(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】弁構造
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F16K5/04 A
(21)【出願番号】P 2023054755
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502345393
【氏名又は名称】株式会社ワイ・ジェー・エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】米澤 育大
(72)【発明者】
【氏名】亀山 修司
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-089498(JP,A)
【文献】特開2020-097970(JP,A)
【文献】特開2016-031139(JP,A)
【文献】特開2003-301967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0104025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の流路(7)と、前記第一の流路(7)と接続する第二の流路(8)と、が形成された本体部(2)と、
前記本体部(2)内に挿入され、軸周りの回
転に伴って前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)との間の通水状態と遮断状態を切り替える、前記通水状態において前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)を連通させる連通路(14)が形成された弁体(3)と、
前記本体部(2)と前記弁体(3)との間に介在する環状のシール部材(5)と、
を有し、前記遮断状態において、前記シール部材(5)によって形成される面の一方側に前記第一の流路(7)が、他方側に前記第二の流路(8)が位置するとともに、前記面の一方側または他方側のいずれかのみに前記第一の流路(7)および前記第二の流路(8)に連通可能な前記連通路(14)の開口が位置しており、前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)との間が液密的に区画され
ており、
前記通水状態において前記第一の流路(7)または前記第二の流路(8)の位置に対応するガイド部材貫通孔(21)と、軸方向の一端側に前記第一の流路(7)および前記第二の流路(8)の中心軸に対して傾斜した傾斜端部(22)と、が形成され、前記本体部(2)と前記弁体(3)との間に介在するように設けられた、前記弁体(3)を案内する、前記本体部(2)に対し軸周りに回転不能とされたガイド部材(4)をさらに有し、軸方向から前記傾斜端部(22)に沿うように設けられた前記シール部材(5)が、前記傾斜端部(22)と前記本体部(2)の内面に形成された段部(23)との間に形成された溝部に位置している弁構造。
【請求項2】
前記連通路(14)が、前記弁体(3)の前記本体部(2)への挿入方向に向かって開口する有底凹部(15)と、前記通水状態において前記有底凹部(15)から前記ガイド部材貫通孔(21)の位置に対応して開口する連通路貫通孔(16)とを有し、前記連通路貫通孔(16)が前記ガイド部材貫通孔(21)の形成範囲内に含まれる請求項
1に記載の弁構造。
【請求項3】
前記弁体(3)の回転方向において、前記第二の流路(8)内に形成された貫通孔が前記ガイド部材貫通孔(21)の形成範囲内に含まれており、前記ガイド部材貫通孔(21)の前記回転方向の内縁に前記本体部(2)の内面が露出している請求項
1に記載の弁構造。
【請求項4】
前記本体部(2)が、前記第一の流路(7)と接続する第三の流路(47)をさらに有し、前記本体部(2)と前記弁体(3)との間に介在して、前記第一の流路(7)と前記第三の流路(47)を液密的に区画する補助シール部材(46)が設けられている請求項1から
3のいずれか1項に記載の弁構造。
【請求項5】
前記弁体(3)が軸方向に相対回転不能とされた第一弁体(3a)と第二弁体(3b)から構成され、前記第一弁体(3a)と前記第二弁体(3b)にそれぞれ前記連通路(14)が形成されており、前記第一の流路(7)が、前記第一弁体(3a)側に接続される第一流入路(7a)と、前記第二弁体(3b)側に接続される第二流入路(7b)と、からなり、第一通水状態において、前記第一流入路(7a)が前記第三の流路(47)に、前記第二流入路(7b)が前記第二の流路(8)にそれぞれ通じ、前記弁体(3)を軸周りに所定角度回転させた第二通水状態において、前記第一流入路(7a)が前記第二の流路(8)に、前記第二流入路(7b)が前記第三の流路(47)にそれぞれ通じるように構成された請求項
4に記載の弁構造。
【請求項6】
第一の流路(7)と、前記第一の流路(7)と接続する第二の流路(8)と、が形成された本体部(2)と、
前記本体部(2)内に挿入され軸方向への移動に伴って前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)との間の通水状態と遮断状態を切り替える、前記通水状態において前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)を連通させる連通路(14)が形成された弁体(3)と、
前記本体部(2)と前記弁体(3)との間に介在する環状のシール部材(5)と、
を有し、前記遮断状態において、前記シール部材(5)によって形成される面の一方側に前記第一の流路(7)が、他方側に前記第二の流路(8)が位置するとともに、前記面の一方側または他方側のいずれかのみに前記第一の流路(7)および前記第二の流路(8)に連通可能な前記連通路(14)の開口が位置しており、前記第一の流路(7)と前記第二の流路(8)との間が液密的に区画されており、
前記通水状態において前記第一の流路(7)または前記第二の流路(8)の位置に対応するガイド部材貫通孔(21)と、軸方向の一端側に前記第一の流路(7)および前記第二の流路(8)の中心軸に対して傾斜した傾斜端部(22)と、が形成され、前記本体部(2)と前記弁体(3)との間に介在するように設けられた、前記弁体(3)を案内する、前記本体部(2)に対し軸周りに回転不能とされたガイド部材(4)をさらに有し、軸方向から前記傾斜端部(22)に沿うように設けられた前記シール部材(5)が、前記傾斜端部(22)と前記本体部(2)の内面に形成された段部(23)との間に形成された溝部に位置している弁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温水暖房装置の排水部などに採用される弁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温水を熱媒体として利用する暖房装置においては、暖房回路を構成する鉄管から剥離して温水中に混入し、暖房回路に設けられた異物除去装置によって捕獲された鉄粉や錆などの異物を定期的に暖房回路の外に排出する必要がある。この異物排出のために、例えば下記特許文献1、2に示すドレンコック構造を採用することができる。これらは、タンクの下端に設けられたドレンパイプの先端にドレンコックをねじ込んでこのドレンパイプを閉塞する一方で、ドレンコックを緩めることによって、ドレンパイプに形成されたドレン排出路から水とともに異物を排出するように構成されている。
【0003】
特許文献1、2に係る構成は、ねじ式のドレンコックを複数回回転させることで軸方向に移動させて排出路を開放する必要があり、作業が煩雑になりやすい。そこで、ねじ式のドレンコックの代わりに、例えば
図24に示す弁構造100のように、軸周りに180度回転することによって本体部101の流入路102と排出路103との間の通水状態と遮断状態を切り替える弁体104を採用し、異物の排出作業を簡便に行い得るようにすることが考えられる。この弁体104の内部には、通水状態において流入路102と排出路103を連通する連通路105が形成されており、その軸方向の両端外周には、本体部101の内周と弁体104の外周との間に介在する環状のシール部材106が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-223644号公報
