(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】印刷用パッド、パッド印刷機
(51)【国際特許分類】
B41N 10/02 20060101AFI20240711BHJP
B41M 1/40 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B41N10/02
B41M1/40 C
(21)【出願番号】P 2020067336
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】506233335
【氏名又は名称】津田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100104396
【氏名又は名称】新井 信昭
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和成
(72)【発明者】
【氏名】丸山 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 晴男
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-064445(JP,U)
【文献】特開2010-115889(JP,A)
【文献】特許第5552177(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3205342(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 10/02
B41M 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通路を備えた基台に取り付けられ、
弾性限界によって転写不能な少なくとも一つの突起部と当該突起部の根本から放射状に広がる被転写面とを有する被印刷物に対し、一次転写面と当該一次転写面に付着させた転写物を当該被転写面に押し付けて二次転写を施すための印刷用パッド部材であって、
二次転写を施す際に当該突起部を受け入れることで被転写面への押し付けを可能とするための凹部もしくは貫通孔を画定する画定面が、当該一次転写面に連続して設けられ
、
前記印刷用パッド部材には、前記凹部もしくは貫通孔の画定面と連続する、印刷時に前記凹部もしくは貫通孔内の空気を、当該貫通路を介して外部へ排気するための空気流路を画定する内壁が設けられている、
ことを特徴とする印刷用パッド部材。
【請求項2】
請求項
1記載の印刷用パッドを用いてパッド印刷を行うことを特徴とする、
パッド印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突起部を有する被印刷物、天板面と当該天板面の周縁全域に連続する側面とを有する被印刷物に、パッド印刷を行うための印刷用パッド、パッド印刷方法、パッド印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や絵柄などの画像を印刷する装置としてパッド印刷機がある。このパッド印刷機は、力を加えると変形し力を取り去ると元に戻る弾性をもった印刷用パッドを備えている。印刷する画像に応じて凹部が形成された版面に、インクや接着剤などの転写物を塗布し、凹部内に転写物を充填した後、この版面に印刷用パッドを押し当てて凹部内の転写物を印刷用パッドに一次転写し、さらにこの印刷用パッドを被印刷物に押し当てて、インクを被印刷物の所定範囲の被転写面に二次転写する。これによって被印刷物に画像が印刷される。印刷用パッドが弾性をもっていることから、パッド印刷装置は、平面だけでなく、印刷用パッドの弾性限界を超えないわずかな曲面もしくは凹凸の部分にも印刷することができる。その例として、たとえば、曲面で構成される自動車レバーに印刷する場合(特許文献1参照)、ゴルフボールのディンプルに印刷する場合(特許文献2参照)、立体的な指標を形成した時計用文字板に印刷する場合(特許文献3参照)がある。これらの印刷は、いずれも印刷用弾性パッドの弾性限界を上回らない範囲の変形だから可能となる。
【0003】
