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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】エア抜き装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/18 20060101AFI20240711BHJP
   B65B 9/067 20120101ALI20240711BHJP
   B65B 51/12 20060101ALI20240711BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B65B3/18
B65B9/067
B65B51/12
B65B51/10 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020049567
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147089
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松本 航
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-034413(JP,A)
【文献】特開2006-075987(JP,A)
【文献】特開2019-038566(JP,A)
【文献】特開2011-152943(JP,A)
【文献】特開2003-072702(JP,A)
【文献】特開2006-168795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/18
B65B 9/067
B65B 51/12
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に製袋された包装フィルムを横方向にシール・カットするトップシール装置の下流側に配置され、前記トップシール装置でシール・カットされる前の前記包装フィルムの先端側の空気を上流側に押し出すエア抜き装置であって、
搬送面上に位置する製品を内包する前記包装フィルムを、前記製品の上方から抑え付け可能な抑え部材と、その抑え部材を昇降移動させる移動機構を備え、
前記抑え部材は、その抑え部材の下面が露出した状態で前記包装フィルムに接触する接触面を有し、前記接触面側の一部に前記接触面を有せず前記包装フィルムと接触しない非接触部位を設けるとともに、その非接触部位が外部に繋がる空気の通り道を備え、
前記非接触部位の下方は開放され、前記抑え部材が下降して前記包装フィルムを抑え付けた状態では、前記非接触部位に対向する前記包装フィルムのフィルム部位は、直接抑え付けられることなくその周囲に存在するフィルム部位が前記抑え部材の前記接触面で抑え付けられることにより抑えられ、前記空気の上流側への押し出しを行えるようにし
前記包装フィルムを抑え付けた状態の前記抑え部材が上昇する際に、前記非接触部位内に外部から空気が流入し前記抑え部材の前記接触面と前記包装フィルム間に空気が入り込むように構成したことを特徴とするエア抜き装置。
【請求項2】
前記抑え部材の下面に、両端が前記抑え部材の周面に開口する凹溝を設け、
その凹溝が、前記非接触部位と前記空気の通り道を構成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエア抜き装置。
【請求項3】
前記凹溝は、前記包装フィルムの搬送方向と平行或いは直交する方向に延びるように形成したことを特徴とする請求項2に記載のエア抜き装置。
【請求項4】
前記筒状に製袋された包装フィルムは、その上面側で包装フィルムの両端が重合されてシールされたセンターシール部を有し、そのセンターシール部はその付け根部分から折り曲げられて倒された状態となり、
前記凹溝は、前記倒れた状態の前記センターシール部の先端側からずらして形成し、その先端側は前記接触面で抑えられるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載のエア抜き装置。
【請求項5】
前記抑え部材に上下に貫通する貫通孔を備え、
