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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20240710BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H01L23/02 C
H01L23/04 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023098408
(22)【出願日】2023-06-15
(65)【公開番号】P2024024589
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/030448
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】緒方 孝友
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010660(JP,A)
【文献】特開2022-000876(JP,A)
【文献】特開2017-195316(JP,A)
【文献】特開2022-103057(JP,A)
【文献】特開2020-057764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが設けられたパッケージであって、
セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、
セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、
前記基板部の前記第3面上に設けられている基板電極層と、
前記厚み方向に沿った第1中心軸に沿って延び、前記枠部の前記第1面に位置し前記キャビティから離れた第1端面と、前記第1端面と反対であって前記枠部内に位置する第1底面とを有する第1ビア電極と、
前記厚み方向に沿った第2中心軸に沿って延び、前記枠部内において前記第1ビア電極の前記第1底面に電気的に接続された第2端面と、前記第2端面と反対であって前記枠部の前記第2面で前記基板電極層に接する第2底面とを有する第2ビア電極と、
を備え、
平面視において前記第2ビア電極の前記第2底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされており、
前記第1ビア電極の前記第1中心軸は、前記第2ビア電極の前記第2中心軸に比して、前記枠部の前記内縁から離されている、パッケージ。
【請求項2】
前記第2端面は直径DAを有しており、前記第2底面は前記直径DAよりも小さい直径DBを有している、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記第2ビア電極は50μm以下の最大直径を有している、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記枠部の前記第2面の前記内縁と前記外縁との間の最小寸法は200μm以下である、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項5】
LO≧LI×1.5が満たされている、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記第2ビア電極は、前記厚み方向において前記第2端面からテーパ形状で延びる部分を有している、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記テーパ形状は5度以上のテーパ角を有している、請求項6に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記枠部は、前記第1面と、前記第2面の前記外縁とをつなぐ外壁面を有しており、
前記外壁面は、前記第1面につながる焼成面と、前記第2面につながる破断面とを有している、
請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項9】
平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面から外れている、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項10】
平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面に少なくとも部分的に重なっている、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項11】
平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面に包含されている、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記第1ビア電極は、前記厚み方向において前記第1端面からテーパ形状で延びる部分を有している、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記第1ビア電極は、前記第2ビア電極に比して、厚み方向におけるより大きな寸法を有している、請求項12に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに関し、特に、セラミックからなる枠部を有するパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックグリーンシートを用いて製造されるセラミック部品として、水晶振動子用のパッケージが知られている。一般的な水晶振動子は、水晶ブランクと、水晶ブランクが収められるキャビティを有するパッケージと、キャビティを封止するための蓋とを有している。パッケージは、キャビティの底面をなす基板部と、キャビティを囲む枠部と、この枠部上に設けられたメタライズ層とを有している。メタライズ層に蓋がろう材を用いて接合される。これにより、キャビティの気密性が確保される。
【0003】
パッケージの枠部上のメタライズ層は、通常、接地電位用の電極パッドに電気的に短絡されている。この電気的経路は、典型的には、枠部を貫通するビア電極を介して確保することができる。しかしながら、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅(枠部の内縁と外縁との間の寸法)が小さくなってきており、これに対応しての微細なビア電極を形成することが困難となってきている。具体的には、微細なビア電極用の微細なビア孔を、焼成されることによって枠部となるグリーンシートに形成することが、困難となってきている。ビア孔の典型的な形成方法として、ピン形状を有する金型が用いられる場合、ビア孔を微細化するためにピン形状を微細化すると、ピンの機械的強度が不足しやすい。そこで、たとえば特開2007-27592号公報に開示された技術によれば、ビア電極に代わって、枠部の内壁面上に、略三日月状の形状を有するキャスタレーション電極が設けられている。
【0004】
上記公報の技術のようにビア電極に代わってキャスタレーション電極がキャビティの側壁に設けられている場合、セラミックからなる枠部に比してろう材への高い濡れ性を有する電極がキャビティの内壁を厚み方向に沿って縦断する。よって、ろう材を用いた接合工程において、ろう材がキャビティ中へキャスタレーション電極に沿って流れ込みやすい。流れ込んだろう材と水晶ブランクとが接触すると、水晶振動子の機械的性能に悪影響が生じることがある。このような、機械的特性への悪影響は、パッケージに実装される素子が水晶ブランクの場合に特に懸念されるが、他の圧電素子の場合にも生じることがある。さらに、パッケージに実装される素子が電気的素子である限り、たとえば意図しない短絡のような、電気的特性への悪影響が懸念される。よって、ろう材の流れ込みを避けることが重要なことがあり、その観点ではキャスタレーション電極よりもビア電極が好適である。小型パッケージにとってもそのような要請があることから、枠部の小さな材料幅に対応して、ビア電極用の微小なビア孔を形成することができる技術が望まれる。
【0005】
