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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】発色団ポリマードット
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/13 20060101AFI20240711BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 61/00 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 14/435 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07K1/13
C07K16/00
C07K14/195
C08G61/00
C07K14/435
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022118555
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2019177287の分割
【原出願日】2011-10-18
(65)【公開番号】P2022160512
(43)【公開日】2022-10-19
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】61/394,259
(32)【優先日】2010-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512120742
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン センター フォー コマーシャライゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ティー. チュー
(72)【発明者】
【氏名】ウー チャンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュアンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ジャンボー
(72)【発明者】
【氏名】イエ ファンマオ
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-500916(JP,A)
【文献】国際公開第2011/057295(WO,A2)
【文献】特表2009-506188(JP,A)
【文献】MOON, J. H. et al.,Live‐Cell‐Permeable Poly(p‐phenylene ethynylene),Angewandte Chemie,2007年,Vol. 119,P.8371-8373
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C08G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモノマー単位を有する発色団半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子であって、
前記ナノ粒子中に存在する前記モノマー単位の20%未満が、親水性部分で修飾されており、前記モノマー単位の少なくとも1つが、コンジュゲーションに適した親水性官能基で修飾されており、
前記発色団半導体ポリマーが、ポリマー骨格を含み、前記発色団半導体ポリマーが、前記ポリマー骨格内に三重結合を含まず、
前記親水性官能基が、前記発色団半導体ポリマーの側鎖に共有結合している、
発色団ナノ粒子。
【請求項2】
前記親水性官能基が、カルボン酸基またはその塩、アミノ基、メルカプト基、アルデヒド基、エステル基、カルボニル基、ホスフェート基、シアネート基、スクシンイミジルエステル基、およびマレイミド基からなる群から独立に選択される、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項3】
前記親水性官能基が、カルボキシル基である、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項4】
前記親水性官能基が、リンカー部分を介して前記側鎖に付着している、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項5】
前記リンカー部分がポリエチレングリコールを含む、請求項4に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項6】
前記親水性官能基が水溶液中で安定である、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項7】
前記発色団半導体ポリマーの終端単位に位置する1つまたは複数の親水性官能基をさらに含む、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項8】
前記モノマー単位の10%未満が親水性部分で修飾されている、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項9】
前記モノマー単位の少なくとも1つが、非イオン性、非反応性の親水性部分またはイオン性、非反応性の親水性部分で修飾されている、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項10】
前記発色団ナノ粒子が複数の前記発色団半導体ポリマーを含む、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項11】
前記複数の発色団半導体ポリマーのブレンドを含む、請求項10に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項12】
前記複数の発色団半導体ポリマーおよび非半導体ポリマーのブレンドを含む、請求項10に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、水溶液中に保存されたときに少なくとも3カ月間安定的である、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項14】
前記ナノ粒子が、水溶液中に保存されたときに少なくとも6カ月間安定的である、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項15】
前記親水性部分で修飾された前記モノマー単位が、前記発色団半導体ポリマーの長さに沿ってランダムに分布する、請求項1に記載の発色団ナノ粒子。
【請求項16】
前記ナノ粒子が、1種またはそれより多い発色団半導体ポリマーのナノ沈殿によって形成される、請求項1に記載の発色団ナノ粒子を形成する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の発色団ナノ粒子を複数含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2010年10月18日に出願された米国仮出願第61/394,259号(これは、その全体が参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
連邦政府によって資金提供された研究開発の下でなされた発明に対する権利についての声明
この発明は、National Institutes of Healthによって付与された助成金番号R21CA147831およびR01NS062725の下、政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
生体系についての理解の進歩は、蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、汎用性のある生物学的アッセイ、およびバイオセンサーの適用に依存してきた。これらの実験的アプローチは、プローブとして有機色素分子を広範に使用する。しかし、これらの従来の色素の内在的な限度、例えば、低い吸光率および乏しい光安定性は、高感度イメージング技術およびハイスループットアッセイのさらなる開発において大きな困難を提起してきた。その結果、より明るくより光安定性の蛍光ナノ粒子の開発についてかなりの関心が存在してきた。例えば、無機半導体量子ドット(Qドット)が活発に開発中であり、Life Technologies(Invitrogen)から現在市販されている。(非特許文献1、非特許文献2)。代替の蛍光ナノ粒子は、単一蛍光分子と比較して、粒子当たりの複数の色素分子および保護ラテックスマトリックスによって改善された輝度および光安定性を示す、色素をドープしたラテックス球である。(非特許文献3)。
【0004】
蛍光半導体ポリマードットは、Qドットおよび色素付加ラテックスビーズと比較して、蛍光輝度および光安定性において有意な改善を示す。(Wu, C.;Szymanski, C.;Cain, Z.;McNeill, J. J.、Am. Chem. Soc.、2007年、129巻、12904~12905頁。Wu, C.;Bull
B.;Szymanski, C.;Christensen, K.;McNeill, J.、ACS Nano、2008年、2巻、2415~2423頁)。蛍光ポリマードットは、これらの高い吸収断面積、高い放射速度、高い有効な発色団密度、および最小レベルの凝集が誘発する蛍光クエンチを含めた半導体ポリマー分子のいくつかの都合のよい特徴のために、議論の余地はあるにしても現在までに任意のナノ粒子の中で最も高い蛍光輝度/容量比を有し、純粋な固体フィルムについてでさえも70%超のことがある蛍光量子収量がもたらされる。蛍光プローブとして蛍光ポリマードットを使用することによってまた、他の有用な利点、例えば、溶液中に浸出することがあり、かつ生物または生体細胞に有毒であり得る重金属イオンが存在しないことが実現される。
【0005】
しかし、ナノ粒子の開発における大きなボトルネックは、制御された化学的官能基化(chemical functionalization)である。2組の難題がここで存在する。第1の難題は単純に、細胞標識のための大部分の用途のために必要であるバイオコンジュゲーション(bioconjugation)のために粒子表面上の官能基を配向させる一方で、ナノ粒子形態へのポリマーの崩壊(ならびに安定性および性能)に不利に影響を与えることなく、官能基を設計すること、ならびにコンジュゲートしたポリマーまたは半導体ポリマーの側鎖および骨格中へ官能基を導入することである。
【0006】
発色団ポリマードット(chromophoric polymer dot)上に官能基を導入する従前の試みは、ポリマーの側鎖を高密度にて親水性官能基で官能基化することを伴った(例えば、ポリマーのモノマー単位の半分は、官能基で官能基化された少なくとも1つの側鎖を有する)。この様式で官能基化された発色団ポリマーは、ナノ粒子に形成できることが主張されてきたが、このように得られたナノ粒子は、経時的に凝集および劣化する傾向があり、したがって実際は安定的ではない(Moonら、Angewandte Chemie.、2007年、46巻、8223~8225頁)。実際は、著しく官能基化された発色団ポリマーは、官能基または側鎖の親水性の性質のためにむしろ共役高分子電解質に近く、これらのナノ粒子は、むしろ高分子電解質分子に近い実際にポリマーの緩い凝集物である(Moonら、Chem. Communications、2011年、47巻、8370~8372頁)。緩い凝集物は、過剰なポリマー鎖のフォールディングを伴わずに形成され、これらの緩い構造は、疎水性ポリマーから崩壊した密集した発色団ポリマードットと異なる。相応して、これらのナノ粒子は不安定であり、蛍光標識について乏しい性能を提供し、これらの凝集挙動は、ポリマー濃度、イオン強度、および温度によって影響される(Moonら、Chem. Communications、2011年、47巻、8370~8372頁)。さらに、著しく官能基化された発色団ポリマーのナノ粒子の形成は、過酷な条件(例えば、高濃度の酸)の使用を必要とすることがあり、この事実は、高分子電解質の立体構造の一般に認められた理解によって支持される。高分子電解質鎖上の電荷は互いに反発し(クーロン反発力および/または親水性部分の溶媒和によってもたらされる)、これによって鎖がより拡張した剛性で棒状の立体構造を取り入れることをもたらす。溶液が多量の加えられた塩または酸を含有する場合、電荷がスクリーニングされ、その結果として高分子電解質鎖は互いに会合し、緩い凝集物を形成する。その結果、むしろ共役高分子電解質に近いポリマーから生じた発色団ポリマードットは一般に形成するのが困難であり(酸などの過酷な条件を必要とする)、一度形成されると、緩い凝集物は経時的に不安定であり、乏しい性能を提供し、これらの凝集する性質は、多くの要因、例えば、ポリマー濃度、イオン強度、および温度によって影響され(Moonら、Chem. Communications、2011年、47巻、8370~8372頁)、それによってこれらの粒子の保存寿命が制限され、生物学的用途に対するこれらの性能は劣化する。むしろ共役高分子電解質に近いポリマーはまた有機溶媒中で乏しい溶解性を有し、したがって、これらは沈殿方法を使用してナノ粒子に作製することが困難であり得る。発色団ポリマーの崩壊および安定性および性能に関して、単純に上記の親水性官能基の密度に加えて、2つのさらなる考慮すべきことが存在する。第1に考慮すべきことは、高密度の親水性官能基または親水性側鎖または親水性部分の存在が、形成されたナノ粒子の崩壊および安定性に不利に影響を与えることである。第2に考慮すべきことはより微妙なものであり、親水性官能基の分布が関係する。ここで、同じ数の親水性官能基について、発色団ポリマードットの崩壊および安定性および性能に関して言えば、モノマーの間で均質またはより均等に分布した官能基を有することよりむしろ、少数のモノマーに集中化および局在化したこれらの官能基を有することの方が非常により良好であろう。本発明は、安定的で密集した発色団ポリマードットの形成におけるこれらの設計への考慮の重要性を教示する。
【0007】
制御された化学的官能基化のための他の難題は、事前に規定した数の官能基を有する発色団ポリマードットを開発することである。ナノ粒子表面上の複数の反応部位の存在によって、化学官能基の数および幾何学的分布を制御することは極度に困難である。ナノ粒子の多価性は、シグナル経路を活性化し、かつ受容体結合能力を劇的に低下させ得る表面タンパク質の架橋をもたらすことができる。(Howarth, M.;Liu, W.;Puthenveetil1, S.;Zheng, Y.;Marshall1, L.;Schmidt, M.;Wittrup, K.;Bawendi, M.;Ting, A.、Nat. Methods、2008年、5巻、397頁)。したがって、確定した(例えば、1対1の)化学量論において生体分子へのさらなるコンジュゲーションを可能とする、事前に規定した数(例えば、一価または二価)の官能基を有する蛍光ポリマードットを開発する必要性が依然として存在する。事前に規定した数(例えば、一価および二価)の官能基を有する発色団ポリマードットは、広範囲の蛍光をベースとする用途のための高度に蛍光のナノ粒子バイオコンジュゲートの独特な特性を提起する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Bruchez, M.;Moronne, M.;Gin, P.;Weiss, S.;Alivisatos, A.P、Science(1998年)281巻、2013~2016頁
【文献】Michalet, X.;Pinaud, F. F.;Bentolila, L. A.;Tsay, J. M.;Doose, S.;Li, J. J.;Sundaresan, G.;Wu, A. M.;Gambhir, S. S.;Weiss, S.、Science(2005年)307巻、538~544頁
【文献】Wang, L.;Wang, K. M.;Santra, S.;Zhao, X. J.;Hilliard, L. R.;Smith, J. E.;Wu, J. R.;Tan, W. H.、Anal. Chem.(2006年)78巻、646~654頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、側鎖上に低密度の親水性官能基および部分を有する発色団ポリマーを使用することによって、この制限を克服するアプローチを提供する。このように、親水性官能基および部分の存在は、鎖が崩壊して良好な性能を提供する密集した安定的なナノ粒子を形成することを妨げない。いくつかの実施形態において、側鎖の官能基化は完全に避けることができ、親水性官能基は、ポリマー主鎖の末端基(複数可)にのみ導入することができる。他の実施形態において、発色団ポリマードットの崩壊および安定性に影響を与えない疎水性官能基を用いることができ、次いで疎水性官能基は、ナノ粒子の表面上でバイオコンジュゲーションのための親水性官能基に変換することができ(すなわち、事後官能基化され)、または疎水性官能基を生体分子に直接連結する。この後者のアプローチは、これらに限定されないが、アルキン基、歪んだアルキン基(strained alkyne group)、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基を含めた、疎水性およびクリック可能(すなわち、クリックケミストリーのフレームワーク内に入る化学反応)である官能基を使用して特に良好に作業し得る。これらだけに限定されないが、本発明は、優れた性能を提供する密集した安定的な発色団ポリマードットの形成において、鎖の崩壊および上記の設計への考慮のための条件を発見したことに部分的に基づいている。例えば、本発明は、生物学的分子を付着させるための発色団ポリマードットを生じさせるための、これらの高分子電解質様形態の形成および使用を回避する、官能基(複数可)を含有する発色団ポリマーの組成物を提供する。ポリマーの(例えば、側鎖の)制御された程度の官能基化は、形成された発色団ポリマードットの安定性、内部構造、蛍光輝度、非特異的標識に対して、単にポリマードットのサイズよりもより重要な意味を有することがあることに留意することは重要である。本発明はまた、良好な性能特徴を有する安定的な発色団ポリマードットへのこれらの形成に不利に影響を与えない、少数の官能基および親水性部分を有する発色団ポリマーの生成を達成するための様々な方法を提供する。
【0010】
発色団ポリマードットが、良好な安定性、密集した構造、高い蛍光輝度、および最小の非特異的標識を有するように、良好に制御された密度を有する官能基を含有する発色団ポリマードットを形成させる組成物および方法を記載することに加えて、本発明は、制御され、事前に規定した数(例えば、一価または二価の)の官能基を有するこのような発色団ポリマードットを形成する組成物および方法を含むことができる。
【0011】
本発明の一態様は、官能基化された発色団ポリマードットに関し、親水性官能基は、ナノ粒子の形成および安定性および性能に不利に影響を与えないように、ポリマー側鎖上に十分に低密度で存在する。いくつかの実施形態において、2つの態様を使用して、ナノ粒子の安定性を記載することができる。1つは、ナノ粒子が凝集に対して安定的であること(すなわち、大きな粒子を形成させること)、他は、ナノ粒子が解離に対して安定的であること(すなわち、分解によって小分子/粒子を生成すること)である。本発明は、凝集または解離に対して安定的で密集した発色団ポリマードットの形成における、低密度の官能基化(例えば、親水基が関与する)の重要性を発見したことに部分的に基づいている。例えば、親水性官能基は、適切なナノ粒子のフォールディングおよび安定性を可能にするのに十分に低密度でポリマーの側鎖上に提供される。いくつかの実施形態において、疎水性官能基(例えば、これらに限定されないが、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基を含めたクリックケミストリーのために使用されるもの)を使用して、安定的な発色団ポリマードットの形成に不利に影響を与えることを回避することができる。特定の実施形態において、疎水性官能基は、親水性官能基に変換され(例えば、事後官能基化)、または生物学的に関連した分子に直接連結させることができる。これらの発色団ポリマードットは、他の方法(例えば、エマルジョンをベースとする)もまた使用することができるが、沈殿を使用することによるなどの種々の方法によって形成させることができる。
【0012】
本発明の一態様は、官能基化された発色団ポリマードットに関し、官能基は、ポリマーの側鎖上ではなく、主鎖の末端基上のみに存在する。有利なことには、ポリマーの末端のみにおける官能基の存在は、ナノ粒子の形成および安定性および性能に不利に影響を与えない。好ましくは、これらの発色団ポリマードットは、他の方法(例えば、エマルジョンをベースとする)もまた使用することができるが、沈殿を使用して形成させることができる。
【0013】
本発明の一態様は、官能基化された発色団ポリマードットに関し、官能基は、ナノ粒子の形成および安定性および性能に不利に影響を与えないように、主鎖の末端基上およびまたポリマーの側鎖上に十分に低密度で存在する。いくつかの実施形態において、これらの発色団ポリマードットは、他の方法(例えば、エマルジョンをベースとする)もまた使用することができるが、沈殿を使用して形成させることができる。
【0014】
本発明の一態様は、ナノ粒子の表面に付着している事前に規定した数の官能基を有する合理的に官能基化された発色団ポリマードットに関する。一実施形態において、合理的に官能基化された発色団ポリマードットは、ナノ粒子の表面に付着している単一の基を有する。他の実施形態において、合理的に官能基化された発色団ポリマードットは、ナノ粒子の表面に付着している2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれを超える官能基を有する。
【0015】
本発明の一態様は、一価の発色団ポリマードットに関する。1個の官能基のみを担持する発色団ポリマードットを含む一価の発色団ポリマードット(例示的概略図を、図1Aに示す)。
【0016】
