(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】メチルグリシンN,Nの二酢酸塩の脆砕相組成物を用いたメチルグリシンN,Nの二酢酸塩の共顆粒を調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C11D 3/26 20060101AFI20240710BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240710BHJP
C07C 229/16 20060101ALI20240710BHJP
C07C 227/42 20060101ALI20240710BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20240710BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C11D3/26
C09K3/00 108B
C07C229/16 CSP
C07C227/42
C11D17/06
C11D3/395
(21)【出願番号】P 2022578551
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2021000431
(87)【国際公開番号】W WO2021255525
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】バン ハレン,パウラス,ヨハネス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ヘウス,マーティン
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0073554(US,A1)
【文献】特開2013-253118(JP,A)
【文献】特表2007-532753(JP,A)
【文献】特表2022-515764(JP,A)
【文献】国際公開第2019/007944(WO,A1)
【文献】特表2016-534138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
C09K 3/00
C07C229/16
Japio-GPG/FX
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MGDA-Naxの固体結晶性共顆粒を調製するプロセスであって、xが2.5~3であり、脆砕相組成物の総重量で、
(i)有機化合物およびその塩の総量で85~100重量%のMGDA-Naxを含有する70~87重量%の有機化合物およびその塩であって、少なくとも60重量%のMGDA-Naxが
結晶質である、有機化合物およびその塩と、
(ii)13~30重量%の水と、を含有するMGDA-Nax含有脆砕相組成物を、
スケール防止剤、結晶抑制剤、フィルムまたはスポット防止ポリマー、ガラス腐食阻害剤、pH調整剤、キレート剤、ビルダー、漂白剤、界面活性剤の群から選択される少なくとも一つの第二の成分を含有する第二の組成物の存在下で乾燥する工程を含む、プロセス。
【請求項2】
前記脆砕相組成物が、前記組成物の総重量で、
(i)有機化合物およびその塩の総量で85~100重量%のMGDA-Naxを含有する70~80重量%の有機化合物およびその塩であって、
少なくとも60重量%のMGDA-Naxが結晶質である、有機化合物およびその塩と、
(ii)20~30重量%の水と、を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記脆砕相組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、75~80重量%の有機化合物およびその塩を含有する、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記脆砕相組成物中の前記
有機化合物およびその塩が、
有機化合物およびその塩の総量で90重量%を超えるMGDA-Naxを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
結晶質である前記MGDA-Naxが、総結晶性MGDA-Nax含量に基づいて、少なくとも75%が結晶タイプIである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記MGDAが、50~80%のLエナンチオマー形態と、20~50%のDエナンチオマー形態とで存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記乾燥工程前の前記得られた生成物混合物が前記脆砕相組成物のままであるように、前記第二の組成物が固体組成物または水性組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記乾燥工程前の前記得られた生成物混合物が前記脆砕相組成物のままであるように、前記第二の組成物が飽和または過飽和の水性組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第二の組成物が、幾つかの段階で、またはある期間にわたって連続的に、前記脆砕相に投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第二の組成物が、MGDA-Naxの脆砕相組成物の形成中に添加される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、蒸発工程、流動床乾燥工程、薄膜乾燥工程、ドラム乾燥工程、および噴霧造粒工程の群から選択される工程を乾燥工程として含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記プロセスにおいて、得られた前記固体結晶性共顆粒の一部が前記プロセスにリサイクルされ、MGDA-Naxを含有する水性組成物、MGDA-Naxの追加の脆砕相、および追加の第二の組成物のうちの少なくとも一つと混合される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記プロセスが連続的に実施される、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記MGDA-Nax含有脆砕相組成物が、固体MGDA-Na3をより少量のMGDA-Na3の水性組成物と混合することを含むプロセスによって調製され、それによって前記水性組成物の層で覆われた弱い凝集のMGDA-Na3粒子によって特徴付けられる脆砕相が得られ、前記MGDA-Na3粒子の大部分がMGDA-Na3を結晶状態で含み、また前記脆砕相が、脆砕の質感を有し、乾燥粒子材料に近似する流動学的挙動を示す、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
MGDA-Naxの共顆粒であって、xが2.5~3であり、
A)MGDA-Naxと、
B)共顆粒の総重量に基づいて0.7~4重量%の量で存在するケイ酸塩と、
を含有し、
前記共顆粒は60~100%の結晶度を有し、そして、
前記共顆粒は780~840Kg/m
3のかさ密度を有する、MGDA-Naxの共顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月19日に出願された欧州特許出願第20181237.7号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、結晶性共顆粒MGDA-Nax生成物を得るために、メチルグリシンN,N二酢酸のナトリウム塩であるMGDA-Naxの脆砕相組成物を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
MGDA-Nax(実際にはMGDA-NaxZ3-xであり、Zは一般にHであり、この文献において参照を簡単にするためにMGDA-Naxと称する)、xは2.5~3であり、メチルグリシン-N,N-二酢酸のナトリウム塩は、良好な生分解性を有する公知のキレート剤であり、幾つかの用途で用いられる。これらの用途の多くは、固体の(好ましくは顆粒状の)MGDA-Naxの使用を伴う。例えば、粉末状のまたは錠剤化された食器用洗剤配合物などの固体洗剤組成物を製剤化する場合、MGDA-Nax成分が乾燥および固体形態で利用可能であることが重要である。
【0004】
MGDA-Naxの固体を調製することは必ずしも単純ではない。MGDA-Nax固体を貯蔵することにおいても同様に、その課題がある。固体MGDA-Naxが主に非晶質である場合、非常に吸湿性が高くなり、そのため、湿気の多い条件下での保存に対して感受性が高くなり、その場合、材料は水を吸収して、粘着性の物質が生じ、これらの固体はその自由流動性特性を急速に失うため、固体製剤での使用に適さない固体となる。
【0005】
固体MGDA-Naxの吸湿性は、MGDA-Naxが(主に)結晶形態で存在する時、より低いことが分かった。非晶質固体としてではなく結晶として単離された時、MGDAの自由流動性特性も改善される。結晶性MGDA-Na3(メチルグリシン-N,N-二酢酸の三ナトリウム塩)の一部の種類は当技術分野で既知であり、XRD解析を介して認識可能であり、異なる特徴的な回折パターンを生じる。
【0006】
今日、MGDA-Na3について三つの結晶変態が知られている。
【0007】
国際公開第2012/168739号は、スラリーから出発して次に、得られた固体を凝集してその後、得られた凝集体を粉末状にする、MGDA-Na3を噴霧乾燥するプロセスを開示している。文献では、このプロセスを使用することで、より望ましくない一水和物に対して、より多くの結晶性二水和物が得られるとしている。本明細書における二水和物結晶は結晶タイプIと呼ばれ、一水和物と呼ばれるものは結晶タイプIIと呼ばれる。
【0008】
国際公開第2019/007944号は、結晶タイプIIIと呼ばれる第三の結晶タイプを開示している。
【0009】
結晶タイプI、II、IIIは、表1に示す通り、以下の回折パターンによって定義されることができる。
【表1】
【0010】
国際公開第2012/168739号において、多くの用途の場合で結晶タイプIは、結晶タイプIIよりも吸湿性が低いため、好ましい種類であることが示されている。結晶タイプIを高度に含有する粉末または顆粒は、高湿度条件下での保存時に、その自由流動性特性をよく保ち、その一方でタイプIIの種類のみを含有または主に含有する生成物は、これらの条件下で機能しない。
【0011】
第二の成分を含有するMGDAの共顆粒が作製された場合、固体MGDA-Nax生成物の特性をさらに改善することができる。
【0012】
MGDA-Naxの共顆粒は、欧州特許第2726442号などの幾つかの文書に開示されている。この共顆粒は乾燥MGDA-Na3とシリカをタンブルミキサー内で混合することによって調製される。
【0013】
国際公開第2010/133618号は、回転する内部を有する蒸発器内でMGDA-Na3(20~60重量%)の水溶液を濃縮して、60~85重量%の範囲の固体濃度を有する結晶スラリーを産生し、これがその後、ペーストバンカー中で熟成された後、薄膜接触乾燥機に投与されるというプロセスを開示している。これら二つの異なる結晶の種類または混合物を、このプロセスによって得ることができ、それらは結晶修飾体1および結晶修飾体2と称され、表1のII型およびI型にそれぞれ対応する。国際公開第2010/133618号では固体濃度を60~85重量%と規定しているものの、この組成物はスラリーであることが明確に述べられてもいる。国際公開第2010/133618号の実施例は、69重量%の固体を含有するスラリーよりも高くならず、これは攪拌しながら冷却され、そのため脆砕相組成物ではなく、依然として液体分散体を扱うものであると結論付けられなければならない。国際公開第2010/133618号のプロセスは、実施例で言及されている通りの濃度範囲においてMGDA-Na3が揺変性ペーストとして作用するため、濃度変動に対してかなり敏感であり、これは流動学的性質が濃度に大きく依存し、プロセスパラメーターが変動した場合に、プロセスラインを完全に閉塞するほどまでにファウリングの可能性を深刻に高める。
