(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】動く漫画システム
(51)【国際特許分類】
G06T 13/80 20110101AFI20240711BHJP
【FI】
G06T13/80 B
(21)【出願番号】P 2024066273
(22)【出願日】2024-04-16
【審査請求日】2024-04-16
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524146778
【氏名又は名称】中島 ひろみ
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 ひろみ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-194871(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0107895(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバが、コマ割りされた漫画の原画データをレイヤー分けした各セルについて複数の差分画像を取得し、前記差分画像をコマごとに切り分けて順次変化するマルチイメージデータを作成し、当該変化を発生させるレイヤーの前記セルに前記マルチイメージデータを貼り付けた上で、前記セルを重ね合わせて漫画データとして合成する作成手段と、
前記漫画データの各コマの相対的な位置データと検索のための書誌データを付加した上でデータベースに蓄積する登録手段と、
端末から指定された前記漫画データを前記端末にインターネットを介して読み込ませる読込手段と、
前記端末の画面に前記漫画データを表示する表示手段と、を有し、
前記漫画データは、各コマが前記端末に読み込まれたときに独立したアニメーションを行う、
ことを特徴とする動く漫画システム。
【請求項2】
前記漫画データは、前記端末のメモリに読み込まれ、各コマが前記メモリから画面に表示されたときにアニメーションを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の動く漫画システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマ割りされた漫画の各コマが別々のアニメーションを行う動く漫画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
漫画(コミック)は、絵と文字を使って物語を展開させたものであり、コマと呼ばれる区画に分けて時間の流れを表現したり、吹き出しを設けて登場人物のセリフを表現したりする。場面が連続している複数の絵の束を素早く捲ることで絵が動いているように見せるパラパラ漫画や、少しずつ変えた画像を連続的に映写することで動いているように表示するアニメーション(動画)もある。
【0003】
また、紙ではなく画像データで提供される電子書籍であれば、インターネットを介してタブレット型コンピュータ端末等で読むことが可能である。さらに、漫画の画像データに動きや音楽を入れて動画形式にしたモーションコミック(動く漫画)や、GIF形式の画像データを複数重ねて順に表示するGIFアニメーションもある。
【0004】
特許文献1に記載されているように、ページ送り機能を備えることで、より紙媒体に近い操作体系を有し、低速度のネットワークであっても快適なモーションコミック再生環境を実現する発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モーションコミックは、動画データであるため、再生時間に応じた画像データが順次表示されていくだけである。ユーザが受動的に読むことになり、ユーザ自身のペースで読み進めていくことが難しいため、動画を一時停止したり、再生位置を戻したりする必要が生じる。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、ユーザの自発的意思でページ送りすることができるが、ページ内で動画が再生されることに変わりなく、再生が終了するとユーザがページを捲るのを待つことから、ページごとに動画が一時停止されるのと同じである。
【0008】
動画の概要を表すサムネイル画像を一覧表示させて、カーソルを合わせると動画データの全部または一部が再生されるものがあるが、関連のない複数のサムネイルで同時に動画を再生すると却って分かりにくくなり、コンピュータの処理負担を重くしてしまう。
【0009】
漫画は、ページではなくコマを進めることで物語が展開していくことから、ページ内で動画の再生が進んでしまうと途中を見逃してしまうことも有り得る。そのため、漫画全体やページごとに動画が再生されるのではなく、コマごとに独立してアニメーションさせれば勝手に物語が進んでしまうことがない。
