(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】車両用アクティブサスペンション制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60G 17/016 20060101AFI20240710BHJP
B60G 17/015 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B60G17/016
B60G17/015 B
(21)【出願番号】P 2023504454
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021070446
(87)【国際公開番号】W WO2022018166
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
【住所又は居所原語表記】Abbey Road,Whitley,Coventry,Warwickshire CV3 4LF GB
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サイド・アサド・アリ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ローセカー
(72)【発明者】
【氏名】ジム・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・バーチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ラーション
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・バードック
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0152969(US,A1)
【文献】特開2004-249976(JP,A)
【文献】特開2009-234470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0398627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアクティブサスペンションを制御するための制御システムであって、前記制御システムは1つ又は複数のコントローラを含み、前記制御システムは、
進行方向における走行面の勾配の変化を示す情報を取得し;
勾配の前記変化に依拠して、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車両の下の前記走行面の上方の前記車両の車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを制御する
ように構成され
、
相対ライドハイトの前記制御は、
a)前記変化が非負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を上げ、及び/又は前記車体の前部を下げること;及び/又は
b)前記変化が負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を下げる、及び/又は前記車体の前部を上げること
を含む、制御システム。
【請求項2】
前記車体と前記車両の下の前記走行面の角度との間のピッチ角の偏差を引き起こすための目標調整を取得するように構成され、前記車体の前部と後部の間の相対ライドハイトの前記制御は、前記目標調整に向かうものであり
、前記目標調整は水平な地平線又はそれに向かうものである、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御システムは、前記車両が勾配の前記変化に達する前に、前記目標調整に向けて前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトの前記制御を開始するように構成される、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御システムは、勾配の前記変化にわたる前記車両の走行中、及
びその後の一定期間、相対ライドハイトを前記目標調整に向けて制御するように構成される、請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項5】
相対ライドハイトの前記制御は、前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトが前記車両の下の走行面の角度に向かって変化する速度を制御することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
勾配の前記変化の後、勾配の第2の変化の前に、前記走行面の長さの指標を取得し、少なくとも前記長さに依拠して、前記アクティブサスペンションの制御を実行するかどうかを決定するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
勾配の前記変化に関連する前記車両の速度の指標を取得するように構成され、前記アクティブサスペンションの制御を行うかどうかの前記決定は、前記速度に依拠する、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
勾配の前記変化が参照に対して正か負かの指標を取得するように構成され、相対ライドハイトの前記制御は、勾配の前記変化が正か負かに依拠する、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを修正する要求を受信し;
前記要求に応じて、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車体の前部を下げること、又は前記車体の後部を上げること、又は前記車体の前部及び後部を異なる距離だけ上げることを含む、相対ライドハイトを修正するように構成される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
相対ライドハイトの前記制御は、進行方向が、前記車体の後部より前に前記走行面の勾配の前記変化に到達する前記車体の前部に関連する第1の進行方向である場合、前記車体の後部を上げ、及び/又は前部を下げることを含み;及び/又は
相対ライドハイトの前記制御は、進行方向が、前記車体の前部より前に前記走行面の勾配の前記変化に到達する前記車体の後部に関連する、前記第1の進行方向とは反対の第2の進行方向である場合、前記車体の後部を下げ、及び/又は前部を上げることを含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記アクティブサスペンションとサスペンション移動限界との間の相対変位を示す情報を取得し;
前記相対変位を示す情報に依拠して、前記アクティブサスペンションの前記制御を変更して、前記アクティブサスペンションが前記サスペンション移動限界に向けてさらに変位することを阻害するように構成される、請求項1~
10のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項12】
凹凸路及び/又は車両外部の障害物を示す情報を取得し;
前記凹凸路及び/又は車両外部の障害物を示す情報に依拠して、前記アクティブサスペンションの前記制御を阻害するように構成される、請求項1~
11のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の制御システムを含む車両。
【請求項14】
車両のアクティブサスペンションを制御する方法であって、
進行方向における走行面の勾配の変化を示す情報を取得すること;及び
勾配の前記変化に依拠して、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車両の下の前記走行面の上方の前記車両の車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを制御すること
を含
み、
相対ライドハイトの前記制御は、
a)前記変化が非負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を上げ、及び/又は前記車体の前部を下げること;及び/又は
b)前記変化が負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を下げる、及び/又は前記車体の前部を上げること
を含む、方法。
【請求項15】
実行されると、請求項
14に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両アクティブサスペンション制御システム及び方法に関する。特に、道路車両における車両アクティブサスペンション制御システム及び方法に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