一方、被印刷物の中には、印刷用パッドの弾性限界を上回る突起を有するものがあるが、そのようなものにもパッド印刷を行ってほしいという要望が高まっている。たとえば、特許文献4に示されるチューブ容器がそれである。このチューブ容器は、キャップをはめるためのネジ山が外側に形成された注出部と、この注出部から径方向の外側に張り出す肩部と、この肩部に繋がる胴部とを有している。注出部は肩部と一体に成形され、肩部の周縁部に胴部が連結される。胴部は一枚の積層フィルムを丸めて筒状に巻き、積層フィルムの端縁同士を一定の幅だけ重ね合わせ、重ね合わされた部分をシールして形成される。肩部と反対側の胴部には、底面キャップ周縁が連結される。
【0004】
【文献】特開平8-118779号公報
【文献】特許5552177号公報
【文献】特開2005-49277号公報
【文献】特開2019-127310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献4に示されるチューブ容器は、前述のとおり注出部は肩部と一体に成形され、これに胴部が連結される。胴部は一枚のフィルムを丸めて筒状にしたものである。このため、胴部の表面に印刷することは比較的容易である。特許文献1ないし3に記載されたパッド印刷によって印刷可能である。一方、肩部に印刷しようとしても、これと一体の注出部が邪魔をして思うようにできない。チューブ容器の大きさなどにもよるが、印刷用パッドの弾性で注出部の突起を抱き込み吸収させようとすると、それは印刷用パッドの弾性限度を超えてしまうためである。すなわち、特許文献1ないし3記載のいずれのパッド印刷方法によっても印刷することができない。これを可能とすることが、本発明が解決しようとする課題である。なお、特許文献4記載の方法以外のチューブ容器の製造方法として、たとえば、押し出し成型による製造方法があるが、肩部印刷の困難さについて上記と事情は異ならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は次の構成を有する。発明を説明するにあたって行う用語の定義等は、説明の記載順や発明カテゴリーの違いなどに関わらず、その性質上可能な範囲において他の発明の説明にも適用されるものとする。
【0007】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る印刷用パッド部材(以下、請求項1のパッド部材)という)は、貫通路を備えた基台に取り付けられ、弾性限界によって転写不能な少なくとも一つの突起部と当該突起部の根本から放射状に広がる被転写面とを有する被印刷物に対し、一次転写面と当該一次転写面に付着させた転写物を当該被転写面に押し付けて二次転写を施すための印刷用パッド部材であって、二次転写を施す際に当該突起部を受け入れることで被転写面への押し付けを可能とするための凹部もしくは貫通孔を画定する画定面が、当該一次転写面に連続して設けられ、前記印刷用パッド部材には、前記凹部もしくは貫通孔の画定面と連続する、印刷時に前記凹部もしくは貫通孔内の空気を、当該貫通路を介して外部へ排気するための空気流路を画定する内壁が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係るパッド印刷機(以下、請求項2の印刷機)という)は、請求項1記載の印刷用パッドを用いてパッド印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性限界によって転写不能な少なくとも一つの突起部と当該突起部の根本から放射状に広がる被転写面とを有する被印刷物に対しパッド印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】パッド部材の作用を示す正面図である。(a)から(c)に向かってパッド部材が降下している。
【
図4】パッド部材の凹部寸法を示すための正面図である。
【
図5】
図4に示すパッド部材を下から見た図である。
【
図6】凹部の幅寸法の狭いパッド部材の正面図である。(a)から(b)に向かってパッド部材が降下している。
【
図7】
図4に示す凹部の幅寸法を狭くしたパッド部材21の正面図である。
【
図8】
図4に示すパッド部材の凹部の代わりに貫通孔を備えるパッド部材の正面図である。
【
図9】肩部に模様が形成された被印刷物(チューブ容器)の部分正面図である。
【
図10】(a)は、肩部と胴部の一部に模様が形成された被印刷物の部分正面図である。(b)は、(a)に示す被印刷物を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
