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特許7519119ホルムアルデヒド分解触媒、ホルムアルデヒド分解フェルト及びそれらの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒド分解触媒、ホルムアルデヒド分解フェルト及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/32 20060101AFI20240711BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240711BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20240711BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240711BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240711BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 31/32 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 33/00 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 35/56 20240101ALI20240711BHJP
   B01J 35/58 20240101ALI20240711BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240711BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B01J23/32 A
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/014
A61L9/16 F
B01D53/04 110
B01D53/86 280
B01J31/32 A
B01J33/00 Z
B01J35/56 301Z
B01J35/58 E
B01J37/02 101C
B01J37/03 Z
B01J37/04 102
B01J37/06 ZAB
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022501256
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2020101244
(87)【国際公開番号】W WO2021008446
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】201910630483.6
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910934057.1
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517342280
【氏名又は名称】成都易態科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高麟
(72)【発明者】
【氏名】陳慧
(72)【発明者】
【氏名】王韜
(72)【発明者】
【氏名】莫代林
(72)【発明者】
【氏名】任徳忠
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109529613(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105013322(CN,A)
【文献】特開2000-079157(JP,A)
【文献】国際公開第2004/011376(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
A61L 9/00
A61L 9/01
A61L 9/014
A61L 9/16
B01D 53/04
B01D 53/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
δ型結晶構造のMnOにより形成されるサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなる、ホルムアルデヒド分解触媒であって、
前記サブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子は、直径が0.1~1ミクロンのサブミクロンサイズ花弁状粒子と直径が1~10ミクロンのミクロンサイズ花弁状粒子の組み合わせであり、
前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の洗浄液はアルカリ性であり、
前記ホルムアルデヒド分解触媒のpH値は、9~11であることを特徴とするホルムアルデヒド分解触媒。
【請求項2】
前記サブミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.1~5ミクロンの範囲に分布しており、より具体的には、主に0.3~5ミクロンの範囲に分布していることを特徴とする請求項1に記載のホルムアルデヒド分解触媒。
【請求項3】
前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.5~5ミクロンの範囲に分布していることを特徴とする請求項2に記載のホルムアルデヒド分解触媒。
【請求項4】
前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.5~3ミクロンの範囲に分布していることを特徴とする請求項3に記載のホルムアルデヒド分解触媒。
【請求項5】
通気性支持材と、通気性支持材に付着している、請求項1~のいずれかに記載のホルムアルデヒド分解触媒とを備えることを特徴とするホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項6】
前記ホルムアルデヒド分解触媒は、通気性支持材を構成する材料の外側に分布しており、主に通気性支持材を構成する材料間の細孔に充填されていることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項7】
前記ホルムアルデヒド分解触媒に分布している、アクリル系接着剤またはポリウレタン系接着剤が好ましいがこれらに限定されない接着剤を備えることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項8】
通気性支持材へのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量として、ホルムアルデヒド分解触媒の重量を通気性支持材の風上表面の面積で割ると、前記相対付着量は40g/m以上になることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項9】
前記通気性支持材は、100Paの圧力差での空気の透過率≧3000m/m・時間の通気性繊維フェルトであり、好ましくは、100Paの圧力差での空気の透過率≧5500m/m・時間の通気性繊維フェルトであり、前記相対付着量は40~120g/mであり、好ましくは、50~70g/mであることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項10】
前記通気性支持材は、PP繊維フェルトまたはPET繊維フェルトであることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項11】
前記通気性支持材は、発泡多孔質支持材または支持メッシュであり、前記通気性支持材が支持メッシュである場合、支持メッシュは、編みメッシュ、穴あきメッシュ、斜張メッシュのいずれかであることを特徴とする請求項に記載のホルムアルデヒド分解フェルト。
【請求項12】
通気性支持材と、通気性支持材に付着している、対応する揮発性有機物の分解触媒または吸着剤とを備え、また、
1)当該揮発性有機物ろ過材はホルムアルデヒド分解フェルトであり、当該ホルムアルデヒド分解フェルトは請求項5~11のいずれかに記載のホルムアルデヒド分解フェルトであり、かつ、当該ホルムアルデヒド分解フェルト中のホルムアルデヒド分解触媒は、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込まれて分散され、前記押し込み分散作業は、ホルムアルデヒド分解触媒を通気性支持材の表面に塗布する塗布工程において、及び/または塗布工程後の押し込み工程において行われ、また、
2)前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤は、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込まれて分散され、前記押し込み分散作業は、揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材の表面に塗布する塗布工程において、及び/または塗布工程後の押し込み工程において行われることを特徴とする揮発性有機物ろ過材。
【請求項13】
前記押し込み分散作業は、前記ホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤に通気性支持材の表面に垂直する押し込み力を加えることができる押し込み部材により実施されることを特徴とする請求項12に記載の揮発性有機物ろ過材。
【請求項14】
前記塗布工程及び/または押し込み工程は、押し込み部材として通気性支持材の表面に沿って平行に移動するスクレーパーにより、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込み分散させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の揮発性有機物ろ過材。
【請求項15】
前記塗布工程及び/または押し込み工程は、押し込み部材として通気性支持材の表面に沿って平行に転がるプレスローラーにより、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込み分散させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の揮発性有機物ろ過材。
【請求項16】
当該揮発性有機物ろ過材のろ過済み側に保護機能層が設けられ、前記保護機能層は多孔質構造であり、かつ、孔径が前記分解触媒または吸着剤の粒子径よりも小さい、請求項13に記載の揮発性有機物ろ過材
【請求項17】
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料として、かつ、下記手順A~Cを満たす、ホルムアルデヒド分解触媒の製造方法であって
A.過マンガン酸カリウムを60~110g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70~120g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は3:3~4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積または第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積を基準体積として設定した場合、基準体積は50Lを下回らなく、
B.第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた基準体積の2倍以上の水に同時に滴下し、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液をすべて10~45分以内に同時に滴下し、そして、反応が完了するまで混合液を70~90℃で十分に撹拌し、
C.反応済みの混合液から固液分離によりホルムアルデヒド分解触媒を得ることを特徴とするホルムアルデヒド分解触媒の製造方法。
【請求項18】
対象物質をアルカリ洗浄しアルカリ洗浄されたホルムアルデヒド分解触媒を得て、前記対象物質は、
1)過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を原料として混合反応により得られるホルムアルデヒド分解触媒、
2)請求項17に記載のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法の手順Bで得られる沈殿物、または
3)請求項17に記載のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法の手順Cで得られるホルムアルデヒド分解触媒であることを特徴とするホルムアルデヒド分解触媒の製造方法。
【請求項19】
通気性支持材を提供すること、
ホルムアルデヒド分解触媒を含有する供給液を提供すること、
及び前記供給液を通気性支持材に押し込み分散させることを含み、
その中で、前記ホルムアルデヒド分解触媒は、
1)請求項1~のいずれかに記載のホルムアルデヒド分解触媒、
2)請求項17~18のいずれかに記載のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法により得られるホルムアルデヒド分解触媒であることを特徴とするホルムアルデヒド分解フェルトの製造方法。
【請求項20】
前記供給液は、塗布工程で通気性支持材に付着し、前記押し込み分散工程は前記塗布工程に含まれることを特徴とする請求項19に記載のホルムアルデヒド分解フェルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本明細書の発明は主に濾過の技術分野に関し、特に空気濾過浄化の技術分野に関する。
〔背景技術〕
空気中の汚染物質は、主に固体汚染物質および気体汚染物質に分けられる。空気中の固体汚染物質(例えばPM10、PM2.5)の汚染について、通常物理的濾過(つまり、物理的方法により特定の対象を分離させる)で除去するが、空気中の気体汚染物質(例えばVOC、つまり、有機ガス状物質)について、通常化学的濾過(つまり、物質の化学的性質により特定の対象を分離させる)で除去する。
【0002】
固体汚染物質中の微粒子(例えばPM2.5)は人間の健康に大きな害を及ぼす。物理的濾過により微粒子を除去する場合、濾過効率が高く、通気性が良好である線維濾過材料(例えば、ガラス線維、PP(ポリプロピレン)繊維、PET(ポリエチレンテレフタレート)線維、膨張PTFE(フッ素)線維等)は特によく使用される材料である。しかし、このような材料は、使用中にその線維束に細菌が付着し繁殖しやすくなり、二次汚染が発生する恐れがある。
