の接続強度の増加を保証することができる。
【0129】
本願の実施例により提供された電池セル30では、弱い部81の延在軌跡は弱い部81の形状に関連し、弱い部81が環状構造である場合、その延在軌跡は環状軌跡であり、弱い部81が長尺状構造である場合、その延在軌跡は始点と終点を有する直線軌跡である。
【0130】
好ましい実施形態として、本願の実施例により提供された電池セル30では、弱い部81は環状構造であってもよく、第1の部分82は弱い部81が囲まれた領域内に位置し、弱い部81が破壊された後に反転し、第2の部分83は弱い部81と壁部との間に位置し、壁部を接続するのに用いられる。保護部材90が弱い部81の延在軌跡に沿って弱い部81を完全に覆う場合、保護部材90全体は弱い部81を覆うように設置された環状構造体であってもよい。
【0131】
好ましくは、弱い部81は、図11に示した腰部円環状又はランウェイ環状であってもよく、図12に示した円環状、矩形のような図13に示した多角形環状であってもよく、当然ながら、楕円環等の形状であってもよく、閉鎖的な環状を構成して第1の部分82と第2の部分83とを接続することができればよい。
【0132】
好ましくは、弱い部81が環状構造であってもよい場合、第1の部分82は弱い部81の形状にマッチングする腰部円環形、円形、矩形のような多角形又は楕円形であってもよく、対応的に、第2の部分83は、弱い部81の形状にマッチングする腰部円環状、円環状、矩形のような多角形環状、楕円環状等であってもよい。
【0133】
本願の実施例により提供された電池セル30では、保護部材90は弱い部81の延在軌跡に沿って弱い部81を完全に覆うことに限らないことが理解できる。
【0134】
図14図15に示すように、いくつかの好ましい実施例において、保護部材90は2つ以上の保護ユニット90cを有し、2つ以上の保護ユニット90cは弱い部81の延在軌跡に間隔を空けて配置される。上記設置により、第1の部分82と第2の部分83との間の接続強度に対する増加需要を同様に満たすことができる。保護ユニット90cは、弱い部81の延在軌跡に間隔を空けて配置され、保護部材90が第1の部分82と第2の部分83との間の接続強度に対する増加を適切にさせることができ、電池セル30が熱暴走する時、圧力解放機構80の作動に有利である。
【0135】
好ましくは、本願の実施例により提供された電池セル30では、その保護ユニット90cは、2つ以上の弱い部81の延在軌跡に沿って間隔を空けて配置され、且つ互いに独立して設置されたフィルム層構造である。保護ユニット90cは円形、楕円形、方形等の多角形構造であってもよく、当然ながら、不規則な形状を採用してもよく、各保護ユニット90cが第1の部分82と第2の部分83に接続され、第1の部分82と第2の部分83との接続強度の増加の需要を保証できればよい。
【0136】
保護ユニット90cの数は、弱い部81の形状と延在軌跡の寸法に基づいて設定することができ、2つ、3つ、ひいてはより多くすることができる。例示的に、保護ユニット90cの数は4つであってもよく、4つの保護ユニット90cは弱い部81の延在軌跡に間隔を空けて配置されている。
【0137】
図14に示すように、例示的には、保護ユニット90cは方形構造であってもよく、2つ以上の保護ユニット90cは、弱い部81の延在軌跡に沿って間隔を空けて均一に配置され、各保護ユニット90cは互いに独立して設置されている。
【0138】
図15に示すように、当然ながら、これは好ましい実施形態であり、いくつかの実施例において、同様に、2つ以上の保護ユニット90cを弱い部81の延在軌跡に沿って間隔を空けて配置させることができ、同時に、各保護ユニット90cの一端を圧力解放機構80の中心方向に延在して集積させることができ、保護ユニット90cの数が4つである場合、保護部材90全体は十字形状を呈することができる。
【0139】
本願の上記各実施例は、いずれも弱い部81が環状構造であることを例に挙げて説明するものであり、これは好ましい実施形態であることが理解できるが、上記形態に限定されるものではない。
【0140】
図16図17に示すように、いくつかの実施例において、弱い部81は長尺状構造であってもよく、第1の部分82と第2の部分83はいずれも壁部を接続するのに用いられる。弱い部81が長尺状構造である場合、その延在軌跡は直線形であってもよい。
【0141】
弱い部81が長尺状構造である場合、第1の部分82と第2の部分83とは、弱い部81の長手方向と垂直になる方向に対向して設置され、弱い部81を介して接続することができる。
【0142】
図16に示すように、弱い部81が長尺状構造である場合、保護部材90も同様に弱い部81の延在軌跡に沿って延在し、弱い部81を完全に覆うことができる。例示的に、保護部材90は、弱い部81の形状にマッチングする形状の長尺状構造であり、弱い部81を覆うことができる。
【0143】
図17に示すように、当然ながら、保護部材90が長尺状構造を採用する場合、保護部材90も同様に2つ以上の保護ユニット90cを含むことができ、2つ以上の保護ユニット90cは弱い部81の延在軌跡に沿って間隔を空けて配置され、第1の部分82と第2の部分83に対する接続強度の増加を満たすことができる。
【0144】
図18に示すように、本願の実施例により、
端部カバー41とケース42を提供し、ケース42は開口421を有し、端部カバー41は開口421を閉じるように設置され、ケース42又は端部カバー41には圧力解放機構80が設けられ、圧力解放機構80は弱い部81、弱い部81の両側に設けられた第1の部分82と第2の部分83を含み、弱い部81は第1の部分82と第2の部分83を接続するのに用いられ、圧力解放機構80はケース42と端部カバー41が形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に弱い部81が破壊されて圧力を解放するように配置されるS100と、
