(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】有機廃棄物の処理
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20240711BHJP
【FI】
B09B3/70
(21)【出願番号】P 2021545314
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2019077503
(87)【国際公開番号】W WO2020074652
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521151359
【氏名又は名称】グラスポート バイオ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLASPORT BIO LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】オフラハーティー ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ソーン カミラ
(72)【発明者】
【氏名】サン リー チュイ
(72)【発明者】
【氏名】フリエル ルアイリ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04155975(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076057(US,A1)
【文献】米国特許第04612124(US,A)
【文献】米国特許第03288708(US,A)
【文献】特開2004-196570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C02F 11/00
C05F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物の処理において、有機廃棄物の生物学的分解を低減するための、ヨウ化物(I
-)源と酸化剤とから反応性種を作製させることができる組成物の使用であって、
前記酸化剤が過酸化物(O
2
2-
)源であり、
前記有機廃棄物の生物学的分解を低減することが、肥料化合物の損失を低減する、前記使用。
【請求項2】
有機廃棄物の生物学的分解を低減することが、メタン産生を低減する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
組成物が酸化剤を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
有機廃棄物を処理するための方法であって、
有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物と接触させるステップを含み、前記組成物が酸化剤を含み、
前記反応性種が、ヨウ化物(I
-)源と前記酸化剤とから作製され、
前記酸化剤が過酸化物(O
2
2-
)源であり、
前記方法が、有機廃棄物の生物学的分解を低減し、かつ前記有機廃棄物からの肥料化合物の損失を低減する、前記方法。
【請求項5】
組成物が、水中でpKa8未満のpKaを有するいかなる酸も実質的に含まない、請求項4に記載の方法、又は請求項1~3のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
組成物が、処理中に有機廃棄物を酸性化しない、請求項4若しくは5に記載の方法、又は請求項1~3、及び5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
有機廃棄物がヨウ化物(I
-)源を含む、請求項4~6のいずれかに記載の方法、又は請求項3、5若しくは6に記載の使用。
【請求項8】
組成物がヨウ化物(I
-)源を含む、請求項4~7のいずれかに記載の方法、又は請求項3及び5~7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
ヨウ化物(I
-)源がヨウ化カリウム(KI)である、請求項4~8のいずれかに記載の方法、又は請求項3及び5~8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
過酸化物(O
2
2-)源が過酸化水素(H
2O
2)である、請求項
4~9のいずれかに記載の方法、又は請求項
1~3及び5~9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
組成物が尿素源を含む、請求項4~
10のいずれかに記載の方法、又は請求項1~3及び5~
10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
尿素源が、尿素、過酸化物-尿素付加物、タンパク質、アミノ酸、尿、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
11に記載の方法、又は請求項
11に記載の使用。
【請求項13】
組成物が過酸化水素-尿素付加物を含む、請求項
4~
12のいずれかに記載の方法、又は請求項
1~3及び5~12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
組成物がヨウ化カリウムと過酸化水素とを含む、請求項4~
13のいずれかに記載の方法、又は請求項1~3及び5~
13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
有機廃棄物が、ヒトの排泄物、堆肥化可能な廃棄物、真菌廃棄物、又は動物の排泄物である、請求項4~
14のいずれかに記載の方法、又は請求項1~3及び5~
14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
有機廃棄物が、生分解性有機物である、請求項4~
15のいずれかに記載の方法、又は請求項1~3及び5~
15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
組成物が、1又は2以上のカプセル剤又は錠剤の形態である、請求項4~
16のいずれかに記載の方法、又は請求項1~3及び5~
16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
請求項4~
17のいずれかに記載の方法によって処理された、有機廃棄物。
【請求項19】
肥料;バイオマス燃料;土壌調節剤;嫌気性消化のための供給原料;バイオ精製のための供給原料;動物用飼料(例えば魚用餌)の生産のための供給原料;藻類の産生のための供給原料;動物性タンパク質(例えば昆虫/イモムシ等)の産生のための供給原料;化学合成のための供給原料/基質;建設材料の生産のための供給原料;動物用敷料の生産のための供給原料;紙の生産のための供給原料;又は熱分解若しくはガス化などの熱変換プロセスのための供給原料としての、請求項
18に記載の有機廃棄物の使用。
【請求項20】
有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中の揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)の産生を改善するための方法であって、
反応性種を作製させることができる組成物を、前記有機廃棄物と接触させるステップを含み、
前記組成物が、ヨウ化物(I
-)源と
過酸化物(O
2
2-
)源とを含む、前記方法。
【請求項21】
組成物が、有機廃棄物のメタン産生を阻害する反応性種を作製させる、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
過酸化物(O
2
2-
)源が
、尿素-過酸化物
である、請求項
20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物(特に、ウシからの有機廃棄物などの動物の排泄物)を処理するための方法、及び有機廃棄物の処理において、有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法における、反応性種を作製させることができる組成物の使用を提供する。本発明はまた、本発明の方法によって処理された有機廃棄物、及び下流の用途(downstream applications)における、この処理された有機廃棄物の使用を提供する。本発明はまた、有機廃棄物の嫌気性消化(AD,anaerobic digestion)中の揮発性脂肪酸(VFA,volatile fatty acids)及び中鎖カルボン酸(MCCA,medium-chain carboxylic acids)の産生を改善するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な家畜保有において、有機廃棄物が経時的に分解することは公知の問題である。有機廃棄物が分解するにつれて、廃棄物の潜在的な下流での実用性が減少し、その結果、廃棄物の価値が低下することも公知である。廃棄物分解の速度を減速する処理方法は公知であるが、処理が下流での実用性(例えば、肥料、産業供給原料、又はバイオマス燃料としての使用/再販売)について、廃棄物に付与する価値に対する、処理の初期費用を秤にかけることによって、任意の処理の費用対効果を常に考慮しなければならない。本発明は、反応性種を作製させることができる組成物を用いることによって、有機廃棄物を処理するための費用対効果の高い方法を提供する。
【0003】
有機廃棄物の生物学的分解は、多くの形態を取りうる。本質的に、有機廃棄物の生物学的分解は、微生物(例えば、細菌、真菌等)が、価値のある有用な大きな有機化合物を、より有用でなく、より価値のない小さな有機化合物に細分化することであり、最終的には、さらに分解されて、ガス(例えば、CH4、NH3、CO2、N2等)として廃棄物から失われる。分解されていない有機廃棄物中の大きな有機化合物は、例えば、肥料化合物の緩効性供給源として、並びに土壌の条件、生物多様性、及び機能を改善するための繊維供給源としても作用することができるため、有用であり、価値がある。そのため、有機廃棄物の生物学的分解を低減する、有機廃棄物を処理するための方法を提供する必要がある。
【0004】
有機廃棄物は、肥料化合物(例えば、アミノ酸、アンモニウム(NH4
+)塩、硝酸(NO3
-)塩、又は亜硝酸(NO2
-)塩などの、炭素又は窒素含有肥料化合物)を含む。これらの肥料化合物は、下流で用いられた場合、有機廃棄物が土壌を肥沃化する能力に寄与する。脱窒などのプロセスを通じた有機廃棄物の分解は、ある一定の肥料化合物を大気中に失わせ、したがって、下流の用途における肥料としての廃棄物の価値を低減する。そのため、下流の用途における有機廃棄物の価値を維持するために、これらの肥料化合物が、有機廃棄物から失われることを低減する必要がある。
【0005】
有機廃棄物はまた、メタン産生によっても分解することがあり、メタン産生とはメタン(CH4)の生物学的産生である。メタン産生は通常、有機廃棄物(又はバイオマス)の生物学的変質における最終ステップであり、通常、一般にメタン産生菌と呼ばれる、古細菌ドメインの微生物によって媒介される。メタン産生のための経路としては、(1)二酸化炭素の還元、(2)アセテートの発酵、並びに(3)メタノール又はメチルアミンの不均化(同時に起こる分子の酸化及び還元)が挙げられる。生物学的に産生されるメタンの大部分(約70%)は、アセテートのメチル基のメタンへの変換に端を発する。メタン産生に関連して、少なくとも次の2つの問題がある。
【0006】
第1に、メタンは温室効果ガスであり、そのため、ヒトに関係する地球温暖化及び気候変動に寄与する。事実、同じ重量で比較すると、メタンは二酸化炭素のおよそ25倍、温室効果ガスとして強力であり、家畜及び動物の廃棄物貯蔵産業は、ヒトに関連するメタン排出の主な供給源である(US Environmental Protection Agency-https://www.epa.gov/ghgemissions/overview-greenhouse-gases#methaneによる)。実際に、いくつかの国は、メタン排出が十分に多い場合、家畜を保有する所有者に金銭的な罰則を科している。そのため、家畜保有からの温室効果ガス排出を低減するために、有機廃棄物を処理してメタン産生を低減する必要がある。
【0007】
第2に、有機廃棄物からメタンガスの形態で炭素を失うことによって、少なくとも2つの問題が生じる。1つ目は、例えば嫌気性消化又は熱分解により、バイオ燃料として、又はバイオ燃料産生のための供給原料としての潜在的な用途を廃棄物が有する場合、炭素を失うことによって、潜在的なエネルギー出力の低減を生じる。言い換えれば、メタンとして廃棄物から炭素を失うことは、残存する廃棄物中の可燃性又は反応性炭素がより少なくなることを意味する。2つ目は、メタン産生によるガス状形態への変質を受けやすい炭素含有有機化合物は、肥料化合物でもありうる-すなわち、有機廃棄物が土壌と混合された場合、土壌を肥沃化する。詳細には、土壌の有機炭素及び繊維の含有量を増加させることは、土壌の条件、生物多様性、及び機能を維持するために重要である。そのため、メタン産生を低減することによって、有機廃棄物からの炭素含有肥料化合物の損失も低減し、これによって、肥料又は土壌改良としての廃棄物の潜在的実用性が上昇する。そのため、(i)バイオ燃料として、又は産業供給原料として用いる場合、廃棄物の潜在的なエネルギー出力を最大化するため、並びに(ii)炭素含有肥料化合物の損失を低減して、肥料及び土壌調節剤としての有機廃棄物の潜在的実用性を最大化するために、有機廃棄物を処理して、メタン産生を低減する必要がある。
【0008】
有機廃棄物の生物学的分解に関連する別の問題は、いわゆる「クラスト化」である。有機廃棄物が生分解されるにつれて、有機廃棄物は乾燥し、表面に厚いクラストを形成することがある。クラスト化は、取扱いが困難となり、特に、土壌の上に散布するのが容易でなくなるため、下流の有機廃棄物の使用者には煩わしい。そのため、有機廃棄物が生分解されるにつれてクラスト化することを低減するために、有機廃棄物の生物学的分解を低減する必要がある。
【0009】
有機廃棄物を処理する従前の方法として、有機廃棄物を酸性化することが挙げられる。典型的には、「酸性化」は、有機廃棄物のpHレベルを、通常レベル(典型的にはpH7前後)からpH6未満、通常はpH5前後未満のレベルに低下させることを意味する。pHレベルを低下させるために用いる酸性化剤は、典型的には、強酸、例えば、塩酸、硫酸、又は硝酸などである。ギ酸又はリン酸なども用いられうる。しかしながら、強酸の使用は問題を生じる。例えば、強酸はしばしば腐食性であり、ヒトと家畜との両方に有害である。これは、(i)用いる前の酸のため、及び(ii)酸性化した廃棄物のための特殊な貯蔵設備が必要であり、加えて、酸の専門取扱者も必要でありうることを意味する。これによって、プロセスの費用及び複雑さが加わり、したがって、上に論じたように、処理の全体的な費用対効果が低減する。
【0010】
有機廃棄物の酸性化に伴う別の問題は、肥料としての下流での実用性が、非酸性化廃棄物と比較して妨げられることである。これは、酸性化廃棄物が土壌の酸性化を生じるためであり、農作物に損害を与えることがあるため、望ましくない。いずれかの不要な土壌の酸性化を相殺するためには、追加のアルカリ剤(例えば石灰)を用いる必要がありうるが、これもまた処理の全体的な費用を増加させる。
【0011】
同様の注記において、従前の処理(例えば酸性化)は、有害な残留物を有機廃棄物中に残すことがあり、処理された廃棄物を土壌に混合することがあれば、土壌の生態系への悪影響を有することがある。そのため、処理された廃棄物中に有害な残留物を残さない、有機廃棄物の処理を提供する必要がある。
【0012】
メタン産生は通常、微生物によって起こるため、有機廃棄物の不要な分解(例えばメタン産生による)を相殺するための伝統的な方法は、経口抗生物質を動物に投与して、動物の消化系内の生物学的分解性微生物の量を低減することを含んできた。この部類の処理が効果的であるかは議論の余地があるが、望ましくないことに、常に高価である。この方法に伴う別の問題は、広範な抗生物質を広く用いることには、このような使用が抗生物質耐性に寄与しうるため、公衆衛生当局がしばしば批判的であることである。例えば、このような抗生物質耐性細菌、又はMRSAのようなスーパーバグの出現は、世界的に重大な社会的課題の1つとなっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】US Environmental Protection Agency-https://www.epa.gov/ghgemissions/overview-greenhouse-gases#methane
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、少なくとも上記問題を克服することを目的とする。
【0015】
嫌気性消化(AD)は、伝統的に4段階:加水分解、酸産生(acidogenesis)、酢酸産生、及びメタン産生において進行する、混合微生物群集プロセスである。加水分解の結果として、複雑な有機物(例えば、炭水化物、タンパク質)及び微粒子は、モノマー(例えば、糖、アミノ酸)に変換される。続いて、酸産生は、これらのモノマーを、揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)、ケトン、アルコール、並びに水素に変換する。加水分解及び酸産生のステップは通常、発酵と呼ばれる。
【0016】
1つのリアクター内で加水分解及び酸性化を行いながら(鎖伸長を介してVFA及びMCCAを産生する)、他方でメタン産生が起こる、2相ADプロセスの使用は、ますます好ましい。このような系は、第1段階において、価値の高いVFA/MCCA(例えば、ブチレート、カプロエート、カプリレート)を回収し、第2段階において、残存する栄養共生的なメタン産生(methanogenic)基質からバイオガスを産生する、有機廃棄物からの混合群集発酵プロセスの可能性を開く。
