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  • 特許-エフェクター固定器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】エフェクター固定器具
(51)【国際特許分類】
   G10G 7/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
G10G7/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019222970
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092653
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】519441327
【氏名又は名称】類家 公明
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】類家 公明
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0271821(US,A1)
【文献】特開2000-307268(JP,A)
【文献】特開平09-246736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0295190(US,A1)
【文献】特表2017-518535(JP,A)
【文献】実開昭53-038311(JP,U)
【文献】実開昭56-092515(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00-7/02
G10H 1/00-1/46
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響用のエフェクターを固定するためのエフェクター固定器具であって、
エフェクターが載置されるボードと、該ボードへ着脱可能に配設される複数の支持部材と、から成り、
該ボードは、所要長さ・幅・高さを有する平板状の矩形板材であって、表面全体に複数のネジ孔が穿孔されて成り、
該支持部材は、弾性体が装着されて成るエフェクターとの当接面を有すると共に該当接面に対し垂直であって該当接面からみて手前方向に所要長さの貫通したスリット溝孔を備える枠体と、該スリット溝孔に挿通されるネジ体と、から成り、
ボードの表面にエフェクターを載置した状態で、該エフェクターの側面に当接面が当接するように複数の支持部材を配設し、ネジ体を各支持部材のスリット溝孔に挿通すると共にボードのネジ孔と螺合させることで、エフェクターがボードに固定されることを特徴とするエフェクター固定器具。
【請求項2】
前記ボード裏面の所定箇所に、複数の脚部が装着されて成ることを特徴とする請求項1に記載のエフェクター固定器具。
【請求項3】
前記ボード表面の少なくとも一の端辺に、滑落防止用の支持フレームが備えられて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエフェクター固定器具。
【請求項4】
前記ボード表面の所定箇所に、取っ手が備えられて成ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエフェクター固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフェクター固定器具に関し、詳しくは、音響用のエフェクターを固定するためのボード及び支持部材から成るエフェクター固定器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響用のエフェクターは、エレクトリックギターをはじめとする電気楽器が発生させた音の電気信号を、出力機器に至るまでの間に種々変化させることで、音響効果を向上させるための機器である。該エフェクターには、音量を調節し得るボリュームペダルや、他機器へ音声信号を送るチューナー、音声信号を電気的に増幅するプレアンプ(ブースター)、特定の周波数を強調又は減衰させる処理を行うイコライザー、原音を歪ませ倍音を作り出して実音にミックスするエンハンサー、足で操作する事により増幅される周波数帯を変えるワウペダルなど、用途・機能に応じて多種多様な機器が存在するもので、これら各エフェクターの大きさは統一されておらず、夫々異なった大きさを有している。
【0003】
これらエフェクターは、演奏者によって必要とする種類が異なるもので、演奏者は、自ら必要とするエフェクターを、ボードと呼ばれる平板状の板材の上に所望の配列で複数並べて固定し、各エフェクター同士を配線で接続して使用するのが一般的である。このボード上に複数のエフェクターを配置・固定した状態で、そのままトランクケースに収納して持ち運ぶことが可能であり、また演奏会場では、トランクケースから取り出して床に置き、そのまま使用することも可能であるため、運搬性に資すると共に、演奏会場での配線・接続の容易性にも資することとなる。