保護部材90を提供し、保護部材90は圧力解放機構80に設けられ、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加するために、保護部材90は第1の部分82と第2の部分83とを接続するのに用いられるS200と、
ケース42内に取り付けられた電極組立体50を提供するS300と、
ケース42に接続させて開口421を覆う端部カバー41とケース42を組立てるS400と、を含む、電池セル30を製造する方法を提供する。
【0145】
本願の実施例により提供された電池セル30を製造する方法により製造された電池セル30では、圧力解放機構80の弱い部81の設置により、ハウジング40内の圧力が閾値に達した時に圧力を解放することができ、電池セル30の熱暴走が発生した時の安全を保証する。保護部材90の設置は、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加することができ、電池セル30の内部圧力が高低交互に変化する場合、保護部材90は圧力解放機構80が隆起又は凹みの際に弱い部81に加わる作用力を分担することができ、さらに弱い部81に担持する交番応力を減少させることに有利である。電池セル30が正常に使用する場合、弱い部81に交番疲労老化や破断が発生することにより、圧力解放機構80に爆破が繰り上げて圧力を解放する可能性を低減させ、電池セル30の使用安全性と安定性を向上させることに有利である。
【0146】
本願の実施例の電池セル30の製造方法は上記実施例の電池セル30を製造することができる。
【0147】
好ましい実施形態として、ステップ200は、端部カバー41又はケース42の弱い部81を有する領域に、ポリプロピレンフィルム層とポリエチレンフィルム層のうちの少なくとも1つを含む保護部材90を貼り付けることを含む。例示的に、保護部材90はポリプロピレンフィルム層のみを含むことができ、又は保護部材90はポリエチレンフィルム層のみを含むことができ、当然ながら、いくつかの例において、保護部材90はポリプロピレンフィルム層とポリエチレンフィルム層を同時に含むことができ、端部カバー41又はケース42の弱い部81を有する領域にポリプロピレンフィルム層とポリエチレンフィルム層の一方を予め貼り付け、その後、他方を接着することができる。例えば、弱い部81を有する領域にポリプロピレンフィルム層を先に貼り付け、その後、ポリエチレンフィルム層を接着することができる。
【0148】
いくつかの好ましい例において、ステップS200は、端部カバー41又はケース42の弱い部81を有する領域に、ポリプロピレン粉とポリエチレン粉のうちの少なくとも1つを含む保護粉をスプレーし、硬化させて保護部材90を形成することを含むこともできる。例示的に、保護粉はポリプロピレン粉のみを含んでもよく、又は保護粉はポリエチレン粉のみを含んでもよく、当然ながら、いくつかの例において、保護粉はポリプロピレン粉、ポリエチレン粉を含んでもよい。
【0149】
いくつかの好ましい例において、ステップS200は、端部カバー41又はケース42の弱い部80を有する領域にパラフィン溶液を浸潤し、弱い部81の領域が浸潤するパラフィン溶液を硬化させて保護部材90を形成することを含むこともできる。
【0150】
図19に示すように、本願の実施例により、
端部カバー41とケース42を提供し、ケース42は開口421を有し、端部カバー41は開口421を閉じるように設置され、ケース42又は端部カバー41には圧力解放機構80が設けられ、圧力解放機構80は弱い部81、弱い部81の両側に設けられた第1の部分82と第2の部分83を含み、弱い部81は第1の部分82と第2の部分83を接続するのに用いられ、圧力解放機構80はケース42と端部カバー41が形成された全体の内部圧力が閾値に達した時に弱い部81が破壊されて圧力を解放するように配置される第1の提供モジュール1001と、
保護部材90を提供し、保護部材90は圧力解放機構80に設けられ、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加するために、保護部材90は第1の部分82と第2の部分83とを接続するのに用いられる第2の提供モジュール1002と、
電極組立体50を提供し、電極組立体50をケース42内に取り付けるのに用いられる第3の提供モジュール1003と、端部カバー41とケース42を組立て、端部カバー41をケース42に接続し、開口421を覆う組立モジュール1004と、を含む、電池セル30を製造する設備1000を提供する。
【0151】
本願の実施例により提供された電池セル30を製造する設備1000では、圧力解放機構80の弱い部81の設置により、ハウジング40内の圧力が閾値に達した時に圧力を解放することができ、電池セル30の熱暴走が発生した時の安全を保証する。保護部材90の設置は、第1の部分82と第2の部分83との接続強度を増加することができ、電池セル30の内部圧力が高低交互に変化する場合、保護部材90は圧力解放機構80が隆起又は凹みの際に弱い部81に加わる作用力を分担することができ、さらに弱い部81に担持する交番応力を減少させることに有利であり、電池セル30が正常に使用する場合、弱い部81に交番疲労老化や破断が発生することにより、圧力解放機構80に爆破が繰り上げて圧力を解放する可能性を低減させ、電池セル30の使用安全性と安定性を向上させることに有利である。
【0152】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱しない状況において、様々な改良を行うことができ、その中の部品を等価物で置き換えることができる。特に、構造の衝突がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴は何れも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
図1
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