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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】集合住宅用インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H04M9/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023032748
(22)【出願日】2023-03-03
(62)【分割の表示】P 2018182426の分割
【原出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2023065619
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 将規
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-124139(JP,A)
【文献】特開2004-201250(JP,A)
【文献】特開2002-125059(JP,A)
【文献】特開2004-297254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
9/00- 9/10
11/00-11/10
H04Q 3/58- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集合住宅に適用される、集合住宅用インターホンシステムであって、
汎用プロトコルに従って通信が行われる外部ネットワーク及びインターホン回線に接続可能なハブと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、各居室の部屋番号を入力することが可能な入力部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記入力部で入力された部屋番号に基づいて、前記外部ネットワークと接続可能な携帯端末を呼び出すための呼出信号を生成可能な生成部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記外部ネットワーク上に配置された電話交換機に向けて、前記呼出信号を発信可能な発信部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されたCGIサーバと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、映像を撮像可能なネットワークカメラと、
を備え、
前記電話交換機の設置時に、呼出テーブルが前記電話交換機に記憶され、
前記呼出テーブルは、呼出番号を含み、
前記呼出番号は、前記集合住宅毎に割り当てられる棟管理番号と、前記集合住宅内の各居室の前記部屋番号に基づいて生成され、
前記棟管理番号は、前記集合住宅毎に異なる番号であり、
前記生成部は、前記呼出番号の情報を含む前記呼出信号を生成し、
前記呼出信号は、前記部屋番号に対応する前記携帯端末に向けて発信されるように、前記電話交換機へ送信され、
前記CGIサーバが前記生成部を有しており、
前記ネットワークカメラが、前記CGIサーバから受信した前記呼出信号の情報を次に受信した前記呼出信号の情報に更新可能な前記発信部を有している、
集合住宅用インターホンシステム。
【請求項2】
前記呼出テーブルには、前記携帯端末と前記呼出番号とを対応付けて記録可能である、
請求項1に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項3】
前記呼出番号は、各居住者の携帯端末毎に異なる番号が付与され、
前記呼出テーブルには、居住者毎に、各居住者が保有する前記携帯端末と前記呼出番号とを対応付けて記録可能である、
請求項2に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項4】
各居室に設置されるとともに、前記インターホン回線を介して前記ハブに接続可能な玄関子機を備え、
前記携帯端末は、前記玄関子機から呼び出し可能である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項5】
複数の前記集合住宅は、それぞれ、集合玄関と、複数の前記居室と、を有し、
前記入力部は、前記集合玄関にそれぞれ設置される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項6】
複数の集合住宅に適用される、集合住宅用インターホンシステムであって、
