(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】可撓性管状ばね構造、及びそれを備えるスコアリングバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240711BHJP
【FI】
A61M25/10 550
(21)【出願番号】P 2021564817
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 US2020031743
(87)【国際公開番号】W WO2020227454
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521475923
【氏名又は名称】ニュー-ライフ コンサルティング プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NU-LIFE CONSULTING PTE LTD
【住所又は居所原語表記】200 Cantonment Road,#15-00 Southpoint,Singapore 089763 (SG)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,ジョン イー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0230293(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0041391(US,A1)
【文献】特表2018-527146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61B 17/3207
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の心血管系又は生きている哺乳類の体内の他の流体若しくは気体の搬送導管若しくは管内の血管内に挿入するために構成される、可撓性スコアリングバルーンカテーテル用の可撓性細長管状ばね構造であって、前記スコアリングバルーンカテーテルは、ある長さに及ぶ作動領域を有する膨張可能細長バルーンと、その作動領域に沿った外表面と、ガイドワイヤが挿入可能な第1の内部経路と、前記バルーンの内部に連通する、圧縮流体が通過するための第2の内部経路と、前記第1の内部経路と中心で整列してその中を延伸する第1の長手方向軸と、を備え、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張状態の前記バルーンの前記作動領域が、前記第1の長手方向軸に垂直な、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の外側断面積を有し、拡張された又は展開された前記バルーンの前記作動領域はそれぞれ、前記折り畳まれた外側断面積、前記非展開の外側断面積、及び前記非拡張の断面積よりも大きい、前記第1の長手方向軸に垂直な拡張された又は展開された外側断面積を有し、前記管状ばね構造は、遠位端と、近位端と、内腔が存在する、近位端と遠位端との間の長さと、その内腔と中心で整列する第2の長手方向軸と、を有し、前記管状ばね構造は、
(i)複数の環状リング構造であって、各環状リング構造が非拡張の長さを有し、その長さに沿って長手方向に延伸する中心軸と、前記バルーンがないときには前記バルーンの作動領域の折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の外側断面積よりも小さい、前記中心軸に垂直な弛緩断面積と、を有する内腔を設け、各環状リング構造は、前記環状リング構造の前記中心軸が前記第1の長手方向軸の一部と長手方向に整列しており、各環状リング構造が、前記バルーンの拡張によって前記環状リング構造に生じた放射状の力に応じて前記中心軸からの外向きの放射状の力を含む、前記中心軸に垂直な放射方向における弾力的な拡張のために構成され、各環状リング構造は、
縁を有し、前記バルーンの前記外表面周りに周方向に存在するために構成される遠位環状ばねであって、前記中心軸に垂直の面に対する弾性放射状拡張のために構成され、前記中心軸に向けた内向き周方向圧縮力を、前記中心軸から離れて前記弛緩断面積を越えた前記遠位環状ばねの外向きの放射状拡張に応じて生じさせるように構成される、遠位環状ばねと、
前記遠位環状ばねから長手方向に離されている近位環状ばねであって、縁を有し、前記バルーンの外表面周りに周方向に存在するために構成され、前記中心軸に垂直の面に対する弾性放射状拡張のために構成され、前記中心軸に向けた内向き周方向圧縮力を、前記中心軸から離れて前記弛緩断面積を越えた前記近位環状ばねの外向き放射状拡張に応じて生じさせるように構成される、近位環状ばねと、
前記遠位環状ばねと前記近位環状ばねとの間の前記環状リング構造周りに周囲に設けられたスペーシングエレメントのセットであって、前記遠位環状ばねを前記近位環状ばねに結合して、前記遠位
環状ばねと前記近位
環状ばねとの間の長手方向分離距離を維持する、スペーシングエレメントのセットと、を備える、
複数の環状リング構造と、
(ii)複数のスコアリングリンクであって、各スコアリングリンクは長さを有し、隣接する環状リング構造の別個の対を結合し、それによって結合される環状リング構造の前記対内の各環状リング構造間の長手方向空間的空隙に亘り、各スコアリングリンクはその長さの少なくとも一部に沿ってスコアリング構造のセットを備え、各スコアリング構造は、前記血管、導管、又は管内の組織との接触に対する外傷性エレメントとして構成され、前記管状ばね構造の前記長さに沿った直列的に連続するスコアリングリンクは、前記第2の長手方向軸周りに、異なる放射状位置に互いに対して設けられるか又は指標付けされ、各スコアリングリンクの前記長さが、それによって結合される前記環状リング構造の隣接する対内の各環状リング構造の前記非拡張の長さよりも大きい、複数のスコアリングリンクと、
を備える、管状ばね構造。
【請求項2】
前記遠位環状ばね及び前記近位環状ばねのそれぞれが、前記中心軸に垂直な断面積であって、前記バルーンの不在時には前記バルーンの前記折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の断面積よりも小さい断面積を有する、請求項1に記載の管状ばね構造。
【請求項3】
各スコアリングリンクが、それによって結合される前記隣接する環状リンク構造の対内の最も短い環状リング構造の非拡張の長さの200%を越える長さを有する、請求項1又は2に記載の管状ばね構造。
【請求項4】
隣接する環状リング構造の各対について、前記環状リング構造の間の前記空間的空隙が少なくとも0.3mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項5】
隣接する環状リング構造の各対は、第1の環状リング構造が第2の環状リング構造の遠位に配置されるように長手方向に作られ、前記第1の環状リング構造の前記近位環状ばねは前記第2の環状リング構造の前記遠位環状ばねに最も近く、前記第1の環状リング構造を前記第2の環状リング構造に結合する前記スコアリングリンクは前記第1の環状リング構造の前記
遠位環状ばねから前記第2の環状リング構造の前記近位環状ばねに延伸する、請求項1~4のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項6】
各スペーシングエレメントが、前記血管内の組織との接触に対して概して非外傷性エレメントとして構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項7】
各スペーシングエレメントは、各スコアリングリンク及び/又はそれによって保持されるスコアリングエレメントの幅の50%~500%の幅を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項8】
各環状リング構造について、前記スペーシングエレメントのセットは、前記中心軸に長手方向に整列する複数の別個のスペーシングエレメントを含み、前記管状ばね構造は合計N個のスコアリングリンク及び(N+1)個の環状リング構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項9】
前記第2の長手方向軸周りの、直列的に連続するスコアリングリンク間の分離角は(360/Y)度であり、Yは3~5の数字である、請求項8に記載の管状ばね構造。
【請求項10】
前記遠位環状ばねは、前記遠位環状ばねの前記縁周りで互いに結合された複数のばね部材を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項11】
前記近位環状ばねは、前記近位環状ばねの前記縁周りで互いに結合された複数のばね部材を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項12】
各ばね部材は、第1の端セグメントと、第2の端セグメントと、それらの間の頂端とを含み、各ばね部材の各端セグメントはスペーシングエレメント及びスコアリングリンクのうちの1つに結合される、請求項10又は11に記載の管状ばね構造。
【請求項13】
各ばね部材は、第1の端セグメントと、第2の端セグメントと、それらの間の頂端とを含み、各ばね部材の各端セグメントはスペーシングエレメントによって結合される、請求項10又は11に記載の管状ばね構造。
【請求項14】
各ばね部材は、「v字」若しくは「c字」と類似する、近似する、又は実質的に同一の幾何学形状を含むかその形態にある、請求項10~13のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項15】
前記第2の長手方向軸は、前記管状ばね構造の屈曲に応じて曲線から成る又は曲線状の形状をとり、各スコアリングリンクは、前記管状ばね構造の屈曲に応じて最も近くに存在する前記第2の長手方向軸に沿った又は前記第2の長手方向軸のセグメントの幾何学形状に実質的に同一である幾何学形状を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項16】
前記スコアリング構造のセット内の各スコアリング構造は細長く、前記第2の長手方向軸と長手方向に整列している、請求項1~15のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項17】
各スコアリングリンクはその上に一体的に形成されたスコアリング構造を有するか、又はスコアリング構造を一体的に形成する、請求項1~16のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項18】
各スコアリング構造は、前記第2の長手方向軸に垂直の、矩形、台形、又は上向きブレードの断面形状を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項19】
隣接する環状リング構造の対の各環状リング構造内の各スペーシングエレメントは細長く、前記中心軸に長手方向に整列しており、前記隣接する環状リング構造の対の各環状リング構造内の各スペーシングエレメントは、前記隣接する環状リング構造の対を結合する前記スコアリングリンクの前記長さの少なくとも40%の長さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項20】
各環状リング構造が金属メッシュを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項21】
前記管状ばね構造が少なくとも1種類の金属から形成される、請求項1~20のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項22】
前記管状ばね構造が金属管から一体的に形成される、請求項1~21のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項23】
前記管状ばね構造の前記複数のスコアリングリンクのうちの少なくともいくつかの少なくとも一部及び/又は前記管状ばね構造の1つ以上の他の部分が、治療剤を保持する、請求項1~22のいずれか一項に記載の管状ばね構造。
【請求項24】
第1の長さ、縁、及び前記第1の長さに沿った作動領域を有する、細長い血管形成術用バルーンと、
