(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】折り曲げ式しおり
(51)【国際特許分類】
B42D 9/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
B42D9/00 A
(21)【出願番号】P 2024033379
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523039293
【氏名又は名称】永友 優
(72)【発明者】
【氏名】永友 優
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-68631(JP,A)
【文献】登録実用新案第3109385(JP,U)
【文献】米国特許第5443029(US,A)
【文献】米国特許第4941684(US,A)
【文献】登録実用新案第3225353(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本の縦方向に伸びる固定部と、本の横方向に伸びる腕部と、を備え、
前記固定部は、本の最終頁辺りに挟まれるものであり、
前記腕部は、本の途中頁に挟まれる複数のしおり部と、補助部と、を交互に有しており、
前記補助部は、前記しおり部(しおり部A)が本のある頁に挟まれる場合において、前記固定部と前記しおり部Aとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるもの、または、本のある頁に挟まれている前記しおり部(しおり部A)とは異なる前記しおり部(しおり部B)が本の別の頁に挟まれる場合において、前記しおり部Aと前記しおり部Bとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるものである
折り曲げ式しおり。
【請求項2】
紙から作られた、請求項1に記載の折り曲げ式しおり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本に挟んで使用するしおりに関する。
【背景技術】
【0002】
本(書籍)を読む際、利用者(読者)がどの頁まで読んだのかが分かるように、本に挟んで目印とするしおりが知られている。従来のしおりは、一般的に1枚の紙片や1本の紐などを用いて、1箇所(1箇所の頁)のみに目印を付けるものが主流である。
【0003】
また、しおりの利便性を向上させるために、頁を繰った際、次の頁へと位置を変えるように設計された、自動しおりと呼ばれるものも現れている。例えば、特許文献1には、着脱・移動が容易な「紐付き自動しおり」が記載されている。
より具体的にいうと、特許文献1には、書籍に装着して、書籍を閉じた際にそれまで開いていた頁に自動的に保持される差し込み先端部を有するしおり(紐付き自動しおり)である。そして、しおりには紐材(伸縮紐)が接続され、紐材を書籍の内外に輪状に掛けてしおりを書籍に装着し、紐材を動かすことによりしおりの位置を動かし、書籍の頁に保持されるしおりの差し込み先端部の位置を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の紐付き自動しおりも、依然として、目印を付けることができる箇所(頁)は1つのみである。
【0006】
ここで、本を読もうとする時、前の頁から後の頁へと同一の方向で読み続ける場合であれば、しおりで目印を付けるのは、既読部分と未読部分との境界である1頁のみでよい。しかし、特定の頁を複数回読み返す必要のある、教本やゲームブックなどを読む場合には、読み返そうとする頁全てに目印を付ける場合がある。そうすると、付箋などを用いず、しおりによって手軽に複数の頁全てに目印を付けようとする場合、従来のしおりでは、目印を付ける箇所(頁)と同じ枚数のしおりが必要であり、管理や運搬の点で不都合が生じやすい。例えば、利用者(読者)は、本と一緒に複数枚のしおりを常に持ち運びしなければならないため、持ち運びが大変になるだけでなく、しおりを紛失するおそれも高まる。
【0007】
よって、本発明は、手軽に複数の箇所(頁)全てに目印を付けることができ、かつ管理や運搬も容易な、利便性の高いしおりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本の縦方向に伸びる固定部と、本の横方向に伸びる腕部と、を備えた折り曲げ式しおりである。固定部は、本の最終頁辺りに挟まれるものであり、腕部は、本の途中頁に挟まれる複数のしおり部と、補助部と、を交互に有している。
また、補助部は、しおり部(しおり部A)が本のある頁に挟まれる場合において、固定部としおり部Aとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるもの、または、本のある頁に挟まれているしおり部(しおり部A)とは異なるしおり部(しおり部B)が本の別の頁に挟まれる場合において、しおり部Aとしおり部Bとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるものである。
【0009】