【0014】
国際公開第2018/153876号は、35~60重量%のMGDAアルカリ金属塩溶液に基づいて、0.1~2.0重量%の量で、粉末のアルミナ、粉末の分子ふるい、またはシリカ粉末などの特定の細孔体積を有する微粒子固体の存在下で、MGDAアルカリ金属塩を結晶化するプロセスを開示している。このプロセスは、少なくとも90重量%の結晶タイプIおよび少なくとも1重量%の結晶タイプIIを含有する、高い結晶度を有する固体MGDAアルカリ金属生成物をもたらす。
【0015】
国際公開第2015/173157号は、分散体からキレート剤を結晶化するプロセス(そこで分散体は粉砕される)を開示している。実施例において、MGDA-Na3も上記のプロセスを使用して結晶化される。MGDA-Na3が結晶化される実施例において、50重量%のMGDA-Na3を含有する分散体に、20重量%のMGDA-Na3シードが添加されて、これ故に58重量%のMGDA-Na3を含有する分散体を得る。上記のプロセスに従い、粉砕が用いられる場合、67%の結晶度を有する生成物が得られ、またこれと比較して、粉砕が用いられない場合、60%の結晶度を有する生成物が得られる。プロセスは、相当な量の水の存在に関係するということをさらに特徴とする。
【0016】
国際公開第2011/023382号および国際公開第2009/103822号は、MGDA-Na3の水溶液またはスラリーを噴霧造粒することによって、MGDA-Na3を調製するためのプロセスを開示している。このようなプロセスの重要な欠点は、このようなプロセスのエネルギー消費量が高いこと、および噴霧造粒の装置にかなりの工場スペースが必要であることである。その上、これらのプロセスを使用する場合、高い結晶度を有する生成物を得ることは、例えば好ましいタイプIの結晶性の種類のみを含有する生成物を得ることを目標にする場合に特に、困難ないしは不可能である。
【0017】
国際公開第2017/102483号は、塩分を除去することによってMGDA-Na3を結晶化するプロセスを開示している。こうしたプロセスは、生成物が徹底的に洗浄されない限り、廃液流を生じさせる、塩不純物で汚染された生成物をもたらす。
【0018】
結晶が採取される結晶化プロセスの一般的な欠点は、L-MGDA-Na3の播種された蒸発結晶化プロセスを開示している国際公開第2012/150155号、または国際公開第2015/173157号でも考慮されているが、母液で終わることであり、MGDA-Na3生産プロセスの副産物が濃縮され、最終的に廃液流を生じさせる。また、MGDA-Na3を乾燥するための結晶化プロセスには通常、相当量の水を溶媒または母液として循環させること、または母液が廃棄される場合に、相当量の廃液流が生成されることが伴う。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、上記の欠点を有しない結晶性MGDA-Naxの固体結晶性共顆粒を調製するための改善されたプロセスを提供することを目的としている。本発明は、脆砕相と呼ばれるMGDA-Naxの特殊な形態に基づいていて、ここで水は限られていて、主要部分についてMGDA-Naxが結晶状態で存在し、そのため非ペースト状の脆砕の質感が得られる。こうした脆砕相を乾燥プロセスの供給材料として使用する場合、循環水が限られ、廃液流を回避できる、高品質の生成物の高収率を特徴とする効率的なプロセスを得られる。本プロセスによって得られた共顆粒は、乾燥が非常に容易であることを特徴とし、良好な多孔性、改善されたかさ密度、保存安定性、吸湿性(低減された水分感受性)を有する。
【0020】
本発明は、MGDA-Naxの固体結晶性共顆粒を調製するプロセスを提供し、xは2.5~3であり、プロセスは、組成物の総重量で、
(i)有機化合物およびその塩の総量で85~100重量%がMGDA-Na3であり、少なくとも60重量%のMGDA-Na3が結晶質である、70~87重量%の有機化合物およびその塩と、
(ii)13~30重量%の水と、を含有するMGDA-Nax含有脆砕相組成物を、
スケール防止剤、結晶抑制剤、フィルムまたはスポット防止ポリマー、ガラス腐食阻害剤、pH調整剤、キレート剤、ビルダー、漂白剤、界面活性剤の群から選択される少なくとも一つの第二の成分を含有する第二の組成物の存在下で乾燥する工程を含む。
【0021】
脆砕相は、MGDA-Nax組成物などの水性組成物の薄層で覆われた弱く凝集した粒子固体を含む相であり、乾燥粒子材料の挙動に類似しているか、または少なくとも匹敵する流動学的挙動を示す。MGDA-Nax組成物の薄い層は、好ましくはMGDA-Naxの(飽和)水溶液である。
【0022】
当然のことながら、脆砕相生成物は、有機化合物・塩の含量および水の含量を有すると定義されていて、これは水が別個の液体水相として完全に存在することを意味するものではない。水の一部は結晶水として存在することができ、それによって固体水として見なされることができる。本発明で取り上げられた脆砕相組成物において、水は遊離水と結晶水の両方を網羅するように定義されている。水の量はカール・フィッシャー滴定によって決定されることができる。
【0023】
脆砕相の挙動は、取り扱いがより簡単な揺変性ペーストと比較して利点を有し、自由流動性顆粒へと乾燥させることがより容易であることが見いだされた。
【0024】