各図を示しながら、パッド印刷機について最初に説明し、次いでパッド部材の詳細とパッド印刷の方法の順で説明する。
【0014】
(パッド印刷機の概略構造)
図1の符号1は、パッド印刷機を示す。パッド印刷機1は、所定の場所に載置されるベース部3と、ペース部3の一端側から起立する支持壁5と、支持壁5の上端から水平方向に突き出す支持部7と、で大枠が構成されている。ベース部3の上には凹版プレート9が載せられ、凹版プレート9の横には被印刷物51を起立状態で据え付け可能な据付台11が置かれている。被印刷物51を据え付けるための詳細構造は省略する。凹版プレート9の上には転写物Tが塗布される。本願における転写物Tは、たとえば、用途に応じたインクや塗料のほか接着剤、プライマー、塗料などによって構成される。
【0015】
引き続き
図1において支持部7の下側、すなわち、被印刷物51に対向する側には、基台23を介してパッド部材21がベース部3の長さ方向(
図1の左右方向)に往復可能、かつ、上下動可能に支持されている。往復運動と上下運動のための機構は、本発明と直接関係がないため省略している。
図1に実線で示すパッド部材21は印刷前の待機状態にあり、その状態で下降して一次転写を行い、上昇復帰した後に被印刷物51の頭上まで横移動し、そのあと下降して被印刷物51に二次転写するように駆動される。転写の詳細は後述する。
【0016】
(被印刷物の構成)
説明の都合上、被印刷物51の構造を先に説明する。本実施形態で取り上げる被印刷物は、チューブ容器である。
図1に示すように被印刷物51は、キャップ50を回しはめるためのネジ山が外側に形成された注出部53と、注出部53から径方向の外側に張り出す肩部55と、肩部55に繋がる胴部57とを有している。肩部55上下方向反対側になる胴部57の下端は、印刷を施し内容物を充てんした後、底面キャップ59により閉鎖される。抽出部53の先端を手前に向けて見た被印刷物51の肩部55は円形であるが(
図10(b))、円形に限る趣旨ではない。円形の代わりに、楕円形、正方形、長方形、ひし形、多角形、本発明の趣旨に合致するパッド印刷が可能な不定形などを自由に選択してよい。肩部55の形状を円形以外の形にすることにより、その形に合わせて胴部57や底面キャップ55などの形状も異なることになる。抽出部53は、本実施形態における、パッド部材21の弾性限界によって転写不能な突起部に該当する。肩部55の外表面は、二次転写を施す被転写面に当たる。なお、被印刷物はチューブ容器に限定されない。従来のパッド印刷では邪魔になっていたなんらかの突起物を有し、なおかつ、転写面を有するものであれば、すべて本願の被印刷物に包含される。容器である必要もない。
【0017】
ここで弾性限界とは、応力を加えることにより生じたひずみが、その応力をなくすことで元の形に戻る応力の限界値のことをいう。前記背景技術の欄に記載したゴルフボールのディンプルや時計用文字板などのパッド印刷は、凹凸に押し付けられることで発生する応力がなくなればパッド部材の形状は元に戻るわけで、この意味で上記ディンプルや時計用文字板は弾性限界を超えない、弾性変形によって吸収しうる範囲にある凹凸である。さらに転写不能な突起部とは、これに押し付けられたパッド部材が弾性変形によって吸収できない範囲、すなわち、無理に押し付ければ弾性限度を超えて破損したり破損しないまでも密着不能により印刷できない部位が生じたりすることをいう。
【0018】
(パッド部材の構成)
図2に示すようにパッド部材21は、本発明の目的達成のために必要な適度の弾性をもつ、好ましくはシリコンゴムにより一体成形され、本実施形態では先の丸い砲弾型の外観形状に構成されている。パッド部材21の全体寸法は後述のように被印刷物51の形状等に併せて適宜設定するとよいが、被印刷物51の抽出部53を弾性変形だけに頼って受け入れることは弾性限度を超え一般的に不可能であろう。より具体的なパッド部材21の先、すなわち、丸みを帯びた部分のうち、後述する凹部25qが欠けた部分(
図5のハッチングに囲まれた部分)の表面は一次転写面25pになっている。すなわち、一次転写面25qは、ドーナツ形状になる。この一次転写面25pは、本実施形態で転写物となるインクTを付着させ、こうして付着させたインクTを被印刷物51に二次転写させる役割を担っている。なお、パッド部材の形状として、たとえば、アーチ状の転写面をもった蒲鉾形状のパッド部材などがよく用いられている。
