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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】気体濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240711BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20240711BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/047
B01D53/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024048024
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524013001
【氏名又は名称】Planet Savers株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】池上 京
(72)【発明者】
【氏名】伊與木 健太
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-034883(JP,A)
【文献】特開2016-131921(JP,A)
【文献】特開2024-030880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00-53/96
B01J 19/00-19/32
B01J 20/00-20/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を取り入れる気体取入部と、
取り入れられた前記気体から二酸化炭素の濃度を高めた第1濃縮ガスを生成する第1濃縮部と、
前記第1濃縮ガスから更に二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する第2濃縮部と、
外部へ前記第2濃縮ガスを排気するガス排気部と、
前記第1濃縮部内の圧力及び前記第2濃縮部内の圧力を調整可能に構成されるポンプと、
前記ポンプを制御し、前記第1濃縮部内の圧力及び前記第2濃縮部内の圧力を調整する制御装置と、
前記第1濃縮部から前記第2濃縮部に給気される前記第1濃縮ガスの流量を調整可能に構成される絞り弁と、
を備え、
前記第1濃縮部は、第1吸着タンク及び第2吸着タンクを有し前記気体から二酸化炭素を吸脱着し前記第1濃縮ガスを生成する第1吸着部と、前記気体の給気先を切り替え可能に構成される第1切替部とを有し、
前記第2濃縮部は、第3吸着タンク及び第4吸着タンクを有し前記第1濃縮ガスから二酸化炭素を吸脱着し前記第2濃縮ガスを生成する第2吸着部と、前記第1濃縮ガスの給気先を切り替え可能に構成される第2切替部とを有し、
前記制御装置は、前記第1切替部を制御し、前記気体の給気先を切り替え、前記第2切替部を制御し、前記第1濃縮ガスの給気先を切り替える、
気体濃縮装置。
【請求項2】
前記第1濃縮部内の気体の容積と、前記第2濃縮部内の気体の容積と、が異なる、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【請求項3】
前記第3吸着タンクの容積又は前記第4吸着タンクの容積は、前記第1吸着タンクの容積又は前記第2吸着タンクの容積よりも小さい、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【請求項4】
前記第3吸着タンクの容積又は前記第4吸着タンクの容積は、前記第1吸着タンクの容積又は前記第2吸着タンクの容積の4分の3以下且つ2分の1以上である、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【請求項5】
前記第1濃縮部は、前記第1濃縮部内の圧力変動を緩和する第1バッファタンクを有し、
前記第2濃縮部は、前記第2濃縮部内の圧力変動を緩和する第2バッファタンクを有し、
前記第2バッファタンクの容積は、前記第1バッファタンクの容積よりも小さい、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【請求項6】
前記第1濃縮部は、前記第1濃縮ガスを排気する第1排気弁を有し、
前記第2濃縮部は、前記第2濃縮ガスを排気する第2排気弁を有し、
前記制御装置は、前記第1切替部と前記第1排気弁を連動して制御して、前記気体の排気及び前第1濃縮ガスの排気のタイミングを調整し、且つ、前記第2切替部と前記第2排気弁を連動して制御して、前記第1濃縮ガスの排気及び前記第2濃縮ガスの排気のタイミングを調整する、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【請求項7】
前記第1濃縮部は、前記第1濃縮ガスをフィルタリングする第1フィルタを有し、
前記第2濃縮部は、前記第2濃縮ガスをフィルタリングする第2フィルタを有する、
請求項に記載の気体濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中からの気体濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気体中の気体成分を濃縮する装置が知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、二酸化炭素を含む原料ガス(気体)から、1段階の気体濃縮過程を経て、高濃度の二酸化炭素を回収する気体濃縮装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-127000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、気体の濃度に応じて濃縮可能な気体濃度に限度があり、ごく低濃度の大気中からより高濃度の二酸化炭素を直接回収することは出来なかった。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、気体から1段階の気体濃縮過程により二酸化炭素を回収する場合と比較して、より高濃度の二酸化炭素を回収することを可能とする気体濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様によれば、以下の気体濃縮装置が提供される。この気体濃縮装置は、気体を取り入れる気体取入部と、取り入れられた前記気体から二酸化炭素の濃度を高めた第1濃縮ガスを生成する第1濃縮部と、前記第1濃縮ガスから更に二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する第2濃縮部と、外部へ前記第2濃縮ガスを排気するガス排気部と、を備える。
