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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】壁掛け棚用棚柱
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/14 20060101AFI20240711BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20240711BHJP
   F16B 12/12 20060101ALI20240711BHJP
   F16B 12/20 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A47B96/14 B
F16B7/04 302A
F16B12/12 C
F16B12/20 F
A47B96/14 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020101441
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021194149
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503048051
【氏名又は名称】株式会社藤山
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】藤山 雄一朗
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223196(JP,A)
【文献】特開2007-105273(JP,A)
【文献】実開昭52-155610(JP,U)
【文献】特表2009-528462(JP,A)
【文献】特開2005-296183(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150360(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/000073(WO,A1)
【文献】特開平07-289363(JP,A)
【文献】実開昭59-188054(JP,U)
【文献】特開2003-056530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00-97/08
F16B 7/00- 7/22
12/00-12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横桟であるレールと共に壁に取り付けた状態で壁掛け棚を構成する棚柱であり、
2種類の樹脂製の棚柱要素である上側棚柱要素及び下側棚柱要素を高さ方向に連結した状態で1本の前記棚柱として使用可能であり、
前記上側棚柱要素及び前記下側棚柱要素の各前向き面にブラケット取付用のスリットを高さ方向に複数設けるとともに、
前記上側棚柱要素または前記下側棚柱要素の何れか一方において前記スリットを設けていない側壁に設けた弾性爪を他方の棚柱要素において前記スリットを設けていない側壁に形成した孔に弾性係合させた連結状態で、前記上側棚柱要素の下端面と前記下側棚柱要素の上端面が相互に当接していることを特徴とする壁掛け棚用棚柱。
【請求項2】
前記弾性爪が、前記上側棚柱要素及び下側棚柱要素を相互に連結した前記連結状態で当該連結部分において外方に突出した突部として現れない形状である請求項1に記載の壁掛け棚用棚柱。
【請求項3】
壁に固定された前記レールに対して上方から引っ掛けることが可能な引っ掛け部を備えている請求項1又は2の何れかに記載の壁掛け用棚柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛け棚に適用可能な棚柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁に固定したベースフレームにブラケットを取り付け、これらのブラケットにアタッチメントを取り付けて、これらアタッチメントを介して棚板や物品懸吊用等に用いられるパイプ等の各種部材を取り付けられるようにした壁掛け棚(システムラック)が知られている。
【0003】
本出願人は、左右方向(幅方向)に延伸するレールを壁に固定し、このレールに対して複数の棚柱を幅方向に離間した位置に配置した状態で各棚柱を壁に固定することで、これらレール及び棚柱によってベースフレームを構成する壁掛け棚を案出し、既に商品化を実現している(下記特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開特開2007-105273号公報(特許第4105720号公報)