前記血管形成術用バルーンに取り付けられて第2の長さを有する細長い拡張可能管状メッシュ構造であって、前記第2の長さが、前記血管形成術用バルーンと前記拡張可能管状メッシュ構造とが直線構成にあるときに前記第1の長さと平行であり、前記拡張可能管状メッシュ構造が前記血管形成術用バルーンをその作動領域に沿って周方向に囲む複数のリング構造を含み、各リング構造が第3の長さを有してスペーシングエレメントのセットで長さ的に結合する、別個の弾性的に拡張可能なリングの対を備え、各リング構造は、その塑性変形限界より下回ったままで前記血管形成術用バルーンの拡張に応じて弾性的に拡張及び変形するように構成されており、各リング構造は、ゼロ以外の第1の分離距離で前記第2の長さに沿って隣接するリング構造から分離されており、隣接するリング構造の各別個の対は、前記第3の長さよりも大きい第4の長さを有する単一の別個のスコアリングエレメントで結合され、哺乳類の血管、導管、若しくは管内の組織をスコアリングするか又は切り込むように構成された外傷性構造を備える、細長い拡張可能管状メッシュ構造と、を備える、スコアリングバルーンカテーテル構造。
【請求項25】
各リング構造は、前記血管形成術用バルーン上に取り付けられたときに、リング構造の静置状態直径を越えてわずかに拡張され、前記血管形成術用バルーンは折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の状態にある、請求項24に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項26】
各スコアリングエレメントは、四角、台形、及び上向きブレードの断面外形のうちの1つを示す、請求項24又は25に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項27】
前記管状メッシュ構造の少なくとも一部に設けられた治療剤コーティングを更に備える、請求項24~26のいずれか一項に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項28】
前記治療剤コーティングが各スコアリングエレメントに設けられる、請求項27に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項29】
前記管状メッシュ構造が、少なくとも4つのリング構造と、前記血管形成術用バルーンの外周周りに指標付けされた位置にて周方向に互いに分離された少なくとも3つのスコアリングエレメントと、を含む、請求項24~28のいずれか一項に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項30】
各リング構造は、環状ばね構造の対の間でゼロ以外の第2の分離距離を確立する複数のスペーシングエレメントによって結合される前記環状ばね構造の対を備える、請求項24~29のいずれか一項に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項31】
前記スペーシングエレメントのセットは、前記血管、導管、又は管内の組織に対する各スコアリングエレメントに対して非外傷性である、請求項30に記載のスコアリングバルーンカテーテル。
【請求項32】
第1の長さ、縁、及び前記第1の長さに沿った作動領域を有する、細長い血管形成術用バルーンと、
第2の長さを有し、前記血管形成術用バルーン上に取り付けられた細長い拡張可能管状メッシュ構造と、を備え、前記拡張可能管状メッシュ構造は、
前記血管形成術用バルーンをその作動領域に沿って周方向に囲む複数のリング構造であって、各リング構造は、前記血管形成術用バルーンの拡張に応じて、その塑性変形限界を下回ったままで弾性的な拡張及び変形をするように構成され、各リング構造は隣接するリング構造から前記第2の長さに沿ってゼロ以外の第1の分離距離だけ離れている、複数のリング構造と、
前記複数のリング構造を長手方向に結合する複数のスコアリングエレメントであって、脈管組織をスコアリングする又は切り込むために構成された構造エレメントを備える、複数のスコアリングエレメントと、
前記スコアリングエレメントのみに設けられた治療剤と、を備え、
直接的に隣接するリング構造の各別個の対は、単一のスコアリングエレメントで結合される、スコアリングバルーンカテーテル構造。
【請求項33】
遠位端、近位端、及びその間にある作動領域を有する、哺乳類の心血管系の血管又は哺乳類の体内の他の流体若しくは気体搬送導管又は管内を膨張するために構成された膨張可能細長バルーンであって、前記バルーンはその作動領域に沿った長さと、ガイドワイヤが挿入可能な内部経路と、前記内部経路と中心にて整列して延伸する第1の長手方向軸と、を有し、折り畳まれた又は非展開の状態の前記バルーンの作動領域はぞれぞれ、前記第1の長手方向軸に垂直な折り畳まれた又は非展開の外側断面積を有し、拡張された又は展開された前記バルーンの前記作動領域はそれぞれ、前記折り畳まれた外側断面積及び前記非展開の外側断面積よりも大きい、前記第1の長手方向軸に垂直な拡張された又は展開された外側断面積を有する、膨張可能細長バルーンと、
遠位部及び近位部を有するカテーテルであって、前記バルーンが前記カテーテルの遠位部に取り付けられ、前記カテーテルが、前記バルーンの内部領域と流体連通する、その中で延伸する膨張内腔を備える、カテーテルと、
前記バルーンの前記作動領域の一部を前記カテーテルの遠位部に沿って囲む、請求項1~23のいずれか一項に記載の可撓性細長管状ばね構造と、を備える、可撓性スコアリングバルーンカテーテル。
【請求項34】
前記管状ばね構造を前記カテーテルの一部及び前記バルーンの一部のうちの少なくとも1つにテザーするか固定するように構成される、テザー構造と、
前記管状ばね構造の近位端を、前記カテーテル遠位部の近位ゾーンと、前記バルーンの拡張不可能な近位セグメントと、のうちの少なくとも1つに結合する、近位接着接合と、
前記管状ばね構造の遠位端を、前記カテーテル遠位部の遠位ゾーンと、前記バルーンの拡張不可能な遠位セグメントと、のうちの少なくとも1つに結合する、遠位接着接合と、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項33に記載の可撓性スコアリングバルーンカテーテル。
【請求項35】
前記テザー構造が、
前記バルーンに近位の前記カテーテルのシャフトによって保持される管状カラーと、
前記管状カラー及び前記管状ばね構造のそれぞれに結合される少なくとも1つの細長テザーリンクと、を備える、請求項34に記載の可撓性スコアリングバルーンカテーテル。
【請求項36】
前記可撓性スコアリングバルーンカテーテルは、前記近位接着接合及び前記遠位接着接合のそれぞれを含み、前記遠位接着接合は前記近位接着接合よりも意図的に弱く形成されている、請求項34に記載の可撓性スコアリングバルーンカテーテル。
【請求項37】
前記可撓性スコアリングバルーンカテーテルは、前記バルーンの、前記折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の状態から、前記拡張された又は展開された状態への膨張前に、前記複数のスコアリングリンクと前記血管内の組織との間の接触を限定する又は遮蔽するように構成される保護エレメントを除く、請求項33~36のいずれか一項に記載の可撓性スコアリングバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様相は、細長い可撓性管状ばね構造、及びその可撓性管状ばね構造を保持するスコアリングバルーンカテーテルを対象としている。可撓性管状ばね構造は、複数の管状リング構造と、管状リング構造を特定の様態で結合する、スコアリングエレメントを含む指標付けされた長手方向エレメントと、を備えている。
【背景技術】
【0002】
カッティングバルーン及びスコアリングバルーンは、例えば、
図1に示す様態で、血管形成手術中に、拡張しにくい部分を処置するためによく使用される。このようなデバイスは、適切に設計されて適用されると、病変表面に複数の直線状及び/又は曲線状の溝又は切れ込みを入れることができる。スコアリングカテーテルのバルーンの膨張後(備えている場合)、又は血管形成術用バルーンを介して病変を更に膨張させた後に、これらの溝又は切れ込みは、制御された全周性組織切開及びプラーク分離のための中心点として作用することができ、それにより、
図2Aに示すバルーン血管形成術のみでの効果に比べ、低減された機械力を用いて病変を複数の突出部に分離することができる。
【0003】
よって、カッティングバルーン及び同様の効果が得られるデバイスは、血管壁の損傷を低減しながら、より改善した病変の伸展性、及びより大きな処置後内径を助長する。治療剤の適用を更に要する血管形成処置では、血管壁に治療剤を適用する前に、拡張しにくい病変を適切に制御して切開することは、カッティングバルーンによって作製されたチャネル内のカルシウムとプラークを治療剤が通ることを可能にして、下にある血管壁の組織に治療剤を拡散しやすくするのに重要である。
【0004】
既知のとおり、拡張した病変に抗再狭窄薬剤を適用するために、薬剤コーティングバルーン(DCB)が血管形成手術の後半(バルーン血管拡張形成術(POBA)及び/又はスコアリング後)によく用いられる。病変の十分な拡張によって病変にチャネルが生成されることは、下にある媒体及び外膜に抗再狭窄薬剤が効果的に進入するためには重要であり、薬剤処置の効果が保証され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図2Bは、Flextome(商標)Cutting Balloon(商標)(Boston Scientific Corporation、マルボロ、マサチューセッツ州、米国)の外科用メスによって生成された血管組織の長手方向の切り込みを示す。Flextome(商標)Cutting Balloon(商標)の特定の物理的様相は
図3Aに示している。長手方向の鋼ブレードがバルーンに堅く接着されているため、このデバイスは、従来では最も効果的と考えられているが、十分に可撓性ではなく、非常に曲がりくねった病変に到達して処置することができない。
図3Bは、AngioSculpt社のスコアリングバルーン(Koninklijke Philips N.V.、アムステルダム、オランダ)の構造上の様相を図示する。このデバイスは、拡張後、病変にらせん状の溝を生成するように言われている。一実施形態では、AngioSculptデバイスは、治療剤、例えば抗再狭窄薬剤でコーティングすることができる。しかしながら、スコアリングバルーンが拡張すると、らせん状の切開はより容易に制御不可能となり得る。即ち、Flextome(商標)Cutting Balloon(商標)によって生成された直線状の溝又は切れ込みが、より効果的及び/安全であるために、一般的に好まれ得る。
【0006】
図4に示すBard Ultrascore(商標)スコアリングカテーテル(Bard Peripheral Vascular,Inc.、テンピ、アリゾナ州、米国)は、血管形成術用バルーンの長さに沿って周方向で180°離れて位置する2つの直径0.010’’の長手方向ワイヤを配置し、これによりデバイスによって生成される溝を長手方向にすることができるが、各バルーン拡張ごとに2つの溝(180°離れた)しか生成することができない。しかしながら、バルーン拡張ごとに3つ以上の溝を有することが望ましい。
【0007】
図5に示すFLEX Scoring Catheter(登録商標)(VentureMed Group,Ltd.、コロンバス、オハイオ州、米国)は、対向するリーフスプリングに取り付けられた0.010’’のステンレス製ブレード(atherotome)を3つ設けており、カテーテルを前進させ、続いて収縮させることで、病変に沿って長手方向の切れ込みを生成することができる。繰り返しカテーテルを病変に亘って前進及び収縮させることで追加の切れ込みを入れることはできるが、切れ込みの周方向での間隔は制御しにくい。このデバイスの更なる欠点は、一体的な血管形成術用バルーンがなく、2つ目のPOBAバルーンカテーテルを病変に挿入することで、病変を続いて拡張しなければならない。
【0008】