汎用プロトコルに従って通信が行われる外部ネットワーク及びインターホン回線に接続可能なハブと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、各居室の部屋番号を入力することが可能な入力部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記入力部で入力された部屋番号に基づいて、前記外部ネットワークと接続可能な携帯端末を呼び出すための呼出信号を生成可能な生成部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記外部ネットワーク上に配置された電話交換機に向けて、前記呼出信号を発信可能な発信部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されたCGIサーバと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、映像を撮像可能なネットワークカメラと、
を備え、
前記呼出信号は、前記部屋番号に対応する前記携帯端末に向けて発信されるように、前記電話交換機へ送信され、
前記CGIサーバが前記生成部を有しており、
前記ネットワークカメラが、前記CGIサーバから受信した前記呼出信号の情報を次に受信した前記呼出信号の情報に更新可能な前記発信部を有している、
集合住宅用インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅に用いられるインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯端末の普及が進むに伴い、集合住宅用のインターホンシステムにおいて、集合玄関機からの呼出を携帯端末で受けたいとのニーズが高まっている。
例えば、従来、住戸内に、居室親機と通信可能な無線ルータを設置し、住戸内に形成されたネットワーク内において、携帯端末で呼出信号を受信(着信)することが可能に構成されたインターホンシステムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-192676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ユーザは、外出先(住戸外)では携帯端末で呼出信号を受信することができず、利便性に改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、外出先でも携帯端末で呼出信号を受信することが可能な集合住宅用インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の集合住宅用インターホンシステムは、
汎用プロトコルに従って通信が行われる外部ネットワーク及びインターホン回線に接続可能なハブと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、各居室の部屋番号を入力することが可能な入力部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記入力部で入力された部屋番号に基づいて、前記外部ネットワークと接続可能な携帯端末を呼び出すための呼出信号を生成可能な生成部と、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、前記外部ネットワーク上に配置された電話交換機に向けて、前記呼出信号を発信可能な発信部と、
を備え、
前記呼出信号は、前記部屋番号に対応する前記携帯端末に向けて発信されるように、前記電話交換機へ送信される。
【0007】
上記構成によれば、訪問者によって入力部に部屋番号が入力されると、生成部によって呼出信号が生成されて、その呼出信号が外部ネットワーク上の電話交換機に向けて発信される。その後、呼出信号が電話交換機を介して携帯端末に向けて発信される。このため、ユーザ(居住者)は、外出先でも携帯端末で呼出信号を受信することができる。
【0008】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記生成部は、集合住宅毎に割り当てられる棟管理番号と前記集合住宅の各居室の部屋番号とに基づいて生成された呼出番号の情報を含む前記呼出信号を生成してもよい。
【0009】
上記構成によれば、生成部において、同一の部屋番号であっても、集合住宅毎に異なる呼出信号が生成される。このため、訪問者は、集合住宅毎に割り当てられる棟管理番号を意識することなく、訪問先の居住者の携帯端末を呼び出すことができる。
【0010】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記電話交換機には、前記携帯端末と前記呼出番号とを対応付けて記録可能な呼出テーブルが記憶されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、例えば電話交換機の設置時に、部屋毎の呼出番号を記録した呼出テーブルを記憶しておき、その後、例えば入居時に、居住者が携帯端末から電話交換機にアクセスして、携帯番号を特定する情報を部屋番号と対応付けて記録することで、初期設定を簡易的に行うことができる。
【0012】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記呼出番号は、各居住者の携帯端末毎に異なる番号が付与され、
前記呼出テーブルには、居住者毎に、各居住者が保有する前記携帯端末と前記呼出番号とを対応付けて記録可能であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、一つの居室に複数の居住者が存在する場合であっても、居住者毎に、各居住者が保有する携帯端末を呼び出すことができる。