【文献】特開2003-83696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図24に示した構成においては、弁構造100の遮断状態において、連通路105に形成された連通路貫通孔107から本体部101の内周と弁体104の外周との間の隙間を通って流体が漏出するおそれがある(
図24中の矢印fを参照)。そこで、この発明は、弁体の遮断状態において流体が排出路から漏出するのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、この発明においては、
第一の流路と、前記第一の流路と接続する第二の流路と、が形成された本体部と、
前記本体部内に挿入され、軸周りの回転または軸方向への移動に伴って前記第一の流路と前記第二の流路との間の通水状態と遮断状態を切り替える、前記通水状態において前記第一の流路と前記第二の流路を連通させる連通路が形成された弁体と、
前記本体部と前記弁体との間に介在する環状のシール部材と、
を有し、前記遮断状態において、前記シール部材によって形成される面の一方側に前記第一の流路が、他方側に前記第二の流路が位置するとともに、前記面の一方側または他方側のいずれかのみに前記第一の流路および前記第二の流路に連通可能な前記連通路の開口が位置しており、前記第一の流路と前記第二の流路との間が液密的に区画された弁構造を構成した。
【0007】
このようにすると、遮断状態において、連通路内の流体は、シール部材によって形成される面の一方側から他方側、すなわち、第一の流路側から第二の流路側に到達することができないため、遮断状態における流体の漏出を防止することができる。
【0008】
前記構成においては、前記通水状態において前記第一の流路または前記第二の流路の位置に対応するガイド部材貫通孔と、軸方向の一端側に前記第一の流路および前記第二の流路の中心軸に対して傾斜した傾斜端部と、が形成され、前記本体部と前記弁体との間に介在するように設けられた、前記弁体を案内する、前記本体部に対し軸周りに回転不能とされたガイド部材をさらに有し、軸方向から前記傾斜端部に沿うように設けられた前記シール部材が、前記傾斜端部と前記本体部の内面に形成された段部との間に形成された溝部に位置している構成とすることができる。
【0009】
このようにすると、弁体の軸周りの回転に伴ってシール部材が回転しないため、シール部材が第二の流路を横切ることに起因するこのシール部材にかかる負荷を防止して、シール部材の長寿命化を図ることができる。
【0010】
前記ガイド部材を設けた構成においては、前記連通路が、前記弁体の前記本体部への挿入方向に向かって開口する有底凹部と、前記通水状態において前記有底凹部から前記ガイド部材貫通孔の位置に対応して開口する連通路貫通孔とを有し、前記連通路貫通孔が前記ガイド部材貫通孔の形成範囲内に含まれる構成とすることができる。
【0011】
このようにすると、弁体を通水状態としたときに、ガイド部材貫通孔の中心と連通路貫通孔の中心が多少ずれていたとしても流体がスムーズに排出路に向かって流れるため、ガイド部材貫通孔の内縁に流体中の異物(鉄粉や錆など)が付着してトラブルの原因となるのを防止することができる。
【0012】
前記ガイド部材を設けた構成においては、前記弁体の回転方向において、前記第二の流路内に形成された貫通孔が前記ガイド部材貫通孔の形成範囲内に含まれており、前記ガイド部材貫通孔の前記回転方向の内縁に前記本体部の内面が露出している構成とすることができる。
【0013】
このようにすると、弁開度が比較的小さいときに高速で噴射される流体が、本体部の内面に一旦衝突してその勢いが弱められるため、第二の流路から排出される流体が周囲に飛び散るのを抑制することができる。
【0014】
前記のすべての構成においては、前記本体部が、前記第一の流路と接続する第三の流路をさらに有し、前記本体部と前記弁体との間に介在して、前記第一の流路と前記第三の流路を液密的に区画する補助シール部材が設けられている構成とすることができる。
【0015】
このようにすると、各流路の間で高い液密性を有する三方弁を構成することができる。
【0016】
前記第三の流路を有する構成においては、前記弁体が軸方向に相対回転不能とされた第一弁体と第二弁体から構成され、前記第一弁体と前記第二弁体にそれぞれ前記連通路が形成されており、前記第一の流路が、前記第一弁体側に接続される第一流入路と、前記第二弁体側に接続される第二流入路と、からなり、第一通水状態において、前記第一流入路が前記第三の流路に、前記第二流入路が前記第二の流路にそれぞれ通じ、前記弁体を軸周りに所定角度回転させた第二通水状態において、前記第一流入路が前記第二の流路に、前記第二流入路が前記第三の流路にそれぞれ通じるように構成することができる。
【0017】
このようにすると、各流路の間で高い液密性を有する四方弁を構成することができる。
【0018】
また、上記のガイド部材を設けた構成とする代わりに、前記弁体の外周に前記第一の流路および前記第二の流路の中心軸に対して傾斜した傾斜周溝が形成されており、前記傾斜周溝に前記シール部材が設けられている構成とすることもできる。
【0019】
このようにすると、第一の流路と第二の流路を液密的に隔離するシール部材を簡便に設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の上記構成によると、弁構造の遮断状態において流体が排出路から漏出するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明に係る弁構造の第一実施形態(通水状態)を示す断面図
【
図4】
図1に示す弁構造の遮断状態を示す要部の断面図
【
図7】
図1に示す弁構造の弁体の第一変形例を示し、(a)は底面図、(b)は断面図
【
図8】
図1に示す弁構造の弁体の第二変形例を示し、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図9】
図1に示す弁構造の弁体の第三変形例を示し、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図10】
図1に示す弁構造のガイド部材の変形例を示し、(a)はガイド部材貫通孔を長孔としたものの底面図、(b)はガイド部材貫通孔と周方向に隣り合う透孔を形成したものの斜視図、(c)はガイド部材貫通孔を長孔とするとともに傾斜端部のガイド部材貫通孔と周方向に隣り合う位置に間隙部を形成したものの斜視図
【
図11】
図1に示す弁構造のガイド部材の変形例を示し、(a)は
図9(b)に示したガイド部材貫通孔と透孔を全体的に連結して全体を1個のガイド部材貫通孔としたものの斜視図、(b)はガイド部材貫通孔に内径側ほど拡径するテーパを形成したものの断面図、(c)はガイド部材貫通孔に外径側ほど拡径するテーパを形成したものの断面図
【
図12】
図1に示す弁構造の排出栓の変形例を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図
【
図13】この発明に係る弁構造の第二実施形態の分解斜視図(変形Oリング)
【
図14】この発明に係る弁構造の第三実施形態を示す断面図であって、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図15】この発明に係る弁構造の第四実施形態を示す断面図であって、(a)は第一排出路の遮断状態、(b)は第二排出路の遮断状態
【
図16】この発明に係る弁構造の第五実施形態を示す断面図であって、(a)は第一弁体による第一排出路および第二弁体による第二排出路の遮断状態、(b)は第一弁体による第二排出路および第二弁体による第一排出路の遮断状態
【
図18】
図16(a)(b)に示す弁構造の変形例を示す断面図であって、(a)は第一弁体による第一排出路および第二弁体による第二排出路の遮断状態、(b)は第一弁体による第二排出路および第二弁体による第一排出路の遮断状態
【
図19】この発明に係る弁構造の第六実施形態を示す断面図であって、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図20】
図19(a)(b)に示す弁構造の第一変形例を示し、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図21】
図19(a)(b)に示す弁構造の第二変形例を示し、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図22】
図1に示す弁構造の第一適用例を示す断面図であって、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【