特開2009-234074号公報は、ビア孔としての微小な貫通孔を、セラミックグリーンシートに、レーザー加工技術によって形成する方法が開示されている。具体的には、厚みが250μm以下のセラミックグリーンシートに、直径30μm乃至50μmの貫通孔が、紫外線レーザーを用いて形成される。このように厚みに対して直径の小さい貫通孔がレーザー加工によって形成される場合、貫通孔がテーパ形状を有する傾向があることが指摘されている。そして上記公報においては、貫通孔のテーパ形状は、貫通孔への導体ペーストの充填を困難にするものとして問題視されている。そこで上記公報の技術においては、テーパ率を60%以上とすることができるレーザー光照射条件が検討されている。ここでテーパ率は、テーパの直径比によって定義されており、テーパ率100%は貫通孔がテーパ形状を有しないことを意味し、また、より小さなテーパ率は、より急激なテーパ形状を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-27592号公報
【文献】特開2009-234074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らの検討によれば、上記のレーザー加工技術が、パッケージの枠部にビア電極を設ける目的で単純に適用されると、キャビティの気密性を十分に確保することが困難なことがある。この問題は、パッケージの小型化の進展にともなって枠部の材料幅が小さくなるほど深刻となる。よって、気密性を確保する観点では、前述したキャスタレーション電極の方が好適なことがある。一方で、前述したように、キャスタレーション電極が提供されると、キャビティへのろう材の流れ込みが問題となることがある。以上から、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することは、従来の技術では困難である。
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができるパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様1は、キャビティが設けられたパッケージであって、セラミックからなる枠部を備え、前記枠部は、第1面と、厚み方向において前記第1面と反対の第2面とを有しており、前記第2面は、前記キャビティを囲む内縁と、前記内縁を囲む外縁とを有しており、前記パッケージはさらに、セラミックからなる基板部を備え、前記基板部は、前記枠部の前記第2面を支持する部分と、前記キャビティに面する部分とを有する第3面を有しており、前記パッケージはさらに、前記基板部の前記第3面上に設けられている基板電極層と、前記厚み方向に沿った第1中心軸に沿って延び、前記枠部の前記第1面に位置し前記キャビティから離れた第1端面と前記第1端面と反対であって前記枠部内に位置する第1底面とを有する第1ビア電極と、前記厚み方向に沿った第2中心軸に沿って延び、前記枠部内において前記第1ビア電極の前記第1底面に電気的に接続された第2端面と前記第2端面と反対であって前記枠部の前記第2面で前記基板電極層に接する第2底面とを有する第2ビア電極と、を備え、平面視において前記第2ビア電極の前記第2底面は、前記枠部の前記第2面の前記内縁からの最小寸法LIと、前記枠部の前記第2面の前記外縁からの最小寸法LOとを有しており、LO>LIが満たされており、前記第1ビア電極の前記第1中心軸は、前記第2ビア電極の前記第2中心軸に比して、前記枠部の前記内縁から離されている。
【0010】
態様2は、態様1のパッケージであって、前記第2端面は直径DAを有しており、前記第2底面は前記直径DAよりも小さい直径DBを有している。
【0011】
態様3は、態様1または2のパッケージであって、前記第2ビア電極は50μm以下の最大直径を有している。
【0012】
態様4は、態様1から3のいずれかひとつのパッケージであって、前記枠部の前記第2面の前記内縁と前記外縁との間の最小寸法は200μm以下である。
【0013】
態様5は、態様1から4のいずれかひとつのパッケージであって、LO≧LI×1.5が満たされている。
【0014】
態様6は、態様1から5のいずれかひとつのパッケージであって、前記第2ビア電極は、前記厚み方向において前記第2端面からテーパ形状で延びる部分を有している。
【0015】
態様7は、態様6のパッケージであって、前記テーパ形状は5度以上のテーパ角を有している。
【0016】
態様8は、態様1から7のいずれかひとつのパッケージであって、前記枠部は、前記第1面と、前記第2面の前記外縁とをつなぐ外壁面を有しており、前記外壁面は、前記第1面につながる焼成面と、前記第2面につながる破断面とを有している。
【0017】
態様9は、態様1から8のいずれかひとつのパッケージであって、平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面から外れている。
【0018】
態様10は、態様1から8のいずれかひとつのパッケージであって、平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面に少なくとも部分的に重なっている。
【0019】
態様11は、態様1から8のいずれかひとつのパッケージであって、平面視において、前記第2ビア電極の前記第2端面は、前記第1ビア電極の前記第1底面に包含されている。
【0020】
態様12は、態様1から11のいずれかひとつのパッケージであって、前記第1ビア電極は、前記厚み方向において前記第1端面からテーパ形状で延びる部分を有している。
【0021】
態様13は、態様12のパッケージであって、前記第1ビア電極は、前記第2ビア電極に比して、厚み方向におけるより大きな寸法を有している。
【発明の効果】
【0022】
態様1によれば、第1に、LO>LIが満たされるように第2ビア電極の第2底面が配置されていることから、第2ビア電極の第2底面の外縁と枠部の第2面の外縁との間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、大きく確保することができる。ここで、セラミック間の積層界面は、金属とセラミックとの積層界面に比して、高い気密性を有する。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を抑制することができる。第2に、第1ビア電極の第1中心軸が第2ビア電極の第2中心軸に比して枠部の内縁から離されていることから、第2ビア電極の第2底面がキャビティに達するほど第2ビア電極がキャビティ近傍に位置しても、第1ビア電極の第1端面はキャビティから離れて位置することができる。これにより、第1ビア電極の第1端面近傍で第1ビア電極の側面がキャビティへ露出されることが避けられる。よって、枠部の第1面に第1端面を有する第1ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができる。以上から、キャビティの十分な気密性を確保しつつ、キャビティ中へのろう材の流れ込みを防止することができる。
【0023】
態様2によれば、第2端面は直径DAを有しており、第2底面は直径DAよりも小さい直径DBを有している。これにより、第2ビア電極の第2底面の外縁と枠部の第2面の外縁との間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より抑制することができる。
【0024】
態様3によれば、第2ビア電極は50μm以下の最大直径を有している。これにより、枠部の幅寸法も微細化することができる。この微細化が進むほど基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0025】
態様4によれば、枠部の第2面の内縁と外縁との間の最小寸法は200μm以下である。このように微細化が進むほど基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0026】
態様5によれば、LO≧LI×1.5が満たされている。これにより、基板部と枠部との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0027】
態様6によれば、第2ビア電極は、厚み方向において第2端面からテーパ形状で延びる部分を有している。これにより、第2ビア電極の第2底面の外縁と枠部の第2面の外縁との間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より抑制することができる。
