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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20240711BHJP
   F21S 45/60 20180101ALI20240711BHJP
   F21V 29/15 20150101ALI20240711BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240711BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240711BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240711BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20240711BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20240711BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20240711BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20240711BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240711BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20240711BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240711BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S45/60
F21V29/15 100
F21V29/503 100
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/31
F21S41/141
F21S41/20
F21S41/32
F21Y115:10
F21W102:10
F21W103:20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020180408
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071442
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】塚田 佳子
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝一
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 一幸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 哲郎
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219290(JP,A)
【文献】特開2004-127751(JP,A)
【文献】特開2009-187707(JP,A)
【文献】特開2019-194948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0051447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 45/60
F21V 29/15
F21V 29/503
F21S 43/14
F21S 43/20
F21S 43/31
F21S 41/141
F21S 41/20
F21S 41/32
F21Y 115/10
F21W 102/10
F21W 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子の光を正面方向に反射するリフレクタと、前記リフレクタの正面に配置したアウタレンズとを備え、
前記リフレクタの背面側に、前記発光素子と前記アウタレンズの外周部とを熱的に接続する熱伝導体と、前記熱伝導体の背面側を覆う仕切り板とを備え、
前記リフレクタと前記熱伝導体との間に、第1断熱層を有すると共に、前記熱伝導体と前記仕切り板との間に、第2断熱層を有し、
前記リフレクタと前記熱伝導体との間に、前記発光素子と前記アウタレンズの外周部とを熱的に接続する金属体が配置してあり、
前記熱伝導体が、前記金属体の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
発光素子と、前記発光素子の光を正面方向に反射するリフレクタと、前記リフレクタの正面に配置したアウタレンズとを備え、
前記リフレクタの背面側に、前記発光素子と前記アウタレンズの外周部とを熱的に接続する熱伝導体と、前記熱伝導体の背面側を覆う仕切り板とを備え、
前記リフレクタと前記熱伝導体との間に、第1断熱層を有すると共に、前記熱伝導体と前記仕切り板との間に、第2断熱層を有し、
前記仕切り板が、前記第2断熱層と前記仕切り板の背面側空間との間を開閉する開閉機構を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
前記第1及び第2の断熱層が、断熱材及び空隙の少なくとも一方で形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記熱伝導体が、高熱伝導材料をフィラーとして含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記リフレクタと前記熱伝導体との間に、前記発光素子と前記アウタレンズの外周部とを熱的に接続する金属体が配置してあり、
