(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240710BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H02M3/155 W
H02J7/00 A
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2022573424
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 CN2020130178
(87)【国際公開番号】W WO2021238103
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】202010476447.1
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】王俊▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲労▼黎明
(72)【発明者】
【氏名】王亮
(72)【発明者】
【氏名】薛▲鵬▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼明文
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-080620(JP,A)
【文献】特開2018-093608(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0286071(US,A1)
【文献】特開2008-060047(JP,A)
【文献】特開2019-071711(JP,A)
【文献】特開2013-187919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のエネルギー処理装置であって、
第1端子が前記電池の正極に接続された第1インダクタと、
第1端子が前記電池の正極に接続された第2インダクタと、
中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続された第1相ブリッジアームと、
中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続された第2相ブリッジアームであって、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続される、第2相ブリッジアームと、
第1端子が前記第1バス端子に接続され、第2端子が前記第2バス端子に接続されたエネルギー貯蔵素子と、
第1端子が前記電池の正極に接続され、第2端子が前記エネルギー貯蔵素子の第1端子に接続された第1スイッチモジュールと、
第1端子が前記第1相ブリッジアームの中間点に接続され、第2端子がモータの第1相巻線に接続された第2スイッチモジュールと、
第1端子が前記第2相ブリッジアームの中間点に接続され、第2端子が前記モータの第2相巻線に接続された第3スイッチモジュールと、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池に前記第1インダクタと前記第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成されたコントローラであって、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが異なる動作状態にある、コントローラと、を含
み、
前記電池は、車載電池であり、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームは、車両のモータコントローラにおけるブリッジアームであり、前記エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタであり、
前記コントローラは、オフにするように前記第1スイッチモジュール、前記第2スイッチモジュール及び前記第3スイッチモジュールを制御することにより、前記電池への加熱を実現するように構成されることを特徴とする、電池のエネルギー処理装置。
【請求項2】
前記動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含み、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子に前記第1インダクタと前記第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子から前記第1インダクタに放電して、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第2インダクタが非動作状態にあることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池及び前記エネルギー貯蔵素子のうちの一方から前記第2インダクタに放電し、他方が前記第1インダクタにより充電され、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第1インダクタがフリーホイール状態にあることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子を前記第2インダクタにより充電し、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第2インダクタがフリーホイール状態にあり、前記第1インダクタが非動作状態にあることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記電池は、車載電池であり、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、車両の電圧変換器におけるインダクタであり、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームは、前記電圧変換器におけるブリッジアームであり、前記エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第1端子が前記電池の正極に接続され、第2端子がそれぞれ前記第1インダクタの第1端子と前記第2インダクタの第1端子に接続された第4スイッチモジュールをさらに含み、
前記コントローラは、さらに、オフにするように前記第4スイッチモジュールを制御し、オンにするように前記第1スイッチモジュール、前記第2スイッチモジュール及び前記第3スイッチモジュールを制御することにより、前記電池の前記モータへの駆動を実現するように構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子を前記第1インダクタと前記第2インダクタにより周期的に充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にあることを特徴とする、請求項
1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
電池のエネルギー処理方法であって、
電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にあり、
前記第1インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第2インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第1相ブリッジアームの中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続され、前記第2相ブリッジアームの中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続され、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続され
、エネルギー貯蔵素子の第1端子が前記第1バス端子に接続され、前記エネルギー貯蔵素子の第2端子が前記第2バス端子に接続される、ステップを含
み、
第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記電池から前記第1インダクタに対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第2インダクタに対して充電を行い、前記第1インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第2インダクタにより前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタにより前記電池に対して充電を行い、前記第2インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第1インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、を含むことを特徴とする、電池のエネルギー処理方法。
【請求項10】
前記動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含み、
前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップは、前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップを含むことを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップは、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子から前記第1インダクタに放電して、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第2インダクタが非動作状態にあるステップ、