【0003】
気体汚染物質の中で、ホルムアルデヒドは、人体に大きな危害を及ぼす物質である。化学的濾過によりホルムアルデヒドを除去する場合、金属酸化物中の二酸化マンガンをホルムアルデヒド分解触媒として用いる方法は、実施可能であり、いくつの態様において一定の利点を有すると考えられる。現在、ホルムアルデヒド分解触媒としての二酸化マンガンは、ナノスケール二酸化マンガンに限定され、これにより、ホルムアルデヒド分解触媒が使用上の許容可能なホルムアルデヒド除去効率に到達できるように、十分な比表面積を有することができる。
【0004】
空気中に異なる種類の汚染物質が含まれることが多いため、これらの汚染物質を除去するため、通常、濾過対象の異なる濾過装置を順次直列に接続して濾過系を形成する。該濾過系は、それぞれの独立した濾過装置で構成されてもよく、濾過装置が一体化して構成されてもよい。濾過装置の一体化により濾過系が形成される場合、異なる濾過装置の濾過材料は、それぞれ独立してカバー部材の中に取り付け、または、独立した部材として互いに組み合わせる。
【0005】
上記濾過系は,構造が比較的複雑であり、大きな空間が必要となる場合があり、また、製造コストが高いため、従来の家庭用空気清浄機、家庭用エアコン等の親機装置への適用が制限されることがある。特に、親機装置の構造を変更せず、または、少し変更するだけで、直接に親機装置にこのような濾過系を取り付けることは困難である。強引に取り付ける場合、如何に濾過系に十分な濾過面積を確保するかも課題となる。
〔発明の概要〕
上記背景技術に基づいて、新規な空気浄化の解決法を開発し、以下の発明を完成した。
【0006】
一態様において、本発明は、濾過材料、濾過アセンブリ、濾過器及び濾過方法であり、濾過材料に細菌が付着し繁殖することを改善する技術課題を解決することを目的とする。
【0007】
一態様において、本発明は、濾過構造、濾過アセンブリ及び濾過アセンブリの製造方法であり、濾過材料の異なる機能層の複合構造を最適化する技術課題を解決することを目的とする。
【0008】
一態様において、本発明は、ホルムアルデヒド分解触媒、ホルムアルデヒド分解フェルト及びそれらの製造方法であり、ホルムアルデヒドの効率的な接触分解の技術課題を解決することを目的とする。
【0009】
一態様において、本発明は、濾過アセンブリであり、プリーツ状濾過材料を封止し、濾過アセンブリを形成する技術課題を解決することを目的とする。
【0010】
濾過材料に細菌が付着し繁殖することを改善する技術課題を解決するために、濾過材料、濾過アセンブリ、濾過器及び濾過方法の技術案は以下の通りである。濾過材料は異なる機能層を含み、全ての機能層は物理的濾過層を含み、物理的濾過層は、金属濾過層及び繊維濾過層を含み、金属濾過層と繊維濾過層とが濾過方向において前後に重なっている。
【0011】
また、前記金属濾過層を導電層として用いることができ、前記線維濾過層を前記導電層の絶縁層として用いることができる。
【0012】
また、前記金属濾過層は、主に粉末焼結金属多孔質材料からなる。
【0013】
また、前記金属濾過層は厚さ≦200μmの折り曲げ可能な可撓性金属膜である。
【0014】
また、前記金属濾過層は、網状骨格、および、骨格のメッシュ孔に充填されている粉末焼結金属多孔質材料を含む。
【0015】
また、前記金属濾過層の平均孔径≦200μm、190μm、180μm、170μm、160μm、150μm、140μm、130μm、120μm、110μmまたは100μm、且つ前記金属濾過層の平均孔径≧5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmである。
【0016】
また、前記金属濾過層に比べ、前記線維濾過層は、固体粒子状物質に対する濾過効率がより高い。
【0017】
また、前記線維濾過層は、主にガラス線維、PP繊維、PET線維、膨張PTFE線維のうちの少なくとも1つの線維濾過材料からなり、及び/または、前記線維濾過層は主に超微細線維濾過材料からなる。
【0018】
また、前記金属濾過層と線維濾過層との隣接する2つの表面が密着しているが、接着されていない。
【0019】
また、前記すべての機能層に化学的濾過層が含まれ、前記物理的濾過層と化学的濾過層とが濾過方向において前後に重なっている。
【0020】
また、前記化学的濾過層は、少なくとも1つの揮発性有機物濾過層を含み、前記少なくとも1つの揮発性有機物濾過層は、対応する揮発性有機物の分解触媒及び/または吸着剤を含む。
【0021】
また、前記少なくとも1つの揮発性有機物濾過層はホルムアルデヒド濾過層であり、前記分解触媒は、主に由δ型結晶構造MnOで形成されているミクロンサイズ花弁状粒子からなり、前記サブミクロンーミクロンサイズ花弁状粒子の直径は主に0.5~5μmに分布している。
【0022】
また、前記線維濾過層は、電気絶縁性を有する繊維濾過層である。
【0023】
また、前記線維濾過層と前記少なくとも1つの揮発性有機物濾過層との隣接する2つの表面が密着しているが、接着されていない。
【0024】
また、前記すべての機能層に金属メッシュ支持層が含まれ、前記物理的濾過層と金属メッシュ支持層とが濾過方向において前後に重なっている。
【0025】
また、前記物理的濾過層、化学的濾過層と金属メッシュ支持層とが濾過方向において前後に順に重なっている。
【0026】
また、前記少なくとも1つの揮発性有機物濾過層と金属メッシュ支持層との隣接する2つの表面が密着しているが、接着されていない。
【0027】
また、該濾過材料はプリーツ状構造を有し、さらに、前記濾過材料のすべての機能層を積み重ねたブランクは、一体的に折り畳まれてプリーツ状構造を形成する。
【0028】
また、すべての機能層中の隣接する少なくとも2つの機能性の間には前記隣接する少なくとも2つの機能層の間の平行移動を防止できる局所接続構造が設けられている。
【0029】
また、前記局所接続構造は、濾過材料の端に沿って間隔を置いて配置され得るリベット止めを含み、前記リベット止めは、隣接する少なくとも2つの機能層にそれぞれ接続され、または、前記局所接続構造は、濾過材料の端に沿って間隔を置いて配置され得る接着点を含む。
【0030】
濾過アセンブリは、プリーツ状構造を有する、上記いずれか1つの濾過材料を含む濾過部、濾過材料の周囲に配置され、濾過材料をその内部に限定させ、濾過材料の両側を外側に開放させる位置決めフレームを含む位置決め部、及び、濾過材料と位置決め部との間に配置され、濾過対象物が濾過材料を通過せず、位置決めフレームの内側境界領域を貫通することを防止するための封止材を含む封止部を含む。
【0031】
また、前記位置決め部には、濾過材料中の金属濾過層と導電性接続するために用いられる導電部材が設けられ、前記金属濾過層は、絶縁的に濾過アセンブリ中に設置され、導電部材の導電により通電可能になる。
【0032】
また、前記封止材は、濾過材料の周囲と位置決めフレームとの間に接着されたシーラントを含む。
【0033】
また、前記封止材は、濾過材料の端に位置し、内側面と、対応する濾過材料の端が存在する面との間がシーラントにより接着され、外側面と、対応する位置決めフレームの内側面との間がシーラントにより接着されている少なくとも1つの封止板を含む。
【0034】
また、前記濾過材料は、外形が矩形であるプリーツ状構造であり、その一対の対向する辺はプリーツ波状の辺であり、別の一対の対向する辺は直線状の辺であり、前記位置決めフレームは、濾過材料に合わせた矩形の位置決めフレームであり、前記直線状の辺が存在する濾過材料の面と、対応する位置決めフレームの内側面とがそれぞれシーラントにより直接に接着され、前記プリーツ波状の辺と、対応する位置決めフレームの内側面とがそれぞれ前記少なくとも1つの封止板により接着されている。
【0035】
さらに、前記位置決めフレームは、ろ過材との間に封止材が設けられる側面位置決めフレームと、側面位置決めフレームの上端に設けられ、かつ、側面位置決めフレームの上辺に沿って伸びる上部位置決めフレームと、側面位置決めフレームの下端に設けられ、かつ、側面位置決めフレームの下辺に沿って伸びる下部位置決めフレームとを備える。
【0036】
さらに、上部位置決めフレームと側面位置決めフレームは別々に接続されており、上部位置決めフレームの底面は側面位置決めフレームの上端に合う段付き面を有し、上部位置決めフレームと側面位置決めフレームとの間のシーラントは基本的に前記段付き面の2つの平行な表面を覆う。
【0037】
さらに、前記位置決め部は、ろ過材に間隔を置いて設けられる複数組の隣接するプリーツウェーブの間にある支持材を含む、ろ過材の側面に設けられるプリーツ形状保持部材を備える。
【0038】
さらに、前記支持材は前記複数組の隣接するプリーツウェーブの間にそれぞれ充填され固化する位置決めシーラントで構成され、前記位置決めシーラントは隣接するプリーツウェーブのピーク間にのみそれぞれ充填される。
【0039】
ろ過器は、吸気口と、排気口と、風上側が吸気口に接続され風下側が排気口に接続される上記のろ過アセンブリのいずれかが取り付けられる、吸気口と排気口との間にある空気ダクトとを備える。
【0040】
さらに、エアフィルター機能付きのエアコンは前記ろ過器としても使用できる。
【0041】
ろ過方法は、上記のろ過材のいずれか、上記のろ過アセンブリのいずれか、または上記のろ過器のいずれかを介して空気をろ過・浄化することであり、その中で、金属ろ過層は帯電または非帯電である。
【0042】
上記のろ過材、ろ過アセンブリ、ろ過器及びろ過方法は、ろ過材における同じ物理ろ過層での金属ろ過層と繊維ろ過層との組み合わせによるものであり、使用時に、ろ過対象物が当該物理ろ過層を通過するとき、最初に金属ろ過層によりろ過され、次に繊維ろ過層により二次ろ過されるため、繊維ろ過層に侵入する細菌などの微生物の数が少なくなり、それにより繊維ろ過層での細菌の付着と繁殖が減少する一方、金属ろ過層の抗菌性が比較的良好であり、細菌が増殖しにくいため、物理ろ過層全体での細菌の繁殖という問題をある程度改善することができる。
【0043】
ろ過方向に沿って前後に重ね合っている金属ろ過層と繊維ろ過層は互いに支持することができるため、金属ろ過層と繊維ろ過層をろ過方向に沿って前後に重ね合わせることにより形成される積層自体の支持及び/または位置決めについて、金属ろ過層と繊維ろ過層以外の同じ部材により実現されることが多いので、金属ろ過層と繊維ろ過層で構成される機能ユニットが占有するスペースを削減するのに役立つ。
【0044】
ろ過材における異なる機能層の複合構造を最適化するという技術的問題を解決するために、ろ過構造、ろ過アセンブリ及びろ過アセンブリの製造方法の技術的解決策は次の通りである。
【0045】
ろ過構造は、異なる機能層を含み、かつ、全ての機能層の少なくとも2つの隣接する機能層が互いに密着しているが接着されていないろ過材を備える。当該ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、特定の形状のろ過材に一体加工・成形される。
【0046】
さらに、前記少なくとも2つの隣接する機能層は、次のいずれか、または2つ以上の形態の組み合わせで存在する。a)2つ以上の機能層を含む物理ろ過層、b)2つ以上の機能層を含む化学ろ過層。c)1つ以上の機能層を含む物理ろ過層と1つ以上の機能層を含む化学ろ過層の複合層、d)1つ以上の機能層を含む物理ろ過層と1つ以上の機能層を含む材料支持層の複合層、e)1つ以上の機能層を含む化学ろ過層と1つ以上の機能層を含む材料支持層の複合層、f)1つ以上の機能層を含む物理ろ過層と、1つ以上の機能層を含む化学ろ過層と、1つ以上の機能層を含む材料支持層の複合層。
【0047】
さらに、前記物理ろ過層は、金属ろ過層及び/または繊維ろ過層を含み、かつ/あるいは、前記化学ろ過層は、対応する揮発性有機物の分解触媒及び/または吸着剤を含有する少なくとも1つの揮発性有機物ろ過層を含み、かつ/あるいは、前記材料支持層は、金属メッシュ支持層を含む。
【0048】
さらに、前記少なくとも2つの隣接する機能層の間に、当該少なくとも2つの隣接する機能層の間の平行変位を防ぐことができる局所接続構造が設けられる。
さらに、前記局所接続構造は、前記少なくとも2つの隣接する機能層とそれぞれ接続されるリベット留め部材を備え、かつ/あるいは、前記局所接続構造は、接着点を備える。
【0049】
さらに、前記局所接続構造はろ過材の縁部に沿って間隔を置いて設けられる。
【0050】
さらに、前記リベット留め部材は2本の脚が内側に曲がったU字型の金属釘で構成され、前記少なくとも2つの隣接する機能層はU字型の金属釘の頭の接続部分と足の内側への曲げ部との間にクランプされる。
【0051】
さらに、前記ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、プリーツ構造のろ過材に一体加工・成形される。
【0052】
ろ過アセンブリは、ろ過材がすべての機能層を積み重ねたブランクによりプリーツ構造に一体加工・成形される上記のろ過構造のいずれかを有するろ過部と、ろ過材を内側に閉じ込め、かつ、ろ過材の両側を外側に開くようにろ過材の周囲に設けられる位置決めフレームを有する位置決め部と、ろ過材と位置決め部の間に設けられる、ろ過対象物がろ過材を通過せずに位置決めフレームの内側境界領域に侵入するのを防ぐための封止材を有する封止部とを備える。
【0053】
ろ過アセンブリの製造方法は、ろ過材の対応する機能層をそれぞれ形成するための個々のブランクを順次に重ね合わせ、積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクを形成すること、局所接続構造を介して前記ろ過材の対応する機能層をそれぞれ形成するための個々のブランクを局所接続部で水平移動防止型接続を実施すること、前記積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクを特定の形状のろ過材に一体加工・成形すること、及びろ過材をろ過アセンブリの他の部分と組み立て、ろ過アセンブリを形成することを含む。
【0054】