米国特許第9375328号は、血管形成術用バルーンの外表面と緩く接触する拡張可能かつ後退可能な「非展開式」ステントを記載している。スコアリングに使用されるステントの長手方向エレメントはバルーンの全長に亘って延び、血管形成術用バルーンの近位及び遠位の両方でカテーテルシャフトに固定されている。ワイヤがカテーテルシャフトに取り付けられ、デバイスの病変への挿入、送達及び抜き出し中には、折り畳まれたバルーンに対して緩くでしか関連付けられていないため、かつ長手方向エレメントがバルーンの拡張に適合して伸長するように更に設計されているため、これらの長い長手方向ワイヤが、血管の処置に使用される、例えばガイドワイヤや他の移殖ステント等の他のデバイスともつれる危険性がある。
【0009】
米国特許第8348987号は、バルーン用のスコアリング構造を記載しており、長手方向カッティング部材によって接続される拡張可能周方向部材を設けている。残念ながら、このスコアリング構造のスコアリング効能は、拡張可能周方向部材に対する長手方向カッティング部材の構造組織がバルーンの放射状拡張から長手方向カッティング部材に沿ったカッティング力に対する有効性及び又は度合いを制限するため、例えば特に(より)大きい又は(より)厚い病変に対して、不必要に制限されるか、又は低い。
【0010】
米国公開公報第20110238154号は、メッシュ部、メッシュ部によって保持された、隆起部を有する治療器具に加え、展開中に隆起部を有する治療器具から血管内組織を遮蔽する保護エレメントを有する、血管内治療デバイスを記載している。残念ながら、同第20110238154号の治療デバイスの構造上の構成は、デバイスの可撓性を制限又は限定し、非常に曲がりくねった血管経路における病変の治療には不適切である。また、保護エレメントがデバイスを不必要に複雑にしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の様々な実施形態によれば、スコアリングバルーンカテーテル及び/又はその若しくはそのための管状ばね構造、例えば管状メッシュ構造は、血管形成処置の一部として、アテローム性動脈硬化病変における周方向に等間隔の切れ込み又は溝、例えば、病変が存在する血管の中心軸に対する長手方向の切れ込み若しくは溝、及び/又は病変自体の中心軸に対する長手方向の切れ込み又は溝を生成するために構成されている。
【0012】
管状ばね構造では、典型的には長手方向のスコアリングエレメント又はカッティングエレメントである構造上のエレメントは、少なくとも3つの切れ込み又は溝、典型的には4~5つの切れ込み又は溝を、例えば病変の周方向に等間隔に生成するように構成されて、より小さい、より均一の突出部を拡張後に得て、より外傷的治療効果を低減する。よって、様々な実施形態では、スコアリングバルーンカテーテル及び/又はその若しくはそのための管状ばね構造は、血管形成術用バルーン上に取り付けて曲がりくねった血管に送達されるのに十分に可撓性でありながら、病変に少なくとも3つ(及び典型的には5つ)の切れ込み又は溝、例えば長手方向の切れ込み又は溝を設けるように構成される。長手方向のスコアリングエレメント又はカッティングエレメントは、管状ばね構造の一部として設けられている。管状ばね構造又はそれを取り付けているバルーンカテーテルの可撓性を最大化するために、環状のバンド構造又はバンドを管状ばね構造の長さに沿って設けており、環状バンドは空間的空隙によって分離されている。任意かつ所定の個別の長手方向カッティングエレメントは管状ばね構造の全長又はバルーンの作動領域若しくは作動長全体に亘ることはなく、むしろ管状ばね構造の2つの直列状若しくは直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状バンドのみを結合する、それらの間で延伸する、又は接続する。
【0013】
手術にかかる時間と費用を削減するために、スコアリングカテーテルで病変を拡張する能力はスコアリングカテーテルの動作の典型的な不可欠の部分になる。
【0014】
更に費用と時間を削減するために、任意選択的に少なくとも1種類のコーティングを管状ばね構造の部分、例えばそのメッシュの部分に設けて、治療剤を送達するための追加デバイスを挿入する必要なく、同時に病変の治療剤を送達するようにしてもよい。
【0015】
任意選択的に、管状ばね構造の少なくとも長手方向のカッティングエレメント又はスコアリングエレメントに少なくとも1つの治療剤コーティングを設けることで、血管壁への治療剤の挿入を容易にするか実現することができ、そこでは治療剤がスコアリングカテーテルによって生成された切開チャネルに沿って血管壁に進入することができる。
【0016】
本開示のこれらや他の様相を、以下に更に記載する。
【0017】
概して、本開示の様々な実施形態に係るスコアリングカテーテルは、容易に挿入可能か、又は挿入されているが除去可能な管状ばね構造を、例えば金属メッシュなどのメッシュ構造として、リングの対(例えば隣接する対)を結合又は相互に連結する複数の指標付けられた長手方向エレメントを一体的に保持する、短い(例えば、長さ的に短い)環状リング構造又はリングをとり、提供する。より具体的には、長手方向エレメントは、管状ばね構造及び/又はスコアリングカテーテルの周囲を放射状又は周方向に指標付けされている、例えばスコアリングカテーテルの長さ的又は長手方向軸を通る断面に対して互いより所定の角度だけ分離されている。長手方向エレメントは、低圧拡張、及びデバイスの拡張後に石灰化した血管における損傷の制御に備える。最初に、より短い、又は短い長手方向エレメントは各リングの環状ばねを結合するか接続し、第二に、より長い、又は長い、治療用エレメントを保持するか形成する、例えば指標付けされた長手方向スコアリング/カッティングエレメント又は構造の長手方向エレメントは、隣接するリングの対を結合又は接続する。スコアリングカテーテルの送達中、血管組織を治療用エレメントから保護する必要は典型的にはない。なぜなら、メッシュパターンが、過剰な損傷を引き起こすことなく、スコアリングカテーテル送達中に血管壁と直接接することができるからである。複数の実施形態では、スコアリングカテーテル送達中に指標付けられた長手方向スコアリング/カッティングエレメントに血管壁又は脈管組織曝されるのを制限するか遮蔽するための保護エレメントは除かれている、例えば、完全に除かれている。
【0018】
様々な実施形態では、スコアリングカテーテルは管状ばね構造を備え、管状ばね構造は典型的には金属メッシュを含むか金属メッシュから形成されており、静止状態から、血管形成術用カテーテルの折り畳まれた血管形成術用バルーンに周方向に取り付けられ、かつそれをしっかりつかむようにわずかに放射状に拡張されている。管状ばね構造は、互いから分離され、折り畳まれたバルーンの長さの部分に沿って配置可能又は配置又は配列されている、直列的なバンド又はリング構造又はリング(例えば、少なくとも2つのリング、又は3つ以上のリング、例えば少なくとも4つのリングなど)を含むかそれより形成され、各リングは圧縮力又は収れん力を働かせるように付勢され、使用前の折り畳まれたバルーンにしっかりつかまっている。各リングは、その中に、又はそれに沿って、第1の、より短い、又は短いワイヤスペーシングエレメントを備え、典型的にはリングの周方向に設けられている。スコアリング/カッティング構造を保持するかスコアリング/カッティング構造として形成され、2つを1組にした隣接するリングの周りに所定の空間位置又は間隔で選択的に週方向に設けられる、第2の、より長い、又は長いワイヤ構造若しくはリンクは、リング間の長手方向のスペーシングを構造的に結合するか又は相互接続して維持する。複数の実施形態では、管状ばね構造の少なくともいくつか又はすべてのワイヤ構造、リンク、及び/又はエレメントは、スコアリングカテーテル又は管状ばね構造が、例えば管状ばね構造、バルーン、及び/又はスコアリングカテーテルの中心軸に対して直線構成にて存在するときにはおよそ長手方向又は線形のエレメントであり得るが、いくつかの実施形態では、1つ以上のワイヤ構造、リンク、及び/又はエレメントは、曲線エレメント、例えば、1つ以上のらせん形状又は幾何学に、幾何学的に対応する。
【0019】
各リングは、例えば、ばね部材、例えばc字型若しくはv字型のばね部材から形成される、長手方向に分離しているばねの対など、複数のばねを有し、血管形成術用バルーンの膨張後、又はそれに応じて、リング構造内のばねの弾性変形(最小限又は無視できる塑性変形を有して)を通して実質的により大きい直径にリングを拡張するように適合される。スコアリングカテーテルは、脈管系内の血管に、既知の血管形成技術を用いて挿入されるように適合されている。処置する病変にアクセスする又はそれを横断した後、バルーンは拡張されて、病変に沿った又は病変に対して放射状での接触、例えば強い放射状の接触を与える。より具体的には、拡張した構成では、管状ばね構造のスコアリング/カッティングリンク又は構造は病変に溝又は切れ込みを生成し、それら溝又は切れ込みは、リングの外周に対して、又は類似して若しくは同等に、血管の縁に対して、周方向に互いから間隔を空けて配置されている。少なくともいくつか又は全ての溝若しくは切れ込みは長手方向、例えば、血管の長さに沿って、又は血管の中心軸及び/若しくはリング、バルーン、及びスコアリングカテーテルのリングの中心軸若しくは長手方向軸に実質的に平行である。
【0020】
バルーンの更なる拡張後、管状ばね構造の長手方向又は線形エレメントの軌跡に沿った制御された切開が生成される。バルーンの収縮後、管状ばね構造はバルーン周りに収縮し、カテーテル本体とバルーンと共に、体から除去される。任意選択的な実施形態では、管状ばね構造は1つ以上のテザー(例えば、単一のテザー、又はテザーの対)を含み、各テザーにはリングカラーと、加えてカテーテルシャフトが血管形成術用バルーンの近位に取り付けられて、バルーンの拡張時及びカテーテル使用時でのスリップを防止する。別の任意選択的な実施形態では、管状ばね構造の部分は、治療剤を、例えばスコアリング/カッティングエレメントなど、管状ばね構造の長手方向エレメントの一部に少なくとも沿って、保持するか含んでもよい。
【0021】
本開示の特定の実施形態に係る非限定的かつ代表的な実施例を、本明細書に詳述する。
【0022】
本開示の様相によると、可撓性スコアリングバルーンカテーテル用の又はそれによって保持されている可撓性細長管状ばね構造は、哺乳類(例えば、生きている哺乳類)の脈管系内の血管、又は他の哺乳類内の解剖学的流体若しくは気体搬送導管若しくは管に挿入するために構成されている。スコアリングバルーンカテーテルは、ある長さに及ぶ作動領域を有する膨張可能細長バルーンと、その作動領域に沿った外表面と、ガイドワイヤが挿入可能な第1の内部経路と、バルーンの内部に連通する、圧縮流体が通過するための第2の内部経路(一般的には「バルーン拡張体腔」と記載される)と、第1の内部経路の中心で整列してその中を延伸する第1の長手方向軸と、を含むか実質的にそれらから成り、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張状態のバルーンの作動領域が、第1の長手方向軸に垂直な、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の外側断面積を有し、拡張された又は展開されたバルーンの作動領域はそれぞれ、折り畳まれた外側断面積、非展開の外側断面積、及び非拡張の断面積よりも大きい、第1の長手方向軸に垂直な拡張された又は展開された外側断面積を有する。管状ばね構造は、遠位端と、近位端と、内腔が存在する、近位端と遠位端との間の長さと、その内腔と中心で整列する第2の長手方向軸と、を有し、管状ばね構造は、
(i)複数の環状リング構造であって、各環状リング構造が非拡張の長さを有し、その長さに沿って長手方向に延伸する中心軸と、バルーンがないときにはバルーンの作動領域の折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の外側断面積よりも小さい、中心軸に垂直な弛緩断面積と、を有する内腔を設け、各環状リング構造は、環状リング構造の中心軸が第1の長手方向軸の一部と長手方向に整列しており、各環状リング構造が、バルーンの拡張によって環状リング構造に生じた放射状の力に応じて中心軸からの外向きの放射状の力を含む、中心軸に垂直な放射方向における弾力的な拡張のために構成され、各環状リング構造は、
縁を有し、バルーンの外表面周りに周方向に存在するために構成される遠位環状ばねであって、中心軸に垂直の面に対する弾性放射状拡張のために構成され、中心軸に向けた内向き周方向圧縮力を、中心軸から離れて弛緩断面積を越えた遠位環状ばねの外向きの放射状拡張に応じて生じさせるように構成される、遠位環状ばねと、