車両用のアクティブサスペンションは知られている。アクティブサスペンションには、油圧作動サスペンション、電子作動油圧サスペンション、空気圧サスペンション、及び電磁サスペンションが含まれる。アクティブサスペンションは、アクティブダンパー(ショックアブソーバー)を含んでもよく、及び/又はアクティブスプリングを含んでもよい。アクティブサスペンションには、制御システムを使用して、使用中にスプリング力及び/又はダンパー力を変更できるという利点がある。これにより、快適性とロードハンドリングの向上との間の適応的なバランスが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、先行技術に関連する欠点の1つ又は複数に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様及び実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載の制御システム、方法、車両、及びコンピュータソフトウェアを提供する。
【0005】
本発明の一態様によれば、車両のアクティブサスペンションを制御するための制御システムが提供され、前記制御システムは1つ又は複数のコントローラを含み、前記制御システムは、進行方向における走行面の勾配の変化を示す情報を取得し;勾配の前記変化に依拠して、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車両の下の前記走行面の上方の前記車両の車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを制御するように構成される。
【0006】
1つの利点は、車体制御が向上し、視認性及び/又は快適性が向上することである。前後の相対ライドハイト(「ピッチ角」又は「姿勢」とも呼ばれる)制御と、検出された走行方向の走行面の勾配の変化(「トランジション」とも呼ばれる)との間のリンクは、勾配の移行を平滑化して頭の振りを減らすなどの機能を有効にし、及び/又はブラインド勾配の変化を「覗く」ことで、前方の道路がバンパーや車両の他の部分によってドライバーの視界から遮られていないことを確保する。
【0007】
いくつかの例では、制御システムは、前記車体と前記車両の下の前記走行面の角度との間のピッチ角の偏差を引き起こすための目標調整を取得するように構成され、前記車体の前部と後部の間の相対ライドハイトの前記制御は、前記目標調整に向かうものである。この「角度制御」の1つの利点は、勾配の変化に応じて車体を希望のピッチ角に向かって動かしたり、希望のピッチ角を維持したりできるため、車体の制御が改善されることである。
【0008】
いくつかの例では、前記目標調整は水平な地平線又はそれに向かうものである。1つの利点は、車両が移行を通して水平姿勢を維持/目標とする(サスペンションの調整範囲内で)ため、快適性が向上することである。これにより、乗員の頭の振りが減り、特に座っていない乗員に安定したプラットフォームが提供される。
【0009】
いくつかの例では、前記制御システムは、前記車両が勾配の前記変化に達する前に、前記目標調整に向けて前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトの前記制御を開始するように構成される。1つの利点は、この場合は予測制御によって、可視性の向上を可能にすることである。例えば、頂上に到達する前に、頂上などのブラインド移行を覗くことで視認性を向上させることができる。望ましい姿勢を採用することで、快適性も向上し得る。
【0010】
いくつかの例では、勾配の前記変化にわたる前記車両の走行中、及び任意選択でその後の一定期間、相対ライドハイトを前記目標調整に向けて制御するように構成される。1つの利点は、この場合は反応制御による快適性の向上である。例えば、車両は移行の間、所望の姿勢(水平な地平線など)を維持し、その後徐々に標準のピッチ角に向かって移動することができる。
【0011】
いくつかの例では、前記制御システムは、前記車体のピッチ角を前記目標調整に向かって逸脱させた後、前記車体のピッチ角が前記車両の下の走行面の角度に向かって戻り始めることを可能にするように構成される。1つの利点は、移行後に車両が表面平行姿勢に戻ることを可能にすることによって、快適性及び/又は視認性が向上することである。
【0012】
いくつかの例では、相対ライドハイトの前記制御は、前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトが前記車両の下の走行面の角度に向かって変化する速度を制御することを含む。この「速度制御」の1つの利点は、ピッチ角が変化する時間間隔を増やすことができるため、快適性が向上することである。ピッチ角の変化速度が減少することで、乗員の頭の振りが減少する。
【0013】
いくつかの例では、前記制御システムは、勾配の前記変化の後、勾配の第2の変化の前に、前記走行面の長さの指標を取得し、少なくとも前記長さに依拠して、前記アクティブサスペンションの制御を実行するかどうかを決定するように構成される。いくつかの例では、前記制御システムは、勾配の前記変化に関連する前記車両の速度の指標を取得するように構成され、前記アクティブサスペンションの制御を行うかどうかの前記決定は、前記速度に依拠する。1つの利点は、制御を実行するのに十分な時間を確保することで快適性を向上できることである(複数の勾配の変更が連続して発生する場合、制御が難しい場合はある)。
【0014】
いくつかの例では、前記制御システムは、勾配の前記変化が参照に対して正か負かの指標を取得するように構成され、相対ライドハイトの前記制御は、勾配の前記変化が正か負かに依拠する。1つの利点は、勾配の正と負の変化に対する人体の反応が異なるため、それに応じて制御を最適化することで、快適性が向上することである。
【0015】
いくつかの例では、相対ライドハイトの前記制御は、a)前記変化が非負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を上げ、及び/又は前記車体の前部を下げること;及び/又はb)前記変化が負の勾配から正の勾配の変化である場合、前記走行面の上方で、前記車体の後部を下げる、及び/又は前記車体の前部を上げることを含む。1つの利点は、勾配の上方への変化に対して車両がより水平なプラットフォームを提供するため、快適性が向上することである。
【0016】
いくつかの例では、前記制御システムは、前記車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを修正する要求を受信し;前記要求に応じて、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車体の前部を下げること、又は前記車体の後部を上げること、又は前記車体の前部及び後部を異なる距離だけ上げることを含む、相対ライドハイトを修正するように構成される。1つの利点は、車両が頂上から「覗く」ように上昇する(又はくぼみから上り坂を見る)ことができるため、可視性が向上し、頂上又はくぼみの後に遮られる可能性のある障害を明らかにするのに役立つことである。
【0017】
いくつかの例では、前記要求は、複数のモードのうちの1つへの車両のモードの変更に依拠してされ、複数のモードのうちの異なるモードは、1つ又は複数の車両サブシステムを異なる方法で構成する;及び/又は前記要求はユーザの要求である。
【0018】
いくつかの例では、相対ライドハイトの前記制御は、進行方向が、前記車体の後部より前に前記走行面の勾配の前記変化に到達する前記車体の前部に関連する第1の進行方向である場合、前記車体の後部を上げ、及び/又は前部を下げることを含む。1つの利点は、車両が正の勾配変化のための水平プラットフォームを提供すること、及び/又は頂上又は高台での視認性が向上することである。
【0019】
いくつかの例では、相対ライドハイトの前記制御は、進行方向が、前記車体の前部より前に前記走行面の勾配の前記変化に到達する前記車体の後部に関連する、前記第1の進行方向とは反対の(後進など)第2の進行方向である場合、前記車体の後部を下げ、及び/又は前部を上げることを含む。1つの利点は、車両が前進又は後進のどちらにでも適応できることである。
【0020】
いくつかの例では、勾配の変化を示す前記情報は、車両の経路の頂上を検出するように構成された頂上検出システムからのものである。
【0021】
いくつかの例では、勾配の変化を示す前記情報は、フィードバック情報、フィードフォワード情報、又はそれらの組み合わせを含む。
【0022】
いくつかの例では、前記制御システムは、前記アクティブサスペンションとサスペンション移動限界との間の相対変位を示す情報を取得し;前記相対変位を示す情報に依拠して、前記アクティブサスペンションの前記制御を変更して、前記アクティブサスペンションが前記サスペンション移動限界に向けてさらに変位することを阻害するように構成され得る。
【0023】
いくつかの例では、前記制御システムは、凹凸路及び/又は車両外部の障害物を示す情報を取得し;前記凹凸路及び/又は車両外部の障害物を示す情報に依拠して、前記アクティブサスペンションの前記制御を阻害するように構成され得る。
【0024】
本発明の別の態様によれば、制御システムを含む車両が提供される。
【0025】
いくつかの例では、車両は自動運転用に構成されている。