有機化合物は炭化水素骨格を有する化合物であり、この炭化水素骨格は、酸素原子または窒素原子などの一つ以上のヘテロ原子を含有してもよい。有機化合物の群は、カルボン酸などの有機酸および有機塩基を含む。カルボン酸が有機化合物画分中に存在する場合、こうしたカルボン酸の塩も本明細書において有機化合物画分の一部として見なされる。結晶水は有機化合物の重量分率には含まれていなく、どちらも無機塩などの無機化合物ではない。
【0025】
欧州特許第0845456号はまた、限定された量(すなわち10~30%)の水を用いてMGDA-Na3の組成物を結晶化するプロセスに関連することが注目されうる。ところが、本明細書の実施例から明らかである通り、本明細書で用いられる開始化合物は単に非晶質MGDA-Na3を含む。高結晶含有量のMGDA-Na3固体を調製するために、乾燥プロセス中に機械的応力を用いる。結晶化中に、ペースト状の高い揺変性の中間相が形成される。これは、プロセスパラメーターが変動した場合に、生成物の品質が変動する可能性を高める。これはまた、特に停電の場合と、一個の塊(最悪の場合、乾燥された後に、もはや粉砕機などの一般的に利用可能な機械的造粒手段では造粒されることができないコンクリート様またはガム様の質感)であるMGDA-Na3固体生成物が形成された場合とにおいて、プロセスラインを完全に閉塞する可能性を深刻に高める。
【0026】
本発明は、組成物が顆粒状の流動挙動を示す、ペースト相以外の相(割り当てられた、脆砕相)を特定し利用することによって、欧州特許第0845456号に記載のプロセスに関連する問題を回避し、MGDA-Naxの結晶性共顆粒を効果的に産生する。
【0027】
第二の組成物の存在下で、上記の脆砕相組成物を乾燥工程に供する本発明のプロセスを使用すると、驚くべきことに、高い結晶性、高いかさ密度を有し、例えばMGDA-Naxの主な販路の一つである洗剤産業によって求められる粒子サイズを有する主に楕円体の、または楕円体に極めて近い形状の粒子を有するMGDA-Nax結晶性生成物の共顆粒が得られる。得られた結晶性MGDA-Naxはその大半が結晶タイプIなどの特定の結晶タイプから成り、この場合、その調製に用いられた脆砕相生成物も、この好ましいタイプIなどの同じ結晶タイプを主に含有すると決定された。結晶性生成物は、70%の相対湿度(RH)および40℃で少なくとも144時間にわたって自由流動状態のままである。
【0028】
さらに、このプロセスは、高品質生成物の高収率と、廃液流がないこととによって特徴付けられる非常に効率的なプロセスである。
【0029】
本発明のプロセスにおいて、第二の組成物は好ましくは、MGDA-Naxの脆砕相組成物に、または代替的に、この脆砕相の調製中に、固体組成物または水溶液として添加される。さらにより好ましくは、組み合わされたMGDA-Naxと第二の成分含有組成物を脆砕状態に維持し続けるために、第二の組成物は、高濃縮、高飽和、または過飽和の水溶液として添加される、または幾つかの段階で、またはある期間にわたって連続的に投与される。第二の組成物が、MGDA-Naxの脆砕相の調製中に添加される場合、実施形態においてプロセスは、固体MGDA-Nax、MGDA-Nax溶液、および第二の組成物をまとめて添加する工程として含み、固体MGDA-NaxおよびMGDA-Nax溶液は、脆砕相MGDA-Naxが得られるように混合され、また好ましくは第二の組成物は、幾つかの成分をまとめて添加する工程中、脆砕状態が維持されるという性質のものである。
【0030】
第二の組成物は、スケール防止剤、結晶抑制剤(例えば、ホスホン酸塩)、フィルムまたはスポット防止ポリマー、ガラス腐食阻害剤(例えば、亜鉛塩、ビスマス塩)、pH調整剤(炭酸ナトリウム/重炭酸塩)、キレート剤、ビルダー、漂白剤、界面活性剤の群から選択される少なくとも一つの第二の成分を含有する。好ましくは、第二の成分は、シリカもしくはケイ酸塩、亜鉛塩、またはビスマス塩などのガラス腐食阻害剤であり、アクリレートポリマー、またはスルホン酸もしくはスルホン酸機能を含むエチレン性不飽和モノマーに基づくスルホポリマーなどのスケール防止ポリマーや、結晶抑制ポリマーや、フィルムまたはスポット防止ポリマーや、クエン酸などのキレート剤などである。
【0031】
MGDA-NaxはMGDAのナトリウム塩であり、ここで2.5~3モル当量のナトリウムが、1 MGDAモル当量で存在する(xは2.5~3である)。好ましくは、xは2.7~3であり、最も好ましくは、xは約3である。
【0032】
最後に、本発明は乾燥プロセスによって取得可能な生成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施形態において、乾燥プロセスは、50~80%のLエナンチオマー形態のMGDA(およびそれ故に、20~50%のDエナンチオマー形態のMGDA)を含有する、およびMGDA-Nax共顆粒生成物中のMGDA-Nax結晶の総量に基づいて、90~99%の結晶タイプIのMGDA-Naxと、1~10%の結晶タイプIIIのMGDA-Naxとを含有する、MGDA-Nax生成物の固体結晶性共顆粒を提供し、ここでxは好ましくは3である。
【0034】
好ましくは、乾燥プロセスによって得られる固体結晶性共顆粒MGDA-Nax生成物は、60~100%、より好ましくは70~100%、最も好ましくは75~100%のMGDA結晶度を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、共顆粒MGDA-Nax生成物は、総共顆粒重量で、40~89重量%のMGDA-Naxおよび0.5~40重量%の第二の成分、より好ましくは77~89重量%のMGDA-Naxおよび0.5~10重量%の第二の成分、最も好ましくは82~89重量%のMGDA-Naxおよび0.2~5重量%の第二の成分を含有する。その他に、水、および実施形態において、MGDA以外の有機化合物、第二の成分以外の無機塩を含有する。
【0036】
別の好ましい実施形態において、乾燥プロセスによって得られるMGDA-Nax脆砕相組成物および固体結晶性MGDA-Nax生成物は、0.25~0.75cm3/gの範囲の細孔体積を有する0.01重量%未満の微粒子固体を含有し、これは総MGDA-Nax重量で、66134:1998-02によると窒素吸着によって決定される。