又は、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池及び前記エネルギー貯蔵素子のうちの一方から前記第2インダクタに放電し、他方を前記第1インダクタにより充電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第1インダクタがフリーホイール状態にあるステップ、
又は、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子を前記第2インダクタにより充電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第2インダクタがフリーホイール状態にあり、前記第1インダクタが非動作状態にあるステップを含むことを特徴とする、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
電池のエネルギー処理方法であって、
電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にあり、
前記第1インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第2インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第1相ブリッジアームの中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続され、前記第2相ブリッジアームの中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続され、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続され、エネルギー貯蔵素子の第1端子が前記第1バス端子に接続され、前記エネルギー貯蔵素子の第2端子が前記第2バス端子に接続される、ステップを含み、
第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第1インダクタに対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第2インダクタに対して充電を行い、前記第1インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタにより前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第2インダクタにより前記電池に対して充電を行い、前記第1インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、を含むことを特徴とする、
電池のエネルギー処理方法。
【請求項13】
電池のエネルギー処理方法であって、
電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にあり、
前記第1インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第2インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第1相ブリッジアームの中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続され、前記第2相ブリッジアームの中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続され、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続され、エネルギー貯蔵素子の第1端子が前記第1バス端子に接続され、前記エネルギー貯蔵素子の第2端子が前記第2バス端子に接続される、ステップを含み、
前記動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含み、
前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップは、前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップを含み、
前記第1インダクタと前記第2インダクタのうちの一方がエネルギー貯蔵状態にあり、他方がフリーホイール状態にある段階において、動作するようにインダクタのフリーホイールを行うブリッジアームを制御した後、所定の時間を遅延して、動作するようにインダクタのエネルギー貯蔵を行うブリッジアームを制御することを特徴とする、
電池のエネルギー処理方法。
【請求項14】
加熱期間において、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームにおけるスイッチング周波数又はデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が最適な電流値に達することを特徴とする、請求項
9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱期間において、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームのデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が最適な電流値に達するステップは、
前記加熱期間において、前記電池を流れる電流と前記最適な電流値との比較結果及び前記第1相ブリッジアームと前記第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するステップを含むことを特徴とする、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱期間において、前記電池を流れる電流と前記最適な電流値との比較結果及び前記第1相ブリッジアームと前記第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するステップは、
前記電池の充電又は放電期間において、前記電池を流れる電流が前記最適な電流値より小さい場合、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より大きいように前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御するステップと、前記電池を流れる電流が前記最適な電流値より大きい場合、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するまで、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より小さいように前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御することを特徴とする、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
電池と、請求項1~
8のいずれか一項に記載の電池のエネルギー処理装置とを含むことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年5月29日に提出した、発明の名称が「電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両」である中国特許出願第「202010476447.1」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、車両制御の分野に関し、具体的には、電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の石油エネルギー不足を解決しかつ都市の空気汚染を軽減するために、電動車両産業の発展は、切迫している。動力電池は、電動車両のコア動力部品として、その充放電性能が電動車両の運転性能及びユーザ体験を直接的に決定する。動力電池は、低温環境下で、その放電能力が大幅に低下し、電動車両の航続距離に大きな影響を与え、動力電池の低温環境下での充電性能及び充電時間を保証することもできない。動力電池が適切な温度範囲内で動作することを保証して、その充放電性能及びその耐用年数を保証するために、必要な場合に動力電池を加熱する必要がある。
【0004】
車載大電力電子装置には、常に深刻な電磁干渉が発生するため、新エネルギー車両の電磁両立の問題がますます顕著になる。動力電池を加熱する関連技術において、多くの場合に、回路トポロジーが複雑であり、電磁干渉が深刻であるという欠陥が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、電磁両立性に優れた電池のエネルギー処理装置及び方法、並びに車両を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、電池のエネルギー処理装置を提供する。前記装置は、
第1端子が前記電池の正極に接続された第1インダクタと、
第1端子が前記電池の正極に接続された第2インダクタと、
中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続された第1相ブリッジアームと、
中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続された第2相ブリッジアームであって、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続される、第2相ブリッジアームと、