なお、折り曲げ式しおりは、紙から作られたものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手軽に複数の箇所(頁)全てに目印を付けることができ、かつ管理や運搬も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る折り曲げ式しおりの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る折り曲げ式しおりの概略正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る折り曲げ式しおりの試作品を示す図(写真)である。
【
図4】
図3に示す試作品を用いて1箇所の頁に目印を付けた状態を示す図(写真)である。
【
図5】
図3に示す試作品を用いて2箇所の頁に目印を付けた状態を示す図(写真)である。
【
図6】
図3に示す試作品を用いて3箇所の頁に目印を付けた状態を示す図(写真)である。
【
図7】
図6に示す状態から、本の頁を開いた状態を示す図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。また、以下の説明において、利用者は「読者」という。
【0013】
(1.全体の構成について)
まず、本発明の実施形態に係る折り曲げ式しおりの全体の構成について説明する。
図1,
図2に示すように、折り曲げ式しおり1(以下、「折り曲げ式しおり」を省略して単に「しおり」という)は、本の縦方向に伸びる固定部10と、本の横方向に伸びる腕部20と、を備えている。また、
図1,
図2に示すように、固定部10と腕部20は直角に交わっており、アルファベットの「L」を右90度回転させたような形状となっている。
【0014】
ここで、しおり1は、紙で作られたものとして説明する。
図3~
図7に示すしおり1の試作品は、紙で作られたものである。もちろん、しおり1は紙以外、例えばプラスチックなど、薄くて成形加工でき、安価な素材を採用することもできる。
【0015】
固定部10は、使用時、本の最終頁や最終頁に近い頁など読む必要がない頁であり、表紙または裏表紙に近い頁に挟まれる。このように固定部10を本に挟むことで、しおり1全体を本に固定し、しおり1を挟んだまま本の途中の頁を開いても、しおり1が外れないようにすることができる。なお、固定部3の長さや幅のサイズは、しおり1が外れない程度に、使用する本の厚さや大きさなどに合わせて自由に設計することができる。
【0016】
また、腕部20は、しおり部分(目印)となる複数のしおり部21と、複数の補助部22と、を交互に有している。本実施形態では、それぞれ3つずつ有している。
具体的には、固定部10に補助部22Aが連なって設けられており、補助部22Aにしおり部21Aが連なって設けられている。そして、しおり部21Aより先は、補助部22B、しおり部22B、補助部22C、しおり部22Cが連なって設けられている。
【0017】
しおり部21は、本の任意の頁に挟むことができ、従来のしおりと同様に本の任意の頁に目印を付けることができる部分である。しおり部21は、本の任意の頁に挟むことができるように、本実施形態では、補助部22よりも下へ(本の中心方向へ)飛び出た形状となっている。
図1,
図2に示すように、本実施形態では、しおり部21の一部(本に挟まれる部分)は三角形となっているが、本に挟まれて目印になり得るものであれば、四角形でもよく、その他の形であってもよい。
【0018】
一方、補助部22は、本の横方向(腕部20の長手方向)においてある程度の長さを有し、しおり部21のように、本に挟まれる部分を有していない。
【0019】
また、しおり部21と補助部22は、これらの境界で折り曲げることができる。固定部10と補助部22(補助部22A)と間も、同様に折り曲げることができる。しおり1は紙で作られたものであるため、読者はこれらの境界を容易に、山折りまたは谷折りすることができる。
【0020】
(2.しおりの使い方について)
次に、さらに
図3~
図7を参照して、
図3に示すしおり1の試作品を、本30に使用する際の使い方について説明する。
【0021】
(2-1.1箇所の頁に目印を付ける場合)
まず、読者は、
図4に示すように、本の最終頁や最終頁に近い頁に固定部10を挿入し、しおり1を本30に固定する。なお、
図4~
図7において、右が本の裏表紙側、左が本の表紙側である。
【0022】
そして、1箇所の頁に目印を付ける場合は、固定部10に最も近い補助部22(つまり、補助部22A)が本30の幅方向に伸びるように折り曲げられる。つまり、補助部22Aは、しおり部21A(およびしおり部21B,しおり部21C)が本30のある頁に挟まれる場合において、固定部10としおり部Aとの間の本30の頁を跨ぐように、その左右(固定部10側、しおり部21A側)が折り曲げられるものである。
【0023】
この場合、しおり部21A(およびしおり部21B,しおり部21C)が本30のある頁に挟まれて目印となっているため、本30を閉じた後でも、読者は再びその目印が付けられている頁から読み始めることができる。
【0024】
(2-2.2箇所の頁に目印を付ける場合)
次に、
図5に示すように、
図4に示す状態から続けて2箇所目の頁に目印を付ける場合は、固定部10に次に近い補助部22(つまり、補助部22B)が本の幅方向に伸びるように折り曲げられる。そして、最初の箇所(1箇所目)はしおり部21B(およびしおり部21C)が挟まれて目印となっていつつ、2箇所目はしおり部21Aが目印となる。
