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特許7518988生物力学の限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】生物力学の限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
G01M7/08 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024077618
(22)【出願日】2024-05-10
【審査請求日】2024-06-03
(31)【優先権主張番号】202311090641.6
(32)【優先日】2023-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】朱 海涛
(72)【発明者】
【氏名】侯 志平
(72)【発明者】
【氏名】劉 燦燦
(72)【発明者】
【氏名】劉 磊
(72)【発明者】
【氏名】卜 暁兵
(72)【発明者】
【氏名】張 山
(72)【発明者】
【氏名】譚 ▲文▼霄
(72)【発明者】
【氏名】王 立民
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105095962(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113094808(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114611395(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115186598(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116257936(CN,A)
【文献】特開2023-119415(JP,A)
【文献】特開2021-110757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061829(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114021412(CN,A)
【文献】特表2006-514380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法であって、
人体モデルの体型特徴情報を取得するステップS1であって、前記体型特徴情報が身長、体重、頭頂部から恥骨結合までの距離、肩幅、アーム長、骨盤幅を含む、ステップS1と、
自己適応型次元縮小ニューラルネットワークを構築するステップS2であって、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークが、次元縮小ネットワーク、中間層及び次元拡大ネットワークを含み、前記次元縮小ネットワークと前記次元拡大ネットワークがそれぞれ単独のネットワークとして使用される、ステップS2と、
回帰ニューラルネットワークを構築するステップS3であって、前記回帰ニューラルネットワークの各層のニューロンの数が前記体型特徴情報の数と同じである、ステップS3とを含み、
前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークの精度を検証するステップS4において、前記精度が要求を満たす場合、ステップS5に進み、前記精度が要求を満たさない場合、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすまで、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークを最適化し、
ステップS5において、前記人体モデルの体型特徴情報を前記回帰ニューラルネットワークに入力して、シミュレーション生物力学応答低次元データを得、前記シミュレーション生物力学応答低次元データを前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力した後、前記次元拡大ネットワークによって前記シミュレーション生物力学応答低次元データに対して次元拡大処理を行って、シミュレーション生物力学応答高次元データを得、前記シミュレーション生物力学応答高次元データに基づき前記人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を得、
前記生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき前記人体モデルのシミュレーション度を評価するステップS6をさらに含み、
回帰ニューラルネットワークを構築するステップS3は、前記回帰ニューラルネットワークを訓練することを含み、
前記回帰ニューラルネットワークの訓練方法は、
被験者の体型特徴情報を取得するステップS31と、
衝突試験における被験者の生物力学応答曲線を取得するステップS32と、
前記生物力学応答曲線に基づき生物力学応答データを採集するステップS33と、
ランダムに分配する方法を用いて前記体型特徴情報及び前記生物力学応答データを3つのデータセットに分けるステップS34であって、前記3つのデータセットが、それぞれ訓練セット、テストセット、検証セットであるステップS34と、
前記訓練セットと前記テストセットとにおける前記生物力学応答データを前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの次元縮小ネットワークに入力して次元縮小処理を行い、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層から前記訓練セットと前記テストセットとにおける前記生物力学応答データの対応する線形及び/又は非線形の生物力学応答低次元データを出力するステップS35と、
前記訓練セットにおける前記体型特徴情報を入力として用い、前記生物力学応答低次元データを出力とし、前記回帰ニューラルネットワークを訓練するステップS36と、
テストセットにおけるデータを用いて前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすかどうかをテストするステップS37と、
