(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】内視鏡保管庫
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240711BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61B1/00 653
A61B1/00 631
A61B1/00 640
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020180177
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2020005701
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126643
【氏名又は名称】株式会社アダチ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博行
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-313113(JP,A)
【文献】特開2019-115662(JP,A)
【文献】特開2004-199708(JP,A)
【文献】特開2009-273604(JP,A)
【文献】特開2010-119514(JP,A)
【文献】特開2009-131294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 ー 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を保管する複数の個室及びそれら個室を開閉する複数の開閉扉と、
前記複数の個室それぞれを個別に殺菌又は滅菌する殺菌機構と、
前記殺菌機構を制御して、前記内視鏡を保管する個室を選択的に殺菌又は滅菌する制御部とを備える内視鏡保管庫
であって、
前記個室及び前記開閉扉を有するとともに互いに着脱可能に構成された複数の個室ユニットを有しており、
前記制御部を有するとともに正面に操作部が設けられた制御ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットに前記個室ユニットが着脱可能に構成されている、内視鏡保管庫。
【請求項2】
前記制御ユニットの左右両側に前記個室ユニットが着脱可能に構成されている、請求項1に記載の内視鏡保管庫。
【請求項3】
前記複数の個室それぞれは、1つの内視鏡を保管するように構成されている、請求項
1又は2記載の内視鏡保管庫。
【請求項4】
前記複数の個室それぞれには、内視鏡を引っ掛けて固定するためのハンガー部と、当該ハンガー部を前記個室の内部に位置する収容位置と前記個室の外部に位置する取り出し位置との間で移動させるスライド機構とが設けられている、請求項1乃至
3の何れか一項に記載の内視鏡保管庫。
【請求項5】
前記複数の個室それぞれを個別に乾燥する乾燥機構をさらに備え、
前記制御部は、前記個室に内視鏡が保管された状態で前記乾燥機構により前記個室に保管された内視鏡を乾燥し、前記個室内に内視鏡が無い状態で前記殺菌機構により前記個室を殺菌又は滅菌する、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の内視鏡保管庫。
【請求項6】
前記複数の開閉扉それぞれは、フットスイッチ又はフットセンサーにより開閉されるものである、請求項1乃至
5の何れか一項に記載の内視鏡保管庫。
【請求項7】
前記複数の個室それぞれが、乾燥中であるか、殺菌又は滅菌中であるか、使用可能であるかを表示する表示部をさらに備える、請求項1乃至
6の何れか一項に記載の内視鏡保管庫。
【請求項8】
前記複数の個室における内視鏡の保管
時間を管理する履歴管理部をさらに備える、請求項1乃至
7の何れか一項に記載の内視鏡保管庫。
【請求項9】
前記履歴管理部は、前記複数の個室それぞれに内視鏡を保管したユーザ情報、及び保管された内視鏡の保管時間を管理するものである、請求項
8記載の内視鏡保管庫。
【請求項10】
前記内視鏡に設けられた識別子から前記内視鏡の識別情報を読み取るリーダを更に備え、
前記履歴管理部は、前記リーダにより読み込まれた前記内視鏡の識別情報を用いて保管
時間を管理する、請求項
8又は