【0017】
伝統的に、ADは、メタンのみの産生のために利用されてきた。しかしながら、VFA及びMCCA(発酵の後、メタン産生の前に産生される)の需要が増加している。したがって、ADプラットフォームは、持続的に得られる有機廃棄物供給原料から、バイオガスを生成させるためだけでなく、多様な生成物を産生するためでもある、基本的なバイオ精製技術としての潜在性を有する。VFA又はMCCAは、医薬品、飼料添加剤、環境保全型抗菌物質、バイオ燃料、及び他のバイオベース製品の製造に用いる、価値の高い化学シントンである。例えば、n-カプロエートについての現在の市場サイズは、1年当たりおよそ25,000トンであり、未精製及び精製C6はそれぞれ、1トン当たり$1000~3000の市場価値であると見積もられる。伝統的に、VFA/MCCAは石油を用いて製造されるが、しかしながら、埋蔵量の減少及びこのような生成プロセスの環境への影響によって、バイオ精製は、魅力的な代替生成戦略となっている。
【0018】
現在の嫌気性VFA/MCCA産生への取り組みに伴う主な欠点は、VFA/MCCAは回収が困難なことでありうる。詳細には、ADプロセスは、VFA/MCCAがメタンに変換され、それゆえに失われることを回避するために、注意深く制御することが必要である。例えば、バイオリアクター内の(メタン産生による)VFAのメタンへの変換を阻害するために、取り組みは、pHを5.5未満に確実に維持することになる。しかしながら、この低いpHによって、細菌発酵プロセスの効率が低減し、リアクターの設計及び使用に複雑さも加わる。
【0019】
本発明はまた、例えば、VFA/MCCAの産生がより効率的なADプロセスを提供することによって、少なくともADプロセスに伴う上記効率の問題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本明細書は、可読性を促進するために、複数のセクションにて起草されている。しかしながら、これは、各セクションが別個に読まれるべきであることを意味するものではない。対照的に、別段の指定がない限り、各セクションは、他のセクションと相互参照しながら、すなわち、明細書全体で完全なものとして捉えて読まれるべきである。これは例えば、「反応性種を作製させることができる組成物」セクションに記載されている、反応性種を作製させることができる特定の組成物の開示が、例えば、「本発明による、有機廃棄物を処理するための方法及び組成物の使用は、反応性種を作製させることができる」セクションに記載されている、本発明の方法及び/又は使用の文脈において、「組成物」又は「反応性種を作製させることができる組成物」という用語(など)と組み合わせて読まれることを意図していることを意味する。明示的に述べられていない限り、実施形態の作為的な分離は意図されない。
【0021】
本発明は、有機廃棄物の処理において、反応性種を作製させることができる組成物を用いる、有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法を提供する。特に、本発明は、有機廃棄物の処理において、反応性種を作製させることができる組成物を用いる、有機廃棄物からのメタン産生及び/又は肥料化合物の損失を低減する方法を提供する。本発明による処理はまた、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。本発明による処理はまた、総バイオガス産生を低減することができる(バイオガスは、メタン産生によって産生するメタンガスを含む)。
【0022】
言い換えれば、本発明は、有機廃棄物の処理において、有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法における、反応性種を作製させることができる組成物の使用を提供する。特に、本発明はまた、有機廃棄物の処理において、有機廃棄物からのメタン産生(若しくはすべてのバイオガス産生)及び/又は肥料化合物の損失を低減する方法における、反応性種を作製させることができる組成物の使用を提供する。本発明による処理はまた、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。
【0023】
本発明は、反応性種を作製させることができる組成物によって有機廃棄物を処理して、有機廃棄物を酸性化することなく、メタン産生(若しくはすべてのバイオガス産生)を低減する、及び/又は肥料化合物の損失を低減する。その結果、本発明の方法及び使用は、本明細書に記載するものなどの酸を用いることを回避する(すなわち、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸、リン酸、又はプロピン酸(propynoic acid)などを用いない)。これによって、有機廃棄物を酸性化することに伴う上記問題が回避される。
【0024】
さらに、本発明は、処理した廃棄物中に、土壌に混合した場合に生物多様性又は生態系に有害である残留物を作製しないように、有機廃棄物を処理する。処理した有機廃棄物はまた、表面にクラストを形成することに対して、より耐性がある。その結果、処理した有機廃棄物の有用性及び価値が最大化され、それによって、処理の全体的な費用対効果が改善される。
【0025】
また、本発明は、動物に抗生物質を投与することを必要としない。したがって、抗生物質の使用の上記望ましくない影響も生じない:例えば、抗生物質耐性及び/又は潜在的に有害な残留物を広めることに寄与しない。
【0026】
本発明はまた、反応性種を作製させることができる組成物によって、有機廃棄物を処理するための方法を提供する。詳細には、本発明の有機廃棄物を処理するための方法は、有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物と接触させるステップを含み、組成物が酸化剤を含み、反応性種が、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とから産生する。反応性種と有機廃棄物との相互作用によって、有機廃棄物の生物学的分解が低減する。特に、この方法は、全体的なバイオガスの産生を低減し(特に、メタン産生によるメタンの産生を低減し)、有用であり価値のある有機化合物、例えば肥料化合物(特に、アンモニウム化合物などの窒素含有肥料化合物)の損失も低減する。
【0027】
本発明はまた、本発明に従って、反応性種を作製させることができる組成物によって処理されている有機廃棄物を提供する。本明細書において説明するように、本発明の方法によって処理した有機廃棄物は、本発明の方法によって処理していない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、異なる化学的及び生物学的組成を有する。本質において、処理によって、廃棄物の生物学的分解が低減して、下流の活動における廃棄物の有用性及び価値が維持される。
【0028】
本発明はまた、肥料;バイオマス燃料;土壌調節剤;嫌気性消化のための供給原料;バイオ精製のための供給原料;動物用飼料(例えば魚用餌)の生産のための供給原料;藻類の産生のための供給原料;動物性タンパク質(例えば昆虫/イモムシ等)の産生のための供給原料;化学合成のための供給原料/基質;建設材料の生産のための供給原料;動物用敷料の生産のための供給原料;紙の生産のための供給原料;又は熱分解若しくはガス化などの熱変換プロセスのための供給原料としての、処理した有機廃棄物の下流での使用を提供する。本発明はまた、ストルバイト、バイオ炭、又はリン酸塩などの肥料の製造のための供給原料としての、処理した有機廃棄物の下流での使用を提供する。
【0029】
本発明はまた、有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中の揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)の産生を改善するための方法であって、反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0030】
単に例として添付の図を参照し、本発明をここに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を劇的に低減することを示すグラフである。
【
図2】
図1において測定したバイオガスが、メタンを含むことを示すグラフである。したがって、
図2は、(メタン産生によって)有機廃棄物をメタンガスに生物学的に分解することを、本発明による処理が劇的に低減することを示す。
【
図3】本発明に従って処理した有機廃棄物が、未処理廃棄物と比較して、高レベルのアンモニウム化合物を維持したことを示すグラフである。
【
図4】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図5】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図6】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図7】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるメタンの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図8】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるメタンの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図9】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図10】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【
図11】本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示すグラフである。
【0032】
実施例セクションにおいて、図をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般的な定義
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、排他的にXからなってもよく、追加のもの、例えばX+Yを含んでもよい。
【0034】
数量的な値xに関する「約」という用語は、任意的であり、例えばx+10%を意味する。
【0035】
特に述べられていない限り、2又は3以上の成分を混合するステップを含むプロセスは、いかなる特定の混合の順序も要求しない。したがって、成分同士は、任意の順序において混合することができる。3成分がある場合、2成分を互いに組み合わせることができ、次いで、この組み合わせを第3の成分等と組み合わせてもよい。
【0036】
「メタン産生」という用語は、微生物、例えば、古細菌、細菌、又は他の生物による、メタンガス(化学式=CH4)のバイオ産生を意味する。
【0037】
「肥料」又は「肥料化合物」という用語は、土壌をより肥沃にするために土壌に加えられうる、任意の物質を意味する。典型的な肥料化合物は、アミノ酸、アンモニウム塩、硝酸(NO3
-)塩、又は亜硝酸(NO2
-)塩などの、炭素及び/又は窒素含有化合物である。リン含有化合物及びカリウム含有組成物(例えばカリ)などの他の公知の肥料化合物も、「肥料」又は「肥料化合物」に包含される。例示的なリン含有肥料化合物としては、リン酸([PO4]3-)源、例えばフルオロアパタイトが挙げられる。
【0038】
「酸」という用語は一般に、水中に入れられた場合、水にプロトン(H+)を供与することによって、アニオン(負に帯電した種)に解離することになる物質、又は電子を受容することができる物質を意味する。酸が解離するこの能力はpKaによって定量化される。pKaが低いほど酸は強く、すなわち、酸はより容易に、アニオンとプロトンとに解離することになる。本明細書において用いる場合、「酸」という用語は、水中で8未満のpKa(より詳細にはpKa6未満、より詳細にはpKa4未満、より特定的にはpKa2未満、より詳細にはpKa0未満)を有する任意の物質を意味する。本明細書において用いる場合、「酸」としては、少なくとも、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸、リン酸、又はプロピン酸などが挙げられる。
【0039】
「酸性化する」又は「酸性化」という用語は、酸などの酸性化剤の添加によって、物質のpHレベルを、当初のレベル未満に低減することを意味する。本明細書において用いる場合、「酸性化」によって有機廃棄物を処理することは、処理によって、効果的であるように有機廃棄物のpHが低減することを意味する。特に、「酸性化」による処理は、有機廃棄物のpHレベルを、例えば、2pH単位、1.5pH単位、1pH単位、0.5pH単位、低減する。
【0040】
「生物学的分解」若しくは「生分解」という用語、又はこれらの同義語は、生物学的有機体(例えば、細菌、真菌等のような微生物)によって、価値があり、有用な大きな有機化合物が、より有用でなく、より価値のない小さな有機化合物に、最終的にはガス(例えば、CH4、NH3、CO2、N2等)に細分化されることを意味する。有機廃棄物の生物学的分解によって産生されるガスは「バイオガス(biogas)」又は「バイオガス(複数)(biogases)」と呼ばれる。
【0041】
「有機廃棄物」という用語は、有機物を含む生分解性廃棄物を意味する。有機廃棄物は、二酸化炭素、水、及び/又はメタンなどの単純な分子に、生物学的に分解することができる。「有機廃棄物」という用語は、動物、ヒトから、真菌(例えば、使用済キノコ堆肥などのキノコ)からの有機廃棄物、及び食品廃棄物等を包含する。「有機廃棄物」は任意の形態であってよく、特に、任意の液体性/固体性の程度であってよい。液体廃棄物(例えば、尿、血液)、固体廃棄物(例えば、糞尿、植物の皮)、及び半液体廃棄物(例えば、スラリー、臓物)が包含される。
【0042】
「家畜」という用語は、伝統的に農場において飼われる、飼い慣らされた動物を意味する。家畜の一般的な例としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、雌鳥、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、シカ、又はヤギが挙げられる。
【0043】
「スラリー」という用語は、典型的には動物の排泄物の微小粒子を含有する、動物の排泄物と水との半液体混合物を意味する。
【0044】
「反応性種を作製させることができる組成物」という用語は、インサイチュ又はエクスサイチュで反応して、有機廃棄物とさらに反応することができる反応性種を作製することができる成分を、組成物が含むことを意味する。もっぱら組成物中に含まれる成分同士の間で、反応性種を作製させることができ、及び/又は組成物の成分と有機廃棄物中の成分との間で、反応性種を作製させることができる。本明細書に記載するように、有機廃棄物の生物学的分解を低減するのは、反応性種と有機廃棄物との相互作用である。
【0045】
「揮発性脂肪酸」(又はVFA)という用語は、6個未満の炭素原子を有する脂肪酸である。例示的なVFAとしては、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、イソブチレート、バレレート、及びイソバレレート(又はこれらの酸同等物)が挙げられる。「酸同等物(acid equivalent)」という用語は酸形態を意味し、例えば、ブチレートの酸形態は酪酸である。特定的なVFAとしては、ブチレート及びイソブチレートが挙げられる。
【0046】
「中鎖カルボン酸」(又はMCCA)という用語は、6-12個の炭素原子を有する脂肪酸である。例示的なMCCAとしては、カプロエート、カプリレート、カプレート、及びラウレート(又はこれらの酸同等物)が挙げられる。重ねて、「酸同等物」という用語は酸形態を意味し、例えば、カプロエートの酸形態はカプロン酸である。特定的なMCCAとしては、カプロエート及びカプリレートが挙げられる。
【0047】
反応性種を作製させることができる組成物
上記のように、有機廃棄物を処理する方法において用いる場合、本発明に記載する反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物の生物学的分解を低減する。本発明による特定の処理では、本発明は、総バイオガス産生、特にメタン産生によるメタンガスの産生を低減することができ、及び/又は有機廃棄物からの肥料化合物、特に窒素含有肥料化合物の損失を低減することができる。本発明による処理はまた、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。
【0048】
本発明による処理において作製する反応性種は、詳細には、バイオガスを産生する微生物(典型的には、メタン産生菌などのメタン産生微生物)を阻害することができ、微生物による有益な糞尿固形分の細分化及び糞尿のハイゲニゼーション(hygenisation)を進行させながら、窒素を不揮発性形態で有機廃棄物中に捕捉することができる。これは、有機廃棄物中のいくらかの固形分を部分的に変質させることができ、通常、草木が利用可能な栄養を放出し、均一な管理しやすいスラリーを作製させることを意味する。しかしながら、価値のある有用な栄養は、失われてガス状で排出されず、代わりに、下流の用途のための処理した有機廃棄物内に含有される。これによって、温室効果ガス排出が低減するだけでなく、その先の肥料及びバイオ燃料としての使用のために、高レベルの肥料化合物及び有機物含有量が維持される。
【0049】
