(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20240710BHJP
F24C 15/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
F24C7/02 301J
F24C15/02 A
(21)【出願番号】P 2023066015
(22)【出願日】2023-04-14
(62)【分割の表示】P 2021067413の分割
【原出願日】2015-01-28
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和利
(72)【発明者】
【氏名】杉村 直紀
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 昭広
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219155(JP,A)
【文献】国際公開第2008/118999(WO,A2)
【文献】特開2010-210226(JP,A)
【文献】特開2009-71527(JP,A)
【文献】特開2002-317942(JP,A)
【文献】特開2005-260891(JP,A)
【文献】特開2003-214635(JP,A)
【文献】特開2013-21500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/02
F24C 1/00
F24C 1/14
H05B 6/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネトロンを備えた加熱調理器において、
被加熱物を収容する加熱庫と、
前記加熱庫を開閉可能に設けられ、窓部及び当該窓部を囲む枠部を有する扉部と、
表示を行い、操作を受け付ける表示操作部と、
水蒸気を発生させる蒸気発生装置、及び当該蒸気発生装置に補給する水分を貯蔵する容器であり外部に取り外し可能な主に非金属からなる貯水容器と、を備え、
外部と通信する無線通信装置を前記枠部の内部、かつ前記貯水容器の上部に設け、前記貯水容器を通して外部と通信を行うことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンを備えた加熱調理器であって、外部との通信が可能な無線通信装置が設置される加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信機能を搭載した家電、いわゆるネットワーク家電を用いたネットワーク家電システムが普及しつつある。ネットワーク家電システムでは、ネットワーク家電とタブレット端末やスマートフォン等の通信端末装置とを通信ネットワークを介して通信可能とし、通信端末装置にてネットワーク家電を遠隔制御したり、ネットワーク家電の動作状態を確認したりすることができる。
【0003】
このようなネットワーク家電の1つとしマグネトロンを備えた加熱調理器がある。マグネトロンによる加熱調理とは、マイクロ波を発生させるいわゆる電子レンジ機能による加熱調理のことである。ところで、マグネトロンを備えた加熱調理器は、マイクロ波を遮断するため側面が金属筐体にて形成されている。よって、無線通信装置(無線通信アダプタ)を金属筐体に覆われた位置に設置すると、通信電波が遮蔽されるため、通信距離が低下するなど通信エラーが生じる。そこで、例えば、特許文献1のように、筐体に樹脂製の無線通信装置収容部を特別に設けたり、特許文献2のように、樹脂製の脚部内部に通信用アンテナを設けたりすることで、無線通信装置の通信性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-260891号公報(2005年9月22日公開)
【文献】特許第4469513号(2010年3月5日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように従来のマグネトロンを備えた加熱調理器では、無線通信装置の通信性を確保するため、加熱調理器において、樹脂製の無線通信装置収容部を特別に設けたり、加熱調理器の構造を変更したりする必要がある。これは、製造工程やコストの増加に繋がる。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するために鑑みなされ、その目的は、加熱調理器に無線通信装置を設置するための特別な構成を設けることなく、また、加熱調理器の構造を変更することなく、無線通信装置を良好な通信を行える位置に設置可能な加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、マグネトロンを備えた加熱調理器において、被加熱物を収容する加熱庫と、前記加熱庫を開閉可能に設けられ、窓部及び当該窓部を囲む非金属の枠部を有する扉部と、表示を行い操作を受け付ける表示操作部と、を備え、外部と通信する無線通信装置を設置するための設置空間を、前記枠部の内部に、または、前記表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、設けている。