その貫通孔の下端は前記接触面側に開口して前記非接触部位となり、前記貫通孔の上端側が外部に繋がるように構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエア抜き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に用いられるエア抜き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横ピロー包装機は、連続して供給される帯状の包装フィルムを製袋器を通して筒状に製袋し、包装フィルムの左右の両側縁が重合され、その重合端がセンターシール装置によってシールされる。一方、製袋器の上流側には、製袋器内に製品を所定間隔毎に供給する製品搬送供給装置が配置される。製袋器内に供給される製品は、そのまま筒状に製袋される包装フィルム内に供給され、筒状の包装フィルム内に等間隔に配置された状態で当該包装フィルムとともに搬送される。そして、横ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置にて、筒状の包装フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、製品を内包する包装体が製造される。
【0003】
通常、製品の高さよりも、筒状に製袋した際の包装フィルムの高さの方が高く、製品と筒状の包装フィルムの間に空間が生じている。よって、そのままトップシール装置でシール・カットすると、製品の周囲に存在した空気がそのまま包装体内に残り、ふくらんだ状態となる。特に、窒素ガスなどの不活性ガスを充填した場合にはより顕著となる。
【0004】
そこで、包装体の高さを製品の高さ相当に抑えたい場合等では、たとえば特許文献1等に示す装置を用い、先頭の製品がトップシール装置を通過し、包装フィルムがシール・カットされる前であって続く包装フィルムと繋がっている状態のときに、当該先頭の包装フィルム内の空気等を排出するエア抜きを行う場合がある。
【0005】
係る装置は、例えばトップシール装置の上方側のトップシーラに、包装フィルムを下方に付勢可能な押圧部材を一体に連結し、トップシーラの昇降移動に連動して昇降するように構成する。押圧部材は、例えばスポンジ等であり、トップシーラが下降移動すると、それに追従して押圧部材も加工し、包装フィルムの上面を下方に向けて付勢する。これにより、包装フィルムの上面の高さ位置が下がり、内部の空気は、上流側に連続する筒状の放送フィルムの内部空間側に移動する。そして押圧部材が製品の上面に包装フィルムを介して間接的に接触する位置まで下降し、その状態でトップシール装置が包装フィルムをシール・カットすると、製造される包装体の高さが製品の高さ相当となる。
【0006】
そして例えば特許文献1の図4等に示すように、製品が扁平でその正面が平坦な状態の場合、押圧部材の下面がその全面にわたり包装フィルムの上面に接触し、全体で包装フィルムひいては製品を押さえるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-90939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したエア抜き装置では、先頭の包装フィルムがトップシール装置にて横方向にシール・カットされるまで押圧部材が包装フィルム並びに製品を押さえ、包装体が製造された後で押圧部材が包装フィルムから離反するようになる。すると、押圧部材が包装フィルムから離れる際に、包装フィルムがエア抜き装置の押圧部材に引っ張られて舞い上がってしまい、安定して搬送されないことがある。特に、単位時間あたりの製造個数が多く高速搬送・動作するような場合、また、製品が例えばPTPシートのように薄型で軽量なものの場合顕著に生じる。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のエア抜き装置は、(1)筒状に製袋された包装フィルムを横方向にシール・カットするトップシール装置の下流側に配置され、前記トップシール装置でシール・カットされる前の前記包装フィルムの先端側の空気を上流側に押し出すエア抜き装置であって、搬送面上に位置する製品を内包する前記包装フィルムを、前記製品の上方から抑え付け可能な抑え部材と、その抑え部材を昇降移動させる移動機構を備え、前記抑え部材は、その抑え部材の下面が露出した状態で前記包装フィルムに接触する接触面を有し、前記接触面側の一部に前記接触面を有せず前記包装フィルムと接触しない非接触部位を設けるとともに、その非接触部位が外部に繋がる空気の通り道を備え、前記非接触部位の下方は開放され、前記抑え部材が下降して前記包装フィルムを抑え付けた状態では、前記非接触部位に対向する前記包装フィルムのフィルム部位は、直接抑え付けられることなくその周囲に存在するフィルム部位が前記抑え部材の前記接触面で抑え付けられることにより抑えられ、前記空気の上流側への押し出しを行えるようにし、前記包装フィルムを抑え付けた状態の前記抑え部材が上昇する際に、前記非接触部位内に外部から空気が流入し前記抑え部材の前記接触面と前記包装フィルム間に空気が入り込むように構成した。
【0011】
例えば接触面が包装フィルムと離れる際に生じる負圧が、空気の通り道を設置することで低減され、抑え部材がスムーズに包装体の包装フィルムから離れ、包装体の浮き上がりをなくすことができる。
