(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】熱電変換素子及び熱電変換モジュール
(51)【国際特許分類】
H10N 10/17 20230101AFI20240711BHJP
H10N 10/01 20230101ALI20240711BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H10N10/17 A
H10N10/01
H02N11/00 A
(21)【出願番号】P 2020102495
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591108178
【氏名又は名称】秋田県
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】世古 暢哉
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 和幸
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159559(JP,A)
【文献】特開平08-148727(JP,A)
【文献】特開2016-219609(JP,A)
【文献】実公昭39-031994(JP,Y1)
【文献】特開昭61-030730(JP,A)
【文献】特開平06-043017(JP,A)
【文献】特開2011-044621(JP,A)
【文献】特開2009-252675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/17
H10N 10/01
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の熱電膜と、
前記基板上の第1電極と、
前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、
を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触しており、
前記第1電極は第1外部接続端子を含み、
前記第2電極は第2外部接続端子を含み、
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とは、平面視において前記熱電膜から離れており、
前記第1電極と前記第1外部接続端子は、連続した一つの薄膜で形成されており、
前記第2電極と前記第2外部接続端子は、連続した一つの薄膜で形成されており、
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とは、それぞれ、前記熱電膜に形成された開口内に配置されている、
熱電変換素子。
【請求項2】
基板と、
前記基板上の熱電膜と、
前記基板上の第1電極と、
前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、
を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触しており、
前記第1電極は第1外部接続端子を含み、
前記第2電極は第2外部接続端子を含み、
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とは、平面視において前記熱電膜から離れており、
前記熱電膜は第1熱電膜であり、
前記第1熱電膜と同一層に形成され、前記第1熱電膜から分離された、第1島状熱電膜と、
前記第1熱電膜と同一層に形成され、前記第1熱電膜及び前記第1島状熱電膜から分離された、第2島状熱電膜と、
を含み、
前記第1熱電膜は、前記第1電極及び前記第2電極と前記基板との間に形成されており、
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とは、それぞれ、前記第1島状熱電膜及び前記第2島状熱電膜と接触している、
熱電変換素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱電変換素子であって、
前記熱電膜の外縁は、前記基板の外縁よりも内側である、
熱電変換素子。
【請求項4】
基板と、
前記基板上の熱電膜と、
前記基板上の第1電極と、
前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、
前記第1電極の外部接続端子において接合されている第1リード線と、
前記第2電極の外部接続端子において接合されている第2リード線と、
を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触しており、
前記第1電極の外部接続端子と前記第1リード線との第1接合部、前記第1リード線、前記第2電極の外部接続端子と前記第2リード線との第2接合部、及び前記第2リード線は、平面視において前記熱電膜から離れており、
前記第1接合部が、前記第1電極の外部接続端子を貫通し、
前記第2接合部が、前記第2電極の外部接続端子を貫通している、
熱電変換モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の熱電変換モジュールであって、
前記基板はフレキシブル基板である、
熱電変換モジュール。
【請求項6】
請求項4に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1電極の外部接続端子と前記第2電極の外部接続端子とは、平面視において前記熱電膜から離れている、
熱電変換モジュール。
【請求項7】
請求項4に記載の熱電変換モジュールであって、
前記熱電膜は、前記第1電極及び前記第2電極と前記基板との間に形成されている、
熱電変換モジュール。
【請求項8】
請求項6に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜と前記基板との間に形成されている、
熱電変換モジュール。
【請求項9】
請求項6に記載の熱電変換モジュールであって、
前記基板はフレキシブル基板であり、
前記第1電極は、前記第1電極の外部接続端子と前記熱電膜の前記同一面に接触している部分との間に、平面視において前記熱電膜から離れた第1リード部を含み、
前記第2電極は、前記第2電極の外部接続端子と前記熱電膜の前記同一面に接触している部分との間に、平面視において前記熱電膜から離れた第2リード部を含む、
熱電変換モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電変換素子及び熱電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
廃熱利用の発電素子として、ビスマス・テルル系(Bi2Te3)化合物を用いたペルチェ素子が一般的に用いられる。これに対して、特許文献1は、Al添加酸化亜鉛(ZnO)、Ag添加マグネシウムシリサイド(Mg2Si)半導体膜などの熱電膜(半導体材料膜)に、仕事関数の異なる金属電極を形成した熱電変換素子及び、それを用いた発電デバイスを開示している。熱電膜が例えばn型半導体である場合、この熱電膜に第1電極と第2電極がそれぞれ接続されているとき、仕事関数の高い電極と比較して、仕事関数の低い電極へ電子が流れ込みやすい。そのため、電極間で熱起電力が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-219609号公報