本発明の有機廃棄物を処理するための方法はまた、反応性種を作製させることができる組成物を利用する。本発明の有機廃棄物を処理するための方法では、組成物が酸化剤を含み、反応性種が、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とから作製する。
【0050】
先行方法は、酸による有機廃棄物の処理を含み、効果的であるためには、廃棄物を酸性化しなければならない。本発明が提供する処理は、有機廃棄物を酸性化する代わりに、反応性種を作製させることができる組成物を利用する。そのため、本発明の処理に用いる組成物は、効果的な処理を提供するために、有機廃棄物を酸性化しない。言い換えれば、本発明の処理に用いる組成物は、実質的にいかなる酸も含まない。特に、本発明の処理に用いる組成物は、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満の、水中でpKa8未満のpKaを有する任意の酸を含む。本発明の処理に用いる組成物はまた、水中でpKa8未満のpKaを有するいかなる酸も含まなくてもよい。
【0051】
上に論じたように、本発明による方法における、反応性種を作製させることができる組成物の使用は、通常のpH未満に有機廃棄物を酸性化することなく、効果的な処理を提供する。言い換えれば、反応性種を作製させることができる組成物は、処理中に有機廃棄物を酸性化しない。有機廃棄物のpHは、供給源に応じて変動する(例えば、典型的には、pH6~8である)。例えば、動物の排泄物を考える場合、家禽の糞尿はpHが7を超えることがあり、ウシの糞尿はpHが7前後のことがあり、ブタの糞尿はpHが6.2~6.7前後のことがあり、これらは貯蔵中にも自然に変化することがある。本発明の処理に用いる組成物は、2pH単位未満、より詳細には1.5pH単位未満、より詳細には1pH単位未満、より詳細には0.5pH単位未満、より詳細には0.25pH単位未満、処理中に有機廃棄物のpHレベルを低減することがある。
【0052】
本発明に従って用いる組成物は、酸ではなく(例えば、ギ酸又はリン酸などではなく)、確かに強酸、例えば塩酸、硫酸、又は硝酸などではない。一実施形態では、本発明の組成物は、塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸、リン酸、又はプロピン酸等のいずれも含まない。対照的に、1リットルの水中の1gの組成物のpHは、pH4超、pH4.5、pH5、pH5.5、pH6であることがあり、好ましくはpH4超であることがある。
【0053】
本発明の処理は、有機廃棄物の下流での使用に有用な、主要な化合物の損失を低減する。詳細には、本発明の処理は、有機廃棄物からの肥料化合物の損失を低減する。特に、本発明の処理は、窒素含有肥料化合物の損失を低減する。したがって、本発明の処理は、窒素含有肥料化合物がアンモニアになって失われることを低減することができる。本発明の処理において作製する反応性種は、有機廃棄物中の肥料化合物の損失を低減することができる。本発明の処理は、有機廃棄物からのアンモニアの放出を低減することができる。いくつかの実施形態では、本発明の処理において作製する反応性種は、ガスではない。例えば、本発明の処理において作製する反応性種は、固体、液体、溶媒和イオン、又は溶媒和イオンの混合物であってもよい。より詳細には、いくつかの実施形態では、本発明の処理において作製する反応性種は酸化剤ではなく、例えば酸化ガスではなく、特に酸素ガスではない。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する処理に用いる組成物は、元素状ヨウ素を含まない。
【0055】
反応性種を作製させることができる組成物は、酸化剤を含んでもよい。反応性種は、酸化剤と別の成分とから作製してもよい。「別の成分」は、有機廃棄物中及び/又は組成物中に存在することがある。一実施形態では、「別の成分」はヨウ化物(I-)源であり、ヨウ化物イオン(I-)を提供することができる任意の物質である。
【0056】
ヨウ化物(I-)源は、とりわけ、有機廃棄物がヨウ化物塩の豊富な供給源を有する生態系/領域(例えば高ヨウ化物食)に由来する場合、有機廃棄物中に存在することがある。この実施形態では、反応性種は、組成物中の酸化剤と、有機廃棄物中に既に存在するヨウ化物源とから作製させることができる。有機廃棄物中のヨウ化物の量は、当然ながら、生態系に応じて変動することになる。典型的には、効果的な処理を提供するために、ヨウ化物イオンと酸化剤との比は、有機廃棄物の処理中、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):100(酸化剤)であってもよい。より詳細には、ヨウ化物イオンと酸化剤との比は、有機廃棄物の処理中、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):50(酸化剤)であってもよい。より詳細には、ヨウ化物イオンと酸化剤との比は、有機廃棄物の処理中、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):25(酸化剤)であってもよい。特に、比は、有機廃棄物の処理中、1(I-):3(酸化剤)~1(I-):15(酸化剤)、より詳細には、1(I-):5(酸化剤)~1(I-):15(酸化剤)、1(I-):8(酸化剤)~1(I-):15(酸化剤)、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):10(酸化剤)、1(I-):8(酸化剤)~1(I-):12(酸化剤)、又は1(I-):10(酸化剤)~1(I-):12(酸化剤)であってもよい。本開示は、組み合わせ可能なすべての端点を含む。
【0057】
有機廃棄物内のいずれかのヨウ化物源に加えて、組成物内にもヨウ化物源が存在してもよい。言い換えれば、組成物は、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とを含むことができる。この実施形態では、反応性種は、(i)組成物中の酸化剤から、並びに(ii)組成物中のヨウ化物源及び/又は有機廃棄物中のヨウ化物源からも、作製させることができる(しかし、この場合(ii)は任意選択)。典型的には、効果的な処理を提供するために、ヨウ化物イオンと組成物中の酸化剤との比は、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):25(酸化剤)、より特定的には1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):15(酸化剤)、1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):10(酸化剤)、特に1(I-):0.1(酸化剤)~1(I-):3(酸化剤)、1(I-):1(酸化剤)~1(I-):5(酸化剤)、1(I-):2(酸化剤)~1(I-):4(酸化剤)であってもよい。ヨウ化物イオンと組成物中の酸化剤との比は、1(I-):0.1(酸化剤)、1(I-):0.4(酸化剤)、1(I-):1.1(酸化剤)、1(I-):2.5(酸化剤)、1(I-):10(酸化剤)、及び1(I-):25(酸化剤)からなる群から選択することもできる。上の通り、本開示は、組み合わせ可能なすべての端点を含む。
【0058】
ヨウ化物源は、ヨウ化物イオン(I-)を提供することができる任意の物質である。例示的なヨウ化物源としては、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化水素(HI)、及びヨウ化ロジウム(RhI3)からなる群が挙げられる。このような例示的なヨウ化物源の組み合わせも、用いることができる。ヨウ化カリウム(KI)が、好ましいヨウ化物源である。
【0059】
酸化剤は、他の物質を酸化することができる、例えば、電子を失わせる物質である。本明細書に記載する酸化剤は、室温及び大気圧において、ガス状態ではない。加えて、本明細書に記載する酸化剤は、少なくとも2種の化学元素を含む物質であってもよい。本明細書に記載する酸化剤は、2つの主な区分:(i)過酸化物(O2
2-)源、又は(ii)ヨウ素酸([IO3]-)源(例えば、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム)、過マンガン酸([MnO4]-)源(例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム)、及びこれらの組み合わせからなる群の酸化剤に該当する。酸化剤はまた、区分(i)及び(ii)の薬剤の組み合わせであってもよい。
【0060】
酸化剤が上のリスト(ii)から選択される場合、過マンガン酸カリウムが好ましい酸化剤である。
【0061】
過酸化物源は、過酸化物イオン(O2
2-)を提供することができる任意の物質を意味する。過酸化物源は本発明の好ましい酸化剤であり、特に過酸化水素(H2O2)が好ましい。他の例示的な過酸化物源としては、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、過酸化物放出クエン酸、過酸化物放出ビタミンC、過酸化物の塩(例えば酸化バリウム)、過ホウ酸ナトリウム、酸素放出擬似過酸化物(例えば、スーパーオキシド、ジオキシゲナル(dioygenals)、オゾン、及びオゾン化物)、有機過酸化物(例えば、過酸、ハロゲン化アシル、及び脂肪族過酸化物)、過酸化物放出過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、又は過酸化物放出過炭酸塩の緩効性形態)、過酸化物-尿素付加物、並びに糖とその適当な酸化還元酵素との間の酵素反応(例えば、グルコースとグルコース酸化酵素との間、及び/又はガラクトースとガラクトース酸化酵素との間、及び/又はアルコールとアルコール酸化酵素との間、及び/又はコレステロールとコレステロール酸化酵素との間の酵素反応)からなる群が挙げられる。これらの過酸化物源同士の、又は実際には過酸化水素との組み合わせも用いてもよい。
【0062】
本明細書に記載する組成物中は、尿素源も含むことができる。尿素源は、尿素を供給することができる任意の物質を意味する。例示的な尿素源は、尿素、過酸化物-尿素付加物、タンパク質、アミノ酸、尿、及びこれらの組み合わせからなるリストから選択される。好ましくは、尿素源は尿素である。
【0063】
実際には、過酸化物及び尿素源は、2つの別々の異なる種からではなく、過酸化水素-尿素付加物から代わりに生じてもよい。これは、本発明の好ましい実施形態である。
【0064】
上記のように、本明細書に記載する組成物は、ヨウ素酸([IO3]-)源、特にヨウ素酸カリウムを含むことができる。加えて、本明細書に記載する組成物は、過酸化水素-尿素付加物を含むことができ、その結果、組成物は、ヨウ素酸([IO3]-)源(特にヨウ素酸カリウム)と過酸化水素-尿素付加物とを含む。
【0065】
好ましい実施形態では、組成物は、ヨウ化物源(好ましくはヨウ化カリウム)と過酸化水素とを含む。組成物がヨウ化物源と過酸化水素との両方を含む場合、組成物中のヨウ化物イオン(例えば、ヨウ化ナトリウム又はカリウムから)と過酸化水素との好ましい比は、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):25(過酸化水素)、より特定的には1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):15(過酸化水素)、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):10(過酸化水素)、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):5(過酸化水素)、1(I-):5(過酸化水素)~1(I-):10(過酸化水素)である。より詳細には、組成物中のヨウ化物イオンと過酸化水素との比は、1(I-):0.1(過酸化水素)、1(I-):0.4(過酸化水素)、1(I-):1.1(過酸化水素)、1(I-):2.5(過酸化水素)、1(I-):10(過酸化水素)、及び1(I-):25(過酸化水素)からなる群から選択される。好ましくは、組成物中のヨウ化物イオンと過酸化水素との比は、1(I-):4.2(過酸化水素)である。上の通り、本開示は、組み合わせ可能なすべての端点を含む。
【0066】
組成物はまた、チオシアン酸イオンを提供することができる任意の物質である、チオシアン酸([SCN]-)源を含むことができる。例示的なチオシアネート源としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸水素、チオシアン酸ロジウム、及びイソチオシアン酸アリルからなる群が挙げられる。これらのチオシアン酸源の組み合わせも、用いることができる。
【0067】
本発明に従って反応性種を作製させることができる具体的な組成物は、過酸化物(例えば過酸化水素)源と、チオシアン酸源と、ヨウ化物源とを含む。より詳細には、組成物は、ヨウ化ナトリウム又はカリウムと、過酸化水素と、チオシアン酸ナトリウム又はカリウムとを含むことができる。これらの組成物中のヨウ化物イオンと過酸化水素との比は、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):5(過酸化水素)、より特定的には1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):4(過酸化水素)、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):10(過酸化水素)、又は1(I-):25(過酸化水素)であってもよい。上の通り、本開示は、組み合わせ可能なすべての端点を含む。
【0068】
他の具体的な組成物は、過酸化物源として、過酸化物-尿素付加物、及び/又は過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)を含む。これらの具体的な組成物は、チオシアン酸源、及び/又はヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム)をさらに含むことができる。例えば、具体的な組成物としては、(i)過酸化物-尿素付加物、及びチオシアン酸源;(ii)過酸化物-尿素付加物、チオシアン酸源、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(iii)過酸化物-尿素付加物、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(iv)過酸化物-尿素付加物、過酸化物放出過炭酸塩(特に、過炭酸ナトリウム)、チオシアン酸源、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(v)過酸化物-尿素付加物、過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(vi)過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)、及びチオシアン酸源;(vii)過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)、チオシアン酸源、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(viii)過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)、及びヨウ化物源(例えばヨウ化カリウム);(ix)過酸化物-尿素付加物、及び過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム);並びに(x)過酸化物-尿素付加物、過酸化物放出過炭酸塩(特に過炭酸ナトリウム)、及びチオシアン酸源が挙げられる。これらの実施形態におけるヨウ化物イオンと過酸化物との比は、1(I-):0.1(過酸化物)~1(I-):25(過酸化物)、1(I-):0.1(過酸化物)~1(I-):15(過酸化物)、より特定的には1(I-):0.1(過酸化物)~1(I-):10(過酸化物)、1(I-):5(過酸化物)~1(I-):10(過酸化物)であってもよい。
【0069】
本発明に従って反応性種を作製させることができる別の具体的な組成物は、別の酸化剤(例えば、過マンガン酸([MnO4]-)源であり、好ましくは過マンガン酸カリウム)と、チオシアン酸源と、ヨウ化物源とを含む。この組成物は、ヨウ化ナトリウム又はカリウム、チオシアン酸ナトリウム又はカリウム、及び過マンガン酸ナトリウム又はカリウムを含むことができる。この組成物中のヨウ化物イオンと過マンガン酸([MnO4]-)の比は、1(I-):0.1(過マンガン酸)~1(I-):10(過マンガン酸)であってもよい。
【0070】
本発明による処理に用いる組成物は、反応性種を作製させることができる。本発明により作製する反応性種の具体的なタイプは、反応性酸素種(酸素原子を含有する反応性種)、及び/又は反応性ハロゲン化酸素種(酸素原子とハロゲン化物とを含有する反応性種)でありうる。本発明の組成物によって作製する例示的な反応性種は、ヨードフォアである。ヨードフォアは、ヨウ化物-チオシアン酸複合体、例えば、ISCN、I2SCN、I2(SCN)2、IOH(SCN)2、I3OH(SCN)2、I3OH(SCN)3、I4(SCN)4OH、及びI5(SCN)5のうちの1又は2以上からなる群から選択されるものを含むことができる。他の反応性種としては、次亜ヨウ素酸(IO-)源が挙げられる。別の反応性種としては、次亜チオシアン酸([OSCN]-)源が挙げられる。
【0071】
反応性種を作製させることができる組成物はまた、シアン酸化合物、例えば、シアン酸カリウム又はチオシアンを含むことができる。
【0072】