【0026】
いくつかの例では、車両は共有モビリティ車両である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、車両のアクティブサスペンションを制御する方法が提供され、前記方法は、進行方向における走行面の勾配の変化を示す情報を取得すること;及び勾配の前記変化に依拠して、前記アクティブサスペンションを制御して、前記車両の下の前記走行面の上方の前記車両の車体の前部と後部との間の相対ライドハイトを制御することを含む。
【0028】
本発明の別の態様によれば、実行されると、本明細書に記載の方法のいずれか1つ又は複数を実行するように構成されるコンピュータソフトウェアが提供される。本発明の別の態様によれば、コンピュータソフトウェアを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の方法のいずれか1つ又は複数を実行するように構成される制御システムが提供される。
【0030】
いくつかの例では、1つ又は複数のコントローラは集合的に、勾配の変化を示す情報を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、前記少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスとを含み、前記少なくとも1つの電子プロセッサは、前記少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスし、その命令を実行して、前記情報に依拠して、前記制御システムに前記アクティブサスペンションを制御させるように構成される。
【0031】
本出願の範囲内において、前の段落、特許請求の範囲、及び/又は以下の説明及び図面、特にその個々の特徴に記載されているさまざまな態様、実施形態、例、及び代替案は、独立して、又は任意の組み合わせで解釈できることが明示的に意図される。すなわち、すべての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、最初に提出された請求項を変更する権利、又はそれに応じて新しい請求項を提出する権利を留保する。これには、最初に提出された請求項を修正して、他の請求項に依拠するように修正する権利、及び/又は当初そのような方法で請求されていたかどうかにかかわらず、他の請求項の特徴を組み込む権利が含まれる。
【0032】
ここで、本発明の1つ又は複数の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】
図2Aは制御システムの例を示す図であり、
図2Bは非一時的なコンピュータ可読媒体の例を示す図である。
【
図3】
図3は車両のキャビンの一例を示す図である。
【
図4】
図4は車両用システムの一例を示す図である。
【
図6】
図6(a)~(e)は、快適性を改善するために、異なる勾配の変化に対する車体のピッチ角を制御する効果を示す。
【
図9】
図9は、車体のピッチ角を制御して、頂上での視認性を向上させる効果を示す。
【
図10】
図10は、車両のピッチ角を制御して、快適性と頂上での視認性を向上させる効果を示す;車両が標準的な方法で制御されている状況とは対比的である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の実施形態を実装できる路面車両10(ここでは「車両」)の例を示している。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、車両10は、乗用車両又は自動車とも呼ばれる乗用車である。他の例では、車両10は、バンなどの貨物車両であってもよい。乗用車両とバンの車両重量は一般的に5000kg未満である。乗用車両とバンの長さは通常7メートル未満である。他の例では、本発明の実施形態は、産業用車両などの他の用途のために実装することができる。
【0035】
図1は、3つの垂直軸とオイラー角を定義する車上3D座標系も示している。座標系は縦方向のx軸を含む。車両10は、正のx方向に走行し(正の加速度)、負のx方向に後進する(負の加速度=減速)ように構成される。x軸はロール軸も定義する。
【0036】
座標系は、側面の横方向のy軸を含む。車両10は、y軸に横加速度を加えるために、移動中に操舵するように構成されている。車両10は、正のy方向に左に操舵し、負のy方向に右に操舵するように構成される。y軸は、ピッチ軸も定義する。車両10は、前輪操舵、後輪操舵、又は四輪操舵用に構成することができる。車両10は、ラックアンドピニオンステアリング/アッカーマンステアリングなどを使用して横行するように構成され得る。いくつかの例では、車両10は、車両10のステアリングヨー(例えば、横滑り、クラビング)によって横行するように構成され得る。
【0037】
座標系は、垂直のz軸を含む。車両10のライドハイトは、正のz方向で増加し、負のz方向で減少する。車両のヒーブ挙動は、z軸の動きである。z軸はヨー軸も定義する。
【0038】
図2Aは、制御システム2を示す。制御システム2は、1つ又は複数のコントローラを含む。一例として、1つのコントローラ20が示されている。
【0039】
図2Aのコントローラ20は、少なくとも1つの電子プロセッサ22、及び電子プロセッサ22に電気的に結合され、命令26(例えば、コンピュータプログラム)が格納されている少なくとも1つの電子メモリデバイス24を含み、前記少なくとも1つの電子メモリデバイス24及び前記命令26は、前記少なくとも1つの電子プロセッサ22を用いて、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させるように構成される。制御システム2の例示的なコントローラ20は、アクティブサスペンションのアクチュエータを制御するためのアクティブサスペンションコントローラである。
【0040】
図2Bは、命令26(コンピュータソフトウェア)を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体28を示す。
【0041】
図3は、車両10の例を示しており、そのキャビン300及びパワートレインを示している。図示のキャビン300は、車両10の本体302によって少なくとも部分的に取り囲まれた車両10の内部を含む。キャビン300は、少なくとも1つのドア304からアクセス可能である。ドア304は、スライドドア又はスイングドアであり得る。
【0042】
キャビン300は、乗客が様々な方法で立ったり座ったりすることを可能にする。乗客が立っているか座っているかに関係なく、また乗客がキャビン300のどこにいるかに関係なく、乗客の頭の加速度を確実に最小化することが望ましい。人間の前庭系は頭の内耳から制御されているため、乗客の頭の加速度は乗客の安定性と快適さに関連している。
【0043】
キャビン300は、座る乗客のための乗客シート306を含む。キャビン300は、立つ乗客用のハンドル308を含むことができる。ハンドル308はグラブハンドルであってもよい。立つ乗客用のグラブハンドル308は、シート306から手の届かない場所に配置することができる。立つ乗客は、座る乗客よりも予期しない車両の動きによってバランスを崩しやすくなる。
【0044】
図では、少なくとも1つの乗客シート306が、少なくとも1つの他の乗客シート306とは異なる方向を向いている。図示のシート306は、反対方向を向いている。このシート配置により、車内のレッグルームとラゲッジルームが広がり、見知らぬ乗客のためのより多くのパーソナルスペースが確保される。しかしながら、車両10の進行方向に直接向いていない乗客は、乗り物酔いを経験する可能性が高く、及び/又は車両の動きを予測することができない。
【0045】
図3は、少なくとも1つのシート306又はシート306の列が車両10の車軸の上に配置されるレイアウトを示す。車軸は、この例では、横方向に分離された1組の車輪に対応する。車軸の上又は車軸から張り出した位置にある乗客は、車両10のホイールベース内に位置する乗客よりも、車両のサスペンションの動きによる大きなヒーブ(z軸の移動)を経験する。
【0046】
図示のキャビン配置は、多くの可能なキャビン配置の一例である。
【0047】
別の例では、車両10は貨物車両である。キャビン300は、車両10が自動運転車両である場合、より少ないシート、又は乗客のシートを含まなくてもよい。一部の貨物は壊れやすく、キャビン内での過度の加速に敏感な場合がある。
【0048】
いくつかの例では、
図3の車両10は共有モビリティ車両であり得る。共有モビリティ車両は、時間及び/又は距離の自動監視に基づいて、行程の請求書を決定するための請求モジュール(図示せず)を含むことができる。車両にドライバーがいない場合、顧客の支払いは、オンボードの支払い端末を介して、及び/又はユーザカウントと支払いを管理する外部サーバーとの自動(ジオフェンストリガーなど)通信(配車アプリなど)を介して処理され得る。請求モジュールは、オンボードプリンタを介してチケット又はレシートを発行することができ、及び/又は自動通信を介してチケット又はレシートを発行することができる。