【0028】
態様7によれば、テーパ形状は5度以上のテーパ角を有している。これにより、第2ビア電極の第2底面の外縁と枠部の第2面の外縁との間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティの気密性の低下を、より抑制することができる。
【0029】
態様8によれば、枠部は、第1面と、第2面の外縁とをつなぐ外壁面を有しており、外壁面は、第1面につながる焼成面と、第2面につながる破断面とを有している。破断面はブレイク工程によって形成されるところ、その工程ばらつきの影響によって、枠部の第2面の外縁とビア電極の底面との間の距離が小さくなることがある。しかしながら、前述したようにLO>LIが満たされていることによって、当該距離が過小にはなりにくくなる。よって、当該距離が過小なことに起因しての気密性の不足を防止することができる。
【0030】
態様9によれば、平面視において、第2ビア電極の第2端面は、第1ビア電極の第1底面から外れている。これにより、平面視において第1ビア電極が相対的に外側に配置しかつ第2ビア電極を相対的に内側に配置する設計において、平面視における第1ビア電極と第2ビア電極との位置的差異を大きく取りやすくなる。第1ビア電極がより外側に配置されることによって、第1ビア電極に起因してのキャビティ中へのろう材の流れ込みを、より確実に防止することができる。第2ビア電極がより内側に配置されることによって、キャビティの気密性を、より十分に確保することができる。
【0031】
態様10によれば、第2ビア電極の第2端面は、第1ビア電極の第1底面に少なくとも部分的に重なっている。これにより、第2ビア電極を第1ビア電極に電気的に接続することが容易となる。
【0032】
態様11によれば、第2ビア電極の第2端面は、第1ビア電極の第1底面に包含されている。これにより、パッケージの製造において、第1ビア電極が充填されることになる第1ビア孔をグリーン体における非貫通孔として形成した後、当該非貫通孔の底面を加工することによって、第2ビア電極が充填されることになる第2ビア孔を形成することが可能となる。よって、パッケージの製造において、第1ビア電極が位置する部分と、第2ビア電極が位置する部分とを、互いに積層されることを要する別個のグリーン体として扱う必要がない。よって、パッケージの製造における積層工程を簡素化することができる。
【0033】
態様12によれば、第1ビア電極は、厚み方向において第1端面からテーパ形状で延びる部分を有している。これにより、第1ビア電極を含むレイヤと、第2ビア電極を含むレイヤと、の間の仮想面における、第1ビア電極の第1底面と枠部の外壁面との間の距離を、より大きく確保することができる。上記仮想面は、パッケージの製造方法における積層界面に相当するので、剥離のような積層不良を有することがある。このような積層不良はキャビティ外からキャビティ内への水分の侵入経路となりやすいところ、上記距離が大きくされることによって、キャビティ内への水分の侵入を、より抑制することができる。よって、キャビティの気密性を、より十分に確保することができる。
【0034】
態様13は、態様12のパッケージであって、前記第1ビア電極は、前記第2ビア電極に比して、厚み方向におけるより大きな寸法を有している。これにより、第1ビア電極を含むレイヤと、第2ビア電極を含むレイヤと、の間の仮想面における、第1ビア電極の第1底面と枠部の外壁面との間の距離を、より大きく確保することができる。よって、キャビティ内への水分の侵入を、より抑制することができる。よって、キャビティの気密性を、より十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施の形態1における水晶振動子の構成を概略的に示す平面図である。
図2図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。
図3図1の水晶振動子の製造方法の一工程を概略的に示す平面図である。
図4図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
図5】実施の形態1におけるパッケージの構成を概略的に示す平面図である。
図6図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。
図7図5におけるメタライズ層および枠部の図示を省略した平面図である。
図8図7における基板部およびビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
図9図5における枠部上のメタライズ層の図示を省略した平面図である。
図10図9の一部拡大図である。
図11図5の線XI-XIに沿う概略的な部分断面図である。
図12】実施の形態1におけるパッケージの製造方法における基板グリーン体の構成を概略的に示す部分平面図である。
図13図12に示された基板グリーン体における基板部および基板ビア電極を、パッケージ電極パッドを破線で示しつつ、概略的に示す部分平面図である。
図14図12および図13の線XIV-XIVに沿う概略的な部分断面図である。
図15】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図16】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図17】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図18】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図19】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図20】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図21】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図22】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図23】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図24】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図25】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図26】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図27】実施の形態1におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図28】第1比較例のパッケージの構成を図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図29】第2比較例のパッケージの構成を図11および図26の各々と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図30】実施の形態2におけるパッケージの構成を、図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
図31】実施の形態2におけるパッケージの構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図32】実施の形態3におけるパッケージの構成を、図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。
図33】実施の形態3におけるパッケージの構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
図34】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図35】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図36】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図37】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図38】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