別の態様において、発色団ポリマードットのバイオコンジュゲートを提供する。バイオコンジュゲートは、発色団ポリマードットの官能基への生体分子の付着によって形成させることができる。付着は、図1Bにおいて示す例示的概略図におけるように直接的または間接的でよい。一実施形態において、合理的に官能基化された発色団ナノ粒子のバイオコンジュゲートを提供する。例えば、粒子の表面上に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれを超える官能基を有するナノ粒子。好ましい実施形態において、ナノ粒子は、一価の発色団ナノ粒子である。第2の好ましい実施形態において、ナノ粒子は、二価の発色団ナノ粒子である。
【0017】
本発明の一態様は、二価の発色団ポリマードットに関する。二価の発色団ポリマードットは、異なるタイプまたは同じタイプのものでよい、2個の官能基のみを担持する発色団ポリマードットを含む。
【0018】
別の態様において、二価のポリマードットのバイオコンジュゲートを提供する。一実施形態において、バイオコンジュゲートは、発色団ポリマードットの官能基への2個の生体分子の付着、すなわち、ナノ粒子の官能基のそれぞれへの1個の生体分子の付着によって形成される。付着は、直接的または間接的でよい。2個の官能基に付着している2個の生体分子は、異なるタイプ(例えば、2種の異なるエピトープに対する2種の抗体)、または同じタイプでよい。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、単鎖発色団ナノ粒子を提供する。特定の実施形態において、単鎖発色団ナノ粒子は、粒子の表面上に存在する所定の数の官能基で合理的に官能基化されている。好ましい実施形態において、単鎖発色団ナノ粒子は、一価である。別の好ましい実施形態において、単鎖発色団ナノ粒子は、二価である。また他の実施形態において、単鎖発色団ナノ粒子は、1つまたはそれより多い生体分子にコンジュゲートしている。
【0020】
また別の実施形態において、一価の発色団ポリマードットを調製する方法を開示する。一実施形態において、この方法は、加工した表面への官能基化された発色団ドットの付着、それに続く溶媒洗浄またはパシベーション、次いで表面からの切断を伴う。一実施形態において、この方法は、単鎖一価の発色団ナノ粒子を提供する。別の実施形態において、この方法は、多連鎖一価の発色団ナノ粒子が生じることを可能にする。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
合理的に官能基化された発色団ナノ粒子であって、前記ナノ粒子の表面に付着した事前に規定した数の官能基を有する半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子。
(項目2)
前記ナノ粒子の表面に単一の官能基が付着している、項目1に記載の発色団ナノ粒子。(項目3)
前記ナノ粒子の表面に2個の官能基が付着している、項目1に記載の発色団ナノ粒子。(項目4)
前記ナノ粒子の表面に3個の官能基が付着している、項目1に記載の発色団ナノ粒子。(項目5)
単一の半導体ポリマーからなる、項目1から4のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目6)
前記官能基が、親水性官能基である、項目1から5のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目7)
前記官能基が、疎水性官能基である、項目1から5のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目8)
前記官能基が、バイオコンジュゲーションに適している、項目1から7のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目9)
前記ナノ粒子の表面に付着している前記官能基の数が、溶媒洗浄によって制御される、項目5に記載の発色団ナノ粒子。
(項目10)
前記単一の半導体ポリマーの崩壊によって形成される、項目5に記載の発色団ナノ粒子。
(項目11)
半導体ポリマーの少なくとも1つの末端に位置する1個、2個または3個の官能基で修飾されている単一の半導体ポリマーからなる、項目1に記載の発色団ナノ粒子。
(項目12)
複数の半導体ポリマーを含む、項目1から4のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。(項目13)
半導体ポリマーのブレンドを含む、項目12に記載の発色団ナノ粒子。
(項目14)
半導体ポリマーおよび非半導体ポリマーのブレンドを含む、項目12または13に記載の発色団ナノ粒子。
(項目15)
前記官能基が、リンカー部分を介して前記ナノ粒子の表面に付着している、項目1から14のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目16)
前記リンカー部分が、水溶性ポリマーを含む、項目15に記載の発色団ナノ粒子。
(項目17)
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコールである、項目16に記載の発色団ナノ粒子。
(項目18)
前記官能基が、カルボキシル基である、項目1から17のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目19)
前記官能基が、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基からなる群から独立に選択される疎水性官能基である、項目1から17のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目20)
発色団ナノ粒子が、1個またはそれより多い非反応性化学基にさらにコンジュゲートしている、項目1から18のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目21)
前記非反応性化学基が、水溶性ポリマーを含む、項目20に記載の発色団ナノ粒子。
(項目22)
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコールである、項目21に記載の発色団ナノ粒子。
(項目23)
前記官能基が、前記半導体ポリマーの端部にコンジュゲートしている、項目1から22のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目24)
前記ナノ粒子の表面に付着している官能基の数が、表面パシベーションによって制御される、項目1から23のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目25)
前記ナノ粒子の表面に付着している官能基に生物学的分子がコンジュゲートしている、項目1から23のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目26)
前記生物学的分子が、タンパク質または核酸である、項目25に記載の発色団ナノ粒子。
(項目27)
前記生物学的分子が、抗体である、項目26に記載の発色団ナノ粒子。
(項目28)
前記生物学的分子が、ストレプトアビジンである、項目26に記載の発色団ナノ粒子。(項目29)
項目1から28のいずれか一項に記載の合理的に官能基化された発色団ナノ粒子を複数含む組成物。
(項目30)
合理的に官能基化された発色団ナノ粒子の均質な集団を含む、項目29に記載の組成物。
(項目31)
事前に規定した数の官能基化されたモノマーを有する半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子。
(項目32)
前記半導体ポリマーが、前記ポリマーの1つまたはそれより多い末端においてのみ官能基化されている、項目31に記載の発色団ナノ粒子。
(項目33)
前記半導体ポリマーが、1つの末端において官能基化されている、項目32に記載の発色団ナノ粒子。
(項目34)
前記半導体ポリマーが、2つの末端において官能基化されている、項目32に記載の発色団ナノ粒子。
(項目35)
前記半導体ポリマーが、線形半導体ポリマーである、項目31から34のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目36)
前記半導体ポリマーが、分岐した半導体ポリマーである、項目31から34のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目37)
前記分岐した半導体ポリマーが、3つの末端において官能基化されている、項目36に記載の発色団ナノ粒子。
(項目38)
複数の半導体ポリマーを含む、項目31から37のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目39)
半導体ポリマーのブレンドを含む、項目38に記載の発色団ナノ粒子。
(項目40)
半導体ポリマーおよび非半導体ポリマーのブレンドを含む、項目38または39に記載の発色団ナノ粒子。
(項目41)
バイオコンジュゲーションを可能とするために、前記半導体ポリマーが、前記ナノ粒子の表面上に存在する親水性官能基で官能基化されている疎水性ポリマーである、項目31に記載の発色団ナノ粒子。
(項目42)
バイオコンジュゲーションを可能とするために、前記半導体ポリマーが、複数の親水性官能基をさらに含み、前記複数の親水性官能基の少なくとも1つが、前記ナノ粒子の表面上に存在する、項目31に記載の発色団ナノ粒子。
(項目43)
バイオコンジュゲーションを可能とするために、前記半導体ポリマーが、複数の疎水性官能基をさらに含み、前記複数の疎水性官能基の少なくとも1つが、前記ナノ粒子の表面上に存在する、項目31に記載の発色団ナノ粒子。
(項目44)
複数のモノマー単位を有する半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子であって、前記ナノ粒子中に存在する前記モノマー単位の50%未満が、親水性部分で修飾されており、前記モノマー単位の少なくとも1つが、コンジュゲーションに適した親水性官能基で修飾されている、発色団ナノ粒子。
(項目45)
前記親水性官能基が、バイオコンジュゲーションに適している、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目46)
前記親水性官能基が、水溶液中で安定的である、項目45に記載の発色団ナノ粒子。
(項目47)
前記モノマー単位の45%未満、40%未満、35%未満、または30%未満が、前記親水性部分で修飾されている、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目48)
前記モノマー単位の25%未満が、前記親水性部分で修飾されている、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目49)
前記モノマー単位の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が、前記親水性部分で修飾されている、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目50)
前記親水性官能基が、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、およびその置換された誘導体からなる群から独立に選択される、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目51)
前記モノマー単位の少なくとも1つが、非イオン性、非反応性の親水性部分またはイオン性、非反応性の親水性部分で修飾されている、項目44に記載の発色団ナノ粒子。
(項目52)
複数の半導体ポリマーを含む、項目44から51に記載の発色団ナノ粒子。
(項目53)
半導体ポリマーのブレンドを含む、項目52に記載の発色団ナノ粒子。
(項目54)
半導体ポリマーおよび非半導体ポリマーのブレンドを含む、項目52または53に記載の発色団ナノ粒子。
(項目55)
前記ナノ粒子が、水溶液中に保存されたときに少なくとも3カ月間安定的である、前記項目のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目56)
前記ナノ粒子が、水溶液中に保存されたときに少なくとも4カ月間安定的である、項目55に記載の発色団ナノ粒子。
(項目57)
前記ナノ粒子が、水溶液中に保存されたときに少なくとも6カ月間安定的である、項目56に記載の発色団ナノ粒子。
(項目58)
疎水性モノマー単位を有する半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子であって、前記モノマー単位の100%が、少なくとも1個の疎水性官能基で修飾されている、発色団ナノ粒子。
(項目59)
前記疎水性モノマー単位の100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、または約1%未満が、前記少なくとも1個の疎水性官能基で修飾されている、項目58に記載の発色団ナノ粒子。
(項目60)
前記少なくとも1個の疎水性官能基が、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基からなる群から独立に選択される、項目58または59に記載の発色団ナノ粒子。
(項目61)
前記ナノ粒子が、1種またはそれより多い発色団ポリマーのナノ沈殿によって形成される、前記項目のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子。
(項目62)
項目1から61のいずれか一項に記載の発色団ナノ粒子を複数含む組成物。
(項目63)
合理的に官能基化された発色団ナノ粒子の均質な集団を含む、項目62に記載の組成物。
(項目64)
その表面上に規定された数の官能基を有する合理的に官能基化された単鎖発色団ナノ粒子を作製するための方法であって、
(a)1個またはそれより多い官能基にコンジュゲートしている半導体ポリマーの均質な集団を水性環境中で崩壊させて、複数の官能基を含む発色団ナノ粒子を形成させるステップと;
(b)前記ナノ粒子上の官能基と固相との間に共有結合を形成させることによって、前記ナノ粒子を前記固相に単一のポイントにおいて付着させるステップと;
(c)前記ナノ粒子を有機溶媒中で洗浄して、前記ナノ粒子の構造を乱し、固体表面上にコンジュゲートしている前記ポリマーのみを保持するステップと;
(d)付着した前記ポリマーを洗浄して水性環境中に戻し、前記ポリマーを単鎖発色団ナノ粒子に崩壊させるステップと;
(e)前記固相と前記官能基との間の前記結合を切断して、前記固相から前記単鎖発色団ナノ粒子を放出させるステップと
を含む、方法。
(項目65)
前記固相と前記官能基との間に形成される前記結合が、前記ナノ粒子の表面上の前記官能基を除去する様式で切断される、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記固相と前記官能基との間に形成される前記結合が、前記ナノ粒子の表面上に前記官能基を維持する様式で切断される、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記結合を切断するステップが、前記官能基を修飾して、前記ナノ粒子の表面上に異なる官能基を生じさせる、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記単鎖発色団ナノ粒子が、その表面上に1個の官能基を有する、項目64から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記単鎖発色団ナノ粒子が、その表面上に2個の官能基を有する、項目64から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記単鎖発色団ナノ粒子が、その表面上に3個の官能基を有する、項目64から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
その表面上に単一の官能基を有する一価の発色団ナノ粒子を作製するための方法であって、
(a)1個またはそれより多い官能基にコンジュゲートしている半導体ポリマーを水性環境中で崩壊させて、複数の官能基を含む発色団ナノ粒子を形成させるステップと;
(b)前記ナノ粒子上の官能基と固相との間に共有結合を形成させることによって、前記ナノ粒子を前記固相に単一のポイントにおいて付着させるステップと;
(c)前記ナノ粒子を処理して、前記ナノ粒子の表面から結合していない前記官能基の全てを除去するステップと;
(d)前記固相と前記官能基との間の前記結合を切断して、前記固相から前記発色団ナノ粒子を放出させるステップとを含み、
前記結合を切断するステップが、前記ナノ粒子の表面上の官能基を維持する、方法。
(項目72)
前記結合を切断するステップが、前記官能基を修飾して、前記ナノ粒子の表面上に異なる官能基を生じさせる、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記一価の発色団ナノ粒子が、複数の半導体ポリマーを含む、項目71または72に記載の方法。
(項目74)
前記一価の発色団ナノ粒子が、半導体ポリマーのブレンドを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記一価の発色団ナノ粒子が、半導体ポリマーおよび非半導体ポリマーのブレンドを含む、項目73または74に記載の方法。
(項目76)
前記ナノ粒子の表面上の官能基に分子をコンジュゲートさせるステップをさらに含む、項目64から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記分子が、タンパク質または核酸である、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記分子が、抗体である、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記分子が、ストレプトアビジンである、項目78に記載の方法。
(項目80)
単一分子ポリマードットを調製する方法であって、
半導体ポリマーの集団を溶液中に崩壊させて、単一分子ポリマードットを形成させる工程を含み、前記半導体ポリマーの集団が、約1000ppm未満の濃度で前記溶液中に存在する、方法。
(項目81)
前記集団中の前記半導体ポリマーのそれぞれが、少なくとも1個の官能基を含む、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記少なくとも1個の官能基が、前記半導体ポリマーの末端に位置している、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記集団中の前記半導体ポリマーのそれぞれが、2個または3個の官能基を含む、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記ポリマードットが、沈殿によって形成される、項目80に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によって、図1(A)は、一価の発色団ドットの概略図を示し、(B)は、一価の発色団ポリマードットの生体分子コンジュゲートの概略図を示す。
図2】本発明のいくつかの実施形態によって、図2(A)は、一価の単一分子発色団ドットの概略図を示し、(B)は、二価の単一分子発色団ドットの概略図を示し、(C)は、三価の単一分子発色団ドットの概略図を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による2種の典型的な発色団ポリマー(カルボキシル官能基を有するポリフルオレン(PDHF-COOH)、および官能基を有さないポリフルオレン-ベンゾチアジアゾール(PFBT))の化学構造を示す。
図4図4は、加工した粒子表面による一価の発色団ポリマードットを調製するための概略図を示す。スキームAは、単一分子ポリマードットを調製する方法を示す。スキームBは、本発明のいくつかの実施形態による一価のポリマードットへの官能基化された発色団ポリマードットを修飾するための方法を示す。
図5】本発明の一実施形態によって、図5(A)は、一価のPDHFドットへの、ブレンドした多価のPFBT/PDHF-COOHポリマードットの変換による吸収スペクトルの変化を示し、(B)は、一価のPDHFドットへの、ブレンドした多価のPFBT/PDHF-COOHポリマードットの変換による蛍光スペクトルの変化を示す。
図6】本発明の一実施形態によって、図6(A)は、一価のドットへの、多価のPDHF-COOHポリマードットの修飾による発光スペクトルシフトを示し、(B)は、多価のPDHF-COOHドットと比較した一価のPDHF-COOHドットの蛍光量子収量の増加を示す。
図7図7は、官能基化された発色団ポリマードットの例を示し、官能基化の程度は、親水性官能基の存在が本発明の実施形態によって形成されたポリマードットの形成および安定性および性能に不利に影響を与えないように制御される。
図8図8は、本発明の実施形態による、発色団ポリマーの低密度の側鎖官能基化、および特異的細胞ターゲティングのためのポリマードットのバイオコンジュゲーションの略図を示す。
図9】本発明の実施形態によって、図9A~Iは、異なる密度の側鎖官能基を有する発色団ポリマードットのTEM像および動的光散乱(DLS)データを示す。(A)PFBT-C2ドットのTEM;(B)PFBT-C14ドットのTEM;(C)PFBT-C50ドットのTEM;(D)PFBT-C2ドットのDLS;(E)PFBT-C14ドットのDLS;(F)PFBT-C50ドットのDLS;(G)TPPをドープしたPFBT-C2ドットのDLS;(H)TPPをドープしたPFBT-C14ドットのDLS;(I)TPPをドープしたPFBT-C50ドットのDLS。
図10】本発明のいくつかの実施形態によって、図10Aは、異なる密度の側鎖官能基を有するPFBTドットの吸収および蛍光スペクトルを示し、10Bは、異なる密度のカルボン酸基を有するPFBTポリマーから調製したPドットの粒径、ゼータ電位および光物理的特性を示す。
図11図11A~Fは、同一の励起および収集条件下で得た、(A)PFBT-C2、(B)PFBT-C14、および(C)PFBT-C50のPドットの典型的な単一粒子の蛍光像を示す。下のパネルは、本発明のいくつかの実施形態による、単一粒子の蛍光輝度についての強度分布ヒストグラムを示す(それぞれ、(D)PFBT-C2、(E)PFBT-C14、および(F)PFBT-C50のPドット)。