【0008】
また、本発明の一態様に係る加熱調理器は、マグネトロンを備えた加熱調理器において、被加熱物を収容する加熱庫と、前記加熱庫を開閉可能に設けられ、窓部及び当該窓部を囲む非金属の枠部を有する扉部と、表示を行い操作を受け付ける表示操作部と、水蒸気を発生させる蒸気発生装置、及び当該蒸気発生装置に補給する水分を貯蔵する容器であり外部に取り外し可能な主に非金属からなる貯水容器と、を備え、外部と通信する無線通信装置を設置するための設置空間を、前記枠部の内部に、前記表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、または前記貯水容器と接する位置に、設けている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、加熱調理器に無線通信装置を設置するための特別な構成を設けることなく、また、加熱調理器の構造を変更することなく、無線通信装置を良好な通信を行える位置に設置可能な加熱調理器を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の正面図であり、(a)はドアを閉めた状態、(b)はドアを開けた状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態2に係る加熱調理器のドアを開けた状態の正面図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る加熱調理器を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、簡略化した透視図である。
【
図4】(a)~(d)は、本発明の実施形態3に係る加熱調理器における無線通信アダプタと水タンクとの配置例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態5に係る加熱調理器のドアを開けた状態の正面図である。
【
図6】本発明の実施形態5に係る別の加熱調理器のドアを開けた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の加熱調理器1の正面図であり、(a)はドア(扉部)3を閉めた状態を、(b)はドア3を開けた状態を示す。加熱調理器1は、マイクロ波を発生するマグネトロンMを備え、加熱調理として電子レンジ調理を行う加熱調理器である。加熱調理器1には、電子レンジ調理機能に加えてオーブン調理機能等を有していてもよい。但し、本実施形態では、特に断らない限り、加熱調理は全て電子レンジ機能によるものとする。
【0013】
図1に示すように、加熱調理器1は、直方体形状のケーシング2と、ドア3とを備え、ケーシング2で囲まれる空間が、被加熱物を収容するための加熱庫2aとなっている。なお、マグネトロンMはケーシング2内部(例えば、加熱庫2aを挟んでドア3と反対側)に備えられている。
【0014】
ドア3は、加熱庫2aと対向する位置に配置される窓(窓部)3aと、窓3aを囲むフレーム(枠部)3bとを備える。窓3aには加熱庫2aを覗けるように、耐熱ガラスあるいは耐熱性の透明樹脂が嵌め込まれている。
【0015】
フレーム3bは、非金属材料、例えば、樹脂から形成されている。ドア3は、加熱庫2aを開閉可能に設けられており、下端の辺を略中心に回動し、上側にはドア3を開閉するためのユーザ補助としてハンドル4が取り付けられている。本実施形態では、ドア3の開閉は、ドア3の下端側の辺を略中心に回動して行われる構成であるが、これに限定されず、例えば、ドア3の左端または右端の辺を中心に回動してドア3が開閉する構成であってもよい。
【0016】
また、ドア3の加熱庫2aと対向する面に、加熱庫2aの入り口を覆うサイズのシールド材料が形成されている。
【0017】
加熱調理器1は、さらに、加熱調理器1に関する各種情報等を表示し、加熱調理器1への操作の受け付ける表示操作部5を備える。表示操作部5は、例えば、タッチパネルとして構成されていてもよい。また、表示操作部5にダイヤルやボタンが設けられていてもよい。
【0018】
表示操作部5の駆動回路は、非金属の回路収納部50に収納されている。回路収納部50には、加熱調理による熱の影響を低減するために、冷却ファン(図示せず)が設けられ、温度を下げる設計がなされている。回路収納部50は、