【文献】株式会社藤山,「フィットラックカタログvol.3-b」,7ページ,[online],2019年12月,株式会社藤山,[令和2年5月10日検索],インターネット<URL:http://fitrack.jp/product/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベースフレームを構成する棚柱は、1本の長い金属製品であるため、重く、梱包時や施工時に手間が掛かり、配送コストも高くなるという問題がある。また、重い棚柱を取り付ける壁にも大きな負荷が局所的に作用し、耐荷重が低い壁であれば適用できない場合もある。
【0006】
本発明は、このような点に着目したものであって、主たる目的は、長くて重たいが故に生じていた従来の金属製棚柱の不具合を悉く解消可能な壁掛け棚用棚柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る壁掛け棚用棚柱は、横桟であるレールと共に壁に取り付けた状態で壁掛け棚を構成するものであって、2種類の樹脂製の棚柱要素である上側棚柱要素と下側棚柱要素を高さ方向に連結した状態で1本の棚柱として使用可能なものであり、上側棚柱要素及び下側棚柱要素の各前向き面にブラケット取付用のスリットを高さ方向に複数設けたものである。そして、本発明に係る壁掛け棚用棚柱は、上側棚柱要素または下側棚柱要素の何れか一方の棚柱要素においてスリットを設けていない側壁に設けた弾性爪を、他方の棚柱要素においてスリットを設けていない側壁に形成した孔に弾性係合させた連結状態において上側棚柱要素の下端面と下側棚柱要素の上端面が相互に当接していることを特徴としている。
【0008】
このような本発明に係る壁掛け棚用棚柱であれば、何れも樹脂製である上側棚柱要素と下側棚柱要素を高さ方向に連結した状態で1本の棚柱として使用可能なものであるため、1本の長い金属製品であった従来の棚柱と比較して、1本の棚柱としての重量が軽くなり、さらに、各棚柱要素1本ずつの重量はさらに軽いため、施工時の取り扱い性が向上するとともに、上側棚柱要素や下側棚柱要素の形態で梱包することによって長さも短くなり、梱包時の手間が軽減され、配送コストも安くなる。加えて、樹脂製の比較的軽量の棚柱を壁に取り付けることになるため、1本の長い金属製品の棚柱を壁に取り付ける場合と比較して、棚柱を取り付けた壁に作用する負荷が低減し、壁に高い耐荷重が要求されず、施工可能な壁が過度に限定されないというメリットもある。
【0009】
特に、本発明に係る壁掛け棚用棚柱は、高さ方向に隣接する上側棚柱要素及び下側棚柱要素のうち一方の棚柱要素に設けた弾性爪を、他方の棚柱要素の孔に弾性係合させるという作業のみで棚柱要素を連結することができ、専用のジョイント部材が不要なため作業性にも優れ、しかも、棚柱要素同士(上側棚柱要素と下側棚柱要素)を連結した状態で、上側棚柱要素の下端面と下側棚柱要素の上端面が相互に当接しているため、安定した連結状態を維持することができる。このような樹脂製の壁掛け棚用棚柱はかつてない斬新で画期的なものである。
【0010】
特に、本発明に係る壁掛け棚用棚柱は、上側棚柱要素及び下側棚柱要素の各前壁にブラケット取付用のスリットを高さ方向に複数設けたものであるので、ユーザが選択した高さ位置のスリットを利用してブラケットを取り付けることができ、ブラケットを介して棚板等のオプション部品をユーザが選択する任意の高さ位置にセットすることが可能である。
【0011】
また、本発明において、弾性爪が、棚柱要素同士を連結した状態で当該連結部分において外方に突出した突部として現れない形状であれば、弾性爪に他の部材が不意に引っ掛かる事態を防止・抑制することができ、弾性係合状態にある弾性爪に他の部材が当たって弾性係合状態が意図せずに解除される不具合も防止・抑制することができる。
【0012】
本発明に係る壁掛け用棚柱が、壁に固定されたレールに対して上方から引っ掛けることが可能な引っ掛け部を備えたものであれば、棚柱よりも先に壁に固定されたレールに対する棚柱の位置決めを、引っ掛け部をレールに引っ掛けるという簡単な作業によってスムーズ且つ的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、何れも樹脂製である上側棚柱要素と下側棚柱要素を高さ方向に連結した状態で1本の棚柱として使用するというこれまでに着想されることのない斬新な技術的思想を採用したことによって、従来の長くて重たい金属製棚柱であれば生じていた種々の不具合を悉く解消可能な壁掛け棚用棚柱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る棚柱を適用した壁掛け棚の全体外観図。
図2】同実施形態におけるレールの全体外観図。
図3】同実施形態におけるレールを示す図。
図4】同実施形態におけるレールを示す図。
図5】同実施形態における固定金具の全体外観図。
図6】同実施形態における固定金具を示す図。