図39】実施の形態3におけるパッケージの製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、一部の図中には、方向の理解を容易とするために、xyz直交座標系が示されている。当該座標系のz方向は、後述の厚み方向に対応している。また当該座標系のxy面におけるレイアウトは、後述の平面視に対応している。また本明細書において、ある方向が定義された場合に、当該方向に延びる「テーパ形状」は、当該方向に向かって次第に狭くなる形状であり、例えば、当該方向に向かって直径が次第に小さくなる形状である。
【0037】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1における水晶振動子900(電気的部品)の構成を概略的に示す平面図である。図2は、図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。図3は、水晶振動子900(図1)の製造方法における、水晶ブランク890(電気的素子)が実装された直後の構成を概略的に示す平面図である。図4は、図3の線IV-IVに沿う概略的な断面図である。
【0038】
水晶振動子900は、パッケージ701と、水晶ブランク890と、ろう材960と、蓋980とを有している。パッケージ701にはキャビティCVが設けられている。水晶ブランク890は、キャビティCV内に収められており、パッケージ701の素子電極パッド211および素子電極パッド212の上に実装されている。蓋980は、ろう材960によってパッケージ701のメタライズ層600に接合されており、これによりキャビティCVが封止されている。ろう材960は、典型的には、金を含む合金からなることが好ましく、たとえば、金およびスズを含む合金、言い換えればAu-Sn系合金、からなる。蓋980は、金属からなり、例えば、鉄およびニッケルを含む合金からなる。なお本明細書において、合金は金属の一種とみなす。
【0039】
メタライズ層600は、例えば、モリブデンおよびタングステンの少なくともいずれかを含む金属からなる。メタライズ層600の表面(ろう材960に面する面)には、めっき層が設けられていてよく、典型的には金めっき層が設けられている。また金めっき層の下地としてニッケルめっき層が設けられていてよい。本実施の形態においては、パッケージ701の枠部120の枠上面SF1上に直接設けられたメタライズ層600と、蓋980との間が、ろう材960のみによって接合されている。
【0040】
図5は、パッケージ701の構成を概略的に示す平面図である。図6は、図5の線VI-VIに沿う概略的な断面図である。パッケージ701は、セラミック部100と、素子電極パッド211と、素子電極パッド212と、パッケージ電極パッド301~304とを有している。また詳しくは後述するが、パッケージ701は、セラミック部100に設けられた、電気的配線のための構成を有している。
【0041】
セラミック部100は、セラミックからなり、好ましくは酸化物を主成分として有しており、より好ましくはアルミナを主成分として有しており、例えば実質的にアルミナからなる。セラミック部100は、基板部110と、枠部120とを含む。基板部110の材料と、枠部120の材料とは、同じであってよい。枠部120は厚み方向(図6におけるz方向)において基板部110に積層されている。枠部120は、枠上面SF1(第1面)と、枠下面SF2(厚み方向において第1面と反対の第2面)とを有している。また枠部120は、枠上面SF1と枠下面SF2とを互いにつなぐ内壁面を有しており、当該内壁面はキャビティCVの側壁である。基板部110は基板上面SF3(第3面)を有している。基板上面SF3は、枠部120の枠下面SF2を支持する支持面部分SF3Sと、キャビティCVに面するキャビティ面部分SF3Cとを有している。キャビティ面部分SF3CはキャビティCVの底面をなしている。
【0042】
素子電極パッド211および素子電極パッド212(図5)はキャビティCVに面してセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、素子電極パッド211および素子電極パッド212は、基板部110(図6)の上面(キャビティCVに面する面)上に配置されている。パッケージ電極パッド301~304(図5)はキャビティCV外においてセラミック部100(図6)に配置されている。具体的には、パッケージ電極パッド301~304は、基板部110(図6)の下面(キャビティCVに面する面とは反対の面)上に配置されている。
【0043】
中継電極220(図5)は、基板部110(図6)の基板上面SF3上に設けられている。中継電極220は、少なくとも部分的に支持面部分SF3S(図6)上に配置されている。よって、中継電極220(図5)は、少なくとも部分的に枠部120に覆われている。中継電極220はさらに、枠部120には覆われずにキャビティCVの底面に配置された部分を有していてよい。言い換えれば、中継電極220は枠部120に部分的にのみ覆われていてよい。
【0044】
図7は、メタライズ層600(図5)および枠部120(図6)の図示を省略した平面図である。図8は、図7における基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す平面図である。
【0045】
セラミック部100の基板部110にはその上面近傍において配線層401~403が埋め込まれている。配線層401は素子電極パッド211に接触しており、配線層402は素子電極パッド212に接触しており、配線層403は中継電極220に接触している。これらの接触を阻害しない範囲で配線層401~403は、基板部110の一部としての絶縁膜110i(図11参照)に被覆されていてよく、特に素子電極パッド211と配線層403との間は、絶縁膜110iによって絶縁されている。配線層403および中継電極220によって基板電極層200が構成されている。
【0046】
パッケージ701は、セラミック部100の基板部110中に埋め込まれた基板ビア電極411~414を有している。基板ビア電極411は配線層402とパッケージ電極パッド301とを互いに接続している。基板ビア電極412は配線層403とパッケージ電極パッド302とを互いに接続している。基板ビア電極413は配線層401とパッケージ電極パッド303とを互いに接続している。基板ビア電極414は配線層403とパッケージ電極パッド304とを互いに接続している。
【0047】
以上の構成から、素子電極パッド211はパッケージ電極パッド303に電気的に接続されており、素子電極パッド212はパッケージ電極パッド301に電気的に接続されており、中継電極220はパッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている。
【0048】
図9は、図5におけるメタライズ層600の図示を省略した平面図である。図10は、図9の一部拡大図である。図11は、図5の線XI-XIに沿う概略的な断面図である。
【0049】
枠部120の枠下面SF2は、キャビティCVを囲む内縁EIと、内縁EIを囲む外縁EOとを有している。内縁EIと外縁EOとの間の最小寸法WD(図10)は、200μm以下であってよく、典型的には20μm以上110μm以下である。枠部120は、枠上面SF1と、枠下面SF2の外縁EOとをつなぐ外壁面SF4を有している。また枠部120は、枠上面SF1と枠下面SF2の内縁EIとをつなぐ内壁面(図11における左面)を有しており、内壁面はキャビティCVに面している。本実施の形態においては、外壁面SF4は、枠上面SF1につながる焼成面SF4Aと、枠下面SF2につながる破断面SF4Bとを有している。破断面SF4Bは、枠上面SF1に対しておおよそ垂直な面(図11においてz方向に平行な面)であってよい。焼成面SF4Aは、図11に示されているように、枠上面SF1と破断面SF4Bとの間を面取りするベベル面であってよい。言い換えれば、焼成面SF4Aの法線方向は、枠上面SF1および破断面SF4Bの法線方向とは異なってよく、かつ、それらの間であってよい。