【文献】米国特許出願公開第2013/0074897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、出力電圧の取り出しのための具体的構造について開示してない。しかし、実用に供するためには、出力電圧を外部に取り出すための構造が必要である。出力を外部に取り出す構造は導電性材料で構成する必要があり、電極材料とは異なる仕事関数を持つことがほとんどである。また、熱電変換素子は何らかの対象物に被着させて使用されることが多い。被着させる対象物は金属材料であることは多く、これらもまた電極材料とは仕事関数が異なることがほとんどである。これらの電極ではない他の金属が熱電膜に接触すると、電極とは異なる起電力を発生する寄生デバイスが形成され、この出力が重畳され、熱電変換素子の出力に影響を及ぼす。すなわち、寄生デバイスは、熱電膜と望まない導体との接触により発生する。従って、熱電変換素子における寄生デバイスの発生を抑制できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る熱電変換素子は、基板と、前記基板上の熱電膜と、前記基板上の第1電極と、前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、を含む。前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触している。前記熱電膜の外縁は、前記基板の外縁よりも内側である。
【0006】
本開示の他の一態様に係る熱電変換素子は、基板と、前記基板上の熱電膜と、前記基板上の第1電極と、前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、を含む。前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触している。前記第1電極は第1外部接続端子を含む。前記第2電極は第2外部接続端子を含む。前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とは、平面視において前記熱電膜から離れている。
【0007】
本開示の他の一態様に係る熱電変換モジュールは、基板と、前記基板上の熱電膜と、前記基板上の第1電極と、前記第1電極と仕事関数が異なる、前記基板上の第2電極と、前記第1電極の外部接続端子において接合されている第1リード線と、前記第2電極の外部接続端子において接合されている第2リード線と、を含む。前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電膜の同一面と接触している。前記第1電極の外部接続端子と前記第1リード線との接合部、前記第1リード線、前記第2電極の外部接続端子と前記第2リード線との接合部、及び前記第2リード線は、平面視において前記熱電膜から離れている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、熱電変換素子の出力へ影響する寄生デバイスの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る熱電変換モジュールの構成例の平面図を示す。
【
図2】
図1に示す熱電変換素子から抜き出した第1電極を示す。
【
図3】熱電変換素子における導電部の接続の理想的状態を模式的に示す。
【
図4】寄生デバイスが発生した状態を模式的に示す。
【
図5B】
図5AにおけるB-B切断線での断面構造を模式的に示す。
【
図6】リード線と接続端子部の接合部の構成例を示す。
【
図7】リード線と接続端子部の接合部の構成例を示す。
【
図8】熱電変換素子の他の構成例の断面を模式的に示す。
【
図9】マザー基板から切り出す前の熱電変換素子を模式的に示す。
【
図10A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図11A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図12A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図13A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図14A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図15】実施形態2に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【
図16】
図15におけるXVI-XVI切断線での断面図を示す。
【
図17A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図18A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図19A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図20A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図21】実施形態3に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【
図22】実施形態4に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【
図23A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図24A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図25A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図26A】実施形態5に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【
図27A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図28A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図29A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図30A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図31A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図34A】実施形態6に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【
図35A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図36A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図37A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図38A】熱電変換素子の製造における構造物の平面図を示す。
【
図39】実施形態7に係る熱電変換素子の構成例の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照して実施形態を具体的に説明する。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。以下において、被測定物からの熱をセンシングするセンシングデバイスや熱源からの熱による発電を行う発電デバイスとして使用することができる、熱電変換素子を説明する。熱電変換素子は、基板上に形成された熱電膜、第1電極及び第2電極を含む。熱電膜と第1電極及び第2電極とは積層されており、第1電極及び第2電極は、熱電膜の一つの面に接触している。なお、熱電変換素子は、3以上の電極を含むことができる。
【0011】
熱電膜の厚さ方向に温度差が生じたとき、温度勾配に従って電荷密度の勾配が発生する。熱電膜の同じ面に、仕事関数の異なる第1電極と第2電極が接触している場合、電極と熱電膜の間で電荷の流出あるいは流入が起きるが、その流れやすさは仕事関数によって差が生じる。そのため、熱電膜の面内方向だけでなく、厚さ方向の温度差であっても、二つの電極の間に熱起電力が発生する。第1電極と第2電極の熱起電力の差が、熱電変換素子の出力として取り出される。このとき、寄生デバイスによる出力への影響が起きないように、熱電変換素子は、寄生デバイスの発生を抑制する構造を有している。