本明細書に記載する方法及び使用に用いる場合、用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり約0.01mg~約0.1mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約0.1mg~約1.0mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約1.0mg~約5.0mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約5mg~約10mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約10mg~約20mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約20mg~約50mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約50mg~約100mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約100mg~約200mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約200mg~約300mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約300mg~約400mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約400mg~約500mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約500mg~約600mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約600mg~約700mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約700mg~約800mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約800mg~約900mg、又は1グラムの有機廃棄物当たり約900mg~約1000mgであってもよい。ある一定の実施形態では、用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり0.3mg~1グラムの有機廃棄物当たり約1.5mgであってもよい。特に、用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり約0.33mg、1グラムの有機廃棄物当たり約0.67mg、及び1グラムの有機廃棄物当たり約1.33mgからなる群から選択される。好ましくは、用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり約1.33mgである。疑義を回避するために記すが、上の端点のすべての組み合わせも開示される。
【0073】
用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり約2.66mgであってもよい。用いる組成物の量は、1グラムの有機廃棄物当たり約3.39mgであってもよい。
【0074】
用いる組成物の量は、1トンの有機廃棄物当たり0.01kg~約0.1kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約0.1kg~1kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約1kg~約5kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約5kg~約10kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約10kg~約20kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約20kg~約50kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約50kg~約100kgであってもよい。例えば、用いる組成物の量は、1トンの有機廃棄物当たり約0.01kg~約0.1kgであってもよい。用いる組成物の量は、1トンの有機廃棄物当たり約0.1kg~1kgであってもよい。用いる組成物の量は、1トンの有機廃棄物当たり約1kg~約5kgであってもよい。用いる組成物の量は、1トンの有機廃棄物当たり約10kg~約20kgであってもよい。
【0075】
反応性種を作製させることができる組成物は、1又は2以上のカプセル剤又は錠剤の形態であってもよい。これらの錠剤/カプセル剤はまったく別々であってもよく、すなわち、錠剤/カプセル剤は別々に投与され、廃棄物に混合される。代替的には、組成物の個々の成分のいくつか/すべては、オールインワン型錠剤/カプセル剤の形態であってもよく、ここで、錠剤/カプセル剤の様々な成分は、有機廃棄物に混合されるまで反応性種を形成することができないように、互いに隔てられている。投与されると、オールインワン型錠剤/カプセル剤は、有機廃棄物中に分散されうる。代替的には、組成物の成分は、1若しくは2以上の錠剤、又は1若しくは2以上のカプセル剤の形態でなくてもよく、代わりに、組成物の成分をいくつかの他の形態において有機廃棄物に加え、混合する。本発明は、少なくともこれらの可能な選択肢を想定している。
【0076】
有機廃棄物
上記のように、有機廃棄物は、有機物を含む生分解性(すなわち、生物学的に分解可能な)廃棄物である。有機廃棄物は、単純な分子に、最終的には二酸化炭素、アンモニア、水、窒素、及び/又はメタンなどのガスに細分化することができる。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、有機廃棄物は、動物の排泄物、特に家畜の排泄物である。本発明による方法及び使用において処理される、具体的な家畜の排泄物は、ウシ、ブタ、ウマ、若しくはヒツジからの排泄物、又は特にウシの排泄物、例えばスラリーである。
【0078】
本発明による、有機廃棄物を処理するための方法、及び反応性種を作製させることができる組成物の使用
上記のように、本発明は、有機廃棄物を処理するための方法であって、有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物と接触させるステップを含み、組成物が酸化剤を含み、反応性種が、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とから作製する、方法を提供する。反応性種と有機廃棄物との相互作用によって、有機廃棄物の生物学的分解が低減する。特に、この方法は、バイオガスの全体的な産生を低減することができ(特に、メタン産生によるメタンの産生を低減し)、有用であり価値のある有機化合物、例えば肥料化合物(特に窒素含有肥料化合物)の損失も低減することができる。
【0079】
本発明はまた、有機廃棄物の処理において、反応性種を作製させることができる組成物を用いる、有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法を提供する。本発明に従って低減する生物学的分解の特定の形態としては、有機廃棄物からのバイオガス産生(特に、メタン産生によるメタンの産生)を低減すること、及び/又は肥料化合物(特に窒素含有肥料化合物)の損失を低減することが挙げられる。本発明による処理はまた、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物と「接触させること」には、組成物を有機廃棄物に加えること、及び次いで、廃棄物/組成物混合物を混合して、有機廃棄物中に組成物を一様に分布させることが関与する。有機廃棄物中に組成物を一様に分布させることによって、組成物の有益な効果が最大化することになる。
【0081】
本発明の処理は一般に、効果的であるために、いかなる作為的な加熱及び/又は作為的な加圧も必要としない。より詳細には、本発明の処理は、周囲温度及び周囲圧力において行うことができる。しかしながら、いかなる疑義も回避するために記すが、本発明の処理は、作為的な加熱及び/又は作為的な加圧とともに行う場合、首尾よく利用することができる。
【0082】
本発明の処理はまた、効果的であるために、いかなる物理的及び/又は機械的前処理(例えば、細断、磨砕、粉砕、及び超音波)も必要としない。しかしながら、いかなる疑義も回避するために記すが、本発明の処理は、このような物理的及び/又は機械的前処理を採用する場合、首尾よく利用することができる。
【0083】
本発明の処理はまた、効果的であるために、アルカリ及びオゾンなどの化学物質の使用を含む、いかなる物理化学的及び/又は化学的前処理も必要としない。しかしながら、いかなる疑義も回避するために記すが、本発明の処理は、このような物理化学的及び/又は化学的前処理を採用する場合、首尾よく利用することができる。
【0084】
本発明の処理はまた、効果的であるために、特殊な微生物及び/又は酵素処理を用いる、いかなる生物学的及び/又は酵素的前処理も必要としない。しかしながら、いかなる疑義も回避するために記すが、本発明の処理は、特殊な微生物及び/又は酵素処理を用いるこのような生物学的及び/又は酵素的前処理を採用する場合、首尾よく利用することができる。
【0085】
本発明の処理はまた、効果的であるために、いかなるマイクロ波による破壊も必要としない。しかしながら、いかなる疑義も回避するために記すが、本発明の処理は、マイクロ波による破壊を採用する場合、首尾よく利用することができる。
【0086】
上述したように、組成物は、まったく別々の成分の形態であってもよく、オールインワン型錠剤/カプセル剤の形態であってもよい。組成物の個々の成分は、反応性種を作製させることができる限り、有機廃棄物に同時に加えることも、別々の時点で加えることもできる。投与形態にかかわらず、組成物中の個々の成分のいくつか/すべては、インサイチュで混合すること、すなわち、組成物中の個々の成分のいくつか/すべてが、動物の排泄物に混合したときにのみ、互いに接触することが好ましい。こうすることの目的は、確実に、組成物が有機廃棄物と混合されている場合にのみ、反応性種を作製させることである。しかしながら、有機廃棄物と混合した場合、本発明の効果を提供するのに十分な反応性種を、組成物が含有する/依然として作製させることができる限り、有機廃棄物と接触する前に、組成物の個々の成分を一緒に混合することができる。
【0087】
有機廃棄物と、反応性種を作製させることができる組成物とを接触(及び/又は混合)させた後、処理した有機廃棄物を下流で用いるまで、処理した有機廃棄物を貯蔵することができる。貯蔵は、必要なだけ長く(又は短く)行うことができ、しばしば、廃棄物の下流での使用によって決定される。例えば、少なくとも2日間の短さで、又は少なくとも24カ月間の長さで、貯蔵を行うことができる。廃棄物を嫌気性消化プラントにおいて用いる場合、貯蔵は、1週間(又は2週間、又は3週間、又は1カ月間)の短さであってもよい。廃棄物を肥料として用いる場合、より長期間にわたって、例えば冬季の間中、貯蔵を行ってもよい。貯蔵はまた、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも12カ月間、少なくとも14カ月間、少なくとも16カ月間、少なくとも18カ月間、少なくとも20カ月間、又は少なくとも22カ月間行うことができる。例えば、少なくとも1カ月間、貯蔵を行うことができる。少なくとも3カ月間、貯蔵を行うことができる。少なくとも5カ月間、貯蔵を行うことができる。少なくとも12カ月間、貯蔵を行うことができる。少なくとも16カ月間、貯蔵を行うことができる。少なくとも18カ月間、貯蔵を行うことができる。貯蔵の継続期間にかかわらず、本発明に従って組成物を用いることによって、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、改善された特性が有機廃棄物に付与される。
【0088】
有機廃棄物の生物学的分解の速度は、典型的には、貯蔵の条件、例えば温度に依存する。温度が高いほど、生物学的分解の速度が速い。そのため、組成物のレベルを「補充」して、本発明の有益な効果を確実に維持するために、ある一定の貯蔵の間隔において本発明の処理を繰り返す必要がありうる。そのため、本発明の有益な効果を維持するために、本発明による処理は、生物学的分解(例えばメタン産生)の速度を一定間隔(例えば、毎日、2日毎、毎週、2週間毎、毎月、2カ月毎、3カ月毎等)で確認すること、及び有機廃棄物を再処理することを含む。
【0089】
反応性種を作製させることができる組成物は、経時的な有機廃棄物のガスへの生分解を低減することができる。いくつかの実施形態では、有機廃棄物のメタン産生が低減する。メタン産生を低減することは、同等の期間にわたって(例えば、有機廃棄物の処理中)、本発明に従った処理をされている定められた量の有機廃棄物から、本発明による処理をされていない同等の量の有機廃棄物と比較して、より少ないメタンが流出することを意味する。これは、メタン産生を「遅らせること」と記載することもでき、すなわち、本発明に従って処理した廃棄物のメタン産生は、本発明に従った処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)のメタン産生よりも遅れる。メタン産生の速度と産生するメタンの総量の両方に、本発明に従った組成物によって、有益な影響を及ぼす(すなわち、低減する)ことができる。
【0090】
上述したように、本発明による処理は、有機廃棄物のバイオガスの産生を低減することができる。典型的には、本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約10%未満、約20%未満、約30%未満、約40%未満、約50%未満、約60%未満、約70%未満、約80%未満、約90%未満、約95%未満、約98%未満、又は約100%未満であろう。例えば、本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約10%未満であることがある。本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約50%未満であることがある。本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約70%未満であることがある。本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約90%未満であることがある。本発明による処理をした廃棄物によって産生するバイオガスの量は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又はさらには未処理廃棄物)と比較して、約100%未満であることがある。
【0091】
メタン産生を低減することは、有機廃棄物におけるメタン産生の速度を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約98%超、又は約100%超、低減することを意味しうる。例えば、有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、低減することがある。有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超、低減することがある。有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超、低減することがある。有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超、低減することがある。有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超、低減することがある。有機廃棄物におけるメタン産生の速度は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約100%超、低減することがある。本発明によって処理された場合、24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、又は約100%、低減することがある。例えば、24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超、低減することがある。より詳細には、24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%、20%~80%、30%~70%、40%~60%、又は45%~55%、低減することがある。例えば、24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、20%~80%、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、30%~70%、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、40%~60%、低減することがある。24時間の期間にわたって産生されるメタンの総量は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、45%~55%、低減することがある。疑義を回避するために記すが、上の端点のすべての組み合わせも開示される。
【0092】
加えて(又は独立して)、反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物からの肥料化合物の損失を低減することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸、アンモニウム塩、硝酸(NO3
-)塩、及び亜硝酸(NO2