前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たす場合、前記回帰ニューラルネットワークに対する訓練を停止し、訓練された回帰ニューラルネットワークを得るステップS38と、
前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たさない場合、前記回帰ニューラルネットワークを引き続き訓練するステップS39と、を含む、
ことを特徴とする生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項2】
前記生物力学応答曲線に基づき生物力学応答データを採集するステップS33は、
取得された前記生物力学応答曲線のうち、非合理的な力値が現れた生物力学応答曲線を除去するステップS331と、
非合理的な力値が除去された全ての前記生物力学応答曲線に対して、衝突が発生した時刻をゼロ時刻とし、ゼロ時刻から間隔がtである時間長の生物力学応答曲線を切り取るステップS332であって、前記間隔がtである時間長の生物力学応答曲線に前記生物力学応答曲線の最大力値点が含まれるステップS332と、
各前記間隔がtである時間長の生物力学応答曲線からs個の力値点を採集して生物力学応答データとするステップS333とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項3】
前記ステップS2において、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層的ニューロンの数は、前記体型特徴情報の数と同じであり、前記次元縮小ネットワークの入力層と前記次元拡大ネットワークの出力層とにおけるニューロンの数は、間隔がtである時間長の生物力学応答曲線のそれぞれから採集される力値点の個数sと等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項4】
前記ステップS2は、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの前記次元縮小ネットワーク及び前記次元拡大ネットワークに制限方法を加えることをさらに含み、前記制限方法は、重み値の関連付け、重み値行列の直交、無関係特徴及びユニット化を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項5】
前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークの精度を検証するステップS4は、
前記検証セットにおける体型特徴情報を前記訓練された回帰ニューラルネットワークに入力し、生物力学応答低次元データを出力するステップS41と、
前記生物力学応答低次元データを前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力し、次元拡大ネットワークによって次元拡大を行い、生物力学応答高次元データを得るステップS42と、
前記生物力学応答高次元データを前記検証セットにおける生物力学応答データと比較し、誤差値が予め設定された値よりも小さいかどうかを計算するステップS43と、
前記誤差値が前記予め設定された値よりも小さい場合、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすと判断するステップS44と、
前記誤差値が前記予め設定された値以上である場合、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たさず、前記自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び前記回帰ニューラルネットワークを最適化する必要があると判断するステップS45とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項6】
前記生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき前記人体モデルのシミュレーション度を評価するステップS6は、
前記人体モデルが衝突試験に得た生物力学応答曲線を取得するステップS61と、
前記生物力学応答曲線を前記生物力学シミュレーションの限界値曲線と比較し、前記生物力学応答曲線と前記生物力学シミュレーションの限界値曲線との相互相関係数を計算するステップS62と、
前記相互相関係数が予め設定された値よりも大きい場合、前記人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、前記相互相関係数が予め設定された値以下である場合、前記人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさないと判断するステップS63とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。
【請求項7】
前記生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき前記人体モデルのシミュレーション度を評価するステップS6は、
必要とされる人体モデルのシミュレーション度の精度要求に基づき評価係数を設定するステップS61´と、
前記評価係数及び前記生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づきシミュレーションの限界値区間を特定するステップS62´と、
前記人体モデルが衝突試験に得た生物力学応答曲線を取得するステップS63´と、