【0049】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、共有モビリティ車両はポッドとして実装されてもよい。本明細書では、ポッドは、バス又は列車と比較して制限された積載のために構成され、3つ以上の車輪を含む共有モビリティ車両として定義される。例えば、ポッドには、実装に応じて、1人~6人の乗客用のスペースがある場合がある。ポッドは、1席~6席の間で構成され得る。ポッドは、歩行者専用エリアを所定の最高速度まで運転するように構成することができる。ポッドは、所定の最大速度以上でオンロードを走行するように構成することができる。
【0050】
図3によれば、必ずしもすべての例ではないが、車両10は、トラクションバッテリー312及び電気トラクションモーター(1つ又は複数)310を含む。したがって、車両10は、完全電気自動車(EV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。他の例では、車両10は、内燃機関又は他のトルク源を含むことができる。車両10は、重力駆動であってもよく、トルク源を欠いていてもよい。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、車両10は、鉄道車両、磁気浮上車両などの非道路車両であってもよい。
【0051】
図4は、車両10の制御システム2、センサ、インターフェース、及びアクチュエータを含むシステム400を示す。車両10は、
図1及び3の車両10であってもよい。
【0052】
車両10は、アクティブサスペンション402を含み、その例が
図4に示されている。アクティブサスペンション402は、アクティブダンピングのために構成され得る。アクティブダンピングは、ポンプ制御の油圧回路又は同等のものを使用して制御できる。衝突力及び/又は反発力は、個別に制御可能であり得る。
【0053】
アクティブサスペンション402は、アクティブスプリング制御のために構成され得る。アクティブスプリング制御は、ポンプ制御の空気圧システム又は同等のものを使用して制御できる。ばね力(バネレート)は制御可能であり得る。一般的な走行面より上の車体302のライドハイトは制御可能であり得る。アクティブサスペンション402は、車輪対車体の動きとは無関係に、アクティブ力制御のために構成され得る。アクティブ力制御は、ポンプ制御の油圧システム又は同等のものを使用して制御することができる。アクティブ力は、車体302とサスペンションとの間の運動を誘発するか、車体とサスペンションとの間の運動を抑制することがある。アクティブサスペンション402は、1つ又は複数の車軸で、アクティブロール制御及び/又はアクティブピッチ制御を可能にすることができる。
【0054】
アクティブサスペンション402は、制御システム2によって、任意選択でさらなる低レベルコントローラを介して制御され得る。いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、アクティブサスペンション402は、可変力パラメータを使用して制御され得る。可変力パラメータは、アクティブサスペンション402が車両10のキャビン/車体の動きを防止する程度を制御する。可変力パラメータは、力要求(ゲイン)であってもよい。力要求は、ばねの剛性によって抵抗される、アクティブばねに適用される力を制御するためのばね力要求を含むことができ、及び/又は力要求は、衝突力及び/又は反発力を制御するための減衰力要求を含むことができ、及び/又は力要求は、車輪対車体運動とは無関係に車体を制御するためのアクティブ力を含むことができる。サスペンション流体ポンプ及び/又はフローリストリクタ(ダンピング)の制御は、力要求に依拠し得る。力要求を増加させると、ばね力及び/又は減衰力及び/又はアクティブ力が増加し、その結果、要求に応じてサスペンションが「硬く」なる。1つの力要求は、複数の車輪又は1つの車輪のアクティブサスペンション設定を制御することができる。
【0055】
力要求は、検出されたキャビンの動きの関数であり得る。キャビンの動きを検出することは、ロール及び/又はピッチ及び/又はヒーブなどのキャビンの動きを示す慣性信号を監視することを含むことができる。
【0056】
上記の力要求は、複数のコントローラによって要求された複数の個々の力要求に依拠する協定の力要求であってもよい。複数のコントローラは、予測コントローラ及び反応コントローラを含むことができる。コントローラは、スカイフックコントローラ及び/又はグラウンドフックコントローラを含むことができる。協定の力要求は、個々の力要求を、例えば加算、優先度、及び/又は平均に基づいて混合することによって計算することができる。
【0057】
スカイフックコントローラは、ばね上重量が乱れたときにその動きを低減するために、スカイフック制御ポリシーに依拠する。スカイフック制御ポリシーは、モデル化されたダンパーが空にフィックスされていることを前提としている。グラウンドフックコントローラは、ばね下質量が乱れされたときにその動きを低減するために、グラウンドフック制御ポリシーに依拠する。グラウンドフック制御ポリシーは、モデル化されたダンパーが、ばね上質量ではなくばね下質量にフィックスされていることを前提としている。スカイフックコントローラとグラウンドフックコントローラを組み合わせることで、ハイブリッドシステムを実装できる。
【0058】
図4のシステム400のアクティブサスペンション402は、アクティブダンパー及び/又はアクティブスプリング及び/又はアクティブフォースデバイスなど、車輪FL、FR、RL、RRごとに1つ又は複数のアクティブ構成要素を含む。アクティブサスペンション402は、アクティブダンパー及びパッシブスプリング、又はアクティブスプリング及びパッシブダンパーを備えたセミアクティブサスペンションであり得る。アクティブサスペンション402のサブシステムは図示されていないが、本明細書に記載の方法の1つ又は複数によって必要とされる、アクティブサスペンション402の必要な制御を達成するための任意の適切な配置で設けることができる。例えば、一般的な走行面より上の車体前部のライドハイトは、前輪FL、FRのアクティブサスペンション構成要素を制御することによって変更することができる。一般的な走行面より上の車体後部のライドハイトは、後輪RL、RRのアクティブサスペンション構成要素を制御することによって変更することができる。
【0059】
車両10は自動運転車両であってもよい。車両10は、完全自動運転車両であってもよい。完全自動運転車両10は、自動運転専用に構成された無人車両である。完全自動運転車両10には、アクセルペダル、ブレーキペダル、及び/又はハンドルがない場合がある。したがって、完全自動運転車には認識可能な運転席がない場合がある。車両は、ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ(SAE)標準J3016で定義されているように、レベル5の自動運転用に構成できる。
【0060】
あるいは、車両10は、少なくとも1つの運転タスク(操舵/加速/制動)のための下位レベルの自動運転モードと、非自動運転モードとを含むことができる。
【0061】
制御システム2は、センサ依拠情報をセンサから直接的又は間接的に受信するように構成され、制御システム2が現在の車両コンテキストに基づいてアクティブサスペンション402を制御できるようにする。
図4は、以下を含む、本明細書に記載の方法によって参照されるセンサの例を示す:
・慣性測定ユニット(IMU408)。IMU408は、車体/キャビンの動きを示す。例えば、IMU408は、ロール、ピッチ及び/又はヒーブを示すことができる。
・少なくとも1つのキャビンセンサ410。キャビンセンサ410は、車両の積載率及び/又は乗員の行動を示すことができる。キャビンセンサ410は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:キャビン300内の車両乗員を撮像するためのキャビンカメラ;シートベルトが着用されているかどうかを検出するためのシートベルトセンサ;シートの占有を検出するためのシート重量センサなど。
・少なくとも1つの位置特定センサ406。位置特定センサ406は、自動運転車両コントローラ(図示せず)が運転環境内で車両10の位置を特定できるようにする情報を提供する。したがって、自動運転車両コントローラは、位置特定情報に基づいて、車両10の車両操縦(加速及び/又はブレーキ及び/又はステアリング)を計画する。操縦計画は、位置特定センサ情報に基づいて、障害物回避及び経路の要求などに関連するコスト/報酬関数を適用することを含むことができる。少なくとも1つの位置特定センサ406は、車両10の周囲の環境を特定の範囲(例えば、50~500m)まで、特定の視野(例えば、360度)で画像化するための、外部に面するオンボードビジョンシステム(例えば、カメラ、ライダー、レーダー)を含むことができる。追加的又は代替的に、少なくとも1つの位置特定センサ406は、車両対車両(V2V)又は車両対インフラ(V2I)通信のためのインターフェースを含むことができる。追加的又は代替的に、少なくとも1つの位置特定センサ406は、3Dマップ(勾配の変化を含む)などの高精細マッピング情報を含むことができる。