ろ過材の全ての機能層の少なくとも2つの隣接する機能層が互いに密着し接着されている場合、このような接着を実現するために、基本的に、互いに密着した機能層の間の界面で十分に流体の流れを妨げる粘性接合面、焼結接合面などの接合面を作り出すことは避けられないため、ろ過抵抗が増加する。反対に、ろ過材の全ての機能層の少なくとも2つの隣接する機能層が互いに密着しているが接着されていない場合、ろ過抵抗の増加という問題は発生しない。積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクは特定の形状のろ過材に一体加工・成形されるため、ろ過材を設計された形状と構造に形成することができることに加え、ろ過材内で互いに密着している機能層の形状と構造をほぼ同じにして、均一な流体のろ過を実現し、ろ過抵抗を低減することができ、また、これらの機能層は、ろ過材の全体的な強度を向上させるように互いに支持することもできる。
前記ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、プリーツ構造のろ過材に一体加工・成形される場合、ろ過材のろ過面積を増やすだけでなく、ろ過材のすべての機能層がプリーツ構造であるため、密着しているが接着されていない機能層の間の相対変位が発生しにくい。
【0055】
ホルムアルデヒドの効率的な接触分解を実現するという技術的問題を解決するために、ホルムアルデヒド分解触媒、ホルムアルデヒド分解フェルト及びそれらの製造方法の技術的解決策は以下の通りである。
【0056】
本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒は、主にδ型結晶構造のMnOにより形成されるサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなる。前記サブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子は、直径が0.1~1ミクロンのサブミクロンサイズ花弁状粒子と直径が1~10ミクロンのミクロンサイズ花弁状粒子の組み合わせである。
【0057】
通常、サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子は直径≧0.5ミクロンである。即ち、これらのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の中で、最大直径のミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、最小直径のサブミクロンサイズ花弁状粒子の直径よりも少なくとも0.5ミクロン大きい。
【0058】
さらに、前記サブミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.1~5ミクロンの範囲に分布しており、より具体的には、主に0.3~5ミクロンの範囲に分布している。さらに、前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.5~5ミクロンの範囲に分布している。さらに、前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の直径は、主に0.5~3ミクロンの範囲に分布している。
【0059】
さらに、前記サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の洗浄液はアルカリ性である。
【0060】
本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトは、通気性支持材と、通気性支持材に付着している、上記のいずれかのホルムアルデヒド分解触媒であるホルムアルデヒド分解触媒とを備える。
【0061】
さらに、前記ホルムアルデヒド分解触媒は、通気性支持材を構成する材料の外側に分布しており、主に通気性支持材を構成する材料間の細孔に充填されている。
【0062】
さらに、アクリル系接着剤またはポリウレタン系接着剤が好ましいが、これらに限定されない、前記ホルムアルデヒド分解触媒に分布している接着剤を備える。
【0063】
さらに、通気性支持材へのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量として、ホルムアルデヒド分解触媒の重量を通気性支持材の風上表面の面積で割ると、前記相対付着量は40g/m以上になる。
【0064】
さらに、前記通気性支持材は、100Paの圧力差での空気の透過率≧3000m/m・時間の通気性繊維フェルトであり、好ましくは、100Paの圧力差での空気の透過率≧5500m/m・時間の通気性繊維フェルトであり、前記相対付着量は40~120g/mであり、好ましくは、50~70g/mである。
【0065】
さらに、前記通気性支持材は、PP繊維フェルトまたはPET繊維フェルトである。
【0066】
さらに、前記通気性支持材は、発泡多孔質支持材または支持メッシュであり、前記通気性支持材が支持メッシュである場合、前記支持メッシュは、編みメッシュ、穴あきメッシュ、斜張メッシュのいずれかである。
【0067】
揮発性有機物ろ過材は、通気性支持材と、通気性支持材に付着している、対応する揮発性有機物の分解触媒または吸着剤とを備え、また、
1)当該揮発性有機物ろ過材はホルムアルデヒド分解フェルトであり、当該ホルムアルデヒド分解フェルトは上記のいずれかのホルムアルデヒド分解フェルトであり、かつ、当該ホルムアルデヒド分解フェルト中のホルムアルデヒド分解触媒は、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込まれて分散され、前記押し込み分散作業は、ホルムアルデヒド分解触媒を通気性支持材の表面に塗布する塗布工程において、及び/または塗布工程後の押し込み工程において行われ、また、
2)前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤は、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込まれて分散され、前記押し込み分散作業は、揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材の表面に塗布する塗布工程において、及び/または塗布工程後の押し込み工程において行われる。
【0068】
さらに、前記押し込み分散作業は、前記ホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤に通気性支持材の表面に垂直する押し込み力を加えることができる押し込み部材により実施される。
【0069】
さらに、前記塗布工程及び/または押し込み工程は、押し込み部材として通気性支持材の表面に沿って平行に移動するスクレーパーにより、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込み分散させる工程を含む。
【0070】
さらに、前記塗布工程及び/または押し込み工程は、押し込み部材として通気性支持材の表面に沿って平行に転がるプレスローラーにより、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒/前記揮発性有機物の分解触媒または吸着剤を通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込み分散させる工程を含む。
【0071】
上記のホルムアルデヒド分解触媒及び当該ホルムアルデヒド触媒分解を使用したホルムアルデヒド分解フェルトは、特定の結晶形態、微視的形態、直径サイズ及び直径分布を有するMnO粒子に関する。当該MnO粒子は、出願者が開発した大規模な製造工程により得られる。この工程は、ホルムアルデヒド分解触媒の製造効率を大幅に向上させるだけでなく、得られた生成物、即ち上記のホルムアルデヒド分解触媒も、予想以上のホルムアルデヒド除去効果を有し、従来のホルムアルデヒド分解触媒と比較すると、ホルムアルデヒド除去効率が理想的である。
【0072】
上記のホルムアルデヒド分解フェルトについて、ホルムアルデヒド分解触媒を通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込み分散させることにより、ホルムアルデヒド分解触媒を通気性支持材に均一に分散させることが困難であるという技術的課題を解決し、ホルムアルデヒド分解フェルトのホルムアルデヒド除去効果をさらに向上させるのに役立つ。
【0073】
また、上記の揮発性有機物ろ過材のろ過済み側に保護機能層を設けることもでき、前記保護機能層は多孔質構造であり、かつ、孔径が前記分解触媒または吸着剤の粒子径よりも小さい。前記保護機能層は、好ましくは、PP繊維フェルト、PTE繊維フェルトまたは静電綿である。揮発性有機物ろ過材と保護機能層は、接続層を介して接続することができ、接続層は、超音波複合層であってもよい。
【0074】
保護機能層を設けることにより、化学ろ過層から脱落した触媒をろ過し、触媒の寿命を延長することができ、化学ろ過層の寿命を30%延長できることが確認されている。また、保護機能層はろ過方向と反対の方向で保護機能層の前にあるろ過材の機能層を支持することができる。
【0075】
本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒の製造方法は、過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料として、ホルムアルデヒド分解触媒を得る方法であり、具体的には、以下の手順を含む。
【0076】
A.過マンガン酸カリウムを60~110g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70~120g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は3:3~4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積または第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積を基準体積として設定した場合、基準体積は50Lを下回らない。
【0077】
B.第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた基準体積の2倍以上の水に同時に滴下し、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液をすべて10~45分以内に同時に滴下し、そして、反応が完了するまで混合液を70~90℃で十分に撹拌する。
【0078】
C.反応済みの混合液から固液分離によりホルムアルデヒド分解触媒を得る。
【0079】
本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒の製造方法は、対象物質をアルカリ洗浄しアルカリ洗浄されたホルムアルデヒド分解触媒を得る。前記対象物質は、1)過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を原料として混合反応により得られるホルムアルデヒド分解触媒、2)上記のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法の手順Bで得られる沈殿物、または3)上記のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法の手順Cで得られるホルムアルデヒド分解触媒である。
【0080】
発明者は、過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を原料として調製されたホルムアルデヒド分解触媒が、感知される可能性のある異臭があり、アルカリ洗浄によりホルムアルデヒド分解触媒の異臭を除去でき、ホルムアルデヒド分解触媒のの向上を向上させることができる。
【0081】
本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの製造方法は、通気性支持材を提供すること、ホルムアルデヒド分解触媒を含有する供給液を提供すること、及び前記供給液を通気性支持材に押し込み分散させることを含み、その中で、前記ホルムアルデヒド分解触媒は、1)上記のいずれかのホルムアルデヒド分解触媒、2)上記のホルムアルデヒド分解触媒の製造方法により得られるホルムアルデヒド分解触媒、または3)主にδ型結晶構造のMnOにより形成されるサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなるホルムアルデヒド分解触媒である。
【0082】
さらに、前記供給液は、塗布工程で通気性支持材に付着し、前記押し込み分散工程は前記塗布工程に含まれる。
【0083】
プリーツ構造のろ過材をパッケージングしろ過アセンブリにするという技術的問題を解決するために、ろ過アセンブリの技術的解決策は次の通りである。
【0084】
ろ過アセンブリは、プリーツ構造となるろ過材を有するろ過部と、ろ過材を内側に閉じ込め、かつ、ろ過材の両側を外側に開くようにろ過材の周囲に設けられる位置決めフレームを有する位置決め部と、ろ過材と位置決め部の間に設けられる、ろ過対象物がろ過材を通過せずに位置決めフレームの内側境界領域に侵入するのを防ぐための封止材を有する封止部とを備える。
【0085】
さらに、前記封止材は、ろ過材の周囲と位置決めフレームとの間に接着されているシーラントを備える。
【0086】
さらに、前記封止材は、ろ過材の縁部にある、内側面と対応するろ過材の縁部が位置する面をシーラントで接着し、外側面と対応する位置決めフレームの内側面をシーラントで接着する少なくとも1つの封止板を備える。
【0087】
さらに、前記ろ過材は、外形が矩形であるプリーツ構造であり、当該ろ過材の1組の対辺はプリーツウェーブ状の辺であり、もう1組の対辺は直線状の辺であり、前記位置決めフレームは、ろ過材に合う矩形の位置決めフレームであり、前記直線状の辺が位置するろ過材の面と対応する位置決めフレームの内側面を直接シーラントで接着し、前記プリーツウェーブ状の辺と対応する位置決めフレームの内側面を前記少なくとも1つの封止板で接着する。
【0088】
さらに、前記位置決めフレームは、ろ過材との間に封止材が設けられる側面位置決めフレームと、側面位置決めフレームの上端に設けられ、かつ、側面位置決めフレームの上辺に沿って伸びる上部位置決めフレームと、側面位置決めフレームの下端に設けられ、かつ、側面位置決めフレームの下辺に沿って伸びる下部位置決めフレームとを備える。
【0089】
さらに、上部位置決めフレームと側面位置決めフレームは別々に接続されており、上部位置決めフレームの底面は側面位置決めフレームの上端に合う段付き面を有し、上部位置決めフレームと側面位置決めフレームとの間のシーラントは基本的に前記段付き面の2つの平行な表面を覆う。
【0090】