図12図12A~Fは、異なる官能基化密度を有する色素をドープしたPFBTドットにおける分光分析データを示す。左のパネルは、遠心濾過の前(A)および後(B)のPFBT-C2(実線曲線)、PFBT-C14(破線曲線)、およびPFBT-C50(点線の曲線)のナノ粒子水溶液、ならびにPFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50水溶液の濾液(C)の吸収スペクトルを示す。右のパネルは、遠心濾過の前(D)および後(E)のPFBT-C2(実線曲線)、PFBT-C14(破線曲線)、およびPFBT-C50(点線の曲線)のナノ粒子水溶液、ならびにPFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50水溶液の濾液(F)の蛍光スペクトルを示す。挿入図は、PFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50水溶液の濾液についての、450nmの励起波長下で得た蛍光スペクトルを示す。
図13図13A~Dは、ブランク試料(A)、PFBT-C2のPドット(B)、PFBT-C14のPドット(D)、およびPFBT-C50のPドット(D)を使用した、非特異的結合によって標識したがん細胞のフローサイトメトリー強度分布を示す。
図14図14A~Cは、本発明の一実施形態によるPドット-ストレプトアビジンプローブ標識SK-BR-3乳がん細胞の蛍光像を示す。図14(A)は、PFBT-C2-SAプローブを使用した陽性標識を示し、(B)は、(A)と同じ条件下ではあるが、バイオコンジュゲーションステップにおいてEDC触媒の非存在下で行った陰性標識を示す。図14(C)は、赤色を発するPFTBT/PFBT-C2-SAプローブを使用した陽性標識を示す。左の欄から右の欄への像は下記の通りである。核染色Hoechst34580からの青色蛍光;Pドット-SAプローブからの緑色または赤色蛍光像;ノマルスキー(DIC)像、ならびに合わせたDICおよび蛍光像。スケールバー:20μm。
図15図15AおよびBは、本発明の一実施形態による、PFBT-C14Aプローブでタグを付けたMCF-7ヒト乳がん細胞における新規に合成したタンパク質の蛍光像を示す。図15(A)は、PFBT-C14Aプローブを使用した陽性標識を示し、図15(B)は、同じ条件下ではあるが、Cu(I)触媒の非存在下で行った陰性標識を示す。左から右への像は、下記の通りである。核染色Hoechst34580からの青色蛍光;PFBT-C14Aプローブからの緑色蛍光像;ノマルスキー(DIC)、ならびに合わせたDICおよび蛍光像。スケールバー:20μm。
図16図16は、本発明の一実施形態によるPFBT-C2ポリマーのIRスペクトルを示す。
図17図17は、本発明の一実施形態による2.3%のビス(3-(tert-ブチルプロパノエート))フルオレンモノマーで官能基化されたPFBTポリマーのHNMRを示す。
図18図18は、本発明の一実施形態による14%のビス(3-(tert-ブチルプロパノエート))フルオレンモノマーで官能基化されたPFBTポリマーのHNMRを示す。
図19図19は、本発明の一実施形態による50%のビス(3-(tert-ブチルプロパノエート))フルオレンモノマーで官能基化されたPFBTポリマーのHNMRを示す。
図20図20A~Eは、本発明の一実施形態による、加工した粒子表面によって一価の発色団ポリマードットを調製するための概略図を示す。このスキームにおいて、ポリマードットは、クリックケミストリーによってシリカ表面に付着しており、次いでポリマードットは、パシベーションまたは溶媒洗浄後にシリカビーズから切断される。図20Fは、ステップEから得たナノ粒子のTEM像を示す。
図21図21は、本発明の一実施形態による、疎水性官能基で官能基化された発色団ポリマードットの化学構造、蛍光スペクトル、粒径分布(DLS)およびゼータ電位測定を示す。PPV誘導体を、バイオコンジュゲーションに適したアルキン基で官能基化した。疎水性官能基は、終端単位中に存在することができ、また側鎖中に存在することができる。いくつかの実施形態において、アルキン基はポリマードットの安定性および性能に不利に影響を与えないため、アルキン基の官能基化密度は、例えば、0~100%で変化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、官能基化された発色団ポリマードット、または制御された数の官能基を有する発色団ポリマードットと称される新規なクラスの蛍光プローブ、ならびにこれらに限定されないが、フローサイトメトリー、蛍光活性化ソーティング、免疫蛍光法、免疫組織化学、蛍光多重化、単一分子イメージング、単一粒子トラッキング、タンパク質フォールディング、タンパク質回転力学、DNAおよび遺伝子分析、タンパク質分析、代謝物分析、脂質分析、FRETをベースとするセンサー、ハイスループットスクリーニング、細胞イメージング、インビボでのイメージング、生体直交型標識、クリック反応、蛍光をベースとする生物学的アッセイ、例えば、免疫アッセイおよび酵素ベースのアッセイ、ならびに生物学的アッセイおよび測定における種々の蛍光技術を含めた種々の用途のためのこれらの生体分子コンジュゲートに関する。
【0023】
任意の特定な理論または概念に限定されないが、本発明は、発色団ポリマーからのナノ粒子の形成が、分子内および/または分子間のポリマー相互作用によって大部分が推進されるという概念に少なくとも部分的に基づいている。例えば、ポリマードットは、単一のポリマー分子またはいくつかのポリマー分子に密集したポリマードット形成をもたらす、分子内および/または分子間の疎水的相互作用によって形成させることができる。場合によって、ポリマー上の親水基、例えば、側鎖上のものは、ナノ粒子の安定性および光物理的性能および細胞ターゲティングを妨げることができる。例えば、ポリマーに沿った官能基の密度および/または位置付けは、ポリマードットの形成および安定性および性能に不利に影響を与えることができる。本明細書においてさらに記載するように、本発明は、最適なナノ粒子の充填および内部構造、高い蛍光輝度、ならびに生物学的用途におけるポリマードットの低い非特異的結合を提供するために、官能基化されているポリマードットの実施形態を提供する。さらに、本発明は、またナノ粒子の安定性および性能を維持する一方で、ポリマードットへのバイオコンジュゲーションを可能にするための組成物および方法を提供する。これらの態様は、例えば、官能基の親水性/疎水性によって決まることができる、発色団ポリマー中の官能基の位置および/または密度に関する。
【0024】
本発明のさらなる利点および特色は、下記の記載において部分的に示し、記載から部分的に明らかとなり、または本発明の実施によって知ることができる。
【0025】
定義
本明細書において使用する場合、「発色団ナノ粒子」または「発色団ポリマードット」という用語は、安定的なサブミクロンサイズの粒子に崩壊した1種またはそれより多いポリマー(例えば、発色団ポリマー)を含む構造を意味する。「ポリマードット」および「Pドット」は、互換的に使用され、「発色団ナノ粒子」または「発色団ポリマードット」を表すことができる。本明細書において提供する発色団ポリマードットは、これらだけに限定されないが、沈殿に依存する方法、エマルジョン(例えば、ミニまたはマイクロエマルジョン)の形成に依存する方法、および縮合に依存する方法を含めて、ポリマーを崩壊させるための当技術分野において公知の任意の方法によって形成し得る。好ましい実施形態において、発色団ナノ粒子は、ナノ沈殿(nanoprecipitation)によって形成される。
【0026】
本明細書において使用する場合、「ポリマー」は、典型的には共有化学結合によって結合している少なくとも2つの繰り返し構造単位から構成される分子である。繰り返し構造単位は、1タイプのモノマーでよく、このように得られたポリマーは、ホモポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは、2つの異なるタイプのモノマー、または3つの異なるタイプのモノマー、またはそれを超える種類のタイプのモノマーを含むことができる。異なるタイプのモノマーは、種々の方法でポリマー鎖に沿って分布することができることを当業者は認識する。例えば、3つの異なるタイプのモノマーは、ポリマーに沿ってランダムに分布することができる。ポリマーに沿ったモノマーの分布は、様々な方法で表すことができることが同様に認識される。図3、7および8は、ポリマーを記載するいくつかの例の方法を示す。ポリマーの長さに沿った繰り返し構造単位(例えば、モノマー)の数は、「n」で表すことができる。いくつかの実施形態において、nは、例えば、少なくとも2から、少なくとも100から、少なくとも500から、少なくとも1000から、少なくとも5000から、または少なくとも10,000から、または少なくとも100,000から、またはそれを超える範囲でよい。特定の実施形態において、nは、2~10000、20~10000、20~500、50~300、100~1000、または500~5000の範囲でよい。
【0027】
ポリマーは一般に、ペンダント側基を任意選択で含有する骨格を含む拡張された分子構造を有する。本明細書において提供されるポリマーには、これらに限定されないが、直鎖状ポリマーおよび分岐ポリマー、例えば、星形ポリマー、櫛ポリマー、ブラシポリマー、ラダー、およびデンドリマーが含まれてもよい。本明細書においてさらに記載するように、ポリマーは、当技術分野で一般に周知の半導体ポリマーを含むことができる。特定の実施形態において、本発明のポリマー(例えば、半導体ポリマー)は、ポリマー骨格に沿って存在する三重結合を有さないポリマーを含み、すなわち、本発明のいくつかのポリマーは、単結合、二重結合、またはこれらの組合せからなる骨格を有するポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格に沿ったモノマーは、単結合または二重結合(例えば、炭素結合)のみによって結合している。ポリマーの構造の特徴(例えば、剛性)は、ポリマーが密集したナノ粒子へとフォールディングするかに影響を与えることができる。例えば、三重結合の繰り返し単位を含むポリマーは、骨格に沿って単結合および/または二重結合を含むものより剛性であり得る。場合によっては、これはナノ粒子において複雑な充填および相挙動をもたらすことができ、広がった発光スペクトルが生じる。(Wu, C.;Bull B.;Szymanski, C.;Christensen,
K.;McNeill, J.、ACS Nano、2008年、2巻、2415~2423頁)。
【0028】
本明細書において使用する場合、「発色団ポリマー」という用語は、ポリマーの少なくとも一部が発色団単位を含むポリマーである。「発色団」という用語は、当技術分野でその通常の意味を与えられる。発色団は、UVから近赤外領域の特定の波長の光を吸収し、放射性でよく、または放射性でなくてもよい。
【0029】
本発明における「発色団単位」には、これらに限定されないが、非局在化π電子を有する構造の単位、小さな有機色素分子の単位、および/または金属錯体の単位が含まれる。発色団ポリマーの例は、非局在化π電子を有する構造の単位を含むポリマー、例えば、半導体ポリマー、小さな有機色素分子の単位を含むポリマー、金属錯体の単位を含むポリマー、および任意のこれらの組合せの単位を含むポリマーを含むことができる。
【0030】
本明細書において使用する場合、「官能基」という用語は、任意の安定的な物理的または化学的会合によるなど、発色団ポリマーに付着させることができ、それによって発色団ポリマードットの表面をコンジュゲーションに利用できるようにする任意の化学単位を意味する。官能基はまた、本明細書において反応性官能基と称される。
【0031】
本明細書において使用する場合、「親水性部分」という用語は、ポリマーの親水性を増加させる化学単位を意味する。いくつかの実施形態において、親水性部分は、親水性官能基を含むことができる。特定の実施形態において、親水性部分は、親水性官能基とは異なる非反応性の親水性部分を含むことができる。例えば、非反応性の親水性部分は、非イオン性、非反応性の親水性部分、例えば、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))を含むことができる。非反応性の親水性部分はまた、イオン性、非反応性の親水性部分、例えば、陽イオン種、陰イオン種、および双性イオン種、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0032】
本明細書において使用する場合、「親水性官能基」という用語は、性質が親水性である官能基、または親水性側鎖もしくは親水性部分(疎水性官能基の性質をより親水性とし、かつ発色団ポリマードットの疎水性コア内に埋れるよりむしろ発色団ポリマードット粒子表面上の疎水性官能基の配置を促進する)に付着している疎水性官能基を意味する。親水性側鎖または部分への付着によってより親水性にすることができる疎水性官能基の例には、これらだけに限らないが、親水性側鎖、例えば、PEG(ポリエチレングリコール)または任意の他の親水性側鎖に付着している、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基(クリックケミストリーのため)が含まれる。本明細書に記載のように、親水性側鎖または親水性部分に付着している疎水性官能基は、粒子形成前にポリマーに付着し、すなわち、事前官能基化される。いくつかの実施形態において、親水性側鎖または親水性部分に付着している疎水性官能基は、バイオコンジュゲーションに適していてもよい。
【0033】
特定の実施形態において、官能基は、性質が親水性であり、かつポリマーに付着している(例えば、側鎖上)、親水性官能基を含むことができる。いくつかの実施形態において、親水性官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体を含むことができる。特定の実施形態において、親水性官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、およびその置換された誘導体を含むことができる。特定の実施形態において、親水性官能基は、バイオコンジュゲーションに適していてもよい。いくつかの実施形態において、親水性官能基は、バイオコンジュゲーションに適しており、また水溶液中で安定的でよい(例えば、基は、加水分解しない)。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。バイオコンジュゲーションに適したいくつかの親水性官能基には、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、およびその置換された誘導体が含まれる。いくつかの実施形態において、コンジュゲーションに適した親水性官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ基、メルカプト、スクシンイミジルエステル、およびヒドロキシルを含むことができる。親水性官能基のペアの非限定的な一覧を、表1において提供する。
【0034】
【表1】
いくつかの実施形態において、官能基は、疎水性ポリマーに付着している疎水性官能基を含むことができる(例えば、疎水性側鎖上)。いくつかの実施形態において、疎水性官能基には一般に、これらに限定されないが、コンジュゲーションに適したアルキン、アルケン、および置換アルキル誘導体が含まれてもよい。本発明は、密集したナノ粒子の形成のための疎水性官能基を含むポリマーを提供する(例えば、事前官能基化)。形成後、疎水性官能基のいくつかは化学修飾され、バイオコンジュゲーションのために使用される親水性官能基を形成することができる(例えば、事後官能基化)。特定の実施形態において、疎水性ポリマーに付着している疎水性官能基は、バイオコンジュゲーションに適していてもよい。例えば、疎水性官能基には、これらに限定されないが、クリックケミストリーのために使用されるもの、例えば、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基が含まれてもよい。これらの疎水性官能基は、例えば、ポリマードットと生物学的に関連した分子(例えば、抗体)とを共有結合によってカップリングするバイオコンジュゲーション反応のために使用することができる。
【0035】
官能基は、種々の方法で発色団ポリマードットに付着させることができる。例えば、ポリマーは、粒子形成前に、化学修飾されて官能基を含むことができ、これは本明細書において「事前官能基化」と記載される。事前官能基化は、モノマーがポリマーの形成の前に官能基を含み、および既に形成されているポリマーを反応させてモノマーの骨格に沿って官能基を含む、実施形態を含む。代わりに、発色団ポリマードットは、粒子形成の後に修飾して、例えば、ポリマードットの表面上に官能基を付着させることができ、これは本明細書において「事後官能基化」と記載される。事前および事後官能基化は、種々の順序で行い、官能基化されたポリマーを形成させることができることを当業者であれば認識するであろう。例えば、ポリマーは、官能基、例えば、疎水性官能基で事前官能基化することができる。疎水性の事前官能基化されたポリマーは、ナノ粒子に縮合され、次いで官能基、例えば、バイオコンジュゲーションに適した親水性官能基で事後官能基化することができる。代わりに、事前官能基化および事後官能基化ステップの両方は、親水基または疎水基による官能基化を含むことができる。
【0036】
本明細書に記載のように、官能基のいくつかは、「バイオコンジュゲーションに適して」いてもよく、これは、生体分子、例えば、抗体、タンパク質、核酸、ストレプトアビジン、または生物学的に関連した他の分子に共有結合している官能基と称される。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。いくつかの実施形態において、バイオコンジュゲーションに適した官能基は、種々の条件下、例えば、極性または無極性溶媒中で生体分子にコンジュゲートすることができる官能基を含むことができる。特定の実施形態において、バイオコンジュゲーションに適した官能基は、水溶液中で生体分子にコンジュゲートすることができる官能基を含むことができる。いくつかの実施形態において、バイオコンジュゲーションに適した官能基は、生体分子がその生物活性(例えば、抗体についてのモノクローナル結合特異性)を保持する水溶液中で、生体分子にコンジュゲートすることができる官能基を含むことができる。特定の実施形態において、バイオコンジュゲーションに適した官能基は、生体分子に共有結合している官能基を含むことができる。例えば、生体分子への官能基の典型的な共有結合による付着は、例えば、生体分子上のアミンと反応してアミド結合を形成するカルボキシル官能基、生体分子上のスルフヒドリル基と反応してシステイン結合を形成するスルフヒドリル官能基、または生体分子上のカルボキシル基と反応してアミド結合を形成するアミノ官能基を含むことができる。いくつかの実施形態において、バイオコンジュゲーションの特異的反応は、表1における官能基のペアを含むことができる。
【0037】
本明細書において使用する場合、「合理的に官能基化された」という用語は、事前に規定した数の反応性官能基の付着による発色団ポリマーまたはナノ粒子の修飾を意味する。例えば、ポリマーは、粒子形成前に化学修飾されて、官能基を含むことができる(事前官能基化)。代わりに、発色団ポリマードットは、形成後に修飾されて、例えば、ポリマードットの表面上に官能基を付着させることができる(事後官能基化)。一実施形態において、複数の合理的に官能基化されたナノ粒子はそれぞれ、その表面に付着した単一の官能基を有する。他の実施形態において、複数の官能基化されたナノ粒子はそれぞれ、その表面に付着した正確に2個の官能基を有する。また他の実施形態において、複数の官能基化されたナノ粒子はそれぞれ、その表面に付着した正確に3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれを超える官能基を有する。発色団ポリマーおよび/またはナノ粒子の合理的な官能基化は、様々な様式で達成し得る。例えば、一実施形態において、事前に規定した数の反応性官能基を、発色団ポリマーに付着させ、次いでこれをナノ粒子に崩壊させる。第2の実施形態において、粒子の表面上の反応性官能基の数が事前に確定されていない事前形成された発色団ナノ粒子をいくつかの方法によって処理して、規定された数の官能基を有する発色団粒子を形成し得る。このような方法の例、例えば、溶媒洗浄または表面パシベーションを、本明細書において提供し、ナノ粒子を合理的に官能基化させる。
【0038】
非イオン性および非反応性の親水性部分を、ポリマーに加えて、特定の特徴を達成することができ、例えば、生物学的用途における非特異的吸着を減少させることができる。種々のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、非特異的吸収を減少させることが当技術分野で周知である。非イオン性の親水性部分は、粒子形成の前に、発色団ポリマーに連結させることができる(事前官能基化)。代わりに、非イオン性の親水性部分は、ナノ粒子の形成後に、発色団ポリマードットに、例えば、ポリマードットの表面上に連結させることができる(事後官能基化)。いくつかの実施形態において、非イオン性の親水性部分を、事前官能基化および事後官能基化の両方によって付着させることができる。事前官能基化について、発色団ポリマー中の親水性部分、例えば、PEG基の密度は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に影響を与えることができる。本明細書においてさらに記載するように、PEG基の密度は、PEG基がポリマードットの安定性および性能に不利に影響を与えないように、十分に低くあるべきである。事後官能基化について、発色団ポリマードットの表面上のPEG基の密度は高くてもよい。なぜならナノ粒子は既に形成されており、PEG基は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に不利に影響を与えないが、非特異的相互作用を低下させることができるからである。
【0039】