図7】同実施形態に係る棚柱の全体外観図及び一部拡大正面図。
図8】同実施形態に係る各棚柱要素を示す図。
図9】同実施形態に係る上側棚柱要素を示す図。
図10】同実施形態に係る各棚柱要素を示す図。
図11】同実施形態に係る各棚柱要素を示す図。
図12】同実施形態に係る各棚柱要素同士の連結に関わる部分の拡大斜視図。
図13】同実施形態におけるブラケットの全体外観図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る壁掛け棚用棚柱2は、図1に示すように、レール1と共に壁掛け棚X(システムラック)を構成するものである。具体的に、壁掛け棚用棚柱2は、レール1と共に壁掛け棚XのベースフレームYを構成するものである。
【0016】
壁掛け棚Xは、ベースフレームYにブラケットBを取り付け、これらのブラケットBにアタッチメントを取り付けて、これらアタッチメントを介して棚板Tや物品懸吊用等に用いられるパイプ等の各種部材を取り付けられるようにしたものである。
【0017】
ベースフレームYは、横臥姿勢で壁Wに固定されるレール1と、レール1に上端部を引っ掛けた状態で壁Wに固定される複数の棚柱2(支柱)とによって構成されている。各棚柱2は、本実施形態では樹脂製の一体成型品である棚柱要素3A,3B同士を高さ方向に連結したものであり、詳細は後述する。
【0018】
本実施形態の壁掛け棚Xは、石膏ボードの壁Wに取付可能なものである。
【0019】
レール1は、図2及び図3に示すように、規定の幅寸法(本実施形態では例えば765mm)を有する合成樹脂製の一体成型品である。レール1は、背面を壁Wに押し当てた状態で固定される起立壁11と、起立壁11の下端から連続して斜め前方に突出した形状の引っ掛け壁12とを全幅に亘って備え、引っ掛け壁12に棚柱2を引っ掛けることが可能なものである。本実施形態では、起立壁11の厚み寸法を3mmに設定し、引っ掛け壁12の厚み寸法を3mmに設定している。ここで、図2はレール1の全体外観図であり、図3(a)はレール1の平面図であり、同図(b),(c)はそれぞれ同図(a)のA1方向矢視図(正面図)、A2方向矢視図(背面図)である。また、図4(a),(b),(c)はそれぞれ図3(a)のR1領域拡大図、図3(b)のR2領域拡大図、図4(b)のd1-d1断面図である。
【0020】
本実施形態では、ベースフレームYをセットする部屋の大きさ等に応じて実際に使用するレール1の長さ寸法を施工時に選択・調整できるように、レール1の所定箇所に分断する際の境界部分となる溝13を設けている。溝13は、図3及び図4(a)に示すように、起立壁11の背面(後向き面)側及び引っ掛け壁12の下向き面側に亘って連続して形成されたものである。本実施形態のレール1は、底部分の厚みが0.6mmの断面V字状の溝13を、レール1の幅がそれぞれ450mm、600mmとなる位置に形成している。したがって、例えば、450mmの幅寸法のレール1を適用する場合には、450mmの位置に形成されている溝13でレール1を分断することになる。溝13の部分で分断すると、少なくとも2つの分断済みレールになり、一方の分断済みレールは実際に使用するレール(使用レール1)であり、他方の分断済みレールは実際に使用されることが予定されていないレール(廃棄レール)になる。本実施形態では、少なくとも溝13の近傍であって且つ溝13で分断した後に使用レール1となる部分(残存部分)に分断後の使用レール1の長さ(幅寸法)を示す文字(図示例では、W450、W600)を刻印している。本実施形態では分断する前のレールの全長を750mmに設定しており、レールの一端部には分断前のレールの全長を示す文字(図示例では、W700)を刻印している。本実施形態のレール1では、これら幅寸法を示す文字を起立壁11の背面に刻印している(図3(c)参照)。特に、本実施形態に係るレール1は、幅寸法を示す文字の刻印箇所(長さ刻印部14の形成箇所)のうち分断後の幅寸法を示す文字(図示例では、W450、W600)を、溝13の近傍であって且つ溝13で分断した後に使用レール1となる部分に設定している。これにより、分断前及び分断後においても使用レール1の長さを直感的に把握することができる。
【0021】
また、レール1のうち起立壁11の前向き面には、レール1を壁Wに固定する際に用いる固定具(本実施形態では次に説明する固定金具P)を収容可能な凹部15を形成している(図2及び図3(b)参照)。
【0022】