さらに、前記位置決め部は、ろ過材に間隔を置いて設けられる複数組の隣接するプリーツウェーブの間にある支持材を含む、ろ過材の側面に設けられるプリーツ形状保持部材を備える。
【0091】
さらに、前記支持材は、ろ過材の前側面にある前記複数組の隣接するプリーツウェーブの間にそれぞれ充填され固化する位置決めシーラントで構成され、前記位置決めシーラントは隣接するプリーツウェーブのピーク間にのみそれぞれ充填される。
【0092】
さらに、前記ろ過材は、少なくとも主に粉末焼結金属多孔質材料で構成される、厚さ≦200ミクロンで折り畳み可能な可撓性金属フィルムである金属ろ過層を含む。
【0093】
さらに、当該ろ過材は、異なる機能層を含み、全ての機能層の少なくとも2つの隣接する機能層が互いに密着しているが接着されていなく、前記異なる機能層は、金属メッシュで作られた金属メッシュ支持層であることが好ましい材料支持層を含み、当該ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、プリーツ構造のろ過材に一体加工・成形される。
【0094】
以下、添付図面及び具体的実施形態を参照し、本出願についてさらに説明する。本出願の追加の態様及び利点は、以下の説明に一部記載され、その一部は、以下の説明から明らかになるか、本出願の実践を通して理解される。
【0095】
〔図面の簡単な説明〕
本出願の一部を構成する添付図面は、本出願の理解のために使用され、添付図面に提供される内容及び本出願においてそれらに関連する説明は、本出願を説明するために使用することができるが、本出願の不適切な制限を構成するものではない。図1~7は本発明に係わるろ過アセンブリの製造工程を示す。
【0096】
図1〕ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの分解図である。
【0097】
図2〕ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの概略図である。
【0098】
図3〕ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクをろ過材のプリーツ構造に折り畳んだ後の概略図である。
【0099】
図4〕ろ過材にある複数組の隣接するプリーツウェーブの間にそれぞれ充填され固化する位置決めシーラントの概略図である。
【0100】
図5〕ろ過材に封止板を取り付ける概略図である。
【0101】
図6〕ろ過材を位置決めフレームに入れる前の概略図である。
【0102】
図7〕ろ過アセンブリの構造概略図である。
【0103】
図8〕本発明に係るろ過器の構造概略図である。
【0104】
図9図4に示す構造の写真である。
【0105】
図10〕本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真である。
図10の図(a)~(d)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
【0106】
図11図10に示すホルムアルデヒド分解触媒のX線回折(XRD)図である。
【0107】
図12〕本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの走査型電子顕微鏡写真である。
図12の図(a)~(d)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
【0108】
図13〕比較例1のホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真である。
図13の図(a)~(b)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
【0109】
図14〕実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
【0110】
図15〕実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
【0111】
図16〕比較例1のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
【0112】
図17〕本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの走査型電子顕微鏡写真である。
【0113】
図18〕実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトの包括的な性能試験図である。
【0114】
図19〕実施例B2及び実施例B6のホルムアルデヒド分解フェルトのホルムアルデヒド分解触媒の分布均一性を示す比較図である。
【0115】
〔符号の説明〕
100 ろ過材
110 物理ろ過層
111 金属ろ過層
112 繊維ろ過層
120 化学ろ過層
121 揮発性有機物ろ過層
121a 通気性支持材
121b 分解触媒
130 金属メッシュ支持層
101 プリーツ構造
101a プリーツウェーブ状の辺
101b 直線状の辺
101c プリーツウェーブ
200 ろ過アセンブリ
210 ろ過部
220 位置決め部
221 位置決めフレーム
221a 側面位置決めフレーム
221b 上部位置決めフレーム
221b1 段付き面
221c 下部位置決めフレーム
222 プリーツ形状保持部材
222a 位置決めシーラント
223 導電性部材
230 封止部
231 封止板
300 ろ過器
310 吸気口
320 排気口
400 プリーツウェーブ位置決めツーリング
〔発明を実施するための形態〕
以下、添付図面を参照し、本発明を明確かつ完全に説明する。当業者は、これらの説明に基づいて、本発明を実現することができる。
【0116】
添付図面を参照し本出願を説明する前に、本出願の以下の説明を含む各部分で提供される技術的解決策及び技術的特徴は、矛盾がない場合、これらの技術的解決策、技術的特徴を組み合わせる可能であることを特に指摘する必要がある。
【0117】
さらに、以下の説明で言及される実施形態及び実施例は、通常、本出願の実施形態及び実施例の一部にすぎず、それらのすべてではない。したがって、当業者により本出願に記載される実施形態及び実施例に基づいて、創造的な作業なしに得られた他のすべての実施形態及び実施例は、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【0118】
本出願の明細書と特許請求の範囲及び関連する部分における「包含」、「含む」、「有する」という用語及びそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。また、本出願における他の関連する用語と単位は、本出願の関連する内容に基づき合理的に説明することができる。
【0119】
図1~7と9は、本発明に係るろ過アセンブリの製造工程を示し、当該ろ過アセンブリとそのろ過材の関連する構造を説明できる。
【0120】
図1~7と9に示すように、ろ過アセンブリにおけるろ過材100は異なる機能層を含み、その全ての機能層は物理ろ過層110を含み、物理ろ過層110は金属ろ過層111と繊維ろ過層112を含み、金属ろ過層111と繊維ろ過層112とがろ過方向に沿って前後に重なっている。
【0121】
その中で、金属ろ過層111は、主に金属(合金を含む)でできている。当該金属ろ過層111は、好ましくは、主に粉末焼結金属多孔質材料で構成される金属ろ過層であり、より好ましくは、厚さ≦200ミクロンで折り畳み可能な可撓性金属フィルムである。
【0122】
前記可撓性金属フィルムは厚さ≦200ミクロンであるため、より高い通気性を実現しやすくなる。また、可撓性金属フィルム自体は折り畳み可能であるため、濾材100の曲げまたは折り畳みに影響しない。
【0123】
前記可撓性金属フィルムは、中国特許文書CN104874798Aに提供される方法で調製される多孔質フィルム、または他の方法で調製される可撓性金属フィルムであってもよい。
【0124】
本出願は、本出願の出願人が上記特許文書CN104874798Aの内容に基づき製造した商品名「紙型膜」の製品を使用することを勧める。
【0125】
紙型膜は、メッシュ状の骨格と、骨格の細孔に充填される粉末焼結金属多孔質材料を含む可撓性金属フィルムであり、厚さ≦200ミクロンで折り畳み可能である。
【0126】
上記の物理ろ過層において、紙型膜(または他の金属ろ過層111)の平均孔径は、一般に、5~200ミクロンの範囲に設定される。当該範囲の上限は、必要に応じて、190ミクロン、180ミクロン、170ミクロン、160ミクロン、150ミクロン、140ミクロン、130ミクロン、120ミクロン、110ミクロンまたは100ミクロンに設定することもできる。当該範囲の下限は、必要に応じて、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロンまたは100ミクロンに設定することもできる。
【0127】
上記の「平均孔径」という用語は、多孔質材料を特徴づけるために一般的に使用されるパラメータであり、バブル法で測定できる。本出願の出願人により出願される公開番号CN104266952Aの特許出願文書における関連技術は、金属ろ過層111の平均細孔径の測定に使用されることができる。
【0128】
金属ろ過層111の通気性とろ過効率の良いバランスを達成するために、金属ろ過層111の平均孔径は、通常、10~150ミクロン、さらに10~120ミクロン、さらに10~100ミクロン、さらに10~80ミクロンであってもよい。
【0129】
上記の「ろ過効率」という用語は、試験条件下でろ過対象ガスに含まれる固体粒子の量に対する、ろ過材によりろ過される固体粒子の量の比率を指す。
【0130】
金属ろ過層111は、銅、銀などの滅菌機能を有する金属物質を含んでもよい。上記のろ過材の1つ/いくつかの実施形態では、金属ろ過層111の粉末焼結金属多孔質材料は、主に粉末の焼結により形成される銅ニッケル合金からなり、このような金属ろ過層111は、「可撓性」の要件を満たすだけでなく、ある程度の滅菌機能も有することができる。
【0131】
繊維ろ過層112は、主に、無機非金属繊維(ガラス繊維など)、有機繊維(PP繊維など)またはそれらの複合材料でできている。一般に、繊維ろ過層112は、主に、ガラス繊維、PP繊維、PTE繊維及び発泡PTFE繊維の少なくとも1つの繊維ろ過材からなる。
【0132】
一般的に言えば、繊維ろ過層112による固体粒子に対するろ過効率は、金属ろ過層111よりも高い。
【0133】
繊維ろ過層112は、繊維ろ過層112がより良好なろ過効率及び通気性を有することができるように、主に超微細繊維ろ過材からなる繊維ろ過層が好ましい。
【0134】
上記の「超微細繊維ろ過材」は、ろ過対象ガス中の粒子径≧2.5μmの粉塵を98%以上除去できる繊維ろ過層にする直径を有する繊維ろ過材である。上記のガラス繊維、PP繊維、PET繊維及び発泡PTFE繊維はすべて超微細繊維ろ過材であってもよい。
【0135】
ろ過材100は、金属ろ過層111と繊維ろ過層112を組み合わせるものであるので、ろ過対象物が最初に金属ろ過層111によりろ過され、次に繊維ろ過層112により二次ろ過されるため、繊維ろ過層112に侵入する細菌の数が少なくなり、それにより繊維ろ過層での細菌の付着と繁殖が減少する一方、金属ろ過層111の抗菌性が比較的良好であり、細菌が増殖しにくいため、ろ過材100全体、特に物理ろ過層110での細菌の繁殖という問題をある程度改善することができる。
【0136】
ろ過方向に沿って前後に重ね合っている金属ろ過層111と繊維ろ過層112は互いに支持することができるため、金属ろ過層111と繊維ろ過層112をろ過方向に沿って前後に重ね合わせることにより形成される積層自体の支持及び/または位置決めについて、金属ろ過層111と繊維ろ過層112以外の同じ部材により実現されることが多いので、金属ろ過層111と繊維ろ過層112で構成される機能ユニットが占有するスペースを削減するのに役立つ。
【0137】
繊維ろ過層112が主に超微細繊維ろ過材からなる繊維ろ過層である場合、金属ろ過層111の平均孔径は10~100ミクロンであることが適切であり、さらに、20~80ミクロンがより適切である。
【0138】
経験によれば、多孔質ろ過材のろ過精度は、その平均孔径の約1/10に等しい。例えば、金属ろ過層111の平均孔径が80ミクロンである場合、そのろ過精度が約8ミクロンである。また、ろ過中に、金属ろ過層111にフィルターケーキが徐々に形成され、それにより、ろ過精度がさらに向上し、即ち、8ミクロン未満になる。したがって、金属ろ過層111の平均孔径が80ミクロンである場合、ろ過中に粒子径≦8ミクロンの固体粒子(粉塵)をろ過することができる。
【0139】
金属ろ過層111の平均孔径が10~100ミクロンである場合、金属ろ過層111は、PM10などのより大きな粒子径の固体粒子の大部分、カビ胞子(空気中の粒子径は主に1~100ミクロン)の大部分、及び一部の細菌(空気中の粒子径は主に0.5~10ミクロン)をろ過することができる。このように、繊維ろ過層112でのカビや細菌の付着と増殖を効果的に阻害することができる。
【0140】
しかしながら、金属ろ過層111の平均孔径が10~100ミクロンの下限に近い場合、金属ろ過層と繊維ろ過層に加え、他の機能層、特に物理的または化学的ろ過機能を有する機能層を含むろ過材は、通気性が低くなる。
【0141】
したがって、ろ過材100の全体的なろ過性能により、金属ろ過層111の平均孔径などの関連する技術的パラメータを選択することがより良い。
【0142】
ほとんどの金属ろ過層が導電性を持つという特性により、上記のろ過材100の金属ろ過層111は、導電層としても使用することができ、金属ろ過層111が外部電源により帯電されると、金属ろ過層111は、ろ過対象物における帯電粒子を反発・吸着することができ、それにより、ろ過材100のろ過効率を向上させる。
【0143】
一方、ほとんどの繊維ろ過層は絶縁性を持っているため、金属ろ過層111が導電層としても使用される場合、金属ろ過層111をろ過材100が取り付けられているハウジング及び/または他の部材(ろ過材の他の機能層など)に絶縁的に接続するように、繊維ろ過層112は導電層の絶縁層として機能することができる。
【0144】
導電層としての金属ろ過層111及び導電層の絶縁層としての繊維ろ過層112という設計は、金属ろ過層111及び繊維ろ過層112の材料特性をさらに利用し、金属ろ過層111と繊維ろ過層112をよりよく組み合わせるようにする。
【0145】