-)塩などの、炭素含有及び/又は窒素含有化合物の損失を低減する。これらの化合物は、有機廃棄物の肥料としての有効性に寄与するため、このような肥料化合物の損失を低減することによって、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、有機廃棄物の経時的な価値が上昇する。有機廃棄物内の窒素化合物は、アンモニア(NH3)又は窒素ガス(N2)などのガスに分解することがある。NH3は、温室効果ガスである亜酸化窒素の前駆体であり、そのため、窒素含有化合物の分解による損失を低減することも、本発明の有益な効果である。
【0093】
本発明による方法及び使用は、処理した有機廃棄物が、未処理廃棄物と比較して有意に多い量の肥料化合物を保持することを意味しうる。本発明による処理をした有機廃棄物は、メタン産生を低減することは、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約100%超、約110%超、約120%超、約130%超、又は約150%超の肥料化合物を有することがある。例えば、本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約110%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約130%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約150%超の肥料化合物を有することがある。より詳細には、本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%、20%~80%、30%~70%、40%~60%、又は45%~55%、90%~150%、90%~130%、100%~140%、100%~200%、200%~400%、400%~600%、400%~800%、600%~800%の肥料化合物を有することがある。例えば、本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、90%~150%超の肥料化合物を有することがある。本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、100%~200%超の肥料化合物を有することがある。疑義を回避するために記すが、上の端点のすべての組み合わせも開示される。
【0094】
本発明による方法及び使用は、有機廃棄物のガスへの生分解を低減する。廃棄物の生分解によって、質量がガスとして失われるため、廃棄物の経時的な質量損失が生じる。そのため、本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又は約95%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。例えば、本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。そのため、本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。より詳細には、本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%、20%~80%、30%~70%、40%~60%、又は45%~55%、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。例えば、本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、10%~90%、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、30%~70%、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。本発明による方法及び使用は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、45%~55%、有機廃棄物の質量損失を低減することができる。疑義を回避するために記すが、上の端点のすべての組み合わせも開示される。
【0095】
有機廃棄物中の価値があり有用な有機化合物の生分解が低減するため、本発明による処理をした有機廃棄物のエネルギー出力(例えば、有機廃棄物を、下流で嫌気性消化槽において用いる場合)は、同じ期間貯蔵されている、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)のエネルギー出力と比較して改善する。典型的には、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、又は約98%超、上昇するであろう。例えば、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、上昇させることができる。本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超、上昇させることができる。本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超、上昇させることができる。本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超、上昇させることができる。本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超、上昇させることができる。
【0096】
本発明の有益な効果は、本発明に従って処理した有機廃棄物が、未処理廃棄物と比較して、改善された実用性を有することを意味する。例えば、処理した廃棄物は、例えば、肥料;バイオマス燃料;土壌調節剤;嫌気性消化のための供給原料;バイオ精製のための供給原料;動物用飼料(例えば魚用餌)の生産のための供給原料;藻類の産生のための供給原料;動物性タンパク質(例えば昆虫/イモムシ等)の産生のための供給原料;化学合成のための供給原料/基質;建設材料の生産のための供給原料;動物用敷料の生産のための供給原料;紙の生産のための供給原料;又は熱分解若しくはガス化などの熱変換プロセスのための供給原料としての用途において、より効果的に用いることができる。
【0097】
さらに、本発明に従って用いる、反応性種を作製させることができる組成物は、他の廃棄物処理物質(例えば酸を含む)と比較して、入手が廉価であり、家畜及び環境に対する有害性が低く、使用が容易である。特に、他の廃棄物処理物質(例えば酸)とは異なり、本発明に従って用いる、反応性種を作製させることができる組成物は、腐食又は毒性を防止するためのいかなる特殊な貯蔵設備も必要とせず、専門の取扱者も必要としない。これらの要素の組み合わせは、本発明に従って用いる組成物が、他の処理よりも遥かに全体的な費用対効果が高いことを意味する。
【0098】
加えて、本発明に従って用いる、反応性種を作製させることができる組成物は、いかなる有害な残留物又は有害な物質も、処理した廃棄物中に残さない。これによって、本発明に従って処理した廃棄物は、いくつかの他の方法(例えば酸)によって処理した廃棄物と比較して、土壌の上に散布するのにより有用となる。
【0099】
例えば、酸性化されている処理後廃棄物は、肥料として散布した場合、土壌のpHレベルを低減するであろう。処理後廃棄物の肥料としての商業的価値は低いか、又は酸性化された処理後廃棄物を散布することによって低減したpHレベルを中和するために、使用者は、アルカリ剤(例えば石灰)も土壌の上に散布しなければならないことを意味するため、いずれにせよ、これは明白に、土壌に散布するのに適切でないことになる。アルカリ剤(例えば石灰)を加えることは、使用者へのさらなる費用の一因となり、田畑を肥沃化するプロセスに複雑さ及び時間が加わることになり、したがって、処理の全体的な費用対効果を低減する。
【0100】
本発明に従って用いる、反応性種を作製させることができる組成物はまた、下流での使用を制限することになる、いかなる有害な残留物も産生しないため、有益である。
【0101】
本発明に従って処理した有機廃棄物
上に説明したように、本発明による、反応性種を作製させることができる組成物によって処理した有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、生物学的分解が少ない。例えば、メタン産生による生物学的分解、及び肥料化合物の損失は、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して低減する。本発明による処理はまた、未処理廃棄物と比較して、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。結果として、本発明による処理をした有機廃棄物の化学的及び生物学的組成は、未処理有機廃棄物、又は異なる方法(例えば酸性化)によって処理した有機廃棄物の化学的及び生物学的組成とは異なる。
【0102】
例えば、本発明に従って処理した有機廃棄物は、未処理廃棄物と比較して、異なる化学的組成を有する。まず、本発明は、反応性種(すなわち、新しい化学物質)を作製させることができる組成物を、廃棄物に加えることを必要とする。未処理廃棄物、又は他の方法(例えば酸性化)によって処理した廃棄物は、このような組成物の存在を有しないことになる。既に説明したように、本発明に従って組成物を加えることの結果として、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、廃棄物の生物学的分解が低減する。例えば、廃棄物からの肥料化合物の損失が低減する(例えば、炭素、窒素、及び/又はリン酸含有化合物、例えば、アミノ酸、アンモニウム塩、硝酸塩(NO3
-)、又は亜硝酸(NO2
-)塩の損失が低減する)。したがって、本発明による処理をした有機廃棄物は、反応性種を作製させることができる組成物の存在の結果として、未処理廃棄物と異なるだけでなく、通常の速度で分解されることになる未処理廃棄物と比較して、肥料化合物が豊富でもある。典型的には、上述したように、本発明による処理をした有機廃棄物は、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約100%超(特に約130%超)の肥料化合物(特に窒素含有肥料化合物)の量を含有するであろう。
【0103】
加えて、反応性種を作製させることができる組成物によって、メタン産生が低減し、すなわち、炭素を含有するメタン(CH4)の損失の速度及び合計が低減する。メタン産生を低減することによって、本発明による処理をした廃棄物は、通常の速度で分解したであろう未処理廃棄物と比較して、上昇した炭素含有量を有する。これは、本発明に従って処理した有機廃棄物が、より可燃性であり(バイオマス燃料としてより多くのエネルギーを産生し)、例えば、嫌気性消化又は熱分解による、バイオ燃料のためのより良好な基質であり、より多くの炭素含有肥料化合物を有することを意味する。生物学的分解が低減した結果、本発明に従って処理した有機廃棄物は、分解するであろう未処理廃棄物と比較して、よりかさ高く、繊維質の構造を有するが、これは、土壌に混合した場合、土壌構造の改善において遥かに良好であることを意味する。
【0104】
これはすべて、本発明による処理をした有機廃棄物が、(i)未処理廃棄物と比較して、経時的に肥料化合物及び炭素がより豊富なままであり、(ii)よりかさ高く、より繊維質の構造を有することになるため、未処理廃棄物と比較して、より価値があり、有用であることを意味する。本発明による処理はまた、未処理廃棄物と比較して、有機廃棄物上のクラスト形成を低減することができる。
【0105】
上の観点において、肥料として用いる場合、本発明に従って処理した有機廃棄物は、農作物の収穫量を増加させる。典型的には、農作物の収穫量は、収穫した農作物の乾燥質量を分析することによって通常測定されるが、用いた肥料が本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)である農作物と比較して、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約40%超、又は約50%超、増加するであろう。
【0106】
本発明は、肥料;バイオマス燃料;土壌調節剤;嫌気性消化のための供給原料;バイオ精製のための供給原料;動物用飼料(例えば魚用餌)の生産のための供給原料;藻類の産生のための供給原料;動物性タンパク質(例えば昆虫/イモムシ等)の産生のための供給原料;化学合成のための供給原料/基質;建設材料の生産のための供給原料;動物用敷料の生産のための供給原料;紙の生産のための供給原料;又は熱分解若しくはガス化などの熱変換プロセスのための供給原料としての、本発明の処理した有機廃棄物の使用を提供する。処理した有機廃棄物の特に好ましい使用は、肥料としての使用である。処理した有機廃棄物の別の特に好ましい使用は、バイオマス燃料としての使用である。処理した有機廃棄物の別の特に好ましい使用は、嫌気性消化の供給原料としての使用である。本発明に従って処理した廃棄物の改善された特性の結果として、これらの使用は、未処理廃棄物の使用と比較して、改善されることになる。
【0107】
本発明はまた、ストルバイト、バイオ炭、又はリン酸塩などの肥料の製造のための供給原料としての、処理した有機廃棄物の下流での使用を提供する。
【0108】
例えば、本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又は約100%超、多くのバイオガスを産生することができる。本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約20%超多くのバイオガスを産生することができる。本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約40%超多くのバイオガスを産生することができる。本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約60%超多くのバイオガスを産生することができる。本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約80%超多くのバイオガスを産生することができる。本発明に従って処理した有機廃棄物は、嫌気性消化の供給原料/基質として用いる場合、本発明による処理をしていない廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約100%超多くのバイオガスを産生することができる。
【0109】
上述したように、本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、又は約98%超、上昇させることができる。例えば、本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約10%超、上昇させることができる。本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約30%超、上昇させることができる。本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約50%超、上昇させることができる。本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約70%超、上昇させることができる。本発明による処理によって、本発明による処理をした廃棄物からのエネルギー出力を、本発明による処理をしていない有機廃棄物(又は未処理廃棄物)と比較して、約90%超、上昇させることができる。
【0110】
有機廃棄物の嫌気性消化中のVFA及びMCCAの産生を改善するための方法
上に述べたように、本発明はまた、有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中の揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)の産生を改善するための方法であって、反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0111】
いかなる疑義も回避するために記すが、これらの方法に記載する、反応性種を作製させることができる組成物は、反応性種を作製させることができる上記の組成物である。したがって、本発明は、本明細書の他のところに記載する組成物及び他の方法のための組成物を用いる、本明細書に記載するVFA及びMCCAの産生を改善するための方法を含む。本発明はまた、このような方法同士の組み合わせを含み、例えば、本明細書に記載する有機廃棄物を処理するための方法及び使用を、ADに関する方法の中で行うことができる。例えば、本明細書に記載するメタン産生を低減するための組成物の使用を、有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中の揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)の産生を改善するための方法の中で行うことができる。
【0112】
一般に、ADは、以下のステップ:(i)加水分解、(ii)酸産生、(iii)酢酸産生、及び次いで(iv)メタン産生を含む。加水分解は、炭水化物、セルロース、タンパク質、及び脂肪などの大きく複雑なポリマーを、加水分解酵素によって、単純なモノマー、例えば、糖、アミノ酸、及び脂肪酸に細分化することが関与する。酸産生は、これらの単純なモノマーを、VFA及びMCCAに細分化することが関与する。酢酸産生は、酸産生の産生物を酢酸に細分化することが関与し、水素及び二酸化炭素を放出する。メタン産生は上に定義されており、例えばメタン産生菌などの微生物による、メタンガスのバイオ産生である。これらのステップのすべてを、1つのリアクター内で行うことができる。代替的には、2つ以上のリアクターを用いることができる。例えば、発酵(加水分解及び酸産生)を1つのリアクター内で行い、続いて別のリアクター内で酢酸産生及びメタン産生を行うことができる。