固定金具Pは、図5及び図6に示すように、石膏ボードのように下地の無い壁Wに対して当該固定金具Pを正面から押し付けた状態で固定可能なものである。図5は固定金具Pの全体外観図であり、図6(a)は固定金具Pの正面図であり、図6(b),(c)は同図(a)のA1方向矢視図、A2方向矢視図である。本実施形態の固定金具Pは、壁Wに対して直接または間接的に押し当てられる円板形状の面接触本体部P1と、面接触本体部P1の周囲から面接触本体部P1に対して略90度折れ曲がった方向にそれぞれ突出する3つの挿込爪P2とを一体に備え、所定の押付方向に押し付けた状態で固定可能な金属製の一体品である。3つの挿込爪P2は、面接触本体部P1の周囲に均等に配置され、それぞれ鋭角に尖った先端部と、先端部から基端部に亘って鋸歯状の複数段の返しP3(図示例では2段)とを有し、矢じり形状をなすものである。本実施形態では、板厚1mmの鋼板に対してプレス加工処理等を適宜の加工処理を経て成形した固定金具Pを適用している。また、固定金具Pのうち面接触本体部P1の中央部分には、別の固定具である例えばタッピングビスNが挿通可能な貫通孔P5を形成している。面接触本体部P1の外周部分の直径は16mmであり、貫通孔P5の直径は3.2mmである。また、各挿込爪P2の基端から先端までの長さは16mmであり、各挿込爪P2の返し部分における最大幅は3mm、最小幅は2mmである。
【0023】
このような固定金具Pを収容可能な凹部15を、レール1のうち起立壁11の前向き面に設けている(図2図3(b)、図4(b),(c)参照)。具体的には、レール1の両端近傍に凹部15を設け、これら両端の凹部15の間に3つの凹部15を150mm間隔または217.5mm間隔で設け、計5つの凹部15をレール1の長手方向に沿って複数並ぶように設定している。凹部15の高さ位置は、レール1を真正面から見て引っ掛け壁12に重ならない位置に設定されている。
【0024】
凹部15は、固定金具Pの面接触本体部P1を収容可能なメイン凹部151と、固定金具Pの挿込爪P2の挿込位置をガイドする挿込爪ガイド凹部152とを有し、メイン凹部151の凹み寸法を挿込爪ガイド凹部152の凹み寸法よりも浅く設定したものである。挿込爪ガイド凹部152は、面接触本体部P1の周縁部に周方向に等ピッチ(120度)に配置されている。レール1のうち起立壁11の厚み寸法(前後方向D1の寸法)は3mmであり、凹部15のうちメイン凹部151の底部を起立壁11の前向き面から1.1mmの位置に設定し、挿込爪ガイド凹部152の底部を起立壁11の前向き面から2.7mmの位置に設定している。つまり、挿込爪ガイド凹部152の底部は、挿込爪P2によって突き破ることが可能な薄さ(厚さ0.3mm)に設定されている。また、メイン凹部151の中央部分には、固定金具Pとは別の固定具であるタッピングビスNを挿通する位置をガイドするネジガイド凹部153を形成している。ネジガイド凹部153は、挿込爪ガイド凹部152と同程度の薄さに設定された底部と、タッピングビスNの頭部を収容する座刳り部とを有する。
【0025】
このようなレール1を壁Wに固定する前に、予めレール1の幅寸法を選定・選択し、その選択した長さに対応する箇所に設けた溝13でレール1を分断する処理を行う。もちろん分断することなくレール1の全長をそのまま使用することもできる。レール1を壁Wに固定する処理は、レール1を水平姿勢にした状態で起立壁11の背面(後向き面)を壁Wに押し当て、固定金具PまたはタッピングビスNを用いて行う。すなわち、壁Wに下地が無い場合は固定金具Pを用いて固定し、壁Wに下地がある場合はタッピングビスNを用いて固定する。固定金具Pを用いてレール1を固定する処理は、各凹部15に固定金具Pを挿し込むことで完了する。固定金具Pを凹部15に挿し込むと、挿込爪P2の先端が挿込爪ガイド凹部152を突き破り、そのまま壁Wに突き刺さる。固定金具Pの面接触本体部P1がメイン凹部151に完全に収容される位置まで固定金具Pを押し付けると、3つの挿込爪P2が壁Wの内部に所定距離分突き刺さった状態になり、良好な固定状態を維持することができ、レール1を下地の無い壁Wと固定金具Pとの間で挟んだ状態で固定することができる。一方、下地がある壁Wに対して、固定金具Pを用いずにタッピングビスNを用いてレール1を壁Wに固定する場合は、凹部15のうちネジガイド凹部153にタッピングビスNを挿し込み、そのまま壁Wにねじ込むビス止め処理を行う。
【0026】
以上の手順で壁Wに固定したレール1に対して棚柱2を引っ掛けた状態で位置決めすることができる。
【0027】
本実施形態に係る棚柱2は、図7及び図8に示すように、2種類の樹脂製の棚柱要素である上側棚柱要素3A及び下側棚柱要素3Bを高さ方向に連結した状態で1本の棚柱2として使用可能なものである。上側棚柱要素3Aは、図8(a)及び図9に示すように、前壁31と、前壁31の両側縁から後方に突出する左右一対の側壁32と、前壁31の背面(後向き面)において前壁31の幅方向D2中央部から後方に突出する中央リブ壁33とを略全長に亘って有するものである。図9(a)は上側棚柱要素3Aの正面図であり、図9(b)(c)は同図(a)のA1方向矢視図(平面図)、A2方向矢視図(底面図)である。前壁31の厚み寸法(前後方向D1の寸法)は、2.3mmであり、側壁32の厚み寸法(幅方向D2の寸法)は5mmであり、中央リブ壁33の厚み寸法(幅方向D2の寸法)は8mmである。前壁31に対する側壁32及び中央リブ壁33の後方への突出量(突出寸法)は同じか中央リブ壁33をやや短めに設定し、側壁32及び中央リブ壁33の突出先端面をそれぞれ鉛直方向にフラットな面に設定している。