金属ろ過層111と繊維ろ過層112に加えて、ろ過材100のすべての機能層はまた、化学ろ過層120を含み、かつ、物理ろ過層110と化学ろ過層120はろ過方向に沿って前後に重ね合っている。
【0146】
好ましくは、化学ろ過層120は、対応する揮発性有機物分解触媒121bまたは吸着剤を含有する、少なくとも1つの揮発性有機物ろ過層121を備える。
【0147】
少なくとも1つの揮発性有機物ろ過層121は、一般に、分解触媒121bまたは吸着剤が付着している、通気性支持材121aを備える。
【0148】
好ましくは、少なくとも1つの揮発性有機物ろ過層121はホルムアルデヒドろ過層である。この場合、揮発性有機物の分解触媒または吸着剤は、ホルムアルデヒド分解触媒またはホルムアルデヒド吸着剤でなければならない。
【0149】
一般的に言えば、前記ホルムアルデヒドろ過層は、通気性支持材121aと、通気性支持材121aに付着しているホルムアルデヒド分解触媒またはホルムアルデヒド吸着剤とを備える。
【0150】
好ましくは、ホルムアルデヒド分解触媒は、本出願の出願人により開発されたホルムアルデヒド分解触媒であり、これは主にδ型結晶構造のMnOにより形成されるサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなる。
【0151】
上記のホルムアルデヒド分解触媒の主な利点は、ホルムアルデヒド除去効果が高く、大量生産が可能なことである。ホルムアルデヒド分解触媒及びそれを使用するホルムアルデヒドろ過層は、本明細書の後続の部分で具体的に説明される。
【0152】
前記ホルムアルデヒド分解触媒は、二酸化チタン触媒(光触媒技術を使用)などの他の触媒に置き換えることもできる。また、従来技術には様々な代替のホルムアルデヒド吸着剤があり、例えば、活性炭、ゼオライト、多孔質粘土鉱石などを使用することができる。本出願ではホルムアルデヒド吸着剤を使用する場合、活性炭を使用することが好ましい。
【0153】
金属ろ過層111が導電層としても使用され、繊維ろ過層112が導電層の絶縁層として使用される場合、繊維ろ過層112は、金属ろ過層111とホルムアルデヒドろ過層との間で絶縁の役割を果たすため、金属ろ過層111の帯電によるホルムアルデヒド分解触媒またはホルムアルデヒド吸着剤への影響を防止でき、例えば、金属ろ過層111の帯電によりホルムアルデヒド分解触媒の表面の電子構造に影響し触媒活性を低下させることを防止する。
【0154】
また、金属ろ過層111が外部電源に接続されているか否かに関わらず、その表面に電荷を帯びている場合がある。繊維ろ過層が電気絶縁特性を有する繊維ろ過層として設定される場合、金属ろ過層111の表面電荷による少なくとも1つの揮発性有機物ろ過層121上の分解触媒121bまたは吸着剤への影響を防ぐことができ、例えば、金属ろ過層111の表面電荷により分解触媒121bの表面の電子構造に影響し触媒活性を低下させることを防止する。
【0155】
金属ろ過層111と繊維ろ過層112に加えて、ろ過材100のすべての機能層はまた、金属メッシュ支持層130を含み、かつ、物理ろ過層110と金属メッシュ支持層130はろ過方向に沿って前後に重ね合っている。
【0156】
可能であれば、金属メッシュ支持層130は、他の材料による支持層に置き換えることもできる。いわゆる「等価」の意味は、特許侵害の判断における「等価の原則」と一致している。
【0157】
ろ過材100のすべての機能層は、化学ろ過層120を含む場合、物理ろ過層110、化学ろ過層120及び金属メッシュ支持層130はろ過方向に沿って前後に順次に重ね合っている。
【0158】
金属メッシュ支持層130の基本的な機能は、機能層がろ過方向に沿って変形するのを防ぐために、ろ過方向と反対の方向に沿って金属メッシュ支持層130の前に設けられるろ過材100の機能層を支持し、これらの機能層がろ過方向に沿って変形するのを防ぐ。
【0159】
ろ過材100が化学ろ過層120を含む場合、化学ろ過層120がろ過材の全体的な通気性にある程度の影響を及ぼすことを考慮すると、金属ろ過層111の平均孔径を適切に大きくしてもよい。
【0160】
ろ過材100の1つ/いくつかの実施形態では、ろ過材は、金属ろ過層111、繊維ろ過層112、ホルムアルデヒドろ過層及び金属メッシュ支持層130からなり、その中で、金属ろ過層111の平均孔径は、約42ミクロン、約55ミクロン、79ミクロン、85ミクロンなどの40~90ミクロンの範囲に設定され、これらの金属ろ過層111の使用効果はよい。
【0161】
好ましくは、ろ過材100は、プリーツ構造101を有し、かつ、ろ過材100のすべての機能層を積み重ねたブランクは、プリーツ構造101に一体的に折りたまれ成形される。表面が滑らかなろ過材と比較して、プリーツ構造101を有するろ過材100は、ろ過材のろ過面積を大幅に増加させることができ、それにより、ろ過効率を向上させる。
【0162】
ろ過材100のすべての機能層が金属メッシュ支持層130も含む場合、プリーツ構造101を使用すると、金属メッシュ支持層130は、ろ過方向と反対の方向に沿って、金属メッシュ支持層130の前に設けられるろ過材100の機能層を支持することに加え、プリーツ構造101のプリーツウェーブ101cに対する位置決め・形状保持の機能を有し、これにより、ある程度でプリーツウェーブ101cの変形を防止し、プリーツウェーブ101cの間の隙間の不整合を防止できる。
【0163】
さらに、図1~7に示すように、ろ過材100でできたろ過アセンブリ200は、
プリーツ構造101となるろ過材100を有するろ過部210と、
ろ過材100を内側に閉じ込め、かつ、ろ過材100の両側を外側に開くようにろ過材100の周囲に設けられる位置決めフレーム221を有する位置決め部220と、
ろ過材100と位置決め部220の間に設けられる、ろ過対象物がろ過材100を通過せずに位置決めフレーム221の内側境界領域に侵入するのを防ぐための封止材を有する封止部230とを備える。
【0164】
ろ過アセンブリ200は、上記のろ過材100を使用するとき、ろ過材100を、全体としてろ過器などの親機器に脱着可能に設置できる独立したモジュールにするために設計される具体的な実施形態であり、これにより、ろ過アセンブリの個別の製造、販売、設置、交換を容易にする。
【0165】
なお、ろ過アセンブリ200は、ろ過材料100を使用するのに限定されるものではなく、一般に、プリーツ構造を有する任意のろ過材を使用することができることに留意されたい。
【0166】
ろ過材100の金属ろ過層111が導電層としても使用される場合、ろ過アセンブリ200の位置決め部220には、ろ過材100の金属ろ過層111と導電的に接続するための導電性部材223も設けることができ、同時に、金属ろ過層111は、ろ過アセンブリ200に絶縁的に取り付けられ、導電性部材223の伝導により帯電することができる。
【0167】
導電性部材223は、位置決め部220に設けられ、好ましくは、ろ過アセンブリ200がろ過器などの親機器に取り付けられた後、ろ過器などの親機器上の電気接続端子に自動的に接触することができる方法で設置される任意の導体であり得る。
【0168】
例えば、位置決め部220に接点223a(接点は位置決めフレーム221の側面に設けられてもよく、ろ過アセンブリ200がろ過器などの親機器に取り付けられる場合、接点223aの側面はろ過器などの親機器上の電気接続端子に接触する)を設け、銅端子ラグ223bを介して接点223aと金属ろ過層111を接触させる。
【0169】
ろ過アセンブリ200の一実施形態では、封止部230の封止材は、ろ過材100の周囲と位置決めフレーム221との間に接着されているシーラントのみである。
【0170】
ろ過アセンブリ200の別の実施形態では、封止部230の封止材は、ろ過材100の縁部にある、内側面と対応するろ過材100の縁部が位置する面をシーラントで接着し、外側面と対応する位置決めフレーム221の内側面をシーラントで接着する封止板231を備える。
【0171】
したがって、最初に、封止板231とろ過材100を接着し、次に、封止板231が接着されているろ過材100を位置決めフレーム221に密封状態で取り付けることができるため、封止板231を介してろ過材100を簡単に位置決めフレーム221に密封状態で取り付けることができる。しかしながら、封止板231を設けることは、ろ過アセンブリの製造コストを増加させ、ある程度のスペースを取る。
【0172】
ろ過アセンブリ200のさらに別の実施形態では、ろ過材100は、外形が矩形であるプリーツ構造であり、当該ろ過材100の1組の対辺はプリーツウェーブ状の辺101aであり、もう1組の対辺は直線状の辺101bであり、位置決めフレーム221は、ろ過材100に合う矩形の位置決めフレームであり、直線状の辺101bが位置するろ過材100の面と対応する位置決めフレーム221の内側面を直接シーラントで接着し、プリーツウェーブ状の辺101aと対応する位置決めフレーム221の内側面を少なくとも1つの封止板231で接着する。
【0173】
したがって、直線状の辺101bが位置するろ過材100の面と対応する位置決めフレーム221の内側面を直接シーラントで接着し、プリーツウェーブ状の辺101aと対応する位置決めフレーム221の内側面を少なくとも1つの封止板231で接着する。
【0174】
このよう、封止板231を介してろ過材100を簡単に位置決めフレーム221に密封状態で取り付け、プリーツウェーブ状の辺101aを効果的に封止するという目的を達成できるだけでなく、使用される封止板231の数も減少し、直線状の辺101bが位置するろ過材100上の面と対応する位置決めフレーム221の内側面が向かい合って接着されているので、密封効果がよい。
【0175】
ろ過材100をよりよく固定・封止するために、位置決めフレーム221は、ろ過材100との間に封止材が設けられる側面位置決めフレーム221aと、側面位置決めフレーム221aの上端に設けられ、かつ、側面位置決めフレーム221aの上辺に沿って伸びる上部位置決めフレーム221bと、側面位置決めフレーム221aの下端に設けられ、かつ、側面位置決めフレーム221aの下辺に沿って伸びる下部位置決めフレーム221cとを備える。位置決めフレーム221とろ過材100との間の封止材はシーラントであってもよい。
【0176】
位置決めフレーム221では、位置決めフレーム221にろ過材100を設置してから上部位置決めフレーム221bを側面位置決めフレーム221aに取り付けるために、上部位置決めフレーム221bと側面位置決めフレーム221aは別々に接続されることが好ましい。
【0177】
この上で、上部位置決めフレーム221bの底面が、側面位置決めフレーム221aの上端に合う段付き面221b1に設計され、上部位置決めフレーム221bと側面位置決めフレーム221aとの間のシーラントが基本的に前記段付き面の2つの平行な表面を覆うことが好ましい。このよう、上部位置決めフレーム221bの取り付けと位置決めを容易にし、ろ過材100に対する上部位置決めフレーム221bの密封効果を確保にすることができる。
【0178】
上部位置決めフレーム221b及び下部位置決めフレーム221cは、ろ過材100を制限し、側面位置決めフレーム221a内によりよく閉じ込むことができる。
【0179】
ろ過アセンブリ200では、表面が滑らかなろ過材と比較して、プリーツ構造101を有するろ過材100は、ろ過材のろ過面積を大幅に増加させることができ、それにより、ろ過効率を向上させる。しかしながら、プリーツ構造101のプリーツウェーブ101cは、使用中に変形する可能性があるため、プリーツウェーブ101c間の隙間が不整合になり、ろ過材にろ過流束が不均一に分布することにつながる。
【0180】
上記の課題について、ろ過アセンブリ200の位置決め部220は、ろ過材100に間隔を置いて設けられる複数組の隣接するプリーツウェーブ101cの間にある支持材を含む、ろ過材100の側面に設けられるプリーツ形状保持部材222を備えてもよい。
【0181】
プリーツ形状保持部材222ではろ過材100に間隔を置いて設けられる複数組の隣接するプリーツウェーブ101cの間にある支持材を介して、プリーツウェーブ101cの変形を防止することにより、ろ過材100に分布するろ過流束の均一性を確保する。
【0182】
好ましくは、前記支持材は、複数組の隣接するプリーツウェーブ101cの間にそれぞれ充填され固化する位置決めシーラント222aで構成され、このように形成された支持材は、低コストで製造が容易であり、かつ、プリーツウェーブ101cに脱落することなく接着できる。
【0183】
さらに、位置決めシーラント222aは、対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間にのみ充填されてもよいので、ろ過材での位置決めシーラント222aの被覆面積を減らし、ろ過効率に対する位置決めシーラントの影響を軽減できる。
【0184】
好ましくは、対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間の隙間に充填される位置決めシーラント222aの深さは、1.5cm、1.2cm、1cm、1cm、0.8cmまたは0.5cm以下である。
【0185】
対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間の隙間に充填される位置決めシーラント222aの深さは、ろ過材の特性などの要素に関係している。例えば、ろ過材が比較的柔らかい場合、位置決めシーラント222aがプリーツウェーブ101cを効果的に支持することが困難であるため、位置決めシーラント222aが対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間にのみ充填されるべきではない。
【0186】
ろ過アセンブリ200でのろ過材100の金属ろ過層111は、変形に対して比較的高い耐性を有し、また、金属ろ過層111は、理想的な表面粗さを有する、主に粉末焼結金属多孔質材料からなる金属ろ過層であることが好ましいので、位置決めシーラント222aが金属ろ過層の表面に設けられることにより、位置決めシーラント222aが、対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間にのみ充填されるという効果を実現することができる。
【0187】
また、位置決めシーラント222aは、ろ過材100の側面に連続的な位置決めシーラントラインを形成してもよい。このとき、プリーツ形状保持部材222は、ろ過材100の側面に設けられる、重ね合っていない少なくとも2つの位置決めシーラントラインを備えてもよい。
【0188】
以下、図1~7及び9を参照し、本発明に係るろ過アセンブリの実施形態の製造方法をさらに説明する。