【0008】
また、本発明の第2態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部は、前記気体から二酸化炭素を吸脱着し前記第1濃縮ガスを生成する第1吸着部を有し、前記第2濃縮部は、前記第1濃縮ガスから二酸化炭素を吸脱着し前記第2濃縮ガスを生成する第2吸着部を有し、前記第1濃縮部内の圧力及び前記第2濃縮部内の圧力を調整可能に構成されるポンプと、前記ポンプを制御し、前記第1濃縮部内の圧力及び前記第2濃縮部内の圧力を調整する制御装置と、を更に備える。
【0009】
また、本発明の第3態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部は、前記気体の給気先を切り替え可能に構成される第1切替部を有し、前記第1吸着部は、第1吸着タンクと、第2吸着タンクと、を有し、前記第2濃縮部は、前記第1濃縮ガスの給気先を切り替え可能に構成される第2切替部を有し、前記第2吸着部は、第3吸着タンクと、第4吸着タンクと、を有し、前記制御装置は、前記第1切替部を制御し、前記気体の給気先を切り替え、前記第2切替部を制御し、前記第1濃縮ガスの給気先を切り替える。
【0010】
また、本発明の第4態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部内の気体の容積と、前記第2濃縮部内の気体の容積と、が異なる。
【0011】
また、本発明の第5態様に係る気体濃縮装置では、前記第3吸着タンクの容積又は前記第4吸着タンクの容積は、前記第1吸着タンクの容積又は前記第2吸着タンクの容積よりも小さい。
【0012】
また、本発明の第6態様に係る気体濃縮装置では、前記第3吸着タンクの容積又は前記第4吸着タンクの容積は、前記第1吸着タンクの容積又は前記第2吸着タンクの容積の4分の3以下且つ2分の1以上である。
【0013】
また、本発明の第7態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部は、前記第1濃縮部内の圧力変動を緩和する第1バッファタンクを有し、前記第2濃縮部は、前記第2濃縮部内の圧力変動を緩和する第2バッファタンクを有し、前記第2バッファタンクの容積は、前記第1バッファタンクの容積よりも小さい。
【0014】
また、本発明の第8態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮ガスの流量を調整可能に構成される絞り弁を更に備える。
【0015】
また、本発明の第9態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部は、前記第1濃縮ガスを排気する第1排気弁を有し、前記第2濃縮部は、前記第2濃縮ガスを排気する第2排気弁を有し、前記制御装置は、前記第1切替部と前記第1排気弁を連動して制御して、前記気体の排気及び前記第1濃縮ガスの排気のタイミングを調整し、且つ、前記第2切替部と前記第2排気弁を連動して制御して、前記第1濃縮ガスの排気及び前記第2濃縮ガスの排気のタイミングを調整する。
【0016】
また、本発明の第10態様に係る気体濃縮装置では、前記第1濃縮部は、前記第1濃縮ガスをフィルタリングする第1フィルタを有し、前記第2濃縮部は、前記第2濃縮ガスをフィルタリングする第2フィルタを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る気体濃縮装置によれば、気体から1段階の気体濃縮過程により二酸化炭素を回収する場合と比較して、より高濃度の二酸化炭素を回収することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る気体濃縮装置の全体構成の一例を概略的に示す図である。
図2図1の気体濃縮装置の第1濃縮部における処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
図3】時間T11における第1濃縮部内の気体の流れを示す図である。
図4】時間T14における第1濃縮部内の気体の流れを示す図である。
図5図1の気体濃縮装置の第2濃縮部における処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
<実施形態>
まず、本発明の実施形態に係る気体濃縮装置1について説明する。
【0021】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る気体濃縮装置1の全体構成の一例を概略的に示す図である。
【0022】
図1に示すように、気体濃縮装置1は、気体取入部10と、ポンプ9と、除水タンク12と、第1濃縮部2と、第2濃縮部5と、制御装置8とを備える。なお、気体濃縮装置1としての具体的構成は図1に限定されない。
【0023】
気体濃縮装置1は、気体濃縮装置1外から気体を取り入れ、二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する。なお、気体濃縮装置1で濃度を高めることが出来る気体成分は二酸化炭素に限られず、窒素、酸素、水素、又は一酸化炭素等を含んでもよい。
【0024】
まず、気体取入部10について説明する。気体取入部10は、気体濃縮装置1外から気体濃縮装置1内へ気体を取り入れる。具体的には、気体取入部10は、気体濃縮装置1外から、エアーポンプ11へ気体を給気する。取り入れる気体は、大気であってもよく、別に用意した原料ガスであってもよい。
【0025】
次にポンプ9について説明する。ポンプ9は、第1濃縮部2内の圧力及び第2濃縮部5内の圧力を調整可能に構成される。具体的には、ポンプ9として気体濃縮装置1は、エアーポンプ11と、第1減圧ポンプ25と、第1昇圧ポンプ27と、第2減圧ポンプ55と、第2昇圧ポンプ57と、を有する。エアーポンプ11は、気体取入部10から吸気した気体を、除水タンク12へ給気する。