【0004】
ところで、上記のエフェクターとボードとの固着態様については、面ファスナーや両面テープを使用するのが通例である。しかしながら、面ファスナーによる固着態様の場合、面ファスナーの雄側と雌側とをエフェクターとボードの夫々に貼着する必要があると共に、面ファスナーの劣化による経時的な固着力の低下や、それに伴い運搬時にボードからエフェクターが剥がれるおそれもあり、さらには、エフェクターの配置が予め決められてしまうため、エフェクターの配置転換や交換、追加に対応するのが困難である、といった問題があった。また、両面テープによる固着態様の場合、両面テープの経時的な粘着力の劣化によるエフェクターの剥がれや、必要に応じてエフェクターを剥がす際に粘着材が残存することとなり、さらに、エフェクターの配置転換や交換、追加に対応するのが困難である、といった問題があった。
【0005】
このような問題を解決すべく、特許第4922475号公報(特許文献1)や、特許第6273295号公報(特許文献2)、実開昭56-92515号公報(特許文献3)などの技術提案が為されている。
【0006】
上記特許文献1にかかる技術提案は、ボードにおけるエフェクターの取り付け高さを可変し得る固定具であって、一のエフェクターを固定し得るためのものであり、固定具下方の空いたスペースに配線を収容することで、配線が脚先で操作するスイッチング操作の邪魔にならないようにするための技術提案である。
すなわち、一のエフェクターを固定し得るための固定具であり、該固定具を介してボード上にエフェクターを配置・固定するための技術提案であって、複数のエフェクターをボード上に固定するための提案とはなっておらず、また、各エフェクターに固定具を装着することでエフェクター自体を嵩張らせてしまうことになるため、限られたスペースにおいて複数のエフェクターを効率良く配置するには不向きな提案であった。
【0007】
また、上記特許文献2にかかる技術提案は、複数の長手方向セクションを並列して端部ピースにより両側端を連結したペダルボード支持体であって、長手方向セクションには取り付け手段を収容するためのチャネルが形成された長手方向溝が備えられ、長手方向セクション上に載置されたペダルをL形状の支持体により挟持し、ネジ接続部により支持体を長手方向溝に固定する構造を採用するものである。
すなわち、複数の長手方向セクションと端部ピースとを組み立てて一のボードを構成させるもので、組み立て作業が煩雑であると共に、各長手方向溝にチャネルが形成されるという構造が複雑であり、また、支持体によりエフェクターを左右の側面でのみ固定する態様であって、上下方向からの固定ができない構造であることから、結果として確実な固定に難があるものであった。
【0008】
さらに、上記特許文献3にかかる技術提案は、一枚の合板から成る支持板に複数のエフェクターを固定して成るもので、支持板に直にエフェクターを接着等により固定する技術提案である。
すなわち、エフェクターが支持板と直に接着されるものであることから、経時的な粘着力の劣化によりエフェクターが剥がれやすくなるおそれがあると共に、エフェクターの配置転換や交換、追加に対応することは困難で、実用性に欠けるものであった。
【0009】
本出願人は、エフェクターを配置・固定するためのボードに着目し、エフェクターを確実に固定しつつ配置転換や交換、追加を容易にできないものかとの着想のもと、エフェクターの配置レイアウトの自由度を向上しつつ、確実な固定が可能であって、必要に応じて配置転換や交換、追加も容易なエフェクター固定器具を開発し、本発明にかかる「エフェクター固定器具」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第4922475号公報
【文献】特許第6273295号公報
【文献】実開昭56-92515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記技術背景に鑑み、エフェクターの配置レイアウトの自由度を向上しつつ、必要に応じて配置転換や交換、追加も容易なエフェクター固定器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、音響用のエフェクターを固定するためのエフェクター固定器具であって、エフェクターが載置されるボードと、該ボードへ着脱可能に配設される複数の支持部材と、から成り、該ボードは、所要長さ・幅・高さを有する平板状の矩形板材であって、表面全体に複数のネジ孔が穿孔されて成り、該支持部材は、エフェクターとの当接面を有すると共に該当接面に対し垂直であって該当接面からみて手前方向に所要長さの貫通したスリット溝孔を備える枠体と、該スリット溝孔に挿通されるネジ体と、から成る手段を採る。
【0013】
かかる手段を採用することにより、ボードの表面にエフェクターを載置した状態で、該エフェクターの側面に当接面が当接するように複数の支持部材を配設し、ネジ体を各支持部材のスリット溝孔に挿通すると共にボードのネジ孔と螺合させることで、エフェクターがボードに固定されることとなる。