図1に示すように、ドア3のフレーム3b内部の一部として形成されている。本実施形態では、表示操作部5はドア3と一体に形成されている。あるいは、回路収納部50はドア3と一体に形成されていると言うこともできる。
【0019】
さらに、加熱調理器1では、外部と通信する無線通信アダプタ(無線通信装置)を設置するための設置空間を、フレーム3b内部、あるいは、回路収納部50に設ける。なお、
図1では、加熱調理器1に無線通信アダプタを設置していない状態を示しており、よって、無線通信アダプタは図示されていない。
【0020】
上記したように、ドア3及び表示操作部5は、非金属材料にて形成されている。ここで、一般に、マグネトロンを備えた加熱調理器では、ドア及び表示操作部はユーザが直接触れるため、温度上昇を抑えるように非金属材料にて覆われている。そのため、ドアのフレームが非金属材料にて形成されている、あるいは、表示操作部の駆動回路を収納する回路収納部が非金属材料にて形成されているのは、マグネトロンを備えた加熱調理器の一般的な構成である。よって、加熱調理器1は、マグネトロンを備えた加熱調理器の一般的な構成に、特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、非金属の部材にて覆われた位置に無線通信アダプタの設置空間を設けることができる。
【0021】
特に、回路収納部50には冷却ファンが設けられているため、無線通信アダプタの設置空間を回路収納部50に設けることで、無線通信アダプタへの熱の影響をより低減させることができる。
【0022】
以上から分かるように、加熱調理器1は、無線通信アダプタを設置するための特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、無線通信アダプタが良好な通信を行えるようにすることができる。また、上記設置空間に無線通信アダプタを設置すると、無線通信アダプタは、金属に覆われず、さらに、熱の影響も受けにくいため、良好な通信を行うことが可能となる。
【0023】
加熱調理器1は、無線通信アダプタを設置空間に設置することにより、外部の通信ネットワークに接続する、いわゆるネットワーク家電として機能する。なお、無線通信アダプタとしては、公知ものを用いることができ、例えば、無線通信回路とアンテナとが一体型の装置を用いてもよい。
【0024】
なお、上記ではマグネトロンを備えた加熱調理器1について説明を行ったが、無線アダプタの設置空間として、ドアのフレーム内部、あるいは、表示操作部の回路収納部に設ける構成は、マグネトロンを備えていない加熱調理器、例えばオーブン、オーブントースター等にも適用可能である。
【0025】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について
図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図2は、本実施形態の加熱調理器1aのドア3を開けた状態の正面図である。
【0026】
実施形態1では、表示操作部5はドア3と一体に形成されていたが、本実施形態では、
図3に示すように、表示操作部5はケーシング2に取り付けられた状態となっており、ドア3と一体になっていない。
【0027】
加熱調理器1aでは、外部と通信する無線通信アダプタを設置する設置空間をフレーム3b内部、または回路収納部50に設ける。加熱調理器1aは、加熱調理器1と同様、無線通信アダプタを設置するための特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、無線通信アダプタが良好な通信を行えるようにすることができる。
【0028】
〔実施形態3〕
本発明の別の実施形態について
図3及び4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0029】
図3は、本実施形態の加熱調理器10を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、簡略化した透視図である。なお、この透視図では、簡略のため、加熱調理器10の構成部材を全て直方体で描画している。
【0030】
本実施形態の加熱調理器10は、実施形態1で説明した加熱調理器1の構成及び機能に加え、
図3の(b)に示すように、蒸気発生装置8を備え、蒸気発生装置8にて発生する蒸気を用いたオーブン調理機能を有している。なお、オーブン調理機能を実現するヒータ等の加熱装置については図示を省略する。
【0031】
蒸気発生装置8は、水タンク(貯水容器)6から供給された水を加熱して飽和水蒸気を発生させ、加熱庫2aに供給する装置である。なお、加熱に使用された水蒸気を回収するため、ケーシング2の下部には露受容器7が着脱可能に取り付けられている。蒸気発生装置8、また、蒸気発生装置8にて発生する蒸気を用いたオーブン調理方法については、公知技術を用いることができる。