【0012】
さらに非接触部位に対向する包装フィルムのフィルム部位も、その周囲のフィルム部位が抑え部材により抑え付けられているため、非接触部位に対向するフィルム部位が持ち上がることもなく一緒に抑えられて内部の空気を上流側に移動してエア抜きをすることができる。
【0013】
移動機構は、例えば、実施形態のようにトップシール装置のトップシーラに連結し、それと一体に動かすようにしてもよいし、トップシーラに対して相対的な昇降移動及びまたは前後進移動を可能にしつつ連係してもよいし、トップシール装置と別途配置し、適宜の駆動系により抑え部材を昇降させるものとしてもよい。
【0014】
(2)前記抑え部材の下面に、両端が前記抑え部材の周面に開口する凹溝を設け、その凹溝が、前記非接触部位と前記空気の通り道を構成するようにするとよい。このようにすると簡単な構成で、非接触部位と空気の通り道が実現できるのでよい。
【0015】
(3)前記凹溝は、前記包装フィルムの搬送方向と平行或いは直交する方向に延びるように形成したものとするとよい。簡易な構成でよりスムーズに空気の流れ込みが行えるのでよい。
【0016】
(4)前記筒状に製袋された包装フィルムは、その上面側で包装フィルムの両端が重合されてシールされたセンターシール部を有し、そのセンターシール部はその付け根部分から折り曲げられて倒された状態となり、前記凹溝は、前記倒れた状態の前記センターシール部の先端側からずらして形成し、その先端側は前記接触面で抑えられるようにするとよい。このようにすると、折り曲げられたセンターシール部が、抑え部材の上昇時に引っかかって持ち上がろうとすることを可及的に抑制できる。
【0017】
(5)前記抑え部材に上下に貫通する貫通孔を備え、その貫通孔の下端は前記接触面側に開口して前記非接触部位となり、前記貫通孔の上端側が外部に繋がるように構成するとよい。
【0018】
非接触部位と空気の通り道を実現するのは、凹溝や貫通孔に限られるものではないが、それらの構成は簡易な構成で実現できるので好ましい。さらに、凹溝と貫通孔を同時に実装してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、抑え部材が、包装体から離れる際に、抑え部材と包装フィルムとの間の負圧などの影響から引っ張られて浮き上がるのを可及的に抑制できる。例えば、製品が軽量であったり、扁平状であり、包装機が高速処理されたりしても、包装体の浮き上がりを抑制し、安定して搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るエア抜き装置が実装されるピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
図2】エア抜き装置の好適な一実施形態を示す斜視図である。
図3】その正面図である。
図4】その側面図である。
図5】エア抜き装置の好適な別の実施形態を示す正面図である。
図6】エア抜き装置の好適なさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
図1は、本発明に係るエア抜き装置が実装されるピロー包装機の好適な一実施形態を示している。ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して製品13を所定間隔毎に供給する製品搬送供給装置14とを備えている。本実施形態の製品13は、例えばPTPシートのように、扁平で軽量な物品である。
【0023】
フィルム供給装置12は、製品13を包み込むための帯状の包装フィルム15を連続して包装機本体11に供給するためのものである。そして本形態のピロー包装機10は、逆ピロー包装機であるため、フィルム供給装置12は、包装機本体11の下方側に配置し、包装機本体11に対して包装フィルム15を下側から供給する。
【0024】
このフィルム供給装置12は、帯状の包装フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ9(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール16から送り出された包装フィルム15は、そのローラ9に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。このローラ9は、帯状の包装フィルム15に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状の包装フィルム15の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしてもよい。
【0025】