【0050】
前述したように、配線層403および中継電極220によって、基板部110の基板上面SF3上に基板電極層200が構成されている。また、前述したように基板部110がその一部として絶縁膜110i(図11)を有している。変形例として、絶縁膜110iはパッケージの設計によっては省略されてよい。また基板電極層200は、配線層403および中継電極220のいずれか一方のみによって構成されてよい。例えば、基板電極層200は、中継電極220が省略されつつ配線層403を有していてよく、その場合において、配線層403と絶縁膜110iとの境界位置(図11における配線層403の右端位置)が支持面部分SF3S上の中継電極220の端位置(図11における中継電極220の右端位置)へずらされてよく、中継電極220は省略されてよい。またキャビティCVに面している絶縁膜110iの端は、枠部120に達するように変形されてよく、その場合、基板電極層200は絶縁膜110iによってキャビティCVから隔てられてよい。また、基板電極層200は、典型的には図11に示されているように支持面部分SF3Sとキャビティ面部分SF3Cとにまたがっているが、変形例として、支持面部分SF3S上にのみ配置されていてよい。また基板電極層200は、図11に示されているように、枠部120の枠下面SF2の外縁EOから離れた端(図11における右端)を有していることが好ましい。言い換えれば、この端は外縁EOに達していないことが好ましい。これにより、電極層200をなす金属と、セラミックとの積層界面が外縁EOに達しない。その結果、セラミック同士の界面の気密性に比して低い気密性を有する金属とセラミックとの界面が外縁EOに達しない。よって、電極層200に起因しての気密性の低下を抑制することができる。
【0051】
パッケージ701は、枠部120に設けられた電気的配線のための構成として、第1ビア電極511と、第2ビア電極512と、枠電極層550とを有している。この電気的配線は、枠上面SF1と枠下面SF2との間で枠部120を貫通している。
【0052】
第1ビア電極511は、第1端面SFAと、第1底面SFJとを有している。第1端面SFAは、枠上面SF1に位置しており、キャビティCVから離れている。第1底面SFJは、第1端面SFAと厚み方向(z軸方向)において反対であって、枠部120内に位置している。第1ビア電極511は、厚み方向に沿った第1中心軸AX1に沿って延びている。よって、平面視において、第1端面SFAの中心位置と、第1底面SFJの中心位置とは、おおよそ同じである。第1底面SFJの直径は、第1端面SFAの直径より小さくてよい。第1ビア電極511は、厚み方向において第1端面SFAからテーパ形状で延びる部分を有していてよい。第1ビア電極511の高さ(厚み方向における寸法)は、例えば、20μm以上80μm以下である。
【0053】
第2ビア電極512は、第2端面SFKと、第2底面SFBとを有している。第2端面SFKは、枠部120内において第1ビア電極511の第1底面SFJに電気的に接続されており、本実施の形態においては、枠電極層550を介して接続されている。第2底面SFBは、第2端面SFKと厚み方向(z軸方向)において反対である。第2底面SFBは、枠下面SF2で基板電極層200に接しており、本実施の形態においては中継電極220に接している。前述したように、中継電極220は配線層403に接触しており、配線層403(図7)には基板ビア電極412および基板ビア電極414が接続されている。よって基板ビア電極412および基板ビア電極414は、第2ビア電極512に電気的に接続されている。さらに、第1ビア電極511の第1端面SFAは、メタライズ層600(図6)に接している。よってメタライズ層600は、基板ビア電極412および基板ビア電極414のそれぞれを介して、パッケージ電極パッド302およびパッケージ電極パッド304に電気的に接続されている(図8参照)。
【0054】
枠電極層550は、枠部120の外壁面SF4および内壁面の少なくとも一方とは接していないことが好ましい。なぜならば、枠電極層550が外壁面SF4と内壁面との両方に接していると、これらを互いにつなぐように延びる金属とセラミックとの積層界面がキャビティCVの気密性を低下させることがあるからである。枠電極層550は、枠部120の外壁面SF4と接していないことがさらに好ましい。これにより、枠電極層550をなす金属と、セラミックとの積層界面が外壁面SF4に達しない。その結果、セラミック同士の界面の気密性に比して低い気密性を有する金属とセラミックとの界面が外壁面SF4に達しない。よって、枠電極層550に起因しての気密性の低下を抑制することができる。
【0055】
第2端面SFKは直径DAを有しており、第2底面SFBは直径DBを有している。直径DBは直径DAよりも小さい。直径DAに対する直径DBの割合は、30%以上70%以下であってよい。平面視において第2ビア電極512の第2底面SFBは、枠下面SF2の内縁EIからの最小寸法LIと、枠下面SF2の外縁EOからの最小寸法LOとを有している。第2ビア電極512の最大直径は、枠部120の最小寸法WDより小さく、50μm以下であってよい。また直径DAは、枠部120の最小寸法WDより小さく、50μm以下であってよい。第2ビア電極512は、厚み方向において第2端面SFKからテーパ形状で延びる部分を有していてよい。テーパ形状は5度以上のテーパ角を有していてよい。テーパ角は、図11の断面視において、第2ビア電極512がテーパ形状を有する部分の側面と、厚み方向(z方向)との間の角度である。第2ビア電極512は、全体としてテーパ形状を有していてよく、その場合、テーパ率(直径DAに対する直径DBの百分率)は60%未満であってよい。第2ビア電極512の高さ(厚み方向における寸法)は、例えば、20μm以上80μm以下である。第2ビア電極512に比して、第1ビア電極511は、より大きな高さ(厚み方向におけるより大きな寸法)を有していてよい。このことは、第1ビア電極511が、厚み方向において第1端面SFAからテーパ形状で延びる部分を有している場合に、特に好ましい。
【0056】
第2ビア電極512は、厚み方向に沿った第2中心軸AX2に沿って延びている。よって平面視において、第2端面SFKの中心位置と、第2底面SFBの中心位置とは、おおよそ同じである。第2ビア電極512の第2中心軸AX2に比して、第1ビア電極511の第1中心軸AX1は、枠部120の内縁EIから離されている。本実施の形態においては、平面視において、第2ビア電極512の第2端面SFKは、第1ビア電極511の第1底面SFJから外れている。
【0057】
平面視(図10)において底面SFBは、枠部120の枠下面SF2の内縁EIからの最小寸法LIと、枠部120の枠下面SF2の外縁EOからの最小寸法LOとを有している。LO>LIが満たされており、好ましくは、LO≧LI×1.5が満たされている。
【0058】
図10に示された平面レイアウトにおいて、第1端面SFA、第1底面SFJ、第2端面SFK、および第2底面SFBの形状は、おおよそ円形形状であるが、これら形状は幾何学的に厳密な円形状から、製造誤差に起因して若干異なっていてもよい。その場合、直径DAおよび直径DBは、端面SFAおよび底面SFBを円形形状で近似することによって算出されてよい。
【0059】
また図10に示された平面レイアウトにおいて、枠下面SF2(図11参照)の内縁EIは、第1直線部(図10におけるx方向に沿った直線部)と、第1直線部に対して直角方向に延びる第2直線部(図10におけるy方向に沿った直線部)と、これらを互いにつなぐ角部とを有している。最小寸法LIは、この角部への寸法であってよい。平面視における、第2中心軸AX2から第1中心軸AX1へのシフト方向ASは、図10に示されているように、第1直線部に沿った方向成分(x方向成分)と第2直線部に沿った方向成分(y方向成分)との両方を含むことが好ましい。これにより、第2ビア電極512に対して第1ビア電極511を枠部120の角部に向かってシフトさせることができる。よって、第2ビア電極512と枠部120の外壁面SF4との間の寸法を確保しやすくなる。ただしそのような配慮が不要な場合は、シフト方向ASは、第1直線部に沿った方向成分(x方向成分)および第2直線部に沿った方向成分(y方向成分)のいずれか一方のみを含んでよい。
【0060】