【0032】
水タンク6は、蒸気発生装置8に補給する水分を貯蔵する容器である。水タンク6は、加熱調理器10から取り出し、水を入れることが可能に形成されている。水タンク6は、本実施形態では樹脂にて形成されている。水タンク6は、主に非金属であればよく、全部が非金属であってもよいし、一部が金属で形成されていても構わない。なお、後述の様に、水タンク6と接する位置に無線アダプタを設置する場合には、水タンク6の金属部分は、無線アダプタの通信を阻害しない程度に形成および配置されているのが好ましい。
【0033】
また、水タンク6近傍には、水タンク6を冷却するファン(図示せず)が設けられている。水タンク6近傍の冷却ファンは、加熱調理における熱により水タンク6が変形、劣化、破損等するのを抑制するため、水タンク6近傍の熱を下げるのに使用される。
【0034】
本実施形態では、加熱調理器10では、外部と通信する無線通信アダプタを設置するための設置空間を、フレーム3b内部、回路収納部50、または、水タンク6に接する位置に設ける。なお、
図3の(b)の加熱調理器10aの簡略化した透視図は、無線通信アダプタ20が水タンク6に接する位置に設置された状態を示している。無線通信アダプタ20は、無線通信回路とアンテナとが一体型となった公知のものとする。
【0035】
加熱調理器10において、無線通信アダプタを設置するための設置空間を、フレーム3b内部、または、回路収納部50に設けることによる効果は実施形態1の加熱調理器1と同様である。
【0036】
水タンク6は、外部に取り外し可能であり主に非金属からなるため、これに接して無線通信アダプタの設置空間に設けた場合、ここに設置された無線通信アダプタは、水タンク6を通して外部と通信を行うことになる。また、水タンク6には水分が補給されるため低温である。さらに、水タンク6周囲には、一般に、加熱調理による熱の影響を低減するために冷却ファン等が設けられ、温度を下げる設計がなされている。よって、無線通信アダプタを設置するための設置空間を主に非金属からなる水タンク6と接する位置に設けた場合にも、無線通信アダプタに対する金属と熱の影響を低減することができる。
【0037】
よって、水蒸気を発生させる蒸気発生装置8を備えた加熱調理器10aにおいても、無線通信アダプタ20を設置するための特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、無線通信アダプタ20が良好な通信を行える加熱調理器を提供することが可能となる。
【0038】
ここで、水タンク6の下部に無線通信アダプタの設置空間が設けられていると、水タンク6からの水漏れによる無線通信アダプタへの悪影響が懸念される。しかしながら、
図3の(b)に示すように、水タンク6の上部ではそのような心配はない。また、加熱庫2aの下部は他より熱の影響をより受けにくい領域である。よって、無線通信アダプタの設置空間は、水タンク6の上部かつ加熱庫2aの下部に位置する空間が好ましい。
【0039】
無線通信アダプタの設置空間が水タンク6と接する位置に設けられている例を、具体的に説明する。
図4の(a)~(d)は、水タンク6と無線通信アダプタ20と位置関係の例を示す図であり、無線通信アダプタ20とを上から見た図である。
【0040】
図4の(a)では、無線通信アダプタ20の設置空間は、水タンク6aの奥(水タンク6aの背面側)の空間である。よって、この場合、無線通信アダプタ20は水タンク6aの奥にて水タンク6aと接する。
図4の(b)では、無線通信アダプタ20の設置空間は、水タンク6bに囲まれた空間である。よって、この場合、無線通信アダプタ20は水タンク6bに囲まれた空間にて水タンク6bと接する。
図4の(c)では、無線通信アダプタ20の設置空間は、水タンク6cの側部の空間である。よって、この場合、無線通信アダプタ20は水タンク6cの側面にて水タンク6cと接する。
図4の(d)では、無線通信アダプタ20の設置空間は、水タンク6dの上部である。よって、この場合、無線通信アダプタ20は水タンク6dの奥にて水タンク6dと接する。このように、無線通信アダプタ20の設置空間は水タンク6と接する位置であれば限定はされない。
【0041】
加熱調理器1は、無線通信アダプタ20を設置することにより、外部の通信ネットワークに接続する、いわゆるネットワーク家電として機能する。
【0042】
さらに、加熱調理器10は、過熱水蒸気を使用して加熱調理を行うことが可能に構成されていてもよい。この場合、蒸気発生装置8が発生した蒸気を、過熱水蒸気生成用のヒータ(図示せず)によって加熱し、この過熱水蒸気を加熱庫2aに充満させて、被加熱物を加熱する。