製品搬送供給装置14は、平置き状態の扁平な製品13を前後に所定間隔ごとに搬送し、係る製品13を、包装機本体11に順次供給するものである。この製品搬送供給装置14は、例えば、前後に配置されたスプロケット8(図では、進行方向前方のみ記載)と、その複数のスプロケット8に掛け渡されたエンドレスチェーン17と、そのエンドレスチェーン17の所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー18等により構成される。これにより、製品13の後面に押送フィンガー18が突き当たると、押送フィンガー18の移動に伴い製品13も前進移動する。
【0026】
包装機本体11は、供給される包装フィルム15を筒状に製袋する製袋器19と、その製袋器19の下流側に配置され、筒状に製袋された包装フィルム15を搬送するベルトコンベア26と、ベルトコンベア26の上方に配置されたセンターシール装置20と、ベルトコンベア26の下流側に配置されたトップシール装置30と、そのトップシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア28と、ベルトコンベア26の上方であってトップシール装置30の直前に配置された抑えベルト29等を備えている。
【0027】
製袋器19は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状の包装フィルム15を通過させることで、包装フィルム15の両側端縁部15a同士を接触(重合)させるとともに、筒状に製袋するものである。本実施形態の製袋器19は、上側が開放されており、包装フィルム15の両側端縁部15aが上側に位置するように設定されている。
【0028】
また、製品搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される製品13は、製袋器19内に挿入される。これにより、製袋器19に供給された製品13は、筒状に製袋された包装フィルム15内に所定間隔ごとに配置されることになる。また、このように筒状の包装フィルム15内に製品13が内包されることから、ベルトコンベア26は、その製品13を内包した包装フィルム15を搬送することになる。また、図示省略するが、ベルトコンベア26の搬送面の上方には、その左右両側にサイドガイド部材を配置し、製品13の横ずれ等を抑制する。
【0029】
センターシール装置20は、重合された包装フィルム15の両側端縁部15aを両側から挟み込みながら加熱することで熱シールする。図示の例では、センターシール装置20は、包装フィルム15の両側端縁部15aに対して加熱する左右一対のバーシーラ23と、バーシーラ23の上流側に配置される左右一対の第一ピンチローラ21と、バーシーラ23の下流側に配置される左右一対の第二ピンチローラ22を備える。一対のバーシーラ23は、開閉して対向する加熱面が接近離反するように構成する。
【0030】
この第一ピンチローラ21,第二ピンチローラ22は、製袋器19を経て接触した包装フィルム15の両側端縁部15a同士を所定の圧力で挟み込むとともに、同期して回転することで、その両側端縁部15aひいては包装フィルム15に対して搬送力を与えるようになっている。
【0031】
また、第二ピンチローラ22は、バーシーラ23で加熱した包装フィルム15の両側端縁部15aを、加圧するとともに冷却して融着してシールする加圧ローラとしても機能する。このシールされたフィルム部位が、包装体33におけるセンターシール部34となる。このセンターシール部34は、筒状の包装フィルム15の上面の幅方向中央部位にて重合され形成される。そして、センターシール部34は、その付け根部分から折り曲げられて左側或いは右側に倒された状態で搬送される。よって、センターシール部34の付け根部分が、幅方向の中心に位置するように構成する。
【0032】
さらに、進行方向前方の第二ピンチローラ22の回転速度(フィルムに接触する外周面の速度)は、第一ピンチローラ21の回転速度(フィルムに接触する外周面の速度)と同じか若干早くなるようにするとよい。このようにすると、バーシーラ23内を両側端縁部15aが重合した状態でピンと張った状態のまま通過させることができる。また、これら一対の第一ピンチローラ21,第二ピンチローラ22は、接近離反(開閉)可能に構成し、離れた(開いた)状態で、ローラ間の隙間に包装フィルム15の両側端縁部15aを通過させ、その状態でローラ同士を接近(閉じ)して両側端縁部15aを挟み込み保持する。また、センターシール装置20は、その全体が昇降移動可能にし、製品13の高さに応じて上下方向の位置を調整可能に構成するとよい。
【0033】