【0010】
そこで、本発明は、コマ割りされた漫画の各コマが別々のアニメーションを行う動く漫画システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明である動く漫画システムは、サーバが、コマ割りされた漫画の原画データをレイヤー分けした各セルについて複数の差分画像を取得し、前記差分画像をコマごとに切り分けて順次変化するマルチイメージデータを作成し、当該変化を発生させるレイヤーの前記セルに前記マルチイメージデータを貼り付けた上で、前記セルを重ね合わせて漫画データとして合成する作成手段と、前記漫画データの各コマの相対的な位置データと検索のための書誌データを付加した上でデータベースに蓄積する登録手段と、端末から指定された前記漫画データを前記端末にインターネットを介して読み込ませる読込手段と、前記端末の画面に前記漫画データを表示する表示手段と、を有し、前記漫画データは、各コマが前記端末に読み込まれたときに独立したアニメーションを行う、ことを特徴とする。
【0012】
前記動く漫画システムにおいて、前記漫画データは、前記端末のメモリに読み込まれ、各コマが前記メモリから画面に表示されたときにアニメーションを行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子版漫画のコマごとに複数の画像を順次ループ表示させるマルチイメージデータを埋め込むことにより、コマ割りされた漫画の各コマで別々のアニメーションをさせることができる。
【0014】
コマごとにアニメーションが繰り返されており、物語が勝手に進んでしまうことがないので、ユーザ自身のペースで読み進めていくことができる。コマ内で視覚的効果を付けることで、ユーザの興味を惹くとともにユーザが内容を理解しやすくもなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明である動く漫画システムの全体的な装置構成を示す図である。
【
図2】本発明である動く漫画システムのサーバの制御装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明である動く漫画システムの端末に表示される状況を示す図である。
【
図4】本発明である動く漫画システムの作成手段における処理の流れを示す図である。
【
図5】本発明である動く漫画システムの作成手段におけるレイヤー分けを説明する図である。
【
図6】本発明である動く漫画システムの作成手段における差分画像取得を説明する図である。
【
図7】本発明である動く漫画システムの作成手段におけるコマ分けを説明する図である。
【
図8】本発明である動く漫画システムの作成手段におけるデータ合成を説明する図である。
【
図9】本発明である動く漫画システムの登録手段について説明する図である。
【
図10】本発明である動く漫画システム読込手段について説明する図である。
【
図11】本発明である動く漫画システムの表示手段について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0017】
まず、本発明である動く漫画システムについて説明する。
図1は、動く漫画システムの全体的な装置構成を示す図である。
図2は、動く漫画システムのサーバの制御装置の構成を示す図である。
図3は、動く漫画システムの端末に表示される状況を示す図である。
【0018】
図1に示すように、動く漫画システム100は、インターネット400上に設置されたサーバ200が、インターネット400を介してアクセスされたユーザの端末500からの要求に対して漫画データ600を提供するコンピュータシステムである。
【0019】
インターネット400は、コンピュータ情報ネットワークによる通信手段である。なお、動く漫画システム100によって提供されるサービスは、インターネット400環境においてサーバ200側をクラウドコンピューティングによって構築しても良い。
【0020】
サーバ200は、CPU等の制御装置を備えたコンピュータであり、漫画データ600が蓄積されたデータベース300等の記憶手段を有する。データベース300は、データの集合であり、管理システムによってデータの保存や検索などの機能が提供される。漫画データ600は、紙の漫画をデジタル化または最初から画像データとして作成された電子データである。
【0021】
端末500は、サービスの提供を受けるユーザが所有するクライアントコンピュータであり、スマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯端末を含む。サーバ200は、端末500からの要求を入力として受け付け、端末500の画面等へ要求に対する結果を出力するので、端末500がサーバ200の入出力手段となる。
【0022】
