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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】運搬台車および運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/065 20060101AFI20240710BHJP
   B62D 55/08 20060101ALI20240710BHJP
   B62D 55/084 20060101ALI20240710BHJP
   B62B 11/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B62D55/065
B62D55/08 Z
B62D55/084
B62B11/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023033479
(22)【出願日】2023-03-06
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】514244170
【氏名又は名称】シャープエネルギーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 清則
(72)【発明者】
【氏名】古野 渓太郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 将一朗
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-076745(JP,A)
【文献】特開平10-059186(JP,A)
【文献】米国特許第06644426(US,B1)
【文献】実開平04-020880(JP,U)
【文献】特開2019-167086(JP,A)
【文献】特開2000-071999(JP,A)
【文献】特開平05-294267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/065
B62D 55/08
B62D 55/084
B62B 11/00
B62B 5/02
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に長さを有する複数の走行部と、
前記走行部が取り付けられた本体部と、
前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備えて、山部と谷部とを交互に有する折板屋根上を走行面とする運搬台車であって、
前記走行部の前記進行方向長さは、前記荷台部の前記進行方向長さより短く、
前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、
前記外側走行部および前記内側走行部は、それぞれが、前記走行面が有する複数の前記山部と前記山部に隣接する複数の前記谷部に対して、少なくとも2つ以上の前記山部に接することのできる長さとされ、
前記外側走行部と前記内側走行部とは前記進行方向に互いにずらして配置されてなることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
請求項1に記載の運搬台車において、
前記外側走行部同士の間には、複数の前記内側走行部が配設されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項1に記載の運搬台車において、
前記外側走行部の前記進行方向における一方の端部を含む前記外側走行部の一部と、前記内側走行部の前記進行方向における前記一方の反対側の他方の端部を含む前記内側走行部の一部とが長さ方向に重なり合うように配置されてなることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
請求項1に記載の運搬台車において、
前記走行部は、前記走行部の長さ方向における配設位置を調整可能に設けられたことを特徴とする運搬台車。
【請求項5】
請求項4に記載の運搬台車において、
前記進行方向における前記外側走行部と前記内側走行部との前記長さ方向に重なり合った重なり合い長さが変更可能とされたことを特徴とする運搬台車。
【請求項6】
請求項1に記載の運搬台車において、
前記走行部は、前記進行方向に直交する幅方向における配置位置を調整可能に設けられたことを特徴とする運搬台車。
【請求項7】
請求項6に記載の運搬台車において、
前記幅方向に隣り合う前記外側走行部と前記内側走行部との間隔が変更可能とされたことを特徴とする運搬台車。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1つの請求項に記載の運搬台車において、
前記本体部は、前記走行部に連結された支持部材と、前記支持部材を移動可能に保持する連結部材とを備え、前記走行部は複数の前記支持部材および前記連結部材を介して前記本体部に支持されてなることを特徴とする運搬台車。
【請求項9】
請求項1に記載の運搬台車において、
前記本体部には、前記進行方向の前方と後方の両側にハンドル部が備えられたことを特徴とする運搬台車。
【請求項10】