9記載の内視鏡保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄消毒された内視鏡を保管する内視鏡保管庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の内視鏡保管庫としては、特許文献1に示すように、1つの空間内に複数の内視鏡を一括して保管できるように構成されている。そして、この内視鏡保管庫は、閉鎖された1つの空間において、除湿したエアを内視鏡管路及び庫内に循環させることにより、内視鏡の乾燥を促進し、細菌類が増殖することを防止して、清浄な状態に保つように構成されている。
【0003】
しかしながら、上記のように1つの空間内に複数の内視鏡を保管する構成では、洗浄消毒が不十分などにより内視鏡に菌が付着している場合、当該内視鏡に付着している菌によって他の内視鏡が汚染されてしまう恐れがある。また、内視鏡の出し入れに伴う外気によって他の内視鏡が汚染されてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであり、それぞれの内視鏡を他の内視鏡から汚染されることなく、また、内視鏡の出し入れに伴う外気によって他の内視鏡が汚染されることなく、適切に保管できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る内視鏡保管庫は、内視鏡を保管する複数の個室及びそれら個室を開閉する複数の開閉扉と、前記複数の個室それぞれを個別に殺菌又は滅菌する殺菌機構と、前記殺菌機構を制御して、前記個室を選択的に殺菌又は滅菌する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような内視鏡保管庫であれば、内視鏡を保管する部屋が複数の個室に分けられているので、それぞれの内視鏡を他の内視鏡から汚染されにくくするとともに、内視鏡の出し入れに伴う外気によって他の内視鏡が汚染されにくくすることができる。また、殺菌機構により複数の個室それぞれを個別に殺菌又は滅菌するので、内視鏡を保管する前の個室のみを選択的に殺菌又は滅菌することができる。
【0008】
1つ1つの内視鏡が汚染されにくくするためには、前記複数の個室それぞれは、1つの内視鏡を保管するように構成されていることが望ましい。
【0009】
内視鏡保管庫をユーザの要求などに応じて内視鏡の保管数を容易に増減できるようにするためには、内視鏡保管庫は、前記個室及び前記開閉扉を有するともに互いに着脱可能に構成された複数の個室ユニットを有しており、前記複数の個室ユニットを互いに着脱することによって前記個室の数を増減可能に構成していることが望ましい。
【0010】
さらに、内視鏡保管庫は、前記制御部を有するとともに正面に操作部が設けられた制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットの左右両側に前記個室ユニットが着脱可能に構成されていることが望ましい。この構成よれば、ユーザの要求に合わせて使い勝手の良い配置にすることができる。
【0011】
個室に対して内視鏡を収容する作業又は内視鏡を取り出す作業を容易にするためには、前記複数の個室それぞれには、内視鏡を引っ掛けて固定するためのハンガー部と、当該ハンガー部を前記個室の内部に位置する収容位置と前記個室の外部に位置する取り出し位置との間で移動させるスライド機構とが設けられていることが望ましい。
【0012】
また、本発明の内視鏡保管庫は、前記複数の個室それぞれを個別に乾燥する乾燥機構をさらに備え、前記制御部は、前記個室に内視鏡が保管された状態で前記乾燥機構により前記個室に保管された内視鏡を乾燥し、前記個室内に内視鏡が無い状態で前記殺菌機構により前記個室を殺菌又は滅菌することが望ましい。
【0013】
前記複数の閉扉それぞれは、フットスイッチ又はフットセンサーにより開閉されるものであることが望ましい。
この構成であれば、内視鏡を手に持った状態でも開閉扉を簡単に開閉させることができる。また、開閉扉を手で開ける必要がないので、内視鏡を保管する前に、開閉扉が手によって汚染されてしまうことを防ぐことができる。
【0014】
ユーザの使い勝手を向上するためには、内視鏡保管庫は、前記複数の個室それぞれが、乾燥中であるか、殺菌又は滅菌中であるか、使用可能であるかを表示する表示部をさらに備えることが望ましい。
【0015】
複数の内視鏡を保管することから、各内視鏡の保管情報を管理することによって、ユーザの使い勝手が向上する。このため、内視鏡保管庫は、前記複数の個室における内視鏡の保管情報を管理する履歴管理部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
具体的には、前記履歴管理部は、前記複数の個室それぞれに内視鏡を保管したユーザ情報、及び保管された内視鏡の保管時間を管理するものであることが望ましい。
【0017】
