(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】調理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/17 20060101AFI20240711BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A47J27/17
A47J27/00 102
(21)【出願番号】P 2020098006
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500148592
【氏名又は名称】株式会社カジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝利
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286395(JP,A)
【文献】特許第3076321(JP,B2)
【文献】特許第3026434(JP,B1)
【文献】特開2007-236423(JP,A)
【文献】特開2002-238755(JP,A)
【文献】特開2000-201807(JP,A)
【文献】特開平11-178714(JP,A)
【文献】特開平11-128074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/17
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部の外周に立ち上がる胴部を含み食材を投入して調理するための調理容器と、前記調理容器の底部に配置され前記底部をガス加熱と電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れか又はこれらの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットと、前記閉断面部内に前記流動性熱媒体を供給するための媒体供給装置と、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置とを別々に制御する制御部とを備えた調理装置であって、
前記食材の加熱調理中の温度を検出する温度センサと、前記閉断面部の内部を大気へ開放制御する又は前記閉断面部の内部のドレンを排出制御する排出弁とを備え、
前記制御部は、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置との制御により前記食材の加熱調理を開始させ、前記温度センサにより検出される前記食材の加熱調理中の上昇温度が前記媒体供給装置の制御により前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体の温度と一致したとき前記媒体供給装置及び排出弁を制御して前記流動性熱媒体の供給を停止させると共に前記閉断面部の内部を大気に開放し又は前記閉断面部の内部のドレンを排出させ前記底部加熱装置による加熱制御を行わせる、
ことを特徴とする調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器の底部を高温のガス等で加熱し、側部を蒸気で加熱する等、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の業務用の調理装置としては、例えば、食材を投入して調理するための調理容器としての調理釜と、該調理釜の底部を加熱するためのガス加熱装置とを備えたものがある。かかる調理装置において、例えば野菜類の炒め調理を行うと、調理釜に投入された大量の野菜類は次のような過程を経ることになる。
【0003】
即ち、業務用の大型の調理釜に対し、大量の野菜類が、当初調理釜の上端にまで一杯に投入され、ガス加熱装置によって調理釜の底部が高温で加熱される。炒め調理の進行と共に、当初調理釜の上端部にまで一杯に入っていた野菜類が調理釜の底部側へ容積を集束させ、最終的に底部での高温加熱によって炒め調理を完成する。
【0004】
しかしながら、上記のように底部のガス加熱装置による高温加熱のみで炒め調理する場合には、大量の野菜が調理釜底部に集束するまでに相当の時間を要し、加熱調理時間が著しく長くなるという問題があった。この時間を短縮するために加熱の温度を更に高めると、集束途中にある野菜類が調理釜の内側面等に焦げ付きやすくなるという問題がある。
【0005】
そこで本願出願人は、調理容器の底部を高温のガスで、側部をカロリーの高い蒸気で加熱する等、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置を特許文献1として提案した。
【0006】
ここで、カロリーの高いとは、伝熱量が大きいという意味である。
【0007】
この調理装置は、食材を入れた鍋を、蒸気による熱源と、ガスによる熱源、又は電気による熱源とにより異なる位置で加熱するようにした。前記ガスによる熱源、又は電気による熱源は、鍋の下部を加熱し、蒸気による熱源は、鍋の側面に配設したジャケットに蒸気を供給し、ガスによる熱源又は電気による熱源と、蒸気による熱源とを各々別々に制御するようにした。したがって、加熱初期に鍋の上端部にまで一杯に入っていた野菜類をカロリーの高い蒸気で側面から加熱し鍋の底部側へ素早く集束させることができる。最終的に底部でのガス加熱装置による高温加熱によって炒め調理を短時間で完成させることができる。