【0026】
次に、除水タンク12について説明する。除水タンク12は、エアーポンプ11から吸気した気体から水分を除去し、気体中の水分量を抑制する。水分量を抑制された気体は、第1入口部20へ給気される。
【0027】
次に、第1濃縮部2について説明する。第1濃縮部2は、第1入口部20と、第1切替部21と、第1吸着部22と、第1圧力センサ29と、第1排気部30と、第1フィルタ31と、第1逆止弁33と、第1絞り弁35と、第2絞り弁37と、第1排気弁39と、第1バッファタンク41と、第1出口部40と、を備える。第1濃縮部2は、気体濃縮装置1外から取り入れた気体から二酸化炭素の濃度を高めた第1濃縮ガスを生成する。
【0028】
第1入口部20は、第1濃縮部2外から気体を第1濃縮部2内へ取り入れる取入口である。具体的には、除水タンク12から、第1切替部21へ気体を給気する。
【0029】
第1切替部21は、第1入口部20から給気された、気体の給気先を切り替え可能に構成される。第1切替部21は、第1電磁弁21A、第1電磁弁21B、第1電磁弁21C、及び第1電磁弁21Dを備える。各電磁弁の開状態(OPEN)と閉状態(CLOSE)とを切り替えることで、気体の流路を制御し、気体の給気先を切り替える。また、各電磁弁は給気側から吸気側への逆流を防止し、INと表示されている側が吸気側である。具体的には、第1電磁弁21Aは、除水タンク12から、第1吸着タンク23への気体の給気を制御する電磁弁である。第1電磁弁21Bは、除水タンク12から、第2吸着タンク24への気体の給気を制御する電磁弁である。第1電磁弁21Cは、第1吸着タンク23から、第1フィルタ31への気体の給気を制御する電磁弁である。第1電磁弁21Dは、第2吸着タンク24から、第1フィルタ31への気体の給気を制御する電磁弁である。
【0030】
第1吸着部22は、気体濃縮装置1外から取り入れられた気体から二酸化炭素を吸脱着し第1濃縮ガスを生成する。第1吸着部22は、第1吸着タンク23と、第2吸着タンク24と、から構成される。第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24は、第1切替部21から気体が給気され、気体から二酸化炭素を吸着するタンクである。第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24には、交互に気体が給気される。第1吸着タンク23又は第2吸着タンク24に吸着した二酸化炭素を脱離させることで二酸化炭素濃度を高めた第1濃縮ガスが生成される。生成された第1濃縮ガスは、第1フィルタ31へ給気される。また、二酸化炭素が吸着され、二酸化炭素濃度が低くなった第1排気ガスは、第1逆止弁33A又は第1逆止弁33Bと第1絞り弁35とを通して、気体濃縮装置1外へ排気される。第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24は、ゼオライトを用いた二酸化炭素の吸着材を有する。なお、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24は、二酸化炭素の吸着材と代えて、例えば酸素、水素、一酸化炭素又は窒素等の吸着材を有してもよい。
【0031】
第1フィルタ31は、第1濃縮ガスをフィルタリングする。例えば、第1フィルタ31は、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24から脱離した吸着材をフィルタリングする。第1フィルタ31でフィルタリングされた気体は、第1減圧ポンプ25へ給気される。
【0032】
第1減圧ポンプ25は、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24の気体を減圧するポンプである。第1減圧ポンプ25から第1昇圧ポンプ27へ気体は給気される。
【0033】
第1昇圧ポンプ27は、バッファタンク41、第2濃縮部5の第3吸着タンク53及び第4吸着タンク54へ向かう気体を加圧するポンプである。
【0034】
第1逆止弁33は、給気又は排気側から吸気側への逆流を防止する弁である。第1逆止弁33として、第1逆止弁33A、第1逆止弁33B、第1逆止弁33Cが第1濃縮部2内に設けられている。第1逆止弁33Aは、第1絞り弁35側から、第1吸着タンク23側への気体の逆流を防止する。第1逆止弁33Bは、第1絞り弁35側から、第2吸着タンク24側への気体の逆流を防止する。第1逆止弁33Cは、第1バッファタンク41側から、第1昇圧ポンプ27側への気体の逆流を防止する。
【0035】
第1バッファタンク41は、気体を一時的に貯留するタンクであり、第1濃縮部2内の圧力変動や流量変動を緩和する。具体的には、第1バッファタンク41は、第1吸着タンク23又は第2吸着タンク24で生成された第1濃縮ガスを一時的に貯留し、第2絞り弁37へ給気する。
【0036】
第1圧力センサ29は、圧力を測定するセンサである。第1圧力センサ29として第1圧力センサ29A、第1圧力センサ29B、第1圧力センサ29Cが第1濃縮部2内に設けられている。第1圧力センサ29Aは、第1吸着タンク23内の圧力を測定し、第1圧力センサ29Bは、第2吸着タンク24内の圧力を測定し、第1圧力センサ29Cは、第1バッファタンク41内の圧力を測定する。
【0037】
第1絞り弁35及び第2絞り弁37は、第1排気ガス及び第1濃縮ガスの流量を調整可能に構成される絞り弁である。また、第1絞り弁35及び第2絞り弁37は、第1排気ガス及び第1濃縮ガスの流量を調節することで圧力を調整する弁である。具体的には、第1絞り弁35は、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24から排気される第1排気ガスの流量を調節し気体濃縮装置1外へ排気する。第2絞り弁37は、第1バッファタンク41から給気される第1濃縮ガスの流量を調節し第2濃縮部5へ給気する。前述の第1逆止弁33において、給気又は排気側と吸気側との差圧が小さいほど、給気又は排気側から吸気側への逆流が起こり易い。第1絞り弁35又は第2絞り弁37において流量を制限し、給気又は排気側の圧力を高く維持することで、逆流の発生を抑制することが出来る。具体的には、第1絞り弁35により、第1逆止弁33A又は第1逆止弁33Bにおける排気側の圧力を高く維持することで、第1排気ガスの第1吸着タンク23側及び第2吸着タンク24側への逆流を防止する。
【0038】
また、第2絞り弁37は、第1濃縮部2から第2濃縮部5へ給気される第1濃縮ガスの流量を一定に保つ。第2濃縮部5の気体濃縮過程において濃縮される第1濃縮ガスの流量が一定に保たれることで、気体濃縮プロセスが安定し、第2濃縮部5外へ排気される第2濃縮ガスの流量も安定する。また、流量が一定に保たれることで、第2濃縮部5において、吸着材の表面に二酸化炭素が均等に接触し、吸着効率が向上する。
【0039】
第1排気部30は、第1絞り弁35で流量を調節された第1排気ガスを気体濃縮装置1外へ排気する排気口である。
【0040】
第1排気弁39は、第1濃縮ガスを排気する弁である。第1排気弁39は、第1昇圧ポンプ27の下流、第1逆止弁33Cの上流に設けられる。
【0041】
第1出口部40は、第2絞り弁37で流量を調整された第1濃縮ガスを第1濃縮部2から給気する出口部である。
【0042】
次に、第2濃縮部5について説明する。第2濃縮部5は、第2入口部50と、第2切替部51と、第2吸着部52と、第2圧力センサ59と、第2排気部60と、第2フィルタ61と、第3フィルタ62と、第2逆止弁63と、第3絞り弁65と、第2排気弁69と、第2バッファタンク71と、減圧弁73と、流量計75と、定流量弁77と、ガス排気部70と、を備える。第2濃縮部5は、第1濃縮ガスから更に二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する。
【0043】
第2濃縮部5の各構成要素の内、第1濃縮部2と同様の構成要素については、重複する説明を適宜省略する。すなわち、第2切替部51は、第1切替部21と、第3吸着タンク53及び第4吸着タンク54は、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24と、第2圧力センサ59は、第1圧力センサ29と、第2排気部60は、第1排気部30と、第2フィルタ61は、第1フィルタ31と、第2逆止弁63は、第1逆止弁33と、第3絞り弁65は、第1絞り弁35と、第2排気弁69は、第1排気弁39と、第2バッファタンク71は、第1バッファタンク41と、各々同様の構成が採用可能であるため、重複する説明は適宜省略する。
【0044】
第2入口部50は、第1出口部40から給気された第1濃縮ガスを第2濃縮部5内へ給気する取入口である。
【0045】
第2減圧ポンプ55は、第3吸着タンク53及び第4吸着タンク54の気体を減圧するポンプである。第1減圧ポンプ25から第1昇圧ポンプ27へ気体は給気される。
【0046】
第2昇圧ポンプ57は、第2濃縮ガスを加圧し、気体濃縮装置1外へ排気するためのポンプである。
【0047】
第1濃縮部2内の気体の容積と、第2濃縮部5内の気体の容積と、は異なる。具体的には、第2濃縮部5内の気体の容積は、第1濃縮部2内の気体の容積より小さい。第2濃縮部5内の気体の容積が第1濃縮部2内の気体の容積より小さいことにより、圧力制御を要する気体の容積が小さくなるため、第1濃縮部2内の圧力制御を行う各ポンプ9の出力を抑えることが出来る。
【0048】
第2吸着部52は、第1濃縮ガスから二酸化炭素を吸脱着し第2濃縮ガスを生成する。第2吸着部52は、第3吸着タンク53と、第4吸着タンク54と、を有する。第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積は、第1吸着タンク23の容積又は第2吸着タンク24の容積よりも小さい。例えば、第3吸着タンクの容積又は第4吸着タンクの容積は、第1吸着タンクの容積又は第2吸着タンクの容積の2分の1、3分の2、3分の1、4分の3、5分の4、又は3分の4でもよく,好ましくは、5分の4以下且つ5分の1以上でもよい。更に好ましくは、第3吸着タンクの容積又は第4吸着タンクの容積は、第1吸着タンクの容積又は第2吸着タンクの容積の4分の3以下且つ2分の1以上である。第1濃縮ガスは、第1濃縮部2で気体濃縮装置1外から吸気された気体と比べ、より二酸化炭素の濃度が高く、つまり特定の体積当たりの二酸化炭素の分子数が多い。そのため、第1濃縮ガスを第3吸着タンク53又は第4吸着タンク54において気体濃縮する際に必要とされる容積は、気体濃縮装置1外から吸気された気体を第1吸着タンク23又は第2吸着タンク24において気体濃縮する際に必要とされる容積よりも小さい。タンク容積が小さいほど、タンク容積が大きい場合よりもタンクそのもののコストダウンが可能であり、また圧力制御を要する気体の容積が小さくなるため、各ポンプの出力を抑えることが出来る。つまり、第2減圧ポンプ55の出力は、第1減圧ポンプ25の出力と比して小さくてもよい。
【0049】
第3フィルタ62は、第2濃縮ガスをフィルタリングする。例えば、第3フィルタ62は、バッファ内の粉塵等をフィルタリングする。第3フィルタ62でフィルタリングされた気体は、減圧弁73へ給気される。
【0050】
第2バッファタンク71の容積は、第1バッファタンク41の容積よりも小さい。例えば、第2バッファタンク71の容積は、第1バッファタンク41の容積の2分の1、3分の2、3分の1、4分の3、5分の4、又は3分の4でもよく、好ましくは、5分の4以下且つ5分の1以上でもよい。更に好ましくは、第2バッファタンク71の容積は、第1バッファタンク41の容積の4分の3以下且つ2分の1以上である。タンク容積が小さいほど、タンク容積が大きい場合よりもタンクそのもののコストダウンが可能であり、また圧力制御を要する気体の容積が小さくなるため、各ポンプの出力を抑えることが出来る。
【0051】
減圧弁73は、第2濃縮ガスを減圧する。減圧弁73は、その開度が調節可能な電子膨張弁であっても、電磁弁であってもよい。減圧弁73が電磁弁である場合、減圧弁73は、全開状態と、第2濃縮ガスを減圧するように開度を小さくする状態と、に切り換えることが可能である。減圧弁73で減圧された第2濃縮ガスは、流量計75へ給気される。
【0052】
流量計75は、第2濃縮ガスの流量を検出する。流量計75で流量を検出された第2濃縮ガスは、定流量弁77へ給気される。
【0053】
定流量弁77は、通過する第2濃縮ガスの最大流量を制限する。定流量弁77から第2濃縮ガスは、ガス排気部70へ給気される。
【0054】
ガス排気部70は、気体濃縮装置1内から気体濃縮装置1外へ第2濃縮ガスを排気する。排気された第2濃縮ガスはタンク等に保管されてもよく、適宜使用されてもよい。