前記熱伝導体が、前記金属体の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記金属体が、前記アウタレンズ側への熱伝導経路と車両ボディ側への熱伝導経路とを選択的に切り換えるスイッチ機構を有することを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記仕切り板が、前記第2断熱層と前記仕切り板の背面側空間との間を開閉する開閉機構を有することを特徴とする請求項1,3~6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記アウタレンズが、正面及び背面の少なくとも一方の面に、可視光を透過し且つ熱伝導性を有する被覆層を備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のヘッドライトやウインカーなどに用いられる車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用灯具としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の車両用灯具は、LEDと、LEDの前方に配置したアウタレンズと、LEDに熱的に接続されるヒートシンクと、LEDの背方に送風開口を有する送風装置とを備えている。ヒートシンクは、LEDを配置した基部の外側に、前後方向に延びる放熱部を有する。放熱部は、送風開口から送風された空気に放熱しつつアウタレンズに指向させる。この車両用灯具は、LEDの放熱を二次利用して、アウタレンズの曇り晴らしや融雪効果を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6451758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の車両用灯具にあっては、LEDの放熱を行うヒートシンクに送風し、その空気によりアウタレンズを加熱するので、アウタレンズに対する加熱効率が充分であるとは言い難く、また、LEDをヒートシンクの放熱部で包囲した構造であるため、灯具全体の重量が増大するという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたものであって、アウタレンズに対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズの曇り除去や融雪の機能を高めることができると共に、構造の簡略化及び軽量化を実現することができる車両用灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる車両用灯具は、発光素子と、発光素子の光を正面方向に反射するリフレクタと、リフレクタの正面に配置したアウタレンズとを備えている。そして、車両用灯具は、リフレクタの背面側に、発光素子とアウタレンズの外周部とを熱的に接続する熱伝導体と、熱伝導体の背面側を覆う仕切り板とを備え、リフレクタと熱伝導体との間に、第1断熱層を有すると共に、熱伝導体と仕切り板との間に、第2断熱層を有し、仕切り板が、第2断熱層と仕切り板の背面側空間との間を開閉する開閉機構を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わる車両用灯具は、リフレクタ、第1断熱層、熱導電体、第2断熱層、及び仕切り板を正背面方向に積層した簡単な構造を有している。そして、車両用灯具は、発光素子の熱を、熱伝導体を通して直接的にアウタレンズに伝達し、その際、第1及び第2の断熱層により熱伝導体からリフレクタ及び仕切り板への夫々の熱伝導を抑制するので、発光素子からアウタレンズへの熱伝導が熱伝導体によって集中的に行われる。
【0008】
このようにして、本発明に係わる車両用灯具は、アウタレンズに対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズの曇り除去や融雪の機能を高めることができると共に、積層構造により良好な熱伝導を行うので、構造の簡略化及び軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係わる車両用灯具の第1実施形態を説明する断面図である。
図2】本発明に係わる車両用灯具の第2実施形態を説明する断面図である。
図3】本発明に係わる車両用灯具の第3実施形態を説明する断面図である。
図4】本発明に係わる車両用灯具の第4実施形態を説明する断面図(A)、仕切り板の動作を示す各々正面図(B)及び(C)である。
図5】本発明に係わる車両用灯具の第5実施形態を説明する断面図(A)、仕切り板の動作を示す各々正面図(B)及び(C)である。
図6】本発明に係わる車両用灯具の第6実施形態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第1実施形態〉
図1に示す車両用灯具Aは、発光素子1と、発光素子1の光を正面方向(図中で左方向)に反射するリフレクタ2と、リフレクタ2の正面に配置したアウタレンズ3とを備えると共に、背面側にハウジング4を備えている。発光素子1は、例えば発光ダイオード(LED)であり、基板1Aを有する。リフレクタ2は、正面側に開放されたカップ状を成しており、その中央部分に発光素子1及び基板1Aが配置してある。この車両用灯具1は、図中に仮想線で一部を示す車両ボディBに組み込まれる。
【0011】