【0019】
図2に示すようにパッド部材21には、その先端から内部に向かって掘り進められた、一次転写面25pとつながる画定面25yによって画定される凹部25qが形成されている。凹部25qは、二次転写する際に被印刷物51の抽出部53を内部に受け入れることで、二次転写時に弾性限度を超してパッド部材21が破損したり印刷ムラが生じたりすることを避けるための逃げである。さらにこれとともに、パッド部材21の弾性変形可能な領域を広げることで被印刷物51の凹凸に対する追従性・融通性を高めることで密着性をあげ、より鮮明できれいな印刷を可能とするためのものである。
【0020】
凹部25qは、被印刷物51すなわちチューブ容器の肩部55が上から見て円形であることに合わせ、
図2および5に示すように全体として底部に丸みをもった円筒形に形成してある。一方、この凹部25qは、被印刷物の種類や被印刷面の形状などに合わせて適宜設定可能である。円筒形の凹部に竹の節のような節を付けてその部分の径を大きくしたり、ディンプルを形成したりするのが典型的な変形例である(図示を省略)。凹部25qの深さは、チューブ容器の突起部である抽出部53を受け入れ、被転写面である肩部55の外表面に、パッド部材21の一次転写面25pを弾性押し付け可能な深さに構成されている。
【0021】
上記に加えて大事なのは、凹部25qの幅寸法である。
図4は
図2の符号を取り去って再掲したものである。
図4に示すように凹部25qの幅寸法Dは、抽出部53の最大径dより大きく設定してある。これは
図3(b)に示すように、肩部55の平面天板55aの周縁からスカートのように下降する傾斜面55bのみに印刷しようとしたからである(
図9のメッシュ模様)。さらに被印刷面を肩部55の傾斜面55bからそこに直結する胴部57の上部まで拡大するのであれば、パッド部材21をさらに押し下げる。このことによって、胴部57に沿って転写面25pが凹部25q内にのめり込んで印刷を施す。この場合は、肩部55の傾斜面とともに胴部57の一部も転写面となる。
【0022】
図6は、
図4に示す凹部25qの幅寸法Dを狭くしたパッド部材21を示す。凹部の幅寸法以外に異なる点はないので、凹部25qと幅寸法D以外は、
図4で使用した符号をそのまま
図6に示した。
図6のパッド部材21の凹部25q´の幅寸法D´は、キャップ53の最大径dとほぼ同じ(印刷可能に接触できるほどに大きいか小さい)に形成してある。これによって、抽出部53の根本に直結する肩部55の平面天板55aのみに、好むのであれば平面天板55aと傾斜面55bにも、さらには胴部57の一部にも併せて印刷を施すことができる(
図10参照)。これらに代えて、傾斜面55bのみ、もしくは胴部57の一部のみに印刷することも可能である。
【0023】
好ましくは、凹部25qの内部は、内壁25wによって画定される空気流路25hと連通させておくことが好ましい。二次転写時に被印刷物によって凹部25qが閉鎖されたとき、中に残っている空気の圧力が大きすぎると印刷の妨げになりかねないので、これを防ぐために外部と連通させた空気排気路である。本実施形態のパッド部材21は基台23に取り付けられているので、空気流路25hは基台23に貫通形成された貫通路23hを介して外部と連通している。
【0024】
空気流路25hは、その形状を適切に選ぶことで凹部25qの機能を補助する機能を持たせることができる。つまり、空気流路25hを大きくすることでパッド部材21が変形する際の肉の進行方向や、パッド部材21の素材硬度を被印刷物51の形状に合わせて調整する機能を持たせることができる。また、凹部21qで受け入れきれない部分を空気流路25hが受け入れることで、被印刷物51に対するパッド部材21の追従性向上を通してより鮮明な印刷に寄与させることも可能である。言い換えるなら、凹部25qが拡大し、その分空気流路25hが縮小したのと同じである。さらに、
図4、6に示す抽出部53が、図示のそれより上に延びて長いときは、その先端を空気流路25hにまで侵入させる構成としてもよい。つまり、凹部25qの機能の一部を空気流路25hが受け持った形となるわけである。
【0025】
なお、本実施形態のパッド部材21が有する凹部25qの代わりに、