【0014】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムは、
各居室に設置されるとともに、前記インターホン回線を介して前記ハブに接続可能な玄関子機を備え、
前記携帯端末は、前記玄関子機から呼び出し可能であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、訪問者が玄関子機でユーザ(居住者)を呼び出す操作を行うと、その呼出信号が電話交換機を介して携帯端末に向けて発信される。このため、ユーザは、外出中においても、携帯端末で呼出信号を受信することができる。
【0016】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムは、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されたCGIサーバと、
前記インターホン回線を介して前記ハブに接続されるとともに、映像を撮像可能なネットワークカメラと、
を備え、
前記CGIサーバが前記生成部を有しており、
前記ネットワークカメラが、前記CGIサーバにより呼出先を書き換え可能な前記発信部を有していてもよい。
【0017】
上記構成によれば、ネットワークカメラとCGIサーバを利用して、外出先でも携帯端末を呼び出すことが可能なインターホンシステムの構成を簡易的に実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外出先でも携帯端末で呼出信号を受信することが可能な集合住宅用インターホンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る集合住宅用インターホンシステムの構成図である。
図2】集合住宅用インターホンシステムの機能ブロック図である。
図3】電話交換機に記憶される呼出テーブルの一例を示す図である。
図4】電話交換機に記憶される呼出テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る集合住宅用インターホンシステムの実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の集合住宅用インターホンシステム1を示す構成図である。図1に示すように集合住宅用インターホンシステム1は、テンキーユニット10(入力部の一例)と、CGI(Common Gateway Interface)サーバ20と、ネットワークカメラ30と、玄関子機40と、管理室機50と、接続機60と、スイッチングハブ70(ハブの一例)と、を備えている。集合住宅用インターホンシステム1は、例えばマンション等の集合住宅に適用されるインターホンシステムである。
【0021】
テンキーユニット10、CGIサーバ20、ネットワークカメラ30、玄関子機40、管理室機50、および接続機60は、汎用プロトコルに従って通信が行われるインターホン回線Lを介してスイッチングハブ70に接続されている。本例のインターホン回線Lは、LAN(Local Area Network)ケーブルで構成されている。なお、インターホン回線Lは専用線で構成されるようにしてもよい。
【0022】
テンキーユニット10は、集合住宅における各居室の例えば部屋番号を入力するためのユニットである。テンキーユニット10は、集合住宅の例えば集合玄関等に設置される。なお、入力部は、集合玄関機が備えるテンキーで構成するようにしてもよい。
【0023】
玄関子機40は、各居室の玄関に設置されている。玄関子機40は、訪問者が居住者を呼び出すための呼出ボタン41と、訪問者が居住者と通話するための通話部42と、訪問者の映像を撮像可能なカメラ43と、を備えている。
【0024】
管理室機50は、集合住宅の管理室に設置されている。管理室機50は、ネットワークカメラ30で撮像された映像等が表示される表示部51と、特定の居室を呼び出す際に操作される操作部52と、管理人が居住者と通話するための通話部53と、を備えている。操作部52は、例えば表示部51の画面に配置されるタッチパネル上の操作ボタン等で構成されている。
【0025】
CGIサーバ20は、受信したデータに基づいて所定の信号を生成する生成機能を有している。CGIサーバ20は、例えばテンキーユニット10から受信したデータに基づいて、各居室の居住者が保有する携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット等)80を呼び出すための呼出信号を生成する。また、CGIサーバ20は、ネットワークカメラ30の動作を制御する制御機能を有している。
【0026】
ネットワークカメラ30は、CGIサーバ20による制御に応じて所定の信号を発信する発信機能を有している。ネットワークカメラ30は、CGIサーバ20による制御に応じて、例えば携帯端末80を呼び出す呼出信号を電話交換機(例えば、PBX:Private Branch eXchange等)90に向けて発信可能である。また、ネットワークカメラ30は、集合住宅を訪れた訪問者の映像を撮像可能である。さらに、ネットワークカメラ30は、ネットワークカメラ30が備える通話部(マイク、スピーカ)31を介して訪問者が居住者と通話できるように構成されている。ネットワークカメラ30は、テンキーユニット10と共に集合玄関等に設置されている。なお、訪問者が居住者と通話するための通話部は、テンキーユニット10に設けられるようにしてもよい。