【0113】
この方法は、有機廃棄物を発酵させることを含むことができる。有機廃棄物を発酵させることは、有機廃棄物を加水分解及び/又は酸産生に供することを含むことができる。加えて、有機廃棄物のADは、有機廃棄物をメタン産生に供することを含むことができる。
【0114】
上に述べたように、反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物と接触させる。「接触」は、反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物に加えることを意味しうるが、有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物に加えることを意味することがある。反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物に混合されうる(又は、逆の場合も同様)。反応性種を作製させることができる組成物は、組成物が有機廃棄物中に、実質的に一様に分布するように、有機廃棄物に混合されうる(又は、逆の場合も同様)。
【0115】
反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物が嫌気性消化バイオリアクター内にある間に、有機廃棄物と接触させることができる。反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物が嫌気性消化バイオリアクターに入る前に、有機廃棄物と接触させることができ、例えば、組成物を有機廃棄物供給原料と接触させることができる。
【0116】
反応性種を作製させることができる組成物は、ADのメタン産生段階より前に、有機廃棄物と接触させることができる。反応性種を作製させることができる組成物は、ADの酢酸産生及びメタン産生段階より前に、有機廃棄物と接触させることができる。より詳細には、反応性種を作製させることができる組成物は、発酵段階より前に、すなわち、有機廃棄物が発酵する前に、有機廃棄物と接触させることができる。
【0117】
上に述べたように、本明細書に記載する組成物は、メタン産生を低減する。理論によって束縛されることを望むものではないが、組成物は、メタン産生を阻害しうる反応性種を作製させることができると考えられる。したがって、これらの方法において、反応性種を作製させることができる組成物は、メタン産生を阻害することができる。反応性種を作製させることができる組成物は、メタン産生を低減することができる。そのため、反応性種を作製させることができる組成物は、有機廃棄物のメタンガスへの生分解を低減することができる。これを行うことによって、VFA及びMCCAのメタンへの分解が低減する。
【0118】
この方法は、VFA及びMCCAを収集するステップを、さらに含むことができる。より詳細には、この方法は、発酵の後にVFA及びMCCAを収集するステップ、すなわち、発酵した有機廃棄物からVFA及びMCCAを分離、収集、及び除去するステップを、さらに含むことができる。収集することができる特定のVFA及びMCCAとしては、ブチレート、カプロエート、及びカプリレート(又はこれらの同等物の酸形態)が挙げられる。この方法は、有機廃棄物を発酵させた後に、VFA及びMCCAを収集するステップを含むことができる。この方法は、有機廃棄物を発酵させた後、かつ有機廃棄物をメタン産生に供する前に、VFA及びMCCAを収集するステップを含むことができる。
【0119】
ADは連続プロセスであってもよく、ここで、有機廃棄物供給原料は、ADバイオリアクターに連続的に加えられる。代替的には、ADバイオリアクター内の有機廃棄物を周期的に「補充」することができ、すなわち、ADバイオリアクター内の有機廃棄物の量が、周期的に増加してもよい。
【0120】
有機廃棄物の嫌気性消化(AD)のための方法における組成物の使用は、作為的にpHを低下させることなく、この方法を実施することを可能にする。そのため、これは、有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中に揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)を産生するための、より効率的な方法である。詳細には、本明細書に記載する組成物は、有機廃棄物のメタン産生を選択的に阻害し、これによってVFA及びMCCAの損失を阻害する。そのため、メタン産生を阻害するために、いくつかの先行技術のAD方法において必要な、5.5未満のpHにおいて行われるADを実施する方法の必要性はない。
【0121】
したがって、本発明の方法は、(例えば酸の添加によって)有機廃棄物のpHを作為的に低下させることなく行うことができる。より詳細には、本発明の方法は、メタン産生を低減するために、有機廃棄物のpHを作為的に低下させることなく行うことができる。本発明の方法は、pH5.5超のpHにおいて行うことができる。本発明の方法は、pH5.5~pH8において行うことができる。本発明の方法は、pH5.5~pH7.5において行うことができる。本発明の方法は、pH5.5~pH7において行うことができる。本発明の方法は、pH6~pH8において行うことができる。本発明の方法は、pH6~pH7.5において行うことができる。本発明の方法は、pH6~pH7において行うことができる。本発明の方法は、pH6.5~pH8において行うことができる。本発明の方法は、pH6.5~pH7において行うことができる。本発明の方法は、およそpH7において行うことができる。本発明の方法は、pH7において行うことができる。
【0122】
この方法では、反応性種を作製させることができる組成物を有機廃棄物に利用しない方法と比較して、この方法から収集されるVFA及びMCCAの収量を増加させることができる。詳細には、本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)少なくとも5%、増加しうる。より詳細には、本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)少なくとも10%、増加しうる。より詳細には、本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)少なくとも20%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)5%~50%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)5%~40%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)5%~30%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)5%~25%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)10%~50%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)10%~40%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)10%~30%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)10%~25%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)15%~25%、増加しうる。本発明の方法によって収集されるVFA及びMCCAの収量は、(本発明の組成物を利用しない方法と比較して)約20%の間、増加しうる。
【0123】
当技術分野において公知であろうが、有機廃棄物のADリアクターへの投入速度は、通例、「有機廃棄物の揮発性固形分のグラム」又は「有機廃棄物VSのg」によって記載される。「有機廃棄物VSのグラム」は、APHA, 2005 Standard Methods for the Examination of Water and Wastewaterに従って測定される。
【0124】
有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約15gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約10gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約7.5gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約5gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約3gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約2gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.1g~約1gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.2g~約0.8gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.3g~約0.75gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.3g~約0.6gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。有機廃棄物は、1日当たりADリアクター1Lにつき約0.5gの有機廃棄物VSの投入速度で、ADリアクターに投入することができる。上に述べたように、組成物は、ADリアクターに投入する前に、供給原料と接触させることができる。代替的には、又は加えて、組成物は、有機廃棄物をADリアクターに投入した後で、供給原料と接触させることができる。
【0125】
上に述べたように、組成物は、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とを含むことができる。より詳細には、組成物は、ヨウ化物(I-)源と過酸化物(O2
2-)源とを含むことができる。これらの方法に用いるための特定の組成物は、尿素-過酸化物を含む。加えて、又は代替的には、これらの方法に用いるための組成物は、ヨウ化カリウムを含む。そのため、これらの方法に用いるための組成物は、尿素-過酸化物とヨウ化カリウムとを含むことができる。
【0126】
用いる場合、用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.5~約10gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.5~約7.5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約0.5~約5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約0.5~約4gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約1~約4gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約1~約3.5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約1.5~約3.5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約2~約3.5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約2~約3gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり、約2~約2.5gでありうる。用いる酸化剤(特に尿素-過酸化物)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約2.4gでありうる。
【0127】
用いる場合、用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~4gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~3gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~2gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~1.5gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~1.0gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~0.75gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.1~0.5gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.2~0.5gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.2~0.4gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.2~0.3gでありうる。用いるヨウ化物(I-)源(特にヨウ化カリウム)の量は、1kgの有機廃棄物当たり約0.266gでありうる。
【0128】
本発明が単なる実施例によって記載されており、本発明の範囲及び趣旨内に留めながら、修正がなされうることが理解されよう。
【実施例1】
【0129】
累積バイオガス産生における、本発明の処理の効果の評価
16kgのスラリーを含有する6つの25Lドラムを用いて、本発明の処理の効果を評価した。用いたスラリーは、ホルスタイン・フリーシアン種のグラスフェッド乳牛からのものであった。
【0130】
3つのドラムは、陽性処理を受けなかった。代わりに、これらは水のみによって処理し、対照としての役割を果たした。3つの他のドラムは、反応性種を作製させることができる組成物による、本発明による処理を受けた。
【0131】
処理に用いた組成物は、過酸化水素尿素付加物とヨウ化カリウムとから構成されていた。組成物の濃度は、2.4gの過酸化水素-尿素付加物と0.265gのヨウ化カリウムとに基づいて、1kgのスラリー当たり2.66gであった。これは、4.2:1の過酸化水素とヨウ化物イオンとの比に対応する。
【0132】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0133】
産生されたバイオガスの体積を、水置換によって測定した。
【0134】
この実施例の結果を、
図1に示す。
図1は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を劇的に低減することを示す。これによって、本発明の処理は、生物学的廃棄物の生物学的分解を劇的に低減することが実証される。
【0135】
図1はまた、生物学的分解の低減が、長期間にわたって維持され、廃棄物を再処理することによって強化されることを示す。スラリーは、
図1に示すように、3回再処理をした。処理の各サイクルを「フェーズ」と呼び、したがって、
図1は4つの処理のフェーズを示す。
【0136】
バイオガスの体積を測定する場合、小口試料を取り出し、ガスクロマトグラフィーを用いてメタン含有量を決定した。
図2はこれらの結果を示し、測定期間にわたって、メタン産生が劇的に低減していることを裏付けている。したがって、本発明による処理は、有機廃棄物のメタン産生を低減することが示されている。
【実施例2】
【0137】
アンモニウム化合物濃度における、本発明の処理の効果の評価
この実施例におけるデータは、実施例1と同じバッチのスラリーから作製したものである。したがって、処理組成物、対照、及び処理条件は、実施例1と同じである。
【0138】
処理の各フェーズの終了時、再処理の直前に、25Lドラム内のスラリーをよく混合し、小口試料を取り出した。これを直ちに4体積の抽出剤(2M KCl)と1時間混合した後、濾過した。
【0139】
Merck社アンモニウム試験において実行されるように、比色インドフェノールブルー法を用いて、濾液中のアンモニウム濃度を測定した。
図3は、実験の終了時、すなわち、処理の第4フェーズ後に取り出した小口試料についての、アンモニウム濃度結果を示す。
【0140】
図3は、本発明に従って処理した有機廃棄物が、未処理廃棄物と比較して、高レベルのアンモニウム化合物を維持したことを示す。アンモニウム含有化合物は、窒素含有肥料化合物の例である。このような化合物の分解を防止することによって、下流の用途、例えば肥料としての、有機廃棄物の実用性及び価値が改善する。
【実施例3】
【0141】
本発明に従って処理した有機廃棄物の肥沃化能力の評価
この実施例におけるデータは、実施例1と同じバッチのスラリーから作製したものである。したがって、処理組成物、対照、及び処理条件は、実施例1と同じである。
【0142】
草木の生長の観点から、処理した廃棄物の肥沃化能力における処理の影響を評価するために、48日目(フェーズ3の最終日)に、1kgのスラリーをそれぞれの25Lドラムから取り出した。
【0143】
3種の処理を試験した。
1)改良なし
2)未処理スラリーによる改良
3)処理後スラリーによる改良
【0144】