図23】
図1に示す弁構造の第二適用例を示す断面図であって、(a)は通水状態、(b)は遮断状態
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係る弁構造1の第一実施形態を図面に基づいて説明する。この弁構造1は、例えば、温水を熱媒体として利用する暖房装置の暖房回路に設けられる異物除去装置に採用され、この異物除去装置によって捕獲された鉄粉や錆などの異物を暖房回路の外に排出する機能を有する。
図1から
図5に示すように、この弁構造1は、本体部2、弁体3、ガイド部材4、および、シール部材5を主要な構成要素としている。
【0023】
本体部2は、異物除去装置の異物捕獲部6と接続され、異物を含む流体(一般的には水)が流入する第一の流路7としての流入路(以下、第一の流路7と同じ符号を付する。)と、流入路7に対し下向きに接続された第二の流路8としての排出路(以下、第二の流路8と同じ符号を付する。)と、を有する。流入路7は筒状をなし、異物捕獲部6への接続側と反対側の端部は開口している。また、排出路8も筒状をなし、その下端は開口している。流入路7の前記開口近傍には、ピンファスナ9を挿入するための挿入孔10が形成されている。排出路8の内面には雌ねじ部11が形成されており、この雌ねじ部11にねじ式の排出栓12がねじ込まれている。排出栓12にはOリング13が設けられており、排出路8に排出栓12をねじ込んだ際の液密が確保される。
【0024】
弁体3は、流入路7の開口(
図1に示す流入路7の左側)から本体部2内に挿入される。弁体3の内部には、通水状態において流入路7と排出路8を連通させる連通路14が形成されている。連通路14は、弁体3の本体部2への挿入方向に向かって開口する有底凹部15と、通水状態において排出路8の位置に対応して開口するように有底凹部15に形成された連通路貫通孔16と、を有している。連通路貫通孔16の径方向外側の周縁部には、丸め加工部17が形成されている。流入路7と排出路8との間の通水状態と遮断状態は、弁体3を軸周りに回転させることによって切り替えられる。通水状態は、連通路貫通孔16と排出路8の周方向位置が一致した状態であり、遮断状態は、連通路貫通孔16が排出路8とずれた周方向位置(通常は排出路8とは反対の周方向位置)にある状態である。
【0025】
弁体3の前端部(有底凹部15の先端)は、本体部2の内面に形成された環状溝18に軸周りに回転可能に嵌まり込んでいる。弁体3の後端部には、この弁体3を回転させるための六角レンチを差し込むためのレンチ穴19が形成されるとともに、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20が設けられている。本体部2に弁体3を挿入した状態でピンファスナ9を挿入孔10に嵌め込むことによって、弁体3が本体部2に対し軸方向に移動不能かつ軸周りに回転可能に取り付けられる。なお、本体部2の内面に環状溝18を形成せずに、本体部2に弁体3が単に挿入された構成とすることもできる。
【0026】
本体部2の内面と弁体3の外面との間には、この内外面の間に介在するようにガイド部材4が設けられている。このガイド部材4は略筒状をなし、その筒面には排出路8の位置に対応するガイド部材貫通孔21が形成されるとともに、軸方向の一端側には流入路7および排出路8の中心軸に対して約45度傾斜した傾斜端部22が形成されている。弁体3は、ガイド部材4によってその軸周りに回転自在に案内される。ガイド部材貫通孔21の直径は連通路貫通孔16の直径よりも大きく、連通路貫通孔16はガイド部材貫通孔21の形成範囲内に含まれている。なお、連通路貫通孔16とガイド部材貫通孔21を同形状とすることもできる。
【0027】
本体部2の内面には、軸方向から傾斜端部22に臨むように傾斜した段部23が形成されており、この段部23と傾斜端部22との間には、傾斜端部22に沿って傾斜する環状の溝部が形成されている。ガイド部材4の軸方向の他端側の外周には、径方向外向きに突出する突起部24が形成されている。本体部2の段部23に設けられたシール部材5との当接によって、本体部2に対するガイド部材4の軸周りの回転をある程度阻止することができるが、突起部24を本体部2の内面に形成された凹部に嵌め込むことによって回転防止効果を高めることができる。また、突起部24を形成することで、弁構造1の組み立て時に、ガイド部材4の周方向の位置決めを容易に行うことができる。なお、この突起部24は省略できる場合もある。
【0028】
シール部材5は、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20と同サイズの環状のOリングであって、シール部材5の中心が排出路8の軸心を通るように前記溝部内に設けられている。
図4に示す遮断状態において、シール部材5によって形成される面(この実施形態の場合は円形状の平面)の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(有底凹部15の開口および連通路貫通孔16)が位置している。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。
【0029】
また、排出路8から排出栓12を取り外した上で、弁体3をその軸周りに180度回転させてこの弁体3に形成された連通路貫通孔16を下向きとし、ガイド部材4に形成されたガイド部材貫通孔21および排出路8と一致させて通水状態とすることにより、流入路7から排出路8に向かって流体を流すことができる。
【0030】
排出路8には、
図5に示すように、その内面の上側に排出栓12がねじ込まれる雌ねじ部11が形成されているとともに、その内面の下側に流体の排出方向に延びる複数の凹部25が形成されている。この凹部25は、排出栓12を排出路8にねじ込んだ際にこの排出栓12に設けられたOリング13が接触する排出路8の内面よりも大径となるように形成されている。
【0031】
ガイド部材貫通孔21は、弁体3の回転方向に延びる長孔状に形成されており、排出路8内に形成された貫通孔(雌ねじ部11が形成された部分)は、ガイド部材貫通孔21の形成範囲内に含まれている。これにより、
図6に示すように、ガイド部材貫通孔21の前記回転方向の内縁には、本体部2の内面が露出した状態となっている。
【0032】
第一実施形態に係る弁構造1は、遮断状態において、連通路14内の流体は、シール部材5によって形成される平面の一方側から他方側、すなわち、流入路7側から排出路8側に到達することができないため、遮断状態における流体の漏出を防止することができる。
【0033】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、ガイド部材4の傾斜端部22と本体部2の段部23との間に形成された溝部にシール部材5を設けることにより、弁体3の軸周りの回転に伴ってシール部材5が回転しない構成としたため、シール部材5が排出路8を横切ることに起因してシール部材5にかかる負荷を防止して、シール部材5の長寿命化を図ることができる。また、流入路7側からの液圧を受けたシール部材5が傾斜端部22に当接することによって、このシール部材が所定位置からずれて液密性が低下するのを防止することができる。なお、第一実施形態においては、傾斜端部22が環状に閉じた構成としたが、傾斜端部22の上端に切れ目を形成し、この切れ目においてシール部材5と弁体3が直接当接する構成としても同様の効果が発揮される。
【0034】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、連通路貫通孔16の径方向外側の周縁部に丸め加工部17を形成したので、弁体3の軸周りの回転に伴ってシール部材5が連通路貫通孔16を横切る際に、シール部材5に負荷がかかりにくく、シール部材5の長寿命化を図ることができる。
【0035】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、シール部材5の中心が排出路8の軸心を通っているため、連通路貫通孔16の位置とガイド部材貫通孔21の位置との間に多少のずれが生じたとしても、シール部材5による確実な液密状態を確保することができる。また、シール部材5と副シール部材20を同一サイズとしたので、両者の取り違えによるトラブルを防止することができる。また、このシール部材5は、通常のOリングを楕円状の溝部に沿うように設けるだけでよいため、通常のOリングと同等の組み立て性、シール性、耐久性などを確保することができる。なお、シール部材5と副シール部材20は、異なるサイズとすることもできる。