【0027】
ネットワークカメラ30は、スイッチングハブ70、接続機60、および外部ネットワークTを介して電話交換機90と通信可能に接続されている。外部ネットワークTとしては、汎用プロトコルに従って通信が行われる例えばインターネットが用いられている。
【0028】
スイッチングハブ70は、例えばPoE(Power over Ethernet)対応機器へ通信と電源供給の両方を行うPoE給電スイッチングハブである。スイッチングハブ70は、ネットワークカメラ30に電源を供給可能である。
【0029】
接続機60は、ネットワークカメラ30を外部ネットワークTに接続させるためのものであり、例えばモデム、ルータ等で構成されている。
【0030】
携帯端末80は、外部ネットワークTを介して電話交換機90と通信可能である。
電話交換機90は、外部ネットワークT上に配置されたクラウド型の電話交換機である。
【0031】
図2は、集合住宅用インターホンシステム1の機能ブロック図である。
図2に示すように、CGIサーバ20は、受信したデータに基づいて所定の信号を生成可能な生成部21を備えている。
ネットワークカメラ30は、訪問者が居住者と通話するための通話部31と、訪問者の映像を撮像可能な撮像部32と、CGIサーバによる制御に応じて所定の信号を発信可能な発信部33と、撮像された映像及び呼出信号に含まれる呼出番号の情報等を記憶する記憶部34と、を備えている。
電話交換機90は、記憶部91を備え、当該記憶部91には呼出番号と携帯端末とを対応付けて記録可能な呼出テーブル91aが記憶されている。
【0032】
CGIサーバ20の生成部21は、テンキーユニット10で入力された居室の部屋番号に基づいて、電話交換機90を介して携帯端末80を呼び出すための呼出信号を生成する。呼出信号は、例えば、異なる地域に建てられた集合住宅毎に割り当てられる「棟管理番号」と、各集合住宅における各居室の「部屋番号」とに基づいて生成された呼出番号の情報を含む信号として構成されている。CGIサーバ20は、生成された呼出信号をネットワークカメラ30に送信する。
【0033】
ネットワークカメラ30の発信部33は、CGIサーバ20から送られてきた呼出信号を電話交換機90に向けて発信可能である。
【0034】
電話交換機90は、ネットワークカメラ30から送られてきた呼出信号を受信する。電話交換機90は、受信した呼出信号に含まれる呼出番号の情報を取得し、呼出テーブル91aを参照して、取得した呼出番号に対応付けられているメールアドレス(ユーザーアカウントの一例)を特定する。電話交換機90は、外部ネットワークTを介して、このメールアドレスにより特定された携帯端末80に向けて呼出信号を送信する。
【0035】
図3は、電話交換機90の記憶部91に記憶されている呼出テーブル91aの一例を示す。図3に示すように、呼出テーブル91aには、携帯端末80のユーザーアカウント92と呼出番号93とが対応付けて記録されている。
【0036】
呼出番号93は、集合住宅を特定するための棟管理番号「100」「101」等と、集合住宅の各居室を特定するための部屋番号「101」「102」等とで構成されている。例えば、棟管理番号「100」はA地域の集合住宅Xであることを特定する番号であり、棟管理番号「101」はA地域とは異なるB地域の集合住宅Yであることを特定する番号である。また、部屋番号「101」は集合住宅の101号室であることを特定する番号であり、部屋番号「102」は集合住宅の102号室であることを特定する番号である。
【0037】
ユーザーアカウント92は、ユーザ(居住者)のメールアドレスと、パスワードとを含む構成とされている。ユーザーアカウント92の各情報は、ユーザが自己の携帯端末80から登録する。例えば、呼出テーブル91aにおける最上段の記録欄94に記録されている情報は、棟管理番号が「100」の集合住宅Xにおける「101号室」の居住者が携帯端末からメールアドレス「XXX@ZZZ.jp」、パスワード「12345678」を登録していることを表す。
【0038】
次に、集合住宅用インターホンシステム1の動作について図1図3を参照して説明する。
(初期設定)
先ず、集合住宅用インターホンシステム1を利用するにあたり、居住者は、訪問者からの呼び出しを居住者が保有する携帯端末80で受信できるようにするために、携帯端末80の登録を行う。ここでは、A地域の集合住宅Xに入居する101号室の居住者が登録する場合を例として説明する。
【0039】
居住者は、登録に必要な所定のアプリケーションを外部ネットワークTを介して携帯端末80にダウンロードし、このアプリケーションを用いて例えば入居契約時に与えられているパスワード(入居者を証明する情報の一例)を入力する。入力されたパスワードは、外部ネットワークTを介して電話交換機90に送信される。