遠位環状ばねから長手方向に離されている近位環状ばねであって、縁を有し、バルーンの外表面周りに周方向に存在するために構成され、中心軸に垂直の面に対する弾性放射状拡張のために構成され、中心軸に向けた内向き周方向圧縮力を、中心軸から離れて弛緩断面積を越えた近位環状ばねの外向き放射状拡張に応じて生じさせるように構成される、近位環状ばねと、
遠位環状ばねと近位環状ばねとの間の環状リング構造周りに周囲に設けられたスペーシングエレメントのセットであって、遠位環状ばねを近位環状ばねに結合して、遠位ばねと近位ばねとの間の長手方向分離距離を維持する(例えば、環状リング構造の非拡張及び/又は拡張した長さに対応する)、スペーシングエレメントのセットと、を備えるか、それから実質的に成る、複数の環状リング構造と、
(ii)複数のスコアリングリンクであって、各スコアリングリンクは長さを有し、隣接する環状リング構造の別個の対を結合し、それによって結合される環状リング構造の対内の各環状リング構造間の長手方向空間的空隙に亘り、各スコアリングリンクはその長さの少なくとも一部に沿ってスコアリング構造のセットを備え、各スコアリング構造は、血管、導管、又は管内の組織との接触に対する外傷性エレメントとして構成され、管状ばね構造の長さに沿った直列的に連続するスコアリングリンクは、第2の長手方向軸周りに、異なる放射状位置に互いに対して設けられるか又は指標付けされ、各スコアリングリンクの長さが、それによって結合される環状リング構造の隣接する対内の各環状リング構造の非拡張の長さよりも大きい、複数のスコアリングリンクと、を備えるか、又はそれらから実質的に成る。
【0023】
特定の実施形態は、以下の1つ以上により、個々に又は組み合わせて更に特徴づけることができる。
【0024】
遠位環状ばね及び近位環状ばねのそれぞれは、中心軸に垂直な断面積であって、バルーンの不在時にはバルーンの折り畳まれた、非展開の、又は拡張されていない断面積よりも小さい、断面積を有する。
【0025】
各スコアリングリンクは、それによって結合される隣接する環状リンク構造の対内の最も短い環状リング構造の非拡張の長さよりも200%を越える長さを有することができる。
【0026】
隣接する管状リング構造の各対について、その管状リング構造の間の空間的空隙は、少なくとも0.3mmであり得る。
【0027】
隣接する環状リング構造の各対は、第1の環状リング構造が第2の環状リング構造の遠位に配置されるように長手方向に作られ、第1の環状リング構造の近位環状ばねは第2の環状リング構造の遠位環状ばねに最も近く、第1の環状リング構造を第2の環状リング構造に結合するスコアリングリンクは第1の環状リング構造の環状ばねから第2の環状リング構造の近位環状ばねに延伸する。
【0028】
各スペーシングエレメントは、血管内の組織との接触に対して概して非外傷性エレメントとして構成される
【0029】
各スペーシングエレメントは、各スコアリングリンク及び/又はそれによって保持されるスコアリングエレメントの幅の50%~500%の幅を有する。
【0030】
各環状リング構造について、スペーシングエレメントのセットは、中心軸に長手方向に整列する複数の別個のスペーシングエレメントを含み、管状ばね構造は合計N個のスコアリングリンク及び(N+1)個の環状リング構造を有する。第2の長手方向軸周りの、直列的に連続するスコアリングリンク間の分離角は(360/Y)度であり、Yは3~5の数字である。一部の(但し必ずしも全てではない)実施形態では、YはNに等しい。
【0031】
遠位環状ばねは、遠位環状ばねの縁周りで互いに結合された複数のばね部材を含むか、実質的にそれから成る。近位環状ばねは、近位環状ばねの縁周りで互いに結合された複数のばね部材を含むか、実質的にそれから成る。
【0032】
各ばね部材は、第1の端セグメントと、第2の端セグメントと、それらの間の頂端とを含むことができ、各ばね部材の各端セグメントはスペーシングエレメント及びスコアリングリンクのうちの1つに結合される。各ばね部材は、「v字」又は「c字」と類似する、近似する、又は実質的に同一の幾何学形状を含むかその形態にあることができる。
【0033】
第2の長手方向軸は、管状ばね構造の屈曲に応じて曲線から成る又は曲線状(例えば、「s字」タイプ)の形状をとり、各スコアリングリンクは、管状ばね構造の屈曲に応じて最も近くに存在する第2の長手方向軸に沿った又はそのセグメントの幾何学形状に実質的に同一である幾何学形状を有する。
【0034】
スコアリング構造のセット内の各スコアリング構造は細長く、第2の長手方向軸と長手方向に整列している。
【0035】
各スコアリングリンクは、その上に一体的に形成されるスコアリング構造を有するか、又はスコアリング構造を一体的に形成する。いくつかの実施形態では、各スコアリング構造は、第2の長手方向軸に垂直な、矩形、台形、又は上向きブレードの断面形状を有することができる。
【0036】
複数の実施形態では、隣接する環状リング構造の対の各環状リング構造内の各スペーシングエレメントは細長く、中心軸に長手方向に整列しており、隣接する環状リング構造の対の各環状リング構造内の各スペーシングエレメントは、隣接する環状リング構造の対を結合するスコアリングリンクの長さの少なくとも40%の長さを有する。
【0037】
各環状リング構造は、金属メッシュを含むか、又は実質的に金属メッシュから成ることができる。管状ばね構造は、少なくとも1種類の金属から形成することができる。管状ばね構造は、金属管から一体的に形成することができる。
【0038】
管状ばね構造の複数のスコアリングリンクのうちのいくつかの少なくとも一部及び/又は管状ばね構造の1つ以上の部分が、治療剤を保持することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの治療剤はスコアリングリンクのみによって保持される。
【0039】
本開示の態様によれば、スコアリングバルーンカテーテル構造は、第1の長さ、縁、及び前記第1の長さに沿った作動領域を有する、細長い血管形成術用バルーンと、血管形成術用バルーンに取り付けられて第2の長さを有する細長い拡張可能管状メッシュ構造であって、第2の長さが、血管形成術用バルーンと拡張可能管状メッシュ構造とが直線構成にあるときに第1の長さと平行であり、拡張可能管状メッシュ構造が血管形成術用バルーンをその作動領域に沿って周方向に囲む複数のリング構造を含み、各リング構造が第3の長さを有してスペーシングエレメントのセットで長さ的に結合する、別個の弾性的に拡張可能なリングの対を備え、各リング構造は、その塑性変形限界より下回ったままで血管形成術用バルーンの拡張に応じて弾性的に拡張及び変形するように構成されており、各リング構造は、ゼロ以外の第1の分離距離で前記第2の長さに沿って隣接するリング構造から分離されており、隣接するリング構造の各別個の対は、第3の長さよりも大きい第4の長さ(例えば、いくつかの実施形態では第4の長さは第1の分離距離と第3の長さの2倍とを足した距離におよそ等しいか等しい)を有する単一の別個のスコアリングエレメントで結合され、哺乳類(例えば、生きている哺乳類)の血管、導管、又は管内の組織をスコアリングするか又は切り込むように構成された外傷性構造を備える、細長い拡張可能管状メッシュ構造と、を備える。スペーシングエレメントのセットは、哺乳類の血管、導管、又は管内の組織に対し、スコアリングエレメントに対して実質的に非外傷性、実質的に非外傷性、又は非外傷性である。スコアリングバルーンカテーテル構造は、バルーンの、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の状態から、拡張された又は展開された状態への膨張の前に、各スコアリングエレメントと血管、導管、又は管内の組織との間の接触を限定又は遮蔽するように構成される保護エレメントを、省くか除くことができ、様々な(但し必ずしも全てではない)実施形態では除いている。
【0040】
各リング構造は、血管形成術用バルーンが折り畳まれた、非展開の、又は拡張されていない状態にあるときに、各リング構造は静置状態を超えてわずかに拡張される。
【0041】
各スコアリングエレメントは、四角、台形、及び上向きブレードの断面外形を示すことができる。
【0042】
管状メッシュ構造の少なくとも一部、例えば、各スコアリングエレメントに、治療剤コーティングを設けることができる。
【0043】
管状メッシュ構造は、少なくとも4つのリング構造と、血管形成術用バルーンの外周周りに指標付けされた位置にて周方向に互いに分離された少なくとも3つのスコアリングエレメントと、を含むことができる。
【0044】
各リング構造は、環状ばね構造の対の間のゼロ以外の第2の分離距離を確立する複数のスペーシングエレメントによって結合される環状ばね構造又はばねの対を含むことができる。複数のスペーシングエレメントは、脈管組織及び/又は他の哺乳類(例えば、生きている哺乳類)の導管又は管のライニングを形成する組織に対して、各スコアリングエレメントに対して非外傷性である、例えば、各スペーシングエレメントは、非外傷性、実質的に非外傷性、又は意図して外傷性ではない構造として形成される。
【0045】
本開示の様相によれば、可撓性スコアリングバルーンカテーテル構造又は可撓性スコアリングバルーンカテーテルは、
遠位端、近位端、及びその間にある作動領域を有する、哺乳類(例えば、生きている哺乳類)の心血管系の血管又は哺乳類(例えば、生きている哺乳類)の体内の他の流体若しくは気体搬送導管又は管内を膨張するために構成された膨張可能細長バルーンであって、前記バルーンはその作動領域に沿った長さと、ガイドワイヤが挿入可能な内部経路と、内部経路と中心にて整列して延伸する第1の長手方向軸と、を有し、折り畳まれた又は非展開の状態のバルーンの作動領域はぞれぞれ、第1の長手方向軸に垂直な折り畳まれた又は非展開の外側断面積を有し、拡張された又は展開された前記バルーンの作動領域はそれぞれ、折り畳まれた外側断面積及び非展開の外側断面積よりも大きい、第1の長手方向軸に垂直な拡張された又は展開された外側断面積を有する、膨張可能細長バルーンと、
遠位部及び近位部を有するカテーテルであって、バルーンがカテーテルの遠位部に取り付けられ、カテーテルが、バルーンの内部領域と流体連通する、その中で延伸する膨張内腔を備える、カテーテルと、
バルーンの前記作動領域の一部を前記カテーテルの遠位部に沿って囲む、本明細書に記載の(例えば、上記の)可撓性細長管状ばね構造と、を備えるか、実質的にそれから成る。
【0046】
可撓性スコアリングバルーンカテーテルは、更に、
(a)管状ばね構造を(i)カテーテルの一部、及び(ii)バルーンの一部のうちの少なくとも1つにテザーするか固定するように構成されるテザー構造であって、テザー構造がバルーンに近位のカテーテルのシャフトによって保持される管状カラーと、管状カラーと管状ばね構造のそれぞれに結合される少なくとも1つの細長テザーリンク(例えば、単一のテザーリンク、又はテザーリンクの対)と、を含むか実質的にそれから成ることができる、テザー構造と、(b)管状ばね構造の近位端を、カテーテル遠位部の遠位ゾーンと、バルーンの拡張不可能な近位セグメントと、のうちの少なくとも1つに結合する、近位接着接合と、(c)管状ばね構造の遠位端を、カテーテル遠位部の遠位ゾーンと、バルーンの拡張不可能な遠位セグメントと、のうちの少なくとも1つに結合する、遠位接着接合と、の少なくとも1つを含むことができる。可撓性スコアリングバルーンカテーテルが近位接着接合と遠位接着接合とのそれぞれを含む実施形態では、遠位接着接合は近位接着接合よりも意図的に弱く、例えば、遠位接着接合がバルーンの拡張又は膨張に応じて破断するように、形成することができる。
【0047】
可撓性スコアリングバルーンカテーテルは、バルーンの、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の状態から、拡張された又は展開された状態へのバルーンの膨張前に、複数のスコアリングリンクと血管内の組織との間の接触を限定する又は遮蔽するように構成される保護エレメントを省くか除くことができ、様々な(但し必ずしも全てではない)実施形態では除いている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】スコアリングバルーンカテーテルによる血管内病変処置の一般的様相を示す図である。
【
図2】Aは、バルーン血管形成術のみで生じる血管での効果を示す図である。Bは、従来のFlextome(商標)Cutting Balloon(商標)(Boston Scientific Corporation、マルボロ、マサチューセッツ州、米国)などのスコアリングバルーンカテーテルによって生成された長手方向の切れ込みを示す図である。