山部と谷部とを交互に有する折板屋根上を走行する運搬台車を用いた運搬方法であって、
前記運搬台車は、進行方向に長さを有する複数の走行部と、
前記走行部が取り付けられた本体部と、
前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備え、
前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、前記外側走行部および前記内側走行部は、それぞれが、走行面の前記折板屋根が有する複数の前記山部と前記山部に隣接する複数の前記谷部に対して、少なくとも2つ以上の前記山部に接することのできる長さとされ、
前記外側走行部と前記内側走行部とを前記進行方向に互いにずらして配置し、
前記走行部を前記山部および前記谷部が延伸する方向と直交する方向に走行させることを特徴とする運搬方法。
【請求項11】
請求項10に記載の運搬方法において、
前記運搬台車の複数の前記走行部は、前記進行方向における一方の端部を含む前記走行部の一部と、前記一方の端部とは反対側の他方の端部を含む前記走行部の一部とが、前記走行部の長さ方向に重なり合う配置とすることを特徴とする運搬方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の運搬方法において、
前記走行部は、前記折板屋根が有する複数の前記山部と前記山部に隣接する複数の前記谷部に対して、前記山部および前記谷部が延伸する方向に走行するとき、前記外側走行部の一つと該外側走行部に隣接する前記内側走行部とが1つの前記谷部に配置され、前記山部および前記谷部が延伸する方向と直交する方向に走行するとき、前記外側走行部および前記内側走行部のいずれもが前記山部に接するように配置されることを特徴とする運搬方法。
【請求項13】
山部と谷部とを交互に有する折板屋根上を走行する運搬台車を用いた運搬方法であって、
前記運搬台車は、進行方向に長さを有する複数の走行部と、
前記走行部が取り付けられた本体部と、
前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備え、
複数の前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、
前記走行部は、走行面の前記折板屋根が有する複数の前記山部と前記山部に隣接する複数の前記谷部に対して、前記外側走行部の一つと該外側走行部に隣接する前記内側走行部を1つの前記谷部に配置し、前記山部および前記谷部が延伸する方向に走行させることを特徴とする運搬方法。
【請求項14】
請求項13に記載の運搬方法において、
前記山部の頂部には支持金物が備えられており、
前記走行部の底面から前記本体部の下面までの高さを、前記谷部から前記支持金物の頂部までの高さを超える高さとすることを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬台車およびその運搬台車を用いた運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光を効率的に活用するために、住宅等の建物だけでなく比較的大規模な建物の屋根にも太陽電池パネルが設置されることが多い。大規模な建物の屋根には鋼板製の折板屋根が用いられることもある。そのような折板屋根の上に太陽電池パネルを設置するには、傾斜した折板屋根の上に支持金物を固定し、その支持金物の上に多数の太陽電池パネルを設置する方法がとられる。
【0003】
この種の折板屋根は、例えば山谷形状に折曲形成された屋根材を、屋根の流れ方向(下り方向)に直交して設けられたタイトフレームに重ね合わせ、隣接する屋根材の端部同士を重ねてハゼ締めし、固定ボルト等で固定して施工される。太陽電池パネルは、このように施工された折板屋根の上に運び上げられ、太陽電池パネルの設置場所まで作業者が手で持って運んだり、台車に載せて運んだりしている。
【0004】
例えば特許文献1には、屋根上で太陽電池パネルを設置場所まで運搬するのに用いる屋根上用の運搬機について開示されている。この運搬機は、屋根材の上を滑って移動するソリ部と、ソリ部に回動可能に連結されたフレーム部と、フレーム部の一端部のハンドル枠と、フレーム部の他端部に着脱可能に吊されて被運搬物を挟持する係止部とからなり、作業者がハンドル枠を押し下げてソリ部を折板屋根上に滑らせて移動し、設置場所ではハンドル枠を持ち上げて係止部を吊り降ろすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6398107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のとおり、山谷形状を有する折板屋根には頂部同士を重ね合わせたハゼ締め部が設けられており、さらに、ハゼ締め部には太陽電池パネルを折板屋根に取り付けるための支持金物が設けられる。そのため、折板屋根上で太陽電池パネルを運搬するために前記従来の運搬機を利用するとしても、その運搬機を走行させる面は平坦ではなく、山谷形状であって凹凸部や突条部もあり、容易に走行させることが難しい。また、その運搬作業は折板屋根上での高所作業であって不安定になりやすいことに加えて、例えば屋根の流れ方向または反流れ方向への移動では、がたつきや衝撃を生じたり、流れ方向と直交する幅方向への移動では、前記ソリ部が折板屋根の谷部に脱輪したりするといった問題も考えられる。そのため、重量を有する太陽電池パネル等の荷物が脱落したり運搬機そのものが転倒したりするおそれもあり、安定的に運搬作業を行うことが可能な運搬台車が望まれた。