【0189】
I.ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクを得る
図1は、ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの分解図である。図2は、ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの概略図である。
【0190】
図1~2に示すように、ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、それぞれ、金属ろ過層111としてのブランク、繊維ろ過層112としてのブランク、化学ろ過層120としてのブランク、及び金属メッシュ支持層130としてのブランクを含み、それらは別々の部材である。
【0191】
その中で、金属ろ過層111のブランクは、主に粉末焼結により形成された銅ニッケル合金からなり、それは厚さ≦200ミクロンで折り畳み可能な可撓性金属フィルムである。
【0192】
金属ろ過層111のブランクは、網目状の骨組み及び骨組みのメッシュ孔に充填された粉末焼結金属多孔質材料(銅ニッケル合金)を備え、金属ろ過層111の平均孔径は40~90ミクロンに設定されている。
【0193】
繊維ろ過層112のブランクは、市場から購入した超微細繊維ろ過材を採用し、そのろ過精度により、繊維ろ過層は、ろ過対象ガス中の粒子径≧2.5μmの粉塵を98%以上除去できる。
【0194】
化学ろ過層120のブランクは、揮発性有機物ろ過層121からなり、具体的には、通気性支持材と、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒を備えるホルムアルデヒドろ過層であり、その中で、前記通気性支持材は市販のPP(ポリプロピレン)通気性フィルムであり、前記ホルムアルデヒド分解触媒は本出願の出願者が開発したホルムアルデヒド分解触媒であり、主にδ型結晶構造のMnOにより形成されるサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなり、かつ、前記サブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子の直径が主に0.3~5ミクロンの範囲に分布している。
【0195】
金属メッシュ支持層130のブランクは、市場から購入したステンレス鋼メッシュである。
【0196】
上記のブランクを順番に積み重ね、上部には金属ろ過層111のブランク、下には繊維ろ過層112のブランク、さらに下には化学ろ過層120のブランク、下部には金属メッシュ支持層130のブランクである。
【0197】
後続の成形工程におけるこれらの積み重ねられたブランクの転位を回避するために、上記の4つの機能層のブランク間に、それらが平行に変位するのを防ぐことができる局所接続構造140が設けられるという技術的手段も講じられる。
【0198】
局所接続構造140は、具体的には、ろ過材の縁部に沿って間隔を置いて設けられるリベット留め部材141を採用し、各リベット留め部材141は、それぞれ、上記の4つの機能層のブランクに同時に接続される。
【0199】
リベット留め部材141の構造は、市販のステープルと同様であり、脚が内側に曲がったU字形の金属釘で構成されている。上記の4つの機能層のブランクは、U字型の金属釘の頭の接続部と脚の内側に曲がった部の間にクランプされ、この場合、これらの4つの機能層のブランクについて、隣接する2つのブランクが互いに密着しているが接着されていない。
【0200】
II.ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクは、特定の形状のろ過材に一体加工・成形される
図3は、積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクが、ろ過材のプリーツ構造に一体的に折り畳まれた後の概略図である。図4は、ろ過材の複数組の隣接するプリーツウェーブ間に充填され固化した位置決めシーラントの概略図である。図9は、図4に示す構造の写真である。
【0201】
図3に示すように、積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクを一体的に折り畳み(既存の折り畳み装置で実施する)、積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクをろ過材100のプリーツ構造101に一体的に折り畳み成形する。
【0202】
ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクに、事前にリベット留め部材141が設けられるので、一体的に折り畳むとき、金属ろ過層111としてのブランク、繊維ろ過層112としてのブランク、化学ろ過層120としてのブランク及び金属メッシュ支持層130としてのブランクのいずれの部分も変位しない。
【0203】
図3に示すように、プリーツ構造101が形成された後、その後の作業を容易にするために、プリーツウェーブ位置決めツール400も使用される。プリーツウェーブ位置決めツール400はストリップ形状であり、プリーツ構造101のプリーツウェーブ101cに1対1で対応する位置決め溝を有し、プリーツ構造101のプリーツウェーブ101cは、それぞれ、対応する位置決め溝にスナップすることができる。
【0204】
プリーツ構造101に同時に異なるプリーツウェーブ位置決めツール400が設けられる可能である。例えば、プリーツ構造101の上下部にそれぞれ2つのプリーツウェーブ位置決めツール400が設けられ、プリーツ構造101の上部にある2つのプリーツウェーブ位置決めツール400は、それぞれプリーツ構造101の縁部に近く、プリーツ構造101の下部にある2つのプリーツウェーブ位置決めツール400は、それぞれプリーツ構造101の縁部に近い。このよう、プリーツ構造101の全体的な構造が安定して維持される。
【0205】
プリーツウェーブ位置決めツール400により保持されているプリーツ構造101を、金属ろ過層111が上を向くように特別に設計された接着剤塗布機にセットする。接着剤塗布機のコンベヤーベルトは、プリーツウェーブ位置決めツール400により保持されているプリーツ構造101を平行に移動するように駆動し、移動方向は、プリーツウェーブ位置決めツール400の長さ方向と一致する。
【0206】
接着剤塗布機のコンベヤーベルトの上にインジェクターが設けられ、プリーツウェーブ位置決めツール400により保持されているプリーツ構造101がインジェクターの下を通過するとき、インジェクターは、位置決めシーラントをプリーツ構造101の上部に注入する。位置決めシーラントを注入するとき、インジェクターはろ過材100のプリーツウェーブ101cのウェーブ方向に沿ってろ過材100に対する相対移動を行うので、金属ろ過層111の表面に注入された位置決めシーラント222aは、最後に連続的な位置決めシーラントラインを形成する。
【0207】
プリーツ構造101とインジェクターとの間の相対速度及び単位時間あたりのインジェクターの噴射量を制御することにより、隣接するプリーツウェーブ101cの間の隙間に注入される位置決めシーラント222aが、対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間にのみ充填されたらすぐに固化することを確保できる。
【0208】
この実施形態では、対応する隣接するプリーツウェーブ101cのピーク間の隙間に充填された位置決めシーラント222aの深さは、わずか約0.5cmである(図9に示す)。
【0209】
プリーツ形状保持部材222が設置された後、プリーツウェーブ位置決めツール400を取り外す。
【0210】
金属ろ過層111、繊維ろ過層112、化学ろ過層120及び金属メッシュ支持層130の隣接する機能層が互いに密着しているが接着されていないので(図9に示すように、ろ過材の断面から別々の異なる機能層を見ることができる)、機能層が接着されている場合のろ過抵抗の増加という問題を引き起こしない。
【0211】
また、金属ろ過層111、繊維ろ過層112、化学ろ過層120及び金属メッシュ支持層130は、材料や機能が異なるため、別々に製造する必要があり、接着せずに密着するだけでろ過材の生産効率の向上に寄与する。
【0212】
同時に、積み重ねられたろ過材のすべての機能層のブランクは、特定の形状のろ過材に一体加工・成形されるため、ろ過材内で互いに密着している機能層の形状及び構造が基本的に同じであり、かつ、互いに支持することができる。
【0213】
前記ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクがプリーツ構造のろ過材に一体加工・成形される場合、ろ過材はより大きなろ過面積を有するだけでなく、ろ過材のすべての機能層はプリーツ構造であるため、密着しているが接着されていない機能層間の相対変位は起こりにくい。
【0214】
ろ過材100は、プリーツ形状保持部材222及び金属メッシュ支持層130を介して、ろ過材の風上側及び風下側にそれぞれ位置決められ支持されるので、ろ過材の長い耐用年数を確保できる。
【0215】
III.ろ過アセンブリに組み立てられる
図5は、ろ過材に封止板を取り付ける概略図である。図6は、ろ過材を位置決めフレームに入れる前の概略図である。図7は、ろ過アセンブリの構造概略図である。
【0216】
図2、5及び6に示すように、ろ過材100は、外形が矩形であるプリーツ構造であり、当該ろ過材100の1組の対辺はプリーツウェーブ状の辺101aであり、もう1組の対辺は直線状の辺101bであり、位置決めフレーム221は、ろ過材100に合う矩形の位置決めフレームであり、位置決めフレーム221へのろ過材100のパッケージングを容易にするために、ろ過材100を位置決めフレーム221に入れる前に、それぞれシーラントで対応する封止板231を各プリーツウェーブ状の辺101aに取り付ける。
【0217】
また、それぞれシーラントで対応する封止板231を各プリーツウェーブ状の辺101aに取り付けるとともに、ろ過材100に位置決めシーラント222aも設けられているので、ろ過材100の直線状の辺101bが移動しにくく、続いて直線状の辺101bが位置するろ過材100上の面をそれぞれシーラントで対応する位置決めフレーム221の内側面に直接接着するのが困難である。この問題を解決するために、ろ過材100は複数の独立した機能層を有するので、直線状の辺101bが位置するろ過材100にある金属ろ過層111を部分的に剥がしてもよく、シーラントで剥離された金属ろ過層111(図5参照)を対応する位置決めフレーム221の内側面に直接接着する。
【0218】
図6に示すように、ろ過材100を位置決めフレーム221に入れ、このとき、直線状の辺101bが位置するろ過材100上の面(即ち、剥離された金属ろ過層111)をそれぞれシーラントで対応する位置決めフレーム221の内側面に直接接着し、プリーツウェーブ状の辺101aをそれぞれ封止板231を介して、対応する位置決めフレーム221の内側面に接着する。
【0219】
ろ過アセンブリ200の他の態様の組立について、本明細書の前述の内容を参照することができ、ここでは繰り返さない。要するに、上記の工程を通じて、ろ過アセンブリ200の完成品が得られる。
【0220】
図8は、本発明に係るろ過器の概略構造図である。図8に示すように、本発明に係るろ過器の一実施形態において、ろ過器300は、吸気口310と、排気口320と、風上側が吸気口310に接続され風下側が排気口320に接続される上記のろ過アセンブリ200が取り付けられる、吸気口と排気口との間にある空気ダクトとを備える。
【0221】
エアフィルター機能付きのエアコンはろ過器300としても使用できる。ろ過材100の特殊な構造により、ろ過アセンブリ200の厚さが比較的薄く、ろ過アセンブリ200は、従来の家庭用エアコンに直接設置することができる。
【0222】
また、ろ過器300が動作するとき、ろ過アセンブリ200の金属ろ過層111は、選択的に帯電または非帯電することができる。
【0223】
以下、本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒に関連する内容を具体的に説明する。以下の説明において、ホルムアルデヒド分解触媒の実施例は、「実施例A1」、「実施例A2」、「実施例A3」等(以下同様)で示されている。ホルムアルデヒド分解フェルトの実施例は、「実施例B1」、「実施例B2」、「実施例B3」等(以下同様)で示されている。
実施例A1
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを95g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が50Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算され、約50Lに相当する。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた100Lの水に同時に滴下し、滴定時間は10分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0224】
図10は、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真であり、図10の図(a)~(d)は、顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。図11は、図10に示すホルムアルデヒド分解触媒のX線回折(XRD)図である。
【0225】
図10に示すように、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒は、主にサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなる。その中で、ミクロンサイズ花弁状粒子の直径(即ち粒子径)は主に1~3ミクロンに分布し、サブミクロンサイズ花弁状粒子の直径は主に0.1~1ミクロンに分布している。
【0226】
さらに観察すると、これらのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子は凝集する傾向があり、粒子径の不均一な分布により、多数のサブミクロンサイズ花弁状粒子がミクロンサイズ花弁状粒子の周りに不規則に分布し、凝集したサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の比表面積が増加したことがわかった。
【0227】