図12から図27は、複数のパッケージ701を一括して製造する製造方法を説明するための図である。なお、図12図26は、図26の状態を図27の状態へと変化させる焼成工程よりも前の状態を示している。よって、図12図26中の各構成は、完成されたパッケージ701中の構成とは異なり、未焼成の材料からなる。しかしながら説明の便宜上、焼成工程よりも前の工程を示す図12図26においても、焼成工程を経て得られたパッケージ701の構成を表す符号と同様の符号が付されている。また説明の便宜上、未焼成の材料からなる上記構成の称呼にも、焼成工程を経て得られたパッケージ701中の構成の称呼を用いることがある。
【0061】
図12は、上記製造方法における基板グリーン体GSの構成を概略的に示す部分平面図である。図13は、基板グリーン体GSにおける基板部110および基板ビア電極411~414を、パッケージ電極パッド301~304を破線で示しつつ、概略的に示す部分平面図である。図14は、図12および図13の線XIV-XIVに沿う概略的な部分断面図である。基板グリーン体GSは、複数の領域UN0~UN4を含み、その各々が最終的にパッケージ701(図6)の基板部110およびその近傍の構造となる。領域UN1~UN4は、いずれも領域UN0に隣り合うように配置されている。なお図12および図13においては、領域UN0についてのみ具体的な構成が示されているが、領域UN1~UN4も同様の構成を有していてよい。
【0062】
なお本明細書において、文言「グリーン体」は、後の工程において焼成されることになる未焼成の構成のことを意味する。グリーン体は、典型的には粉末成形体である。ハンドリングを容易とするために、グリーン体は、主成分に加えて、ガラス成分と有機成分とを、添加物として含んでよい。有機成分は、例えば、ポリビニルブチラールまたはアクリルを含んでいてよい。グリーン体の成形方法は任意であるが、例えばドクターブレード法により、グリーン体の少なくとも一部としてのグリーンシートが形成される。このグリーンシート上にさらなるグリーン体が付加されてもよく、この付加は、典型的には、当該グリーンシート上での印刷、または、他のグリーンシートの積層によって行われる。当該印刷は、典型的にはスクリーン印刷法によって行われる。焼成されることによってセラミック部100(図6)となるグリーン体の主成分は、例えばアルミナ粉末であってよい。焼成されることによって第1ビア電極511、第2ビア電極512および基板電極層200(図11参照)などの配線構造となるグリーン体の主成分は、例えば、タングステン(W)粉末、モリブデン(Mo)粉末、W粉末とMo粉末との混合粉末、または、W-Mo合金粉末であってよい。
【0063】
基板グリーン体GSを得るには、まず、基板部110となるグリーンシートが形成される。このグリーンシートに対して、パンチ加工によるビア孔の形成と、当該ビア孔中への電極ペーストの印刷とが行われることによって、基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成される。電極ペースト中には、例えば、タングステンおよびモリブデンの少なくともいずれかの粉末が分散されている。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、配線層401~403となるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対してセラミックペーストの印刷が行われることによって、絶縁膜110iとなるグリーン体が形成される。続いて、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、素子電極パッド211,212、および中継電極220となるグリーン体が形成される。また、上記のように基板ビア電極411~414となるグリーン体が形成された後の任意のタイミングで、このグリーンシートに対して電極ペーストの印刷が行われることによって、パッケージ電極パッド301~304となるグリーン体が形成される。
【0064】
図15図19は、パッケージ701(図11)のうち厚み方向において第1ビア電極511およびメタライズ層600が配置されている部分の構造を構成するための第1枠部グリーン体GF1に関連した工程を順に示す部分断面図である。図中、一点鎖線でブレイク面BRが示されており、これに沿って、後述するブレイク工程が行われることになる。
【0065】
図15を参照して、第1枠部グリーン体GF1として、まず、枠部120の一部(図11における上部)である枠上部120aとなる部分を含む単純なグリーンシートが形成される。この形成は、例えば、ドクターブレード法によって行われてよい。第1枠部グリーン体GF1を構成する枠上部120aの厚みは、例えば、30μm以上90μm以下である。
【0066】
図16を参照して、枠上部120aに第1ビア孔VH1が、レーザー加工によって形成される。レーザー加工用のレーザー光は、枠上面SF1から枠上部120a中へ進行するように照射される。その結果、第1ビア孔VH1は、枠上面SF1から枠上部120a中へ向かう方向にテーパ形状を有しやすい。枠上面SF1における孔径は反対面における孔径よりも大きい。
【0067】
さらに図17を参照して、第1枠部グリーン体GF1の第1ビア孔VH1(図16)内に、第1ビア電極511(図17)が形成される。具体的には、第1ビア孔VH1中へ電極ペーストがスクリーン印刷法によって充填される。この充填は、枠上面SF1から第1ビア孔VH1中へ行われることが好ましい。
【0068】
図18を参照して、枠上面SF1上にメタライズ層600が形成される。具体的には、電極ペーストが塗布される。なお、図18においては枠上面SF1の全体に電極ペーストが塗布されているが、後述のキャビティCVの形成工程によって除去される領域にメタライズ層600を塗布する必要はない。よって当該領域の少なくとも一部には塗布がなされないようなスクリーン印刷法が適用されてよい。
【0069】
図19を参照して、キャビティCVがパンチ加工によって形成される。なお、キャビティCVが第1枠部グリーン体GF1へ、より早いタイミング形成されてもよい。以上により、キャビティCVを囲む枠形状を有する第1枠部グリーン体GF1が完成される。
【0070】
図20図24は、パッケージ701(図11)のうち厚み方向において第2ビア電極512および枠電極層550が配置されている部分の構造を構成するための第2枠部グリーン体GF2に関連した工程を順に示す部分断面図である。図中、一点鎖線でブレイク面BRが示されており、これに沿って、後述するブレイク工程が行われることになる。
【0071】
図20を参照して、第2枠部グリーン体GF2として、まず、枠部120の一部(図11における下部)である枠下部120bとなる部分を含む単純なグリーンシートが形成される。この形成は、例えば、ドクターブレード法によって行われてよい。第2枠部グリーン体GF2を構成する枠下部120bの厚みは、例えば、30μm以上90μm以下である。
【0072】
図21を参照して、枠下部120bに第2ビア孔VH2が、レーザー加工によって形成される。レーザー加工用のレーザー光は、枠下部120b中を通ってから枠下面SF2を抜けるように照射される。その結果、第2ビア孔VH2は、枠下面SF2へ向かう方向にテーパ形状を有しやすい。枠上面SF2における孔径は反対面における孔径よりも小さい。
【0073】
さらに図22を参照して、第2枠部グリーン体GF2の第2ビア孔VH2(図21)内に、第2ビア電極512(図22)が形成される。具体的には、第2ビア孔VH2中へ電極ペーストがスクリーン印刷法によって充填される。この充填は、枠下面SF2の反対面から第2ビア孔VH2中へ行われることが好ましい。
【0074】
図23を参照して、枠下面SF2と反対面上に枠電極層550が形成される。具体的には、電極ペーストが塗布される。この塗布にはスクリーン印刷法が適用されてよい。
【0075】
図24を参照して、キャビティCVがパンチ加工によって形成される。なお、キャビティCVが第2枠部グリーン体GF2へ、より早いタイミング形成されてもよい。以上により、キャビティCVを囲む枠形状を有する第2枠部グリーン体GF2が完成される。
【0076】