第1端子が前記第1バス端子に接続され、第2端子が前記第2バス端子に接続されたエネルギー貯蔵素子と、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池に前記第1インダクタと前記第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成されたコントローラであって、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが異なる動作状態にある、コントローラと、を含む。
【0007】
好ましくは、前記動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含み、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタと前記第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成される。
【0008】
好ましくは、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタに放電して、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第2インダクタが非動作状態にある。
【0009】
好ましくは、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池及び前記エネルギー貯蔵素子のうちの一方が前記第2インダクタに放電し、他方が前記第1インダクタにより充電され、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第1インダクタがフリーホイール状態にある。
【0010】
好ましくは、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子を前記第2インダクタにより充電を行って、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第2インダクタがフリーホイール状態にあり、前記第1インダクタが非動作状態にある。
【0011】
好ましくは、前記電池は、車載電池であり、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、車両の電圧変換器におけるインダクタであり、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームは、前記電圧変換器におけるブリッジアームであり、前記エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタである。
【0012】
好ましくは、前記電池は、車載電池であり、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームは、車両のモータコントローラにおけるブリッジアームであり、前記エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタである。
【0013】
好ましくは、前記装置は、
第1端子が前記電池の正極に接続され、第2端子が前記エネルギー貯蔵素子の第1端子に接続された第1スイッチモジュールと、
第1端子が前記第1相ブリッジアームの中間点に接続され、第2端子がモータの第1相巻線に接続された第2スイッチモジュールと、
第1端子が前記第2相ブリッジアームの中間点に接続され、第2端子が前記モータの第2相巻線に接続された第3スイッチモジュールと、をさらに含み、
前記コントローラは、オフにするように前記第1スイッチモジュール、前記第2スイッチモジュール及び前記第3スイッチモジュールを制御することにより、前記電池への加熱を実現するように構成される。
【0014】
好ましくは、前記装置は、第1端子が前記電池の正極に接続され、第2端子がそれぞれ前記第1インダクタの第1端子と前記第2インダクタの第1端子に接続された第4スイッチモジュールをさらに含み、
前記コントローラは、さらに、オフにするように前記第4スイッチモジュールを制御し、オンにするように前記第1スイッチモジュール、前記第2スイッチモジュール及び前記第3スイッチモジュールを制御することにより、前記電池の前記モータへの駆動を実現するように構成される。
【0015】
好ましくは、前記コントローラは、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタと前記第2インダクタにより充電と放電を繰り返し行って、前記電池への加熱を実現するように構成され、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にある。
【0016】
さらに、本開示に係る電池のエネルギー処理方法は、
前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタと前記第2インダクタが異なる動作状態にあり、
前記第1インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第2インダクタの第1端子が前記電池の正極に接続され、前記第1相ブリッジアームの中間点が前記第1インダクタの第2端子に接続され、前記第2相ブリッジアームの中間点が前記第2インダクタの第2端子に接続され、前記第1相ブリッジアームの第1端子と前記第2相ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記第1相ブリッジアームの第2端子と前記第2相ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第2バス端子が前記電池の負極に接続され、前記エネルギー貯蔵素子の第1端子が前記第1バス端子に接続され、前記エネルギー貯蔵素子の第2端子が前記第2バス端子に接続される、ステップを含む。
【0017】
好ましくは、前記動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含む。
【0018】
前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップは、前記電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池と前記エネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップを含む。
【0019】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子を第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、前記電池への加熱を実現するステップは、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタに放電して、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第2インダクタが非動作状態にあるステップ、
又は、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池及び前記エネルギー貯蔵素子のうちの一方が前記第2インダクタに放電し、他方が前記第1インダクタにより充電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、前記第1インダクタがフリーホイール状態にあるステップ、
又は、
前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池又は前記エネルギー貯蔵素子が前記第2インダクタにより充電を行って、前記電池への加熱を実現するステップであって、前記第2インダクタがフリーホイール状態にあり、前記第1インダクタが非動作状態にあるステップを含む。
【0020】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記電池から前記第1インダクタに対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第2インダクタに対して充電を行い、前記第1インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第2インダクタにより前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタにより前記電池に対して充電を行い、前記第2インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第1インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、を含む。
【0021】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、前記電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第1インダクタに対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、前記電池が前記第2インダクタに対して充電を行い、前記第1インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記エネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム、前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第1インダクタにより前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御することにより、前記エネルギー貯蔵素子が前記第2インダクタにより前記電池に対して充電を行い、前記第1インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、