【0028】
前壁31には、ブラケット取付用のスリット34を高さ方向に所定ピッチで多数開口させている。本実施形態では縦長のスリット34を同一高さ位置において左右一対(縦2列)に形成した態様の支柱を示しているが、縦1列又は3列以上にスリット34を形成したものを採用しても構わない。また、前壁31の幅方向D2中央部分には、スリット34に重ならない位置にビス挿通孔35を高さ方向に複数設けている。ビス挿通孔35は、前壁31の前向き面から中央リブ壁33の突出先端面に亘って貫通する孔である。ビス挿通孔35には、前壁31の前向き面に露出する座刳りも含まれる。本実施形態の上側棚柱要素3Aの上端部近傍位置、高さ方向中央位置、下端部近傍位置にそれぞれビス挿通孔35を設けている。
【0029】
さらに、本実施形態の上側棚柱要素3Aは、図10(a)に示すように、中央リブ壁33の突出先端面に、固定金具Pを引っ掛けた状態で収容可能な受け部36を高さ方向に複数設けている。図10(a)は図9(a)のd1-d1断面図である。本実施形態では、ビス挿通孔35と連通する位置に受け部36を形成している。受け部36は、棚柱2をレール1に取り付ける処理よりも前の時点で壁Wに固定した固定金具Pを壁Wの正面側から被覆して収容可能な凹溝である。
【0030】
上側棚柱要素3は、下端部に下方に突出する弾性爪37を備え、上端部に弾性爪37が係合する係合孔38を備えている。弾性爪37は、図9(a)及び図11(a)に示すように、両側壁32のフラットな下端面からさらに下方に突出し、先端部分の係合突起371(返し部分)が外側方を向く形状である。棚柱要素3は、左右一対の弾性爪37同士の間に、中央リブ壁33の下端面からさらに下方に突出し、且つ上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを高さ方向に連結した際に下側棚柱要素3Bのうち前壁31の後向き面に接触するリブ補強部39を備えている(図10参照(a)参照)。弾性爪37及びリブ補強部39の先端面(下端面)を水平方向にフラットな面に設定している。
【0031】
係合孔38は、両側壁32の上端面から所定距離下方に離間した位置に、側壁32の厚み方向(幅方向D2)に貫通する孔である。なお、中央リブ壁33の上端面は、係合孔38よりも低い位置に設定している(図10(a)参照)。
【0032】
一方、下側棚柱要素3Bは、図8(b)、図10(b)及び図11(b)に示すように、上側棚柱要素3Aと比較して、上述の弾性爪37及びリブ補強部39を備えていない点のみが異なり、その他の構造・形状は上側棚柱要素3Aと同じである。
【0033】
このような上側棚柱要素3A及び下側棚柱要素3Bを図12に示すように高さ方向に2つ並べて相互に近付けると、相対的に上側棚柱要素3Aの下端部に設けた弾性爪37のうち先端部分の係合突起371が、下側棚柱要素3Bの上端面3Tに当たり、さらに棚柱要素3A,3B同士を近付けると、弾性爪37が下側棚柱要素3Bの側壁32に接触しながら弾性変形する。そのままさらに棚柱要素3A,3B同士を近付けると、上側棚柱要素3Aの係合突起371が下側棚柱要素3Bの係合孔38に到達して弾性復帰して係合孔38に嵌まり込んで係合する。このように弾性爪37が係合孔38に係合することで上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを連結することができ、1本の棚柱2を形成することができる。この連結状態において、上側棚柱要素3Aの下端面3Dと下側棚柱要素3Bの上端面3Tが当接している(図7(b)参照)。また、この連結状態において、上側棚柱要素3Aのうち弾性爪37同士の間に設けているリブ補強部39の前向き面が、下側棚柱要素3Bのうち前壁31の後向き面に面接触している(図7(b)参照)。また、本実施形態の棚柱2は、上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを連結した状態において、棚柱要素3A,3B同士を離間する方向に力が作用した場合、弾性爪37の先端部分の係合突起371(返し部分)が係合孔38に引っ掛かることで、弾性爪37が係合孔38から抜け外れることを防止する抜け止め機能を発揮する。図7(b)は棚柱2の正面図であって上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bの連結部分を拡大して示す図である。なお、作業者が適宜の治具を用いて弾性爪37を内側に押し付ける操作力を付与すると、弾性爪37が係合孔38から外れ、その状態で棚柱要素3A,3B同士を離間する方向に引っ張ると棚柱要素3A,3B同士の連結状態を解除することができる。