前記生物力学応答曲線を前記シミュレーションの限界値区間と比較し、前記生物力学応答曲線が前記シミュレーションの限界値区間内にある場合、前記人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、前記生物力学応答曲線が前記シミュレーションの限界値区間内にない場合、前記人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさないと判断するステップS64´とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突シミュレーションの技術分野に関し、特に生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、一般的に人体モデルによって衝突過程において人体が受ける傷害を評価し、さらに車両の衝突安全性能を評価する。これからわかるように、人体モデルの生物力学シミュレーション度は、試験の正確性に直接的に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の人体モデルの生物力学シミュレーション度の評価方法は、死体、動物、ボランティアの衝突試験によって真実な生物力学応答信号を取得して、人体モデルの死体、動物、ボランティアなどの試験者の体型情報に対する拡大縮小比を計算し、最後に実際の生物力学応答信号に対応して拡大縮小し、人体モデルのシミュレーションの限界値データを得、研究される人体モデルの生物力学応答シミュレーション度を評価する。この方法には、制約性が大きく、拡大縮小の方法の精度が高くない問題などが存在する。その主な原因は以下のようなことがあり、死体、動物、ボランティアなどの試験者の体型情報が限れられたものであり、取得される生物力学応答データが、制約性を有し、普遍性と代表性を有さず、同時に拡大縮小方法を運用することは、生物力学応答と被験者の体型変化が線形相関を呈するものであるが、被験者の体型の違いなどが生物力学に与える影響が十分に複雑であり、線形的な拡大縮小のみを採用して生物力学応答シミュレーションの限界値を取得する方法は、精度が高くないため、人体モデルのシミュレーション度に対する評価の正確性も高くない。
【0004】
従って、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法を早急に必要されるもので、本発明は、生物力学シミュレーションの限界値の精度を向上させ、人体モデルのシミュレーション度に対する評価の精度を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明は、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法を提供し、生物力学シミュレーションの限界値の精度を向上させ、人体モデルのシミュレーション度評価の精度を向上させる。
【0006】
本発明は、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法を提供するもので、当該評価方法は、以下のステップを含み、
S1において、人体モデルの体型特徴情報を取得し、体型特徴情報が身長、体重、頭頂部から恥骨結合までの距離、肩幅、アーム長、骨盤幅を含み、
S2において、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークを構築し、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークが、次元縮小ネットワーク、中間層及び次元拡大ネットワークを含み、次元縮小ネットワークと次元拡大ネットワークがそれぞれ単独のネットワークとして使用され、
S3において、回帰ニューラルネットワークを構築し、回帰ニューラルネットワークの各層のニューロンの数が体型特徴情報の数と同じであり、
S4において、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度を検証し、精度が要求を満たす場合、S5に進み、精度が要求を満たさない場合、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすまで、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークを最適化し、
S5において、人体モデルの体型特徴情報を回帰ニューラルネットワークに入力して、シミュレーション生物力学応答低次元データを得、シミュレーション生物力学応答低次元データを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力した後、次元拡大ネットワークによってシミュレーション生物力学応答低次元データに対して次元拡大処理を行って、シミュレーション生物力学応答高次元データを得、シミュレーション生物力学応答高次元データに基づき人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を得、
S6において、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき人体モデルのシミュレーション度を評価する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る実施例は、以下の技術的効果を有する。
回帰ニューラルネットワークによって体型特徴情報と生物力学応答低次元データとの関数関係を確立し、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークによって生物力学応答低次元データに対する生物力学応答高次元データを取得し、生物力学応答データと生物力学応答曲線との対応関係を確立し、回帰ニューラルネットワークと自己適応型次元縮小ニューラルネットワークによって人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を生成し、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき人体モデルのシミュレーション度を評価し、それにより、任意の既知の体型特徴情報の人体モデルに対して対応する生物力学シミュレーションの限界値曲線を生成し、生物力学シミュレーションの限界値の精度を向上させ、人体モデルのシミュレーション度に対する評価の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術に対する技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に具体的な実施形態の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明するものであり、以下の説明中の図面は本発明の一部の実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力を要さない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明に係る実施の形態の生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法のフローチャートである。