オンにするように前記第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように前記第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム、前記第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、前記第2インダクタが前記電池に対して充電を行うステップと、を含む。
【0022】
好ましくは、前記第1インダクタと前記第2インダクタのうちの一方がエネルギー貯蔵状態にあり、他方がフリーホイール状態にある段階において、動作するようにインダクタのフリーホイールを行うブリッジアームを制御した後、所定の時間を遅延して、動作するようにインダクタのエネルギー貯蔵を行うブリッジアームを制御する。
【0023】
好ましくは、前記加熱期間において、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームにおけるスイッチング周波数又はデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が最適な電流値に達する。
【0024】
好ましくは、前記加熱期間において、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームのデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が最適な電流値に達するステップは、
前記加熱期間において、前記電池を流れる電流と前記最適な電流値との比較結果及び前記第1相ブリッジアームと前記第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するステップを含む。
【0025】
好ましくは、前記加熱期間において、前記電池を流れる電流と前記最適な電流値との比較結果及び前記第1相ブリッジアームと前記第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するステップは、
前記電池の充電又は放電期間において、前記電池を流れる電流が前記最適な電流値より小さい場合、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より大きいように前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御するステップと、前記電池を流れる電流が前記最適な電流値より大きい場合、前記電池を流れる電流値が前記最適な電流値に達するまで、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より小さいように前記第1相ブリッジアーム及び前記第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御する。
【0026】
本開示は、電池と、本開示の提供する上記電池のエネルギー処理装置とを含む車両をさらに提供する。
【0027】
上記技術手段により、電池とエネルギー貯蔵素子は、第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うことにより、電池への加熱を実現する。かつ、電池加熱期間において、第1インダクタと第2インダクタは、異なる動作状態にある。1つのインダクタを用いるか又は同じ動作状態にある複数のインダクタを用いる電池加熱制御方式と比較し、本解決手段における2つのインダクタを交互に制御する方式は、同じ電流を出力する場合に、回路におけるリップル電流が小さいため、電池のエネルギー処理装置の電磁両立性を顕著に向上させる。
【0028】
本開示の他の特徴及び利点については、以下の具体的な実施形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は、本開示の更なる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0030】
【
図1】例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置の構造ブロック図である。
【
図2】例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置における回路構造概略図である。
【
図3f】それぞれ例示的な実施例に係る1つの電流周期における6つの段階の電流方向概略図である。
【
図4c】それぞれ別の例示的な実施例に係る1つの電流周期における後の3つの段階の電流方向概略図である。
【
図5】別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置における回路構造概略図である。
【
図6a】例示的な実施例に係る1つのインダクタを利用して加熱する場合に回路における電流の経時変化の曲線図である。
【
図6b】例示的な実施例に係る本解決手段における2つのインダクタを利用して加熱する場合に回路における電流の経時変化の曲線図である。
【
図7】例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
【
図8】別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
【
図9】例示的な実施例に係る車両の構造ブロック図である。
【
図10】別の例示的な実施例に係る車両の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0032】
図1は、例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置の構造ブロック図である。該電池のエネルギー処理装置は、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、第1相ブリッジアーム10と、第2相ブリッジアーム20と、エネルギー貯蔵素子30と、コントローラ40と、を含んでもよい。
【0033】
第1インダクタL1の第1端子(左端)は、電池の正極(+)に接続され、第2インダクタL2の第1端子(左端)は、電池の正極に接続され、第1相ブリッジアーム10の中間点Aは、第1インダクタL1の第2端子(右端)に接続され、第2相ブリッジアーム20の中間点Bは、第2インダクタL2の第2端子(右端)に接続される。第1相ブリッジアーム10の第1端子10aと第2相ブリッジアーム20の第1端子20aは、共通接続されて第1バス端子を形成し、第1相ブリッジアーム10の第2端子10bと第2相ブリッジアーム20の第2端子20bは、共通接続されて第2バス端子を形成し、第2バス端子は、電池の負極(-)に接続される。
【0034】
エネルギー貯蔵素子30の第1端子(
図1における上端)は、第1バス端子に接続され、エネルギー貯蔵素子30の第2端子(
図1における下端)は、第2バス端子に接続される。
【0035】
コントローラ40は、それぞれ第1相ブリッジアーム10と、第2相ブリッジアーム20に接続され、第1相ブリッジアーム10及び第2相ブリッジアーム20を制御することにより、電池が第1インダクタL1と第2インダクタL2により充電と放電を行って、電池への加熱を実現するように構成される。第1インダクタL1と第2インダクタL2は、異なる動作状態にある。
【0036】
図2は、例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置における回路構造概略図である。
図2に示すように、第1相ブリッジアーム10は、上ブリッジアームS1及び下ブリッジアームS2を含み、第2相ブリッジアーム20は、上ブリッジアームS3及び下ブリッジアームS4を含む。
図2において、各ブリッジアームは、並列接続されたトランジスタ及びダイオードを例示的に含む。トランジスタは、さらに、他のスイッチトランジスタ、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)、金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)などで代替することができる。
図2において、エネルギー貯蔵素子30は、例示的にキャパシタの形式で示され、さらにインダクタなどの他のタイプのエネルギー貯蔵素子であってもよい。
【0037】
第1インダクタL1の第1端子L1aは、電池の正極(+)に接続され、第2インダクタL2の第1端子L2aは、電池の正極に接続され、第1相ブリッジアーム10の中間点Aは、第1インダクタL1の第2端子L1bに接続され、第2相ブリッジアーム20の中間点Bは、第2インダクタL2の第2端子L2bに接続される。第1相ブリッジアーム10の第1端子10aと第2相ブリッジアーム20の第1端子20aは、共通接続されて第1バス端子を形成し、第1相ブリッジアーム10の第2端子10bと第2相ブリッジアーム20の第2端子20bは、共通接続されて第2バス端子を形成し、第2バス端子は、電池の負極(-)に接続される。
【0038】
本解決手段において、第1インダクタL1と第2インダクタL2は、電池加熱の過程において、常に異なる動作状態にあり、実際に2つの異なるインダクタとして使用される。本解決手段における2つのインダクタを交互に(異なる動作状態)制御する方式は、一定の程度で互いに補い、互いに制約する作用を果たすことができ、回路におけるリップル電流が小さく、電磁両立性が高く、電池の発熱は、電池が充電又は放電を行う場合、電池を流れる電流により電池の内部抵抗を発熱させることによるものであり、電池が内から外へ昇温するため、電池の加熱効率が高い。
【0039】