内視鏡の情報を手入力により管理することの負担を低減してユーザの使い勝手を向上するためには、前記内視鏡に設けられた識別子から前記内視鏡の識別情報を読み取るリーダを更に備え、前記履歴管理部は、前記リーダにより読み込まれた前記内視鏡の識別情報を用いて保管情報を管理することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上に述べた本発明によれば、それぞれの内視鏡を他の内視鏡から汚染されることなく適切に保管できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡保管庫の構成を示す正面図である。
【
図2】同実施形態の乾燥機構及び殺菌機構の一例を示す模式図である。
【
図3】同実施形態の内視鏡保管庫の表示部の表示態様を示す図である。
【
図4】同実施形態の履歴管理に関する構成を示す図である。
【
図5】変形実施形態に係る内視鏡保管庫の構成を示す正面図である。
【
図6】変形実施形態に係る内視鏡保管庫のスライド機構を示す断面図である。
【
図7】変形実施形態に係る内視鏡保管庫のスライド機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡保管庫について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
<内視鏡保管庫100>
本実施形態の内視鏡保管庫100は、
図1及び
図2に示すように、内視鏡ESを保管する複数の個室2Rを有する保管庫本体2と、複数の個室2Rそれぞれを個別に開閉する複数の開閉扉3と、複数の個室2Rそれぞれを個別に乾燥する乾燥機構4と、複数の個室2Rそれぞれを個別に殺菌又は滅菌する殺菌機構5とを備えている。
【0022】
保管庫本体2は、縦長の個室2Rを横方向に複数備えている。各個室2Rは、上下方向の延びる仕切り壁(不図示)により仕切られている。
図1では5つの個室2Rを備えた構成であるが、個室2Rの数はこれに限られない。また、各個室2Rには、内視鏡ESを引っ掛けて固定するためのハンガー部(不図示)が設けられている。本実施形態では、各個室2Rに1つのハンガー部が設けられ、1つの個室2Rに1つの内視鏡ESを保管する構成としてある。
【0023】
開閉扉3は、各個室2Rそれぞれに設けられている。また、開閉扉3は、フットスイッチ又はフットセンサー6により開閉可能に構成されている。フットスイッチ又はフットセンサー6は、接触式又は非接触式のものであり、開閉扉3の下方に設けられている。また、開閉扉3には取っ手31が設けられており、当該取っ手31によっても開閉することができる。さらに、開閉扉3は、内部が視認可能となるようにガラス等を用いて構成されている。この開閉扉3を各個室2Rに対して正面側及び背面側の両方に設けることによって、いわゆるパスボックスタイプにしてもよい。これにより、内視鏡ESを内視鏡保管庫100の正面側及び背面側の両方から出し入れすることができる。
【0024】
乾燥機構4は、清浄な空気を各個室2Rに送り込むことにより、個室2Rに保管された内視鏡ESを乾燥するものである。具体的に乾燥機構4は、
図2に示すように、送風源41と、当該送風源41及び各個室2Rを接続し、送風源41からの空気を各個室2Rに送る送風流路42とを備えている。各個室2Rに接続される分岐流路421には、開閉弁422が設けられており、当該開閉弁422の開閉により、空気が送り込まれる個室2Rが切り替えられる。なお、この乾燥機構4は、後述する乾燥制御部71により制御される。
【0025】
殺菌機構5は、紫外線を所定時間照射することにより、個室2R内を殺菌又は滅菌するものである。具体的に殺菌機構5は、
図2に示すように、各個室2Rに設けられた紫外線ランプ又は深紫外線LEDである。ここで、紫外線ランプ又は深紫外線LEDは、紫外線を透過するガラスを介して個室2Rの天井に設けることが考えられる。なお、開閉扉3に用いられるガラスは、紫外線を通さないものである。この紫外線ランプ又は深紫外線LEDの点灯は、後述する殺菌制御部72により制御される。
【0026】
上述した内視鏡保管庫100の制御は、制御部7により行われる。
【0027】
制御部7は、個室2Rに内視鏡ESが保管された状態で、乾燥機構4を制御して個室2Rに保管された内視鏡ESを乾燥する乾燥制御部71を有する。この乾燥制御部71は、内視鏡ESが保管された時点から所定時間、内視鏡ESが保管された個室2Rに送風する。具体的に乾燥制御部71は、送風源41を起動させるとともに、内視鏡ESが保管された個室2Rに接続された分岐流路421の開閉弁422を開ける。その他、乾燥制御部71は、内視鏡ESが保管された状態で、所定の時間間隔で(定期的に)、所定時間、内視鏡ESが保管された個室2Rに送風するようにしても良い。