【0034】
また、本実施形態の上側棚柱要素3Aは、レール1の引っ掛け壁12に上方から引っ掛けることが可能な引っ掛け部3Hを上端部に備えている。引っ掛け部3Hは、側壁32のうち係合孔38から高さ方向(係合孔38よりも高さ方向中央側に近寄る方向)に所定距離離間した位置において、前壁31側から後方に向かって漸次高さ方向中央側に傾斜する方向に開口する形状(引っ掛け溝13の形状)を有する。引っ掛け部3Hの傾斜角度は、引っ掛け壁12の突出傾斜角度に対応している。
【0035】
したがって、このような引っ掛け部3Hを有する棚柱要素3A,3B同士を連結した棚柱2のうち、上側棚柱要素3Aの引っ掛け部3Hをレール1の引っ掛け壁12に上方から引っ掛けることができる。本実施形態では、上側棚柱要素3Aの側壁32のうち引っ掛け部3Hよりも上側の部分(引っ掛け部3Hを境に引っ掛け部3Hよりも側壁32の延伸方向(高さ方向)中心から離れた側の部分)の前後方向D1の寸法(奥行き寸法)を、レール1の起立壁11の前後方向D1の寸法(厚み寸法)分だけ他の部分よりも小さく設定している。したがって、レール1の引っ掛け壁12に引っ掛け部3Hに引っ掛けた状態では、側壁32のうち引っ掛け部3Hよりも下側の部分(側壁32の大部分)の後向き面全体をレール1の起立壁11とともに固定対象である壁Wに接触させることができる。上側棚柱要素3Aのうち引っ掛け部3Hを設けた上端部において、中央リブ壁33は引っ掛け部3Hの開口縁と同じ形状にカットした形状に設定されている(図10参照)。すなわち、上側棚柱要素3Aの高さ方向に沿って延伸している中央リブ壁33は、引っ掛け部3Hを越えた位置にまで延伸していない。なお、図8(b),図10(b),図11(b)はそれぞれ下側棚柱要素3Bであって、図8(a),図10(a),図11(a)に対応して示す図である。図11(a)では上側棚柱要素3Aをレール1に引っ掛けた状態を示しているが、下側棚柱要素3Bはレール1に引っ掛けることが想定されていないため、同図11(b)ではレール1を図示していない。
【0036】
以上のパーツ(レール1、棚柱2、固定金具P)を用いて壁掛け棚XのベースフレームYを壁Wにセットする手順は以下の通りである。
【0037】
先ず、レール1を所定の長さに調整する場合には、レール1の起立壁11の背面に刻印した長さを示す文字(長さ刻印部14)を手掛かりに、その長さ刻印部14近傍に設けられている溝13でレール1を分断する。この分断作業は手で行うことができる。分断した使用レール1または分断せずに全長そのままで使用するレール1の起立壁11を壁Wに押し当てた状態で、固定金具PまたはタッピングビスNを用いた上述の固定処理によってレール1を壁Wに固定する。特に、石膏ボードのように下地がない壁Wにレール1を固定金具Pで固定した場合、各固定金具Pに120度ピッチで設けた3本の挿込爪P2がそれぞれ異なる角度で石膏ボードの壁Wの内部に突き刺さることで良好な固定状態を維持することができる。なお、壁Wに対する1本のレール1の固定箇所が、下地がある箇所と無い箇所とで区別できる場合には、下地がある箇所にはタッピングビスNを使用し、下地が無い箇所には固定金具Pを使用すればよい。すなわち、1本のレール1を複数箇所(図示例では最大5箇所)で壁Wに固定する際に、例えば3箇所はタッピングビスNで固定し、残りの2箇所は固定金具Pで固定するという態様も採用できる。
【0038】
次に、上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを上述の手順で連結した棚柱2を必要な数だけ用意し、各棚柱2の上端部(上側棚柱要素3Aの上端部)に設けた引っ掛け部3Hをレール1の引っ掛け壁12に上方から引っ掛ける。なお、壁Wに対する棚柱2の固定箇所が、石膏ボードのような下地がない箇所であれば、棚柱2をレール1に引っ掛けるよりも前の時点で、棚柱2の受け部36(幅方向D2中央部から後方に突出する中央リブ壁33の突出先端面に設けた受け部36)が配置される箇所に固定金具Pを突き刺し、固定金具Pの面接触本体部P1が壁Wに接触する位置まで押し込んで固定しておく。これにより、棚柱2をレール1に引っ掛けて支持させた状態で固定金具Pが受け部36に収容される。続いて、棚柱2を構成する各棚柱要素3A,3Bの前壁31に複数設けたビス挿通孔35にそれぞれタッピングビスNを正面側から挿通すると、タッピングビスNは、受け部36に収容されている固定金具Pのうち面接触本体部P1の中央部分に形成した貫通孔P5にねじ込まれながら壁Wに進入する(図10参照)。以上の処理によって、当該固定箇所において棚柱2を壁Wに固定することができる。