各処理につき10個の反復ポットを、1kgの上部土壌(±改良)によって満たした。スラリーを土壌に予備混合したが、用いた体積は、1回のスラリー適用において、1ha当たり最大33トンのスラリーである、ガイドラインの適用速度に等しくした。これは、用いたスラリーの量が、ポット1個当たり45gのスラリーであったことを意味する。(「ガイドラインの適用」は、肥料の価値を最大化し、環境有害性を最小化するための、スラリーについての適用速度に関する、Teagasc-the Irish Agricultural Advisory agencyが提供したガイドライン、例えば、https://www.teagasc.ie/media/website/crops/grassland/Grazing-Guide-Book-2011_0-21.pdfを意味する。)
【0145】
すべてのポットに、53mgのホソムギ変種マジェスティック(Lolium Perenne var Majestic)を植え、規則的な樹上潅水を受ける温室内に、ランダム化した配置で置いた。ポットは、週単位で再ランダム化し、3週間後、土壌ラインの1cm上でイネ科植物を切断することによって、牧草収穫物を採取した。イネ科植物を秤量し、次いで、80℃において48時間乾燥させた後、再び秤量して乾燥物を決定した。初期段階の結果を下に示す。
【0146】
【0147】
【0148】
表1及び2は、平均して、本発明による処理を用いることと、得られた乾燥物の増加量が示す、収穫物の生産の増加との間に相関があることを示す。この実施例は、初期段階の試行において、本発明による処理が、未処理廃棄物と比較して優れた肥料である、有機廃棄物を産生することを示す。
【実施例4】
【0149】
本発明に従って処理した有機廃棄物の肥沃化能力の評価
アイルランド農場ベースの嫌気性消化の特徴付けに基づいて、3つの10リットル連続撹拌槽型バイオリアクター(CSTR,continuously stirred tank bioreactors;R1~R3)を、37℃において運転した。
【0150】
用いた未処理基質は、畜牛スラリーを脂肪、油、及びグリース(FOG,fats, oils and grease;グリーストラップから)と、2:1の比で共消化したものであった。用いた処理後スラリーは、実施例1に詳述したように処理したスラリーであった。
【0151】
各リアクターへの有機物投入速度は、2g揮発性固形分(VS,volatile solids)Ld-1であり、8Lの動作体積に、21日の固形分保持時間で半連続的に供給した。
【0152】
比メタン産生アッセイ(SMA,specific methanogenic assays)を用いるため、種菌を成長させ、2:1:1の比における、粒状汚泥、選択した基質を既に加工しているフルスケール連続撹拌槽型リアクター(CSTR)からの消化液(BEOFS社製(Camphill, Co. Kilkenny, Ireland))、及び加水分解を増強するための追加のスラリーの混合物と組み合わせた。基質及び消化液を、全固形分及び揮発性固形分、pH、全COD及び溶解性COD、アンモニア、並びに糞便性指標細菌(コリフォーム、大腸菌、腸球菌)について分析した。バイオガスを収集し、メタン含有量及び体積について分析した。試行を開始する前、安定するまでバイオリアクターを運転した。
【0153】
結果は以下の通りである。
【0154】
【0155】
これらのデータは、嫌気性消化に供する場合、本発明に従って処理した廃棄物は、未処理有機廃棄物と比較してより多くのバイオガスを産生することを示す。したがって、これらのデータは、本発明に従って処理した有機廃棄物は、未処理廃棄物と比較して、嫌気性消化のための優れた基質であることを裏付けている。
【実施例5】
【0156】
本発明に従った処理
9kgの新鮮なスラリーを含有する4つの12Lドラムを、換気のよい屋外の小屋で、屋外の周囲温度(約10~15℃)において、周囲圧力で貯蔵した。上の通り、用いたスラリーは、ホルスタイン・フリーシアン種のグラスフェッド乳牛からのものであった。4つのうちの1つのドラム内のスラリーは、未処理のまま放置し、一方、3つの他のドラム内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0157】
1. 1kgのスラリー当たり1.2gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.133gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー当たり2.4gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.266gのKIとを含有する組成物。
3. 1kgのスラリー当たり6gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.665gのKIとを含有する組成物。
【0158】
処理は0日目に適用し、次いで、17日目に再適用した。
【0159】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0160】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0161】
この実施例の結果を、
図4に示す。
図4は、本発明による処理のすべてが、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。これによって、本発明の処理は、生物学的廃棄物の生物学的分解を低減することが実証される。
【実施例6】
【0162】
追加のスラリーを含む処理
12kgの新鮮なスラリーを含有する2つの25Lドラムを、換気のよい屋外の小屋で、屋外の周囲温度(約10~15℃)において、周囲圧力で貯蔵した。上の通り、用いたスラリーは、ホルスタイン・フリーシアン種のグラスフェッド乳牛からのものであった。2つのうちの1つのドラム内のスラリーは、未処理のまま放置し、一方、他方のドラム内のスラリーは、1kgのスラリー当たり2.4gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.266gのKIとを含有する組成物によって処理した。
【0163】
およそ3日に1回、250gの新鮮なスラリーを、2つのドラム内に既に存在するスラリーの上部に加えた。組成物による処理を、13日目に繰り返した。
【0164】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0165】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0166】
この実施例の結果を、
図5に示す。
図5は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。これによって、本発明の処理は、追加のスラリーを加えた場合であっても、生物学的廃棄物の生物学的分解を低減することが実証される。
図5における「+」は、新鮮なスラリーを加えた時点を示す。
【実施例7】
【0167】
本発明によるさらなる処理
12kgの新鮮なスラリーを含有する5つの25Lドラムを、換気のよい屋外の小屋で、屋外の周囲温度(約10~15℃)において、周囲圧力で貯蔵した。上の通り、用いたスラリーは、ホルスタイン・フリーシアン種のグラスフェッド乳牛からのものであった。ドラムのうちの1つの中のスラリーは、未処理のまま放置し、一方、他の4つのドラム内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0168】
1. 1kgのスラリー当たり2.4gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.266gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー当たり2.4gの尿素-過酸化物を含有する組成物。
3. 1kgのスラリー当たり1.53gの尿素を含有する組成物。
4. 1kgのスラリー当たり0.86gのH2O2を含有する組成物。
【0169】
処理は、0日目、13日目、及び49日目に適用した。各処理は、3回反復で試験した。
【0170】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0171】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0172】
この実施例の結果を、
図6に示す。
図6は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。
【実施例8】
【0173】
畜牛スラリーに対する、本発明によるさらなる処理
4個の110ml嫌気性バイアルを用いて、比メタン産生活性に関する、本発明の処理の効果を試験した。この方法は、Coates et al., Journal of Microbiological Methods, 26 (1996), 237-246に記載されている。
【0174】
各バイアルは、酵母抽出物(Goering Van Soest (U.S. GOVERNMENT PRINTING OFFICE: 1970 O 387-598)に記載されている)を含有するリン酸緩衝液と、処理する場合は下の組成物の1つとによってインキュベートした、4.5gのスラリーを含有していた。4つのうちの1つのバイアル内のスラリーは未処理であり、他の3つのバイアル内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0175】
1. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり1.19gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.133gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー当たり1.19gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー当たり0.172gのIKO3とを含有する組成物。
3. 1kgのスラリー当たり0.172gのIKO3のみを含有する組成物。
【0176】
バイアルのヘッドスペースを、H2/CO2のミックスによって過加圧し、バイアルを振とうしながら置いた(37℃において100rpm)。メタン産生は、H2/CO2を消費してCH4を産生する際のヘッドスペース圧力の損失によって検出した。
【0177】
この実施例の結果を、
図7に示す。
図7は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるメタンの累積量を低減することを示す。
【実施例9】
【0178】
ブタスラリーに対する、本発明による処理
この実施例は、ブタ(swine)糞尿に対する、本発明の処理の効果を分析した。
【0179】
比メタン産生アッセイ(畜牛スラリーの代わりに9gのブタスラリーを用いたことを除いて、実施例8に記載した通りである)を用いて、ブタ(swine)糞尿に対する処理の阻害効果を評価した。4つのバイアルを準備した。1つのバイアル内のスラリーは未処理であり、他の3つの中のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0180】
1. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり1.19gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.133gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.43gの過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.133gのKIとを含有する組成物。
3. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.172gのIKO3を含有する組成物。
【0181】
実施例8に関して、メタン産生は、H2/CO2を消費してCH4を産生する際のヘッドスペース圧力の損失によって検出した。
【0182】
この実施例の結果を、
図8に示す。
図8は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるメタンの累積量を低減することを示す。
【実施例10】
【0183】
ブタスラリーに対する、本発明によるさらなる処理
3つの12Lドラムは、9kgの新鮮なスラリーを含有しており、屋内の周囲室温(約15~20℃)において、周囲圧力で貯蔵した。ドラムのうちの1つの中のスラリーは、未処理のまま放置し、一方、他の2つのドラム内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0184】
1.1kgのスラリー(新鮮重量)当たり2.66gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.265gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.86gの過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.265gのKIとを含有する組成物。
【0185】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0186】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0187】
この実施例の結果を、
図9に示す。
図9は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。
【実施例11】
【0188】
ブタスラリーに対する、本発明によるさらなる処理
3つの12Lドラムは、9kgの新鮮なスラリーを含有しており、屋内の周囲室温(約20℃)において、周囲圧力で貯蔵した。ドラムのうちの1つの中のスラリーは、未処理のまま放置し、一方、他の2つのドラム内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0189】
1.1kgのスラリー(新鮮重量)当たり2.66gの尿素-過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.265gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.86gの過酸化物と、1kgのスラリー(新鮮重量)当たり0.344gのIKO3とを含有する組成物。
【0190】
処理は、0日目及び25日目に適用した。
【0191】
ドラムのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0192】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0193】
この実施例の結果を、
図10に示す。
図10は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。
【実施例12】
【0194】
中温性嫌気性消化槽から試料採取した消化液に対する、本発明による処理
この実施例に用いた消化液は、食品廃棄物と畜牛スラリーとを共消化する中温性嫌気性消化槽から試料採取した。
【0195】
100gの消化液を含有する5つの250mLバイアルを、37℃において振とう(100rpm)に供し、バイアルのうちの1つの中のスラリーは未処理であった。他の4つのバイアル内のスラリーは、次の組成物によって処理した。
【0196】
1. 1kgの消化液(新鮮重量)当たり2.4gの尿素-過酸化物と、1kgの消化液(新鮮重量)当たり0.265gのKIとを含有する組成物。
2. 1kgのスラリー当たり1.53gの尿素を含有する組成物。
3. 1kgの消化液(新鮮重量)当たり2.4gの尿素-過酸化物を含有する組成物。
4. 1kgのスラリー(新鮮重量)当たり2.4gの尿素-過酸化物+0.344gのIKO3を含有する組成物。
【0197】
バイアルは周囲圧力とし、9日間にわたってバイオガスを収集した。
【0198】
バイアルのすべては、改変してガスバッグを取り付けた蓋によって封止し、したがって、いかなる産生されたバイオガスも収集することができた。バイオガスは、スラリーが生物学的に分解するにつれて放出される。
【0199】
産生されたバイオガスの体積は水置換によって測定し、一方、バイオガスのメタン含有量はガスクロマトグラフィーによって定量した。
【0200】
この実施例の結果を、
図11に示す。
図11は、本発明による処理が、有機廃棄物によって産生されるバイオガスの累積量を低減することを示す。
【実施例13】
【0201】
嫌気性消化槽における、本発明による処理
発酵プロセスの効率の比較は、150日の連続嫌気性バイオリアクター試行の間、食品廃棄物と動物糞尿との混合物からのVFA産生をモニタリングした実験に反映される。
【0202】
2つの10L嫌気性CSTRバイオリアクターを用いて、0.5g揮発性固形分/リアクターのL/日の投入速度において、畜牛スラリー(供給原料中の揮発性固形分の40%)と、脂肪、油、及びグリースの混合物(供給原料中の揮発性固形分の60%)とを発酵させた。バイオリアクターのうちの1つの供給原料は、未処理のまま放置した。他のバイオリアクターのための供給原料は、消化槽に導入する直前に、1kg当たり2.4gの尿素-過酸化物と1kg当たり0.266gのKIを含有する組成物によって処理した。
【0203】
週に1回の別々の17回の時点にわたる、対照バイオリアクター(未処理)における平均VFA収量は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定される化学的酸素要求量/L/日として、26.72±0.85gのVFAであった(APHA, 2005 Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater)。
【0204】
週に1回の別々の17回の時点にわたる、処理したバイオリアクターにおける平均VFA収量は、化学的酸素要求量/L/日として、32.21±1.37gのVFAであった。