イオン性および非反応性の親水性部分を、発色団ポリマーに連結し、このように得られたポリマードットについての特定の特性、例えば、高度に帯電した種によって表面ゼータ電位を増加させること、および/または双性イオン種によって双性イオン性表面を生じさせることを達成することができる。いくつかの実施形態において、非イオン性の親水性部分は、事前官能基化、事後官能基化、または両方の組合せによって付着させることができる。事前官能基化のために、発色団ポリマー中のイオン性の親水性部分の密度は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に影響を与えることができる。したがって、イオン性部分の密度は、イオン性部分がポリマードットの安定性および性能に不利に影響を与えないように、十分に低くあるべきである。事後官能基化のために、発色団ポリマードットの表面上のイオン性部分の密度は高くてもよい。なぜならナノ粒子は既に形成されており、イオン性部分は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に不利に影響を与えないが、特定の特性、例えば、高い表面ゼータ電位および/または双性イオン性表面を提供できるためである。
【0040】
いくつかの実施形態において、反応性官能基は、リンカー部分を介してナノ粒子の表面に付着させることができる。種々のリンカー部分は一般に当技術分野で周知であり、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。特定の実施形態において、リンカー部分は、水溶性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットはまた、非反応性化学基を有するポリマーを含むことができる。特定の実施形態において、非反応性化学基はまた、例えば、水溶性ポリマーを含むことができる。本発明に適した水溶性ポリマーは、これらに限定されないが、ポリエチレングリコールを含むことができる。
【0041】
本明細書において使用する場合、例えば、ポリマーの1つまたはそれより多い側鎖または末端において、ポリマーに付着している官能基および部分の「密度」は、ポリマーのモノマー単位の百分率として表す、付着した官能基または部分を有するモノマーの数を意味する。例えば、特定のポリマーのモノマー単位の半分が、付着した官能基を有する場合、官能基の密度は50%である。いくつかの実施形態において、発色団ポリマードット中のポリマー(例えば、半導体ポリマー)は、様々な範囲の官能基または部分の密度を含むように設計することができる。特定の実施形態において、ポリマー(例えば、半導体ポリマー)上の疎水性官能基の密度は、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満でよい。事前官能基化の場合、発色団ポリマー中の親水性官能基および部分の密度は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に影響を与えることができる。したがって、発色団ポリマー上の親水性官能基および部分の密度は、親水性官能基および部分がポリマードットの安定性および性能に不利に影響を与えないように、十分に低くあるべきである。いくつかの実施形態において、ポリマー(例えば、半導体ポリマー)上の親水性官能基および部分の密度は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、または約5%未満でよい。事後官能基化が関与するいくつかの実施形態において、親水性官能基および部分は、発色団ドットの表面に連結させることができ、官能基化の密度は高くてもよい(例えば、約50%超)。なぜならナノ粒子は既に形成されており、親水性部分は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に不利に影響を与えないが、特定の特性、例えば、PEG基によって非特異的相互作用を低下させること、および/または高度に帯電した種によって高い表面ゼータ電位を生じさせること、および/または双性イオン性部分によって双性イオン性表面を作り出すことを提供できるためである。特定の実施形態において、ポリマーは、上記に一覧表示した百分率で疎水性官能基および親水性官能基の両方を含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているポリマーは、少なくとも50%の疎水性官能基を含む。側鎖官能基の位置を、ポリマーの長さに沿ってランダムに分布させることができることを当業者は認識する。例えば、ポリマーが100のモノマーの長さnを有する場合、官能基(例えば、カルボキシル基)で置換されている側鎖は、ポリマーの長さに沿ってランダムに位置することができる。いくつかの官能基は、直接隣接したモノマー上、またはポリマーのさらに遠く、例えば、一方向に2つもしくは3つのモノマー上に位置し得る。特定の実施形態において、官能基は、本明細書においてさらに記載するように、バイオコンジュゲーションに適した官能基である。密度は、種々の分光学的技術、例えば、核磁気共鳴(NMR)を使用して決定することができる。
【0042】
発色団ポリマードット
一実施形態において、本発明は、官能基化された発色団ポリマードットを提供し、親水性官能基は、十分に低密度でポリマーの側鎖中に導入され、官能基は、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、かつ/または形成された発色団ポリマードットの安定性および性能に不利に影響を与えず、かつ/または密集した内部構造を不利に緩めず、かつ/または蛍光輝度を不利に低下させず、かつ/または非特異的標識を不利に増加させない。本明細書において提供するように、官能基の親水性の程度は、ポリマードットのために所望の特徴を与える十分に低密度を構成するものに影響を与えることができる。いくつかの実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約50%未満である。いくつかの実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約40%未満である。いくつかの実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約30%未満である。いくつかの実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約25%未満である。別の実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約20%未満である。別の実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約15%未満である。別の実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約10%未満である。さらに別の実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約5%未満である。特定の実施形態において、側鎖上の官能基の密度は、約25%未満、または約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、またはそれ未満である。特定の例の実施形態において、ナノ粒子の形成の後(事後官能基化)、発色団ドットの表面上の官能基の密度は、表面改質によって増加させることができる。なぜならナノ粒子は既に形成されており、親水性部分は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に不利に影響を与えないからである。さらに、親水性部分は、特定の特性、例えば、PEG基によって非特異的相互作用を低下させること、および/または高度に帯電した種によって高い表面ゼータ電位を生じさせること、および/または双性イオン性部分によって双性イオン性表面を作り出すことを提供できる。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、官能基化された発色団ポリマードットを提供し、親水性官能基は、ポリマーの主鎖の末端基のみに導入され、官能基は、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、かつ/または形成された発色団ポリマードットの安定性に不利に影響を与えず、かつ/または密集した内部構造を不利に緩めず、かつ/または蛍光輝度を不利に低下させず、かつ/または非特異的標識を不利に増加させない。さらに別の実施形態において、親水性官能基は、ポリマーの主鎖の末端基、およびまたポリマーの側鎖の両方に(しかし、十分に低密度で)導入され、官能基は、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、または形成された発色団ポリマードットの安定性に不利に影響を与えず、または密集した内部構造を不利に緩めず、または蛍光輝度を不利に低下させず、または非特異的標識を不利に増加させない。官能基の親水性の程度は、ポリマードットのために所望の特徴を与える十分に低密度を構成するものに影響を与えることができる。特定の例の実施形態において、ナノ粒子の形成の後(事後官能基化)、発色団ドットの表面上の親水性部分の密度は、表面改質によって増加させることができる。なぜならナノ粒子は既に形成されており、親水性部分は、ポリマードットの形成、安定性、内部構造、および蛍光輝度に不利に影響を与えないが、特定の特性、例えば、PEG基によって非特異的相互作用を低下させること、および/または高度に帯電した種によって高い表面ゼータ電位を生じさせること、および/または双性イオン性部分によって双性イオン性表面を作り出すことを提供できるからである。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明は、疎水性官能基を含む官能基化された発色団ポリマードットを提供する。疎水性官能基には、これらだけに限らないが、クリックケミストリーのために使用されるもの、例えば、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基が含まれる。疎水性官能基の密度は、0%~100%で変化させることができる。特定の実施形態において、疎水性官能基の密度は、約100%、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、またはそれ未満でよい。いくつかの実施形態において、疎水性官能基による官能基化の密度は、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、かつ/または形成された発色団ポリマードットの安定性に不利に影響を与えず、かつ/または密集した内部構造を不利に緩めず、かつ/または蛍光輝度を不利に低下させず、かつ/または非特異的標識を不利に増加させない。特定の実施形態において、疎水性官能基は、本明細書においてさらに記載する生物学的に関連した分子(例えば、抗体)に直接連結させることができ、または生物学的に関連した分子に連結させることができる親水性官能基に変換することができ、または発色団ポリマードットの形成後に特定の特性のために他の親水性部分に変換することができる。
【0045】
別の実施形態において、官能基化された発色団ポリマードットは、親水性官能基を有する別の1種またはそれより多い発色団ポリマーと物理的に混合されまたは化学的に架橋された、疎水性発色団ポリマーを含むことができる。疎水性発色団ポリマーは、親水性官能基を含まないが、疎水性官能基(例えば、クリックケミストリーのために使用されるもの、これらに限定されないが、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基を含めた)を有し得る。特定の実施形態において、発色団ポリマードットの表面は、ポリマーの主鎖の末端基、またはポリマーの側鎖中に導入される親水性官能基を含む1種またはそれより多い発色団ポリマーで官能基化することができる。これらの実施形態において、官能基化された発色団ポリマーにおける官能基化の密度は、0%~100%で変化させることができるが、官能基化された発色団ポリマーと疎水性ポリマーのブレンド比は、官能基化がナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、かつ/または形成された発色団ポリマードットの安定性に不利に影響を与えず、かつ/または密集した内部構造を不利に緩めず、かつ/または蛍光輝度を不利に低下させず、かつ/または非特異的標識を不利に増加させないように、十分に低くあるべきである。
【0046】
いくつかの実施形態において、官能基化された発色団ポリマードットは、粒子形成前に互いに化学的に架橋している1種もしくは複数の官能基化された発色団ポリマーを含み、またバイオコンジュゲーションのための表面官能基を含む。この実施形態において、官能基は、ポリマーの主鎖の末端基、またはポリマーの側鎖中に導入することができる。官能基化された発色団ポリマーにおける官能基化の密度は、0%~100%で変化して化学的に架橋した構造を有する発色団ポリマードットを形成することができ、化学的架橋は、高密度の官能基化においてでさえも、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊を補助し、密集した内部構造を形成させ、形成された発色団ポリマードットの良好な安定性および蛍光輝度を保つことができる。
【0047】
一実施形態において、本発明はまた、発色団ポリマードットおよび1個の官能基のみを含む一価の発色団ポリマードットを提供する。発色団ポリマードットは、少なくとも1種の発色団ポリマーを含有する。「一価」とはこの用語が本明細書において使用されるとき、発色団ポリマードットに付着している1個の官能基のみを意味する。官能基は、任意の安定的な物理的会合または化学結合によって発色団ポリマードットに付着させることができ、バイオコンジュゲーションのために発色団ポリマードットの表面上に1つの反応部位のみを提供する。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、発色団ポリマードットおよび2個の官能基のみを含む二価の発色団ポリマードットを提供する。発色団ポリマードットは、少なくとも1種の発色団ポリマーを含有する。「二価」とはこの用語が本明細書において使用されるとき、各発色団ポリマードットに付着している2個の官能基のみを意味する。官能基は、任意の安定的な物理的会合または化学結合によって発色団ポリマードットに付着させることができ、バイオコンジュゲーションのために発色団ポリマードットの表面上に2つの反応部位のみを提供する。2つの反応部位は、異なる反応性(例えば、2つの異なるタイプの官能基による)または同じ反応性を有することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、少なくとも1種の半導体ポリマーを含むことができる。特定の実施形態において、発色団ポリマードットは、非局在化π電子を有する発光半導体ポリマーを含むことができる。「半導体ポリマー」という用語は、当技術分野で認識される。典型的な発光半導体ポリマーには、これらに限定されないが、フルオレンポリマー、フェニレンビニレンポリマー、フェニレンポリマー、ベンゾチアゾールポリマー、チオフェンポリマー、カルバゾールフルオレンポリマー、ホウ素-ジピロメテンポリマーおよび関連するコポリマーが含まれる。特定の実施形態において、本発明の半導体ポリマーは、ポリマー骨格に沿って存在する三重結合を有さないポリマーを含む。いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、単一分子半導体ポリマーを含むことができる。特定の実施形態において、発色団ポリマードットは、半導体ポリマーのいくつかの分子を含むことができる。いくつかの分子は、例えば、同じタイプの半導体ポリマー、または異なるポリマーのブレンド(例えば、半導体ポリマーおよび/または非半導体ポリマー)でよい。いくつかの半導体ポリマーおよびそれらの略語の一覧を、表2に提供する。
【0050】
【表2】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、小さな有機色素分子、金属錯体、フォトクロミック(photochotochromic)色素、および任意のこれらの組合せの単位を担持するポリマー、例えば、小さな有機色素、金属錯体、フォトクロミック色素、および任意のこれらの組合せと共有結合によって連結されまたはグラフトされている光学不活性ポリマー、例えば、ポリスチレンを含む。これらの色素または金属錯体は、感知機能、例えば、酸素感知能力、イオン感知能力、グルコース感知能力、神経伝達物質感知能力、薬物感知能力、代謝物感知能力、タンパク質感知能力、シグナル伝達分子感知能力、毒素感知能力、DNAおよびRNA感知能力などを有し得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、放射性単位として小さな有機色素分子、金属錯体、フォトクロミック色素、および任意のこれらの組合せと共有結合によって連結している半導体ポリマーを含む。このような放射性単位は、発光色をチューニングし、量子収量を増加させ、発色団ポリマードットの光安定性を改善させることができる。好ましい実施形態において、小さな有機色素、または金属錯体は、感知機能を有し、したがって発色団ポリマードットにさらなる機能性、例えば、酸素感知能力、イオン感知能力、グルコース感知能力、神経伝達物質感知能力、薬物感知能力、代謝物感知能力、タンパク質感知能力、シグナル伝達分子感知能力、毒素感知能力、DNAおよびRNA感知能力などを加えることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットはまた、他の発色団ポリマー、例えば、小さな有機色素、金属錯体、フォトクロミック色素、および任意のこれらの組合せと共有結合によって連結もしくはグラフトされている光学不活性ポリマーと物理的に混合されまたは化学的に架橋している、半導体ポリマーを含み、さらなる機能性、例えば、酸素感知能力、イオン感知能力、グルコース感知能力、神経伝達物質感知能力、薬物感知能力、代謝物感知能力、タンパク質感知能力、シグナル伝達分子感知能力、毒素感知能力、DNAおよびRNA感知能力などを有し得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットはまた、例えば、蛍光色素、無機発光材料、磁性材料、金属材料を含めた他の成分と物理的に混合し、または化学的に架橋した半導体ポリマーを含み、発光色をチューニングし、量子収量および光安定性を改善し、さらなる機能性、例えば、磁気機能、プラズモン共鳴機能などを有し得る。
【0054】
安定的なポリマードットを形成する官能基化された発色団ポリマー
本発明の一実施形態は、安定的なナノ粒子を形成する官能基化された発色団ポリマーを提供する。本明細書において使用する場合、「安定的な」という用語は、適当な水溶液中に長時間保存されたときに、凝集せず、かつ/またはサイズが実質的に変化しない発色団ポリマードット(電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、または動的光散乱によって測定して)を意味することができる。ポリマードットの凝集またはサイズの実質的な変化は、例えば、複数のポリマードットを含めた凝集物の数の増加として特性決定することができる。凝集物は、イメージング技術、例えば、電子顕微鏡法もしくは原子間力顕微鏡法で、および/または動的光散乱によって示される増加したサイズ測定によって、目で視覚的に検出することができる。いくつかの実施形態において、凝集は、発色団ポリマードットの最初の測定と比較した、測定した粒子直径の少なくとも約10%の増加、少なくとも約25%の増加、少なくとも約50%の増加、少なくとも約100%の増加、少なくとも約500%の増加、または少なくとも約1000%の増加によって特性決定することができる。例えば、発色団ポリマードットは、1日目に15nmの中位径を測定し、次いで、4カ月後に30nmの中位径を測定し得、それによって測定した粒子直径の100%の増加を示す(すなわち、凝集を示す)。特定の実施形態において、発色団ポリマードットは、適当な水溶液中で少なくとも約1カ月、好ましくは少なくとも約2カ月、より好ましくは少なくとも約4カ月保存されたときに安定的でよい。特定の実施形態において、安定的な発色団ナノ粒子は、少なくとも約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、30カ月、36カ月、42カ月、48カ月、またはそれを超える月の間、凝集せず、またはサイズが実質的に変化しない。一実施形態において、本明細書において提供されるような官能基化された発色団ナノ粒子は、適当な水溶液中で少なくとも約4カ月間安定的なままである。別の実施形態において、本明細書において提供されるような官能基化された発色団ナノ粒子は、適当な水溶液中で少なくとも約6カ月間安定的なままである。また別の実施形態において、本明細書において提供されるような官能基化された発色団ナノ粒子は、適当な水溶液中で少なくとも約1年間安定的なままである。
【0055】
いくつかの実施形態において、「安定的」という用語は、ポリマードット中のポリマー分子またはドーパントの解離に対して耐性の、発色団ポリマードットを意味することができる。例えば、発色団ポリマードットは、いくつかのポリマー分子を含むことができ、これらのポリマー分子は、溶液中への浸出の前に一定期間ポリマードット中に留まることができる。ポリマードットからのポリマー分子の浸出は、例えば、ポリマードットの光物理的特性の減少によって特性決定することができる。いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットの安定性の低下は、ポリマードット発光に相当する波長での発光強度の経時的な低下によって特性決定することができる。特定の実施形態において、ポリマードットの劣化は、ポリマー発光に相当する特定の波長での発光強度の経時的な増加によって検出することができる。ポリマー発光を測定することに加えて、ポリマードットはまた、ナノ粒子の形成の間溶液中にある蛍光色素を組み込むように設計することができる。ポリマードットが劣化すると、色素は浸出することができ、これは経時的に検出することができる。
【0056】
本明細書においてさらに提供するように、本発明のポリマードットは、高い安定性を示すことに加えて、他の予想外の特性を提供する。例えば、ポリマーに沿って官能基化の量をチューニングする能力は、種々の光物理的特性(例えば、吸光度、発光輝度および/または発光の色)をチューニングすることを可能にする。特定の実施形態において、ポリマードットは、予想外の輝度を実現する。とりわけ場合によっては、蛍光のクエンチは、粒子形成によって増加しない。さらに、ポリマードットの表面上の低い個別の数の官能基は、生物学的に関連した分子および/または細胞へのPドットの非特異的吸収を低下させることができる。高い輝度および特異的結合能力を有するポリマードットは、化学系および生体系を研究するためのイメージングおよび検出技術のさらなる領域への重要な態様を提供することを認識されたい。