端末500は、ブラウザ等のアプリケーション510を用いて、漫画データ600を画面に表示させる。ユーザは、端末500で読みたい漫画を検索して、漫画データ600を送るようにサーバ200に要求を出し、サーバ200から受信した漫画データ600を端末500で読む。動く漫画システム100用に専用のアプリケーション510を導入しても良い。
【0023】
図2に示すように、サーバ200の制御装置は、作成手段210、登録手段220、読込手段230、及び表示手段240等を有し、記憶手段300、通信手段400、及び入出力手段500等を用いて、動く漫画システム100における各処理を実行する。
【0024】
作成手段210は、サーバ200で漫画データ600を作成する。漫画データ600は、コマ割りされた漫画の各コマが別々のアニメーションを行うように編集される。なお、サーバ200以外のコンピュータで作成して、サーバ200に移しても良い。
【0025】
なお、アニメーションは、静止画を順次切り替えて動くように見せる画像データであるが、映像のように連続して変化する画像を高速に切り替えることで開始から終了まで時間と同期して再生される動画データとは異なるものとする。
【0026】
登録手段220は、漫画データ600をデータベース300に蓄積する。端末500に漫画データ600の一覧を表示させたり、端末500から指定された条件に該当する漫画データ600を抽出したり、データベース300を検索するためにインデックスの設定なども行う。
【0027】
読込手段230は、インターネット400を介して漫画データ600を端末500に読み込ませる。サーバ200は、端末500が要求した漫画データ600をデータベース300から取得し、端末500に送信する。
【0028】
表示手段240は、端末500の画面に漫画データ600を表示させる。漫画データ600を端末500のメモリに一時記憶させ、端末500の画面の範囲内にあるものは表示させ、画面の範囲外から範囲内に入るときにメモリから読み出して画面に表示するようにしても良い。
【0029】
図3(a)に示すように、端末500で起動させたアプリケーション510の画面に、漫画データ600をページ単位で表示しても良い。現在、画面に表示されているページから次のページに切り替えると、次のページの漫画データ600を読み込んで画面に表示させる。
【0030】
図3(b)に示すように、端末500で起動させたアプリケーション510の画面内で漫画データ600をスクロールさせながら表示しても良い。現在、画面に表示されている範囲をずらすと、画面の範囲外から範囲内に入った漫画データ600を読み込んで画面に表示させる。
【0031】
図4は、動く漫画システムの作成手段における処理の流れを示す図である。
図5は、動く漫画システムの作成手段におけるレイヤー分けを説明する図である。
図6は、動く漫画システムの作成手段における差分画像取得を説明する図である。
図7は、動く漫画システムの作成手段におけるコマ分けを説明する図である。
図8は、動く漫画システムの作成手段におけるデータ合成を説明する図である。
【0032】
まず、サーバ200は、原画データ610を取得する。原画データ610は、他のコンピュータ等からサーバ200に取り込まれ、メモリ等の作業領域に一時記憶した上で、作成手段210によって編集が行われる。
【0033】
原画データ610は、イメージスキャナ等を用いて紙に印刷された漫画を画像データとしてコンピュータに取り込んだもの、又はコンピュータにおいてグラフィックスエディタ等を用いて漫画形式で描画された画像データである。原画データ610は、全体が繋がっていてもページ単位で仕切られていても良いが、その中の領域が複数のコマに区切られており、各コマに背景や人物や台詞などが描き込まれて各シーンが作られ、それらを順に追っていくことでストーリーが進行する。
【0034】
作成手段210では、サーバ200が、コマ割りされた漫画の原画データ610をレイヤー分けした各セルについて複数の差分画像を取得し、その差分画像をコマごとに切り分けて順次変化するマルチイメージデータを作成し、当該変化を発生させるレイヤーの前記セルに前記マルチイメージデータを貼り付けた上で、前記セルを重ね合わせて漫画データ600として合成する。
【0035】
図4に示すように、作成手段210は、レイヤー分けS001、差分画像取得S002、コマ領域設定S003、画像切分けS004、マルチイメージ作成S005、データ貼付けS006、レイヤー合成S007等のステップにより処理が実行される。そして、登録手段220は、コマ位置設定S008、書誌情報設定S009等のステップにより処理が実行される。
【0036】
図5に示すように、レイヤー分けS001では、原画データ610を背景データ620、人物データ630、台詞データ640など画像データの種類ごとにレイヤーに分ける。レイヤーは、セル画のように透明なシートを層状にしたもので、複数のレイヤーに描画してそれらを重ね合わせることで1つの画像が形成される。