図2に示す回路構造図では、電池加熱期間において、異なる電流の流れ方向による複数の段階を設定することができ、それに応じて、2つのインダクタの動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含んでもよい。エネルギー貯蔵状態にある場合、インダクタ自体が充電を行い、インダクタ両端の電圧が大きくなり、フリーホイール状態にある場合、インダクタ自体が放電を行い、インダクタ両端の電圧が小さくなり、非動作状態にある場合、インダクタ自体が充電及び放電を行わず、インダクタ両端の電圧が変化しない。
【0040】
上記異なる動作状態に基づいて、具体的には、2つのインダクタをそれぞれエネルギー貯蔵、フリーホイール及び非動作の3種の状態のうちの2種の状態にさせ、好ましい状態の多様化は、設定可能な電流の流れ方向ポリシーを多様化させるだけでなく、試験の方式で様々なポリシーを比較し、リップル電流が相対的に小さく、より優れた電流の流れ方向ポリシーを選択することができる。
【0041】
さらに別の実施例において、コントローラ40は、第1相ブリッジアーム10及び第2相ブリッジアーム20を制御することにより、電池とエネルギー貯蔵素子30が第1インダクタL1と第2インダクタL2により充電と放電を行って、電池への加熱を実現するように構成される。
【0042】
電池とエネルギー貯蔵素子30が充電と放電を行うことは、電池充電、エネルギー貯蔵素子30放電の過程、及び/又は、電池放電、エネルギー貯蔵素子30充電の過程を含んでもよい。
【0043】
例えば、
図3a~
図3fは、それぞれ例示的な実施例に係る1つの電流周期における6つの段階の電流方向概略図である。該実施例の1つの電流周期において、コントローラは、それぞれ6つの段階で以下の6つのステップを実行するように第1相ブリッジアームと第2相ブリッジアームを制御してもよい。
【0044】
ステップ1では、オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3及び下ブリッジアームS4を制御することにより、電池が第1インダクタL1に対して充電を行う。
図3aに示すように、電流は、電池の正極から流出し、第1インダクタL1、第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2を流れて電池の負極に戻る。
【0045】
ステップ2では、オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御することにより、電池が第2インダクタL2に対して充電を行い、第1インダクタL1がエネルギー貯蔵素子30に対して充電を行う。
図3bに示すように、電流は、電池の正極から流出し、一部が第1インダクタL1、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1、エネルギー貯蔵素子30を流れて電池の負極に戻り、他の一部が第2インダクタL2、第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を流れて電池の負極に戻る。
【0046】
ステップ3では、オンにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び下ブリッジアームS2を制御することにより、第2インダクタL2がエネルギー貯蔵素子30に対して充電を行う。
図3cに示すように、電流は、電池の正極から流出し、第2インダクタL2、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3、エネルギー貯蔵素子30を流れて電池の負極に戻る。
【0047】
ステップ4では、オンにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び下ブリッジアームS2を制御することにより、エネルギー貯蔵素子30が第2インダクタL2により電池に対して充電を行う。
図3dに示すように、電流は、電池の負極から流出し、エネルギー貯蔵素子30、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3、第2インダクタL2を流れて電池の正極に戻る。
【0048】
ステップ5では、オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御することにより、エネルギー貯蔵素子30が第1インダクタL1により電池に対して充電を行い、第2インダクタ
L2が電池に対して充電を行う。
図3eに示すように、電流は、電池の負極から流出し、一部がエネルギー貯蔵素子30、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1、第1インダクタL1を流れて電池の正極に戻り、他の一部が第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4、第2インダクタL2を流れて電池の正極に戻る。
【0049】
ステップ6では、オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3及び下ブリッジアームS4を制御することにより、第1インダクタL1が電池に対して充電を行う。
図3fに示すように、電流は、電池の負極から流出し、第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2、第1インダクタL1を流れて電池の正極に戻る。
【0050】
該実施例において、上記第3段階から第4段階への切り替えは、ブリッジアームの動作を制御する必要がなく、エネルギー貯蔵素子30に対して充電を行った後にエネルギー貯蔵素子30が自動的に放電することにより、状態が切り替えられる。このように、電流周期には同じ数のステップを有する場合、コントローラの制御動作を減少させ、コントローラの制御フローを簡略化し、電池の加熱をより確実にする。
【0051】
別の実施例において、コントローラも、それぞれ6つの段階で6つのステップを実行するように制御する。該実施例の1つの電流周期において、前の3つの段階は、前の実施例における前の3つの段階(
図3a~
図3c)と同じであってもよい。
図4a~
図4cは、それぞれ別の例示的な実施例に係る1つの電流周期における後の3つの段階の電流方向概略図である。
【0052】
第4段階において、オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3及び下ブリッジアームS4を制御することにより、エネルギー貯蔵素子30が第1インダクタL1により電池に対して充電を行う。
図4aに示すように、電流は、電池の負極から流出し、エネルギー貯蔵素子30、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1、第1インダクタL1を流れて電池の正極に戻る。
【0053】
第5段階において、オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御することにより、エネルギー貯蔵素子30が第2インダクタL2により電池に対して充電を行い、第1インダクタL1が電池に対して充電を行う。
図4bに示すように、電流は、電池の負極から流出し、一部がエネルギー貯蔵素子30、第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3、第2インダクタL2を流れて電池の正極に戻り、他の一部が第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2、第1インダクタL1を流れて電池の正極に戻る。
【0054】
第6段階において、オンにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3、第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1及び下ブリッジアームS2を制御することにより、第2インダクタL2が電池に対して充電を行う。
図4cに示すように、電流は、第2インダクタL2から流出し、電池、第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を流れて第2インダクタL2に戻る。
【0055】
前の実施例(
図3a~
図3f)と比較し、該実施例(
図3a~
図3c、
図4a~
図4c)において、電流周期には同じ数のステップを有し、コントローラが各ステップを能動的に制御することにより、電位エネルギーが大きくなり、電池加熱の効率が高くなる。
【0056】
本開示の解決手段において、第1インダクタと第2インダクタの状態は、いくつかの異なる組み合わせを有してもよい。
図3a~
図3c、
図4a~
図4cを1つの電流周期とする実施例を例とし、1つの電流周期における6つの段階は、3種の組み合わせを含んでもよい。
【0057】
第1種の組み合わせは、第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、第2インダクタが非動作状態にあり、
図3a及び
図4aの段階を含むことである。コントローラは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池又はエネルギー貯蔵素子30が第1インダクタL1に放電して、電池への加熱を実現するように構成される。
図3aの段階において、電池は、第1インダクタL1に放電し、
図4aの段階において、エネルギー貯蔵素子30は、第1インダクタL1に放電する。
【0058】
このような組み合わせにおいて、1つのインダクタのみを用いてエネルギーを貯蔵する。他のインダクタが動作しないため、一定の程度で電池を流れる電流が大きすぎないように制限することにより、発生した電流リップルが小さい。
【0059】
第2種の組み合わせは、第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、第1インダクタがフリーホイール状態にあり、