【0057】
いくつかの実施形態において、機能性半導体ポリマーから作製されたこのように得られた発色団ポリマードットは、バイオコンジュゲーションに適した官能基を有することができる。特定の実施形態において、親水性官能基の密度は、注意深く制御すべきである。なぜならバイオコンジュゲーションに適した官能基の多くは水溶性であり、これは最終的にむしろ水溶性半導体ポリマーに近いポリマーをもたらし(すなわち、むしろ半導体高分子電解質に近くなる)、安定的なナノ粒子への半導体ポリマーの崩壊または縮合を防止し得るからである。例えば、Moonら(Moonら、Angewandte Chemie.、2007年、46巻、8223~8225頁)は、高密度の水溶性官能性側鎖を有する半導体ポリマーは、ハード酸条件を使用することによって小さな粒子に形成されることができることを報告した。しかし、過酷な条件を使用することによって作製したこれらの粒子は、これらの実験データにおいて明らかに示されたように、凝集する傾向があり、安定的でない(Moonら、Angewandte Chemie.、2007年、46巻、8223~8225頁)。著しく官能基化された発色団ポリマーは、官能基または側鎖の親水性の性質のためにむしろ共役高分子電解質に近いポリマーとして特性決定することができ、これらのナノ粒子は、実際にむしろ高分子電解質分子に近いポリマーの緩い凝集物である(Moonら、Chem. Communications、2011年、47巻、8370~8372頁)。緩い凝集物は、過剰なポリマー鎖のフォールディングを伴わずに形成され、これらの緩い構造は、本明細書に記載のような疎水性ポリマーから崩壊した密集した発色団ポリマードットと異なる。相応して、Moonらのナノ粒子はコロイド的に不安定であり、これらの凝集挙動はポリマー濃度、イオン強度、および温度によって影響される(Moonら、Chem. Communications、2011年、47巻、8370~8372頁)。多量の水溶性官能基は、架橋および凝集物を容易にもたらすことができるため、Moonらの粒子が生体分子にコンジュゲートすることができるかはまた不明確であった。今までのところ、半導体ポリマー中に制御された密度の親水性官能基を有する注意深く設計された半導体ポリマーが、生体分子にカップリングするための所望の親水性官能基を有する安定的な発色団ポリマーナノ粒子を形成するという報告はない。対照的に、本発明は、親水性官能基は、密集した内部構造を不利に緩め、粒子当たりの蛍光輝度を低下させ、生物学的標識における非特異的吸着を増加させ得るため、親水性官能基の密度は注意深く制御されるべきであるという発見を記載する。
【0058】
親水性官能基の密度を制御する1つの方法として、直鎖状または分岐状の半導体ポリマー分子は、終端官能基のみを使用することによって合成することができる。このように得られたポリマーは、制御された官能基を有する。例えば、官能基を含む化学単位は、ポリマー合成における重合開始剤および成長触媒としての役割を果たすことができ、このように、各ポリマー分子は、1個の官能基のみによって最終的に終端させることができる(図2A)。この方法はまた、制御された分子量および狭い分子量分布を有するポリマーを合成するのに有利である。さらに、一般合成アプローチによって、各直鎖状ポリマー分子は、2個の終端官能基を有し(図2B)、各3本のアームの分岐ポリマーは、3個の終端官能基などを有する(図2C)。この場合、親水性官能基の密度は、良好な性能を提供する安定的なナノ粒子へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えないように十分に低い。この方法において、ナノ粒子当たり1個のポリマー分子のみが存在することが好ましい。しかし、必要に応じて、ナノ粒子中に複数のポリマー分子を有することは可能である。
【0059】
いくつかの実施形態において、十分に低密度の親水性官能基は、親水性側鎖官能基を有するモノマーの一部が、ポリマー合成の間にポリマー骨格中に組み込まれているときに維持することができ、その結果このように得られたポリマーは、良好に制御されて十分に低密度の側鎖官能基を有する(図7)。いくつかの方法を使用して、低い程度の官能基化を制御および確実にすることができる。一方法は、末端基のみ(末端基のいくつかまたは末端基の全て)を官能基化することを含む。別の方法は、側鎖上の少数の官能基を使用することを含む。例えば、図7において最後のスキームにおいて示すように、xは、存在する官能基の数が、形成されたポリマードットの形成および安定性に不利に影響を与えないまでに調節される。いくつかの実施形態において、xは、特定の発色団ポリマー、ならびにその骨格および側鎖の性質によって変化し得る。安定的な発色団ポリマードットを形成するための官能基化の程度を制御する他の方法は、官能基を含有するモノマーと官能基を含有しないモノマーの比を調節することに基づいていてもよい。さらなる方法は、図において描写され、または本明細書の説明において記載されているスキームの任意の組合せに基づいていてもよい。
【0060】
本明細書において提供するように、本発明の実施形態は、一部の親水性側鎖官能基のみを有する半導体ポリマーを含むことができる。本発明のポリマーは、殆ど全てのモノマー繰り返し単位が親水性側鎖官能基または親水性部分を有する、水溶性半導体ポリマー(半導体高分子電解質)から区別される。本発明の発色団ポリマードットは、一部の親水性側鎖官能基のみを有する半導体ポリマーを含むことができる。これは一方では疎水性コアを有する小さなナノ粒子へと容易に調製することができ、他方ではバイオコンジュゲーションのための親水性官能基を提供できる。対照的に、Moonらによって開示されている粒子は、各繰り返し単位(例えば、モノマー)が親水性側鎖官能基または部分を有するときなど設計の制御を提供せず、ナノ粒子調製およびバイオコンジュゲーションにおいて使用するのが厄介で骨が折れる。より重要なことに、親水性部分を有するこれらの著しく官能基化された半導体ポリマーを使用して形成されたナノ粒子は、良好な安定性を有さないことが多い。さらに、親水性部分(例えば、各モノマーは、親水性側鎖官能基を有する)で著しく官能基化された発色団ポリマーはまた、沈殿を使用して密集したナノ粒子形態に崩壊させることができないことが多い。実施例8は、例えば、この差異を例示する。Moonらの緩い粒子構造と比較して、緩い凝集物の粒子当たりの吸収断面積は、例えば、本明細書に記載されている疎水性ポリマーから形成される密集したポリマードットと比較して減少する。この減少は、例えば、Moonらの緩い凝集粒子中のより少ない数の発色団に起因することができる。さらに、Moonらの著しく官能基化されたポリマーは、本明細書に記載されている低密度の官能基化を有するポリマーと比較して、より低い蛍光量子収量を示す。小さな吸収断面積および低い量子収量の合わせた要因は、粒子当たりの蛍光輝度を有意に低下させることができる(実施例7)。さらに、著しく官能基化されたポリマーから形成される発色団ポリマードットはまた、生物学的用途において、本明細書に記載のような低密度の官能基化を有する発色団ポリマーから形成されるものと比較して、有意な非特異的標識を生じさせる(実施例9)。
【0061】
一実施形態において、発色団ポリマードットは、沈殿によって形成させることができる。この技術は、過剰な容量の非溶媒(しかし、有機溶媒と混和性である)、例えば、水または別の生理学的に関連した水溶液中への発色団ポリマー希薄溶液(例えば、有機溶媒に溶解した発色団ポリマー)の急速な添加(例えば、超音波処理または激しい撹拌によって促進する)が関与する。例えば、本明細書に記載されている手順のいくつかにおいて、発色団ポリマーを溶解性が良好である有機溶媒(良好な溶媒)、例えば、THF(テトラヒドロフラン)に最初に溶解し、この後にTHFに溶解したポリマーを過剰な容量の水または緩衝液(疎水性発色団ポリマーのために良好でない溶媒であるが良好な溶媒(THF)と混和性である)に加えることができる。このように得られた混合物を超音波処理し、または激しく撹拌し、発色団ポリマードットの形成を補助し、次いで有機溶媒を除去し、良好に分散した発色団ナノ粒子を残す。この手順の使用において、発色団ポリマーは、有機溶媒(例えば、THF)に溶解するように十分に疎水性であるべきである。生体分子または高密度の親水性側鎖(Moonらによって記載されているものなど)へのカップリングのための、側鎖上の高密度の親水性官能基の導入によって、このように得られたポリマーを、高分子電解質の挙動と同様または同一の様式で、有機溶媒(例えば、THF)中で不溶性または難溶性とする。
【0062】
安定的な発色団ポリマードットを形成するための安定的な鎖の崩壊のために重要な必要条件およびパラメーターを理解することによって、本発明は、安定的な官能基化された発色団ポリマードットを、好ましくは沈殿を使用して形成させることができるように、制御され低い程度の親水性官能基を有する官能基化された発色団ポリマーの組成物を記載する。しかし、これらに限定されないが、エマルジョン(例えば、ミニもしくはマイクロエマルジョン)または沈殿または縮合に基づいた様々な方法を含めて、発色団ポリマードットを形成させる他の方法がまた可能である。疎水性官能基を有する他のポリマーをまた用いることができ、疎水性官能基は、発色団ポリマードットの崩壊および安定性に影響を与えない。次いで、ナノ粒子の表面上の疎水性官能基は、バイオコンジュゲーションのための親水性官能基に変換されることができ(例えば、事後官能基化による)、または疎水性官能基を生体分子に直接連結する。この後者のアプローチは、疎水性およびクリック可能(すなわち、クリックケミストリーのフレームワークの範囲内である化学反応)の両方である官能基(これらに限定されないが、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基を含めた)を使用して特に良好に作業することができる。
【0063】
一価の発色団ポリマードット
本発明の一実施形態は、一価の発色団ポリマードットを提供する。一価の発色団ポリマードットは、1個の官能基のみを担持する発色団ポリマードットを含む。「一価」とはこの用語が本明細書において使用されるとき、発色団ポリマードットの表面に付着している1個の官能基のみを意味する。
【0064】
図1Aは、1個の官能基Rを有する一価の発色団ポリマードットの概略図を示す。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、歪んだアルキン、アジド、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体などの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションを可能とする任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。特定の実施形態において、官能基は、生物学的実体に直接的または間接的に結合させることができる、ビオチン、葉酸、ホレート、ファロイジン、またはペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質などを含む任意の構造でよい。
【0065】
官能基化された発色団ドットのバイオコンジュゲート
いくつかの実施形態において、本発明は、上記のような官能基化された発色団ポリマードットおよび生体分子を含むことができるバイオコンジュゲートを提供し、生体分子は、官能基によって直接的または間接的にポリマードットに付着している。バイオコンジュゲートはまた、生物学的粒子、例えば、ウイルス、細菌、細胞、生物学的または合成小胞、例えば、リポソームと会合した上記のような官能基化された発色団ポリマードットを含むことができる。官能基化された発色団ポリマードットは、1個もしくは2個の終端官能基、または低密度の側鎖官能基を有する発色団ポリマーから形成される、1個またはそれより多い官能基を含むことができる。
【0066】
特定の実施形態において、本発明は、上記のような一価の発色団ポリマードットおよび生体分子を含むバイオコンジュゲートを提供し、生体分子は、官能基によって直接的または間接的にポリマードットに付着している。バイオコンジュゲートはまた、生物学的粒子、例えば、ウイルス、細菌、細胞、生物学的または合成小胞、例えば、リポソームと会合している、上記のような一価の発色団ポリマードットを含む。図1Bは、官能基Rによって生体分子と会合している一価の発色団ポリマードットの概略図を示す。「生体分子」という用語は、合成または天然のタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、アミノ酸、代謝物、薬物、毒素、核酸(nuclear acid)、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸などを記載するために使用される。望ましくは、生体分子は、一価の発色団ポリマードットの官能基に共有結合を介して付着している。例えば、ポリマードットの官能基がカルボキシル基である場合、タンパク質生体分子は、カルボキシル基とタンパク質分子のアミン基とを架橋させることによってポリマードットに直接付着させることができる。
【0067】
本明細書において使用する場合、「架橋剤」という用語は、分子を一緒に共有結合させるために、同様または同様でない分子上の分子基の間に化学結合を形成することができる化合物または部分を記載するために使用する。一般の架橋剤の例は、当技術分野において公知である。例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic
Press、New York、1996年またはその後の版)を参照されたい。一価の発色団ポリマードットへの生体分子の間接的な付着は、「リンカー」分子、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、ビオチンまたは同様の分子を使用することによって起こることができる。
【0068】
単一分子ポリマードット:一価、二価、または多価
本明細書に記載されている官能基を、種々の方法で、発色団ポリマーに含めることができる。例えば、官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、または末端単位の1つに連結(例えば、共有結合)させることができる。本明細書においてさらに記載するように、一価のポリマードットは、例えば、単一の直鎖状ポリマー分子の2つの末端単位の1つにおいて、1個の官能基のみを含む、単一のポリマー分子を含むことができる。二価のポリマードットは、例えば、単一の直鎖状ポリマー分子の2つの末端単位のそれぞれにおいて、2個の官能基を含む、単一のポリマー分子を含むことができる。三価のポリマードットは、3個の官能基を含む、単一のポリマー分子を含むことができる(例えば、3本のアームの分岐ポリマーの3つの末端単位のみへの官能基の付着)。同様に、分岐ポリマーは、例えば、4本のアーム、5本のアーム、6本のアームおよびより多い数の分岐を有する分岐ポリマーの末端単位において付着している官能基を有する、他の多価のポリマードットの調製において使用することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、末端単位において少なくとも1個の官能基を有する単一のポリマー分子を含むポリマードットから、利点が生じることができる。例えば、発色団ポリマーの末端単位への1個の官能基のみの付着は、ポリマー合成において良好に制御することができる。例えば、官能基を含む化学単位は、ポリマー合成における重合開始剤および成長触媒としての役割を果たすことができ、このように、各ポリマー分子は、末端において1個の官能基のみを含む。直鎖状発色団ポリマーの2つの末端単位のみへの官能基の付着はまた、ポリマー合成において良好に制御することができる。例えば、官能基を含む化学単位は、ポリマー合成におけるポリマー成長を終結させるキャッピング剤として使用することができ、それによって2つの末端単位において2個の官能基のみを含む各直鎖状ポリマー分子をもたらす。同様に、多価のポリマードットについての官能基の付着は、ポリマー合成において良好に制御することができ、例えば、官能基を3本のアームの分岐ポリマーの3つの末端単位にのみ加えることができる。
【0070】
特定の実施形態において、ポリマー末端単位への官能基の添加は、官能基が骨格に沿ってランダムに位置しているポリマーと比較することができる。例えば、側鎖官能基化または骨格官能基化によるポリマー中の官能基の数は、正確な数の官能基を有するポリマーを生成するのに困難であり得る。代わりに、ポリマー上の官能基の数は通常、分布に従う。特定の場合において、末端単位中の官能基はまた、他の態様において側鎖にとって有利であり得る。側鎖および骨格の官能基化と比較して、末端単位の官能基化は、ポリマードットを形成するポリマーの崩壊に対してそれほどの影響を有さない。また、末端官能基は、バイオコンジュゲーションのために水性環境がより到達可能であってもよく、一方では側鎖官能基は、ポリマードット内に埋め込まれて、バイオコンジュゲーションのために利用可能でなくてもよい。
【0071】
一実施形態において、発色団ポリマードットは、(図2Aに示されるように)1個の官能基(例えば、R)で連結している1個の発色団ポリマー分子のみを含む。このような発色団ポリマードットは、独特な特性、例えば、単分散サイズ、および均一な蛍光輝度を提供し得る一価の単一分子ドットである。官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、または終端単位の1つに共有結合によって連結させることができる。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体などの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションに適した任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。1個の官能基を含む発色団ポリマーは、多くのアプローチによって合成することができる。例えば、官能基を含む化学単位は、ポリマー合成において重合開始剤および成長触媒としての役割を果たすことができ、このように各ポリマー分子は、最終的に1個の官能基のみによって終端する(図2A)。この方法はまた、制御された分子量および狭い分子量分布を有するポリマーを合成するのに有利である。一価の単一分子ポリマードットは、実施例1における溶媒混合方法、または当技術分野で見出される任意の他の方法によって調製することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、2個の官能基(例えば、R1およびR2)を有する1個のポリマー分子を含むことができる。このような発色団ポリマードットは、独特な特性、例えば、単分散サイズ、および均一な蛍光輝度、および2種の異なるタイプの生体分子へのコンジュゲーションを提供し得る二価の単一分子ドットである。2個の官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、および/または終端単位に共有結合によって連結させることができる。好ましい実施形態において、発色団ポリマードットは、2個の終端官能基を有する1個の直鎖状ポリマー分子を含む。2個の終端官能基を有する直鎖状ポリマー分子の概略図を図2Bに示し、2個の終端カルボキシル基を有する特定の発色団ポリマーPDHF-COOHの化学構造を図3に示す。このような発色団ポリマードットは、例えば、偏光蛍光バイオコンジュゲートを形成するため、またはドットを一次元構造にアセンブルするためなどの特定の用途において有用な二価の単一分子ドットである。2個の官能基R1およびR2は同じでもよく、またはこれらは異なってもよい。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、および任意のこれらの組合せなどの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションを可能とする任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。二価の単一分子ポリマードットは、実施例1において示したような溶媒混合方法、または当技術分野で見出される任意の他の方法によって調製することができる。特定の実施形態において、二価の単一分子発色団ポリマードットは、図4および実施例2に示されるように本発明において提供される方法によって、一価のドットに修飾することができる。
【0073】
別の実施形態において、発色団ポリマードットは、3個の親水性官能基(例えば、R1、R2、およびR3)を有する1個のポリマー分子を含む。このような発色団ポリマードットは、独特な特性、例えば、単分散サイズ、および均一な蛍光輝度を提供し得る三価の単一分子ドットである。3個の官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、および/または終端単位に共有結合によって連結させることができる。好ましい実施形態において、発色団ポリマードットは、3本のアームの分岐ポリマーの単一分子を含み、各アームは、1個の官能基を含有する(概略図を図2Cに示す)。3個の官能基(例えば、R1、R2およびR3)は同じでもよく、またはこれらは異なってもよい。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、および任意のこれらの組合せなどの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションを可能とする任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。このような単一分子ドットは三価であるが、特定の用途、例えば、偏光蛍光バイオコンジュゲート、または定方向ナノ粒子アセンブリーのために有用な良好に制御された官能基を有する(骨格分岐の数によって決定して)。三価の単一分子ポリマードットは、実施例1において示すような溶媒混合方法、または当技術分野で見出される任意の他の方法によって調製することができる。特定の実施形態において、三価の単一分子発色団ポリマードットは、図4に示されるように本発明において提供される方法によって、一価のドットに修飾することができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、4個の官能基、または5個の官能基、または6個の官能基、またはそれを超える官能基を有する1個のポリマー分子を含むことができる。このような発色団ポリマードットは、独特な特性、例えば、単分散サイズ、均一な蛍光輝度、またはバイオコンジュゲーション能力を提供できる多価の単一分子ドットである。官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、および/または終端単位に共有結合によって連結させることができる。好ましい実施形態において、発色団ポリマードットは、4本のアームの分岐ポリマー、5本のアームの分岐ポリマー、6本のアームの分岐ポリマーなどの単一分子を含み、各アームは、1個の官能基を含有する。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、および任意のこれらの組合せなどの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションに適した任意の他の官能基を使用することができる。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。官能基は同じでよく、またはこれらは異なってもよい。このような単一分子ドットは多価であるが、特定の用途、例えば、偏光蛍光バイオコンジュゲート、または定方向ナノ粒子アセンブリー、またはバイオコンジュゲーションのために有用な良好に制御された官能基を有する(骨格分岐の数によって事前に確定される)。多価の単一分子ポリマードットは、実施例1において示すような溶媒混合方法、または当技術分野で見出される任意の他の方法によって調製することができる。特定の実施形態において、多価の単一分子発色団ポリマードットは、図4に示されるように本発明において提供される方法によって、一価のドットに修飾することができる。