【0007】
本開示は、前記のような事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、屋根上を安定的に走行することが可能な運搬台車およびその運搬台車を用いた運搬方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本開示の解決手段は、進行方向に長さを有する複数の走行部と、前記走行部が取り付けられた本体部と、前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備える運搬台車であって、前記走行部の前記進行方向長さは、前記荷台部の前記進行方向長さより短く、前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、前記外側走行部と前記内側走行部とは前記進行方向に互いにずらして配置されてなることを特徴としている。
【0009】
前記運搬台車において、前記外側走行部同士の間には、複数の前記内側走行部が配設されることが好ましい。
【0010】
また、前記運搬台車において、前記外側走行部の前記進行方向における一方の端部を含む前記外側走行部の一部と、前記内側走行部の前記進行方向における前記一方の反対側の他方の端部を含む前記内側走行部の一部とが長さ方向に重なり合うように配置されてなることが好ましい。
【0011】
また、前記運搬台車においては、前記走行部の長さ方向における配設位置を調整可能に設けられることが好ましい。また、前記進行方向における前記外側走行部と前記内側走行部との前記長さ方向に重なり合った重なり合い長さが変更可能とされることが好ましい。
【0012】
また、前記運搬台車において、前記走行部は、前記進行方向に直交する幅方向における配置位置を調整可能に設けられることが好ましい。また、前記運搬台車において、前記幅方向に隣り合う前記外側走行部と前記内側走行部との間隔が変更可能とされてもよい。
【0013】
また、前記運搬台車において、前記本体部は、前記走行部に連結された支持部材と、前記支持部材を移動可能に保持する連結部材とを備え、前記走行部は複数の前記支持部材および前記連結部材を介して前記本体部に支持されてなることが好ましい。
【0014】
また、前記運搬台車において、前記ハンドル部は前記荷台部の端部に立設され、前記ハンドル部の少なくとも下端部に緩衝材が備えられてもよい。
【0015】
前記の目的を達成するため、前記運搬台車を用いた運搬方法も本開示の技術的思想の範疇にある。すなわち、運搬台車を用いた運搬方法であって、前記運搬台車は、進行方向に長さを有する複数の走行部と、前記走行部が取り付けられた本体部と、前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備え、前記走行部は、走行面が有する複数の山部と前記山部に隣接する複数の谷部に対して、少なくとも2つ以上の前記山部に接することのできる長さとされ、前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、前記外側走行部と前記内側走行部とを前記進行方向に互いにずらして配置し、前記走行部を前記山部および前記谷部が延伸する方向と直交する方向に走行させることを特徴としている。
【0016】
また、前記運搬方法において、前記運搬台車の複数の前記走行部は、前記進行方向における一方の端部を含む前記走行部の一部と、前記一方の端部とは反対側の他方の端部を含む前記走行部の一部とが、前記走行部の長さ方向に重なり合う配置とすることが好ましい。
【0017】
また、前記運搬台車を用いた運搬方法として、前記運搬台車は、進行方向に長さを有する複数の走行部と、前記走行部が取り付けられた本体部と、前記本体部上に設けられて荷物を載置する荷台部とを備え、複数の前記走行部は、前記進行方向に向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部と、前記外側走行部同士の間に設けられた内側走行部とを含み、前記走行部は、走行面が有する複数の山部と前記山部に隣接する複数の谷部に対して、前記外側走行部の一つと該外側走行部に隣接する前記内側走行部を1つの前記谷部に配置し、前記山部および前記谷部が延伸する方向に走行させてもよい。
【0018】
さらに、前記運搬方法において、前記山部の頂部には支持金物が備えられており、前記走行部の底面から前記本体部の下面までの高さを、前記谷部から前記支持金物の頂部までの高さを超える高さとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、運搬台車は走行部を介して安定的に走行することが可能となり、効率よく屋根上での運搬作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施形態1に係る運搬台車および運搬方法を模式的に示す斜視図である。