一方、壁Wに対する棚柱2の固定箇所が、下地のある箇所(ネジが効く箇所)であれば、固定金具Pを用いず、タッピングビスNのみを用いて棚柱2を壁Wに固定することができる。この場合、棚柱2をレール1に引っ掛けるよりも前の時点で固定金具Pを壁Wに押し込んで固定する処理は不要であり、棚柱2をレール1に引っ掛けた後に、棚柱2を構成する各棚柱要素3A,3Bの前壁31に複数設けたビス挿通孔35にそれぞれタッピングビスNを正面側から挿通して壁Wにねじ込むことで、棚柱2を壁Wにネジ止めすることができる。
【0039】
なお、壁Wに対する1本の棚柱2の固定箇所が、下地がある箇所と無い箇所とで区別できる場合には、下地がある箇所にはタッピングビスNのみを使用し、下地が無い箇所には固定金具PとタッピングビスNを使用すればよい。すなわち、1本の棚柱2を複数箇所(図示例では最大6箇所)で壁Wに固定する際に、例えば3箇所はタッピングビスNのみで固定し、残りの3箇所は固定金具PとタッピングビスNで固定するという態様も採用できる。
【0040】
以上の手順によって壁掛け棚XのベースフレームYを壁Wに固定した状態でセットすることができる。そして、各棚柱要素3の前壁31に形成されている複数のブラケット取付用スリット34から選択した任意のブラケット取付用スリット34にブラケットBを取り付け、このブラケットBにアタッチメントを介して棚板Tを取り付けることで、棚板Tに適宜の物品等を置くことが可能な壁掛け棚Xになる。
【0041】
なお、本実施形態で用いるブラケットBは、合成樹脂製の一体成型品であり、図13に示すように、基端側に棚柱要素3A,3Bのブラケット取付用スリット34に挿入して掛止するための複数のフック爪B1(図示例では高さ方向に3つ並ぶフック爪B1)を形成し、その基端側から先端側へ向けて長尺なアーム部B2を伸ばしたものである。図13(a),(b)はそれぞれブラケットBを相互に異なる方向から見た全体外観図である。フック爪B1は、汎用のスチール製板状ブラケットと同様、下向きL字形状をなすものである。棚柱要素3のブラケット取付用スリット34にフック爪B1を引っ掛けた掛けた状態で外部に露出するアーム部B2のうち棚柱要素3A,3Bに接触または近接する部分であって且つ上から1段目のフック爪B1よりも下側の部分と、アーム部B2の下縁のうちアーム部B2の基端から延伸方向に沿った所定位置に亘る部分とを他の領域よりも厚みを大きく設定している。また、アーム部B2には、その長手方向に沿って1列に複数の孔B3(図示例では6つの孔B3)を開口形成している。各孔B3は、正方形状に形成してある。アーム部B2における孔B3の間隔は、基端側から1番目と2番目の間を若干狭くしている他は、全て等間隔としている。なお、アーム部B2における孔B3の形成数や位置は任意に設定することができる。
【0042】
このように本実施形態に係る壁掛け棚用棚柱2は、何れも樹脂製である上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを高さ方向に2本連結した状態で1本の棚柱2として使用可能なものであるため、1本の長い金属製品であった従来の棚柱と比較して、1本の棚柱としての重量が軽くなり、さらに、上側棚柱要素3Aや下側棚柱要素3Bの各棚柱要素1本ずつの重量はさらに軽いため、施工時の取り扱い性が向上するとともに、各棚柱要素の形態で梱包することによって長さも短くなり、梱包時の手間が軽減され、配送コストも安くなる。加えて、樹脂製の比較的軽量の棚柱2を壁Wに取り付けることになるため、1本の長い金属製品の棚柱を壁に取り付ける場合と比較して、本実施形態に係る棚柱2を取り付けた壁Wに作用する負荷が低減し、壁Wに高い耐荷重が要求されず、施工可能な壁Wが過度に限定されないというメリットもある。
【0043】
また、本実施形態では、1本の上側棚柱要素3Aまたは下側棚柱要素3B(好ましくは下側棚柱要素3B)を他の棚柱要素に連結することなくそのままの形態で壁掛け棚用棚柱2として使用することも可能である。上側棚柱要素3Aを1本のみで棚柱2を構成する場合には、上側棚柱要素3の下端部に適宜のキャップを装着することで、弾性爪37の露出を回避して、良好な外観を保つことが可能になる。
【0044】
加えて、本実施形態に係る壁掛け棚用棚柱2は、上側棚柱要素3Aの弾性爪37を、下側棚柱要素3Bの孔(係合孔38)に弾性係合させるという作業のみで棚柱要素3A,3B同士を連結することができ、専用のジョイント部材が不要なため作業性にも優れ、しかも、棚柱要素3A,3B同士を連結した状態で、相対的に上側棚柱要素3Aの下端面3Dと、下側棚柱要素3Bの上端面3Tが相互に当接しているため、安定した連結状態を維持することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る壁掛け棚用棚柱2では、弾性爪37が、上側棚柱要素3Aと下側棚柱要素3Bを連結した状態で当該連結部分において外方に突出した突部として現れない形状に設定しているため、弾性爪37に他の部材が不意に引っ掛かる事態を防止・抑制することができ、弾性係合状態にある弾性爪37に他の部材が当たって弾性係合状態が意図せずに解除される不具合も防止・抑制することができる。