【0008】
一方で、蒸気加熱により食材を素早く集束させてから蒸気加熱を停止した時、ジャケット内にドレンが残留し或いは蒸気配管内のドレンがジャケット内に流入すること等によりジャケット内にドレンが溜まることがある。このようなジャケット内のドレンの溜まりにより、ガス加熱装置等による高温加熱で蒸気温度よりも高温となった食材の熱がジャケット側へ伝達され、ジャケット内のドレンが蒸発する現象があった。
【0009】
このようにドレンが蒸発するとガス加熱装置等による高温加熱中の食材の熱がジャケット内の蒸発熱により奪われ、底部の高温加熱による素早い温度上昇が阻害されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第3076321号
【文献】特許第3650718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の問題点は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、高温加熱中に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われることが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、高温加熱中に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われるのを防止し或は抑制可能とするために、底部の外周に立ち上がる胴部を含み食材を投入して調理するための調理容器と、前記調理容器の底部に配置され前記底部をガス加熱と電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れか又はこれらの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットと、前記閉断面部内に前記流動性熱媒体を供給するための媒体供給装置と、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置とを別々に制御する制御部とを備えた調理装置であって、前記食材の加熱調理中の温度を検出する温度センサと、前記閉断面部の内部を大気へ開放制御する又は前記閉断面部の内部のドレンを排出制御する排出弁とを備え、前記制御部は、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置との制御により前記食材の加熱調理を開始させ、前記温度センサにより検出される前記食材の加熱調理中の上昇温度が前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体の温度と一致したとき前記媒体供給装置及び排出弁を制御して前記流動性熱媒体の供給を停止させると共に前記閉断面部の内部を大気に開放し又は前記閉断面部の内部のドレンを排出させ前記底部加熱装置による加熱制御を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、上記構成であるから、底部加熱装置と媒体供給装置との制御により食材の加熱調理を開始した後、加熱調理中の食材の温度が流動性熱媒体の温度と一致したとき流動性熱媒体の供給を閉止させると共に閉断面部の内部を大気に開放し又は閉断面部の内部のドレンを排出させ底部加熱装置による加熱制御を行わせるから、底部加熱装置による高温加熱中に食材の熱が熱交換ジャケット内のドレンの蒸発熱により奪われるのを防止し或は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ハイブリッド加熱が可能な調理装置の全体構成図である。
【
図2】熱交換ジャケットの断面を含めた拡大断面図である。
【
図3】高温加熱中に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われるのを防止する或は抑制する制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、高温加熱中に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われるのを防止し或は抑制可能にするという目的を底部の外周に立ち上がる胴部を含み食材を投入して調理するための調理容器と、前記調理容器の底部に配置され前記底部をガス加熱と電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れか又はこれらの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は前記胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットと、前記閉断面部内に前記流