【0036】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、連通路貫通孔16がガイド部材貫通孔21の形成範囲内に含まれるようにしたので、連通路貫通孔16の中心とガイド部材貫通孔21の中心が多少ずれていたとしても流体がスムーズに排出路8に向かって流れ、ガイド部材貫通孔21の内縁に流体中の異物(鉄粉や錆など)が付着することに起因するトラブルを防止することができる。
【0037】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、弁体3の前端部(有底凹部15の先端)が、本体部2の内面に形成された環状溝18に嵌まり込む構成としたので、有底凹部15の先端を通って本体部2の内面と弁体3の外面との間の隙間に流体中の異物が入り込むのを防止することができる。
【0038】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、Oリング13が設けられた排出栓12を排出路8にねじ込む構成としたので、排出栓12の取り外し時において排出路8の内面と排出栓12に設けたOリング13との間の接触がなくなった際に、雄ねじが雌ねじ部11に引っ掛かった状態が維持され、排出路8から排出栓12が急に外れて流体が噴出するトラブルを防止することができる。
【0039】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、排出路8の内面の下側に流体の排出方向に延びる複数の凹部25を形成したので、排出路8内で流体が下向きに整流され、排出路8から排出される流体の飛び散りを抑制することができる。また、凹部25の内径を、排出栓12を排出路8にねじ込んだ際にこの排出栓12に設けられたOリング13が接触する排出路8の内面よりも大径としたので、排出栓12の着脱の際にOリング13が凹部25に接触しにくく、Oリング13の傷付きを防止することができる。凹部25の長さ、数、深さなどは、排出路8の内径、流体の流量、流体の種類などを考慮して適宜決定することができる。
【0040】
また、第一実施形態に係る弁構造1は、ガイド部材貫通孔21を弁体3の回転方向に延びる長孔状に形成することで、ガイド部材貫通孔21の弁体回転方向の内縁に本体部2の内面が露出した構成としたので、弁開度が比較的小さいときに高速で噴射される流体(
図6中の下向きの矢印を参照)が、本体部2の内面に一旦衝突してその勢いが弱められる。このため、排出路8から排出される流体が周囲に飛び散るのを抑制することができる。
【0041】
第一実施形態に係る弁構造1の弁体3の第一変形例を
図7(a)(b)に示す。第一変形例に係る弁体3は、この弁体3の回転方向に沿って連通路貫通孔16を跨る架橋部26が形成されている。この第一変形例に係る弁体3を採用すると、連通路貫通孔16がシール部材5を横切る際に、シール部材5が架橋部26に支えられて連通路貫通孔16内に落ち込まないため、シール部材5に大きな負荷が作用しにくい。このため、シール部材5の長寿命化を図ることができる。
【0042】
第一実施形態に係る弁構造1の弁体3の第二変形例を
図8(a)(b)に示す。第二変形例に係る弁体3の有底凹部15の開口近傍には、この有底凹部15の内外を貫通する窓部27が形成されている。弁体3の後端部には、この弁体3を軸周りに回転操作するためのレバー部28が形成されている。本体部2には、レバー部28の回転角度を所定の範囲内(第二変形例では180度の範囲内)に規制するための当接部29が形成されている。排出路8の軸心は、通水状態において連通路貫通孔16およびガイド部材貫通孔21の中心と一致している。第二変形例では、流入路7と排出路8は同軸に接続されているが、流入路7と排出路8を非同軸とした構成とすることもできる。
【0043】
流入路7を流れる流体は、
図8(a)に示す通水状態において、弁体3の有底凹部15に形成された窓部27および弁体3の下端と流入路7の内面との間の隙間を通って連通路14内に流入し、連通路貫通孔16およびガイド部材貫通孔21を通って排出路8側に排出される。この第二変形例に係る弁体3は、通水状態において連通路貫通孔16およびガイド部材貫通孔21の中心が一致しているため、流体をスムーズに流入路7側から排出路8側に流すことができる。
【0044】
その一方で、レバー部28を180度回転して、
図8(b)に示す遮断状態とすると、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(連通路貫通孔16および窓部27)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0045】
第一実施形態に係る弁構造1の弁体3の第三変形例を
図9(a)(b)に示す。第三変形例に係る弁体3の有底凹部15には、この弁体3の周方向両端で回転軸方向の幅が小さく、周方向中央でその幅が最大となる形状(切り欠き形状)の連通路貫通孔16が形成されている。連通路貫通孔16の回転軸方向の中央には、架橋部26が形成されている。弁体3の後端部には、この弁体3を軸周りに回転操作するためのレバー部28が形成されている。本体部2には、レバー部28の回転角度を所定の範囲内(第三変形例では90度の範囲内)に規制するための当接部29が形成されている。
【0046】
流入路7を流れる流体は、
図9(a)に示す通水状態において、ガイド部材貫通孔21および弁体3の有底凹部15に形成された連通路貫通孔16の周方向一端側を通って連通路14内に流入し、連通路貫通孔16の周方向他端側を通って排出路8側に排出される。
【0047】
その一方で、レバー部28を90度回転して、
図9(b)に示す遮断状態とすると、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の他方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(連通路貫通孔16)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。また、レバー部28の小さい回転操作(90度)で通水状態と遮断状態を切り替えることができるため、操作性に優れている。
【0048】
第一実施形態に係る弁構造1のガイド部材4の変形例を
図10(a)~(c)および
図11(a)~(c)に示す。
【0049】
図10(a)に示すガイド部材4は、ガイド部材貫通孔21を弁体3の回転方向に沿って延びる長孔としている。この長孔の長軸および短軸の長さは、いずれも連通路貫通孔16の直径よりも大きい。このため、弁体3の通水状態において、連通路貫通孔16とガイド部材貫通孔21の内縁が重なることなく、連通路貫通孔16がガイド部材貫通孔21の形成範囲内に完全に含まれた状態となっている。
【0050】
このようにすると、弁体3を通水状態としたときに、連通路貫通孔16の中心とガイド部材貫通孔21の中心が多少ずれていたとしても流体がスムーズに排出路8に向かって流れる。このため、ガイド部材貫通孔21の内縁に流体中の異物(鉄粉や錆など)が付着してトラブルの原因となるのを防止することができるとともに、連通路貫通孔16の中心とガイド部材貫通孔21の中心の多少のずれが許容されるため弁体3の操作性を向上することができる。
【0051】
図10(b)に示すガイド部材4は、ガイド部材貫通孔21と周方向に隣り合う透孔30が形成されている。このようにすると、仮にガイド部材4の内周と弁体3の外周の間に異物が噛み込まれたとしても、その異物が透孔30から排出されるため、異物に起因するトラブルを防止することができる。
【0052】
図10(c)に示すガイド部材4は、長孔としたガイド部材貫通孔21と周方向に隣り合う傾斜端部22に間隙部31が形成されている。このようにすると、仮にガイド部材4の内周と弁体3の外周の間に異物が噛み込まれたとしても、その異物が間隙部31で捕獲されてシール部材5まで到達しにくくなるため、異物に起因するトラブルを防止することができる。
【0053】
図11(a)に示すガイド部材4は、
図10(b)に示したガイド部材4のガイド部材貫通孔21と透孔30を全体的に連結して全体を1個のガイド部材貫通孔21としたものである。このようにすると、ガイド部材4の内周と弁体3の外周の間での異物の噛み込みがそもそも生じにくいため、異物に起因するトラブルを防止することができる。
【0054】
図11(b)に示すガイド部材4は、ガイド部材貫通孔21に内径側ほど拡径するテーパを、