・少なくとも1つの車輪センサ。車輪センサは、特定の車輪に関するサスペンション状態を示す。車輪センサは、サスペンションの圧縮/伸張(力を示す)を感知するための車輪対車体変位センサ404;ホイール位置センサ;ホイールハブ加速度計などを含む。
・少なくとも1つのユーザインターフェース412。図示のユーザインターフェース412は、オンボードユーザインターフェース、すなわち乗員インターフェースである。キャビン300は、乗員インターフェースを提供するヒューマンマシンインターフェースを含むことができる。乗員インターフェースは、自動運転車両10に停止してユーザを降ろすように要求するための乗降の要求ボタンを備えることができる。乗員インターフェースは、ドアの開閉ボタンを含むことができる。乗員インターフェースは、嗜好及び/又は経路の要求などのユーザ依拠情報を受信するためのタッチスクリーンディスプレイ/音声インターフェースを含むことができる。いくつかの例では、少なくとも1つのユーザインターフェース412は、スマートフォンなどのユーザデバイスとインターフェースするように構成され得、ユーザデバイスは、上記の機能のうちの少なくとも1つのためのヒューマンマシンインターフェースを含む。
【0062】
本明細書で説明する「ユーザ」という用語は、車両10の現在の、潜在的な、又は以前の乗員(乗客)を指す。
【0063】
例示的な使用事例では、上記のシステム400により、ユーザは、目的地(降車位置)及び任意選択でピックアップ位置(乗車位置)などの経路の要求を入力することができる。制御システムは、ユーザ依拠ルートを生成して経路の要求を満たすように構成することができる。したがって、経路及び任意の乗降位置は、アドホック共有モビリティ車両10(例えば、自動タクシー)を定義するように構成可能である。
【0064】
アクティブサスペンション402を使用する様々な方法を以下に説明する。
【0065】
図5は、アクティブサスペンション402を制御して、乗員の快適性及び/又は乗員/センサの視認性を改善する制御方法500を示している。方法500は、以下を含む:
走行方向における走行面の勾配の変化を示す情報を取得すること(ブロック502);
任意選択で、条件が満たされているかどうかを判断すること(ブロック504);及び
任意選択の条件が満たされる場合、アクティブサスペンション402を制御して、勾配の変化に依拠して、車両10の下の走行面の上方の車両10の車体302の前部と後部との間の相対的なライドハイトを制御すること(ブロック506)。
【0066】
ブロック502の情報についてさらに詳しく説明する。情報は、制御システム2によって取得(受信又は判断)され、車両10の進行方向における走行面の勾配の少なくとも1つの変化を示す。
【0067】
進行方向の勾配の変化は、車両の+x軸に平行/同軸の勾配、又は車両10が走行している可能性がある走行面の車線の縦軸に平行/同軸の勾配である。したがって、ブロック502の情報は、そのy軸(
図1)を中心とした車両10の検出又は予想されるピッチ軸回転の表示を提供する。
【0068】
方法500は、反応的、予測的、又はそれらの組み合わせであってもよい。したがって、反応制御の場合、ブロック502の情報は、勾配の検出された変化を示すフィードバックを含むことができる。予測制御の場合、情報は勾配の予想される変化を示すフィードフォワードを含むことができる。いくつかの実装形態では、制御性能を改善するためにフィードフォワードを反応制御に提供することができる。
【0069】
反応制御の場合、勾配の検出された変化を示す情報は、変化する勾配が車両のピッチ角に及ぼす影響を測定することができる。例示的な実装では、車両10上の少なくとも1つの加速度計及び/又は他のセンサからの測定値に情報を依拠させることを含む。任意選択で、加速度計は、車両本体302の加速度とは対照的に、車両10のばね下部分の加速度を測定して、走行面の勾配のより信頼できる推定を行うことができる。例えば、加速度計はホイールハブ加速度計を含むことができる。
【0070】
勾配の変化は、さまざまな方法で表現することができる。例えば、基準位置(例えば、反応制御のために車両10の下、又は予測のために前方)における走行面の勾配の第1の(例えば現在の)値が最初に受信される。第1の値は、基準角度(例えば、ゼロ)として取られ得る。勾配の第2の値は、2秒後の時点で取得することができる。第2の値を第1の値と比較することができ、情報は第1の値と第2の値との間の差に依拠することができる。この情報は、差の値を示すことができる。情報は、差が正の変化(+z、上向き)であるか負の変化(-z、下向き)であるかを示すことができる。情報は勾配の変化速度、例えばラジアン/秒を示すことができる。
【0071】
予想される勾配が測定される場合、情報は位置特定センサ406のうちの少なくとも1つからの測定値に基づくことができる。測定値は、車両10の前方(車両10のバンパー又は他の最前面又は前縁の前方)の勾配の変化を示すことができる。
【0072】
様々なタイプのセンサが勾配の変化を示すことができることを理解されたい。この情報は、車両の進行方向における走行面の勾配が変化するときに変化する情報であればよい。
【0073】
「勾配の変化」という用語は、勾配の離散的な変化だけでなく、連続的に変化する勾配も含む。
【0074】
ブロック502で情報が受信されると、方法500は任意選択の判断ブロック504に進み、ブロック506を実行するかどうか、すなわち、勾配の変化の検出に加えて/とは別に、何か必要とする条件が満たされるかどうかを判断する。条件が満たされない場合、方法500は終了し、アクティブサスペンション402の「通常」の制御に戻る。条件504を満たすために必要な特定のチェックは実装に依拠し、詳細は後述する。
【0075】
ブロック506が実行されると、制御システム2は、アクティブサスペンション402を少なくとも部分的に制御する制御信号を出力する。制御信号は、例えば、ばね力要求及び/又は減衰力要求及び/又はアクティブ力要求などの力要求を含むことができる。前部及び後部のアクティブばねに対する力要求を異なるように変更すると、一般的な走行面に対する車体302のピッチ角に影響を与える。一般的な走行面とは、走行中又は静止時に車両が立っている面である。
【0076】
出力制御信号は、前述のように、アービトレーションのためにさまざまなスカイフック/グラウンドフック/ピッチ/ヒーブ(など)のアクティブサスペンションコントローラによって送信されるいくつかの制御信号の1つとすることができる。あるいは、出力制御信号は、唯一の制御信号(アービトレーションされていない)であってもよい。いくつかの例では、出力信号をユーザインターフェース412に送信して、ユーザインターフェース412にアクティブサスペンションの制御に関する情報を乗員に提示させることができる。提示された情報は、アラートを提供するように構成することができる。アラートは、必要な制御を実行するアクティブサスペンションの能力に依拠し得る。この能力は、アクティブサスペンションの変位がサスペンション移動限界に近づくことによって、及び/又は駆動面の勾配の変化速度によって影響を受ける可能性がある。したがって、アクティブサスペンションが快適性を完全に改善したり、視界を維持したりできない場合は、アラートが乗員の準備に役立つ。
【0077】
図6(a)~(e)は、本発明の全てではないが、様々な実施形態による、異なる斜面での快適性を改善するための方法500のブロック506のアクティブサスペンション制御を適用する効果を示す。
【0078】
図6(a)は、例えば平地から上り坂への移行を示している。勾配の変化は正である。
図6(b)は、移行のない一定の上り勾配を示している。
図6(c)は、上り坂の後の高台への移行を示している。勾配の変化は負である。
図6(d)は、上り坂から下り坂に移行する頂上である。勾配の変化は負である。
図6(e)は、例えば下り坂から平地への移行である。勾配の変化は正である。くぼみは図示されていないが、下り坂から上り坂への移行を含む。
【0079】
図6(a)、(c)、(d)、及び(e)に示されるような移行のうちの1つ又は複数を示す情報を受信することに応答して、車体302のピッチ角は、勾配の変化に基づいて制御される。
【0080】
ピッチ角を制御するための少なくとも3つの制御スキームがある:角度制御;速度制御;又は両方の組み合わせ。方法500は、これらの制御スキームの少なくとも1つを使用することができる。角度制御と速度制御については後述する。
【0081】
まず角度制御について説明する。角度制御は、ピッチ(y)軸における車体302の所望の角度位置を維持し、PI/PID制御スキームなどを使用して実装することができる。
【0082】
角度制御は、車体302と車両10の下の走行面の角度との間のピッチ角度の偏差を引き起こすための目標調整を取得することを含む。偏差は、以下により発生し得る:車両のピッチ角を変更すること;又は勾配による車両のピッチ角の変化を抑制する(ピッチ角を保持する)こと;又はその2つの組み合わせ目標は、例えば、力要求目標とすることができる。
【0083】