【0037】
さらに別の好ましい実施形態において、乾燥プロセスによって得られるMGDA-Nax生成物の固体結晶性共顆粒は、生成物中のMGDA-Nax結晶の総量に基づいて、92~97%の結晶タイプIのMGDA-Naxと、3~8%の結晶タイプIIIのMGDA-Naxを含有し、ここでxは、より好ましくは3である。
【0038】
さらに別の好ましい実施形態において、MGDA-Nax脆砕相組成物は、20~30重量%の水、より好ましくは21~27重量%の水、最も好ましくは22~26重量%の水を含有し、重量%は脆砕相組成物の総重量に基づく。
【0039】
脆砕相組成物中の有機化合物およびその塩の重量パーセントは好ましい一実施形態において、70~80重量%、より好ましくは73~79重量%、最も好ましくは75~78重量%であり、重量%は脆砕相組成物の総重量に基づく。
【0040】
有機化合物およびその塩のうち、前述のとおり少なくとも85重量%がMGDA-Naxである。好ましくは、有機化合物およびその塩の少なくとも90重量%がMGDA-Naxである。存在しうる他の有機化合物およびその塩は、例えば出発物質、副産物、または添加剤として意図的に添加される化合物の不完全な反応に起因して、生産プロセスの残りの部分としてMGDAに見いだされることができる化合物を含み、またクエン酸もしくはクエン酸塩、グリコール酸もしくはグリコール酸塩、NTA-Nax、ギ酸もしくはギ酸塩などの化合物を含み、ここでNTA-Naxはニトリロ三酢酸のナトリウム塩を意味する。
【0041】
脆砕相中の水の分率には、微量の無機塩が存在しうる。そのような塩は、水酸化ナトリウム、または塩化ナトリウムであってもよい。
【0042】
好ましい一実施形態において、脆砕相を作る粒子は、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも75%、および最大で100%以下の結晶度を有する。一実施形態における粒子は、結晶タイプIを含むか、または粒子中の結晶性MGDA-Naxの少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%が結晶タイプIである。
【0043】
別の好ましい実施形態において、脆砕相組成物中および得られた共顆粒中のMGDA-Naxは、少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%の結晶度である。
【0044】
脆砕相中のMGDA-Naxは、Lエナンチオマー形態またはDエナンチオマー形態であってもよい。好ましくは、MGDA-Naxは、Lエナンチオマー形態が50~100%(およびそれ故に、Dエナンチオマー形態が0~50%)である。さらにより好ましくは、MGDA-Naxは、Lエナンチオマー形態が50~80%、最も好ましくはLエナンチオマー形態が50~65%である。
【0045】
好ましい一実施形態において、乾燥プロセスによって得られるMGDA-Nax生成物の固体結晶性共顆粒もまた、Lエナンチオマー形態が50~100%(およびそれ故に、Dエナンチオマー形態が0~50%)であり、さらに好ましくはLエナンチオマー形態が50~80%、最も好ましくはLエナンチオマー形態が50~65%である。
【0046】
当然のことながら、上記三つの結晶タイプI、II、IIIは主に、検出可能な量のDエナンチオマーが存在するMGDA-Na3の場合で観察されている。
【0047】
一実施形態において、MGDA-Naxの結晶性共顆粒を調製するために脆砕相組成物を乾燥するプロセスは、脆砕MGDA相への第二の組成物の投与を伴う。第二の組成物は、高濃縮、高飽和もしくは過飽和のいずれかの状態の水性液体として、または例えば、ノズルもしくは投与ポンプを介してスラリーとして投与されるか、または代替的に、第二の組成物は投与器によって、造粒機/ミキサー(例えば、レーディゲミキサー、デュプレックスミキサー)に固体として投与されることができる。第二の組成物の投与は、様々な方法で行われることができるが、好ましくは、第二の組成物とともに添加される水の量によって、MGDA-Naxと第二の組成物の混合物の物理的な取り扱いが変化しないような、好ましくは脆砕相の特性が維持されるような方法で行われるべきである。好ましくは、化合物が完全に混合された後、混合物は乾燥工程(蒸発工程、流動床乾燥工程、薄膜乾燥工程、ドラム乾燥工程の群から選択される工程)、および噴霧造粒工程に供される。組成物は特に、オーブン、回転蒸発器、ドラム、薄膜乾燥機、または移動ベルトもしくは流動床など、遊離水の単純な蒸発に基づく乾燥プロセスなどの単純な乾燥プロセスによって効率的に乾燥される。こうしたプロセスが、流体床、回転ドラム、または移動ベルトなどにおいてMGDA-Naxと第二の組成物の組成物が何らかの力学的エネルギーに供される工程を伴う場合、共顆粒生成物は直ちに顆粒状で利用可能であり、乾燥工程が力学的エネルギーの不在下で(例えば、オーブンにおいて)行われる時、生成物は、非常に容易に造粒されることが分かっている固体結晶性材料の多孔質ケーキとして得られる。
【0048】
乾燥プロセスにおいて、得られた結晶性生成物の一部をプロセスにリサイクルし、MGDA-Nax、MGDA-Naxの追加的な脆砕相、または第二の組成物を含有する水溶液のうちの少なくとも一つと混合することができる。
【0049】
好ましい一実施形態における乾燥工程は、オーブン内で実施される場合、1分~5時間の滞留時間にわたって実施される。乾燥工程が、流動床、薄膜乾燥機、ドラム乾燥機、または移動ベルトを使用して行われる場合、乾燥工程は10秒~30分、さらにより好ましくは30秒~15分の時間にわたって実施されることが好ましい。
【0050】