図2】本発明に係る実施の形態の生物力学シミュレーションの限界極性に基づく人体モデルのシミュレーション度の強化方法における自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの構造模式図である。
図3】本発明に係る実施の形態の生物力学シミュレーションの限界極性に基づく人体モデルのシミュレーション度の強化方法における回帰ニューラルネットワークの構造模式図である。
図4】本発明に係る実施の形態の生物力学シミュレーションの限界極性に基づく人体モデルのシミュレーション度の強化方法における逆回帰ニューラルネットワークの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下に本発明の技術案に対して明確、完全な説明を行う。以下に説明する実施の形態は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明に係る実施の形態に基づき、当業者が創造的な労働をせずに得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明が保護する範囲に属する。
【0010】
図1は、本発明に係る実施例の提供する生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法のフローチャートである。図1を参照すると、具体的に、以下のステップを含む。
【0011】
S1において、人体モデルの体型特徴情報を取得し、体型特徴情報が身長、体重、頭頂部から恥骨結合までの距離、肩幅、アーム長及び骨盤幅を含む。
【0012】
具体的には、人体モデルの研究開発の需要に基づき、人体モデルのp個の体型特徴情報を取得し、体型特徴情報が、身長、体重、頭頂部から恥骨結合までの距離、肩幅、アーム長及び骨盤幅などを含むが、これらに限定されない。人体モデルの体型特徴情報は、取得しやすいため、体型特徴情報を用いてニューラルネットワークの訓練パラメータとし、体型特徴情報と生物力学応答データとの関係を取得する。
【0013】
S2において、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークを構築し、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークは、次元縮小ネットワーク、中間層及び次元拡大ネットワークを含み、次元縮小ネットワークと次元拡大ネットワークは、それぞれ単独のネットワークとして使用される。
【0014】
具体的には、図2は、本発明に係る実施の形態が提供する自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの構造模式図であり、図2を参照すると、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークは、次元縮小ネットワーク、中間層及び次元拡大ネットワークを含み、次元縮小ネットワーク、中間層及び次元拡大ネットワークは、いずれも1層又は複数層のニューラルネットワークから構成され、各層のニューラルネットワークは、いずれも重み値、バイアス及び複数のニューロンを含み、次元縮小ネットワークは、入力層をさらに含み、次元拡大ネットワークは、出力層をさらに含み、次元縮小ネットワークと次元拡大ネットワークは、中間層に関して対称とし、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの次元縮小ネットワークと次元拡大ネットワークは、それぞれ単独のネットワークとして使用されることができる。入力層から中間層までの層数、中間層から出力層までの層数及び各層のニューロンの数は、ニューラルネットワークの訓練の損失関数値に基づき調整することができ、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層のニューロンの数は、体型特徴情報の数と同じであり、次元縮小ネットワークの入力層と次元拡大ネットワークの出力層とにおけるニューロンの数は、衝突試験に取得された生物力学応答曲線から採集された力値点の数と等しく、それにより、計算の複雑さの程度を減少させ、後続の検証過程に便利である。ただし、生物力学応答曲線において採集される力値点が多いほど、生物力学応答曲線を正確に表示することができるが、その場合、力地点の数が多くなるのに対応して、計算も複雑になるため、採集される力値点の数は、精度の要求又は計算の複雑さの程度の要求に応じて設定することができる。
【0015】
具体的には、次元縮小ネットワークにおける第l層の第i個のニューロンについて、第l層の第i個のニューロンの値の計算式は、以下の通りである。
【0016】
[数1]
【0017】
又は
[数2]
【0018】
【0019】
式(2)は、以下のような行列形式と記述することができる。
【0020】
[数3]
【0021】
【0022】
具体的には、次元拡大ネットワークにおける第l層の第i個のニューロンについて、第l層の第i個のニューロンの値の計算式は、以下の通りである。
【0023】
[数4]
【0024】
又は
[数5]
【0025】
【0026】
式(5)は、以下のような行列形式と記述することができる。
【0027】
[数6]
【0028】
【0029】
自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの活性化関数は、線形的であってもよく、非線形的であってもよい。自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの活性化関数の性質を変えることにより、生物力学応答データに対して次元縮小処理を行って、線形及び非線形的生物力学応答低次元データを得ることができる。