【0075】
官能基化された多分子発色団ポリマードット:多価から一価
いくつかの実施形態において、発色団ポリマードットは、修飾して一価のドットを形成させることができる、官能基化された多分子発色団ポリマードットを含むことができる。官能基化された発色団ドットは、官能基を担持する発色団ポリマー分子(図3において、PDHF-COOHなど)を使用することによって調製することができる。官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、および/または終端単位に共有結合によって連結させることができる。代わりに、発色団ポリマードットは、官能基化剤によって官能基化し得る。官能基化剤および方法は公知である。例えば、その内容が全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許仮出願第61/259,611号を参照されたい。官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、および任意のこれらの組合せなどの基のいずれかでよい。一般に、バイオコンジュゲーションに適した任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。これらの官能基化された発色団ポリマードットは、図4に示されるように本発明において提供される方法によって、一価の発色団ポリマードットに修飾することができる。
【0076】
発色団ポリマードットを調製する方法:一価、二価、または多価のポリマードット
本明細書において提供するように、発色団ポリマードットは、種々の方法を使用して作製することができる。例えば、本明細書に記載されているのは、ポリマードットを形成するためのポリマーの沈殿が関与する方法である。例えば、エマルジョンをベースとする技術をまた含むことができるポリマードットを形成する無数の方法が認識される。同様に、当業者であれば、例えば、官能基、例えば、疎水性官能基、親水性官能基、またはこれらの組合せによる事前官能基化および事後官能基化による、ポリマードットの官能基化に関する本明細書に記載されている様々な方法を認識するであろう。
【0077】
一態様において、本発明は、その表面上に規定された数の反応性官能基を有する合理的に官能基化された単鎖発色団ナノ粒子を作製する方法であって、(a)1個またはそれより多い反応性官能基にコンジュゲートしている半導体ポリマーの均質な集団を水性環境中で崩壊させて、複数の反応性官能基を含む発色団ナノ粒子を形成させるステップと;(b)ナノ粒子上の反応性官能基と固相との間に共有結合を形成させることによって、ナノ粒子を固相に単一のポイントにおいて付着させるステップと;(c)ナノ粒子を有機溶媒中で洗浄して、ナノ粒子の構造を乱し、固体表面上にコンジュゲートしているポリマーのみを保持するステップと;(d)付着したポリマーを洗浄して水性環境中に戻し、ポリマーを単鎖発色団ナノ粒子に崩壊させるステップと;(e)固相と反応性官能基との間の結合を切断して、固相から単鎖発色団ナノ粒子を放出させるステップとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、結合を切断するステップは、ナノ粒子の表面上に反応性官能基を維持する。特定の実施形態において、結合を切断するステップは、反応性官能基を修飾して、ナノ粒子の表面上に異なる反応性官能基を生じさせる。
【0078】
別の態様において、本発明は、その表面上に単一の反応性官能基を有する一価の発色団ナノ粒子を作製する方法であって、(a)1個またはそれより多い反応性官能基にコンジュゲートしている半導体ポリマーを水性環境中で崩壊させ、複数の反応性官能基を含む発色団ナノ粒子を形成させるステップと;(b)ナノ粒子上の反応性官能基と固相との間に共有結合を形成させることによって、ナノ粒子を固相に単一のポイントにおいて付着させるステップと;(c)ナノ粒子を処理して、ナノ粒子の表面から結合していない反応性官能基の全てを除去するステップと;(d)固相と反応性官能基との間の結合を切断して、固相から発色団ナノ粒子を放出させるステップとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、結合を切断するステップは、ナノ粒子の表面上に反応性官能基を維持する。特定の実施形態において、結合を切断するステップは、反応性官能基を修飾して、ナノ粒子の表面上に異なる反応性官能基を生じさせる。
【0079】
1つの例の実施形態において、単一分子発色団ポリマードットは、実施例1に示すように溶媒混合方法を使用することによって調製することができ、ポリマー前駆体溶液は、十分に希薄である。単一ポリマー分子について、例えば、低いポリマー濃度によって、単一のポリマードットへの崩壊を促進することができ、ここでポリマーは、別のポリマー分子との分子間崩壊よりむしろ分子内崩壊のみが起こるように、溶液中で空間的に分布している。単一ポリマードット形成のための希薄溶液は、約1000ppm未満から、約500ppm未満から、約100ppm未満から、約50ppm未満から、約20ppm未満から、約10ppm未満から、約5ppm未満から、約1ppm未満から、またはそれ未満からの範囲でよい。本明細書における方法の例の第1のステップは、官能基、例えば、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、およびこれらの組合せを担持する発色団ポリマー分子を合成することである。一般に、バイオコンジュゲーションを可能とする任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic
Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。官能基は、発色団ポリマーの骨格、側鎖、または終端単位への共有結合によって作り出すことができる。第2のステップにおいて、官能基化された発色団ポリマーは、実施例1に示すように溶媒混合方法を使用することによって、単一分子ドットを調製するための前駆体として使用される。一実施形態において、単一分子ドットは、各ポリマー前駆体分子が1個の官能基のみを有するとき、一価でよい(例えば、バイオコンジュゲーションのために利用可能な1個の官能基のみを有する)。他の実施形態において、単一分子ドットは、各ポリマー前駆体分子が2個、またはそれを超える官能基を有するとき、二価または多価でよく、これは特定の用途のために有用である。
【0080】
いくつかの実施形態において、任意の官能基化された多分子発色団ポリマードットを修飾して、一価、二価、または多価でよい単一分子ポリマードットを形成させることができる。修飾とは、いくつかのポリマー分子をドットから除去することであるが、1個の官能基のみ、2つ以上の官能基を有し得る1個の分子のみを残す。一実施形態において、加工した表面を使用して、修飾を促進することができる。加工した表面は、特定の官能基、例えば、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、およびこれらの組合せを有し得る。一般に、バイオコンジュゲーションに適した任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。表面は、平らな表面(カバースリップなど)または任意の粒子からの湾曲した表面でよい。表面は、シリカ、金属、半導体、ケイ素、および異なるポリマー表面でよい。上記の官能基化された多分子発色団ポリマードットは、任意の安定的な物理的または化学的会合を介して1個の発色団ポリマー分子のみによって表面に付着している。発色団ポリマードット中の全ての遊離分子(表面と会合しているものを除いて)は、有機溶媒で表面を洗浄することによるなどして除去することができ、その結果表面と会合している分子のみが保持される。次いで、単一分子発色団ドットは、任意の物理的または化学的方法によって表面から放出させることができる。このように得られた単一分子ドットは、最初のポリマー分子中の官能基の数によって、一価、二価、または多価でよい。単一分子ドットを調製するためのこの方法は、図4においてスキームAによって示される。いくつかの実施形態において、ポリマードットを、クリックケミストリーによって表面に付着させることができる。表面上またはポリマー中の官能基には、これらだけに限らないが、クリックケミストリーのために使用されるもの、例えば、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基が含まれる。図20は、このような例の1つを示し、ここでPFBT-アルキンドットは、アルキン-アジドクリック反応によってシリカビーズに付着していた。PFBTドットは、溶媒洗浄後に切断されて、単鎖ドットを形成することができる。一価の単一分子ドットへ、官能基化された発色団ポリマードットを修飾するための実験例を、実施例2に示す。
【0081】
官能基化された多価の発色団ポリマードットから一価の発色団ポリマードットを調製する方法
いくつかの実施形態において、一価の発色団ポリマードットは、一価のドットへと任意の官能基化された多価の発色団ポリマードットを修飾することによって調製することができる。最初の官能基化された多価のポリマードットは、1種またはそれより多い発色団ポリマー分子を含み得る。最初の官能基化されたポリマードットはまた、さらなる機能性、例えば、磁気機能、プラズモン共鳴機能などを有することができる、例えば、蛍光色素、無機発光材料、磁性材料、金属材料を含めた他の成分と物理的に混合し、または化学的に架橋された発色団ポリマーを含み得る。
【0082】
この実施形態は、2ステップの工程を含む。第1のステップは、官能基、例えば、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、およびこれらの組合せを担持する官能基化された発色団ポリマードットを調製することである。一般に、バイオコンジュゲーションを可能とする任意の他の官能基を使用し得る。このような官能基を、当業者は、例えば、その内容が全ての目的のために参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBioconjugate Techniques(Academic Press、New York、1996年またはその後の版)に見出すことができる。発色団ポリマードットは、発色団ポリマードットに任意の有機分子を付着させることによって、例えば、任意の安定的な物理的または化学的会合によって官能基化することができる。官能基化分子は、物理的会合または化学結合によって発色団ポリマードットに付着しており、発色団ポリマードット上に表面官能基を提供する。好ましくは、官能基化分子は、発色団でもよく、発色団でなくてもよいポリマーである。官能基化された多価のドットを調製するための方法は公知である。例えば、その内容が全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許仮出願第61/259,611号を参照されたい。
【0083】
第2のステップは、一価のポリマードットへ官能基化された多価の発色団ポリマードットを修飾することである。修飾は官能基の大部分を不動態化または除去することであるが、1個の活性官能基のみを残す。一実施形態において、加工した表面を使用して、修飾を促進することができる。加工した表面は、特定の官能基、例えば、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、エステル、スクシンイミジルエステル、その置換された誘導体、およびこれらの組合せを有し得る。表面は、平らな表面(カバースリップなど)または任意の粒子からの湾曲した表面でよい。表面は、シリカ、金属、半導体、ケイ素、および異なるポリマー表面でよい。加工した表面は、平らな表面(カバースリップなど)または任意の粒子からの湾曲した表面でよい。いくつかの実施形態において、ポリマードットは、クリックケミストリーによって表面に付着させることができる。表面上またはポリマー分子中の官能基には、これらだけに限らないが、クリックケミストリーのために使用されるもの、例えば、アルキン基、歪んだアルキン基、アジド基、ジエン基、アルケン基、シクロオクチン基、およびホスフィン基が含まれる。図20は、PFBT-アルキンドットが、アルキン-アジドクリック反応によってシリカビーズに付着していたこのようなスキームの1つを示す。PFBTドットは、表面パシベーションの後に切断されて、一価のドットを形成させることができる。上記の最初の官能基化された多価発色団ドットを、任意の安定的な物理的または化学的会合を介して1個の官能基のみによって表面に付着させる。発色団ドット上の全ての遊離官能基(表面に結合しているものを除いて)を、不動態化または除去することができる。次いで、発色団ドットは、任意の物理的または化学的方法によって表面から放出させることができ、修飾された発色団ドットは、1個の官能基のみを有し、これは最初のものでもよく、または異なるものでもよい。一価のポリマードットへと官能基化された発色団ポリマードットを修飾するためのこの方法を、図4においてスキームBによって示す。
【0084】
米国特許仮出願第61/259,611号において教示されているように、一実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、ポリスチレン系櫛様ポリマーを含有することができる。ポリスチレン系櫛様ポリマーの非限定的例には、ポリスチレングラフトアクリル酸、カルボキシで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、アミンで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、チオールで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、スクシンイミジルエステルで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、アジドで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、アルキンで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、シクロオクチンで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、エステルで官能基化したポリスチレングラフトエチレンオキシド、ホスフィン、ポリスチレングラフトブチルアルコールなどが含まれる。
【0085】
別の実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、ポリ(メタクリル酸メチル)系櫛様ポリマーを含有することができる。ポリ(メタクリル酸メチル)系櫛様ポリマーの非限定的例には、ポリ(メタクリル酸メチル)グラフトアクリル酸、カルボキシで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、アミンで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、チオールで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、スクシンイミジルエステルで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、アジドで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、アルキンで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、シクロオクチンで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、エステルで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシド、ホスフィンで官能基化したポリ(メタクリル酸メチル)グラフトエチレンオキシドなどが含まれる。
【0086】
さらに別の実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、カルボキシル、アミン、チオール、エステル、スクシンイミジルエステル、アジド、アルキン、シクロオクチン、またはホスフィン基を含む櫛様ポリマーを含有することができる。
【0087】
同様に、一実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、末端モノマー単位上にて、例えば、カルボキシル、アミン、チオール、エステル、スクシンイミジルエステル、アジド、アルキン、シクロオクチン、ホスフィン、または同様の官能基で官能基化されているポリマーを含有することができる。使用し得るポリマーの例には、これらに限定されないが、ポリ(メタ)アクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、ポリイソブチレン、ポリジエン、ポリフェニレン、ポリエチレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリウレタン、そのブロックコポリマー、そのランダムまたは交互コポリマーなどが含まれる。
【0088】
特定の実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、1つまたはそれより多い官能基化されたモノマー単位を有するコポリマー、例えば、両親媒性ポリマーを含有することができる。本明細書に記載のように、両親媒性ポリマーを含有する発色団ナノ粒子を設計するときに、親水性官能基が、ナノ粒子形態へのポリマー鎖の崩壊に不利に影響を与えず、または形成された発色団ポリマードットの安定性に不利に影響を与えないことを確実にするために注意を要する。