【0014】
また、本発明は、前記ボード裏面の所定箇所に、複数の脚部が装着されて成る手段を採用し得る。
【0015】
さらに、本発明は、前記ボード表面の少なくとも一の端辺に、滑落防止用の支持フレームが備えられて成る手段を採用し得る。
【0016】
またさらに、本発明は、前記ボード表面の所定箇所に、取っ手が備えられて成る手段を採用し得る。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記枠体の当接面に、弾性体が装着されて成る手段を採用し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるエフェクター固定器具によれば、エフェクターの側面を支持部材で挟持してネジ体により螺着することによって、該支持部材が固定されると同時にエフェクターがボード上に固定される態様を採るもので、ボードの表面全体に複数のネジ孔が穿孔されると共に、支持部材にスリット溝孔が形成されていることで、ボードのあらゆる位置にスリット溝孔を介してネジ体をネジ孔に螺合することが可能であり、しかも上下左右だけでなくあらゆる方向からの支持部材による支持が可能であって、ボード上のどの位置にどの向きでエフェクターを配置しても、支持部材で確実に固定することができる、といった優れた効果を奏するものである。
【0019】
また、本発明にかかるエフェクター固定器具によれば、ネジ体を外すだけでエフェクターの固定状態を直ぐに解除することができるため、必要に応じてエフェクターの配置転換や交換、追加のための作業も容易に行うことができると共に、支持部材にスリット溝孔が形成されているため、ネジ体を半締め状態で支持部材の位置をスリット溝孔に沿って移動することが可能であり、エフェクターの固定位置の微調整や固定強度、固定角度の調整等も容易に行うことができる、といった優れた効果を奏するものである。
【0020】
さらに、本発明にかかるエフェクター固定器具によれば、エフェクターと支持部材との当接箇所を自由に設定し得ることから、エフェクターの側面における配線や配線用ソケットが存する箇所を避けて支持部材を当接させることが可能であって、エフェクターの配置レイアウトの自由度向上に資する、といった優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明にかかるエフェクター固定器具の実施形態を示す説明図である。
図2】本発明にかかるエフェクター固定器具の実施形態を示す説明図である。
図3】本発明にかかるエフェクター固定器具の使用態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明にかかるエフェクター固定器具1は、ボード10の表面にエフェクターEを載置した状態で、該エフェクターEの側面に当接面22が当接するように複数の支持部材20を配設し、ネジ体25を各支持部材20のスリット溝孔23に挿通すると共にボード10のネジ孔12と螺合させることで、エフェクターEがボード10に固定されることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるエフェクター固定器具1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0023】
なお、本発明にかかるエフェクター固定器具1は、以下に述べる実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる機器や該機器の素材もしくは形状などに関して適宜変更することができる。
【0024】
図1及び図2は、本発明にかかるエフェクター固定器具1の実施形態を示す説明図である。
本発明にかかるエフェクター固定器具1は、音響用のエフェクターEを固定するためのものであって、エフェクターEが載置されるボード10と、該ボード10へ着脱可能に配設される複数の支持部材20と、から構成されている。
【0025】
ボード10は、所要長さ・幅・高さを有する平板状の矩形板材であって、その材質については特に限定は無く、金属製や樹脂製、木製、紙製などにより形成されている。該ボード10の寸法については、トランクケースに収納可能な寸法であって、トランクケースの大きさによってボード寸法の許容範囲が変わるため、特に限定するものではないはないが、例えば長さ(縦幅)が20~40cm、幅(横幅)が40~80cm、高さ(厚み)が0.3~1.5cm程度のものが考え得る。
【0026】
ボード10の表面には、面全体にわたって複数のネジ孔12が穿孔されている。かかるネジ孔12は、ボード10の表面から裏面まで貫通して穿孔される。該ネジ孔12には雌ネジが切られており、後述するネジ体25における雄ネジが切られたネジ部25aと螺合可能となっている。ネジ孔12の数については、特に限定はないが、ボード10の表面全体にわたって多くのネジ孔12が穿孔されている。ネジ孔12の配列については、規則的であると不規則であるとを問うものではないが、製造上や使用上の便宜に鑑みると、縦横規則的に配列される態様が好ましい。図面では、縦14列、横26列、その他周辺合わせて全部で398のネジ孔12が穿孔されている場合を例示している。ネジ孔12の穿孔間隔については、後述の支持部材20における枠体21に備えられるスリット溝孔23の長さ等を考慮して決定されるものであるが、例えば1.5~2.5cmの間隔で穿孔される。