【0040】
電話交換機90は、送信されてきたパスワードを確認して集合住宅Xの101号室の居住者であることを認証した後、居住者に対してその居住者が保有する携帯端末80のメールアドレス及びパスワードを要求する。
【0041】
居住者は、電話交換機90からの要求に応じて、その居住者が保有する携帯端末80の「メールアドレス」及び「パスワード」を入力して、集合住宅用インターホンシステム1を利用するためのユーザーアカウントを取得する。
【0042】
電話交換機90は、居住者の携帯端末80から受信した「メールアドレス」及び「パスワード」を呼出番号93(棟管理番号、部屋番号)と対応付けて呼出テーブル91aに記録する(図3参照)。呼出テーブル91aの記録欄94に示すように、集合住宅Xを特定する棟管理番号「100」と101号室を特定する部屋番号「101」に対応付けて、101号室の居住者が保有する携帯端末80のメールアドレス「XXX@ZZZ.jp」及びパスワード「12345678」が記録されている。
【0043】
これにより、居住者の携帯端末80の登録が完了するとともに、電話交換機90の初期設定が完了する。
【0044】
(呼出動作)
続いて、訪問者が集合住宅Xの101号室の居住者を訪問した場合の呼出動作を説明する。
訪問者は、集合住宅Xの集合玄関に設置されているテンキーユニット10を操作して、訪問先の部屋番号である「101」を入力する。
【0045】
テンキーユニット10が操作されると、入力された部屋番号「101」の情報を含む信号がインターホン回線Lおよびスイッチングハブ70を介してCGIサーバ20に送信される。
CGIサーバ20の生成部21は、受信した部屋番号「101」の情報を含む信号に基づいて、101号室の居住者が保有する携帯端末80を呼び出すための呼出信号を生成する。呼出信号は、集合住宅Xを特定するための棟管理番号「100」と、101号室を特定するための部屋番号「101」とを組み合わせた呼出番号「100101」の情報を含む信号として生成される。CGIサーバ20は、生成された呼出信号を、スイッチングハブ70を介してネットワークカメラ30に送信する。
【0046】
ネットワークカメラ30は、呼出信号を受信すると、呼出信号に基づいて認識される呼出番号「100101」を記憶部34に記憶する。記憶部34に記憶されている呼出番号は、CGIサーバ20からネットワークカメラ30に呼出信号が送信されてくるたびに書き換えられる。このように、呼出番号を書き換えることにより、呼出先を書き換える(更新する)ことができる。
【0047】
ネットワークカメラ30の発信部33は、呼出番号「100101」の情報を含む呼出信号を、スイッチングハブ70、接続機60、および外部ネットワークTを介して電話交換機90に発信する。
【0048】
電話交換機90は、呼出信号を受信すると、呼出テーブル91aを参照して、携帯端末80のユーザーアカウント92として登録されているメールアドレスの中から呼出信号に含まれる呼出番号「100101」の情報に対応付けられているメールアドレス「XXX@ZZZ.jp」(図3参照)を特定する。
電話交換機90は、外部ネットワークTを介して、このメールアドレス「XXX@ZZZ.jp」で特定された携帯端末80に向けて呼出信号を送信し、訪問者からの呼び出しを知らせる。
【0049】
呼出信号を受信した携帯端末80、すなわち101号室の居住者が保有する携帯端末80では、訪問者が集合玄関から呼び出しを行っている旨を知らせる呼出音が出力される。
【0050】
携帯端末80の呼出音に対して居住者が応答の操作をすると、応答信号が電話交換機90、外部ネットワークT、接続機60、およびスイッチングハブ70を介して携帯端末80からネットワークカメラ30に送信される。これにより、ネットワークカメラ30の通話部31と携帯端末80の通話部を通じて訪問者と居住者との間で通話が可能になる。なお、この通話を行うときに、ネットワークカメラ30で撮像した訪問者の映像(静止画像、動画)が携帯端末80の表示画面81に表示されてもよい。そして、居住者が携帯端末80を介して集合玄関の解錠操作を行うことで集合玄関ドアが解錠される。
【0051】
以上のような構成の集合住宅用インターホンシステム1によれば、訪問者によりテンキーユニット10から訪問先の部屋番号が入力されると、CGIサーバ20によって呼出信号が生成される。CGIサーバ20によって生成された呼出信号は、ネットワークカメラ30に送信され、ネットワークカメラ30から外部ネットワークT上の電話交換機90に向けて発信される。そして、呼出番号に対応付けて記録されている居住者のメールアドレスが呼出テーブル91aに基づいて特定され、このメールアドレスで特定された携帯端末80に向けて電話交換機90を介して呼出信号が送信される。このため、ユーザ(居住者)は、外出先であっても携帯端末80で訪問者からの呼出信号を受信することができる。
【0052】
また、CGIサーバ20で生成される呼出信号は、集合住宅毎に割り当てられる棟管理番号「100,101、・・・」と、集合住宅の各居室の部屋番号「101,102、・・・」とを組み合わせた呼出番号に基づいて生成される。このため、同一の部屋番号であっても集合住宅毎に異なる呼出信号が生成されるので、訪問者は、集合住宅毎に割り当てられる棟管理番号を意識することなく、訪問先の居住者の携帯端末80を呼び出すことができる。また、テンキーユニット10を介して訪問者から入力されてくる情報が部屋番号のみであっても訪問先の集合住宅の居住者を正確に呼び出すことができる。