【0055】
次に、制御装置8について説明する。制御装置8は、気体濃縮装置1の各部を制御する。制御装置8は、その一部又は全部がアナログ回路で構成されるか、デジタルプロセッサ又はメモリで構成される。この制御装置8は、機能ブロックとして、通信部81と、制御部83と、記憶部85と、を備える。
【0056】
制御装置8の通信部81は、信号の送受信を行う。通信部81は、例えば、気体濃縮装置1の外部と信号を送受信し、又は各圧力センサ29及び59、流量計75等の気体濃縮装置1内の構成要素と信号を送受信する。制御装置8の制御部83は、気体濃縮装置1が外部若しくは内部から受信した信号や、記憶部85に記憶された流量や圧力等の測定値若しくは制御目標値、又は種々の制御パラメータに基づいて種々の制御を行う。制御パラメータは、例えば、第1切替部21若しくは第2切替部51の各電磁弁の開閉状態、第1排気弁39及び第2排気弁69の開閉状態等を含む。制御装置8の記憶部85は、測定値若しくは制御目標値、又は種々の制御パラメータを記憶する。
【0057】
制御装置8の制御部83は、ポンプ9を制御し、第1濃縮部2内の圧力及び第2濃縮部5内の圧力を調整する。具体的には、制御部83は、第1減圧ポンプ25とエアーポンプ11とを制御し、第1濃縮部2内の圧力を調整する。また、制御部83は、第2減圧ポンプ55と第1昇圧ポンプ27と第2昇圧ポンプ57とを制御し、第2濃縮部5内の圧力を調整する。また、制御部83は、第1切替部を制御し気体の給気先を切り替え、第2切替部を制御し第1濃縮ガスの給気先を切り替える。具体的には、制御部83は、第1切替部21の第1電磁弁21A、第1電磁弁21B、第1電磁弁21C、第1電磁弁21Dの開閉状態を制御する。制御部83は、各電磁弁の開閉状態を制御することで、第1吸着タンク23若しくは第2吸着タンク24への気体の給気又は第1吸着タンク23若しくは第2吸着タンク24からの気体の給気を制御する。また、制御部83は、同様に第2切替部51の第2電磁弁51A、第2電磁弁51B、第2電磁弁51C、第2電磁弁51Dの弁の開閉状態を制御することで、第3吸着タンク53又は第4吸着タンク54の気体の給気先を制御する。更に、制御部83は、第1切替部21及び第1排気弁39を連動して制御して、気体の排気及び第1濃縮ガスの排気のタイミングを調整する。具体的には、制御部83は、第1切替部21の各電磁弁と第1排気弁39の弁の開閉状態を制御することで、気体の排気及び第1濃縮ガスの排気のタイミングを調整する。また、制御部83は、同様に第2切替部51と第2排気弁69を連動して制御して、第1濃縮ガスの排気及び第2濃縮ガスの排気のタイミングを調整する。
【0058】
<動作例>
気体の濃縮は、例えば下記のように行われる。エアーポンプ11によって気体濃縮装置1外から吸気された気体は、第1吸着タンク23へ給気される。第1吸着タンク23中の二酸化炭素の吸着材は、第1吸着タンク23へ給気された気体から、二酸化炭素を吸着する。二酸化炭素が吸着され二酸化炭素濃度が低くなった第1排気ガスは、第1排気部30を通じて気体濃縮装置1外へ排気される。次に、第1吸着タンク23内の気体の圧力を第1減圧ポンプ25により減圧することで、第1吸着タンク23中の二酸化炭素の吸着材から二酸化炭素を脱離させる。吸着材から二酸化炭素が脱離するため、当該吸着材は、再び二酸化炭素を吸着することが出来る。すなわち、二酸化炭素の吸着材は、二酸化炭素の脱離により再生される。第1吸着タンク23から脱離した二酸化炭素を含む気体は気体濃縮装置1外から給気された気体よりも二酸化炭素濃度が高い第1濃縮ガスである。第1濃縮ガスは、第1昇圧ポンプ27で加圧され、第2濃縮部5へ給気される。第2濃縮部5内へ導入された第1濃縮ガスは第3吸着タンク53へ給気される。第3吸着タンク53中の二酸化炭素の吸着材は、第3吸着タンク53へ給気された気体から、二酸化炭素を吸着する。二酸化炭素が吸着され二酸化炭素濃度が低くなった第2排気ガスは、第2排気部60を通じて気体濃縮装置1外へ排気される。次に第3吸着タンク53内の気体の圧力を、第2減圧ポンプ55により減圧することで、第3吸着タンク53内の二酸化炭素を脱離させる。第3吸着タンク53から脱離した二酸化炭素を含む気体は、第1濃縮部2から給気された第1濃縮ガスよりも二酸化炭素濃度が高い第2濃縮ガスである。この第2濃縮ガスは、第2昇圧ポンプ57で加圧され、気体濃縮装置1外へ排気される。上記二酸化炭素の吸着と脱離は、第1吸着タンク23と第2吸着タンク24との間で交互に、また第3吸着タンク53と第4吸着タンク54との間で交互に行われる。
【0059】
<処理の流れ>
図2は、図1の気体濃縮装置1の第1濃縮部2における処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。図2は、第1切替部21の第1電磁弁21A、第1電磁弁21B、第1電磁弁21C、第1電磁弁21Dの弁の開閉状態(OPEN又はCLOSE)、第1排気弁39の弁の開閉状態(OPEN又はCLOSE)を時系列ごとに示している。図2は、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24が吸着、均圧、又は脱離のいずれの段階であるか、も時系列ごとに示している。また、図3は、時間T11における第1濃縮部2内の気体の流れを示す図である。また、図4は、時間T14における第1濃縮部2内の気体の流れを示す図である。図1図2図3及び図4を参照しながら、第1吸着タンク23と第2吸着タンク24との間で交互に行われる二酸化炭素の吸着と脱離のフローについて説明する。
【0060】
時間T11において、第1電磁弁21Aは開状態、第1電磁弁21Bは閉状態、第1電磁弁21Cは閉状態、第1電磁弁21Dは開状態であって、第1吸着タンク23は吸着状態、第2吸着タンク24は脱離状態である。図3に示すように、エアーポンプ11によって気体濃縮装置1外から吸気された気体は。第1吸着タンク23へ給気される。第1吸着タンク23は、給気された気体から二酸化炭素を吸着する。二酸化炭素が吸着され、二酸化炭素濃度が低くなった第1排気ガスは、第1排気部30を通じて気体濃縮装置1外へ排出される。一方、第2吸着タンク24内の気体の圧力を第1減圧ポンプ25により減圧することで、第2吸着タンク24中の二酸化炭素の吸着材から二酸化炭素を脱離させて第1濃縮ガスを生成する。第1濃縮ガスは、第1出口部40を通じて第2濃縮部5へ給気される。二酸化炭素の脱離により、第2吸着タンク24内の二酸化炭素の吸着材は、再生される。