【0012】
本明細書の一例において、出力される熱起電力に寄与する熱電膜の外縁が、基板の外縁の内側に位置する。つまり、平面視において、熱電膜の輪郭は、基板の主面上で基板外縁の内側にある。これにより、熱電膜が熱源や被測定物等の導体と接触することで寄生デバイスが発生することを避けることができる。
【0013】
本明細書の一例において、第1電極及び第2電極それぞれと外部リード線との接合部は、熱起電力の発生に寄与する熱電膜の領域外に位置し、この熱電膜から離れている。接合部は、例えば半田や導電性接着剤で構成される。また、外部リード線も上記熱電膜から離れている。接合部及びリード線が上記熱電膜に直接接触することなく離れていることで、接合部での寄生デバイスが避けられる。
【0014】
本明細書の一例において、第1電極及び第2電極は、それぞれ一つの電極膜であって、熱電膜と積層され熱起電力の発生に寄与する起電電極部と、外部に出力を取り出すための接続端子部とを含む。一例において、接続端子部は、熱起電力の発生に寄与する上記熱電膜の領域外に配置されている。これにより、外部接続端子部に接続されるリード線が上記熱電膜に接続端子部を介することなく、接触することを防ぎ、寄生デバイスの発生を避けることができる。なお、接続端子部は、熱起電力の発生に寄与する熱電膜の領域外に配置された、当該熱電膜と同一材料の膜と積層されていてもよい。
【0015】
<実施形態1>
図1は、本明細書の一つの実施形態に係る熱電変換モジュールの構成例の平面図を示す。熱電変換モジュールは、熱電変換素子15及び熱電変換素子15で発生した熱起電力を伝送する外部リード線141、142(単にリード線とも呼ぶ)を含む。リード線141、142は、半田121、122によってそれぞれ熱電変換素子15の電極に接合されている。熱電変換モジュールは、被測定物の熱をセンシングするセンシングデバイスや、熱源からの熱で発電する発電デバイスにおいて利用できる。
【0016】
熱電変換素子15は、基板100上に形成された、熱電膜103、第1電極111、第2電極112を含む。なお、熱電変換素子15は、3以上の電極を含むことができる。
図1の構成例において、基板100はフレキシブル基板であって、例えば、ポリイミドのような有機材料で形成されている。フレキシブル基板100は、熱抵抗を小さくするために薄く形成されており、例えば、10μm~100μmの厚さを有する。
【0017】
熱電膜103は、膜内に温度勾配ができるとキャリア密度に勾配が発生する任意の材料で形成できる。この勾配を解消しようとするキャリアの移動が生じ、電極111、112間に起電力が発生する。
図1の構成例において、熱電膜103は半導体材料で形成されており、例えば、IGZO(In-Ga-Zn-O)、アルミニウム添加ZnO、銀添加Mg
2Siなどを利用できる。
【0018】
第1電極111及び第2電極112は、基板100上に分離して配置されている。熱電膜103の上に、第1電極111及び第2電極112の一部が積層されている。第1電極111及び第2電極112それぞれの上記一部は熱電膜103の一つの主面に接触しており、他の一部は基板100の主面に接触している。熱電膜103と電極111、112の積層部分が、外部の熱に応じた起電力を生成する熱起電部である。
【0019】
第1電極111及び第2電極112は、異なる仕事関数を有している。小さい仕事関数の材料は、例えば、Cs、Al、Ti等であり、大きい仕事関数の材料は、例えば、Ni、Cu等である。仕事関数が異なれば、選択される材料は任意である。
【0020】
n型の熱電膜との接触のオーミック性は小さい仕事関数の電極で高く、大きい仕事関数の電極で低くなる。そのため、熱電膜103からの電子は小さい仕事関数の電極に流れ込みやすい。p型の熱電膜の場合、大きい仕事関数の電極に正孔が流れ込みやすい。そのため、これによって、
図1の構成で、熱電膜103の法線方向(厚み方向又は積層方向)の温度勾配がある場合に、第1電極111及び第2電極112における電荷のポテンシャルが異なり、熱起電力が発生する。
【0021】
リード線141、142は、信号を伝送する導体とその周囲を囲む被覆を含む。リード線141、142の導体の露出部は、平面視において、熱電膜103と重ならないように配置される。なお、熱電膜103が例えば絶縁性の保護膜で覆われている場合、上記露出部が、平面視において、熱電膜103と重なっていてもよい。
【0022】
図2は、
図1に示す熱電変換素子15から抜き出した第1電極111を示す。第1電極111は、一つの金属薄膜で構成されており、複数の部分で構成されている。破線201で囲まれている部分は、熱電膜103に接触し熱起電部に含まれる起電電極部である。
【0023】
破線203で囲まれている部分は、接続端子部131と熱起電部とを接続するリード部であって、熱電膜103の領域外にあって、基板100と接触している。なお、リード部203は存在しなくてもよい。
図1及び2に示す構成例において、接続端子部131、132はリード部より幅広の矩形であるが、接続端子部131、132の形状は特に限定されてない。
【0024】
外部接続のための接続端子部131と熱電変換のための起電電極部201とを一つの金属薄膜に含めて形成することは、製造プロセスに大きな影響がなく、出力電圧の取出しのために有用な構造である。第2電極112も同様に、一つの金属薄膜で構成されており、熱電膜103と重なり熱起電部に含まれる起電電極部と、熱電膜103の領域外にあるリード部及び接続端子部132で構成されている。
【0025】
図1及び2に示す構成例において、第1電極111及び第2電極112の起電電極部は櫛歯状であって、それぞれの歯がかみ合うように配置されている。つまり、
図1における上下方向において、第1電極111の歯と第2電極112の歯が交互に配列されており、異なる電極の歯が面内方向において対向している。この構成により、効率的に熱起電力を出力することができる。なお、
図1及び2に示す電極111、112の形状は一例であって、これらは異なる形状を有することができる。
【0026】
積層された熱電膜103及び起電電極部からなる熱起電部に、外部の熱、温度変化を効率よく伝えることが熱電変換素子15に求められる要件の一つである。センシングデバイスとして利用する場合には応答性をよくするためにも、重要な条件である。一方で、薄膜で構成された熱電膜103と電極111、112からなる本体は、それ単体では構造を維持することが困難であり、絶縁性の基板に支えられた構造とすることは有用ではある。
【0027】
基板100の裏面の、熱電膜103が形成された面とは反対側の面を、対象物に密着させる使用方法を想定すると、基板100は熱の伝達には抵抗となる。そこで、基板100の熱抵抗を小さくして熱的影響を小さくすることで、熱起電部に熱を効率よく伝えることができる。
【0028】
基板100には熱伝導率の高い材料を使用する、又は、基板100の厚さを薄くすることが有効である。基板100を含むデバイス自体が薄くなると、ガラスなどの脆性材料で構成されていると破損する可能性が高まる。厚さ10μm~100μm程度のポリイミドフィルムを基板に用いると、熱電変換素子15をフレキシブルにし、曲面への取り付けも可能となる。温度の高い場所での使用が想定されるのでポリイミドは好適な材料であるが、使用環境の温度範囲や製法、コスト面で、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等様々な材料を選択すればよい。
【0029】
図1に示すように、センシングや発電といった、熱電変換素子15のデバイス動作に寄与する熱電膜103の外縁(輪郭線)は、絶縁性の基板100の外縁よりも内側になるように形成されている。さらに、第1電極111及び第2電極112は、それぞれ、デバイス動作に寄与する部分を外部へ接続するための、一体形成された接続端子部131、132を含む。接続端子部131、132は、デバイス動作に寄与する熱電膜103に積層されておらず、接触していない。この構成により、寄生デバイスの発生を抑制することができる。
【0030】