【
図3】Aは、従来のFlextome(商標)Cutting Balloon(商標)の構造上の様相を示す図である。Bは、従来のAngioSculptスコアリングバルーン(Koninklijke Philips N.V.、アムステルダム、オランダ)の構造上の様相を示す図である。
【
図4】従来のBard Ultrascore(商標)Scoring Catheter(Bard Peripheral Vascular,Inc.、テンピ、アリゾナ州、米国)の様相を示す図である。
【
図5】従来のFLEX Scoring Catheter(登録商標)(VentureMed Group,Ltd.、コロンバス、オハイオ州、米国)の様相を示す図である。
【
図6】Aは、従来のバルーン血管形成術用カテーテルの特定の種類の一般的構造上様相を示す図である。Bは、従来のバルーン血管形成術用カテーテルの特定の種類の一般的構造上様相を示す図である。
【
図7A】本開示の実施形態に係る、管状ばね構造を保持する血管形成術用バルーンカテーテル又はスコアリングバルーンカテーテルを示す側面図である。
【
図7B】本開示の実施形態に係る、スコアリングバルーンカテーテルのバルーンの作動領域に取り付けられた管状ばね構造を示す側面図である。
【
図7C】本開示の実施形態に係る、スコアリングバルーンカテーテルのバルーンの作動領域に取り付けられた管状ばね構造の環状リング構造を示す側面図である。
【
図8A】本開示の実施形態に係る管状ばね構造の様相を、わずかに拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かせて示している側面図である。
【
図8B】本開示の実施形態に係る、
図8Aに対応する環状リング構造の様相を、わずかに拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かして示している側面図である。
【
図9A】本開示の実施形態に係る環状リング構造の詳細な様相を、完全に拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かして示している側面図である。
【
図9B】
図9Aの環状リング構造のうちの、直列的又は直接的に連続する又は隣接し、間に空間的空隙を有するものの所定若しくは選択された対であって、空間的空隙によって分離された第1又は遠位の環状リング構造及び第2又は近位の環状リング構造として定義され得る、環状リング構造の側面図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る管状ばね構造が、病変の処置に好適な様相で血管形成術用バルーンによって保持されている、本開示の実施形態に係るスコアリングカテーテルの斜視図である。
【
図11A】本開示の実施形態に係る管状ばね構造を設けているスコアリングバルーンカテーテルの垂直断面図であって、本開示の特定の実施形態に係るスコアリングリンクの代表的な種類を更に示す図である。
【
図11B】本開示の実施形態に係る管状ばね構造を設けているスコアリングバルーンカテーテルの垂直断面図であって、本開示の特定の実施形態に係るスコアリングリンクの代表的な種類を更に示す図である。
【
図11C】本開示の実施形態に係る管状ばね構造を設けているスコアリングバルーンカテーテルの垂直断面図であって、本開示の特定の実施形態に係るスコアリングリンクの代表的な種類を更に示す図である。
【
図12】A及びBはそれぞれ、従来の血管形成術用バルーンカテーテル構造及び本開示のある実施形態に係る血管形成術用バルーンカテーテル-管状ばね構造を示すデバイス側面図であり、本開示のある実施形態に係る血管形成術用バルーンカテーテルの特定の部分に管状ばね構造を保持又は固定を提供するする別の様相を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書中、コンテキストが別途規定するか必要としない限り、用語「備える(comprise)」、並びに「備える(comprises)」及び「備えている(comprising)」などの変形の使用は、記載のエレメント又はステップ又はエレメント若しくはステップの群を含むことを含意するが、任意の他のエレメント又はステップ又はエレメント若しくはステップの群の除外を含意しない。
【0050】
本明細書内での任意の従来文献(若しくはそれに由来する情報)、又は既知の任意の事柄を参照することは、そのような従来文献(若しくはそれに由来する情報)又は既知の事柄が、この明細書が関連する試みの範囲における一般的な常識の知識の一部を形成することの認識又は承認又は任意の形式での示唆であるように取られるものではない。
【0051】
本明細書で用いられるように、用語「セット」は、既知の数学的定義に従って(例えば、An Introduction to Mathematical Reasoning:Numbers,Sets,and Functions,「Chapter 11:Properties of Finite Sets」(例えば、p.140に示すとおり)(Peter J. Eccles, Cambridge University Press(1998))、少なくとも1の基数を数学的に表す、空でない有限のエレメントの編成に対応するか、又はそのように定義される(即ち、本明細書に定義されるセットは、ユニット、シングレット、又は単一のエレメントセット、又は複数のエレメントセットに対応することができる)。従って、セットには少なくとも1つのエレメントが含まれる。概して、セットのエレメントは、構造、物体、プロセス、組成、物理的パラメータ、又は考慮するセットの種類による値の1つ以上の部分であるかそれを含むことができる。
【0052】
本明細書では、1つ以上の実施形態への参照、例えば、様々な実施形態、多くの実施形態、いくつかの実施形態、複数の実施形態、一部の実施形態、ある実施形態、特定の実施形態、具体的な実施形態、又はかなりの実施形態は、全ての実施形態を必ずしも意味も含意もせず、あるいは全ての実施形態を意味も含意もしない。
【0053】
本明細書に含まれる
図7A~
図12Bは、本開示に係る非限定的な代表実施形態の様相を示し、図面に示す特定の構造又は特徴は縮尺どおり示されていない、又は互いに対して正確に縮尺どおりに示されていない場合がある。特定の図面又は対応する説明的材料における特定の図面への参照における、所与のエレメントの図示又は特定のエレメント番号の考慮若しくは使用は、別の図面又はそれと関連付けられる説明的材料で識別されている同様のエレメント又はエレメント番号と同一、同等、類似、カテゴリ的に類似、又は同等のエレメント又はエレメント番号を包含することができる。図面又は本明細書中の文面に存在する「/」は、別途指定しない限りは「及び/又は」を意味するように理解される。本明細書中の特定の数値又は数値範囲の記載は、近似の数値又は数値範囲の記載、例えば、+/-20%、+/-15%、+/-10%、+/-5%、+/-2.5%、+/-2%、+/-1%、+/-0.5%、又は+/-0%であるかそれを含むように理解される。用語「実質的にすべて」は、90%以上のパーセンテージ、例えば、92.5%、95%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、又は100%を示すことができる。
【0054】
図6A及び
図6Bはバルーン血管形成術用カテーテルの一般的な構造上の様相を示しており、当業者であれば容易に理解されよう。より具体的には、
図6Aはrapid exchange(RX)型バルーン血管形成術用カテーテルを示し、
図6Bはover-the-wire(OTW)型バルーン血管形成術用カテーテルを示す。
【0055】
本開示に係る様々な実施形態は、バルーン血管形成術用カテーテルのバルーンに取付可能又は取り付けられた管状ばね構造を対象としており、それによってスコアリングバルーンカテーテルを形成する。より具体的には、本開示に係る実施形態は、スコアリングバルーンカテーテル用の細長い管状ばね構造であって、血管形成術用バルーン(簡約かつ簡潔さの目的で以下「バルーン」と称することができる)に取付可能又は取り付けられて、その上にスコアリングリンク及び/又はスコアリング構造を保持する、細長い管状ばね構造を対象としている。バルーン及びバルーンによって保持される管状ばね構造は、哺乳類の脈管系の血管若しくは導管又は哺乳類の流体搬送経路若しくは管に配置可能又は位置可能である。心血管系内での使用については、以下に代表的な又は典型的な使用のシナリオを記載する。管状ばね構造を保持するバルーンが血管内の意図する又は目標の部位、例えばアテローム硬化性の病変などの血管内組織が存在する血管内の位置に配置又は位置決めされた後、バルーンの拡張と、その後のバルーンとバルーンによって搬送されてきた管状ばね構造の血管の中心軸若しくは長手方向軸に沿った変位に関連付けて、スコアリングリンク及び/又はスコアリング構造は目標の部位にて、又は目標の部位に沿って、血管内組織に接触し、溝及び/又は切れ込み、例えば、長手方向の溝/切れ込みをスコアリング若しくは形成することができる。管状ばね構造は、(a)その長手方向軸から放射状に離れて延伸する方向、例えば、長手方向軸に垂直な面の実質的に任意の方向に、高可撓性、屈曲可能、適合可能、又は歪曲可能であり、よって、曲がりくねった若しくは非常に曲がりくねった血管経路内又はそれに沿っての配置及び使用に好適である、及び(b)外向き又は放射状のバルーン拡張力をスコアリング構造に連通する、方向付ける、又は集中させることに対して非常に効果的であり、よって、効果的な若しくは非常に効果的なスコアリング/カッティングデバイスであるように構成又は構造的に編成若しくは形成される。本開示にかかる非限定的な代表実施形態の様相を、以下に詳述する。
【0056】
図7Aは本開示の様々な実施形態に係るバルーン血管形成術用カテーテル又はスコアリングバルーンカテーテル10の遠位部若しくは遠位端を示し、カテーテル30の遠位端周りに折り畳まれた細長い血管形成術用バルーン部又はバルーン20を示し、カテーテル30の遠位端と、カテーテル30の内腔に取り付けられたマーカーバンド50とを示している。カテーテルの内腔に挿入されているのは摺動可能ガイドワイヤ40であり、摺動可能ガイドワイヤ40は、最初に病変領域又は病変に挿入され、血管形成処置の従来技術で周知のとおり、これによりカテーテル30がガイドワイヤ上を追跡して病変の領域に入ることを可能にする。
【0057】
当業者であれば容易に理解されるように、バルーン20は、長さを有する作動又は処置領域25と、作動領域25に沿った外表面と、ガイドワイヤ40が挿入可能な内部経路と、内部経路と中心で一致し、内部経路の中を延伸する第1の縦又は長手方向軸22と、を含む。バルーン20が折り畳まれている、非展開の、又は非拡張の状態にあるとき、作動領域25は、第1の長手方向軸22に垂直な、折り畳まれた、非展開の、又は非拡張の外側断面積を有する。バルーン20が拡張又は展開された状態にあるとき、作動領域25は、バルーン20の折り畳まれている/非展開の断面積よりも大きい、第1の長手方向軸22に垂直の拡張された又は展開された断面積を有する。
【0058】
図7Aは、折り畳まれたバルーン20に取り付けられた、本開示の実施形態に係る細長い管状ばね構造を追加で示し、
図7Bは、折り畳まれたバルーン20の作動領域25に取り付けられた管状ばね構造100を示す側面図である。
図7Bに示すように、管状ばね構造100は第2の長手方向又は縦軸102を有し、縦軸102は、当業者であれば容易に把握するであろう様態で管状ばね構造100に沿って又は管状ばね構造100の内腔を通って延伸する。管状ばね構造100がバルーン20に取り付けられてバルーン20が直線状の構成にあるとき、当業者が同じく容易に把握するように、第1の長手方向軸22及び第2の長手方向軸102は実質的に又は実質的に互いに平行である、又はバルーンの作動領域25に沿って一致する。
【0059】
非拡張又は非拡張静置状態では、管状ばね構造100は第2の長手方向軸102に対して垂直な静置断面積を有し、この静置断面積はバルーンの作動領域25の折り畳まれた/非展開の断面積よりも小さい。管状ばね構造100は、当業者であれば容易に理解できる様態で、その静置状態からわずかに拡張して折り畳まれたバルーン20の作動領域25に取り付けることができる。
【0060】
図7A及び