調整とは、目標を、走行面に対する車両10の標準レーキ角を維持する目標の第1の「標準」値から、調整された第2の目標値に変更することを指す。レーキ角とは、走行面に対する車体302の基準/デフォルトのピッチ角を指す。ほとんどの車は標準的なわずかに正のレーキ角を有し、車両の前部のライドハイトは後部のライドハイトよりもわずかに低くなっている。簡単にするために、標準レーキ角は、走行面に実質的に平行であるとして説明する。
【0084】
例示的な実装において、目標は、制御出力(例えば、力要求)を変化させるように調整され、車体ピッチ角を水平な地平線に対応する角度に調整/維持させる。水平な地平線の勾配は不変である。水平な地平線は、IMU408又は車両10上の他の加速度計によって知ることができる。水平な地平線は目標/設定点を形成する。
【0085】
図6(a)は、車両10の車体302が、水平/水平な走行面から上り坂に入るとき、地平線に対して水平のままであることを示している。勾配の変化は正であるため、調整された目標は、アクティブサスペンション402に車体302の後部を上げ、及び/又は前部を下げるようにさせることができる。
図6(a)は、調整された目標により上昇する車両10の後部を示す。
【0086】
有利には、前部のアクティブばねは上り坂に入る外部慣性力によって自然に圧縮され、制御システム2は、設定点に到達するために必要な追加の力要求を適用するだけでよく、対応するエネルギー消費が減少する。
【0087】
制御システム2は、前部のアクティブばねを圧縮状態に維持するために、前部のアクティブばねのリバウンドを(例えば、力要求を介して)抑制し得る。
【0088】
後部を上げることは、後部のアクティブ力要求を増加させることによって達成され得る。傾斜によって前部が上がると、例えば、車両のエネルギーを消費することによって後部が対応して上昇し、車両のピッチ角度が目標通りに維持されるようにすることができる。
【0089】
予測制御が利用できる場合、フィードフォワード情報は提供され得る。一例では、フィードフォワード情報は、反応制御性能を改善することができる。別の例では、フィードフォワード情報により、車両10が勾配の変化に達する少し前に(例えば、変更がホイールハブ加速度計によって検出される前に)ピッチ角の変化を開始することができる。
【0090】
図6(b)では、車両10は、例えば
図6(a)の移行の後、上り坂にある。
図6(b)では、車体302は第1(標準)の斜面平行ピッチ角に戻っている。この戻りは、ブロック506及び方法500の終了を示す。標準のピッチ角に戻ることで、乗員が車両の動態を予測できるようになり、車両10が走行面に沿って良好な視界を確保し、次の移行が負の勾配変化である場合に車体302が必要とするピッチ調整が少なくなることが保証される。
【0091】
第1のピッチ角に戻ることは、ピッチ角が車両10の下の走行面の角度に向かって戻り始めることを可能にすることを含むことができる。ピッチ角が戻り始めることを可能にすることは、目標を第2の調整値(例えば、水平な地平線)から第1の標準値に向かって巻き戻すことを含み得る。したがって、車両のピッチ角は、走行面に実質的に平行な標準レーキ角に向かって移動して戻る。
【0092】
図6(b)を参照して速度制御について説明する速度制御は、ピッチ(y)軸における車体302の角度位置の変化を制御し、PI/PID制御方式などを使用して実装することができる。
【0093】
制御システム2は、様々な方法でレート制御機能を実装することができる。例えば、速度制御は角度制御にリンクできる。1つの方法は、角度制御に関連する制御信号出力(力の要求など)を飽和させて、角度制御の能力を低下させて、車体のピッチ角と目標の間の測定誤差を最小化することである。もう1つの方法は、角度制目標が第2の調整値から第1の基準値に戻る速度を制御することである。
【0094】
ピッチ角の制御された変化速度は、快適閾値未満であり得る。速度は、測定された車両動的パラメータなどの測定された変数に依拠し得る。例えば、速度は車速に依拠し得る。車速が速いほど、次の勾配の変化に早く到達する可能性があるため、速度が高くなり得る。
【0095】
ピッチ角は、車両が移行を通過した後に、調整値から巻き戻しを開始し得る。巻き戻し速度は、快適さのためのピッチ角の変化の最大許容速度と、移行を抜けるところでの車体と走行面との間の相対ピッチ角に基づいて計算することができる。
【0096】
速度制御の利点は、速度制御を使用しない場合に比べて、車体ピッチ角が変化する時間を長くできることである。これにより、時間に対するピッチ角のピーク変化速度が低減され、乗員の不快感や頭の振りが軽減される。
【0097】
次に、
図6(c)を参照すると、車両10は上り坂から水平又は傾斜の少ない表面に移行する高台に到達している。
図6(a)とは異なり、勾配の変化は正ではなく負になっている。車両10の制御は、
図6(a)と同様であってもよいし、正の変化と負の変化が異なって扱われる場合は同様でなくてもよい。
【0098】
正の変化と負の変化を別々に扱うことが有利になる場合がある。実験によると、勾配の変化が正である場合よりも、勾配の変化が負である場合に、一部の乗員は、車両10が水平な地平線を目標とすることに不快感を覚える可能性があることが明らかになった。具体的な原因を特定することは、本発明の範囲外である。
【0099】
図7は、勾配の変化が正であるか負であるかに依拠して、異なるように車両10を制御するための例示的な方法700を提供する。
【0100】
ブロック702では、方法700は、ブロック502の情報などの指示に基づいて、勾配の変化が基準に対して正であるか負であるかを決定することを含む。
【0101】
基準は、前述の基準角度(前の角度)であってもよく、この場合、正の変化は勾配の正の変化であり、負の変化は勾配の負の変化である。
【0102】
勾配の変化が正の場合、方法700はブロック704に進む。勾配の変化が負の場合、方法700はブロック706に進む。ブロック704及び706は、
図5の方法500のブロック506の2つの異なる実装である。
【0103】
例示的な方法700では、必ずしもすべての例ではないが、ブロック704は、以下の点でブロック706と異なる。ブロック704は、少なくとも角度制御(例えば、目標の水平な地平線)、及び任意選択で速度制御も実行することを含む。しかしながら、ブロック706は、目標ピッチ角度がその標準値から調整されないという意味で角度制御を実行せず、速度制御のみを実行することができる。
【0104】
角度制御なしで速度制御を実行する効果について、
図6(c)を参照して説明する。
【0105】
図6(c)では、勾配の負の変化によって引き起こされる慣性力により、車の前部及び/又は後部が自然に上向きに浮いていることが示されている。車両10のホイールベースによりピッチ角も当然変化する。角度制御(目標の調整)が実行されないため、目標(力要求)は最初の標準値から調整されていない。したがって、アクティブサスペンション402は、移行前、移行中、及び移行後に、車両10のピッチ角と走行面の角度との間の差を減少させようと継続的に試みる。
【0106】
ただし、速度制御は、ピッチ角が走行面平行に戻る速度を制御/制限する場合がある。先に説明したように、これは快適性が向上し、頭の振りが減少することを意味する。
【0107】
図6(d)は、頂上に接近する車両10を示す。頂上は、水平な地平線に対して正から負に変化する勾配で構成される。勾配の変化は負である。したがって、アクティブサスペンション402は、
図6(c)と同様の方法で、方法700に基づいて制御することができる。あるいは、アクティブサスペンション402は、勾配の変化が頂点である場合、任意選択で特定の方法で制御することができる。これについては後述する。
【0108】
図6(e)は、(水平な地平線に対して)負の勾配を有し、移行を介して水平に移行している車両10を示している。移行は正の勾配変化である。したがって、車両10は、
図6(a)と同様に制御され得る。
【0109】
なお、車両10は
図6(e)の下り坂から出発しているので、水平な地平線を目標とすることは、この場合、前部を上げ、及び/又は後部を下げることになる。一方、
図6(a)では、水平な地平線を目標にすると、前部を下げ、及び/又は後部を上げることになる。2つ目の利点は、前方の走行面の視認性が向上することである。
【0110】
図6(a)~(e)の例は、すべての使用例を網羅したものではなく、これらの使用例がすべて必須というわけでもない。図示の使用事例は、本発明をどのように実装できるかについての様々な非限定的な例を単に示しているに過ぎない。
【0111】
以下の段落は、方法500、700の1つ又は複数の態様が阻害され得る状況を説明する。
【0112】
方法を実行するための利用可能な時間は、阻害要因である可能性がある。条件504の充足は、少なくとも利用可能な時間の要件が満たされることを必要とし得る。次の操縦の前にブロック506を完了するのに十分な時間があれば、利用可能な時間の要件を満たすことができる。例えば、次の操縦の前に、目標を調整してから目標を標準値に戻すのに十分な時間があれば、利用可能な時間要件を満たすことができる。次の操縦は、車両10が勾配の第2の(次の)変化に到達し、方法500を再び繰り返す必要があることを含み得る。
【0113】