熱電変換モジュールの寄生デバイスについて説明する。
図3は、熱電変換素子15における導電部の接続の理想的状態を模式的に示す。構成要素間の実線は接触を示し、構成要素が直接接触している。熱電膜103と接触している電極の仕事関数の差に応じた出力が得られる。熱電膜103が直接接触している導体は電極111、112のみであり、半田121、122やリード線141、142とは接触していない。また、熱電膜103は、被測定物や熱源のような対象物とも接触していない。
【0031】
図4は、寄生デバイスが発生した状態を模式的に示す。構成要素間の実線は理想的な接触を示し、破線は寄生デバイスを生む接触を示す。電極111、112以外の半田又はリード線が熱電膜103に直接接触すると、寄生デバイスが発生する。
【0032】
半田121,122、リード線141,142は電極111、電極112とは異なる金属材料であることがほとんどである。すなわち仕事関数が電極111,112とは異なる材料である。これらが、熱起電力の発生に寄与する共通の熱電膜103と接触すると、電極111、あるいは電極112に対してとは異なる電位を発生しうる。これらが、正規の熱電デバイスに並列に形成されるため、その影響は出力に重畳される。
図4において、半田121、122が熱電膜103に接触し、被測定物や熱源のような対象物25が熱電膜103に接触している。これらにおいて、寄生デバイスが発生する。
【0033】
上記のような寄生デバイスが発生し得る状態を説明する。まず、対象物25と熱電膜103との接触について説明する。熱電変換素子15の製造方法の一つは、例えば厚さ10~20μmの1枚の薄いポリイミド膜の上に、スパッタリング、真空蒸着などの薄膜プロセスを使って電極を形成し、必要に応じて保護膜を形成するなどして、複数の熱電変換素子のための構成要素を形成し、その後、熱電変換素子15それぞれを切り出す。
【0034】
例えば、製造手順は、一つの熱電膜をポリイミド膜全面に付着し、複数の熱電変換素子の複数の電極対をポリイミド膜上に形成し、その後、ポリイミドなどの保護膜を熱電膜及び電極に被せる。このとき端子は保護膜に開口を形成して露出させておく。熱電膜はポリイミド膜上の全面に存在するので、熱電変換素子の外形線断面において、熱電膜がポリイミド基板と保護膜の間に挟まって存在している。基板となるポリイミド膜は、ガラス基板などの保持基板の上に形成され、一連の製造手順のあと、保持基板から剥離するという手順をとってもよい。
【0035】
基板及び保護膜ともに厚さが10~20μmと非常に薄いために、熱電膜は、被測定物や熱源等といった対象物の取り付け面に近接している。外形切り抜きのため、金型やトムソン刃などの機械加工や、レーザー切断等の幾つかの方法があるが、切断部でのダレにより熱電膜が下がり得る。このため、熱電膜は熱電変換素子の外縁においてさらに取り付け面に接近し、対象物と熱電膜が電気的に接触する可能性が高まる。
【0036】
対象物が導体である場合、何らかの電位を持っている可能性が高い。熱電膜と対象物の接触は寄生デバイスの形成をまねき、出力に影響を及ぼす。寄生デバイスを生む接触は、一般に再現性が高いわけでなく、それ自体が安定したものでない。従って、熱電変換素子特性の個体差や、出力の不安定さを生む原因となり得る。
【0037】
次に、熱電膜103と半田121、122との接触について説明する。リード線を半田で接続端子部に接合する場合、半田は電極層との間で拡散層を形成して接合される。電極層は薄膜プロセスで形成されており、膜厚は数10nmから1μm程度と薄い。半田の一部が接続端子部の電極層を貫通して、半田(及びリード線)が、直接に熱電膜と接触することがある。本実施形態の構造において、対象物に取り付けた際に、熱電膜103は基板100の外縁から離れており、熱電膜103が対象物と接触する可能性を低減できる。
【0038】
熱電変換素子15は、熱電膜103と接している電極111、112との界面での電荷の流れやすさのバランスが、動作の基本である。そのため、本来想定していない、半田121、122、リード線141又は142と熱電膜103の寄生デバイスは、出力に想定外の影響を及ぼす。また、半田が、電極を貫通して、熱電膜と接触する面積によって、その影響の程度が変化し、特性ばらつきの原因となる。
【0039】
寄生デバイスによる影響を排除するには、熱電変換素子15が、寄生デバイスの元となる接触が完成しないような構造を有することが有用である。電極111、112以外の導体が熱電膜103と接触する恐れがある場合、接触箇所を作らないように熱電膜103の形状を部分的に除去するなど加工する。
【0040】
上述のように、熱電膜103の外縁が、基板100の外縁よりも内側になるように形成されていることで、熱電変換素子15の外縁において、熱電膜103と対象物との接触の可能性を低減できる。また、電極111、112の接続端子部131、132が、基板100上で熱電膜103に接触することなく離れて配置されていることで、半田121、122又はリード線141、142が熱電膜103に接触して寄生デバイスが発生することを効果的に避けることができる。
【0041】
以下において、熱電変換素子15の断面構造を説明する。
図5Aは、熱電変換素子15の平面図である。
図5Bは、
図5AにおけるB-B切断線での断面構造を模式的に示し、
図5Cは、
図5AにおけるC-C切断線での断面構造を示す。
図5Bは熱電変換素子15の接続端子部131、132を含む部分の断面を示す。
図5Cは、熱電変換素子15の電極111、112において熱電膜103と重なり熱起電部に含まれる起電電極部201、202の断面を示す。
【0042】
図5Bに示すように、接続端子部131、132は基板100の面に接触しており、基板の面内において、接続端子部131、132は、熱電膜103の領域外に形成されている。このように、平面視において接続端子部131、132が熱電膜から離れているので、半田121、122又はリード線141、142が熱電膜103に接触して寄生デバイスが発生することを避けることができる。
【0043】
図5Cに示すように、第1電極111の部分201及び第2電極の部分202は、熱電膜103と接触して、熱電膜103上に積層されている。これにより、第1電極111と第2電極112との間に熱起電力が発生する。
図5B及び5Cに示す例において、熱電膜103並びに接続端子部131、132は、基板100に接触して、基板100上に形成されている。他の例において、熱電膜103と基板100との間及び接続端子部131、132と基板100との間に、無機絶縁物からなる中間膜が形成されていてもよい。
【0044】
図6及び7は、リード線と接続端子部の接合部の構成例を示す。
図6に示すように、半田121、122が接続端子部131、132を貫通しても、熱電膜103と、半田121、122及びリード線141、142とが、接触することはない。
【0045】
図7に示すように、半田接合の位置が接続端子部からずれても、熱電膜103と、半田121、122及びリード線141、142とが、接触することはない。このように、本実施形態の構造により、望まない寄生デバイスの発生を避け、熱電変換素子15の特性を安定化させることができる。
【0046】
図8は、熱電変換素子15の他の構成例の断面を模式的に示す。
図8に示す構成例は、これらを覆う絶縁性の保護膜210を含む。保護膜210には、不図示の開口が形成されており、それらにおいて接続端子部131、132がそれぞれ露出している。保護膜210は、例えば、ポリイミド等の絶縁有機物で形成できる。保護膜210は、電極111、112、熱電膜103と外部の物体と電気的接触を防止できる。
【0047】
以下において、実施形態1に係る、熱電変換素子15の製造方法の例を説明する。
図9は、マザー基板220から切り出す前の熱電変換素子15を模式的に示す。一点鎖線は、熱電変換素子15を切り出すための切断線を示す。上述のように、機械加工やレーザー切断により、マザー基板220から熱電変換素子15を切り出すことができる。
【0048】
熱電変換素子15は、薄膜プロセスによって製造される。薄膜プロセスでは、