また、車両用灯具Aは、リフレクタ2の背面側に、発光素子1とアウタレンズ3の外周部とを熱的に接続する熱伝導体5と、熱伝導体5の背面側を覆う仕切り板6とを備えている。そして、車両用灯具Aは、リフレクタ2と熱伝導体5との間に、第1断熱層7を有すると共に、熱伝導体5と仕切り板6との間に、第2断熱層8を有している。
【0012】
熱伝導体5は、リフレクタ2の背面側を覆うカップ状を成しており、中央部において発光素子1の基板1Aと熱的に接続してあると共に、開口端部においてアウタレンズ3の外周部と熱的に接続してある。この熱伝導体5は、高熱伝導材料をフィラーとして含むものであって、金属板5Aの背面に、図中に点線で示す熱伝導コーティング5Bを施したものである。
【0013】
熱伝導コーティング5Bは、金属板5Aに対して、面内方向(面に沿う方向)の熱伝導率が高い材料を用いるのが望ましく、目安としては熱伝導率が500W/mK以上の高熱伝導材料である。高熱伝導材料としては、グラフェン、カーボンナノチューブ、及び窒化アルミニウムなどが挙げられる。この実施形態では、金属板5Aの背面に、グラフェンを含むコーティング剤を塗布して熱伝導コーティング5Bを形成している。なお、熱伝導コーティング5Bは、図示例以外に、金属板5Aの正面に設けても良いし、正面及び背面の両面に設けても構わない。
【0014】
仕切り板6は、熱伝導体5の背面側を覆うカップ状を成しており、ハウジング4との間に空間9を形成している。仕切り板6は、その材料が限定されるものではないが、例えば、金属や繊維強化プラスチックなどを用いることができる。
【0015】
第1及び第2の断熱層7,8は、断熱材及び空隙の少なくとも一方で形成することができる。図示例の第1及び第2の断熱層7,8は、断熱材により形成してある。断熱材としては、その材料がとくに限定されるものではないが、従来周知の断熱材料を用いることができる。
【0016】
上記構成を備えた車両用灯具Aは、リフレクタ2、第1断熱層7、熱伝導体5,第2断熱層8、及び仕切り板6を正背面方向に積層した簡単な構造を有している。この車両用灯具Aは、発光素子1の熱を、熱伝導体5を通して直接的にアウタレンズ3に伝達する。その際、車両用灯具Aは、第1及び第2の断熱層7,8により熱伝導体5からリフレクタ2及び仕切り板6への夫々の熱伝導を抑制するので、発光素子1からアウタレンズ3への熱伝導の経路が熱伝導体5に集中し、アウタレンズ3の加熱が効率的に行われる。
【0017】
このようにして、上記の車両用灯具Aは、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めることができる。また、車両用灯具Aは、上述した積層構造のみで良好な熱伝導を行うので、構造の簡略化及び軽量化を実現することができる。
【0018】
さらに、上記の車両用灯具Aは、第1及び第2の断熱層7,8が、断熱材及び空隙の少なくとも一方で形成してあるので、構造の簡略化や軽量化のさらなる向上を実現すると共に、製造コストの低減なども実現し得る。
【0019】
さらに、上記の車両用灯具Aは、熱伝導体5が、高熱伝導材料をフィラーとして含む構成とすることで、高強度と高熱伝導性とを両立させることができ、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能をより向上させると共に、熱伝導コーティング5Bの耐久性向上などの効果を奏する。
【0020】
図2図6は、本発明に係わる車両用灯具の第2~第6の実施形態を夫々説明する図である。以下の各実施形態においては、第1実施形態の構成と同一の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0021】
〈第2実施形態〉
図2に示す車両用灯具Aは、第1実施形態(図1参照)と同様の基本構成を備えると共に、第1断熱層7Aをガラスウールで形成すると共に、第2断熱層7Bを空隙により形成した構成である。
【0022】
上記の車両用灯具Aにあっても、第1実施形態と同様に、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めることができると共に、積層構造のみで良好な熱伝導を行うので、構造の簡略化及び軽量化、並びに製造コストの低減などを実現し得る。
【0023】
〈第3実施形態〉
図3に示す車両用灯具Aは、第1実施形態(図1参照)と同様の基本構成を備えると共に、リフレクタ2と熱伝導体5との間に、発光素子1とアウタレンズ3の外周部とを熱的に接続する金属体(太い破線で示す)10が配置してある。金属体10は、リフレクタ2の背面を覆うカップ状を成しており、その材料がとくに限定されるものではないが、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
【0024】
図示例の車両用灯具Aは、金属体10と熱伝導体5との間に、空隙から成る第1断熱層7を形成している。また、熱伝導体5は、金属板5Aの背面に、カーボンコーティングにより形成した熱伝導コーティング5Bを有する。そして、車両用灯具Aは、熱伝導体5と仕切り板6との間に、空隙により形成した第2断熱層8を有する。
【0025】
上記の車両用灯具Aは、熱伝導体5が、金属体10の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。具体的には、アルミニウム製の金属体10は、熱伝導率が237W/mKであり、これに対して、熱伝導コーティング(カーボンコーティング)5Bを有する熱伝導体5は、熱伝導率が800W/mKである。
【0026】
さらに、本発明に係わる車両用灯具Aは、より好ましい実施形態として、アウタレンズ3が、正面及び背面の少なくとも一方の面に、可視光を透過し且つ熱伝導性を有する被覆層11を備えている構成を採用することができる。図示例の車両用灯具Aは、アウタレンズ3の正面に被覆層11を備えている。