【0061】
図2に戻って、時間t111において、第1電磁弁21Bは、開状態に切り替わり、第1電磁弁21Dは、閉状態に切り替わる。時刻T12において、第1吸着タンク23と第2吸着タンク24とは、均圧状態である。エアーポンプ11によって気体濃縮装置1外から吸気された気体が、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24に給気される。また、第1吸着タンク23内の気体が、時間T11において減圧状態にあった第2吸着タンク24へと流入し、第1吸着タンク23内の圧力と第2吸着タンク24内の圧力とが等しくなる。ここで、第1電磁弁21Cと第1電磁弁21Dとが閉状態であるため、第2濃縮部5側へ気体は給気されず、第1排気部30から気体が排気される。
【0062】
時刻t112において、第1電磁弁21Aは、閉状態に切り替わり、第1電磁弁21Cは、開状態に切り替わる。時間T13において、第1吸着タンク23は脱離状態、第2吸着タンク24は吸着状態である。時間T11における各タンクの吸着と脱離の状態が入れ替わり、第1吸着タンク23から第1フィルタ31側へ、第1濃縮ガスが給気される。また、時刻t112において、第1排気弁39も開状態に切り替わる。第1排気弁39が開くことにより、第1逆止弁33Cの吸気側の気体が排気され、その圧力が下がる。第1逆止弁33の吸気側の圧力が下がることにより、第1逆止弁33Cの吸気側と給気側との差圧が、給気側がより高い状態に維持されるため、第1逆止弁33Cにおいて給気側から吸気側への気体の逆流を防止することが出来る。上記排気により、各タンクの吸着と脱離の状態が入れ替わる際の圧力の変動により上記逆流が起こることを防止することができる。
【0063】
時刻t113において、第1排気弁39が閉状態に切り替わり、排気が止まる。時刻T14においても、引き続き第1吸着タンク23は脱離状態、第2吸着タンク24は吸着状態である。図4に示すように、エアーポンプ11によって気体濃縮装置1外から吸気された気体は、第2吸着タンク24へ給気される。第2吸着タンク24は、給気された気体から二酸化炭素を吸着する。二酸化炭素が吸着され、二酸化炭素濃度が低くなった第1排気ガスは、第1排気部30を通じて気体濃縮装置1外へ排出される。一方、第1吸着タンク23内の気体の圧力を第1減圧ポンプ25により減圧することで、第1吸着タンク23中の二酸化炭素の吸着材から二酸化炭素を脱離させて第1濃縮ガスを生成する。第1濃縮ガスは、第1出口部40を通じて第2濃縮部5へ給気される。二酸化炭素の脱離により、第1吸着タンク23内の二酸化炭素の吸着材は、再生される。
【0064】
図2に戻って、時刻t114において、第1電磁弁21Aは、開状態に切り替わり、第1電磁弁21Cは、閉状態に切り替わる。時刻T15において、第1吸着タンク23と第2吸着タンク24とは、均圧状態である。エアーポンプ11によって気体濃縮装置1外から吸気された気体が、第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24に給気される。また、第2吸着タンク24内の気体が、時間T11において減圧状態にあった第1吸着タンク23へと流入し、第1吸着タンク23内の圧力と第2吸着タンク24内の圧力とが等しくなる。ここで、第1電磁弁21Cと第1電磁弁21Dとが閉状態であるため、第2濃縮部5側へ気体は、給気されず、第1絞り弁35側から気体が排気される。
【0065】
時刻t115において、第1電磁弁21Bは、閉状態に切り替わり、第1電磁弁21Dは、開状態に切り替わる。時間T16において、第1吸着タンク23は吸着状態、第2吸着タンク24は脱離状態である。時間T14における各タンクの吸着と脱離の状態が入れ替わり、第2吸着タンク24から第1濃縮ガスが第1フィルタ31側へ給気される。また、時刻t115において、第1排気弁39も開状態に切り替わる。
【0066】
時刻t116において、第1排気弁39が閉状態に切り替わり、排気が止まる。ここで、T11の場合と同様、第1電磁弁21Aは開状態、第1電磁弁21Bは閉状態、第1電磁弁21Cは、閉状態、第1電磁弁21Dは開状態であって、第1吸着タンク23は吸着状態、第2吸着タンク24は脱離状態となる。
【0067】
上記の工程を繰り返し、第1濃縮部2の第1吸着タンク23及び第2吸着タンク24において、二酸化炭素の吸着と脱離が互いに交互に実行され、第1濃縮ガスが生成される。ここで、上記二酸化炭素の吸着と脱離は、第1切替部21の切り替え及びエアーポンプ11と第1減圧ポンプ25とによる気体濃縮装置1内の圧力調整により制御される。
【0068】
図5は、図1の気体濃縮装置1の第2濃縮部5における処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。図5は、第2切替部51の第2電磁弁51A、第2電磁弁51B、第2電磁弁51C、第2電磁弁51Dの弁の開閉状態(OPEN又はCLOSE)、第2排気弁69の弁の開閉状態(OPEN又はCLOSE)を時系列ごとに示している。図5は、第3吸着タンク53及び第4吸着タンク54が吸着、均圧、又は脱離のいずれの段階であるか、も時系列ごとに示している。
【0069】
図5に示す第2濃縮部5における二酸化炭素の吸着と脱離のフローの内、第1濃縮部2における二酸化炭素の吸着と脱離のフローと重複する内容については説明を適宜省略する。第2濃縮部5の各構成要素を、第1濃縮部2と対応する各構成要素に読み替えることが出来る。すなわち、エアーポンプ11は第1昇圧ポンプ27、第1吸着タンク23は第3吸着タンク53、第2吸着タンク24は第4吸着タンク54、第1電磁弁21Aは第2電磁弁51A、第1電磁弁21Bは第2電磁弁51B、第1電磁弁21Cは第2電磁弁51C、第1電磁弁21Dは第2電磁弁51D、第1逆止弁33Cは第2逆止弁63C、第1排気弁39は第2排気弁69、時間T11~T16は各々時間T21~T26、時刻t100~t126は各々時刻t200~226、と同様の構成が採用可能であるため、重複する説明は適宜省略する。
【0070】