図7Bに示すように、管状ばね構造100は、その作動領域25に沿ったバルーン20の部分を囲み、バルーン20の作動領域25に沿って互いに物理的に分離されている又は引き離されている、複数の環状リング構造110を含む。
【0061】
図7Cは、
図7A及び
図7Bの管状ばね構造110の特定の環状リング構造110を示す側面図である。その長さに沿って、各環状リング構造110は、その中を縦又は長手方向に延伸する中心軸112を有する内腔と、バルーン20が存在しない場合はバルーンの作動領域25の折り畳まれた又は非展開の外側断面積よりも小さい、中心軸112に垂直な弛緩した断面積を提供している。各環状リング構造110は、バルーンの作動領域25の一部又はセグメント周りに存在して係合するように構成され、各環状リング構造110は、バルーン20によって、環状リング構造110にかけられた放射状の力に応じて弾力的に放射状に拡張するように構成されている。管状ばね構造100がバルーン20に取り付けられて、管状ばね構造100とバルーン20とが直線状の構成にあるとき、当業者であれば同じく容易に把握するように、中心軸112、第2の長手方向軸102、及び第1の長手方向軸102は実質的に又は実質的に互いに平行であり、又はバルーンの作動領域25に沿って一致する。
【0062】
図8Aは、本開示の実施形態に係る管状ばね構造100の、わずかに拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かした様相を示す側面図である。
図8Bは、本開示の実施形態に係る、
図8Aに対応する管状ばね構造100の環状リング構造110の、わずかに拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かした様相を示す側面図である。
図9Aは、本開示の実施形態に係る環状リング構造110の、完全に拡張した状態で、長手方向に切断して平らに寝かした、より詳細な、又は詳細な様相を示す側面図である。
図9Bは、
図9Aの環状リング構造のうちの、直列的又は直接的に連続する又は隣接し、間に空間的空隙を有するものの所定若しくは選択された対であって、空間的空隙104によって分離された第1又は遠位の環状リング110d構造及び第2又は近位の環状リング構造110dとして定義され得る、環状リング構造の側面図である。
【0063】
上記に加え、また
図7A~
図12Bを参照して、管状ばね構造100は、その長さに沿って、一連の環状リング、バンド、又はスリーブ構造若しくはアセンブリ110を含み、これらはバルーンの作動領域25に配置可能又は配置されている。管状ばね構造100は、各環状リング構造110間に空間的間隔、例えば、管状ばね構造100の長さに沿って直列的に連続する環状リング構造110の間の空間的空隙104を提供するように形成されている。よって、遠位から近位の方向に沿って(又は同等に、近位から遠位の方向に沿って)、空間的空隙104が各環状リング構造110間に存在する。より具体的には、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110は、管状ばね構造の長さに沿って、又は類似して、バルーンの作動領域25に沿って、管状ばね構造100がバルーン20に保持又は取り付けられているときに空間的空隙104によって分離されている。各環状リング構造110は所定の長さ、例えば、非拡張の長さを有し、典型的に細長い。様々な実施形態では、各環状リング構造110は同一の長さ、例えば同一の非拡張長さを有する。それでも、一部の実施形態では、1つ以上の環状リング構造110は他の環状リング構造110に対して異なる長さを有することができる。
【0064】
環状リング構造110は細長いスコアリングリンク150によって結合されるか接続されており、スコアリングリンク150はそれぞれ所定の長さを有する。考慮している血管の大きさに応じて、様々な実施形態では、スコアリングリンク150は1.5mm~15mmの間の長さである。また、管状ばね構造又はそれが存在するバルーンカテーテルの可撓性及び目標病変部位への送達性を最大限にするために、各スコアリングリンク150はバルーン20の作動領域25全体(及び管状ばね構造100の全長)に亘らない、又はそれを横切らない。典型的なバルーン20の作動領域25は10mm~400mmの範囲内にある。
【0065】
むしろ、直列的又は直接的に連続するか又は隣接する環状リング構造110の各別個の、又は区別可能な対について、単一のスコアリングリンク150が、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110を結合するか接続し、これはこれら直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110の間の空間的空隙104を横切って結合するか接続することをも含む。よって、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110の間に空間的空隙104が存在することによって、各スコアリングリンク150の長さは、それによって結合される直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110内の各環状リング構造110の長さよりも長く、スコアリングリンク150の一部が空間的空隙104に亘るか空間的空隙104に架かる。いくつかの実施形態では、別個のスコアリングリンク150が別個の隣接する環状リング構造110の対を結合し、この別個のスコアリングリンク150は、考慮している別個の隣接する環状リング構造110の対の外にある1つ以上の他の環状リング構造110には延伸しない。また、
図9A、
図9B、及び
図10を参照して以下に更に詳しく述べるとおり、いくつかの実施形態では、別個の隣接する環状リング構造110の対の内の各環状リング構造110は、環状ばね120p,dの対を含み、よって、別個の隣接する環状リング構造110の対を結合する上述の別個のスコアリングリンク150は、合計で4つのばね120p,dを結合する。
【0066】
環状リング構造110が等しい長さである複数の実施形態では、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110の間の空間的空隙104は、各環状リング構造110の長さ(例えば、非拡張の長さ)のおよそ5%~30%である。いくつかの実施形態では、各スコアリングリンク150の長さは、それによって結合又は接続された対の環状リング構造110の組み合わされた長さ(例えば、組み合わされた非拡張の長さ)よりもおよそ5%~30%、又はある実施形態ではおよそ1.5mm~15mm大きい。
【0067】
上記に加え、管状ばね構造100の長さに沿った直列的又は直接的に連続するスコアリングリンク150は、第2の長手方向軸102周りに互いに対して異なる放射状の位置に配置されている。よって、単一の別個のスコアリングリンク150は直列的又は直接的に連続する又は隣接する別個の対の環状リング構造110を結合するか接続し、第2の長手方向軸102に垂直な面に対して、所与のスコアリングリンク150は、任意の直接的に連続するスコアリングリンク150及びバルーンの作動領域25に沿った任意の直接的に前のスコアリングリンク150に対して、第2の長手方向軸102周りの別個の角度で存在する。
【0068】
各スコアリングリンク150は、バルーンの作動領域25が配置される血管内の組織、例えば脈管内の病変と接触することに対して外傷性エレメントとして構成される。より具体的には、以下に更に詳述するように、各スコアリングリンク150は脈管内組織に切れ込み又は溝、例えば長手方向の切れ込み又は溝を、組織との接触並びに組織内及び/若しくは組織に沿って変位(例えば、少なくとも放射状の変位)した後に、スコアリングする若しくは形成するように構成されたスコアリング構造のセットを保持するか、スコアリング構造のセットのように形成(例えば、少なくとも一部の実施形態では一体的に形成)されている。
【0069】
更に
図9A、
図9B、及び
図10を具体的に参照して、様々な実施形態では、各環状リング構造110は、遠位環状ばね120-d、及び区別可能な、別個の、又は個別の近位環状ばね120-pを含むか、又はそれらとして構成されており、それぞれ外周又は縁、例えば非拡張外周又は縁を有し、(a)バルーンの作動領域25の外表面周りに周方向に存在し、(b)環状リング構造110の中心軸112に垂直の面に対する弾性の放射状拡張のため、及び(c)環状リング構造の弛緩した断面積を越えて、中心軸112から外向きに放射状に拡張することに応じて中心軸112に向かって内向きの周方向圧縮力を生じさせる、ように構成される。
【0070】
遠位環状ばね120-d及び近位環状ばね120-pは典型的に同一種類の構造を有するが、全ての実施形態で必ずしもそうでないといけないわけではない。様々な実施形態では、遠位ばね120-d及び近位ばね120-pはそれぞれ、一緒に結合又は接続されて、遠位ばね120-d及び近位ばね120-pを形成する、複数のばね部材130から形成される。複数の実施形態では、各ばね部材130は一対の末端、例えば、第1端132及び第2端134と、その間に頂端又は頂点136を含む。所与のばね部材130は、概して又は近似的にv字形若しくはc字形の外形を、その一部であるばね120-d、120-pの外周又は縁に対して又はそれに沿って、含む又は示すことができる。例えば、1つ以上のばね部材130は、「v字」又は「c字」に類似している、近い、又は実質的に同一である幾何学形状を含むか、又はその形態であることができる。
【0071】
所与の環状リング構造110については、環状リング構造110の長さに対応するかそれを確立する遠位環状ばね120-d及び近位環状ばね120-pの間の長手方向の分離距離は、スペーシングエレメント140のセットによって設けられる又は維持される。スペーシングエレメント140のセットは、遠位ばね120-dと近位ばね120-pとの間の環状リング構造110の縁周りに外周的に設けられている。様々な実施形態では、各スペーシングエレメント140は遠位環状ばね120-d及び近位環状ばね120-pの間に、環状リング構造110の中心軸112に対して延伸し、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110間の空間的空隙104に亘ったりその間に架かったりはしない。より具体的には、複数の実施形態では、各スペーシングエレメント140は、自身の環状リング構造110から、直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110の間の空間的空隙104を長手方向に延伸して通り越したり越えたりしない。よって、このような実施形態では、直列的又は直接的に連続する又は隣接する環状リング構造110の所与の対について、各スペーシングエレメント140の長手方向の度合い(即ち、環状リング構造110の中心軸112に平行であるスペーシングエレメント140の空間的度合い)は、これらの直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110を結合するか接続するスコアリングリンク150の長手方向の度合い(即ち、管状ばね構造100の第2の長手方向軸102に平行であるスコアリングリンク150の空間的度合い)の50%未満である。
【0072】
いくつかの実施形態では、スペーシングエレメント140のセットは、環状リング構造110の中心軸112に平行に整列され、環状リング構造110の周方向に、互いに間隔を空けて設けられる複数の個々のスペーシングエレメント140を含む。このような実施形態では、各個々のスペーシングエレメント140は、環状リング構造の遠位ばね120-dに結合するか接続する遠位末端142-dと、環状リング構造の近位ばね120-pに結合するか接続する近位末端142-pとを有する、概して直線の、又は実質的に直線のエレメントであり得る。また、所与の個々のスペーシングエレメント140について、その遠位末端142-dは、遠位ばね120-dの、第1及び第2の直接的に隣接するばね130の第1の末端132及び第2の末端134にそれぞれ、例えば、遠位接合点部位にて、結合又は接続することができ、その近位末端142-pは、近位ばね120-pの、第1及び第2の直接的に隣接するばね130の第1の末端132及び第2の末端134にそれぞれ、例えば、近位接合点部位にて、結合又は接続することができる。遠位ばね120-dについて、各ばね部材130の頂端136は、2つの遠位接合点部位の間、例えばその中間点で存在することができ、それに対応して、近位ばね120-pについて、各ばね部材130の頂端136は、2つの近位接合点部位の間、例えばその中間点で存在することができる。