図11に示すように、δ型結晶構造の二酸化マンガン(JCPDS 80-1089)の(001)、(002)及び(111)結晶面の標準回折ピーク及び文献「異なる結晶構造の二酸化マンガンの制御可能な調製条件に関する研究、王歌など、無機塩工業、2017年8月」により実証でき、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒のサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子は、δ型結晶構造のMnOである。
実施例A2
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを60g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は1であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が50Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算された。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた100Lの水に同時に滴下し、滴定時間は10分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0228】
実施例A2のホルムアルデヒド分解触媒を走査型電子顕微鏡で観察し、実施例A2のホルムアルデヒド分解触媒は、主にサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子からなるという特徴を有し、そのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の粒子径分布は、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒と同様である。
【0229】
実施例A2のホルムアルデヒド分解触媒に実施したX線回折試験により、実施例A2のホルムアルデヒド分解触媒のサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子がδ型結晶構造のMnOであることを確認した。
実施例A3
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを110g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを120g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は1.1であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が50Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算された。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた100Lの水に同時に滴下し、滴定時間は10分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0230】
実施例A3のホルムアルデヒド分解触媒を走査型電子顕微鏡で観察し、実施例A3のホルムアルデヒド分解触媒は、主にサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子からなるという特徴を有し、そのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の粒子径分布は、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒と同様である。
【0231】
実施例A3のホルムアルデヒド分解触媒に実施したX線回折試験により、実施例A3のホルムアルデヒド分解触媒のサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子がδ型結晶構造のMnOであることを確認した。
実施例A4
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを95g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が100Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算され、約100Lに相当する。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた200Lの水に同時に滴下し、滴定時間は18分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0232】
実施例A4のホルムアルデヒド分解触媒を走査型電子顕微鏡で観察し、実施例A4のホルムアルデヒド分解触媒は、主にサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子からなるという特徴を有し、そのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の粒子径分布の不均一性は、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒のそれよりも大きい。
【0233】
実施例A4のホルムアルデヒド分解触媒に実施したX線回折試験により、実施例A4のホルムアルデヒド分解触媒のサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子がδ型結晶構造のMnOであることを確認した。
実施例A5
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを95g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が300Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算され、約300Lに相当する。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた600Lの水に同時に滴下し、滴定時間は35分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0234】
図12は、実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真であり、図12の図(a)~(d)は、顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。図12に示すように、実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒は、主にサブミクロン-ミクロンスサイズ花弁状粒子からなる。その中で、ミクロンサイズ花弁状粒子の直径は主に1~4ミクロンに分布し、サブミクロンサイズ花弁状粒子の直径は主に0.3~1ミクロンに分布している。
【0235】
さらに観察すると、これらのサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子は凝集する傾向があり、粒子径の不均一な分布により、多数のサブミクロンサイズ花弁状粒子がミクロンサイズ花弁状粒子の周りに不規則に分布し(この現象は、実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒よりも明らかである)、凝集したサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子の比表面積が増加したことがわかった。実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒に実施したX線回折試験により、実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒のサブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子がδ型結晶構造のMnOであることを確認した。
【0236】
δ型結晶構造のMnOの粒子径分布の不均一性は、原料の過マンガン酸カリウム溶液または硫酸マンガン溶液の体積及び対応する滴定時間に関係していると推測された。さらに、原料の過マンガン酸カリウム溶液または硫酸マンガン溶液の体積が大きく、対応する滴定時間が長い場合、最初に核形成する粒子が主に大きくなると推測された。
実施例A6
過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン及び水を混合反応の原料としてホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを95g/Lの過マンガン酸カリウム溶液に調製し第一滴定タンクに入れ、硫酸マンガンを70g/Lの硫酸マンガン溶液に調製し第二滴定タンクに入れ、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウムと第二滴定タンクの硫酸マンガンの物質量の比率は4:3であり、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液の体積を基準体積として設定し、基準体積が50Lに設定される場合、第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液の体積は、上記の条件及び過マンガン酸カリウムと硫酸マンガンの分子量に基づいて計算され、約50Lに相当する。次に、第一滴定タンクの過マンガン酸カリウム溶液と第二滴定タンクの硫酸マンガン溶液を、混合反応器に事前に加えられた100Lの水に同時に滴下し、滴定時間は10分に設定され、そして、混合液を80℃で2時間撹拌した。最後に、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒にアルカリ洗浄、洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0237】
前記アルカリ洗浄は、ホルムアルデヒド分解触媒をアルカリ性溶液で洗浄することである。この実施形態では、ホルムアルデヒド分解触媒を脱イオン水に添加し、次に一定量のアルカリ液を添加し、溶液のpH値を9~11に調整し、最後に遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た。
比較例1
過マンガン酸カリウムと無水エタノールを混合反応の原料として、ホルムアルデヒド分解触媒を得た。具体的には、過マンガン酸カリウムを濃度(質量パーセント)1.25%の過マンガン酸カリウム溶液に調製し、4Lの過マンガン酸カリウム溶液と1Lの無水エタノールを混合・攪拌し、室温で10時間反応させ、反応済みの混合液から遠心脱水によりホルムアルデヒド分解触媒を得た後、得られたホルムアルデヒド分解触媒に洗浄、乾燥及び分散を行った。
【0238】
図13は、比較例1のホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真であり、図13の図(a)~(b)は、顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。図13に示すように、比較例1のホルムアルデヒド分解触媒は、主にナノサイズ粒子の凝集により形成された。比較例1のホルムアルデヒド分解触媒に実施したX線回折試験により、比較例1のホルムアルデヒド分解触媒がδ型結晶構造のMnOであることを確認した。
【0239】
それぞれ実施例A1、実施例A5、比較例1のホルムアルデヒド分解触媒を使用しホルムアルデヒド除去性能試験を実施した。試験の原理と方法について、密閉された実験キャビンを作成し、サイズは550mm×415mm×315mmで、ホルムアルデヒド注入口とホルムアルデヒド濃度試験装置が設けられ、実験キャビンの両側に空気出口と空気入口があり、直径200mmの配管で空気出口と空気入口を接続し、配管にファンが取り付けられており、また、試験用ホルムアルデヒド分解触媒の積み卸しのためのフランジのセットも取り付けられている。
【0240】
試験前に、一定量のホルムアルデヒド分解触媒をPP通気性フィルムに均一に塗布し、塗布量は0.04g/cmとし、そして、別のPP通気性フィルムでホルムアルデヒド分解触媒を覆い、ホルムアルデヒド分解触媒を挟んだ2枚のPP通気性フィルムをフランジの間にクランプし、ホルムアルデヒド分解触媒を配管内に固定した。
【0241】
試験中に、まず一定の体積と濃度のホルムアルデヒド溶液を加熱し、ホルムアルデヒド注入口から実験キャビンに注入し、実験キャビンにおけるホルムアルデヒドの初期濃度を1.4~2.0mg/mにした。実験キャビン内のホルムアルデヒド濃度が最高値に上昇し1分間安定したら、ファンを始動し時間を計り、5分ごとにキャビン内のホルムアルデヒド濃度を記録し、試験時間は15分であり、この間、ファンの出力は一定に保たれている(風速は約3m/s)。15分後、上記のようにホルムアルデヒドを再注入し、15分の試験を繰り返した。各ホルムアルデヒド分解触媒は、4回繰り返し試験された。
【0242】
図14図15及び図16は、それぞれ実施例A1、実施例A5及び比較例1のホルムアルデヒド分解触媒を使用し上記のホルムアルデヒド除去性能試験を実施することにより得られた実験キャビン内のホルムアルデヒド濃度の変化のグラフである。
【0243】
図14図15及び図16により、以下のように計算することができる。実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒を使用し上記のホルムアルデヒド除去性能試験を実施する場合、最初の10分間のホルムアルデヒド除去効率は76.2である。実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒を使用し上記のホルムアルデヒド除去性能試験を実施する場合、最初の10分間のホルムアルデヒド除去効率は81.2%である。比較例1のホルムアルデヒド分解触媒を使用しホルムアルデヒド除去性能試験を実施する場合、最初の10分間のホルムアルデヒド除去効率は64%である。
【0244】