図11(c)に示すガイド部材4は、ガイド部材貫通孔21に外径側ほど拡径するテーパを、それぞれ形成したものである。このようにすると、ガイド部材貫通孔21の内周への異物の付着を抑制して異物の噛み込みを防止することができる可能性がある。
【0055】
第一実施形態に係る弁構造1の排出栓12の変形例を
図12(a)(b)に示す。この変形例に係る排出栓12は、その先端のつまみ部32が六角レンチ形状となっており、そのハンドル部33の周方向の一部に目印34が形成されている。排出路8の開口近傍には、ピンファスナ35を挿入するための挿入孔36が形成されている。排出栓12を排出路8に取り付けた上で挿入孔36にピンファスナ35を挿入することにより、排出栓12が排出路8に固定される。排出栓12は、弁体3の操作時に排出路8から引き抜かれ、六角レンチ形状のつまみ部32が、弁体3に形成されたレンチ穴19に挿し込まれる。
【0056】
レンチ穴19の近傍に、連通路貫通孔16の周方向位置を示す三角形の目印37を記しておき、この三角形の目印37とハンドル部33に形成された目印34の位置を一致させることで、弁体3の回転位置(連通路貫通孔16の位置)を明確に知ることができる。このように、排出栓12のつまみ部32を六角レンチ形状とすることにより、弁体3の操作時に別途六角レンチを用意する必要がなく、その作業をスムーズに行うことができる。また、排出栓12は通常は排出路8に取り付けられた状態となっているため、紛失のおそれもない。レンチ穴19の近傍に目印37を形成したり、排出栓12のつまみ部32を六角レンチ形状としたりする構成は、排出栓12をねじ式とした構成(
図1など)にも適用することができる。
【0057】
この発明に係る弁構造1の第二実施形態を下方側(排出路8側)からみた分解斜視図を
図13に示す。第二実施形態に係る弁構造1は、本体部2、弁体3、ガイド部材4、および、シール部材5を主要な構成要素としている。
【0058】
本体部2は、異物除去装置の異物捕獲部(図示せず)と接続され、異物を含む流体が流入する流入路7と、流入路7に接続された排出路8と、を有する。流入路7は筒状をなし、異物捕獲部への接続側と反対側の端部は開口している。また、排出路8も筒状をなし、その下端(
図13においては上側)は開口している。排出路8の下端には、着脱自在の排出栓(図示せず)が設けられる。本体部2には、ねじ38が設けられる対のねじ穴39が、流入路7を間に挟む位置に形成されている。
【0059】
弁体3は、流入路7の開口から本体部2内に挿入される。弁体3の内部には、通水状態において流入路7と排出路8を連通させる連通路14が形成されている。連通路14は、弁体3の本体部2への挿入方向に向かって開口する有底凹部15と、通水状態において有底凹部15から排出路8の位置に対応して開口するように有底凹部15に形成された連通路貫通孔16と、を有している。流入路7と排出路8との間の通水状態と遮断状態は、弁体3を軸周りに回転させることによって切り替えられる。弁体3の後端部には、この弁体3を回転させるためのつまみ部40が設けられるとともに、ガイド部材4の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20が設けられている。
【0060】
本体部2の内面と弁体3の外面との間には、この内外面の間に介在するようにガイド部材4が設けられている。このガイド部材4は、本体部2の内側に向かって延びる舌片部41と径方向外向きに延出するフランジ部42とを有している。舌片部41には、通水状態において排出路8の位置に対応するガイド部材貫通孔21が形成されるとともに、その軸方向の一端側には流入路7に対して屈曲した傾斜端部22が形成されている。
【0061】
弁体3は、ガイド部材4の舌片部41によって、その軸周りに回転自在に案内される。舌片部41には、この舌片部41の外周と本体部2の内面との間に介在する副シール部材20が設けられている。フランジ部42の両端には、ねじ38を通す貫通孔43が形成されるとともに、その中央には、弁体3のつまみ部40を挿通する貫通孔(図示せず)が形成されている。弁体3とガイド部材4の間には、環状のシート部材44が介在するよう設けられている。
【0062】
本体部2の内面には、軸方向から傾斜端部22に臨む段部(図示せず)が形成されており、この段部と傾斜端部22との間には、傾斜端部22に沿って屈曲する環状の溝部が形成されている。シール部材5は、傾斜端部22の形状に合わせて形成された変形Oリングであって、溝部内に設けられている。
【0063】
遮断状態において、シール部材5によって形成される面(この実施形態の場合はシール部材5によって縁取られた曲面)の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の他方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(連通路貫通孔16)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。弁体3をその軸周りに180度回転させてこの弁体3に形成された連通路貫通孔16を下向きとし、ガイド部材4に形成されたガイド部材貫通孔21および排出路8と一致させると通水状態となり、流入路7から排出路8に向かって流体を流すことができる。
【0064】
第二実施形態に係る弁構造1も第一実施形態と同様に、遮断状態において、連通路14内の流体は、シール部材5によって形成される曲面の一方側から他方側、すなわち、流入路7側から排出路8側に到達することができないため、遮断状態における流体の漏出を防止することができる。また、ガイド部材4の傾斜端部22と本体部2の段部との間に形成された溝部にシール部材5を設けることにより、弁体3の軸周りの回転に伴ってシール部材5が回転しない構成としたため、シール部材5が排出路8を横切ることに起因するこのシール部材5にかかる負荷を防止して、シール部材5の長寿命化を図ることができる。
【0065】
また、シール部材5を変形させたことによって、第一実施形態に係る弁構造1と比較して、連通路貫通孔16およびガイド部材貫通孔21の開口を大きくすることができる。このため、弁構造1の大流量化が容易となる。
【0066】
この発明に係る弁構造1の第三実施形態の断面図を
図14(a)(b)に示す。第三実施形態に係る弁構造1は、本体部2、弁体3、および、シール部材5を主要な構成要素としている。
【0067】
本体部2は、異物除去装置の異物捕獲部(図示せず)と接続され、異物を含む流体が流入する流入路7と、流入路7に接続された排出路8と、を有する。流入路7は筒状をなし、異物捕獲部への接続側と反対側の端部は開口している。また、排出路8も筒状をなし、その下端は開口している。流入路7の開口近傍には、ピンファスナ9を挿入するための挿入孔10が形成されている。排出路8の下端には、ねじ式の排出栓12が設けられている。
【0068】
弁体3は、流入路7の開口(
図14(a)に示す流入路7の左側)から本体部2内に挿入される。弁体3の内部には、通水状態において流入路7と排出路8を連通させる連通路14が形成されている。連通路14は、弁体3の本体部2への挿入方向に向かって開口する有底凹部15と、通水状態において有底凹部15から排出路8の位置に対応して開口する連通路貫通孔16と、を有している。連通路貫通孔16の内径は、排出路8の内径よりも小径となっており、連通路貫通孔16の中心と排出路8の中心が多少ずれていたとしても、流体をスムーズに排出路8に向かって流すことができる。流入路7と排出路8との間の通水状態と遮断状態は、弁体3を軸周りに回転させることによって切り替えられる。
【0069】
弁体3の前端部(有底凹部15の先端)は、本体部2の内面に形成された環状溝18に軸周りに回転可能に嵌まり込んでいる。弁体3の後端部には、この弁体3を回転させるための六角レンチを差し込むためのレンチ穴19が形成されるとともに、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20が設けられている。本体部2に弁体3を挿入した状態でピンファスナ9を挿入孔10に嵌め込むことによって、弁体3が本体部2に対し軸方向に移動不能かつ軸周りに回転可能に取り付けられる。
【0070】
弁体3の外周には、流入路7および排出路8の中心軸に対して約45度傾斜した傾斜周溝45が形成されている。シール部材5はOリングであって、傾斜周溝45内に設けられている。弁体3を軸周りに回転して、
図14(a)に示すように連通路貫通孔16と排出路8の位置が一致した通水状態とすると、流入路7から排出路8に向かって流体を流すことができる。その一方で、