【0030】
さらに、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの構築を完成した後、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの次元縮小ネットワーク及び次元拡大ネットワークに制限方法を加え、制限方法は、重み値の関連付け、重み値行列の直交、無関係特徴及びユニット化を含む。
【0031】
具体的には、次元縮小ネットワーク及び次元拡大ネットワークの層と層との間にいずれも訓練可能なパラメータ、例えば重み値とバイアスが設定され、重み値の関連付けは、次元縮小ネットワークの重み値行列と次元拡大ネットワークの重み値行列に対応関係を存在させることができる。次元縮小ネットワークにおける重み値及びバイアスを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークに対する訓練によって更新させ、次元拡大ネットワークにおける重み値及びバイアスは、直接的に公式によって次元縮小ネットワークの重み値及びバイアスを換算して得る。重み値の関連付けは、次元縮小ネットワークの重み値と次元拡大ネットワークの重み値に以下の関係を持たせることができる。
【0032】
[数7]
【0033】
[数8]
【0034】
具体的には、重み値行列の直交による制限は、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークにおける各層の重み値行列を互いに直交させることができる。L1正則化方法が採用された無関係特徴による制限は、次元縮小ネットワークの出力データの共分散行列の非対角線のデータを0に近づくように制限することができる。ユニット化による制限は、次元縮小ネットワークにおける各層の重み値の二乗和を単位1にすることができる。自己適応型次元縮小ニューラルネットワークに制限を加えることは、計算の複雑程度を減少させ、データ間の相関性を除去し、データの独立性を向上させ、ニューラルネットワークの訓練に有利であり、より高い精度を得る。
【0035】
S3において、回帰ニューラルネットワークを構築し、回帰ニューラルネットワークの各層のニューロンの数は、体型特徴情報の数と同じである。
【0036】
具体的には、図3は、本発明に係る実施の形態が提供する回帰ニューラルネットワークの構造模式図であり、図3を参照すると、回帰ニューラルネットワークは、入力層、出力層及び隠れ層を含み、回帰ニューラルネットワークの構造は、ボビンネットワークであり、回帰ニューラルネットワークの各層のニューロンの数は、いずれも体型特徴情報の数と同じである。回帰ニューラルネットワークにおける第l層の第i個のニューロンについて、第l層の第i個のニューロンの値の計算式は、以下の通りである。
【0037】
[数9]
【0038】
又は
[数10]
【0039】
【0040】
式(10)は、以下のような行列形式と記述することができる。
【0041】
[数11]
【0042】
【0043】
さらに、回帰ニューラルネットワークを構築することは、回帰ニューラルネットワークを訓練することを含み、前記回帰ニューラルネットワークの訓練方法は、以下のステップを含む。
【0044】
S31において、被験者の体型特徴情報を取得する。
【0045】
具体的には、被験者は、死体、動物、ボランティアなどを含んでもよい。人体モデルの研究開発の要求に応じて、h個の被験者のp個の体型特徴情報を記録する。
【0046】
S32において、衝突試験における被験者の生物力学応答曲線を取得する。
【0047】
具体的には、h個の被験者が同一種類の衝突試験における同じ部位のh本の生物力学応答曲線を取得する。
【0048】
S33において、生物力学応答曲線に基づき、生物力学応答データを採集する。
【0049】
S331において、非合理的な力値が現れた生物力学応答曲線を除去し、また、生物力学応答曲線上の力値は、力値のひずみゲージを検出することによって取得され、衝突試験を行う際、ひずみゲージが設けられた部位が力を受けると、圧力が正の値であれば、力を受けることが開始してから終了するまで全ての力値は、正の値であるべきであり、負の値の力値が現れれば、当該力値は、非合理的な力値であり、当該ひずみゲージ又は試験装置に故障が発生したと示し、この生物力学応答曲線は、実際の状況に合致せず、そのため、非合理的な力値が現れた生物力学応答曲線を除去する必要がある。
【0050】
S332において、非合理的な力値が除去された全ての生物力学応答曲線に対して、衝突発生の時刻をゼロ時刻とし、ゼロ時刻から間隔がtである時間長の生物力学応答曲線を切り取り、前記間隔がtである時間長の生物力学応答曲線に前記生物力学応答曲線の最大力値点が含まれる。また、ゼロ時刻は、各生物力学応答曲線を揃えるために用いられ、それにより、同じ時間帯をそれぞれ切り取り、最大力値は、生物力学応答曲線上の極限値として用いられる。
【0051】
S333において、各前記間隔がtである時間長の生物力学応答曲線からs個の力値点を採集して生物力学応答データとする。
【0052】
S34において、ランダムに分配する方法を用いて体型特徴情報及び生物力学応答データを3つのデータセットに分け、前記3つのデータセットは、それぞれ訓練セット、テストセット、検証セットである。
【0053】
S35において、訓練セットとテストセットにおける生物力学応答データを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの次元縮小ネットワークに入力して次元縮小処理を行い、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層から訓練セットとテストセットにおける生物力学応答データの対応する線形及び/又は非線形的生物力学応答低次元データを出力する。
【0054】
S36において、訓練セットにおける体型特徴情報を入力として用い、生物力学応答低次元データを出力とし、回帰ニューラルネットワークを訓練する。
【0055】