トップシール装置30は、製品13を内包する筒状の包装フィルム15に対し、搬送方向に対して直交する方向で搬送面と平行な方向、つまり、筒状の包装フィルム15を水平平面で横断する方向にシールするとともにカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の製品13の間の所定位置である。このトップシール装置30は、包装フィルム15を挟んでその上下に上側トップシーラ31と下側トップシーラ32を備える。上側トップシーラ31と下側トップシーラ32は、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。さらに、例えば上側トップシーラ31のシール面31aの前後方向の中央部には、カッター刃が内蔵される。また、下側トップシーラ32のシール面32aの前後方向の中央部にはカッター溝を有する。
【0034】
本形態では、上側トップシーラ31と下側トップシーラ32は、シール面31a,32aが対向した状態のまま所定の軌跡で移動して接近離反し、接近時に上下のシール面31a,32aが包装フィルム15を上下から挟み込んで加熱し、カッター刃がカッター溝に進入してカットする。よって、トップシール装置30は、センターシールされた包装フィルム15の所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットし、横方向(水平方向)に延びるトップシール部35を形成する。これにより、包装フィルム15の先端部分(先頭の製品13を内包する部分)は、後続の包装フィルム15から分離され、包装体33が製造される。
【0035】
ここで本発明に係る包装機用のエア抜き装置40は、トップシール装置30の下流側近傍に配置している。そして、図2から図4に拡大して示すように、製品13を内包する筒状の包装フィルム15,包装体33を上方から抑え付ける抑え部材41を備えている。この抑え部材41は、例えばスポンジ等の弾性部材で構成し、弾性変形しながら包装フィルム15,包装体33の上面に接触し抑える。さらに本実施形態では、抑え部材41の搬送方向に対して直交する方向の横幅は、筒状の包装フィルム15,包装体33の横幅と等しくする。さらに、抑え部材41の下面41aは、平坦面としている。これにより、抑え部材41の下面41aが包装フィルム15の上面に接触した状態で下降移動すると、当該包装フィルムの上面は、その幅方向のほぼ全体が抑え部材41に接触し、下方に向けて抑え付けられる。その結果、例えば内包する製品13の上方側に、包装フィルム15との間で空間が生じていた場合、包装フィルム15が下降し、製品13の上面と接触或いは近接し当該空間が潰れ、その空間に存在していた空気等が上流側等に向けて移動する。
【0036】
係る抑え部材41は、平板状のベースプレート42の下面に貼付けられて一体化する。ベースプレート42の上面には、2本の支持ロッド43が連結され、その支持ロッド43の上端側が、図示省略の連携機構により、上側トップシーラ31側に連携され、その上側トップシーラ31の動きに同期して昇降移動する。これにより、上側トップシーラ31と抑え部材41とは一体になり、上側トップシーラ31が下降移動すれば抑え部材41も下降移動し、上側トップシーラ31が上昇移動すれば抑え部材41も上昇移動する。さらに、トップシール装置30がボックスモーションタイプであるので、上側トップシーラ31も前後進移動するが、それに同期して抑え部材41も前後進移動する。
【0037】
また、支持ロッド43は、連携機構に対して相対的に昇降移動可能に連係されるとともに、支持ロッド43の外周囲に同心上にコイルスプリング44が配置される。そして、例えばベースプレート42並びに支持ロッド43が連係機構に対して相対的に上昇移動すると、コイルスプリング44が圧縮して弾性変形し、その弾性復元力によりベースプレート42ひいては抑え部材41が下方に向けて付勢される。この付勢力により、包装フィルム15を製品13の上面に向けて付勢し、例えば包装フィルム15を内包する製品13に押し当てる。
これにより、筒状の包装フィルム15の高さが、製品13の高さに対応するように低くなり、当該先頭の包装フィルム15空間内に存在した空気等は、連続する上流側の包装フィルム15内に移動し、エア抜きが行われる。
【0038】
ここで本実施形態の抑え部材41は、その下面41aの幅方向中央付近に、搬送方向に沿って延びる凹溝45を設ける。この凹溝45は、その前後端がそれぞれ抑え部材41の前後面に開口しており、前後に貫通した形態となる。さらに、凹溝45の天井側はベースプレート42に至り、当該ベースプレート42の下面が露出する。換言すると、抑え部材41は、2個のブロック体41bを左右に並べて配置し、その2個のブロック体41bの間に形成される空間が凹溝45となる。
【0039】