動性熱媒体を供給するための媒体供給装置と、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置とを別々に制御する制御部とを備えた調理装置であって、前記食材の加熱調理中の温度を検出する温度センサと、前記閉断面部の内部を大気に開放制御する又は前記閉断面部の内部のドレンを排出制御する排出弁とを備え、前記制御部は、前記底部加熱装置と前記媒体供給装置との制御により前記食材の加熱調理を開始させ、前記温度センサにより検出される前記食材の加熱調理中の上昇温度が前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体の温度と一致したとき前記媒体供給装置及び排出弁を制御して前記流動性熱媒体の供給を閉止させると共に前記閉断面部の内部を大気に開放し又は前記閉断面部の内部のドレンを排出させ前記底部加熱装置による加熱制御を行わせることで実現した。
【0016】
前記食材の加熱調理中の温度を検出する温度センサは、加熱調理中の食材の温度を直接検出するもの、熱交換ジャケットと共に閉断面部を構成する調理容器の壁面温度を検出するものなどがある。
【0017】
前記閉断面部の内部を大気に開放する形態の排出弁は、開放により閉断面部内の蒸気を放出し、或いは開放により閉断面部内の蒸気を放出すると共に閉断面部内のドレンを排出させる構成にすることができる。
【0018】
前記閉断面部内のドレンを排出させる形態の排出弁は、閉断面部の底部に接続されるが、排出弁が大気開放により閉断面部内の蒸気のみを放出する形態の場合には、閉断面部に対する排出弁の接続位置は任意である。
【実施例】
【0019】
[ハイブリッド加熱の調理装置]
図1は、調理装置の全体概略図である。
【0020】
図1のように、ハイブリッド加熱が可能な調理装置は、調理容器1と、底部加熱装置3と、熱交換ジャケット5と、媒体供給装置としての媒体給排装置7と、重量検出器9と、制御部としての制御盤11とからなっている。
【0021】
前記調理容器1は、食材、例えば野菜などを投入して炒め調理し、あるいは練りあん、ソース、スープ、その他食品を煮詰め調理する大型の調理釜で構成されている。調理容器1は、皿状、又は球面状に形成された底部13と、該底部13の外周側に立ち上がった胴部15とを含んでいる。底部13とは、大きな湾曲面で構成された調理容器1の下部であり、底部13及び胴部15間のコーナー部までの部分である。胴部15とは、コーナー部から立ち上がった部分となる。但し、調理容器1の形状は、底部13及び胴部15を含み加熱を区分けできる限り特に限定されるものではない。調理容器1は、鉄、ステンレス、あるいは鉄とステンレスを多層にしたもの、さらには銅のいずれか、あるいはこれらの組み合わせによって形成されている。又、調理容器1の底部13には、外周側に温度センサ16が取り付けられている。この温度センサ16は底部13の壁面温度を検出するもので、その出力は前記制御盤11に入力されるようになっている。
【0022】
前記底部加熱装置3は、前記調理容器1の底部13下面に配置され、該底部13を加熱するためのもので、本実施形態においてガス加熱装置で構成されている。前記底部加熱装置3は、複数のガスバーナ17,19,21を備えている。ガスバーナ17,19,21は、平面から見て円環状にそれぞれ複数配置されているもので、ガスバーナ17、19が内輪側、ガスバーナ21が外輪側の配置となって、内外輪各別に制御できる。
【0023】
前記ガスバーナ17,19,21は、ガス配管23によって燃料ガス26の供給源に接続されている。ガス配管23には、ソレノイドバルブ25,27,29,31が備えられ、後述する制御盤11によって駆動制御可能となっている。ソレノイドバルブ27は、内輪側のガスバーナ17、19を制御し、ソレノイドバルブ25は、外輪側のガスバーナ21を制御するようになっている。
【0024】
前記熱交換ジャケット5は、前記調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に対し閉断面部を形成する。閉断面部内部に流動性熱媒体を供給して前記壁面に対し熱交換可能にする。すなわち、熱交換ジャケット5は、本実施形態において底部13外周側のコーナー部を覆うように胴部15にかけてその外面に閉断面部を形成する。熱交換ジャケット5は、調理容器1の底部13及び胴部15間にかけて設けるものに限らず、胴部15の壁面にのみ閉断面部を形成する構成にすることもできる。この熱交換ジャケット5は、調理容器1の全周に連続して形成されている。従って、熱交換ジャケット5に供給された流動性熱媒体によって調理容器1の全周において熱交換することができ、より確実に調理速度を速めることができる。但し、熱交換ジャケット5を調理容器1の全周方向で所定長さごとに区画して設けることもできる。この場合、各区画された熱交換ジャケットのそれぞれに各別の制御によって流動性熱媒体を給排することもできる。
【0025】
前記媒体給排装置7は、流動性熱媒体として蒸気と水と空気とを選択して給排するようになっている。尚、熱交換ジャケット5によって加熱のみを目的とする場合には、媒体給排装置7により流動性熱媒体として蒸気のみを給排する。