図25を参照して、基板グリーン体GS(図14)と第1枠部グリーン体GF1(図19)と第2枠部グリーン体GF2(図24)とを積層することによって、グリーンシート700Gが形成される。グリーンシート700Gは複数の領域701Gを含み、その各々が最終的にパッケージ701(図11参照)となる。
【0077】
図26を参照して、グリーンシート700Gの枠上面SF1にトレンチTR1が形成される。また、グリーンシート700Gの、枠上面SF1と反対の面に、トレンチTR2が形成される。トレンチTR1とトレンチTR2とは、厚み方向において対向するように配置される。トレンチTR1およびトレンチTR2は、例えば、刃先をグリーンシート700Gへ押し付けることによって形成される。その後、グリーンシート700Gを焼成する焼成工程が行われる。なお、焼成工程後に、必要に応じて、めっき工程も行われてよい。
【0078】
図27を参照して、上記焼成工程によって焼成シート700Fが形成される。焼成工程において、トレンチTR1の内面は、焼成雰囲気にさらされる。よって、焼成シート700FのトレンチTR1の内面は焼成面となる。当該焼成面が、パッケージ701の焼成面SF4A(図11)となる。焼成シート700Fへ応力を印加することによって、トレンチTR1からクラックを発生させるブレイク工程が行われる。ブレイク工程によって枠部120が破断されることによって破断面が形成される。当該破断面が、パッケージ701の破断面SF4B(図11)となる。ブレイク工程は、トレンチTR1とトレンチTR2との間でクラックを発生させる工程であってよい。ブレイク工程により、焼成シート700Fから複数のパッケージ701が切り出される。以上により、パッケージ701(図11)が得られる。
【0079】
上記ブレイク工程において、トレンチTR1からのクラックは、理想的には、図27における実線矢印に示されたように、厚み方向に沿って伸展する。しかし実際には、図27における破線矢印に示されたように、クラックが第2ビア電極512へ、意図せず接近することがある。その結果、第2ビア電極512を有するパッケージ701において、枠部120の枠下面SF2の最小寸法LO(図10)が小さくなってしまうことがある。過小な最小寸法LOはパッケージ701のリークにつながりやすいので、最小寸法LOは、ある程度の余裕を有していることが望まれる。本実施の形態によれば、この余裕を確保しやすくなる。
【0080】
図28は、第1比較例のパッケージ791の構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。第1比較例のパッケージ791は、パッケージ701(図1)における枠電極層550によって互いに接続された第1ビア電極511および第2ビア電極512に代わって、ビア電極510を有している。ビア電極510は、枠部120の枠上面SF1および枠下面SF2のそれぞれに、端面SFAおよび底面SFBを有している。ビア電極510は、端面SFAから底面SFBの方へテーパ形状を有している。パッケージ791において、キャビティCVの気密性を高める観点では、底面SFBがキャビティCVにできるだけ近づけられた設計が好ましい。当該設計の下での製造において、キャビティCVとビア電極510とが互いに過度に接近するような製造誤差が生じると、図29に示された第2比較例のパッケージ792が製造される確率が、無視できないものとなる。
【0081】
パッケージ792においては、ビア電極510の端面SFAがキャビティCVに達している。その結果、ビア電極510の端面SFA近傍でビア電極510の側面がキャビティCVへ露出されている。パッケージ792へ蓋980(図2参照)を接合する工程においては、ろう材960(図2参照)がキャビティCV中へ、矢印FL(図29)に示されているように流れ込みやすい。流れ込んだろう材と水晶ブランク890(図2参照)とが接触することによって、水晶振動子900(図2参照)の性能に悪影響が生じることがある。なお、ろう材960の流れ込みによる機械的特性への悪影響は、パッケージに実装される素子が水晶ブランク890の場合に特に懸念されるが、他の圧電素子の場合にも生じることがある。さらに、パッケージに実装される素子が電気的素子である限り、たとえば意図しない短絡のような、電気的特性への悪影響が懸念される。
【0082】
本実施の形態のパッケージ701(図10および図11)によれば、第1に、LO>LI(図10参照)が満たされるように第2ビア電極512の第2底面SFBが配置されていることから、第2ビア電極512の第2底面SFBの外縁EOと枠部120の第2面SF2の外縁EOとの間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、大きく確保することができる。ここで、セラミック間の積層界面は、金属とセラミックとの積層界面に比して、高い気密性を有する。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を抑制することができる。第2に、第1ビア電極511の第1中心軸AX1が第2ビア電極512の第2中心軸AX2に比して枠部120の内縁EIから離されていることから、第2ビア電極512の第2底面SFBがキャビティCVに達するほど第2ビア電極512がキャビティCV近傍に位置しても、第1ビア電極511の第1端面SFAはキャビティCVから離れて位置することができる。これにより、第1ビア電極511の第1端面SFA近傍で第1ビア電極511の側面がキャビティCVへ露出されることが避けられる。よって、枠部120の第1面SF1に第1端面SFAを有する第1ビア電極511に起因してのキャビティCV中へのろう材の流れ込みを防止することができる。以上から、キャビティCVの十分な気密性を確保しつつ、キャビティCV中へのろう材の流れ込みを防止することができる。
【0083】
第2底面SFBの直径DBは、第2端面SFKの直径DAよりも小さくてよい(図10および図11参照)。これにより、第2ビア電極512の第2底面SFBの外縁EOと枠部120の第2面SF2の外縁EOとの間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を、より抑制することができる。
【0084】
第2ビア電極512(図10)の最大直径は50μm以下であってよい。これにより、枠部120の幅寸法も微細化することができる。この微細化が進むほど基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0085】
枠部120の第2面SF2の内縁EIと外縁EOとの間の最小寸法WD(図10)は200μm以下であってよい。このように微細化が進むほど基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークが問題となりやすいところ、当該問題が、上述した理由によって効果的に抑制される。
【0086】
LO≧LI×1.5が満たされていてよい(図10参照)。これにより、基板部110と枠部120との間の積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を、より十分に抑制することができる。
【0087】
第2ビア電極512(図11)は、厚み方向において第2端面SFKからテーパ形状で延びる部分を有していてよい。これにより、第2ビア電極512の第2底面SFBの外縁EOと枠部120の第2面SF2の外縁EOとの間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を、より抑制することができる。テーパ形状は5度以上のテーパ角を有していてよい。これにより、第2ビア電極512の第2底面SFBの外縁EOと枠部120の第2面SF2の外縁EOとの間で、セラミック間の積層界面が配置された箇所を、より大きく確保することができる。よって、積層界面に沿ったリークに起因してのキャビティCVの気密性の低下を、より抑制することができる。
【0088】
枠部120の外壁面SF4(図11)は、枠上面SF1につながる焼成面SF4Aと、枠下面SF2につながる破断面SF4Bとを有している。破断面SF4Bはブレイク工程(図27)によって形成されるところ、その工程ばらつきの影響によって、枠部120の枠下面SF2の外縁EOと第2ビア電極512の第2底面SFBとの間の距離が小さくなることがある。しかしながら、前述したようにLO>LIが満たされていることによって、当該距離が過小にはなりにくくなる。よって、当該距離が過小なことに起因しての気密性の不足を防止することができる。