【0205】
「揮発性固形分のグラム(g)」も、APHA, 2005 Standard Methods for the Examination of Water and Wastewaterに詳述されるように決定した。
【0206】
これらの結果によって、本発明による処理は、未処理のバイオリアクターと比較して、VFA及びMCCAの収量において、20.1%の増加を生じたことが実証される。これらの結果は、本発明による処理が、VFA/MCCA産生の先行技術に対する大きな進歩でありうることを示す。
【0207】
付番実施形態
1. 有機廃棄物を処理するための方法であって、
有機廃棄物を、反応性種を作製させることができる組成物と接触させるステップを含み、
組成物が酸化剤を含み、
反応性種が、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とから作製する、方法。
【0208】
2. 有機廃棄物の処理において、有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法における、反応性種を作製させることができる組成物の使用。
【0209】
3. 有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法が、メタン産生を低減する方法である、付番実施形態2に記載の使用。
【0210】
4. 有機廃棄物の生物学的分解を低減する方法が、有機廃棄物の処理において、有機廃棄物からの肥料化合物の損失を低減する方法である、付番実施形態2に記載の使用。
【0211】
5. 組成物が、炭素含有肥料化合物、リン含有肥料化合物、及び/又は窒素含有肥料化合物の損失を低減する、付番実施形態4に記載の使用。
【0212】
6. 窒素含有肥料化合物がアンモニウム塩である、付番実施形態5に記載の使用。
【0213】
7. 組成物が、アミノ酸、硝酸(NO3
-)塩、又は亜硝酸(NO2
-)塩の損失を低減する、付番実施形態5に記載の使用。
【0214】
8. 反応性種が、ヨウ化物(I-)源と酸化剤とから作製する、付番実施形態2~7のいずれかに記載の使用。
【0215】
9. 組成物が酸化剤を含む、付番実施形態8に記載の使用。
【0216】
10. 組成物が、水中でpKa8未満のpKaを有するいかなる酸も実質的に含まない、付番実施形態1に記載の方法、又は付番実施形態2~9のいずれかに記載の使用。
【0217】
11. 組成物が、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満の、水中でpKa8未満のpKaを有する任意の酸を含む、付番実施形態10に記載の方法、又は付番実施形態10に記載の使用。
【0218】
12. 組成物が、水中で8未満のpKaを有する酸を含まない、付番実施形態11に記載の方法、又は付番実施形態11に記載の使用。
【0219】
13. 1リットルの水中に1gの組成物のpHが、pH4よりも大きい、付番実施形態1若しくは10~12のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~12のいずれかに記載の使用。
【0220】
14. 組成物が、処理中に有機廃棄物を酸性化しない、付番実施形態1若しくは10~13のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~13のいずれかに記載の使用。
【0221】
15. 有機廃棄物のpHレベルが、有機廃棄物の処理中に、2pH単位未満、低減される、付番実施形態14に記載の方法、又は付番実施形態14に記載の使用。
【0222】
16. 有機廃棄物のpHレベルが、有機廃棄物の処理中に、1pH単位未満、低減される、付番実施形態15に記載の方法、又は付番実施形態15に記載の使用。
【0223】
17. 有機廃棄物のpHレベルが、有機廃棄物の処理中に、0.5pH単位未満、低減される、付番実施形態16に記載の方法、又は付番実施形態16に記載の使用。
【0224】
18. 有機廃棄物がヨウ化物(I-)源を含む、付番実施形態1若しくは10~17のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態8~17のいずれかに記載の使用。
【0225】
19. 組成物がヨウ化物(I-)源を含む、付番実施形態1若しくは10~18のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態8~18のいずれかに記載の使用。
【0226】
20. ヨウ化物(I-)源が、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化水素(HI)、ヨウ化ロジウム(RhI3)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、付番実施形態1若しくは10~19のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態8~19のいずれかに記載の使用。
【0227】
21. ヨウ化物(I-)源がヨウ化カリウム(KI)である、付番実施形態20に記載の方法、又は付番実施形態20に記載の使用。
【0228】
22. 酸化剤が、過酸化物(O2
2-)源、又はヨウ素酸([IO3]-)源(例えば、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム)、過マンガン酸([MnO4]-)源(例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤である、付番実施形態1若しくは10~21のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態8~21のいずれかに記載の使用。
【0229】
23. 酸化剤が、過マンガン酸([MnO4]-)源、好ましくは過マンガン酸カリウムである、付番実施形態22に記載の方法、又は付番実施形態22に記載の使用。
【0230】
24. 酸化剤がヨウ素酸([IO3]-)源(例えば、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム)である、付番実施形態22に記載の方法、又は付番実施形態22に記載の使用。
【0231】
25. 酸化剤が過酸化物(O2
2-)源である、付番実施形態22に記載の方法、又は付番実施形態22に記載の使用。
【0232】
26. 過酸化物(O2
2-)源が、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、過酸化物放出クエン酸、過酸化物放出ビタミンC、過酸化物の塩(例えば酸化バリウム)、過ホウ酸ナトリウム、酸素放出擬似過酸化物(例えば、スーパーオキシド、ジオイゲナル、オゾン、及びオゾン化物)、有機過酸化物(例えば、過酸、ハロゲン化アシル、及び脂肪族過酸化物)、過酸化物放出過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、又は過酸化物放出過炭酸塩の緩効性形態)、過酸化物-尿素付加物、糖とその適当な酸化還元酵素との間の酵素反応、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、付番実施形態25に記載の方法、又は付番実施形態25に記載の使用。
【0233】
27. 過酸化物(O2
2-)源が過酸化水素(H2O2)である、付番実施形態25若しくは26に記載の方法、又は付番実施形態25若しくは26に記載の使用。
【0234】
28. 組成物が過酸化水素を含み、有機廃棄物の処理中、ヨウ化物イオンと過酸化水素との比が、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):15(過酸化水素)である、付番実施形態27に記載の方法、又は付番実施形態26に記載の使用。
【0235】
29. 有機廃棄物の処理中、ヨウ化物イオンと過酸化水素との比が、1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):5(過酸化水素)、好ましくは1(I-):0.1(過酸化水素)~1(I-):3.5(過酸化水素)である、付番実施形態28に記載の方法、又は付番実施形態27に記載の使用。
【0236】
30. ヨウ化物イオンと過酸化水素との比が、
1(I-):0.1(過酸化水素)、
1(I-):0.4(過酸化水素)、
1(I-):1.1(過酸化水素)、
1(I-):2.5(過酸化水素)、及び
1(I-):3.2(過酸化水素)
からなる群から選択される、付番実施形態29に記載の方法、又は付番実施形態28に記載の使用。
【0237】
31. 組成物中のヨウ化物イオンと過酸化水素との比が、1(I-):3.2(過酸化水素)である、付番実施形態30に記載の方法、又は付番実施形態30に記載の使用。
【0238】
32. 組成物が尿素源を含む、付番実施形態1若しくは10~31のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~31のいずれかに記載の使用。
【0239】
33. 尿素源が、尿素、過酸化物-尿素付加物、タンパク質、アミノ酸、尿、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、付番実施形態32に記載の方法、又は付番実施形態32に記載の使用。
【0240】
34. 尿素源が尿素である、付番実施形態32若しくは33に記載の方法、又は付番実施形態32若しくは33に記載の使用。
【0241】
35. 組成物が過酸化水素-尿素付加物を含む、付番実施形態22若しくは24~33のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態22若しくは24~33のいずれかに記載の使用。
【0242】
36. 組成物がヨウ化カリウムと過酸化水素とを含む、付番実施形態1若しくは10~35のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~35のいずれかに記載の使用。
【0243】
37. 組成物がチオシアン酸([SCN]-)源を含む、付番実施形態1若しくは10~36のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~36のいずれかに記載の使用。
【0244】
38. チオシアン酸([SCN]-)源が、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸水素、チオシアン酸ロジウム、及びイソチオシアン酸アリルからなる群から選択される、付番実施形態37に記載の方法、又は付番実施形態37に記載の使用。
【0245】
39. 組成物がシアン酸化合物、例えば、シアン酸カリウム又はチオシアンを含む、付番実施形態1若しくは10~38のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~37のいずれかに記載の使用。
【0246】
40. 処理に用いる組成物の量が、1トンの有機廃棄物当たり0.01kg~約0.1kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約0.1kg~1kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約1kg~約5kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約5kg~約10kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約10kg~約20kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約20kg~約50kg、又は1トンの有機廃棄物当たり約50kg~約100kgである、付番実施形態1若しくは10~39のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~38のいずれかに記載の使用。
【0247】
41. 処理に用いる組成物の量が、
1グラムの有機廃棄物当たり約0.33mg、
1グラムの有機廃棄物当たり約0.67mg、及び
1グラムの有機廃棄物当たり約1.33mg
からなる群から選択される、付番実施形態40に記載の方法、又は付番実施形態40に記載の使用。
【0248】
42. 処理に用いる組成物の量が、
1グラムの有機廃棄物当たり約2.66mg、及び
1グラムの有機廃棄物当たり約3.39mg
からなる群から選択される、付番実施形態40に記載の方法、又は付番実施形態40に記載の使用。
【0249】
43. 用いる組成物の量が、1グラムの有機廃棄物当たり約1.33mgである、付番実施形態41に記載の方法、又は付番実施形態41に記載の使用。
【0250】
44. 用いる組成物の量が、1グラムの有機廃棄物当たり約3.39mgである、付番実施形態42に記載の方法、又は付番実施形態42に記載の使用。
【0251】
45. 有機廃棄物が、ヒトの排泄物、堆肥化可能な廃棄物、真菌廃棄物、又は動物の排泄物である、付番実施形態1若しくは10~44のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~44のいずれかに記載の使用。
【0252】
46. 動物の排泄物が、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、雌鳥、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、シカ、又はヤギからのものである、付番実施形態45に記載の方法、又は付番実施形態45に記載の使用。
【0253】
47. 動物の排泄物がウシの排泄物、例えば、糞尿、尿、又はスラリーである、付番実施形態46に記載の方法、又は付番実施形態46に記載の使用。
【0254】
48. 反応性種が、ヨードフォア又は次亜ヨウ素酸(IO-)源である、付番実施形態1若しくは10~47のいずれかに記載の方法、又は付番実施形態2~47のいずれかに記載の使用。
【0255】
49. メタン産生による有機廃棄物からのメタンの産生を低減する、付番実施形態1又は10~48のいずれかに記載の方法。
【0256】
50. 有機廃棄物からの窒素含有肥料化合物の損失を低減する、付番実施形態1又は10~49のいずれかに記載の方法。
【0257】
51. 付番実施形態1又は10~50のいずれかに記載の方法によって処理された、有機廃棄物。
【0258】
52. 有機廃棄物中の肥料化合物の濃度が、付番実施形態1又は10~51のいずれかに記載の方法によって処理されていない、同じ継続期間貯蔵された有機廃棄物中の肥料化合物の濃度よりも高い、付番実施形態51に記載の有機廃棄物。
【0259】
53. 有機廃棄物中の肥料化合物の濃度が、付番実施形態1又は10~51のいずれかに記載の方法によって処理されていない、同じ継続期間貯蔵された有機廃棄物中の肥料化合物の量よりも約100%超、好ましくは約130%超、より好ましくは約200%~400%、400%~600%、400%~800%、又は600%~800%高い、付番実施形態51又は52に記載の有機廃棄物。
【0260】
54. 肥料;バイオマス燃料;土壌調節剤;嫌気性消化のための供給原料;バイオ精製のための供給原料;動物用飼料(例えば魚用餌)の生産のための供給原料;藻類の産生のための供給原料;動物性タンパク質(例えば昆虫/イモムシ等)の産生のための供給原料;化学合成のための供給原料/基質;建設材料の生産のための供給原料;動物用敷料の生産のための供給原料;紙の生産のための供給原料;又は熱分解若しくはガス化などの熱変換プロセスのための供給原料としての、付番実施形態51~53のいずれかに記載の有機廃棄物の使用。
【0261】
55. ストルバイト、バイオ炭、又はリン酸塩などの肥料の製造のための供給原料としての、付番実施形態51~53のいずれかに記載の有機廃棄物の使用。
【0262】
56. 有機廃棄物の嫌気性消化(AD)中の揮発性脂肪酸(VFA)及び中鎖カルボン酸(MCCA)の産生を改善するための方法であって、
反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物と接触させるステップを含む、方法。
【0263】
57. 組成物が、有機廃棄物のメタン産生を阻害する反応性種を作製させる、付番実施形態56に記載の方法。
【0264】
58. 組成物が、付番実施形態8~14又は18~44のいずれかに定義される通りである、付番実施形態56又は57に記載の方法。
【0265】
59. 有機廃棄物を発酵させるステップを含む、付番実施形態56~58のいずれかに記載の方法。
【0266】
60. 反応性種を作製させることができる組成物を、有機廃棄物が発酵する前に、有機廃棄物と接触させる、付番実施形態59に記載の方法。
【0267】
61. 有機廃棄物を発酵させた後に、VFA及びMCCAを収集するステップをさらに含む、付番実施形態59又は60に記載の方法。
【0268】
62. 付番実施形態56~61のいずれかに記載の方法であって、この方法から収集されるVFA及びMCCAの収量が、少なくとも5%だけ増加する、方法。
【0269】
63. 付番実施形態56~62のいずれかに記載の方法であって、この方法から収集されるVFA及びMCCAの収量が10%~25%だけ増加する、方法。
【0270】
64. 組成物が、過酸化物(O2
2-)源とヨウ化物(I-)源とを含む、付番実施形態56~63のいずれかに記載の方法。
【0271】
65. 組成物が尿素-過酸化物を含む、付番実施形態64に記載の方法。
【0272】
66. 組成物がヨウ化カリウムを含む、付番実施形態64又は65に記載の方法。
【0273】
67. 組成物がヨウ化カリウムを含む、付番実施形態64~66のいずれかに記載の方法。