【0053】
また、生成部としてCGIサーバ20を利用し、発信部としてネットワークカメラ30を利用することで、居住者が外出先でも訪問者の呼び出しを携帯端末80で受信することが可能な集合住宅用インターホンシステムの構成を簡易的に実現することができる。
【0054】
また、電話交換機90には、携帯端末80と呼出番号93とを対応付けて記録可能な呼出テーブル91aが記憶されている。例えば電話交換機90の設置時に、部屋毎の呼出番号を呼出テーブル91aに記録しておき、その後、例えば入居時に、居住者が携帯端末80から電話交換機90にアクセスして携帯端末を特定する情報(メールアドレス等のユーザーアカウント)を部屋番号と対応付けて呼出テーブル91aに記録することで、電話交換機90の初期設定を簡易的に行うことができる。
【0055】
(変形例1)
上記実施形態においては、集合住宅の居住者が一つの携帯端末80を用いて訪問者からの呼び出しを受信する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、集合住宅の一つの居室に複数の居住者がいて、一つの居室として複数の携帯端末80が保有されている場合には以下のような構成になる。なお、本例では集合住宅X(棟管理番号「100」)の101号室に3人の居住者(父、母、子)がいて、各居住者がそれぞれ携帯端末80(80a,80b,80c)を保有している場合について説明する。
【0056】
図4は、電話交換機90に記憶されている呼出テーブル191aの一例を示す。図4に示すように、呼出テーブル191aには、携帯端末80のユーザーアカウント192(メールアドレス、パスワード)と呼出番号193とが対応付けて記録されている。呼出番号193は、例えば異なる地域に建てられた集合住宅毎に割り当てられる「棟管理番号」と、各集合住宅における各居室の「部屋番号」と、一つの居室の複数の居住者に付与される「居住者番号」と、で構成されている。
【0057】
3人の居住者(父、母、子)が集合住宅用インターホンシステム1の利用を希望する場合、各居住者が保有する携帯端末80a,80b,80cに所定のアプリケーションをそれぞれダウンロードする。各居住者は、このアプリケーションを用いて「メールアドレス」及び「パスワード」を入力する。これにより、携帯端末80a,80b,80cのメールアドレス及びパスワードが呼出テーブル191aのユーザーアカウント192に登録される。
【0058】
電話交換機90は、居住者から受信した「メールアドレス」及び「パスワード」を呼出番号193(棟管理番号、部屋番号、居住者番号)と対応付けて呼出テーブル191aに記録する。居住者番号は、居住者毎に異なる番号が付与される。本例のように一つの居室において3つの携帯端末80a,80b,80cから登録要請がある場合、居住者番号は例えば「#1」「#2」「#3」のように付与される。
【0059】
これにより、呼出テーブル191aの記録欄194に示すように、各居住者が保有する携帯端末80a、80b、80cと呼出番号193とが対応付けて記録される。具体的には、集合住宅Xを特定する棟管理番号「100」と101号室を特定する部屋番号「101」と第一の居住者を特定する居住者番号「#1」とに対応付けて、例えば父が保有する携帯端末80aのメールアドレス「XXX@ZZZ.jp」及びパスワード「12345678」が記録される。また、呼出テーブル191aの記録欄195に示すように、棟管理番号「100」と部屋番号「101」と第二の居住者を特定する居住者番号「#2」とに対応付けて、例えば母が保有する携帯端末80bのメールアドレス「fff@ZZZ.jp」及びパスワード「6565682」が記録される。また、呼出テーブル191aの記録欄196に示すように、棟管理番号「100」と部屋番号「101」と第三の居住者を特定する居住者番号「#3」とに対応付けて、例えば子が保有する携帯端末80cのメールアドレス「ddd@ZZZ.jp」及びパスワード「12312322」が記録される。
【0060】
例えば101号室の母のところに訪れた訪問者は、集合住宅Xの集合玄関に設置されているテンキーユニット10を操作して、訪問先の部屋番号である「101」と、母の居住者番号である「#2」と組み合わせた番号「101#2」を入力する。なお、番号「101#2」は、101号室の居住者(母)から訪問者に予め知らせても良く、部屋番号「101」をテンキーユニット10で入力した時に「○○の呼出をご希望の場合は#2を続けて入力してください」等の音声ガイダンス等で知らせても良い。
【0061】
CGIサーバ20の生成部21は、番号「101#2」に基づいて、101号室の居住者である母が保有する携帯端末80bを呼び出すための呼出信号を生成する。呼出信号は、棟管理番号「100」と、部屋番号「101」と、居住者番号「#2」とを組み合わせた呼出番号「100101#2」の情報を含む信号として生成される。