図14(b)に示すように、連通路貫通孔16と排出路8の位置を逆向きとした遮断状態とすると、弁体3とともに180度軸周りに回転したシール部材5によって流入路7と排出路8は液密的に区画される。
【0071】
第三実施形態に係る弁構造1も第一実施形態および第二実施形態と同様に、遮断状態において、連通路14内の流体は、シール部材5によって形成される面の一方側から他方側、すなわち、流入路7側から排出路8側に到達することができないため、遮断状態における流体の漏出を防止することができる。なお、排出路8に形成された貫通孔の弁体3側の内縁に丸め加工部を形成しておくことにより、弁体3を軸周りに回転したときのシール部材5と前記内縁との間の摺接を緩和することができる。
【0072】
この発明に係る弁構造1の第四実施形態を
図15(a)(b)に示す。第四実施形態に係る弁構造1は、
図1に示した第一実施形態に係る弁構造1をベースに三方弁としたものである。第四実施形態に係る弁構造1(三方弁)は、本体部2、弁体3、ガイド部材4、シール部材5、および、補助シール部材46を主要な構成要素としている。
【0073】
本体部2は、流体が流入する第一の流路7としての流入路(以下、第一の流路7と同じ符号を付する。)と、流入路7から下向きに接続された第二の流路8としての第一排出路(以下、第二の流路8と同じ符号を付する。)と、第一排出路8と同一線上に対向するように流入路7から上向きに接続された第三の流路47としての第二排出路(以下、第三の流路47と同じ符号を付する。)と、を有する。流入路7は筒状をなし、流体が流入する側と反対側の端部は開口している。流入路7の開口近傍には、ピンファスナ9を挿入するための挿入孔10が形成されている。また、第一排出路8および第二排出路47もそれぞれ筒状をなし、第一排出路8の下端と第二排出路47の上端はそれぞれ開口している。流入路7、第一排出路8、および、第二排出路47には、それぞれ配管(図示せず)が接続される。
【0074】
弁体3は、流入路7の開口(
図15(a)(b)に示す流入路7の左側)から本体部2内に挿入される。弁体3の内部には、通水状態において流入路7と第一排出路8または第二排出路47とを連通させる連通路14が形成されている。連通路14は、流入路7に臨むように開口する有底凹部15と、通水状態において有底凹部15から第一排出路8または第二排出路47の位置に対応して開口する連通路貫通孔16と、を有している。連通路貫通孔16の径方向外側の周縁部には、丸め加工部17が形成されている。
【0075】
図15(a)に示す、連通路貫通孔16と第二排出路47の周方向位置が一致して流入路7と第二排出路47が連通した第一通水状態と、
図15(b)に示す、連通路貫通孔16と第一排出路8の周方向位置が一致して流入路7と第一排出路8が連通した第二通水状態は、弁体3を軸周りに回転させることによって切り替えられる。第一通水状態においては流入路7と第一排出路8との間が遮断状態となり、第二通水状態においては流入路7と第二排出路47との間が遮断状態となる。
【0076】
弁体3の前端部には、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する補助シール部材46が設けられている。また、弁体3の後端部には、この弁体3を回転させるための六角レンチを差し込むためのレンチ穴19が形成されるとともに、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20が設けられている。本体部2に弁体3を挿入した状態でピンファスナ9を挿入孔10に嵌め込むことによって、弁体3が本体部2に対し軸方向に移動不能かつ軸周りに回転可能に取り付けられる。
【0077】
本体部2の内面と弁体3の外面の間には、この内外面の間に介在するガイド部材4が設けられている。このガイド部材4は略筒状をなし、その筒面には、第一排出路8の位置に対応するガイド部材貫通孔21が形成されるとともに、軸方向の一端側には流入路7、第一排出路8、および、第二排出路47の中心軸に対して約45度傾斜した傾斜端部22が形成されている。弁体3は、ガイド部材4によってその軸周りに回転自在に案内される。
【0078】
本体部2の内面には、軸方向から傾斜端部22に臨むように傾斜した段部23が形成されており、この段部23と傾斜端部22との間には、傾斜端部22に沿って傾斜する環状の溝部が形成されている。筒面の軸方向の他端側の外周には、径方向外向きに突出する突起部24が形成されている。この突起部24は本体部2の内面に形成された凹部に嵌め込まれ、ガイド部材4が本体部2に対し軸周りに回転するのを阻止する。
【0079】
シール部材5は、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在する副シール部材20と同サイズの環状のOリングであって、シール部材5の中心が第一排出路8および第二排出路47の軸心を通るように溝部内に設けられている。
図15(a)に示す第一排出路8の遮断状態においては、シール部材5によって形成される面(この実施形態の場合は円形状の平面)の一方側に流入路7が、他方側に第一排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および第一排出路8に連通可能な連通路14の開口(有底凹部15の開口および連通路貫通孔16)が位置している。すなわち、流入路7と第一排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。
【0080】
その一方で、
図15(b)に示す第二排出路47の遮断状態においては、シール部材5によって形成される面の一方側に連通路14の有底凹部15の開口が位置し、この面の他方側に連通路貫通孔16と第一排出路8が位置しており、このシール部材5は流入路7と第二排出路47との液密には寄与しないこととなるが、弁体3の前端部に設けられた補助シール部材46によって、流入路7側と第二排出路47側は液密的に区画されている。
【0081】
第四実施形態に係る弁構造1(三方弁)は、第一排出路8の遮断状態において、連通路14内の流体は、シール部材5によって形成される面の一方側から他方側、すなわち、流入路7側から第一排出路8側に到達することができないため、この遮断状態における第一排出路8からの流体の漏出を防止することができる。また、第二排出路47の遮断状態において、連通路14内の流体は、補助シール部材46によって流入路7側から第二排出路47側に到達することができないため、この遮断状態における第二排出路47からの流体の漏出を防止することができる。
【0082】
この発明に係る弁構造1の第五実施形態を
図16(a)(b)に示す。第五実施形態に係る弁構造1は、
図1に示した第一実施形態に係る弁構造1をベースに四方弁としたものである。第五実施形態に係る弁構造1(四方弁)は、本体部2、第一弁体3a、第二弁体3b、第一ガイド部材4a、第二ガイド部材4b、第一シール部材5a、第二シール部材5b、第一補助シール部材46a、および、第二補助シール部材46bを主要な構成要素としている。
【0083】
本体部2は、その両端が開口しており、流体が流入する第一の流路7としての流入路7(以下、第一弁体3aが設けられる側の流入路7を第一流入路7a、第二弁体3bが設けられる側の流入路7を第二流入路7bと称する。)と、第一流入路7aおよび第二流入路7bから下向きに接続された第二の流路8としての第一排出路(以下、第二の流路8と同じ符号を付する。)と、第一排出路8と同一線上に対向するように第一流入路7aおよび第二流入路7bから上向きに接続された第三の流路47としての第二排出路(以下、第三の流路47と同じ符号を付する。)と、を有する。
【0084】
第一流入路7aおよび第二流入路7bの開口近傍には、ピンファスナ9を挿入するための挿入孔10が形成されている。第一流入路7aと第二流入路7bは、流体の流動方向が互いに向き合うように同一線上に配置されている。第一流入路7aおよび第二流入路7bの筒面には、第一排出路8および第二排出路47に通じる貫通孔がそれぞれ形成されている。第一流入路7a、第二流入路7b、第一排出路8、および、第二排出路47には、それぞれ配管(図示せず)が接続される。
【0085】
第一弁体3aは第一流入路7a側から、第二弁体3bは第二流入路7b側からそれぞれ本体部2に挿入される。第一弁体3aと第二弁体3bは、本体部2の軸方向中央の位置において相対回転不能に嵌合している。