図9に示すように、1枚のマザー基板220の上に同時に形成する素子の数を増やすことで、製造コストを低減できる。
【0049】
必要な機能を実現するための熱電変換素子構造を薄膜プロセスで形成して、リード線などそれ以外の部分は、別の低コストの工法で製造して接合するという選択が有用となる。本実施形態は、熱起電力を生成するための構造とその出力を外部に取り出すリード線との接続端子部とを、薄膜プロセスで形成する。
【0050】
製造手順の一例は、ガラス基板上にポリイミド膜を形成し、ポリイミド膜上に熱電変換素子の他の構成要素を積層し、各熱電変換素子15を切り出す前又は切り出した後、ガラス基板をポリイミド膜から剥離する。以下においては、製造手順の一例を、平面図及び断面図を参照して説明する。以下においては、1個の熱電変換素子15の製造手順を示すが、実際には、上述にように、このような構造が縦横に配列された状態で一括して製造され、工程の後半で切り離される。切り離し及び薄膜プロセスの手順の組合せは、以下に説明する順序と異なっていてもよい。
【0051】
図10A、10Bは、最初のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図10Bの断面図は、
図10AにおけるB-B切断線での断面を示す。このステップは、ガラス基板301上にポリイミド膜302を塗布し、焼成する。他の例において、ポリイミド膜302がガラス基板301に貼り付けられてもよい。
【0052】
図11A、11Bは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図11Bの断面図は、
図11AにおけるB-B切断線での断面を示す。このステップは、ポリイミド膜302上に熱電膜303を成膜する。熱電膜303は、例えば、スパッタによってIGZOを成膜する。他の成膜方法及び他の材料が選択されてもよい。
【0053】
図12A、12B、12Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、熱電膜303の一部を除去して、熱電膜103を形成する。
図12Bの断面図は、
図12AのB-B切断線の断面を示し、熱電膜が除去された領域における断面を示す。
図12Cの断面図は、
図12AにおけるC-C切断線での断面を示し、熱電膜103が存在する部分の断面を示す。熱電膜の加工は、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用することができる。他の例は、メタルマスクを使用して、熱電膜303を成膜することによって、所望形状の熱電膜103の成膜とパターニングを同時に行ってもよい。
【0054】
図13A、13B、13Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第1電極111を形成する。
図13Bの断面図は、
図13AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部131が形成された領域の断面を示す。
図13Cの断面図は、
図13AのC-C切断線での断面を示し、起電電極部201が形成されている領域の断面を示す。第1電極111の形成は、メタルマスクを使用したスパッタリング若しくは蒸着、又は、全面成膜後のフォトリソグラフィ及びエッチングを利用することができる。
【0055】
図14A、14B、14Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第2電極112を形成する。
図14Bの断面図は、
図14AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部132が形成された領域の断面を示す。
図14Cの断面図は、
図14AのC-C切断線での断面を示し、起電電極部202が形成されている領域の断面を示す。第2電極112の形成方法は、第1電極111の形成方法と同様である。なお、第1電極111と第2電極112のいずれが先に形成されてもよい。
【0056】
図10Aから14Cを参照して説明した工程の後、個々の熱電変換素子15が切り出され、接続端子部131、132へのリード線の接続と、ガラス基板301の剥離が行われる。これらの順序は任意に選択可能である。接続端子部131、132とリード線141、142との接続は、例えば、接続端子部131、132への超音波半田付けでの予備半田付け及びリード線141、142への予備半田付けの後、半田接合を行う。他の半田付け方法を利用してもよい。
【0057】
上述の通り、第1電極111と第2電極112は異なる仕事関数をもった材料を用いる必要がある。熱起電力を効果的に得ることが優先されるため、接続端子部131、132において半田付け等を行う際に、半田材料と第1電極材料、第2電極材料との接合性が悪い場合がある。こうした問題を改善するために、第1電極111と112の接続端子部131と132の部分に、不図示の銅、金、スズ等の半田付け性のよい金属薄膜を更に積層してもよい。
【0058】
リード線は電線の他、FPC(Flexible printed circuits)を使用してもよい。FPCと接続端子部の接合は、接合両面に予備半田を付着して、重ねた状態で熱圧接の手法で接合してもよい。ポリイミド膜のガラスからの剥離は、例えば、ガラスの裏面にレーザー照射して光又は熱の作用でポリイミド膜を剥離する、レーザーリフトオフ(LLO)が使用できる。なお、リード線と接続端子部との半田接合の方法及びポリイミド膜のガラス基板からの剥離の方法は任意である。
【0059】
<実施形態2>
実施形態1は、複数の電極を熱電膜の同じ面に配置した構造を示している。熱電膜と電極の積層順を入れ替えることが可能である。
図15及び16は、実施形態1と異なる積層順序の熱電膜及び電極を含む熱電変換素子15の構成例を示す。
図16は、
図15におけるXVI-XVI切断線での断面図を示す。実施形態1の構成に対して、熱電膜と電極の積層順序が異なる以外の点は同様である。
【0060】
図15及び16に示すように、熱電膜351は、第1電極111及び第2電極112の起電電極部201、202の上に積層され、それらを覆うように形成されている。熱電膜351の外縁は、基板100の外縁の内側にある。接続端子部131、132は、熱電膜351の領域外に配置され、露出している。
【0061】
以下においては、製造の手順の一例を、平面図及び断面図を参照して説明する。以下においては、1個の熱電変換素子15の製造手順を示すが、実際には、上述にように、このような構造が縦横に配列された状態で一括して製造され、工程の後半で切り離される。切り離し及び薄膜プロセスの手順の組合せは、以下に説明する順序と異なっていてもよい。
【0062】
図17A及び17Bは、最初のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図17Bは、
図17AのB-B切断線での断面を示す。このステップは、実施形態1と同様にガラス基板301上にポリイミド膜302を形成する。
【0063】
図18A、18B、18Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第1電極111を形成する。
図18Bの断面図は、
図18AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部131が形成された領域の断面を示す。
図18Cの断面図は、
図18AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極201が形成されている領域の断面を示す。第1電極111の形成は、例えば、エッチング法、すなわちフォトリソグラフィによるパターニングが使用できる。
【0064】
図19A、19B、19Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第2電極112を形成する。
図19Bの断面図は、