図2】前記運搬台車の側面図である。
図3】前記運搬台車の正面図である。
図4】前記運搬台車の底面図である。
図5】前記運搬台車を用いた運搬方法を示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態2に係る運搬台車の下部を模式的に示し、走行部の配設位置について示す説明図である。
図7】前記走行部の配設位置の他の例を示す説明図である。
図8】本開示の実施形態3に係る運搬台車を折板屋根とともに示す説明図である。
図9】本開示の実施形態4に係る運搬台車を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態に係る運搬台車について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す各実施形態に係る運搬台車は基本構成において共通しており、それらの共通する構成には共通の参照符号を付して示すことにより、重複する説明を省略している。
【0022】
(実施形態1)
図1図4は、本開示の実施形態1に係る運搬台車1および運搬方法を模式的に示しており、図1は斜視図、図2は側面図、図3は正面図、図4は底面図である。
【0023】
図1に示すように、例示の形態に係る運搬台車1は、走行部2と、本体部3と、荷台部4とを備えている。走行部2は、運搬台車1の本体部3の下部に設けられて、運搬台車1の進行方向Aへの移動を可能にする。
【0024】
走行部2は、進行方向Aに対して長く設けられており、図1に示す例では、運搬台車1は矢符A1方向またはA2方向を進行方向Aとして移動可能に設けられている。なお、進行方向Aに長く設けられる走行部2を備える運搬台車1において、進行方向Aに直交する方向を幅方向X、進行方向Aと平行な方向を長さ方向Yとして、以下説明する。
【0025】
本体部3は、走行部2を支持して、その上部に荷台部4が設けられている。例示の形態では、本体部3は、複数の丸パイプ部材または角パイプ部材等のフレーム部材31を縦横または略矩形状に接合したフレーム体とされている。本体部3は、走行部2を支持する構造を有するものであれば、そのようなフレーム体により形成されるには限られず、平坦な上面を有する箱状であるなど、どのような構成とされてもよい。
【0026】
図1に示すように、本体部3は進行方向Aに長く設けられている。また、本体部3の上部には荷台部4が一体に設けられている。荷台部4は、本体部3と同様にフレーム体により設けられ、長さ方向Yに沿って延びる複数本のフレーム部材31がさらに備えられていてもよい。荷台部4の上面には、荷物を載置するための平坦状の荷台板41が備えられてもよい。
【0027】
荷台部4の端部にはハンドル部5が立設されている。例示の形態では、ハンドル部5は、本体部3上であって、荷台部4における長さ方向Yの両端部(進行方向AのA1側端部およびA2側端部)にそれぞれ設けられている。これらのハンドル部5は、互いに対向して配置されている。走行部2は、進行方向AのA1方向とA2方向のどちらの方向にも走行可能に設けられ、運搬台車1の操作には、いずれか一方のハンドル部5を用いることができる。
【0028】
各ハンドル部5は、荷台部4の幅方向Xの両端部の上面に突設された支柱部材51で支持されている。荷台部4または荷台板41の上面には、運搬する資材等の荷物が載置される。荷台部4は、ハンドル部5の支柱部材51によって、その上面に載置される荷物の進行方向Aの移動が規制され、また、長尺の荷物であっても幅方向Xに載置することで運搬可能とされている。ハンドル部5の支柱部材51には、運搬中の荷物を保護するための緩衝材52が備えられることが好ましい。なお、図1では、走行部2の配置形態を見やすくするため、荷台板41および緩衝材52を想像線(二点鎖線)で示すとともに、後述する走行部2を構成するクローラベルト203には薄墨色を付して透視的に示している。
【0029】
緩衝材52には、例えばプラスチック等のシート材を用いることができる。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフェノール樹脂、ポリウレタン、塩化ビニールなどを例示することができる。緩衝材52は、ハンドル部5の2本の支柱部材51の間を閉塞するとともに、各支柱部材51を覆うように設けられている。例示の形態では、緩衝材52は幅方向Xの両端部に、支柱部材51の長さに対応する略円筒状の筒状部521を備えている。筒状部521は支柱部材51に外装され、これにより緩衝材52が2本の支柱部材51間に配設されている。ハンドル部5の各支柱部材51に緩衝材52の筒状部521が外装されることにより、積載される荷物と支柱部材51との直接の接触が避けられ、荷物を傷つけることなく安定して運搬可能となる。なお、緩衝材52は、ハンドル部5の支柱部材51の少なくとも下端部側に設けられていることが好ましく、例示のように支柱部材51の略全長にわたって設けられるには限らず、支柱部材51の下半部に設けられる等の構成とされてもよい。
【0030】