【0043】
また、本実施形態の加熱調理器10において、実施形態2と同様に、表示操作部5が、ドア3とは別に設けられていてもよい。また、ドア3の左端または右端の辺を中心に回動してドア3が開閉する構成であってもよい。
【0044】
なお、上記ではマグネトロン及び蒸気発生装置を備えた加熱調理器10について説明を行ったが、無線アダプタの設置空間として、ドアのフレーム内部、あるいは、表示操作部の回路収納部に設ける構成は、マグネトロンを備えず、蒸気発生装置を備えた、加熱調理器、例えばオーブン等にも適用可能である。
【0045】
〔実施形態4及び5〕
本発明のさらに別の実施形態について
図5及び6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0046】
図5は、実施形態4の加熱調理器10aのドア3を開けた状態の正面図である。また、
図6は、実施形態5の加熱調理器10bのドア3を開けた状態の正面図である。
【0047】
加熱調理器10aは、実施形態3の加熱調理器10に対して、水タンク6eの設置位置が異なる。これ以外の構成は、実施形態3の加熱調理器10と同様である。水タンク6eは樹脂から形成され、加熱庫2aの側部に、外部に取り外し可能に取り付けられている。
【0048】
実施形態5の加熱調理器10bでは、
図6に示すように、表示操作部5はケーシング2に取り付けられた状態となっており、ドア3と一体になっていない。これ以外の構成は、実施形態4の加熱調理器10aと同様である。なお、実施形態5の加熱調理器10bも加熱調理器10aと同様に、水タンク6fは加熱庫2aの側部に設置されている。
【0049】
加熱調理器10a及び加熱調理器10bでは、外部と通信する無線通信アダプタを設置するための設置空間を、フレーム3b内部、回路収納部50、または水タンク6e(6f)に接する位置に設ける。加熱調理器10a及び加熱調理器10bは、加熱調理器10と同様、無線通信アダプタを設置するための特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、無線通信アダプタが良好な通信を行えるようにすることができる。
【0050】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器(1)は、マグネトロン(M)を備えた加熱調理器において、被加熱物を収容する加熱庫(2a)と、前記加熱庫を開閉可能に設けられ、窓部(窓3a)及び当該窓部を囲む非金属の枠部(フレーム3b)を有する扉部(ドア3)と、表示を行い操作を受け付ける表示操作部(5)と、を備え、外部と通信する無線通信装置を設置するための設置空間を、前記枠部の内部に、または、前記表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、設けている。
【0051】
上記構成では、無線通信装置を設置するための設置空間を、非金属の枠部の内部に、または、表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、設ける。ここで、一般に、扉部及び表示操作部はユーザが直接触れるため、温度上昇を抑えるように非金属材料にて覆われている。よって、扉部の枠部が非金属材料にて形成されている、あるいは、表示操作部の駆動回路が非金属材料にて形成されているのは、マグネトロンを備えた加熱調理器の一般的な構成である。そのため、上記構成によると、マグネトロンを備えた加熱調理器の一般的な構成に、特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、非金属の部材にて覆われた位置に無線通信装置の設置空間を設けることができる。
【0052】
特に、表示操作部の駆動回路の回路収納部には、加熱調理による熱の影響を低減するために冷却ファン等が設けられ、温度を下げる設計がなされている。よって、設置空間を表示操作部の駆動回路の回路収納部に設けることで、無線通信装置への熱の影響をより低減させることができる。
【0053】
以上から分かるように、上記構成によると、加熱調理器に無線通信装置を設置するための特別な構成を設けることなく、また、加熱調理器の構造を変更することなく、無線通信装置を良好な通信を行える位置に設置することが可能な加熱調理器を提供することができる。また、上記設置空間に無線通信装置を設置すると、無線通信装置は、金属に覆われず、さらに、熱の影響も受けにくいため、良好な通信を行うことが可能となる。
【0054】