このように、凹溝45を設けることで、抑え部材41の下面41aの包装フィルム15との接触面と抑え部材41の外部・周囲との間の空気の通り道となり、エア抜き後に抑え部材41が上昇移動して包装体33から離反する際に、凹溝45内に外部から空気が流入し、抑え部材41の外周縁のみならず凹溝45側からも、抑え部材41の下面41aと包装体33の接触面間に空気が入り込み、両者が離反するのを助け、スムーズに抑え部材41が上昇移動し、その際に包装体33の上面のフィルムが抑え部材41に引っ張られて舞い上がることを可及的に抑制される。よって、高速に製造された包装体33であっても、搬出コンベア28により、平置きの姿勢のまま搬送される。
【0040】
係る事象の発生、すなわち、従来のように凹溝なしで抑え部材の全面が平面で包装体の全体を抑える構成では、抑え部材の上昇時に包装体も引っ張られて持ち上がったりする場合に、凹溝45を備えた抑え部材41を用い、その他の動作条件(例えば製造個数、搬送速度等)を同じにすると、包装体33は持ち上がることなく搬出されることが試験の結果確認できた。
【0041】
さらに本形態では、逆ピロー包装機でセンターシール部34が筒状の包装フィルム15,包装体33の上面側に位置しており、センターシール部34はその付け根部分から折り曲げられて倒された状態となる。そこで本実施形態では、その倒されたセンターシール部34の先端側34a(付け根と反対側)が、抑え部材41の下面41aにて押さえられるように凹溝45の位置を設定する。これにより、抑え部材41が上昇移動する際に、センターシール部34の先端側34aを引っ掛けて持ち上げ方向に付勢してしまうことがなく、包装体33は製造された姿勢・形態のままスムーズに搬送される。
【0042】
また、凹溝45を設けることで、その凹溝45に対向するフィルム部位は抑え部材41と非接触となるが、その凹溝の両サイドで接触してフィルムを抑えるので、凹溝の部分のみが膨らむことなく包装フィルム内のエア抜きを行い、製品を抑えることができる。
【0043】
上述した実施形態では、凹溝45を包装体33の高さ方向の全長にわたり形成し、その天井部をベースプレート42に至るようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、高さ方向の途中までとしてもよい。但し、本実施形態のように高さ方向の全長にわたり形成すると、2つのブロック体を取り付けるだけでよいので好ましい。
【0044】
また、凹溝の設置数も任意であり、複数本設けてもよい。但し、余り多くなると、包装フィルムを抑える効果が低下するため、本形態のように1本とするとよい。
【0045】
さらに、凹溝の形成レイアウトは、上述したように搬送方向に沿って前後方向に延びるものに限ることはなく、例えば図5に示すように搬送方向に対して直交する横方向に延びる凹溝45を設けてもよい。さらに、所定角度傾斜するようにしてもよいし、非直線状や折れ線上など各種の形態を取るとよい。但し、上述した各実施形態のように搬送方向に対して直交或いは平行で一直線状に形成すると、製造が容易となるのでよい。
【0046】
さらにまた、空気の通り道は、上述した凹溝に限ることはなく、例えば図6に示すように、上下に抜ける貫通孔46としてもよい。この場合、抑え部材41をベースプレート42に取り付けた構成の場合、例えば貫通孔46に対向する当該ベースプレート42の部位にも貫通孔47を設け、外部に抜けて空気の通り道を確保するようにするとよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、抑え部材41の横幅を包装体33の横幅と同じ幅としているが、抑え部材41の横幅を広くしてもよい。この場合には、空気の通り道として凹溝を用いる場合、前後方向に延びる配置とするとよい。
【0048】
上述した実施形態では、筒状の包装フィルムの両側端縁を上側に位置させセンターシール部を搬送する包装フィルムの上面側に形成する逆ピロー包装機に適用した例を示したが、下側に形成するピロー包装機に用いてもよく、また、センターシール部が側面に位置するものに適用してもよい。
【0049】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0050】
10 :ピロー包装機
11 :包装機本体
12 :フィルム供給装置
13 :製品
14 :製品搬送供給装置
15 :包装フィルム
19 :製袋器
20 :センターシール装置
30 :トップシール装置
31 :上側トップシーラ
32 :下側トップシーラ
33 :包装体
34 :センターシール部
35 :トップシール部
40 :エア抜き装置
41 :抑え部材
41a :下面
41b :ブロック体
42 :ベースプレート
45 :凹溝
46 :貫通孔
47 :貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6