第1濃縮部2と同様に、第2濃縮部5の第3吸着タンク53及び第4吸着タンク54において、二酸化炭素の吸着と脱離が互いに交互に実行され、第2濃縮ガスが生成される。ここで、第2濃縮部5の第2吸着部52における二酸化炭素の吸着と脱離は、第2切替部51の切り替え及び第1昇圧ポンプ27と第2減圧ポンプ55とによる第2濃縮部5内の圧力調整により制御される。
【0071】
<作用効果>
以上、本実施形態に係る気体濃縮装置1は、気体を取り入れる気体取入部10と、取り入れられた気体から二酸化炭素の濃度を高めた第1濃縮ガスを生成する第1濃縮部2と、第1濃縮ガスから更に二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する第2濃縮部5と、外部へ第2濃縮ガスを排気するガス排気部70と、を備える。
【0072】
この構成によれば、2段階で気体濃縮が行われるため、気体から1段階の気体濃縮過程により二酸化炭素を回収する場合と比較して、より高濃度の二酸化炭素を回収することを可能とする。
【0073】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2は、気体から二酸化炭素を吸脱着し第1濃縮ガスを生成する第1吸着部22を有し、第2濃縮部5は、第1濃縮ガスから二酸化炭素を吸脱着し第2濃縮ガスを生成する第2吸着部52を有し、第1濃縮部2内の圧力及び第2濃縮部5内の圧力を調整可能に構成されるポンプ9と、ポンプ9を制御し、第1濃縮部2内の圧力及び第2濃縮部5内の圧力を調整する制御装置8と、を更に備える。
【0074】
この構成によれば、熱制御により気体濃縮が行われる場合と比較して、より高速で二酸化炭素を含む気体を得ることが出来る。
【0075】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2は、気体の給気先を切り替え可能に構成される第1切替部21を有し、第1吸着部22は、第1吸着タンク23と、第2吸着タンク24と、を有し、第2濃縮部5は、第1濃縮ガスの給気先を切り替え可能に構成される第2切替部51を有し、第2吸着部52は、第3吸着タンク53と、第4吸着タンク54と、を有し、制御装置8は、第1切替部21を制御し、気体の給気先を切り替え、第2切替部51を制御し、第1濃縮ガスの給気先を切り替える。
【0076】
この構成によれば、各濃縮部が1つの吸着タンクしか有しない場合と比較して、各濃縮部の2つの吸着タンクにおいて交互に気体濃縮が可能であるため、より高効率に気体濃縮が可能である。
【0077】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2内の気体の容積と、第2濃縮部5内の気体の容積と、が異なる。
【0078】
この構成によれば、第2濃縮部内の気体の容積が第1濃縮部内の気体の容積と同じ場合と比較して、第2濃縮部内の気体の容積が第1濃縮部内の気体の容積より大きい場合、より多くの第2濃縮ガスを得ることが出来、第2濃縮部内の気体の容積が第1濃縮部内の気体の容積より小さい場合、装置のサイズを小さくしコストを抑えることができる。
【0079】
また、気体濃縮装置1では、第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積は、第1吸着タンク23の容積又は第2吸着タンク24の容積よりも小さい。
【0080】
この構成によれば、吸着タンクの容積が大きい場合と比較して、タンクそのもののコストダウンが可能であり、圧力の制御が必要な気体の体積も少ないため、圧力制御に用いるポンプの出力を低くすることも可能である。
【0081】
また、気体濃縮装置1では、第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積は、第1吸着タンク23の容積又は第2吸着タンク24の容積の4分の3以下且つ2分の1以上である。
【0082】
この構成によれば、吸着タンクの容積が大きい場合と比較して、タンクそのもののコストダウンが可能であり、圧力の制御が必要な気体の体積も少ないため、圧力制御に用いるポンプの出力を低くすることも可能である。
【0083】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2は、第1濃縮部2内の圧力変動を緩和する第1バッファタンク41を有し、第2濃縮部5は、第2濃縮部5内の圧力変動を緩和する第2バッファタンク71を有し、第2バッファタンク71の容積は、第1バッファタンク41の容積よりも小さい。
【0084】
この構成によれば、バッファタンクの容積が大きい場合と比較して、バッファタンクの自体のコストダウンが可能であり、圧力の制御が必要な気体の体積も少ないため、圧力制御に用いるポンプの出力を低くすることも可能である。
【0085】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮ガスの流量を調整可能に構成される絞り弁を更に備える。
【0086】
この構成によれば、第1濃縮ガスの流量が不安定に変動する場合と比較して、第2濃縮部における気体濃縮過程が安定し、第2濃縮部外へ排気される第2濃縮ガスの流量も安定する。
【0087】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2は、第1濃縮ガスを排気する第1排気弁39を有し、第2濃縮部5は、第2濃縮ガスを排気する第2排気弁69を有し、制御装置8は、第1切替部21と第1排気弁39を連動して制御して、気体の排気及び第1濃縮ガスの排気のタイミングを調整し、且つ、第2切替部51と第2排気弁69を連動して制御して、第1濃縮ガスの排気及び第2濃縮ガスの排気のタイミングを調整する。
【0088】
この構成によれば、排気が行われない場合と比較して、気体濃縮装置内の圧力変動を緩和することが出来る。
【0089】
また、気体濃縮装置1では、第1濃縮部2は、第1濃縮ガスをフィルタリングする第1フィルタ31を有し、第2濃縮部5は、第2濃縮ガスをフィルタリングする第2フィルタ61を有する。
【0090】
この構成によれば、フィルタがない場合と比較して、脱離した吸着材等が回収ガスに混入することを抑制出来る。
【0091】
<変形例>
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び下記変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることが出来、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0092】