【0026】
前記媒体給排装置7は、上部配管33と、下部配管35とを備え、上部配管33は熱交換ジャケット5の一側においてその上部側に接続され、下部配管35は同他方側において下部側に接続されている。上部配管33は、3つの配管37,39,41に分岐され、それぞれソレノイドバルブ43,45,47が備えられている。これら各ソレノイドバルブ43,45,47は前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。そして、前記配管37は蒸気49の供給源に接続されている。配管37には、圧力センサ38が設けられ、その検出値は制御盤11に入力されるようになっている。また、配管39は冷却水51の排出部に接続され、配管41は冷却空気53の排出部に接続されている。
【0027】
前記下部配管35は、3つの配管55,57,59に分岐され、それぞれソレノイドバルブ61,63,65が備えられている。各ソレノイドバルブ61,63,65は、前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。前記配管55は蒸気49の排出側に接続され、配管57は冷却空気53の供給源に接続され、配管59は冷却水51の供給源に接続されている。
【0028】
前記熱交換ジャケット5の下部には、閉断面部の底面を構成する平坦面67が全周にわたって形成されている。平坦面67は、ドレンが溜まる部分である。平坦面67の一部に配管68が接続されている。配管68は、例えば大気に開放され、熱交換ジャケット5からドレンを排出するものである。配管68には、ドレンの排出を制御する排出弁としてドレン弁70が備えられている。ドレン弁70は、前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。ドレン弁70の開により平坦面67上に溜まったドレンが配管68を介して排出されるようにすることができる。なお、ドレン弁70は、制御盤11によって開閉制御されるブロー弁で構成することもできる。ブロー弁の場合は、配管を平坦面67に限らず、熱交換ジャケット5の任意の位置に接続させることができる。ブロー弁の開により熱交換ジャケット5内の閉断面部を配管によってブローさせ、残存蒸気を排出させることができる。前記平坦面67は、その下側の断熱壁部69上の平坦な上面71に対向している。断熱壁部69は、前記底部加熱装置3の外周側を囲む構成であり、支持台73上に支持されている。この断熱壁部69は後述するが、前記熱交換ジャケット5と底部加熱装置3とを熱的に区画している。
【0029】
前記支持台73には、載置用の複数の足部75が設けられている。各足部75には、前記重量検出器9として、例えばロードセルが取り付けられている。各足部75のロードセルの検出信号は、前記制御盤11に入力されるようになっている。これら各足部75に取り付けられたロードセルの検出荷重を平均化することによって、調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を正確に検出することができる。特に調理中に調理容器1内において食材が片寄ったり、攪拌によって動いたりしても、その時々の荷重を各足部75に取り付けたロードセルによって検出し、その平均を算出することによって逐次正確な重量検出を行うことができる。尚、本実施例においては、前記断熱壁部69側を含めて調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を検出するようになっている。
【0030】
前記制御盤11は、重量変化記憶装置として前記調理容器1に投入された食材の調理目的を達成するための加熱時含水率変化に応じた重量変化を予め基準値として記憶している。食材の調理目的としては、例えば加熱調理の途中や終了時において、含水率変化を適正に保つことによって、食材の糖度などを適正に管理し、加熱調理後の食材の風味等を的確に目的の状態とし、あるいは加熱調理中に焦げを起こさないように含水率変化を正しく行わせ、さらには食材によっては多少の焦げを意図的に起こさせ、焦げによる風味あるいは着色を加えることなどを言う。
【0031】
これら食材の調理目的を達成するために、予め実験により調理目的に応じて加熱時含水率変化に応じた食材の重量変化を足部75に設けた重量検出器9としての各ロードセルで検出し、かかる調理目的に応じた重量変化の基準値(基準線)をマップとして予め制御盤11に記憶させる。特に、野菜の炒め、練りあん、ソース、スープの製造、その他食品を煮詰め、さらには食品の煮込みなどによって投入する食材及び水、調味材の種類及び投入量が個々異なっているため、これらの投入状況と加熱調理中の最適な含水率変化に応じた重量変化との関係、加熱終了に伴う最適な含水率と重量との関係を全て予め実験により求め、これを基準値として制御盤11に記憶させている。
【0032】