【0027】
該ボード10の裏面における所定箇所には、脚部14が装着されている。該脚部14の装着箇所や数については、特に限定はないが、少なくとも四隅に装着される態様が考えられ、さらには、ボード10の周縁における長さ方向及び幅方向の夫々略中央箇所や、面の略中央箇所等にも装着される態様なども考え得る。脚部14の高さについても、特に限定はないが、あまりに高いと、エフェクターEの使用に際し、足での操作に支障が出るおそれがあるため、例えば1~2cm程度とする。
【0028】
脚部14は、ボード10と螺着されることで装着されるもので、その際にボード10に脚部専用のネジ孔12を穿孔する態様のほか、既に穿孔された前記ネジ孔12を利用して装着することができる。すなわち、図2(b)に示す様に、脚部14の中心に雌ネジが切られたネジ受け14aを備え、ボード10のネジ孔12を貫通したネジ体25の先端を該ネジ受け14aと螺合させることで、ボード10の裏面に脚部14を装着することができる。あるいは、図2(c)に示す様に、脚部14の中心に雄ネジが切られたネジ部14bを備え、該ネジ部14bをボード10の裏面側からネジ孔12に螺合させることで、ボード10の裏面に脚部14を装着する態様も可能である。
【0029】
このように、ボード10の裏面に脚部14が装着されることで、ボード10の下方にスペースが創出されることとなる。かかるスペースは、ボード10に穿孔されたネジ孔12と併せて、エフェクターE等に接続される配線などを収束しておくことが可能であり、また、後述するネジ体25のネジ部25aがネジ孔12を貫通して先端が下方へ突き出た場合に、その突き出た先端部分の逃がし空間としても機能する。
【0030】
脚部14は、螺合によりボード10の裏面に装着されることから、螺合具合を調整することで、各脚部14の高さを調整することが可能であり、具体的には、脚部14の螺合具合を緩めることで、当該脚部14位置を高くすることが可能である。あるいは、脚部14とボード10の間に座金などスペーサを配することで、高さを調整することも可能である。この様に、各脚部14の高さ調整が可能であることから、床面に載置した際のガタつきを無くし、全脚部14で均等にボード10を支えることが可能となる。
【0031】
脚部14における床面との当接面に、滑り止め手段16を施す態様が望ましい。滑り止め手段16の詳細については、特に限定はなく、既存の技術を採用すれば足りるが、例えばゴムなどの滑り止め材を脚部14の端面に装着する態様が考え得る。かかる滑り止め手段16を施すことで、エフェクターEの使用に際し、操作による力が加えられても、ボード10がズレ動くことを防ぐことができ、操作性向上に資することとなる。
【0032】
前記ボード10の表面における少なくとも一の端辺には、図示の様に、滑落防止用の支持フレーム17を装備させる態様も考え得る。該支持フレーム17は、ボード10に載置されるエフェクターEの配置決めの基準となるもので、先ず支持フレーム17に合わせて幾つかのエフェクターEを配置し、その余のスペースに順次他のエフェクターEを配置していくことで、効率良くエフェクターEの配置決めが可能となる。尚、該支持フレーム17は、エフェクターEの滑落防止にも機能する。該支持フレーム17は、ボード10と螺着されることで装備されるもので、その際にボード10に支持フレーム専用のネジ孔12を穿孔する態様のほか、既に穿孔された前記ネジ孔12を利用して装着することができる。
【0033】
また、前記ボード10の表面における所定箇所には、図示の様に、取っ手18を装備させる態様も考え得る。該取っ手18は、ボード10をトランクケースから取り出したり、移動したりする際の持ち手となるもので、ボード10における対向する両側端辺に夫々備えられる。尚、該取っ手18は、エフェクターEの滑落防止にも機能する。該取っ手18は、ボード10と螺着されることで装備されるもので、その際にボード10に取っ手専用のネジ孔12を穿孔する態様のほか、既に穿孔された前記ネジ孔12を利用して装着することができる。
【0034】
支持部材20は、図2(a)に示す様に、枠体21と、ネジ体25とから構成されている。枠体21は、エフェクターEと当接する所要高さ・幅を有する当接面22を備え、また、該当接面22に対し垂直であって、当接面22からみて手前方向に所要長さの貫通したスリット溝孔23を備えて形成されるもので、例えば全体の長さが3cm、当接面22の高さが1cmで幅が1.5cm、スリット溝孔23の長さが2cm程度に形成される。該スリット溝孔23は、後述するネジ体25におけるネジ部25aが挿通可能であると共に、ネジ体25におけるヘッド部25bは挿通されずに係止されるもので、すなわちスリット溝孔23の幅は、ネジ部25aの径幅以上、ヘッド部25bの径幅未満に設定される。