いくつかの例では、利用可能な時間要件の充足は、勾配の2つの変化の間の走行面の長さ(距離)の指標に依拠し得る。例えば、勾配の変化の位置を判断することができ、変化の間の走行面の長さを判断することができる。勾配の変化は、閾値を超える変化であり得る。長さの指標は、例えば、位置特定センサ406のうちの少なくとも1つからの測定値に基づいて得ることができる。いくつかの例では、指標は、以前の行程、車両間通信、車両間インフラ通信、又は任意の他の適切な技術からのデータに基づいて取得され得る。
【0114】
さらに、利用可能な時間要件の充足は、勾配の変化に関連する車両10の速度に依拠し得る。速度は、車両10の現在の速度、又は勾配の変化の間の走行面の長さに沿って移動する車両10の推定/計画された将来の速度であり得る。
【0115】
車両10の長さ及び速度に基づいて、利用可能な時間要件は、ブロック506を実行するために利用可能な時間を決定することができる。利用可能な時間が閾値を超える場合、利用可能な時間要件は満たされる。閾値は、実装によって異なる。
【0116】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、条件504の充足は、車両の速度のみに基づくか、又は長さのみに基づくことができる。例えば、車両10は、所定の最低速度で走行している必要がある場合がある。長さは最小値である必要がある場合がある。この条件は、縁石やスピードバンプなどの小規模な勾配の変化を除外し得る。
【0117】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、条件504の充足は、検出された勾配の変化の勾配の空間変化速度が閾値を超えることを必要とし得る。閾値は、実装によって異なる。
【0118】
いくつか(必ずしもすべてではない)の例では、条件504の充足、又は、角度制御及び/又はレート制御の挙動は、他の阻害要因に依存する可能性があり、その例を以下に示す:
・最低地上高要件。これは、方法500を実行した結果として、車体302の下側とわだち掘れの地面又は低い障害物との間の接触の可能性を低減する。最低地上高要件の確認は、位置特定センサ406などの凹凸路及び/又は障害物を検出するためのセンサ、及び/又は凹凸路に反応するセンサなどの他の地形センサを使用して実行される。追加的又は代替的に、車両サブシステムは、さまざまな運転モード(例えば、オンロード/オフロードモード)で構成可能であり、そのうちの少なくとも1つ(オフロード)は凹凸路に関連付けることができる。角度は制限され得る。
・車体302に取り付けられ、車体302の外部にある貨物に関連する外部貨物要件。外部貨物がトレーラーなどの牽引物である場合、車両のピッチ角度に依存するトレーラーの角度は、厳密に定義された制限内に保つ必要がある場合がある。外部貨物がルーフボックスの場合、ルーフクリアランスが影響を受ける可能性があり、ライドハイトを上げることが一部望ましくない場合がある。内部の敏感な貨物は問題が少なく、実際には、勾配の変化に伴うキャビンの動きの減少から恩恵を受ける可能性がある。牽引要件のチェックは、牽引検出システムからの信号を介して実行され得る。牽引は、センシング(例えば、後ろ向きの位置特定センサ406:カメラ)、又は連結サブシステムの接続に応答して送信される電気信号を介して検出され得る。ルーフ貨物のチェックは、例えば慣性測定を介して実際の車体運動と予想される車体運動とを評価するルーフ質量推定器を使用すること、又はルーフ貨物が取り付けられていることを示すユーザ入力を受け取ることを含み得る。
・車両10が乗降のために停止することに関連する乗降要件。これにより、方法500が車両10へのアクセスを妨げないことが保証される。車両10は、任意選択で、乗降用のニーリング機能を含むことができる。方法500は、車両10が動いていることを必要とし、したがって要件をチェックすることは、車両10が停止しているかどうか、及び/又は乗降要求が受信されたかどうかを判断することを含み得る。
・車両10の上部(ルーフなど)の上の外部物体の底部の垂直距離に関連する垂直クリアランス要件。関連する使用例には、垂直クリアランスが制限された屋根付きの駐車場に入る車両10、又は低い橋の下を走行する車両10が含まれる。カメラなどの位置特定センサ406は、例えば、標識認識アルゴリズムを介してクリアランス制限標識を認識することができる。ルーフ貨物(上記参照)を考慮に入れることができる。
・手動設定要件。許可されたユーザは、方法500を構成又は無効にすることができる。
【0119】
上記の要件リストは、制御システム2に次の1つ又は複数を実行させる要件の例である:
条件504が満たされないようにすること、すなわち、方法500を終了すること;又は
角度制御で目標の調整を減らすこと(例:水平な地平線から遠ざけること);及び/又は
速度制御で速度制限を下げること(例:標準ピッチ角への戻りを遅くすること);及び/又は
ライドハイトの上昇を抑制すること;及び/又は
ライドハイトの下降を抑制すること。
【0120】
図6(a)から
図7は、主に乗員の快適性を改善し、多少は潜在的な視認性も改善する、
図5の方法500の実装を表す。しかしながら、
図5の方法500は、主に視認性を改善するか、又は専ら視認性を改善するために、わずかに異なる又は強化された方法で実装することができる。可視性を改善する実装及び機能の例は、
図8~10に関連して以下に説明する。
【0121】
図8は、勾配の負の変化、特に頂上などの上り坂から下り坂への移行にわたり、車両10に覗かせることによって視認性を改善する方法800を表す。
【0122】
ブロック802で、視認性を改善する方法800は、車体302の前部と後部との間の相対的なライドハイトを変更する、言い換えれば、車体302のピッチ角を変更する要求を受信することを含む。
【0123】
要求はユーザから送信される場合がある。ユーザの要求は、車両10に関連付けられたヒューマンマシンインターフェース(HMI)412を介して行うことができる。ユーザは、車両10を上げて頂上を覗くことを望む場合がある。
【0124】
いくつかの例では、車両10のモード(例えば、運転モード)の複数のモードのうちの1つへの変更に応答して、要求が自動的に生成されてもよく、複数のモードのうちの異なるモードは、1つ又は複数の車両サブシステムを異なって構成する。
【0125】
異なるモードの例には、快適モードと視認性向上モードが含まれる。快適モードでは、
図6(a)~7に関連して上述した特徴が提供され得る。モードが視認性向上モードに変更される場合、アクティブサスペンション402は異なる方法で制御され得る。
【0126】
モードの変更は、自動的に、又はHMI412を介したユーザの選択に応答して行われる。自動モード変更は、キャビンセンサ410を使用して車両搭乗情報を検出することによってトリガーされる場合があり、例えば、車両が空で走行している場合(自動運転モードで)、エネルギーを節約するために快適モードを非アクティブ化することができ、視認性向上を選択して相対的なエネルギー節約を提供することができる。
【0127】
モードによって制御される車両サブシステムは、本明細書で説明するように、アクティブサスペンション制御に関連する制御システム2の部分を含む。非サスペンション制御に関連する他の車両サブシステムも、任意選択でモードによって構成することができる。
【0128】
方法800は、例えば、新しいモードが視認性向上モードである場合、任意選択のブロック804に進む。任意選択のブロック804は、制御システム2が、ピッチ角の変更がいつ必要とされるかを自動的に検出できる場合に実行される。操作が手動である場合、ブロック804をスキップすることができ、アクティブサスペンション402はHMIを介して手動で制御することができる。
【0129】
ブロック804は、勾配の変化の条件が充足されているとの指標を取得することを含む。勾配の変化の条件の充足は、所定の特性を有する検出された勾配の変化を必要とし得る。検出された勾配の変化は、予測制御のために車両10の前方にあってもよいし、反応制御のために車両の下にあってもよい。ある実装では、勾配は、頂上又はその他の閾値を超える勾配の負の変化であることを必要とし得る。
【0130】
勾配の変化の条件を充足するために、頂上検出システムによって頂上を検出することができる。頂上検出システムが車両10の進路に頂上を検出すると、条件が充足される。頂上検出システムの機能は、制御システム2又は制御システム2と通信する別のコントローラに実装することができる。
【0131】
頂上検出システムの一実装例は、車両10の前方の領域の地形を、例えば、位置特定センサ測定値から得られた3Dポイントクラウドを介して検出し、車両10の予測経路に沿った地形の不連続を検出するシステムを含む。車両10の予測経路は、車両10のx軸であってもよいし、自動運転中に自動運転車両コントローラによって決定されてもよい。頂上検出システムは、例えば3Dポイントクラウドから、不連続の前の地形の傾斜を示す情報を得ることができる。
【0132】
不連続は、地形と地域の間の境界に対応する場合があり、ここで、地形が存在すると予想されるが(地形データ取得手段の検出範囲内にあるため)、例えば頂上による地形の影のために存在しない。