また、制御盤11は、駆動制御装置として重量検出器9で検出された全重量の変化から、調理容器1に投入された食材の重量変化を演算し、食材の重量変化を前記基準値に一致させるように底部加熱装置3及び媒体給排装置7を駆動制御する。この場合、制御盤11の駆動制御の対象は、前記ソレノイドバルブ25,27、あるいはソレノイドバルブ43,45,47,61,63,65などである。さらに、前記制御盤11は、駆動制御装置として食材の重量変化が目的の含水率に対応したとき、底部加熱装置3及び媒体給排装置7の駆動制御による加熱を停止するようになっている。
【0033】
制御盤11には、熱交換ジャケット5の閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体である蒸気の温度が記憶されている。後述の温度センサ89により検出される食材の加熱調理中の上昇温度である品温が、媒体給排装置7の制御により閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体の温度と一致したとき媒体給排装置7及びドレン弁70を制御して流動性熱媒体の供給を停止させる。
【0034】
品温が流動性熱媒体の温度と一致するとは、厳密な一致に限らず、流動性熱媒体の温度よりも低い温度、或は高い温度、さらには厳密な一致に対し高低のある程度の幅を持たせることもできる。この温度の一致の技術的意義は、熱交換ジャケット5内に溜まったドレンが媒体給排装置7停止後に底部加熱装置3による底部13の高温加熱で蒸発されるのを防止し或は抑制するためである。したがって、ドレンの排出等により底部加熱装置3による底部13の高温加熱による蒸発が防止され或は抑制される作用を奏する限り、品温が蒸気温に一致するか否かは、上記のように完全一致ではなくてもよい。
【0035】
前記調理容器1には、上部から攪拌装置77の攪拌羽根79,81,83が挿入されて、加熱撹拌可能となっている。攪拌装置77は、本実施形態において、調理容器1とは別に支持されたものである。但し、攪拌装置77を調理容器1と共に支持台73上に支持することも可能である。この場合、重量検出器9は、攪拌装置77を含めて全重量を検出する構成となる。
【0036】
前記攪拌羽根79,81は、偏心自転軸84に支持された枝軸85に取り付けられている。偏心自転軸84の下側には、補助軸87が設けられ、該補助軸87の下端に温度センサ89が支持されている。温度センサ89は調理容器1内の食材の加熱調理中の温度を検出するものであり、その出力は前記制御盤11に入力されるようになっている。
【0037】
前記攪拌羽根83は、主軸91側に支持された枝軸93に取り付けられている。従って、攪拌羽根79,81,83の攪拌を伴う加熱調理により調理速度をより早め、また食材の調理目的をより正確に達成することができる。
【0038】
前記調理容器1は、その直径方向の一側おいて回転軸により回転自在に支持されている。又、調理容器1には、ブラケット等を介してピストンシリンダ装置が結合されており、該ピストンシリンダ装置の駆動によって、調理容器1が回転軸を中心に直径方向の他方側上方へ移動するように反転駆動可能となっている。この駆動によって、調理容器1内の加熱調理後の食材を自動排出できるようになっている。
【0039】
図2は、熱交換ジャケットの断面を含めた拡大断面図である。
【0040】
図2のように、前記断熱壁部69は、断熱材97を備え、空洞部99が底部加熱装置3の回りに周回状に設けられている。断熱壁部69の上端には、遮蔽板100が設けられている。このように断熱壁部69,遮蔽板100は、熱交換ジャケット5と底部加熱装置3とを熱的に区画しているため、例えば底部加熱装置3により調理容器1の底部13を高温で加熱しているときにその熱が熱交換ジャケット5側に直接影響するのを抑制することができる。断熱壁部69の内周側には、底部加熱装置3側に連通する多数の連通孔101が設けられている。又、断熱壁部97の一部には、前記空洞部99に連通する排気筒103が連通接続されている。これら連通孔101及び排気筒103によって、空洞部99を断熱壁部69の内外に連通させて排気を行う構成となっている。
【0041】
次に、作用を説明する。この場合、ドレン弁70の作用を、フローチャートを用いて先に説明する。その後、ハイブリッド加熱を用いた調理作用の一例を説明する。
【0042】
図3は、高温加熱中に食材の熱がドレンの蒸発熱によって奪われるのを防止する或は抑制する制御のフローチャートである。
【0043】
まず、調理容器1内に野菜等の食材、必要に応じて水、さらには調味材等が投入される。これら投入量は予め決めた基準値に応じて行う。水、調味材等の投入時期は調理目的に応じて加熱開始からずれることもあり、また投入量は調理目的に応じて変更されるものである。これらは、適正な含水率を得るために予め実験により決められている。前記投入時期が予め実験的に決められていることにより、調理目的に応じて食材の投入量、水、調味料等の投入量を極めて容易に把握することができ、作業性が著しく向上する。
【0044】
そして、制御盤11の駆動制御によってシステムがスタートすると
図3のフローチャートが実行される。
【0045】