【0035】
前記枠体21の当接面22には、図示の様に、弾性体24を装着させる態様を採用する。かかる弾性体24の詳細については、特に限定はなく、既存の技術を採用すれば足りるが、例えばゴムや発泡体などの弾性体24を当接面22に装着する態様が考え得る。該弾性体24は、エフェクターEを支持部材20(枠体21)で固定する際のクッションとなるもので、固定を強固にしようとすればするほど、エフェクターEを支持部材20により強い力で挟み込もうとしてしまうが、当接面22に弾性体24が存することで、押圧が緩和され、エフェクターE側面の陥没・変形等を防止することができると共に、弾性体24の反発作用により、確実且つ強固な固定を可能にする。


【0036】
ネジ体25は、雄ネジが切られたネジ部25aと、該ネジ部25aを回転作用させるヘッド部25bとで構成され、既存のものを採用すれば足りる。ネジ部25a及びヘッド部25bの径幅については、特に限定はないが、少なくともネジ部25aよりもヘッド部25bの方が大径である。ネジ部25aの長さについても、特に限定はないが、少なくとも支持部材20を介してボード10のネジ孔12と螺合可能な長さを有していると共に、ネジ孔12を貫通して床面に突き当たらない程度の長さであることを要し、脚部14の有無等も考慮して決定される。
【0037】
以上の各構成要素により、本発明にかかるエフェクター固定器具1は構成される。図3は、本発明にかかるエフェクター固定器具1の使用態様を示す説明図であり、該エフェクター固定器具1は、複数の音響用のエフェクターEを演奏者の所望の配置で固定して使用されるもので、具体的には、以下の要領で使用される。
【0038】
先ず、ボード10の表面に、複数のエフェクターEを載置する。このとき、配線接続における配列の順や、限られたスペースの有効活用を考慮した上で、位置を適宜入れ換え、最終的に演奏者が所望する態様にて各エフェクターEの配置が決定される。
【0039】
各エフェクターEの配置が決まったら、その位置でエフェクターEを固定すべく、支持部材20を使用する。具体的には、当接面22をエフェクターEの側面に当接させた状態で、枠体21を配設する。このとき、エフェクターEの一側面に対し1~3個の枠体21が使用され、エフェクターEの四面ある全側面では、概ね4~10個の枠体21が使用される。すなわち、一のエフェクターEにつき、上下左右その他あらゆる方向から、該エフェクターEに存する各側面に対し、枠体21を当接させることとなる。枠体21の配設に際して、枠体21のスリット溝孔23とボード10に穿孔されたネジ孔12とが位置的に重なるように配設される。尚、エフェクターEの側面には、配線が繋がっていたり、配線接続用のソケットやON/OFFスイッチなどが備わっている場合もあるが、それらと枠体21とが重なることがなければ、そのまま枠体21を配設することが可能であり、あるいは、重なってしまう場合には、それらを避けて枠体21は配設される。
【0040】
枠体21が配設された状態で、スリット溝孔23にネジ体25のネジ部25aを挿通し、ボード10のネジ孔12とネジ部25aを螺合させる。このとき、必要に応じて枠体21の位置を微調整しつつ、ネジ体25による締め付けを行う。これにより、枠体21がネジ体25で固定され、配設された枠体21全てについて、ネジ体25による締め付けを行うことで、エフェクターEがボード10に固定されることとなる。
【0041】
尚、図示の様に、ボード10には、音響用のエフェクターEのほか、該エフェクターEのコンセントを接続し得るコンセントタップCなど、関連する機器を配置・固定することも可能であり、エフェクターE同様に支持部材20にて固定し得る。
【0042】
以上の通り構成される本発明にかかるエフェクター固定器具1によれば、ボード10上のどの位置にどの向きでエフェクターEを配置しても、支持部材20で確実に固定することが可能であり、また、必要に応じてエフェクターEの配置転換や交換、追加のための作業も容易に行うことができると共に、エフェクターEの固定位置の微調整や固定強度、固定角度の調整等も容易に行うことが可能であって、エフェクターEの配置レイアウトの自由度が向上されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、音響用のエフェクターの固定器具に限らず、平板状の板材に各種機器を配置・固定する態様であれば、その他の多岐にわたる幅広い分野でも利用され得るものであり、上記「発明の効果」に記載の通り、その利便性・利用価値は絶大である。したがって、本発明にかかる「エフェクター固定器具」の産業上の利用可能性は極めて大であると思料する。
【符号の説明】
【0044】
1 エフェクター固定器具
10 ボード
12 ネジ孔
14 脚部
14a ネジ受け
14b ネジ部
16 滑り止め手段
17 支持フレーム
18 取っ手
20 支持部材
21 枠体
22 当接面
23 スリット溝孔
24 弾性体
25 ネジ体
25a ネジ部
25b ヘッド部
C コンセントタップ
E エフェクター
図1
図2
図3