図4に示すような貫通孔25q´を設けることを妨げない。貫通孔25q´の作用効果は、凹部25qのそれと大きく異ならない。なお、貫通路23hの代わりに、もしくは貫通路23hとともに、パッド部材21自体に、凹部25q(25q´)と外部とを連通させるために水平方向に突き抜ける排気孔(図示を省略)を形成することもできる。
【0026】
(パッド印刷方法)
図1および3を示しつつパッド印刷方法を説明する。これまでの説明から理解されるように、このパッド印刷方法は、弾性限界によって転写不能な少なくとも一つの突起部(すなわち、抽出部53)とこの突起部の根本から放射状に広がる被転写面(すなわち、肩部55の外表面、好ましくは胴部の一部も含まれる)とを有する被印刷物の当該被転写面に印刷を施すパッド印刷方法である。ここで、放射状とは、 一点から四方八方に延びるさまをいい、その結果形成される形状は様々である。たとえば、楕円形、正方形、長方形、ひし形、多角形、本発明の趣旨に合致するパッド印刷が可能な不定形などが、その形状、すなわち、被転写面の形状に該当する。
次項以下で具体的手順を説明する。
【0027】
まず一次転写面25pを有する印刷用パッド部材21を用意する(パッド用意ステップ)。具体的には、印刷用パッド部材21を備えるパッド印刷機1を稼働させることである(
図1)。次に、上向き開放の凹部が形成された凹版プレート9の版面9aに転写物(本実施形態ではインクT)を塗布し、版面9aにパッド部材21を降下着地させて一次転写面25pを押し当てることでインクTを一次転写面25pに転写する(一次転写ステップ)。転写が完了した印刷用パッド部材21を被印刷物51の頭上に移動させた後、下降させて印刷用パッド21の凹部25qに突起部(抽出部53)を受け入れさせながら転写物Tが塗布された一次転写面25pを被転写面(肩部55の外表面)に押し当てて(
図3(a)(b)(c))、一次転写面25pに転写された被転写物を当該被転写面に二次転写する(二次転写ステップ)。これで印刷完了である。ここで
図3(b)に示す状態で印刷を終了すると、
図9に示すメッシュ模様が肩部55に形成され、
図3(c)に示す状態まで進めると胴部57にまで印刷される(
図10(a)(b))。これまでの工程を
図6に示すパッド部材21で行えば、併せて肩部55の平面天板55aにも印刷が可能となる(
図10(a)(b))。あとはパッド部材21を上昇させ元の位置に戻して次の印刷に備えればよい。
【0028】
図8に示す印刷パッド22は、
図2に示す印刷パッドと1点だけ異なる。それは、
図2の印刷パッド21の凹部25qの代わりに、
図8の印刷パッド22は貫通孔26qを有している点である。つまり貫通孔26qは、凹部25qが長さ方向に延びて基台25まで到達したもの、と考えることができる。貫通孔25hの寸法や作用効果は、凹部25qのそれらと異ならない。貫通孔26qは、凹部25qに比べ突起部53の受け入れ許容範囲が広くなる点に特徴がある。先に述べた凹部25q,25q´も同じであるが、貫通孔26qの径寸法や形状は、被印刷物51との接触によって生じた応力を適度に分散する機能、パッド部材22が変形する際の肉の進行方向やパッド部材21の素材硬度の違いに適応する機能をもっているので、そのことを理解したうえで適宜決定されることが好ましい。
【0029】
(本実施形態特有の作用効果)
本実施形態によれば、チューブ容器の肩部とこれに繋がる胴部の一部に連続模様を形成することができる。この点は、先に述べた特許文献4記載の製造方法であれば。肩部と胴部が別々に製造されるので、肩部のみの印刷ができなくはない。しかし、肩部から胴部にかけた連続模様を印刷するには複雑な模様合わせが必要になり不便である。この点、本実施形態によれば、上述したように肩部と胴部が一体であるチューブ容器であっても簡単に連続模様を印刷することができる。このことは、特に押出成形によって製造された、つまり、肩部と胴部が一体に製造されるチューブ容器に印刷する際にきわめて便利である。
【符号の説明】
【0030】
1 パッド印刷機
3 ベース部
5 指示壁
7 支持部
9 凹版プレート
21 パッド部材
21p 一次転写面
22 パッド部材
25h 空気流路
25p 転写面
25q 凹部
25q´ 凹部
25w 内壁
25y 画定面
26q 貫通孔
23 基台
50 キャップ
51 被印刷物
53 抽出部
55 肩部
57 胴部
59 底面キャップ
T 転写物