これは、例えば、発色団ポリマーに対する両親媒性官能基化ポリマーの百分率を調節することによって達成することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、官能基化されたナノ粒子は、両親媒性コポリマー、例えば、(1)ポリ((メタ)アクリル酸)系コポリマー、例えば、ポリ(アクリル酸-b-アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸n-ブチル-b-アクリル酸)、ポリ(アクリル酸ナトリウム-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸-b-メタクリル酸ネオペンチル)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-メタクリル酸ナトリウム)、ポリ(メタクリル酸ネオペンチル-b-メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸t-ブチル-b-エチレンオキシド)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸-b-アクリル酸);(2)ポリジエン系コポリマー、例えば、ポリ(ブタジエン(1,2付加)-b-エチレンオキシド)、ポリ(ブタジエン(1,2付加)-b-メチルアクリル酸、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-アクリル酸)、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-エチレンオキシド、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-N-メチル4-ビニルピリジニウムヨージド)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、およびポリ(イソプレン-b-N-メチル2-ビニルピリジニウムヨージド);(3)ポリ(エチレンオキシド)系コポリマー、例えば、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリル酸)、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリルアミド)、ポリ(エチレンオキシド-b-ブチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド-b-ε-カプロラクトン)、ポリ(エチレンオキシド-b-ラクチド)、ポリ(エチレンオキシド-b-ラクチド)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸)、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリル酸メチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸ニトロベンジル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリル酸t-ブチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸t-ブチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸テトラヒドロフルフリル)、ポリ(エチレンオキシド-b-2-エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-2-メチルオキサゾリン);(4)ポリイソブチレン系コポリマー、例えば、ポリ(イソブチレン-b-アクリル酸)、ポリ(イソブチレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(イソブチレン-b-メタクリル酸);(5)ポリスチレン系コポリマー、例えば、ポリ(スチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸セシウム)、ポリ(スチレン-b-エチレンオキシド)、ブロック接合部で酸開裂性のポリ(スチレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-メタクリル酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレンスルホン酸-b-メチルブチレン)、ポリ(スチレン-b-N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-N-メチル 2-ビニルピリジニウムヨージド)、ポリ(スチレン-b-N-メチル-4-ビニルピリジニウムヨージド)、ポリ(スチレン-b-プロピルアクリル酸)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(スチレン-b-メタクリル酸ナトリウム)、ポリ(p-クロロメチルスチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-co-p-クロロメチルスチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-co-p-クロロメチルスチレン-b-アクリル酸)、ポリ(スチレン-b-メチルブチレン-co-イソプレンスルホネート);(6)ポリシロキサン系コポリマー、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン-b-アクリル酸)、ポリ(ジメチルシロキサン-b-エチレンオキシド)、ポリ(ジメチルシロキサン-b-メタクリル酸);(7)ポリ(フェロセニルジメチルシラン)系コポリマー、例えば、ポリ(フェロセニルジメチルシラン-b-エチレンオキシド);(8)ポリ(2-ビニルナフタレン)系コポリマー、例えば、ポリ(2-ビニルナフタレン-b-アクリル酸)、(9)ポリ(ビニルピリジンおよびN-メチルビニルピリジニウムヨージド)系コポリマー、例えば、ポリ(2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)、ポリ(2-ビニルピリジン-b-メチルアクリル酸)、ポリ(N-メチル2-ビニルピリジニウムヨージド-b-エチレンオキシド)、ポリ(N-メチル4-ビニルピリジニウムヨージド-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(4-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)PEO末端官能性OH;(10)ポリ(ビニルピロリドン)系コポリマー、例えば、ポリ(ビニルピロリドン-b-D/L-ラクチド)などを含有する。
【0090】
発色団ポリマードットを使用する方法
本発明は、本明細書に記載されているポリマードットを使用する方法をさらに提供する。例えば、本発明は、本明細書においてポリマードットを使用した蛍光をベースとする検出の方法を提供する。いくつかの実施形態において、低密度の官能基化を有するポリマーは、蛍光をベースとする検出方法のための優れた光物理的特性、例えば、高い輝度を提供できる。いくつかの実施形態において、低密度の官能基化を有するポリマーは、優れた特異的細胞ターゲティング能力、例えば、標的細胞または細胞構造または固定化生体分子との、最小の非特異的吸着または相互作用を提供できる。いくつかの実施形態において、蛍光をベースとする検出の方法は、複数のモノマー単位を有する半導体ポリマーを含む発色団ナノ粒子であって、ナノ粒子中に存在するモノマー単位の50%未満は、親水性部分で修飾されており、モノマー単位の少なくとも1つは、コンジュゲーションに適した親水性官能基で修飾されている、発色団ナノ粒子から発せられる光を検出することを含むことができる。本明細書に記載のように、親水性官能基は、バイオコンジュゲーションに適していることができ、場合によっては水溶液中で安定的である。ポリマーの官能基化の密度は、本明細書に記載のような範囲でよい。例えば、発色団ナノ粒子は、モノマー単位の45%未満、40%未満、35%未満、または30%未満が修飾されているポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、モノマー単位の25%未満が修飾されている。特定の実施形態は、モノマー単位の20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満が修飾されている発色団ナノ粒子を含む。親水性官能基は、カルボン酸またはその塩、アミノ、メルカプト、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、カルボニル、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、およびその置換された誘導体を含むことができる。
【実施例
【0091】
本発明をさらに記載するために下記の実施例を含めるが、本発明の範囲を制限するために使用するべきではない。
【0092】
例えば、加工した表面への官能基化された発色団ドットの付着、それに続く溶媒洗浄またはパシベーション、次いで表面からの切断のステップが関与する工程である一価の発色団ポリマードットを調製する方法を示す。
【0093】
(実施例1)
官能基化された発色団ポリマードットを調製する方法
本実施例は、それに続く特性決定、および一価の発色団ポリマードットへの修飾のための、官能基化された発色団ポリマードットを得る方法を提供する。図3は、官能基化された発色団ポリマードットを調製するための、2種の典型的な発色団ポリマーであるカルボキシル官能基で終端したポリフルオレン(PDHF-COOH)、および官能基を有さないポリフルオレン-ベンゾチアジアゾール(PFBT)の化学構造を示す。水溶液中の官能基化された発色団ポリマードットは、下記のように調製する。最初に、発色団ポリマー、例えば、PDHF-COOHを、不活性雰囲気下で撹拌することによってテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、0.1mg/mLの濃度のストック溶液を作製する。5mL量の溶液混合物を、10mLの脱イオン水に急速に加え、その間に混合物を超音波処理した。THFを窒素ストリッピングによって除去し、溶液を連続的な窒素ストリッピングによって90℃のホットプレート上で8mLに濃縮し、それに続いて0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した。このように得られたナノ粒子分散物は、凝集の徴候を伴わずに数カ月間透明で安定的である。
【0094】
(実施例2)
多価のポリマードットから一価の単一分子発色団ポリマードットを調製する方法
上記の本発明の方法によって調製された多価の発色団ポリマードットを、一価の発色団ポリマードットに修飾した。図4におけるスキームAは、加工した粒子表面によって一価の単一分子発色団ポリマードットを調製するための概略図を示す。シリカコロイドビーズを、この実施例において使用し、アミン官能基化された表面を提供した。しかし、任意の他のビーズ、例えば、ポリマービーズ、金属ビーズまたは無機ビーズをまた使用することができる。約200nmのシリカコロイド粒子を、伝統的なストーバー方法によって調製した。100μLの酢酸を、5mLのMilliQ水中の100mgのシリカ粒子の溶液に加え、磁気によって撹拌した。次いで、10μLのアミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)および100μLのメトキシ(ポリエチレノキシ)プロピルトリメトキシシラン(PEG-シラン)の混合物を、溶液に加え、反応が5時間続き、その後水によって徹底的な洗浄をして過剰な前駆体を除去した。このように得られたシリカビーズを、高密度のPEG基および低密度のアミン基で官能基化したが、これに対してPDHF-COOHポリマードットは、カルボジイミド、例えば、EDCによって触媒されて付着させることができる。典型的な反応において、20μLのEDC(MilliQ水中5mg/mL)を、20mMのHEPES緩衝液(pH7.5)中のPDHF-COOHポリマードット(40μg/mL)およびアミン官能基化されたシリカ粒子(10mg/mL)の混合物に加えた。反応は室温で4時間続き、それぞれの多価のPDHF-COOHポリマードットは、シリカ粒子上の低密度のアミン基のために、1つの共有結合のみによってシリカビーズと会合した。次いで、シリカ-ポリマードット複合体を、有機溶媒、例えば、THF中で徹底的に洗浄し、その結果シリカ粒子と共有結合によって連結している単一のPDHF-COOH分子のみが表面上に保持された。単一のPDHF-COOH分子を有するシリカ粒子を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する20mMのHEPES緩衝液に再分散させ、次いで100mMのNaOHを溶液に加え、シリカ粒子から一価のポリマードットを切断した。
【0095】
(実施例3)
一価の発色団ポリマードットの形成の光学特性決定
本発明の方法によって調製した一価の発色団ポリマードットの形成を、ブレンドしたポリマードットにおいて分光特性および粒子内エネルギー移動を調査することによって評価した。UV可視吸収スペクトルを、1cmの石英キュベットを使用してDU720分光光度計で記録した。蛍光スペクトルを、1cmの石英キュベットを使用してFluorolog-3蛍光光度計で集めた。最初に、同じ重量濃度の青色を発するPDHF-COOHおよび黄色を発するPFBTポリマー(図3に示す化学構造)を含有するブレンドした発色団ポリマードットを、実施例1における方法によって調製した。このように得られたPFBT/PDHF-COOH粒子は、表面上にアミン官能基化されたシリカビーズとコンジュゲートするために使用することができる複数のカルボキシル基を有する。ブレンドしたポリマードットは、吸収スペクトルにおいてPDHF(380nm)およびPFBT(460nm)からの両方の吸収ピークを示すが(図5A)、PDHFからPFBT分子への効率的な粒子内エネルギー移動のために、PFBTから単に黄色の発光を示す(図5B)。次いで、一価のポリマードットを、実施例2における方法によって、ブレンドしたポリマードットから調製した。図5Aを見るとわかるように、PFBT吸収が存在しないことは、溶媒洗浄によって、ポリマードットからコンジュゲートしていないPFBT分子が効率的に除去されることを示し、その結果シリカ表面に共有結合しているそれらのPDHF-COOH分子のみが保持され、一価のポリマードットを形成した。さらなる確認として、一価のドットは、PDHF-COOHから特徴的な発光を提示する(図5B)。
【0096】
(実施例4)
一価の発色団ポリマードットの光学特性
本発明の方法によって調製した一価の発色団ポリマードットの光学特性を、UV可視および蛍光測定によって評価した。UV可視吸収スペクトルを、1cmの石英キュベットを使用してDU720分光光度計で記録した。蛍光スペクトルを、1cmの石英キュベットを使用してFluorolog-3蛍光光度計で集めた。一価のPDHF-COOHポリマードットは、複数のPDHF-COOH分子を含有する発色団ポリマードットのスペクトルと比較して、同様の吸収を示すが、青方偏移した発光スペクトルを示す(図6A)。これは、光物理的像と一致する。多分子ポリマードットにおける低エネルギー種、欠陥、および凝集物の存在は、赤方偏移した蛍光をもたらす。図6Bにおいて見られるように、一価のPDHF-COOHドットの青方偏移した蛍光は蛍光量子収量の増加を伴い、これはまた凝集物が存在しないことおよび欠陥の数の減少と一致する。
【0097】
(実施例5)
変化する密度の側鎖官能基化を有するPFBTポリマーの合成
本明細書において提供する実施例は、側鎖官能基の密度が、場合によっては、生物学的用途における発色団ポリマードットの内部粒子構造、コロイド安定性、蛍光輝度、および非特異的標識に有意に影響を与えることができることを示す。この実施例は、50%~2.3%のモル分率を有する側鎖中のカルボン酸基で官能基化された一連のPFBTポリマーの合成を記載する(図8)。示すように、nは、本明細書に記載のようなポリマー中に存在する繰り返し構造単位の数である。ポリマー中の異なるモノマーの比は、x、yおよびzに関して記載することができ、これは合計して1になる。この実施例において提供するように、zは、官能基を提供するモノマー単位に相当する。このモノマーの比は変化して、本明細書においてさらに記載するように様々な官能基化密度を有するポリマーを生じさせることができる(例えば、約50%未満、約25%未満、または約5%未満)。
【0098】
蛍光顕微鏡法およびレーザー励起のために都合がよいその高い輝度および吸収ピークによって、PFBTポリマーを選択した。カルボキシレート官能基化されたPFBTは、9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル、4,7-ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール、および2,7-ジブロモ-9,9-ビス(3-(tert-ブチルプロパノエート))フルオレンの共重合、それに続くトリフルオロ酢酸を使用した保護tert-ブチル基の除去によって合成した。ポリマー中の-COOHの存在を、IRスペクトルによってさらに確認した(図16)。ポリマー鎖中のカルボン酸基のモル分率は、合成ステップにおいてモノマーの供給比を変化させることによってチューニングすることができ、これは、HNMRデータによってさらに検証された(TFAで処理する前のC17アルキル鎖およびtert-ブチル基におけるプロトンの取込みと比較して)。この作業において、2.3%、14%、および50%(以後、それぞれ、PFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50と省略する)のカルボン酸基で官能基化したポリマーを調査した。同様に、制御されたモル分率の-NHを有するアミン官能基化されたPFBTポリマーをまた合成した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析によって、ポリマーの全ての分子量が12~20kg/molの範囲であることが明らかになった。
【0099】
この実施例におけるモノマーの合成は、下記の通りである。2,7-ジブロモフルオレン(15mmol、4.86g)、tert-ブチル3-ブロモプロパノエート(33mmol、6.86g)、水酸化ナトリウム溶液(40%、35mL)、BuNBr(1.5mmol、0.48g)、トルエン(70mL)の混合物を、85℃で一晩撹拌した。有機相を分離し、水で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶媒の蒸発後、残渣を、カラムクロマトグラフィー(DCM)によって精製した。生成物を、白色の固体として得た。収量:4.81g、83%。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ=7.47-7.54(m,6H),2.30(t,4H),1.47(t, 4H), 1.33(s, 18H). 13CNMR(500MHz,CDCl3):172.71,150.47,139.60,131.56, 126.99, 122.57, 121.93, 80.97,54.58, 34.92, 30.36,28.52。
【0100】
この実施例におけるポリマーは、異なるモノマー供給比による鈴木カップリングによる、モノマーである2,7-ジブロモ-9,9-ビス(3-(tert-ブチルプロパノエート))フルオレン(A)、4,7-ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(B)、9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル(C)の共重合によって合成した。PFBT-C2を、ここで一例として使用した。100mLのフラスコ中で、モノマーA(0.06mmol、34.8mg)、B(0.94mmol、276.2mg)、C(1mmol、558.4mg)を、トルエン(20mL)に溶解し、BuNBr(0.04mmol、12.5mg)およびNaCO(2M、12mL)を加えた。Pd(PPh(0.035mmol、40mg)を加える前および後に、混合物を脱気し、Nで再充填した(4回繰り返す)。反応物を90℃で40時間撹拌し、THF(1mL)に溶解したフェニルボロン酸(100mg)を加えた。2時間後、ブロモベンゼン(1mL)を加え、3時間さらに撹拌した。混合物を、メタノール(200mL)中に注いだ。沈殿物を濾過し、メタノール、水、およびアセトンで洗浄し、モノマー、小さなオリゴマー、および無機塩を除去した。粗生成物をDCM(15mL)に溶解し、0.2μmの膜を通して濾過し、メタノール(150mL)中で再沈殿させた。次いで、粉末を、アセトン(200mL)中で一晩撹拌し、濾過によって集め、真空中で乾燥させた。収量:413mg(72%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ=7.90-8.20(m,8H),2.00-2.30(広幅、4H),1.32(s, 0.86H),1.08-1.26(m,20H), 0.96(広幅、4H), 0.81(t,d=6Hz,6H)。保護tert-ブチルエステル基(este
rs group)を、TFAによって室温で除去した。トリフルオロ酢酸(3mL)をポリマー(200mg)のDCM(60mL)溶液中に加え、一晩撹拌した。有機層を水(100×3)で洗浄し、次いでNaOH溶液(10%、30mL)と共に10分間撹拌した。次いで、混合物を酢酸で酸性化した。DCM相を水で洗浄し、10mLに濃縮し、メタノール(100mL)中で沈殿させた。最終粉末を濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0101】
(実施例6)
変化する密度の側鎖官能基化を有するPFBTドットの調製および特性決定
発色団ポリマードットを、再沈殿方法を使用することによって上記で合成した3種のポリマー(それぞれ、PFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50)から調製した。PFBT-C2ドットを、2mL(100ppm)のPFBT-C2ポリマーのTHFストック溶液を10mLのHO中に超音波処理下で注入することによって調製した。PFBT-C14のPドットを、2mL(100ppm)のPFBT-C14ポリマーのTHFストック溶液を10mLのHO中に超音波処理下で注入することによって調製した。PFBT-C50を、400μL(500ppm)のPFBT-C50ポリマーのTHFストック溶液を10mLのHO中に超音波処理下で注入することによって調製した。これらの特性の信頼できる比較のために、開始濃度をチューニングすることによって、これらの3種のポリマーの粒径を21nmに制御した。粒径を、透過型電子顕微鏡法(TEM)および動的光散乱(DLS)によって調査した。代表的なTEMおよびDLSデータを、図9に示す。動的光散乱(DLS)測定結果は、PFBT-C2、PFBT-C14およびPFBT-C50のPドットが、21nmの同じ平均サイズを有することを示す。
【0102】
HNMRおよび13CNMRスペクトルは、bruker AV500分光計で記録した。IRスペクトルを、400~4000cm-1の範囲でBruker vector33Frourier変換赤外分光光度計(KBrペレットを使用した)で集めた。バルク溶液中のPドットの粒径およびゼータ電位を、動的光散乱によって特性決定した(Malvern Zetasizer NanoS)。TEM測定のために、一滴のPドット分散物を、炭素コーティングした銅グリッド上に置いた。水が蒸発した後、ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡(FEI Tecnai F20)で画像形成した。UV可視吸収スペクトルを、1cmの石英キュベットを使用してDU720走査型分光光度計(Beckman Coulter,Inc.、CA、USA)で記録した。市販のFluorolog-3蛍光光度計(HORIBA Jobin Yvon、NJ、USA)を使用して蛍光スペクトルを得た。蛍光量子収量は、CCD積分球を備えたHamamatsu photonicマルチチャネル分析器C10027を使用して測定した。単一粒子の蛍光輝度の測定のために、蛍光試料をMilli-Q水に希釈し、浄化したガラス製カバースリップ((3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)で事前に官能基化)上で乾燥させ、下記のようなカスタマイズされた広視野落射蛍光顕微鏡で画像形成した。サファイアレーザー(Coherent、Santa Clara、CA、USA)からの488nmのレーザービームを、研究室で作製したステアリングオプティクスを使用して倒立顕微鏡(Nikon TE2000U、Melville、NY、USA)に向けた。レーザー励起パワーを、対物レンズの前でレボルバーにおいて測定した。照明および光収集のために使用した対物レンズは、100×倍率および0.5~1.3N.Aを有するNikon CFI Plan Fluor 100XS Oil(絞りを有する)対物レンズ(Nikon、Melville、NY、USA)であった。蛍光シグナルを500nmのロングパスフィルター(HQ500LP;Chroma、Rockingham、VT、USA)によってフィルターにかけ、EMCCDカメラ(Photometrics Cascade:512B、Tucson、AZ、USA)で画像形成した。Pドット粒子の蛍光強度を、減衰係数によって逆算した。所与の粒子についてのフレーム毎に発せられる蛍光強度を、蛍光スポットの上でCCDシグナルを取り込むことによって推定した。