別の好ましい実施形態における乾燥工程は、30~300℃の温度で実施される。オーブンが使用される時、温度は40~100℃であることがより好ましく、流動床、ドラムもしくは別の回転蒸発器、または移動ベルトを使用する間、乾燥温度は、より好ましい実施形態において70~200℃である。
【0051】
乾燥プロセスは、バッチプロセス、半連続または連続プロセスとして行われてもよい。プロセスは連続的に実施されることが好ましい。
【0052】
様々な結晶タイプを特定するために、および結晶度を決定するために、Ni濾過Cu-Kα放射を有するBruker-AXS D8反射回折計を使用してディフラクトグラムを記録した。発生装置の設定は40kV、40mAである。固定サンプル照射15mm、Sollerスリット2.5度。測定範囲:2θ=5.0~70.0度、ステップサイズ0.02度、ステップ当たりの時間0.25秒。
【0053】
結晶化度は、結晶相および非晶相の表面画分を決定することと、これらを使用して結晶相の面積(Ic)と、非晶相の面積(Ia)および結晶相の面積から成る総面積との比率として結晶化度(「結晶度」とも呼ぶ)を計算することとによって、X線粉末ディフラクトグラムから確認した(結晶化度(%):Ic/(Ic+Ia)*100)。
この手順は、Bruker EVA v.4.2.1.10ソフトウェアを使用して、「エンハンスメントが無効」、「湾曲が1」、「閾値が1」のパラメータで実施された。
【0054】
本明細書において「自由流動性」と言及されるこの特性は、以下の方法によって定性的に判断された。
【0055】
約4gの材料を結晶皿(直径10cm)に計量し、底部上に均等に分布させ、その次に、較正された70%RH人工気象室(Weiss SB11 500)内に40℃で保存した。
【0056】
保存した後、皿を約60度傾け、軽く叩いた。
・すべての材料が一方の側に落ちる場合、材料は「自由流動」と判断される。
・材料のかなりの部分が皿の底に付着したままである場合、材料は「部分的に自由流動」と判断される。
・すべての材料が互いに固着している場合、材料は「固化」していると判断される。
・第四の可能性は、材料が部分的ないしは完全に「溶解」している状態であり、最初は、ガラス壁上の小さな液滴、または粒子床上のガラス状の光沢のある層の形態のいずれかで、液相の外観によって認識される。
【0057】
かさ密度は、自由に定着したかさ密度として決定された。
【0058】
本発明は以下の実施例によって説明される。
【実施例】
【0059】
実施例1(比較)
50重量%のMGDA-Na3水性スラリーを、タイプIの種類のMGDA-Na3種子を使用して、結晶化蒸発によって調製した。100mlのスラリーに、37重量%のケイ酸ナトリウム水溶液10mlを添加した。得られたスラリーを、実験室の回転蒸発器(温度50℃、圧力200mbar)を使用してさらに濃縮した。MGDA-Na3の濃度が63重量%になったところで、スラリーはペースト相に変化し、フラスコの壁に粘着性の膜を生じさせた。さらに乾燥させることで、壁にはもはや効率的に採取できない硬質膜を生じさせた。
【0060】
実施例2(比較)
40.7重量%のMGDA-Na3水溶液77kgを、80LのVrieco-Nautaコニカルスクリューミキサーに充填した。溶液を、50重量%のMGDA-Na3(ジャケット温度:50~120℃、圧力100~200mbar、ねじ速度70rpm)に濃縮した。タイプIの種類のMGDA-Na3種子300gを添加した後、37重量%のケイ酸ナトリウム水溶液1kgを添加し、得られたスラリーをさらに濃縮した。MGDA-Na3の濃度範囲60~65重量%で、揺変性ペースト相が形成され、深刻なファウリングの問題が生じた。最終的に得られた生成物は、さらに処理できない一個の楕円体の大きな塊であった。
【0061】
実施例3(比較)
40.2重量%のMGDA-Na3溶液328.1gを、ロータリーフィルム蒸発器(浴温68℃)中で減圧下(約50mbar)で、MGDAの濃度が60.7重量%になるまで水分蒸散によって濃縮した。過飽和MGDAをプラスチック皿に移し、直ちに23.9gのケイ酸ナトリウム溶液(例えば、27%以上のSiO2を含有するシグマアルドリッチ)を添加し、ヘラを用いて十分に混合した。ケイ酸ナトリウム溶液を添加すると直ちに、ゼリー相が形成された。混合物を、結晶タイプIの2.5gの固体粉末状MGDAで播種して、結晶化を強制した。播種した混合物を、80℃に設定した循環式オーブンで週末にわたり乾燥させた。取り扱いが可能な生成物を得るために、比較的に剛直な固体生成物は、20メッシュ分級ふるいを装備したインパクトミラーを使用して、破砕および粉砕されなければならなかった。粉末状の試料のXRD解析によって、生成物が結晶質(73%の結晶性)であり、タイプIの結晶のみから成ることが明らかとなった。しかし、元素分析(ICP-OES)によって、1.4重量%のSiの存在が明らかとなった。
【0062】
実施例4(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含量80重量%、結晶化度75%)のみを含有する138.8gの固体MGDA-Na3を、40重量%のMGDA-Na3水溶液11.3gとヘラで混合することによって、脆砕相組成物を調製した。MGDA-Na3溶液を少量ずつ(約2mL)添加し、固相全体にわたって水相の適切な均質化を可能にした。結晶性MGDAはプロセス中に凝集した。水性MGDA-Na3の添加後、ケイ酸ナトリウム水溶液(例えば、27%以上のSiO2を含有するシグマアルドリッチ)8gを再び少量ずつ(2ml)、脆砕相に添加し、その一方で混合物をヘラで均質化した。得られた組成物をペトリ皿内で、90℃に設定されたオーブンに入れて夜通し乾燥させた。得られた共顆粒はわずかにケーキ状であったが、容易に砕け、0.2~5mmの範囲の粒子が得られた。78重量%のMGDA含量および0.7重量%のSi含量を示す共顆粒は、わずかなタイプIIIの結晶(3%未満)を伴うタイプIの種類を示し、高い結晶度(80%)であるように見えた。
【0063】