ステップS1の「加熱開始」の処理では、制御盤11の制御により予め設定されたプログラムに応じて底部加熱装置3及び媒体給排装置7が駆動制御される。この駆動制御により底部加熱装置3のソレノイドバルブ25,27が開閉制御され、燃料ガス26が供給源から配管23を通って各ガスバーナ17,19,21から噴き出され、制御盤11のコントロールによる自動着火によって点火が行われる。これによって、調理容器1の底部がガス加熱により高温で加熱される。
【0046】
同時に制御盤11の駆動制御によって、ソレノイドバルブ43,61が開閉制御され、蒸気49の供給源から配管37を通して熱交換ジャケット5内に蒸気が供給される。この供給される蒸気は、加熱目的に応じて飽和蒸気、過熱蒸気など種々選択されるものである。この熱交換ジャケット5内に供給された蒸気が調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に対して熱交換を行ない、該部分において調理容器1が加熱されることになる。
【0047】
ステップS2では、「品温及び蒸気温の読み込み」の処理が実行される。この処理では、媒体給排装置7が熱交換ジャケット5内に供給する蒸気の温度と温度センサ89が検出する加熱調理中の食材の温度とが読み込まれ、ステップS3に移行する。
【0048】
ステップS3では、「品温≧蒸気温?」の処理が実行される。この処理では、読み込まれた蒸気の温度と食材の温度(品温)とが比較され、蒸気温に対して品温が下回っていれば(NO)、ステップS2に戻り、蒸気温に対して品温が上回っていれば(YES)、ステップS4に移行する。蒸気温に対して品温が上回っているとは、加熱上昇中の品温が蒸気温に一致するか、それ以上になっていることを意味する。品温が蒸気温に一致するか否かは上記のように幅を持たせることができる。
【0049】
ステップS2に戻ると、「品温及び蒸気温の読み込み」の処理、ステップS3の「品温≧蒸気温?」の処理が繰り返される。
【0050】
ステップS4に移行すると、「蒸気供給弁閉、ドレン弁開」の処理が実行される。この処理により蒸気供給弁であるソレノイドバルブ43が閉じられ、ドレン弁70が開かれる。ソレノイドバルブ43が閉じられると熱交換ジャケット5内への蒸気49の供給が停止される。ドレン弁70が開かれると熱交換ジャケット5内の平坦面67上に溜まっているドレンが配管68を介して外部に排出される。ドレンの溜まりは、熱交換ジャケット5内に供給された蒸気が加熱中の食材との熱交換により凝縮し、或いは熱交換ジャケット5の外周側の壁部に接触して冷やされ凝縮されることによる。さらには、温度調節のために配管35により供給された水が溜まることも有る。加えて、配管37内の凝縮ドレンが熱交換ジャケット5内へ流入することにより溜まることもある。ドレン弁70が大気開放であればドレン弁70の解放と共に熱交換ジャケット5内の残存蒸気が配管68を介してドレンの排出と共に噴き出される。ドレン弁70がブロー弁であるときは、媒体給排装置7による流動性熱媒体の供給が停止された直後に熱交換ジャケット5内の残存蒸気が所定位置に接続された配管から大気に噴出される。ブロー弁を、蒸気ドレンラインにブローする
図1に示すソレノイドバルブ62で代用することもできる。この場合、下部配管35が、4つの配管55,56,57,59に分岐され、それぞれソレノイドバルブ61,62,63,65が備えられる。各ソレノイドバルブ61,62,63,65は、前記制御盤11によって開閉制御されることになる。
【0051】
この変形例では、ソレノイドバルブ62をドレン弁70と共に敢えて設置することもできるが、ドレン弁70に代えて設置することもできる。
【0052】
前記ソレノイドバルブ62を上記ドレン弁70に代えて設置する場場合は、ソレノイドバルブ62をドレン弁70と同様に制御することでドレン配管のブロー弁として熱交換ジャケット5内のドレンと空気と蒸気とを、圧力の低いドレン配管に排出することができる。
【0053】
前記ソレノイドバルブ62をドレン弁70と共に敢えて設置する場合は、両者を同時に制御し、或いは両者を選択的に切り替えて制御し、ドレンの排出を行わせることもできる。
【0054】
したがって、媒体給排装置7による流動性熱媒体の供給が停止されたときの食材の品温が、底部加熱装置3によるガス加熱の継続によりさらに高くなったとき食材の高温の熱が熱交換ジャケット5内に伝熱等されても内部ドレンの蒸発現象は無いか抑制される。このことにより、ガス加熱による食材の高温の熱がドレンの蒸発熱により奪われることが無いか抑制される。
【0055】
ステップS5では、「製品重量読み込み」の処理が実行される。この処理は、調理過程において、調理容器1内の含水率の変化は、食材の糖度、塩度、旨み等の濃度あるいは焦げつきに関係する極めて重要な要素であることに鑑みている。従って、各足部75に取り付けた重量検出器9の各ロードセルによって全重量を検出し、食材の重量として製品重量を演算する。つまり、検出した全重量に基づき制御盤11によって調理容器1内の食材の重量変化を逐次演算する。かかる演算結果は、基準値と比較され、これと一致するように底部加熱装置3、媒体給排装置7が制御されることになる。なお、基準値を加熱調理中の含水率に応じた調理容器1等を含む全重量変化とし、かかる基準値と検出した全重量とを直接比較して制御する構成にすることもできる。
【0056】