【0037】
紙の漫画から取り込んだ場合は、画像処理により画像の種類ごとに抽出してレイヤー分けをしても良い。なお、AI(人工知能)等を利用しても良い。AIは、ビッグデータ等を分類することで学習させたニューラルネットワーク等である。最初からグラフィックスエディタ等で作成する場合は、レイヤーに分けて描画しておけば良い。
【0038】
図6に示すように、差分画像取得S002では、背景データ620、人物データ630、台詞データ640などのセル画像データに対して、レイヤーごとに変化を付けた差分画像データとして、背景データ620a、人物データ630a、台詞データ640aを取得する。
【0039】
差分画像データは、原画データ610とは別に作成して用意しておけば良く、それぞれ変化する動きのパターンによって枚数が異なる。なお、動きのパターンについても、例えば、目の瞬きなど単純なものであれば、AI等で自動的に作成しても良い。
【0040】
例えば、背景データ620aは、下側のコマにおいて雲が左から右に流れていく様子を3枚の画像データで表し、人物データ630aは、右上側のコマにおいて人物が話す様子を2枚の画像データで表し、台詞データ640aは、左上側のコマにおいてセリフの文字が変わっていくのを4枚の画像データで表したとする。
【0041】
コマ内での動きで視覚的効果を得るだけであり、ストーリーの進行と関係のない動きとする。そうすれば、ストーリーが勝手に進行してしまうことはなく、ユーザが内容を理解しながらユーザ自身のペースで次のコマへ読み進めることが可能となる。
【0042】
図7に示すように、コマ分けにおけるコマ領域設定S003では、背景データ620a、人物データ630a、台詞データ640aなどの差分画像データについて、変化のあるコマを特定して相対座標を取得する等してコマ領域として設定する。
【0043】
コマ分けにおける画像切分けS004では、差分画像データの変化のあるコマを抽出して、コマ画像データとして背景データ620b、人物データ630b、台詞データ640bを作成する。複数のコマに変化がある場合は、コマごとに分けて作成する。そのコマ領域のサイズにした画像データにするか、コマ領域以外は透明にするなど、そのコマ以外は無い状態にすれば良い。なお、コマ領域内であれば、画像が変化する範囲に限定した画像データにしても良い。
【0044】
コマ分けにおけるマルチイメージ作成S005では、コマ画像データの動きのパターンをそれぞれフレームとして順番に表示するように編成したマルチイメージの動き画像データとして、背景データ620c、人物データ630c、台詞データ640cなどを作成する。
【0045】
例えば、GIFアニメーションであり、矩形状の再生領域が確保されて映像が最初から最後まで再生されていく動画データとは異なり、コマ領域が矩形以外の複雑な形状であっても、コマごとに独立して複数の画像データが順番に繰り返し表示される。
【0046】
図8に示すように、データ合成におけるデータ貼付けS006では、レイヤーごとの背景データ620、人物データ630、台詞データ640に対して、動き画像データである背景データ620c、人物データ630c、台詞データ640cをそのコマ領域の上に貼り付けたレイヤー画像データとして、背景データ620d、人物データ630d、台詞データ640dを作成する。
【0047】
なお、同じコマについて、背景データ620c、人物データ630c、台詞データ640cが重なっていても良い。コマ内で領域を分けるか、動く範囲以外を透明にする必要があるが、コマ内で異なる動きをさせることも可能である。
【0048】
データ合成におけるレイヤー合成S007では、レイヤー画像データを重ね合わせて合成データ650を作成する。例えば、背景データ620dの上に人物データ630dの載せ、人物データ630dの上に台詞データ640dを載せる。何もない部分は透過するが、重なった部分については、上側の画像データが表示され、下側の画像データが後ろに隠れる。
【0049】
図9は、動く漫画システムの登録手段について説明する図である。
図10は、動く漫画システム読込手段について説明する図である。
図11は、動く漫画システムの表示手段について説明する図である。
【0050】
図9に示すように、登録手段220におけるコマ位置設定S008では、サーバ200が合成データ650について、コマごとに相対位置を位置データ670として設定する。例えば、左上側のコマの座標を位置670a、右上側のコマの座標を位置670b、下側のコマの座標を位置670cとする。
【0051】