図3b及び
図4bの段階を含むことである。コントローラは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池及びエネルギー貯蔵素子30のうちの一方が第2インダクタL2に放電し、他方が第1インダクタL1により充電を行って、電池への加熱を実現するように構成される。
【0060】
図3bの段階において、電池は、第2インダクタL2に放電し、エネルギー貯蔵素子30は、第1インダクタL1により充電を行い、
図4bの段階において、エネルギー貯蔵素子30は、第2インダクタL2に放電し、電池は、第1インダクタL1により充電を行う。
【0061】
このような組み合わせにおいて、1つのインダクタがエネルギーを貯蔵し、もう1つのインダクタがフリーホイーリングし、2つのインダクタが同時に動作するが、両者は、交互相補的な傾向があるため、大きな電流リップルの発生を回避するとともに、加熱効率を向上させる。
【0062】
第3種の組み合わせは、第2インダクタがフリーホイール状態にあり、第1インダクタが非動作状態にあり、
図3c及び
図4cの段階を含むことである。コントローラは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池又はエネルギー貯蔵素子が第2インダクタにより充電を行って、電池への加熱を実現するように構成される。
図3cの段階において、エネルギー貯蔵素子は、第2インダクタにより充電を行い、
図4cの段階において、電池は、第2インダクタにより充電を行う。
【0063】
このような組み合わせにおいて、1つのインダクタのみを用いてフリーホイーリングする。他のインダクタが動作しないため、一定の程度で電池を流れる電流が大きすぎないように制限することにより、発生した電流リップルが小さい。
【0064】
図2における回路構造は、電池加熱専用の回路として設置されてもよく、電池と同じ装置内にある関連デバイス内の回路を多重化してもよい。例えば、電池は、車載電池であり、第1インダクタ及び第2インダクタは、車両の電圧変換器におけるインダクタであり、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームは、電圧変換器におけるブリッジアームであり、エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタである。電圧変換器は、昇圧直流(Direct Current、DC)モジュールであってもよい。また、例えば、電池は、車載電池であり、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームは、車両のモータコントローラにおけるブリッジアームであり、エネルギー貯蔵素子は、バスキャパシタである。
【0065】
このように、類似する回路構造を有するデバイスについて、該デバイスが動作しない場合にその回路を多重化すると、ハードウェアの配置を節約し、回路接続を減少させ、かつ空間を節約し、デバイスの体積を増大させず、デバイスの小型化に役立ち、車両の従来の構造を変更せず、電池加熱を実現し、解決手段のコストが低い。
【0066】
他のデバイスにおける回路を多重化すると、回路にスイッチモジュールを設置し、スイッチモジュールのオンオフを制御することにより、多重化回路の機能を切り替えるという目的を達成することができる。
図5は、別の例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理装置における回路構造概略図である。
図5の実施例において、電池は、車載電池であり、多重化されたのは、車両のモータコントローラにおける回路であり、
図2を基に、該電池のエネルギー処理装置は、第1スイッチモジュールK1、第2スイッチモジュールK2及び第3スイッチモジュールK3をさらに含んでもよい。
【0067】
第1スイッチモジュールK1の第1端子(
図5におけるK1の左端)は、電池の正極に接続され、第1スイッチモジュールK1の第2端子(
図5におけるK1の右端)は、エネルギー貯蔵素子30の第1端子(
図5におけるエネルギー貯蔵素子30の上端)に接続される。
【0068】
第2スイッチモジュールK2の第1端子(
図5におけるK2の左端)は、第1相ブリッジアーム10の中間点に接続され、第2スイッチモジュールK2の第2端子(
図5におけるK2の右端)は、モータGの第1相巻線(図示せず)に接続される。
【0069】
第3スイッチモジュールK3の第1端子(
図5におけるK3の左端)は、第2相ブリッジアーム20の中間点に接続され、第3スイッチモジュールK3の第2端子(
図5におけるK3の右端)は、モータGの第2相巻線(図示せず)に接続される。
【0070】
該実施例において、コントローラは、オフにするように第1スイッチモジュールK1、第2スイッチモジュールK2及び第3スイッチモジュールK3を制御することにより、電池への加熱を実現するように構成される。K1、K2及びK3がオフになると、第1相ブリッジアーム10及び第2相ブリッジアーム20のモータへの制御をオフにし、電池加熱用に変換し、回路設計及び制御ポリシーは、いずれも簡単であり、電池加熱用の機能に迅速に変換することができ、信頼性が高い。
【0071】
図5に示すように、該装置は、第4スイッチモジュールK4をさらに含んでもよい。第4スイッチモジュールK4の第1端子(
図5におけるK4の左端)は、電池の正極に接続され、第4スイッチモジュールK4の第2端子(
図5におけるK4の右端)は、それぞれ第1インダクタL1の第1端子(
図5におけるL1の左端)と第2インダクタL2の第1端子(
図5におけるL2の左端)に接続される。
【0072】
該実施例において、コントローラは、さらに、オフにするように第4スイッチモジュールK4を制御し、オンにするように第1スイッチモジュールK1、第2スイッチモジュールK2及び第3スイッチモジュールK3を制御することにより、電池のモータへの駆動を実現するように構成される。キャパシタCは、バスキャパシタである。
図5から分かるように、K4がオフになり、K1、K2及びK3がオンになると、線路において第1インダクタL1及び第2インダクタL2がオフになり、3相ブリッジアームによりモータGへの制御を実現することができ、すなわち線路がモータコントローラとして機能するように変換され、該切り替え回路の設計及び制御ポリシーは、いずれも簡単であり、モータを駆動する機能に迅速に変換することができ、信頼性が高い。
【0073】
上記実施例において、1つの電流周期におけるブリッジアーム動作、電流の流れ方向及び充放電状態を説明した。さらに別の実施例において、コントローラは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池及びエネルギー貯蔵素子が第1インダクタ及び第2インダクタにより充電及び放電を繰り返し行って、電池への加熱を実現するように構成されてもよい。第1インダクタと第2インダクタは、異なる動作状態にある。すなわち、電池加熱を停止する条件に達するまで、上記電流周期を繰り返し実行してもよい。電池加熱を停止する条件は、例えば、電池温度が所定の温度閾値に達することであってもよい。
【0074】
該実施例において、所定のステップを繰り返し実行することにより、電池に対して充電を連続的に行うという目的を達成するとともに、制御ポリシーが簡単であり、誤りが発生しにくく、信頼性が高い。
【0075】
図6aは、例示的な実施例に係る1つのインダクタを利用して加熱する場合に回路における電流の経時変化の曲線図である。
図6bは、例示的な実施例に係る本解決手段における2つのインダクタを利用して加熱する場合に回路における電流の経時変化の曲線図である。横座標は、時間であり、縦座標は、回路における電流であり、すなわち動力電池を流れる電流である。
図6a及び
図6bに示すように、1つのインダクタのみを用いて加熱する場合、曲線における電流のリップルが大きく、2つのインダクタを用いて加熱する場合、曲線における電流リップルは、単一のインダクタの場合に比べて明らかに減少する。これから分かるように、本開示の解決手段を利用して電池を加熱する時に、同じ電流を出力する場合に、回路におけるリップル電流が小さいため、電池のエネルギー処理装置の電磁両立性を顕著に向上させる。
【0076】
本開示は、さらに、電池のエネルギー処理方法を提供する。
図7は、例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
図7に示すように、該方法は、電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、電池への加熱を実現するステップS71を含んでもよい。第1インダクタと第2インダクタは、異なる動作状態にある。
【0077】
第1インダクタの第1端子は、電池の正極に接続され、第2インダクタの第1端子は、電池の正極に接続され、第1相ブリッジアームの中間点は、第1インダクタの第2端子に接続され、第2相ブリッジアームの中間点は、第2インダクタの第2端子に接続され、第1相ブリッジアームの第1端子と第2相ブリッジアームの第1端子は、共通接続されて第1バス端子を形成し、第1相ブリッジアームの第2端子と第2相ブリッジアームの第2端子は、共通接続されて第2バス端子を形成し、第2バス端子は、電池の負極に接続され、エネルギー貯蔵素子の第1端子は、第1バス端子に接続され、エネルギー貯蔵素子の第2端子は、第2バス端子に接続される。
【0078】
本解決手段において、第1インダクタと第2インダクタは、電池加熱の過程において、常に異なる動作状態にあり、実際に2つの異なるインダクタとして使用される。1つのインダクタを用いるか又は同じ動作状態にある複数のインダクタを用いる電池加熱制御方式と比較し、本解決手段における2つのインダクタを交互に(異なる動作状態)制御する方式は、一定の程度で互いに補い、互いに制約する作用を果たすことができ、同じ電流を出力する場合に、回路におけるリップル電流が小さいことにより、電池のエネルギー処理装置の電磁両立性を顕著に向上させる。