実施例A1及び実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒のホルムアルデヒド除去効率は、比較例1のホルムアルデヒド分解触媒のそれよりも優れている。その理由は、比較例のホルムアルデヒド分解触媒はナノサイズ粒子からなるが、凝集する傾向があり、特に通気性支持材に付着した場合、これらの粒子はブロックに凝集するため、空気中のホルムアルデヒドとの完全な接触を妨げると推測された。実施例のホルムアルデヒド分解触媒は、粒子径の分布が不均一であるため、多数のサブミクロンサイズ花弁状粒子がミクロンサイズ花弁状粒子の周りに不規則に分布し、これにより、サブミクロン-ミクロンサイズ花弁状粒子が凝集後に空気中のホルムアルデヒドと完全に接触しやすくなった。
【0245】
また、複数名の試験者による嗅覚試験(試験サンプルを試験者の鼻の下15cmに置いた)により、実施例A6のホルムアルデヒド分解触媒は実施例A1~A5のホルムアルデヒド分解触媒と比較して臭いが著しく減少した。
【0246】
本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒は、直接製品として製造・販売・使用されてもよいが、ホルムアルデヒド分解フェルトに使用されホルムアルデヒド分解フェルトとして製造・販売・使用されてもよい。図17は、本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの走査型電子顕微鏡写真である。図17に示すように、本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトは、通気性支持材121aと、通気性支持材に付着しているホルムアルデヒド分解触媒(分解触媒121bに属する)とを備える。
【0247】
図17に示すように、前記ホルムアルデヒド分解触媒は、通気性支持材121aを構成する材料の外側に分布し、主に通気性支持材を構成する材料間の細孔に充填されている。
【0248】
また、前記ホルムアルデヒド分解触媒は、一般に、通気性支持材121aに安定して付着することができるように、前記ホルムアルデヒド分解触媒にある接着剤をさらに備える。前記接着剤は、アクリル系接着剤またはポリウレタン系接着剤が好ましく、これら2種類の接着剤は、ホルムアルデヒド分解触媒の性能に悪影響を及ぼさない。
【0249】
通気性支持材121aへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量としてホルムアルデヒド分解触媒の重量を通気性支持材121aの風上面の面積で割ると、本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒のホルムアルデヒド除去効率により、前記相対付着量は一般に40g/m以上であるため、ホルムアルデヒド分解フェルトは基本的に商業的に許容されるホルムアルデヒド除去効果を有する。
【0250】
特に相対付着量が40g/m以上であるとき、通気性支持材121aにホルムアルデヒド分解触媒が付着している場合、通気性支持材121aの通気性が著しく低下したため、ホルムアルデヒド分解フェルトが良好なホルムアルデヒド除去効果と適度な通気性を持つために、通気性支持材121aは、100Paの圧力差での空気の透過率≧3000m/m・時間の通気性繊維フェルトであることが推奨される。
【0251】
本発明に係るろ過材は異なる機能層を備え、ホルムアルデヒド分解フェルトは機能層の1つにすぎないので、ろ過材全体の通気性を確保するために、通気性支持材121aは、100Paの圧力差での空気の透過率≧5500m/m・時間の通気性繊維フェルトであることが好ましい。
【0252】
上記の「100Paの圧力差での空気の透過率」は、その単位「m/m・時間」により理解できる。具体的には、「100Paの圧力差での空気の透過率」とは、100Paの圧力差で1時間あたり1平方メートルあたりのホルムアルデヒド分解フェルトを通過する空気の立方メートルの値を指す。
【0253】
上記の通気性要件を満たす通気性繊維フェルトは、PP繊維フェルト、PET繊維フェルトなどの従来技術から入手することができる。PP繊維フェルトとPET繊維フェルトは、通気性が良いだけでなく、強度やその他の特性も適している。
【0254】
本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトは、ろ過材の機能層の1つとして使用できるだけでなく、他の用途もある。この場合、ホルムアルデヒド分解フェルトの通気性支持材121aの形状と性能も大幅に変更できる。
【0255】
ホルムアルデヒド濃度が高い場所(家具工場、塗料工場など)では、ホルムアルデヒドをよりよく除去するために、発泡多孔質支持材をホルムアルデヒド分解フェルトの通気性支持材121aとして使用できるため、より多くのホルムアルデヒド分解触媒が付着している。ホルムアルデヒド分解フェルトを特定のチャネルに独立して設置するために、通気性支持材121aは支持メッシュであってもよく、この支持メッシュは編みメッシュ、穴あきメッシュ、斜張メッシュなどであってもよい。
実施例B1
実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒を分散剤及び接着剤と混合し、供給液を調製した。その中で、接着剤はアクリル酸であり、分散剤は水である。通気性支持材121aはPP繊維フェルトである。塗布工程により前記供給液をPP繊維フェルトに塗布した。塗布中に、PP繊維フェルトでできたストリップがコンベヤーローラーの駆動下で液体に浸され、液体の表面から垂直に持ち上げ、供給液の上にある一対のスクレーパー間に形成されたチャネルを通過した。各スクレーパーは、対応するPP繊維フェルトの表面に沿って平行に移動しているため、PP繊維フェルトの表面に垂直な絞り力をホルムアルデヒド分解触媒に加え、それにより、PP繊維フェルトに付着しているホルムアルデヒド分解触媒を、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込分散させ、最後に、ホルムアルデヒド分解フェルトを乾燥させ、ホルムアルデヒド分解フェルトを得た。乾燥後、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量は約40g/mであることが検出された。
実施例B2
実施例B1を基にして、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量を増加させた。乾燥後、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量は、約60g/mであることが検出された。
実施例B3
実施例B1を基にして、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量を増加させた。乾燥後、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量は、約80g/mであることが検出された。
実施例B4
実施例B1を基にして、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量を増加させた。乾燥後、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量は、約100g/mであることが検出された。
実施例B5
実施例B1を基にして、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量を増加させた。乾燥後、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量は、約120g/mであることが検出された。
実施例B6
実施例B2を基にして、塗布工程と乾燥工程との間に押し込み工程を追加した。前記押し込み工程は、一対のプレスローラーを含み、一対のプレスローラーの間にチャネルが形成され、各プレスローラーは、対応するホルムアルデヒド分解フェルトの表面に沿って平行に転がり、PP繊維フェルトに付着しているホルムアルデヒド分解触媒を、通気性支持材を構成する材料間の細孔に押し込分散させ。
【0256】
実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトを使用し、それぞれホルムアルデヒド除去性能試験を実施した。試験の原理と方法は、ホルムアルデヒド分解触媒に対するホルムアルデヒド除去性能試験とほぼ同じであるが、PP通気性フィルムを使用せずにホルムアルデヒド分解フェルトをフランジ間に直接クランプするという点で違いである。
【0257】
図18は、実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトの包括的な性能試験図である。図18に示すように、横座標は、PP繊維フェルトへのホルムアルデヒド分解触媒の相対付着量であり、その中で、「40」は、付着量が約40g/mであることを意味し、実施例B1のホルムアルデヒド分解フェルトに対応、残りはこれによって類推する。図18の左側の縦座標は、風量であり、単位がm/m・時間であり、1時間あたり1平方メートルあたりのホルムアルデヒド分解フェルトを通過する空気の立方メートルの値を意味する。値が大きいほど、ホルムアルデヒド分解フェルトの通気性が良くなり、反対に悪くなる。図18の左側の縦座標は、ホルムアルデヒド除去率であり、図14~16に示したものと同じデータから計算できる。
【0258】
図18に示すように、実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトを使用し上記のホルムアルデヒド除去性能試験を実施する場合、最初の10分間のホルムアルデヒド除去効率は、約66%から72%まで上昇し、ある程度の上昇があるが、その幅が大きくない。
【0259】
それぞれ実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトを使用し通気性試験を実施し、即ち、特定の圧力差(具体的に10Paである)での1時間あたり1平方メートルあたりのホルムアルデヒド分解フェルトを通過する空気の立方メートルの値を測定した。流量計の目盛の制限により、実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトを使用し通気性試験を実施する場合、同じホルムアルデヒド分解フェルトを6枚積み重ねることで試験するようになり、これにより、流量を減らし、流量計の目盛の制限を満たした。
【0260】
図18に示すように、実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトの通気性は順次低下した。相対付着量が約70g/m(60g/m~70g/m)の場合、ホルムアルデヒド分解フェルトの通気性とホルムアルデヒド除去効率のバランスが最も優れている。
【0261】
図18に示すように、相対付着量が120g/mの場合、ホルムアルデヒド分解フェルトの通気性が0であるが、この現象は、ホルムアルデヒド分解フェルトが気密であることを意味するものではない。これは、試験中に同じホルムアルデヒド分解フェルトを6枚積み重ねたことに対し、実際には各ホルムアルデヒド分解フェルトがある程度の通気性があるためである。
【0262】
図19は、実施例B2及び実施例B6のホルムアルデヒド分解フェルトにあるホルムアルデヒド分解触媒の分布均一性の比較図である。この比較図は2種類のホルムアルデヒド分解フェルトに光を当てて観察するものであり、実施例B6のホルムアルデヒド分解フェルトにあるホルムアルデヒド分解触媒の分布は明らかにより均一で微細であることがはっきりと分かった。
【0263】
以上、本出願の内容を説明した。当業者は、これらの説明に基づいて本出願を実施することができるであろう。また、本出願の上記の内容に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られた他のすべての好ましい実施形態及び実施例は、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0264】
図1】ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの分解図である。
図2】ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクの概略図である。
図3】ろ過材のすべての機能層を積み重ねたブランクをろ過材のプリーツ構造に折り畳んだ後の概略図である。
図4】ろ過材にある複数組の隣接するプリーツウェーブの間にそれぞれ充填され固化する位置決めシーラントの概略図である。
図5】ろ過材に封止板を取り付ける概略図である。
図6】ろ過材を位置決めフレームに入れる前の概略図である。
図7】ろ過アセンブリの構造概略図である。
図8】本発明に係るろ過器の構造概略図である。
図9図4に示す構造の写真である。
図10】本発明に係るホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真である。図10の図(a)~(d)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
図11図10に示すホルムアルデヒド分解触媒のX線回折(XRD)図である。
図12】本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの走査型電子顕微鏡写真である。図12の図(a)~(d)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
図13】比較例1のホルムアルデヒド分解触媒の走査型電子顕微鏡写真である。図13の図(a)~(b)は顕微鏡観察中に無差別にスライドガラスで選択された視野の写真である。
図14】実施例A1のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
図15】実施例A5のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
図16】比較例1のホルムアルデヒド分解触媒を用いてホルムアルデヒド除去性能試験を実施した場合のホルムアルデヒド濃度の経時変化グラフである。
図17】本発明に係るホルムアルデヒド分解フェルトの走査型電子顕微鏡写真である。
図18】実施例B1~B5のホルムアルデヒド分解フェルトの包括的な性能試験図である。
図19】実施例B2及び実施例B6のホルムアルデヒド分解フェルトのホルムアルデヒド分解触媒の分布均一性を示す比較図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15
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図18
図19