具体的には、訓練セットにおける体型特徴情報を入力とし、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークが訓練セットにおける生物力学応答データに基づき出力する生物力学応答低次元データを出力とし、回帰ニューラルネットワークを訓練し、それにより、回帰ニューラルネットワークが訓練セットにおける体型特徴情報に基づき出力する生物力学応答低次元データは、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークが訓練セットにおける生物力学応答データに基づき出力する生物力学応答低次元データに近づく。
【0056】
S37において、テストセットにおけるデータを用いて回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすかどうかをテストする。
【0057】
具体的には、1回の回帰ニューラルネットワークの訓練を完成するごとに、1回の回帰ニューラルネットワークのテストを行い、回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすかどうかをテストする。要求を満たすか否かは、回帰ニューラルネットワークがテストセットに基づき出力する生物力学応答低次元データを、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークがテストセットにおける生物力学応答データに基づき出力する生物力学応答低次元データと比較し、両者の差である誤差値が予め設定された値よりも小さいかどうかを計算して決定する。
【0058】
S38において、回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たす場合、回帰ニューラルネットワークの訓練を停止し、訓練された回帰ニューラルネットワークを得る。
【0059】
S39において、回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たさない場合、回帰ニューラルネットワークを引き続き訓練する。
【0060】
S4において、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度を検証し、精度が要求を満たす場合、S5に進み、精度が要求を満たさない場合、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たすまで、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークを最適化する。
【0061】
S41において、検証セットにおける体型特徴情報を訓練された回帰ニューラルネットワークに入力し、対応する生物力学応答低次元データを得る。
【0062】
S42において、生物力学応答低次元データを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力し、次元拡大ネットワークによって次元拡大を行い、生物力学応答高次元データを得る。
【0063】
S43において、生物力学応答高次元データを検証セットにおける生物力学応答データと比較し、誤差値が予め設定された値よりも小さいかどうかを計算する。
【0064】
S44において、誤差値が予め設定された値よりも小さい場合、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たす。
【0065】
S45において、誤差値が予め設定された値以上である場合、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たさず、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークを最適化する必要がある。
【0066】
具体的には、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークを最適化する方法は、以下のステップを含み、検証セットにおける生物力学応答データを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの入力層に入力し、出力層から対応する生物力学応答高次元データを得、出力された生物力学応答高次元データを入力された生物力学応答データと比較し、誤差値が予め設定された値よりも小さいかどうかを計算する。誤差値が予め設定された値よりも小さい場合、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの精度が要求を満たし、最適化をする必要がない。誤差値が予め設定された値以上である場合、訓練セット拡大し且つ調整可能なパラメータを変える方法によって、誤差値が予め設定された値よりも小さくなるまで、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークを再訓練する。
【0067】
具体的には、図4は、本発明に係る実施例の提供する逆回帰ニューラルネットワークの構造模式図であり、図4を参照すると、回帰ニューラルネットワークを最適化する方法は、逆回帰ニューラルネットワークを構築することを含み、また、逆回帰ニューラルネットワークの構造は、回帰ニューラルネットワークの構造と完全に逆であり、元の回帰ニューラルネットワークの入力層を逆回帰ニューラルネットワークの出力層とし、元の回帰ニューラルネットワークの出力層を逆回帰ニューラルネットワークの入力層とし、元の回帰ニューラルネットワークの活性化関数の逆関数を逆回帰ニューラルネットワークの活性化関数として計算する。
【0068】
回帰ニューラルネットワークが検証セットにおける体型特徴情報に基づき得た生物力学応答低次元データを逆回帰ニューラルネットワークに入力し、検証セットにおける体型特徴情報に基づき得た生物力学応答低次元データの対応する体型特徴情報を得る。逆回帰ニューラルネットワークの構造が回帰ニューラルネットワークの構造と完全に逆であるため、回帰ニューラルネットワークの第l層は、逆回帰ニューラルネットワークの第(n+1―l)層であり、ただし、nは、回帰ニューラルネットワークの総層数であり、nは、逆回帰ニューラルネットワークの総層数でもある。回帰ニューラルネットワークの第l層に入力された体型特徴情報を、逆回帰ニューラルネットワークの第(n+1-l)層から出力された体型特徴情報と比較し、各層の誤差値が予め設定された値よりも小さいかどうかを計算する。各層の誤差値がいずれも予め設定された値よりも小さい場合、回帰ニューラルネットワークの精度が要求を満たし、誤差値が予め設定された値以上であるニューラルネットワーク層が存在する場合、回帰ニューラルネットワークの活性化関数の作用領域を制限し、例えば活性化関数の非線形特性が最大である領域が計算に参与することのみを許容し、調整可能なパラメータを変える方法により、誤差値が予め設定された値よりも小さくなるまで、回帰ニューラルネットワークを再訓練する。