【0133】
頂上検出システムはまた、不連続前の勾配情報が、不連続前の所定の距離にわたる地形の勾配の値が上向き傾斜方向(+z)の所定の閾値を超えることを示すかどうかを判断することができる。
【0134】
したがって、頂上の検出には、不連続と、不連続前の閾値を超える上昇勾配の両方の検出を必要とし得る。
【0135】
勾配の変化の条件が充足されると、方法800はブロック806に進み、覗く機能を提供するためにアクティブサスペンション402を制御することを含む。覗く機能を提供することは、要求に応答して(また、自動の場合は勾配の変化の条件の充足に応答して)ピッチ角を修正することを含む。ピッチ角を修正することは、車体302の前部を下げること;又は、車体302の後部を上げること;又は、車体302の前部及び後部を異なる距離だけ上げることを含む。
【0136】
反応制御を使用して自動的に覗くために、例えば、ホイールセンサ又は位置特定センサを介して、前輪が後輪よりも負の勾配にあるかどうか(後輪はまだ上り坂又は平地にある可能性がある)を検出することによって、車両10が頂点にあるときにピッチの修正を実行することができる。頂上のこのポイントでは、頂上の後の走行面の角度が頂上で/頂上前の走行面の角度に対して急である場合、通常、車両前方の走行面の視野はボンネットによって遮られる可能性があるが、覗くことは車両を前方に傾けて、走行面の視線を可能にする。
【0137】
予測制御を使用して自動的に覗くために、ピッチの修正は、車両10が頂上に達する直前(例えば、上り坂又は頂上の平地で前輪がまだ負の勾配になっていないことに対応する)に実行することができる。
【0138】
車両10が移動している間にピッチ角を修正してもよいし、車両速度が閾値を下回った後のみ、例えば車両10が停止していることを要求する場合、ピッチ角を修正してもよい。手動の場合、車両速度が閾値を下回っている場合(停止中など)に機能を有効にすることができる。
【0139】
図9は、頂上に達する直前に車体302の後部を上げた例を示している。車体302の後部を上げることによって、頂上を過ぎた下り勾配が、車両10のボンネット(又は車体302の他の部分)によって隠される可能性が低くなり、車両乗員の地上からの全体的なシート位置がわずかに高くなり得る。その結果、頂上の下り坂側の障害物が見えるようになる。車両がこのピッチ角でわずかに前方に移動すると、乗員/センサはすぐに下り坂の走行面/道路を認識する。
【0140】
図8では、ブロック802に応答してブロック804が発生するが、他の例では、ブロック802は、ブロック804に応答して実行され得る。言い換えれば、制御システム2は、頂上を検出し;頂上が検出されたことを示す情報を別のコントローラ/HMIにブロードキャスト/送信し;そして情報の送信に応答して、他のコントローラ/HMIから覗くモードの要求を受信することができる。
【0141】
図10は、快適性向上と視認性向上の両方を提供するシミュレーションの結果を示す上のグラフを示す。改善されたサスペンション制御を備えた車両10は、頂上(上り坂から下り坂への移行)前の第1の時間100a1と、頂上の直後の第2の時間100a2とで表される。
【0142】
図10の下のグラフは、走行面と平行なピッチ角を目標にした標準的なサスペンション制御の結果を示している。標準的なサスペンション制御を備えた車両10は、頂上(上り坂から下り坂への移行)前の第1の時間100b1と、頂上の直後の第2の時間100b2とで表される。
【0143】
図10の改善されたサスペンション制御は、フィードフォワード情報を使用した反応制御を使用し、角度制御(調整された目標角度が水平な地平線にほぼ平行になる)と速度制御を採用している。角度制御は、少なくとも後部の車高を上げる。前部の車高も下がり、水平な地平線とほぼ平行なプラットフォームを提供して快適性を向上させる。頂上の下り坂側は、車両10のボンネットによって隠される可能性が低くなる。
【0144】
図10は、乗員の頭部(円)の位置を示すマーカ101を示し、円内の星は車体に位置的に固定されている。星と円の相対的な位置は、乗員の頭部の加速度(頭の振り)を示している。星が円の内側にあるとき、乗員は頭の振りを経験しない。星が円の外にあるとき、乗員は頭の振りを経験する。
【0145】
標準的なサスペンション制御では、100b2で円から離れた星によって示されるように、頂上で乗員は頂点でかなりの頭の振りに遭遇する。改善されたサスペンション制御により、100a2では、乗員の頂点での頭の振りが大幅に減少した。
【0146】
なお
図7の方法700は、負の勾配の変化の一種である頂上における角度制御を実行できるようにするために、
図10には使用されていない。検出された頂上は、角度制御が少なくともときどき負の勾配の変化に使用され得る特別な条件を定義する場合がある。
【0147】
図8~10の視認性改善方法は、任意選択で、快適性改善方法を阻害する上述の要因(例えば、牽引、外部積荷など)のいずれか1つ又は複数に基づいて、阻害/禁止され得る。
【0148】
前述の説明から、ピッチを変更する車両の能力は、利用可能なサスペンションの移動距離によって制限されることが理解される。より急な斜面での角度制御の場合、ピッチ角が水平な地平線と平行になる前に、サスペンションがサスペンションの移動限界(バンプストップなど)に達することがある。サスペンション移動限界に対するアクティブサスペンション402の変位は、車輪対車体変位センサ404などを使用して検出可能であり得る。制御システムは、制御システムの出力(例えば、力要求)又はアクティブなサスペンションアクチュエータ(例えば、ポンプ)に供給される最終的にアービトレーションされた力要求を飽和させることによって、利用可能なサスペンションの移動限界を考慮し得る。飽和は、要求された力が、所定のサスペンション移動限界において所定のばね力を上回らないことを保証することができる。有益なことに、飽和は、要求される力が移動限界でばね力に所定の近さ(ただし等しくない)であることを保証し、衝撃吸収のためにいくらか余分なサスペンション移動を可能にすることができる。
【0149】
上記の機能の1つ又は複数は、車両の進行方向が上記の進行方向の逆である場合に動作するように構成され得ることが理解される。頂上を後進するときは、車両の前部を上げ、後部を下げることで、頂上を覗くことができるようにして視認性を向上させることができる。制御システム2は、移動方向が「前進」又は「後進」のどちらに設定されているかを判断し、方向が変化した場合にそれに応じてアクティブサスペンション制御方法を変更することができる。
【0150】
本開示の目的のために、本明細書に記載のコントローラはそれぞれ、1つ又は複数の電子プロセッサを有する制御ユニット又は計算装置を含むことができることを理解されたい。車両10及び/又はその制御システムは、単一の制御ユニット又は電子コントローラを含んでもよく、あるいは、コントローラの異なる機能が、異なる制御ユニット又はコントローラで具現化又はホストされてもよい。実行されると、前記コントローラ又は制御ユニットに本明細書に記載の制御技術(記載の方法を含む)を実施させ命令セットを提供することができる。命令セットは、1つ又は複数の電子プロセッサに内蔵されてもよく、あるいは、命令セットは、1つ又は複数の電子プロセッサによって実行されるソフトウェアとして提供されてもよい。例えば、第1のコントローラは、1つ又は複数の電子プロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよく、1つ又は複数の他のコントローラも、1つ又は複数の電子プロセッサ、1つ又は複数のプロセッサ(任意選択で第1のコントローラと同じ)で実行されるソフトウェアで実装されてもよい。しかし、他の構成も有用であり、したがって、本開示は特定の構成に限定されることを意図していないことを理解されたい。いずれにしても、上述の命令セットは、機械又は電子プロセッサ/計算デバイスによって読み取り可能な形式で情報を格納するための任意のメカニズムを含むことができる、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)に埋め込むことができ、これらには、以下が含まれるが、これらに限定されない:磁気記憶媒体(例:フロッピーディスク);光学記憶媒体(例:CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能なプログラム可能なメモリ(例:EPROM及びEEPROM);フラッシュメモリー;又は、そのような情報/指示を保存するための電気的又はその他の種類の媒体。
【0151】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【0152】
図5、7、及び8に示されるブロックは、方法におけるステップ及び/又はコンピュータプログラムにおけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに対する特定の順序の説明は、ブロックに必要な順序又は好ましい順序が存在することを必ずしも意味するものではなく、ブロックの順序及び配置は変更可能である。さらに、一部の手順を省略できる場合もある。