【0028】
また、制御部7は、個室2R内に内視鏡ESが無い状態で、殺菌機構5を制御して内視鏡ESが無い個室2Rを殺菌又は滅菌する殺菌制御部72を有する。この殺菌制御部72は、個室2Rから内視鏡ESが取り出されて、開閉扉3が閉じられた時点から所定時間、紫外線ランプを点灯させて、個室2Rを殺菌又は滅菌する。
【0029】
さらに、保管庫本体2には、
図1に示すように、複数の個室2Rそれぞれが、乾燥中であるか、殺菌又は滅菌中であるか、使用可能であるかを表示する表示部8が設けられており、制御部7は、当該表示部8の制御を行う表示制御部73(
図2参照)を有する。
【0030】
本実施形態の表示部8は、各個室2Rに対応して、例えば、開閉扉3の上方に設けられている。具体的に表示部8は、
図3に示すように、乾燥中であることを示す表示ランプ81と、殺菌又は滅菌中であることを示す表示ランプ82と、使用可能であることを示す表示ランプ83とを有している。そして、表示制御部73は、各ランプ81~83を点灯させることにより、乾燥中であるか、殺菌又は滅菌中であるか、使用可能であるかを表示する。
【0031】
ここで、内視鏡保管庫100への内視鏡ESの保管から取り出しまでの一連の動作を説明する。
【0032】
まず内視鏡ESを所定の手順に沿って洗浄消毒する。そして、洗浄消毒した内視鏡ESを内視鏡保管庫100に入れる。このとき、ユーザは、フットスイッチ又はフットセンサー6により開閉扉3を開けることができる。
【0033】
内視鏡ESを個室2Rに保管して開閉扉3を閉めると、乾燥機構4により内視鏡ESの乾燥が開始される。このとき、乾燥中であることを示す表示ランプ81が点灯する。所定の乾燥時間が過ぎると、乾燥中であることを示す表示ランプ81が消灯し、使用可能であることを示す表示ランプ83が点灯する。
【0034】
内視鏡ESを内視鏡保管庫100から取り出して、開閉扉3を閉じると、殺菌機構5により個室2Rの殺菌又は滅菌が開始される。このとき、殺菌又は滅菌中であることを示す表示ランプ82が点灯する。所定の殺菌時間が過ぎると、殺菌又は滅菌中であることを示す表示ランプ82が消灯する。
【0035】
さらに、本実施形態の制御部7は、
図4に示すように、複数の個室2Rにおける内視鏡ESの保管情報を管理する履歴管理部74をさらに有している。
【0036】
履歴管理部74は、複数の個室2Rそれぞれに内視鏡ESを保管したユーザ情報、及び保管された内視鏡ESの保管時間を管理する。履歴管理部74により紐付けされたユーザ情報及び保管時間を含む管理データは、管理データ格納部75に格納される。
【0037】
ここで、内視鏡ESの管理を容易にするために、内視鏡ESには内視鏡の種類等を示す識別子(例えばRFIDタグ)が設けられており、内視鏡保管庫100(保管庫本体2)には、内視鏡ESの識別子から内視鏡ESの識別情報を読み取るリーダ9が設けられている。そして、履歴管理部74は、リーダ9により読み込まれた内視鏡ESの識別情報を用いて保管情報を管理する。なお、リーダ9としては、RFIDリーダやバーコードリーダなどである。
【0038】
さらに、内視鏡ESは種類に応じて、海外ではその保管可能時間が決められている。例えば、超音波用の気管支鏡及び十二指腸鏡等の保管可能時間は12時間であり、その他の消化管内視鏡の保管可能時間は72時間である。このため、管理データ格納部75に、内視鏡ESの種類と保管可能時間との関係を示す関係データを格納しておき、履歴管理部74がその関係データを用いて、各内視鏡ESの保管時間を監視しても良い。そして、履歴管理部74は、各内視鏡ESの保管時間が保管可能時間を過ぎる直前又は保管可能時間が経った際に、アラームを出すように構成しても良い。なお、前記消化管内視鏡には、上部消化管内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡が含まれる。
【0039】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の内視鏡保管庫100によれば、内視鏡ESを保管する部屋が複数の個室2Rに分けられているので、それぞれの内視鏡ESを他の内視鏡ESから汚染されにくくするとともに、内視鏡ESの出し入れに伴う外気によって他の内視鏡ESが汚染されにくくすることができる。また、乾燥機構4により複数の個室2Rそれぞれを個別に乾燥するので、洗浄消毒されて個室2Rに保管された内視鏡ESのみを選択的に乾燥することができる。さらに、殺菌機構5により複数の個室2Rそれぞれを個別に殺菌又は滅菌するので、内視鏡ESを保管する前の個室2Rのみを選択的に殺菌又は滅菌することができる。