走行部2は、進行方向Aに向かって左右両側部に設けられた一組の外側走行部21と、外側走行部21同士の間に設けられた内側走行部22とを含む。図1に示すように、外側走行部21同士の間には、複数の内側走行部22が配設されている。例示の形態では、図3に示すように、進行方向Aに向かって見た場合に、走行部2として、左右一対の外側走行部21と、左右一対の内側走行部22とが設けられている。したがって、運搬台車1は、一組の外側走行部21と、これらの外側走行部21同士の間に設けられた一組の内側走行部22との計4つの走行部2を備えて構成されている。
【0031】
図2および図4に示すように、一組の外側走行部21と一組の内側走行部22とは、進行方向Aに互いにずらして配置されている。例えば、外側走行部21は進行方向AのA2側に設けられ、内側走行部22は進行方向AのA1側に、互いにずれた位置に配置されている。具体的には、外側走行部21の進行方向AのA2側端部は、内側走行部22のA2側端部よりもA2側に突出して設けられ、内側走行部22の進行方向AのA1側端部は、外側走行部21のA1側端部よりもA1側に突出して設けられている。走行部2を構成する外側走行部21および内側走行部22それぞれの進行方向Aの長さは、例えば400mm~1700mmとされる。突出長さは、例えば、200mm~14000mmとされる。
【0032】
外側走行部21同士、および内側走行部22同士は、進行方向Aの同じ位置にそれぞれ配置されている。進行方向Aにおいて、外側走行部21および内側走行部22を含めた走行部2全体の長さは、荷台部4の長さよりも短い。例えば、外側走行部21および内側走行部22のそれぞれの長さは、荷台部4の長さの1/2~4/5程度であり、図2および図4に示す本実施形態では2/3程度である。
【0033】
外側走行部21および内側走行部22の各長さは短いが、外側走行部21と内側走行部22とは、進行方向Aに互いにずらして配置することにより、走行部2全体として長さを確保することができる。進行方向Aにおいて、外側走行部21と内側走行部22とを合わせた長さは、荷台部4の長さを超えない。進行方向Aにおいて、外側走行部21のA2側端部から内側走行部22のA1側端部までの長さは、荷台部4の長さを超えない。
【0034】
このように、運搬台車1では、長さ方向Y(進行方向A)において走行部2が、荷台部4から突出しないように設けられている。荷台部4よりも走行部2が長さ方向Yにはみ出していると、運搬台車1を操作する人の足元に走行部2が存在することになるので、運搬台車1を押しにくく、障害物の回避も困難となり、また安全上も好ましくないからである。
【0035】
また、図4に示すように、運搬台車1において、長さ方向Yの中央部では、外側走行部21のA1側の端部と内側走行部22が隣り合って配置され、内側走行部22のA2側の端部と外側走行部21が隣り合って配置されている。外側走行部21のA1側の端部を含む外側走行部21の一部と、内側走行部22のA2側の端部を含む内側走行部22の一部とは、長さ方向Yに重なり合う位置に配置されてなる。前記のとおり、運搬台車1はA1方向とA2方向の両方向に走行可能であるので、一組の内側走行部22を前方として走行させても、一組の外側走行部21を前方として走行させてもよい。
【0036】
図3および図4に示すように、外側走行部21とこれに隣り合う内側走行部22は幅方向Xに近接して配置されている。また、内側走行部22同士は、幅方向Xに離間して設けられている。本体部3の下部において、幅方向Xの一方の端部から順に、外側走行部21、内側走行部22が配置され、距離をあけて、内側走行部22、外側走行部21が設けられている。
【0037】
また、図2を参照して、外側走行部21および内側走行部22は、共通のクローラユニットからなることが好ましい。例えば、クローラユニットは、少なくとも駆動輪201、従動輪202、およびこれらを囲む無端状のクローラベルト203を備えて構成されている。駆動輪201にはモータ等の適宜の駆動源からの出力が伝達され、クローラベルト203を回動(周回移動)させることができ、走行部2は、前進、後進、および旋回等が自在とされている。
【0038】
なお、クローラユニットには、既知の任意の構成を採用することができるため、その詳細な説明については省略する。また、駆動輪201と従動輪202との配置形態は一例であって、進行方向AのA1側が駆動輪201でA2側が従動輪202であるに限らず、どちら側に駆動輪201が配置されていてもよい。クローラベルト203は、無端の環状体であってどのような材質および構造により構成されてもよい。
【0039】
外側走行部21および内側走行部22は、いずれも共通の支持構造により本体部3に支持されている。例えば、外側走行部21を例に挙げて説明すると、図2に示すように外側走行部21は、複数の連結部材32および支持部材33を介して本体部3の下部に支持されている。本体部3のフレーム部材31には、複数の連結部材32が備えられており、連結部材32と外側走行部21とは支持部材33を介して連結されて走行可能に支持されている。
【0040】