実施例5(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含量80重量%、結晶度75%)のみを含有する17gの固体MGDA-Na3を、41重量%のMGDA-Na3水溶液3gとヘラで混合することによって、脆砕相組成物を調製した。MGDA-Na3溶液を少量ずつ(約1mL)添加し、固相全体にわたって水相の適切な均質化を可能にした。結晶性MGDAはプロセス中に凝集した。
【0064】
その後、17gの噴霧乾燥したベロール08(市販のNouryonの界面活性剤)を脆砕相に添加し、混合物をヘラで均質化した。ベロール08の添加後、41重量%のMGDA-Na3溶液6gを再び1mlずつ添加し、その一方で混合物をヘラで均質化した。得られた組成物をペトリ皿内で、50℃に設定されたオーブンに入れて夜通し乾燥させた。共顆粒は、タイプIの結晶の種類を示す高い結晶度(60%)であるように見えた(99%超)。
【0065】
実施例6(本発明による)
実施例4の手順を繰り返したが、ケイ酸ナトリウム溶液8gの代わりに、硫酸亜鉛一水和物(ガラス腐食阻害剤)1.4gを、ヘラを使用して4分割して添加し、0.4重量%の亜鉛を含有するMGDAから成るMGDA共顆粒が得られた。
【0066】
実施例7(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含量76.5重量%、結晶度75%)のみを含有する250gの固体MGDA-Na3の脆砕相組成物を、デュプレックスミキサー(300ml)に投与し、最高75℃の水浴によって加熱し、40RPMの回転速度で操作した。ケイ酸ナトリウム溶液(例えば、27%超のSiO2を含有するシグマアルドリッチ)27gを、約10分間にわたってノズルを介して添加した。混合物は凝集し始めた。投与後、得られた組成物を排出し、オーブンに入れて75℃で1時間にわたり乾燥させた。凝集体は破砕が容易で、ふるい分け後、非常に均一な粒子サイズの自由流動性のMGDA共顆粒を得た。
【0067】
実施例8(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含量80重量%、結晶度75%)のみを含有する150gの固体MGDA-Na3を、41重量%のMGDA-Na3水溶液15gと、40RPMの回転速度で動作するデュプレックスミキサー(300ml)内で混合することによって、脆砕相組成物を調製した。MGDA-Na3溶液を、約5分間にわたってノズルを介して添加した。混合物は凝集し始めた。
【0068】
脆砕相に、15.3gの噴霧乾燥Alcoguard H5941を添加した。均質化後、15gのAlcoguard H5941 40重量%水溶液(市販のNouryonの易生分解性ハイブリッドポリマー)を、約5分間にわたってノズルを介して投与した。Alcoguard H5941溶液の投与後、組成物をさらに2分間混合し、その後、得られた組成物をデュプレックスミキサーから排出し、オーブンに入れて50℃で夜通し乾燥させた。凝集体は破砕が容易であり、その一方で生成物はタイプIの結晶の種類(99%超)を含有する結晶度51%であることが明らかになった。
【0069】
実施例9(本発明による)
実施例7のミキサーから排出された50gの組成物を、流動床乾燥機(5Lテーブル乾燥機)に入れて80℃で8分間にわたり乾燥させ、0.1~5mmの範囲の自由流動粒子が得られ、83.5重量%のMGDA-Na3含量を示した。生成物の結晶度は83%であり、主にタイプIの種類と、数パーセントのタイプIIIの種類が見られた。
【0070】
実施例10(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含有量82重量%、結晶度75%)のみを含有する13.6kgの固体MGDA-Na3の脆砕相と、固体ケイ酸ナトリウム五水和物2.4kgとの混合物を、50LのLodige Ploughshareミキサーに添加し、170rpmの回転速度で操作し、その後40.7重量%のMGDA-Na3水溶液1.5kgを8分間にわたりノズルを介して投与した。混合中の温度は30~40℃であった。投与後、生成物(MGDA-Na3含量:67重量%)を、さらに2分間にわたり均質化した後、湿潤固体生成物を排出した。
【0071】
13kgの湿性生成物を、16Lの流動床乾燥機に入れて8分間にわたり乾燥させた(空気温度150℃、生成物の終了温度90℃)。
【0072】
その後、Alexanderwerk摩擦ふるいを使用して生成物を粉砕した。
74重量%のMGDA-Na3含量および4重量%のケイ酸塩を示す、自由流動性の共顆粒生成物を得た。生成物の結晶度は78%であり、タイプIの種類のみを示した。
【0073】
生成物の68重量%は0.5~1.5mmの粒子サイズを示した。かさ密度は840Kg/m3であった。
【0074】
実施例11(本発明による)
タイプIの結晶の種類(MGDA-Na3含有量81重量%、結晶度75%)のみを含有する13.6kgの固体MGDA-Na3の脆砕相と、40.7重量%のMGDA-Na3水溶液1.5kgとの混合物を、50LのLodige Ploughshareミキサーに添加し、170rpmの回転速度で操作し、その後、固体ケイ酸ナトリウム五水和物2.4kgを投与した。混合中の温度は30~40℃であった。投与後、反応混合物を、さらに10分間にわたり均質化した後、湿潤固体生成物を排出した。
【0075】
13kgの湿性生成物を、16Lの流動床乾燥機に入れて8分間にわたり乾燥させた(空気温度150℃、生成物の終了温度90℃)。
【0076】
その後、Alexanderwerk摩擦ふるいを使用して生成物を粉砕した。
74重量%のMGDA-Na3含量を示す、自由流動性の生成物を得た。生成物の結晶度は75%であり、タイプIの種類のみを示した。
【0077】
かさ密度は780Kg/m3であった。
【0078】
実施例12(本発明による)