【0079】
好ましくは、2つのインダクタの動作状態は、エネルギー貯蔵状態、フリーホイール状態及び非動作状態を含んでもよい。電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、電池への加熱を実現するステップ(ステップS71)は、電池を加熱する必要があると判定すると、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、電池への加熱を実現するステップを含んでもよい。
【0080】
上記異なる動作状態に基づいて、具体的には、2つのインダクタをそれぞれエネルギー貯蔵、フリーホイール及び非動作の3種の状態のうちの2種の状態にさせ、好ましい状態の多様化は、設定可能な電流の流れ方向ポリシーを多様化させるだけでなく、試験の方式で様々なポリシーを比較し、リップル電流が相対的に小さく、より優れた電流の流れ方向ポリシーを選択することができる。
【0081】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行って、電池への加熱を実現するステップは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池又はエネルギー貯蔵素子が第1インダクタに放電して、電池への加熱を実現するステップであって、第1インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、第2インダクタが非動作状態にあるステップ、
又は、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池及びエネルギー貯蔵素子のうちの一方が第2インダクタに放電し、他方が第1インダクタにより充電を行って、電池への加熱を実現するステップであって、第2インダクタがエネルギー貯蔵状態にあり、第1インダクタがフリーホイール状態にあるステップ、
又は、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池又はエネルギー貯蔵素子が第2インダクタにより充電を行って、電池への加熱を実現するステップであって、第2インダクタがフリーホイール状態にあり、第1インダクタが非動作状態にあるステップを含んでもよい。
【0082】
1つのインダクタが動作し、もう1つのインダクタが動作しない場合、一定の程度で電池を流れる電流が大きすぎないように制限することにより、発生した電流リップルが小さい。1つのインダクタがエネルギーを貯蔵し、もう1つのインダクタがフリーホイーリングする場合、2つのインダクタが同時に動作するが、両者は、交互相補的な傾向があるため、大きな電流リップルの発生を回避するとともに、加熱効率を向上させる。
【0083】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、電池が第1インダクタに対して充電を行うステップ1と、
オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、電池が第2インダクタに対して充電を行い、第1インダクタがエネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップ2と、
オンにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、第2インダクタがエネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップ3と、
オンにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子が第2インダクタにより電池に対して充電を行うステップ4と、
オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子が第1インダクタにより電池に対して充電を行い、第2インダクタが電池に対して充電を行うステップ5と、
オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、第1インダクタが電池に対して充電を行うステップ6と、を含んでもよい。
【0084】
該実施例において、上記第3段階から第4段階への切り替えは、ブリッジアームの動作を制御する必要がなく、エネルギー貯蔵素子30に対して充電を行った後にエネルギー貯蔵素子30が自動的に放電することにより、状態が切り替えられる。このように、電流周期には同じ数のステップを有する場合、コントローラの制御動作を減少させ、コントローラの制御フローを簡略化し、電池の加熱をより確実にする。
【0085】
好ましくは、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームを制御することにより、電池とエネルギー貯蔵素子が第1インダクタと第2インダクタにより充電と放電を行うステップは、
オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム、第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、電池が第1インダクタに対して充電を行うステップ1と、
オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御することにより、電池が第2インダクタに対して充電を行い、第1インダクタがエネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップ2と、
オンにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアーム、第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、第2インダクタがエネルギー貯蔵素子に対して充電を行うステップ3と、
オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム、第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子が第1インダクタにより電池に対して充電を行うステップ4と、
オンにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの上ブリッジアームを制御し、オフにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御することにより、エネルギー貯蔵素子が第2インダクタにより電池に対して充電を行い、第1インダクタが電池に対して充電を行うステップ5と、
オンにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアームを制御し、オフにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアーム、第1相ブリッジアームの上ブリッジアーム及び下ブリッジアームを制御することにより、第2インダクタが電池に対して充電を行うステップ6と、を含んでもよい。
【0086】
該実施例において、コントローラが各ステップを能動的に制御することにより、電位エネルギーが大きくなり、電池加熱の効率が高くなる。
【0087】
上記実施例における方法について、各ステップが操作を実行する具体的な方式は、該装置に関連する実施例において詳細に説明されており、ここで詳細に説明しない。
【0088】
さらに別の実施例において、第1インダクタと第2インダクタのうちの一方がエネルギー貯蔵状態にあり、他方がフリーホイール状態にある段階において、動作するようにインダクタのフリーホイールを行うブリッジアームを制御した後、所定の時間を遅延して、動作するようにインダクタのエネルギー貯蔵を行うブリッジアームを制御する。
【0089】
所定の時間は、ブリッジアームにおけるスイッチトランジスタのスイッチング周期に基づいて設定されてもよく、例えば、所定の時間は、ブリッジアームにおけるスイッチトランジスタの半周期であってもよい。
【0090】
例えば、
図3bの段階において、オフにするように第1インダクタL1のフリーホイールを行う第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2を制御し、オンにするように第2インダクタL2のエネルギー貯蔵を行う第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御する必要がある。まず、オフにするように第1相ブリッジアームの下ブリッジアームS2を制御し、オフにした後、ブリッジアームスイッチトランジスタの半周期を経過し、次に、オンにするように第2相ブリッジアームの下ブリッジアームS4を制御する。
【0091】
また、例えば、
図3eの段階において、オンにするように第1インダクタL1のエネルギー貯蔵を行う第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1を制御し、オフにするように第2インダクタL2のフリーホイールを行う第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御する必要がある。まず、オフにするように第2相ブリッジアームの上ブリッジアームS3を制御し、オフにした後、ブリッジアームスイッチトランジスタの半周期を経過し、次に、オンにするように第1相ブリッジアームの上ブリッジアームS1を制御する。
【0092】