図17に示すように、第二弁体3bの外周面にはギア部48が形成されている。本体部2には、このギア部48の位置に対応して切り欠きが形成されている。この切り欠き内のギア部48と回転駆動源のギア(図示せず)を噛み合わせて駆動することにより、第一弁体3aと第二弁体3bを軸周りに一体に回転させることができる。なお、この実施形態では第一弁体3aと第二弁体3bを別部材としたが、両弁体3a、3bを一部材で構成することもできる。
【0086】
第一弁体3aおよび第二弁体3bの内部には、通水状態において第一流入路7aまたは第二流入路7bと第一排出路8または第二排出路47とを連通させる連通路14が形成されている。連通路14は、第一流入路7aまたは第二流入路7bに臨むように開口する有底凹部15と、通水状態において有底凹部15から第一排出路8または第二排出路47の位置に対応して開口する連通路貫通孔16と、を有している。連通路貫通孔16の径方向外側の周縁部には、丸め加工部17が形成されている。
【0087】
図16(a)に示すように、第一弁体3aの連通路貫通孔16と第二排出路47の周方向位置、および、第二弁体3bの連通路貫通孔16と第一排出路8の周方向位置をそれぞれ一致させると、第一流入路7aと第二排出路47、および、第二流入路7bと第一排出路8がそれぞれ連通した第一通水状態となる。その一方で、
図16(b)に示すように、第一弁体3aの連通路貫通孔16と第一排出路8の周方向位置、および、第二弁体3bの連通路貫通孔16と第二排出路47の周方向位置をそれぞれ一致させると、第一流入路7aと第一排出路8、および、第二流入路7bと第二排出路47がそれぞれ連通した第二通水状態となる。第一通水状態と第二通水状態は、第一弁体3aおよび第二弁体3bを軸周りに回転させることによって切り替えられる。
【0088】
第一弁体3aおよび第二弁体3bには、その軸方向の複数箇所に、本体部2の内面と各弁体3a、3bとの間に介在する副シール部材20が設けられている。本体部2に各弁体3a、3bを挿入した状態でピンファスナ9を挿入孔10に嵌め込むことによって、各弁体3a、3bが本体部2に対し軸方向に移動不能かつ軸周りに回転可能に取り付けられる。
【0089】
本体部2の内面と、第一弁体3aおよび第二弁体3bの外面の間には、この内外面の間に介在する第一ガイド部材4a、第二ガイド部材4bが設けられている。各ガイド部材4a、4bは略筒状をなし、第一ガイド部材4aの筒面には、第一排出路8の位置、第二ガイド部材4bの筒面には、第二排出路47の位置にそれぞれ対応するガイド部材貫通孔21が形成されるとともに、軸方向の一端側には、各流入路7a、7bおよび各排出路8、47の中心軸に対して約45度傾斜した傾斜端部22が形成されている。両弁体3a、3bは、各ガイド部材4a、4bによってその軸周りに回転自在に案内される。本体部2の内面には、軸方向から傾斜端部22に臨むように傾斜した段部23が形成されており、この段部23と傾斜端部22との間には、傾斜端部22に沿って傾斜する環状の溝部が形成されている。
【0090】
第一シール部材5aおよび第二シール部材5bは、溝部内に設けられている。第一弁体3a側について説明すると、
図16(b)に示す第二通水状態においては、第一シール部材5aによって形成される面(この実施形態の場合は円形状の平面)の一方側に第一流入路7aが、他方側に第二排出路47が位置するとともに、前記面の一方側のみに第一流入路7aおよび第二排出路47に連通可能な連通路14の開口(有底凹部15の開口および連通路貫通孔16)が位置している。すなわち、第一流入路7aと第二排出路47との間は、第一シール部材5aによって液密的に区画されている。
【0091】
その一方で、
図16(a)に示す第一通水状態においては、第一シール部材5aによって形成される面の一方側に連通路14の有底凹部15の開口が位置し、この面の他方側に連通路貫通孔16と第二排出路47が位置しており、この第一シール部材5aは第一流入路7aと第一排出路8との液密には寄与しないこととなるが、第一弁体3aの開口側に設けられた第一補助シール部材46aによって、第一流入路7a側と第一排出路8側は液密的に区画されている。
【0092】
第二弁体3b側における第二シール部材5bおよび第二補助シール部材46bによる液密作用は、第一弁体3a側における第一シール部材5aおよび第一補助シール部材46aによる液密作用と同様である。
【0093】
第五実施形態に係る弁構造1(四方弁)は、第二通水状態において、連通路14内の流体は、第一シール部材5aおよび第二シール部材5bによって形成される面の一方側から他方側、すなわち、第一流入路7a側から第二排出路47側、および、第二流入路7b側から第一排出路8側に到達することができないため、第一排出路8および第二排出路47からの流体の漏出を防止することができる。また、第一通水状態において、連通路14内の流体は、両補助シール部材46a、46bによって第一流入路7a側から第一排出路8側、および、第二流入路7b側から第二排出路47側に到達することができないため、第一排出路8および第二排出路47からの流体の漏出を防止することができる。
【0094】
図16(a)(b)に示す弁構造1(四方弁)の変形例を
図18(a)(b)に示す。この変形例に係る弁構造1の基本的な構成は
図16(a)(b)に示した構成と共通するが、第一流入路7aが本体部2の周面に形成されているとともに、第一弁体3aに形成された連通路14の両端が開口しておらず、その開口の代わりとして、第一流入路7aの位置に対応して第一弁体3aに周方向に対向する2個の貫通孔が形成されている点で相違する。第一弁体3aの軸方向端部には、第一弁体3aおよび第二弁体3bを回転させる治具を取り付けるための突起部49が形成されている。
【0095】
この変形例においても、
図16(a)(b)に示した構成と同様に、
図18(b)に示す第二通水状態において、第一流入路7aと第二排出路47との間、および、第二流入路7bと第一排出路8との間は、第一シール部材5aまたは第二シール部材5bによって液密的に区画されている。また、
図18(a)に示す第一通水状態において、第一流入路7a側と第一排出路8との間、および、第二流入路7bと第二排出路47との間は、第一補助シール部材46aまたは第二補助シール部材46bによって液密的に区画されている。
【0096】
この発明に係る弁構造1の第六実施形態を
図19(a)(b)に示す。第六実施形態に係る弁構造1は、本体部2、弁体3、ガイド部材4、および、シール部材5を主要な構成要素としている。第六実施形態に係る弁構造1は、弁体3が軸方向に移動する点において、軸周りに回転する第一実施形態から第五実施形態に係る弁構造1と異なる。この弁構造1は、管路50の途中に設けられている。
【0097】
本体部2は、両端(
図19(a)(b)では上下端)が開口した筒状をなし、その筒面に、管路50の上流側から流体が流入する流入路7と、流入路7と接続されて管路50の下流側に流体を排出する排出路8が形成されている。本体部2には、ピンファスナ9a、9b、9cを挿入するための挿入孔10が、上端側に2か所、下端側に1か所形成されている。各挿入孔10には、上端側から下端側に向かって順に、第一ピンファスナ9a、第二ピンファスナ9b、第三ピンファスナ9cが挿入される。本体部2の軸方向中央からやや上寄りには、周溝51と段部52が形成されている。
【0098】
弁体3は、本体部2の一端側(
図19(a)(b)では上端側)の開口から本体部2内に挿入される。弁体3には、本体部2の内径よりも小径の縮径部53と、縮径部53よりも大径の拡径部54が形成されている。本体部2の内面と縮径部53の外面との間には隙間が形成され、この隙間が、通水状態において流入路7と排出路8を連通させる連通路14として機能する。本体部2と弁体3との間には、副シール部材20が設けられている。
【0099】
ガイド部材4は、本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在するように、本体部2の他端側(
図19(a)(b)では下端側)の開口から本体部2内に挿入される。このガイド部材4は有底筒状をなし、その筒面には流入路7の位置に対応するガイド部材貫通孔21が形成されている。ガイド部材4は、第三ピンファスナ9cによって本体部2に固定される。弁体3は、ガイド部材4によってその軸方向に案内されて移動することができる。本体部2の内面には、軸方向からガイド部材4の端部に臨むように段部23が形成されており、この段部23とガイド部材4の間に沿って形成された環状の溝部内にシール部材5が設けられている。また、本体部2とガイド部材4との間には、副シール部材20が設けられている。