ステップS6では、「製品重量≦設定値?」の判断処理が実行される。この処理では、調理容器1内の含水率の変化が設定値以下か否かを見ている。製品重量が設定値を上回っていれば(NO)、含水率が設定値よりも高いとしてステップS5に戻り、製品重量が設定値を下回っていれば(YES)、含水率が設定値と同等か低いとしてステップS7に移行する。
【0057】
ステップS7では、「ガス供給停止」の処理が実行される。この処理では、例えば底部加熱装置3側において、ソレノイドバルブ25,27の開閉制御によって外輪側のガスバーナ21、内輪側のガスバーナ17,19を選択的に停止させることなどによって行われる。
【0058】
上記のような加熱制御により、調理容器1の上部にまで大量に投入された野菜等であっても、底部加熱装置3による加熱と、熱交換ジャケット5での熱交換による加熱とにより、高速加熱を行うことができる。
【0059】
そして、調理容器1内に投入された食材が、例えば野菜であり、これを炒め調理する場合に、調理容器1の上部にまで一杯に投入された野菜は、底部13側へ短時間で集束し、底部13側におけるガス加熱によって高温調理を行うことができる。
【0060】
ここで、上記のように底部13のガス加熱のみで高温調理を行なう場合、当初加熱釜1の上部にまで一杯に投入された野菜をいち早く底部13側へ集束させようとしてガスによる高温加熱を強烈に行うと、投入された野菜が容易に焦げてしまうものとなる。また、このような焦げを避けようとして、ガス加熱の度合いを弱めると、投入された野菜が底部13側へ集束するのに時間がかかりすぎてしまうものとなる。
【0061】
これに対し、上記のようなガスによる底部13の加熱と、蒸気による胴部15側での熱交換によるハイカロリー加熱とにより、大量に投入された野菜等を底部13側へいち早く短時間で集束させ、ガス加熱による高温加熱をいち早く行わせることができる。すなわち、いわゆるハイブリッド加熱によって、短時間高温調理を行うことができる。
【0062】
しかも、熱交換ジャケット5による閉断面部への蒸気の供給が停止され、ブローされたとき、閉断面内部にドレンが無いか極めて少量となるため、底部13の高温加熱時に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われることが無いか抑制されるため、短時間高温調理をより高度に行うことができる。
【0063】
かかる調理において、攪拌装置77では、主軸91の回転と共に、偏心自転軸84が主軸91の回りに公転し、且つ枝軸85が偏心自転軸84の回りに自転する。従って、攪拌羽根79,81は偏心自転軸84の回りに自転しながら主軸91の回りに公転し、攪拌羽根83は主軸91の回りに自転することになる。これら攪拌羽根79,81,83によって、調理容器1内の食材を攪拌調理することができ、全体として高温高速攪拌調理を行うことができる。
【0064】
食材が野菜であり、野菜の炒め調理を行う場合などにおいて、食材が底部13側へいち早く集束し、或いはその途中にあるとき、制御盤11によってソレノイドバルブ43,61、が制御され、熱交換ジャケット5から蒸気が抜かれ、あるいは供給が停止され、熱交換の度合いを弱め又は停止させることもできる。従って、調理容器1の胴部15側での蒸気による熱交換は抑制され、あるいは停止されることになるので、野菜の炒め調理中に底部13側へ集束する途中工程において、胴部15側で蒸気により加熱されすぎて焦げが生じるなどの問題を抑制することができる。
【0065】
さらに制御盤11によるソレノイドバルブ45,47,62(但し、追加又は代用する場合),63,65の開閉制御によって、熱交換ジャケット5内に冷却水あるいは冷却空気を投入することができる。従って、調理容器1の底部13よりも外周側の壁面において積極的な冷却を行うことができ、該部分での焦げつきを確実に規制することができる。従って、蒸気を供給して加熱した後、水や空気の供給によって調理容器1を冷却することが可能となり、調理の進行と共に食材が底部13側へ集束する過程において、調理容器1の外周側の壁面が加熱されすぎて食材に焦げを生じるなどの不都合を抑制するようにしてもよい。この場合、食材は底部13側に集束しており、ガス加熱による高温調理に影響することはない。又、食材によっては加熱調理後、底部加熱装置3のガス加熱を停止し、熱交換ジャケット5に冷却水51あるいは冷却空気53を積極的に投入して、冷却しながら調理容器1内に寝かせてもよい。
【0066】
そして、かかる調理過程において、調理容器1内の含水率の変化は、上記した通りである。なお、同時に攪拌羽根79,81,83による攪拌状態も制御し、含水率制御に関係させることもできる。この含水率制御に関係する攪拌羽根79,81,83による攪拌状態は、予め実験により測定し、制御盤11に記憶させるものである。
【0067】
又、媒体給排装置7側においては、ソレノイドバルブ43、45,47,61,62(但し、追加又は代用する場合),63が開閉制御されて、熱交換ジャケット5に対して蒸気、冷却水、冷却空気を選択的に給排し、温度制御が行われる。
【0068】
かかる制御によって、食材の調理目的を達成するために、加熱時含水率変化を的確に制御することができ、含水率を制御した目的の調理を確実且つ容易に行うことができる。