本発明の態様2に係る加熱調理器(10、10a、10b)は、マグネトロン(M)を備えた加熱調理器において、被加熱物を収容する加熱庫(2a)と、前記加熱庫を開閉可能に設けられ、窓部(窓3a)及び当該窓部を囲む非金属の枠部(フレーム3b)を有する扉部(ドア3)と、表示を行い操作を受け付ける表示操作部(5)と、水蒸気を発生させる蒸気発生装置(8)、及び当該蒸気発生装置に補給する水分を貯蔵する容器であり外部に取り外し可能な主に非金属からなる貯水容器(水タンク6)と、を備え、外部と通信する無線通信装置を設置するための設置空間を、前記枠部の内部に、前記表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、または前記貯水容器と接する位置に、設けている。
【0055】
上記構成によると、無線通信装置を設置するための設置空間を、非金属の枠部の内部に、表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に、または主に非金属からなる貯水容器と接する位置に、設ける。無線通信装置を設置するための設置空間を、非金属の枠部の内部に、表示操作部の駆動回路を収納する非金属の回路収納部に設けることによる効果は、本発明の態様1に係る加熱調理器と同様である。
【0056】
貯水容器は、外部に取り外し可能であり主に非金属からなるため、これに接して無線通信装置の設置空間に設けた場合、ここに設置された無線通信装置は、主に非金属からなる貯水容器を通して外部と通信を行うことになる。また、貯水容器には水分が補給されるため低温である。さらに、主に非金属からなる貯水容器周囲には、一般に、加熱調理による熱の影響を低減するために冷却ファン等が設けられ、温度を下げる設計がなされている。よって、無線通信装置を設置するための設置空間を主に非金属からなる貯水容器と接する位置に設けた場合にも、無線通信装置への金属と熱の影響を低減することができる。
【0057】
以上から分かるように、上記構成によると、マグネトロンに加え水蒸気を発生させる蒸気発生装置を備えた加熱調理器においても、無線通信装置を設置するための特別な構成を設けることなく、また、構造を変更することなく、無線通信装置が良好な通信を行える加熱調理器を提供することが可能となる。
【0058】
本発明の態様3に係る加熱調理器は、上記態様2に係る加熱調理器において、前記貯水容器は前記加熱庫の下部に配置されており、前記貯水容器と接する位置は、前記貯水容器の上部かつ前記加熱庫の下部の位置であってもよい。
【0059】
貯水容器の下部に無線通信装置の設置空間が配置されていると、貯水容器からの水漏れによる無線通信装置への悪影響が懸念される。しかしながら、貯水容器の上部ではそのような心配はない。また、加熱庫の下部は他より熱の影響をより受けにくい領域である。よって、上記構成によると、水分及び熱の影響をより受け難い空間を、無線通信装置の設置空間の一つとすることができる。
【0060】
本発明の態様4に係る加熱調理器は、上記態様1から3のいずれか1つに係る加熱調理器において、前記回路収納部は前記扉部と一体に形成されていてもよい。
【0061】
上記構成によると、回路収納部が扉部と一体に形成された加熱調理器に本発明を適用することが可能となる。
【0062】
本発明の態様5に係る加熱調理器では、上記態様1から4のいずれか1つに係る加熱調理器において、前記無線通信装置は、無線通信回路とアンテナとが一体型の装置であってもよい。
【0063】
上記構成によると、無線通信回路とアンテナとが一体型の装置であるため、別個に設けられている場合よりも設置空間を狭くすることができ、加熱調理器の他の構成の配置に影響を与えない。
【0064】
本発明の態様6に係る加熱調理器は、上記態様1~5のいずれか1つに係る加熱調理器において、前記設置空間に無線通信装置(無線通信アダプタ20)が設置され、当該無線通信装置にて外部の通信ネットワークに接続する。
【0065】
上記構成によると、無線通信装置により外部と良好な通信を行うことが可能な加熱調理器を構成することができる。
【0066】
さらに、上記態様6に係る加熱調理器と、当該加熱調理器に設置された無線通信装置と通信可能な通信端末装置と、を含むネットワーク家電システムも本発明の範疇に入る。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、マグネトロンを備えた加熱調理器であって、無線通信装置を設置しネットワーク家電として用いられる加熱調理器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1a,10,10a,10b 加熱調理器
2 ケーシング
2a 加熱庫
3 ドア(扉部)
3a 窓(窓部)
3b フレーム(枠部)
6,6a~6f 水タンク(貯水容器)
8 蒸気発生装置
20 無線通信アダプタ(無線通信装置)
50 回路収納部
M マグネトロン