図1に示すように、1つの外側走行部21は、2本のフレーム部材31に対して、支持部材33および連結部材32を介して支持されている。内側走行部22についても同様とされている。この場合、例えば外側走行部21のA1側の端部から内側走行部22のA2側の端部までの外側走行部21と内側走行部22の重なり合い長さは、駆動輪201または従動輪202の外径以上に相当する長さとされている。また、外側走行部21と内側走行部22の長さ方向Yにおける重なり合い長さは、例えば200mm~1300mmである。また、例えば、外側走行部21または内側走行部22の長さ方向Yにおける長さの1/3~1/2としてもよい。また、例えば、後述の折板屋根9の隣り合う山部91を跨ぐ長さとしてもよい。
【0041】
図5は、運搬台車1を走行させる際の様子を示し、運搬台車1を用いた運搬方法の一例を示す斜視図である。運搬台車1においては、外側走行部21と内側走行部22とが進行方向Aに互いにずらして配置されていることにより、折板屋根9上のような凹凸部のある走行面であっても安定して走行することができるように構成されている。図示するように、折板屋根9は、山部91と谷部92とを交互に有する鋼板製の屋根材により設けられ、各山部91および各谷部92は屋根勾配に沿って延伸されている。
【0042】
運搬台車1は、このような複数の山部91と、山部91に隣接する複数の谷部92とを有する折板屋根9上を走行面とすることを考慮して、外側走行部21と内側走行部22がそれぞれ、少なくとも2つ以上の山部91に接触して、それらの山部91を踏むことができる長さとされている。具体的には、クローラベルト203が少なくとも2つ以上の山部91に接触して、それらの山部91を踏むことができる長さとされている。例えば、図2に示すように、走行部2としての外側走行部21を構成するクローラユニットにおいて、駆動輪201と従動輪202との中心間距離L1は、それらの駆動輪201と従動輪202とを囲むクローラベルト203が2つ以上の山部91を踏むことができる長さとされている。
【0043】
また、クローラベルト203は、駆動輪201および従動輪202の周囲では曲面状をなし、平坦な走行面からは離れて回動する。したがって、クローラベルト203が2つ以上の山部91を踏む状態は、クローラベルト203の底面が山部91に接している状態であり、クローラベルト203の底面が走行面と接する部分の長さL2に、2つの以上の山部91が含まれることが好ましい。内側走行部22についても同様とされる。
【0044】
これにより、進行方向Aが折板屋根9の山部91および谷部92の延伸方向に直交する方向(屋根の流れ方向に対して直交方向)であるとき、走行部2は2つ以上の山部91(例えば2つの山部91)を踏みながら走行可能であり、運搬台車1の走行時の安定性を高めることができる。
【0045】
仮に、走行部2が外側走行部21しか備えない構成であると、クローラベルト203の底面に1つの山部91しか接触していない状態が発生し、前方に傾いたり、クローラユニットの端部が谷部92に嵌まり込んだりして、脱輪する可能性がある。
【0046】
これに対して、本実施形態に係る運搬台車1であれば、外側走行部21と内側走行部22とを備えているので、それぞれが少なくとも1つの山部91を踏むため、2つ以上の山部91を踏みつつ走行することができる。走行する際には、進行方向Aに外側走行部21が1または2つ以上の山部91を踏みながら走行している状態と、続いて内側走行部22が同様に1または2つ以上の山部91を踏みながら走行している状態とが連続し、外側走行部21と内側走行部22とで少なくとも2つ以上の山部91を踏んで運搬台車1が走行することとなる。言い換えれば、外側走行部21と内側走行部22のそれぞれが、1つの山部91しか接触していない状態が発生したとしても、外側走行部21と内側走行部22とが進行方向Aに互いにずらして配置されていることにより、外側走行部21と内側走行部22は、進行方向Aにおいて互いに異なる山部91に接触し、全体として、2つ以上の山部91を踏んで運搬台車1が走行することとなる。運搬台車1は、脱輪等をすることなく、進行方向Aに安定的に走行することが可能となるので、効率のよい運搬作業が可能となる。
【0047】
また、図2および図4に示すように、外側走行部21と内側走行部22とは、進行方向Aに互いにずらして、かつ、長さ方向Yに重なり合う位置に配置されてなる場合、外側走行部21と内側走行部22を合わせた走行部2の進行方向Aの長さを、少なくとも3つ以上の山部91に接触する長さとすることで、運搬台車1は、脱輪等をすることなく、進行方向Aに安定的に走行することが可能となる。
【0048】
また、折板屋根9の山部91には、運搬台車1の走行上、障害物となる避雷導体などの種々の設備が設けられることがある。このような折板屋根9上の取り外しできない障害物に接触することなく運搬台車1を走行させるために、障害物を跨ぐように仮設のスロープを設けて、スロープ上を走行させる必要がある。その場合、外側走行部21と内側走行部22とが進行方向Aに互いにずらして、かつ、長さ方向Yに重なり合う位置に配置されていることにより、走行部2がスロープ上にスムーズに乗り上げて、運搬台車1がスロープ上を安定して走行でき、障害物を越えることが可能となる。折板屋根9上で山部91および谷部92の延伸方向に対して斜め方向へ走行する場合、重なり合い長さを設けることで脱輪することなく安定的に走行することが可能となる。
【0049】