図19AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部132が形成された領域の断面を示す。
図19Cの断面図は、
図19AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極202が形成されている領域の断面を示す。第2電極112の形成方法は、第1電極111の形成方法と同様である。
【0065】
図20A、20B、20Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図20Bの断面図は
図20AのB-B切断線での断面を示し、
図20Cの断面図は
図20AのC-C切断線での断面を示す。このステップは、第2電極及び第2電極の起電電極部201、202を覆い、接続端子部131、132が露出するように、熱電膜351を成膜する。熱電膜351は、例えば、メタルマスクを使用してスパッタによってIGZOを成膜する。他の成膜方法及び他の材料が選択されてもよい。
【0066】
熱電膜を全面に形成する構造は、リード線と接続端子部との間には熱電膜が存在するため、正常な信号を取り出すことができない。本実施形態の構造は、接続端子部が上層の熱電膜の領域外にあり、露出しているため、リード線と接続端子部を直接接触するように接合できる。さらに、実施形態1の構成と同様に、寄生デバイスの形成を防止、取り付け時の被測定物の影響も防ぐことが可能となる。
【0067】
実施形態1においては、熱電膜103上で二つの電極111、112それぞれを選択的にエッチングしなければならないので、メタルマスクによるパターニングがより簡便である。実施形態2では、熱電膜351の成膜前に二つの電極111、112のエッチングを行うので、エッチングの選択性確保の難易度が低下する。エッチングにより、メタルマスクに比べ、高精細、高精度のパターニングが可能となる。これにより高性能なデバイスの製造が可能となる。
【0068】
<実施形態3>
図21は、熱電変換素子15の他の構成例を示す。実施形態1の構成と比較して、接続端子部131、132が、熱起電力の生成に寄与する熱電膜361上に積層されており、接続端子部131、132は、その熱電膜361の外縁の内側にある。熱電膜361の外縁は、フレキシブル基板100の外縁の内側にある。
【0069】
接続端子部へリード線を接合する工法は、用途によっては選択肢が広がる。例えば耐熱性をさほど要求しない用途に対しては、導電性接着剤による接合が選択可能となる。導電性接着剤は電極金属を突き抜けるような拡散は発生せず、強力な加圧の必要もない。従って、接合部材である導電性接着剤やリード線が熱電膜と接触することはなく、接続端子部の下に熱電膜が存在しても問題にならない。このような用途では、デバイス動作(例えばセンシング又は発電)に寄与する熱電膜361の外縁が、基板100の外縁よりも内側になるように加工する。製造工程は実施形態1と同様でよい。
【0070】
なお、実施形態1から3を参照して説明した構成において、フレキシブル基板に代えてリジッドな(非フレキシブル)基板、例えばガラス基板を使用してもよい。
【0071】
<実施形態4>
図22は、熱電変換素子15の他の構成例を示す。実施形態1の構成と比較して、
図22に示す熱電変換素子15は、フレキシブル基板に代えて、リジッドな基板110を使用する。基板110は、例えば、ガラス基板である。
【0072】
熱電膜371は、基板110の端部に達している。具体的には、熱電膜371の外縁の一部は、基板110の外縁の一部と一致している。
図22の例において、矩形の熱電膜371の3辺が、基板110の3辺と一致している。一辺は、基板110の外縁の内側にある。上記点以外の部分は、実施形態1の構成と略同様である。例えば、電極111、112は熱電膜371の上層であり、電極の接続端子部131、132は、熱電膜371の領域外の連続する領域内に配置されている。接続端子部131、132は、平面視において熱電膜371から離れている。なお、熱電膜と電極の積層順序は逆でもよい。
【0073】
フレキシブル基板が不要で、リジッドな基板が許容又は必要とされる用途において、ポリイミド基板を使用せずに、製造工程で使用する基板、例えばガラス基板を熱電変換素子の基板として使用することで、ポリイミド膜の形成や剥離の工程等が省略できる。本実施形態の熱電変換素子15は、基板110上の構成要素を覆う保護膜を含んでもよい。この際、接続端子部は露出させておく。
【0074】
例えばガラス基板を用いた場合、板厚は最低でも0.5mm程度あり、熱電膜371の切断面がダレることがない。そのため、熱電膜371が基板110の外縁まで形成されていても、熱電膜371と対象物との距離を保つことはでき、熱電変換素子15の出力が対象物の影響を受けることはない。接続端子部131、132の周囲に熱電膜が存在しないため、半田が接続端子部131、132を貫通する又は半田位置が接続端子部131、132からずれても、寄生デバイスの発生はなく特性は安定する。なお、プロセス的に可能であれば、これよりも薄い基板を用いてもよい。
【0075】
以下において、本実施形態の熱電変換素子の製造方法の例を説明する。製造手順の一例は、ガラス基板上に、ポリイミドを成膜することなく、熱電変換素子の他の構成要素を積層し、各熱電変換素子15を切り出す。以下においては、製造の手順の一例を、平面図及び断面図を参照して説明する。以下においては、1個の熱電変換素子15の製造手順を示すが、実際には、上述にように、このような構造が縦横に配列された状態で一括して製造され、工程の後半で切り離される。切り離し及び薄膜プロセスの手順の組合せは、以下に説明する順序と異なっていてもよい。
【0076】
図23A、23Bは、最初のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図23Bの断面図は、
図23AにおけるB-B切断線での断面を示す。このステップは、ガラス基板110上に、例えば、メタルマスクを使用したスパッタによって、所望形状の熱電膜371を成膜及びパターニングする。熱電膜371は、電極の接続端子部131、132が配置される一つの矩形連続領域以外の領域に形成される。
【0077】
メタルマスクの位置合わせ精度を要求するのは
図23Aにおいて縦方向の1軸方向のみであり、電極111、112に比べて低精度で十分であり、ラフなメタルマスク工程で実現できる。なお、熱電膜371の形成は、メタルマスクを用いない他の方法を利用してもよい。
【0078】
図24A、24Bは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。このステップは、第1電極111を形成する。
図24Bの断面図は、
図24AのB-B切断線での断面を示し、熱起電部の電極201が形成されている領域の断面を示す。第1電極111の形成は、実施形態1と同様でよい。
【0079】
図25A、25Bは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。このステップは、第2電極112を形成する。
図25Bの断面図は、
図25AのB-B切断線での断面を示し、熱起電部の電極201が形成されている領域の断面を示す。第2電極112の形成方法は、第1電極111の形成方法と同様でよい。
【0080】
【0081】
実施形態1の構成と比較して、本実施形態の熱電変換素子15は、フレキシブル基板に代えて、リジッドな基板110を使用する。基板110は、例えば、ガラス基板である。熱電膜381は、基板110の端部に達している。具体的には、熱電膜381の外縁は、基板110の外縁と一致している。
図26Aに示す例において、外形が矩形の熱電膜381の4辺が、基板110の4辺と一致している。本実施形態の熱電変換素子15は、基板110上の構成要素を覆う保護膜を含んでもよい。この際、接続端子部は露出させておく。
【0082】
実施形態4と同様に、ガラス基板の板厚は最低でも0.5mm程度あり、熱電膜381の切断面がダレることがない。そのため、熱電膜381が基板110の外縁まで形成されていても、熱電膜381と対象物との距離を保つことはでき、熱電変換素子15の出力が対象物の影響を受けることはない。なお、プロセス的に可能であれば、これよりも薄い基板を用いてもよい。