【0089】
平面視において、第2ビア電極512の第2端面SFKは、本実施の形態においては、第1ビア電極511の第1底面SFJから外れている。これにより、平面視において第1ビア電極511が相対的に外側に配置しかつ第2ビア電極512を相対的に内側に配置する設計において、平面視における第1ビア電極511と第2ビア電極512との位置的差異を大きく取りやすくなる。第1ビア電極511がより外側に配置されることによって、第1ビア電極511に起因してのキャビティCV中へのろう材の流れ込みを、より確実に防止することができる。第2ビア電極512がより内側に配置されることによって、キャビティCVの気密性を、より十分に確保することができる。
【0090】
第1ビア電極511は、厚み方向において第1端面SFAからテーパ形状で延びる部分を有していてよい。これにより、第1ビア電極511を含むレイヤと、第2ビア電極512を含むレイヤと、の間の仮想面における、第1ビア電極511の第1底面SFJと枠部120の外壁面SF4との間の距離を、より大きく確保することができる。上記仮想面は、パッケージ701の製造方法における積層界面に相当するので、剥離のような積層不良を有することがある。このような積層不良はキャビティCV外からキャビティCV内への水分の侵入経路となりやすいところ、上記距離が大きくされることによって、キャビティCV内への水分の侵入を、より抑制することができる。よって、キャビティCVの気密性を、より十分に確保することができる。この効果は、第1ビア電極511が、第2ビア電極512に比して、厚み方向におけるより大きな寸法を有していることによって、より大きくされ得る。
【0091】
<実施の形態2>
図30は、本実施の形態2におけるパッケージ702の構成を、図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。図31は、パッケージ702の構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
【0092】
パッケージ702においては、パッケージ701(図10および図11)と異なり、第2ビア電極512の第2端面SFKは、平面視において、第1ビア電極511の第1底面SFJに、少なくとも部分的に重なっている。本実施の形態においては、第2端面SFKは第1底面SFJに部分的にのみ重なっている。第2ビア電極512の第2端面SFKは第1ビア電極511の第1底面SFJに直接接しており、これにより第2ビア電極512は第1ビア電極511に電気的に接続されている。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0093】
本実施の形態2によれば、第2ビア電極512を第1ビア電極511に電気的に接続することが容易となる。ただし本実施の形態2の変形例として、第1ビア電極511と第2ビア電極512との間の接続抵抗を低減するなどの目的で、枠電極層550(図11)が設けられてもよい。
【0094】
<実施の形態3>
図32は、本実施の形態3におけるパッケージ703の構成を、図10と同様の視野で概略的に示す部分平面図である。図33は、パッケージ703の構成を、図11と同様の視野で概略的に示す部分断面図である。
【0095】
パッケージ703においては、パッケージ701(図10および図11)と異なり、第2ビア電極512の第2端面SFKは、平面視において、第1ビア電極511の第1底面SFJに包含されている。第2ビア電極512の第2端面SFKは第1ビア電極511の第1底面SFJに直接接しており、これにより第2ビア電極512は第1ビア電極511に電気的に接続されている。なお、これら以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0096】
図34図39は、パッケージ703の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。本実施の形態3においては、前述した実施の形態1における第1枠部グリーン体GF1(図15図19)および第2枠部グリーン体GF2(図20図24)の代わりに、枠部グリーン体GFを形成する工程が行われる。以下、これについて具体的に説明する。
【0097】
図34を参照して、枠部グリーン体GFとして、まず、枠部120(図11)となる部分を含む単純なグリーンシートが形成される。この形成は、例えば、ドクターブレード法によって行われてよい。
【0098】
図35を参照して、枠部120の枠上面SF1に、非貫通孔としての第1ビア孔VH1が、レーザー加工によって形成される。レーザー加工用のレーザー光は、枠上面SF1から枠部120中へ進行するように照射される。その結果、第1ビア孔VH1は、枠上面SF1から枠部120中へ向かう方向にテーパ形状を有しやすい。
【0099】
図36を参照して、第1ビア孔VH1の底面から枠下面SF2と延びる貫通孔としての第2ビア孔VH2が、レーザー加工によって形成される。レーザー加工用のレーザー光は、第1ビア孔VH1の底面から枠下面SF2へ進行するように照射される。その結果、第2ビア孔VH2は、第1ビア孔VH1の底面から枠下面SF2へ向かう方向にテーパ形状を有しやすい。
【0100】
さらに図37を参照して、枠部グリーン体GFの第2ビア孔VH2および第1ビア孔VH1(図36)のそれぞれ内に、第2ビア電極512および第1ビア電極511(図37)が形成される。具体的には、第2ビア孔VH2および第1ビア孔VH1中へ電極ペーストがスクリーン印刷法によって充填される。この充填は、枠上面SF1から第2ビア孔VH2および第1ビア孔VH1中へ、一括して行われてよい。
【0101】
図38を参照して、枠上面SF1上にメタライズ層600が形成される。具体的には、電極ペーストが塗布される。なお、図38においては枠上面SF1の全体に電極ペーストが塗布されているが、後述のキャビティCVの形成工程によって除去される領域にメタライズ層600を塗布する必要はない。よって当該領域の少なくとも一部には塗布がなされないようなスクリーン印刷法が適用されてよい。
【0102】
図39を参照して、キャビティCVがパンチ加工によって形成される。なお、キャビティCVが枠部グリーン体GFへ、より早いタイミング形成されてもよい。以上により、キャビティCVを囲む枠形状を有する枠部グリーン体GFが完成される。この枠部グリーン体GFを、図25(実施の形態1)の工程における第1枠部グリーン体GF1および第2枠部グリーン体GF2の積層体の代わりに用いることによって、本実施の形態3のパッケージ703(図33)が得られる。
【0103】
本実施の形態3によれば、図32および図33に示すように、第2ビア電極512の第2端面SFKは、第1ビア電極511の第1底面SFJに包含されている。これにより、パッケージ703の製造において、第1ビア電極511が充填されることになる第1ビア孔VH1を枠部グリーン体GFにおける非貫通孔として形成した後、当該非貫通孔の底面を加工することによって、第2ビア電極512が充填されることになる第2ビア孔VH2を形成することが可能となる。よって、パッケージ703の製造においては、パッケージ701(実施の形態1)と異なり、第1ビア電極511が位置する部分と、第2ビア電極512が位置する部分とを、互いに積層されることを要する別個のグリーン体として扱う必要がない。よって、パッケージの製造における積層工程を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0104】
120 :枠部
200 :基板電極層
511 :第1ビア電極
512 :第2ビア電極
550 :枠電極層
600 :メタライズ層
701~703:パッケージ
900 :水晶振動子(電気的部品)
960 :ろう材
980 :蓋
CV :キャビティ
EI :内縁
EO :外縁
GF :枠部グリーン体
GF1 :第1枠部グリーン体
GF2 :第2枠部グリーン体
GS :基板グリーン体
SF1 :枠上面(第1面)
SF2 :枠下面(第2面)
SF4A :焼成面
SF4B :破断面
SFA :第1端面
SFJ :第1底面
SFK :第2端面
SFB :第2底面
図1
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