【0069】
S5において、人体モデルの体型特徴情報を訓練された回帰ニューラルネットワークに入力して、シミュレーション生物力学応答低次元データを得、シミュレーション生物力学応答低次元データを訓練された自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力した後、次元拡大ネットワークによってシミュレーション生物力学応答低次元データに対して次元拡大処理を行い、シミュレーション生物力学応答高次元データを得、シミュレーション生物力学応答高次元データに基づき人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を得る。
【0070】
具体的には、人体モデルの体型特徴情報を訓練された回帰ニューラルネットワークに入力して、シミュレーション生物力学応答低次元データを得る。シミュレーション生物力学応答低次元データを訓練された自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力した後、次元拡大ネットワークによってシミュレーション生物力学応答低次元データに対して次元拡大処理を行い、シミュレーション生物力学応答高次元データを得る。得られたシミュレーション生物力学応答高次元データに対して、時間を横座標とし、力値を縦座標として示して、シミュレーション生物力学応答曲線を形成し、最大力値を含む、衝突が発生したゼロ時刻から間隔がtである時間長のシミュレーション生物力学応答曲線を切り取り、このシミュレーション生物力学応答曲線は、人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線である。
【0071】
S6において、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき人体モデルのシミュレーション度を評価する。
【0072】
具体的には、相互相関係数を計算する方法によって、人体モデルのシミュレーション度を評価することができ、具体的なステップは、以下のステップを含む。
【0073】
S61において、人体モデルが衝突試験に得た生物力学応答曲線を取得する。
【0074】
具体的には、人体モデルに対してステップS32における衝突試験と同じ衝突試験を行い、人体モデルの生物力学応答曲線を取得する。
【0075】
S62において、生物力学応答曲線を生物力学シミュレーションの限界値曲線と比較し、生物力学応答曲線と生物力学シミュレーションの限界値曲線の相互相関係数を計算する。
【0076】
具体的には、相互相関係数は、2つの波形の類似性を評価するために用いられ、例示的に、相互相関係数の取る値の範囲は、[-1,1]であり、相互相関係数が1に近づくほど、2つの波形は、より類似し、生物力学シミュレーションの限界値曲線のシミュレーション度が高くなる。相互相関係数が0に近づくほど、2つの波形は、より類似せず、生物力学シミュレーションの限界値曲線のシミュレーション度が低くなる。なお、さらに相互相関係数を百分率の形式に数量化することで、より直観的に2つの波形の類似性を示すことができ、例示的に、相互相関係数が0.9である場合、90%に数量化され、そうすると、2つの波形の類似性は、90%である。
【0077】
S63において、相互相関係数が予め設定された値よりも大きい場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、相互相関係数が予め設定された値以下である場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさない。
【0078】
具体的には、人体モデルのシミュレーション度の精度の要求に応じて予め設定された値を設定し、例えば、精度に対する要求が0.9又は90%である場合、相互相関係数又は相互相関係数の数量化された値が予め設定された値である0.9又は90%よりも大きければ、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、相互相関係数又は相互相関係数の数量化された値が予め設定された値である0.9又は90%以下であれば、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさない。
【0079】
具体的には、シミュレーションの限界値区間を特定する方法によって、人体モデルのシミュレーション度を評価することができ、具体的なステップは、以下のステップを含む。
【0080】
S61´において、必要とされる人体モデルのシミュレーション度の精度要求に基づき評価係数を設定する。
【0081】
具体的には、必要とされる人体モデルのシミュレーション度の精度要求に基づき評価係数β%を設定し、例示的に、精度要求が高いほど、評価係数が小さくなり、精度要求が90%である場合、評価係数が5%と設定されるべきであり、精度要求が99%である場合、評価係数が0.5%と設定されるべきである。
【0082】
S62´において、評価係数及び生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づきシミュレーションの限界値区間を特定する。
【0083】
具体的には、生物力学シミュレーションの限界値曲線に対して、それぞれ評価区間の係数β%を加え、また、差し引いて、+β%と-β%の2本の曲線を得、この2本の曲線が構成する区間は、シミュレーションの限界値区間である。
【0084】
S63´において、人体モデルが衝突試験に得た生物力学応答曲線を取得する。
【0085】
具体的には、人体モデルに対して、ステップS32における衝突試験と同じ衝突試験を行い、人体モデルの生物力学応答曲線を取得する。