【0083】
二つの開口383、385が、熱電膜381に形成されている。電極の接続端子部131、132は、平面視において、熱電膜381とは接触しないように離れて配置されている、つまり、接続端子部131、132は、それぞれ、熱電膜381の領域外に配置されている。より具体的には、接続端子部131は開口383内に配置され、接続端子部132は開口385内に配置されている。電極111、112は、熱電膜381の上層であり、接続端子部131、132は、熱電膜381と接していない。熱電膜と電極の積層順序は逆でもよい。
【0084】
以下において、本実施形態の熱電変換素子の製造方法の例を説明する。以下においては、リフトオフを使用する製造の手順の一例を、平面図及び断面図を参照して説明する。以下においては、1個の熱電変換素子15の製造手順を示すが、実際には、上述にように、このような構造が縦横に配列された状態で一括して製造され、工程の後半で切り離される。切り離し及び薄膜プロセスの手順の組合せは、以下に説明する順序と異なっていてもよい。
【0085】
図27A、27Bは、最初のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図27Bの断面図は、
図27AにおけるB-B切断線での断面を示す。このステップは、ガラス基板110上に、フォトリソグラフィによりフォトレジスト膜403、405を形成する。後述するように、フォトレジスト膜403、405の領域は、開口383、385に対応する。
【0086】
図28A、28Bは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図28Bの断面図は、
図28AにおけるB-B切断線での断面を示す。このステップは、フォトレジスト膜403、405が付着しているガラス基板110上の全面に、例えばスパッタによって熱電膜401を成膜する。熱電膜401は、露出しているガラス基板110及びフォトレジスト膜403、405上に接触して積層される。
【0087】
図29A、29B、29Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図29Bの断面図は
図29AにおけるB-B切断線での断面を示し、
図29Cの断面図は
図29AにおけるC-C切断線での断面を示す。このステップは、フォトレジスト膜403、405を剥離することで、それらの領域の熱電膜を除去して、開口383、385を有する熱電膜381を形成する。リフトオフはパターンの外周から進行するので、広い領域より、狭い領域の方が短時間で処理可能である。実施形態4の形状に比べて、接続端子部に対応する部分のみを除去することで、処理が短時間で完了する。
【0088】
図30A、30B、30Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第1電極111を形成する。
図30Bの断面図は、
図30AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部131が形成された領域の断面を示す。
図30Cの断面図は、
図30AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極部201が形成されている領域の断面を示す。接続端子部131は、開口383内に収容されている。第1電極111の形成は、実施形態1と同様でよい。
【0089】
図31A、31B、31Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第2電極112を形成する。
図31Bの断面図は、
図31AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部132が形成された領域の断面を示す。
図31Cの断面図は、
図31AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極202が形成されている領域の断面を示す。接続端子部132は、開口385内に収容されている。第2電極112の形成方法は、第1電極111の形成方法と同様でよい。
【0090】
図32は、
図31A~31Cに示す構成例における接合部の構成例を示す。接続端子部131、132は熱電膜381と積層されていないので、半田121、122が接続端子部131、132を貫通しても、寄生デバイスが発生することはなく、熱電変換素子15の特性が安定する。
【0091】
図33は、本実施形態の他の接合部の構成例を示す。
図33に示す構成例において、接続端子部181、182の一部、具体的には外周部が、熱電膜381と接触して積層されている。しかし、リード線141、142と接続端子部181、182とを接合する半田121、122は、開口383、385内にあって、基板面内において熱電膜381から離れている。この構成においても、熱電膜381とリード線又は半田との間の寄生デバイスの発生を避けることができる。
【0092】
<実施形態6>
図34A、34B、34Cは、熱電変換素子15の他の構成例を示す。
図34Aは、熱電変換素子15の平面図である。
図34Bは、
図34AのB-B切断線での断面図である。
図34Cは、
図34AのC-C切断線での断面図である。実施形態5の構成と比較して、本構成例は、熱電膜411に加えて、島状の熱電膜413、415を含む。本実施形態の熱電変換素子15は、基板110上の構成要素を覆う保護膜を含んでもよい。この際、接続端子部は露出させておく。
【0093】
熱電膜411は、実施形態5の熱電膜381と同様の形状を有している。具体的には、熱電膜411は、基板110の端部に達している。熱電膜411の外縁は、基板110の外縁と一致している。
図34Aに示す例において、外形が矩形の熱電膜411の4辺が、基板110の4辺と一致している。
【0094】
熱電膜411、413、415は互いに分離されている。後述するように、これらは同一プロセスで同時に形成される、同一の熱電材料層に含まれる。形状の観点からは、熱電膜411は、実施形態の熱電膜381と同様に、二つの開口を有しており、それぞれの開口内に熱電膜413、415が配置されている。熱電膜411と熱電膜413との間に溝387が形成され、熱電膜411と熱電膜415との間に溝389が形成されている。熱電膜413、415は、熱電膜411と異なり、熱起電力の生成(デバイス動作)には寄与しない。
【0095】
接続端子部131、132は、それぞれ、熱電膜413、415上に、これらと接触して積層されている。接続端子部131、132それぞれの外縁は、熱電膜413、415の外縁の内側であって、熱電膜411から離間されている。接続端子部131、132が、それぞれ、熱電膜411の外部において、平面視において熱電膜411の開口内に収容されている点は、実施形態5と同様である。
【0096】
デバイス動作に寄与する熱電膜411から分離された熱電膜413又は415に電極111又は112以外の金属が接触しても、他方の電極との間の電圧に影響を与えない。従って、リード線との接合部が接続端子部131、132を貫通することがあっても、寄生デバイスの発生はなく特性は安定する。
【0097】
以下において、本実施形態の熱電変換素子15の製造方法の例を説明する。以下においては、熱電膜の加工にレーザーを用いる製造の手順の一例を、平面図及び断面図を参照して説明する。以下においては、1個の熱電変換素子15の製造手順を示すが、実際には、上述にように、このような構造が縦横に配列された状態で一括して製造され、工程の後半で切り離される。切り離し及び薄膜プロセスの手順の組合せは、以下に説明する順序と異なっていてもよい。
【0098】
図35A、35Bは、最初のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。このステップは、ガラス基板110上の全面に、例えばスパッタによって熱電膜419を成膜する。
【0099】