【0073】
図9Bに示すように、間に空間的空隙104を有する直列的若しくは直接的に連続する若しくは隣接する所与の又は選択された対の環状リング構造110は、空間的空隙104によって分離された第1又は遠位の環状リング構造110-d及び第2又は近位の環状リング構造110-pとして定義することができ、(a)遠位環状リング構造110-dは、スペーシングエレメント140のセットによって分離される遠位環状ばね120-d及び近位環状ばね120-pを有し、(b)近位環状リング110-pは、スペーシングエレメント140のセットによって分離される遠位環状ばね120-d及び近位環状ばね120-pを有し、(c)遠位環状リング構造110-dの遠位環状ばね120-dは、直列的又は直接的に連続する又は隣接する対の環状リング構造110d、110pの遠位部又は遠位端を形成し、(d)近位環状リング構造110-pの近位環状ばね120-pは、直列的又は直接的に連続する又は隣接する対の環状リング構造110d、110pの近位部又は近位端を形成する。その結果、遠位環状リング構造110-dの近位環状ばね120-pは、直列的又は直接的に連続する又は隣接する対の環状リング構造110d、110pの間の空間的空隙104の遠位側に存在し、近位環状リング構造110-pの遠位環状ばね120-dは、直列的又は直接的に連続する又は隣接する対の環状リング構造110d、110pの間の空間的空隙104の近位側に存在する。
【0074】
いくつかの実施形態では、連続する環状リング構造110の所与の対、即ち、遠位環状リング構造110-dと、直列的に続く近位環状リング110-pについて、その間にある空間的空隙104は、(a)遠位環状リング構造110-dのスペーシングエレメント140の近位末端142-p又は遠位環状リング構造110-dの上述した近位接合点部位での垂直面と(b)近位環状リング構造110-pのスペーシングエレメント140の遠位末端142-d又は上述した近位接合点部位での垂直面との間の長手方向での長さ又は距離(例えば、非拡張の長手方向での長さ又は距離)によって近似、定義、又は測定することができる。加えて、又は代替的に、空間的空隙104は、(i)遠位環状リング構造110-dの近位ばね120-pのばね部材頂端136に亘る面と(ii)近位環状リング構造110-pの遠位ばね120-dのばね部材頂端136に亘る面との間の長手方向での長さ又は距離(例えば、非拡張の長手方向での長さ又は距離)によって近似、定義、又は測定することができる。
【0075】
スコアリングリンク150はスペーシングエレメント140から構造的及び機能的に別個であり、特にスコアリングリンク150が外傷性構造として構造的に構成されており、スペーシングエレメント140は脈管内組織との接触に対して少なくとも概して非外傷性構造として構造的に構成されている。しかしながら、スコアリングリンク150は、スコアリングリンク150が対応する直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110のそれぞれの遠位ばね120-d及び近位ばね120-pに、スペーシングエレメント140についてのものと同様、類似、又は実質的に同一の様態で、結合するか接続することができる。
【0076】
更に上記を鑑みて、様々な実施形態では、遠位環状リング構造110-dと近位環状リング構造110-pとを結合するか接続し、その間にある空間的空隙104に亘るか架かる単一のスコアリングリンク150は、遠位環状リング構造110-dの遠位環状ばね120-dから近位環状リング構造110-pの近位環状ばね120-pに延伸する。このスコアリングリンク150は、その遠位セグメント又は遠位部に沿って遠位環状リング構造110-dによって支持され、その近位セグメント又は近位部に沿って近位環状リング構造110-pによって支持されている。いくつかの実施形態では、遠位環状リング構造110-d及び近位環状リング構造110-pによって支持されているスコアリングリンク150の遠位及び近位セグメントは、スコアリングリンクの全長の100%未満を形成する、例えば遠位環状リング構造110-d及び近位環状リング構造110-pによって支持されるスコアリングリンク150の遠位及び近位セグメントのそれぞれは、スコアリングリンクの全長の50%未満である。
【0077】
いくつかの実施形態では、各スコアリングリンク150は、遠位環状リング構造110-dの遠位ばね120-dの、第1及び第2の直接的に隣接するばね部材130の第1の末端132及び第2の末端134にそれぞれ結合するか接続する遠位末端152-dを、例えば対応する遠位接合点部位に有し、近位環状リング構造110-pの近位ばね120-pの、第1及び第2の直接的に隣接するばね部材130の第1の末端132及び第2の末端134にそれぞれ結合するか接続する近位末端152-pを、例えば対応する近位接合点部位に有する。
【0078】
所与の環状リング構造110の外周又は縁に、可撓性を最大化するため、環状リング構造の遠位環状ばね130-d及び近位環状ばね130-pは、環状リング構造の中心軸112(又は類似して/同等に、第2の長手方向軸102)に垂直な面にて互いに所定の角度で分離されて設けられている、最大で2つのスコアリングリンク150によって結合又は接続されており、この環状リング構造の遠位環状ばね130-d及び近位環状ばね130-pはまた、そのスペーシングエレメント140のセットによって結合又は接続されている。管状ばね構造100について、管状ばね構造100の遠位部又は遠位端に対応する第1又は最遠位末端環状リング構造110-tdには単一のスコアリングリンク150が結合又は接続されており、管状ばね構造100の近位部又は近位端に対応する第2又は最近位末端環状リング構造110-tpには単一のスコアリングリンク150が結合又は接続されている。第1の末端環状リング構造110-td及び第2の末端環状リング構造110-tpの間に設けられている環状リング構造110には、最大で2個のスコアリングリンク150が結合又は接続されている。
【0079】
様々な実施形態では、合計N個のスコアリングリンク150を提供する管状ばね構造100について、管状ばね構造100は合計で(N+1)個の環状リング構造110を、その長さに沿って空間的空隙104で分離されて有し、管状ばね構造100の長さに沿ってN個の直列的又は直接的に連続する又は隣接する環状リング構造110の別個又は非同一の対を提供する。直列的又は直接的に連続する又は隣接する各別個又は非同一の対の環状リング構造110はそれぞれ、その間の空間的空隙104に亘るかそれに架かる単一のスコアリングリンク150を有する。典型的には、管状ばね構造100の第2の長手方向軸102周りの連続するスコアリングリンク150の間の分離角は(360/Y)度から示され、Yは典型的に3~5の数字である(但し必ずしもそうではなく、いつもそうでもない)。いくつか(但し必ずしも全てではない)の実施形態では、YはNと等しい。所与の環状リング構造110の外周又は周方向では、スペーシングエレメント140はそのスコアリングリンク150によって占められる場所以外の位置に存在する。このようなスペーシングエレメント140は、互いに、及びスコアリングリンク150に対して、環状リング構造の外周又は周方向に等間隔で配置することができる。
【0080】
スコアリングリンク150について、各スコアリングリンク150は、脈管内組織において、脈管内組織と接触したことに応じて、及び管状ばね構造の第2の長手方向軸102に沿って又はそれに平行な方向での変位に応じて、切り込み及び/又は溝を形成するように構成されたスコアリング構造のセットを保持するか、そのセットとして形成されている。管状ばね構造100の屈曲に応じて、例えば曲がった血管又は病変を追っていくことで、第2の長手方向軸102は曲線からなる形状をとる。様々な実施形態では、各スコアリングリンク150は、管状ばね構造100の屈曲に応じて最も近くに存在する第2の長手方向軸102のセグメントの幾何学形状に実質的に同一の幾何学形状を有する。よって、管状ばね構造100の屈曲の前に、例えば、管状ばね構造100が実質的に直線の(即ち、第2の長手方向軸102に沿って曲線が実質的に存在しない)構成であるとき、各スコアリングリンク150は実質的に直線の長手方向構造である。よって、そのような実施形態での各スコアリングリンク150は、血管の中心軸に沿って又はそれと平行な長手方向の切れ込み又は溝を形成するように構成されている。上記にもかかわらず、ある実施形態では、管状ばね構造100が実質的に直線又は直線の構成であるとき、少なくともいくつかのスコアリングリンク150が血管の中心軸に対して曲線、例えばらせん状又は渦巻状の切れ込み又は溝を形成することができるように、1つ以上のスコアリングリンク150は、例えばらせん又は渦巻の一部に対応して、曲線構造を含むか曲線構造であることができる。
【0081】
スコアリングリンク150又はそれによって保持されるスコアリング構造は、第2の長手方向軸112に垂直な異なる種類の幾何学外形又は形状を示すことができる。例えば、
図11A~
図11Cは、
図10の線A-Aに対応するか、又は線A-Aに沿った代表的な断面図であり、本開示の特定の実施形態に係るスコアリングバルーンカテーテル10の一部を示す。スコアリングバルーンカテーテル10は代表的な管状ばね構造100が取り付けられた拡張後バルーン20を含み、管状ばね構造100は、実施形態の詳細によっては異なる種類の垂直断面幾何学外形又は形状を示すスコアリングリンク150を含む。
図11A~
図11Cのそれぞれは、拡張後バルーン20と、バルーン先端30と、ガイドワイヤ40とを示し、それに加え、管状ばね構造110の外周周りに周方向に設けられた5つのスコアリングリンク150と5つのスペーシングエレメント140を示している。
【0082】
図11Aに示す実施形態では、スコアリングリンク150は台形の垂直断面外形又は形状を有し、矩形(例えば、四角)基部152と、基部152から延伸する、外向きに放射する三角形セグメント又はスパイクとして構成されるスコアリング構造154を含むかそれによって区画されている。そのような各スコアリングリンク150のそのような三角部154は、病変をより増大して又は(より)深く切り込むために設けることができる、意図することができる、又は利用することができる。様々な実施形態では、基部152及び三角部154は一体構造として形成される。
【0083】
図11Bに示す実施形態では、各スコアリングリンク150は矩形(例えば、四角)の垂直断面外形又は形状を有し、矩形基部152と、基部152から延伸する、(より)細い外向きに放射する矩形又は四角のスタブとして構成されるスコアリング構造154を含むかそれによって区画されている。そのようなスタブ154は、病変に、(より)細い、より外傷性の少ない切れ込み又は溝を設けることができる。様々な実施形態では、基部152及びスタブ154は一体構造として形成される。
【0084】
図11Cに示す実施形態では、各スコアリングリンク150は、外向きに放射する構造を除く基部152によって区画される矩形(例えば、四角)の垂直切断外形又は形状を有する。
図11Cのスコアリングリンク150は基部152から外向きに放射する有形エレメントを保持しないが、その種のスコアリングリンク150は病変に切れ込み又は溝を形成することに関してはまだ有用又は有効であり、よって、そのようなスコアリングリンク150自体がスコアリング構造の種類として定義することができる。
図12に示す種類のスコアリングリンク150が典型的に最も製造が容易であり、よって、製造コストを削減することができる。
【0085】
スコアリングリンク150、スコアリング構造154のセット、及び/又は管状ばね構造100の1つ以上の他の部分を、少なくとも1つの治療物質でコーティングすることができる。治療物質は薬学的活性剤、例えばヒト平滑筋用の強力な抗増殖剤、又はがんの治療に好適な化学活性剤であり得る。抗増殖剤は、パクリタキセルなどの微小管阻害剤、又はそのプロドラッグ、又は薬剤溶出性ステント(Drug Eluting Stents)をコーティングするのに幅広く適用される薬剤の「LIMUS」分類からのmTOR阻害剤であり得る。好適なコーティング抗増殖剤コーティング処方及びコーティング方法は、本明細書にてその全体が参照によって援用される、米国特許第7682387号、同第9974931号、同第9757544号、同第9220875号、欧州特許公報第3228335A1号、同第1372737A2号、米国特許公報第9492594B2号、同第8414910B2号、国際公開公報第2004028582A1号、及びドイツ公開公報第202008018649U1号で見つけることができる。