【0086】
S64´において、生物力学応答曲線をシミュレーションの限界値区間と比較し、生物力学応答曲線がシミュレーションの限界値区間にある場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、生物力学応答曲線がシミュレーションの限界値区間内にない場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさない。
【0087】
具体的には、生物力学応答曲線上のそれぞれの点がいずれもシミュレーションの限界値区間内にある場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たし、生物力学応答曲線上にシミュレーションの限界値区間内にない点が存在する場合、人体モデルのシミュレーション度が要求を満たさない。
【0088】
本発明に係る実施の形態において、回帰ニューラルネットワークによって体型特徴情報と生物力学応答低次元データの関数関係を確立し、自己適応型次元縮小ニューラルネットワークによって生物力学応答低次元データに対する生物力学応答高次元データを取得させることができ、生物力学応答データと生物力学応答曲線の対応関係を確立し、回帰ニューラルネットワーク及び自己適応型次元縮小ニューラルネットワークによって人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を生成し、生物力学シミュレーションの限界値曲線によって人体モデルのシミュレーション度を評価し、任意の既知の体型特徴情報の人体モデルに対して、いずれも対応する生物力学シミュレーションの限界値曲線を生成することができ、生物力学シミュレーションの限界値の精度を向上させ、人体モデルのシミュレーション度に対する評価の精度を向上させる。
【0089】
なお、本発明が使用する用語は、特定の実施例を説明することだけを目的とし、本願の範囲を限定するものではない。本発明の明細書に示すように、文脈が明確に例外を提示しない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「当該」などの用語は、単数を特定するものではなく、複数を含んでもよい。「含む」、「包含する」という用語、またはその他のあらゆる変形は、非排他的な包含を網羅することを意図しており、それにより、一連の要素を含むプロセス、方法、または装置は、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、または装置に固有の要素も包含する。さらなる限定がない限り、「1つを含む」という語句によって限定された要素は、その要素を含むプロセス、方法、または装置における他の同一の要素の存在を除外しない。
【0090】
さらに説明しなければならないのは、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「縦」、「水平」、「内」、「外」などの方位または位置の関係は添付図面に示した方位または位置の関係に基づき、本発明を説明しやすく、説明を簡単にするためだけであり、指す装置または素子は必ず特定の方位を有し、特定の方位で構造と操作しなければならないことを指示または暗示するものではなく、従って本発明に対する制限と理解することはできない。別途明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」などは、広義に理解しなければならず、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、または一体に接続されてもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的に接続されてもよく、仲介媒介によって間接的に接続されてもよく、2つの素子内の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本発明における前記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0091】
最後に説明すべきことは以下のとおりである。以上の各実施例は本発明の技術案を説明するためだけに用いられ、それを制限するものではない。前記各実施例を参照して本発明に対して詳細な説明を行ったが、当業者は以下のことを理解すべきである。それは依然として前記各実施例に記載された技術案に対して修正を行うことができ、またはその一部または全部の技術的特徴に対して同等の置換を行うことができる。これらの修正または置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案から逸脱させるものではない。


【要約】
【要約】
【課題】人体モデルのシミュレーション度に対する評価の精度を向上させる方法を提供する。
【解決手段】生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づく人体モデルのシミュレーション度の評価方法は、人体モデルの体型特徴情報を取得することと、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークを構築することと、自己適応型次元縮小ニューラルネットワーク及び回帰ニューラルネットワークの精度を検証することと、人体モデルの体型特徴情報を回帰ニューラルネットワークに入力して、シミュレーション生物力学応答低次元データを得、シミュレーション生物力学応答低次元データを自己適応型次元縮小ニューラルネットワークの中間層に入力して次元拡大を行い、シミュレーション生物力学応答高次元データを得、さらに人体モデルの生物力学シミュレーションの限界値曲線を得ることと、生物力学シミュレーションの限界値曲線に基づき人体モデルのシミュレーション度を評価することとを含む。任意の既知の体型情報の人体モデルに対して対応する生物力学シミュレーションの限界値曲線を生成することを実現し、生物力学シミュレーションの限界値曲線の精度を向上させ、人体モデルのシミュレーション度に対する評価の精度を向上させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4