【0062】
呼出信号を受信したネットワークカメラ30の記憶部34に記憶されている呼出番号は、CGIサーバ20により、CGIサーバ20から送信されてきた呼出信号に基づいて認識される呼出番号「100101#2」に書き換えられる。ネットワークカメラ30の発信部33は、呼出番号「100101#2」の情報を含む呼出信号を電話交換機90に発信する。
【0063】
電話交換機90は、呼出テーブル191aを参照して、受信した呼出信号に基づいて認識される呼出番号「100101#2」に対応付けられているメールアドレス「fff@ZZZ.jp」(図4参照)を特定する。電話交換機90は、このメールアドレス「fff@ZZZ.jp」で特定された携帯端末80bに向けて呼出信号を発信し、訪問者からの呼び出しを知らせる。これら以外の動作は上記実施形態と同様である。
【0064】
このような構成の集合住宅用インターホンシステム1によれば、一つの居室に複数の居住者(例えば父、母、子)が存在する場合であっても、訪問者は居住者毎に、各居住者が保有する携帯端末80(80a,80b,80c)を呼び出すことができる。各居住者は、外出先であっても各居住者が保有する携帯端末80(80a,80b,80c)で訪問者からの呼出信号を受信することができる。
【0065】
(変形例2)
上記実施形態においては、集合玄関等に設置されたテンキーユニット10からの部屋番号の入力操作に基づいて居住者の携帯端末80を呼び出す場合を説明したが、これに限定されない。例えば、各居室に設置されている玄関子機40から居住者の携帯端末80を呼び出すことができるようにしてもよい。以下、玄関子機40の操作に基づく携帯端末80の呼び出しについて、図1図3を参照して説明する。なお、本例では訪問者が集合住宅X(棟管理番号「100」)の101号室を訪問し、101号室の玄関子機40を操作する場合を説明する。
【0066】
訪問者によって101号室の玄関子機40の呼出ボタン41が押されると、呼出ボタン41が押された部屋番号「101」の情報を含む信号が、インターホン回線Lおよびスイッチングハブ70を介して101号室の玄関子機40からCGIサーバ20に送信される。
【0067】
CGIサーバ20の生成部21は、受信した部屋番号「101」の情報を含む信号に基づいて、101号室の居住者が保有する携帯端末80を呼び出すための呼出信号を生成する。呼出信号は、棟管理番号「100」と、部屋番号「101」とを組み合わせた呼出番号「100101」の情報を含む信号として生成される。これら以外の動作は上記実施形態と同様である。
【0068】
なお、呼出音が出力される携帯端末80側において、集合玄関にいる訪問者からの呼び出しであるのか、居室の玄関にいる訪問者からの呼び出しであるのかを判別できるようにしてもよい。例えば、呼出番号「100101」にどちらからの呼び出しであるかを区別可能な情報を組み合わせた呼出信号をCGIサーバ20が生成し、この呼出信号に基づいて携帯端末80の表示画面81に呼出元(集合玄関、居室玄関)が表示されるようにしてもよい。
【0069】
この他に、例えば居室に付けられた所定の名称(例えばテナント名等)を特定するための専用ボタンをテンキーユニット10に設け、この専用ボタンを押すことで当該テナントの代表者等の携帯端末80を呼び出すことができるようにしてもよい。専用ボタンが押された場合も上記実施形態と同様に、当該テナント名が付されている居室の部屋番号の情報を含む信号がCGIサーバ20に送信され、送信された部屋番号の情報を含む信号に基づいてテナントの代表者等が保有する携帯端末80を呼び出すための呼出信号が生成部21によって生成される。
【0070】
このような構成の集合住宅用インターホンシステム1によれば、訪問者が玄関子機40で呼出ボタン41を押すと、その居室の部屋番号の情報を含む呼出信号が電話交換機90を介して携帯端末80に向けて発信される。このため、居住者は、外出中においても、携帯端末80で訪問者からの呼出信号を受信することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0072】
上記した例ではメールアドレスにより携帯端末を特定したが、この例に限らない。例えば、携帯端末の電話番号、携帯端末のメールアドレス登録時のパスワード、その他の携帯端末を特定する情報等により、呼出信号を受信する携帯端末を特定することができる。この「携帯端末を特定する情報(携帯端末の電話番号、携帯端末のメールアドレス登録時のパスワード、その他の携帯端末を特定する情報等)」は、電話交換機の呼出テーブルに、呼出番号と対応付けられて記録される。
【符号の説明】
【0073】
1:集合住宅用インターホンシステム、10:テンキーユニット、20:CGIサーバ、21:生成部、30:ネットワークカメラ、31:通話部、32:撮像部、33:発信部、34:記憶部、40:玄関子機、41:呼出ボタン、42:通話部、50:管理室機、60:接続機、70:スイッチングハブ(ハブの一例)、80:携帯端末、90:電話交換機、91:記憶部、91a,191a:呼出テーブル、92,192:ユーザーアカウント、93,193:呼出番号、L:インターホン回線、T:外部ネットワーク
図1
図2
図3
図4