仮に、外側走行部21または内側走行部22のそれぞれの長さを十分に長いものとすると、折板屋根9の谷部92に脱輪せずに走行させることは可能となる。しかしながら、外側走行部21または内側走行部22のそれぞれを進行方向Aに十分に長いものとすると、このようなスロープ上での走行操作が困難となるうえ、折板屋根9上に存在する種々の障害物を回避して走行させることも困難となって好ましいとはいえない。
【0050】
なお、運搬台車1において、走行部2としては、一組の外側走行部21と、外側走行部21同士の間に少なくとも1つの内側走行部22が設けられて構成されていることが好ましく、前記の形態とするに限定されない。
【0051】
(実施形態2)
図6および図7は、本開示の実施形態2に係る運搬台車1の下部を示しており、本体部3に対する走行部2の配設位置について示す説明図である。前記実施形態では、走行部2は、進行方向Aにおける外側走行部21の一方の端部と、内側走行部22の他方の端部とが長さ方向Yに重なり合うように配置されてなることについて説明した。本実施形態では、走行部2が、本体部3に対する配設位置を長さ方向Yに調整可能に設けられた構成について説明する。
【0052】
前記のとおり、運搬台車1は、走行部2が本体部3に対して複数の支持部材33および連結部材32を介して支持されている。この場合、走行部2には支持部材33が連結されており、支持部材33に接続された連結部材32が、本体部3のフレーム部材31に移動可能に取り付けられている。
【0053】
例えば図6に示すように、走行部2としての外側走行部21には、長さ方向Yの2箇所に支持部材33が設けられ、それぞれの支持部材33が連結部材32を介して本体部3に固定されている。隣り合う外側走行部21のA1側の端部と、内側走行部22のA2側の端部は、重なり合い長さW1を有するように、外側走行部21と内側走行部22とが配置されている。
【0054】
これに対して、図7に示すように、本体部3のフレーム部材31に対する連結部材32の配設位置を長さ方向Yにそれぞれ変更する。外側走行部21の配設位置、および内側走行部22の配設位置は、任意の位置に変更することができる。これにより、外側走行部21のA2側の端部から内側走行部22のA1側の端部までの長さを調整し、例えば、荷台部4の長さを超えないようにできる。また、例えば、隣り合う外側走行部21のA1側の端部から内側走行部22のA2側の端部までの、外側走行部21と内側走行部22との重なり合い長さW2を有するように、外側走行部21と内側走行部22とを配置することができる。また、例えば、外側走行部21の底面の長さと内側走行部22の底面の長さを合わせた走行部2の全体的な長さ(外側走行部21の底面のA2側の端部から内側走行部22の底面のA1側の端部までの長さ)を調整できる。
【0055】
外側走行部21の底面の長さと内側走行部22の底面の長さを合わせた走行部2の全体的な長さを増減調整することで、運搬台車1を折板屋根9の流れ方向に対して直交方向に走行させる際、外側走行部21と内側走行部22が複数の山部91を踏みつつ安定的に走行できるように調整することができる。例えば、連続する3つの山部に跨る長さを有するように調整することができる。また、折板屋根9の形状の応じて長さを調整することもできる。
【0056】
重なり合い長さW1、W2を増減調整することで、運搬台車1を折板屋根9の流れ方向に対して直交方向に、または直交方向から斜め方向に走行させる際、外側走行部21と内側走行部22が複数の山部91を踏みつつ安定的に走行できるように調整することができる。例えば、山部91のピッチが500mmであり、谷部92が200mmである折板屋根9の場合、運搬台車1を安定的に走行させるための重なり合い長さW1としては520mmとすることが好ましい。また、山部91のピッチおよび谷部92の大きさに、図2に示した駆動輪201および従動輪202の外径等を考慮して、重なり合い長さW1、W2は最小で200mm、最大で1300mmとすることが好ましい。このように、折板屋根9の山部91および谷部92の大きさ、形状、およびピッチ等に合わせて、外側走行部21および内側走行部22の長さ方向Yの配設位置を調整し、重なり合い長さW1、W2を増減調整することができる。
【0057】
(実施形態3)
図8は、本開示の実施形態3に係る折板屋根9上を走行する運搬台車1について示す説明図である。前記実施形態では、屋根の流れ方向に対して直交方向への運搬台車1の走行時について説明した。本実施形態では、屋根の流れ方向への運搬台車1の走行時について説明する。
【0058】
折板屋根9は、通常、屋根の流れ方向に長尺に形成されており、図8に示すように、山部91の半体同士を突き合わせて頂部でハゼ締めにより接合して、1つの山部91が形成される。ハゼ締めの代わりに、ボルト締めなどの種々の連結方法が用いられる場合もある。そのため、山部91にはハゼ締め部等の突条部93が突出している。また、折板屋根9に太陽電池パネル100を設置するには、山部91の突条部93を利用して太陽電池パネル100の支持金物94が所定の間隔で取り付けられる。
【0059】