【0040】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0041】
例えば、前記実施形態では、1つの個室2Rに1つの内視鏡ESを保管する構成であったが、2本以上の内視鏡ESを保管する構成としても良い。
【0042】
また、前記実施形態の保管庫本体2は、複数の個室2Rを有する一体ものであったが、
図5に示すように、個室2R及び開閉扉3を有するとともに互いに着脱可能に構成された複数の個室ユニット2Uを有しており、複数の個室ユニット2Uを互いに着脱することによって個室2Rの数を増減可能に構成しても良い。
【0043】
具体的に個室ユニット2Uは、内視鏡ESを収容する個室2Rと、個室2Rを開閉する開閉扉3と、個室2Rの上部に形成され、送風源41からの空気を個室2Rに送る送風流路42を構成するダクト室2Dとを有する。この個室ユニット2Uを接続することによって、各個室ユニット2Uのダクト室2Dが連通する。また、ダクト室2Dを用いて電気回路の連結も行われる。なお、各個室ユニット2Uは、開閉扉3を各個室2Rに対して正面側及び背面側の両方に設けることによって、いわゆるパスボックスタイプにしてもよい。これにより、内視鏡ESを内視鏡保管庫100の正面側及び背面側の両方から出し入れすることができる。
【0044】
また、個室ユニット2Uの一方の面には、制御部7、表示部8、リーダ9及びタッティパネル式ディスプレイ(操作部)10等が設けられた制御ユニット2Cが接続される。なお、制御ユニット2Cの正面には表示部8、リーダ9及びタッティパネル式ディスプレイ(操作部)10等が設けられ、その左右側面に個室ユニット2Uが着脱可能に構成されている。その他、制御ユニット2Cには、送風源41であるポンプが設けられている。符号2Aは、各個室2Rに送り込まれる空気を庫外から取り込むための取り込み口に設けられたエアフィルタ2Aである。その他、制御ユニット2Cには、空気清浄機(不図示)が設けられている。符号2Bは、庫外の空気を取り込むための取り込み口に設けられたエアフィルタであり、符号2Fは、空気清浄機からの空気を庫外に送風するファンである。
【0045】
また、
図6に示すように、複数の個室2Rそれぞれに、内視鏡ESを引っ掛けて固定するためのハンガー部11と、当該ハンガー部11を個室2Rの内部に位置する収容位置Xと個室2Rの外部に位置する取り出し位置Yとの間で移動させるスライド機構12とを設けても良い。ここで、スライド機構12は、例えば個室2Rの側壁などの個室側に設けられたレール121と、当該レール121に沿ってスライドするスライダ122とを有している。そして、スライダ122にハンガー部11が設けられている。
【0046】
このスライド機構12において、
図7に示すように、個室側に上下一対のレール121を設け、当該レール121に沿って平板状のスライダ122がスライドするように構成しても良い。この平板状のスライダ122の上部にハンガー部11を設けるとともに、当該ハンガー部11の下方に内視鏡ESを例えばS字状に蛇行させて収容寸法(高さ寸法)を小さくするための引っ掛け部13を設けても良い。
【0047】
また、リーダ9は、保管庫本体2の前面に設けられる構成のほか、各個室2Rに設けられており、個室2Rに内視鏡ESを保管すると同時に内視鏡ESの識別子を読み取る構成としても良い。
【0048】
さらに、表示部8は、表示ランプ81~83の構成に限られず、ディスプレイ上に各状態を表示する構成としても良い。また、各個室2Rに例えば赤色、緑色、黄色等の3色の照明部を設けておき、個室内の状態に応じて照明部による照明の色を変更するようにしても良い。これにより、開閉扉3に設けたガラス窓から見える色により個室内の状態を視認することができる。
【0049】
その上、前記実施形態では、フットスイッチ又はフットセンサー6により開閉扉3を開ける構成であったが、フットスイッチ又はフットセンサー6を用いること無く、内視鏡ESに設けたICタグ等の識別子をリーダ9にかざして認識させることにより、開閉扉3のロックを解除する又は開閉扉3を開ける構成としても良い。
【0050】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0051】
100・・・内視鏡保管庫
ES ・・・内視鏡
2 ・・・保管庫本体
2R ・・・個室
2U ・・・個室ユニット
2C ・・・制御ユニット
3 ・・・開閉扉
4 ・・・乾燥機構
5 ・・・殺菌機構
6 ・・・フットスイッチ又はフットセンサー
7 ・・・制御部
74 ・・・履歴管理部
8 ・・・表示部
9 ・・・リーダ