【0100】
図19(a)に示すように、弁体3の拡径部54がガイド部材4の底部55に突き当たるまでこの弁体3を押し込むとともに、第二ピンファスナ9bを挿入孔10に挿入することで、弁体3は通水状態に固定される。この通水状態において、管路50の上流側から流れてきた流体は、流入路7およびガイド部材4に形成されたガイド部材貫通孔21を通って連通路14内に流入し、排出路8を通って管路50の下流側に向かって流れる。
【0101】
その一方で、
図19(b)に示すように、第二ピンファスナ9bを一旦取り外した上で、弁体3をその拡径部54がシール部材5を跨ぐまで引き抜くとともに、周溝51に嵌まるように第二ピンファスナ9bを挿入孔10に再び挿入することで、弁体3は遮断状態に固定される。この遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の他方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(縮径部53と本体部2の内面との間の隙間)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0102】
図19(a)(b)に示す弁構造1の第一変形例を
図20(a)(b)に示す。この第一変形例に係る弁構造1は、弁体3の下側に連通路14が形成されているとともに、弁体3の上端部に本体部2に形成された挿入孔10に挿入されたピンファスナ9をガイドするガイド溝56が形成されている。
【0103】
図20(a)に示すように、ガイド溝56の下端部にピンファスナ9が当接するまで弁体3を引き抜くと、弁体3は通水状態となる。この通水状態において、管路50の上流側から流れてきた流体は、流入路7を通って連通路14内に流入し、ガイド部材貫通孔21および排出路8を通って管路50の下流側に向かって流れる。
【0104】
その一方で、
図20(b)に示すように、ガイド溝56の上端部にピンファスナ9が当接するまで弁体3を押し込むと、弁体3がシール部材5を跨いだ遮断状態となる。この遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0105】
図19(a)(b)に示す弁構造1の第二変形例を
図21(a)(b)に示す。この第二変形例に係る弁構造1は、弁体3の長さ方向中程に弧状の縮径部53が形成されており、縮径部53の外周が連通路14として機能する。弁体3の上端部近傍には、フランジ57が形成されている。
【0106】
本体部2の内面と弁体3の外面との間に介在するガイド部材4の軸方向の一端側には、流入路7および排出路8の中心軸に対して約45度傾斜した傾斜端部22が形成されている。本体部2の内面には、軸方向から傾斜端部22に臨むように傾斜した段部23が形成されており、この段部23と傾斜端部22との間には、傾斜端部22に沿って傾斜する環状の溝部が形成されている。シール部材5は、前記溝部内に設けられている。
【0107】
図21(a)に示すように、弁体3の下端がガイド部材4に突き当たるまでこの弁体3を押し込むことによって通水状態となる。この通水状態において、流入路7を流れる流体は連通路14内に流入し、ガイド部材貫通孔21を通って排出路8側に排出される。
【0108】
その一方で、
図21(b)に示すように、フランジ57にピンファスナ9が当接するまで弁体3を引き抜くと、弁体3は遮断状態となる。この遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0109】
第一実施形態に係る弁構造1の第一適用例を
図22(a)(b)に示す。この第一適用例においては、弁構造1は、管路50に対し斜めに取り付けられている。
図22(a)に示す通水状態において、この管路50内を左(上流側)から右(下流側)に向かって流体が流れる場合、流体は本体部2の流入路7の端部開口および弁体3の有底凹部15の開口を通って連通路14内に流入し、連通路貫通孔16、ガイド部材貫通孔21、および、排出路8を通って排出される。管路50の上流側と下流側は、弁構造1の位置で隔壁(図示せず)によって仕切られており、管路50を流れる流体の全量が、弁構造1を経由するように構成されている。
【0110】
その一方で、
図22(b)に示す遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(有底凹部15の開口および連通路貫通孔16)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0111】
図22(a)(b)に示す第一適用例では、管路50を左から右に向かって流体が流れる場合について説明したが、この配置において管路50を右から左に向かって流体が流れる場合も、遮断状態においてシール部材5によって流体の漏出防止効果が同様に発揮される。
【0112】
第一実施形態に係る弁構造1の第二適用例を
図23(a)(b)に示す。この第二適用例においては、弁構造1は、流体が上から下に向かって流れる管路50に水平に取り付けられている。管路50を下向きに流れる流体は、
図23(a)に示す通水状態において、本体部2の流入路7の開口端部および弁体3の有底凹部15の開口を通って連通路14内に流入し、連通路貫通孔16、ガイド部材貫通孔21、および、排出路8を通って管路50の下流側に向かって流れる。管路50の上流側と下流側は、弁構造1の位置で隔壁58によって仕切られており、管路50を流れる流体の全量が、弁構造1を経由するように構成されている。
【0113】
その一方で、
図23(b)に示す遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に流入路7が、他方側に排出路8が位置するとともに、前記面の一方側のみに流入路7および排出路8に連通可能な連通路14の開口(有底凹部15の開口および連通路貫通孔16)が位置する。すなわち、流入路7と排出路8との間は、シール部材5によって液密的に区画されている。このため、流体は流入路7側から排出路8側に到達することができず、流体の漏出を防止することができる。
【0114】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 弁構造
2 本体部
3 弁体
3a 第一弁体
3b 第二弁体
4 ガイド部材
4a 第一ガイド部材
4b 第二ガイド部材
5 シール部材
5a 第一シール部材
5b 第二シール部材
6 異物捕獲部
7 第一の流路(流入路)
7a 第一流入路
7b 第二流入路
8 第二の流路(排出路、第一排出路)
9 ピンファスナ
10 挿入孔
11 雌ねじ部
12 排出栓
13 Oリング
14 連通路
15 有底凹部
16 連通路貫通孔
17 丸め加工部
18 環状溝
19 レンチ穴
20 副シール部材
21 ガイド部材貫通孔
22 傾斜端部
23 段部
24 突起部
25 凹部
26 架橋部
27 窓部
28 レバー部
29 当接部
30 透孔
31 間隙部
32 つまみ部
33 ハンドル部
34 (ハンドル部の)目印
35 ピンファスナ
36 挿入孔
37 (三角形の)目印
38 ねじ
39 ねじ穴
40 つまみ部
41 舌片部
42 フランジ部
43 貫通孔
44 シート部材
45 傾斜周溝
46 補助シール部材
46a 第一補助シール部材
46b 第二補助シール部材
47 第三の流路(第二排出路)
48 ギア部
49 突起部
50 管路
51 周溝
52 段部
53 縮径部
54 拡径部
55 底部
56 ガイド溝
57 フランジ
58 隔壁
【要約】
【課題】弁体の遮断状態において流体が排出路から漏出するのを防止することが可能な弁構造を提供する。
【解決手段】第一の流路7と、第一の流路7と接続する第二の流路8と、が形成された本体部2と、本体部2内に挿入され、軸周りの回転または軸方向への移動に伴って第一の流路7と第二の流路8との間の通水状態と遮断状態を切り替える、前記通水状態において第一の流路7と第二の流路8を連通させる連通路14が形成された弁体3と、本体部2と弁体3との間に介在する環状のシール部材5と、を有し、前記遮断状態において、シール部材5によって形成される面の一方側に第一の流路7が、他方側に第二の流路8が位置するとともに、前記面の一方側または他方側のいずれかのみに第一の流路7および第二の流路8に連通可能な連通路14の開口が位置しており、第一の流路7と第二の流路8との間が液密的に区画された構成とする。
【選択図】
図1