図36A、36B、36Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び断面図を示す。
図36Bの断面図は
図36AにおけるB-B切断線での断面を示し、
図36Cの断面図は
図29AにおけるC-C切断線での断面を示す。このステップは、接続端子部131、132を形成する領域を囲むように、レーザービーム加工で熱電膜419を除去する。これにより、熱電膜411と413との間の溝387、熱電膜411と415との間の溝389が、形成される。
【0100】
熱電膜間の溝は、実施形態4、5のように面で熱電膜を除去するのではなく、線状の除去加工で形成可能である点で、レーザービーム加工は適している。マスクが不要であり、スポット状のビームを、熱電膜419の切断線に沿ってスキャンすればよい。
【0101】
図37A、37B、37Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第1電極111を形成する。
図37Bの断面図は、
図37AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部131が形成された領域の断面を示す。
図37Cの断面図は、
図37AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極部201が形成されている領域の断面を示す。接続端子部131は、熱電膜413上に形成されている。第1電極111の形成は、実施形態1と同様でよい。
【0102】
図38A、38B、38Cは、次のステップの後の構造物の平面図及び二か所の断面図を示す。このステップは、第2電極112を形成する。
図38Bの断面図は、
図38AのB-B切断線での断面を示し、接続端子部132が形成された領域の断面を示す。
図38Cの断面図は、
図38AのC-C切断線での断面を示し、熱起電部の電極202が形成されている領域の断面を示す。接続端子部132は、熱電膜415上に形成されている。第2電極112の形成方法は、第1電極111の形成方法と同様でよい。
【0103】
なお、実施形態4から6における熱電膜と接続端子との間の関係についての説明は、ガラス基板に代えてフレキシブル基板を有する熱電変換素子に適用することができる。
【0104】
<実施形態7>
蒸着、スパッタやフォトリソグラフィなどを組み合わせた薄膜プロセスを用いたデバイス15の製造において、1枚の基板からいくつのデバイスが取れるかというのはコスト面で重要な課題である。本提案で対象にしている熱電変換モジュールでは、実用に供するためには、熱電変換を担う領域と、その出力を外の計測器等まで伝送するためのリード線と、それらを支える基板やリード線の被覆といった部分が必要となる。
【0105】
この中で、薄膜プロセスで製造することが必須なのは、熱電変換を担う領域であり、積層された熱電膜と二つの電極で構成される領域である。リード線は薄膜プロセス以外の工法で作った方が容易であり低コストである。これらを接続してデバイスを完成させるのが、効率の点で適切である。このときに薄膜プロセスで製造するのは、熱電変換を担う起電電極部と、これに近接して、短いリード部を挟んで存在する、外部のリード線を接続する接続端子部を一体化したものである。
【0106】
上記実施形態は、このような考え方に基づいた構造に対して説明してきたが、この構造では問題となり得る用途がある。一つは、高温耐性が要求される用途であり、もう一つは、対象物の狭い隙間に設置したい用途である。いずれも、接続端子部が対象領域の近傍に存在することが原因の一端であり、一方は接続方法の耐熱性に起因する問題であり、他方は接続構造の高さに起因する問題である。
【0107】
薄膜プロセスで形成される熱電変換領域自体の構成材料において、熱電膜は例えば酸化物半導体膜であり、IGZOであれば、300~400℃程度のプロセス温度に耐える十分な耐熱性を持っている。金属電極について、例えばNiの融点は1455℃、Tiの融点は1675℃である。フレキシブル基板の材料であるポリイミドの分解温度は500℃以上と言われている。
【0108】
このように熱電変換領域を構成する材料は一般に300℃~400℃程度の範囲では十分に耐熱性を持っている。しかし、上述のように、別部材のリード線を熱電変換素子に接続する構造は、接合部を含むために、接合部の耐熱性がデバイス全体の耐熱性を決定する。高温半田の固相線温度は220℃程度であり、一般的な異方性導電フィルム(ACF)は百数十℃を超えるような環境での用途は想定されていない。
【0109】
そこで、本実施形態は、高耐熱用デバイスとして、熱電変換領域と長いリード領域を一体で形成したデバイスを提案する。マザー基板のサイズ制約の範囲内ではあるが、外部装置が置ける温度の領域まで全てを一体形成してもよいし、接合部の耐熱性が確保できる位置までリード部を延ばして接続端子部を形成し、別のプロセスで製造したリード線を接合してもよい。
【0110】
図39は、本実施形態の熱電変換素子15の構成例を示す。熱電変換素子15は、上記他の実施形態と比較し、接続端子部と熱電変換を行う起電電極部との間に、長いリード部を含む。
【0111】
具体的には、第1電極111及び第2電極112は、それぞれ、実施形態1の構成と比較して、長いリード部501及び502を含む。実施形態1と同様に、接続端子部131、リード部501及び起電電極部201は一体で形成され、一つの導電膜である第1電極111に含まれている。同様に、接続端子部132、リード部502及び起電電極部202は一体で形成され、一つの導電膜である第2電極112に含まれている。
【0112】
図39に示すように、リード部501、502の長さL2は、熱起電部の長さL1及び接続端子部131、132の長さL3よりも長い。リード部の長さは、熱起電部と接続端子が互いに最も近接している部位の間の距離で定義される。熱起電部及び接続端子部の長さは、リード部の長さと平行な方向において、それぞれの最も大きい寸法である。なお、二つのリード部の長さは異なっていてもよく、いずれかの最も短いリード部の長さが、熱起電部及び接続端子部の長さより長い。また、
図39の例において、二つのリード部501、502は直線状で平行であるが、これらは屈曲していてもよい。
【0113】
図39に示す構成においては、熱電膜103は、起電電極部201、202と重なる熱起電部のみに形成され、起電電極部201、202と一体形成された、リード部501、502及び接続端子部131、132と重なる領域では除去されている。熱電膜103の外縁は、フレキシブル基板100の外縁よりも内側に配置されている。フレキシブル基板100の素子形成面において、接続端子部131、132を除く領域は、保護層として、例えばポリイミド層が形成されていてもよい。製造手順は実施形態1と同様でよい。
【0114】
この構成によって、高耐熱性で、対象物への設置領域における厚みが薄いデバイス(熱電変換モジュール)が実現でき、リード線と熱電膜による寄生デバイスの影響が排除され、適切な出力が得られる。
【0115】
なお、上記実施形態は、半田付けを主な例として説明したが、ワイヤーボンディング、圧接、拡散接合、ACF、導電性接着剤などを用いても、薄い電極材料薄膜を貫通してリード線及び接続端子が熱電膜と直接接触する可能性があるため、同様の対応が特性の安定化に有効である。
【0116】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0117】
15 熱電変換素子、25 対象物、100、110 基板、103、303、351、361、371、381、401、411、413、415、419 熱電膜、111、112 電極、121、122 半田、131、132 接続端子部、141、142 外部リード線、181、182 接続端子部、201、202 起電電極部、201、202 起電電極部、203、501、502 リード部、210 保護膜、220 マザー基板、301 ガラス基板、302 ポリイミド膜、383、385 開口、387、389 溝、403、405 フォトレジスト膜