【0025】
このように、1箇所目の頁にはしおり部21Bおよびしおり部21Cが挟まれて目印となり、2箇所目の頁にはしおり部21Aが挟まれて目印となるため、しおり1は、本30の複数の箇所(頁)に目印を付けることができる。
そして、この場合、固定部10が本30に固定されており、しおり部21の本に挟まれる部分は三角形となっているため、しおり部21Aの当該部分が本30の複数の頁に当たりながらもこれらを越えて(しおり部21Aが本30の頁を躱すように捲ることで)、2箇所目の頁まで移動することができる。
【0026】
また、この場合、補助部22Bは、本30のある頁に挟まれているしおり部(しおり部22A)とは異なるしおり部(しおり部22B)が本30の別の頁に挟まれる場合において、しおり部22Aとしおり部22Bとの間の本の頁を跨ぐように、その左右(しおり部21A側、しおり部21B側)折り曲げられるものである。
【0027】
(2-3.3箇所の頁に目印を付ける場合)
最後に、
図6に示すように、
図5に示す状態から続けて3箇所目の頁に目印を付ける場合は、固定部10に最も遠い補助部22(つまり、補助部22C)が本の幅方向に伸びるように折り曲げられる。そして、最初の箇所(1箇所目)はしおり部21Cが挟まれて目印となっていつつ、2箇所目はしおり部21Bが挟まれて目印となっていつつ、3箇所目はしおり部21Aが目印となる。
【0028】
このように、1箇所目の頁にはしおり部21Cが挟まれて目印となり、2箇所目の頁にはしおり部21Bが挟まれて目印となり、3箇所目の頁にはしおり部21Aが挟まれて目印となるため、しおり1は、本30の複数の箇所(頁)に目印を付けることができる。
なお、この場合の補助部22Cの動きは、2箇所の頁に目印を付ける場合の補助部22Bの動きと同様である。
【0029】
このような使い方をすることで、本実施形態においては、1つのしおり1だけで、1箇所の頁、2箇所の頁、最大で3箇所の頁に目印を付けることができる。そして、
図7に示すように、読者はしおり部21Aが挟まれているところ、しおり部21Bが挟まれているところ、しおり部21Cが挟まれているところで、それぞれ本30の頁を開くことができる(
図7に示す例は、しおり部21Bが挟まれているところで本30の頁を開いた例)。
【0030】
またこの際、読者はしおり1を折り曲げるだけで手軽に複数箇所の頁に目印を付けることができる。なお、複数箇所の頁に目印を付ける場合においても、しおり1を複数用意する必要はないため、管理や運搬も容易である。
【0031】
以上のように説明したしおり1はあくまで実施形態の一つであり、発明の要旨を変更しない限り、適宜設計変更可能である。
例えば、しおり部21や補助部22の数を増やせば、より多くの箇所に目印を付けることができる。また、補助部22の本の横方向(腕部20の長手方向)の長さも、本30の厚さ(頁数)に応じて自由に設計することができる。
もちろん、しおり部21や補助部22の数、固定部10のサイズ、腕部20(しおり部21、補助部22)のサイズなどを変えた複数のバリエーションのしおり1を用意し、読者が好みに応じて、これらのうちから1つを選択できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、手軽に複数の箇所(頁)全てに目印を付けることができ、かつ管理や運搬も容易なしおりであり、小説や教本など様々なジャンルの本に利用することができるため、産業上有用である。
【0033】
特に、本発明は、これまで複数枚のしおりで担っていた機能をコンパクトに集約することができるものである。より詳細にいうと、電子機器が高度化を続けている現代において、「機能を増やすこと」や「機能を集約すること」といった観点は、各所で見受けられる。職業も娯楽も多様化し、日常的に求められる機能が増える中で、少しでも運搬の負担を減らし多くの機能を手軽に持ち運ぼうとする試みが電子機器の高度化に伴って今後も進められると思われる中、本発明は、そういったコンパクト化への希求に貢献できるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 折り曲げ式しおり
10 固定部
20 腕部
21,21A,21B,21C しおり部
22,22A,22B,22C 補助部
30 本
【要約】
【課題】手軽に複数の箇所(頁)全てに目印を付けることができ、かつ管理や運搬も容易な、利便性の高いしおりを提供する。
【解決手段】折り曲げ式しおり1は、本の縦方向に伸びる固定部10と、本の横方向に伸びる腕部20と、を備えている。固定部10は、本の最終頁辺りに挟まれるものであり、腕部20は、本の途中頁に挟まれる複数のしおり部21(21A,21B,21C)と、補助部(22A,22B,22C)と、を交互に有している。また、補助部22は、しおり部21Aが本のある頁に挟まれる場合において、固定部10としおり部21Aとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるもの、または、本のある頁に挟まれているしおり部21Aとは異なるしおり部21Bが本の別の頁に挟まれる場合において、しおり部21Aとしおり部21Bとの間の本の頁を跨ぐように折り曲げられるものである。
【選択図】
図1