【0046】
本実施形態に係る壁掛け用棚柱2は、上側棚柱要素3A及び下側棚柱要素3Bの各前壁31にブラケット取付用のスリット34を高さ方向に複数設けているため、ユーザが選択した高さ位置のスリット34を利用してブラケットBを取り付けることができ、ブラケットBを介して棚板T等のオプション部品をユーザが選択する任意の高さ位置にセットすることが可能である。
【0047】
また、本実施形態に係る壁掛け用棚柱2は、棚柱2よりも先に壁Wに固定されたレール1に対して上方から引っ掛けることが可能な引っ掛け部3Hを備えているため、引っ掛け部3Hをレール1に対して上方から引っ掛ける作業によって、レール1に対する棚柱2の位置決めをスムーズ且つ的確に行うことができる。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、弾性爪の形状や数は適宜変更することができ、孔(係合孔)の形状や数も弾性爪に応じて適宜変更することができる。
【0049】
樹脂製の棚柱要素を高さ方向に3本以上連結した状態で1本の棚柱として使用することもできる。例えば、上述の実施形態で例示した上側棚柱要素3A同士を2本以上連結し、複数の上側棚柱要素3Aのうち最下段の上側棚柱要素3Aに対して1本の下側棚柱要素3Bを高さ方向に連結した状態で1本の棚柱2として使用することが可能である。この場合、上側棚柱要素3A同士の連結処理は、相対的に上側の棚柱要素3Aの弾性爪37を相対的に下側の棚柱要素3Bの係合孔38に弾性係合させることで簡単且つスムーズに行うことができる。
【0050】
また、下側棚柱要素の上端部に弾性爪を設け、上側棚柱要素の下端部に形成した係合孔に弾性爪を弾性係合させることで棚柱要素同士を連結することが可能な構成であってもよい。すなわち、弾性爪は少なくとも上側棚柱要素または下側棚柱要素の何れか一方に設けてあれればよく、係合孔もまた少なくとも上側棚柱要素または下側棚柱要素のうち他方に形成されていれば十分である。したがって、上述の実施形態では、上側棚柱要素の上端部に係合孔を形成した態様を例示したが、当該係合孔は下側棚柱要素との連結に寄与しない孔であるため、省くこともできる。
【0051】
また、上側棚柱要素及び下側棚柱要素が何れも全て同一形状である樹脂製の棚柱要素であり、このような棚柱要素を高さ方向に2本以上連結した状態で1本の棚柱として使用することもできる。棚柱要素が全て同一形状であれば、上側棚柱要素と下側棚柱要素を区別して用いる態様と比較して、施工時の煩雑さを軽減でき、製造コスト面においても有利である。なお、全ての棚柱要素が下端部に下方に突出する弾性爪を備えたものであれば、最下段の棚柱要素の下端部に弾性爪が露出することになる。この場合は、最下段の棚柱要素の下端部にキャップを装着することで、棚柱要素の下端面よりも下方に突出するパーツ(弾性爪)の露出を回避して、良好な外観を保つことができる。同様に、全ての棚柱要素が上端部に上方に突出する弾性爪を備えたものであれば、最上段の棚柱要素の上端部に弾性爪が露出することになるため、最上段の棚柱要素の上端部にキャップを装着することで、棚柱要素の上端面よりも上方に突出するパーツ(弾性爪)の露出を回避して、良好な外観を保つことができる。
【0052】
棚柱とともにベースフレームを構成するレールが棚柱を引っ掛ける部位を備えていないものであれば、棚柱も引っ掛け部を備えていないものを適用することができる。また引っ掛け部を全ての棚柱要素に設けることなく、何れかの棚柱要素にのみ設ける構成であってもよい(上述の実施形態であれば上側棚柱要素にのみ引っ掛け部を設けて、下側棚柱要素には引っ掛け部を設けない構成)。
【0053】
また、複数の棚柱要素同士を連結することなく、1本の棚柱要素をそのまま壁掛け棚用棚柱として使用することも可能である。この場合、棚柱要素の上端部または下端部のうち弾性爪を設けた端部にキャップを装着することで、棚柱要素の上端面よりも上方または下端面よりも下方に突出するパーツ(弾性爪)の露出を回避して、良好な外観を保つことができる。
【0054】
棚柱を壁に固定する固定具は、上述の固定金具やタッピングビス以外のものであってもよい。
【0055】
本発明に係る棚柱は、石膏ボードではない壁にも取り付けることができる。
【0056】
その他、各部の具体的構成や処理内容についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…レール
2…棚柱
3A…上側棚柱要素
3B…上側棚柱要素
37…弾性爪
38…孔(係合孔)
34…ブラケット取付用スリット
3H…引っ掛け部
X…壁掛け棚
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