【0027】
上記の車両用灯具Aにあっても、第1実施形態と同様に、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めると共に、構造の簡略化及び軽量化、並びに製造コストの低減などを実現し得る。
【0028】
また、上記の車両用灯具Aは、リフレクタ2と熱伝導体5との間に、金属体10を配置すると共に、記熱伝導体5が、金属体10の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する構成である。これにより、上記の車両用灯具Aは、発光素子1からアウタレンズへの熱伝導効率をより一層高めて、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能のさらなる向上を図ることができる。また、車両用灯具Aは、リフレクタ2と熱伝導体5との間に介在する金属体10により、リフレクタ2の熱による劣化を抑制することができる。
【0029】
さらに、上記の車両用灯具Aは、アウタレンズ3の正面に、可視光を透過し且つ熱伝導性を有する被覆層11を備えているので、アウタレンズ3自体の熱伝導性が向上して、曇り除去や融雪の機能をより一層高めることができる。
【0030】
〈第4実施形態〉
図4(A)に示す車両用灯具Aは、第2実施形態(図2参照)と同様の基本構成を備えると共に、仕切り板6が、第2断熱層8と仕切り板6の背面側の空間9との間を開閉する開閉機構を有している。
【0031】
図示例の仕切り板6は、図4(B)及び(C)に示すように、放射状に分割した複数の仕切り部材6Aで構成してある。各仕切り部材6Aは、当該仕切り板6の半径方向に延びる長孔6Bを有し、夫々の長孔6Bに貫通する軸部6Cにより連結してある。この仕切り板6は、軸部6Cを適宜の固定部位に連結すると共に、各仕切り部材6Aを一斉に動作させる駆動部(図示せず)を有する。
【0032】
上記の仕切り板6は、各仕切り部材6Aが、長孔6Bの長さ分だけ半径方向に往復動可能であり、全体として直径を拡大縮小するように動作する。そして、仕切り板6は、図4(B)に示す状態から、各仕切り部材6Aを中心方向に移動させることにより、図4(C)に示すように、外周側において第2断熱層8と空間9との間を開放する。
【0033】
上記構成を備えた車両用灯具Aは、先の実施形態と同様に、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めると共に、構造の簡略化及び軽量化などを実現する。そして、車両用灯具Aは、開閉機構を有する仕切り板6を採用したことにより、第2断熱層8を外側の空間9に開放することで、熱伝導体5の熱を空間9に放出し、又は空間9を通して外部に放出させることができ、リフレクタ2やアウタレンズ3の熱による劣化を抑制することができる。
【0034】
〈第5実施形態〉
図5(A)に示す車両用灯具Aは、第2実施形態(図2参照)と同様の基本構成を備えると共に、仕切り板6が、第2断熱層8と仕切り板6の背面側の空間9との間を開閉する開閉機構を有している。
【0035】
図示例の仕切り板6は、図5(B)及び(C)に示すように、カメラの絞りを構成する遮光板に類似する複数の仕切り部材6Aを備えており、図示しない駆動部により、各仕切り板6Aを一斉に同一方向に回転させて、中央の開口部6Dの大きさを変化させる。なお、仕切り板6は、各仕切り部材6Aを図5(B)に示す矢印と逆方向に回転させることにより開口部6Dを閉じる。
【0036】
上記構成を備えた車両用灯具Aは、先の実施形態と同様に、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めると共に、構造の簡略化及び軽量化などを実現する。そして、車両用灯具Aは、開閉機構を有する仕切り板6を採用したことにより、図5(A)に示すように、仕切り板6の中央の開口部6Dを通して、第2断熱層8を外側の空間9に開放する。これにより、車両用灯具Aは、熱伝導体5の熱を空間9に放出し、又は空間9を通してハウジング4の外部に放出させることができ、リフレクタ2やアウタレンズ3の熱による劣化を抑制することができる。
【0037】
〈第6実施形態〉
図6に示す車両用灯具Aは、第3実施形態(図3参照)と同等の基本構成を備えると共に、金属体10が、アウタレンズ3側への熱伝導経路と車両ボディB側への熱伝導経路とを選択的に切り換えるスイッチ機構12を有している。スイッチ機構12は、所定の操作により作動する可動部を設けたものや、バイメタルのように所定温度で変位する部材を用いたものなどを採用することができる。
【0038】
上記構成を備えた車両用灯具Aは、先の実施形態と同様に、アウタレンズ3に対する充分な加熱効率を確保して、アウタレンズ3の曇り除去や融雪の機能を高めると共に、構造の簡略化及び軽量化などを実現する。そして、車両用灯具Aは、金属体10のスイッチ機構12を採用したことにより、融雪等の必要がない場合に、発光素子1の熱を車両ボディBに逃がすようにして、アウタレンズ3の熱による劣化を抑制することができる。
【0039】
本発明に係わる車両用灯具は、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能であり、各実施形態で説明した構成を組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0040】
A 車両用灯具
B 車両ボディ
1 発光素子
2 リフレクタ
3 アウタレンズ
5 熱伝導体
6 仕切り板
7 第1断熱層
8 第2断熱層
10 金属体
11 被覆層
12 スイッチ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6