例えば、実施形態では2段階で気体濃縮を行う気体濃縮装置1を一例としたが、気体濃縮装置1は、3段階で気体濃縮を行う構成としてもよい。例えば、気体濃縮装置1は、第2濃縮ガスから二酸化炭素濃度を高めた第3濃縮ガスを生成する第3濃縮部を更に備えてもよい。このとき、2段階で気体濃縮する場合と比較して、より濃い濃度の二酸化炭素を含む気体を得ることが出来る。
【0093】
また、実施形態では気体濃縮を並列した吸着タンクの圧力制御により行う方式を採用したが、気体濃縮の方法は、他の化学吸着法、化学吸収法、膜分離法、深冷分離法等を用いてもよい。例えば熱制御による気体濃縮を2段階で行ってもよい。
【0094】
また、実施形態では第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積は、第1吸着タンク23の容積又は第2吸着タンク24の容積よりも小さい構成を一例としたが、第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積は、第1吸着タンク23の容積又は第2吸着タンク24の容積と同じであってもよいし、より大きくてもよい。第3吸着タンク53の容積又は第4吸着タンク54の容積が大きい場合、二酸化炭素の吸着と脱離の1サイクルでより多くの第2濃縮ガスを得ることが出来る。
【0095】
また、第2濃縮部5における吸着及び脱離の時間T21、T23、T24又はT26は、第1濃縮部2における吸着及び脱離の時間T11、T13、T24、T26と比して、より長い時間でもよく、同じ時間でもよく、より短い時間でもよい。例えば、第3吸着タンク53が脱離状態となる時刻T24は、第1吸着タンク23が脱離状態となる時間T14に比べて、長くてもよいし、短くてもよく、同じであってもよい。例えば、各時間T11~T16をより短く設定することにより、より高速での気体濃縮が可能となる。例えば、大気中の二酸化炭素濃度から所望の二酸化炭素濃度を得るための、1段階で吸着破過に至るまでの時間と、2段階に分けて第1濃縮ガスと、第2濃縮ガスとが、各々二酸化炭素の吸着破過に至るまでの合計時間と、を比較したときにより後者が高速となり得る。また、第1濃縮部2において制御される圧力と、第2濃縮部5において制御される圧力と、は同じ圧力であってもよいし、異なる圧力であってもよい。例えば、第3吸着タンク53が脱離状態となる時刻T24における第3吸着タンク53内の圧力は、第1吸着タンク23が脱離状態となる時間T14における第1吸着タンク23内の圧力と比べて、高圧であっても、低圧であってもよく、同圧であってもよい。更に、例えば、第1濃縮部2のT11~T16までの総時間である第1周期は、第2濃縮部5のT21~T26までの総時間である第2周期に比べて、長くてもよいし、短くてもよく、同じであってもよい。上記の時間、圧力、周期等は所望の二酸化炭素濃度、収量、収率の安定性等に合わせて調整されてよい。また、第1排気弁39又は第2排気弁69の開閉による排気のタイミングも上記の時間、圧力の変化に合わせて調整されてよい。排気のタイミングが調整されることで、気体濃縮装置1内の圧力バランスを安定させることが出来る。
【0096】
また、第1濃縮ガスの流量を調整する第2絞り弁37が第1濃縮部2内に設けられる構成を一例としたが、第2絞り弁37は、第2濃縮部5に設けられてもよく、第1濃縮部2及び第2濃縮部5と独立して設けられてもよい。また、上記第1切替部21、第2切替部51の開閉の切り替え、ポンプ9による圧力の変化に応じて、流量を変化させてもよい。
【0097】
また、制御部83が第1濃縮部2内の圧力と第2濃縮部5内の圧力とを独立したタイミングで制御する例を一例としたが、2段階の気体濃縮のタイミングを連動して制御してもよい。
【0098】
また、第1吸着タンク23の容積と、第2吸着タンク24の容積と、は同一であってもよく、いずれかがより大きくてもよい。また、第3吸着タンク53の容積と、第4吸着タンク54の容積と、は同一であってもよく、いずれかがより大きくてもよい。
【0099】
また、本実施形態では、第1濃縮部2及び第2濃縮部5に各々2つの吸着タンクを備える構成を一例としたが、各濃縮部における吸着タンクの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、第1濃縮部2が吸着タンクを3つ備え、第2濃縮部5が吸着タンクを4つ備える構成であってもよい。
【0100】
また、第2濃縮部5内の気体の容積が第1濃縮部2内の気体の容積より小さい構成を一例としたが、第2濃縮部5内の気体の容積は、第1濃縮部2内の気体の容積と比較して、大きくてもよく、同じであってもよい。第2濃縮部5内の気体の容積が第1濃縮部2内の気体の容積より大きい場合、二酸化炭素の吸着と脱離の1サイクルでより多くの第2濃縮ガスを得ることが出来る。また、各吸着タンク23、24、53、及び54並びに各バッファタンク41及び71の容積が異なる構成を一例としたが、例えば、気体濃縮装置1内の流路を構成する部材の容積が異なってもよい。例えば、気体濃縮装置1内の流路を構成するチューブ、ホース、コネクタの口径等によって気体容積が異なってもよい。
【0101】
また、流量計75は、例えば第1絞り弁35、第2絞り弁37、第3絞り弁65の前後に設けられてもよい。制御装置8は、測定された流量に基づき、各電磁弁又は各ポンプの制御を行い、気体濃縮装置1内の圧力や気体又は各濃縮ガスの給気先を調整してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 :気体濃縮装置
2 :第1濃縮部
5 :第2濃縮部
10 :気体取入部
70 :ガス排気部
【要約】
【課題】気体から1段階の気体濃縮過程により二酸化炭素を回収する場合と比較して、より高濃度の二酸化炭素を回収することを可能とする。
【解決手段】気体濃縮装置1は、気体を取り入れる気体取入部10と、取り入れられた前記気体から二酸化炭素の濃度を高めた第1濃縮ガスを生成する第1濃縮部2と、前記第1濃縮ガスから更に二酸化炭素の濃度を高めた第2濃縮ガスを生成する第2濃縮部5と、外部へ前記第2濃縮ガスを排気するガス排気部70と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5