運搬台車1を屋根の流れ方向(またはその反対方向の反流れ方向)に走行させる場合、図8に示すように、運搬台車1の進行方向Aは山部91および谷部92が延伸する方向となる。運搬台車1の幅方向Xの一方では、隣り合う外側走行部21および内側走行部22がともに折板屋根9の1つの谷部92を走行し、幅方向Xの他方でも同様に隣り合う外側走行部21および内側走行部22がともに折板屋根9の1つの谷部92を走行するものとなる。これらの谷部92の間には、1つの山部91が存在する。
【0060】
運搬台車1において、走行部2の底面(より具体的にはクローラベルト203の底面)から本体部3の下面(より具体的にはフレーム部材31の下辺部)までの高さH1は、折板屋根9の谷部92から支持金物94の頂部までの高さH2を超える高さ(H1>H2)とされている。
【0061】
これにより、運搬台車1の走行部2を谷部92に配置して走行させる際に、山部91上の支持金物94に干渉することなくスムーズに走行させることができ、効率よく運搬作業を行うことが可能となる。
【0062】
(実施形態4)
図9は、本開示の実施形態4に係る運搬台車1について模式的に示す正面図である。前記実施形態2では、走行部2の本体部3に対する配設位置を長さ方向Yに調整可能に設けた構成について説明した。本実施形態では、走行部2の本体部3に対する配設位置を、進行方向Aに直交する幅方向Xにも調整可能に設けた構成について説明する。
【0063】
前記のとおり、運搬台車1は、折板屋根9上を流れ方向または反流れ方向に走行する際、隣り合う外側走行部21および内側走行部22がともに1つの谷部92を走行するように構成されている。折板屋根9において、山部91および谷部92の大きさ、形状、および間隔は多様であると想定されることから、外側走行部21および内側走行部22は、幅方向Xの配設位置を調整できることが好ましい。
【0064】
より具体的には、図9に示すように、幅方向Xに隣り合う外側走行部21と内側走行部22との間隔が変更可能とされている。例えば、外側走行部21に対して内側走行部22をさらに離間させたり、さらに近接させたりして、配設位置を調整する。これにより、走行部2における幅方向Xの長さである走行幅E1を変更することができる。同様に、幅方向Xの内側走行部22同士の間隔E2も変更することができる。
【0065】
図1を参照して説明したように、1つの外側走行部21は、長さ方向Yに延設された2本のフレーム部材31に対して、支持部材33および連結部材32を介して固定されている。内側走行部22についても同様とされている。
【0066】
長さ方向Yに延びるフレーム部材31は両端部で、図9に示すように、幅方向Xに延設されたフレーム部材31に対して保持部材34を介して支持されている。保持部材34は、上下の2本のフレーム部材31に外装されており、取付位置を変更可能とされている。これにより、内側走行部22を支持するフレーム部材31の取付位置を変更し、幅方向Xに隣り合う外側走行部21と内側走行部22との間隔を変更することができる。
【0067】
図8に戻って、折板屋根9は山部91と谷部92が交互に繰り返して並列され、谷部92の平坦面の幅D1および山部91の隆起部の幅D2により形成されているとする。この場合、図9に示す走行部2の走行幅E1は、谷部92の幅D1に対応させて外側走行部21および内側走行部22を配置することができる。また、走行部2の内側走行部22同士の間隔E2は、山部91の幅D2に対応させて内側走行部22を配置することができる。
【0068】
これにより、運搬台車1は、折板屋根9上を、流れ方向および反流れ方向を進行方向Aとしても、安定して走行することが可能とされる。なお、走行部2の配設位置を幅方向Xに調整可能とする機構は、前記のように保持部材34の取付位置の変更によって行うに限らず、どのように調整されてもよい。また、内側走行部22と同様に、外側走行部21の配設位置も幅方向Xに調整可能に設けられてもよい。
【0069】
以上説明したように、本開示に係る運搬台車1では、外側走行部21および内側走行部22を有する走行部2を介して、折板屋根9上を安定的に走行することが可能となり、効率よく屋根上での運搬作業を行うことが可能となる。
【0070】
なお、本開示に係る運搬台車1は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 運搬台車
2 走行部
21 外側走行部
22 内側走行部
201 駆動輪
202 従動輪
203 クローラベルト
3 本体部
31 フレーム部材
32 連結部材
33 支持部材
34 保持部材
4 荷台部
41 荷台板
5 ハンドル部
51 支柱部材
52 緩衝材
9 折板屋根(走行面)
91 山部
92 谷部
93 突条部
94 支持金物
100 太陽電池パネル
A 進行方向
X 幅方向
Y 長さ方向
W1、W2 重なり合い長さ
【要約】
【課題】凹凸部を有する屋根上であっても安定的に走行することが可能な運搬台車およびその運搬台車を用いた運搬方法を提供する。
【解決手段】運搬台車1は、進行方向Aに長さを有する複数の走行部2と、走行部2が取り付けられた本体部3と、本体部3上の荷台部4とを備える。走行部2は、一組の外側走行部21と、外側走行部21同士の間に設けられた内側走行部22とを含んで構成される。外側走行部21と内側走行部22とは、進行方向Aに、互いにずらして配置されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9