【0069】
又、練りあん、ソース、スープ、その他食品の煮詰め工程において、その終了時に食材の重量変化が目的の含水率に対応したとき、底部加熱装置3及び媒体給排装置7の駆動制御による加熱を停止することができ、目的の含水率を的確に得ることができる。
【0070】
この目的の含水率としては、例えば加熱を停止した時点で調理容器1の余熱も存在するため、該余熱で蒸発する水分を考慮して決めることもでき、この場合はより的確な含水率を得ることができる。但し、熱交換ジャケット5に冷却水あるいは冷却空気を即座に投入することによって、調理容器1の余熱を除去し、余熱による水分の蒸発を抑制すれば、目的とする含水率を余熱による蒸発を考慮せずに設定して停止させることも可能である。
【0071】
また、食材によっては、積極的に焦げを発生させて、色あるいは風味を付けることもある。かかる場合において、焦げを必要としても、必要以上に焦げを付けると製品として成立しなくなるため、厳しい管理が必要である。かかる場合において、予め実験により調理目的に合った焦げを得るための含水率変化に応じた重量変化を基準値として記憶させておくことにより、所望の焦げを的確に得ることができる。
【0072】
そして、特に上記のようなハイブリッド加熱においては、従来の倍以上の高温高速加熱調理を行うことができるため、作業者の勘などに頼る含水率制御では、作業が間に合わなかったり、オーバーランによって加熱しすぎることで、最終的な目的の含水率も得られなくなるが、上記制御によって極めて容易に且つ正確に調理目的を達成することができる。従って、高温加熱調理の速度が作業者の作業能力に規制されることが無くなり、高温高速加熱調理を確実に行うことができる。
【0073】
上記食材の含水率変化を重量変化として検出し制御するようにしているが、このときの含水率変化そのものを液晶モニタなどによって表示し、作業者が基準値との差異を確認するようにすることもできる。これによって装置の稼働中に装置が適正に作動しているかどうかを逐次確認することができ、より的確な調理を行わせることができる。又、検出値が基準値からずれた場合に、ブザー等によって作業者に知らせる構成にすることもでき、かかる場合には装置の異常を装置から離れた場所にいる作業者に知らせることもでき、装置を直ちに停止して修理等を促すことも可能である。
【0074】
食材によっては、調理容器1内の対流状態を内側から外側、あるいは外側から内側というように選択して起こさせる必要が生じる場合もある。この場合、制御盤11によってソレノイドバルブ25,27を制御し、内輪側のガスバーナ17、19、外輪側のガスバーナ21の駆動停止を制御し、対流を適宜所望状態に起こさせることができる。
【0075】
また上記では食材を野菜とし、加熱調理中に食材が調理容器1の底部13側へ集束する状況で説明したが、食材がクリームなどにおいて、加熱調理中に容積を膨らませる状況も存在する。このような状況でも、底部加熱装置3、媒体給排装置7の上記のような制御により食材の目的の含水率変化、最終含水率を的確に得ることができる。
【0076】
なお、前記底部加熱装置3の加熱中は、連通孔101から空洞部99内に熱が排出され、排気筒103から外部に逃がされるので、排気を的確に行うことができる。又、断熱壁部69によって熱交換ジャケット5と底部加熱装置3とを熱的に区画することができるため、高温のガス加熱による輻射熱が熱交換ジャケット5に及ぶのを抑制することができる。
【0077】
前記底部加熱装置3として、電磁誘導加熱装置を用いてもよい。調理容器1の底部13の下部に電磁誘導発熱体を配置する。この電磁誘導発熱体の電気的な制御は、制御盤11で行う。制御盤11による電磁誘導発熱体の制御は、例えば前記ガスによる加熱と同様に、外周側部と内周側部とで発熱状態を駆動停止するなど、その制御を行う。
【0078】
従って、電磁誘導加熱装置を採用した場合にも略同様な作用効果を奏することができる。又、電磁誘導発熱体を用いるため、制御盤11による制御はより容易になると共に、ガスの場合のように配管、排気構造等を不要とし、コンパクトに構成することも可能である。
【0079】
尚、底部加熱装置として電気的な加熱装置、あるいは底部13に熱交換ジャケットを別に設け、底部13も蒸気による熱交換によって加熱する構成にすることもできる。この場合、底部13側のジャケットには、胴部15側の熱交換ジャケット5で使用した蒸気を再加熱して過熱蒸気として供給することもできる。又、胴部15側の熱交換ジャケット5とは別系統とし単独で過熱蒸気を供給することも可能である。さらに、調理容器1の熱交換ジャケット5側を各種発熱コイルあるいは電磁誘導発熱体で構成し、電気的に加熱する構成も均等の範囲である。上記各ソレノイドバルブは、エアバルブ、モーターバルブ、その他のバルブで構成することもできる。
【符号の説明】
【0080】
1 調理容器
3 ガス加熱装置(底部加熱装置)
5 熱交換ジャケット
7 媒体給排装置(媒体供給装置)
11 制御盤(制御部)
13 底部
15 胴部
62 ソレノイドバルブ(排出弁)
68 配管
70 ドレン弁(排出弁)
89 温度センサ