上記遅延操作により、ブリッジアームを交互にオンオフにすることにより、インダクタがフリーホイールを一定の時間開始した後、もう1つのインダクタがエネルギー貯蔵を開始し、このように電流衝撃を低減することができ、電荷がゆっくりと移動することができ、これは、インダクタ自体の充放電特性に合致し、装置の耐用年数を延長することに役立つ。
【0093】
さらに別の実施例において、加熱期間において、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームにおけるスイッチング周波数又はデューティ比を調整することにより、電池を流れる電流値が最適な電流値に達してもよい。
【0094】
最適な電流値は、電池及び回路特性を総合的に考慮する、電池を流れる理想的な電流値である。第1相ブリッジアームと第2相ブリッジアームが電圧変換器におけるブリッジアームであれば、最適な電流値は、電池に許容される最大電流値と電圧変換器に許容される最大電流値の両者のうちの小さい値であってもよい。
【0095】
電池に許容される最大電流値は、電池SOC、温度、交番周波数、電圧、単一の周期での充放電容量などの要因に関連する。電圧変換器に許可された最大電流値は、主にIGBTモジュールチップのジャンクション温度、インダクタコイルセンサの温度に制限され、メッセージにより収集された現在のIGBTチップの温度と、インダクタコイルセンサにより収集された現在の温度と、IGBTチップ及びインダクタコイルセンサのトルク制限温度とに基づいて、ルックアップテーブルの方式により電圧変換器に許可された最大電流を得ることができる。
【0096】
具体的には、最適な電流値は、以下の式により得ることができる。
【0097】
I(f)=min(I_max1,I_max2)
I_max1=C*f
I_max2=(U_max-OCV)/(R_ac(f))
ここで、I(f)は、最適な電流値であり、I_max1は、電池に許容される最大電流値であり、I_max2は、電圧変換器に許容される最大電流値であり、minは、最小値を求めることであり、Cは、1つのサイクルにおけるパルス充放電が超えてはならない容量であり、fは、電池の交番周波数であり、U_maxは、電池の最大電圧であり、OCVは、開放電圧であり、R_ac(f)は、電池の交流内部抵抗がfに伴って変化する関数である。
【0098】
該実施例において、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームにおけるスイッチング周波数又はデューティ比を調整することにより、電池を流れる電流値が最適な電流値に達することは、簡単な方法を利用することにより、電池加熱の効率が徐々に最大化に達し、制御しやすくかつ信頼性が高い。
【0099】
さらに別の実施例において、加熱期間において、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームのデューティ比を調整することにより、電池を流れる電流値が最適な電流値に達するステップは、
加熱期間において、電池を流れる電流と最適な電流値との比較結果及び第1相ブリッジアームと第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、電池を流れる電流値が最適な電流値に達するステップを含んでもよい。
【0100】
すなわち、第1相ブリッジアームと第2相ブリッジアームの各キャリア周波数周期におけるデューティ比は、いずれも前のキャリア周波数周期におけるデューティ比の状況に応じて調整されて、最適なデューティ比(最適な電流値に対応)に徐々に達する。このように、デューティ比調整の頻度が高いことにより、最適なデューティ比及び最適な電流値に迅速に達することができ、電池加熱の効率を迅速に向上させる。
【0101】
さらに別の実施例において、加熱期間において、電池を流れる電流と最適な電流値との比較結果及び第1相ブリッジアームと第2相ブリッジアームの現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比に基づいて、第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整することにより、電池を流れる電流値が最適な電流値に達するステップは、
電池の充電又は放電期間において、電池を流れる電流が最適な電流値より小さい場合、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より大きいように第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御するステップと、電池を流れる電流が最適な電流値より大きい場合、電池を流れる電流値が最適な電流値に達するまで、現在のキャリア周波数周期におけるデューティ比より小さいように第1相ブリッジアーム及び第2相ブリッジアームの次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を制御するステップと、を含んでもよい。
【0102】
すなわち、デューティ比の閉ループ制御により、回路における電流を、最終的に最適な電流値にする(又は加熱停止条件を満たすため、最適な電流値に達する前に加熱を停止する)。具体的には、初期のデューティ比を予め決定し、デューティ比調整のステップサイズを予め決定し、デューティ比の閉ループ制御過程において、初期のデューティ比及びステップサイズを利用して次のキャリア周波数周期におけるデューティ比を調整してもよい。このように、電池のエネルギー処理装置の安全を保証するだけでなく、加熱効率を向上させ、加熱時間を短縮することができる。
【0103】
図8は、例示的な実施例に係る電池のエネルギー処理方法のフローチャートである。
図8に示すように、電池自己加熱前に、電池管理システムは、電池温度Tを収集してもよく、温度Tが設定された温度値Tminより小さいと、電池SOCを収集し、収集されたSOCが設定されたSOCminより大きいと判定すると、加熱を開始する。又は、収集されたSOC<SOCminである場合、加熱しない。サンプリング温度T及びサンプリングSOCが、同時に要件、すなわちT<Tmin、かつサンプリングSOC>SOCminを満たす場合のみ、電池自己加熱プログラムを起動することができる。例えば、Tminは、零下10℃であってもよく、
SOCminは、10%であってもよい。また、セル間の最大温度差を考慮すると、収集された電池温度は、複数の監視点の平均値であってもよい。
【0104】
電池自己加熱プログラムを起動した後、電流の流れ方向を先に判定してもよい。電池がエネルギー貯蔵素子に対して充電を行うと、電流が0より大きく、S2、S4を制御して電池の放電を制御し、エネルギー貯蔵素子が電池に対して充電を行うと、電池の電流が0より小さく、S1、S3を制御して充電する電流を制御する。
【0105】
加熱プログラムを起動した後、電圧変換器のIGBTスイッチング周波数及び電池の交番キャリア周波数が決定された場合、初期のデューティ比をD0に設定する。電流が0より大きい場合、電池は、エネルギー貯蔵素子に対して充電を行い、オンにするようにS2を制御し、デューティ比がD0であり、半周期遅延した後、オンにするようにS4を制御し、デューティ比がD0である。同時に、この時の回路上の現在の電流値を収集し、現在の電流値が最適な電流値より小さい場合、次のキャリア周波数周期において、S2をオンにし、デューティ比がD0+ΔTであり、半周期遅延した後、S4をオンにし、デューティ比がD0+ΔTである。現在の電流値が最適な電流値より大きい場合、次のキャリア周波数周期において、オンにするようにS2を制御し、デューティ比がD0-ΔTであり、半周期遅延した後、オンにするようにS4を制御し、デューティ比がD0-ΔTである。デューティ比を調整した後、電池温度Tを再収集し、電池温度Tが設定された温度値Tminに達するか否かを判定する必要がある。電池の電流が0より小さい場合、S1と、S3を制御する方法は、類似する。
【0106】
本開示は、車両をさらに提供する。
図9は、例示的な実施例に係る車両の構造ブロック図である。
図9に示すように、該車両は、電池100と、本開示に係る上記電池のエネルギー処理装置200とを含んでもよい。
【0107】
図10は、別の例示的な実施例に係る車両の構造ブロック図である。該実施例において、車両は、ハイブリッド車両である。
図10に示すように、該車両は、電池100、電圧変換器300、バスキャパシタ30、駆動モータG1、駆動モータ制御ブリッジアーム400、発電機G2、及び発電機制御ブリッジアーム500を含んでもよい。上記電池のエネルギー処理装置200は、電圧変換器300及びバスキャパシタ30を含む。電圧変換器300は、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、2相ブリッジアームとを含む。電圧変換器300における2相ブリッジアームの第1バス端子も駆動モータ制御ブリッジアーム400と発電機制御ブリッジアーム500の第1バス端子であり、電圧変換器300における2相ブリッジアームの第2バス端子も駆動モータ制御ブリッジアーム400と発電機制御ブリッジアーム500の第2バス端子である。
【0108】
以上、図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態における具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的概念の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更は、いずれも本開示の保護範囲内にある。
【0109】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意の適当な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0110】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容と見なすべきである。