【0103】
(実施例7)
変化する密度の側鎖官能基化を有するPFBTドットの蛍光輝度
吸収および蛍光分光法を行い、異なるモル分率の側鎖カルボン酸基を有するPドットの光学特性を調査した。図10Aに示すように、3種のPドットは、モノマー官能基化、およびポリマー合成のためのモノマー供給比における差異のために、これらの吸収スペクトルにおいて異なる吸収ピークおよび強度を示す。さらに、ポリマー側鎖中の官能基化密度は、このように得られたPドットの蛍光スペクトルに対する明らかな影響を示す。PFBT-C2およびPFBT-C14ドットと比較して、PFBT-C50ドットは、高度に赤方偏移し広がった蛍光スペクトルを示す。この特性は、これらの側鎖における高密度のイオン性部分によって、同じPFBT骨格を有し、発光スペクトルにおいて同様の赤方偏移および広幅化を示す、共役高分子電解質における観察と一致する。高密度の官能基化によってもたらされる別の負の効果は、蛍光量子収量の低下である(図10B)。PFBT-C50ドットの量子収量は、PFBT-C2ドットの量子収量(約0.30)およびPFBT-C14ドットの量子収量(約0.23)より非常に低い約0.17であると測定した。再び、この傾向は、共役高分子電解質における一般の事実と同様であり、側鎖イオン性部分は通常、これらの疎水性カウンターパートと比較してクエンチされた発光をもたらす。高密度の官能基化は、不都合、例えば、発光ピークの広幅化および量子収量の低下を生じさせることがあるため、生物学的用途におけるプローブ性能に関して低密度の官能基化が都合がよい。
【0104】
蛍光輝度は、吸収断面積および蛍光量子収量の積であると定義される。粒子当たりの吸収断面積は、吸収スペクトルによって推定することができる。3種のPドットのそれぞれが同じ充填密度(すなわち、粒子当たりのPFBT分子の数)のフルオロフォアを有すると仮定すれば、これらの吸収断面積は、10-13cm程度の大きさであると推定した(図10B)。量子収量をさらに考慮して、PFBT-C2およびPFBT-C14ドットの粒子当たりの蛍光輝度は、それぞれ、PFBT-C50ドットより4.1倍および2.7倍高いと計算する。単一粒子の輝度を調査するために、単一粒子の輝度測定を、単一粒子蛍光顕微鏡法を使用して行った。
【0105】
図11は、同一の励起および収集条件下での3つのPドットの単一粒子の蛍光像を示す。図11の下のパネルにおいて示すように、数千の粒子の統計分析によって強度ヒストグラムを得た。図11に示されるように、PFBT-C2ドットおよびPFBT-C14ドットの測定した粒子当たりの輝度は、PFBT-C50ドットよりそれぞれ、5.5倍および4.9倍高い。バルク分光法からのPFBT-C50ドットに対するPFBT-C2の計算した強度比(4.1倍)は、単一粒子のイメージングからの測定した強度比(5.5倍)より低く、これは、PFBT-C50ドットにおける計算した粒子当たりの輝度は、粒子当たりのPFBT分子の実際の数と比較して過大評価されていることを示す。同様に、PFBT-C50ドットに対するPFBT-C14の計算した強度比(2.7倍)はまた、単一粒子のイメージングから実際に測定した比(4.9倍)より低い。これらの不一致は、PFBT-C50ドットにおける実際の発色団の充填密度が、PFBT-C2およびPFBT-C14ドットにおけるものよりも低いことを示す。
【0106】
(実施例8)
変化する密度の側鎖官能基化を有するPFBTドットの安定性および内部構造
いくつかの実施形態において、2つの態様を使用して、ナノ粒子の安定性を記載することができる。1つは、ナノ粒子が凝集に対して安定的であるか(すなわち、大きな粒子を形成させること)、他は、ナノ粒子が解離に対して安定的であるか(すなわち、分解によって小分子/粒子を生成すること)である。凝集に関連する一態様は、ポリマードットのζ電位である。このように得られたPドットの表面電荷を、ζ電位測定によって分析した。PFBT-C2、PFBT-C14およびPFBT-C50のPドットのζ電位は、それぞれ、-50.2mV、-54.4mV、および-57.5mVであると測定される(図10)。ナノ粒子の安定性はまた、ナノ粒子が経時的に容易に解離または分解されるかに強く依存する。Pドットの形成は疎水的相互作用によって主に推進されるため、親水性側鎖は、ポリマー鎖の異なる部分の中の、またはポリマー鎖の間の会合の強さとの有意な干渉を有し、このようにナノ粒子の安定性および性能に影響を与えることができる。例えば、著しく官能基化された親水性側鎖を有するポリマーからナノ粒子を調製するとき、安定的で密集した粒子よりむしろ緩い凝集物が形成され、これらの凝集する性質は、多くの要因、例えば、ポリマー濃度、イオン強度、および温度によって影響を受ける。
【0107】
この実施例は、3種のポリマーであるPFBT-C2、PFBT-C14およびPFBT-C50から調製したポリマードットの安定性および内部構造を調査する。色素のドーピングおよび浸出方法を使用して、ポリマードットの異なる内部構造を試験した。3種の色素をドープしたポリマードットの試料を、共沈殿方法によって調製し、色素をドープしたPドットの全ては、直径18nmの同様の粒径を有する。テトラフェニルポルフィリン(TPP)色素をアクセプターとして選択し、PFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50のPドットの内部構造を調査した。ポリマーホストとTPP色素ドーパントとの間に効率的なフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)が存在し、したがってFRETの効率性は、3種のポリマードットの内部構造を反映する。この方法において、TPP色素を、ホストポリマードットに5重量%のドーピング濃度でドープした。遠心濾過を使用して、保持されたポリマードット、およびポリマードットから浸出するTPP色素を含有する濾液を分離した。ポリマードットにおける遠心濾過の前および後の分光学的変化は、明らかな浸出が起こるときに観察すべきである。TPPをドープしたPドット溶液の吸収および蛍光スペクトルを、遠心濾過の前(図12A)および後(図12B)に測定した。材料の損失によって、吸光度の明らかな低下が、遠心濾過の後にTPPをドープしたPFBT-C50ドットについて観察された。図12Cにおいてさらに示すように、PFBT-C50ドットからの濾液は、有意な量のTPP色素、およびPFBT-C50分子の大部分を含有する。定量分析は、PFBT-C50ドットからPFBTの約10%およびTPP分子の50%が浸出したが、PFBT-C2ドットからTPPの6%のみが浸出したことを示す(PFBTは浸出せず)。これは、PFBT-C50ドットが部分的に解離(または分解)していることを示す。なぜなら、高密度の親水性側鎖は水溶液中でポリマー分子を溶媒和することができるからである。対照的に、PFBT-C2およびPFBT-C14ドットにおいて、PFBTの解離およびTPPの浸出は、親水性側鎖官能基の密度の低下に伴って大幅に低下し、これは、より高い密度の親水性官能基を有するPFBT-C14およびPFBT-C50ドットと比較して、疎水的相互作用によるPFBT-C2ドットにおけるより強い会合を示す。
【0108】
蛍光スペクトルによって、3種の色素をドープしたPFBTドットにおける異なる内部構造をさらに確認する。蛍光スペクトルの間の差異を好都合に比較するために、全ての蛍光スペクトルを、TPPエミッターの発光ピークによって正規化した。図12Dおよび12Eは、PFBTドナーに対するTPPアクセプターについての蛍光ピークの強度比が、カルボン酸基の密度の減少に伴って増加することを示し、これは、FRETが、PFBT-C14およびPFBT-C50ドットと比較してPFBT-C2ドットにおいてより効率的であることを示す。より高いFRETの効率性は、ドナーとアクセプターとの間の短い距離、したがって、PFBT-C14およびPFBT-C50ドットと比較してPFBT-C2ドットにおけるより密集した内部構造を示す。図12Dから12Eは、PFBT-C14およびPFBT-C50ドットにおけるPFBTドナーとTPPアクセプターの比が、遠心濾過後に増加することを示すが、これはいくらかのTPPアクセプターがポリマードットから浸出したことを示す。図12Fは、濾液の蛍光変化を示し、これによって、ポリマードットにおけるTPP浸出およびPFBT解離が親水性官能基による側鎖官能基化の密度に強く依存していることがさらに確認された。図12Fにおける発光は、PFBT分子がPFBT-C50ドットから有意に浸出し、PFBT-C2ドットについて浸出は殆ど起こらなかったことを示す。全体的に、低密度の官能基化を有するポリマーは、安定的で密集したポリマードットを形成させることができ、一方、高密度の官能基化を有するポリマーは、不安定で緩い粒子を生じさせる傾向があるという事実によって、色素浸出およびPドット解離は、ポリマー側鎖中の親水性官能基の密度の増加に伴って増加する。したがって、低密度の親水性官能基による官能基化は、さらなる生物学的用途のためのPドット技術を開発するために重要である。
【0109】
(実施例9)
変化する密度の側鎖官能基化を有するPFBTドットの非特異的細胞標識
蛍光標識のためにポリマードットが使用されるとき、これらの非特異的結合特性は重要である。この実施例において、フローサイトメトリーを行い、PFBT-C2、PFBT-C14、およびPFBT-C50ドットの非特異的標識を査定した。
【0110】
フローサイトメトリー実験のために、乳がん細胞系MCF-7は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC、Manassas、VA、USA)から注文した。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、50U/mLのペニシリン、および50μg/mLのストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地中で37℃、5%COで培養した。実験前に細胞をコンフルエンスに達するまで事前培養した。培地による短時間のすすぎ、それに続く37℃での5~15分間の5mLのトリプシン-EDTA溶液(0.25w/v%トリプシン、0.53mMのEDTA)とのインキュベーションによって、細胞を培養フラスコから収集した。完全な剥離の後、細胞をすすぎ、遠心し、1×PBS緩衝液に再懸濁させた。細胞濃度を、血球計を使用して顕微鏡法によって決定した。4%(v/v)のパラホルムアルデヒド溶液ですすぎ、それに続いて標識緩衝液(1×PBS、2mMのEDTA、1%BSA)による2回の洗浄ステップによって細胞を固定した。Pドットによる非特異的細胞標識のために、100μLの標識緩衝液中の百万個の細胞を、暗中回転式振盪機上で室温にて30分間、相当するPドット(直径21nm、InvitrogenからのBlockAidTMブロッキング緩衝液中25nM)と共にインキュベートし、それに続いて標識緩衝液を使用して2回の洗浄ステップを行った。次いで、フローサイトメトリーのために、細胞を1mLの標識緩衝液に懸濁させた。フローサイトメトリーは、BD FACS Cantoフローサイトメーター(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)上で操作した。488nmのレーザーを、励起のために使用し、520nmのロングパスフィルターおよび530/30nmのバンドパスフィルターを備えたFITCチャネルによって発光を集めた。FACSDiva1ソフトウェアを使用して、データを分析した。
【0111】
図13は、フローサイトメトリー結果を示す。13aは、ポリマードットと共にインキュベートしていない細胞を示し、13b、13c、および13dは、PFBT-C2、PFBT-C15、およびPFBT-C50ドットと共にそれぞれインキュベートした細胞を示す。PFBT-C2のPドットと共にインキュベートした細胞の蛍光強度は、非標識細胞の蛍光強度と同程度であり、これはPFBT-C2ドットの僅かな非特異的標識を示す。PFBT-C14は、PFBT-C2ドットより少し高い強度を示し、一方、PFBT-C50のPドットは、PFBT-C2およびPFBT-C14のPドットの非特異的標識より少なくとも5倍高い有意な非特異的標識を示す。これらの結果は、高密度の官能基を有するPドットが、低密度の官能基を有するこれらのPドットと比較して、生物学的用途において強い非特異的標識を生じさせることを強く示す。これはまた、これらの構造と一致する。これは、緩い構造を有するPFBT-C50ドットは、密集したPFBT-C2およびPFBT-C14ドットと比較して、高い表面積を有し、強い非特異的相互作用がもたらされるためである。
【0112】
(実施例10)
PFBT-C2ドットを使用したバイオコンジュゲーションおよび特異的細胞標識
生物学的イメージングのためにカルボキシレート官能基化されたPドットを査定するために、ストレプトアビジン(SA)とのバイオコンジュゲーションを、細胞表面受容体への特異的ターゲティングのために行った。低密度の官能基を有するポリマードットは、安定性、蛍光輝度、内部構造、および非特異的特性に関して非常に改善された特性を示すため、バイオコンジュゲーションおよび特異的細胞標識を示す例としてPFBT-C2ドットを選択した。HNMRデータおよび分子量(Mn=13kg/mol、Mw/Mn=1.4)に基づいて、PFBT-C2ポリマー鎖の各分子は、おおよそ1種の官能性モノマーを有し、これはカルボキシレート官能基化された9,9-ビス(3-プロパン酸)フルオレン(2個の-COOH基を有する)である。このような低密度の官能基は、バイオコンジュゲーションおよび特異的細胞標識のために十分に有効であった。
【0113】
ビオチンへのその顕著な結合親和性のために、ストレプトアビジンを一様に使用する。PFBT-C2のPドットは、最高の輝度、最も低い密度のカルボン酸基、および細胞表面との最小の非特異的吸着を示すために、本明細書においてPFBT-C2のPドットを使用して、生体分子とのコンジュゲーションを研究した。PFBT-C2のPドットを、0.1重量%ポリエチレングリコール(PEG、MW3350)を含有するHEPES緩衝液(20mM、pH=7.4)溶液中でストレプトアビジンと混合した。Pドット上のカルボキシル基とストレプトアビジンのアミン基との間のペプチド結合形成を、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)によって触媒した。しかし、Pドットの内因的に疎水性の性質によって、生体分子は粒子表面上に非特異的に吸着される傾向がある。PEGの存在下においてでさえ、ストレプトアビジンと物理的に混合された官能基化されたPドットは、まだビオチン化細胞表面に結合することができ、一方、ストレプトアビジンを有さないPドットは、結合を示さない。別の観察される問題は、官能基化されたPドットがサイズ排除ゲルに固着し、これによってそれに続く精製が厄介なものとなった。
【0114】
これらの非特異的吸着を克服するために、ストレプトアビジンとの2時間のバイオコンジュゲーション後に、Triton X-100およびウシ血清アルブミン(BSA)を導入し、吸着を減少させ、粒子表面をブロックした。このステップは、Pドット上の非特異的吸着を首尾よく克服することができる。混合物をまた、サイズ排除カラムを通して順調に濾過し、遊離ストレプトアビジン、添加物、および小分子を除去した。最終的なストレプトアビジンコンジュゲートPドットを使用して、がん治療のための抗乳がん薬物であるHerceptin(Heceptin)の標的である特異的細胞標的のHer2を標識した。SKBR3乳がん細胞を、抗Her2一次抗体、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG二次抗体、およびPFBT-C2-SAで連続的にインキュベートした。図14Aに示されるように、PFBT-C2-SAプローブは、細胞表面上でHer2受容体を効果的に標識した。触媒EDCまたはストレプトアビジンが存在しなかった2つの対照実験において、細胞表面上で蛍光は検出されなかった(図14B)が、これはPドットへのストレプトアビジンのバイオコンジュゲーションが共有結合であり、細胞標識がビオチン-ストレプトアビジン相互作用によって特異的であったことを確認する。別の対照実験を行い、細胞を一次抗体およびPFBT-C2-SAプローブと共にビオチン抗マウスIgGの非存在下でインキュベートした。結果はまた、細胞表面上で蛍光が観察されなかったことを示したが、これはPFBT-C2-SAの高度に特異的な結合を示す。シグナルが存在しないことはまた、このビオチン-ストレプトアビジン標識系において非特異的結合が存在しないことを示した。Pドット-SAは、長期間のコロイド安定性を維持した。Pドットと生体分子との間の安定的な共有結合によるカップリングによって、Pドット-SAの標識効率性は、異なる濃度および精製工程、例えば、遠心分離、超音波処理、およびゲル濾過の後で変化がない。
【0115】
ポリマー自体の官能基化されたナノ粒子の形成に加えて、PFBT-C2ポリマーはまた、疎水性ポリマーとブレンドして、異なるポリマーの種々のPドットを官能基化することができる。市販の大部分の蛍光疎水性ポリマーは、官能基を有さない。この戦略は、多数の存在する半導体ポリマーを利用し、これによって官能基化されたナノ粒子標識のおびただしい色のライブラリーを生じさせることができる。さらに、ブレンドしたPドット中のエネルギー移動は、インビボの用途のための訴求力のある特色である深紅または近赤外領域における高度に赤方偏移した発光をもたらした。本発明者らは、PFBT-C2を使用して、フルオレン-ジチエニルベンゾチアジアゾール系ポリマー(PFTBT)を官能基化したが、これは深紅領域において明るい固体蛍光を示す。明るい赤色を発するPドットを、PFBT-C2およびPFTBTポリマーの共縮合(3:2の重量比)によって調製した。PFBT-C2の発光バンドはPFTBTの吸光度とかなり重なるため、これらのブレンドしたPドットにおいて、PFBT-C2からPFTBTへの効率的なエネルギー移動が達成された。さらに、FRETに基づいた励起および発光の間のピーク分離(170nm)は、PFBT-C2のそれ(80nm)より非常に大きく、これは励起による暗騒音を減少させるのに都合がよい。
【0116】
カルボン酸基の非常に低いモル分率によって、PFBT-C2は、性質が高度に疎水性であり、ブレンドされた粒子中でPFTBTポリマーと良好に混合する。最終的なPドットの効率的なエネルギー移動および光学特性は、数カ月後に変化しない。カルボン酸基はポリマー鎖中でランダムに存在するため、カルボン酸基はまたPドットの粒子表面上に位置している可能性が高い。PFTBTポリマーは官能基を有さないため、PFBT-C2/PFTBTのブレンドしたPドット中の粒子当たりのカルボン酸基は、純粋なPFBT-C2ドット中の粒子当たりのカルボン酸基より40%少ない。同様のバイオコンジュゲーションを行ったが、このような低密度の官能基が、バイオコンジュゲーションおよび特異的細胞標識のために十分に有効であったことを結果は示した。最終的な赤色のブレンドしたPドット-SAプローブはまた、抗Her2一次抗体およびビオチン化ヤギ抗マウスIgG二次抗体と一緒に、SKBR3細胞表面上にHer2受容体を効果的に標識した(図14C)が、一方で対照試料は、標識を示さない。
【0117】
(実施例11)
生体直交型標識のためのポリマー側鎖の官能性修飾
この実施例は、カルボキシレート官能基化されたポリマーが、汎用性のある用途のために官能性小分子で柔軟に修飾することができる有用なスカフォールドを提供できることを示す。この実施例は、カルボキシレート側鎖とプロパルギルアミンとを反応させることによってクリック可能なアルキン官能基化されたPFBTポリマーを得る能力を提示する。他のアミン含有分子をまた使用して、異なる機能性を得ることができる。これらのアルキン担持プローブは、非常に低いバックグラウンドを伴う細胞標識のための力強いアプローチであるクリックケミストリーをベースとする生体直交型標識に特に適している。アルキン官能基化されたPFBTポリマー(PFBT-C14A)は、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を触媒として使用して、THF中でPFBT-C14とプロパルギルアミンとの間の反応によって調製した。低密度の-NHおよび-C≡CHの存在を、HNMRスペクトルにおける弱いシグナルによって確認した。この作業において、1つのポリマー鎖中のアルキン基の数は、C17アルキル鎖および-C≡CH基におけるプロトンの取込みを比較することによって約1.5であると推定された。アルキン官能基化されたPドットを、PFBT-C14Aをポリマー前駆体として使用して再沈殿方法によって調製し、このように得られたPドットを、細胞標的の生体直交型標識のために直接適用することができる。アジド基を有するO-連結糖タンパク質を濃縮するために、MCF-7細胞をN-アジドアセチルガラクトサミン(GalNAz)と共に3日間インキュベートした。GalNAz処理した細胞を、クリック反応によってアルキンPドットでタグを付け、明るい細胞表面標識を、アルキンPドットで陽性標識された細胞について観察した(図15)。PFBT-C14(アルキンを有さない)を使用した対照実験において、細胞表面の標識を検出しなかった(図15B)。これによって、標識は、Pドット表面上のアルキン基と細胞表面上の糖タンパク質中のアジド基との間の銅(I)によって触媒される環化付加によって達成されることが確認される。
【0118】
本発明を好ましい実施形態に重点を置いて記載してきたが、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、様々な改変および変形を本発明において行うことができることは当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、ここで開示されている本発明の明細書および実施を考慮することから当業者には明らかであろう。明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神は下記の請求項によって定義することを意図する。
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