そして、合成データ650が端末500に読み込まれ、画面に表示される範囲を設定する。例えば、ページ単位で端末500の画面に表示させる場合は、位置670a、670b、670cを1つの表示単位として設定すれば良い。また、端末500において縦にスクロールさせながら画面に表示させる場合は、横に並んだ位置670a、670bを1番目の表示単位650a、下に続く位置670cを2番目の表示単位650bと設定すれば良い。
【0052】
登録手段220における書誌情報設定S009では、合成データ650に対して、端末500で検索するための情報として、漫画のタイトルや作者などの書誌データ660を付加した上で、データベース300に漫画データ600として保存・蓄積する。
【0053】
図10に示すように、読込手段230では、端末500で指定された漫画データ600を、サーバ200がデータベース300から抽出して、インターネット400を介して端末500に読み込ませる。
【0054】
例えば、アプリケーション510において縦にスクロールさせる表示させる場合に、まず表示単位650a、650bが画面に表示され、表示単位650cが画面の範囲外に隠れているとする。表示単位650cについては、キャッシュメモリやVRAM等のメモリに一時記憶しておくことで、画面の範囲内に入ったらすぐに表示されるようにすれば良い。
【0055】
図11に示すように、表示手段240では、端末500の画面に漫画データ600を表示し、コマ割りされた漫画データ600の各コマで別々のマルチイメージデータにより、それぞれ独立したアニメーションをさせる。
【0056】
サーバ200から端末500に漫画データ600が読み込まれたときに各コマの動作を開始しても良いし、端末500の画面の表示範囲外では動作せず、表示範囲内に入ったら動作を開始するようにしても良い。なお、位置データ670が示す座標が、表示範囲内に入ったかどうかで判断すれば良い。コマは、矩形状の枠の場合もあれば、円形、台形、多角形の場合もあり、さらに枠無しの場合もあるので、例えば、左上端を位置データ670として設定しておけば良い。
【0057】
漫画データ600が縦に長くスクロールする場合は、画面の上又は下に隠れた部分も、メモリ等に読み込ませて動作を開始しておけば、表示範囲を少しずらしても動作をスムーズに継続可能である。漫画データ600を一度に全部読み込まず、順次メモリ等に一時記憶させながら表示していけば、スムーズにスクロール可能である。既に画面外に出た部分も戻ることを考慮してメモリ等に一時記憶しておき、順次メモリ等から解放していっても良い。
【0058】
例えば、表示単位650b、650cがアプリケーション510の画面内の場合、表示単位650a、650dをメモリ等に保持しておき、画面内に入るときに既に動作している状況にしても良い。表示単位650dより下の部分は、表示単位650dが画面に表示されたときに読み込まれ、表示単位650aより上の部分は、表示単位650aが画面から出たときに解放すれば良い。
【0059】
本発明によれば、電子版漫画のコマごとに複数の画像を順次ループ表示させるマルチイメージデータを埋め込むことにより、コマ割りされた漫画の各コマで別々のアニメーションをさせることができる。
【0060】
コマごとにアニメーションが繰り返されており、物語が勝手に進んでしまうことがないので、ユーザ自身のペースで読み進めていくことができる。コマ内で視覚的効果を付けることで、ユーザの興味を惹くとともにユーザが内容を理解しやすくもなる。
【0061】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
100:動く漫画システム
200:サーバ
210:作成手段
220:登録手段
230:読込手段
240:表示手段
300:データベース(記憶手段)
400:インターネット(通信手段)
500:端末(入出力手段)
510:アプリケーション
600:漫画データ
610:原画データ
620:背景データ
630:人物データ
640:台詞データ
650:合成データ
650a~d:表示単位
660:書誌データ
670:位置データ
670a~c:位置
【要約】
【課題】コマ割りされた漫画の各コマが別々のアニメーションを行う動く漫画システムを提供する。
【解決手段】サーバが、コマ割りされた漫画の原画データをレイヤー分けした各セルについて複数の差分画像を取得し、前記差分画像をコマごとに切り分けて順次変化するマルチイメージデータを作成し、当該変化を発生させるレイヤーの前記セルに前記マルチイメージデータを貼り付けた上で、前記セルを重ね合わせて漫画データとして合成する作成手段と、前記漫画データの各コマの相対的な位置データと検索のための書誌データを付加した上でデータベースに蓄積する登録手段と、端末から指定された前記漫画データを前記端末にインターネットを介して読み込ませる読込手段と、前記端末の画面に前記漫画データを表示する表示手段と、を有し、前記漫画データは、各コマが前記端末に読み込まれたときに独立したアニメーションを行う。
【選択図】
図1