約4重量%のケイ酸塩を含有する実施例11で得られた乾燥Si/MGDA共顆粒15kgを、50LのLodige Ploughshareミキサーに再投与し、170rpmの回転速度で操作し、その後ノズルを介して40.7重量%のMGDA-Na3水溶液1.5kgを添加した。さらに、113gの(27%以上)ケイ酸ナトリウム溶液を、別個のノズルを介して混合物上に投与した。混合中の温度は30~40℃であった。投与後、混合物を、さらに10分間にわたり均質化した後、湿潤固体生成物を排出した。1kgの湿潤生成物を、流動床乾燥機(5Lテーブル乾燥機)に入れて90℃の空気温度で20分間にわたり乾燥させた。
【0079】
その後、Alexanderwerk摩擦ふるいを使用して生成物を粉砕した。
【0080】
自由流動性の結晶性MGDAおよびケイ酸塩共顆粒生成物を得た。生成物の73重量%は0.2~1.5mmの粒子サイズを示した。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
MGDA-Naxの固体結晶性共顆粒を調製するプロセスであって、xが2.5~3であり、脆砕相組成物の総重量で、
(i)有機化合物およびその塩の総量で85~100重量%のMGDA-Na3を含有する70~87重量%の有機化合物およびその塩であって、少なくとも60重量%のMGDA-Na3が結晶性である、有機化合物およびその塩と、
(ii)13~30重量%の水と、を含有するMGDA-Nax含有脆砕相組成物を、
スケール防止剤、結晶抑制剤、フィルムまたはスポット防止ポリマー、ガラス腐食阻害剤、pH調整剤、キレート剤、ビルダー、漂白剤、界面活性剤の群から選択される少なくとも一つの第二の成分を含有する第二の組成物の存在下で乾燥する工程を含む、プロセス。
項2.
前記脆砕相組成物が、前記組成物の総重量で、
(i)有機化合物およびその塩の総量で85~100重量%のMGDA-Naxを含有する70~80重量%の有機化合物およびその塩であって、MGDA-Naxの少なくとも60重量%が結晶質である、有機化合物およびその塩と、
(ii)20~30重量%の水と、を含有する、項1に記載のプロセス。
項3.
前記脆砕相組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、75~80重量%の有機化合物およびその塩を含有する、項1または項2に記載のプロセス。
項4.
前記脆砕相組成物中の前記有機物およびその塩が、総有機化合物に基づいて、90重量%を超えるMGDA-Naxを含有する、項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
項5.
結晶質である前記MGDA-Naxが、総結晶性MGDA-Nix含量に基づいて、少なくとも75%が結晶タイプIであり、好ましくは少なくとも90%である、項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
項6.
前記MGDAが、50~80%のLエナンチオマー形態と、20~50%のDエナンチオマー形態とで存在する、項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
項7.
好ましくは前記乾燥工程前の前記得られた生成物混合物が前記脆砕状態のままであるように、前記第二の組成物が、固体組成物または水性組成物であり、好ましくは飽和または過飽和の水性組成物である、項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
項8.
前記第二の組成物が、幾つかの段階で、またはある期間にわたって連続的に、前記脆砕相に投与される、項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
項9.
前記第二の組成物が、MGDA-Naxの脆砕相組成物の形成中に添加される、項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
項10.
前記プロセスが、蒸発工程、流動床乾燥工程、薄膜乾燥工程、ドラム乾燥工程、および噴霧造粒工程の群から選択される工程を乾燥工程として含む、項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
項11.
前記プロセスにおいて、得られた前記結晶性生成物の一部が前記プロセスにリサイクルされ、MGDA-Naxを含有する水性組成物、MGDA-Naxの追加の脆砕相、および追加の第二の組成物のうちの少なくとも一つと混合される、項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
項12.
前記プロセスが連続的に実施される、項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
項13.
前記MGDA-Nax含有脆砕相組成物が、固体MGDA-Na3をより少量のMGDA-Na3の水性組成物と混合することを含むプロセスによって調製され、それによって前記水性組成物の層で覆われた弱い凝集のMGDA-Na3粒子によって特徴付けられる脆砕相が得られ、前記MGDA-Na3粒子の大部分がMGDA-Na3を結晶状態で含み、また前記脆砕相が、脆砕の質感を有し、乾燥粒子材料に近似する流動学的挙動を示す、項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
項14.
総共顆粒重量で、40~89重量%のMGDA-Naxと、0.5~40重量%の少なくとも一つの第二の成分とを含有する、項1~13のいずれか一項に記載のプロセスによって取得可能な固体結晶性共顆粒MGDA-Nax生成物。
項15.
MGDA-Nax結晶の総量に基づいて、50~80%の前記Lエナンチオマー形態のMGDAを含有し、90~99%の前記結晶タイプIの結晶および1~10%の結晶タイプIIIの結晶を含有する、項14に記載の共顆粒MGDA-Nax生成物。