【0086】
それらの垂直断面に対して、スペーシングエレメント140は、実施形態の詳細によっては、スコアリングリンク150の基部152よりも細く又は広くあってもよい。一スペーシングエレメント又は各スペーシングエレメント140は、例えば、一スコアリングリンク又は各スコアリングリンク150の基部152の垂直断面幅の50%~500%の垂直断面幅を有することができる。スペーシングエレメント140は、その外向き部分ができるだけ平滑又は非外傷性であるように形成することができる。例えば、スペーシングエレメント140は、脈管内組織との接触に対して外傷性である度合いを低減又は最小化するために、丸められている又は丸い構造(例えば、丸められた/面取りされた平らな矩形又は丸いワイヤエレメント)として形成することができる。
【0087】
上述のような本開示の実施形態に従って構成される管状ばね構造100、又はそのような管状ばね構造100を有するスコアリングバルーンカテーテル10は、第2の長手方向軸112から離れて屈曲する面の実質的に全て(例えば、第2の長手方向軸112に垂直な面から離れて屈曲する実質的に全ての面)で高い又は非常に高い可撓性を示し、よって、非常に曲がりくねった脈管経路での配置及び使用に非常によく適している。また、本開示の実施形態に係る管状ばね構造100は、良い、非常に良い、又は優れたスコアリング能力、例えば効果の高い脈管内組織切開能力を示す。このような優れた組織のスコアリング能力を有しながら高い又は非常に高い可撓性を有することは、以下の管状ばね構造100の構造上の構成から直接的に生じる。
(a)優れた可撓性が、(i)各環状リング構造110が放射状に可撓性又は拡張可能なばね120-d、120-pの対から形成され、(ii)バルーン拡張の予想される又は通常の限界内にて、例えば、心血管病変の処置に対して、その塑性変形限界よりも下回るかはるかに下回ったまま、各環状リング構造110及び各スコアリングリンク150は弾性拡張及び変形用に構成され、(iii)直列的又は直接的に連続する又は2つで1組の隣接する環状リング構造110は、管状ばね構造の長さに沿って空間的空隙104により分離され、それによって連続する環状リング構造110の関節接合を容易にし、環状リング構造110の三次元的耐久性を補助し、(iv)単一のスコアリングリンク150のみが、直列的又は直接的に連続する又は隣接する管状リング構造110の所与の別個又は非同一対の各環状リング構造110を結合するか又は接続し、それによって環状リング構造110に増大した可撓性を与え、(v)環状リング構造110の、遠位ばね120-d及び近位ばね120-p及びスペーシングエレメント140を含む、長さを含む寸法が、スコアリングリンク150及び空間的空隙104の、長さを含む寸法に対して、可撓性を促進するか又は増大させる、ために存在し、
(b)増大した又は優れたスコアリング能力が、(i)各スコアリングリンク150の、対応する環状リング構造110の対及び各スコアリングリンク150によって架けられる空間的空隙104の長さに対する長さが、遠位環状リング構造110-d及び近位環状リング構造110-pによってそれぞれ保持されるスコアリングリンク150の遠位部及び近位部に対応する長さの有意な部分に亘って、スコアリングリンク150が構造上に支持されていることを意味し、それはスコアリングリンク150にバルーン20によって発生した外向きの放射力が増大して、効果的に又はより効果的に、組織の切開又は分離力として膜管内組織に向けられる、集中される、又は印加されることを意味する。
【0088】
様々な実施形態では、管状ばね構造100は、金属メッシュ構造を典型的に含むか又はその形態にある、例えば、周方向又は放射状に拡張可能な金属環状リング構造110を有する。スペーシングエレメント140及びスコアリングリンク150はワイヤを含むかワイヤから成ることができ、スペーシングエレメント140は少なくとも概して外傷性エレメントから構造化されており、スコアリングリンク150は脈管(内)組織に対して外傷性エレメントとして構造化されている。
【0089】
かかる金属メッシュ構造は典型的には100~1000マイクロメートル(例えば、およそ250マイクロメートル)の厚さである。構造の厚さは、考慮中の病変の特定の種類にて意図される又は必要とされる溝又は切れ込みの深さ、及び曲がりくねった脈管経路及び/又は病変に沿って若しくはその中に送達させる容易さのための意図する又は必要とする管状ばね構造100/スコアリングカテーテル110の可撓性によって、決定されてもよい。より厚さの低いメッシュ構造は、スコアリングカテーテル10のバルーン部20をより可撓性にする。管状ばね構造100の長さは、病変の予想される又は実際の特徴によって決定することができ、脈管病変については典型的には20mm~250mmの範囲内に、15mmまでの典型的な最大直径を有してもよい。
【0090】
金属メッシュ構造は、典型的には鋼ミニチューブからレーザで切断されている。しかしながら、平坦なシートから切断してロールすること、電着、印刷、放電加工、及びマスキング並びに化学エッチングを含む、金属メッシュ構造を形成する又は製造する他の方法も可能である。金属メッシュ構造は典型的には、例えばSAE1070-1090の高炭素鋼から生成されるが、折り畳まれたバルーン20をしっかりつかむためにわずかに拡張されたときの十分な圧縮力、及び意図する病変を処置して拡張するのに必要な血管形成術用バルーンの拡張後の大きさを収容しながら最小の、無視可能な、又は実質的に全くの塑性変形を生じさせずに十分な拡張範囲を維持するための必要要件を満足する限りは、他の金属又は金属合金を使用することができる。
【0091】
概して、所与の垂直断面幾何学外形又は形状を有するスコアリングリンク150は、上述の鋼ミニチューブのz軸レーザ加工によって製造されてもよい。しかしながら、マスキング及び化学エッチングを含む、意図する又は所望の幾何学外形又は形状を得るための他の処理も実行可能である。
【0092】
少なくとも一部の実施形態では、カテーテル10上の管状ばね構造100は、管状カラー180、及び任意選択的に設けられ、折り畳まれたバルーン20に近位のカテーテル10のシャフトに取り付けられた、少なくとも1つのテザー182、例えば単一テザー182又はワイヤテザー182の対によって保留される。ワイヤテザー182は、バルーン20の拡張時に管状ばね構造100が滑ることを防止することが所望されるか、防止する必要があるときに、管状ばね構造100に結合又は取り付けることができる。
【0093】
実施形態の詳細によっては、管状ばね構造100は、別の又は追加の様態でスコアリングバルーンカテーテル10に固定することができる。上記に示すとおり、非拡張状態では、管状ばね構造100は管状ばね構造100が取り付けられるスコアリングバルーンカテーテル10の遠位端又は先端に位置する折り畳まれた血管形成術用バルーン20のセクションの外径よりもわずかに小さい第2の長手方向軸112に垂直の断面積又は直径を有する。よって、管状ばね構造100は、目標部位、エリア、又は血管内で処置される領域に向かって進む間に、血管又は他の血管導管の挿入時又はその中を追う間にバルーン20から外れることに耐える。
【0094】
しかしながら、一部の適用例では、例えば、カテーテル10が血管内の特に細い又は曲がりくねった病変に挿入される場合、又は代替的に、バルーン20が精確に包み直されないか収縮しない場合のスコアリング処置の後に、管状ばね構造をスコアリングバルーンカテーテル10の一部にてより強く固定することが望ましい場合がある。バルーン20が精確に包み直されないか収縮しないことにより、血管形成術用バルーン20と共に位置するように管状ばね構造100が収縮しようとしているにもかかわらず、管状ばね構造100の下流での栓塞化のリスクを生じさせる可能性がある。
【0095】
図12A及び
図12Bは、本開示のある実施形態に係る、血管形成術用バルーン10の特定又は所定の部分に管状ばね構造100を保留又は固定することの別の又は追加での様態の様相を示す。より具体的には、
図12Aは、管状ばね構造100が取り付けられる血管形成術用バルーンカテーテル30の遠位部に位置する血管形成術用バルーン20を示す。
図12Aに示すように、カテーテル30は近位シャフト部又は近位シャフト31を含み、これはガイドワイヤ40が延伸可能なガイドワイヤ内腔と、当業者に周知の様態にてバルーン膨張内腔とを含む。カテーテル30はまた、血管形成術用バルーン20を保持する遠位シャフト部又は遠位シャフト32をも含む。カテーテルの遠位シャフト32はまた、バルーン20の作動長さを示すか区画する近位放射線不透過性マーカー50p及び遠位放射線不透過性マーカー50dをも保有し、バルーンが拡張すると、当業者によって容易に理解される様態でバルーンショルダーがこれらのマーカー50p、50dのおよそ周方向に上に位置する。かかる当業者は、更に、(a)バルーン20の作動長さ25が、バルーン20の拡張後又はバルーン20の拡張に応じて、血管内腔に外向きの力を印加可能なバルーン20の領域、エリア、又は空間的度合いに対応するかそれを区画し、(b)遠位シャフト32が遠位端33を含み、(c)カテーテルの遠位シャフト32が、バルーン20のパリソンの非拡張の近位端及び遠位端がカテーテルの遠位シャフト32にそれぞれ結合する、近位及び遠位部、セグメント、又はゾーン38、39を含む、ことを理解するであろう。
【0096】
図12Bは、本開示の実施形態に係る、管状ばね構造100を設ける可撓性スコアリングバルーンカテーテル10を示す。可撓性スコアリングバルーンカテーテル構造10を形成又は組み立てる一部として、管状ばね構造100はカテーテル30のバルーン20に対して又はその上に取り付けて、管状ばね構造100の近位部及び遠位部又は近位端及び遠位端がカテーテルの遠位シャフト32の縁周りにカテーテルの近位ゾーン38及び遠位ゾーン39にそれぞれ整列させることができる。次に、近位カテーテルゾーン38及び遠位カテーテルゾーン39にそれぞれ整列された管状ばね構造100の近位部また近位端及び遠位部又は遠位端に、1種類以上の接着材料又は接着剤を、このゾーン38、39が存在する遠位シャフト32の縁周りの少なくとも一部に塗布して、管状ばね構造100の近位部又は近位端及び遠位部又は遠位端を、バルーン20のパリソンの非拡張近位及び遠位セグメント、並びに/又は近位カテーテルゾーン38及び遠位カテーテルゾーン39の一部にそれぞれ、例えば、遠位シャフト32の対応する縁に周方向に、それぞれ機械的に又は接着剤で接合することができる。これにより、管状ばね構造100は、位置に保留又は固定され、より具体的には、管状ばね構造100の近位部及び遠位部又は近位端及び遠位端は、バルーン20のパリソンの非拡張近位及び遠位セグメント、並びに/又は近位のカテーテルゾーン38及び遠位のカテーテルゾーン39に、それぞれ近位接着接合部200p及び遠位接着接合部200dによって接着、接合、又は固定される。このような接合部200p、dを生成するには、メタクリレート及び/又は熱可塑性接着剤などの接着材料を用いることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、遠位接合部200dは、近位接合部200pに比べて比較的より弱い又は弱い接着接合であり得て(例えば、遠位接合部200dは、異なる接着材料、少ない接着材料、及び/又はより少ない接着点の数などによって意図的により弱く形成される)、遠位接合部200dが管状ばね構造を意図する構成又は位置に、狭い病変へのカテーテル送達中に保留するのに十分に強いようにすることができるが、バルーン20の加圧拡張では容易に破断される。一方、近位接合部200pは、処置手順中と、続く血管又は脈管構造からのカテーテルの抜去時に、管状ばね構造100がカテーテル遠位シャフト32にしっかり固定、接着、又は取り付けられたままとするために十分に強い。
【0098】
具体的な非限定的の代表実施形態を記載しているが、当業者であれば、本明細書の説明を鑑みて、本開示及び上記代表的な実施例の範疇内の変更又は変形を行うことができるであろう。